【安価で】殺人者たちが推理島の探偵館に集まるようです【能力バトル】 (147)



 あなたはごく普通の猟奇的な殺人者ですが、その犯罪的事実を隠しながら平穏な日常生活を送っていました。

 しかし、ある日とつぜん一通のメールが届くことで仮初の平穏は打ち砕かれます。




   【 拝啓 殺人者さま ワタシはあなたの罪を知る者です 】




 差出人の名は――あなたが最初に殺した人物の名でした。
 
 添付ファイルには――あなたが最初に殺した人物の顔写真画像が入っていました。

 死者がメールを送ってきたのでしょうか? ――いいえ、そんなはずはありません。

 何者かが――あなたの知られざる過去を知る何者かが、何らかの理由であなたに接触を図っているのに違いありません。

 あなたは差出人の正体を確かめるため、あるいは平穏な生活を守るため、メールの末尾に記されていた住所を訪ねることにしました。

 その場所は海の上にポツリと浮かぶ小さな孤島――『推理島』

 はたしてあなたは差出人の正体を突き止めることが出来るのでしょうか?

 そして無事、生還できるのでしょうか――?




・安価で主人公の名前候補↓3まで
(コンマ下二桁の大きさが真ん中のものを採用。コンマ下二桁÷2が年齢。偶数で女性、奇数で男性、ゾロ目で性別不詳)



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1436955086



いきなりなんというコンマ……

主人公は

【黒咲達也 33歳 性別不詳】

となりました。

それでは次に黒咲さんの外見的特徴を3つまで↓を混合して決めます(ちなみに00は100として扱います)


 黒咲さんの身長は160ぐらい。

 流れるような美しい黒の長髪で――黒いトレンチコートとサングラスを装着した、明らかに不審者な服装です。

 性別不詳なので傍目には女性にも男性にも見えますが、真実は……?


 次は殺人者にとって大切なモノ――獲物(エモノ)の決定を行います。

 獲物(エモノ)とは、愛用の武器のことです。

 黒咲さんは、この武器を使って人を殺します。

 下3までコンマもっとも高いもの↓


 振れば魔法が使えそうな歪に捻じ曲がった杖で、物理的に殴り殺すのが彼(彼女?)の殺人スタイルのようです。

 それじゃ次は内面的な特徴を下3つまで混合↓


臆病で人間不信、サイコパス……おそらく友人知人の類は少ないのでしょう。33歳でこれはつらい……

さて、次もけっこう重要な要素の決定です。

黒咲さんの特殊能力を決定します。他の殺人者と渡り合うための能力です。これはもう最強の能力を与えてやってください

↓下3までコンマが真ん中のものに決定。


 
 黒咲達也は超一級の催眠術師です。

 最近テレビなどではメンタリストという呼称でも広まっているようですが、彼は更にその上を行く超メンタリストと呼ぶにふさわしい技術を身に着けているのです。

 歪な形をした奇妙な杖を独特のリズムで振ることで、その杖の動きを目の当たりにした者を強力な瞬間催眠に陥れ【認識を改竄する】ことができます。ただし改竄できる認識は同時にひとつだけ。改竄する対象ひとりにつきひとつだけ。(例:『赤色を青色と認識しろ』と改竄催眠をかければ、黒咲が解除するまで半永続的にそのまま。他の改竄をかけると前の改竄は消滅する)

 ……対人戦ではかなりの強さを誇る能力です。

 さて、それでは主人公の設定安価、最後のひとつです。

 黒咲達也が人生で最初に殺した人物の名前は――? ↓下3 コンマの値が真ん中のもの。>>1のルールに準拠して年齢性別決定


性別不詳ってなんだ(哲学)

