ヒナタ「もし、過去に戻ることが出来たらどうする?」ナルト「ん?」 (434)

エタらないナルト逆行モノがモットーです

ナルト「うう……『時をかけるくノ一』、泣けたってばよ……」ズビズビ

ヒナタ「良い映画だったね……特にあのシーン」

ナルト「うん、うん……まさか、あそこであんな決断を下せるなんて……偉い子だってばよ……」

ヒナタ(ナルト君のほうが、よっぽど凄い決断を下してきただろうになあ……でも)

ナルト「スゲエなあ……悲しいなあ……」ズズッ

ヒナタ(こういう、思いやりがあって、凄いことを凄いと思わずに出来るところが、ナルト君の良いところなんだよね、やっぱり)

ヒナタ「……ね、ナルト君」

ナルト「んぅ?」

ヒナタ「こうやって、部屋で、ふ、二人きりで映画見るのも、その……良いね」

ナルト「……おう!」



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ナルト「食った、食った! ごちそうさん、ヒナタ。すっげえ美味かったってばよ」

ヒナタ「ふふ、どういたしまして」

ナルト「夜はオレも手伝うぜ」

ヒナタ「一緒に作るの、楽しみだね」

ナルト「ああ、食材も買い込んだしな」

ヒナタ「……くすっ、なんかおかしいね。今食べたばかりなのに、もう次のごはんの話してるなんて」

ナルト「いーじゃねえか、楽しみな気持ちが抑えらんねえってことなんだからさ」

ヒナタ「……そうだね」にこっ

ナルト「うしっ、じゃあこれからどうする? 夕飯までは流石に時間あるし……映画返して、別なの借りてくっか?」

ヒナタ「うーん、それも良いけど……」

ミーン、ミンミンミン……

ヒナタ「……外も熱いし、家に居よ?」

ナルト「そうだな、そうすっか! それじゃあ……そうだ、アルバム見るか?」

ヒナタ「アルバム……?」

ナルト「そ、イルカ先生とかが撮ってくれた、昔の写真が載ってるからよ」

ヒナタ「それ、見たい!」ガバッ

ナルト「……ひ、ヒナタ? 前に乗り出して、なんか鼻息が荒いってばよ?」

ヒナタ「はやく、一緒に、見よ、ナルト君!」キラキラ

ナルト(目も光ってるってばよ……)

ぱらり

ヒナタ「あ……アカデミー時代の写真だね」

ナルト「おう、どう? この頃からオレってばカッコいいよな?」ニシシ

ヒナタ「うん……」しんみり

ナルト「……その反応は、逆に恥ずかしいってばよ」

ヒナタ「えっ、あっ……その、でも本当だよ?」

ヒナタ「わたし、この頃からずっと、ナルト君のこと、カッコいいって……」

ナルト「……(今なら、顔から天照出せそうだってばよ)」




ヒナタ「……あ、でも」

ナルト「?」

ヒナタ「今見てみると、かわいい、って部分もあるなあ」

ナルト「かわいい? オレが?」

ヒナタ「うん……なんだかこう、くりくりしてて、笑顔もすごくかわいい……」

ナルト(……メチャクチャ恥ずかしいってばよおおおおおおおおお!! でも、ヒナタってば写真に夢中だし、この状況がいつまで続くか……)「あっ」

ナルト「ん?」

ヒナタ「……ッ」さっ

ナルト「……ヒナタ? 今、なんか隠し「何もしてないよ?」

ナルト「……」

ヒナタ「何も、してないよ?」

ナルト「……じゃあ、今背中に隠し持ってるのは「何も、持ってないよ?」

ナルト「……」

ヒナタ「……」


ナルト「……なーんだ、オレの勘違いか」

ヒナタ「そうそう、じゃあ次のページ見てみよう?」

ナルト「ああ、次からは第七班の頃の……(影分身の術!)」

ナルト(よし、分身を気取られないように背後に回して……)

分身ナルト(そーっ……)

ヒナタ「白眼!」バッ

分身ナルト「!」

ヒナタ「ナルト君……ダメだよ、部屋の中で影分身なんて」

分身ナルト「ちぇっ、バレたか……」ボンっ

ヒナタ「もう……」

ナルト「隙あり」ぱッ

ヒナタ「あっ」

ナルト「ごめんな、ヒナタ。お前なら絶対後ろに気付いて振り向くと思って、囮にしたんだってばよ」

ヒナタ「そ、そんな……」

ナルト「さて、どんな写真なんだ……って。別に、普通の写真じゃねーか。どこにそんな、隠すようなもんが……」

ヒナタ「……その?」

ナルト「ん?」

ヒナタ「後ろのほうに……」

ナルト「え……あっ、ああ!?」

幼少期ヒナタ『じーっ……』

ナルト「ひ、ヒナタが後ろの方に写ってるってばよ……」

ヒナタ「……っ(は、恥ずかしいっ!!)」かぁああっ

ナルト「……なんつーか、いやさ、お前が昔っからオレのこと好きでいてくれてたのは知ってたけど、こう形に残るものとして実際に証拠を見せられると、改めてうれしいっていうか、恥ずかしいっていうか……って、おい、ヒナタ? ヒナタ!! 気絶するなってばよおお!!!」

ナルト「け、結局五枚に一枚くらいはヒナタが写りこんでたってばよ」

ヒナタ(は、恥ずかしすぎるよおおおおお、昔のわたし、逆に凄すぎるよ! どれだけナルト君を付け回していたの!?)

ナルト「たははー……」

ヒナタ(ど、どうしよう……やっぱりナルト君、気持ち悪いと思ったよね……折角ここまで来れたのに、嫌われちゃったかな……)

ヒナタ「あ、あの ナルト「でもさ、ヒナタ」

ヒナタ「えっ?」

ナルト「今度からはさ、ちゃんと隣に立って写真撮ろうな。もう、恥ずかしがる必要なんて無ェんだからさ。その……恋人同士なんだから」にっ

ヒナタ「……」

ナルト「ヒナタ?」

ヒナタ「……」ぼんっ

ナルト「だあああああっ、今、恥ずかしがる必要無ェって言ったばっかりだろ!!!」

ナルト「最近気絶しなくなったなあ、って思ってたけど、やっぱりその癖はまだ抜けきってないんだな」

ヒナタ「ごめんね、ナルト君……その、嬉しすぎて……」

ナルト(うあ、なんかこっちも恥ずかしくなってきたってばよ……)

ナルト「とりあえず、アルバムはいったん仕舞うってばよ。どうやらヒナタにはまだ刺激が強すぎるみてえだ」

ヒナタ「う、うん……(残念だなあ……)」

――

ナルト「つっても、じゃあ晩飯まで何すっかなあ……」

ヒナタ「普通に、おしゃべりでもしてようか」

ナルト「そうだなあ、そうすっか! でも、何を話そうか……思い出話だとヒナタ、また気絶するかも……」

ヒナタ「しないよ!」

ナルト「へへ、冗談だってばよ」

ヒナタ「もう……あ、じゃあ、こんなのはどうかな」

ナルト「ん?」

ヒナタ「もし、過去に戻ることが出来たら、ナルトくんならどうする?」

ナルト「……ああ、さっき映画見たからか?」

ヒナタ「うん、ふと思いついて……」


ナルト「うーん、難しいなあ、突然言われると……そういうヒナタは?」

ヒナタ「わたしは、そうだなあ……昔のナルト君の写真、一杯撮るかも」

ナルト「ぶっっ!!」

ヒナタ「な、ナルト君?」

ナルト(も、もう突っ込むのは辞めにするってばよ……)

ヒナタ「それで、ナルトくんは?」

ナルト「うーん、やっぱり難しいなあ……全然思いつかねえってばよ」

ヒナタ「そ、そうだよね……」

ナルト「オレってば、昔から例えばって話が苦手だからなあ……ぶっ、なんだかアカデミーの課題みてえだな」

ヒナタ「え……あっ。『明日がもし地球最後の日だったら』、だよね」

ナルト「ああ、なんかあの質問みたいだなあ、懐かしい。あんときはイルカ先生が『月が落ちて来たりして』、とか言って、んで結局マジで落ちてきそうになって……」

ヒナタ「……ナルトくん?」

ナルト「……ま、まさかな? そんなこと無いよな?」

ヒナタ「……そ、そんなこと、ありえ」



グゥゥウウウウウン!!

ナルト「ぐっ!?」

ヒナタ「な、何!? 幻術!?」

ナルト「ど、何処から――」

ナルト(や、べえ、意識が……ヒナ――)

ヒナタ「な、るとくん――」

ナルト(――ヒナタ)

ナルト「……ヒナタ!!」バッ

ナルト(……ここは、俺の部屋? でも、なんか変だ……いや、おかしいんだけど、おかしくねえっていうか……)

ナルト「おい、ヒナタ!? どこだ!? ヒナタぁ!!」

シーン……

ナルト(返事が無い……一体、何が起きたんだってばよ。ヒナタは、無事なのか?)

ナルト「とりあえず……解!」

シーン……

ナルト(変化なし……幻術じゃないのか、それとも……って)

ナルト「なんか、手が小さいってばよ?」

ナルト(てか、声も高い!?……まさか!)ばっ

ナルト「あれ、鏡が無い……」

ナルト(ヒナタが、買ってきてくれたはずの鏡が)

ナルト(でも、この服、間違いない。オレってば、ガキのころに戻ってる!?)

ナルト「仕方ねえ……影分身の術!」

ポンッ!

