恭介「戦線名はリトルバスターズだ!」ゆり「その2よ!」 (1000)

リトルバスターズ!とAngel Beats!のクロスです

自己解釈、キャラ崩壊などに注意

たまに安価

前スレでは書き忘れましたが、両作品のネタバレ全開ですのでお気をつけ下さい

ゆっくりやっていく予定です

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1437915426

前スレです
恭介「戦線名はリトルバスターズだ!」
恭介「戦線名はリトルバスターズだ!」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1436363023/)

ここまでお付き合いいただきありがとうございました
引き続き楽しんでいただけると幸いです

簡単なあらすじ

死後の世界にやってきた恭介
戦線名を「リトルバスターズ」と名づけた

真人と沙耶も参戦
筋肉旋風(センセーション)やオペレーションを通じて、絆を深めるリトルバスターズ

恭介はこれまでの情報から、この世界の創造主が精神に干渉する能力を持つ
常に自分たちを監視していると推理する

謙吾は無事、戦線に加入できるのか
謙吾の就職試験が始まる

ゆり「で、今度はどんな馬鹿が来たの?」

謙吾「なぜさっきから開口一番馬鹿呼ばわりされにゃならんのだ…」

恭介(場面は変わって定例会議。当然、謙吾を戦線に入隊させるべく、連れてきたってわけだ)

恭介(ちなみにさっきというのは、遊佐に話を通した時にも)

遊佐『また男ですか、また馬鹿ですか』

恭介(などと言われてしまったからだ)

日向「あーわりいな。俺たちもう恭介の友達ってだけで、なんか全員そういうやつなのかと思っちまっててさ」

恭介(日向が頭を掻きながら、フォローを入れる)

謙吾「そういうことなら仕方ないな」

大山「納得するんだ!?」

謙吾「まあ、俺を馬鹿扱いするのは構わない」

謙吾「だが、今後別のメンバーが来た時にも、同じ扱いをするのはよしてやってくれないか」

謙吾「全員確かに個性が強いが、俺たちが揃ったということは、次来るのはもう女子しかいないからな」

遊佐「女子ですか?」

高松「確かリトルバスターズは、もと野球チームだったと聞きましたが?」

恭介(遊佐と高松の見た目は知的コンビがそう聞いてくる)

恭介「別に女が野球出来ないわけじゃないからな」

恭介(野球ももちろんだが、ようは一緒に楽しく遊ぶのが、リトルバスターズの活動の要だからな)

遊佐「待ってください、棗さん」

遊佐「今なにか、とても不本意なことを言われたような気がするんですが?」

恭介「気のせいだ」

真人「ってかあと来てないやつって何人だっけ?」

真人「クー公とさえないイルカとらいらいだにと…」

謙吾「能見と三枝と来ヶ谷な、真人」

恭介「あとは小毬と西園だな」

岩沢「かなり女子も多かったんだな」

恭介「初期メンバーに理樹と鈴って二人もいるんだが、あいつらは来れない」

恭介「真人と謙吾が庇ったおかげで、奇跡的にバス事故でも生き残ったからな」

恭介(あいつらがいないのは寂しいが、むしろ喜ばないといけないことだ。割り切らないとな)

野田「さすがだ、真人!そして謙吾とやら…!」

ゆり「ふーん。ここまでの言動を見た限りじゃ、かなりまともっぽく見えるわね」

ゆり「その妙な格好していなきゃ…」

恭介(ゆりっぺが謙吾の姿をじーっと見つめながらそう言う。ま、案の定の反応だな)

松下「下に来ているのは…、剣道着か?」

謙吾「ああ。そういえば自己紹介もまだだったな」

謙吾「俺の名前は宮沢謙吾。生前は、剣の道に生きた男だ」

ゆり「へえ剣道ね、普通に戦力になりそうじゃない」

大山「でも、その剣道着の上のジャンパーはなんなの?」

謙吾「よくぞ聞いてくれた!」

大山「うわっ!なに!?」

恭介(謙吾の声のトーンとテンションが跳ね上がる)

謙吾「このジャンパーに気づくとは、お目が高い」

日向「いや、全員気づいてたからなそれ…」

藤巻「異様というか目立ちすぎだぜ…」

謙吾「これは俺が夜なべして作った、手作りのリトルバスターズジャンパーだ!」

恭介(そう言いながら、今度は背中のマークをみんなに見せつけた)

日向「リ、リトルバスターズジャンパー!?」

大山「ええっ!そんなのあったの!?」

藤巻「マジかよ、めちゃくちゃ格好いいじゃねえか!」

TK「It's so cool!!」

謙吾「はっはっは!そうだろう、そうだろう」

沙耶「謙吾くん、めっちゃご満悦ね」

恭介「正直、俺もあのジャンパーがここまで好印象なのは予想外だ…」

謙吾「だが、やらんぞ!これは俺のだ、羨ましいか?でもやらんぞ!」

野田「な、なんだと!?」

松下「それはずるいぞ!」

高松「リトルバスターズのジャンパーだというのなら、全員に支給し正式なユニフォームにするのが筋というものかと!」

恭介(ってかマジでもの凄い食いつきようだ)

恭介(お前らいつの間にそんなにリトルバスターズ好きになってくれてたんだよ…!)

ゆり「ちょっ!?こらそこ!戦線の制服はこれって決まってるでしょ!」

ゆり「悪ノリすんじゃないわよ!この馬鹿ども!」

恭介(ゆりっぺが負けじと制服のロゴを指差しながら、男どもを制する)

椎名「あさはかなり」

日向「っちぇー、わりと本気でありだと思ったんだけどなー」

野田「ゆりっぺの命令なら涙をのんで諦めるしかあるまい…!」

藤巻「くそ!無念だぜ!」

真人「なあ、これはコントなのか?俺は突っ込めば良かったのか?」

恭介「いつの間にか男どもは、順調に馬鹿になっていたようだな」

恭介(初めてここに来た時とは、随分みんなの空気が変わった気がするな。俺も嬉しいぜ)

ゆり「人事みたいに言うんじゃないわよ、諸悪の根源はあなたたち二人でしょうが」

遊佐「もはや馬鹿しかいないですね…」

ゆり「とにかく、どうせ宮沢くんも幹部志望なんでしょ?」

ゆり「剣に生きたと言うくらいなら、その剣の腕を見せてもらおうじゃない」

謙吾「構わないが、どうやって判断するんだ?」

ゆり「そうね、他の戦線メンバーと武器持って模擬戦でもやるとか…」

謙吾「却下だ」

ゆり「………は?」

恭介(ゆりっぺが唖然としている。無理もない)

恭介(まさか試験の方法を提示する側が却下などと言われるとは思わないだろう)

謙吾「俺の腕を見せるにしても、模擬戦なんて味気ないだろう?」

謙吾「俺としてはもっと楽しいやり方を提案したい」

ゆり「いや、これはいわば試験みたいなものなのよ!なんでそこに楽しさを求めるのよ!」

謙吾「せっかく何かに取り組むなら、楽しいことの方が良いに決まってるだろう」

沙耶「めちゃくちゃぶっ飛んだこと言ってるわね、まるで恭介くんみたい」

真人「あいつ見てると、俺がまともに思えてくるくらいだからな…」

恭介(ま、昔から一番の遊びたがりは謙吾だったからな)

恭介(あいつもやっと良い意味で素直になったというか、吹っ切れた感じがするぜ)

ゆり「…はぁ、わかった、確信したわ。その性格、まさに棗くんの友達ね」

謙吾「親友だ」

ゆり「いちいち言い直さなくてもいいわよ!」

ゆり「でも戦線のリーダーはあたしなの。悪いけど、ここではあたしのやり方に従って貰うわよ」

恭介「まあまあ、そう言うなゆりっぺ」

恭介(話の流れを見て、助け舟を出してやることにした)

恭介「ようはゆりっぺが謙吾の剣の腕を見れて、謙吾が楽しめる遊びを試験にすりゃいいんだろ?」

ゆり「…まあ、そりゃそうだけど」

沙耶「そんな都合の良い遊びあるの?」

真人「また何か思いつきやがったのかよ?」

恭介「まあな。と言ってもこれの考案者は俺じゃない」

恭介「とにかくここじゃ狭すぎるな。体育館にでも移動しようぜ」

恭介(思いついた案をまとめながら、ひとまず俺たちは体育館に移動することにした)

真人「あのよ、恭介」

恭介「なんだ、真人?」

真人「今から謙吾の剣の腕を試験するんだろ?それで体育館まで来たのはわかる」

真人「が、この山のような新聞紙はなんだ!?ってかどっから持ってきたんだよ」

恭介(真人が俺が運んできた新聞紙を指差しながら、そう言う)

恭介「俺は購買のおばちゃんと仲良いからな、貰ってきた。使わない古新聞紙だそうだ」

沙耶「いや、その古新聞紙でどうやって剣の腕を試験するのよ」

謙吾「ふっ。鈍いな二人とも、つまりはこういうことだろう?」

恭介(謙吾が新聞紙を丸めると、早速軽く素振りを開始している)

恭介「ま、そういうことだ。この新聞紙ブレードを使って、チャンバラごっこを繰り広げようって寸法だ」

ゆり「…チャンバラごっこねえ、それでちゃんと剣の腕が見れるのかしら」

恭介「見れるさ。全員が同じ武器を使い、決められたルールに乗っとって戦えば、自然と謙吾の強さも伝わるだろう」

ゆり「なるほどね。そういうとこはよく考えてるわよね、棗くんは」

日向「言っちゃ悪いが結構悪知恵が働くタイプだもんな、恭介って」

大山「ガキ大将みたいな感じだよね」

遊佐「その意見には異議を唱えます。どちらかというとゆりっぺさんと同じ、悪の帝王、女王タイプかと」

ゆり「遊佐さん!?」

恭介「まあルールは簡単。狙うのは頭だけ、それ以外の場所は無効だ」

恭介「斬るときには『かたじけのうござる』、斬られたやつは『無念なり』と言いながら一度倒れること」

恭介「起き上がったら即復活可能だ」

日向「あれ、全員参加なのか!」

恭介「そうじゃないと面白くないだろう?」

松下「だが、となると自然と弱いやつが狙われやすくなり、試験の意味が薄まるんじゃないか?」

恭介(なるほど、もっともな指摘だ。だが)

謙吾「ふっ、問題ない」

謙吾「戦線メンバー全員で俺にかかってこい、それくらいやってのければ文句なしで合格だろう?」

恭介(謙吾が新聞紙を構え、自信満々でそう言い放つ)

沙耶「そ、それは流石に無茶なんじゃ…」

真人「まあ見とけよ沙耶。結果はすぐわかるさ」

ゆり「…そうね、そこまで言うならやって貰おうじゃない」

ゆり「でも流石に全員ってのは一方的すぎるわ。戦線のモラルに反しかねない」

岩沢「ゆりもモラルなんて気にしてたんだな」

遊佐「ゆりっぺさんは、悪の女王キャラを地で行くタイプじゃないんですか?」

椎名「意外だな」

ゆり「うっさーい!いつ天使や教師に見られるかを考えたら当然の配慮よ!」

ゆり「ってか遊佐さん!?さっきからどんだけあたしを悪の女王キャラにしたいのよ!?」

遊佐「失礼しました」

恭介(すました顔で遊佐が頭を下げた)

高松「ですが、意外とまともな理由ですね」

藤巻「ゲス具合が足りないぜ、いつものゆりっぺらしくないな」

大山「なにか悪いものでも食べたのかなあ?」

ゆり「あんた達はあたしをどういうキャラだと思ってんのよ…!」

恭介「気持ちは分かるぜ、ゆりっぺ…」

ゆり「ともかく!男同士ならそれこそ、遊びの範囲で誤魔化せるでしょ」

ゆり「だから宮沢くんには、戦線の男子全員を相手してもらうわ」

ゆり「棗くんと井ノ原くんは、手加減とかしないように除外ね」

真人「へっ。俺が謙吾との勝負で手なんか抜くかよ!」

恭介「まあ落ち着け真人。残念だが、今日の主役は謙吾だ」

恭介「見せ場を譲ってやろうぜ」

野田「ふん、当然のように俺たちに勝つつもりでいるのは気に入らんな!」

大山「新聞紙ならとりあえずの条件は同じだから、僕でもなんとかなるかな?」

藤巻「大山、それ死亡フラグっていうんだぜ」

TK 「MFD(Marked For Death)!!」

松下「ともかくそう簡単には負けられんな」

高松「ええ!相手もかなりの筋肉ですが、私たちの前に敵はありません!」

日向「まあなるようにやってみますか!」

恭介(それぞれが新聞紙を巻きながら、意気込みを語り始める)

沙耶「ってかすごいシュールな光景ね…」

ゆり「ほんと、最近の戦線の在り方には、ほとほと不安を感じるわ…」

恭介「ま、その分全員乗り気なんだ。きっと面白い勝負になると思うぜ」

恭介「さあ、お前ら準備は出来たか!」

謙吾「どこからでもかかってこい」

日向「俺達にも意地があるからな、そう簡単には負けねーぜ!」

日向「全員気合入れて行くぞー!」

戦線男共「「「おおっ!!」」」

岩沢「なんだかワクワクするな…!」

遊佐「!?岩沢さんまで、恭介病に…!」

恭介「人を病原菌扱いすんじゃねえ!」

恭介(ってかお前も大概馬鹿になり始めてるからな、遊佐)

恭介「制限時間は10分、さあ始めるぜ!バトル、スタートだ!!」

日向「続けぇーっ!!」

恭介(俺の合図と同時に、男どもが日向を先頭に謙吾に向かって駆ける)

恭介(ついに謙吾の戦線入りを賭けた戦いが幕を開けた…!)

恭介「ところでな遊佐、丁度良い機会だ。お前ちょっとこっち来い」

遊佐「?」

遊佐「なんでしょうか棗さん?」

恭介(遊佐がスタスタとこっちに向かって歩いてくる)

恭介(ってかこいつの歩くとこ見るのすら、始めてかもしれない)

恭介「まあこっちの椅子に座れ」

遊佐「はぁ…」

恭介(遊佐を椅子に座らせると、俺は隣の椅子に腰掛け、新聞紙で作ったマイクを握った)

恭介「さあ始まりました!謙吾vs戦線男メンバーによる仁義なき戦い!」

恭介「実況は私、棗。解説には遊佐さんお呼びしています!遊佐さん、今日はお願いします!」

遊佐「!?」

遊佐「どういうことですか?棗さん!」

恭介「いやお前も見てたろ。真人の腕相撲の時、俺と大山で実況・解説してたの」

恭介「今日は大山がいないから、俺が実況、遊佐が解説で頼むぜ」

遊佐「私がそんなことに付き合う意味はありません」

恭介(案の定反抗してくる。だが、今日の俺には勝算があるぜ!)

恭介「なあゆりっぺ。遊佐が解説役で良いよなー?」

遊佐「愚かですね。ゆりっぺさんがそんな許可を出すわけ…」

ゆり「許す、リーダー命令よ!遊佐さん、きっちり解説役務めなさい♪」

遊佐「!?」

岩沢「ゆり。お前さっきの悪の女王発言、根に持ってたんだろ?」

ゆり「さ~て、なんのことかしら~♪」

沙耶「自業自得ね…」

真人「哀れだぜ…」

すみません、途中ですが電話が来たので一時中断します
少し遅くなるかもしれませんが、終わり次第再開します

遊佐「くっ…。なぜ私がこんなことを…」

恭介「どうした?もしかして満足に解説できないのが怖いのか?」

遊佐「…挑発のつもりですか?」

恭介「戦線のオペレーターとしてプライドありそうだもんなぁ」

恭介「俺の実況に釣り合う解説は至難の業だからなぁ」

遊佐「そんな安い挑発に乗るほど、私は…!」

恭介「さて遊佐さん。謙吾選手は巫女萌えという情報が入ってるのですが、そこのところどうでしょうか?」

遊佐「巫女服にはどこか神聖な面持ちがありますからね」

遊佐「好きな男子も多いのではないでしょうか」

ゆり「めっちゃノリノリだーっ!?」

真人「今のかなりキラーパスだったんじゃねえのか…?」

沙耶「戦線のオペレーターは伊達じゃないわね…!」

椎名「…恐るべし、恭介病」

恭介「なるほど。ということは着物を着た女性にも弱いのかもしれませんね」

遊佐「そうですね。Key作品でいうなら神名備命や裏葉に弱いタイプでしょう」

遊佐「AIRは屈指の神ゲーです。今の時期にもぴったりなので、是非未プレイの人はお試しください」

恭介「ダイレクトマーケティングありがとうございます!」

恭介「さて、気になる謙吾選手の様子ですが…」

謙吾「めーん!めーん!めぇーん!」

バシッバシッバシッ

大山「無念なりー!」

高松「無念なりー、です…」

藤巻「くそっ!無念なり!」

恭介「必要最小限の動きで確実に捌いていますね!」

遊佐「冷静に敵の動きを見極めているからこそ、出来る芸当ですね」

遊佐「しかし棗さん、宮沢選手の声に注目してみて下さい」

恭介「声ですか!?はっ、これは!!」

謙吾「めぇーん!めえええん!むえええん!」

恭介「めーん!がどんどん変化してますね!」

遊佐「はい、それと同時に動きのキレが増しているように思えます」

藤巻「くっそ!埒が明かねえ!」

松下「もう何回無念になったかわからんな…!」

日向「囲い込め!全員で同時にかたじけのうござる、だ!」

野田「やむを得ん…!」

TK「That sounds good!!」

恭介「ここで野郎どもは包囲作戦に出ました!遊佐さんこれは…!」

遊佐「効果的ですね、包囲されると逃げる術がありませんから」

恭介「なるほど!」

戦線男共「「「かたじけのうござるー!!」」」

謙吾「ふっ。はあっ!!」

バッ

大山「えっ!?」

野田「なに…!?」

恭介「謙吾選手飛んだーっ!逃げ場のない中、ジャンプで躱しました!」

遊佐「まるで神奈のような飛翔力ですね。素晴らしい身体能力です」

日向「逃がすな!壁際に追い詰めたらもう躱せないはずだ!」

高松「回り込んで追い込みましょう!」

藤巻「言われなくてもわかってるぜ!」

恭介「男どもはそのまま壁際に追い込む作戦に出ました!」

遊佐「いいですね、壁際だと今のように、空中で距離を取るのにも限界がありますから」

恭介「じわりじわりと追い込まれて行きます!もはや袋の鼠だー!」

沙耶「やばいわね、思いの外良いチームワークだわ…」

ゆり「馬鹿どもの癖に良い動きしてるわね」

椎名「これが絆の力か…!」

謙吾「ちっ!」

恭介「ついに追い込まれました、謙吾選手!!」

遊佐「絶対絶命ですね」

沙耶「真人くん、黙ってないで応援しないと!」

真人「必要ねえよ」

沙耶「真人くん!?」

真人「いいから黙って見とけ」

日向「今度こそ貰ったぜ!行くぞーっ!」

戦線男共「「「かたじけのうござるー!!」」」

謙吾「うおおおりゃあああっ!!」

ダンッ

恭介「なんと謙吾選手壁をっ!!」

遊佐「駆け上がりましたね。そしてこの態勢きますよ、棗さん!」

謙吾「まーーーーーんっ!!」

スパパパパパァン!

恭介(空から落下しながら、全員の頭に同時に面を叩き込んだ)

ピッー!

ゆり「そこまでよ、ゲーム終了!」

恭介「思わず言葉を失いましたが、遊佐さんこれは…」

遊佐「まるで空を飛ぶかのような動きでしたね。神奈好きが高じた結果でしょう」

恭介「最後まで熱いAIR推し、ありがとうございました」

沙耶「さすがに今の動きは予想外だわ、スパイ顔負けね…」

真人「言ったろ、だからあいつはすげえんだよ」

日向「くっそー!最後まで一度もかたじけられなかったぜ…」

野田「ハルバードさえあれば…」

松下「少なくとも剣の土俵だと、俺達では相手にならんな」

大山「悔しいけど完敗だね」

謙吾「なに、今回は俺の得意な遊びだったからな」

謙吾「今度は別の遊びでも勝負しよう」

恭介(謙吾がとても爽やかな笑顔で、男どもに握手を求めている)

恭介「あー、謙吾。良い気分に浸ってるとこ悪いんだが、一つ言わなきゃならないことがある」

謙吾「ん?どうした、恭介」

恭介「お前、失格な」

謙吾「な、なにぃぃぃぃぃ!!」

謙吾「どういうことだ!まるでわけわからんぞ!」

恭介(目を見開いて、抗議してくるがお前大事なこと忘れてるぜ)

恭介「お前、一度も『かたじけのうござる!』って言ってないだろ」

恭介「ルール違反ってことで、遊びとしてはお前の負けな」

ゆり「あ、そういえばめーん!とかまーん!しか言ってなかったわね」

謙吾「し、しまったあああああ!まさかこの俺がそんなミスをおかすとは…」

真人「調子に乗ってはめ外し過ぎだ、バーカ」

遊佐「やはり馬鹿ですね」

恭介(思いっきりショックを受けながら、地面に手をついて頭を下げた)

恭介(さながら土下座ポーズだぜ)

恭介「ま、こういうこともあるさ。ところで遊佐、今の実況と解説で俺たちにも友情が…」

遊佐「ありえません」

恭介「とか言って実は…」

遊佐「ありえません」

恭介「ちょっとくらいは…」

遊佐「ありえません」

恭介「………」

遊佐「………」

恭介「うわああああああっ!!」

大山「うわあ、恭介くんまで土下座ポーズに!」

日向「さすがに女子相手は、そう簡単にはいかないみたいだな」

真人「ったくしょうがねえやつらだぜ、ほら立てよ二人とも」

恭介(真人が俺たち二人に手を差し伸べてくる)

謙吾「真人、こんな馬鹿な俺にもお前は手を差し伸べてくれるんだな…」

恭介「俺たちは馬鹿なんだぜ…?一緒にいたらお前まで馬鹿になるぞ」

真人「今更なに言ってんだよ、俺だって馬鹿なんだからおアイコだろ?」

真人「俺たちの絆はこの程度じゃ、どうともなんねえよ!」

謙吾「真人…!」

恭介「真人…!」

ゆり「あれ、この流れ前にも見たような気が…」

野田「やるのか…!真人!」

高松「ということは…!」

松下「俺たちの出番だな!」

TK「Come on,Get Started !!」

恭介(みんなのやる気も最高潮だぜ!)

真人「よっしゃやるぜ!筋肉旋…」

ゆり「ちょっと待ったー!『筋肉旋風』は禁止!!」

男共「「「ええーーーっ!?」」」

恭介(ゆりっぺからまさかの『筋肉旋風』禁止令が出されてしまった…!)

ゆり「ええーーーっ!?じゃない!懲りずに同じネタ使い回すんじゃないわよ!」

謙吾「俺はまだ筋肉いえい、いえーい!やってないんだぞ!?」

ゆり「知らないわよ!それたもまた延々と正座で説教されたいの!?」

真人「くっそぉ…、こいつはキツイぜ…」

大山「まさか筋肉旋風に禁止令が出されちゃうなんて…」

藤巻「なにか手はねえのかよ!?」

恭介(ゆりっぺにこれだけ強く言われたら従うざるを得ない。万事休すか…!)

謙吾「ふっ。手ならある!」

日向「本当か!?」

恭介「謙吾、まさか出すのか!あれを!」

謙吾「ああ。筋肉が封じられた今、俺たちに残るのは『絆』のみ!」

謙吾「さあ始めよう、『絆スキップだ』!!」

沙耶「絆スキップ…!?」

ゆり「あんた達どんだけネタあるのよ…」

岩沢「本当に愉快な青春を送ってたんだな、棗たちは」

謙吾「さあ、みんな肩を組め!絆スキップスタートだぁ!」

恭介「いやっほぅー!絆スキップ最高ーっ!」

謙吾「スキップいえい、いえーい!スキップいえい、いえーい!」

真人「スキップいえい、いえーい!スキップいえい、いえーい!」

恭介「スキップいえい、いえーい!スキップいえい、いえーい!」

ズコッ

ゆり「筋肉がスキップになっただけじゃないのよーっ!!」

遊佐「むさ苦しい男たちのスキップ…」

岩沢「またすごい絵面だな…」

椎名「あさはかなり」

日向「スキップいえい、いえーい!スキップいえい、いえーい!」

藤巻「スキップいえい、いえーい!スキップいえい、いえーい!」

野田「スキップいえい、いえーい!スキップいえい、いえーい!」

松下「スキップいえい、いえーい!スキップいえい、いえーい!」

高松「スキップいえい、いえーい!スキップいえい、いえーい!」

TK「Skipいえい、いえーい!Skipいえい、いえーい!」

大山「スキッ…プ、いえい、いえーい!スキップ、いえ…い、いえーい!」

椎名「身長差のせいか、大山がピンチだぞ」

岩沢「ブランブラン揺られて、今にも吐きそうだな…」

遊佐「ゆりっぺさん」

ゆり「ああもう、またこうなるのね…」

沙耶「でもなんか普通に楽しそうじゃない?あたしちょっと、やってみたいんだけど」

ゆり「よーしやるわよ!すぐやるわよ!今からやるわよ!絆スキップ!」

遊佐「正気ですか!?ゆりっぺさん!!」

椎名「あれに混ざるのか…?」

ゆり「女子だけよ!女子だけの絆スキップよ!」

ゆり「男どもに負けない、あたしたちの絆を見せつけてやるのよ!」

岩沢「それは普通に楽しそうだな」

沙耶「やったあ!じゃあやりましょう、絆スキップ女子バージョン!」

椎名「ふっ。仕方ない、付き合おう」

遊佐「あの、私はそういうキャラじゃないんですが…」

ゆり「リーダー命令♪」

遊佐「…鬼、悪魔、ゆりっぺさん」

ゆり「とにかくやるわよ!絆スキップー!!」

ゆり「スキップいえい、いえーい!スキップいえい、いえーい!」

沙耶「スキップいえい、いえーい!スキップいえい、いえーい!」

岩沢「スキップいえい、いえーい!スキップいえい、いえーい!」

椎名「スキップいえい、いえーい!スキップいえい、いえーい!」

遊佐「…スキップ……えい。スキップ………いえい」

ゆり「遊佐さん!!」

遊佐「スキップいえい、いえーい///!スキップいえい、いえーい///!」

恭介「俺たちも負けるなぁ!もっともっと絆を深めるんだぁ!」

男共「「「おおっ!!」」」

大山「お、おおー…」

ゆり「男どもに負けるんじゃないわよー!もっと声出しなさい!」

女共「「「おおーっ♪」」」

遊佐「…お、おおー///」

恭介(俺たちの絆スキップはいつまでも続いた。いつまでも続くかと思われた)

恭介(だが…)

大山「けげごぼうぇ!」

恭介「すまん、大山しっかりしろ!」

謙吾「そういえば理樹の時もこうなったから、絆スキップは封印したんだったな…」

真人「…忘れてたぜ。おい大山、大丈夫か!マッスルエクササイザー飲めよ!」

謙吾「そんなもん飲ますな!水だ、水!」

ゆり「ごめんなさい、予想外に楽しくて止めるの忘れてたわ…」

沙耶「ゆりは悪くないわ、そもそもあたしが…」

恭介「いや、そもそもは俺たちの責任だ。残念だが、絆スキップは封印だな…」

ゆり「そうしたほうが良いわね」

遊佐「…ほっ」

岩沢(楽しかった…、今度ガルデモでも絆スキップやろう…!)

ゆり「ああ、そういえばすっかり忘れてたわ。宮沢くん、あなたの試験、合格よ」

謙吾「いいのか!?」

ゆり「遊びでは失格だったかもしれないけど、能力としては申し分ないもの」

ゆり「合格にしない理由が無いわ」

謙吾「やったぞぉー!」

恭介(沙耶の時のように、まるで子どものようにはしゃぐ謙吾)

恭介(またお前と一緒に過ごせそうで、俺も最高に嬉しいぜ)

ゆり「ただし、あなたの戦う理由を教えてもらうわよ」

謙吾「戦う理由…だと?」

ゆり「リトルバスターズ戦線は、戦うための組織なのよ」

ゆり「この死後の世界で抗うための、神と戦うための組織」

ゆり「だから、あなたがここで戦うための理由だけは、教えて欲しいの」

恭介(神を誰よりも憎むゆりっぺにとっては、能力よりもこっちのほうが重要なことなのかもしれない)

恭介(お前もゆりっぺの覚悟は感じてるはずだ、謙吾お前はどう答える…!)

謙吾「………」

謙吾「俺は剣の道に生きた男だ。強くなるために、勝ち続けるために」

謙吾「それは俺にとって生活の一部そのものだった」

謙吾「…だがそれでも、辛い苦しみに陥った人を、救う強さが俺には無かった」

恭介(………謙吾)

謙吾「鍛えたこの腕も報われず、なによりも大切な友達を置き去りにしてしまった…」

謙吾「だから今度こそ俺は、俺の大切なものを守ってみせる」

謙吾「俺の持てる力の全てを掛けて、永遠を望むためじゃなく…」

謙吾「みんなで共に過ごせる未来を掴むために!」

恭介(拳を握り、毅然とした態度で、真っ直ぐにゆりっぺを見つめる)

恭介(俺のよく知っている謙吾の姿だ)

恭介(幼さや甘さともいえるものかもしれない)

恭介(でも誰よりも、みんなとの時間を望むあいつだからこそ)

恭介(誇示し続けられる強さだろう)

ゆり「あなたも、辛い生前を生きてここに来たのね」

謙吾「それでも幸せな人生だったと、思うことは出来るんだけどな」

謙吾「それでも納得がいっているわけじゃない。だから、頼む。俺に戦う場所を与えてくれ!」

ゆり「もちろんよ、期待してるわ。宮沢くん!」

謙吾「ああ、任せてくれ。ゆりっぺ」

恭介(そうして、二人は握手を交わした)

恭介(ついにあの世界を支え続けた三人が揃ったってわけだ)

恭介(これから、どんな過酷が待っていようと、みんなと一緒なら乗り越えられる)

恭介(俺はそんな確かな確信と希望を感じていた…!)

沙耶「ところで男子はともかく、あたしたちはなんの問題もなかったし、またたまに絆スキップやらない?」

ゆり「いいわね!たまには馬鹿やるのも楽しいわよね!」

岩沢「ああ、いいアイデアだ!」

椎名「私達も楽しむことは必要だな」

遊佐「…勘弁して下さい」

恭介(そうして今日も夜が更けていった)

今日は以上です
無事、2スレ目に突入しました

皆さんの感想や励ましが無かったらとっくに心折れてたと思います
本当にありがとうございます

次回からは自由行動回になります
お楽しみに

プレイ済です

以前から恭介がAB世界に来たらどうなるかって事に興味があり
ABゲーム版をプレイして創作意欲が強まりSSを書き始めた次第です

アニメやゲームのネタもなるべく取り込みたいと思っていますが、最終的には原作とはかなり違う展開になる予定です

お待たせしました

本日21時頃再開します
自由行動回ですが、一部の選択肢だけくちゃくちゃ長いので少し早い時間から再開します

感想・励まし本当にありがとうございます

謙吾「そこの筋肉たち止まりなさーい!」

真人「止まれと言われて止まる筋肉なんかいねーよ!べろべろばー!」

ドタドタドタドタ

恭介(翌日、朝食の場)

恭介(謙吾に追い回されるバカルテット四人のせいで、いつもよりかなり騒々しい)

藤巻「なんだよ、あれ…?」

恭介「真人が謙吾のカツを盗み食いしたんだと。ま、いつものことさ」

野田「筋肉、筋肉~!」

松下「筋肉、筋肉~!」

高松「筋肉、筋肉~!」

日向「周りの三人は…?」

恭介「ただ便乗して走ってるだけだ」

日向「アホだな…」

TK「Oh,Kinniku Carnival!!」

大山「朝からカツが食べれるなんて、謙吾くんも真人くんもすごいなあ」

藤巻「大山。ズレてる、ズレてる」

NPC1「うわぁ!」

NPC2「ひぃ!」

恭介(ドタドタ走り回る男5人のせいで、NPCがまたも怯えている)

日向「大丈夫なのかよあれ…、NPCに迷惑かけてんじゃん」

真人「筋肉が通りまーす!白線の内側までお下がり下さーい!」

謙吾「どいて下さーい!暑苦しい筋肉たちが通りまーす!道を開けて下さーい!」

恭介「自分たちから注意促してるからセーフだ」

藤巻「そういうもんかよ…」

恭介「そういうもんだ」

恭介(俺はカップゼリーをかっこみながら、そう言う)

恭介(やはり、俺たちの世界にあったのと同じやつみたいだ)

恭介(俺の推理が正しければ…。いや、まだそう判断するには確証が足りないな)

恭介(もっと情報を集める必要があるぜ)

大山「でもなんだかどんどん賑やかになって、最近すごい楽しいよね」

藤巻「昨日、けげごぼやってたやつの台詞とは思えねえな?」

恭介(藤巻がニヤッと笑いながら、大山をからかう)

恭介「いや、昨日はほんとに悪かったな、大山。俺の判断ミスだ」

大山「あはは、全然いいんだよ。ああいう失敗も青春だよ!」

恭介(すげえ良い笑顔だぜ。あれで本気で楽しかったみたいだな)

日向「ついでに馬鹿どもの筋トレに付き合って、半分死にかけたとも聞いたぜ」

大山「あれはストッパー役の真人くんが、途中で恭介くんに呼ばれちゃったから…」

藤巻「真人がストッパー役なのかよ。なんか意外だな」

恭介「あれでわりと常識人なとこあるからな」

恭介「特に筋肉に関してはうるさいから、無理な筋トレなんかはさせないんだろ」

真人「筋肉がうなる!うねりをあげる!」

ドタドタドタドタ

日向「………。常識人?」

恭介「…前言撤回だ。忘れてくれ」

藤巻「オーケー。何も言うな、忘れてやるぜ」

大山「あはは。でもせっかくだから女子のみんなとも、一緒に朝食とれるようになるといいのにね」

日向「気持ちはわかるけど、難しいだろうな。特にゆりっぺとか遊佐あたりが強敵だぜ?」

恭介「なに、トルネードの夜は一緒に食ったじゃないか。別に仲悪いわけでもなし、不可能じゃない」

藤巻「またなんか思いついたのかよ?悪巧みに関しては、マジで底が無えな恭介は」

恭介「ま、まだアイデアを思いついた程度だけどな。そのうち実行してやるさ」

日向「つくづく、すげえのを戦線に入れちまったよな俺たちも」

日向「ゆりっぺも、沙耶の影響なのかどんどん馬鹿になり始めてるし」

藤巻「遊佐もノリノリで解説してたよな…」

大山「いずれ全員が恭介病に感染して、戦線が馬鹿の集まりになっちゃうかもね!」

藤巻「笑えねえぜ…」

恭介「しれっと俺を病原菌扱いすんなっての」

恭介(でもまあ、女子たちがはっちゃけ始めてるのは良いことだ)

恭介(ここいらで更にダメ押しのきっかけが欲しいとこだな)

恭介(色々考えながら、今日は適当にブラブラしてみるか)

選択安価 残り4回

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1 本部
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3 音楽の聞こえる教室
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5 橋の下(川)←NEW!

21:15:00:00
↓1

恭介(空き教室へと足を運ぶ)

恭介(岩沢が鼻歌を歌いながら、ギターをつま弾いていた)

恭介(たまに、ノートにペンを走らせている)

恭介(作曲中か?邪魔すると悪いから、今日は出直すか)

恭介(いや、そういや演奏中に俺が入っても気づきやしない、とか言ってたな)

恭介(せっかくだからお邪魔してみるか)

恭介(ドアを開け、教室に踏み入り、岩沢の席の隣に座る)

岩沢「…ふふ~ん…ふふ~ん…うん、悪くない」

恭介「なるほど、本当に全く気づいてないな。すげえ集中力だ」

岩沢「…おっと、これじゃ、焼き直しになっちまうな。ふふふ~ん…と」

恭介「おお、声すら届いてないぜ」

岩沢「ふふ~ん、と…ここは、ベースはクリシェして降りていって欲しいな…」

恭介(マジで俺に気づく気配が無い)

恭介(となると、意地でも気づかせたくなるのが男心ってやつだぜ)

恭介(さて、どうするか。ん、待てよ…)

恭介(俺は名案を思いつき、小声でも岩沢に聞こえるくらいの距離まで近づく)

恭介(そして…)

恭介「find a way あたしも~♪」

恭介(どうだ…?)

岩沢「………find a way あたしも~♪」

恭介(おっ、反応している!小声だが確かに歌っている!)

恭介「song for 歌うよ~♪」

岩沢「…song for 歌うよ~♪」

恭介(少しずつ俺もボリュームをあげる)

恭介「rockを響かせ~♪」

岩沢「rockを響かせ~♪」

恭介(いける!こいつはいけるぜ!)

恭介「crowと歌うよ!」

岩沢「crowと歌うよ!」

恭介「はい!」

パンッ

恭介(盛り上がりの部分を終えると、合図とばかりに手を叩いた。すると)

岩沢「いつまでそんなと~ころに居るっ♪」

岩沢「そう言う奴もい~た気がするっ♪」

岩沢「うるさいことだけぇ言うのなら♪」

岩沢「漆黒の羽にぃさらっわ~れ~てぇ♪」

岩沢「消えって~くーれぇーーーっ!!!」

恭介「………」

岩沢「………」

恭介「………」

岩沢「………」

恭介「………」

岩沢「…ふぅ。あのな棗、人を音楽キチみたいにからかうのはよしてくれ」

恭介「………」

岩沢「ん、棗?」

恭介「ヤバイ」

岩沢「は?」

恭介「…生Crow Song!こんな間近で、しかも俺の好きな部分を、熱唱してもらえるとは…!!」

恭介「ヤバイ!マジでこの上なく感動した!」

恭介(俺は財布を取り出し、やつを掴む!)