黒咲が最初に殺した人物は【佐野ちえり 20歳 男性】です。【男性】です……

名前が女性っぽいけど男性です。

あ、すいません。これで本当に最後です。ちえりちゃんの外見的特徴↓下2を合成。


 佐野さんマジモデル系イケメンっす。送られて来たメールの画像には爽やかな笑顔の好青年が写っていることでしょう。

 さて、それじゃあ安価は小休止。本編に入ります。

 黒咲さんは果たしてこの先生きのこれるのか――


 
 ――黒咲達也は『黒』を好む。

 いついかなる時も出かける時は黒のトレンチコートに黒のサングラスを装備している。それが真夏の炎天下でも、真冬の雪原でも。

 だから波止場でフェリーを待っている黒咲の格好はもちろん、黒ずくめだ。

 季節は夏。季節外れの格好は周囲から好奇の視線を集めている。だが、黒咲はその視線を、自分に対する敵愾心によるものだと思いこんでいる。


黒咲「どうしてこうも群衆というものは私を睨みつけるんだ。やはり人間なんて信用ならない。くそっ、今にも襲い掛かってくるんじゃないか?」


 先手必勝でこのフェリー乗り場にいる人間を皆殺しにしてしまおうか――そんな思考が脳裏をよぎったが、騒ぎで出航中止になってしまうかもしれない。

 そんなことになれば『推理島』へ渡航できなくなってしまう。目的の島へ渡るには3日に1本しか出ていないこのフェリーを利用するしかないのだから。



 黒咲は空を仰いだ。どこまでも青い空が海の上に広がっている。


黒咲「佐野。本当にお前なのか? いいや。お前は確かにあの時、私が殺した」


 黒咲はトレンチコートの内側に隠し持っている杖にちらりと視線を落とし、目を閉じた。


黒咲「佐野。私はこれからお前の名を騙る不届き者の正体を確かめに行く。どうかあの世で見守っていてくれ」


 フェリーが出航を知らせる汽笛の音を桟橋に響かせる。黒咲は急ぎ足でタラップを駆け上がり、フェリーへと乗り込んだ。



??「あのー、すみませんが……」


 座席を探してフェリーの内部をうろついていた黒咲に、背後から声をかける者の姿があった。

 そいつは――


・第1の殺人者と遭遇しました。安価で名前を決定します↓3(>>1ルールに準拠。また下3つのコンマ合計が150を超えていれば即戦闘)



第1の殺人者【カルマ 18歳 男性】

殺意:現状無し


―――
――――

カルマ「あんたも人殺しでしょ? 実は俺もなんだ。なあ、ちょっとお話ししようぜ。どうせ船に乗ってる間は退屈なんだしさー」

 初対面でよく喋るヤツだ。こちらはまだ一言もしゃべっていないというのに――黒咲の人間不信が加速した!

黒咲「……私に話しかけないでくれ。あっちに行っていろ」

 黒咲のつっけんどんな対応にもめげず、少年は軽い調子で話し続けた。

カルマ「俺の名前はカルマ。気軽にカルマって呼んでくれよ。俺はあんたのこと何って呼べばいい?」

黒咲「……」

 こういう人種……こっちが話しかけるなオーラを発しているにも関わらず話しかけ続けてくる人種――黒咲はこういう人間がいちばん苦手だった。

 こういう輩に関わった時、黒咲は彼の能力【改竄催眠】を使って切り抜ける。

 【黒咲達也を道端の石ころと認識する】と、認識改竄を行えば、もう二度と相手に認識されることはなくなる。

 黒咲は杖をコートの懐から取り出した。

カルマ「何だそれ? 変な……杖? それで何するんだ」

黒咲「この杖をよく見ていろ」

 黒咲は杖を独特のリズムで振り始めた。普通の人間ならこれでサヨナラだ。だが――




↓ここでカルマくんの能力発動! 改竄を回避できるような能力を下3まででコンマ最大のものに決定。


そんな偶然もあるのね

カルマくんの能力は【自分に向けられた能力を反射する】というものです。

ただし同一種の能力を反射できるのは3回まで。

4回目からは無力なので回数制限がバレたらマズい。隠そう。

他人に能力を語る時は【完全反射能力】と嘘ぶいている。



――
――――


――パキン

 乾いた何かの割れるような音がしたかと思うと、黒咲は愕然とした。

 いきなりさっきまで目の前にいた少年――カルマと名乗る口うるさい少年が、消えたのだ。

黒咲「……バカな!?」

 改竄催眠の発動を完了させた瞬間、何か変な音が聞こえたような気がしたが――まさかこれは――

黒咲「ヤツも能力者か……!」

 いったいどんな能力者だ? 黒咲からは予想もつかない。透明人間になる能力か――? そもそも改竄催眠は利いたのか?

 突然の事態に挙動不審な動きで辺りを見回す黒咲――

 彼には気づくことができない。改竄催眠を反射され【カルマを道端の石ころと認識する】という暗示をかけられた黒咲は、目の前で微笑んでいる少年の存在を認識することが出来ないのだ。