ナルト・分身ナルト「「……こ、こりゃあ……アカデミーのころのオレじゃねーか!!」」

ナルト「部屋も、よく見てみれば昔のオレの部屋だってばよ……」

ナルト(うへー、そういやヒナタが来てくれるようになる前はこんな感じで、メチャクチャ散らかってたもんな……)

分身ナルト「とりあえず、ヒナタを探さねえか」

ナルト「! そうだな、でもちょっと確かめたいことがある。先に探しに行っててくれ」

分身ナルト「了解、じゃあ行ってくるってばよ!」がらっ、さっ

ナルト「頼んだぞ……。じゃあ、こっちも確かめるってばよ」


ナルト(おい、九喇嘛、聞こえるか)

精神世界

九喇嘛「……! 貴様、何故俺の名を?」

ナルト「……参ったなぁ、まさかとは思ったけど、身体だけじゃなくお前まで昔に戻っているだなんてよ」

九喇嘛「質問に答えろ! 何故お前がここに居て、俺の名前を口にしやがるんだ?」

ナルト「なんでって、そんなもん教えてもらったからとしか……」

九喇嘛「教えてもらっただあ? 言っておくが、手前が体験したことなんざ、俺は全部見てるんだぞ? そんな嘘を吐いたところで……」

ナルト「あー、もう、ごちゃごちゃうるせえってばよ! それでも九尾か、お前!」ゴオッ!

九喇嘛「!! お前、それはジジイの!!」

ナルト「お、この状態には、こんな姿でもなれるんだな! 収穫、収穫!」

九喇嘛「貴様……一体」

ナルト「へっ、オレがどういう状況にあるかなんて、オレ自身よく分かっちゃいねーよ」

ナルト「ただ、これだけは分かる」

ナルト「オレは――過去に戻ってきちまったみてえだ」

――

分身ナルト(――やっぱり、ここに居た! 日向家!)

ヒナタ「……」おろおろ……

分身ナルト(あー、遠目からじゃ、あれがどっちのヒナタだか分からねえってばよ……戸惑ってるのか、おろおろしてるのか……しょうがない、もっと近づいて)

???「――誰だ!」

分身ナルト「げっ!」

ヒナタ「!! ナルトくん!!」

ヒアシ「――貴様は! 何をしに来たんだ!」

分身ナルト「ヒアシのおっちゃん! これは、その!」

ヒアシ「貴様にそのように呼ばれる覚えはない!! 直ぐにここから立ち去れ、さもなくば――」

分身ナルト(あーそうだったなあ、この頃は里のみんなってば……)チラ

ヒナタ(……)じっ

分身ナルト(!)

分身ナルト(こ・う・え・ん・に・こ・い)

ヒナタ(!)こくり

分身ナルト(よしっ、これであとは……)

ヒアシ「はっ!!」

ヒナタ「な、ナルトくん!!」

分身ナルト「ちょっ、マジの掌撃を……」ボンッ

ヒアシ(!? 影分身、だと……)

ヒナタ「……ほっ」

ヒアシ「……」ぎろ

ヒナタ「!」はっ

ヒアシ「……ヒナタ、あの者に近づいてはならないぞ」

ヒナタ「っ……はい……」

ヒアシ「フン……」すたすたすた……

ヒナタ(……ナルトくん、大丈夫かな……)

――

ナルト「!」

ナルト(おいおい、ヒアシのおっちゃん、マジでオレを殺す気で来てたってばよ……)

ナルト(でも、ヒナタには伝わったみてえだな。やっぱり、ヒナタも俺と同じ状況みてえだ。公園に行くか)

ナルト「……まあ、なんだ。別に何かしようってわけじゃねえんだ。安心してくれ」

九喇嘛「フン……信用できねえな」

ナルト「別に信用してもらおうなんて思ってねえさ……じゃあな」

――

公園

ヒナタ「……! ナルトくん!」

ナルト「ヒナタ! 大丈夫か!」

ヒナタ「うん、そっちの方は?」

ナルト「オレも、まあ大丈夫だってばよ……やっぱり、ヒナタも来てたんだな」

ヒナタ「うん……気が付いたら、日向の家の、自分の部屋の中に居て……でも、なんか様子がおかしくて……色々調べてみたら、どうやら過去に来てしまったらしいって気が付いて……」

ナルト「オレも大体同じだってばよ。それに、ヒアシのおっちゃんの様子を見た感じ……」

ヒナタ「うん、みんなやっぱり、記憶は無いみたい……ごめんね、父様がまさかあんなことをするなんて……」

ナルト「なんでお前が謝るんだってばよ! んなもん分かってたことだ! この頃は皆、誤解してたんだから、仕方ねえよ」

ヒナタ「う、うん……」

ナルト「それよりも、この状況をどうにかするのが先決だってばよ……ヒナタ、たしかお前あのとき、幻術だって言ってたよな?」

ヒナタ「……うん、その感覚にとても似てた。でも、幻術返しをしても解くことが出来なかったし……」

ナルト「それじゃ解くことの出来ない幻術の可能性もある。例えば……無限月読、あるいは限定月読とか」

ヒナタ「!! で、でも、それじゃあ」

ナルト「ああ、『写輪眼を持ってる奴』が犯人かもしれねえ」


ヒナタ「……」

ナルト「……けど、サスケがこんなことするとは思えねえ。他に、可能性は……」

ヒナタ「……私は、時空間忍術の可能性を疑ったの」

ナルト「! オビトや、カカシ先生が使ってたやつか」

ヒナタ「ええ……あの二人のは、空間を移動する術だったけれども、空間を移動できるなら、時間を移動することも可能かもしれない、って」

ナルト「……でも、それじゃあいずれにしても」

ヒナタ「うん……写輪眼を持つ人間が、犯人かもしれないことには変わりはない……」

ナルト「……どうしたもんか……」

ヒナタ「……そもそも、術者はこの時代にいるのかな」

ナルト「え?……あ」

ヒナタ「あの瞬間に、私たちに術をかけたんだとしたら、術者はあの時代に居るはず……つまり、いまここで何かをしようにも……」

ナルト「術を解けねえかもしれねえ、ってことか」

ヒナタ「うん……」

あ、ちなみにロストタワーをまだ見れてないので、その設定は反映できてません
すみません

――

ナルト「とにかく、ヒナタ。オレから離れるな」

ヒナタ「うん、でも……この頃はまだ侍従がわたしを監視してて……」

ナルト「ああ、そっか……どうしたもんか……」

??「ヒナタ様?」

ナルト「げっ、侍従か?」

ヒナタ「――ッ!!」

ナルト「おい、ヒナタ?」

ヒナタ「……ネジ、兄さん……」

ナルト「えっ……」ばっ


ネジ「こんな所で、何をしているのですか」

ナルト「ネ、ネジ……お前」

ネジ「ん、なんだ貴様? お前にそのように呼ばれる筋合いは無い」

ナルト(ヒアシのおっちゃんと同じようなこと言っているってばよ……)

ナルト「こ、これはな、その……」

ネジ「お前に聞いているのではない。俺はヒナタさまに聞いているのだ」

ナルト(あーっ、中忍試験の前はネジもこんな感じだったなあそういや……)

ヒナタ「……ッ」

ネジ「ヒナタ様、帰りましょう。ヒアシ様も心配なさっているはずです」スッ

ヒナタ「――ナルトくん! 行こう!」ガシッ

ネジ「なっ」

ナルト「え、ちょっ、ヒナタ!?」

ヒナタ「ッ!」タッタッタッ……

ネジ(行ってしまった……一体、何なんだと言うんだ……)

――

ヒナタ「はあっ、はあっ、はあっ……」

ナルト「ひ、ヒナタ、どうしたんだっ、てばよ……」

ナルト(やっぱり、体力もまだ全然ついてねえんだ、この身体)

ヒナタ「ごめん、ね、なるとくん、はあっ、突然……」

ナルト「ぜえっ……いや、良いんだけどさ、でもなんだって突然、ネジから逃げたんだってばよ?」

ヒナタ「……やっぱり、逃げたんだよね、わたし……」

ナルト「……?」

確か旧家の人って九尾の戦いにいたから知ってた設定じゃ
本当に原作読んでるの?

>>47
ごめんなさい、どこの箇所のことでしょうか
修正可能なら直しますので……

レス番18ヒアシさんのとこなんだけど 四代目の子だと知っててこんな態度とるかな?と思って

>>50
そうですね……本気で殺しにかかるのはちょっと過激すぎたかもしれません……
後で、影分身は自発的に消えた、という描写に修正させていただきます

ヒナタ「分かってるつもりなの……ここが本当に過去の世界だとしたら、ネジ兄さんが生きているのは当たり前だって。でも……実際に会ってみると、やっぱりすごく、混乱というか、動揺しちゃって……」

ナルト「……ああ、成程な……オレも依然、マダラ……いや、オビトの限定月読の世界に入れられたとき、同じような気持ちになったことがあるってばよ」

ヒナタ「ナルトくんも?」

ナルト「ああ……そこでは、父ちゃんと母ちゃんが、生きていたんだ」

ヒナタ「!」

ナルト「それを見てさ、思ったんだよ。オレの、本当の父ちゃんや母ちゃんを侮辱しているって。本当の世界で、父ちゃんと母ちゃんがオレに託してくれた思いってのをオレは知ってたから、だからそれを踏みにじられたようで……」

ヒナタ「……」こくん

ナルト「……でも、それと現状は、少しちげえと思うんだ」

ヒナタ「え?」

ナルト「ここが本当に過去の世界だとしたら、ネジが生きてるのは、お前が言った通り当たり前のことだってばよ。俺たちの胸の中でネジたちが生きていること、それは変わらねえ、唯、この瞬間を生きていたって事実を目にしてるだけだ。お前が引け目を感じる事なんて、なんもねえ」

ヒナタ「……」

ヒナタ「……」

ナルト「無理に気持ちを抑えろなんて言わねえ。その気持ちは、ネジを想ってのことだから。でも、少なくとも俺は保証する。ネジを見たからって、お前が悩む必要は、無えってばよ」

ヒナタ「……ありがとう、ナルトくん。やっぱり、ナルトくんは優しいね」

ナルト「へへっ、ヒナタの元気がオレの元気だからな」

ヒナタ「……うん!」にこっ

――

ヒナタ『でも、やっぱり暫く家には帰りづらいから……ナルト君の家に、お邪魔しに行っていい?』

ナルト『おう、そうすっか!』

ヒナタ(と言って、ナルト君の家に向かっているんだけれども……)

ひそひそ……

ヒナタ(あのころは、後ろからしか見てなかったから気付けなかったけど、ナルトくんはいつもこんな視線を感じながら……)

ヒナタ(なんて……悲しいんだろう……ナルト君は、ナルト君は……!)

