うまる「デッドオアアライブだよお兄ちゃん!」 (115)


『―――続いてのニュースです。近頃、謎の猟奇事件が各地で相次いでおり、被害は20件を―――』

タイヘイ「物騒だな……この辺りはないみたいだけど……」

うまる(干物妹)「そこっ、そこだっ」カチカチカチ

タイヘイ「はぁ、こいつは……。おい、うまる」

うまる(干物妹)「んぁ? お兄ちゃんなに?」

タイヘイ「最近物騒だから、これ持っとけ」スッ

うまる(干物妹)「なにこれ? 防犯ブザー?」

タイヘイ「ああ。もし、危ない奴に遭遇したらすぐに鳴らすんだぞ」

うまる(干物妹)「あーはいはい、わかったわかった」ポイッ

タイヘイ「(こいつ……)」ピキピキ

タイヘイ「……バッグの中に入れとくからな」

うまる(干物妹)「はいはーい」

『続いてのニュースです。中南米で発生しているウイルスが、日本にも―――』

タイヘイ「(マスクも入れておこう……)」


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翌日


海老名「おはよううまるちゃん」

うまる(美妹)「おはよう、海老名ちゃん」キラキラ

タイヘイ「海老名ちゃん、おはよう」

海老名「はわわっ、お、お兄さんっ。おはようございます……!」アタフタ

うまる(美妹)「それじゃ、行こっか」ニコッ

海老名「う、うん!」

タイヘイ「あ、うまる。最近風邪が流行ってるみたいだから、バックにマスクも入れといたからな。学校に着いたらつけるんだぞ」

うまる(美妹)「うん、わかった」

タイヘイ「2人とも気をつけてね、行ってらっしゃい」

うまる(美妹)「はーい」

海老名「い、行ってきます。お兄さんっ」ペコ

タイヘイ「……」フリフリ

タイヘイ「よし、俺も行くか」


タイヘイ「今日もいい天気だなぁ」ノビー

ゴホゴホゴホッ
オマエ セキヒドイナー

タイヘイ「マスクマスクっと」

タイヘイ「この時期に風邪を引いたら、ぼんば達に迷惑かけちゃうからな」




「おはよう、うまるちゃん!」「うまるちゃんおはよー!」

うまる(美妹)「おはよう」キラキラ

海老名「(みんなうまるちゃん見てる……。うまるちゃんは人気者だなぁ)」

うまる(美妹)「海老名ちゃん。はい、これ」

海老名「マスク……?」

うまる(美妹)「うん。海老名ちゃんに1枚あげる」

海老名「いいの?」

うまる(美妹)「もちろん。健康が一番だからね」ニコッ

海老名「うまるちゃん……!」ジーン


シルフィン「おはようございます、うまるさん!」シュバーンッ

うまる(美妹)「おはよう、シルフィンさん」

シルフィン「うまるさん。今日の小テスト、わたくしと勝負しましょう!」

うまる(干物妹)「(げっ! 今日小テストあったのか……)」

うまる(美妹)「う、うん。わかった」

シルフィン「それでこそ、わたくしのライバル! ときにうまるさん、どうしてマスクなんかしてますの?」

うまる(美妹)「予防だよ、予防。シルフィンさんにも1枚あげるね」

シルフィン「いいんですの? ありがとうございます! 早速着けさせて頂きますわ!」

うまる(美妹)「あはは……」

シルフィン「では、御機嫌よう、うまるさん! 海老崎さん!」シュバッ

海老名「え、海老名ですぅ!」

うまる(干物妹)「(うーん、参ったなぁ……。全く勉強してないよ)」


切絵「……」ゴゴゴゴゴゴゴ

うまる(美妹)「あ、切絵ちゃん。おはよう」

切絵「お、おおおはようございます!」

海老名「おはよう、切絵ちゃん」

切絵「……むぅ」ジー

海老名「……」ニコニコ

切絵「……」ゴゴゴゴゴゴゴ

海老名「(な、なんでぇ!?)」

うまる(美妹)「き、切絵ちゃん! これ!」

切絵「まっ、マスク? 私に……?」

うまる(美妹)「よ、よかったら使って。最近風邪流行ってるでしょ、予防のために、ね?」

切絵「は、はい! ありがとうございます……!」ギュッ

うまる(美妹)「マスクが潰れっ……」

切絵「はっ! す、すみませんすみません!」ペコペコ

海老名「(どうしたら仲良くなれるのかなぁ……)」クスン


『―――現在、運転見合わせ中―――』

タイヘイ「(この路線って滅多に電車止まらないはずなんだけど……)」

タイヘイ「(一応、会社に連絡を―――)」ピッピ

「きゃああああああああああああああああああああああああああああああああああ」

タイヘイ「!?」ビクッ

「誰か! 誰かぁ!!」

タイヘイ「な、なんだ!?」

タッタッタッタ

駅員「な、なにしてるんだ! 早く離れろ、このっ!」

「ア゙アアアァァ!!」ギチッ

駅員「……え?」ドサッ

「…………きゃああああああああああああああああああああああああああああ」「な、なんだあれは!?」「は、早く逃げろおおおおおおおおおおおおおおおお」

タイヘイ「(俺の目の前で、非現実なことが起こった)」

タイヘイ「お、おい、嘘だろ……。これって、まるで………」


先生「で、あるからして〜」

うまる(美妹)「……」カキカキ

うまる(干物妹)「(はぁ、小テストどうしよう……。もう次の授業だし……)」

ザワザワザワ…

うまる(干物妹)「(……ん? やけに廊下が騒がしいような)」

