のび太(18)「ドラえもん・・・」(144)


男1「おらっ、出せよ」

のび太「うぅ・・・痛い・・・」

男2「お前やりすぎだって、血ィでてんじゃん」

男1「だってコイツが・・・」

のび太「出すって、出すから向こう行って・・・」

男2「最初から出してれば怪我しなかったのに・・・」

男1「キモイんだよ!!たった5千円だろうが!!さっさとしろよな!!」

男2「ほっとけ、コンビ二行こうぜ」

のび太「痛たたた・・・」


のび太「腕から血が出てるや・・・」

のび太「アイツらいつか仕返ししてやる・・・」

のび太「今度イジメられたら許さないぞ・・・」

のび太「そうだ、今度暴力を振るわれたらやり返そう・・・」

のび太「今日は大人しくしてやったけど・・・見てろよ・・・痛たたた」



ドラえもんが未来に帰ったのは中学に入学した頃だった。
僕とジャイアンとしずかちゃんは家から近い中学に
スネ夫はお金持ちが通う私立へ通うことになった。

中学生の頃から2人とは一緒のクラスになったことは無く
クラスが多くて教室が離れていることもあって、会う回数は自然に減った。

そして勉強も運動も出来ない僕はイジメの対象になった。
それは高校3年生の今も同じだ。


男1「なー野比!!今日はいくら持ってんの!?」

のび太(きたぞ!!)

男1「オイ答えろよ、出せ」

のび太「持ってないよ・・・昨日君が全部持っていったからね」

男1「は?何その言い方・・・マジムカつくんですけど」

男2「やめとけよ野比・・・」

男2「野比・・・早く出せって」

のび太「う・・・うわあああぁぁ!!!」

男1「はっ!?何だよ!!腕はなせよ!!」

のび太「ガブッ!!」

男1「いってえぇぇ!!」

男2「おいっやめろ!」


男2「おい!!野比やめろ!!」

のび太「離せよお!!」

男1「マジでキモイんだよ!!オイ男2!財布取れ!!」

男2「分かった分かった・・・」

のび太「やめっ・・・!!」

男2「ほらよっ」

男1「なーんだ、まだ2千円あるじゃねーか・・・」

男2「ほら、行こうぜ。先生来たらヤバイだろ」

男1「一緒の所見られるのはマズいな」

のび太「それは今月の小遣いで・・・!!」

男2「ほらっ財布は返すわ」

のび太「もう・・・もう無いのにぃいいぃぃ・・・」



のび太(お金を取られて・・・暴力も振るわれているのに・・・)

のび太(神様は不公平だ・・・僕の方が正しい人間なのに・・・)

のび太(僕は何も間違っていないのに・・・)

のび太「・・・僕は悪くない」

ジャイアン「あれ?のび太じゃん」


のび太「ジャイアン!!」

ジャイアン「なにやってんだぁ?」

のび太「か、帰ってるだけだよ」

ジャイアン「・・・」

のび太「・・・」

ジャイアン「・・・お前、まだいじめられてるんだってなぁ・・・」

のび太「!?」


のび太「ま、まだとは何だよ」

ジャイアン「中1の初めのうちから・・・ずっとか?」

のび太「・・・い、いじめられてるんじゃないさ」

のび太「あいつらの相手が面倒だから黙ってるだけさ」

ジャイアン「そうか・・・お前も、大変だなぁ」

のび太(・・・助けてくれないのか)


ジャイアン「・・・いじめはひどいよなぁ」

のび太(君がそれを言うのか・・・!!)

のび太「だから、いじめじゃなくて」

ジャイアン「そうだったな、悪い」

のび太「じ、じゃあ僕帰るね」

ジャイアン「おう、じゃーな」

のび太(もう一緒に下校したりもしないからなぁ・・・)


のび太「きっと馬鹿にしてるんだ・・・」

のび太「そしてもう近づきたくもないからあんな態度をとるんだ」

のび太「昔ならもっと話を聞いてくれて・・・」

のび太「昔なら・・・」

のび太「・・・」

のび太「ドラえもん・・・」



女1「朝っぱらから全校集会なんて面倒だねー」

しずか「そうよねー」

女2「あっしずかいい匂い~」

しずか「シャンプー変えたの、いいでしょ」

女1「ほんとしずかは可愛い・・・ってアレ見て」

しずか「え?・・・あぁ」

女2「野比君だね、一番頭悪い5組の」

女1「すっごい怪我、喧嘩でもしたんじゃない?」

女2「大人しそうなのに怖~い!キレたらヤバイタイプだね」

しずか(・・・)


のび太「痛たたた・・・」

のび太(朝から殴られた・・・先生は怪我みても何も言ってくれないし・・・)

のび太(あいつらのせいで勉強も集中できないや・・・)

校長「おはようございます。近々テストがありますね、みなさん是非頑張ってください」

のび太(この校長話が短いから好きだ)

男2「オイ」ボソ

のび太「!! なんだよ、集会中だぞ」ボソ

男2「放課後空き地に来いだってさ」ボソ

のび太「だ、誰が行くもんか」ボソ

男2「俺に言うなよ面倒臭い、あの写真ばら撒かれるぞ」ボソ

のび太「・・・分かったからやめてくれ」

のび太(教室で女の子の筆箱を触ってた写真・・・みんなに見られたらまた罵られる・・・)