ナルト「ヒナタ。良いんだってばよ」

ヒナタ「ナルトくん……」

ナルト「今の俺にとっちゃ、むしろ懐かしいくらいだってばよ。それに昔のオレってば、結構やんちゃもしてたからなあ」

ヒナタ「そ、そっか……」

ナルト「それよりもほら、アレ見てみろよ」

ヒナタ「えっ……あっ、火影岩……」

ナルト「三代目のじっちゃんまでしか無いってこたあ、いよいよ本格的にタイムスリップってやつみてえだな」

この時ミナトのもあるよ

>>78
これガチのミスです、すみません

>>77
訂正

ナルト「ヒナタ。良いんだってばよ」

ヒナタ「ナルトくん……」

ナルト「今の俺にとっちゃ、むしろ懐かしいくらいだってばよ。それに昔のオレってば、結構やんちゃもしてたからなあ」

ヒナタ「そ、そっか……」

ナルト「それよりもほら、アレ見てみろよ」

ヒナタ「えっ……あっ、火影岩……」

ナルト「綱手のばあちゃんより先が無いってこたあ、いよいよ本格的にタイムスリップってやつみてえだなあ……」

あーだめですね、これだと綱手が入ってるみたいになってしまう
>>79の最後の行はこれで確定します 重ね重ね申し訳ないです

ナルト「……父ちゃんより先が無いってこたあ、いよいよ本格的にタイムスリップってやつみてえだなあ……」

――

ナルト「ただいまー!」

ヒナタ「おじゃましまーす……」

ナルト「ヒナタ、今日二回目だな、それ言うの」

ヒナタ「うん、なんかちょっと変な気分……って」

ナルト「ん?」

ヒナタ「……ナルトくん、部屋が」

ナルト「えっ、あーっ!! 散らかりっぱなしなの忘れてたってばよ!!」

ヒナタ「ナルトくん……部屋はきちんと毎日片付けしようねって、約束したよね?」

ナルト「え、はいっ、でも、その、これをやったのはオレじゃなくて……」

ヒナタ「はいっ、一緒に片付けしますよっ」

ナルト「……へ、へへーっ」

ヒナタ「あっ、空き容器がこんなに……もうっ、ナルトくんったら、この頃からずっとカップラーメン食べてたの?」

ナルト「あー、その、いやさー……多分、そうみてえだ」

ヒナタ「ダメだよ、もう! 体を大切にしないと……ちゃんと、野菜とかも食べなきゃ!」

ナルト「い、今はちゃんと食べてるってことは、ヒナタがよく分かってるだろ?」

ヒナタ「! それは、そうだけど、でも今は昔のナルトくんの話をしてるの!」

ナルト「だーッ! なんだかややこしいってばよぉ……」

ヒナタ(……昔の私も、もっと早くお弁当を作ってあげれば良かったのに)

ヒナタ「とりあえず、ひと段落ついたね」

ナルト「おお、見違えるようだってばよ……この時期にこの部屋の綺麗さだと、違和感半端ねえや……」

ヒナタ「うん、そうだね……」にこにこ

ナルト「ん、どうして笑ってんだ?」

ヒナタ「え? ……そのね、今のナルトくんって凄くかわいいのに、話し方がとても落ち着いて大人びてるから、ギャップでちょっとおかしいなって」

ナルト「(か、かわいい……)へぇ……そんなにオレの話し方ってば、変わっちまったか?」

ヒナタ「うん、この頃のナルトくんはもっと、『あのさ、あのさ!』とかって、言ってた気がする……」

ナルト「あー、言われてみれば、そうかもしんねえなあ……なんだろうな、話し始める前に、一拍置いてたんだろうなあ……ちゃんと相手が話聞いてくれるか、不安でよ」

ヒナタ(不安……きっと、さっきみたいな視線にさらされてたせいなんだ。そういえばいつも、嬉しそうな感じで言ってたもんね)

ナルト「でも、大きくなって、皆との絆を感じられるようになって、そういう不安が無くなった。だから余り言わなくなったんだろうな」

ヒナタ「そっか……そういうことなんだ」

ナルト「ああ、ま、成長の証、ってことだってばよ」

ヒナタ「ふふ……でも、『てばよ』って口癖は、変わらないままだね」

ナルト「それは、多分一生抜けねえだろうなァ……なんたって、母ちゃんから受け継いだもんだからな」

ヒナタ「お母様から?」

ナルト「ああ、母ちゃんは『~~だってばね』、が口癖だったみてーだからさ。こっちは言わば、うずまき一族の証ってとこだな」

ヒナタ「!……それって、きっと」

ナルト「ん?」

ヒナタ「……ずっと昔から、そう、『今』の頃からだって、ナルトくんのお母様は、生きてたってこと、なんじゃないかな……ナルトくんの、言葉の中にも」

ナルト「――あ」

ナルト(……そっか……オレが父ちゃんや母ちゃんに、心ン中で会う前から、オレはずっと……)

ナルト「……ありがとな、ヒナタ。オレってば、また大事なことをお前に教えてもらっちったな」

ヒナタ「ナルトくん……」

一応今後はこのトリップを付けます


ナルト「つーことはさ、オレの子供もさ、きっと似たような口癖を持つんだろーな!」

ヒナタ「うん、きっとそうだ――ね」

ナルト「?」

ヒナタ「……うん、きっと、ナルトくんの、赤ちゃんも……」かあっ

ナルト「……だぁっ!?」

ヒナタ「……」もじもじ

ナルト「あ、いや、今のはそういう、変な意味じゃなくてさ、なんていうか、そのー……」

ヒナタ「……あは、大丈夫だよ、分かってるよナルトくん」

ナルト「へっ?……な、なんてことだってばよ」

ヒナタ「え?」

ナルト「ヒナタがこんなに小っちゃかったころは、オレのこと純粋に追っかけまわしてくれたのによォ、大きくなったら、こんな風にオレを弄ぶまでに成長しちまうだなんて……」オイオイ

ヒナタ「な、ナルトくん?」

ナルト「オレがこんなに小っちゃくても、カッコいい、って言ってくれてただろうに、今じゃかわいいかわいいって……」よよ……

ヒナタ「ご、誤解だよぉ!」あせあせ 


ヒナタ「……そろそろ、帰らなきゃ」

ナルト「え、うわ、もうこんな時間じゃねーか」

ヒナタ「ふふ、色々あったけど、結局普通にあの時の続きをこの時代でもしちゃってたね」

ナルト「ははっ、そうなっちゃったな……でもさ、早く帰んねーと、叱られんじゃねえか?」

ヒナタ「うん……でも、そんなに心配しなくても、大丈夫。このころの私は、その、あまり大事に思われてなかったから」

ナルト「……」

ヒナタ「少し遅くに帰っても、平気――「そんなこと、ねえと思うぜ」

ナルト「ヒアシのおっちゃんだって、ネジだって、心の底ではお前のこと、この頃でも大切に思ってたに違いねえよ。ただ、事情があって、その気持ちを押し殺してただけなんじゃねえか。少なくとも、俺はそう思う」

ヒナタ「……ありがとう、ナルトくん」

ナルト「……ま、まあ、オレってば今全然見当違いのことを言った可能性も、なきにしもあらず、だけど……」

ヒナタ「ううん、もしそうだとしても、大丈夫。私は、この先ナルトくんがソレを、日向を変えてくれるって、知っているから」

ナルト「!」

ヒナタ「だから、そうだね、少しでも変わりやすくなるように、私も頑張らなきゃ」

ナルト「なら、猶更早く帰った方が良いってばよ。この時代のヒアシのおっちゃんには、まだ許しをもらってないんだからな」にっ

ヒナタ「そうだねっ」

ナルト「うし、じゃあ送ってく!」

ヒナタ「えっ、大丈夫だよ。さっき私も色々試してみたけど、この身体でもチャクラは結構コントロールが効いたし……」

ナルト「良いんだ、ヒナタ。あの時送れなかったから、そのお詫びだってばよ」

ヒナタ「あの時、って……あ」

ナルト「お前が強いとか、弱いとか、関係ねえ。オレは、お前と少しでも一緒に居たい。護ってやりたい。それが、オレの望みなんだ」

ヒナタ「……ずるいよ。断れないよ、そんな風に言われたら」

ナルト「悪いな、自分勝手で」

ヒナタ「ううん、嬉しいの……」

ヒナタ(……ごめんね、今の私。そして、暫く先までの私。この想いを独り占めして……でも、諦めなければ、自分の想いを曲げなければ……いつか、きっと)

――

ヒナタ「……ありがとう、ナルトくん。送ってくれて」

ナルト「良いんだってばよ……オレの、気持ちに従ってるだけなんだから」

ヒナタ「うん……すごく、嬉しい」

ナルト「……やっぱ、ヒナタにゃ照れ隠しは通じねーな。さっきは関係ねえって言ったけど、ヒナタはオレに対して強えーのかよえーのか、分からなくなるなァ」

ヒナタ「ふふ……私はね、ナルトくんのためなら、幾らでも強くなれるし、幾らでも弱くなれるんだよ?」

ナルト「……今は、つえーヒナタみてーだってばよ」

ヒナタ「あはは……じゃあ、強いうちに、明日のことを決めよっか」

ナルト「おう……つっても、特に術者の当てはねえしなあ……事態も良くつかめてねーし」

ヒナタ「そうなんだよね……それに、あまり大声で話せるような事情でもない」

ナルト「ああ、ぜってー怪しまれる」

ヒナタ「……となると、やっぱり」

ナルト「ああ、三代目のじっちゃんに相談するのが一番だと思う」

ナルト「幸い、じっちゃんはこの時代でもオレに優しいし、きっと相談に乗ってくれるはずだってばよ」

ヒナタ「そうだね……でも、単に相談するだけじゃ、すぐに終わっちゃうかも」

ナルト「まあ、良いんじゃねーか? ぶっちゃけ、今んとこ何か実害を受けてるわけでもねえし……まあずっとこのままなんだとしたら、流石に改めて考えなきゃいけねえけどな」

ヒナタ「それも、そうかもしれないね」

ナルト「よしっ、じゃあ明日は朝に、今日と同じ公園……じゃあまたネジに見つかるかもな。アカデミーの授業が終わったら、それとなく一緒に、家に一旦行くってばよ」

ヒナタ「了解!」

ナルト「他には……そうだな、明日はじゃあ、写真でも撮るか! 過去に戻ったら、小さいオレの写真、一杯撮るんだろ?」

ヒナタ「! う、うん!」ぶんぶん

ナルト(げ、激強ヒナタモードの眼だってばよ……)

ヒナタ「♪」ワクワク

ヒナタ「じゃ、じゃあまた明日」

ナルト「おう!」スタスタ……

ヒナタ「……な、ナルトくん!」

ナルト「ん? なんだってば――」

ちゅっ

ナルト「――ッッッ!!?」

ヒナタ「……つっ! 続きは、大きくなってからね!! じゃ、じゃあ!!」タッタッ

タッタッ……

ナルト「……なっ」ぽつーん

ナルト(なんだか、メチャクチャ悪いことをしてしまったような気分だってばよおおお

おおおおお!!!!!)