恭介「さらば、諭吉ぃーーーっ!!」

岩沢「アホか!!」

ポカっ

恭介「あべしっ!」

岩沢「まったく、金取るために歌ったわけじゃないっての!」

恭介「すまん、俺なりのジョークだ」

岩沢「いやまあ、わかってるけどな…」

恭介「お前の歌は、諭吉なんかじゃ全然足りない」

恭介「金なんかじゃ引き換えに出来ない価値だからな!」

岩沢「………また、お前はそういうことを言う」

恭介「ちなみに今のはジョークじゃない、マジだ」

岩沢「わかってるよ。いい加減あたしも、お前がどういう奴かわかってきたしな」

恭介(岩沢がギターを置いて、俺に視線を向ける。どうやら一応は興味を向けてくれたらしい)

岩沢「つーかな、棗。今思ったんだけど、お前結構良い声してるな」

恭介「は、声?」

恭介(何を言われるかと思ったら、まさかの俺の声についてだった)

恭介「そうか?あんま自分で意識したこと無いけどな」

岩沢「いや、音楽キチのあたしが保証するよ。お前はボーカル向きの声だ」

岩沢「ロックバンドとか始めたら、いい線行きそうな気がする」

恭介「まあ一応、アコギぐらいなら弾けるが」

岩沢「なに!?そうなのか!え、お前素人とか言ってなかったか?」

恭介(すごい食いつきようだ。そういや前にそんな話したな)

恭介「素人だぞ。あくまで趣味の範囲だからな」

恭介「男ってのは思春期になると、星空の下の河川敷で、ギター弾きながら歌いたくなるもんなんだよ」

恭介「これを、中2病という」

岩沢「なに!?じゃあ男は中2になると、みんなそんな病気にかかるのか!?」

恭介「そうだ(大嘘)」

岩沢「なんだよー、めちゃくちゃ羨ましいじゃねーかよ。なんで女子にはかからねーんだよ、中2病ー!」

恭介(俺の大嘘を思いっきり間に受けながら、頭を抱えている…)

恭介「岩沢、前から思ってたんだが、お前結構天然だよな…」

岩沢「なんだよ、急に褒めんなよ!どうしたんだよ、棗ー!」

恭介(かと思ったら、嬉しそうにノリノリでギターをジャカジャカ言わせ始めた)

恭介(…わけがわからない。そう思っていたら、岩沢が疑問の答えを話し始めた)

岩沢「ひさ子から聞いたぜ。天然っていうのは」

岩沢「『一つの事に一生懸命過ぎて、他が周りからズレてるくらいに情熱を燃やしてる奴』」

岩沢「って意味なんだろ?」

恭介(…なんとなくだが、ひさ子がどういう場面で、そんなフォローをしたのか容易に想像がつくな)

関根『げへへ、ぐふふ』

恭介「99%あいつ絡みだろうな」

岩沢「ん、どうした?」

恭介「いや、なんでもない。まあそういう解釈で合ってるぜ」

岩沢「だろ?ま、あたしは自他共に認める音楽キチだからな~」

恭介(見るからに上機嫌になる)

恭介(なるほど。音楽が絡むとここまで愉快なやつになるのか、岩沢は)

恭介(良い事を知ったぜ)

岩沢「あ、でもな棗。お前も天然だよな」

恭介「どうした、いきなり?」

恭介(よくわからんが、岩沢の基準だと、俺は今褒められてるらしい)

岩沢「あたしは音楽。お前は楽しいこととか、遊びとかに対して情熱を燃やしてる。違うか?」

恭介「なるほどな、そういう意味か。ならご明察、と言っておこうか」

岩沢「まあ、実を言うとお前が天然だってこと、最初から気づいてたんだけどな」

恭介「最初?どういう意味だ」

岩沢「ほら、お前がみんなの前で、戦う理由を話した時のことだよ」

恭介『この世界の秘密を、暴くためだ!!』

恭介『それとここからが重要なんだが…、ワクワクするだろ?』

恭介『どうだ!?すっげー面白そうだろ!?』

恭介『何かに取り組むなら、楽しむことを忘れちゃ意味ないからな!』

恭介「ああ…、あの時か」

恭介(そういやあの時、最初に俺の話を聞いて笑い始めたのは岩沢だったか)

岩沢「あの時、思ったんだよ。ああ、こいつはあたしと同じ天然、いや大馬鹿野朗だってな」

岩沢「しかもただの馬鹿じゃない。お前の言葉を借りるなら、あの時のお前の話には『魂』がこもってた」

岩沢「無茶苦茶なこと言ってるのに、理屈なんか飛び越えてあたしの心に響いてきた」

岩沢「だからあたしは初っ端からお前のこと気に入ったんだよ」

岩沢「こいつは、あたしと同類なんだってのを感じたからな」

恭介「そうか、そうだったんだな」

恭介(岩沢が最初から俺に好意的だったのは、そういう理由だったのか)

恭介(確かに、そういう意味じゃ俺と岩沢は同類だろう)

恭介(情熱を向けているものが違えど、見ている方向はきっと同じなんだからな)

岩沢「あ、悪い。こんな音楽キチと同類扱いされるのは嫌だったか?」

恭介「それこそ馬鹿言うな。お前にそう思われてたなんて、光栄なくらいだ」

岩沢「そうか、サンキューな。棗」

恭介「礼を言われるようなことじゃないだろ?」

岩沢「そうかもな。でも、もし生前にお前と会ってたら、あたしの人生ももう少し変わってたのかもな…」

恭介「岩沢?」

岩沢「いや、それは無いか。だって棗も『ここ』にいるんだもんな…」

恭介(顔を少し伏せている。声のトーンも下がっている)

恭介(今の話の流れで、嫌なことでも思い出したんだろうか?)

恭介(なら聞いてやるべきだ。同類である俺なら、もしかしたら力になれるかもしれない)

恭介(仮に力になれなくても、話すだけで少しは楽になれるかもしれない)

恭介「なにか悩みでもあるなら、相談に乗るぞ」

岩沢「別に悩みなんてもんじゃないよ。ただ、達観してるだけ」

岩沢「棗、お前ならわかるだろ?」

岩沢「あたしたちみたいな天然の馬鹿が、世間でどういう扱いを受けるか」

恭介「………」

恭介(それだけで、岩沢が何を言おうとしているのかが、俺にはわかってしまった)

岩沢「馬鹿だの、変わり者だの、常識外れだのって理由だけで、嫌われて、疎まれる」

岩沢「あたしからすれば、そんな狭い世界で生きるほうが息苦しいってだけなのに」

岩沢「そんな世界のほうがよっぽど汚れてて、醜く見えるってだけなのに」

恭介「岩沢…」

岩沢「けど、そういう奴は、大抵長生き出来ないものなんだろうな」

岩沢「世間とか、大人たちとか、あるいは『神』とやらに押し潰されるのが関の山だ」

恭介「それはちが…」

岩沢「違うとは言わせないぜ、棗。なら棗、お前はなんで『ここ』にいる?」

岩沢「あたしはなんで『ここ』にいるんだ…?」

恭介(声を遮られ、問いかけられたのは俺たちがここに、『死後の世界』にいる理由)

恭介(ただ、答えるだけなら簡単だ。それは、未練や後悔があるから)

恭介(だが、岩沢が言っているのはそういうことじゃない)

恭介(俺達が馬鹿だから、世間や大人や、あるいは神に追いやられた)

恭介(その果てにこの世界に来てしまった。そういうことだろう)

恭介(思えばCrow Songもそうだ)

恭介(あの歌は、そんな生前の出来事に対する憤りが込められた歌)

恭介(岩沢にとっての、反抗の歌なんだ)

恭介「………」

岩沢「悪い…、変なこと言ったな。お前を責めるつもりなんてなかったんだ。許してくれ…」

恭介「別に気にしてないさ」

岩沢「そうか、ありがとう…」

恭介(そこで立ち上がると、窓を開けて、岩沢は風を受けた)

恭介(前と同じように、岩沢なりの気分転換の方法なのかもしれない)

岩沢「変な話したけどさ」

岩沢「あたしは生前がそんな感じだっただけに、ここの生活は気に入ってるんだ」

岩沢「授業サボって、好き勝手やってたら、それなりに良い場所だからな」

岩沢「ガルデモもいるし、棗たちみたいな楽しい連中もいる」

岩沢「ここでなら無限に生きられる。ずっと馬鹿のままで音楽だけやってられる…」

恭介(背中を向けたまま、岩沢はそう語る)

恭介(その背中に、問いかけなければならないことがあると俺は感じた)

恭介「岩沢、お前は後悔しているのか?」

岩沢「えっ?」

恭介「馬鹿みたいに音楽に情熱を注いだ、お前の人生を」

恭介(岩沢が振り返る、可愛いというよりも、凛々しい印象の赤い瞳)

恭介(その瞳を見つめながら、俺は岩沢の答えを待つ)

岩沢「後悔は…していない…。あたしはあたしのやりたいように生きただけだ」

岩沢「でも、得られたものは何も無かった。あたしが最期にどうなったか教えてやろうか、棗」

岩沢「父親に殴られたのがきっかけで、脳梗塞を発症」

岩沢「目覚めた時には失語症とやらで、声も出なくなった」

岩沢「なにも残せず、あたしにとっての全てだった音楽すら奪われて、そのまま…死んだ」

岩沢「そして、この世界に来たんだ」

恭介(岩沢の最期。それは大好きな音楽を続けられなくなったという顛末)

恭介(理不尽な不幸で、岩沢にとっての全てといえるものを失った)

恭介(そして、失意のまま命を落としたのか…)

岩沢「馬鹿が生きるってのはそういうことだ」

岩沢「棗、お前は確かバス事故だったな。あたしよりよっぽど理不尽な死に方だったろ?」

岩沢「馬鹿やり続けて、いきなり理不尽な目に合って、そして命を落とす」

岩沢「そんな人生認められないだろ?」

恭介(だから、俺に同意を求める。同類だと感じているから)

恭介(同じ憤りを抱いて、この世界に来たんだとそう思っているから)

恭介(だからこそ、突きつけなければならない)

恭介(その憤りは間違っていることを、岩沢に対して)

恭介「岩沢、お前が今考えてることを当ててやるよ」

岩沢「えっ?」

恭介「お前はこう思ってるんだろ?」

恭介「同じように馬鹿やり続けて死んだであろう俺は、自分と同じ憤りを抱えているはずだと」

恭介「お前はさっき後悔していないと言ったな。でも、本当は後悔してるんだ」

恭介「もう少し器用だったら、もっと上手く生きることが出来たなら」

恭介「自分は死ななかったはずだ。音楽を続けて、得られたものがきっとあったはずだと」

岩沢「………!」

恭介「だから俺に問いかけた。だが、違うんだ、岩沢」

恭介「俺は、俺の人生に一片の後悔もない」

恭介「最期まで俺らしさを貫いた人生を、誇りに思っている」

岩沢「…じゃあ、なんでお前はここにいるんだよ!」

恭介(岩沢が俺に疑問をぶつけてくる)

恭介「俺がここに招かれたのは、後悔が理由じゃない」

恭介「俺には守らなければならないものがある」

恭介「一度、命を落としてもそれだけは諦められなかったんだ」

恭介「だからお前とは違う、お前の感じている憤りを俺は感じてはいない」

岩沢「お前もか…、お前も…」

岩沢「あたしの情熱は間違っていたって、あたしの人生は間違っていたってそう言うのか…!」

恭介(俺の言葉を拒絶と捉えたんだろう)

恭介(同類だと思っていたのに、わかってもらえると思っていたのに)

恭介(だから、俺に怒りをぶつけてくる。だが)

恭介「言わない。言うわけがない」

岩沢「え…?」

恭介「自分で言ったんじゃないか。俺とお前は同類だと」

恭介「なのに俺がお前の情熱を、人生を否定するわけがないだろう?」

岩沢「なんだよ…、なにが言いたいんだよ、お前は…」

恭介(岩沢の瞳が弱々しく震えている)

恭介「岩沢、俺が否定するのはただ一つだけ」

恭介「お前のその、憤りだ」

岩沢「憤り…」

恭介「お前は自分の人生を後悔している。憤りを感じている」

恭介「世間に、大人に、神に、世界そのものに」

恭介「だから、その気持ちだけは間違っている。お前の人生は、絶対に間違っていないんだから」

岩沢「間違っているから、間違っていない…?」

恭介(そうだ。自分でも気づいてないのかもしれないがな)

恭介(それが、お前の歪みそのものだ)

恭介「自分が馬鹿だとわかっていながら、それでも音楽に情熱を注ぎ続けた」

恭介「たとえ世界からそれを否定されても、お前は自分の想いを貫いたはずだ」

恭介「俺はそれを、本当に格好いい生き様だと思う」

恭介「なのに後悔してどうする?憤りを抱え続けてどうする?」

恭介「それじゃお前は自分が貫いた想いを、自分で否定しているのと同じだ!」

恭介「もう一度言うぞ、岩沢。お前の人生は…何一つ間違っていない!」

恭介「志半ばだったとしても、辛い目にあったとしても」

恭介「お前は自分の想いを貫いたんだ」

恭介「だから、憤りを感じ続ける必要もない」

恭介「後悔する必要もないんだよ、岩沢」

岩沢「……………」

恭介(割り切ることは難しいことだろう)

恭介(でも、お前が本気で音楽を愛し、情熱を燃やし続けたなら、そう思うことが出来るはずだ)

恭介(決して自分を曲げなかった、自分の人生は間違っていない。後悔する必要もないんだと)

恭介(これが、俺が今、岩沢に伝えたい全てだ…)

岩沢「………そうか」

岩沢「…そうなのかも、しれないな」

恭介(そう言って岩沢はまた、俺に背を向けた)

恭介「岩沢…」

岩沢「…棗の言うとおり、あたしは自分で自分の人生を否定してたのかもな」

岩沢「正しかったと願う反面、間違っていたと、思い続けてたのかもな…」

岩沢「………」

恭介「………」

岩沢「…棗、しばらくここにはこないでくれ」

恭介(岩沢から拒絶の言葉をかけられる)

恭介「…すまない、岩沢」

岩沢「謝るな、そういう意味で言ったんじゃない」

恭介(また岩沢が振り返る、さっきまでとは違う)

恭介(いつもの岩沢の表情だ)

岩沢「曲を書きたくなったんだ、お前の言葉を聞いて」

岩沢「今なら、今までと少し違う曲が書ける気がする」

岩沢「それに専念したいんだ。生前の後悔に囚われてたままだと、きっとあたしはいつか歌えなくなる」

岩沢「自分の本当の想いを歌にしたい、過去じゃなくて明日のために」

岩沢「そして、書けたら、一番最初にお前に聞いてほしい」

恭介「俺にか…?」

岩沢「ああ、あたしにここまで言ったんだ。それくらいの責任はとってくれ」

恭介(そう言って岩沢は笑ってくれた。まるで気持ちが吹っ切れたかのように)

恭介「…そうだな。お前がそれを望んでくれるなら、喜んで引き受けるさ」

恭介「ファン冥利に尽きるってもんだ」

恭介(だから俺も笑った。少しだけ冗談を混じえながら)

岩沢「ふっ。ほんとに馬鹿だな、お前は」

岩沢「次の曲は、ガルデモの曲というより、あたしの曲なんだぞ?」

恭介「お前こそ、馬鹿だな」

恭介「俺はそもそも、お前の歌声に惹かれてガルデモのファンになったんだぞ?」

恭介「前に言わなかったか?」

岩沢「くっ、あっははははは!」

岩沢「ああ、そうだったな。ったく、とんでもないファンがいたもんだよ」

岩沢「お前みたいなファンを持てただけでも、歌い続けてきた意味があったのかもな…」

恭介「岩沢…?」

岩沢「なんでもない。行ってくれ。曲が出来たら、あたしから声をかける」

岩沢「その時は頼むな、棗」

恭介「ああ、楽しみにしてるぜ」

恭介(そして、俺は教室から出た)

恭介(もう一度中を覗くと、岩沢が熱心にノートにペンを走らせている)

恭介(何故だろう、きっと良い方向に向かっているはずなのに…)

恭介(このまま進むと岩沢が…)

恭介(消えてしまうような気がした)

選択安価 残り3回

行き場所を選んで下さい

1 本部
2 校内をぶらつく
3 音楽の聞こえる教室
4 図書館
5 橋の下(川)

22:08:00:00
↓1

恭介(図書館にやってきた。さて、どうするか)

選択安価

1 漫画エリアに行く
2 しばらく探索してみる

22:12:00:00
↓1

恭介(少し探索してみるか)

恭介(漫画以外にも、なんか面白い本が見つかるかもしれないしな)

恭介(適当にぶらつく)

恭介(週刊誌なり、医学書なり、音楽雑誌なり、ほんとにものすごい蔵書量だ)

恭介(こんだけ色んなジャンルの本があるのはすごいな)

恭介(探索を続けてるとふと目につくエリアがあった)

恭介「絵本エリアか…。そういや小毬が好きだったな」

恭介(小毬との思い出を思い返しながら、適当に絵本をめくる)

恭介(そうしていると、一冊だけ毛色の違う絵本に気づいた)

恭介(なんだ、これは…?)

恭介(画用紙にクレヨンで描かれた絵本だった)

恭介(明らかに手作りの絵本、ちゃんと製本されたものじゃない)

恭介「まさか…?」

恭介(心を落ち着かせ、絵本のページをめくる)

ペラッ

『たまごからひよこさんが孵って、ひよこさんはにわとりさんになりました』

『にわとりさんはたまごを産んでたまごがひよこさんに………』

恭介「こ、この絵本は…!?」

恭介(間違えるはずがない。これは小毬の兄、『神北拓也』さんが小毬に残した絵本)

恭介(そして理樹が小毬の心を救うきっかけになった本だ…!)

恭介(なぜ、それがここにある…?)

恭介(はやる気持ちを抑え、落ち着いて最後のページをめくる)

『そうか、僕はこれだったんだ。と思い出しました』

恭介(ここで終わっている…。理樹と小毬が付け足したページが無い)

恭介(そして最後のページには、やはり『神北拓也』と書いてある)

恭介(どういうことだ…?これも俺の、俺たちの青春にあったものだからか…?)

恭介(いや…、それは違うはずだ)

恭介(もしそのルールに従って現れた絵本なら、最後のページがここで終わっているはずがない)

恭介(理樹と小毬のページだって存在するはずだ)

恭介(それにこの絵本は一度小毬が、水たまりに落として濡れてしまったはず)

恭介(理樹がそれを必死で修復したはずなのに、その跡も無い)

恭介(ということは、まさか…!?)

恭介(俺は自分の疑っていたことが、確信に変わり始めているのを感じた…)

選択安価 残り2回

行き場所を選んで下さい

1 本部
2 校内をぶらつく
3 音楽の聞こえる教室
4 図書館
5 橋の下(川)

22:28:00:00
↓1

恭介(とりあえず校舎のなかを、ぶらついてみることにした)

立華「棗くん」

恭介「うおっ!?」

恭介(突然の背後から声に驚き、振り向くとそこには立華がいた)

立華「ごめんなさい。驚かせた?」

恭介「…ああ、ちょっとな。もっとわかりやすい挨拶で、声をかけてくれると助かる」

立華「どう声をかければいいの?」

恭介「そうだな、例えば」

選択安価

1 代打バース、と声をかけてくれ
2 おれ、斎藤っす、と声をかけてくれ
3 真人が通りかかる

22:33:00:00
↓1

恭介(えっ!?それ選ぶのか?)

恭介(わかってんだろ?この選択肢選んだらどうなるか)

恭介(お前らわかってて選んでんだろ?本当にいいのか!?)

恭介(これ原作ギャルゲーなんだぞ?そんなに真人が好きなのか!?)

恭介(…そうか、なら仕方ない。期待に応えてもらおうじゃないか…!)

恭介(さあ、現われろ!)

恭介「代打、真人!!」

真人「どーも。呼ばれて飛び出て筋肉です」

立華「?」

恭介「立華、少し頼みがある」

立華「なに?」

恭介「今から俺たちと一緒に、筋肉で遊ばないか?」

立華「筋肉?」

立華「…その遊びは楽しいの?」

真人「ああ、楽しいぜ。この楽しさは俺が保証する」

真人「なにせ、かつて全世界中の人間が夢中になり、AK(アフター筋肉)元年が制定されたほどだぜ」

立華「!?」

立華「そんなに楽しいの?」

恭介(気のせいか目がキラキラしている)

恭介(立華はもとより、素直なやつだ。難易度は低い部類だろう)

恭介(こいつはいけるぜ!)

恭介「よし、真人。手本を見せてやれ」

真人「よっしゃ、筋肉筋肉ー!!」

恭介「筋肉筋肉ー!!筋肉いぇい、いぇーい!」

立華「…本当に楽しいの?それ?」

恭介「騙されたと思って立華もやってみろって、な?」

真人「そうだぜ!君も筋肉、私も筋肉!みんな揃って筋肉だー!!」

恭介「いやっほぅー!筋肉最高ー!!」

立華「…筋肉、最高ー」

真人「お、無事、筋肉の素晴らしさが伝わったみたいじゃねえか!」

真人「よっしゃ、全員で筋肉筋肉ー!!」

真人「筋肉いぇい、いぇーい!筋肉いぇい、いぇーい!」

恭介「筋肉いぇい、いぇーい!筋肉いぇい、いぇーい!」

立華「筋肉いぇい、いぇーい!筋肉いぇい、いぇーい!」

真人「世界がここから変わっていく気がするぜ!」

立華「この調子ならいつか筋肉革命も起こせそうね」

恭介「なに、筋肉革命だと!?」

真人「そいつはとてつもない苦難の道だぜ?」

立華「筋肉に不可能は無いわ」

真人「へっ。立華、てめえ良い目してるじゃねえか!」

恭介「ああ、俺達は今昇り始めたんだ!この長い長い筋肉坂を!」

立華「筋肉いぇい、いぇーい!筋肉いぇい、いぇーい!」

真人「筋肉いぇい、いぇーい!筋肉いぇい、いぇーい!」

恭介「筋肉いぇい、いぇーい!筋肉いぇい、いぇーい!」

恭介(こうして立華が、俺たちの新たな筋肉友達になった)

ー恭介の称号に「筋肉ビギナー」が追加されましたー

佐々美「棗先輩に新しい称号が追加されましたわね」

鈴「ちょっと待て、なんで笹の葉さらさら美がここにいるんだ…」

佐々美「笹瀬川佐々美ですわ!」

鈴「おーそうだったな。で、なんでじゃじゃ美がここにいるんだ?」

佐々美「わざとやってますわね、棗さん…?」

鈴「お前の名前が言いにくいのが悪い!これからはじゃじゃ美にしろ!」

佐々美「なんですってー!!」

理樹「ほらほら二人共、このままじゃ話進まないから」

佐々美「あらいたんですの、直枝さん?」

鈴「相変わらず影薄いやつだな、理樹は」

理樹「いやいやいや、一応主人公だから僕。このSSは恭介が主人公だけど」

鈴「そういや、なんであたしたちは出番が無いんだ?」

佳奈多「話の都合よ」

佳奈多「本当なら今すぐにでも葉留佳を参戦したいんだけど」

佳奈多「この前は気持ちがはやるあまり失敗してしまったわ」

理樹「あれ、二木さんだったの!?」

佐々美「もちろん、冗談ですのでお気になさらず」

鈴「おい、恭介の称号の話はいつ始まるんだ?」

理樹「いや、最初に話題逸らしたの鈴だからね」

佳奈多「ともかく、棗先輩に新たな称号が追加されました」

佐々美「原作とは違う点ですわね」

理樹「しかも一部の称号は進化するみたいだよ」

理樹「最終進化すると、特殊なイベントが起きる称号があるとか無いとか」

佳奈多「ちなみに進化させようにも、時期的な問題や、フラグの問題で進化イベントが起せない場合もあるわ」

佐々美「手順や段階があるのですわね」

鈴「よくわからんが、さっさとあの馬鹿の称号を変えろ」

鈴「なにが『シスコン』だ!キモいわ!」

理樹「鈴、ちなみにシスコンも進化しちゃう称号だからね」

鈴「なにぃーーーーー!?」

佳奈多「棗先輩は真のシスコンなのかどうか、見極めさせてもらいましょうか」

理樹「そういえば二木さんもシスコンだもんね…」

佐々美「まともな人がいませんわね…」

佐々美「ともかく、今日のところはご機嫌ようですわ」

佳奈多「もしかしたらまた出番があるかもとか無いかもとか、らしいわ」

理樹「だね、じゃあ鈴行こう」

鈴「いやじゃー!離せー!あの馬鹿の息の根を止めてやるー!」

理樹「もう死んでるからね」

ズルズル

鈴「うわあああああっ!!」

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1 本部
2 校内をぶらつく
3 音楽の聞こえる教室
4 図書館
5 橋の下(川)

22:50:00:00
↓1

恭介(橋の下の川にやってきた)

恭介(筋肉馬鹿どもの様子を見に来たつもりだったんだが、どうやら空振りらしい)

恭介(が、川の岩の上に麦わら帽子を被った男がいるのに気づく)

??「きったあぁぁぁーーー!!」

恭介(テンションマックスで、魚を釣り上げていた)

恭介(気になるな、声をかけてみるか)

恭介「大物だな」

??「まあな、あんたも釣りかい?」

恭介「いや、ちょっと立ち寄ってみただけだ」

恭介「そういうあんたは生粋の釣り好きと見たぜ」

??「フッ、その通りだ。俺の名前はフィッシュ斉藤。釣りに命を掛ける男さ」

恭介「斉藤…だと?」

斎藤「ほう、どうやらあんたはかつて、斎藤を名乗ってたことがあるらしいな?」

恭介「なに…!?わかるのか?」

斉藤「わかるさ、なんせおいらも斉藤なんだからな」

斉藤「そもそも斉藤ってのは、勉強やスポーツ」

斉藤「あらゆる分野の一芸をマスターした者のみが、名乗ることを許された栄誉ある称号だったのさ」

斉藤「だが、1853年に勃発した火星との戦争で多くの斉藤は戦死した」

斉藤「今じゃ、そいつらに縁のあったものたちが苗字を斉藤と名乗ることで」

斉藤「斉藤たちの生きた証を世に残し続けているのさ」

恭介「斉藤の由来にそんな逸話があったとはな…」

斉藤「そしてあんたも、斉藤を名乗るだけの力の持ち主なんだろう?」

恭介「…確かにそうだ。かつてバトルランキング最強の男『マスク・ザ・斉藤』を名乗っていた」

恭介「だが、斉藤マスクを失った今、俺にはかつての力が無い」

斉藤「いや、お前が真に斉藤たるものなら、決して力を失いやしない」

斉藤「そうだな。天使と遭遇し、図書館の漫画エリアに行ってみな」

斉藤「お前の失われた力を取り戻す術が、きっとそこにある」

斉藤「次のオペレーションとやらでは、その力が必要になるかもしれないな」

恭介「いや、さすがにもう遅いから今から行動するのは無理なんだが…」

斉藤「…そうか、そいつは残念だ。だが、お前の斉藤魂があればきっとなんとかなるさ」

斉藤「じゃあな」

恭介(フィッシュ斉藤はそれだけ言い残すと、釣具を抱えて去ろうとする)

恭介「待ってくれ、お前は…!」

斉藤「何者なんだってか?わかっているんだろう?」

斉藤「俺は…、ただの斉藤だよ」

恭介「………斉藤」

恭介(今度こそフィッシュ斉藤は去っていた)

ー恭介の称号に「甦れなかった斉藤」が追加されましたー

ゆり「先日のギルド降下作戦はお疲れ様」

恭介(もはやお馴染みの定例会議。今日はゆりっぺの、そんな台詞から始まった)

ゆり「特に沙耶ちゃんと井ノ原くんは、初めての作戦だったのによく頑張ってくれたわ」

沙耶「ふふん、まああれくらい当然よ」

真人「へっ。筋肉の可能性を見せつけちまったようだな」

謙吾「なんだ?前回の作戦とやらで二人はそんなに活躍したのか?」

大山「うん、すっごい大活躍だったんだよ」

TK「Yes, Big success!!」

恭介(指をパチパチ鳴らしながらリズムをとっていたTKが、大山の言葉に続く)

藤巻「二人もそうだが、恭介も大したもんだぜ」

日向「藤巻抱えて泳いで、天使と単独で戦ったんだもんな」

野田「フッ!さすがは恭介、我がライバル!」

高松「推しますね、その設定」

松下「そんなに定着させたいのか」

恭介「褒めてもらえるのは嬉しいが、とりあえず一つ気になることがあるんだが…」

関根「おおーーっ!!カメックスの癖にやりますね!!」

関根「てっきりあたしたちはこのまま誰にも触れられることなく、画面の外でモブキャラ化してしまうのかと思いましたよーー!!」

恭介「まだ触れてなかったけどな」

恭介(そう、どういうわけか今日は関根、入江、ひさ子の三人も定例会議に呼ばれているのだ)

恭介(少なくとも、俺の経験上では初めてのことだ)

ゆり「それは今回の作戦には、ガルデモメンバーも実行班として作戦に参加してもらうからよ」

ひさ子「えっ!マジかよ、ライブじゃなくて実行班か?」

入江「私たちが参加しても、迷惑にしかならないような気がしますけど…」

恭介(二人がそう続く)

恭介(確かに、ギルド降下作戦やトルネードのような作戦は、ガルデモメンバーには無理だろうな)

恭介(という事は、今回行う作戦は今までより軽いものなのか?)

ゆり「ま、作戦に関しては今から説明するわ。オペレーション名は『デーモン・ピクニック』よ!」

大山「作戦でピクニック!?うわあ、これは楽しそうだ」

恭介(と、無邪気にはしゃぐ大山。だが)

高松「ゆりっぺさんの作戦で、楽しいことなんてあるわけありません」

藤巻「ああ。デーモンってのが不気味だぜ」

松下「ううむ、確かに」

真人「なんだ、アメフトでもするのか?」

謙吾「そのネタどれくらいの人に通じるだろうな…?」

野田「で、どんな内容なんだ?ゆりっぺ」

ゆり「裏山でピクニックを開催。それを行うための許可も、生徒会長である天使からとる」

沙耶「すると、どうなるの?」

ゆり「まああたしたちのやることだから、念の為に天使が視察には来るでしょうね」

日向「で、俺達は何をすればいい?まさか本当にピクニックを楽しめ、なんてことじゃないんだろ?」

ゆり「デーモン…」

ゆり「ようは悪魔に取り憑かれたかの如く、仲間を敵とみなし殺しあってちょうだい」

全員「「「ええーーーっ!?」」」

恭介(殺し合いだと…!?仲間同士でか…!?)

大山「そんなぁ!ピクニックなのに!?」

ゆり「ええ。ただし銃や武器は使わないようにね」

藤巻「おいおい、そんなことしてなにになるってんだよ!?」

ゆり「それは上手くいった時にわかるわ」

松下「ゆりっぺなりの狙いがあるということか…」

恭介(せっかくここまで仲が深まったのに、殺し合いなんてもってのほかだ…!)

恭介(なんとしても阻止しなければならない)

恭介(そのためには、ゆりっぺがこの作戦でなにを狙っているのかを理解する必要がある)

恭介(俺は注意深く、みんなの話に耳を傾けることにした)

野田「ゆりっぺ…、そいつはいつやるんだ?」

ゆり「一週間後の一○○○、裏山にて」

藤巻「なんだよ、そんな先の話かよ」

恭介(藤巻の指摘通りだ)

恭介(ただ殺し合うことが目的なら、そんな先に予定を立てる必要はない)

ゆり「なにいってんの?既にオペレーションは始まっているわ」

ゆり「一週間を有効活用して、自分以外の全員を陥れる準備をしないと、寝首をかかれて…」

ゆり「文字通り、殺されちゃうわよ!」

全員「「「ええーーーっ!?」」」

恭介(再度、全員の声が響く)

恭介(だがそれには動じず、ただ脳をフル回転させて、ゆりっぺの真意を読み解くことに専念する)

恭介(一週間の準備期間、それをゆりっぺは全員を陥れるためと言った)

恭介(加えて、先ほど銃や武器の使用を禁じている)

恭介(つまり、この一週間を有効活用すれば、誰にでも誰かを殺せるチャンスがあるということ)

恭介(そう、それこそガルデモメンバーでも、沙耶や椎名をハメることが出来るかもしれない)

恭介(なぜ、そんな条件をつける必要がある…?)

恭介(理由は単純だろう、普通の殺し合いでは意味がないからだ)

恭介(じゃあ意味がないのはなぜだ?)

恭介(あえて公平にするルールを設けるのはなぜだ?)

恭介(考えろ、ゆりっぺはこの作戦でなにを狙っている…!)

ゆり「ちなみに、天使の動きをチェックするから、あたしと遊佐さんは抜きでね♪」

真人「ちっ!どっちが悪魔だよ」

野田「俺が…、真人たちを殺さねばならないのか…!?」

入江「そんなぁ…、まさか殺し合いなんて…」

謙吾「悪い冗談だな」

沙耶「ねえ、ゆり。ほんとにやるの…?」

恭介(みんな動揺している。当然だ、そんなことさせてたまるか…!)

恭介(考えろ…、考えろ…!)

恭介(天使、殺し合い、一週間の準備期間、公平にするためのルール、そして作戦の目的…)

恭介(作戦の目的…、それがもしこの戦線の本懐。神を引きずり出すことだとしたら…)

恭介(………………)

恭介(!!)

恭介(…なーるほど。そういうことか、ゆりっぺ)

ゆり「聞く耳持たなーい。ほら一週間後のために動き出せー!」

恭介(その指示に従い、みんなが席を立とうとする。が、)

恭介「待った。全員そのままで聞いてくれ」

日向「どうしたんだ、恭介?」

岩沢「なにか気になることでもあるのか?」

恭介「気になるというよりも、悪いな、ゆりっぺ。俺にはすでにお前の狙いが読めたぜ!」

全員「「「ええーーーっ!?」」」

恭介(本日、三度目のリアクションが響く)

恭介(いいぜ。それくらい驚いてくれた方が、今からゆりっぺを丸め込むのにも効果的だ)

ゆり「…へえ、せっかくだからお聞かせ願おうじゃない?」

ゆり「棗くん、あなたが推理した、あたしの真意ってやつを」

恭介(ゆりっぺが挑戦的な眼差しを俺に向けてくる)

恭介(望むところだ。悪いが、ここは完膚なきまでに、ゆりっぺの真意を晒す必要がある)

恭介(その勝負乗らせてもらうぜ)

恭介「なーに。この作戦の目的を考えたら、案外簡単だったさ」

恭介「そもそも、リトルバスターズ戦線は、神に抗う者の集う場所」

恭介「当然、神を引きずり出すという前提のもとに活動している」

恭介「今回の作戦もその一環だ。まあ、ここまでは当然あたりだろ?」

ゆり「どうかしらね?で、その先の推理はあるのかしら?」

恭介「まあ、そう焦るなよ」

恭介(ここまでは少し鋭ければ誰にでも気づける範囲だ。大切なのはこの先からだ)

恭介「重要なのは当然、どうやって神を引きずり出すか」

恭介「ここで、俺は自分ならどうやって神を引きずり出すか、と考えた」

恭介「もし天使が神の使いであり、神の意思に従い、この世界の秩序を守っているのだとしたら…」

恭介「もし天使の処理能力を、超えてしまうほどの問題が起きてしまったら…」

恭介「天使は誰に助けを求める?日向」

日向「えっ、俺か?そりゃあ…神様だよな。っていうか今までだって大体そんな感じで…」

日向「ああ!?もしかして!」

恭介(戦線の古株の日向なら、ここまで言えば気づくよな、そして)

沙耶「なるほどね、天使の処理能力を超える問題」

沙耶「つまりあたしたちが、仲間同士で殺しあってしまうような、謎の狂気に支配されてしまった、と天使に錯覚させる」

沙耶「この世界では肉体的にも精神的にも病むことは無いはずだから、それは天使にとっても、想定外のイレギュラーのはず」

謙吾「この世界の異変だと感じた天使は、助けを求めるために神を呼ぶ、ということか」

謙吾「なるほど、理にかなっている」

恭介(頭の良い沙耶と謙吾も気づいたか)

恭介「だが、この作戦には一つ。致命的な欠陥がある」

大山「致命的な欠陥?」

真人「なんだよそりゃあ…?」

恭介「それは…」

椎名「戦線メンバー間で、実力差が有りすぎる、ということだな」

恭介「ご明察だ」

恭介「この作戦のキモとなるのは、俺たちがイカれてしまったことを天使に見せつけること」

恭介「だが、本気で殺し合えば、おそらく沙耶か椎名が強すぎる」

恭介「俺たちでは歯が立たないだろう。一方的な虐殺にしかならない」

恭介「それでは俺たち全員がイカれたのではなく、沙耶や椎名がイカれただけと天使に判断されるおそれがある」

沙耶「かといって、あたしや椎名さんに手加減させて戦っても、イカれてしまったっていう説得力にかけるおそれがあるわね」

沙耶「あくまで全員に本気で殺し合いをさせないと、この作戦の成功率は落ちる」

恭介(その通りだ。本気で殺し合いをさせるからこそ、立華を錯覚させることが出来るんだ)

恭介「だから、ゆりっぺは、銃や、武器の使用を禁じて、更に一週間という準備期間を設けた」

恭介「直接やり合うのではなく、お互いがお互いを陥れる知能戦なら、誰にでも勝ち目があると踏んだんだ」

恭介「それなら本気の殺し合いになるとな」

ゆり「………………!」

恭介「だか、ここで更なる問題が浮上した。誰にでも勝ち目があるように知能戦にしたのはいいが」

恭介「陥れるための殺し合いは、はっきりいって地味すぎるんだ」

岩沢「地味すぎる…か?」

恭介「そうだ、例えば沙耶と椎名がお互いに武器を持ってやり合うのと」

恭介「お互いが落とし穴にハメようとしている状況、どっちがインパクトがある?」

関根「まー、当然。前者のほうがインパクトあるし、派手ですよねー」

恭介(誰に問うでもなく視線を周りに向けると、関根から答えが返ってきた)

ひさ子「なるほどな。地味すぎても、天使にあたしらがイカれちまったって思わせるための説得力が、欠けちまうってわけか」

恭介「そうだ。だからゆりっぺは少しでも派手にするために、ガルデモメンバーにも招集をかけた」

恭介「あれだけいつもライブで目立ってるやつらを混ぜれば、地味さを少しは打ち消せるかもしれないと考えたんだ」

恭介「さて、とりあえずは以上だ。どうだ?ゆりっぺ、当たらずとも、遠からずってとこだろ?」

ゆり「………………」

ゆり「…ビンゴよ、驚いたわ。まさかこの短時間で、あたしが練りに練った作戦の全てを完璧に理解するなんて…」

恭介(ゆりっぺが、心底驚いたと言わんばかりの表情で俺を見た)

恭介「ま、遊佐の言葉通りってわけだ」

遊佐「私ですか?」

恭介「俺は悪の帝王タイプ、ゆりっぺは悪の女王タイプ」

恭介「加えて、ゆりっぺは現リトルバスターズ戦線のリーダー」

恭介「俺は元祖リトルバスターズのリーダーだった男だ」

恭介「本質的なとこで、思考パターンが似通ってるんだろうさ」

ゆり「で、棗くん。あたしの作戦の全容を暴露させちゃった理由はなに?」

ゆり「ここまでバラしちゃったんだから、当然それなりの理由があるんでしょうね?」

恭介(今度はゆりっぺから俺を挑発してきた)