そして放課後僕はまた殴る蹴るの暴行を受けた。
お金が無い日の暴力はいつもより酷くてアザがいくつもできた。

弱みを握られているので先生に相談も出来ない。
親に言おうとしたが恥ずかしくて言えなかった。

3組在籍で部活を頑張っているジャイアン
1組でその容姿から才色兼備と言われているしずかちゃん

どうしてこうも人生が違ったのかと、空き地でスネ夫も加えて遊んでいたあの日から
何が変わっていったのか解らなかった。


男1「野比ー今日は視聴覚室に来いよな」

のび太「本当にもうやめてくれ・・・」

男2「安心しろ、今日男1を満足させられたら、これを最後にしてやるらしいぞ」

のび太「満足・・・?」

男1「まぁ、放課後まで楽しみに待っとけや」

のび太(最後か・・・どんな事をしても満足させなきゃ・・・)

のび太(もう痛いのは嫌だ・・・)

のび太(僕は残りの高校生活を安全に暮らしたい)



のび太「うわっ暗い・・・」

男1「やっと来たか、来ないかと思ったぜ」

のび太「なんだよう・・・本当にお金はもう無いんだぞ」

男1「分かってるよ、お前にはある事をして欲しくてな」

のび太「ある事?」

男2「ここにもう一人、人を呼んであるんだ」

男1「そいつの前で、オナニーしろ」

のび太「えっ」


のび太「かっ簡便してくれよ・・・」

男2「これが最後だって言ってんのに」

のび太「これだけは簡便してくれよ・・・」

男1「テメェ、いい加減に・・・あっ、じゃあこうしよう」

のび太「?」

男1「いまから来るのは女だからさ、そいつの胸を揉め」

のび太「えぇッ!?」

男2「大丈夫かよソレ・・・俺らが」

男1「俺らが支持したって事言ってみろ、もっと酷い目に合わせてやるからな」

のび太(・・・嫌だ!!もうあんなの嫌だ!!)

男2「じゃあ向かいの校舎から見張ってるからな、カーテン閉めるなよ」

男1「双眼鏡あるから見えるんだぞ、逃げようと思うなよ」

のび太(どうしてそんなに必死なんだ・・・)


のび太「うぅ、本当に見張ってる・・・」

のび太「カーテン開けたから教室が明るくなって丸見えだろうな・・・」

のび太「どうしよう、ギャルなんか来たら・・・」

ガラッ

のび太「・・・え」

しずか「・・・のびたさん?」

しずか「・・・なに?」

のび太「え?」

しずか「こんな所に無記名の手紙で呼び出して・・・」

のび太「・・・あ・・・ぼ、・・・僕・・・」

のび太(しずかちゃんに・・・そんなことできない)

のび太(でも・・・やらないともっと・・・)

しずか「・・・変わらないのね」

のび太「え?」

しずか「いつもすり傷やアザをつくって・・・」

のび太「・・・」

しずか「・・・喧嘩なんてやめた方がいいわ、やるだけ無駄よ」

のび太「け、喧嘩なんかするもんか!!」

しずか「え?」

のび太「ぼ、僕は・・・」

しずか「・・・」

のび太「・・・はぁ」

しずか「のびたさん?」

のび太「なんて情けないんだ僕は・・・」

しずか「何を・・・」

のび太「僕はまだいじめられているんだ・・・」

しずか「えっ?」

のび太「・・・今、しずかちゃんにやらしいことをしろって命令されているんだ」

しずか「アタシに!?」

のび太「僕はしずかちゃんにそんなことできない・・・」

しずか「・・・先生に言いましょう。許せないわ」

のび太「勘弁してくれ!!そんな事をしたら・・・もっと」

しずか「じゃあどうするの?」

のび太「僕のことひっぱたいてくれ」

しずか「えっ・・・」

のび太「そしてこの教室から飛び出してほしい」

のび太「そうしたら後はあいつ等に上手く説明しとく」

しずか「叩くだなんて・・・」

のび太「お願いだよ・・・しずかちゃん」

しずか「・・・分かったわ」

のび太「おもいっきりでいいよ」

しずか「・・・えぇ・・・」

しずか「・・・」

のび太「どうしたのしずかちゃん・・・早く」

しずか「こんなとき・・・」ボソ

のび太「え?」

しずか「こんなとき・・・ドラちゃんがいてくれたらね・・・」

のび太「しずかちゃ・・・」

バチン!!