ナルト(誰にも、見られてねえだろうな)キョロキョロ

ナルト(……大丈夫みてえだな。じゃあ、帰るか)

すたすた……

ナルト(うーん、今思い出してもメチャクチャ恥ずかしいってばよ……ヒナタもあれで、結構度胸あるよなあ……)

ナルト(そりゃさ、月でしたことにはしたけど、あれはなんつーか、雰囲気がすげえ後押ししてくれたのもあったし……)

すたすた……

ナルト(……でも、ヒナタはきっと、夢見てたのかな。この時代のころからずっと)

ナルト(自分で言うのもなんだけど、アイツは本当に昔っから、オレのことを好きでいてくれてたんだろうからな……きっと念願叶って、って感じなんだろうな)

ナルト「……念願、か」

すたすた……

ナルト(……そういや、今って一体いつごろ何だろうな)

ナルト(服はこれだし、額当てもねーからアカデミー時代なのは確かだろうけど、)

ナルト(でも、入ったばっかりのころか、それから暫くしてか……ミズキの事件が起きたかどうかも、気になることではあるけれど……)

???「おやおや、こんな時間に出歩くとは、関心せんのう」

ナルト「!」ピタッ

ヒルゼン「――ナルトや、早く帰らんと、イルカに知られて大目玉を食らうぞ?」

ナルト「……じっちゃん……」

ナルト(……やっぱり、生きている。穢土転生や幻術じゃない。じっちゃんが、確かに生きている)

ヒルゼン「……? どうしたんじゃ、一体」

ナルト「いや、なんていうか、そのー……よう、ってばよ」

ヒルゼン「こんな遅くまで何をしておったんじゃ」

ナルト「えーっと、そのー、そうだ、修行! 修行してたんだってばよ!」

ヒルゼン「ふむ、修行とな……」

ナルト「そういうじっちゃんこそ、何やってるんだ?」

ヒルゼン「見回りじゃよ、散歩を兼ねての。この歳になると、身体を少し動かさんとすぐに鈍ってしまうからの」

ナルト「へ、へえーっ……」

ヒルゼン「……ふむ」

ナルト(も、もしかして怪しまれてる?)

ヒルゼン「ナルト、お主まさか――」

ナルト「えっ(ちょっ、もうバレちゃったのか!?)」

ヒルゼン「――また巻物でも、盗み出したのかの?」

ナルト「へっ?」

ヒルゼン「……ほほっ、冗談じゃよ」

ナルト「……な、なーんだ、冗談かー! びっくりさせねえでくれってばよ!」

ヒルゼン「すまんすまん、まるで、何か隠し事をしているみたいじゃったからの」

ナルト「あんな危なっかしいこと、もう二度としねえってばよ、たはは……」

ナルト(やっぱり、こんだけ挙動不審だったら察しもつくもんだってばよ……)

ナルト(……まあ、でも。遅かれ早かれ相談しようとは思ってたんだ。今、事の大体だけは話してもいっか)

ナルト「……あのさ。その、――」

ナルト(――っ)

ナルト「……」

ヒルゼン「……なんじゃ?」

ナルト「――じっちゃん、確かにオレ、大事な話があるんだってばよ。……でも、今日はもう遅いし、明日話す。だから待っててくれよな」

ヒルゼン「……うむ、よかろう。」

ナルト「よしっ、それじゃ、また明日な!」シュバッ!

ヒルゼン「……ふむ」

――

ナルト「……ただいま」

ナルト(部屋が綺麗なのは、やっぱり見慣れねえ。汚い部屋に、慣れきってるから。でも、生活感が無くなったってわけじゃねえし、むしろ好きだ)

ナルト(なんていうか、誰かがオレのために掃除してくれたんだってことを、部屋から感じられるから)

ナルト「……今日はもう、寝るか……疲れたってばよ」

ぱちっ ふらっ ばたっ

ナルト「……やっぱ、体力ねえなあ、この身体……」

ナルト「……」

ナルト(……)

ナルト(……オレ、なんでじっちゃんに話さなかったんだろう)

一日目終了です

――

ナルト「わざわざ夢枕に現れてくれるなんて、中々気を使ってくれるじゃねーか?」

九喇嘛「フン、キサマの事情など知ったことか。オレはオレのタイミングで呼び込んだ、それだけだ」

ナルト「ふーん。で、何の用だってばよ」

九喇嘛「小癪なガキめ……まあいい。お前の記憶、覗かさせてもらったぞ」

ナルト「! そんなことできたのか、お前」

九喇嘛「気に食わねえが、どうやらお前が言っていたことは事実のようだな」

ナルト「どういう仕組みだかわかんねーが、要するに事情を理解した、ってことだよな! だったら、俺に協力してくれるのか?」

九喇嘛「ハッ! 成長しても馬鹿は馬鹿か」

ナルト「んなっ!」

九喇嘛「言っておくがな、オメーの未来がどうなってるかなんざ、今の俺にゃ何にも関係ねえんだよ! お前の中で俺をどう考えるようになったかも関係ねえ。俺自身はなんにも経験してねえし、知らねえんだからよ!」

ナルト「!」

九喇嘛「それだってのに、いきなり未来だかから来て『協力してくれ』だ? アホか! そんな義理は俺にはねえんだよ!」

ナルト「でも、お前見たんだろうが! 未来がどうなってるかってことくらい! それを見て、なんとも思わなかったのかよ!」

九喇嘛「思ったさ、気持ちわりぃってな! 九尾ともあろうこの俺が、人間ごときにあんなヘラヘラしてんのを見て、虫唾が走ったわ!」

ナルト「……」

九喇嘛「まあ、そういうこった。俺がここにお前を呼んだのは他でもねえ、俺が『お前』に力を貸すことは無ェってことを伝えるためだ」

ナルト「……」

九喇嘛「分かったらとっとと失せやがれ! まあ精々自力で頑張るんだな、ハッ!」

ナルト「……ああ、分かったてばよ。ごめんな、九喇嘛」

九喇嘛「……お前、今の俺の話を聞いてたのか? どこに謝る要素があるんだ馬鹿!」

ナルト「いやさ、確かに言われてみれば当たり前のことだってばよ。いきなり目の前に現れた知らねえ人間が、『未来から来ました、俺はお前のこと知ってる、仲良くしてくれ』とか言いだしても、気持ち悪いだけだもんな!」

九喇嘛「……まあ、そういうこった」

ナルト「そうだよなぁ、オレと、オレの知ってる九喇嘛だって、そう簡単にはお互いを知ることなんて出来なかったしな。それを、突然協力してくれなんて、流石に虫が良すぎたってばよ。すまねェな」

九喇嘛「……」

ナルト「お前の言う通りだってばよ。これは、オレの力でなんとかする。オレはオレを信じているから。お前も、お前を信じてろ。今は、それで良いんだ」

ナルト「……けどな、お前もきっとこれから先、『オレ』と一緒にいろんな経験をしていくと思う。そうすれば、きっとオレのことを分かっていけると思うんだ」

九喇嘛「……分かったような口を聞くんじゃねえよ」

ナルト「すまねェ。だから、今はオレのことを許さなくていいってばよ。でも、……」

九喇嘛「……ハァ、やりにくいったらありゃしねえな、テメエは」

ナルト「褒め言葉として受け取っておくってばよ」

九喇嘛「……お前が、いや、違え、『今の』このクソガキが、本当にお前の記憶のような人間なんだとしたら、そんときは認めてやる」

ナルト「……九喇嘛、おめーはやっぱ、何だかんだで良い奴だな」

九喇嘛「……フン! まだどうなるかなんぞ分からねえがな。少しでも間抜けなことするようだったら、ガキの首を掻っ切ってやる」

ナルト「まあ、待ってろよ。『オレ』は、諦めねえド根性持ったすっげえ忍になっからよ!」

九喇嘛「……」

――

九喇嘛(……あの記憶、やはり、本物みてえだな)

九喇嘛(ケッ、癪に障る話だぜ。このオレが、まるで飼い犬のようによ……)

九喇嘛(……このガキも、この先様々な憎しみに囲まれて、戦っていくことになるってことだな)

九喇嘛(まあ暫くは、その様子を楽しまさせてもらうとするか)

九喇嘛(どうなっていくか、見物だぜ)ニヤ

――

ナルト「……!」ガバッ

ナルト「……朝、か。……ふぁぁ、良く寝たってばよ……っていうか、めちゃくちゃ寝た気がするな」

ナルト「まーこの身体だとしょうがねえか、早く寝たぶん早起きも出来ただろうし、余裕持ってアカデミーに……」チラッ

時計「10:16」

ナルト「……はっ?」


ナルト「ね、ねねね、ねっ、寝坊ぅぅうううううう!!???」

クラマの一人称は儂またはワシですぜ

――

そーっ、がらっ……そーっ

ナルト「……」そろり、そろり

イルカ「……ナルト」

ナルト「!」ぴくっ

イルカ「お前、何をやっているんだ?」

ナルト「えーっと、そのー……あっ、イルカ先生、今日は一段と若く見えるってばよ……」

イルカ「オレは、何をやっているんだ? と聞いたんだぞ?」

>>187
本当ですね……顔から火が出るほど恥ずかしい
ご指摘ありがとうございます

人称は間違いはしないように気を付けて来たつもりだったのですが、申し訳ないです
これからもキャラの違和感に関してはご指摘お願いします

ナルト「あー、そのー…遅刻しました」

イルカ「ああ、で?」

ナルト「バレないように、こっそり入ろうとしたけれど、バレてしまいました……」

イルカ「ああ、だから?」

ナルト「すみませんでした……」

イルカ「!」

ざわっ……

「おい、ナルトが謝ってるぜ」「珍しく素直だな」「キモーイ」

ナルト(ええっ、オレなりに昔を思い出して振舞ったつもりだったんだけど、昔のオレってばどんだけやんちゃだったんだってばよ!?)