恭介「ふっ。人が悪いな、ゆりっぺは」

ゆり「あなたほどじゃないわよ。ほらさっさと言ってごらんなさいよ」

ゆり「あたしの立てた作戦の、上を行く作戦を」

真人「なんだよ、つまりどういうことなんだよ?恭介」

恭介「じゃあ、ズバリ言うぞ」

恭介「ゆりっぺの狙いはそのままに、殺し合いをする必要が無く、更に派手な作戦のアイデアが俺にはある!!」

全員「「「ええーーーっ!?」」」

恭介(今日、四度目のリアクションだ)

恭介(そろそろそれしかリアクションが無いのかと不安になる頃だぜ…)

日向「そんなアイデアが本当にあるのかよ?」

遊佐「正直、不可能に思えますが?」

恭介「この作戦の致命的な欠陥を考えてみろ。そうすりゃすぐにわかるさ」

大山「致命的な欠陥って…。僕たちの実力差が有りすぎることだよね?」

恭介「そうだ。つまりは、実力差を埋める、誰にでも勝ち目がある、それでいて、派手なバトルをやっちまえばいいんだよ…!」

真人「ありゃ、なんかそのフレーズ、聞き覚えがある気がするぜ」

謙吾「俺もだ。ということはまさか恭介…!?」

恭介「その通りだ!!」

恭介「俺たち元祖リトルバスターズが、戦い続けたバトルランキングシステム!」

恭介「それをリトルバスターズ戦線バージョンとしてリメイクし、復活させる!!」

真・謙・沙「「「おおーーーっ!!」」」

真人「なるほどな!確かにあれなら誰にでも勝ち目がある!なおかつ派手で、本気のバトルができるぜ!」

謙吾「まさにうってつけだ!考えたな、恭介」

沙耶「あたし、あれやってみたかったのよねー♪」

恭介(一気に活気づく三人。あのルールを知っていれば当然の反応だろう)

入江「あのー。盛り上がってるところ悪いんですが」

入江「本当にそのバトルランキングっていうのは、誰にでも勝ち目があるんでしょうか?」

ひさ子「あたしたちガルデモメンバーが、実行班とマジで戦って勝てるとは、さすがに思えないんだけど」

恭介(ま、当然の疑問だろうな。だが)

恭介「安心しろ、このバトルの公平さは折り紙つきだ。マジで誰にでも勝ち目がある」

恭介「個人の能力ももちろん重要ではあるが、バトルの鍵を握るのは『運』だからな」

ゆり「『運』ですって?」

恭介「ああ、簡単にルールを説明しよう」

恭介「勝負は、一対一で行う。さらにその周りには野次馬、つまりギャラリーを用意する」

恭介「そしてその野次馬たちは、二人に向かって、武器になりそうな適当なものを投げ入れる」

恭介「それは決して殺傷能力の無いような、くだらないものの方がいい」

恭介「戦う二人は目を閉じ、野次馬たちから投げ入れられた武器を一つ受け取る」

恭介「それで、武器の決定だ」

恭介「そして、武器が決まったらその武器だけを使用して戦う」

恭介「蹴ったり殴ったりは反則だ。あくまで、手にした武器の本来の使用方法でのみ戦うこと」

ゆり「なるほどね。当然、武器の中にはあたり武器やはずれ武器があるってことね」

ゆり「それをランダムに選んで戦うなら、確かに『運』が試合を左右するといっても過言じゃない、か」

恭介「それだけじゃない。このバトルの面白いところは『相性』だ」

ゆり「『相性』?」

恭介「そ、例えば真人ならなにかで『叩く』武器が得意だろう」

恭介「そして例えばTKなら『踊る』武器が得意だろうな」

TK「Oh,Dance Battle,Ok!?」

恭介「OKだ!」

TK「Great!!イヤッフゥーーー!!」

日向「おいおいダンスで戦うなんて、さすがに無茶苦茶じゃねえか?」

恭介「この程度じゃない。爪を切ったり、サイコロ三つ投げてゾロ目が出たら即勝利、なんて戦い方もある」

ゆり「本当に無茶苦茶じゃない…。そんなバトルで大丈夫なの?」

恭介「無論だ、ゆりっぺ」

恭介「そもそも俺たちがイカれちまったとこを天使に見せるのが、今回の作戦のキモだ」

恭介「絶対相手を倒せなさそうな、くだらない武器で本気でバトルをする」

恭介「どうだ?こんなにイカれちまってるように見える光景は無いだろ?」

恭介「殺し合いなんかより、よっぽど効果的だ」

謙吾「確かに、銃や剣で戦うよりも、ごぼうやバナナの皮で戦う方がイカれて見えるだろうな」

大山「ごぼう!?バナナの皮!?そんなの武器にするの!?」

藤巻「確かにイカれて見えるな…、そんな武器で本気で戦ってたら…」

恭介「そして今回はバトルランキングではなく、バトルロワイヤル形式でいこう」

恭介「一週間後の裏山、おのおの適当な場所でスタートする」

恭介「バトル開始時刻と同時に、探索開始」

恭介「別のメンバーと遭遇したら、その時点でバトルスタート。断ることは出来ない」

恭介「そしてトランシーバーかなにかで、リーダーであるゆりっぺに連絡を送ること」

恭介「ゆりっぺは連絡が来たら、野次馬達を二人の場所に派遣するって寸法さ」

ゆり「まさかと思うけど、その野次馬って…」

恭介「当然、他の戦線メンバーだ」

恭介「理由はもちろん、作戦に参加する人数が多いほうが派手だからだ!」

椎名「ただの遊びの延長線上のはずなのに、恐ろしいほど筋が通っているな」

岩沢「まさに遊びの天才だな、棗は」

恭介「更に、これだけでは終わらないぜ!」

高松「まだなにかあるんですか!?」

松下「留まることを知らんな、恭介は!」

恭介「よりバトルを本気で行うために、バトルの敗者には罰ゲームを用意する!」

入江「ば、罰ゲーム…」

関根「おおーっ!!わかってますねー、棗先輩はー!!」

ひさ子「で、なんだよ、その罰ゲームってのは?」

恭介「バトルの勝者は、敗者に対し、一方的に不名誉な称号を授けることが出来る!」

恭介「ここで少し俺たちの実例を紹介しよう」



恭介『悪い、クズ、ソース取ってくれ』

真人『ほらよ…』

謙吾『まさ…あ、いや、クズはマヨネーズいらないのか?』

真人『もらうよ…』

理樹『うわぁ、そんなにかけるの?』

真人『わりぃかよ…』

鈴『次あたし使うから早くしろ、クズ』

真人『うあああああーーっ!こんなん耐えられるかあぁぁーっ!』

真人『イジメかあぁーーっ!てめぇら筋肉イジメて楽しいかあぁぁーっ!』

野田「これは…むごいな…」

日向「マジかよ…?全員から不名誉な称号のまま、名前を呼ばれ続けるとか絶対いやだぜ!?」

大山「本気で負けたくないよ、こんな罰ゲーム!!」

恭介「せっかくだから更に追い込もう」

恭介「そうだな、なあゆりっぺ」

ゆり「なに?」

恭介「作戦終了から一週間の間は、全員で朝・昼・夜と食事をとるのを義務づけるってのはどうだ?」

真人「ええーっ!?ってことはまさか…」

沙耶「負けた人はまさか、一週間の間は不名誉な称号のまま呼ばれ続けるってこと…?」

関根「それもっ!!みんなで毎度食事をとるとなると、当然不名誉な称号で呼ばれる機会は増えるっ!!」

岩沢「『クズ』なんて称号をつけられようものなら、一週間食事の度にみんなから『クズ』、『クズ』呼ばれるのか…」

ひさ子「えっぐいな…、ある意味死んでも負けられねえぜ…」

ゆり「…よろしい。それでみんなが本気になるなら、むしろ望むところよ」

ゆり「棗くんの案を採用、罰ゲームもそれで行きましょう!」

大山「まんまと全員での食事の約束まで取り付けちゃったね…」

藤巻「したたかすぎるにも程があるぜ、恭介」

日向「まあでも、確かに罰ゲームは怖いが、殺し合いよりはマシだろ?な!」

入江「運しだいなら、私たちでもなんとかなりそうです!」

関根「へっへっへ、まさに下克上だぜ!」

岩沢「下克上?」

関根「いやーなんでもないですよー!はいー、なんでもありませんー!あはは、あはははは!」

ゆり「というわけで、『オペレーション・デーモンピクニック』」

ゆり「内容は棗くんの提案したルールでのバトルロワイヤル。戦線メンバー全員参加のガチの戦いよ」

ゆり「不名誉な称号で、一週間もみんなからの精神的ダメージを食らいたくなければ、本気で勝ちに行きなさい!」

藤巻「言われるまでもないぜ…!」

松下「名誉というより、人としての尊厳を守るためには絶対に負けられん!」

野田「みんなには悪いが、殺し合いよりはマシだ!最強は俺だーーーっ!!」

真人「うるせえ!俺が最強だーーーっ!!」

謙吾「お前もうるさいぞ!真人ーーーっ!!」

日向「謙吾だってうるさいだろうが!」

沙耶「ふふふ、スパイとしての血がうずくわ…!」

椎名「ふっ。どんな条件であれ、戦線最強は私だ」

恭介(みんな、いい感じに盛り上がってるな。殺し合いより、こっちの方がいいに決まってるぜ)

恭介(さて、となるとあと必要なのは…)

恭介「ゆりっぺ、遊佐。頼みがある」

ゆり「え?なに、棗くん?」

遊佐「嫌な予感がします…」

恭介「ご明察。二人は今回の実況・解説役な」

ゆり「えっ?あたしたちがやるの!?」

遊佐「嫌な予感が的中してしまいました…」

恭介「そりゃお前らは天使の動きを監視するんだろ?その片手間にやってくりされればいいさ」

ゆり「あー、そう言われると断われないわね」

遊佐「ゆりっぺさん、目を覚まして下さい。そもそも実況・解説が必要とは思えません」

恭介「必要さ。理由はもちろんそのほうが派手だからだ!」

遊佐「うっ…」

遊佐「ですが、私達は詳しいルールがまるで…」

恭介「せっかく一週間あるんだ、俺がみっちり教えてやるさ」

ゆり「諦めなさい、遊佐さん。リーダー命令よ」

遊佐「鬼と悪魔が二人…」

恭介(こうして、バトルランキング改め、バトルロワイヤルが一週間後のオペレーションで実施されることになった)

恭介「さあみんな、熱いバトルにしようぜ!!」

全員「「「おおーーーっ!!」」」




ゆり「………それにしても」

ゆり「おそろしいわね、棗くんは…」ボソッ

今日は以上です
というわけで次回のオペレーションは
バトルランキング(ロワイヤル)ABメンバー参戦バージョンです

アニメ通りのデーモン・ピクニックは恭介が絶対に許可しそうにないので
あれよあれよとこんな方向に進んでしまいました

この二人のバトルが見たい!こいつがこんな武器を使うところが見たい!
というリクエストがあったら是非お願いします

可能な限り、採用します
どうしてもネタが浮かばなった場合はごめんなさい

本日も長々とお疲れ様でした

筋肉集団(適当なもの)
vs
ひさこ(カメラ)

是非とも被写体に筋肉の塊を…!

バッドについて補足すると
物語の最後に選択肢作増やして作ることも出来るっちゃ出来ます

ですが、見たいという意見が増えない限りは作るつもりはありません

それとお気づきの方もいるでしょうが、特定のキャラが消えるということはありえます
主に原作アニメで消えたあの人たちですね

仕事の都合で遅くなって申し訳ありません
明日の夜に再開します

~Kanade side~

直井「例の連中のリーダーが現れ、裏山でのピクニックを行いたいから、許可を貰いたいとのことです」

かなで「………」

直井「このような申請がありました、どうしましょう?」

かなで「はぁ、またこの人たち…」

かなで「厄介な事にならなければいいのだけど…」

直井「何かしら起きるでしょうね。ここ最近の、彼らの素行の悪さは目に余ります」

直井「毎日のように、男達が食事の度に馬鹿騒ぎをしたり」

直井「この間は体育館を無断で使い、チャンバラごっこや、全員でスキップをしていたなどという報告も受けています」

直井「何を考えているのやら…」

かなで(直井くんがそう言いながら鼻で笑った)

かなで(毎日みんなでご飯を食べて、チャンバラごっこして、スキップしてる棗くん…)

かなで「…楽しそうね」ボソッ

直井「全くですね、楽しそ…は、はい?」

かなで「なんでもないわ」

直井「そ、そうですか…」

かなで(前までの戦線の人たちは、そんな事はしてなかったと思う)

かなで(問題を起こしたり、勝手に行事に乱入したり、始めたり)

かなで(でもそれは多分、彼らの言う『神』を引きずりだすため)

かなで(もしくは人数を増やすためのもの…だったんだと思う)

かなで(今みたいになったのは、やっぱり棗くんが来てから…)

恭介『立華!必ずお前を仲間にしてやるからな!』

恭介『こんなことより、馬鹿みたいに楽しいことを教えてやるからな!』

恭介『俺とバトルしてて楽しくないか!?』

恭介『いやっほぅー!筋肉最高ー!!』

かなで(…楽しい。少ししか顔を合わせていないはずなのに)

かなで(棗くんとの思い出は、全部楽しいもの)

かなで(もし、あたしも棗くんと一緒に遊べたら…)

恭介『面倒な立場だな、早く辞めたらどうだ?』

かなで(…それは出来ない。あたしには生徒会長として、やると決めたことがあるから)

かなで(こんな力を使える、あたしにしか出来ないことだから)

かなで(でも、もし生徒会長でいられなくなったら…?)

かなで(棗くんは、手をとってくれるのかしら…?)

かなで(あたしを連れて行ってくれるのかしら…?)

かなで(あたしにも楽しいことを、たくさん…)

かなで(…駄目ね。こんな弱音を吐いたら)

かなで(あたしには、あたしのやるべきことをしないと)

直井「まあ、連中のやることです。念のため誰かが監視に向かう必要があるかと」

かなで「!」

ガタッ

直井「ど、どうしました?」

かなで「あたしが行くわ」

直井「会長自らですか?なにもそこまで…」

かなで「あたしが行くわ」

直井「いえ、でも…」

かなで「あたしが、行・く・わ」

直井「…わかりました」

かなで(♪)

直井(なにを楽しみにしているんだ…?)

直井(やはり、ここ最近の会長の様子はおかしい)

直井(だが、長時間留守にしてくれるのは好都合だ)

直井(あれの完成を急がせるか…)

かなで(もしまたバトルになったら…)

かなで(今度こそ勝つわ、棗くん)

~Kyosuke side~

恭介(一週間後、時刻は10時ちょうど。ゆりっぺの予告した通りの時間)

恭介(裏山に集まったのは実行班とガルデモ。そして多くの戦線メンバー達だ)

恭介(作戦参加予定の全員が揃ったのを確認すると、ゆりっぺがメガホンをとった)

ゆり「こほん。それじゃあ予定通り、戦線メンバーほぼ全員参加による、大型作戦」

ゆり「『オペレーション・デーモンピクニック』を行うわ!!」

恭介(ほぼ全員というのはギルメン達がいないからだ)

恭介(チャー曰く、まともな設備が無い状態で銃一つ作るには、一週間もかかるらしい)

恭介(当然、オールドギルドにはそんな設備が無いので、ギルメン達は色々と苦労しているようだ)

恭介(せっかくなら全員参加といきたかったが、しょうがないな)

ゆり「見てのとおり、本日は晴天なり。絶好のピクニック日和よ」

ゆり「やることはかなりギャグみたいなことになりそうだけど、各員真剣に取り組むように」

ゆり「バトル開始時刻は一○三○よ。実行班とガルデモはちゃんと単独で散らばるように、いいわね!」

真人「よっしゃ!久しぶりのバトルだぜ!俺の不敗筋肉を見せてやる時が来たなぁ!」

ひさ子「棗の回想の時点ですでに負けてたじゃん、井ノ原…」

真人「うっせえ!この世界に来てからはまだ負けてないからいいんだよ!」

大山「つまり僕達も不敗だよね」

松下「当然、そうなるな」

謙吾「相変わらずアホだな、真人は」

真人「ちょっとはしゃぎたくなっちまったんだよ!ごめんなさいでしたーーーっ!!」

関根「フフフ…、いつも地味な役回りを演じさせられ、出番の少ないあたしたちが目立つ絶好のチャンス!」

関根「まさに下克上のチャンスだぜ!みゆきちさんよぉ!」

入江「あはは、すごいやる気だね。しおりん」

野田「ふん、言わばこれは最強を決める戦いだ…!女は大人しくしていないと怪我することになるぞ…!」

椎名「ほう。これはとんだ身の程知らずだ」

沙耶「まさに、あさはかなりね」

野田「ひぃっ!」

恭介(野田が椎名と沙耶の二人に睨まれて、ビビっている)

恭介「どうしたんだろうな野田、いつも血気盛んなやつなのに」

日向「あー恭介は知らなかったか。実は俺たちと椎名は最初は敵だったんだよ」

謙吾「ほう、それは初耳だな」

大山「まあ色々あって仲間になったんだけど、敵だった頃に野田くんけっこう酷い目にあってたから…」

日向「今でも軽く苦手なんだろうな」

日向「ってかあいつ人付き合いは不器用だから、バカルテット結成まで一匹狼キャラ気取ったくらいだし」

野田「聞こえているぞぉ!日向ぁ、大山ぁ!」

恭介「ぷっ、そいつは似合わねえな」

野田「笑うなぁ!恭介ぇ!」

ゆり「はいはい、仲が良いのは結構だけど、今日は敵同士なんだからしっかりやりなさいよー!」

ゆり「それじゃあオペレーション・スタート!各自、解散!」

高松「それじゃあ皆さん、また後で会いましょう」

TK「Also see you!!」

藤巻「へっ。今日はちょっとは格好いいとこ見せてやるぜ!」

恭介(そう言いながら、それぞれ別方向に散っていく)

恭介(俺もそろそろ行くか)

ポン

岩沢「棗っ!」

恭介(誰かに肩を叩かれたと思ったら、岩沢だった)

恭介「どうした、岩沢?」

岩沢「考えてみたら、音楽に目覚めてから、こういう遊びをやるのは初めてだからな」

岩沢「少し目標を決めてみた」

恭介「目標?」

岩沢「ああ、お前の称号はあたしがつける!」

岩沢「だから、それまで負けんじゃねえぞ!じゃあな!」

恭介「お、おい!」

恭介「ったく、宣戦布告したからには俺からの返礼も聞いていけっての」

恭介(が、岩沢も含めやる気満々だな)

恭介(俺も頑張ってみるか!)

恭介(そして俺もみんなとは別方向に駆け出した…!)

~Yuri Side~

ゆり「ようし!マイクの感度も良好。中継用カメラの調子もばっちり」

ゆり「馬鹿どもに渡した発信器と、各地に取り付けたレーダーもちゃんと動いてるわね!」

遊佐「これで、すぐにでも野次馬部隊を派遣できますね」

遊佐「地味にすごい労力のかかってる作戦です」

ゆり「そうね、ここまで大規模な作戦はなかなか無いわね!」

ゆり「ここまでやれば、天使だって騙されるはず!」

遊佐「ところで、これだけの機材はどうやって用意したんですか?」

ゆり「科学部に駄目元で頼んでみたら一晩でやってくれたわ」

遊佐「どこのジェバンニですか、科学部…」

ゆり「さーて、そろそろ時間ね!」

ゆり『実行班とガルデモに告げる!』

ゆり『時間だ、これより遭遇する相手は誰であろうと敵と見なせ!』

ゆり『バトル、スタートよ!』

ゆり(その合図とともに待機していたメンバーが狼煙を上げた)

ゆり「さてさて、どんなバトルが見られるやら期待しましょうか」

遊佐「ノリノリですね、ゆりっぺさん」

ゆり「そりゃあね。原作からして戦線メンバーが馬鹿の集まりのせいで、シリアス担当するの殆どあたしなんだもん」

ゆり「このSSでも、今のとこほぼシリアスはあたしが担当してるし」

ゆり「こういう機会がないとはっちゃけられないのよねー」

遊佐「はっちゃけるのは結構ですが、メタ発言は控えて下さい…」

ゆり「おっと、さっそく連絡が入ったわ」

ゆり「こちら、ゆり。記念すべき第一戦目よ、どちら様かしら?」

沙耶「こちら沙耶よ、ゆり」

ゆり「おーっ!いきなり沙耶ちゃん来たかぁー!やっぱり持ってるわねー!」

ゆり「で、相手は誰?」

沙耶「相手は…謙吾くんよ!」

愛に生きるスパイ
朱鷺戸 沙耶
VS
不滅の友情男
宮沢 謙吾

ゆり「さーて第一戦目は沙耶ちゃんVS宮沢くんだー!」

遊佐「このバトルのルールをすでに把握している二人ですね」

遊佐「初戦のカードとしては理想的かもしれません」

沙耶「ねえ。今気づいたんだけど、初期称号も用意されてるの?」

謙吾「しかも以前の初期称号とは違うな」

遊佐「仕様です。少しでも以前のバトルを再現しようと、用意させていただきました」

遊佐「他のメンバーのも用意しているので、せっかくですからお二人にも新しい称号を」

謙吾「なるほど。悪くない称号だ」

沙耶「ええ、せっかくの称号だもの。最後まで守りきってみせるわ!」

ゆり「おーっと沙耶ちゃん!早くも自ら負けフラグを建てていったー!」

ゆり「これが 『KEY 10th MEMORIAL BOX』の発売に際して行われた、Keyキャラクターの人気投票順位3位!」

ゆり「実質リトバス人気1位の余裕なのかーっ!」

ゆり「まさに完全無敵!マジで可愛い!もう妹にしたい!ってか嫁にしたい!がんばれ、がんばれ沙耶ちゃーん!」

沙耶「えっ、ちょ…ゆり!?」

謙吾「なんというアウェイの戦いだ…」

遊佐「贔屓を隠そうともしていませんね、はっちゃけすぎにもほどがあります…」

ゆり「さあ、野次馬部隊!武器を投げ入れなさーい!」

野次馬「「「おーっ!!」」」

沙耶
『寝袋』

謙吾
『バナナの皮』

謙吾「しまった、よもや竹刀をも超えた武器を本当に引いてしまうとは…!」

ゆり「ちょっと…、試合始まったと同時にボケ入ると解説し辛いんだけど…」

沙耶「ねえ…、バナナの皮はまだ戦い方がわかるとして…」

沙耶「寝袋でどうやって戦えっていうのよ!?」

遊佐「当然、寝るためのものなのでそのように使ってください」

遊佐「そして、寝返りを打ちながら相手に体当たりしてください」

沙耶「えぇーっ!?そんなの謙吾くんに当たるわけ無いじゃない!?」

ゆり「大丈夫よ、沙耶ちゃん。宮沢くんは優しいから、避けたりなんて姑息な真似はしないわ♪」

謙吾「いや、やるからには全力で勝ちに」

ゆり「姑息な真似はしないわよね?」

謙吾「いや姑息もなにもこれは勝負」

ゆり「ね?」

謙吾「…………」

ゆり「バトルスタート!!」

遊佐(誰かこの暴君なんとかしてください…)

沙耶「こうなったら破れかぶれよ!うおらーーーっ!!」

ゆり「先手を取ったのは沙耶ちゃん!物凄い勢いで回転しながら、宮沢くんに突撃していきます!」

遊佐「目が回りそうですね、げけごぼ言いそうです」

謙吾「こいやぁー!せいやぁー!」

ゆり「対して宮沢くん!行く手を遮るように大量のバナナの皮を一瞬でばら撒いたー!」

遊佐「まさに無駄に洗練された無駄の無い動きですね」

ゆり「まあといっても、今時バナナの皮で滑るような古典的な罠が成立するわけ…」

ツルッ

沙耶「うわぁ!?」

ゆり「え…?」

遊佐「…かかりましたね、しかも」

ツルッツルッツルッツルッ

遊佐「連鎖的に引っかかりまくって、どんどんあらぬ方向に向かっています」

ゆり「ってちょっと待って!?そっちの方向って崖があるんじゃ…」

沙耶「ひやあああぁぁぁぁぁ…」

ゆり「落ちたーーーーーっ!?」

遊佐「まさに奇跡ですね…」

謙吾「たかがバナナの皮であそこまでやってのけるとは………」

謙吾「茶番だぁーーーーーっ!!」

ゆり「んなこと言ってる暇あったら早く助けんかーいっ!!」

ー10分後ー

沙耶「なかなかのエクスタシーだったわ…。さすがに死ぬかと思ったわよ…」

遊佐「寝袋入ったまま崖から転落して、むしろなぜ死んでないんですか…?」

ゆり「脅威のタフさね、ドMの可能性を見たわ…」

謙吾「すまなかったな、沙耶。まさかあんなことになるとは…」

沙耶「いえ、ぶっちゃけ謙吾くんがバナナの皮引いた時点で予感があったわ!近くに崖があった時点で確信したわよ!」

沙耶「それでも精一杯抗うつもりだったわよ!でも無理だったのよ!自分に流れるドジ+ドMの血には逆らえなかったのよ!」

沙耶「バナナの皮で崖から落ちるなんてどこのコントよ!昭和かっての!」

沙耶「まさに馬鹿ね!馬鹿丸出しね!マヌケすぎるにもほどがあるわ!」

沙耶「ほら笑うことろよ!笑えばいいじゃない!あーはっはっはって笑いなさいよ!!」

沙耶「あーはっ…」

謙吾「あーはっはっはっー!!」

沙耶「ほんとに笑うなぁ!!」

ゆり「いや、なんていうか。持ってる人は違うわねー、沙耶ちゃん…」

沙耶「やめてゆり…、そのフォローは更にみじめになるわ…」

ゆり「ごめん…」

遊佐「ともかくバトルの勝者は宮沢さんです」

遊佐「ルールですので罰ゲームをお願いします」

謙吾「おうとも!ちゃんと考えてある」

沙耶「うっ、来たわね…。さあこの朱鷺戸沙耶に!どんな屈辱的な称号をつけてくれるって言うのかしら?」

ゆり「微妙に嬉しそうなのはなぜなの沙耶ちゃん…?」

謙吾「沙耶、お前にはこんな称号がお似合いだ」

ー沙耶の称号が『宮沢最高ぉーーー!!』に変わりましたー

沙耶「はああああ!?なによその称号!意味わかんないんだけど!?」

謙吾「つまり、沙耶の名前を呼びたければその度に『宮沢最高ぉーーー!!』と叫ばなければならない、ということだ」

遊佐「なるほど、相手を下げるのではなく自分を上げる称号ですか」

ゆり「考えたわね、やっぱり宮沢くんはわりと頭良いのかもね」

沙耶「ねえ、謙吾くん?別に最高ぉーーー!!って叫ばなくても普通に最高でいいんじゃ…」

謙吾「駄目だ、必ず最高ぉーーー!!まで叫ぶ称号だ!」

ゆり「前言撤回、やっぱり馬鹿だわあいつも」

遊佐「ちなみに今回の称号の元ネタは『AIR』の国崎最高ー!です」

遊佐「黒タイツの影響か『CLANNAD』の岡崎最高ー!の方が知名度高そうですが、初出は国崎だったりします」

ゆり「おっと、またも連絡が入ったわ!こちらゆり、さあ次は誰と誰のバトルなの?」

日向「よお、ゆりっぺこちら日向だ。俺の対戦相手は大山だぜ」

人望ゼロの男前
日向
   VS
二代目普通の少年
      大山

ゆり「さーてこれはなかなか面白そうなカードね。まさか日向くんと大山くんで潰し合うなんて!」

遊佐「戦線創設時の初期メンバーのお二人ですからね」

日向「って待て待て待てー!なんだよ、『人望ゼロの男前』って!?」

日向「初期称号なのにすでに、褒められてるのか貶されてるのか微妙じゃねえか!?」

大山「あはは、日向くんはいいよ…。男前って入ってるんだから」

大山「僕なんて普通の少年だよ?しかも二代目ってなんなのさ?」

大山「誰かの代わりなの?いつの間に引き継いだの?」

大山「始まる前から心に深刻なダメージを負っちゃったよ…」

日向「大山ぁ!?しっかりしろぉ!!」

ゆり「全く相変わらず面倒くさい二人ね」

遊佐「仕様なので割り切ってください」

日向「大山、お前は二代目なんかじゃない。俺からすればお前が初代だ」

日向「普通の少年でもない、お前はオンリーワンの個性の持ち主じゃないか」

日向「何十年も一緒にいるんだ、お前のことは俺が一番よくわかってるぜ」

大山「うぅっ、日向くん…!!」

日向「大山!!」

大山「でも負けるのは嫌だから、全力で日向くんぶっ飛ばすね!」

日向「おおおおおいっ!?」

ゆり「さあ、話もまとまったところで、野次馬部隊!武器投入!」

野次馬「「「おーーー!!」」」

日向
『手品セット』

大山
『ロケット花火』

大山「これなら戦い方もわかるよ!日向くんに向かって、ロケット花火を飛ばせば良いんだよね!」

遊佐「その通りです、良い子は決して真似しないでください」

日向「手品セットはどうやって戦うんだよ…?」

遊佐「説明書付きなので適当に手品で戦ってください」

日向「投げやりすぎじゃね!?解説仕事しろよ!?」

ゆり「はーい、バトルスタート!」

大山「悪いけど手加減しないよ!行けぇ、ロケット花火!」

ヒューン!パンッパンッパンッ!

日向「のわあ!いっつ、あっつ!やべえってこれ!」

ゆり「先手を取った大山くんのロケット花火攻撃!解説の遊佐さん、効果の方はどうでしょう!?」

遊佐「効いていますね、ゲーム画面なら体力がゴリゴリ削られているはずです」

日向「今度はこっちから行くぜ!大山!このステッキを見ろ!」

日向「こいつを擦るとだなあ…」

パッ

日向「どうだー?綺麗な花を咲かせてやったぜ!」

大・ゆ・遊「「「おおーっ!!」」」

パチパチパチパチ

日向「………」

大山「………、ロケット花火発射!」

ヒューン!パンッパンッパンッ!

日向「うわあー!いっつ、あっつ!全然効いてないじゃねえかぁ!!」

ゆり「効くわけないじゃない、アホね」

遊佐「アホですね」

日向「くっそー!次の手品だ!とにかく攻撃出来ないと話にならねえ!」

日向「大山!このシルクハットを見ろ!」

日向「こいつにハンカチを乗せて、軽く叩いてやるとだなぁ…」

カー

日向「どうだー?中からカラスを出してやっ…、ってカラス!?普通白ハトとかじゃねえのかよ!?」

遊佐「愚問ですね、日向さん。Key作品で鳥と言えばカラスに決まっています」

日向「いや、わかんねえよ…。ともかく行けえ、カラス!大山につつく攻撃だぁ!」

カー!

大山「うわあっ!痛い!地味に痛いって!」

ゆり「日向くんここで反撃ぃー!手品で呼んだカラスが大山くんに襲いかかります!」

遊佐「効いてますね、さすがカラスです」

日向「おお、やるなカラス!やれやれー!」

カー!!

大山「くっ、うわあ!」

ゆり「大山くん、カラス相手に反撃の糸口が掴めないようです!」

遊佐「相手は飛んでますからね。加えてロケット花火は、着火するという一手間がかかる武器ですから」

日向「どうした、もう終わりか?降参した方が良いんじゃねえか!大山!」

大山「いやだ!僕は絶対に諦めない!」

日向「えっ…、どうしたんだよ?なんでそんなムキになってるんだよ…」

大山「これは本気のバトルのはずだよ!考えてみたら、日向くんと本気で戦うなんて今まで無かった!」

大山「だから負けたくない!ただの意地なのはわかってるけど、僕は日向くんに勝ちたいんだ!」

日向「大山…。へっいいぜ!お前がその気なら俺も手加減しねえ!本気の勝負をしようじゃねえか!」

大山「うん!日向くん!」

日向「行くぜ!大山ぁ!」

ゆり「おお…。なんか少年マンガ的な熱い展開になってきたわね」

遊佐「気のせいです、ゆりっぺさん。何故なら戦ってるのは日向さんではなくカラスです」

遊佐「人任せならぬ鳥任せなので、傍から見てるとこの上なく格好悪いです」

日向「行けえ、カラス!つばさでうつ攻撃!」

カー!!

大山「負けるもんか!ロケット花火、フルバースト!」

ゆり「おおっと!ここで大山くん、勝負に出たぁ!手持ちの花火を全部同時に着火させたぁ!」

遊佐「ゆうに2~30本はありますね、直撃したら軽く人殺せそうですね」

日向「ええっー…。いや待て大山、さすがにそれはやばいって!ってか武器の破壊力に差がありすぎ…」

大山「ファイヤー!!」

ヒュンヒュンヒューン!パパパパパパァン!!