しずか「ごめんなさい!!」ダッ

のび太(痛たたたた・・・しずかちゃん結構力あるなぁ)

のび太(・・・久しぶりに話したな・・・)


2人には僕がしずかちゃんに胸を揉ませて」と率直に言ったため叩かれたと説明した。
「素直に言う奴があるか」と怒鳴られ、蹴られたけど。これでよかったんだ・・・

ドラえもんという名前を久々に他人の口から聞いた。
今ではパパとママでさえ触れてこない話題となっていた。

明日からもまたいじめられるのかと考えると夕飯を食べきることが出来なかった。

のび太(もう8時か・・・気分が沈んできた・・・)

のび太「散歩にでも行こう・・・」



のびママ「どこ行くのー?」

のび太「散歩だよ」

のび太(空き地でも行こうかな)

のび太「晴れてるから星がよく見えるなぁ・・・」

のび太「・・・」

のび太(よくここでみんなで集まった・・・)

のび太(そういえばジャイアンのコンサートってのもあったな・・・)

のび太「・・・」

スネ夫「・・・あれー?のび太じゃん」

のび太「・・・スネ夫!?」

スネ夫「何してるのさ」

のび太「えっ散歩だよ・・・」

スネ夫「僕もさ、偶然だねぇ」

のび太「スネ夫が散歩!?そんな馬鹿な」

スネ夫「ぼ、僕にだって悩むことぐらいあるんだぞ、気晴らしに散歩してるのさ」

のび太「悩むこと・・・」

スネ夫「まっのび太には教えないけどねー!!」

のび太(久しぶりに見た・・・何年ぶりだろう)

スネ夫「最近やけに昔の友達に会うよ」

のび太「え?」

スネ夫「この前しずかちゃんやジャイアンとも会ったのさ」

スネ夫「まぁ・・・ジャイアンとは中学の頃にも何回か会ったけど。高校に入ってからは久々に」

のび太「そうなんだ・・・」

のび太(とゆうか、僕の事友達だと思っていたのか・・・)

スネ夫「ジャイアン学校で元気かい?」

のび太「・・・いや、クラスが離れててさ」

スネ夫「そっか・・・じゃ僕はもう帰るよ」

のび太「うん」

スネ夫「ここで5人そろって遊んだ時・・・楽しかったなぁ」

のび太「・・・5人・・・」

スネ夫「よく考えれば人じゃないから4人と一機だったな・・・じゃあな」


実は中学に入ってから
4人で一緒にドラえもんに会いに行こうとしたことがある。

きっかけはドラミちゃんが現代にやって来た事から始まった。
単純に僕の様子を見に来たらしいけど、僕は久々に未来と触れ合えたことに興奮して
3人を家に呼び、一緒にドラミちゃんに頼み込んだ。ドラえもんに会わせてほしいと。

ドラミちゃんは「駄目」の一点張りだった。
僕は泣きながら頼んだ。どうしてもドラえもんに会いたくて、今思えばみんなの前で泣いてしまって恥ずかしい。
そんな僕の様子を見てドラミちゃんが言った言葉は「ごめんなさい」だった。


そしてその日以来僕の勉強机の引き出しが勝手に開く事は無かった。



のび太「ごめんってば!!許してよ!!」

男1「うるせー!!お前の存在がうぜーんだよ!!」

男2「視聴覚室って便利だな、声あげても防音だから外に漏れない・・・」

のび太「痛!!ちょっ・・・」

のび太(蹴られて殴られてるだけなのに・・・疲れてきた)

男1「おいバット持って来い」

男2「本当に使うのかよコレ・・・」

男1「安物だからな、打ち味試そうや」

のび太「・・・」

のび太(バットか・・・そういや昔よくジャイアンに・・・)

男1「いくぞぉっ!!」

のび太(今思えば懐かしい思い・・・出)


ジャイアン「おいっお前らなにやってんだ!!」

のびた「!!」

男2「やべっ・・・逃げるぞ」

男1「おぉ・・・って・・・なんだ3組の剛田か」

ジャイアン「男1・・・お前は・・・本当に救いようの無い奴だぜ」

男2「なにやってんだよ行くぞ!!」

男1「今回は見逃してやるよ野比、じゃあな」


ジャイアン「・・・」

のび太「・・・」

ジャイアン「情けない奴だぜ!!殴り返すぐらいしてみろよ!!」

のび太「そ、そんな事できたらとっくの昔にしてるさ」

ジャイアン「少なくとも俺はそうしてきた・・・」

のび太「え?」

ジャイアン「男1には中学の頃にちょっとやられてな・・・」

のび太「ジャイアンが・・・いじめられてたの?」

ジャイアン「ほんの一週間程な、知らない間に靴や教科書を捨てられたり・・・」

のび太(そんな・・・信じられない)

ジャイアン「まぁ・・・犯人がアイツだって分かった瞬間にボコボコにしてやったけど・・・」

のび太(・・・まぁ、そうなるよね)

ジャイアン「でもその時、暴力が原因で試合に出させてもらえなくなったりして・・・」

のび太「あぁ、野球部だっけ・・・」

ジャイアン「高校野球となっちゃ余計暴力はタブーになってるからな・・・」

ジャイアン「アイツ今、俺が暴力を振るえないと思ってなめてやがる・・・」

のび太「・・・はっ、それよりジャイアンどうしてここが分かったの?」

ジャイアン「・・・教えてくれたんだよ、しずかちゃんが」

のび太「しずか・・・ちゃんが」

のび太(しずかちゃん・・・)

ジャイアン「ひさしぶりに喋ったぜ、また美人になってやがる」

のび太「ははっそうだね」

ジャイアン「あの頃はこんなに離れちまうなんて思わなかったな・・・」

ジャイアン「小学生だったあの頃・・・ドラえもんがいた頃は・・・」

のび太「・・・そうだね」




最近よくドラえもんを思い出す。
みんなの口から聞いたからとかじゃなくて、自然にドラえもんと一緒にいた日々が頭をよぎる。

押入れを開けてももう誰もいないのに、無意識に開けてしまう。
ドラ焼きを店で見たときは買って帰らなくちゃという気持ちになる。
もうドラ焼きが大好物のドラえもんはいないのに。