イルカ「ま、まあ素直に謝るんだったらよろしい。早く席に着け、授業はとっくに始まってるぞ」

ナルト「へーい……」すたすた

ナルト(……)ちらっ

ヒナタ「!」……にこっ

ナルト「……」にへらっ

イルカ「なにニヤニヤしてるんだ、席に着けと言ったろう!」

ナルト「わ、分かってるってばよ」スッ

くすくす……

イルカ「……よし、じゃあ授業を再開するぞ」

――

イルカ「――」べらべら……

ナルト(……懐かしーな、この感じ)

ナルト(つっても、結構授業サボってたから内容の記憶は薄いけどよ、やっぱ色々と思い起こしちまうな)チラッ

サスケ「……」

ナルト(サスケ……こんな頃から、コイツは独りで闇を、憎しみを抱えていたんだよな)

ナルト(そうとも知らずに、オレってばつっかかってばっかりだった)

ナルト(……今のオレだったら、それをどうにか出来んのかな)

ナルト(今のオレには力がある。仙人モードにだってなれるだろうし、無理やりだが九喇嘛のチャクラだって引きずり出せる)

ナルト(この段階でイタチのところへ行き、説得して、サスケと和解させれば……)

ナルト(でもそのためには、長門、そしてオビトを説得しなきゃならねえ。大蛇丸も問題だ、アイツはサスケの身体を欲しがっていたから)

ナルト(それだけじゃねえ、マダラ、そして大筒木一族の問題だってある。それを全てオレだけでどうにかするなんて、可能なのか? サスケを闇から救おうにも、いったい何から手を付ければいいのか……)

ナルト(……いや、短絡的になったらいけねえ。そもそも、この世界が本当に過去なのかどうかは確定したわけじゃねえんだ。まずはヒナタと、そして三代目のじっちゃんと相談して……)

ナルト(……あれ?)

……、……ト

ナルト(何かが、おかしいってばよ。今、何かがオレの胸の中で引っかかった)

…ルト

ナルト(何だ? 一体何にオレは引っかかって――)

イルカ「――ナルト!」

ナルト「ハヒッ!?」

イルカ「……遅刻しておいてその上居眠りとは、いい度胸だなあ」びきびき

ナルト「い、居眠りしてたわけじゃねえってばよ! ただ、考えごとをしてただけで」

イルカ「言い訳無用! 廊下に暫く立ってろ!!」

【板遁・雑談影分身の術】
       ∧,,∧  ∧,,∧         ∧,,∧  ∧,,∧
    ∧ (´・ω・) (・ω・`) ∧∧  ∧ (´・ω・) (・ω・`) ∧∧
   ( ´・ω) U) ( つと ノ(ω・` )( ´・ω) U) ( つと ノ(ω・` )
   | U (  ´・) (・`  ) と ノ | U (  ´・) (・`  ) と ノ

    u-u (l     ∧,,∧  ∧,,∧ u-u (l    ) (∧,,∧  ∧,,∧
        `u-∧ (´・ω・) (・ω・`) ∧∧`u-∧ (´・ω・) (・ω・`) ∧∧
         ( ´・ω) U) ( つと ノ(ω・` )( ´・ω) U) ( つと ノ(ω・` )

         | U (  ´・) (・`  ) と ノ| U (  ´・) (・`  ) と ノ

          u-u (l    ) (   ノu-u  u-u (l    ) (   ノu-u
              `u-u'. `u-u'         `u-u'. `u-u'

正直、雑談よりも自治厨の方がうざいわ

某所で>>1が、「最後までエタらずに投下する」「そのために予め作品を書き上げている」と明言してから立てたスレにおいて、
Partスレが禁止されていたが故にSSスレでの雑談(=スレの浪費)が忌避されていたニュー速VIP時代とは状況が異なるのに、
「スレが無駄に埋まるから、雑談やめろ」と紋切り型の主張を通すのは流石に的外れな意見だと思いますわ。
それなら素直に「うざいから、雑談やめろ」と言われた方がまだ賛同の余地がある。

正直、俺だってスレが伸びているから投下があったのかと期待して、雑談だらけだったら落胆することもあるけど、
>>1の投下がない以上、SSの続きが読めないことに変わりはないのだし、>>1の投下の合間にSSの内容やそれに関連する
話題について話に花を咲かせている人たちの気分を害してまで、あえて雑談を掣肘しようとまでは思わないわ。
実害がほとんどないのだから、気に入らないのなら放っておけばいいんだよ。

ごめんなさい、話に大きな矛盾が生まれていたので、今その修正をしています
続きはもうしばらくお待ちください……

――

ナルト(まさか、この歳になって廊下に立たされるだなんて……とほほ)

がらっ……

キバ「やーい、バカナルト、また立たされてやんの」ひそひそ

ナルト(こいつは、成長してんのかってくらい変わらぬバカだってばよ……むしろ安心するくれーだ)

ナルト「ちゃんと授業聞いてろってばよ、お前も立たされたくねえんならよ」

キバ「へっ、このオレを誰だと思ってやがる、将来の火影になる男だぞ? 授業なんて聞かなくても屁のカッパよ。つーか俺よりも自分の心配しろよバカナルト、試験、また落ちる気か?」

キバ「……お前、なんか今日変だな。妙に落ち着いてるっていうか――「キバ、お前も立たされたいようだな?」

キバ「あっ、いえいえ、滅相もありません……」がらがら……

ナルト(……あれで、カンは鋭いんだから油断できねえ)



カァー、カァー……

「――というわけで、引退していた三代目様がもう一度火影に就任なさった、という訳だ。はい復習! キバ、三代目様の本名は?」

「あー、えーっと……なんだっけ?」

「おいおい、忘れたのか? じゃあ、サクラ」

「はいっ、猿飛ヒルゼン、です!」

「その通り! 常識過ぎて試験にも出ないとは思うが、今のキバみたいに恥ずかしい思いをしなくて済むよう、きちんと覚えておくように」

くすくす はーい

ナルト(……やっぱり、ここは本当に過去、なんだよな)

ナルト(じっちゃんに相談するまでのこともねえ気すらしてきたってばよ、こうも何事も起こらないと)

ナルト(敵が攻めてくる様子も、誰かの偽物に惑わされることも、天変地異が起こる様子も無え)

ナルト(でも、それが当たり前なんだ。だってこの頃のオレ、なんの事件にも巻き込まれてなかったもんなあ)

ナルト(毎日授業抜けて、イタズラして、追い回されて……そんなことばっかだった)

ナルト(んで、たまの授業でサクラちゃん追い回して、無視されて、サスケにちょっかい出して、ボコボコにされて……)

ナルト(このままいけば、同じことがずっと起こるんだ)

ナルト(……でも、今の俺は、この先を変えることが出来る)


ナルト(――それって、よく考えたらメチャクチャすげえことじゃねえか?)

ナルト(だって、サスケだけじゃねえ。今から動けば、エロ仙人や三代目のじっちゃん、それにネジを救うことだってできるかもしれねえってことだぞ?)

ナルト(他にだって、再不斬と白、アスマ先生、チヨバア、イタチだってそうだ……オレの手が届かなかった命は、幾らでもある)

ナルト(それを守ることは、死者を冒涜することになんのか? 穢土転生とは違って、皆今は生きているんだ……)

ナルト(今を生きている人を助けて、一体何がいけないんだってばよ)

――

がらっ がやがや……

イルカ「……ナルト、今日の授業は終わりだ。帰って良いぞ」

ナルト「……そっか。じゃあ、帰るってばよ」

イルカ「……立たせておいて言うのもなんだが、お前がアカデミーを抜けださずに、きちんと立ってるなんて珍しいな」

ナルト「へ? あーその、今日はちっと考え事をしてたから!」

ナルト(あー昔のオレのバカ! ウスラトンカチ! 一々やりにくいったらねえってばよ!)