日向「あっつーーー!ってか火が火が!のわああああっ!!」

遊佐「火が髪に燃え移りましたね」

ゆり「あれは戦闘不能ね。勝者、大山くんーっ!!」

大山「やったぁ!日向くんに勝った!」

ゆり「遊佐さん、勝敗をわけたのはなんでしょうか?」

遊佐「武器の差はもちろんありましたが、勝ちたいという気持ちが大山さんは日向さんを上回っていました」

遊佐「それだけでしょう」

ゆり「なるほど!いやー、意外と良い勝負でしたねー!」

日向「いいから早く火を消してくれーっ!!」

ー消火終了後ー

ゆり「ぷっはははは!日向くん、あなた頭がアフロになってるわよ!」

遊佐「チリチリですね、パパイヤ鈴木もびっくりです。ぷっ」

日向「くっそー、なんか微妙に納得いかないぜ…」

ゆり「は?正々堂々戦って負けたのに言い訳するの?男らしくないわねー」

遊佐「がっかりです、どこが男前ですか?」

日向「そこまで言わなくてもいいだろ!?」

大山「そうだよ!二人共!日向くんは誰よりも男らしい男だよ!」

大山「だから僕は!それをみんなに知ってもらえるような称号を日向くんにつけるよ!」

日向「大山ぁ!やっぱお前は俺の親友だぜ!」

大山「僕が日向くんに贈る称号はこれだぁーーー!!」

ー日向の称号が「イケチン」に変わりましたー

日向「はああああ!?なんだよその称号!ワッツ!ホワーイ!なんだよその称号!」

ゆり「大事でもないのに二回言ったわね」

遊佐「アホなので特に意味はありません」

日向「意味あるっつーの!なんだよイケチンって!どういう意味だよ!」

大山「そりゃあもちろんイケてるチ○コって意味だよ!」

日向「すっげぇ良い笑顔で何言ってんだよ!?」

日向「ってかお前俺のあそこ見たことあるのかよ!?」

大山「やだなあ、何十年一緒にいると思ってるのさ?普通に見たことあるよ」

日向「普通に見ねーよ!見ようと思わねえと見れるもんじゃねえだろ!」

日向「しかもイケてるってなんだ!?お前そっちの気があったのかよ!?」

大山「そっか…。そう言えば僕の過去はまだ日向くんには話してなかったもんね…」

日向「ええぇぇえ…。なんだよその反応…?お前まさか本当に…」

大山「やだなあ、僕は至ってノーマルだよ!なに勘違いしてるのさ日向くん!」

日向「うわはあわはああん!!」

ゆり「うわ、泣いてるのか笑ってるのかよくわからないわね…」

遊佐「ちなみにイケチンの元ネタは『Angel Beats!-1st beat-』より、日向さんの愛称です」

遊佐「そのインパクトと作中屈指の使用回数から、日向さん=イケチンと定着してしまった人も多いのではないでしょうか?」

ゆり「遊佐さん、一応女子なんだからイケチンって連呼するのは控えた方がいいわよ…」

ゆり「いや、あたしも今言っちゃったけど…」

遊佐「失礼しました」

ゆり「お、また連絡が入ったわ。今度は誰かしら?」

ゆり「こちらゆりよ!さあ、自分の名前と対戦相手の名前を堂々と宣言しなさい!」

入江「はい、入江です…」

ゆり「ああ、ガルデモのドラムの子ね。ってか元気無いわね、どうしたの?」

入江「あ、あたしの対戦相手が椎名さんですよーっ!」

人畜無害の小動物系乙女

  入江   みゆき
  VS
馬鹿ども100人分の戦力

    椎名

入江「うわあああん!絶対勝てないー!!」

ゆり「いやー、これは運が悪かったわね…」

遊佐「最強候補と、おそらく最弱の組み合わせですね」

椎名「………………」ムスッ

ゆり「あれ、しかもなんか椎名さん機嫌悪くない?」

遊佐「椎名さんの強さを表した称号なのですが、可愛くないとかで気に入らないようです」

ゆり「ああー、そういや椎名さん無類の可愛いもの好きだものね」

ゆり「入江さん、ご愁傷さま♪」

入江「そんなぁーーー!!」

椎名「うだうだ騒ぐな、ファッキン叩き潰すぞメーン」

入江「ひぃーーー!!」

??「くぉらぁーーー!!入江さん脅してんじゃねえぞ!このタコがぁぁぁ!!」

ゆり「なんか一人、明らかにモブじゃないのが混じってるわね」

遊佐「お気になさらず」

ゆり「そうね、野次馬部隊!武器投入よー!」

野次馬「「「おーっ!!」」」

入江
『ペンギンぬいぐるみ』

椎名
『三節棍』

ゆり「ええーーーっ!!ちょっ!椎名さんの武器、あれ普通に武器じゃない!?」

遊佐「仕様です、俗に言うあたり武器です」

ゆり「うーわー…、よりにもよって椎名さんがあたり武器引いちゃうなんてねぇ…」

遊佐「ゆりっぺさん、入江さんの様子に注目してみてください」

入江「………………」ガクガクプルプル

ゆり「…可哀想に。生まれたての子鹿みたいにプルプルしてるわ…」

遊佐「小動物だけに?小動物だけにですか?ゆりっぺさん」

ゆり「そうなのよー、あたしったら上手いこと言っちゃった♪って違うわ!子鹿って小動物の部類じゃねえだろ!」

遊佐「ナイスノリツッコミです、ゆりっぺさん」

ゆり「ってへ♪バトルスタート!!」

遊佐「今のは引きます…」

ゆり「うるさいわぁー!!とにかく実況・解説だぁ!!」

入江「あ、あの…。ちなみにペンギンぬいぐるみでどうやって戦えば…」

遊佐「人形遊びの要領で、手で動かして戦ってください」

入江「ええっ!?叩いたりも駄目なんですか!?」

遊佐「駄目です」

入江「そんなのなにが出来るんですかーっ!?」

ゆり「色々あるじゃない、ペンギンの手を持ってビンタとかしてみたら?」

入江「ダメージにならないですよー!!」

ゆり「いいから駄目元でやりなさい!もうバトルは始まってるのよ!」

遊佐「骨は拾ってあげます」

入江「うぅ、わかりましたよぉ…。えーい!」

ピタっ

ゆり「さあ、最初の一撃が決まりました。ペンギンのビンタが椎名さんのほっぺにヒーット!」

椎名「………………」

遊佐「まったく動じていませんね」

ゆり「ダメージあるわけないものね」

入江「えいっ!えいっ!えーい!」

ピタっピタっピタっ

ゆり「入江さん、やけになったのかペンギンを動かして往復ビンタだー!」

遊佐「哀れですね…、あれでもなんか意外と…」

椎名「………」

椎名「…………」

椎名「……………キュート」

バタッ

入江「えええええっ!?」

ゆり「うわあっと、椎名さんまさかのKO負けだーーー!!」

遊佐「とても幸せそうに倒れてますね…、っていうよりもなんか消えかけてませんか…?」

ゆり「ちょっ!?はやく起こしてーーー!!救護班カモーン!!」

椎名「…キュート」

ー10分後ー

ゆり「はぁ…、あやうくこんな作戦で椎名さんが消えちゃうところだったわよ…」

遊佐「可愛いものに弱すぎますね…」

入江「あのー、よくわからないけどあたし勝ったんですか?」

ゆり「ええ、そうよ。ジャイアントキリングなんてもんじゃないわ」

ゆり「おそろしいルールね…」

入江「運ゲー、相性ゲーの極みです」

椎名「不覚!」

ゆり「ともあれ、入江さん。負けた椎名さんに称号のプレゼントよ」

入江「えーと、なににしようかな~」

椎名「……………」

入江「そうだ!せっかく可愛いものが好きなみたいですし」

入江「『はちみつくまさん』なんてのはどうでしょう?」

椎名「!!!???」

ー椎名の称号が「はちみつくまさん」に変わりましたー

ゆり「えー、それじゃあ罰ゲームどころかご褒美なんじゃないの?」

遊佐「称号をつける権利は勝者にありますので、こういうのもありかと」

椎名「ありがとう、ありがとう、ありがとう」ニコニコ

ブンブン

入江「ええっ、あ、はい~」

ゆり「まあ椎名さんがあんなに嬉しそうにしてるからいいか…」

遊佐「握手して手をブンブンさせてますね…」

遊佐「ちなみにはちみつくまさんは『Kanon』の主人公相沢祐一が、ヒロインの一人川澄舞に言わせた言葉が元ネタです」

遊佐「セットでぽんぽこたぬきさんもお願いします」

ゆり「いや、なにをお願いするのよ…」

ゆり「っと、また来たわね!」

ゆり「はーい、次のバトルは誰と誰ー?」

藤巻「へっ。俺とTKのバトルだぜ!ゆりっぺ!」

ゆり「なんだ、藤巻くんか。適当に流しといてよくない?」

遊佐「そうですね」

藤巻「うおおーい!俺の扱い悪すぎんだろぉ!?」

ツンデレ系かませ犬
藤巻
    VS
とにかくキテるダンサー
          TK

ゆり「というわけで第4戦目…だったかしら?」

ゆり「ツンデレ系かませ犬藤巻くんと、とにかくキテるダンサーTKのバトルだー!」

遊佐「とにかくキテるというのはTKさんの名前の由来です。命名したのは野田さんだったりします」

TK「Hooooo!!Do the locomotion!!」

藤巻「ちょっと待てよゆりっぺ!なんだよツンデレ系かませ犬って!全然まともな称号じゃないぜ!?」

ゆり「はい、遊佐さん」

遊佐「仕様です」

ゆり「武器投入ー!!」

藤巻「納得いかねえよーーー!!」

藤巻
『太いごぼう』

TK
『MP3プレイヤー(60GB)』

TK「Yeahhhh!!Come on let's Dance!!」

ゆり「おお、本当に引くとはやるわねTK!」

遊佐「未だかつて、これほど正しいCome on let's Dance!!は無かったかと思われます」

ゆり「対して藤巻くんなんだけど…」

藤巻「へっ。とうとう俺にも運が回ってきたぜ!」

ゆり「えっ、なに…?どうしてそんなドヤ顔でこの勝負もらったぜ!みたいな顔してるの…?」

藤巻「だってごぼうだぜ?しかも太いんだぜ?得意武器だぜ?もう勝ちしか見えないぜ!」

ゆり「ぜ、ぜ、うっさいわよ!どっからそんな自信が湧いてくるのよ!?」

遊佐「まあ長ドスに近い武器なので、相性は良いほうかと思われますが…」

藤巻「任せてくれ!こうなったらマジで格好良いとこ見せて、あいつちょっとイケてるじゃない?ってとこを見せてやるよ!」

ゆり「前向きなのか後ろ向きなのか、よくわかんないわね…」

遊佐「アホですね、もう何回目でしょうかこの台詞…」

ゆり「ともかく!バトルスタート!!」

藤巻「わりいな、TK!この勝負はもらったぜ!うおりゃあーーー!」

ゆり「さあ、先に仕掛けたのは藤巻くん!自信たっぷりだったけど、勝算はあるのかー!?」

遊佐「ごぼうが似合う選手権2015とかあれば、グランプリとれそうなほど様になってますね」

ゆり「嫌なグランプリねそれ…」

TK「Bomb A Head! Bomb A Head!燃え出すような熱い魂!」

ゆり「対してTKはなんかもうノリノリで踊ってるわね」

遊佐「そういう武器ですからね」

藤巻「くらえ!満月ごぼう斬りぃ!!」

ゆり「普通大根でしょうが!!」

バキッ

藤巻「ぐへっ…」

遊佐「見事なクロスカウンターが決まりましたね」

ゆり「顎に入ったわね、顎に右アッパーが…」

TK「Bomb A Head! Bomb A Head!無茶して知った本当の俺を」

藤巻「ちょっと待てよ…!殴ったりは反則なんじゃねえのかよ…」

ゆり「殴ったりしてないわよ、TKは踊ってるだけよ」

ゆり「そこにたまたま、藤巻くんが突っ込んだんじゃない」

藤巻「そ、そうか…!じゃあとりあえず距離を取れば…」

TK「Bomb Bomb Bomb A Head!Bomb Bomb Bomb A Head!」

バキッべキッドカッ

藤巻「ちょっ!おま…っ!ぶふっ!」

藤巻「ちょ、ちょっと待て!マジで待て!今のはさすがにアウトだろ!?」

ゆり「どうなんですか?解説の遊佐さん」

遊佐「踊ってるだけなのでセーフです」

ゆり「だそうです♪」

藤巻「無茶苦茶だぁーーー!!」

藤巻「こ、こうなったら反撃しねえと始まらないぜ…!」

TK「Everytime 踊る 夢が踊る 今日というリズムで」

TK「Everynight 叫ぶ 心叫ぶ 明日を見捨てないとLet's Go!」

バキッ

藤巻「うわあああ!俺のごぼうがぁーーー!!」

ゆり「折れたわね」

遊佐「折れましたね」

藤巻「…こ、これはさすがにもう戦闘不能だろ?な、な?」

ゆり「どうでしょうか?解説の遊佐さん」

遊佐「続行です」

ゆり「だそうです♪」

藤巻「ふざけんなこのドSコンビぃ!!」

TK「Bomb A Head! Bomb A Head!止められないさ熱い魂!」

バキッべキッドカッ

藤巻「ぐへっ、ごふっ、ぶぅっ」

TK「Bomb A Head! Bomb A Head!無茶して知った本当の俺を」

バキッべキッドカッ

ゆり「………」

遊佐「………」

TK「 Bomb Bomb Bomb A Head!Bomb Bomb Bomb A Head!」

バキッべキッドカッ

藤巻「………………」チーン

遊佐「ゆりっぺさん、そろそろ…」

ゆり「あー、そうね。バトル終了ー、TKの勝ちー」

TK「U! Bomb A Head!」

ー藤巻復活後ー

ゆり「いやー、とんでもない放送事故ね。テレビだったらお茶の間フリーズだったわよ」

遊佐「あまりに一方的でしたね。ごぼう引いた時の自信はなんだったんでしょう?」

TK「HAHAHAHAHAHA!!」

藤巻「笑うなぁ!くそっ、今回は運が悪かっただけだぜ…!」

ゆり「いやだから、ごぼう引いてドヤ顔してたじゃない」

遊佐「これ全部録画してるので、あの時のドヤ顔を、あとでアップにして校内に貼り出しましょうか」

ゆり「面白そうね!この顔にピンときたら110番!って感じで」

藤巻「犯罪者じゃねえか!?」

ゆり「生前ヤクザだったんでしょ?」

藤巻「ま、まあな…。一日だけだけど…」

ゆり「ともかくTK!称号プレゼントの時間よ、思うままにつけてやりなさい!」

TK「OK!!」

藤巻(くそっ!負けたのは悔しいが、とりあえずの問題はこれだぜ…)

藤巻(いや待てよ、そもそも俺の初期称号は『ツンデレ系かませ犬』なんてわけわからねえやつだったじゃねえか…)

藤巻(TKのセンスなら、そんなのよりよっぽどまともで格好いい称号になるんじゃねえか…?)

藤巻「よし、TK!気合入ったの頼むぜ!」

TK「かませDOG」

藤巻「………は?」

TK「かませDOG」

ー藤巻の称号が「かませDOG」に変わりましたー

ゆり「あー、やっぱりかませ犬だったかー」

遊佐「予定調和ですね、これに限っては元ネタすらありません。完全にその場のノリです」

藤巻「うわあああ!!どんだけ扱い酷いんだよぉ!!」

ゆり「愛よ…、これも一種の愛なのよ!」

遊佐「ゆりっぺさんが使っても、愛という言葉がとても胡散臭く聞こえますね」

ゆり「遊佐さん?今なんて言った?」

遊佐「い、いえなんでも…」

遊佐「ちなみにTKが歌っていたのは富樫明生ことm.c.A・Tの名曲。『Bomb A Head!』でした」

遊佐「ボンバヘッ!の愛称で知られるこの曲は」

遊佐「『CLANNAD』の親友キャラ、春原陽平が愛するヒップホップとして作中にも登場しています」

ゆり「さーて、次は面白い勝負が見れるといいんだけど」

遊佐「目的忘れませんかゆりっぺさん…」

ゆり「おっきたわ、きたわよ!こちらゆり!さあ次のバトルは誰!?」

ひさ子「あたしだよ、ゆり。相手は筋肉馬鹿だ」

ゆり「いや、どの筋肉馬鹿よ…?」

ひさ子「ああー、眼鏡筋肉馬鹿だよ」

ゆり「了解、高松くんねー」

遊佐「眼鏡筋肉馬鹿で通じるのもどうなんでしょう…」

百合疑惑の姐さんキャラ
ひさ子
VS
バカルテット・眼鏡担当
         高松

ゆり「さーて今度はガルデモVSガルデモファンの対決ね」

ひさ子「なあ、ゆり。この百合疑惑ってどういう意味なんだ…?」

ゆり「あーそれね。それはね…」

高松「百合とは女の子同士でキャッキャウフフする人たちの総称です。平たく言うならレズです」

ひさ子「………は?」

ひさ子「はああああ!?なんだよそれ!!いつあたしがレズなんて扱いになったんだよ!?」

ゆり「いやーあたしも信じたくなかったけど、証拠が揃っちゃってるのよねー」

ひさ子「えっ!?いやなんだよそれ…、証拠なんてあるわけ…」

ゆり「じゃあ今から裁判を始めましょうか」

ひさ子「えっ…?」

ー裁判開始ー

ゆり「ひさ子被告は、自らの百合疑惑を否認しているとのこと。よって只今より裁判を行う」

ゆり「ひさ子被告、弁解はあるか?」

ひさ子「いやわけわかんねーって!あたしがレズなわけないだろ!?」

遊佐「異議あり!!」

ひさ子「は?」

遊佐「裁判長、今の言葉はこの証拠と明らかに『ムジュン』しています」

ゆり「うむ。遊佐検事官、発言を許可するわ」

遊佐「当方の調べによると、被告は岩沢さんと初めて会った時に『一目惚れした』、などという発言をしたことがある模様です」

ひさ子「いやいや、そんなこと言ってねーし!」

高松「異議あり!!」

ひさ子「はっ?」

高松「裁判長、今の言葉はこの証拠と明らかに『ムジュン』しています」

ゆり「うむ。高松弁護人、発言を許可するわ」

ひさ子「てめー弁護士かよ!?なんで敵に回ってんだよ!?」

高松「これが証拠のボイスレコーダーです」

ひさ子『これだって思った、一目惚れみたいだった。あんたがあたしの運命だって!!』

ゆり「うわーこれは真っ黒ねー…」

ひさ子「いや違うって!ってかあたし確か運命のボーカルって言ったはずなんだけど!?」

ゆり「一目惚れ発言は認めるわけですね!」

ひさ子「いや、まあ…はい。でも、あくまで岩沢の音楽に惚れ込んだだけで…」

遊佐「異議あり!!」

ひさ子「うわあ、またかよ!?」

遊佐「裁判長、今の言葉はこの証拠と明らかに『ムジュン』しています 」

ゆり「うむ、発言を許可するわ」

遊佐「当方の調べによると、被告は岩沢さんに抱きつき『惚れ直した』などと発言したことがある模様です」

ひさ子「いや、さすがにそんなことは…」

高松「異議あり!!」

ひさ子「はっ!?」

高松「裁判長、今の言葉はこの証拠と明らかに『ムジュン』しています」

ゆり「うむ、発言を許可するわ」

ひさ子「またかよ!?てめー完全に裏切ってんじゃねえか!?四面楚歌かよ!周り全員敵かよ!!」

高松「これが証拠のボイスレコーダーです」

ひさ子『ばか…。なんで…また惚れさせるかなあ…』

ゆり「うわー完全に墜ちてるわね…、メスの顔になってたこと間違いなしね!」

ひさ子「メスとか言うなあ!ってかなんでさっきからボイスがあるんだよ!?」

ゆり「惚れ直したことは認めるわけですね!」

ひさ子「いや、まあ…はい。でもあくまで音楽だけであって…」

遊佐「異議あり!!」

ひさ子「どんだけだよ!?」

遊佐「裁判長、今の言葉はこの証拠と明らかに『ムジュン』しています 」

ゆり「うむ、発言を許可するわ」

遊佐「当方の調べによると、被告は岩沢さんとBまで行ってる関係の模様です」

ひさ子「ぶっ!?はああああ!?そ、そんなわけないだろぉ!?」

高松「異議あり!!」

ひさ子「マジかよ!?」

高松「裁判長、今の言葉はこの証拠と明らかに『ムジュン』しています」

ゆり「うむ、発言を許可するわ」

ひさ子「なんだよこれ!?誰か助けてえーーー!!」

高松「これが証拠のボイスレコーダーです」

ひさ子『な、なん、なんだこれ…っ。くすぐったいっ』

ゆり「アウトーーー!!完っ全にアウトよ!このSSは健全なSSなのよ!なーにしてくれちゃってるのよあんたたち!!」

ひさ子「ち、違う!これは岩沢に流されて、軽いゲームみたいなもんで…」

ゆり「Bまで行ったことは認めるわけですね!」

ひさ子「いや、違うって!別にそういうあれじゃなくて…」

遊佐「異議あり!!」

ひさ子「まだくんのかよー!?」

遊佐「裁判長、今の言葉はこの証拠と明らかに『ムジュン』しています 」

ゆり「うむ、発言を許可するわ」

遊佐「当方の調べによると、被告は岩沢さんを押し倒した模様です」

ひさ子「違う、違う、違う!!あれはただの事故で!!」

高松「異議あり!!」

ひさ子「知ってたよくそがーーー!!」

高松「裁判長、今の言葉はこの証拠と明らかに『ムジュン』しています」

ゆり「うむ、発言を許可するわ」

ひさ子「なんだよ、これ。なんで公開処刑始まってんだよ…」

高松「これが証拠の写真です」

ひさ子が全裸で岩沢を押し倒している写真
http://imepic.jp/20150804/863400

ゆり「黒だよ!真っ黒ーーー!!言い訳出来ないでしょ!なんで全裸で顔赤くしてんのよーーー!!」

ひさ子「なんでだよ…、なんでこんな写真まであるんだよぉ…」シクシク

ゆり「全裸で押し倒したことは認めるわけですね!」

ひさ子「………あーそうだよ!認めるよ!」

ひさ子「一目惚れ発言もしたし、惚れ直した発言もしたし、胸チクチクされたり、あたしから岩沢押し倒したりしたっつーの!!」

遊佐「やはりレズでしたか…」

高松「我々は間違っていませんでしたね…」

ひさ子「ちっがーーーう!!あたしはレズじゃねえーーー!!」

ゆり「ここまで証拠が揃ってなお否定するとは、往生際が悪いわね…」

ゆり「こうなったらバトルで白黒ハッキリさせるしか無いわね!」

ひさ子「なんだよぉ…。最初からバトルなんじゃなかったのかよぉ…」シクシク

ゆり「今からひさ子被告には、特定の武器で上半身裸の高松くんと戦ってもらうわ!」

ひさ子「はああああ!?意味わかんねえ!マジ意味わかんねえ!何度でも言うぞ、意味わかんねえって!!」

ゆり「まあ聞きなさい、特定の武器とはデジタルカメラよ」

ひさ子「は…?カメラ…?」

ゆり「そう、それでバトルの最中高松くんの筋肉を撮りまくるのよ!」

ゆり「筋肉は男の象徴、そんな対象を撮り続けて女なら意識しないはずが無いわ!」

ひさ子「いや待て!その理屈はおかし…」

ゆり「バトルをやり終えて、少しでも高松くんを意識したら百合疑惑を払拭してあげる」

ゆり「さあ、高松くん!適当に武器を選びなさい!バトルスタートよ!」

ひさ子「聞く耳持たねえのかよぉーーー!」

ひさ子
『デジタルカメラ』

高松
『3Dメガネ』

ゆり「さあ始まりました、ひさ子被告の百合疑惑を掛けた戦い」

ゆり「実況はあたしゆりっぺ、解説は遊佐さんでお送りします。遊佐さんお願いします」

遊佐「はい、お願いします」

ゆり「遊佐さん。ひさ子被告の百合疑惑の件ですが、どれほどの確率でギルティでしょうか?」

遊佐「出揃った証拠から見るに100%ギルティですね、間違いないでしょう」

ゆり「なのに認めようとしないですね、往生際が悪いにもほどがありますね!」

ひさ子「うっせえ!あたしはレズじゃねえ!この戦いでそれを証明してやるよ!」

高松「私はどうやって戦えば良いのでしょうか?」

遊佐「3Dメガネを一つは自分でかけてください。もう一つはなんとかしてひさ子さんにかけてください」

遊佐「歩くのもままならないほど3Dなので、さきに倒れ続けて体力が無くなったほうの負けです」

ひさ子「なんだよ!その自爆合戦!?」

ゆり「ほらーバトルはもう始まってるのよ!早くしなさい!」

??「ひさ子さーん!レズでも百合でもあたしら的には全然ありなんで気にしないでくださーい!!」

ひさ子「誰だか知らねえけど、全然嬉しくない声援ありがとよ!」

高松「ではいざ!うおおおおー!!」

ドテッ

ゆり「あーっと高松くん、さっそくこけたー!!」

遊佐「3Dメガネが効いてますね」

ゆり「ほら、ひさ子さん。撮って撮って!高松くんの筋肉を重点的に撮りまくるのよ!」

ひさ子「ええー…。なんか嫌なんだけど…」

遊佐「やはりレズ…」

ひさ子「わーったよ!撮りゃいいんだろ!?撮ればぁ!」

カシャカシャカシャ

ゆり「さあ、ひさ子被告!高松くんのあられもない筋肉を前に、貪るかの如くシャッターを切っています!」

遊佐「変態ですね、ああはなりたくないですね…」

ひさ子「どうしろっちゅうんじゃーーーっ!!」

高松「おのれ、まだまだ!うおおおお!」

ドテッ

ひさ子「…………」

カシャカシャカシャ

高松「なんのこれしき!うおおおお!」

ドテッ

ひさ子「……………」

カシャカシャカシャ

ーーーーー

ーーー

ゆり「試合終了ー!激闘を制したのはひさ子被告だぁー!」

ひさ子「どこが激闘だよ!全部勝手に転んで自爆しただけじゃねえか!?」

ゆり「まあ、今回に限ってはバトルの結果なんてどうでもいいのよ」

ゆり「ねえ、ひさ子さん?高松くんの筋肉にドキドキした?正直に答えて」

ひさ子「………いや、正直全然」

ゆり「じゃあそれが答えよ、あなたはやっぱり百合なのよ!レズなのよ!」

BGM ~Brave Song~

ひさ子「……………」

ひさ子「…そうか…そうだったのか」

ひさ子「確かに岩沢だけは特別な気持ちで見てたけど、まさか恋愛感情だったなんて…」

遊佐「百合だから岩沢さんを好きになったのではなく、たまたま好きになったのが岩沢さんだったのでは?」

ひさ子「そうか…!そう考えたらなんかスッキリしたよ!」

ひさ子「そうだよな、あたしは岩沢のことが好きだからな!」

ひさ子「別に百合だからって恥ずかしく思うこと無いんだよな!」

ゆり「ふっ。やっと気づいてくれたわね、その気持ちの大切さに」

遊佐「世話が焼けます」

ひさ子「お前ら、まさかそのために…!」

ゆり「行ってきなさい!あなたの大切な人のところへ!あなたの想いを伝えに!」

ひさ子「ああ、行ってくるよ!みんなありがとな!」

ゆり「あ、ついでに高松くんの称号つけてから行ってね」

ひさ子「あ?称号?なんか適当に『高城』とかで良いんじゃね?」

ー高松の称号が「高城」になりましたー

ひさ子「じゃあな!待ってろよ岩沢あああ!!」

ゆり「いやーいい仕事したわね!」

高松「………………」

遊佐「ちなみに高城の元ネタは絶賛放送中の『Charlotte』より、着痩せする筋肉眼鏡キャラの名前からです」

遊佐「声までそっくりなので、高松さんと間違えないように気をつけてください」

ゆり「さーて、次のバっトルはだっれかしら~♪」

遊佐「めっちゃノリノリですねゆりっぺさん…」

ゆり「おっときたーっ!きたわよ!はい、こちらゆり!あなたのお名前どうぞー!!」

恭介「お、おう…。俺だ、恭介だ」

ゆり「なーんだ、棗くんか」

恭介「そんな露骨にがっかりされるとさすがにショックだぜ…」

ゆり「まあ冗談よ、冗談。で、対戦相手は?」

恭介「ああ、岩沢だ!」 

ゆり「岩沢さんきたーーー!!」

シスコン・筋肉ビギナー・甦れなかった斎藤
    棗 恭介
     VS
情熱の天然ボーカリスト
   岩沢 まさみ

ゆり「ガルデモVSガルデモファンの構図パート2ね!」

ゆり「なんか色々称号ある棗くんと、情熱の天然ボーカリスト岩沢さんのバトルだー!!」

遊佐「ちなみに岩沢さんのまさみは、漢字表記だと雅美になります」

岩沢「ふっ。まさか本当に棗とやるなんて、これも運命かもな」

恭介「なんだ?その言い方だと口説いてるように聞こえるぜ?」

岩沢「さあ、どうだろうな?」

ゆり「あら?いつの間にあの二人あんな仲良くなってたのよ」

遊佐「しかも客観的に見ると、岩沢さんから棗さんに矢印向いてるように見えますね」

ゆり「ひさ子さんが現れたら面白そうなのにね。魔のトライアングルが完成しそうだわ」

遊佐「ゲスいです、ゆりっぺさん…」

??「岩沢さーん!!頑張ってくださーい!!」

岩沢「ああ。がんばるよ」

??「キャー!!」

ゆり「あのモブまたいるわね…」

遊佐「熱狂的なガルデモファンなんでんしょうか?」

ゆり「まあとりあえず、野次馬部隊!武器投入よー!!」

野次馬「「「おー!」」」

恭介
『うなぎパイ』

岩沢
『入れ歯』

恭介「くっ!うなぎパイかっ!?」

ゆり「おーっと、棗くんまさかの痛恨のミス!選んでしまったのはうなぎパイだー!」

遊佐「屈指のはずれ武器ですね」

岩沢「入れ歯って…。これはどうやって戦うんだ?」

遊佐「噛むものなので、カチカチいわせながら相手を噛むことを許可します」

岩沢「噛む…、噛む…、そうか!」

ゆり「なんか岩沢さんが、入れ歯構えながらポーズ決めてるんだけど…」

遊佐「さながら新武器もらった戦隊もののヒーローですね。構えているのが入れ歯じゃなければ…」

??「キャー!!岩沢さん格好いいっすー!!」

ゆり「いや、シュールでしょ!?どう見ても!」

恭介「負けてたまるか!とうっ!」

遊佐「今度は棗さんがポーズ決めてますね」

ゆり「やると思ったわよ、棗くんなら…」

??「ブーブー!引っ込めー!」

恭介「なぜだ!?」

ゆり「ともかくバトルスタート!!」

恭介「さあ、ついて来られるかな!?」

ナギッナギッ

岩沢「なに!?」

ゆり「先に仕掛けたのは棗くん、高速で岩沢さんの周りをぐるぐる回りながら翻弄しています!」

遊佐「この動きが出来るようにななったのも、バトルランキングのおかげですよ、はっはっは」

遊佐「と棗さんは語っていました」

ゆり「マジで!?どんだけ鍛えられるのよ、このバトル!」

遊佐「ただしうなぎパイは耐久力に非常に難のある武器です。勝つからには一撃必殺を狙う必要があります」

ゆり「うなぎパイで一撃必殺とかアホかよ、って思うところだけど棗くんならやりかねないのが怖いわね…」

岩沢(速い…、あたしじゃ捕まるのは無理だな。なら…)

スッ

ゆり「なんと岩沢さん、目を閉じたー!!」

遊佐「心眼で捉えようということなんでしょうか?」

ゆり「いやいやマンガやアニメじゃあるまいし、そんなこと出来るわけ…」

??「黙って見とけー!まるでライブ前の緊張感を感じているかのような岩沢さんに、不可能なんかあるかーい!」

ゆり「いちいち生意気なモブね…」

遊佐「そのうち痛い目にあってもらいますか」

恭介「こえーよ!やめてやれ!」

恭介「ま、そっちがその気なら、俺から行くぜ!」

恭介「はああああ!!」

ゆり「ここで棗くん仕掛けたーーー!!」

岩沢(大丈夫、あたしはどんな場所でも歌ってきたじゃないか…)

岩沢(ただ意識を歌だけに向けて、ただ歌うことに集中して…)

岩沢(同じことをこの入れ歯でやるだけだ!!)

遊佐「なんてアホなモノローグですか…」

恭介「もらったーーー!!」

岩沢「!!」

岩沢「甘いぜ!!」

バキッ

恭介「なっ!?」

ゆり「うわっ!」

遊佐「おお…」

ゆり「噛んだーーー!今まさに自分を襲おうとしていたうなぎパイを、見事に入れ歯で噛み砕いて見せました!!」

遊佐「まさに武器本来の使用方法ですね」

カチカチ、バリボリ

恭介「わああああ!?俺のうなぎパイがーーーっ!!」

ゆり「食われたわね」

遊佐「食われましたね」

岩沢「ふっ、どうだ棗!入れ歯って最高にロックだろ!?」

ゆり「いやいやいや!入れ歯のどこがロックなのよ!?」

恭介「ああ、負けたぜ。お前のロック魂にはな…!」

ゆり「あんたも乗っかるなー!!ただうなぎパイ食われただけでしょ!?」

遊佐「いえ、実はギリギリの戦いでした。どっちが勝ってもおかしくない、名勝負でした」

ゆり「えっ!マジで!?今のが!?」

遊佐「嘘です」

ゆり「うおおーーーい!」

岩沢「とにかく、棗は武器が無くなったしあたしの勝ちだろ?」

遊佐「まだです」

恭・岩「「えっ?」」

ゆり「武器が無くなっても、KOするまで続けてもらうわ!」

ゆり「それが本気のバトルってやつよ!」

恭介「いや、それはそうだが…。俺にはもう武器が…」

遊佐「つまり反撃不可能です。なすすべなく岩沢さんに食われちゃってください(意味深)」

恭介「なんだとぉーーー!?」

岩沢「ほほう、つまりあたしは今から棗を好きにしてもいいってことだな?」ニヤッ

ゆり「おおっと!岩沢さんノリノリだー!!変なことしちゃ駄目よ!!」

ゆり「あくまで噛んだり(意味深)、食べたり(意味深)するだけだからねー!」

恭介「なんか響きがエロイぞ!?やめろ、俺達一応未成年だぞ!!」

遊佐「ゆりっぺさんだって生きていればおばさんです。一番欲求不満の時期です」

遊佐「なにも問題はありません」

ゆり「遊佐さん!?」

岩沢「さあ、棗。お前の体のあらゆるところに、あたしの歯形をつけてやるぜ」

カチカチ

恭介「お前そういうキャラだったのか!?やめろ、そっち方面の需要的には俺は大体攻めキャラなんだぞ!」

岩沢「知るか、あたしはお前が屈服する様が見たい」

カチカチ

ゆり「うわあ…、岩沢さんもSだったかー」

遊佐「たじろいでる棗さんはレアですね。いいぞ、もっとやれ」

岩沢「覚悟しろー!!」

恭介「アーーーっ!!」

ー事後ー

岩沢「ふう…、満足したぜ」

ゆり「まるでギター弾き終えた時みたいに爽やかな顔してるんだけど…」

遊佐「新たな楽しみを見つけてしまったみたいですね…」

ゆり「耳から行くあたりわかってたわね…、あんな岩沢さん見たらファンドン引きなんじゃないの…」

??「キャー!Sな岩沢さんも素敵ですー!あたしも襲ってくださーい!」

ゆり「普通に受け入れてるんだけど!?」

遊佐「岩沢さんのカリスマの成せる業ですね」

恭介「くっ…、酷い目にあったぜ…」ボロッ

ゆり「体中マジで歯形だらけね…」

遊佐「途中上着脱がせてよいではないかプレイしてましたからね…」

ゆり「あっでも、一線は超えてないからセーフよ!あくまで顔とか腕とか足だけだから」

遊佐「どこに向かって言い訳してるんですかゆりっぺさん…」

岩沢「それと棗。約束通りお前の称号をつけさせてもらうぞ」

ゆり「うわあもう、めっちゃノリノリね…。クールビューティな岩沢さんはどこ行ったのよ…」

遊佐「やはりガルデモも馬鹿の集まりだったんですね…」

岩沢「棗!お前の称号は今日から『Love&Spanner』だ!」

ー恭介の称号に「Love&Spanner」が追加されましたー

恭介「こんなのってねえよ!わけわかんねえよ!くそっ!」クスクス

ゆり「半分笑ってるじゃない!実際、普通に嬉しいんでしょ!白状しなさいよ!」

遊佐「おそろしく残念なネーミングセンスですね…、スパナってどこからきたんですか…?」

岩沢「スパナってなんかロックだろ?」

ゆり「どこが!?岩沢さんのロックの基準がわからないわよ!?」

岩沢「えー、じゃあ『家政婦は見た!愛でスパナを回す男』とかの方がいいか?」

ゆり「それこそ、『こんなのってねえよ!わけわかんねえよ!くそっ!』って言いたくなるわよ!」

ゆり「家政婦とかどっから出てきたのよ!?しかもノリが仮面ライダーとかに出てくる怪人みたいじゃない!?」

遊佐「ゆりっぺさん、初代仮面ライダーネタはさすがに通じにくいかと…」

ゆり「もういいわ…Love&Spannerより遥かに酷いのが出てくるとは思わなかったわよ…」

ゆり「ってかどんだけスパナに拘るのよ…」

恭・岩「「だってスパナってロックだろ?」」

ゆり「合わせんなこの馬鹿コンビーーー!!」

遊佐「ちなみにLove&Spannerの元ネタは『CLANNAD』より、芳野祐介のCDです」

遊佐「Key15th & Clannad 10th Anniversary Rebirth Albumにも収録されていて」

遊佐「スパナってロックだったんだと思わせてくれる名曲です」

ゆり「はあ…、毎度カオスすぎんでしょ…」

ゆり「キャラ崩壊ってレベルじゃないわよ、うちの戦線馬鹿しかいないじゃない…」

遊佐「さすがのゆりっぺさんもツッコミ疲れてきましたか」

ゆり「ってか実況ってツッコミも含むのね、あたし知らなかったわー、世の実況者ってすごいのねー」

遊佐「いや、さすがにここまでの惨事はなかなか無いかと…」

ゆり「おーっと!来たわね次のバトルが。はい、今度は誰ー?」

野田「フッ、俺だぜ。ゆりっぺ!!」

ゆり「はい、野田くんの負けー。いじょ!」

野田「うおおおおい!?」

バカルテット・純愛担当
野田
     VS
バカルテット・柔道担当
         松下

ゆり「というわけで戦線のかませ犬争い野田くんと、肉うどんの食券をあげたらなんでもしてくれると噂の松下くんの戦いだー!」

遊佐「ついに来ましたね、バカルテット対決」

ゆり「ってかなによ純愛担当って。松下くんリーダー命令よ、絶対勝ちなさい!」

松下「了解した、任せろゆりっぺ」

野田「ゆりっぺぇ!なぜ俺を応援してくれない!?ってかかませ犬扱いはやめろぉ!!」

ゆり「がんばれ、がんばれ野田くん!がんばって負けちゃいなさい♪」

野田「おおっ!任せろゆりっぺ!っておおっ!じゃねえーーー!!」

遊佐「テンプレ的ノリツッコミですね」

ゆり「あれが馬鹿の限界ね、可哀想に…。さて結果も見えてるし巻いていっちゃいましょうか!」

ゆり「野次馬部隊!投げ入れなさーい!」

野次馬「「「ありゃほりゃさっさ~!」」」

野田
『ペーパークラフト(姫路城)』

松下
『かごごとバスケットボール』

ゆり「えええええっ!?松下くん、なんてものキャッチしてるのよ!」

ゆり「ってか誰よ投げ入れたの!?よく投げれたわね、あんなもの!!」

松下「生前目の見えなかった俺にとって、この程度のこと造作もない!」

ゆり「えええええっ!?なんて重要そうな過去をこんな場所で明らかにしてんのよ!?」

ゆり「もっと他にあったでしょ!?長々とモノローグ語ったあたしが馬鹿みたいじゃない!?」

遊佐「馬鹿を見て、自分が馬鹿に見えるとはこれ如何に」

野田「おい、解説…。これは一体どうやって戦えば…?」

遊佐「組み立ててぶつけてください。以上」

野田「投げやりすぎるだろ!!しかもせっかく組み立てたものをぶつけるのか!?」

野田「どんだけ心にダメージ負うかわかってるのか!?」

ゆり「聞く耳もたなーい!はい、バトルスタート!」

松下「すまんな、野田!お前相手とはいえこの勝負負けられん!」

ポイッドカッポイッドカッ

野田「ぐっ!うっ!くそっ!ゆりっぺが見てる前で、無様に負けるわけにはいかん!」

ゆり「さあ、背中を向けて必死に姫路城を守りながら、ペーパークラフトを組み立てる野田くん!」

ゆり「その野田くんに対して、容赦なくバスケットボールの雨が襲いかかります!」

遊佐「傍から見てると完全にイジメですね、これ…」

ゆり「でも意外と器用ね野田くん、この分なら完成するんじゃない?」

遊佐「本部のトラップを作ったり、肝試しのトラップ作ったり、実は器用ですからね野田さん。馬鹿ですが」

野田「聞こえているぞ!遊…ブハッ!」

ゆり「ああーっと!遊佐さんの言葉に反応して振り返った瞬間、顔面にボールがクリティカルヒット!!」

遊佐「今のは効きましたね、振り返ってしまったのが仇になりましたね」

野田「キサマのせいだろ…グハッ!」

ゆり「更に顔を上げたところに、またまたボールがクリティカルヒーット!!」

遊佐「馬鹿ですね…」

野田「まだだ…!まだ俺は負けられん…!」

ゆり「顔面真っ赤にして鼻血を出しながら、なお姫路城を完成させようとする野田くん!」

ゆり「なにが彼をそこまで駆り立てるのかーーーっ!?」

松下「もうよせ!野田!すでに勝負はついている!」

松下「なにをそんなに頑張っているんだ!?」

野田「そりゃあ頑張るに決まっている…」

野田「この世界に一人きりだった俺が、あの日ゆりっぺに出会って居場所を貰ったんだ…!」

野田「俺は相変わらず馬鹿だが、そんな俺をゆりっぺは必要としてくれた!」

野田「だから負けられん!どれだけ無様を晒そうと、馬鹿と言われようと、ゆりっぺの前で諦めることだけはしない!」

松下「野田…」

ゆり「………野田くん」

遊佐「とても熱い展開です。ちまちま姫路城を組み立てていなければ…」

野田「…さあ、出来たぞ…!俺の汗と血に染まった姫路城が…!!」

野田「覚悟しろ…、松下…!この一撃でお、まえ…を…」

バタっ

ゆり「野田くん!?」

松下「野田!?」

遊佐「試合終了です!救護班出動してください!」

ーーーーー

ーーー

ゆり「まったく馬鹿ね。こんなの完成させたところで勝ち目無いのは目に見えてたのに」

遊佐「凄まじい執念でしたね、馬鹿は諦めることを知らないようです」

松下「すまんな。ゆりっぺ、遊佐。わざわざ足を運んでくれるとは」

ゆり「たまたま場所が近かったから来ただけよ、それ以上の理由なんて無いわ」

遊佐「ツンデレですね、ゆりっぺさん」

ゆり「だーれがツンデレよ!」

ゆり「…でもまあ、がんばったのは認めてあげるわ。必死に姫路城完成させたし」

松下「この姫路城はどうするんだ?」

ゆり「………あたしが責任を持って処分するわ。バトルに使ったものなんだから、証拠隠滅のために破棄しないとね」

松下「ふっ、そうか。ゆりっぺ」

遊佐「大切にしてあげてください」

ゆり「大切にしないわよ!?捨てるって言ってるでしょ!!」

松下「ならそういうことにしておくか」

ゆり「あーもう、なに勘違いしてんのよ!ってか松下くん!さっさとのびてる野田くんに称号つけなさいよ!」

松下「おっとそうだったな!じゃあこんなのはどうだ?」

ー野田の称号が「純愛系食料」に変わりましたー

ゆり「ちょっ!?なんでまた純愛とかつけてんのよ!食料とかわけわかんないのはともかく!」

松下「このギャップがいいんだろう」

ゆり「知らないわよ!さっさと純愛外してただの食料にしなさいよ!」

遊佐「ゆりっぺさん、称号をつける権利は勝者にありますから」

ゆり「納得いかなーい!!」

松下「で、ゆりっぺ。姫路城持ってどこに行くんだ?」

ゆり「………実況席に持って帰って後でゴミ箱に捨てるのよ。ここで壊して放置するのは自然破壊になるでしょ?」

遊佐「ご命令を頂ければ、今すぐここにゴミ箱を持ってきてもらいますが?」

ゆり「いいのよ!あたしが捨てるって言ってるでしょ!」

ゆり「ほら、遊佐さん!さっさと戻るわよ」

遊佐「かしこまりました」

遊佐(後日、ゆりっぺさんの部屋の片隅には、大事そうに飾られた姫路城があったそうです)

遊佐「ちなみに食料の元ネタは、『Angel Beats! キャラクターコメンタリー第二話』からです」

遊佐「コントの中で野田さんが、牛や羊になって尽く皆さんに食べられるという」

遊佐「まさにおいしい扱いを受けていた様からです」

ゆり「なにちょっとうまいこと言ったみたいな感じの顔してんのよ…」

遊佐「それはまさか、おいしいにうまいをかけたんですか?」

ゆり「そこまで考えるかーーーっ!!」

ゆり「あーもう、なんなのよ!なんでここに来て、微妙にほっこりするバトルなんかしちゃうのよ!」

ゆり「あたしが見たいのはギャグに塗れた面白おかしいバトルだってのに、なーに趣旨間違えてくれちゃってるのよ!」

遊佐「ご覧ください。もはや完全に作戦の趣旨を見失っている、ゆりっぺさんがこちらです」

ゆり「全く誰もあんなバトル求めてないってのよ!空気読めって話よ!」

遊佐「ところでゆりっぺさん。わざわざマイクスタンドの隣に置かれた、その姫路城はいつ捨てるんですか?」

ゆり「………後で捨てるのよ」

遊佐「ご命令していただければ今すぐ捨てますが?」

ゆり「後で捨てるって言ってんでしょーーー!!」

遊佐「失礼しました」

ゆり「はぁはぁ…。次のバトルまであんなバトルしたら許さないわよ…」

遊佐「そういえば、あと戦ってないのは二人だけですね」

ゆり「えっ!そうなの?ってことはまだあいつが来てないような…、っと連絡来たわ」

ゆり「はい、こちらゆり!名前を言いなさい、オーバー!」

真人「ジッ、こちらかなりの筋肉。ただちに現場に向かいます!」

ゆり「井ノ原くんきたぁーーー!!」

真人「うおっ!耳キーンだぜ…」

ゆり「いやー待ってたわよ。あたしたちは、あなたみたいな筋肉を待ってたのよ」

ゆり「期待を裏切ってくれるんじゃないわよ?」

真人「おお…、かつて無いほど期待を掛けられてる気がするぜ…!」

遊佐「こんな戦線に誰がしたんでしょう…?」

バカルテット・旋風担当
   井ノ原 真人
     VS
脈絡無しのハイテンションガール
   関根 しおり

ゆり「対戦相手も良いわね!これは面白いバトルになりそうだわ!」

関根「ムフフ。筋肉なんて飾りだってことを教えてやりますよ、井ノ原先輩」

真人「なんだとてめえ?そういう舐めた口聞く奴には」

真人「筋肉ランド、夢の国にご招待してやるぜ…!」

遊佐「わけがわかりません…」

??「関根先輩ー!なんかわからないけどがんばってくださーい!」

関根「あたしだけ適当すぎやしませんかい!?やたら存在感あるモブ子ちゃんよぉ…」

ゆり「さあ、会場もあったまってきたわよ!野次馬部隊!やーっておしまいなさーい!」

野次馬「「「あーりゃほりゃさっさ~!」」」

真人
『洗濯バサミ』

関根
『洗濯バサミ』

ゆり「おおっとー!まさかのミラーマッチ!?えっ?こういうのもありなの?」

遊佐「ありです」

関根「ムフフ。この洗濯バサミで、井ノ原先輩をあたし色に染め上げちゃおうってことですね!」

真人「へっ、女相手に負けるかよ」

ゆり「あーついでにルール追加すると、二人とも洗濯バサミ留めるのは顔限定ね!」

真・関「「えっ?」」

遊佐「そんなルールありましたか?ゆりっぺさん?」

ゆり「せっかくミラーマッチなんだからその方がおもし…、イカれて見えるでしょ!」

真人「今、面白そうとか言いかけなかったか!?」

関根「さすがに顔オンリーってのは、全世界64億人の関根ちゃんファンの皆さんが許さないかと…」

遊佐「世界中の人間全員ファンとかどれだけ厚かましいんですか…?」

真人「どうした、ビビったのか?なんなら俺だけ顔でも良いんだぜ?」

真人「俺の筋肉からしたらちょうどいいハンデだぜ」

関根「カッチーン!おうおう、随分ナメてくれちゃいましたねぇ!」

関根「いいでしょう!」

関根「顔は女の命、今この時ばかりは女としてのプライドを捨ててでも正々堂々勝ちに行ってやろうじゃありませんかーーー!!」

ゆり「言ってることはすごい男らしいわね…」

真人「へっ!面白え!言っとくが俺は手加減しねえぜ!」

関根「手加減した方がいいんじゃないですかー?負けた時に言い訳できますよー!」

真人「なんだとぉ!!」

関根「なんですか!!」

真・関「「ぐぬぬぬぬぬ!!」」

真・関「「ゆりっぺ(先輩)!!バトルスタートのコールだ(です)!!」」

ゆり「任せなさい!さあ、いくわよ!バトルスタート!!」

真人「先行はもらったあ!オラオラぁ!」

関根「うぐぅ…!」

ゆり「さあ始まりました!開始前から火花をバチバチ散らしてた二人!」

ゆり「井ノ原くん、まさかの開幕から鼻に洗濯バサミを留めに行ったぁー!」

遊佐「容赦無しですね…、完全に女子全員を敵に回しましたね」

関根「よくもやってくれましたね!こっちはこうだーー!!」

真人「うおっ!」

ゆり「反撃の関根さん!両耳に同時に洗濯バサミを留めたー!」

遊佐「さながらピアスですね」

真人「てめえ!いきなり二個とか卑怯なんだよ!」

関根「真剣勝負に卑怯もくそもあるかーー!!」

関根「おらーっ!!お返しの鼻バサミだーー!!」

真人「のおっ!てめえ!ならこっちは唇だーー!!」

関根「あひぃ!女子の顔に何してくれるんですかーー!!」

真人「真剣勝負って言ったのはてめえだろうがー!」

関根「おのれぇ!ならこっちは髪に留めてやるわーー!!」

真人「こっちは絶えず唇だーー!!」

ゆり「すごいわね…!過去最高の盛り上がりようなんじゃないの!?」

遊佐「完全に子どもの喧嘩ですね…。精神年齢が同レベルとしか思えません」

真人「おらーっ!!」

関根「とりゃーっ!!」

ゆり「まるで手が何本も見えるかのようなスピードで、洗濯バサミの応酬が続くー!」

ゆり「果たしてバトルの女神はどちらに微笑むのかー!?」

ーーーーー

ーーー

ゆり「………」

遊佐「………」

真・関「「ふぬぬぬぬぬ!!」」

真人「ひぇひねぇ…!ひいひゃへんほうはんひひゃりゃろうりゃあ…!?」

関根「ひのはりゃへんひゃいほほ、あひりゃへあるしゅひれしゅよぉ…!?」

ゆり「完全にさっきと別の意味の放送事故になってるわね…」

ゆり「ほっぺやら唇やらに洗濯バサミ留まってるせいで、何言ってるかわからないんだけど…」

遊佐「通訳するとこんな感じです」

真人『関根ぇ…!いい加減降参したらどうだぁ…!?』

関根『井ノ原先輩こそ、諦め悪すぎですよぉ…!?』

ゆり「普通ここまで行く前にどっちかギブアップするでしょうに…」

遊佐「精神が肉体を凌駕していますね。ここまで来たらただの我慢比べです」

ゆり「でももう洗濯バサミ留める場所も無さそうだし、このままじゃ決着つかないわね」

遊佐「どうしますか、ゆりっぺさん?」

ゆり「仕方ないわね、二人の顔の洗濯バサミを同時に全部パッチンしちゃいましょう!」

真・関「「えっ…!?」」

遊佐「パッチンとはつまり、引っ張って強引に外すということですか?」

ゆり「そうよ!そしてその痛みに耐えれた方の勝ちよ!」

真人「ひょっほひゃて!!ひふらひゃんれもむひゃふひゃりゃぜ!?」

関根「ひひゃいじゃしゅみゃないれすよーー!?」

ゆり「文句言わなーい!野次馬部隊、二人を取り押さえなさい!」

野次馬「「おー!!」」

真人「のおおおおお!!」

関根「ひゃああああ!!」

遊佐「まさに外道です、ゆりっぺさん…」

ゆり「さあ!全員手分けして同時にパッチンするのよ、いいわね!」

??「関根さん、スミマセン!命令なのでやらせていただきます」

関根「ひゃめれーーっ!!」

ゆり「いくわよ!3…2…1」

真・関「「ひょっほひゃてーー!!」」

ゆり「ゼロ!!」

バチィンっ!!

真・関「「ーーーー~~~~っ!!」」

ゆり「さあ二人とも、地面に転がってゴロゴロ転がりながら声にならない悲鳴を上げております!!」

遊佐「痛そうです、それしか言えないです…」

ゆり「ダブルKOなのでここで勝利条件を変更!」

ゆり「先に立ち上がってニッコリダブルピースをしながら」

ゆり「『○○、バトルぅ!勝ったどぉーーーっ!!』と宣言した方の勝ちです!」

ゆり「○○には、自分の名前を入れてくださいねー♪」

遊佐「どこかで見たことあるような勝利条件ですね」

ゆり「さあ、みんなで二人を応援してあげなさい!」

ゆり「そーれ、わーっしょい!わーっしょい!」

野次馬「「「わーっしょい!わーっしょい!」」」

??「わーっしょい!わーっしょい!」

遊佐「……………」

ゆり「遊佐さん!!」

遊佐「…わーっしょい///!わーっしょい///!」

真人「うぅっ…!」

ゆり「おーっと先に立ち上がったのは井ノ原くんだぁー!!応援に後押しされたのかーーー!?」

真人「筋肉が無けりゃ即死だったぜ…!」

遊佐「顔って筋肉、関係あるんでしょうか…?」

ゆり「ゆっくりとその大きな体を起こしたーーー!!」

ゆり「関根さんはまだしゃがみこんで、顔を抑えたままです!!」

真人「この勝負もらったぜ…!」

ゆり「決まってしまうのか!?このまま決まってしまうのか!?」

真人「ま、真人!バトルぅ!」

関根「!!」

真人「かっ…」

関根「…しおりん!!バトルぅ!!勝ったどぉーーーーーっ!!!」

真人「なっ…!?」

野次馬「「「おおっ!?」」」

ゆり「決まったーーー!!バトルぅ!けっちゃーーーく!!」

ゆり「井ノ原くんがこれから宣言しようかという瞬間、気力を振り絞って先に宣言しましたーーー!!」

遊佐「お見事です…!」

??「関根さん、やったぁーーー!!」

関根「はぁ…はぁ…」

ゆり「遊佐さん、関根さんの勝因は何でしょう!?」

遊佐「しいて言うなら顔の表面積の差でしょうね」

遊佐「関根さんのほうが小顔なので、僅かばかり洗濯バサミの数が少なかったのでしょう」

ゆり「井ノ原くんも最後の良心か、髪には洗濯バサミを留めませんでしたからね!」

ゆり「それにしてもすごいバトルだったわ!みんな拍手!!」

パチパチパチパチ

関根「…どうすっか…?井ノ原先輩?あたしの勝ちですよ…」

真人「………」

真人「…やるじゃねえか。ここまでやられたら文句は無えぜ」

真人「女だと思って甘く見て悪かったな」

関根「あれ?もっと粗野で乱暴なキャラかと思ってたのに、意外と紳士じゃないですかぁー」

真人「へっ、言ってろ!それじゃあな!良い筋肉でまた会おう!」

関根「ちょい待ち!」

ガシッ

真人「うっ…」

関根「どこ行こうとしてるんですかー?まだ罰ゲームが残ってますよー♪」

ゆり「おお、いい笑顔ね。関根さん」

遊佐「よっぽど良い称号の案があるんでしょうか?」

真人「ちっ!仕方ねえ!おら、さっさと称号つけろよ!」

関根「まあまあ、そう慌てず♪ぐふふ、この激闘に相応しい称号をつけてあげますよーー!!」

関根「さあ、聞いて驚け!見て笑え!井ノ原先輩の称号はこれだーっ!!」

ー真人の称号が「それと便座カバー」に変わりましたー

真人「うおおおおおっ!なんじゃそりゃあーーー!?」

関根「説明しよう!『それと便座カバー』の称号をつけられたものは!」

関根「必ず語尾に『それと便座カバー』とつけなくてはならないのである!!」

真人「は!?なんだよそりゃあ!そんなのルールに無いだろ!!」

ゆり「面白いわね、了承!」

真人「うおおおお!!たった一秒で了承されたぁーーー!?」

ゆり「いやー罰ゲームが楽しみねー♪」

遊佐「ちなみにそれと便座カバーとは『CLANNAD』に出てくる春原陽平のネタです」

遊佐「そのあまりのインパクトから、春原=それと便座カバーが結びつくほどの伝説のネタです」

関根「ふははははは!下克上達成だー♪」

真人「納得いかねぇーーー!!」

~Kyosuke Side~

恭介(山頂付近から下を覗く。真人と関根のバトルが終わったようだ)

恭介(すげえ盛り上がりだったな。みんな楽しんでるようでなによりだぜ)

恭介(けど、そもそもの目的は神を引きずり出すことなんだよな。このオペレーション)

恭介(だがそれも、立華が神の使いで、天使であるという前提のものだ)

恭介(そもそも立華は天使なのか…?いや俺の勘ではノーだ)

恭介(最初に俺と会った時にも、自分が天使であることを否定していた)

恭介(立華を仲間にするには、立華が天使で無いことをみんなに証明する必要があるんだが…)

恭介「さて、どうしたもんか…」

恭介「立華自身が天使じゃないとみんなに言ったところで、納得するわけないしな…」

恭介(まあこの問題はもう少しゆっくり考えてみるか…)

恭介(とりあえず山頂でも目指してみることにした)

恭介(山に来たからには、やっぱり山頂を目指してみたくなるもんさ)

恭介(しばらく歩いていると、目の前になにかが現れた)

恭介(なんだ、あれは…黒い馬?いや、犬…なのか?)

黒い犬?「………ウーッ」

恭介「威嚇されているみたいだな…、ここから先には行くなってことか?」

黒い犬?「ワンッ!」

恭介(やはり犬みたいだ。だが、ものすごくでかい)

恭介(普通に人間よりでかいし、馬と見間違えるほどのでかさだ)

恭介(背の低いやつなら背中に乗れるんじゃないか…?)

恭介(よく見たら何かを咥えている気がする…)

恭介(目を凝らしてそれを注視した)

恭介「…!?あ、あれは斎藤マスク…!」

恭介(なぜあんなものをあの犬は咥えているんだ…)

日向「おっ!恭介ー!見つけたぜ、俺とバトル…」

日向「ってお前!?そいつ『黒王』じゃねえか!!」

恭介(後ろから日向が駆け寄ってきた)

恭介「黒王?」

日向「ああ…。前にこの世界の壁を調べたって話したことあったろ?」

日向「その時にさんざん邪魔してきたのがあいつなんだ…」

日向「ゆりっぺの読みじゃ、あいつも神の使いでこの世界の秩序を守る守護者らしいぜ…」

恭介「神の使いか…」

日向「ああ、あいつには銃も効かねえからな。間違いないだろうぜ…」

恭介(日向が気のせいか震えているように見える)

恭介「どうした日向?」

日向「いや、俺犬はちょっとな…」

恭介「嫌いなのか?」

日向「いや、嫌いってわけじゃないんだが…。ちょっと苦手でさ…」

恭介(意外だな。日向にも苦手なものがあるのか)

日向「とにかく、あいつからは早く離れたほうが…」

黒王「ワンっ!!」

恭介「なっ!?」

日向「やべえ、こっちくるぜ!?逃げろ!!」

恭介(あんな犬に襲われたらただじゃすまない!俺と日向は全速力で走り出した!)

恭介「はぁ…はぁ…!」

日向「くっそ!しつこいぜ!あの野朗!…のわぁ!?」

恭介「日向!?」

恭介(日向が転んでいた…!なにかに躓いたのかもしれない)

恭介(その日向に向かって黒王が襲いかかろうとしていた…!)

黒王「ワウーーーっ!!」

日向「うわあああっ!!」

恭介「日向ーーーっ!!」

恭介(俺は急いで反転すると、黒王に体当たりをかました)

恭介(が、思ったよりも吹き飛ばない。見た目以上に重い手応えだった)

黒王「ワンっ!!」

恭介「くっ!」

恭介(黒王が空中で宙返りして体勢を立て直す、そして即座に押し倒された)

黒王「ウゥーーーっ!!」

恭介(そして咥えていた『それ』を押し付けてきた…)

日向「恭介っ!!」

日向「このぉーーーっ!!」

日向(恭介が襲われている、俺を庇ったせいだ!なら今度は俺が助けねえと!!)

日向(同じように黒王に体当たりするつもりだった…。けど…)

バキッ

日向「ぐはっ…!?」

日向(なんだ…今のは…?今なにが起こったんだ…)

日向(間違いじゃなければ…なにかに蹴り飛ばされたような…)

??「…………………」

??「世界の斎藤は…俺が守る…」

??「は~りゃほ~りゃうまう~っ!!」

日向(そこには妙な仮面を付けた恭介が、俺を見下して立っていた…!)

今日は以上です、これでデーモンピクニック前編終了
やけに間が空きましたが、コツコツ書き溜めてたのでやたら長くなりました

ちなみに斎藤フラグを回収していないので、その場合と展開が変わります
EDには影響しないのでご安心ください

恭介 Love&Spanner
真人 それと便座カバー
椎名 はちみつくまさん
沙耶 宮沢最高ぉーーー!!
野田 純愛系非常食
高松 高城
日向 イケチン
藤巻 かませDOG

敗北組の称号一覧です。当然罰ゲーム回も用意していますのでご確認ください

予告してませんでしたが、急遽休みが入ったので再開します

ちなみにガルデモ曲だと私はmy songが好きです

~Yuri Side~

ゆり「さーてとりあえず全員が戦ったわね。次はどんなバトルが起きるかしら?」

遊佐「そういえば天使が一向に現れませんね」

ゆり「そういえばそうね。ま、これだけ馬鹿騒ぎしてるんだから、必ず釣られて来るはずよ」

ゆり「気長に待ちましょ」

遊佐「了解です」

ゆり「おっと、来たわね。新たな連絡が!」

ゆり「もしもーし、こちらゆりよ!」

日向「ゆりっぺ!俺だ、日向だ!大変な事になっちまった!!」

ゆり「…日向くん?…なにがあったの?」

ゆり(日向くんの様子がおかしい。少なくともバトルの合図で無いことは確かだ…)

ゆり(あたしは心を切り替えて、日向くんの答えを待った)

日向「恭介が…!恭介がおかしくなっちまったんだよ!!」

ゆり「なんですって!?棗くんが!?」

ゆり「…って、棗くんがおかしいのはいつもの事でしょ」

日向「そうだけどそうじゃねえんだよ!黒王が現れたんだ!」

ゆり「黒王が!?」

ゆり(黒王とは、あたしたちがこの世界がどこまで広がっているのか)

ゆり(それを確かめようとした時に、幾度となく襲ってきた黒い犬の名前だ)

ゆり(馬と見間違えるほどの巨大さと、銃弾を跳ね返す体、その異常さから神の使いだと睨んでいた存在)

ゆり(事実あいつは世界の秩序を守るかのように、壁の付近でしか姿を見せないはずだ)

ゆり(裏山なんかに現れるはずが無い…!)

日向「あいつがいきなり襲ってきて、妙な仮面みたいなのを恭介に被せたんだ!」

日向「そしたら恭介が、なんかおかしくなって…!」

ゆり(攻撃を仕掛けてきた…?壁に接近したわけでもないのに、いきなり?)

ゆり(そして謎の仮面で棗くんをおかしくした…?)

ゆり「わかったわ!ただちに全員に招集をかける」

ゆり「日向くんも一度戻ってきて!」

日向「あ、ああ!わかった!」

遊佐「ゆりっぺさん…」

ゆり「本命は現れなかったけど…」

ゆり「これはもっとやばいのが引っ掛かったかもしれないわね…!」

ゆり(数十分後、散らばっていた戦線メンバーが全員集合した)

ゆり(ただ一人棗くんを除いて…)

ゆり(日向くんが一通りの説明を終えると、あちこちからざわめきが生まれた)

ゆり(それほど棗くんは、戦線にとって大きな存在になっていたのかもしれない…)

日向「みんな、すまねえ!俺のせいなんだ…!俺を庇って恭介は…」

ゆり「自分を責めるのはやめなさい、日向くん。こういう時こそ落ち着くべきよ」

ゆり「他のメンバーもよ。気持ちはわかるけど、とりあえず冷静になって」

真人「なあ、その事なんだがよ。恭介の奴『マスク・ザ・斉藤』になっちまったんじゃねえのか?」

ゆり(比較的冷静な態度で、井ノ原くんがそう言った)

ゆり「『マスク・ザ・斉藤』?」

真人「ああ。俺たちがバトルランキングしてた時にも、変な仮面で正体隠して、そう名乗ってバトルに乱入したりしてたんだよ」

真人「恭介的には、ラスボスとか隠しキャラのつもりだったんじゃねえか?その方が盛り上がるみたいな理由でさ」

沙耶「じゃあ今回も恭介くんの悪巧みとか遊びの演出ってこと?」

日向「でも…、恭介の奴、俺を蹴り飛ばしてきたんだぜ…?」

謙吾「蹴り飛ばしただと!?」

ゆり(宮沢くんが声を荒げる)

謙吾「それはいくらなんでもおかしい。恭介の行動理念は、基本的に楽しい遊びをすることだ」

謙吾「いくら斉藤になったからといって、あいつは仲間に暴力を振るうような奴じゃない…!」

岩沢「…ああ、棗はそんな奴じゃない。その仮面のせいで本当におかしくなったんじゃないのか…?」

ゆり「…あたしも二人と同意見よ。なにより、黒王の存在が不可解すぎるわ」

大山「そうだよね…。壁の近くにしか現れなかったはずなのに、どうして山頂付近になんかいたんだろう?」

野田「しかも黒王が仮面を被せた直後だったんだろう?恭介がおかしくなったのは?」

日向「ああ…。それまではいつもの恭介だった。間違いない」

ゆり「…とりあえず、直接棗くんの様子を確認しないことには始まらないわね」

ゆり「デーモン・ピクニックは一時中断するわ。実行班を除いた全てのメンバーはここで待機してて、いいわね?」

岩沢「…ああ、わかった」

ゆり「遊佐さん。棗くんの今の居場所はわかる?」

遊佐「棗さんの発信器の反応は、山頂付近の広いの丘です。そこで静止し続けているようです」

日向「俺たちが襲われたすぐ近くか…!」

ゆり「あの辺りは見晴らしがいいから、捜索に手間取ることも無さそうね」

ゆり「実行班総員、戦闘準備よ!」

高松「なっ!?」

藤巻「戦うのかよ…、恭介と…?」

ゆり「あくまで最悪の可能性を考慮するだけよ。もし棗くんになにかあったのなら、助けられるのはあたしたちだけ」

ゆり「そう思って覚悟しなさい…!」

実行班「「「……………」」」

ゆり(全員の表情が芳しくない…。それでもなんとか士気を上げなくてはならない)

ゆり(それがリーダーとしてのあたしの務めだ…!)

ゆり(あたしはいつものベレー帽を被ると、愛用している銃『ベレッタM92』を構えた)

ゆり「覚悟の無いものは置いていく!あたしは一人でも行くわ…!」

ゆり(みんなを見つめて、そう檄を飛ばした)

野田「当然、俺も行くぞ!ゆりっぺ!」

真人「恭介になにかあったんなら、放っておけねえ!」

謙吾「あいつは俺達の親友だ!」

日向「俺だって行く!こんなことになった責任は俺にあるんだ…!」

ゆり(次々と全員の瞳に火がついた。悪くない顔じゃない)

ゆり(さすがはあたしが選んだ幹部たちだわ)

ゆり「遊佐さん、後のことはお願い。もし日が落ちる頃にあたしたちが戻らなかったら、全員に撤収命令を出して」

遊佐「了解しました。どうかご武運を」

ゆり「さあ!もう一度聞くわよ!?覚悟は出来てるわね!!」

椎名「無論だ!」

松下「俺たちが行かなくて誰が行く!」

大山「僕だって恭介くんを放っておけないよ!」

TK「I'm ready for ya!!」

沙耶「行きましょう、ゆり!」

ゆり(みんなの言葉がとても心強い。あたしだって本当は不安を感じている…)

ゆり(あたしにとっても、棗くんの存在は大きすぎる)

ゆり(その彼が、敵として立ちはだかるのかもしれないんだから)

ゆり(そんな考えがよぎるのと同時に、棗くんが以前言っていたことを思い出した)

恭介『お前にも確かにリーダーとしての強さがある』

恭介『この死後の世界という閉じた場所で、みんなをまとめて戦い続けてきた。それが証拠だ』

恭介『お前は仲間を思いやる大切さを知っている、同じリーダーとして保証する』

恭介『お前は、立派なリーダーだ!』

ゆり(…本当に腹が立つ。仲間としては確かに頼りになる)

ゆり(それでもまだ棗くんのことを認めたくないと思っているはずなのに…)

ゆり(彼の言葉をしっかりと覚えていて、後押しされている自分に…)

ゆり(…余計な感情は振り払おう。今はただリーダーとしてみんなを率いるだけ…!)

ゆり「さあ行くわよ!実行班、作戦開始!!」

ゆり(そしてあたしは、みんなの先頭に立ち走り出した…!)

岩沢「………………」

入江「みんな、大丈夫かなぁ…?棗さんも…」

関根「心配すんなって、みゆきち!あの棗先輩だぜ!殺しても死ぬような人じゃないって!」

関根「あ、でも、死なない世界だからどのみち大丈夫じゃん!ねー!!」

ひさ子「関根…!てめえは少しは空気読め!!」

ゴンっ

関根「うぐぅ…!スミマセン…。一応あたしなりに気を使ったつもりだったんですけどー…」

岩沢「関根の言うとおりだ、大丈夫だよ」

ひさ子「…岩沢」

岩沢「棗の奴なら心配いらない。絶対に大丈夫だ、あたし達は信じて待っていよう」

入江「そうですね。戦うことは出来なくても、無事を祈ることはできます」

関根「よっしゃーー!!この関根ちゃんの祈りよ!みんなに届けーー!!」

岩沢(…大丈夫だ。あんなに楽しいことしか考えなくて、仲間想いのあいつになにかが起きたりするはずがない)

岩沢(いつも通りの表情で、何事もなかったかのように帰ってくるはずだ…)

岩沢『けど、そういう奴は、大抵長生き出来ないものなんだろうな』

岩沢『世間とか、大人たちとか、あるいは『神』とやらに押し潰されるのが関の山だ』

岩沢「!」

岩沢(…嫌な言葉を思い出した。よりによって少し前に棗にぶつけた言葉を…)

岩沢(…大丈夫だ。大丈夫だよな?棗…)

岩沢(何故かはわからない。けど、どうしようもなく胸が痛かった…)

ゆり(遊佐さんの指定した場所、広い丘の上。そこに棗くんはいた)

ゆり(日向くんの言うとおり、不気味な仮面をつけて、身じろぎ一つせずあたしたちを見据えている)

謙吾「真人」

真人「ああ、間違いないぜ。斉藤マスクだ」

真人「おい恭介!どうせまたいつもの冗談なんだろ?ったく俺たちに心配かけんじゃねえよ」

恭介「………………」

真人「恭介!!」

恭介「俺は…、斉藤を守るもの…」

真人「ああっ!?」

恭介「故にお前たちを排除する」

チャキ…

謙吾「恭介!?」

沙耶「恭介くん!?」

ゆり「…抜いたわね。躊躇いなく…!」

ゆり(ギルド降下作戦の時と同じように、二本のナイフを構えこちらに敵意を向けている…!)

大山「そんな…、冗談だよね!?恭介くん!!」

藤巻「いくらなんでもタチ悪すぎるぜ!?」

松下「…いや、恭介は、本気だ!」

椎名「お前たちも感じているだろう!あいつからの殺気を!」

高松「どうして…、どうしてですか!?恭介くん!!」

ゆり「みんな落ち着きなさい!理由はわからないけど、棗くんは明確な敵意をあたしたちに向けてるのよ!」

ゆり「戦うしかないわ!!」

日向「マジかよ…」

TK「Oh,my god…」

謙吾「くっ…よもや恭介に竹刀を向ける日が来るとは…!」

野田「…悪いが手加減せんぞ!恭介!!」

恭介「はりゃ…ほりゃ…、うまうぅぅぅっ!!」

ゆり(なにかわからない言葉を叫びながら、棗くんが仕掛けてきた!)

ゆり(速い!!)

ゆり「総員、足を狙いなさい!天使戦と同じよ!とりあえず動きは止まるはず!」

藤巻「…っ、やるしかねえのかよ!!」

大山「…ごめん、恭介くん!!」

日向「ちくしょおーーーーー!!」

ゆり「ってぇぇぇーーー!!」

バババババっ!!

ゆり(あたしの合図を皮切りに無数の銃弾が棗くんを襲った)

ゆり(あの数を回避しきれるはずはない!)

恭介「うまうぅぅぅっ!!」

バッ

ゆり「なっ!?」

謙吾「跳んだぞぉ!!」

椎名「なんという跳躍力だ…!」

ゆり(ありえない飛距離だ…。このままじゃ間違いなく接近を許す…!)

ゆり「上よ!狙いなさい!最悪殺しても死なないんだから!!」

沙耶「このぉーーーっ!!」

バババババっ!!

ゆり(二度目の集中砲火。今度こそ躱せない!!)

恭介「うまぁうぅぅぅっ!!」

キキキキキンっ!!

ゆり(恐ろしい反応速度で二本のナイフを振るった。棗くんを貫くはずだった銃弾は火花と共に散っていく…!)

真人「弾きやがった!?」

藤巻「嘘だろ!?」

野田「来るぞぉーーー!!」

椎名「どけっ!お前たち!!」

ゆり(椎名さんが棗くんの着地点に割って入る。迎撃するつもりだ…!)

恭介「うほっ!!」

椎名「ふっ!!」

ガキィン!!

ゆり(棗くんのナイフと椎名さんの短刀が衝突する。弾き飛ばされたのは…)

椎名「ガハッ!!」

ゆり(椎名さんだった…)

大山「椎名さん!!」

日向「おい!大丈夫か!?椎名っち!」

椎名「…問題ない。だが、体重を乗せた一撃とはいえ、なんという力だ…」

恭介「……………」

ゆり(棗くんがあたしたちを見回している…。不気味にもほどがある)

ゆり(…まるで機械だ。あれが本当にあの棗くんなの…?)

野田「ゆりっぺ!どうするんだ!?」

ゆり「…この距離じゃ銃は使えない。なによりさっき銃は通用しないのがわかってる。なら…」

ゆり(あたしもナイフを取り出し、構えた)

ゆり「接近戦しかないわ!棗くんを直接取り抑えるわよ!」

真人「くそっ!ちと手荒くなるぜ、恭介ぇ!!」

松下「いつか手合わせしたいとは思っていたが、まさかこんな形になるとは…」

野田「恭介ぇーーーーー!!」

ゆり(野田くんが真っ先にハルバードを振り回しながら駆け出した)

ゆり(同時にあたしたちも仕掛ける!)

恭介「うほっ!!うまぁうぅぅぅっ!!」

ガキィン

野田「なにっ!?」

ゆり(僅か二本のナイフで、真っ向からハルバードを受け止め…)

恭介「はりゃほりゃぁぁぁっ!!」

野田「があっ!!」

ゆり(押し返し、目にも止まらない速さで野田くんを蹴り飛ばした)

ゆり(倒れる野田くんにそのままナイフを突き刺そうとする…!)

真人「何してやがる、恭介ぇ!!」

ゆり(即座に井ノ原くんが殴り飛ばそうとする。が、当たらない)

ゆり(回避した先には宮沢くんがいた)

謙吾「まあぁぁぁぁぁんっ!!」

ゆり(渾身の一撃。が、それすら避ける…!)

沙・椎「「はあああああっ!!」」

ゆり「てええええいっ!!」

ゆり(畳み掛けるように三人で同時に襲い掛かった!)

バキッ!!

ゆり「きゃあっ!!」

ゆり(…なにが起こったのかすら、わからない。気づいたらあたしは地面に倒れていた)

ゆり(痛みを堪えて、すぐに体を起こす)

ゆり(同時に沙耶ちゃんと椎名さんも立ち上がるのが見える)

ゆり(みんなは…!?)

藤巻「くそぉーーー!!」

松下「おおおおおおっ!!」

ゆり(映ったのは信じられない光景…。井ノ原くん、宮沢くん、野田くん、藤巻くん、松下くん)

ゆり(接近戦において間違いなく主戦力の五人が、一撃も攻撃を当てられず次々と吹き飛ばされている…)

ゆり(まるで棗くん一人に遊ばれているようだ…。それほどまでに力の差があるのが一目でわかった…)

真人「くそぉっ!謙吾っ!同時に仕掛けるぞ!!」

謙吾「おうとも!!」

真・謙「「うおりゃあああああっ!!」」

恭介「はりゃほりゃぁぁぁっ!!」

シュバッ

真人「なにっ!?」

謙吾「消えたっ!?」

ゆり「後ろよ!!」

ゆり(残像すら残さず、二人の背後に回った。いつの間にかナイフを持たず丸腰になっている)

ガンッ

真人「がっ!!」

謙吾「うっ!!」

ゆり(二人の頭を掴むとそのままお互いの頭を、打ち付けた)

ゆり(よろける二人に、休む間もなく追撃の蹴りを入れる)

ゆり(そのまま両手を広げるように構えると、空中からナイフが降ってきた…)

ゆり(いつの間に投げたの…。完全に遊ばれている…!)

沙耶「舐めんなぁ!うおらあああっ!!」

ゆり「沙耶ちゃん!?」

ゆり(吹き飛ばされた井ノ原くんと謙吾くんの間を縫うように、沙耶ちゃんが駆けた!)

パァンパァンパァン

ゆり(隙だらけの棗くんに発砲する。今度こそ当たる…!そう思った…)

シュバッ

沙耶「なっ!?」

ゆり「また消えた…!?」

野田「くそっ!今度はどこだ…!!」

椎名「ゆりっ!!後ろだ!!」

ゆり「えっ…」

ゆり(直後、体が氷付く。寒気なんてものじゃない…)

ゆり(もっとおそろしいなにかが首筋な迫っているような…、そんな感覚…)

日向「ゆりっぺぇーーーーー!!」

パァン

ゆり(日向くんの声…、同時に発砲音。感じていた寒気のようなものが消えた…)

大山「ゆりっぺ!!」

TK「Are you okay!?」

ゆり「今、あたし…」

高松「ええ…。日向くんが撃たなければ、今頃…」

日向「いや、でもあいつ今なんか一瞬動きが止まってたような…」

ゆり(みんなが駆け寄ってくる…。視線を前に向けると棗くんが少し離れたところで不敵に立っている…)

野田「くそっ!どうなってるんだ!」

藤巻「全員でかかってるのに手も足も出ないぜ…!」

松下「恭介はあんなに強かったのか…!?」

ゆり「…いえ、違う。あたしは棗くんが天使と戦っているところを見たことあるわ」

ゆり「いくらなんでもあんな化物じみた強さじゃなかった!!」

椎名「…だろうな、ありえない強さだ。人としての領域を遥かに超えている…」

椎名「…はっきり言ってこのまま続けても勝ち目は無い」

大山「そんな…」

高松「どうしてこんなことに…」

沙耶「なんでよ…。なんでまた恭介くんと戦わなきゃいけないのよ…」

沙耶「せっかく…、仲直り出来たのに…」

ゆり(まずい…!みんなの心が折れかけている。早く立ち直らせないと…)

ゆり「みんな…」

真人「しっかりしろてめえら!!ゆりっぺが言ってただろうが!!」

真人「あいつがおかしくなっちまったからには、オレたちがなんとかしてやるしかねえんだよ!!」

真人「そうだろ!?」

ゆり「井ノ原くん…」

ゆり(額から血を流しながら、そうみんなに喝を入れた)

謙吾「当然だ!!この程度で諦めてたまるかっ!!」

ゆり(同じように額から血を流している宮沢くんが、井ノ原くんに呼応するように吠える)

ゆり(棗くんが親友と呼ぶだけある。少しも心が折れていない)

ゆり「二人の言うとおりよ!みんな、覚悟を決めてここに来たはずよ!」

ゆり「この程度でへこたれるのは許さないわ!!」

ゆり(あたしもみんなに向かって叫ぶ!)

日向「ああ!諦めてたまるか!!」

野田「絶対に恭介くんをもとに戻してみせる!…」 

松下「そのためにここに来たんだ!」

TK「Never give up!!」

高松「みなさん…!」

大山「…みんなごめん、弱音吐いて!僕だって諦めたくないよ!」

沙耶「あたしも…あたしだって!こんなことで絶対に諦めない!」

沙耶「あたしの諦めの悪さを、もう一度恭介くんに教えてあげるだけよ!!」

ゆり「その意気よ!みんな!」

ゆり(折れかけた心に、もう一度火がついた)

ゆり(まだ戦える…!この世界では死ぬことが無い…!)

ゆり(諦めない限り、何度でも戦える…!!)

椎名「だが、どうする…!?闇雲に戦ってもまず勝ち目は無い」

真人「そもそも、恭介のやつはどうしてあんなに強くなっちまったんだよ!?」

ゆり(その通りだ。あの人間のレベルを遥かに超えた身体能力)

ゆり(正気を失っているかのような言葉)

ゆり(一体、なにが棗くんをそうさせたのか…)

ゆり(嘘みたいな推理だけど、考えられる可能性は一つしかない…!)

ゆり「…おそらく、棗くんは」

沙耶「干渉」

ゆり「えっ…」

沙耶「今の恭介くんはこの世界の『神』、あるいは『創造主』というべき存在に操られているのよ…!!」

日向「なんだって!?」

大山「神に操られてる…!?」

ゆり(あたしが考えていたことと同じことを、沙耶ちゃんが先に口にした)

椎名「どういうことだ?沙耶」

沙耶「以前、恭介くんが推理したことあるの」

沙耶「この世界の創造主は、人の精神に干渉できる能力を持つ」

沙耶「思考力を低下させたり、その気になれば幻覚だって見せることができる」

沙耶「それだけじゃない。あたしたちのことを、絶えず監視しているとも言っていたわ」

高松「精神に干渉する力…」

松下「それが神の能力だというのか…」

ゆり(棗くんは自分がこうなる前から、神の能力に気づいていた…!?)