黒咲「くそっ、いったいどこに消えた!? どこにいる!!」

 あまりの黒咲の挙動不審っぷりに周囲の乗客は目を伏せ、視線を逸らし、離れていった。

カルマ「(……この人、大丈夫か?)」

 怪しい動きをする黒咲の目の前には、彼を心配そうに見つめるカルマ少年の姿があった――




 こうして黒咲は話しかけてくる煩い少年を追い払うという目的を、予想とは違う形で達成した。

 ただし、その代償は少しばかり大きかったようだ。

黒咲「くそっ、どこだ!? どこにいる! 姿を現せ!」

 姿の見えない敵に対して戦々恐々とした黒咲がフェリーの内部を駆け回り、杖を振り回していた。

 船員に制止されるも、止まる気配はなく、一連の騒動はフェリーが推理島に着くまで続いた。

 騒動の原因となった少年――カルマは、そんな黒咲の様子をなぜか微笑ましい笑顔で眺めていた。

カルマ「暇つぶしにはなるかなって思って来たけど、これはなかなか……この人についていけば退屈しなくて済みそうだ♪」

 

 ――――カルマが仲間に加わりました(黒咲は気づいていません)。







 黒咲さんェ……

 といった所で本日はいったん終了です。ちょっと能力の設定とか考えてきます。

 明日も同じぐらいの時間にまた出来ると思います。お時間あればお付き合いください。

 

 それでは最後に、第2の刺客……もとい第2の殺人者の名前募集安価を置いていきますね↓から有効なもの3つ(>>1ルールで)

そろっと再開。




~全開までのあらずじ~

殺人者で催眠術師の黒咲さん(性別不詳)は催眠術を反射されて挙動不審が加速した!




―――
――――

 フェリーが推理島に停泊し、タラップからぞくぞくと乗客たちが降りてくる。

 彼ら普通の乗客たちの目的は島の中央に位置する建物――『探偵館』を見物することだ。

 ここ推理島は一種の観光地なのである。

 何でもその昔、この島の探偵館で大規模な殺人事件『探偵連続虐殺事件』が起き、今だにその犯人は捕まっていないのだという。

 かつて名のある名探偵たちがこぞって島の謎を解き明かそうと推理に推理を巡らせたが、誰ひとりとして犯人――『連続虐殺犯』の正体を突き止められずにいる。

 そんな経緯でこの場所はミステリー小説愛好家たちの聖地となっており、辺鄙な場所にもかかわらずそれなりに多くの観光客が訪れる。


 
カルマ「――ってパンフには書いてあるよ。黒咲さん」

 カルマは黒咲の肩を軽く叩く。

黒咲「うわっ!? ま、まただ……また姿なき敵からの攻撃が……いったい何だっていうんだ!? 私が何をしたっていうんだ!?」

カルマ「いや、だから黒咲さん、それはもういいってば…………いや、これってもしかして」

 カルマ少年はとある可能性に行き当たった。目の前の面白い動きをする人はもしかして、カルマ自身の有する反射能力のせいでこうなっているのではないだろうかと。

カルマ「すると……やっぱ黒咲さんも『殺人者』で『能力者』か。まあ、そうなんじゃないかって思ってたけど……」

 そうすると黒咲は初対面のカルマに、能力を使用したことになる。もしカルマの能力が反射でなければ――

黒咲「くっ……どうしても姿を現さないというのなら……殺せ! ひと思いに殺せーぇっ!!」

カルマ「俺がああなってたってことか……黒咲さん、恐ろしい人だぜ」




カルマ「ほら黒咲さん、はやく船降りようよ」

黒咲「また姿なき者からの攻撃が……や、やめろ! 私を海に突き落とそうというのか!?」

カルマ「早く降りないと船員さん、すごく迷惑そうだって」

 黒咲はカルマに押されながら危ない足取りでタラップを進み、推理島へと降り立った。

 そこには――

冥「お待ちしておりました、姉兄さま」

 メイド服姿の人物が、黒咲とカルマを出迎えた。



☆黒咲冥ちゃんの能力は?下3↓の内、最も高いものに決定(ついでに3つのコンマ合計が150以上で殺意アリ)



黒咲「メイ!? どうしてお前がここにいるんだ!?」

冥「姉兄さまが出かけたと小耳に挟んだので、先回りしてみました」

黒咲「くっ、誰にも言ってないのにどうやって……」

カルマ「へー、あんた黒咲さんの知り合い……つーか兄弟? 姉妹?」

冥「姉兄さま、こちらの方は?」

黒咲「……こちらの方? 何だ? 私の後ろに誰かいるのか?」

冥「姉兄さま、何を言って……」

カルマ「あのさー、メイちゃん。その姉兄さまって、何?」

冥「姉兄さまは姉兄さまです。姉であり兄である方ですので」

カルマ「……そういや黒咲さんって男? 女?」

冥「性別不詳です」

カルマ「性別……?」

冥「不詳です」

カルマ「……そうなんだ」

冥「そうなんです」

 そういうことになった。



黒咲「おいメイ! さっきから誰と話しているんだ……ま、まさか背後霊じゃないだろうな!」

冥「姉兄さま、さっきから何を言ってらっしゃるのです? いつもに増して言動がおかしいような……まさか!」

カルマ「いやー、それがさぁ、ちょっと不幸な事故があって……」

冥「おいガキ。お前、姉兄さまに『何か』したな? 能力者だな――――それも『能力を反射できる能力』か」

カルマ「なっ!? 何だ、いきなり雰囲気が――それに俺の能力を――」

冥「ただし『反射』できるのは同一種能力に対し3回まで。すでに姉兄さまの改竄催眠は一度、反射しているようだな。――すると、姉兄さまがおかしくなってしまったのは――やはりお前のせいか」

カルマ「い、いや、だから事故だって――くそっ、殺る気かよ!」

冥「――ただちに殺す」




☆カルマと黒咲冥の殺しの武器、獲物(エモノ)を決定します。かっこいい武器を記入してください。
カルマ↓1、2のコンマ高い方
黒咲冥↓3、4のコンマ高い方



冥「はあっ」

 ロングスカートのメイド服を棚引かせながら、一直線にタラップを駆けて行く黒咲冥。その両手にはそれぞれ一丁ずつナイフが握られている。

カルマ「くそっ、お前も能力者かよ!」

黒咲「え、え? 何、何!? うわっ!?」

 カルマは向かってくる黒いメイドに向かって、黒咲を蹴飛ばした。
 
 さっきの会話を聞く限りではこのメイという女?(男?)は黒咲を慕っている様子だった。

 ならば黒咲を押し付けてやれば自然と動きは止まるだろう。そこを仕留め――

冥「甘い!」

 黒咲冥は蹴飛ばされた黒咲達也を、横に蹴飛ばした。

黒咲「うわあああっ!?」

 タラップから横に蹴飛ばされた黒咲は、海へ落ちた。

カルマ「『さま』つけて呼んでたのに!?」

冥「とりあえずお前を殺す!」

 メイは両手に握っていたナイフを、奔る勢いそのままにカルマに向かって投げつけた。




 カルマの眼前に二丁のナイフが迫る――、が、止まった。

 カルマはナイフの刃先を人差し指と中指で挟み込むようにして、受け止めていた。右手で一本、左手で一本。

 曲がりなりにも殺人者であるカルマにとって、ただの投げナイフなど止まっている棒を掴むより容易いことだった。

カルマ「うおっと、危ない危ない。いきなりナイフ投げてくるなんてさぁ。でもこんなもの何本投げたって――――!?」

冥「殺す殺す殺す殺す殺ぉぉぉぉぉおおおおおおおおスッ!!!!!!」

 カルマの目の前に、投げナイフが迫っていた――それも一丁や二丁ではない――無数のナイフが。

 常軌を逸した黒咲冥のナイフを投げる挙動――まるで壊れた機械のようにブルンブルンと両腕を振り回し続け、その手からは連続して投げナイフが放たれ続けている。

 その数は10や100ではない――【千本投げナイフ<サウザンドナイフ>】――その呼び名にふさわしい数のナイフが豪雨のようにカルマ目がけて飛んでいく。

カルマ「どこからそんなにナイフ出してんだよ!? エネルギー弾かっつーの……チクショウッ!!」

 回避不可能と判断したカルマは――防御態勢をとって後ろに跳んだ。



☆カルマくんの生死判定↓下1のコンマ
95以上で死亡。50以上で不利判定。10以下で無傷。ゾロ目でカウンター成功!



 いつ止むとも知れないナイフの雨が上がった――そこには――

カルマ「いちちち……ちょっと切れちゃった」

 カルマ少年が、ナイフまみれになったタラップに佇んでいた。傷らしい傷も見当たらない。

冥「……無傷で避けた? 私の千本投げナイフを? いいや、フェリーから桟橋に伸びる細いタラップの上。回避運動は出来ないはず」

カルマ「無傷じゃないよ。ほら見て。ここと、ここ。ちょっと切れちゃったよ。ねえ、絆創膏持ってない?」

 能力を使って反射したのか? ――いいや、ヤツの反射は能力だけを反射する。メイの『能力を知る能力』によってそれは分かっている。

 ならば、ヤツはいったいどうやってナイフを防いだ? 並みの人間なら人の形を残さずミンチ状に細切れに出来るほどの威力を持つサウザンドナイフを――

 何か武器を隠し持っているのか? 見たところ、この少年は丸腰のように見えるが――

カルマ「今度は俺の番だね」

冥「……来い」

 メイは迎撃用に2丁のナイフを取り出して防御の構えをとる。

カルマ「初撃で死ぬなよ! つまんないからさ!」

 タラップの上から飛び降りるようにして、カルマはメイに飛び掛かった。右手を振りかぶり、拳を握っている。

冥「素手? 殴るつもりか? いや、何か隠し持って――」




☆メイちゃんの生死判定↓下1のコンマ
95以上で死亡。50以上で不利判定。10以下で無傷。ゾロ目でカウンター成功!



 カルマは拳を振り下ろした。

 しかしナイフと素手ではリーチが違う。当然のようにナイフがカルマの右拳を迎撃しようとするが――

 いきなり拳が開かれて、カルマの手がメイの手首を掴んだ。

冥「……何のつもりだ? 組手なら体格に勝る私の方に分があるぞ」

 ナイフと、それに関係する戦闘技術を身に着けているメイから見れば、この少年――カルマの体格も身のこなしも素人そのものだ。

 ただ、何か隠しているのかと思って警戒していたのだが、どうやら勢い任せに組み付いて、力任せに押し倒そうとでも考えていたのだろう。

 おそらくは能力を得たことで気が大きくなっただけの素人――このまま組み伏せて頸動脈を切捨てれば、それでお終いだ。

 そう安易に考えていたメイは、カルマの瞳を見て――本能的に生命の危機を感じた。


 ――このままだと、私は、――死ぬ。


冥「……マズい」

カルマ「気づいた? でも遅いよ」

 カチッ――何か機械のスイッチが入ったような音がしたかと思うと――カルマの右手の平から――金属の槍が飛び出した。

 腕の中に仕込まれていた鋭い槍が、機械仕掛けで飛び出したのだ。

 槍はメイの手首の肉を貫いて――血しぶきが港の桟橋を赤く汚した。

冥「ぐうぅ!?」

 メイはナイフを取り落とし、大きく後ろに引いた。

カルマ「へえ。とっさに手首を切り返して串刺しは逃れたみたいだね。傷も――浅いみたいだ」

冥「……やってくれるな。腕の中に槍を仕込むなんて、正気の沙汰じゃない」

カルマ「正気じゃない? 殺人者なんだから正気じゃないのは当たり前だよね?」



 互いに次の手を探り合い、間合いを読み合い、仕掛けるタイミングをうかがっている。

 左手首に傷を負っているメイは、やや息が上がっている。

 対するカルマは頬に受けたかすり傷程度で、ダメージや疲弊は見受けられない。

冥「私のナイフはその槍で捌いたのか。なかなかどうして――それなりの使い手だ」

カルマ「もっとみくびってくれてもよかったんだよ? そしたら頭を串刺しにしてあげられたんだけどね」

 互いに互いの技量が知れた――ならば次の一撃が勝敗を分かつ。

 心臓に突き立てられるのはナイフか、槍か――

 二匹の殺人者の間には張り詰めた静寂が――――




黒咲「た、助けてくれ! 私は泳げな……ブクブク……」

 静寂は悲壮な救助要請によって終わりを告げた。




冥「あ。姉兄さま!? そういえば海に落としたまま忘れておりました」

カルマ「黒咲さん!? なんで沈んでくんだ? 上がってくればいいのに」

冥「姉兄さまは超ド級のカナヅチです。お風呂でも溺れる危険性があるためシャワーしか浴びないくらいです」

カルマ「はぁ……はやく助けにいってやれよ。攻撃しないからさ」

冥「それはできません」

カルマ「はあ!? 何でだよ? 家族なんだろ? どうして――」

冥「……なんです」

カルマ「え? なんだって?」

冥「……私も、カナヅチなんです」

 メイは頬を赤らめている。どうやら恥ずかしがっているようだ。

カルマ「お前ら……ったくいい大人が何やってんだよ。仕方ないなー。俺が助けてくるから……ナイフ投げないでよ?」

 メイは視線を逸らし、無言で頷いた。


 この後、海に飛び込んだカルマが黒咲を引き上げ、たらふく海水を飲んだ黒咲にメイが人工呼吸を施した。

 黒咲は奇跡的に一命をとりとめ、メイとカルマは一時休戦の取決めを交わした。




といった所で本日はここまで。ここまでは序盤&チュートリアルな感じです。

次回からいよいよ本編――探偵館へご招待です。

本編では死亡率がぐっと高くなる(当社比)の予定になっております。ご注意ください。


あ、すみません。次回登場する第三の殺人者の名前を募集しておきます。

下↓3まででコンマの値が真ん中の名前を採用します。(>>1方式で有効な安価のみ。ただし3つのコンマの合計が130以上なら殺意アリ)

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