ガラッ

先生「何かあったのですか?」

教師「せ、生徒の1人が急に倒れてしまって!」

教師「なんだと!? その生徒を早く保健室に! 俺も手伝います!」

「は、はい!」

うまる(干物妹)「(ふわあぁぁ……眠い、非常に眠い。寝不足だぁ……)」

生徒「ア゙ア゙ァ…」

教師「! 先生、生徒の意識が……!」

生徒「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ァァァァ!!」ギチッ


教師「……? あ、れ……?」ドサッ

「……きゃああああああ」

先生「お、おい、生徒! お前、一体なにを……!?」

生徒「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ァァァァ!!」ギチッ

先生「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ああああああああああああ」

うまる(干物妹)「(……え? え、え!?)」

海老名「きゃああああああああああああああああああああああああああああああああああ」

「な、なんだあれ!?」「い、いいから早く逃げっ」「そこどけよ!」

うまる(美妹)「(きょ、教室内が大パニックに! って実況してる場合じゃない!)」

うまる(美妹)「え、海老名ちゃん! 私たちも早く……!」

海老名「あ…あああ……」

うまる(美妹)「海老名ちゃんっ!!」

海老名「!? う、うまるちゃんっ」

うまる(美妹)「早く! 急いで!」ギュッ

海老名「う、うん……!」


タイヘイ「はぁ…はぁ……!」タッタッタッ

タイヘイ「(一体どうなってるんだ!? これは!?)」

タイヘイ「(駅を出ても、何処も彼処もこの有様だ!)」

「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ァァァァ!!」

タイヘイ「うわっ!? このっ!」ブンッ

「ア゙ア゙ァ゙ッ」ドサッ

タイヘイ「はぁはぁ……! バックがうまいこと武器に……!」

タイヘイ「今のうちに!」タッ






タイヘイ「……はぁ、はぁ……! 無事、家に……!」

タイヘイ「早く、家の中に……!」ガチャ

バタン カチャッ

タイヘイ「はぁはぁ……一体、なにが……! ……一旦、落ち着くんだ俺。状況を整理しよう」

タイヘイ「人を襲ってたあれは……間違いなく、ゾンビだ……!」


うまる(美妹)「……」

海老名「……」

うまる(美妹)「(あの後、教室を出た私たちは、2階の家庭科室に逃げ込んだ)」

うまる(美妹)「(私は今、何が起こっているのかを瞬時に把握し、一番安全な策を選んでここに来た)」

うまる(美妹)「(まず、先生を襲ったのは……ゾンビで間違いないだろう)」

うまる(美妹)「(では、何故私が家庭科室に逃げ込んだのかというと、外の方が危険だと思ったからだ。ここで起こっているのだから、外でもこのおかしな状況になっていると、私は仮説を立てた)」

うまる(美妹)「(外に出て、囲まれでもしたらアウトだ。だったら、まだゾンビの少ない学校に立てこもるのが一番。それに、家庭科室は鍵を掛けることができる。これで、少し安全に)」

ウワアアアアアアアアアアアアアア

海老名「」ビクッ

うまる(美妹)「(……教室の外から、悲鳴が……)」

うまる(美妹)「え、海老名ちゃん。今のうちにバリケードを」

海老名「えっ」

うまる(美妹)「ドア一枚だけじゃ、すぐに鍵を壊されて入られちゃうかもしれない。机でバリケードを作ろう」

海老名「う、うんっ」


海老名「こ、こんな感じで大丈夫かな……」

うまる(美妹)「たぶん」

うまる(美妹)「(教室にあった30個の机を、トビラの前に全て配置した。静かに素早く行動できてよかった。これで安全性が増した)」

うまる(美妹)「(でも、ゾンビはリミッターがハズレ、力がとんでもないことになっている。人間は、本来60パーセント程の力しか出せないのだが、ゾンビは100パーセント以上の力が出せる)」

うまる(美妹)「(王勢で来られたら、ここもすぐに崩壊して……)」

うまる(美妹)「(この先、どうしたら……ここから脱出すべきか、助けを待つべきか)」

うまる(美妹)「(……お兄ちゃん)」キュッ

海老名「……うまるちゃん?」

うまる(美妹)「! どうしたの、海老名ちゃん?」

海老名「……うまるちゃん今、不安な顔してた」

うまる(美妹)「え?」

海老名「ごめんね……私、足手まといだよね……」

うまる(美妹)「ううん! そんなことないよ! 海老名ちゃんはとっても頼りに―――」

ガタガタガタッ


うまる海老名「!」ビクッ

海老名「い、今ロッカーが……!」

うまる(美妹)「……」ソロリソロリ

うまる(美妹)「……海老名ちゃん、下がってて」

海老名「う、うまるちゃんっ、危険だよ!」

うまる(美妹)「(……もし、ロッカーの中にいるのがゾンビだったら……。バリケードがあるし、逃げることはできない)」

うまる(美妹)「(でも、ここで解決しとかないと海老名ちゃんが不安のままだ。だったら……)」

うまる(美妹)「(……どうにでもなれ!!)」ガチャッ!