ゆり「ちょっと待って、沙耶ちゃん!そんな大事なことをどうして今まで黙ってたのよ!?」

沙耶「話しても信じてもらえないと思ったのよ、ゆり。だってなんの証拠も無かったんだから」

沙耶「恭介くんは、この世界に来てからの自分の思考を全て振り返って、そこに違和感を感じたの」

沙耶「そして色んな根拠から、思考力を低下させられていたと推理した」

沙耶「それが出来るのは、この世界の創造主しかいない」

沙耶「だから創造主は、精神に干渉する能力を持っているっていう考えに辿り着いたの」

ゆり(棗くんは、あたしの知らない間に、推理だけで神の持つ能力にまで辿り着いていたっていうの…?)

謙吾「だがさっき沙耶も言ったが、あくまで推理だ」

謙吾「証拠が無い以上、信じてはもらえない」

謙吾「しかも推理の内容が内容なだけに、みんなの混乱を招くと思ったんだ」

謙吾「だから、証拠や確証を得るまでは、俺たちの間で伏せておくことにした」

真人「結果は…、まあ見ての通りだな」

ゆり(井ノ原くんが、無言で立ち続ける棗くんを睨む)

沙耶「ええ、しかも精神だけじゃない。身体能力の底上げまで出来るみたいね…」

藤巻「じゃあ恭介がおかしくなっちまったのも!」

藤巻「あんなデタラメな強さになっちまったのも!」

藤巻「全部!神のヤローのせいだって言うのかよ!?」

沙耶「…本当に神かどうかはわからないけど、それに等しい力を持つものが、黒王を使って直接介入してきた」

沙耶「それだけは確かでしょうね…」

ゆり「…黒王は神の使い。神は黒王とあの仮面を使って、棗くんを自分の駒に作り変えたってことね…」

日向「なんだよ…それ…!?なんでだよ!!ふざけんなよ!!」

日向「なんで恭介をそんな目に合わせやがったんだよ!!神のヤツは!!」

ゆり(日向くんが激怒する。気持ちは痛いほどわかる)

ゆり(あたしたちの仲間を、自分の手駒に作り変える…!)

ゆり(ふざけているにもほどがある!性根が腐ってる!)

ゆり(あたしたちに理不尽な運命を強いただけある…!)

ゆり(きっとあたしたちの今の様子を見て、どこかで笑っているに違いない!)

ゆり(それが証拠にこうして話してる間、棗くんは一度も攻撃を仕掛けてこようとしないんだから…!!)

ゆり「なぜ、棗くんだったのか…。考えられる理由は一つよ…」

野田「なんなんだ…!ゆりっぺ…!」

ゆり「棗くんは世界の秘密を暴くことを、目的に行動していた」

ゆり「きっとあたしたちの知らないところで、近づきすぎたのよ…!」

ゆり「この世界の秘密に…!!」

大山「このまま探られるとまずいから…、だから恭介くんを操ることにしたってことなの!?」

TK「Fu○k!!」

松下「そんな力を持つ奴相手に、どう戦えばいいんだ!?」

ゆり「落ち着いて、松下くん。それはあとから考えること、今は棗くんをもとに戻すことが先決よ」

ゆり「日向くん!棗くんがおかしくなったのは、あの仮面を被せられてからだったわよね!?」

日向「ああ、その通りだ!」

ゆり「ならあの仮面を壊せば、もとの棗くんに戻るはずよ!」

藤巻「仮面を壊せばいいんだな!?」

高松「それくらいなら、なんとかなるかもしれません!」

沙耶「いえ、無理よ…。さっき戦ってわかったでしょ。今の棗くんはあたしたちの強さを遥かに超えている」

沙耶「このままなんとなる相手じゃないわ!」

真人「じゃあどうしろってんだよ!?」

ゆり「………、一度撤退するわ」

日向「ゆりっぺ!?」

藤巻「何言ってんだよ!?」

大山「恭介くんを置いていくの!?」

ゆり「あたしだって、このまま逃げたくないわよ!!」

ゆり(こんなに心を乱すのは、いつ以来だろう)

ゆり(棗くんに神への憎しみを語った時、あの時もかなり乱れていた気がする)

ゆり(でも今回はそれと比較にならない。間違いなくみんな以上の怒りを感じている…!)

ゆり(腸が煮えくり返る想いだ!どこまであたしたちを玩べば気がすむんだ!神のヤツは!!)

ゆり「でも勝ち目が無いなら仕方ないじゃない!!今の棗くんは神の力そのものなのよ!!」

ゆり「天使や黒王とは違う!!今のあたしたちじゃ対抗できない!!」

ゆり「きちんと作戦を立てて挑むしかないのよ!!」

実行班「「「……………」」」

ゆり(この悔しさを忘れない…!この怒りを忘れない…!)

ゆり(必ず棗くんを助け出す!神のヤツの思い通りにさせてたまるか!)

ゆり(そう決意を固めた時だった)

??「なら、あたしが戦うわ」

ゆり「!?」

ゆり(聞き覚えのある声、少しも感情が篭っていないかのような声)

ゆり(聞き間違えるわけがない。振り返る、そこにいたのは…)

天使「棗くんは、あたしが助ける」

ゆり(あたしたちが幾度となく戦ってきた敵)

ゆり(天使がいつもの無表情のまま立っていた…!)

すみません、眠気がやばいので少しだけ仮眠を取ります
深夜頃にまた再開します

~Kanade Side~

かなで「棗くんは、あたしが助ける」

かなで「ガードスキル…ハンドソニック」

かなで(あたしはいつものように、両手にハンドソニックを展開する)

かなで(そして、おかしな仮面をつけた棗くんに向かって歩みを進める)

ゆり「待ちなさい!」

かなで「なに?」

かなで(戦線のリーダー、ゆりに肩を掴まれた)

ゆり「…どういうつもりよ?なにを企んでいるの?」

かなで「なにも企んでいないわ。あなたたちが助けないなら、あたしが助けるだけ」

ゆり「なっ!?ちょっと待ちな…」

かなで「どいて」

かなで(少しだけ強引に手を離してもらうことにした)

かなで(一気に加速して、棗くんの前に立つ)

かなで(背中で戦線の人たちの視線を感じる)

ゆり「待ちなさいって言ってるでしょ、天使!今の棗くんは…」

かなで「操られてるんでしょ?事情は聞いていたわ」

ゆり「えっ…!?」

かなで「だから助けるだけ。心配しないで」

かなで(少しだけ振り返って、ゆりの目を見つめる)

かなで(信じられないっていう感じの顔ね。けど、当たり前のこと)

かなで(あたしは生徒会長。棗くんは生徒なんだもの)

かなで(いえ、それ抜きにしても)

かなで『ええ、また今度。次こそは勝つわ』

恭介『ふっ。そう簡単にはいかねえよ』

かなで(約束したものね、棗くん)

かなで「いくわよ、棗くん。バトル…、スタート」

恭介「うまぁうぅぅぅっ!!」

かなで(直後、凄い速さのナイフが襲ってきた)

かなで「!」

かなで「ガードスキル…ディレイ」

かなで(ディレイを発動して躱す。仮面を壊すだけでいいなら、棗くんを傷付けなくてすむ)

かなで(その不気味な仮面を切り裂く!)

恭介「うほっ!!」

シュバッ

かなで「!?」

かなで(切っ先が仮面を捉えようとした瞬間、棗くんが消えた)

かなで(あたしよりも速い…!)

かなで「…っ!」

ガキィン

かなで(背後からの攻撃をなんとか防ぐ)

恭介「うほっ…?」

ブゥン

恭介「はりゃあ!!」

かなで(反撃は躱され、距離を取られた)

かなで(意外そうな声が聞こえたけど、あたしを甘く見すぎてるみたいね)

かなで「どうしたの?続けるわよ、棗くん」

かなで「うまうー」

かなで(棗くんが教えてくれた、気合いを入れるおまじないを口にする)

かなで(神様だかなんだか知らないけど、その人を返してもらうわ)

恭介「は~りゃほ~りゃ、うまうぅぅぅっ!!」

かなで(待ってて、棗くん…!)

日向「どうなってんだ、どうして天使が助けに来るんだよ…」

椎名「…少なくとも棗に大しての殺意は無いようだ。さっきの攻撃も仮面を狙ったものだった」

藤巻「本当に恭介を助けに来たのかよ…」

大山「恭介くんも学校の生徒だから、守る対象ってことなのかな…?」

松下「細かい事情まではわからんが、これほど頼もしい援軍は無い」

高松「さすがに天使なら、今の恭介くんをきっと止められるはずです!」

ゆり「……………」

ゆり(…おかしい)

ゆり(なぜ、天使が棗くんを助けようとするの?)

ゆり(棗くんは今、神によって操られているはず)

ゆり(にも関わらず、棗くんを助けることは天使からすれば、神に対する反逆行為に他ならない)

ゆり(それ以上に生徒会長としての使命を優先した?)

ゆり(いや、天使はそもそもこの世界の秩序を守る為に、神に生徒会長としての役割を与えられ)

ゆり(その特殊な力を行使してきたんじゃないの?)

ゆり(一体なぜ、天使は棗くんを助けようとしているの…?)

謙吾「沙耶、どうやら…」

沙耶(謙吾くんが小声で話しかけてきた)

沙耶「ええ。おそらくゆりも今、同じことを考えているはずよ」

沙耶「恭介くんを操っているのはこの世界の神、それは確かよ」

沙耶「ならなぜ、神の使いであるはずの天使が、棗くんを助けようとするのか」

沙耶「まだ色々はっきりしないけど、これだけは確実なはず」

沙耶「天使は…、生徒会長、立華 かなでは神の使いではないのよ…!」

ガキィン!ガキィン!

かなで(ギリギリの斬り合いが続く)

かなで(速さも力も、なにもかもが今の棗くんはあたしの上を行っている)

かなで(けど…!)

ガキィン!

恭介「うほっ!!」

ガキィン

かなで(けど…!)

ガキィン

恭介「はりゃほりゃあ!!」

ガキィン

かなで「けど!!」

ガキィン!!

恭介「うほっ!?」

かなで(読みやすい、単純すぎる)

かなで(どれもあたしを殺そうとしているだけの攻撃)

かなで(無駄な動きが一つもない)

かなで(フェイントも一度もない)

かなで(だからわかる)

かなで「はぁぁぁっ!!」

かなで(体を回転させなから、連続して斬りかかる)

恭介「う、うほぉ!?」

ガガガガガ、ガキィン!

恭介「うまうっ!?」

バッ

かなで(距離をとったわね。ここまでは前と同じ)

かなで(一度見せた技だもの、当然ね)

かなで(さあ、『あなた』はどうするの?)

恭介「うまぁうぅぅぅっ!!」

かなで(逆上して、勢いのまま突っ込んできた)

かなで(がっかりね、あなたにはこんな攻撃がお似合いよ)

恭介「はりゃほりゃっ!」

かなで(ナイフの攻撃を躱す。そして大袈裟に)

かなで「あ」

恭介「うほっ?」

かなで(よそ見をした)

ブゥン

恭介「うほおおおおっ!?」

かなで「浅かったわね」

かなで(仮面に傷が入った。あと一度同じ場所に攻撃を入れれば、確実に壊れるわね)

恭介「う、うまうぅ…」

かなで(わからないって思ってるの?)

かなで(なにもかもがあたしより強いはずなのに、なぜ倒せないのか)

かなで(簡単よ)

かなで(『あなた』は、『棗くん』よりも弱い…!)

かなで(いくら速くても、重い攻撃でも予想を裏切るものが何一つとしてない)

かなで(単調すぎてつまらないわ、楽しくない)

かなで(あなたは棗くんじゃない!あなたみたいなつまらない人に、棗くんを操られてたまるものですか)

スッ

かなで(狼狽えている仮面の人に、ハンドソニックを向ける)

かなで「棗くんを返してもらうわよ、仮面の人」

仮面の人「う、うまうぅぅぅっ!!」

真人「つ、強え…!」

謙吾「なんという強さだ、今の恭介には俺たちじゃ手も足も出なかったというのに…」

藤巻「俺たち、よくあんなのと戦ってるよな…」

大山「また敵になるかと思うとゾッとするね…」

椎名「いや、むしろいつもの天使より…」

ゆり(椎名さんがそう漏らした。確かにいつもの天使よりも強く感じる)

ゆり(それどころか、あの戦い方…)

ゆり(格上の相手を翻弄して自分のペースに持ち込む、あの戦い方…)

ゆり(あれはまるで…)

仮面の人「うううううう…!!」

かなで(なに…?)

かなで(唸っている、まるで犬のように)

仮面の人「うまぁうぅぅぅーーーーーっ!!」

ゴォッ!!

かなで「えっ!?」

かなで(黒い炎…?いやオーラ?なにかよくわからないものが仮面から溢れ出している…!)

仮面の人「はーりゃ!ほーりゃ!うまぁうぅぅぅっ!!」

ブゥン

かなで「!?」

ガキィン!!

かなで(…速い!本当に見えなかった…!)

仮面の人「はりゃほりゃあ!!」

ガキィン!ガキィン!ガキィン!

かなで「くっ…!」

かなで(ナイフを奮う速さも、重さもさっきまでと比べ物にならない)

かなで(どうやら怒らせちゃったみたいね…!)

かなで(でも!!)

かなで「はあああああっ!!」

ガキィン!

仮面の人「うほっ!?」

かなで(まだ対応できる…!いくら強くても、棗くんの攻撃の複雑さに比べたら『あなた』なんて!!)

かなで「ああああああっ!!」

ガキィン!

仮面の人「うまうぅぅっ!!」

ガキィン!

日向「な、なんだよあれ…」

高松「いつも無感情、無表情だった天使があんなにムキになって…」

松下「あれではまるで…」

藤巻「人間じゃねえか…」

TK「Unbelievable…」

ゆり「………………」

かなで「くっ!」

ガキィン!

かなで(体中が悲鳴をあげる…)

かなで(オーバードライブを使ってるのに、あまりに力の差が大きい)

かなで(でもあと少しだけ、あと少しだけ耐えれば…!)

ピキッピキッ

かなで「!」

仮面の人「うまうぅぅぅっ!!」

かなで「終わりよ…!」

かなで「ふっ…!」

かなで(懇親の力を込めて、ハンドソニックを一閃する)

かなで(狙うのは、仮面じゃない。そのナイフ…!)

バキィンっ!!パラパラ…

仮面の人「うほっ!?」

かなで(再度、仮面の人が狼狽える。まだわからないみたいね)

かなで「当然よ、それだけの力で斬り合いを続ければ、ナイフが耐えれるはずが無いわ」

かなで「棗くんなら、こんなミスは冒さない」

かなで「最後まで、『あなた』は『棗くん』を超えられなかったわね」

仮面の人「……………」

かなで(仮面の人は、戦意を喪失したかのように顔を伏せた…)

椎名「なるほど…、武器破壊か」

沙耶「途中から仮面への攻撃を止めていたのも、それが理由だったのね」

真人「立華のやつ、本当に勝っちまいやがったぜ!」

日向「言いたくねえが、さすがだな…」

仮面の人「……………うまう」

ブゥン

かなで「!?」

バキッ

かなで「きゃっ!」

かなで(急に激しい痛みと衝撃が襲った…!)

かなで「う、うぅ…」

かなで(痛い…、起き上がれない…)

かなで(銃の痛みなんかよりずっと…)

かなで(それでもなんとか視線を向ける、そこには足を上げたままの仮面の人)

かなで(蹴り飛ばされんだろう、一度は戦意を喪失したフリをして)

かなで「…卑怯ね」

仮面の人「うまうぅぅぅっ!!」

かなで「!」

かなで(ゆっくりと駆け出してくる、早く起きないと…!)

仮面の人「はりゃあほりゃあ!!」

かなで(駄目、間に合わないっ…!)

日向「恭介ぇぇぇーーー!!」

ドカッ

仮面の人「うほっ!?」

かなで「日向くん…!?」

かなで(とっさに日向くんが体当たりをかました)

かなで(けど、仮面の人が即座に受け身を取って、逆に日向くんを押し倒した)

日向「ぐっ…!」

ゆり「日向くん!!」

野田「日向ァ!!」

かなで(仮面の人が、日向くんの首を掴む…!)

かなで(かと思った…)

日向「えっ…?」

かなで「………?」

かなで(…動かない、手を振り上げたままピクリとも動かない)

かなで(なに…?一体、なにが起こったの…?)

仮面の人「……………」

恭介「…やってくれ、立華」

かなで「!」

かなで(さっきまでと違う。今のは確かに棗くんの言葉…!)

かなで(気力を振り絞って立ち上がる)

かなで(そして、棗くんの顔を覆う仮面を…)

バキィン

かなで(切り裂いた)

恭介「………………」

かなで「……………棗くん」

恭介「……………す、ま、ない」

バタッ

日向「恭介!?」

かなで(棗くんが、日向くんに覆い被さるように倒れた…)

真人「恭介ぇーーー!!」

謙吾「恭介!!」

沙耶「恭介くんっ!!」

かなで(次々に棗くんを心配した、戦線の人たちが集まってきた…)

椎名「…大丈夫だ、呼吸も脈拍も安定している」

椎名「眠ってしまっただけだろう」

大山「よ、良かったぁ…!」

野田「ふん、心配をかけさせる…!」

かなで(どうやら無事みたいね、良かった…)

かなで(………………)

クル

ゆり「待って!」

かなで(背を向けて、去ろうとすると、ゆりが声をかけてきた)

ゆり「…どういうつもりなの?棗くんは神に操られていたんじゃなかったの?」

ゆり「なぜ、あなたが助けたの…?」

かなで「…あたしは神様になんて会ったことないわ」

ゆり「えっ!?」

かなで(それだけ言い残して、あたしはその場から立ち去った…)

かなで(歩く、ただ歩く)

かなで(……………)

かなで(あたしのことは何度も殺そうとした)

かなで(一度も棗くんは意識を取り戻さなかった)

かなで(でもいざ日向くんを殺そうとした時には、棗くんは意識を取り戻した…)

かなで(……………)

かなで(…遠い)

かなで(あたしと棗くんとの距離は遠すぎる…)

かなで(だってあたしは生徒会長だから)

かなで(この世界に迷い込んだ人たちが、無事に新しい人生を送れるように)

かなで(あたしは自分で、みんなを、この世界を守ろうと決めた)

かなで(だから棗くんも守りたかった)

かなで(でも出来なかった)

かなで(いくら戦っても、あたしじゃ棗くんの意識を取り戻せなかった…)

かなで(あたしは棗くんの…)

かなで(『仲間』じゃないんだから…)

かなで(……………)

かなで(なにを期待してたんだろう)

かなで(あたしはずっと、棗くんの仲間になれるはずが無い)

かなで(たとえ生徒会長じゃなくなっても)

かなで(あたしが天使だと思われてるうちは、絶対にリトルバスターズの仲間にはなれない)

かなで(でもあたしは、天使だと思われていなければならない…)

かなで(今のあの人たちには、悪役が。戦う相手が必要なんだから)

かなで(今まではそれを続けても。なんにもならないのかもしれないと思ってた)

かなで(でも、棗くんが来てくれた。棗くんなら戦線の人たちの未練を果たせると思うから)

かなで(だからずっと、あたしは『天使』でいよう)

かなで(もうなにも期待しない、期待しちゃいけない)

かなで(ずっと一人で、みんなの新しい人生が始まるその時まで…)

かなで(あたしはリトルバスターズの、棗くんの…)

かなで(敵でいよう)

~Kyosuke Side~

恭介「うっ…」

真人「おっ、気がついたか!恭介!」

恭介「…真人?」

謙吾「みんな!恭介が目を覚ましたぞー!」

日向「ほんとか!?」

岩沢「棗っ!!」

恭介(…みんなが集まってくる、なんだ?やけに騒々しいな)

恭介「…ここは本部か?俺は…、なんでこんなところに?」

恭介(どうやら本部のソファに寝かされていたらしい。いつの間にか窓の外の空が夕焼けに染まっていた)

ゆり「…覚えてないの?」

ゆり「あなた、不気味な仮面を被せられて暴れてたのよ」

恭介「仮面…、そうだ!日向は!?」

日向「ここにいるっつーの。ったくお前の方がよっぽど大変だったってのに、起きるなり人の心配か?」

恭介(すぐ後ろに日向がいた。幹部のみんなとガルデモの四人もいる)

恭介「大変だったってなんだ?しかも暴れてたって…?」

沙耶「本当に覚えてないみたいね」

大山「じゃあ日向くんを殺さなかったのは、無意識ってこと?」

真人「本能みたいなもんじゃね?」

松下「大した本能だ」

藤巻「さすがは恭介だぜ」

恭介「殺そうとした!?俺が日向を!?」

ゆり「…そうよ。あなた、神に操られていたのよ。あの仮面のせいで」

恭介(黒王に斉藤マスクを被せられた時のことを思い出す)

恭介(確かにその先の記憶がまるでない)

岩沢「とりあえず日向の心配はどうでも良い。見ての通りピンピンしてるよ」

日向「いやまあ、確かにピンピンしてるけど、どうでも良いって…」

関根「ぷぷぷ。哀れっす、日向先輩!」

入江「し、しおりん…」

岩沢「棗、どこか具合の悪いところは無いか?怪我してないか?喉乾いてないか?腹減ってないか?」

恭介(岩沢が俺の顔を覗き込みながら、矢継ぎ早にそう聞いてくる)

恭介(ってか近い…!少し唇動かしたら当たるぞ、お前…)

ひさ子「…棗ぇ!てめー今変なこと考えなかっただろうなぁ…!!」ゴゴゴゴゴ

恭介(心を読まれたのか、ひさ子が怒りの炎に燃えている…!)

恭介「だ、大丈夫だ、どこも問題ない。だから、悪いがとりあえず少し離れてくれ…!」

恭介(岩沢の肩を掴んでそう言う、するとその直後)

ひさ子「なぁに、どさくさに紛れて肩掴んでんだ!この変態がぁーーー!!」

関根「ひさ子先輩ストーップ!ストーップ!棗先輩は今起きたばっかなんですから!」

入江「そうですよー、下心とかじゃないですっー!」

恭介(関根と入江が二人がかりで暴れるひさ子を抑えつけている…)

岩沢「ひさ子はなにをカリカリしてるんだ?」

恭介「いや、俺もわからん…」

恭介(少なくとも今朝まではこんな反応してなかった気がするんだが…)

ゆり「ちょっと面倒なもの目覚めさせちゃったかもねー、これ…」ヒソヒソ

遊佐「責任はゆりっぺさんにあります」ヒソヒソ

高松「右に同じく」ヒソヒソ

ゆり「っちょ!あんた達だってノリノリだったじゃない!」ヒソヒソ

野田「おい、ゆりっぺ…。そろそろ恭介に詳しい事情を話してやらないか…?」

ゆり「おっと、そうだったわね」

大山「あれ、気のせいかな。僕まだ悪い夢見てるのかも、野田くんがまともなこと言ってるように見えるよ…」

藤巻「ああ、俺もだぜ…」

松下「なんということだ、俺達はまだ悪夢の中にいたのか…!」

真人「なにぃ、そうだったのかよ!?」

謙吾「なんだとぉ!?つまり俺たちはまた起きたら、デーモン・ピクニックをやり直さなければならないのか!!」

TK「Oh,my god!!」

野田「キサマら便乗するようにボケを被せるなぁー!!」

日向「いや、今のは珍しくまともなこと言った野田が悪い」

高松「はい、野田くんが悪いです」

沙耶「反省しなさいよ、野田くん!」

椎名「あさはかなり」

野田「なんでだよ!!ゆりっぺ!なんとか言ってやってくれ!!」

ゆり「野田くんが悪いわ、みんなに謝りなさい!」

野田「すまなかった!みんな、ゆりっぺ!」

恭介「…なんだ、ネタ合わせしてたのかよ?」

遊佐「素です、ネタ合わせ無しです。とうとうツッコミが消滅してしまいました…」

遊佐「戦線は一貫の終わりです。このまま永遠に、ボケの飽和地獄が始まってしまうんですね…」

ひさ子「遊佐、お前も大概ボケに走ってるからな…」

恭介(ともかく、ようやくゆりっぺたちから詳しい事情を聞くことが出来た)

恭介「神からの干渉か…、迷惑をかけたな…。斉藤マスクはどうなったんだ?」

ゆり「塵一つ残さず消滅したわ。間違いなく普通の仮面じゃなかったのは確かね」

恭介(どうやら俺はみんなだけじゃなく、立華にも助けられたらしい。今度会った時に礼を言わないとな)

ゆり「とにかく、これではっきりしたわ」

恭介(ゆりっぺがいつもの席から立ち上がり、部屋の中央に歩みを進めた)

ゆり「あたしたちはこれまで何十年も、天使と戦ってきた」

ゆり「でも、神が介入してきたのは初めてのこと。これは大きな一歩と言っていいわ」

ゆり「当初の狙いとはズレたけど、ついにあたしたちは、神の存在を間近に感じるところまで来たってわけよ」

日向「けど、その気になれば人を操ることが出来るようなやつと、どうやって戦うんだ?ゆりっぺ」

ゆり「それはこれから考えるわ。そもそも、神よ。それくらいの力、持ってても何らおかしくないじゃない?」

大山「確かに、そうだよね」

藤巻「ごもっともだぜ」

ゆり「大切なのはこの一歩が、とても大きな一歩だということ」

ゆり「あたしたちリトルバスターズ戦線の、本当の戦いがここから始まったといっても過言じゃないわ!」

関根「あれ?なんか打ち切りエンドの前振りっぽいすね」

入江「ええー!こんなとこで打ち切りなの!?」

ゆり「打ち切るかー!!あたしたちの戦いはこれからだっ!って話をしてるだけでしょうが!!」

岩沢「尚更、打ち切りっぽいな」

ひさ子「わざとボケいれんなよ、ゆり」

ゆり「入れる気無かったわぁー!自然に混じっちゃったのよ!誰のせいよ!誰の!」

日向「恭介だろ?」

大山「恭介くんだよね」

野田「恭介だ」

藤巻「恭介だぜ」

松下「恭介だな」

高松「恭介くんです」

TK「Oh,恭ちゃん!」

椎名「棗だ」

岩沢「棗のせいだったのか」

ひさ子「ああ棗のせいだ」

関根「棗先輩っすね」

入江「じゃああたしも棗さんで」

遊佐「当然、棗さんです」

真人「なんだ?とにかく恭介のせいにすりゃいいのか?」

謙吾「そうだ、全て恭介が悪い」

沙耶「ろくでもないわね、恭介くんは」

恭介「てめえら!いい加減にしろぉーーー!!」

恭介(神、あるいは創造主からの干渉。そんな大事があった今日ですら)

恭介(真面目な話がろくに続かず、いつも通り夜が更けていくのであった…)

恭介(まあ落ち込むよりかはその方が俺たちらしいか)

恭介(だが、これだけ自分の存在を認識させるだけの手段に出てきたくらいだ)

恭介(ゆりっぺの言うとおり、まさにここからが本当の戦いと言ってもいいのかもしれないな…)

今日は以上です
途中中断してスミマセンでした

ちなみに斉藤フラグを回収してたら、マスクをつけられても恭介が意識を保つ
そのまま斉藤として、バトルに乱入
かなでともバトルで対決
最終的にゆりっぺや遊佐やユイ(モブ)も乱入するという
オペレーションまるまるギャグパートになる予定でした

当初の予定としては、斉藤フラグ回収無しが正規ルート
前編で今まで触れてなかった戦線メンバーの一面に触れる
後編で今まであまり出番の無かったかなで回

というのがこのオペレーションの狙いだったのですがどうだったでしょうか

次回は多分、少し短め
罰ゲーム回をやってエピソード3終了
最後に例の安価の予定です

長々とお疲れ様でした

恭介 Love&Spanner
真人 それと便座カバー
椎名 はちみつくまさん
沙耶 宮沢最高ぉーーー!!
野田 純愛系食料
高松 高城
日向 イケチン
藤巻 かませDOG

最後にもう一度敗北組の称号一覧です
前回貼ったやつは野田の称号にミスがありました
申し訳ありません

名前欄忘れてました

恭介(翌日、待ちに待った罰ゲーム初日)

恭介(学食の一角を陣取って、戦線メンバーの朝食が始まった)

恭介(律儀なもんで、ゆりっぺと遊佐もしっかり参加している)

遊佐「誤解です、Love&Spannerさん。わたしは出来るものなら、参加しないつもりでした」

遊佐「悪の女王の命令で、半ば強引に連れてこられただけです」

恭介「さも当然のように人の心読むなよ。なんだ、お前はエスパーか?」

ゆり「ちょい待てぇ!ツッコむとこそこじゃないでしょ!」

ゆり「しれっとLove&Spannerってちゃんと言ってるところとか、悪の女王とか色々あったでしょ!」

ゆり「一番どうでも良いとこにツッコミ入れてんじゃないわよ!」

恭介「ツッコミに対してツッコミとは中々新しいな、アリだ」

ゆり「アリだ、じゃないわよ!わかっててやってたのかよ!」

ゆり「いい加減深刻なツッコミ不足だっての言うのに、狙って面倒くさいボケ入れてんじゃないわよ!」

恭介(ゆりっぺが弾丸のように、激しいツッコミを連発してくる)

日向「なんかゆりっぺのやつ、すげえ気合い入れてツッコミしてんな…」

野田「開幕キャラ崩壊してるぞ、ゆりっぺ…」

ゆり「言ったでしょ?ツッコミ不足って」

ゆり「こうなったらキャラコメンタリー並のツッコミ入れて、世界一のツッコミマスターを目指すことしたわ!」

日向「戦線のリーダーがどこ目指してんだよ!?しれっとメタ発言混ぜんなよ!!」

日向「その時点で、すでにボケになっちまってるだろうが!!」

ゆり「…っち!中々のツッコミやるわね、イケチンくん」

日向「女子がイケチンとか言うなぁ!ってか大山、お前もツッコミマスター目指してたろ?」

日向「ゆりっぺが暴走しすぎる前に、お前がツッコミ入れてやれよ」

大山「あ、それいいんだ。もう諦めたよ。これからは世界一のボケマスターを目指すことにしたよ」

日向「なに真逆の目標目指してんだよ!?一体お前にどういう心境の変化があったんだぁ!?」

大山「いやぁ、デーモン・ピクニックでなんか吹っ切れっちゃってさ。ボケの楽しさに目覚めたんだよ」

大山「これもイケチン君のお陰だよ。これから僕は芸名を『異次元大山』にして頑張っていくよ!」

日向「頑張っていくなぁ!戦線のメンバーが芸人目指すつもりかよ!?」

日向「しかも『異次元大山』とかどういうネーミングセンスだよ!?」

岩沢「いや、面白いネーミングだ。アリだな」

日向「いきなり入ってくんなよ、岩沢!そういやお前もネーミングセンス残念ちゃんだったな!」

日向「残念同士価値観合ってんのか!?ってか即座に恭介の台詞リスペクトしてんじゃねえよ!!」

ひさ子「ああ?イケチン!それは岩沢に対しての侮辱発言だ。撤回してもらおうか…!」ゴゴゴゴゴ…!

野田「しれっと俺のネタパクるなぁ!!」

関根「まあまあ、落ち着いて下さいよ、ひさ子先輩」

関根「他の戦線メンバーがどんどんキャラが濃くなっていく中で、イケチン先輩は逆に地味になり始めてますからねー♪」

関根「ツッコミにしがみついて出番を増やそうという、浅ましい作戦なんですよー!」

関根「惨めっすねーー!!ぐふふ♪」

日向「だから女子がイケチンとか言うなぁ!少しはファンの目を気にしろぉ!」

ゆり「…それにしても黒いわね、関根さん。あなたそういうキャラだったの?」

関根「いえキャラ付けです。これからあたしは、芸名を『ブラック関根』にして頑張っていきます!」

ゆり「頑張っていくなぁ!ガルデモのメンバーが芸人目指すんじゃないわよ!」

ゆり「しかもネタも完全に、大山くんからパクっちゃってるじゃないの!!」

関根「ボケの世界は弱肉強食なんすよぉ、強ければ生き、弱ければ死ぬ。生きるべきはこのあたし!!」

大山「それは僕への宣戦布告だね、いいよ関根さん。相手になるよ、真のボケマスターは一人しかいらないんだ!」

ゆ・日「「変な対抗意識燃やすなぁーーー!!」」

入江「しおりん…、あたしは変に黒くならなくても、いつも通りのしおりんが一番だと思うよ?」

関根「止めてくれるな、みゆきちさんよぉ…。女には時として、絶対に負けられない戦いってもんがあるんだよ…!」

入江「少なくとも、ボケマスター目指す戦いはそうじゃないよね!?」

恭介「開幕から激しいボケとツッコミの押収だな。大いにアリだ」

沙耶「なんで罰ゲームが、ボケツッコミ押収合戦になっちゃってるのよ…」

ゆり「いやこれでも中々考えてるのよ、宮沢最高ぉーーー!!ちゃん」

謙吾「呼ばれた気がした」

ゆり「呼んでないわよ」

謙吾「そうか…」

恭介(ニコニコしながら足を運んできたかと思ったら、すごすごと席に戻っていく)

恭介(すでにその様が笑えるぜ、謙吾)

沙耶「なんかごめん、ゆり…」

ゆり「いいのよ。ともかく、ワンパターンなツッコミだと飽きられるわよね」

ゆり「あと勢いに任せすぎると、口調が汚くなって、不快感を与えるおそれがあるのも注意点だわ」

藤巻「すっげえ真面目にツッコミ極めようとしてるじゃねえかよ…」

松下「珍しいな、ゆりっぺが作戦以外のことに熱意を持つとは」

高松「どういう心境の変化でしょうか?」

恭介(ゆりっぺは大真面目に、沙耶にツッコミの美学を語り始めている)

恭介(世話焼きなあいつのことだから、戦線が本格的にボケの集まりになってるのを危惧して)

恭介(自分がツッコミを引き受けよう的な考えなんだろう)

恭介(だが…)

沙耶「うーん、難しいわね…。あたしも勢いに任せたツッコミしか出来ないし」

ゆり「基本的なツッコミキャラのイケチンくん、大山くん、ひさ子さんも勢いに任せたツッコミなのよねー」

ゆり「挙句、大山くんはボケに目覚めちゃったし。…っち!」

大山「うわぁ、凄い蔑むような目で見られちゃったよ。なんだか癖になりそうだね!」

野田「歓迎するぞ、大山…!」

沙耶「ようこそ、ドMの世界へ」

ゆり「言ってる側からボケに走るなーーーっ!!」

恭介(楽しそうじゃねえか。動機がどうあれ、取り組むことがなんであれ、やっぱり楽しまないとな)

恭介(まあ、今それを指摘するのは野暮ってもんだな。その代わり…)

恭介「ならゆりっぺ、俺に一つ良いアイデアがある」

ゆり「あら、なによ。Love&Spannerくん?」

恭介「ああ。どんなボケをかまされても、その蔑んだ目で無言で見つめ続けろ」

ゆり「は?無言で見つめるだけでいいの?ツッコミにならないじゃない」

恭介「試してみればわかる。これはかつて、『対はるちんツッコミマシーン』と呼ばれた奴の得意技だ」

恭介「お前にはマスター出来る素質がある」

ゆり「なんてわけわからない呼び方されてたのよその人…。まあ、とりあえずやってみるわ」

恭介「よし、なら真人と謙吾たちを見ておけ。あいつらなら、日常会話にも必然的にボケが混じるからな」

大山「ボケようとしなくてもボケが入るってこと?それは興味深いね!」

関根「勉強させてもらいましょう!」

遊佐「いつから戦線は芸人養成所になったんでしょう…」

恭介(馬鹿二人の会話を覗いてみる)

謙吾「しかし、さっきのゆりっぺと日向のツッコミの息の合いようはすごかったな」

椎名「そういえばお前たちは知らなかったな。そもそも戦線は、あの二人から始まったらしいからな」

謙吾「ほう、それは初耳だ」

真人「けどまあ、なんとなく納得な二人だぜ。ゆりっぺとイケチンならな、それと便座カバー」

野田「いやそれと便座カバーなんてメンバーはいないぞ…、それと便座カバー(真人)…」

真人「仕方ねえだろ、食料。最後にそうつけろっていう罰ゲームなんだからよ、それと便座カバー」

野田「俺は食料じゃねえ!純愛系食料だ!ただの食料だと食われるだろうが!」

真人「どっちにしろ食料じゃねえか、それと便座カバー」

ゆり「……………」ジトーッ

野田「な、なんだかゆりっぺが凄い冷めた視線で俺たちを見つめている気がする…」

謙吾「お前たちが騒ぎすぎたからじゃないか?」

大山「すごいね!本当に日常会話でもボケが乱立してるよ!」

関根「いや~、あれはずるいですよ~…。それと便座カバー付けてるだけで、ボケになるじゃないですか」

恭介「つけたのお前だけどな、関根」

関根「そうだったーーっ!!自分につけてれば今頃はボケまくりのうっはうっはだったのにくそぉーー!!」

入江「だからそんな事で悔しがらないでよぉ…」

藤巻「まあ、それと便座カバーに比べたら俺たちの称号はまだマシな部類だったのかもな」

高松「それは良かったですね、かませ犬さん」

藤巻「かませ犬じゃねえ!かませDOGだ!高城!」

高松「私の名前は高城ではなく、高松です!」

真人「今の称号は高城だろ、それと便座カバー」

高松「ただの高城です!真人くん!便座カバーなんてひっついてません!」

松下「ふっ、今便座カバーを頭に装備した高城を思い浮かべたぞ」

TK「It's funny!!HAHAHA!!」

高松「笑わないで下さい!私はただの高城です!ついでに本名は高松です!」

藤巻「いちいち訂正すんのかよ、面倒くせえな」

高松「あなたたちはこの称号の恐ろしさを知らないんですよ…!」

高松「いいですか!これから一週間は皆さん面白可笑しい称号で呼ばれることでしょう!」

高松「ですが、私は一週間ひたすら高城と呼ばれるんですよ!」

高松「そうすれば一週間後、高松ではなく高城のほうが定着してしまうかもしれないじゃないですか!!」

松下「考えすぎだと思うけどな」

藤巻「ってか良いじゃねえかよ、高城でも。一文字違うだけじゃねえか」

高松「大問題です!!本当に高城が定着してしまえば…!」

高松「一週間後、ここにいるのは私ではなく、高城になってるかもしれないんですよ!!」

松下「言ってる意味がわけわからんぞ…」

藤巻「ってか誰だよ高城って…」

ゆり「……………」ジトーッ

沙耶「……………」ジトーッ

藤巻「…お、おい。なんかすげえ冷たい視線を感じるぜ…」

TK「Scary, huh….」

松下「高城、ボケるのはほどほどにしておけ…」

高松「私は高城ではなく、高松です…。ですが、少し静かにしましょうか…」

ゆり「効果あるわね、これ」

沙耶「ただ蔑すむような目で見てるだけなのにね」

恭介「誰がやっても出来るわけじゃないぞ、例えば関根とかには出来ないだろ?こういうの」

関根「あたしだってやろうと思えばそれくらいーー!!」

遊佐「…………」ジトーッ

関根「あ…、やっぱ無理そうですね…。なんかあたしとは真逆の方向性です…」

真人「おい、謙吾。ソース取ってくれよ、それと便座カバー」

謙吾「ソースは取ってやれるが、便座カバーは取ってやれんぞ」

真人「…わかってるよ。ソース無いとカツ食えねえから仕方ないだろ、それと便座カバー」

謙吾「お前は便座カバーにソースをかけて食うのか?」

真人「食わねえよ!てめえ、わかっててやってるだろ!喧嘩売ってんのか!それと便座カバー」

謙吾「いや便座カバーは売っていない」

真人「くそぉ…、筋肉馬鹿にしやがって、それと便座カバー」

謙吾「便座カバーは馬鹿にしていない」

真人「あんまり筋肉馬鹿にすると暴走して暴徒と化すぜ…!それと便座カバー」

謙吾「筋肉は暴走すると便座カバーになるのか」

真人「うおおおおーっ!便座カバーつけるだけで何もかも台無しだぁー!!」

ゆり「……………」ジトーッ

沙耶「……………」ジトーッ

遊佐「……………」ジトーッ

謙吾「なんだ…、あの三人の恐ろしい目線は…?」

真人「やめろぉーー!せめてなんか言ってくれぇ!それと便座カバー」

遊佐「便座カバーなんて言いません」

沙耶「でも本当に、黙ったままボケを黙らせることが出来るわね」

ゆり「ただ闇雲にツッコむだけじゃなくて、時にはスルーする事も大事なのね。勉強になるわ」

ひさ子「…なんだよあれ?マジでこの戦線はどこに向かおうとしてんだよ…」

関根「いっそひさ子先輩も、ツッコミマスター目指したらどうですか?」

ひさ子「誰が目指すか!ってか関根!」

ひさ子「そもそもお前が井ノ原に、それと便座カバーなんて称号つけるからああなったんだろうが!」

入江「まあまあ、ひさ子先輩。しおりんが頑張って勝った結果の称号なんですし」

関根「そうですよーー!!血で血を洗う激闘だったんですよーー!!」

ひさ子「洗濯バサミで血で血を洗う激闘になるかよ…」

岩沢「考えてみたら、あたしたちガルデモって無敗だったな」

岩沢「それもLove&Spannerとそれと便座カバーとはちみつくまさんと高城っていうそうそうたる面子だ」

ひさ子「やめてくれ、岩沢。高城倒したあたしだけやたらショボく思える…」

入江「しかも自爆だったらしいですもんね…」

椎名「岩沢」トントン

岩沢「ん、なんだ?はちみつくまさん」

椎名「………」ニコニコ

椎名「ひさ子」トントン

ひさ子「なんだよ?はちみつくまさん」

椎名「………」ニコニコ

椎名「関根」トントン

関根「お呼びでしょうか?はちみつくまさんや」

椎名「………」ニコニコ

椎名「入江」トントン

入江「なんですか?はちみつくまさん」

椎名「ありがとう、ありがとう、ありがとう」ブンブン

入江「いえいえ、喜んでいただけて嬉しいです」

ひさ子「…何しに来たんだ、あいつ?」

関根「それと便座カバーが連呼されてるのを見て羨ましくなったみたいですね」

関根「さっきから全員に話かけては、名前呼んで貰ってるみたいですよ」

ひさ子「やっぱり罰ゲームになってねえじゃん…」

岩沢「でも椎名を倒したのはすごいな、入江」

入江「そんな、たまたま運が良かっただけですよ」

ひさ子「まあ、謙遜しなくてもいいんじゃね?あたしだって運だし、運も実力の内っていうだろ」

関根「その通り!幾度の戦場を超えて不敗!」

関根「もはやあたしたちガルデモには、百の敵だろうと千の敵だろうと相手になりませんよ!」

入江「しおりん、流石に言い過ぎだよ」

ひさ子「お前は逆に少しは謙遜する事を覚えろ」

岩沢「…いや、千の敵っていうフレーズはいいかもしれない」

関根「ほえ?」

岩沢「千の敵すらなぎ倒す、あたしたちガルデモの強さを歌にしよう!そんな曲のイメージが浮かんできた!」

関根「えっ!マジですか、岩沢先輩」

ひさ子「今の会話から新曲思いつくのかよ…」

入江「筋金入りの音楽キチですね…」

岩沢「ああ、じゃあ発表するぞ!」

岩沢「曲名は『千の敵になって』だ!」

三人「「「ズコーっ!」」」ドンガラガッシャーン

岩沢「あれ?」

ひさ子「…なんで今のフリで千の敵になってんだよ!なぎ倒すんじゃなかったのかよ!」

ひさ子「前フリどっかに置いてきてんじゃねえか!しかもパクってる!」

ひさ子「曲名のフレーズ完全にパクってるだろ!」

岩沢「しまった、ついつい名曲に釣られちまったな」

ひさ子「いや名曲だよ!名曲だけどさあ!あたしらの音楽の方向性と全然違うだろ!」

入江「なんてネーミングセンス…」

関根「天然ボケほど恐ろしいボケは無いぜ…」

ひさ子「しかも、さっきのアリだ!とか!」

ひさ子「○○名は○○だ!とか!」

ひさ子「お前最近、Love&Spannerの口調に影響されすぎだろ!」

岩沢「しまった、ついつい偉人に釣られちまったな」

ひさ子「偉人ってなんだよ!?お前の中で棗はどういう存在になってんだよ!!」

岩沢「ひさ子、今の棗はLove&Spannerだ」キリッ

ひさ子「どうでもいいわ!そのあたしが名づけました、的なキリッとした顔をやめろぉーー!」

関根「ってかロックの基準だったり、Love&Spannerを偉人扱いしたり、岩沢先輩のカテゴライズの判断基準がばがば過ぎるぜ、みゆきち…」

入江「ネーミングセンスもあれだし、結構あh…、残念なとこも多いよね…」

ひさ子「ああん…?入江、てめえ今岩沢の事アホって言ったか?」

入江「い、言ってないです!言ってないです!残念って言っただけです!」

ひさ子「やっぱ侮辱してんじゃねえか、てめえーーーっ!!」

入江「きゃあああああっ!!」

ゆり「バンドとは思えないボケとツッコミね…」

大山「関根さんより、天然ボケの岩沢さんとツッコミ役のひさ子さんが強いね…」

日向「あのまま芸人なれるんじゃねえか、あいつら…」

ゆり「ええい、負けてられるか!こうなったらこっちもコントやるわよ、コント!」

日向「ええっ!!なんだよ、その唐突なフリは!別に対抗意識燃やす必要なくね!?」

ゆ・大「「甘いわよ(よ)、イケチンくん!!」」

日向「うわあ、シンクロした…!」

ゆり「あたしたちが何のために戦線名乗ってると思ってるのよ!」

日向「え…、そりゃ神と戦う為に…」

ゆり「…っち!大山くん、答えてあげなさい」

大山「ここは一番面白いやつを決めるまさしく戦いの第一線だからだよ!なにをボケたこと言ってるのさ、日向くん!」

日向「ボケてるのはお前らだぁ!!」

ゆり「ともかくコントやるならもう一人くらい欲しいわね。あ、食料くん、こっち来なさい」

野田「俺は純愛系食料だぁ!ってなんだゆりっぺか、なにか用か?」

ゆり「あたし世界一のツッコミマスターになるのが夢なの」

ゆり「というわけで、あたしの夢を叶える為にコントに協力してくれない?」

野田「なんだかよくわからんが、素晴らしい夢じゃないか!よし、ゆりっぺ。その夢、俺が叶えてやる!」

日向「ああ~、駄目だ。また馬鹿が増えちまった…」

大山「イケチンくん、さっとやってさっと終わった方がゆりっぺも満足するよ」

日向「…そうだなぁ、やるしかねえか」

ゆり「よーし行っくぞー!Love&Spannerくん、お題ちょうだい!」

恭介「いいだろう、じゃあショートコント『食料』」

野田「えっ…、誰がやるんだよ食料役…」

日向「勿論、お前だよ!ゆりっぺの夢を叶えられるのはお前しかいないだろ?」

大山「うんうん、純愛系食料の野田くんにしか出来ない役だよ!」

野田「そこまで言われては仕方ない、俺が食料役を引き受けてやる!」

日・大「「チョロいぜ(ね)…!」」

野田「うおおおお!俺は食料だぞー!!」

日向「開幕、食料が喋ってやがるぞおい…」

ゆり「あーら可愛い食料ねー♪よしよし、こっちおいでー♪」

野田「わーい!」

ゆり「チャーンス!」

ゆり「ズバシュッ!ザクザクッ!スパスパッ!シャキンシャキンシャキーンッ!」

ゆり「あいよ、野田の活造りいっちょ上がり!」

大山「わーい!野田の活造りだぁ!僕初めて食べるよ!」

日向「どれどれ、うおっ!こりゃうめえ!赤身がイケるなあ!」

大山「焼き肉にしても美味しいよ!」

日向「この世界の学食には野田の活造りなんて出ねえからなあ」

野田「じゃあ俺は焼き肉を」

ゆり「あなたが食べられてるのよ、食べれるわけないじゃない」

野田「俺食われてるだけかよ!」

日向「何言ってんだよ、お前がメインだぜ」

野田「メイン料理なだけだろうがぁ!!」

松下「はい、コントが終了しました。審査委員長のLove&Spannerさん。批評をお願いします」

高松「なにやってるんですか…?松下五段」

松下「司会役だ。一度このポジションをやってみたかったんだ」

沙耶「どうでもいいけどすごい渋い声の司会ね…」

恭介「開幕、食料が喋るところで掴みはバッチリだったな」

恭介「でも野田の活造りってなんだよ、どう活造りにしてるんだよ、しかも旨いのかよ」

恭介「色々気になるから大いにアリだ」

ゆり「よっし!一発目は貰ったわ!これでガルデモに並んだわね!」

日向「待て待て、これガルデモに対抗したコントだったのか!?」

大山「そうだよ、当然じゃない」

関根「ブーブー!審査委員長がズルいですよー!Love&Spanner先輩が審査したら、どんなコントでもアリになるじゃないですか!」

恭介「否定はしない」

日向「しないのかよ!」

恭介「仕方ない、次の審査委員長は遊佐を指名しよう」

遊佐「何言ってるんですか、Love&Spannerさん。わたしがそんなことする必要は…」

ゆり「リーダー命令よ、遊佐さん♪」

遊佐「知ってました…」

大山「いいの、ゆりっぺ!?相手は遊佐さんだよ、手強いよ!?」

ゆり「良いのよ、それくらいやらないと燃えないわ!食料は解雇して次行くわよ!」

野田「待ってくれゆりっぺ!どうか次のコントでも俺を…!」

ゆり「うるさーい!ほら、次はかませDOGくんよ!しっかりやりなさい!」

藤巻「とんでもねえ場面で呼ばれちまったぜ…」

ゆり「ちなみにもし滑ったら、一週間と言わず、これから一生みんなにかませDOGって呼ばせるからね!」

藤巻「始める前から追い詰めるようなこと言うなよぉ!!」

沙耶「鬼ね、ゆり…」

遊佐「いえ、悪魔です」

恭介「悪の女王じゃなかったのか?」

ゆり「そこうっさーい!ほらLove&Spannerくん!お題出しなさい!」

恭介「いいだろう、じゃあショートコント『かませ犬』」

藤巻「えっ…、誰がやるんだよかませ犬役…」

日向「勿論、お前だよ!他に誰がかませ犬なんか出来るんだよ?」

大山「うんうん、かませDOGの藤巻くんにしか出来ない役だよ!」

藤巻「そこまで言われたらやるしかねえな、俺がかませ犬役を引き受けてやるぜ!」

日・大「「チョロいぜ(ね)…!」」

藤巻「ううー、ワンワンワン!!」

ゆり「あーら可愛いかませ犬ねー♪よしよし、こっちおいでー♪」

藤巻「アウーン!」

ゆり「馬鹿め!」

ゆり「ズバシュッ!ザクザクッ!スパスパッ!シャキンシャキンシャキーンッ!グツグツグツグツ!」

ゆり「あいよ、ポシンタンいっちょ上がり!」

大山「わーい!ポシンタンだぁ!僕初めて食べるよ!」

藤巻「ポシンタンってなんだよ!?」

ゆり「犬の肉を使った外国の料理よ」

日向「どれどれ、うおっ!こりゃうめえ!!」

大山「おいしっ!」

日向「この世界の学食にはポシンタンなんて出ねえからなあ!」

藤巻「今度は俺が食われてるだけじゃねえかあ!!」

日向「何言ってんだよ、お前がメインだぜ」

藤巻「メイン料理なだけだろうがぁ!!」

藤巻「なんで違うお題で同じオチに持っていくんだよ!!」

ゆり「鉄板ネタってやつよ。次は高城くんをフォンデュにする、高城・デ・フォンデュで行くわ!」

高松「そんな料理名ありません!私の名前は高松です!」

松下「はい、コントが終了しました。審査委員長の遊佐さん。批評をお願いします」

遊佐「始まる前からオチが見えてるのは、個人的には好きじゃありません」

遊佐「しかもこのネタキャラコメンタリーのパクリです。知ってる人にはああ、このネタねと思われるだけです」

遊佐「こんなので笑いが取れるとは思わないことです」

日向「うわぁ…、やっぱ遊佐の審査は厳しいぜ…」

大山「尽くKeyのネタ知り尽くしてる遊佐さんは何者なんだろうね…」

遊佐「まあアリかナシかでいうならアリですが」

ゆり「よっしゃ!ウケたー!!」

日向「はああああ!?ワッツ!?ホワーイ!?直前の辛口コメントなんだったんだよ!」

日向「結局お前もゆりっぺに対しては甘々なんじゃねえかぁーーー!!」

沙耶「ちょっとイケチンくん!そのワッツ!?ホワーイ!?はあたしのネタよ、パクらないでよ!」

日向「はああああ!?俺はずっと前からワッツ!?ホワーイ!?使ってたからな、俺がオリジナルだぜ!」

沙耶「あたしだってこの世界に来る前から、ワッツ!?ホワーイ!?使ってたわよ!」

沙耶「ね、Love&Spannerくん。使ってたわよね!?」

恭介「ん、ああそういや使ってたな。主に馬鹿理樹モードの理樹にツッコむ時に使ってたな」

沙耶「ほら、みなさい。つまりワッツ!?ホワーイ!?はあたしがオリジナルよ!」

日向「知らねーよ!宮沢最高ぉーーー!!が使い出す前から俺がワッツ!?ホワーイ!?をこの世界に浸透させてたんだよ!」

ゆり「全然浸透してなかったけどね」

大山「わりとみんな冷めた目で見てたよね。あ、また言ってるみたいな感じで」

日向「えええええっ!!俺のワッツ!?ホワーイ!?ってそういう扱いだったのかよ…」

謙吾「呼ばれた気がした」

沙・日「「呼んでねえ(ないわ)よ!
!」」

謙吾「そ、そうか…」

恭介(またもニコニコしながらこっちに来た謙吾が、トボトボと席に戻っていった)

恭介「あーあ、落ち込んじまったな。謙吾のやつ」

沙・日「「えっ…?」」

TK「Oh,Don't be down….謙ちゃん」

松下「二人とも少し気が立ってただけだ、気にするな」

謙吾「ありがとう、TK、松下五段。大丈夫だ、俺は落ち込んでなど…、うっ…」

ゆり「うわー、目に見えて落ち込んでるわね…」

沙耶「えっ…。うそ、あたしたちのせいなの…?」

日向「俺そんなキツイこと言ったか…?」

ゆり「最低ね、イケチンくん。沙耶ちゃんはいいけど」

遊佐「最低です、イケチンさん。沙耶さんは問題ありません」

椎名「一人で生きて道を踏み外せ、イケチン」

岩沢「イケチンは最低なやつだったのか」

ひさ子「ああ、最低なやつだ。イケチンは」

関根「あたしは知ってましたけどね、イケチンさんはそんな人だって」

日向「だから畳み掛けるように女子がイケチンとか言うのやめろぉーー!!」

入江「そうだよぉ…、女の子がそんな口にするべき言葉じゃないよ…」

関根「おやおや?入江たん、あたしたちはただイケチンと言っているだけなのだよ」

関根「それがどうして口にするべき言葉じゃないのかなー?もしかして入江たんはイケチンの本当の意味を知ってるのかなー?」

入江「う、うぅ…」

関根「知ってるなら是非とも教えてほしいなー♪ねえねえイケチンってどういう意味なのー?ぐふふ」

入江「う、うわぁぁぁん!!しおりんの馬鹿ぁーーー!!」

ポカポカポカポカ

関根「よーしよし、みゆきちはいつまでも純粋無垢なままのみゆきちでいておくれ♪」

ひさ子「イケチンより最低だな、こいつ…」

恭介「ま、謙吾のことだから沙耶に宮沢最高ぉーーー!!なんて称号つけたのは」

恭介「それに乗じて宮沢祭りを開催して欲しかったんだろう」

ゆり「なによ…、宮沢祭りって…」

恭介「当然、みんなでひたすら宮沢最高ぉーーー!!と叫びまくる祭りだ」

遊佐「すごい回りくどいことしますね…」

真人「あいつは昔から素直じゃねえんだよ、それと便座カバー」

沙耶「ともかく、宮沢祭りを開催したら謙吾くんも元気になるのね!」

ゆり「えっ…、やるの?沙耶ちゃん?」

沙耶「ダメ、ゆり?」

ゆり「いや…、ダメじゃないけど…」

恭介「丸くなったな、ゆりっぺ」

ゆり「うっさーい!こうなったらさっさとやるわよ!宮沢祭り!」

謙吾「!?本当か…、ゆりっぺ…!!」

日向「さっきは悪かったな、謙吾。今日の主役はお前だぜ」

野田「フン、仕方ない。付き合ってやろう…!」

藤巻「ったく世話が焼けるぜ!」

高松「もはや、この馬鹿騒ぎも恒例行事ですね!」

ゆり「ほらガルデモメンバーも参加よ!」

ひさ子「マジかよ…」

岩沢「良いじゃないか、楽しそうだし」

遊佐(まずいです…、この流れだとまた恥ずかしい馬鹿騒ぎが始まってしまいます…)

遊佐(なんとかしなければ…)

椎名「……………」

遊佐(ハッ!椎名さんがいる、椎名さんが乗り気じゃない顔をしている…!これはチャンスです…!)

遊佐「椎名さん、何か言いたいことがあるならはっきりと申し立てるべきだと思います」

椎名「…いいんだろうか?わたしが何か申し立てても…」

遊佐「勿論です、椎名さんも戦線のメンバーなんですから」

椎名「…ふっ、ありがとう遊佐。おかげで踏ん切りがついた、少し行ってくる」

遊佐「いえ、大したことじゃありません」

遊佐(よし!)

椎名「ゆり」

ゆり「あら、どうしたの椎名さん。…もしかして嫌だった?」

椎名「違う、そうじゃない」

遊佐(えっ…)

椎名「宮沢祭りを開催するなら、同時にはちみつくまさん祭りを所望する!!」

遊佐「ズコーっ!」ドンガラガッシャーン!

恭介「もちろんだ!今日は朝まで宮沢&はちみつくまさん祭りだ!」

沙耶「いやっほー!宮沢最高ぉーー!!はちみつくまさん最高ぉーー!!」

ゆり「さあ行くわよ!みんな、戦線メンバーの団結力と絆を見せなさい!」

馬鹿共「「「おおーーーっ!!」」」

遊佐「あのゆりっぺさん…、わたしは…」

ゆり「リーダー命令♪」

遊佐「これが鉄板ネタというやつですか…」

謙吾「みんな!今日は宮沢祭りで大いに楽しんでくれ!」

謙吾「エブリバディセイ!!」

全員「「「宮沢最高ぉーーー!!」」」

真人「それと便座カバー」

謙吾「ラブ&ピース!!」

全員「「「宮沢最高ぉーーー!!」」」

真人「それと便座カバー」

椎名「エブリバディセイ!!」

全員「「「はちみつくまさん最高ぉーーー!!」」」

真人「それと便座カバー」

椎名「キュート&プリティ!!」

全員「「「はちみつくまさん最高ぉーーー!!」」」

真人「それと便座カバー」

謙・椎「「いちいちそれと便座カバーを混ぜるなぁーー!!」」

バキぃ!!

真人「のおおおおおおおっ!!」

筋肉三人「「「真人ぉーーー!!」」」

筋肉三人「「「じゃなかった」」」

筋肉三人「「「それと便座カバーぁ!!」」」

ゆり「遥か彼方に飛んでいったわね…」

恭介「こうして筋肉は、無限に広がる大宇宙に飛び立っていったのである…!」

入江「しおりん、完全にしおりんのせいだよ?」

関根「あーあー、あたしは何も知らない聞こえなーい…」

関根(後で謝っとこ…)

謙吾「エブリバディセイ!!」

全員「「「宮沢最高ぉーーー!!」」」

謙吾「ラブ&ピース!!」

全員「「「宮沢最高ぉーーー!!」」」

椎名「エブリバディセイ!!」

全員「「「はちみつくまさん最高ぉーーー!!」」」

椎名「キュート&プリティ!!」

全員「「「はちみつくまさん最高ぉーーー!!」」」

謙吾「エブリバディセイ!!」

全員「「「宮沢最高ぉーーー!!」」」

謙吾「ラブ&ピース!!」

全員「「「宮沢最高ぉーーー!!」」」

椎名「エブリバディセイ!!」

全員「「「はちみつくまさん最高ぉーーー!!」」」

椎名「キュート&プリティ!!」

全員「「「はちみつくまさん最高ぉーーー!!」」」

立華「……………」

恭介(こんな調子で俺たちの馬鹿騒ぎは一週間続いた)

恭介(後に堪忍袋の緒が切れた立華から、数日の学食使用禁止令を出され)

恭介(山籠りのサバイバル生活を送ることになったのは、また別の話だ…)

Episode.3  「動き始めた魔の手」 END

真人「ふぅ…、久しぶりに食った学食の飯は旨かったぜ、それと便座カバー」

沙耶「真人くん、またそれと便座カバーって言ってるわよ」

謙吾「いい加減直せ」

真人「一週間も言い続けたせいで口癖になっちまったんだよ!ごめんなさいでしたーーー!!」

恭介「にしても楽しかったな、キャンプ」

沙耶「建前としては、馬鹿騒ぎしすぎた反省の為の山籠りってことだったんだけどね」

謙吾「ゆりっぺは素直じゃないからな」

真人「お前が言うかよ、それ…」

恭介「まあ諸君の努力のおかげで戦線メンバーは、次第に強い絆で結ばれ始めている」

恭介「ゆりっぺや遊佐も、もはや完全に馬鹿の仲間入りだ」

沙耶「喜んでいいのかしら…」

謙吾「大山が完全にボケに目覚めたりという、変化もあったな」

恭介「ああ、ゆりっぺ同様、デーモン・ピクニックで完全にフッ切れたみたいだな」

恭介「作戦大成功だぜ!」

真人「お前まさかそこまで考えて、バトルランキング提案したのかよ」

恭介「なんのことだね、真人くん?」

謙吾「はっはっはっ!良いじゃないか、みんなで楽しい時間を共有する以上に大切なことなんてないだろう!」

真人「まあ、確かにその通りだけどな!」

沙耶「そうね、最近はゆりがあたしと一緒にお風呂に入ったり、一緒の布団で寝てくれるようになったのよ!」

馬鹿三人「「「……………」」」

沙耶「あれ、どうしたの?みんな」

恭介「えーとな、沙耶。お前そもそもゆりと相部屋だったっけか?」

沙耶「最初はNPCと一緒だったんだけど、ある日部屋に戻ったらゆりが引っ越してきてたのよ」

沙耶「NPCに事情を話したら快く了承してくれたって言ってたわ」

真人「やりやがったな、ゆりっぺ…」

恭介「絶対快く了承とかじゃないな…」

謙吾「ゆりっぺのゆりってやはりそういう百合だったのか…」

沙耶「ん?」

恭介「沙耶、とにかく体には気をつけろよ…」

沙耶「どうしたのよ、急に。どうせ怪我しても治る世界じゃない」

真人「怪我とかですめばいいんだけどな…」

謙吾「ひさ子の最近の岩沢に対する態度といい、戦線の女子も大概まともなやつがいないな…」

恭介「よくよく考えてみたら、俺たちが来る前から結構戦線のみんなって馬鹿の兆しあったんだな…」

恭介「まあその話はおいといて、罰ゲームとキャンプも終わったことだし」

恭介「俺たちも今後の動きと対策を話し合わないとな」

沙耶「世界の創造主、あるいは神の動きについてね?」

謙吾「その気になれば、俺たちを自由に支配できるか…」

謙吾「恭介、あの世界にいた時のお前にはそういうことは可能だったのか?」

恭介「NPCなら可能だ。だが、しっかりと心を持つお前たちに関してはそこまでの事は出来ないな」

沙耶「つまりこの世界の創造主は、あの世界の恭介くん以上の力の持ち主ってことね」

真人「で、どうやってそんな奴と戦うんだよ?」

恭介「戦線全体の方針はゆりっぺが決めるとして…」

恭介「俺はこれからも証拠や根拠を集めて、推理を行うやり方でいくつもりだ」

謙吾「そんな事をしては、また神が恭介を操ろうとするんじゃないか!?」

恭介「いや、おそらくそれは無い。ゆりっぺが何故、わざわざ裏山でキャンプなんて行う事にしたと思う?」

真人「そりゃあ学食使用禁止令出されちまったから、サバイバルで飯を作る為だろ?」

恭介「勿論、それもある。単純にみんなと楽しみたかったって気持ちもあるだろう」

恭介「だが、本来の狙いはおそらくそこじゃない」

恭介「ゆりっぺはキャンプを行ってる間、黒王が仕掛けてくるのを待ってたんだ」

沙耶「そう言えば、一度も現れなかったわね」

恭介「ああ、前回黒王が現れた裏山。そこでキャンプを行えば、神が攻撃の意志をまだ持ってるなら、必ず黒王が現れると踏んだんだろう」

真人「じゃあ、とりあえずは神のヤツは攻撃してくる気は無いってことなのか?」

恭介「ああ、そう考えていいだろうな」

恭介「前にも言ったが、そもそもやり方が回りくどすぎるんだ。俺の思考力を下げたり、操ろうとしたり」

恭介「本気でこの世界の秘密を守りたいなら、そんなことをする必要はない」

恭介「さっさと俺を消せばいいだけだ、でもそれをしていない」

恭介「どうも俺は、創造主は俺たちのことを試しているか、遊びの道具に使っているかのように思えて仕方がない」

沙耶「むかつくわね、まさに神様気取りってわけ?本当に神なのかもしれないけど」

謙吾「だが、だとしたら何が目的なんだろうな」

恭介「もう少しだけ情報が欲しいところだな。纏まったら、先にお前たちに話す」

恭介「その後でゆりっぺにも話す必要がありそうだ」

真人「また頭を使う作業かよ、もうちっと筋肉さんが活躍出来る場面が欲しいことだぜ!」

沙耶「キャンプでさんざん筋肉発揮してたじゃない」

真人「発揮したのに発揮してたように思えねえんだよぉーー!!」

謙吾「わけわからんやつだ」

恭介「ま、とりあえずはこれくらいでいいだろう。そんじゃ解散!」

恭介(そう声をかけると、各々別方向に散っていった)

恭介(それぞれが戦線のやつらとも、個別に親しくなっている証だろう)

恭介(創造主の動向も気になるところだが、いざという時に大切になるのは仲間同士の絆のはずだ)

恭介(デーモン・ピクニックはそれを深める為の絶好の機会だったんだが…)

恭介(やっぱり他のリトルバスターズメンバー達にも、早く合流して欲しいもんだな)

恭介(そう考えながら歩いていた矢先、聞き覚えのある声が聞こえた)

恭介(誰かが会話しているようだ。気になるな、行ってみるか)

選択安価

恭介が聞いた声は誰のものか、二人選んで下さい

小毬・葉留佳・クド・唯湖・美魚・音無

23:30:00:00
↓1↓2 重複なら更に下

というわけで姉御とクドが参戦決定したところで今日は以上です

途中触れてたキャンプはシャーロットを見て思いついたネタだったのですが
さすがにここでやると話が一向に進まなくなりそうなので泣く泣く没となりました
斉藤ルート同様、いつか回収する時が来るかもしれません

勝手ですが、ご意見ご感想をお願いします

感想ありがとうございます
最近、仕事が忙しく思うように更新出来ず歯がゆいので
みなさんの感想にはとても励ましていただいています

今日は22時くらいから更新しますが、特に安価も無いのでお気軽にお楽しみ下さい

クド「わふー!良かったのです!来ヶ谷さんに会えて!一時はどうなることかと思いましたー!」

来ヶ谷「うむ、まさかクドリャフカ君がおねーさんの胸に飛び込んできてくれるとは」

来ヶ谷「未だ状況を把握していないのに、ひゃっほう、うっはうっはのドッキドキだぜ!と溢れ出るリビドーを叫びたくなるな」

クド「え、来ヶ谷さんもなぜここにいるのかわからないんですか?」

来ヶ谷「スマンな、正直私にもさっぱりだ」

来ヶ谷「なにせ気づいたら、そこのベンチに横たわっていて目覚めたのもつい先ほどなんだ」

恭介(慣れ親しんだ二人の声が聞こえる。俺は二人に声をかけた)

恭介「なら、そいつは俺が説明しよう」

ク・来「「恭介さん(氏)!?」」

黒王「ワンっ!!」

恭介「うおっ!黒王じゃないか!?なんでこんなところに!?」

恭介(さっきまで視界に入っていなかったが、能美の隣に黒王がお座りの姿勢で待機していた)

クド「黒王?それがこの子の名前なんですか?恭介さん」

恭介「いや、俺たちが勝手にそう呼んでるだけなんだが…。能美が連れてきたのか?」

来ヶ谷「さすがのおねーさんも驚いたぞ」

来ヶ谷「周囲を確認しようとした矢先、この犬の背中に乗ったクドリャフカ君が猛スピードで突っ込んできて」

来ヶ谷「おねーさんの胸にダイブしてきたんだからな」

クド「わふ…、すみません。ずっと心細かったもので、来ヶ谷さんが見えて安心してしまいました」

恭介「ずっと?能美は学校で目覚めたんじゃなかったのか?」

クド「はい…。私は目を覚ましたら森の中にいたんです」

クド「制服も変わってるし、なのにいつものマントや帽子はしっかり持ってるし、何がなんだかわからなくて」

クド「そんな時にこの子が来てくれたんです」

黒王「ワン!」

恭介(能美が黒王を撫でながらそう言う。どうやら黒王は完全に能美に懐いてしまったようだ)

恭介「襲われたりしなかったのか?」

クド「最初は少し怒られちゃいました。でも、ちゃんと目を見て、事情を話したらわかってくれましたよー」

恭介(能美がニコニコしながら、黒王を撫で続けている。黒王も凄い早さで尻尾をブンブンさせている)

来ヶ谷「すごいな、クドリャフカ君は。犬と意思疎通を図れるとは」

クド「言葉がわかるわけじゃないんですけど、気持ちはなんとなく伝わります」

クド「ヴェルカやストレルカともそうしてましたから」

恭介「なるほどな、そして黒王に乗ってこの学校にまで辿り着いたと」

来ヶ谷「ふむ。ところで恭介氏、そろそろ説明してもらえないか」

来ヶ谷「なぜ、私たちが生きているのか。ここは一体どこなのか、気になることが色々ある」

恭介「ああ。ともかく、黒王がいると他の奴に見つかるとパニックになりかねないな」

恭介「少し場所を変えるか」

恭介(俺は二人と黒王を連れて、人目の付かない場所に移動した)

来ヶ谷「死後の世界か…」

クド「私たちやっぱり死んでしまったんですね…」

恭介(さすがに二人もショックを受けているようだな…)

恭介「ああ、だが来たのはお前たちだけじゃない。既に真人と謙吾、それに沙耶もいる」

来ヶ谷「沙耶?それは野球の練習の時に樽の中に隠れて、バレバレながら私たちに混じったり」

来ヶ谷「バトルランキングの時に小賢しく、理樹君の援護をしていたスパイごっこの少女のことか?」

恭介「気づいてたんだな…」

来ヶ谷「勿論、気づく。まあ面白そうだから、放置しておいたんだが」

恭介(一応、本物のスパイのはずなのにバレバレだのスパイごっこだの言われてるぞ、沙耶…)

クド「そう言えば、その沙耶さんというお方はどういうお方だったんですか?」

来ヶ谷「確かにNPCにしては、随分個性的だったが」

恭介「あいつは多分、俺たちがバス事故にあった近くで別の事故にあって亡くなったんだ」

恭介「そして、俺たちの世界に迷い込んでしまったんだろうな」

恭介「それから色々あって、この死後の世界で再会したんだ」

来ヶ谷「なるほど、そういう境遇にあったのか」

クド「沙耶さんも大変な目にあったんですね…、これからは仲良く出来ると良いんですが」

恭介「大丈夫さ。あいつも本当はずっと、俺たちと遊んでみたかったらしいからな」

恭介「今の能美の言葉もきっと沙耶は喜んでくれるさ」

クド「はい!そうなれたら嬉しいです!」

来ヶ谷「まあ、そう気負う必要もないだろう」

来ヶ谷「クドリャフカ君の魅力は、まさにイノセント・チャーム(無垢なる魔性)と言っていい」

来ヶ谷「同性とはいえ、その魅力に抗うことは出来んよ。はっはっはっ」

クド「い、イノセント…、えーと…」

恭介(能美が突然出てきた横文字に戸惑っている)

恭介「来ヶ谷、お前いきなり何言ってんだよ…」

来ヶ谷「ええい、黙れこの与太郎。少なくともおねーさんは萌え萌えだぞ」

来ヶ谷「恭介氏、貴様それでもロリロリハンターズの筆頭か?」

恭介「ぐはあっ!な、なぜそれを…」

来ヶ谷「さあなぜだろうな?世の中は不思議な事でいっぱいだ。常に完全な回答を得られるわけではあるまいよ」

恭介「哲学的な言い回しで逃げてんじゃねえ!そもそも俺はロリじゃねえよ!」

来ヶ谷「ロリじゃない人間が(21)などに気づけるとは到底思えんがな。さすがに私も盲点だった」

来ヶ谷「恭介氏は真正のロリだと確信したよ」

恭介「たまたま気づいただけだぁ!ってかだからなんで知ってんだよ!」

クド「えーと、話の流れがよくわからないんですが…」

クド「とにかく、来ヶ谷さんは私のことを褒めてくれたんですよね!」

クド「サンキューベリーマッチなのですー!」

恭介(ニコニコしながら、上目遣いで俺たちを見つめる能美…)

恭介「………ぐはぁ」

来ヶ谷「…ああ、可愛い」

来ヶ谷「恭介氏、このままお持ち帰りしてもいいか?」

恭介「どこに持ち帰るつもりだぁ!」

来ヶ谷「まあ、ロリをこよなく愛する恭介氏は置いといて、いい加減本題に入ろうか」

恭介「置いておけるかぁ!そこが一番重要なところだろぉが!」

来ヶ谷「ほう、ならこれでどうだ」

クド「わ、わふー!?」

恭介「な、なに!?」

恭介(来ヶ谷が後ろから能美を抱きしめ、頬をスリスリしている…!)

来ヶ谷「ああ、クドリャフカ君のほっぺはスベスベで気持ち良いな…」

来ヶ谷「お日様の光で、フカフカに乾いた布団でもこの気持ちよさには敵うまい」

クド「く、来ヶ谷さん!くすぐったいのですー!」

恭介「………………」

来ヶ谷「ほらほらどうだ恭介氏。いい加減楽になるといい」

来ヶ谷「自分の気持ちには素直になるべきだ、羨ましいなら羨ましいと言え」

来ヶ谷「はぁはぁ、マジ羨ましいっす!来ヶ谷さん!僕もほっぺすりすりしたいです、はぁはぁ!」

来ヶ谷「と、叫んでみるといい」

恭介(来ヶ谷が挑戦的な瞳で、ニヤニヤしながら俺を見つめてくる…)

恭介(俺は…、俺は…!)

恭介「………しい」

来ヶ谷「ほう?」

恭介「なんて羨ましいんだ、来ヶ谷ぁーー!!」

恭介(もはやこの想いを止めることなど出来ないぜ!久方ぶりのルパンダイブだ!)

恭介(俺は思い切り二人に、いや主に能美に飛び込もうとした!)

黒王「ワウーーーっ!!」

恭介「え?」

クド「あれ?」

来ヶ谷「おや?」

ベシっ!!

黒王「ワンワンっ!ワウーーー!!」

恭介「ぎゃああああああ!!」

クド「ああ!?恭介さん!!」

来ヶ谷「うむ、お利口なわんちゃんだな。クドリャフカ君はいい従者を持ったな」

クド「ストップ!ストップですー!!そんなに噛んだら死んじゃいますよー!!」

ー恭介の称号に「ロリコン」が追加されましたー

ー恭介復活後ー

クド「いいですか!恭介さんはたまに変な事したりする人ですが、とっても優しい良い人なんですからね!」

クド「今度からは噛んだりしちゃ駄目ですよ!」

黒王「わふぅ…」

恭介「…能美、それくらいにしておいてやれ。そもそも能美を俺から守ろうとしてやったことだろう」

恭介「あんまり怒ると可哀想だ」

黒王「わふぅ、ワン!」

恭介(黒王が俺に向かって短く吠えた)

クド「反省してるみたいです。ごめんなさいって言ってますよ」

恭介「いや、俺の方こそ悪かったな」

恭介(俺は黒王の目を見つめながら、能美がしていたように撫でてやった)

恭介(尻尾を振ってるところをみると、どうやら心を開いてくれたらしい)

恭介「そういや、お前、前はどうして俺を襲ったんだ?」

クド「前?」

来ヶ谷「前にも黒王に襲われたことがあったのか?恭介氏は」

黒王「わ、わふぅ…」

恭介「なんて言ってるかわかるか?能美?」

クド「それが…、よくわからないって言ってる気がします」

恭介「…わからない?」

クド「はい。自分でもよくわからないけど、なんとなくそうしないといけない気がしたって言ってるみたいです」

クド「あの時も、乱暴なことをしてごめんなさいって謝ってるみたいです」

来ヶ谷「気になるな。まるで誰かに操られたか、そう動くように仕向けられたかのような物言いだ」

恭介「ああ。どうやら黒王も、神か創造主と呼べるやつに利用されたみたいだな」

クド「神様ですか…?」

来ヶ谷「……………」

恭介(来ヶ谷が顎に手を当てて、何やら考えるような仕草をしている)

恭介「どうした、来ヶ谷。なにか気になることでもあったか?」

来ヶ谷「…恭介氏、先ほどここは死後の世界で、神か何者かによって創られた世界だと言ったな」

来ヶ谷「ということは、今度は私たちが沙耶君のように、誰かの想いによって創られた世界に迷い込んだ、というケースは考えられないか?」

恭介「…すげえな、お前は。確かに俺もその可能性が高いと睨んでいたところだ」

恭介「一つ明確に違うのは、ここでは死ぬことがない。俺たちは死の間際にあの世界を創ったが」

恭介「この世界を創った奴は、死後、想いを募らせこの世界を創ったのかもな」

恭介「だから死後の世界として成立している」

恭介「まあ、あくまで可能性の一つなんだが」

来ヶ谷「ふむ、まあ結論を急いでも仕方がないな。それで恭介氏、私たちはこれからどうすればいい?」

来ヶ谷「恭介氏はこの世界で、何を目的に行動しているんだ?」

恭介「ああ、現状の俺たちの目的はこの世界の秘密を暴くことだ」

クド「この、死後の世界のですか?」

来ヶ谷「なるほど。この世界の成り立ちや仕組みを知ることが出来れば」

来ヶ谷「死者である私たちにも何か成すことが出来るかもしれない、というわけだな」

恭介「つくづく理解がはええな、お前は…」

クド「わふ…、私にはお二人が何を言ってるのかが、さっきからいまいち理解仕切れないです…」

クド「やっぱり私はがっかりダメダメわんこなのです…、です…」

恭介(能美が両の人差し指を回しながら、イジイジしている)

来ヶ谷「なに、あとでもう少し詳しく説明する。そう自分を卑下するんじゃない」

クド「…はい、ありがとうございます。来ヶ谷さん!」

来ヶ谷「礼には及ばんよ。そもそもクドリャフカ君は、バックの数学やアビトゥアの物理は解けるんだろう」

来ヶ谷「本格的に色々抜けてる馬鹿二人とは違って、君は充分賢いよ」

恭介(バックやアビトゥアってのは確か外国の大学入学資格やら、試験の名前だったか)

恭介(馬鹿二人はまあ…、言うまでもないか)

クド「そうでしょうか…、そうだと良いんですが…」

来ヶ谷「クドリャフカ君。君に足りないものは自信だな。もっと自分に自信を持つことだよ」

来ヶ谷「なにせ、君は私たちリトルバスターズのメンバーだ」

来ヶ谷「君が私たちを頼ってくれるように、私たちも君を頼りにしている」

来ヶ谷「そうだろう、恭介氏」

恭介(能美と目線を合わせていた来ヶ谷が、振り向いて俺にそう聞いてきた)

恭介(言うまでもないことだ)

恭介「当然だ、俺もみんなも能美が来てくれるのを待ってたんだぜ」

恭介「今だって、黒王の言葉を通訳してくれたろ?」

恭介「誰が欠けてもいけない、みんなが揃って俺たちはリトルバスターズだ!」

恭介「だろ、能美?」

クド「…来ヶ谷さん。…恭介さん」

クド「はい!弱音を吐いてすみませんでした!」

クド「私もみなさんのお役に立てるように、誠心誠意がんばるのです!」

恭介「よし、それでこそ能美だ。やっぱり元気な能美が一番だぜ」

来ヶ谷「うむ、そのほうがおねーさんも嬉しいぞ」

黒王「ワウーン!」

恭介「さて、綺麗に話が纏まったところで、この世界のリトルバスターズのところに行くか!」

クド「この世界にもリトルバスターズがあるんですかー!?」

恭介「ああ、もともとは神と戦う戦線で別の名前だったんだが、俺が改名した」

来ヶ谷「ふっ。相変わらず愉快なことをしているな、恭介氏は」

来ヶ谷「だが、リトルバスターズと聞いたからには捨て置けん。そんな楽しそうな集団には、ぜひ混ぜてもらうぞ」

恭介「ああ、当然そのつもりだ。真人や謙吾や沙耶も既に加入済みだからな」

クド「あれ、じゃあ他の皆さんはまだいないんですか?」

恭介「ああ、後の三人はまだだな。ま、来ヶ谷と能美も来たんだ」

恭介「もう時間の問題だろ」

来ヶ谷「後の三人というと、理樹君と鈴君は除外して」

来ヶ谷「小毬君と、葉留佳君と、美魚君だな」

来ヶ谷「まあ、確かに時間の問題だな」

クド「そうですね。もうお別れだと思ってたのに、こうしてまた再会出来たくらいです」

クド「きっと私たちは強い縁で結ばれているんですよ!」

恭介「その通りだ!例え相手が神だろうが、なんだろうが俺たちの絆の前に敵は無い!」

恭介「息合わせてバッチリ行こうぜ!」

クド「はい!ふぁいと、おー!なのです!」

恭介「お、それいいな。能美もう一回頼むぜ」

来ヶ谷「無論、おねえさんも一緒だぞ」

クド「わかりました!では僭越ながら、不肖能美クドリャフカ、開戦…で良いんでしょうか…?」

来ヶ谷「まあ、神様との喧嘩なんだから開戦でいいんじゃないか?」

恭介「ミッションって言い方の方が俺たちらしくないか?」

クド「あ、そうですね!では、改めまして…」

クド「不肖能美クドリャフカ、ミッションスタートの音頭をとらせていただきます!」

クド「せーの、ふぁーいと!」

三人「「「おーーー!!」」」

恭介(こうして、神が本格的に動き始めた矢先)

恭介(頼りになる二人が駆けつけてくれた!)

ゆり「………ねえ、棗くん?」

恭介「なんだゆりっぺ?」

ゆり「元リトルバスターズのメンバーが、二人も同時にやってきたってのにも充分驚いたんだけど…」

ゆり「なぁんで一緒に黒王までいんのよぉーーー!?」

恭介(ゆりっぺの怒号が本部中に響く、みんなも驚いてるみたいだな)

恭介「いやー驚くと思って敢えて内緒にしてたんだが、大成功だったみたいだな!」

黒王「わふぅ?」

真人「ぶっちゃけ俺たちも驚いたぜ。クー公と来ヶ谷が来たっていうから合流してみたら…」

謙吾「まさか一緒に黒王までいるとはな…」

沙耶「でも、安心してゆり」

沙耶「色々試したけどこの子すっかりクドちゃんに懐いてるみたいだし、あたしたちに敵意を向ける気も無いみたいだから」

ゆり「いや、そう言われてもね…」

岩沢「棗がその犬に襲われたのは、ついこの間のことだろう?」

遊佐「正直、本当に安全なのか疑問です」

藤巻「今は従ってるフリして、後で俺たちに牙を剥くってことも考えられるぜ」

野田「特に俺たちは、そのいかつい犬とは何度もやり合ってるからな…!」

クド「イカついとはなんですか!この子はこう見えても女の子なんですよ!」

全員「「「えーーーっ!?」」」

日向「マ、マジかよ…?」

大山「黒王ってメスだったの!?かなり衝撃的な事実発覚だよ!?」

TK「Holy shit!!」

松下「見た目の屈強さに騙されて、すっかりオスだと思い込んでいたな」

高松「というより、性別の概念すら意識していませんでしたよ…」

クド「みなさんと戦ったりしていたのも、壁を傷つけたら、危ないんじゃないかって思ってたからだそうです」

クド「決してみなさんを怪我させたりするつもりは無かったって言ってます」

クド「どうか信じてあげてください!」

黒王「ワウン…」

ゆり「あなた、黒王の言葉がわかるの!?」

来ヶ谷「なんとなくだそうだ。だがクドリャフカ君ほどではないが」

来ヶ谷「確かに言葉はわからずとも彼女の目や姿勢、尻尾の動きから、私たちにもある程度の感情や気持ちは理解できるぞ」

ゆり「……………」

恭介(ゆりっぺが席を立ち、黒王に歩み寄ってくる)

日向「あ、おいゆりっぺ!よせよ、危ないぜ!?」

野田「噛まれたらどうする!?」

ゆり「平気よ、少し静かにして」

恭介(少し屈んで、黒王と目を合わせるゆりっぺ)

ゆり「………、ほんとね…。あなたこんなにつぶらな瞳してたのね。今まで気づかなかったわ」

日向「ゆりっぺ…」

ゆり「考えてみれば、あれだけ襲われたのに、あたしたち目立った怪我とかしなかったわね」

ゆり「私たちは何度も銃で撃ったりしたのに」

椎名「だが、ゆり。棗がこの間、黒王に襲われたの事実だろう?」

椎名「銃が効かないのもはっきり言って異常だ。こいつは神の使いと見て然るべきじゃないのか?」

恭介「その事なんだが、椎名が今言った通りだと思う」

恭介「こいつはおそらく、この世界の壁という境界を守らせる為に、神が用意した特別な存在なんだろう」

藤巻「じゃあ、やっぱり神の使いなんじゃねえか!?」

恭介「だが、自意識が無いわけじゃない。完全に神の管理下にあるわけでもないんだ」

恭介「もし、神がなにかを黒王に命令させるようなことがあったとしても、こいつは自分の意志で抗うことが出来る」

ゆり「………、それは確かな確証があってのことなの?」

クド「いえ…、でもこの子はそう言ってます。絶対にみなさんを傷つけるようなことはしないし、したくないって」

クド「それに、許されるならみなさんと一緒に戦いたいって言ってます」

日向「黒王がか!?」

松下「確かに…、黒王が味方になってくれるなら心強いが」

藤巻「信じていいのかよ…」

ゆり「……………」

大山「どうするの?ゆりっぺ?」

高松「正直、リスクが高すぎるように思えますが」

野田「神のトラップの可能性だってあるぜ」

ゆり「………、いいわ。黒王を、彼女を信じましょう」

日向「な!?ゆりっぺ、本気かよ!?」

ゆり「みんなの言うとおり、確かにこれはリスクの高い危険な賭けよ」

ゆり「黒王が神の創造した使いなら、例え黒王にその気が無くても、いざという時に神に操れる可能性も否定できない」

ゆり「そのせいで大事な作戦が失敗したり、棗くんの時みたいに誰かが仮面で操られたりするかもしれないわね」

日向「そこまでわかってるなら、じゃあどうして!?」

ゆり「でも、この子にも神に抗おうという意志があるんでしょ?」

ゆり「だったら、あたしはその意志を信じたいわ」

恭介「ゆりっぺ…」

ゆり「それにもし黒王が、神に操れそうになった時、それに抗うことが出来たなら…」

ゆり「それは、神の力がこの世界において絶対ではないという証明にもなるのよ!」

日向「………」

沙耶「その通りね、そしてそれが証明されたら、こんな世界を創った相手にも付け入る隙がある」

沙耶「あたしたちに、神を倒せる勝機があるということになるわ」

恭介(沙耶が副リーダーとして、ゆりの横に並ぶ)

椎名「危険な賭けだな…」

ゆり「そうね、それでも神の使いである黒王が仲間になってくれるのは大きいわよ」

ゆり「あ、そういえばまだ二人の名前すら聞いてなかったわね。教えてくれる?」

恭介(ゆりっぺが能美と来ヶ谷に目を向ける)

クド「あ、はい。能美クドリャフカです、初めまして」

来ヶ谷「来ヶ谷唯湖だ、よろしく頼むよ」

ゆり「能美さんに、来ヶ谷さんね」

ゆり「さっそくだけど能美さん。あなたには悪いけど、黒王のお世話係を頼んでもいいかしら?」

クド「私がですかー?勿論です、お任せください!」

ゆり「頼むわよ。一番黒王と意思疎通を図れるみたいだし、黒王を参加させたい作戦には、自ずとあなたも必要になると思うわ」

クド「はい、がんばります!」

黒王「ワン!」

謙吾「既に息ピッタリだな、能美と黒王は」

恭介「ってことは、試験をするまでもなく、能美は幹部内定ってことになるよな?ゆりっぺ」

ゆり「まあ、そうなるわね」

ゆり「みんなも能美さんと黒王の件、納得してね」

野田「ゆりっぺの決定だ、反対するはずもない」

大山「言っても聞かないのはいつものことだしね!」

岩沢「ふっ。違いないな」

遊佐「悪の女王ですから」

ゆり「ってこらーーー!!そこは、はぁやれやれ仕方ないか…的な感じじゃなくて」

ゆり「ゆりっぺの決定なら俺たちも信じられるぜ!的な空気で納得するとこでしょうがぁーーー!!」

藤巻「無茶言うなよ、ゆりっぺ」

高松「基本的にゆりっぺさんのやり方はいつも無茶苦茶でしたし」

日向「まあ、結果的にいつもそれで丸く収まってたから信頼はしてるけどさ」

椎名「何を言っても無駄だ、という諦めムードがあるのもまた事実だな」

沙耶「ごめん、ゆり。フォロー出来ないわ」

恭介「俺もだ」

真人「同じく」

謙吾「右に同じだ」

ゆり「あんた達それでもあたしの選んだ幹部かぁーーー!!」

ゆり「揃ってリーダーいじるとかどんな幹部だぁーーー!!」

来ヶ谷「はっはっはっ!さすが、なかなかに愉快な集団のようだな」

ゆり「あーもう、納得いかない。なんかあたしのカリスマ落ちてる気がするんだけど…」

大山「僕は今のゆりっぺも、前より親しみやすくて良いと思うよ!」

野田「俺は勿論、どんなゆりっぺでもいつでも…」

ゆり「はいはい、ありがとう大山くん!」

野田「なっ…!」

真人「スルーしやがった…!」

松下「哀れ野田…」

高松「たとえ、見込みのない恋でも、私たちバカルテットはいつもあなたの味方です!」

クド「あのー、そういえばせっかく改めてみなさんの仲間になるわけですから」

クド「この子に新しい名前をつけたりしても良いでしょうか?」

ゆり「ああ、それもそうね。今までは神の使いとして黒王って呼んでたけど、これからは戦線の仲間だものね」

真人「そういうことなら、真人DXとかどうだ!?カッコイイだろ!」

謙吾「いや、パーフェクト謙吾のほうがカッコイイだろう!」

TK「Non'non!Shining TKのほうが!」

藤巻「いや、ZZ藤巻だろ!」

松下「俺としては松下クアンタフルセイバーで!」

高松「私は、ストライクフリーダム高松で!」

岩沢「ああ!?普通デスティニーだろ!高松!」

遊佐「では、わたしはウイングガンダム遊佐カスタムで」

ゆり「うおーーーい!!途中から完全にガンダムになってるでしょうがぁ!」

ゆり「しかもどんどん長くなってるし、遊佐さんに限ってはガンダムって言ってるし!」

大山「くそぉ!負けてたまるか!じゃあ僕は!」

大山「大山アストレイブルーフレームフォースフルアーマーフェイズシフトで!!」

真人「な、長え!?」

謙吾「ま、負けた…。無念!!」

ゆり「長さの問題じゃないわーーー!!」

バキッ

大山「あべしっ!」

恭介(ゆりのハイキックが大山の顔面に綺麗に決まった)

日向「危うくまた収拾つかなくなるところだったな…」

椎名「全く、お前たちはまるでわかってない!!女の子の名前なんだから、もっと可愛い名前をつけるべきだ!!」

ゆり「え…、そういう問題?怒るところそこ?」

クド「そういう問題です!今まで黒王なんて呼ばれてたんですから、とっても可愛くて、特別な名前が良いのです!」

恭介「じゃあ、いっそ能美が決めたらいいんじゃないか?」

ゆり「そうね。お世話係だし、適任だわ」

クド「いいんですかー?じゃあ、えーっとえっと…」

椎名「クド!思い切り可愛いのを頼む!」

沙耶「椎名さん、すごい目がキラキラしてるわね…」

来ヶ谷「さらっとクドリャフカ君を愛称で呼んでるな」

恭介「どこまで可愛いものに弱いんだよ、あいつ…?」

ゆり「ペンギンぬいぐるみで成仏しかける程度には弱いわね…」

真人「致命的じゃね!?」

クド「じゃあこの世界に来て、初めてのお友達なので、私にとって本当に特別な名前…」

クド「チェルヌシカ(чернушка)にします!」

恭介「能美!?その名前…」

来ヶ谷「…確かに特別な名前だな」

日向「チェルヌシカ?どういう意味なんだ?」

クド「ロシア語で黒髪の娘、という意味なのです!」

クド「だからこの子にぴったりだと思います!言いにくかったら、チルーシャって呼んであげてください」

ゆり「チェルヌシカ、愛称がチルーシャね。良い名前ね」

椎名「チルーシャ♪チルーシャ♪」

チルーシャ「ワン!」

恭介(椎名がチルーシャを呼びながら、撫でている)

恭介(椎名もチルーシャもすっかり気に入ったようだ)

来ヶ谷「そう言えば、さっき幹部がどうとか言っていたが」

来ヶ谷「幹部になるには特別な試験が
必要なのか?」

ゆり「まあ、試験っていうほど大層なものじゃないけど」

ゆり「戦線は基本的に作戦を実行する実行班と、陽動するための陽動班に別れてるの」

ゆり「岩沢さんは例外として陽動班のリーダーだから幹部だけど」

ゆり「基本的にはここにいるみんなは、実行班として直接作戦に参加してもらう幹部の集まりってわけ」

来ヶ谷「なるほど、つまりそれ相応の能力が求められるというわけか」

ゆり「ええ。能美さんはチルーシャと意思疎通が出来るという点で、既に合格だけど」

ゆり「来ヶ谷さんには、ちゃんと何かしらの能力を見せてもらうわよ」

来ヶ谷「ふっ。面白い、そんなにおねーさんの力が見たいのか」

恭介「ぶっちゃけやる必要ないと思うけどな」

真人「まあ、来ヶ谷だからな…」

謙吾「試験するだけ時間の無駄のような気がするな…」

ゆり「えっ、なに、どういう意味…?」

来ヶ谷「ちなみに聞きたいんだが、そこの馬鹿三人はどうやって幹部になったんだ?」

来ヶ谷「スパイとしての能力を持つ沙耶君は、まあ言うまでもないだろうが」

日向「恭介は、天使からこの世界の情報を聞き出した功績だったな」

野田「真人は、俺たちと腕相撲の勝負をした」

藤巻「謙吾は、チャンバラごっこで剣道の腕を見せる感じだったな」

来ヶ谷「なるほど、知・力・技というわけか」

来ヶ谷「確かに三人らしい取り柄だな。なら私が見せるのは」

来ヶ谷「『速さ』でどうだ?」

ゆり「速さ?脚力に自信があるっていうこと?」

恭介「いや、知・力・技のどれも来ヶ谷はやべえんだけどな…」

恭介「正直、俺もまともにやり合って勝てる気がしない…」

藤巻「恭介がそこまで言うって相当だな…!?」

謙吾「まあ技に関してなら、真人とのバトルで」

謙吾「スパルタンキックコンボからのかかと落とし」

謙吾「さらに連環腿、アシッドストーム、ドラゴンサマーソルト、シャイニングウィザードの連撃」

謙吾「とどめはそのまま真人の首に膝をかけ、地獄の断頭台をかましたらしいからな」

日向「どこのプロレスラーだよ!?」

真人「うおおおお!!嫌なこと思い出せるなあ!!」

恭介(真人が頭を抱えて、叫ぶ。どうやらあの一連の惨劇はトラウマになっているらしい…)

恭介「ついでに力に関しても、教室のドアを蹴りで真っ二つに粉砕するくらいはある」

沙耶「来ヶ谷さんってスパイだったの…?」

来ヶ谷「なに、私はただの一介の女学生だよ」

松下「一介の女学生のレベルを超えていると思うが…」

野田「ふん、口で言うだけならいくらでも出来る」

野田「実際にその力を見せて貰わないとな!」

来ヶ谷「ほう、おねえさんの力を疑うとはとんだ身の程知らずだ」

ナギッ

来ヶ谷「断罪してやろうか?」

野田「なっ!?」

恭介(来ヶ谷が瞬間移動の如く、一瞬で野田の背後に回っていた…!)

椎名「…速い!」

ゆり「嘘、どうやったの!?」

来ヶ谷「言っただろう?自分で言うのもなんだが、速さにはそこそこ自信がある」

来ヶ谷「さあ、翻弄してやろう」

恭介(来ヶ谷が瞬間移動を繰り返し、次々と戦線メンバー達の背後に回っていく)

日向「ありえねえ速さだぜ!?」

大山「本当に人間なの!?」

来ヶ谷「ふはははははは!!怖かろう!!」

恭介「いや、あいつは本当に人間超えてる気がしないでもない…」

クド「来ヶ谷さん格好いいですー!」

沙耶「いや、格好いいというより恐ろしいんだけど…。笑い声とかラスボスのそれじゃない…?」

野田「おのれ、魔王め!この俺が成敗してくれる!」

野田「うおおおお!!」

恭介(野田がハルバードを振り回しながら、来ヶ谷に斬りかかる!)

日向「馬鹿、野田!!それ完全に死亡フラグだぞ!!」

ゆり「いやー、期待を裏切らないわね野田くんは♪」

日向「言ってる場合かぁ!!」

来ヶ谷「やれやれ、無粋なものを持ち出すな」

野田「フンっ!!」

ナギッ

バリィ!

大山「ああー!ドアがっ!!」

遊佐「木っ端微塵ですね…」

恭介(来ヶ谷がギリギリで回避したせいで、野田を勢いよくドアに突っ込み、ハルバードで粉砕してしまった…)

ゆり「ちょっと!?野田くん、何やってるのよ!!」

野田「ス、スマンゆりっぺ!」

松下「なあ、あんな強引にドアぶち破ったりしたら…」

高松「ええ、おそらく例のトラップが…」

ブゥン!

野田「のわあああああ!!」

恭介(野田に向かって例のハンマーが襲いかかる!)

恭介(弾き飛ばされるかと思った刹那…!)

来ヶ谷「やれやれ、ふっ!!」

バキぃ!!パラパラ…

恭介(来ヶ谷が一瞬でハンマーと野田の間に立ち、ハンマーを蹴りで木っ端微塵に粉砕していた…)

来ヶ谷「ふう、こう動くと喉が渇くな。あとで美味しいコーヒーか紅茶でも飲みたいところだ」

野田「な…、な…!」

真人「相変わらず無茶苦茶しやがるぜ…。あの女…」

謙吾「来ヶ谷だけは絶対に敵には回せんな…」

来ヶ谷「っと、しまったな。試験内容は速さだったはずなのについ力まで見せてしまった」

来ヶ谷「これはつまり、ルール違反で失格かな?ゆりっぺ君?」

ゆり「わかってて言ってるでしょ…。勿論、合格よ」

来ヶ谷「そうか、それは良かった。晴れておねーさんも再びリトルバスターズに仲間入りというわけだな」

来ヶ谷「はっはっはっ!」

日向「なあ、恭介…。リトルバスターズって本当にどういう集まりだったんだよ…」

恭介「一応、野球チームだが?」

日向「どんな野球チームだよ!?メジャーでも目指してたのかよ!?」

椎名「ふっ。戦線最強争いに新たな刺客の出現か…!」

沙耶「一応、あたしたち二人ともバトルランキングルールで負けちゃってるんだけどね…」

ゆり「でも能力は申し分ないけど、最後に一つだけ、来ヶ谷さんと能美さんには確認したいことがあるわ」

来ヶ谷「ほう、なにかな?ゆりっぺ君?」

クド「も、もしかして身長制限とかあるんですかー!?」

クド「ど、どうしましょう!?今から牛乳飲んでも大きくなれるんでしょうか!?」

ゆり「ちっがーう!!ジェットコースターじゃあるまいし、どうして戦線の入隊条件に身長なんかつけるのよ!!」

日向「でもまあ、確かに来ヶ谷と能美ってすげえ凸凹コンビだよな」

大山「本当に恭介くんたちと同い年なの?」

恭介「ありゃ、言ってなかったか?俺はそもそも真人達や来ヶ谷より一つ年上だぞ」

岩沢「えっ、そうだったのか?」

クド「ちなみに私は井ノ原さんや来ヶ谷さんと同じクラスでしたが、歳は一つ下なんです」

クド「私はお祖父様に連れられて、海外を回ることが多かったので、通信教育で単位を取ったんですが」

クド「単位を取りすぎてしまって、一つ飛び級してるんです」

ゆり「あら、チルーシャ抜きにしても能美さんも優秀なのね」

クド「どうでしょうか…?お祖父様が大の親日家だったので」

クド「私はこんな見た目なのに、中身は完全に日本人で、英語は全く出来ないダメ子ちゃんなのですが…」

遊佐「クドリャフカやチェルヌシカという名前から察するに、能美さんにはロシア人の血が流れているんですか?」

クド「はい!お祖父様がロシアの生まれで、お祖母様が日本の生まれなんです」

クド「つまり、私はクォーターってやつなのです!」

TK「Oh, Big suprise!!」

クド「わふー、英語がお上手なんでふね!」

松下「いやTKはこう見えて、普段はわりと日本語喋ってる時もあるんだがな…」

藤巻「そもそも外人なのかも色々と怪しいぜ、TKはよ…」

クド「それでもすごいです!もしよろしかったら、私に英語を教えて下さい!TKさん!」

TK「All right! Let's go! Come on dancing!!」

クド「カモーン、ダンシンーグ!なのですー!!」

真人「お、ノリノリだな!クー公!よっしゃならマッスルカーニバルの始まりだぜ!」

謙吾「マッスルカーニバルだとぅ!?」

クド「なにが起きるんですかー!?」

真人「当然…、筋肉の祭典だぁーーー!!」

恭介「いやっほぅー!筋肉最高ー!」

クド「わふー、脳みそ筋肉なのですー!」

ゆり「ってこらーーー!!また、そうやって隙あらば馬鹿騒ぎしようとして!」

ゆり「そんなんだからいつも脱線して、話が一向に進まなくなるんでしょうが!!」

野田「くっ、筋肉旋風だけじゃなく!マッスルカーニバルまで封じられるのか…!」

松下「筋肉に対する世間の目はこれほどまでに厳しいのか…」

高松「横暴だ!筋肉に対する弾圧は断固抗議すべきです!」

来ヶ谷「ふむ、ものの見事に馬鹿しかいないな。面白くなりそうだ」

ゆり「とにかくレッツダンシンーグ!だろうが、マッスルカーニバルだろうが、空いた時間にやりなさい」

ゆり「おちおち真面目な話も出来ないじゃない…」

遊佐「責任はゆりっぺさんにもあると思います」

ゆり「あたし!?なんでよ、ワッツ!?ホワーイ!?」

沙・日「「ワッツ!?ホワーイ!?をパクるなぁーーー!!」」

遊佐「そういうところです」

ゆり「一応、肝に命じておくわ…」

ゆり「と・に・か・く!あたしが二人に聞きたいのは、この戦線で神と戦う覚悟がちゃんとあるかってことなのよ!」

ゆり「悪いけど、これだけはきっちり聞かせてもらうわよ」

来ヶ谷「ふむ、なるほど。神と戦う戦線なんだから、当然確認しておかなければならないことだな」

来ヶ谷「だが、ただ単に覚悟はある、と答えるだけというのも芸がないな」

来ヶ谷「だから、抽象的ではあるが理由も少し語ろうか」

ゆり「いいの?あたしとしては、ただ覚悟を問いたいから聞いてるだけだし」

ゆり「言いにくいのなら無理に言わなくてもいいんだけど」

来ヶ谷「構わんよ。なにせ私の理由は単純だ」

来ヶ谷「私にはな、伝えたい想いがあるんだ」

ゆり「伝えたい想い…?」

来ヶ谷「そうだ」

恭介「……………」

来ヶ谷「リトルバスターズに参加する前の私は、言うなれば人間のふりをしたロボットだった」

来ヶ谷「笑うことが出来ない、感情を理解できない」

来ヶ谷「勉強やスポーツ、あらゆることが万能に出来ても、私には人として当たり前のことが出来なかった」

来ヶ谷「母にも、私がどんなに誇らしいことが出来るよりも」

来ヶ谷「私がただ笑ってくれるほうが嬉しい、とまで言われたことがあるくらいだよ」

ゆり「………」

来ヶ谷「だがな、そんな私もリトルバスターズに参加してから、自分が人間であることを知った」

来ヶ谷「楽しいことに取り組む喜びも、大切なものを傷つけようとする悪意に対する怒りも…」

来ヶ谷「そして…」

来ヶ谷「恋する幸せを知った」

来ヶ谷「大好きな人と別れなければいけない悲しみが、耐えようが無いほどに苦しいものだと知った」

真人「………」

謙吾「………」

来ヶ谷「約束したんだ。きっとまた、この想いを今度は私から告げると」

来ヶ谷「だから私はその為なら神だろうが世界だろうが、なんであろうと敵に回す」

来ヶ谷「この想いを阻むものは許さない!」

クド「来ヶ谷さん…」

沙耶「………」

恭介(来ヶ谷…。やっぱりお前も理樹の事を本気で愛してるんだな)

恭介(その想いを、ここまで堂々と宣言出来るなんて…)

恭介(すげえ格好いいよ。心からの拍手を送るぜ)

来ヶ谷「以上。偽らざる私の覚悟、戦う理由だ。納得してもらえたかな?ゆりっぺ君」

ゆり「…ええ、もちろんよ。少し意外な理由だったけどね」

ゆり「そこまで言い切れるような相手に出逢えた来ヶ谷さんが、少し羨ましいわ」

来ヶ谷「まあ。今の私を見て一番驚くのは、間違い無く昔の私だろうな」

来ヶ谷「だがな、ゆりっぺ君。どうやら女というものは、みんな恋する乙女としての側面を持ち合わせているみたいだぞ?」

来ヶ谷「君にももしかしたら、いつかそんな相手が現れるかもしれないな。はっはっはっ」

ゆり「さあ、どうかしらね?想像もつかないわ」

野田「そんなことは無いぞ!ゆりっぺ!」

野田「何故なら!ゆりっぺの運命の相手は今ここに!!」

ゆり「拒否」

野田「うおあああああっ!!」

松下「負けるな野田!」

高松「信じる事です!必ず最後に愛は勝ちます!」

真人「何度でも、当たって挫けりゃ良いじゃねえか!」

日向「いや、挫けちゃだめだろ…」

ゆり「さて、立て続けに悪いけど、次は能美さんにも聞かせてもらうわ」

クド「………。あの、私は来ヶ谷さんほどの格好いい理由は無いんですが、それでも良いでしょうか?」

ゆり「どんな理由でもいいわ。神に抗う理由になるならね」

クド「……………」

クド「『世界の良き歯車になりなさい』」

ゆり「えっ…?」

クド「私のお母さんの言葉です。そういう存在になりなさいって」

クド「私はお母さんからそう言われました」

クド「幼い私にはそれがどういう意味なのか、ずっとわからないままでした」

クド「さっきも言いましたが、私は色々とアンバランスな子なんです」

クド「お母さんほど優秀じゃないし、英語だって喋れない」

クド「こんな見た目なのに、中身は完全に日本人で…」

クド「だから、いつも一人で、辛い現実からも逃げる事しか出来ない弱虫だったんです…」

クド「そして、一番大切な時にも、私はまた逃げてしまった、です…」

クド「リトルバスターズのみなさんのくれた居場所が、あまりに幸せで、居心地が良くて」

クド「本当に楽しかったから…」

恭介「……………」

クド「だから、弱虫の私は自分で自分を追い込むことにしました…」

クド「決して逃げることが出来ないように、鎖で繋がれて、ただそうある歯車として生きることを望んだんです」

クド「それがきっと、私の役目。お母さんの言う『世界の良き歯車』として在ることだと思ったから…」

クド「…けど、そうじゃないと教えてくれた人がいたんです」

クド「求められる歯車の形ではなくても、そのままの私たちで」

クド「小さな積み重ねで、少しずつ世界という時計を変えていける」

クド「前に進むために、変えている」

クド「『自分の気持ち』を手放して、自分を殺すこと」

クド「それが世界に役立つ生き方って言うのは、間違ってると」

クド「そう、教えてくれた人がいるんです」

恭介「能美…」

クド「それが私の得た答え。いつも逃げることしかしなかった私が、リキに教えてもらった強さです」

クド「だから、私は今度こそ自分の気持ちで、逃げずに戦います」

クド「皆さんみたいに戦うことは出来ないと思いますけど…」

クド「でも、みなさんの為に、みなさんと一緒に前に進んで行ける」

クド「そんな歯車になりたいんです!」

ゆり「…………」

恭介(幾度なくループを繰り返して、強くなったのは理樹や鈴だけじゃなかったってことだな…)

恭介(もう、俺が初めて会った頃の能美はいないな)

恭介(なあ理樹、お前にも見せてやりたいぜ。来ヶ谷や能美が新たに得た強さを)

恭介(それはお前が二人に教えた強さなんだぜ)

ゆり「ふう…。全く、あなたたちってみんなそうなのね」

ゆり「神への復讐の為じゃなくて、ただ誰かの為に、そんな想いがあなたたちを突き動かしてる」

ゆり「リトルバスターズってみんなそうなの?」

恭介「俺達は、ただ一人じゃ辛いからみんなで手を繋いだだけさ」

恭介「そうして輪になって手を繋いで、みんなの力が合わさって」

恭介「みんなで強くなってきただけさ」

ゆり「………。そう、あたしにもやっとその大切さが分かるような気がするわ…」

ゆり「少しだけね…」

日向「ゆりっぺ…」

ゆり「けど、だからこそ気を引き締めるべきよ!」

ゆり「神の存在を間近に感じるところまで来た今だからこそ、各員の一層の奮起を期待するわ!」

ゆり「いいわね!」

全員「「「おーーーっ!!」」」

恭介(こうして無事に、来ヶ谷と能美、そしてチルーシャが戦線に加入した)

恭介(みんなの気持ちも益々一つになっていってるぜ!)

真人「というわけで、時間も空いたことだし、今度こそみんなでマッスルカーニバルを…!」

ゆり「却下」

遊佐「一蹴」

岩沢「棄却」

椎名「あさはかなり」

真人「なぜだぁぁぁぁ!!」

野田「諦めるな!真人!」

松下「いつかは女子にもわかってもらえるさ!」

高松「信じることです!必ず最後に筋肉は勝ちます!」

大山「いや違うよ!最後に勝つのはボケだよ!」

ゆり「違うわ!最後に勝つのはツッコミよ!」

来ヶ谷「違うな、最後に勝つのはこの私だ」

日向「流れるように便乗すんなよ!しかも最後に勝つのは私ってどんだけだよ!」

来ヶ谷「ふはははははは!!貴様らの腸を喰らい尽くしてくれるわ!!」

謙吾「こええよ!!」

藤巻「こわいぜ!!」

TK「唯ちゃん!Scary!!」

来ヶ谷「………断罪してやろう!」

バキィべキィグシャ!

TK「GYAAAAAAAAAAAAAAAA! !」

男共「「「TKーーー!?」」」

椎名「チルーシャちゃーん♪よしよーし♪」

チルーシャ「ワウン♪」

クド「椎名さんはわんちゃんが好きなんですか?」

椎名「可愛いものならなんでも好きだ、私は!」キリッ

クド「そうですかー!私も可愛いものは大好きです!」

遊佐「なんですかこれは…。せっかく女子が増えたのにますます収拾つかなくなっていってる感じです…」

岩沢「どんどん多所帯になっていくからな。むしろ自然なことじゃないか?」

恭介「そうだな、賑やかなのは良いことだ」

岩沢「そう言えば、棗。お前、明日暇か?」

恭介「ん?どうした急に?」

岩沢「前に言っただろ。新しい曲を作るから、お前に最初に聞いて欲しいって」

岩沢「それが出来たんだ」

恭介「マジかよ!?聞きに行ってもいいか!!」

岩沢「そのつもりであたしから聞いたんだ。にしても、お前すごい食いつきようだな」

恭介「当たり前だ、俺を誰のファンだと思っている?」

岩沢「ガルデモの、あたしのファンだろ?知ってるよ」ニコッ

恭介「………。岩沢、お前今すごい良い笑顔だったぜ?」

岩沢「そうか?まあ、なんでもいい。明日ちゃんと来いよ、待ってるからな」

恭介「ああ、いつもの教室だな」

恭介(最後に岩沢と約束を交わして、今日も夜が更けていくのであった)

今日は以上です。

クドと姉御と黒王改めチェルヌシカが加入しました
クドといえばストレルカとヴェルカポジが欲しいと思って出来上がったのがチェルヌシカです

余談ですが、チェルヌシカはクドのお母さんの名前と同じだったりします
一応、区別を付ける為に基本的には愛称のチルーシャでいきます

次回は自由行動回です

もしかしたら、またしばらく時間が空いてしまうかもしれませんが完結目指してがんばります
気長にお付き合いいただけると嬉しいです

きりが悪くなりそうなので再開のメドが立ち次第、つぎはまた新しいスレを建て、このスレを埋めると思います

(50レス近く空いてしまったので、宜しければ感想や雑談である程度埋めていただけると、とても助かりますm(_ _)m)

観鈴「わたしも」
勝平「僕も」
ゆめみ「わたしも」

小毬はるちんみおっちはおろか
音無ユイ直井竹山、それと天使ちゃんもまだ仲間になってすらないという事実

最終的にどうなってしまうやら…

一週間ほど時間が相手しまったので一度生存報告しておきます
お待たせして本当に申し訳ありません

戦線メンバーとの交流選択肢がそれぞれ思いの外長くなってしまってるのが原因です
もう少しお待ちください

おまたせしました
明日の夜20時くらいに再開します

少し時間が早いのは移動場所の選び方によっては、物凄く長くなってしまいかねないからです
逆に結構短い可能性もあります

感想や雑談でここまで埋めてもらいありがとうございました
とても楽しく拝見していました

明日、再開と同時に建てたほうが良いかと思いましたがもう建てたほうが良いですかね?

ちょっと次スレ用のあらすじ用意してきます

恭介「戦線名はリトルバスターズだ!」かなで「その3ね」
恭介「戦線名はリトルバスターズだ!」かなで「その3ね」 - SSまとめ速報
(ttp://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1440506266/)

建てました
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