のびママ「日曜日ぐらい出かけたらー?」

のび太「いいよ、面倒だし」

のびママ「そう。じゃ、買い物言ってくるからお留守番よろしく~」

のび太(・・・お留守番か・・・暇だな・・・)

のび太「漫画でも読もう」

のび太「んー・・読みつくしたやつばっかりだ」


その時だった。
カタン、と机の引き出しが揺れた気がした。

もう何度も見た光景、風の影響か何かで引き出しが揺れることは何度かあった。
そのたびにもうこの机も寿命かもしれないと思った。
今回もそう思っていた。

でも引き出しは開いた。
何年も待ち続けて、それでも開かないことに絶望した日々を一気に忘れさせるように
勢いよく、その引き出しが開いた。


ドラミ「のび太さん!!」

のび太「どうして・・・」

のび太「・・・ドラミちゃんが現代に・・・」

ドラミ「話はタイムマシンの中でするわ!!みんなも呼びましょう!」

のび太「みんな・・・って」

ドラミ「ほら!!このどこでもドアを使って呼びましょう」


その小さなポケットから出されたピンク色のドアは
もう何年も見てないものだった。

見た瞬間にドラえもんとの数々の思い出が蘇った。
思わず泣きそうになったけれどドラミちゃんがすでにドアを開けてしずかちゃんを呼んでいたので
僕は泣けなかった。

そしてジャイアンとスネ夫も呼び
僕らはタイムマシンに乗り込んだ。


のび太「・・・」

ジャイアン「・・・」

スネ夫「・・・」

しずか「・・・ド、ドラミちゃんどうして私達を・・・?」

ドラミ「・・・未来でちょっとね」

のび太「未来でって・・・未来に連れて行ってくれるの!?」

スネ夫「そりゃタイムマシンに乗せてもらってるんだから・・・」

ジャイアン「・・・何があったんだ?」

ドラミ「・・・」

しずか「どうして泣いているの・・・」

ドラミちゃん「・・・つっ、ついたわ・・・」

のび太「ここは・・・」

ジャイアン「どこだ?」

ドラミ「22世紀・・・の病院よ」

スネ夫「病院?」

しずか「・・・」



嫌な予感はした。

ある病室に入った瞬間に
しずかちゃんとジャイアンはすぐさま小走りで駆け寄って行った。
スネ夫もそれを追いかけた。

僕は一瞬理解が出来なかった。
その場に立っているのがやっとで、ものを考える事が出来なかった。


でも時間が経つと同時に頭の中で整理されていく。
そこにいる。ドラえもんがそこにいる。
病院のベットにぐったり横たわっている。


しずか「ドラちゃん!!ドラちゃんよね!!」

ジャイアン「おい、なんか言えよ!!」

スネ夫「ドラえもん・・・」

ドラミ「・・・」

のび太「どういうこと?」

ドラミ「今まで言わなかったこと、許して。のび太さん・・・」

ドラミ「実はお兄ちゃんが未来に帰ってきたあの日から・・・ずっと入院していたの」

のび太「・・・」

ドラミ「お兄ちゃんのネジが足りていない話は知っている?」

のび太「うん・・・昔聞いた」

ドラミ「・・・考えてもみて、ネジが一本足りてないのよ?その分の負担が別の所にかかっていたの・・・」

のび太「え・・・?」

ドラミ「長い間放っておいたせいね・・・その負担が重なって・・・」

スネ夫「じゃあ、そのネジを足せば・・・」

ドラミ「とっくの昔に製造は終わっているの・・・あったとしてもボロボロの物ね、余計体に負担をかけるわ」

しずか「そんな・・・」

ジャイアン「ドラえもん・・・どうなるんだ?」

ドラミ「・・・」

のび太「・・・!! そうだ、ひみつ道具!!色んなのがあっただろう!!アレを使ってドラえもんを・・・」

ドラミ「・・・駄目なの」

ドラミ「今は・・・人間で言う脳死状態ね」

スネ夫「まだ生きているんだ」

ドラミ「もし・・・お兄ちゃんを延命させれば大きく未来が変わるの」

のび太「え!?」

ドラミ「お兄ちゃんはここで完全停止することがもう決まっているの」

ジャイアン「・・・」

ドラミ「その未来を返ることは犯罪なの・・・」

のび太「そんな馬鹿な!!」

ドラミ「最近法律が厳しくなっちゃって・・・特に医療は・・・グス」

しずか「・・・」

ドラミ「大方、生命力の低いロボットを廃止したい者の力が動いているんだろうけど・・・」

ジャイアン「ひでぇ・・・」

ドラミ「でもしょうがないことなの・・・最近は廃棄ロボットも増えて・・・おにいちゃんはまだ幸せな方・・・」

のび太「ドラ・・・えもん」

ドラミ「よいしょ」

スネ夫「それは?」

ドラミ「テレパしい。頭の中で思ってることが伝わる実よ」

しずか「どうするの?」

ドラミ「おにいちゃんに・・・食べさせて・・・っと」

ジャイアン「脳死状態って・・・頭は動いてんのか?」

ドラミ「人間とはちょっと違うから・・・」

のび太「ドラえもん・・・聞こえるの?」






ドラえもん『・・・馬鹿だなぁ、のび太くん。こんな所まで来て・・・』

20 : のび太(18)「ドラえもん・・・」(74)