「……はっ!ヒュンッ

うまる(美妹)「くっ……! き、切絵ちゃん!?」

切絵「う、うううううまるさん!? ど、どうしてここに!?」

うまる(美妹)「切絵ちゃん、しーっ! 外に聞こえちゃう!」コソコソ

切絵「す、すみません!」コソコソ

うまる(美妹)「切絵ちゃん、どうしてここに……」

切絵「そ、その……私はあの後、すぐ逃げ出して、とっさにロッカーの中に」

うまる(美妹)「な、なるほど。それで、今まで無事で……」

切絵「う、うまるさん達はどうしてここに……」

うまる(美妹)「それは―――」






切絵「……さ、さすがうまるさん! 頭がよく切れて……!」キラキラ

うまる(美妹)「あはは……」

うまる(干物妹)「(ゾンビゲーやり込んどいてよかった、少し役に立ったよ。……それにしても)」

うまる(美妹)「切絵ちゃんが無事でよかった」ギュッ

切絵「う、うううまるるさんっ……!?」ドキドキ





タイヘイ「……」カチカチカチッ

タイヘイ「(ゾンビについて詳しく調べ、まとめてみた)」

タイヘイ「(1.特徴――基本的に動作は遅く、思考能力も低下している。だが、力は桁違いに上がっており、掴まれでもしたらアウトだ。振りほどくことは不可能に近い。

2.弱点――頭部を破壊するか、頭と胴体を離せば行動は停止する。……想像するとグロい。

3.ゾンビに噛まれたら感染し、死亡する。その後、ゾンビとして蘇る。

)」

タイヘイ「(他に何か……)」

タイヘイ「(……そういえば、うまるが言ってたな)」



うまる(干物妹)『お兄ちゃん、ゾンビって目が見えてないんだって。匂いと音を頼りに行動してるらしいよ)』



タイヘイ「(ゾンビは目が見えておらず、匂いと音を頼りに行動している……と)」メモメモ

タイヘイ「―――! うまるっ!?」ガタッ

タイヘイ「(しまった!? 自分のことばかりに気を回してて! うまると海老名ちゃんは!?)」

タイヘイ「(学校の方は無事なのか!?)」


うまる(美妹)「……ねぇ、海老名ちゃん、切絵ちゃん」

海老名「なあに? うまるちゃん」

切絵「? なんでしょうか?」

うまる(美妹)「この先……2人はどうしたい?」

海老名「えっ……?」

うまる(美妹)「このまま立て篭るか、それとも学校を脱出するか」

切絵「……私は、脱出したいと思っています。ここにいれば安全かもしれません。ですが、食料がありません。このままですと、私たちはいずれ餓死してしまうかと……」

うまる(美妹)「私も切絵ちゃんに賛成かな。……立て篭もったはいいけど、食料がないからね。そこのところ、全然考えてなかったよ……」ハァ

海老名「わ、私も脱出の方に賛成ですっ」

うまる(美妹)「3人とも、同じ意見だね……よし、それじゃあ脱出! といきたいところだけど……」

ア゙ア゙アァァ…

うまる(美妹)「廊下にはゾンビがいるし、外に出ることも出来ない。それに、ここは2階だし、飛び降りることも出来ないし……」

切絵「……むー」

うまる(美妹)「(ここから脱出できて、尚且つ安全に1階まで行ける方法……)」

うまる(美妹)「(うーん……この部屋に何かないかなぁ。バリケードに使った机に、椅子。それに箒、塵取り、カーテン。……! 思いついた! いい方法が!)」

うまる(干物妹)「海老名ちゃん、切絵ちゃん。いい方法思いついちゃった」




切絵「んっ……! こんな感じでいいでしょうか?」ギュッギュッ

うまる(美妹)「……強く結べてる。うん、ありがとう」

うまる(美妹)「海老名ちゃん、そっち側引っ張ってね。せーのっ!」ギューッ

海老名「んーっ……!」ギューッ

うまる(美妹)「……ふぅ、これでよしっと。切絵ちゃーん」

切絵「はいっ。……下は安全みたいです。ゾンビも2体ほどしかいません。距離は50mほど遠くです」

うまる(美妹)「(なんで少ししかいないんだろう? 学校の中に集まって来てるのかな。それなら今のうちに……)」

うまる(美妹)「それじゃあ、下ろすよ。海老名ちゃん」スーーーッ

海老名「う、うん……」スーーーッ

切絵「それにしても、うまるさんはやっぱり凄いです! まさか、こんな方法を思いつくとは!」

うまる(美妹)「あはは。たまたまだよ、たまたま」

切絵「カーテンを繋ぎ合わせ、ロープを作るなんて! これなら、安全に下に行けますね!」

うまる(美妹)「うん、そうだね。……最初、誰から降りる?」

切絵「……私が行きます」

海老名「き、切絵ちゃんが?」


切絵「はい。一応、周りの安全確認をしたいので。見た限りでは、2体ほどしかいませんが、どこかに潜んでるかもしれませんし」

うまる(美妹)「……わかった。最初、切絵ちゃんにお願いするね」

切絵「お任せて下さい!」

うまる(美妹)「……もし、あいつら(ゾンビ)がいたら、一目散に逃げるんだよ」

切絵「……」

切絵「(私は、うまるさんや……海老名さんを置いて逃げたりしません、絶対に)」

うまる(美妹)「切絵ちゃん。ゆっくり、ゆっくり……」

切絵「はいっ……」グググッ

切絵「……」ググググググッ ペタン

切絵「降りましたーっ」

うまる(美妹)「よし、次は……」

ア゙ア゙ア゙ア゙ァァァァッ!!

うまる海老名「!?」

ア゙ア゙ア゙ア゙ァァァァッ!!
ガチャガチャガチャ!!

うまる(美妹)「(う、嘘!? どうして私たちの場所が……!?)」

海老名「う、うまるちゃんっ!」

うまる(美妹)「海老名ちゃん! 先行って!」

海老名「え! で、でも!」

うまる(美妹)「早く!」


切絵「う、うまるさん! そこで一体なにが……!?」

うまる(美妹)「海老名ちゃんっ!!」

海老名「!! ……うまるちゃん、約束だよ。絶対に……来てね」

うまる(美妹)「……うん、約束
」ニコッ

海老名「……」ググググググッ ペタン

海老名「うまるちゃん!!」

うまる(美妹)「―――後は私だけ。早く行かな―――」

バキッ!

うまる(美妹)「え―――」

「ア゙ア゙ア゙ア゙ァ゙ァ゙ァ゙!!」

うまる(美妹)「(ぞ、ゾンビ達がなだれ込んできて―――!?)」

「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ア゙ア゙!!」

海老名切絵「うまるちゃん(さん)っ!!」

うまる「(は、早く飛べ! 私! ゆっくり降りてる時間なんてない!)」


「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ア゙ア゙!!」

うまる(美妹)「(あ、あれ? どうして!? 足が震えて、動かない!?)」

「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ア゙ア゙!!」

うまる(美妹)「(な、なんで……!? 今まで、ちゃんと……!)」

「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ア゙ア゙――!!」

うまる(美妹)「ひっ!」

うまる(美妹)「(……私、こんなところで死んじゃうの……?)」ポロ

切絵「うまるさんっ! 早く!」

海老名「うまるちゃんっ!!」

うまる(美妹)「(い、嫌だよ……助けて、助けてよ……。助けて)」ポロポロ



うまる「―――お兄ちゃん!」ポロポロ




「うまるッ!!」

うまる「お……お兄ちゃ……!」ポロポロ

タイヘイ「来い! うまるッ!! 俺が絶対、抱きとめてやる!!」



うまる「……お、お兄ちゃん――――!!」タッ



タイヘイ「うまるッ――――!!」































タイヘイ「な、なんとか間に合ったな……いててっ」

うまる「……ちゃんと、抱きとめてくれるって言ったじゃん」グスッ

タイヘイ「ちゃんと、抱きとめてただろ。……尻餅ついちゃったけど」

うまる「……怖かった、怖かったよぉ……」グスッ

タイヘイ「……そうか」ナデナデ

うまる「……」ギュッ

「ア゙ア゙アァァ…」

タイヘイ「! うまる、立てるか? 近くまで奴らが来てる」

うまる「うん……」

タイヘイ「海老名ちゃんも切絵ちゃんも、無事でよかったよ」

海老名「へっ? ひゃ、ひゃい!」

切絵「し、心配おかけしみゃっ」

切絵「(し、舌噛んだ!)」ブンブン

タイヘイ「とりあえず、俺の部屋に行こう。そこでこの先のことを考えよう」



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


タイヘイ「(学校の方は無事なのか!?)」

『きゃーっ!』

タイヘイ「っ! 悲鳴!?」

『ついてこないでくださいまし―――!』

タイヘイ「(お、女の子が!? ……! あの制服は、うまると同じ!? ……同じ? 色が違うけど……)」

タイヘイ「(で、でも、この辺の高校にも影響が出てるってことだ!)」

タイヘイ「(くそっ、早くうまると海老名ちゃんを助けに……!)」

タイヘイ「(……! 道路にいたゾンビ達がいない! 今なら!)」

タイヘイ「(うまる! 待ってろよ! 今行くからな!)」

タイヘイ「(俺はお前の兄貴だ! 絶対に守ってやる……!)」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜






タイヘイ「……近くにあいつらはいない。今のうちに」

ガチャ

海老名「う、うまるちゃんっ」

うまる(美妹)「……もう、大丈夫だよ。ありがとう、海老名ちゃん。お兄ちゃんも、ありがとう」

タイヘイ「……」ポリポリ

バタン カチャッ

切絵「……この辺りって、あんまりいませんね」

タイヘイ「たぶん、駅前に集まってるんだと思う。ゾンビ……あいつらは、匂いと音を頼りに行動してるらしい」

うまる(美妹)「駅前は人がたくいるからね、そっちに引きよせられてるんじゃないかな」

海老名「そ、そうなんだ」

タイヘイ「匂い、か……」スタッ

うまる(美妹)「お、お兄ちゃん?」

タイヘイ「……まだたくさん残ってるな」ガサゴソ

切絵「一体なにを……?」

タイヘイ「ちょっとね……っと」スタスタ

海老名「……えっ!?」


うまる(美妹)「お、お兄ちゃん! どこに行くの!?」

タイヘイ「少し、外に」

うまる(美妹)「外!? ど、どうして……!?」

タイヘイ「これを蒔いてくる」

切絵「せ、洗剤……ですか?」

タイヘイ「あいつらは音と匂いを辿って、人を見つけるんだ。音は消せるけど、匂いは消せない。それなら、匂いの強い物を囮にするんだ」

切絵「な、なるほど。洗剤の方が、人の匂いより断然強いから、そちらにあいつらが集まると……」

切絵「(うまるさんのお兄さんも、相当頭が切れて……)」

タイヘイ「うん。この方が安全度が増すからね」

うまる(美妹)「で、でもっ!」

タイヘイ「安心しろ、すぐに戻ってくるから」ポンポン

うまる(美妹)「……すぐに、戻ってきてよ」

タイヘイ「ああ……。俺が出た後、ちゃんと鍵閉めろよ」ガチャ

うまる(美妹)「……うん」

バタン



ここまでのミス

>>17

うまる(美妹)「(王勢で来られたら、ここもすぐに崩壊して……)」



うまる(美妹)「(大勢で来られたら、ここもすぐに崩壊して……)」


>>32

タイヘイ「(……! 道路にいたゾンビ達がいない! 今なら!)」

タイヘイ「(うまる! 待ってろよ! 今行くからな!)」



タイヘイ「(……! 道路にいたゾンビ達がいない……! 女の子には悪いけど、今なら!)」

タイヘイ「(うまる! 今行くからな!)」


>>33

うまる(美妹)「駅前は人がたくいるからね、そっちに引きよせられてるんじゃないかな」



うまる(美妹)「駅前は人がたくさんいるからね、そっちに引きよせられてるんじゃないかな」


タイヘイ「(……どこに蒔くか考えてなかった。家の近くだと逆にあいつらを呼びよせちゃうし、最低でも、100mくらいは……)」

タイヘイ「(……まず、左の方から行くか)」



タイヘイ「(……いないな、あいつら。やっぱり駅の方に……)」

タイヘイ「(……結構離れたな。だいたい200mくらいか? この辺に)」キュッキュッ

ボタボタボタ…

タイヘイ「(半分は残しておこう。残り半分はもう一箇所、違うところに蒔いておきたい)」

ア゙ア゙アァァ…

タイヘイ「!?」

タイヘイ「(も、もう嗅ぎつけたのか!? 想像以上に効果があるな、早く離れないと……)」




タイヘイ「(家に向かって、右の方に来た。こちらにもあいつらはいない)」

タイヘイ「(道中1体いたが、うまくやり過ごすことができた)」

タイヘイ「(……この辺でいいか。これを蒔いたら、とっとと家に……)」チラッ

タイヘイ「……あれは」






切絵「そっそういえばうまるさん!」

うまる(美妹)「なあに?」

切絵「こまる師匠は無事なのでしょうか!?」

うまる(美妹)「げほっげほっ!」

海老名「う、うまるちゃん!?」

うまる(干物妹)「(し、しまったー!? 忘れてたー!)」

切絵「う、うまるさんっ。大丈夫ですか……!?」サスサス

うまる(美妹)「う、うん。もう平気だよ」

うまる(美妹)「(…………潮時、かな。これ以上、2人を騙すのは……)」

うまる(美妹)「……海老名ちゃん、切絵ちゃん。2人に話したいことがあるの」






タイヘイ「……あれは、コンビニか?」

タイヘイ「(……今現在、俺を含め4人の生存者がいる。でも、うちにはほとんど食料が残っていない)」

タイヘイ「(……取っておくか。こんな事態だし、万引きとかにはならないだろう……それに、俺と同じことを考えてる奴が少なからずいるはず)」

タイヘイ「(食料は大切だ。持てる分だけ持っていこう。他に使えそうな物も)」

タイヘイ「(店内に人影なし……よし)」

ウィーン

タイヘイ「(……こう見渡すと、コンビニって色々あるんだな)」

タイヘイ「(まずは食料、なるべく日持ちする物。いつ電気が止まるかわからない)」

タイヘイ「(インスタント食品に、カップ麺……カップご飯? 今はこんな物もあるのか)」

タイヘイ「(水も必要だな、容器だけ持っていこう。家でも水は手に入る)」

タイヘイ「(……カセットガスコンロ。家にあるし、ガスボンベを3本ほど……)」

タイヘイ「(あとは……懐中電灯、電池、ロウソク、軍手、体拭き。……下着も必要だよな。特に女性は……これも持ってこう)」


タイヘイ「……こんなもんか」

タイヘイ「(この辺にしとこう。そろそろ日が暮れる、夜に動くのは危険だ)」

タイヘイ「ぐっ……!」

タイヘイ「(お、思ったより重い。でも、この程度なら……)」

……ガタッ

タイヘイ「!?」

タイヘイ「(と、トイレの方から音が! あ、あいつらか……!?)」

タイヘイ「(……鍵がしまってる。もしかして生存者か!? ……いや、噛まれた後逃げ込んで、すでにゾンビ化した奴かも……)」

タイヘイ「(……一応、確認だけ。いざとなったら、全力で逃げればいい)」

タイヘイ「……」コンコン

ビクッ!