イルカ「……あー、どうだ? 悩みがあるんだったら聞くぞ? 一楽のラーメンでも食いながらさ」

ナルト「……ごめんイルカ先生、今日は先約があるんだってばよ」

イルカ「先約?」

ヒナタ「……」こそっ

ナルト「おっ、じゃあオレ、行くから! 一楽のラーメンは明日頼むってばよ!」

イルカ「あ、ああ」

ナルト「じゃ、行こうぜ、ヒナタ」ぎゅっ

ヒナタ「あっ、う、うん」

たったったった……

イルカ「……ナルトとヒナタって、あんなに仲が良かったか?」

――

がちゃっ、バタン

ヒナタ「おじゃまします……」

ナルト「ただいま!……にしても、なんか帰る時、今日は妙に注目されたなあ……なんでだ?」

ヒナタ「えっと、ナルトくん」

ナルト「ん?」

ヒナタ「その、外で手を繋ぐの、やめた方が良いんじゃない、かな……?」

ナルト「え!? オ、オレと手ェつなぐの、嫌か!?」

ヒナタ「えっ、ち、違うよ! そんなわけないよ!」

ナルト「じゃあ、恥ずかしいのか?」

ヒナタ「それもちょびっと、あるけれど……」

ナルト「じゃあ、なんでだってばよ」

ヒナタ「……だって、私とナルトくん、この頃はこんなに仲良くなかったから……」

ナルト「! そ、そうか、だから、変に思われて……」

ヒナタ「うん、注目を集めたんだと思う……ごめんね、私がもっと早く言っていれば、怪しまれずに済んだかもしれないのに」

ナルト「……でも、良いんじゃねえか?」

ヒナタ「えっ?」

ナルト「そんな細かいことを気にしてたら、この先なんにも出来なくなっちまう。大体、昔とまったく同じことをするなんて出来ないってばよ」

ヒナタ「それは、そうかもしれないけれど」

ナルト「多少怪しまれるのは織り込みずみ、ぐらいの勢いで、オレは良いと思う」

ヒナタ「……」

ナルト「……ヒナタが決めてくれ。確かに、オレもお前の言ったことには一理あると思うってばよ」

ヒナタ「……私は、やっぱり外ではまだ、目立つことは控えた方が良いと思うの。少なくとも、三代目様に事情を話して、アドバイスを受けるまでは」

ナルト「そっか……分かったてばよ、そうしよう」

ヒナタ「ごめんね……折角、手を握ってくれたのに」

ナルト「良いんだってばよ! その代わり、部屋の中では甘えまくるからよ!」

ヒナタ「は、恥ずかしいよ……あはは」

ナルト「よしっ、昼飯にすっか! カップ麺で良いか?」

ヒナタ「くすっ、もう、昨日カップ麺ばっかじゃダメ、って言ったかりなのに」

ナルト「げっ、そ、そうだっけ?」

ヒナタ「もう……そう言うと思って、お弁当作ってきたの」

ナルト「マジでっ!?」

ヒナタ「うん、今朝早起きして、家族にバレないようこっそりとね?」

ナルト「サンキューヒナタ! ヒナタの飯は美味えからなあ、すっげえ嬉しいってばよ! そうと分かったら、直ぐに食べようぜ!」

ヒナタ「うん」にこっ

ナルト「へへっ、一日ぶりのヒナタの手料理だってばよ! いただきます!」

ヒナタ「はい、めしあがれ」 

ナルト「はむっ……うん、やっぱりうめえ!」

ヒナタ「よかった……冷蔵庫にあるものしか使えなかったから、心配だったけど」

ナルト「それでこれだけのもんが作れるんだから、大したもんだってばよ!」

ヒナタ「えへ、ありがとう……はい、おにぎりもあるよ。おかかとうめぼし、どっちがいい?」

ナルト「……んー、おかかを貰うってばよ」

ヒナタ「じゃあ、はい」

ナルト「さんきゅー」がぶっ

ナルト(……おかかのおにぎりって、サスケの好物だったよな)もぐもぐ

ナルト「……なふぁ、ふぃふぁふぁ」もぐもぐ

ヒナタ「くすっ、ナルトくん、ちゃんと飲み込んでから話して?」

ナルト「んっ、ごくんっ、なあ、ヒナタ。じっちゃんに相談しに行くって言っても、ヒナタはどう話を持ち掛ける気だったんだ?」

ヒナタ「えっ? それは、多分ナルトくんと同じだと思うけど……」

ナルト「とりあえず、話してみてくれってばよ」

ヒナタ「えーっと、まずは……術が掛けられたときの状況を説明するでしょう、そして自分たちの立場を話して……」

ヒナタ「未来から来たってことを知ってもらって、それで、この術を解く方法を聞く」

ナルト「!」

ヒナタ「三代目様は、あらゆる術に精通したプロフェッサーとして有名だった……きっと、この事態にもなにか解決策を提示してくれるはず。……ナルトくんも、同じだよね?」

ナルト「……」

ヒナタ「……ナルトくん?」

ナルト「……オレは、ちょっと違うことを考えてた」

ヒナタ「えっ?」

ナルト「なあ、ヒナタ……


    じっちゃんに、未来のことを全部、話してみねえか?」

ヒナタ「え……そ、それって」

ナルト「……オレは、未来を変えてみたい」

ヒナタ「!」

ナルト「オレたちはこれから何が起こるのか、そしてなぜそれが起こるのかを知っている。そして、それを防ぐだけの力も持ってるってばよ。今からなら、大蛇丸の策謀を知らせて、木の葉崩しを阻止できる」

ヒナタ「それは、そうかもしれないけど……」

ナルト「サスケの中のわだかまりを解くことが出来るかもしれねえ」

ヒナタ「……」


ナルト「エロ仙人を、救ってやれるかもしれねえ」


ナルト「暁の暗躍から、木ノ葉の里を、守り切れるかもしれねえ」


ナルト「道を間違えた人たちを、導いてやれるかもしれねえ」


ナルト「黒ゼツの暗躍を、止めることが出来るかもしれねえ」



ナルト「そして、第四次忍界大戦を防いで、ネジを――」


ヒナタ「――待って!」

ナルト「!」

ヒナタ「……ごめんなさい、私、未来に帰ることしか、考えてなかったから……」

ナルト「い、いや……オレこそ済まねェ、突然こんなこと言いだしちまって」

ヒナタ「……」

ナルト「……」

ヒナタ「……ナルトくん。私は――


コンコン

ナルト・ヒナタ「!!」

ナルト「……ちょっと、見てくるってばよ」

ヒナタ「うん……」

がちゃ

ナルト「……じっちゃん」

ヒルゼン「突然すまんのう、今宵は予定があるもんじゃから、その前に約束を果たそうと思ってきたんじゃが……」

ナルト「……その、」

ヒルゼン(靴が二足……)ちらっ

ヒルゼン「来客かの?」

ナルト「え、あ、ああ、まあな……」

とっとっ

ヒナタ「ナルトくん、どなた様だった……さ、三代目様!?」

ヒルゼン「ほぅ、日向家のヒナタじゃったな。またどうしてここに」

ヒナタ「その……ナルトくんに、お弁当を作ったので、食べてもらおうと……」

ヒルゼン「そうじゃったか……それは、ワシからも礼を言わさせてもらう。この者の食生活に関しては、ワシも気に掛けておったからのう……ありがとう、ヒナタよ」

ヒナタ「い、いえ、とんでもありません……」

ヒルゼン「ほっほ、そんなに恐縮するでない。里の者は皆家族のようなものじゃからの。家族にそんなに畏まっておったら、この先苦労するじゃろう?」

ヒナタ「は、はい……」

ヒルゼン「……して、ナルトよ。お前の話、とやらは、どうするのじゃ」

ナルト「……それは、」ちらっ

ヒナタ「……」

ナルト「……すまねぇ、また、明日まで待ってもらうことは出来ねえか。もう少し、考えたいことが有るんだ」

ヒルゼン「……ふむ、自分で考えることは、善いことじゃ。では明日まで待つとしよう。ただし、あまり一人で考え込むでないぞ」

ナルト「……」

ヒナタ「……」

ヒルゼン「……では、失礼しよう」さっ、こつ、こつ……

ナルト「……」

ヒナタ「……」ぺこっ……

ナルト「……」

ヒナタ「……」

ナルト「……」

ヒナタ「……ナルトくん」

ナルト「……」

ヒナタ「……実は、私もナルトくんと同じこと、一瞬考えたの……」

ナルト「!」

ヒナタ「昨日の晩、ネジ兄さんと話した時……思ってしまったの。ネジ兄さんに打ち明ければ、誰かに、皆にこのことを知らせれば、未来を変えられるんじゃないかって」

ヒナタ「……でも、出来なかった。その、うまく、言葉にできないけど……私の中の声が、『それは違う』って、言ったの……」

ナルト「……自分の中の、声……」

ナルト「……オレの意見よりも、そんな得体のしれないもんを信じるのかよ、ヒナタは」

ヒナタ「違うよ、ナルトくん!……あれは、得体の知れないものなんかじゃない……私の、本当の気持ちに違いなかった……ナルトくんだって、きっと聞こえるはず……」

ナルト「……」

ヒナタ「……ナルトくん」

ナルト「……すまねえ、少し、頭を冷やさせてくれねえか。オレってば、直ぐカッとなっちまうから……」

ヒナタ「……うん、分かった。一度、家に帰るね……お弁当箱は、明日取りに来るから……」

ナルト「ああ……」

ヒナタ「……おじゃましました」

……バタン

――

キュッ、ジャー……

ナルト(……自分の中の、声……)

ジャー……

ナルト(……何にも聞こえねェよ、そんなの)

ナルト(……なあ、父ちゃん、母ちゃん、この頃はまだ、オレの中に居るんだろ?)

ナルト(こんな変なところに長居したせいか、オレってば、どうすれば良いのかなんにも分からなくなっちまったってばよ……)

ジャー……

ナルト(……あの映画では、どうしてたんだっけ)

ナルト(観たのはつい昨日のはずなのに、遠い昔のようだってばよ……観るのは、遠い未来のことだってのによ)

ナルト(……確か主人公は、突然タイムスリップをさせられて……そんで、……)

ナルト(そうだ、『今』がいつなのかを、調べたんだ……)

ナルト(新聞を見たり、人に聞いたりして……)

ナルト(それで……あれ?)

ナルト(……『今』はいつなのか?)




ヒルゼン『――』

イルカ『――』



サスケ『……』




ナルト「……!!」バッ!!


ナルト「……!!」バッ!!

ガサッ! ガサゴソッ!! ドシャッ! バッ!!

ナルト「……やっぱり、無い」

ナルト「――それじゃあ」


ナルト「……ッ!!」ぎりっ


ガラッ、シュタッ!!


ジャー……

――

ドンドンドン! ドンドンドン!!

イルカ「――おいおいおい、何だ何だ、こんな時間に、って……」

ナルト「……」

イルカ「お前なあ……おいナルト、イタズラにしても性質が悪すぎる「イルカ先生」

イルカ「……どうした?」

ナルト「……アカデミーの、卒業試験は、いつだってばよ」

イルカ「オイ、どうしたんだ急に、一体何が――」

ナルト「いつだって、聞いてるんだってばよ!!」

イルカ「!……分かった、教えるから。ええと、ひいふうみい……」


イルカ「……今から、8か月後、ってとこだな」


ナルト「ッッッ!!」

ダッ!

イルカ「それがどうし、ちょっ、おい、ナルトォ!? ……一体、何だっていうんだ……」

――

「……おい、おっさん」

オッサン「あ? 誰だ……って、テメエは例のガキ……」

ナルト「……聞きてェことがある」

オッサン「ああ!? お前みたいなクソ疫病神に、話すことなんざ……ッ」

ナルト「……」ギロリ

オッサン「……ヒッ、ヒィィ、バッ……化け物ォォ!!!」タッタッタッ……

ナルト(……ダメだ、どいつもこいつも碌に話も聞けねえ)

ナルト(……やっぱり、ヒナタに頼るしかねえ)

――

タッタッタッ……

ナルト(……そんなはずが、そんなはずが無ぇんだ)

ダッダッダッダッ……

ナルト(だって、そうだとしたら、サスケがあんな目をしてるわけッ!)

ダッダッダッダ!!

ナルト(……でも、じゃあ、どうして!!!)

――

ヒナタ(……ダメだ。やっぱり、深く考えようとすると、靄が掛かるように思考が抑えられる)

ヒナタ(やっぱりここは幻術の世界なの……?)

ヒナタ(……でも、それにしてはリアルすぎる。ここは、全てが本物のようでいて……懐かしい)

ヒナタ(それじゃあやっぱり、映画のように、本当に過去の世界なの……? じゃあ、この思考を妨げる何かは一体……?)

トントン

ヒナタ(! 窓!?)

ヒナタ「……」そーっ……

がらっ

ヒナタ「!! な、ナルトくん……」

ナルト「……すまねェヒナタ、驚かせちまったな」

ヒナタ「でも、どうして……」

ナルト「ヒナタ、お前に頼みたいことが有る」

ヒナタ「え……?」

――

ヒナタ「――わかった、それを聞いて来れば良いんだね」

ナルト「ああ、頼む。今のオレじゃあ、この街の誰に聞いてもきっと無視されちまうから……一楽のおっちゃんと、三代目のじいちゃんと、お前以外には」

ヒナタ「……うん、分かった」

ナルト「答えは、明日の早朝に教えてくれ。あの公園まで来てくれってばよ」

ヒナタ「公園だね、了解」

ナルト「……本当にすまねえな、ヒナタ。オレってば、お前をあんなふうに突き放しといて、なのにお前を頼って……」

ヒナタ「そんな……。わたしは、ナルトくんが頼ってくれるってだけで、嬉しいよ」

ナルト「……答えは、きっと明日出す。それまで、もう少し待ってくれねえか」

ヒナタ「うん……」

ナルト「……じゃあ、頼むってばよ」タッ

ヒナタ「……ナルトくん」

ヒナタ(……でも、なぜあんなことを聞いてくるよう、頼んだんだろう……)

――

ヒナタ「……おはよう、ナルトくん」

ナルト「……おっす、ヒナタ」

ヒナタ「聞いて来たよ、父様に」

ナルト「ああ、それで答えは」

ヒナタ「うん、――」


ナルト「――やっぱり、か」

ヒナタ「……ねえ、どうしてこれを……ナルトくん?」

ナルト「……ヒナタ、今日はアカデミーは休むぞ」

ヒナタ「えっ!? ど、どうして――」

ナルト「行かなきゃなんねー所が、あるんだ」

――

ヒナタ「な、ナルトくん、ここは……」

ナルト「……」

ガラッ



ヒルゼン「……ナルトや、ワシが老人じゃったことをありがたく思え。でなければ、こんな時間には起きていなかったぞ」

ナルト「……」

ヒルゼン「……その目、どうやら決心をしたようじゃの。ついに、話を聞かせてくれるのか」

ナルト「……話さなきゃならねえことがあるのは、そっちの方じゃねーのかよ」

ヒルゼン「……」

ヒナタ「な、ナルトくん……!」

ヒルゼン「良いのじゃ、ヒナタ。止めるでない」

ヒナタ「! は、はい……」

ヒルゼン「ナルトの非礼は今に始まったものではない。こやつのおかげでワシのメンツも何度もけちょんけちょんにされとるからのぅ。今更気に掛けることではない」

ヒルゼン「それに昨日も話したじゃろう、里の者は皆家族じゃ。家族のやんちゃに、本気で怒る者などおらぬ」

ヒルゼン「……して、ワシが話さなきゃならぬこととは、何じゃね、ナルト」

ナルト「……聞きてえことは、山ほどある。……でも、まずはこの質問に、答えてもらうってばよ」

ヒルゼン「ふむ……なんじゃ?」









ナルト「……なんでオレが、巻物を盗んだことを、知ってるんだ?」

続きは明日



ヒナタ「! ナルトくん、それって……?」

ナルト「……一昨日の夜、日向家からの帰り道にじいちゃんと会った。そんときに、言われたんだ」

――

ヒルゼン『ナルト、お主まさか――』

ナルト『えっ(ちょっ、もうバレちゃったのか!?)』

ヒルゼン『――また巻物でも、盗み出したのか?』

――

ナルト「……あんときは、疑問に思わなかった。すげえ自然に聞かれたから……でも、考えてみりゃおかしいんだ。じいちゃんが『今』、そのことを知っているのは」

ヒナタ「……!、もしかして、その事件って」

ナルト「ああ、オレは確かに、禁術が書かれた巻物を盗んだってばよ……でも、それをやったのは……アカデミーの、最後の卒業試験があった日の夜のことだ」

ヒナタ「それじゃあ――」

ナルト「……巻物をオレがもう盗んでいたとするなら、オレはもう下忍になってるはずなんだ。額当てを持っているはずで、アカデミーに通ってるはずなんてねーんだ」

ヒナタ「!」

ヒナタ(……それじゃあ、三代目様は……!?)

ナルト「……でも、オレはまだ、アカデミー生のままだ。最後の卒業試験は、今から八か月後。イルカ先生から聞いたってばよ」

ナルト「……じいちゃん、もう一度聞く。なんでじいちゃんが、八か月も先の未来のことを、知ってるんだ?」

ヒルゼン「……ふむ。何故、と問われれば……」

ヒルゼン「……『知っているから』、と答える他あるまい」

ヒナタ「ッ!!」

ヒルゼン「じゃが、そう訊ねることは、お主らの出自もまた明かすことになると思うのじゃが……それは構わぬのか?」

ナルト「構うわけ、ねえだろ……あの質問で、カマを掛けられた時点でバレバレなんだからよ……」

ナルト「……次の質問だってばよ。一体、いつから『ここ』に居るんだ?」

ヒルゼン「そういうお主らは、一昨日の、あの日からなんじゃろうな」

ヒナタ「は、はい「ヒナタ!」

ヒナタ「ッ……」

ナルト「……質問に、答えろ」

ヒルゼン「そう声を荒らげるでない、今答える」

ヒルゼン「――ワシは、お前らとは恐らく状況が違う。お前ら二人は、一昨日突然、元の意識に覆いかぶさるようにして、未来から来たのじゃろうな? おそらく、未来で術を掛けられて……違うかの?」

ナルト「……」

ヒルゼン「沈黙は肯定と受け取ろう……じゃが、ワシは違う」

ヒルゼン「――ワシは、産まれた時から、未来の記憶を持っておった」

ヒナタ「! そ、それって……!」

ナルト「……」ぎりっ

ヒルゼン「いわば、輪廻転生じゃのう。ワシは、前の命の記憶を持ったまま、猿飛ヒルゼンとして二回目の生を受け、生きてきたのじゃ」

ヒナタ「それじゃあ、私たちのことも、これからのことも……?」

ヒルゼン「うむ、お主らが立派に成長してゆくことも、大蛇丸にワシが討たれることも、第四次忍界大戦に際し穢土転生でワシが蘇生されることも……全て、知っておる」

ナルト「……やっぱり、そうか……」

ヒルゼン「あの日……うちはマダラ、そして大筒木の祖との決着が着いた後、穢土転生を解術されたワシは、確かに昇天した、はずじゃった」

ヒルゼン「……だが、次に目が覚めた時、ワシは赤子となっていた」

ヒルゼン「生まれ変わり、初めはそう思ったが、それが誤りだと気付くのに時間はかからなかった。眼前の光景すべてが懐かしく、親しみのあるものであったからじゃ」

ヒルゼン「その後成長し、火影になった後……一昨日の夜、見回りをしておった。すると、記憶と違う者と出会った」

ヒナタ「それが、ナルトくん……?」

ヒルゼン「うむ……あのような場所で、ナルトと出会ったことなど無いからの。当たりを付けてカマをかけてみたら、見事引っかかった、という訳じゃな」

ヒナタ「そういうこと、だったのですか……」

ナルト「……なあ、じいちゃん……何故、オレが怒っているのか、分かるか?」

ヒルゼン「……」

ヒナタ(……そう、それが私には、よくわかっていない……どうしてナルトくんは、こんなにも怒りを覚えているの? 三代目様がご存命で、私たちと同じように未来の記憶を持ってここに居ることは、決して悪いことじゃ……)

――

ナルト『オレは、未来を変えてみたい』

ナルト『ヒナタ、お前に頼みたいことが有る』

――ー

ヒナタ(……未来の記憶……そうか!!)