ドラえもん(74歳) かと思った……

ドラミ「おにいちゃん、アタシが連れて来たの」

しずか「ドラちゃん・・・」

ジャイアン「・・・」

ドラえもん『そっかぁ・・・ごめんね、みんな・・・心配かけて』

のび太「・・・起きて」

スネ夫「のび太?」

のび太「起きてよ、みんな心配してるじゃないか。早く起きてよ・・・!!」

ジャイアン「おい、のび太」

ドラえもん『ごめんねぇ・・・のび太くん』

のび太「どおして謝るんだよお!!」

ドラミ「落ち着いて、のび太さん」

のび太「これが落ち着いていられるか!!どうしてドラミちゃんは平気なの!!」

ドラミ「平気じゃ・・・ないわ」

しずか「・・・ドラミちゃん」

ドラミ「おにいちゃんが動かなくなってから、何度も泣いたし・・・セワシさんなんか部屋に篭っちゃうようになったし」

スネ夫「あぁ、のび太の子孫だっけ・・・」

ドラミ「そのうえ、お医者さんに、もって今日までだって言われて・・・アタシは本当は泣き叫びたいぐらいよ」

ドラミ「でも、しっかりしなきゃ、見届けなきゃ・・・って」

ジャイアン「・・・ドラえもん・・・昔色んな所で遊んだだろう」

ジャイアン「すげぇ楽しかったぜ・・・忘れられねぇよ」

ジャイアン「ドラえもんのこと・・・忘れらねぇよ・・・」

ドラえもん『そっかぁ、僕も忘れないよ・・・楽しかったねぇ』

スネ夫「危険な目にあったとき何度も助けてくれてありがとう・・・」

スネ夫「ドラえもんはどんな高いラジコンよりも僕を楽しませてくれたよ」

ドラえもん『どういたしまして・・・スネ夫は頭がよかったね、ぜひのび太くんに勉強を教えてやってほしいよ』

スネ夫「ははっ、しょうがないなぁ・・・」

のび太「・・・」

しずか「・・・ドラちゃん・・・私、思い出がいっぱいありすぎて・・・何から言ったらいいか・・・」

ドラえもん『しずかちゃん・・・綺麗になったねぇ、昔も可愛かったけれど』

しずか「そんなことないわ・・・ドラちゃん・・・今まであ、ありがとう・・・」

ドラえもん『こちらこそ・・・』

のび太「・・・」

のび太「・・・認められないよ」

ドラミ「のび太さん・・・」

ドラえもん『・・・あのね、のび太くん、君に教えておくことがあるよ』

ドラえもん『現実はいつもハッピーエンドにはならない、でもそれで卑屈になってはいけないよ』

のび太「・・・」

ドラえもん『常にハッピーエンドで終わらそうとする人生は・・・必ずどこかで歯車が狂いだす』

ドラえもん『だから、僕の事を、諦めて・・・』

のび太「やだよ!!ドラえもん!!死なないで!!!!」

セワシ「ドラミちゃん!!」

のび太「!!」

ドラミ「セワシさん・・・」

セワシ「あれっ・・・おじいちゃん達まで」

ジャイアン「のび太の・・・」

スネ夫「引きこもってたんじゃ・・・」

しずか「・・・」

ドラミ「セワシさん・・・来てくれたのね・・・最後に」

ドラえもん『・・・ありがとう』

セワシ「違うんだ・・・見送りに来たんじゃないんだ」

のび太「?」

セワシ「これを・・・」

のび太「それは・・・何?」

セワシ「ロボットの記憶を全てコピーする機会だよ」

ドラミ「・・・!!それをずっと作っていたのね」

セワシ「あぁ、これでドラえもんの記憶を完全停止する前に全部コピーする」

しずか「じゃ、じゃあ・・・!!」

セワシ「そして、他のロボットにその記憶を移し変えて・・・」

スネ夫「そ、そのロボットの記憶はどうなるのさ」

セワシ「デザイン性に欠けているために廃棄されたロボットがあるんだ」

セワシ「それをひとつ貰ってきておいた」

ジャイアン「・・・それで、未来を変えちまうことにはならないのか?」

セワシ「今、犯罪にあたるのはドラえもん自体の延命と完全停止の阻止・・・」

セワシ「今から作るのはドラえもんの記憶だけを持った、まったく形が違う別のロボットになるから」

セワシ「犯罪にはならない・・・というか法律が追いついていない部分って言うのかな」

のび太「・・・うっ」

ジャイアン「・・・ドラえもん、よかったなぁ」

スネ夫「また遊べるね・・・ドラえもん」

しずか「ドラちゃん・・・」

ドラミ「おにいちゃん、もう少し・・・頑張ってねグス」

ドラえもん『み・・・んな・・・』

セワシ「じゃ、コピーを始めるよ」

しずか「よかったぁ・・・よかった」

ジャイアン「記憶を移すロボットってどんな形してるんだ?」

セワシ「写真あるよ、はい」

スネ夫「似たようなもんだね・・・所々違うけど」

ドラミ「結構昔に廃棄されたやつね」

セワシ「似ているデザインを偶然見つけてね」




のび太(みんなもう安心ムードだな・・・)