タイヘイ「……俺の言葉が通じてるなら、2回ほどノックをお願いします」

タイヘイ「……」


……コン…コン

タイヘイ「! ……安心してください、俺は感染者じゃない。あなたを襲ったりしません」

『……』

タイヘイ「……もう5時か。俺は用が済んだので、そろそろここを離れます」

『……! ま、待ってください……!』

タイヘイ「……」

『わたくしも……わたくしも一緒に連れて行ってください……!』

タイヘイ「……」

タイヘイ「(……正直、俺は迷っている。トイレの中の人を連れて行くか、置いてくか)」

タイヘイ「(この人と俺は赤の他人だ。うちに連れ帰ったら5人になる。そうすると、食料の減りが早くなる)」

タイヘイ「(……だけど、俺は……)」

タイヘイ「……わかった」

『ほ、本当ですか……!』

タイヘイ「噛まれたり、感染してたりしないか?」

『は、はい……!』

タイヘイ「……ゆっくり、出てこい」

……キィ

タイヘイ「き、君はあの時の……!」


ここまでのミス

>>23

うまる(干物妹)「海老名ちゃん、切絵ちゃん。いい方法思いついちゃった」



うまる(美妹)「海老名ちゃん、切絵ちゃん。いい方法思いついちゃった」


>>36

タイヘイ「(……まず、左の方から行くか)」



タイヘイ「(……まず、(家から出て)右の方から行くか)」


タイヘイ「(家に向かって、右の方に来た。こちらにもあいつらはいない)」



タイヘイ「((家から出て)左の方に来た。こちらにもあいつらはいない)」


>>43

タイヘイ「(……正直、俺は迷っている。トイレの中の人を連れて行くか、置いてくか)」



タイヘイ「(困ったな……トイレの中の人を連れて行くか、置いてくか)」








切絵「……あれからもう1時間。遅いですね」

うまる「すぐ帰ってくるって言ったのに……! お兄ちゃんのばか」

海老名「も、もしかしてっ。お兄さんになにかあったんじゃ……!」アワワ

切絵「……それはないと思います。あの人は頭がとても切れる。それに用心深い。危険が迫ったら、すぐに退くと思います」

うまる「……切絵ちゃんってお兄ちゃんのこと、すごく信頼してるんだね」

切絵「え!? あ、いやこれは!」アセアセ

うまる「……そうだね。お兄ちゃんのことだもん、きっと大丈夫だよ」

海老名「う、うんっ」

コンコン

うまる「! 帰ってきた!」


ガチャ

うまる「お兄ちゃん! おかえりなさい……!」

タイヘイ「ただいま。うまる、ちょっと肩を貸してくれ」

うまる「え?」

タイヘイ「つ、疲れた……」

シルフィン「……」スースー

うまる「……し、シルフィンさん!?」

タイヘイ「う、うまるの知り合いか?」

うまる「う、うん。学校の友達だよ。って、どうしてシルフィンさんがお兄ちゃんと!」

タイヘイ「話は後だ。早く寝かせないと」

うまる「! もしかして怪我を……!」

タイヘイ「大丈夫、気を失ってるだけだよ」

うまる「よ、よかったぁ……」ホッ

タイヘイ「(……無事、家に帰ってこれてよかった。彼女が倒れた時は驚いた。たぶん、安心して気が抜けてしまったのだろう)」

タイヘイ「(彼女とバックを運ぶのは流石に疲れた。あの時、あいつらに遭遇してたら……)」


タイヘイ「(彼女を寝かせた後、うまる達に詳しく説明した。200mほど離れた場所に洗剤をまいたこと。コンビニでうまるの友達を見つけたこと)」

タイヘイ「(その後、電話が使えるか確かめてみたが、繋がることはなかった)」

タイヘイ「(海老名ちゃんは家族と連絡がとれなくて不安な顔をしていた。切絵ちゃんは携帯をじっと見つめ、何かを考えてるみたいだった)」

タイヘイ「(あれこれしている間に夜になり、食事を済ませた。その後は今後の事について話し合いをしたかったが、みんな疲労しきっていたため、話し合いは明日に)」

タイヘイ「(無理もない、今日1日で非現実な出来事に巻込まれたのだから。俺も体が重い)」

タイヘイ「ふわあぁぁ……眠い」チラッ

タイヘイ「(23時59分……やっと、今日が終わる……寝たい。けど、俺たちが寝てる間に何が起きるかわからない。せめて、俺だけは起きてないと……)」

タイヘイ「……」ボーッ

タイヘイ「……」

タイヘイ「……」Zzz





タイヘイ「……」ムクッ

タイヘイ「……」ボーッ

AM 5:26

タイヘイ「…………」

タイヘイ「(し、しまった! 俺、寝て……!)」キョロキョロ

切絵「……おはようございます」

タイヘイ「! 切絵ちゃん、もう起きてたのか……」

切絵「はい」

タイヘイ「(目のクマが……も、もしかして)」

タイヘイ「切絵ちゃん、ごめん……! 俺の代わりに……!」

切絵「い、いえ。眠れなかっただけなので……」

タイヘイ「……ありがとう。切絵ちゃん、後は俺が代わりにやるよ」

切絵「す、すみません。お言葉に甘えさせていただきます」ゴロン

タイヘイ「(……眠れなかったんじゃない、俺たちのためにずっと起きてて……今は、しっかり睡眠をとって)」


うまる「ぐへへ……」スピー

タイヘイ「……ったく、少しくらい危機感もてよな」ナデナデ

タイヘイ「(昨日、うまるは海老名ちゃんと切絵ちゃんに、本来の自分について話したらしい)」

タイヘイ「(あと、切絵ちゃんにはこまるとうまるは同一人物であることを)」

タイヘイ「(最初は戸惑ってたみたいだけど、2人は『うまるちゃん(さん)は、うまるちゃん(さん)だから』と本当のうまるを受け入れてくれた)」

タイヘイ「(……いい友達をもったな、うまるは)」

タイヘイ「(ぼんば、叶、アレックスくん……)」

シルフィン「……ん、ここは」

タイヘイ「あ、おはよう。よく眠れた?」

シルフィン「! あ、あなたはっ……!」


タイヘイ「どこか痛かったり、調子悪かったりしない?」

シルフィン「は、はい……あの」

タイヘイ「ん?」

シルフィン「……昨日は、助けて頂きありがとうございました」ペコッ

タイヘイ「あ、うん」

タイヘイ「(……そうか。この子にとって俺は一応、命の恩人ってことになるのか)」

タイヘイ「(でも次、この子のように助けを求めてきた人がいたら、俺はどうするんだろうか。同じように助けるのか? それとも……見捨てるのか?)」

タイヘイ「(生存者が一箇所に固まると、危険になりやすい。あいつらも集まりやすくなるし、食料も限られている)」

タイヘイ「(そもそも、どうして俺はこの子を助けたんだ? うまるの友達だからか? いや、うまるの友達と知ったのは助けた後だし)」

うまる「……あれ、お兄ちゃん?」ムクッ

タイヘイ「! うまる……」

タイヘイ「(……考えるのはやめよう)」

シルフィン「う、うまるさん!?」

うまる「あ、シルフィンさん。おはよう」

シルフィン「おはようございます……じゃなく! どうしてうまるさんがここに……!?」

うまる「……」チラッ

タイヘイ「……」コクッ

うまる「―――それは、ここが私の家だからだよ」







うまる「……それで、ここに立て篭ってるの」

シルフィン「……そう、だったんですの……と、いうことはそちらの殿方は」

うまる「うん。私のお兄ちゃんだよ」

シルフィン「お兄ちゃん……お兄さま!?」ガタッ

うまる「し、シルフィンさん!?」

シルフィン「お兄さま……わたくしのお兄さまは!!」

タイヘイ「し、シルフィンちゃん? 大きい声を出しちゃ……!」

ア゙ア゙ア゙ア゙ァ゙…

タイヘイうまるシルフィン「!?」ビクッ

カン、カン、カン…

タイヘイ「(!? おい、嘘だろ……階段を登ってきてる……!? どうしてこんなところにいるんだ!?)」タラリ

タイヘイ「(気づかれたか!? くそっ、俺の不注意だ!)」


タイヘイ「……!」シーッ

うまるシルフィン「……!」コクコク

ア゙ア゙ア゙ア゙ァ゙…

タイヘイ「……」

ドン、ドンッ

タイヘイ「!」

タイヘイ「(な、何をしてるんだ!?)」ドクンドクン

カン、カン…

タイヘイ「(……い、行ったか?)」

バンバンバンッ!!

タイヘイ「!?」

「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ァァァァ!!」バンバンバンッ!!

タイヘイ「(ま、まずい! 気づかれて……!)」


うまる「お、お兄ちゃんどうするの!? 早く逃げないと!?」

タイヘイ「(こ、このままだといずれ押し入られる……! 早くここから脱出しないと……!)」

タイヘイ「(ここは2階……俺ならともかく、うまる達が2階から飛び降りるのは危険すぎる!)」

海老名「……え、え!? な、なにかあったんですか!?」

バンバンバンッ!!

海老名「ひっ!」

うまる「き、きりえちゃん! 起きて!」ユサユサユサ

切絵「……う、うまるさん? ああ、朝からうまるさんに起こしてもらえるなんて、これはきっと夢ですね……」

うまる「夢じゃないよきりえちゃん!?」ユサユサユサ

切絵「……はっ! お、おはようございますうまるさん!」


「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ァァァァ!!」バンバンバンッ!!

切絵「! ……お兄さん」チラッ

シルフィン「(……わたくしのせいで、こんなことに……!)」

タイヘイ「……みんな、逃げる準備をしてくれ」

うまる「えっ!」

海老名「こ、ここから出るんですかっ! 外は危険ですよ!?」

タイヘイ「……このままだといずれ、ドアは破られる」

海老名「そ、そんな……」

バンバンバンッ!!

タイヘイ「……それに加え、この音だ。近くにいるやつらがどんどん集まってくる。そんなことになったら、完全に逃げ場はなくなる……だったら、数が少ない今のうちに……!」




切絵「……持てる物は出来るだけ持ちました」

タイヘイ「ありがとう、きりえちゃん。……みんな、準備はできた?」

海老名「……」

切絵「で、ですが、どうやってここから……」

うまる「……カーテン1枚じゃ、人を支えることはできないし、ここにある紐じゃ降りられない……どうしたら」

タイヘイ「……一つ、方法を思いついた」

切絵「ほ、本当ですか!?」

タイヘイ「ああ……けど、少し危険になるかもしれない」

うまる「……」

「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ア゙ア゙!!」バンバンバンッ!!

タイヘイ「……時間がない、手短に伝える」


作戦

・まず、タイヘイ以外の4人は窓から隣の部屋(202号室)に侵入し、ドアの前で待機

・その後、タイヘイが自分の部屋(201号室)のドアを解錠。解錠によりゾンビが201号室に侵入、タイヘイは急いで隣の部屋(202号室)に逃げ込む

・この間に4人は202号室から脱出、タイヘイも追って脱出



タイヘイ「この方法で行こうと思う」

切絵「いいと思います。でも、お兄さんが危険に……」

タイヘイ「大丈夫だよ、5秒あれば隣に移れるし。それと、問題点が幾つか」



問題点

・隣の部屋の窓が開いているか
・隣の部屋にゾンビがいる可能性がある


タイヘイ「まあ問題点って言っても2つだけ、俺が確認してくるよ」

うまる「へ、平気……だよね」

タイヘイ「もし、あいつらがいたら……まあ、隣から気配を感じないからたぶんいないと思う」

タイヘイ「それじゃあ、よっと……」ガラッ

タイヘイ「(もう音が鳴り響いて3分は過ぎる……今のところはいない、見える範囲内は)」

タイヘイ「(隣の踏場まで約1m、これくらいなら女の子でも飛べるな)」

タイヘイ「(鍵は……開いてる。よし、1つはクリア。で、中は……)」ガラガラ

タイヘイ「……いない、な」

タイヘイ「(2つ目もクリア、これなら)」

タイヘイ「うまるー、荷物を―――」

ガンガンガン!!