ナルト「……分かんねえようだったら、分かりやすく、質問を変えてやるよ……


    ……なんで……うちは一族が、また皆殺しにされてんだ!?」

ヒナタ「っ!」

ヒルゼン「……」

ナルト「……ヒナタに、聞いてきてもらったってばよ。うちは一族が、どうなっているのかを」

ナルト「答えは……オレが知っているのと、一緒だった……! サスケ以外のうちは一族全てが、一夜にして、何者かに暗殺されたって……!」ぐっ

ナルト「……なあ、じいちゃん……知ってたんだよな? すべて……うちは一族がクーデターを企てていたことも、イタチが、それを防ぐために、自らを犠牲にして一族殺しの汚名を被り、里を抜けたことも……」

ヒルゼン「……」

ナルト「――そして、そのせいでサスケが、憎しみに囚われることを――ッ!!」

ナルト「なんでだ!? なんでなんだ!! なんで大蛇丸がまた里を抜けているんだ!? なんでオレは今も虐められてるんだ!? なんでネジの父ちゃんが死んでるんだ!? なんで――」

ナルト「――オレの父ちゃんと母ちゃんが、死んでるんだ――!?」

ヒナタ「ナルト、くん……」

ナルト「なんでだってばよ!! 意味が分からねえ!! なんで何も変わってねえんだ!? 何も変えなかったんだ!? 全部、全部知ってたんだろ!? なのに、なのに、どうして――」

ナルト「――どうして、だってばよォ……」

ヒナタ「!(ナルトくん……涙……!)」

ナルト「オレが、オレたちが来なかったら……また同じことを、繰り返させるつもりだったのかよ!? ……人が、沢山死んだ! 何人も、何人も! それを、もう一度……!」

ヒルゼン「……ナルトよ。ワシは、お前が火影になるに相応しい男じゃと、信じておる」

ナルト「……」

ヒルゼン「……じゃが、まだまだ、未熟な大馬鹿者だと、言わざるを得んのう……」

ナルト「……どういう、意味だってばよ……答えによっちゃ、唯じゃおかねえぞ……」

ヒルゼン「……戦争が終わって、何年が経った?」

ナルト「……」

ヒナタ「……三年です」

ナルト「……ヒナタ」

ヒルゼン「すると……歳は19か」

ヒナタ「はい……」

ヒルゼン(……歳のせい、という訳でも無いな……やはり、解術の準備が必要か)スッ……

ヒルゼン「……よいか。過去を変えるということ……それは、自らが今まで行ってきたことを、全て否定する、ということじゃ。……ワシは確かに、過去の行いの数々を悔い、反省してきた……じゃが、それは過去の為ではなく、未来の為の行為に他ならぬ。」

ヒルゼン「過去を変えることは、更に、お主らと過去を共に生きてきた者たち、その生きざまを、死にざまを否定するということじゃ。『それは間違っていたから、自分の考える正解に従え』と、強いることじゃ……その傲慢さ、どう考える?」

ナルト「っ……」

ヒルゼン「そして。過去を変えることは、即ち、今のお主らを変え、そしてその上に成り立つこれからの未来を変える、ということじゃ。……お主らは、その幸せを自らの手で、掴んだのではないのか?」

ナルト「……」

ヒルゼン「過去を変えることは、ようやく掴んだはずのその未来を、壊すことに他ならぬ。それでも、過去を変えたいと言うのか?その力を、過去を変えるために振るいたいのか?」

ナルト「……壊れるかどうかなんて、そんなの、やってみなきゃわかんねーじゃねえか」

ヒルゼン「……ナルトよ、思い上がるな」

ナルト「!」

ヒルゼン「全ての死は、ナルト、ヒナタ、お前たちの未来に繋がる、かけがえのない瞬間なのじゃよ。それを侵すこと、その愚かしさはよく分かっておるじゃろう」

ナルト「でも、今、生きてる人だって居るじゃねえか!?」

ヒルゼン「死んだ人間とて、過去に生きていたのは当たり前じゃ。じゃがそれは、その人間が未来を生きて良い理由にはならぬ」

ナルト「……そんなの、納得できねえよ。冷酷すぎるってばよ!」

ナルト「死ぬと決まってるからって、救える命を、目の前の命を救わねえ! それが、じいちゃんの言う火影だってのかよ!?」

ナルト「……大体! それじゃあじいちゃんは、大蛇丸に殺されるんだぞ!?」

ヒルゼン「そうなることが、ワシの望みじゃ。」

ナルト「!……」

ヒルゼン「大蛇丸をあのようにした責任を取り、後の世の平和のための礎を築くには、あれが最善じゃった。そしてそれ以外に、お主らへと続く未来は無い」

ヒナタ「そ、そんな――」

ヒルゼン「ナルト、ワシはな、知っておるのじゃ。死した家族、同胞、友たちと、あの世で再会し、また語り合えることを。そして――」

ヒルゼン「――お前が、自らを克服し、困難を乗り越え、絆を知り、そしてこの忍界の歴史を変えてゆくことを」

ナルト「――!」


ヒナタ『ううん、それでも大丈夫。私は、この先、ナルトくんがソレを、日向を変えてくれるって、知っているから――』


ナルト(――ヒナタが、言ってくれたことと同じだ)

ヒルゼン「未来を知っているからこそ、ワシは過去を変えるのではなく、守った。ようやく、この忍びの世が辿りつけた安寧の未来を、守るために」

ヒルゼン「あらゆる死者と生者の、無念と希望の上に、ようやくたどり着いた未来……それを、こんな訳も分からぬ状況に任せ、壊したくはなかった……」

ナルト「……」

ヒルゼン「……ナルトよ。お前にとって、火影とはなんじゃ?」

ナルト「……オレにとっての、火影……それは」

ナルト「――痛みを耐え忍んで、みんなの前を歩く者のことだ」

ヒルゼン「……良い答えじゃ。だが、それが全てではない」

ヒルゼン「死に責任を持つこと、死者の想いを胸に、生きて行くこと。それは屍を跨いでいくこととは全く違う。むしろ、先導者として、それを『背負う』ことじゃ」

ヒルゼン「里の、全ての者の想いを背負い、歩く者。これもまた火影じゃ」

ヒルゼン「火影たる者、死から逃れようとするな。それを背負って、生きてゆけ。」

ナルト「――!」

ヒルゼン「――楽な道を選んだと、ワシを責めるが良い」

ナルト「……分かってる! じいちゃんが選んだ道が、楽な道なんかじゃねえってことは!……だけどッ……」

ヒナタ「ナルトくん……」

ヒルゼン「……何度でも言うぞ、ナルトよ。その力は過去を変えるためのものではない。……未来を、守るためのものじゃ!」パンッ

パリン!

ナルト「!」

ヒナタ「!、い、今のは!?」

ヒルゼン「……お主らに掛けられていた術の一部を解術した。やはり、思考を鈍らせる幻術が掛けられていたようじゃ……それも、複雑なものがの」

ヒルゼン(時間が掛かったが、何とか成功したか……もう一つの方は……無理そうじゃの……となると、やはり……)

ナルト「……本当だ、なんだか、頭の靄が晴れたみてーで……さっきまで、思い出せなかったことが、思い出せる」

ヒナタ「うん……」

ナルト「……未来の、事が」

ヒルゼン(未来を、思い出す、か……)

ヒルゼン「……ふむ、過去の記憶へのみ意識を向けさせ、悔やませ、未来を変えさせようとした、といったところかの……遠回りではあるが、しかし効果は大きいじゃろうな」

ナルト「……」

ヒルゼン「して、どうじゃ……ナルト、今のお前の答えは」

ナルト「……サスケが、里に帰ってきてくれた。ヒナタの想いに、気づくことが出来た。里の皆に認められた……。確かに、その未来は守りてェ……でも!」

ヒルゼン「……ワシの見立てじゃが、お主らは恐らくこの時代にあまり長居は出来ぬ」

ナルト「ッ!?」

ヒナタ「そ、そうなんですか!?」

ヒルゼン「意識を乗っ取るように、半ば強引に記憶が流入しているからの……いくらなんでもその状態を長期にわたり維持し続けることは、どんな術式でも難しいはずじゃ」

ナルト「……」

ヒナタ「……」

ナルト「……ヒナタ、帰るぞ」

ヒナタ「え、でも……」

ナルト「……『今』、何をすべきか、もう一度考えてえんだ」

ヒナタ「……うん、そうだね」

ナルト「……じいちゃん」

ヒルゼン「……先達として、一つ助言じゃ。過去の自分と同じであろうと、変に気張る必要はない」

ヒナタ「え、でもそれじゃ……」


ヒルゼン「歴史は繊細じゃが、寛容でもある。ワシとて過去の自分の行動を完全に真似れたわけではないが、しかし未来は変わっとらん。一定の範囲内であれば、変化は他の変化で相殺され、未来は繋がる。未来を守る選択をするからといって、神経質になる必要はない」

ナルト「……サンキューだってばよ。じゃあな」すたすた……

ヒナタ「……ありがとう、ございました」ぺこっ たったっ……

ヒルゼン「……フゥ、ワシに出来ることはこれくらいじゃの」

ヒルゼン(ナルトが、『過去を変える選択肢』で迷わない時点で、怪しいとは思っていたが……あの術式は、やはり……)

ヒルゼン(それとも、これも全て定められたものだったのかの……いや、本当にそうかもしれん)

ヒルゼン「……過去に生きるのとて、そう楽なことではないのう……」

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年09月13日 (日) 17:52:18   ID: QTJzNz4l

なんで最終更新日狂ってんの?
13日の0時とか、ないじゃん。

2 :  SS好きの774さん   2016年01月11日 (月) 23:53:26   ID: DgvBZuOI

やっぱりエタッた(笑)

3 :  SS好きの774さん   2016年02月06日 (土) 10:42:04   ID: 5YWNn1vp

卑劣なスレだったな。

4 :  SS好きの774さん   2016年07月21日 (木) 16:18:21   ID: ljG9vhVn

キチガイに潰されたスレ

5 :  SS好きの774さん   2017年07月29日 (土) 19:44:26   ID: Zo2xsdO5

潰されて当然のスレ
終盤には振り返らずに全て受け入れて前に進むって言ってたナルトが過去に戻るもクソもないだろ
せめてペイン戦前とかなら分かるが結局のところナルトとヒナタ書きたいだけの馬鹿って原作ひけらかすくせにその辺適当だよな

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