のび太(まぁ僕もだけど・・・)

のび太「ねぇ、ドラえもん。復活したらドラ焼き買ってあげるよ」

のび太「僕の奢りさ」

ドラえもん『あり、がとう・・・』

ドラえもん『みんなと・・・また・・・遊べるんだね』

のび太「・・・もう皆高校生だからさ、走り回ったりはしないかもだけど」

のび太「皆でいっぱい話そうよ。聞いてもらいたいことが山ほどあるんだ」

ドラえもん『うん・・・』

のび太「僕・・・今まで嫌な事ばかりあったけど・・・これから変われそうだよ」

のび太「ドラえもんがいてくれるなら・・・」

ドラえもん『のび太くん・・・頑張ってね・・・・・・・・』

のび太「うん。頑張るよ!!ドラえもん!!」

ドラえもん『・・・・・・・・・』

のび太「・・・ドラえもん?」

ドラミ「・・・あっ、セワシさん・・・」

セワシ「・・・!!マズい!!」

ジャイアン「え?」

セワシ「コピーしきる前にドラえもんが完全停止しちゃう!!」

しずか「・・・それって」

スネ夫「どうなるの?」

セワシ「記憶が不完全なままに・・・僕達の事を覚えてない可能性が・・・」

ジャイアン「・・・ドラえもん!!しっかりしろ!!もうちょっとだから・・・」

しずか「ドラちゃん・・・!!」

スネ夫「そんなのってないよ!!」

ドラミ「おにいちゃん!!」


のび太「ドラえもん」

ドラえもん『・・・あり・・・がとう・・・』



のび太「・・・・・・ドラえもん・・・」



ドラえもんは記憶を全てコピーする前に完全停止してしまった。
僕達はコピーされた記憶を新しいロボットに移した。

忘れているのは僕達のことでないかもしれない。
もしかしたら大好物のドラ焼きのことや、大嫌いなネズミの事を、忘れてしまっているのかもしれない・・・

一緒に思い出していこう。そんなこと。
僕達と一緒に、思い出していこう。

そう思っている間にセワシは新しいロボットに記憶を移し終えたようだった。

のび太(・・・神様)