タイヘイ「(……思ったより響いてるな。早くしないと)」



タイヘイ「ゆっくり、ゆっくり」

海老名「は、はいっ」

タイヘイ「距離は1mほどだから、怖がらないで」

海老名「(い、1mってこんなあるの……!?)」

海老名「……えいっ」スタッ

海老名「きゃっ」バタッ

タイヘイ「だ、大丈夫海老名ちゃん?」

海老名「だ、大丈夫です!」

タイヘイ「次はうま……!? くっ、まずい……!」

うまる「お、お兄ちゃん?」

ア゙ア゙ア゙ア゙ァ゙…


タイヘイ「急げ! あいつらが来た!)」

うまる「えっ!? う、嘘でしょ……!?」

タイヘイ「(数は……10を超えてる……!?)」

うまる「飛んだよ、お兄ちゃん!」

タイヘイ「シルフィンちゃん、次は君だ! なるべく急いでくれ!」

シルフィン「は、はい」スタッ

タイヘイ「きりえちゃん」

切絵「……気をつけてください」

タイヘイ「うん、任せて。10秒後始める!」

切絵「わ、わかりました!」


切絵「10、9、8」

うまる「(お兄ちゃん……)」キュッ

海老名「……6、5」

シルフィン「……」

タイヘイ「3、2、1―――」

ガチャ

「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ア゙ア゙!!」ガシャッ!!

タイヘイ「……!」

タイヘイ「(いけっ、みんな――――!)」

切絵「出て下さい!」

うまる「うん!」ガチャ


カンカンカン

切絵「早くここから離れま……」

ゾロゾロ…

「ア゙ア゙ア゙ア゙ァ゙… 」
「ヴァ゙アァァ…」
「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙…」

切絵「――――」

海老名「……ど、どうして」

うまる「か、囲まれてる!? は、早すぎるよ!」

シルフィン「終わり、ですわ。こんな、こんなことって……。ここで、死ぬんですわ」ヘタッ

「ア゙ア゙ア゙ア゙ァ゙!!」ガシッ

うまる「し、シルフィンさん!」

シルフィン「……さようなら、お兄さま」







『シルフィン!!』

シルフィン「……へ?」

タイヘイ「くっ、そ!」ブンッ

シルフィン「お、お兄さま……?」

タイヘイ「はあはあ……! 素人が木刀使っても、倒せないか……!」

うまる「お兄ちゃん!」

タイヘイ「下がってろ!」

「ア゙ア゙ア゙ア゙ァ゙!!」

タイヘイ「!」ブンッ

「ア゙ア゙ア゙」ドサッ

タイヘイ「(! 隙間が!)」

タイヘイ「今だ、走れ!!」






切絵「こ、ここまでくればなんとか……」ハアハア

海老名「こ、怖かったぁ……」ハアハア

シルフィン「……」ハアハア

うまる「た、助かった……」





うまる「あ、れ……?」

海老名「ど、どうしたのうまるちゃん?」 

うまる「お兄ちゃんは……?」

切絵「……え?」

うまる「……お兄ちゃんは、どこ?」

切絵「! まさか――――!」






























カン、カン、カン

タイヘイ「無事に、うまる達が逃げれてよかった……」

ガチャ バタン



タイヘイ「……」ドサッ

タイヘイ「まさか、部屋にいたはずのゾンビが降りてきてたとはな……気にしてなかった……」

タイヘイ「……終わり、か……傷口が痛い……」

タイヘイ「……血が……止…まらない」

タイヘイ「……視界が…暗……」

タイヘイ「………―――」




うまる『お兄ちゃん、コンビニで買ってきて』


うまる『もうお兄ちゃんとか知らない!!』


うまる『お兄ちゃん勉強教えてー!!』


うまる『うまるふっか―――つ!!』


うまる『たまにはこんな休日もいいねお兄ちゃん』


うまる『ただいま―――お兄ちゃん!』


タイヘイ「うまる……」ポロポロ

タイヘイ「……」

タイヘイ「ここは……俺の部屋」

タイヘイ「……!!」

タイヘイ「なんで、生きて……」

タイヘイ「……まだ、痛むけど。動けそうだな」スクッ

タイヘイ「……ど、ドアが拉てる」

タイヘイ「結局、ゾンビは入ってこれなかったのか……それとも、別のものを追っていったか……」

タイヘイ「……俺はあの時、噛まれたのに、どうして意識が……」

タイヘイ「……! あれからもう5日も経ってるのか!?」

タイヘイ「あ……!」

シーン…


タイヘイ「……静かだな」

タイヘイ「……噛まれてから4日は過ぎてる。俺だけ感染の進行が遅いのか? いや、そんなバカな」

タイヘイ「……もしかして、俺の体はゾンビにならない……ゾンビウイルスの抗体があるのかもしれない……!」

タイヘイ「いや、そんな上手い話があるはずがない……そもそも、抗体なんて」

タイヘイ「……」

タイヘイ「海老名ちゃん、きりえちゃん、シルフィンちゃん」

タイヘイ「叶、ぼんば、アレックスくん……」



タイヘイ「……うまる」

タイヘイ「俺が、この事態を止めることができるのか?」

タイヘイ「……まずは、うまるたちを探さないと」

タイヘイ「うまるたちきっと生きてる……うまるたちと合流できたら、避難所に行って、俺に抗体があるか調べてもらおう」

タイヘイ「避難所があればいいけど」

ガチャ



タイヘイ「ここには、当分帰ってこれなそうだ」

タイヘイ「行ってきます」

終わり

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年08月24日 (月) 01:05:05   ID: lxp8_Q5K

やっと追いつきました!タイトルがよく分からないまま読んでたらちょっとホラーでビックリしたけど面白いです!続き期待してます!

2 :  SS好きの774さん   2015年08月27日 (木) 22:56:29   ID: SB30DSEl

続きはよ!

3 :  SS好きの774さん   2015年08月31日 (月) 22:42:45   ID: 0LsmeldV

おお

4 :  SS好きの774さん   2015年09月23日 (水) 01:03:04   ID: 76EBYzzg

頑張ってくだしあ

5 :  SS好きの774さん   2015年09月24日 (木) 04:46:53   ID: NMJN2zXn

続きはよ

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