セワシ「ドラえもん、僕達が分かる・・・?」

ドラミ「・・・おにいちゃん」

ドラえもん「・・・?何言ってるのさ、分かるに決まってるだろ」

ドラミ「・・・覚えてるの?」

ドラえもん「ど、どうして泣くのさドラミ・・・」

しずか「・・・どういうこと?」

セワシ「入院している間の記憶がないんだ・・・」

ジャイアン「な、なんだよ!!心配させやがって!!」

ドラえもん「わっ、ジャイアン!?大きくなってるじゃないか」

ジャイアン「うるせー!!もう高3だ!!」

ドラえもん「あぁ、高校3年生のみんなかぁ・・・」

スネ夫「まぁまぁ・・・」

ドラえもん「スネ夫は背が伸びたねぇ」

ドラえもん「しずかちゃんも綺麗になって・・・」

しずか「ふふっ、同じこと言うのね」

ドラえもん「え?」

しずか「なんでもないわ・・・のび太さんも、ホラ。固まってないで・・・」

のび太「・・・うっドラえもん・・・」

しずか「ほら泣かないで」

のび太「・・・久しぶり、ドラえもん・・・」

ドラえもん「・・・・・・・・・・・・だれ?」

しずか「・・・」

スネ夫「・・・」

ジャイアン「嘘だろ・・・」


のび太「ドラえもん・・・」

ドラミ「な、なに言ってるのおにいちゃん」

セワシ「そ、そうだよ。笑えないよ」

のび太「・・・」

ドラえもん「・・・?」

しずか「こんなのって・・・」

スネ夫「・・・」

ジャイアン「おい、のび太・・・」

のび太「いいんだ・・・」

のび太「ドラえもんが生きているなら・・・いいんだ」

ドラえもん「・・・」


ドラえもんは僕の事を忘れていた。
セワシが「僕のおじいちゃんじゃないか」と言うと
ドラえもんは「そっかぁ、よろしく」と言った。

なんのために過去に来たのか忘れているのに
ジャイアンやスネ夫やしずかちゃんのことだけ覚えているなんて
僕には納得がいかなかった。

のび太「ドラえもんを、僕の家に連れていってもいいかい」

ドラミ「えっ」

のび太「なにか思い出すかもしれない。1日だけでいいんだ!!」

しずか「のび太さん・・・」

ドラミ「・・・分かったわ。お兄ちゃん、タイムマシンで行ける?」

ドラえもん「え?あぁ、いいけど・・・」

ジャイアン「じゃあ俺達も帰ろうか・・・」

スネ夫「そうだね・・・」

しずか「えぇ・・・」

ドラえもん「じゃ、みんな乗って」


タイムマシンで現代に戻っている間は
皆あまり喋らなかった。

僕に気をつかっているのかワイワイと話すこともなく、
僕達は自分らの時代に帰ってきた。

それぞれが家に帰る前、僕に携帯のアドレスを教えてくれた。
「いい知らせがあったら、メールしてくれ」と、言いながら。



のび太「なにかやりたいことはあるかい?」

ドラえもん「気をつかわなくてもいいよ」

のび太「・・・そうだ」

ドラえもん「?」

のび太「おやつを食べよう。持ってくるよ」

ドラえもん「ありがとうね」


のび太「はい」

ドラえもん「ドラ焼きじゃないか!!僕の大好物さ!!」

のび太「うん。知ってる」

ドラえもん「よく分かったねぇ」

のび太「・・・」

のび太「まぁ食べてよ」

ドラえもん「おいしいなぁ」

のび太「ねぇ、ココ。見覚えないかい?」

ドラえもん「え?・・・あぁ、ゴメン、あまり・・・」

のび太「・・・」

のび太(もう・・・無理なんだな・・・まぁ、これから思い出を作っていけば・・・)

ドラえもん「・・・それにしても、片付けが下手なんだねぇ」

のび太「えっ!!」

ドラえもん「一緒に掃除をしようか、今日は1日ここにいていいんだろう?」

のび太「・・・うん!!」

のび太(部屋、綺麗にしとけばよかったかな・・・?)

ドラえもん「漫画がいっぱいあるねぇ」

のび太「好きなんだ」

ドラえもん「だろうね、もう本棚に入らないよ」

のび太「あぁ、押入れにでも入れようかな・・・」

ドラえもん「分かった、入れとくね・・・」

ドラえもん「・・・」

のび太「どうしたの?」

ドラえもん「・・・この押入れ・・・見覚えがある」

のび太「・・・!!」

ドラえもん「なんでだろう・・・うーん」

のび太「・・・そ、それは」

ドラえもん「何か忘れているような気が・・・」

のび太「・・・ドラえもん」

ドラえもん「え?」

のび太「頼むから・・・思い出してよぉ」

ドラえもん「のび太くん・・・?」

ドラえもん「・・・ん?コレは何だ?」

のび太「あっ、それは・・・」

ドラえもん「・・・これ・・・は・・・」

のび太「そっ、それは・・・ぼくの・・・」

ドラえもん「・・・」

のび太「違うんだ、高校のテストは本当に難しくて・・・」

ドラえもん「・・・」

のび太「いつもはちゃんと5点ぐらい取れるんだ、本当だよ・・・」

ドラえもん「・・・」

のび太「その日はたまたま調子が・・・」

ドラえもん「のび太くん・・・」



のび太「ドラえもん・・・?泣いてるの?」







ドラえもん「・・・君は・・・いつまでたっても・・・馬鹿だなぁ・・・」

のび太「僕は・・・ハッピーエンドでも構わないって、思ってたよ・・・」

ドラえもん「え?」

のび太「狂った歯車なんて、自分の力で戻していけばいいから・・・」

ドラえもん「なんのこと?」

のび太「・・・ドラえもんんんんん」

ドラえもん「・・・ごめんねぇ、のび太くん・・・今まで思い出せなくて」

のび太「うわあああああん」


それから僕はジャイアンやスネ夫やしずかちゃんにメールで事を知らせた。
3人とも次の日の朝、すぐに僕の家にやってきた。

ドラえもんを見送るために。

ドラえもん「みんなゴメンね、いろいろ。話はのび太くんから・・・」

しずか「いいのよドラちゃん!!謝らなくても」

スネ夫「ここにずっと居ないの?」

ドラえもん「もうのび太くんに僕は必要ないからね・・・」

ジャイアン「・・・それじゃあ、のび太の馬鹿が治らねぇまんまだな!!」

のび太「えぇ、ひどいや」

スネ夫「あははははっ」

ドラえもん「でもまったく会えないわけじゃないよ」

しずか「・・・しばらくは会えないのね?」

ドラえもん「しばらくはね・・・」

のび太「セワシにお礼言っといてね・・・」

ドラえもん「分かったよ・・・」

ドラえもん「みんな・・・じゃあね」

のび太「・・・」


ジャイアン「またな!!ドラえもん!!」

ドラえもん「!」

しずか「・・・またね、ドラちゃん。今度会ったらいっぱいお話しましょう」

スネ夫「いろいろありがとう・・・またね」



のび太「来る機会があったらすぐ顔見せてよね」

ドラえもん「もちろんさぁ」






そうしてドラえもんは未来に帰っていった。




1年後

のび太「はぁ・・・大学に受かったはいいものの」

のび太「サークルに入ってないと何だか暇だなぁ・・・」

のび太「しずかちゃんは一流大学行くし、ジャイアンは歌手目指してるし・・・」

のび太「スネ夫はまたいい所行ってるんだろうなぁ・・・」

のび太「・・・」

のび太「暇だなぁ・・・」



ガタガタッ

のび太「!!」

のび太「・・・あぁ、やっとだ・・・」









ドラえもん「やぁ、のび太くん。久しぶり」


のび太「ドラえもん・・・」






おわれ

【ドラえもんに会うまでの1年間】



のび太「痛っ・・・」

男1「どうしたんだよ、最近やけにいきがってるじゃん!!」

男2「この前1組の源さんと一緒に歩いてたらしいじゃん?」

のび太「ぐっ・・・それは小学校の頃の友達だから・・・」

男1「なんだよ!!うっぜえなぁああ」

のび太(あっ、蹴られる・・・)

のび太(避けなきゃ!!)ヒョイ

男2「・・・」

男1「なっ」

のび太「あっ・・・」

男1「てめぇええええ!!ふざけんなよおお!!」


のび太「うっ・・・いった・・・」

男2「・・・あ、今日ドラマの再放送じゃん」

男1「あ、そうだな。あれドロドロしてておもしれーんだよな」

男2「行こうぜ」

男1「おう」



のび太「・・・」

のび太「・・・帰ろう」



のび太「あ・・・」

ジャイアン「・・・のび太じゃん」

のび太「・・・部活?」

ジャイアン「あぁ、引退しても後輩の面倒見ててな」

のび太(野球部っぽい)

ジャイアン「・・・お前は・・・まだいじめられてるのか」

のび太「……うん・・・ちょっと・・・弱みを」

ジャイアン「脅されてんのか?」

のび太「ちょっと・・・失敗してる所を写真に撮られててさ・・・」

ジャイアン「失敗?そんなの脅しにならな・・・」

のび太「・・・教室で女の子の筆箱を触ってた写真さ・・・」

ジャイアン(・・・え?・・・え・・・)

のび太「今日は帰るよ・・・じゃあね」

ジャイアン(そんな事で、毎日アザつくってんのかよ・・・)

ジャイアン「おい、のび太・・・」

のび太「え?」

ジャイアン「写真って写メのことだよな?」

のび太「あぁ・・・だろうね・・・バイバイ」

ジャイアン(よし・・・)






教師「・・・・・・で、この公式を使って・・・」

ジャイアン「先生、具合悪いんで保健室行きます」

教師「え?剛田が保健室!?」

生徒「先生ww驚きすぎwww」

ジャイアン「行ってきます」


ジャイアン(よし、この時間5組は外で体育だから・・・)

ジャイアン(今のうちにあの2人の携帯の中から写真を消そう!!)

ガラッ

ジャイアン「よし・・・男2の机・・・ 携帯・・・っと。」

ジャイアン「・・・本当に撮ってやがる・・・削除っと・・・」

ジャイアン「あとは・・・男1の机・・・ここだな」

ジャイアン「携帯・・・・・・・・・・・」

ジャイアン「なにっ!?」

ジャイアン「ロックがかかって・・・」

ガラッ

ジャイアン「!!」

ジャイアン「・・・」

男2「・・・ごっ、剛・・・」

ジャイアン「・・・おい、ひとつ聞きたいことがある」

男2「・・・っ」

ジャイアン「これの暗証番号を教えろ」

男2(体育サボろうと思って教室帰ったらこれかよ・・・受けときゃよかった)

男2「知るわけないだろ・・・自分の携帯じゃあるまいし・・・」

ジャイアン「そうか・・・だよな・・・」

男2「って、てか!!何やってんだよ!!人の携帯をよ!!」

ジャイアン「お前らこそ何やってるんだよ、いつまでもネチネチネチネチ」

男2(あっ、こいつ部活引退したんだ・・・ヤバ・・・)

男2(いや・・・?)


男2「・・・携帯、窃盗未遂だな、学校にバラしてもいいのか?」

ジャイアン「はぁ?それはこっちの台詞だ。イジメについては最近教師達厳しいしな」

男2「・・・」

ジャイアン「・・・分かった、のび太の写真消したら、先生にチクらねーよ」

男2「てめっ・・・」

ジャイアン「ちなみにお前のはもう消した」

男2「くそ・・・」

ジャイアン「お前も受験生じゃねーか、もうやめようぜこんなこと」

ジャイアン「・・・年取ってから・・・空しくなるだけだから・・・」

男2「・・・はぁ、分かったよ。男1に言って写真は消させる」

ジャイアン「よし、じゃあ俺はいじめの件はもう知らねー教室帰るわ」





男2「と、言うわけだからもう止めよう」

男1「は?」

男2「さすがに教師に言われたら困るし・・・進学する予定だってあるのに・・・」

男1「はい、そうですか って消すとでも思ってんのか?」

男1「お前の進学なんか知るかよ。俺は三流の会社に就職予定だからちょっとぐらい目つけられても平気だよ」

男2「世の中そんなに甘くな・・・」

男1「分かった分かった、じゃあもうお前とはつるまねーよ」

男2「そうか・・・悪いな。じゃあ帰るわ」

男1「帰れ帰れ」



ジャイアン「・・・」

男2「報告だ」

ジャイアン「部活終わるまで待ってたのかよ気色悪りぃ」

男2「・・・結果で言うと、画像は削除できてない」

ジャイアン「なに!?お前・・・」

男2「でも、俺はもうアイツとつるむのは止めたよ」

ジャイアン「は?」

男2「でも、どうせアイツだけだったら、すぐ教師にイジメが見つかると思う」

ジャイアン「・・・」

男「だから後1週間ぐらい放っておいてくれ、その内解決するよ」

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom