エーリカ「あ、踏んだ」バルクホルン「お、おおお?!」 (63)

エーリカ、バルクホルン
百合
エロ


エーリカらの部屋


エーリカ「あ、踏んだ」

バルクホルン「は?」

パキッ

エーリカ「こないだの勲章しまうの忘れてた」

バルクホルン「お、おおお?!」

エーリカ「あはは!」

バルクホルン「笑い事ではない! あ、いや、それより私はなんてことを!!??」

今にも首をつって死にそうな顔でバルクホルンは頭を抱えた。

エーリカ「うわあ、これ見事に……やっちゃったね」

文字通り粉々になった勲章の破片をエーリカがつまみあげる。

エーリカ「どうするこれー? ミーナとかにバレたらお尻叩かれるよ、絶対」

少女が冗談交じりにそう問いかける。
見ると、耳に入っていないようで、
未だに蹲っている。

バルクホルン「か、かくなる上は……腹を掻っ切って」

エーリカ「ちょちょ?! なに寝ざめ悪そうなこと言ってるのさ?!」

バルクホルンが立ち上がったのをエーリカが抑えた。

エーリカ「別にいいじゃん、これくらい。また、どうせもらうし」

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バルクホルン「そういう問題じゃない! い、いや、まずは謝罪させてくれ……本当に申し訳ない」

エーリカ「別にいいって言ってるじゃん」

そもそも自分が片づけていなかったのが悪いのだが、
彼女はそんな事をおくびにも出さず頭を垂れた。

バルクホルン「いいや、物事にはけじめと言うものがあるッ」

エーリカ「トゥルーデらしいっちゃ、らしいけど……ふーん、謝られるのも面倒くさいし、ひきずられるのもかったるいし……」

エーリカ(どーしよっかなあ……ん?)

ふと、エーリカはベッド脇のゴミ山に埋まっている雑誌を取り上げた。

エーリカ「……あー、じゃあ、これしてくれたらさっきのチャラにするから」

この間格納庫に落ちていたハウツー本。
どんなものかと思い勝手に拾って読んでみたが、
いまいち何をするのかよく分からなかった。

バルクホルン「わかった! なんでもしよう! お前のためなら……ッ」

と、言って彼女は渡された本を握りしめる。

エーリカ「え」

まさか受け入れられるとは思っていなかった。

エーリカ「ほ、本当にいいの? 待ってよく考えて落ち着いて」

バルクホルン「いーや! 女に二言はない!」

エーリカ「いやいや! いいよ?! 別に断っていいよ?!」

バルクホルン「軍人に過去を振り返る余裕などない!」

エーリカ「だって、それ、ホントにいいの?」

バルクホルン「やらせてくれ! ハルトマン! 私はここで責任を果たさなければ、今後お前の横に並び立てん!」

エーリカはその剣幕に押され頷いた。

バルクホルン「感謝する、ハルトマン!」

エーリカ「まさか、トゥルーデがここまで頑固だったなんて……これから冗談言う時は気を付けないと」

バルクホルン「で、何をすればいい」

エーリカ「ぶッ……まさか、見ずに言ってたの?」

バルクホルンは雑誌に目を落とす。

バルクホルン「エロエロマッサージの手引き……?」

エーリカ「……ま、あそこまで言った手前だよね」

バルクホルンの体が震えていた。

エーリカ「じゃあ、1時間くらい頼んだよー」

エーリカもその雑誌を全て読んだわけではなかった。
そのため、これから行われれ行為を軽視していたのだった。

バルクホルン「ま、まずは肩を揉めばいいんだな」

エーリカ「……馬鹿力出さないでよね」

バルクホルン「わかっている!」

バルクホルンは雑誌のイラストに書かれている、
『優しく、触れるか触れないかで撫でる』に、
首を捻りながら寝そべっているエーリカの横で膝を立てる。

バルクホルン「こ、こうか……」

サワサワ

エーリカ「……」

サワサワ

バルクホルン「触れるか触れないか……」

エーリカ「……ッ」ビク

バルクホルン「撫でる……」

スリスリ

エーリカ「ちょっとー、くすぐったいんだけど」

バルクホルン「仕方がないだろ。この指南書にそう書いてあるのだから」

指南書というより、ほとんど風俗的な本なのだが、
エーリカはそれを飲み込んでくすぐったさに耐える。

バルクホルン「ええっと……そのまま揉む」

モミモミ。

エーリカ「うひゃあ、良い力加減じゃん」

バルクホルン「ん? なんだ、華奢な体のわりに固いんだな……」

グリグリ。

エーリカ「うーん、そこそこ」

バルクホルン「若いのにだらしない奴だ」

エーリカ「そんなに変わんないじゃんか」

エーリカはバルクホルンの手のひらの温もりに、瞼をとろんと落とした。
合法的に寝れるのではないか、とまどろむ。

バルクホルン「次は、顎を……さする?」

サスサス。

エーリカ「……ッん」

バルクホルン「イヌの首をかくように……」

エーリカ「ゥ……」

バルクホルン「気持ちいいか?」

エーリカ「や、よくわかんない……」ビク

バルクホルン「大丈夫か?」

サスサス。

エーリカ「だいじょーぶ……」ビク

バルクホルン「次は……だ、抱きしめるだとお……」

頭上から戦慄く声。

エーリカ「はやくーはやくー」

何やら面白くなってきたエーリカが足をばたつかせる。

バルクホルン「く……」

うつ伏せになっていたエーリカの上にまたがって、
そのままバルクホルンが背中から手を回し、

エーリカ「ぐえッ……!?」

バルクホルン「ど、どうだ」

エーリカ「しまってる! しまってる!」

バルクホルン「す、すまん」

エーリカ「背骨折れるかと思った……」

少女はあぐらをかいて、しょげる目の前の上官に抱き着いた。

エーリカ「抱きしめるってこうやるもんでしょ……まったく、トゥルーデは」

バルクホルン「こうか」

ギュ。

エーリカ「そうそう」

バルクホルン「改めてすると、よくわからんものだな」

エーリカ「それ、トゥルーデだけだね」

エーリカはバルクホルンの胸に顎を乗せる。
温かくて落ち着く匂い。

コンコン。
ガチャ。

芳佳「失礼します……あ」

バルクホルン「……あ」

エーリカ「……あー、おはよう」

芳佳「失礼しました」

ガチャ。
バタン。
なんの用件も言わず彼女は出て行った。

バルクホルン「ど、どどどど……」

エーリカ「落ち着きなよ。落ち着いてもうちょっと強く抱きしめてみなって」

ぎゅう。

バルクホルン「み、見られてしまった」

エーリカ「ん……見せてへるもんじゃないじゃん」

少し強くなった抱擁に、エーリカは表情を変えず内心で微笑む。

バルクホルン「よりによって……宮藤に」

エーリカ「む……」

エーリカは両足をバルクホルンの背中に回し、
コアラの子どものようにしがみついた。

バルクホルン「なんだ」

エーリカ「続き、早く」

バルクホルン「ああ、はいはい」

やや意気消沈したバルクホルンだったが、
再び雑誌をのぞき込む。

バルクホルン「抱き着いて、背中をさする……」

手が背中にそろりと這う。

エーリカ「ふあ……」

ぞくりとして、エーリカは思わず吐息を漏らした。
羞恥で頬が赤くなる。

バルクホルン「上下にゆっくりと……」

バルクホルン「指の腹で撫でる」

エーリカ「……ッ」ビク

バルクホルン「首の付け根からお尻の先まで……大きく」

エーリカは腕をバルクホルンの首に巻き付けた。

バルクホルン「こうしてると、なんだか妹を思い出す……」

エーリカ「へえ……ッん」

バルクホルン「もちろん……こんなことはしないが……」

バルクホルンの手が、エーリカの頭に置かれる。
包み込むように撫でられ、気持ちよさにエーリカは唸る。

バルクホルン「なんだ、変な声を出して」

エーリカ「別にー……」

普段は頼んでもやらなさそうだが、
いや、懇願すると面倒見のいいバルクホルンであればあるいは。

バルクホルン「お前の髪は柔らかくて触り心地が良いな」

エーリカ「そ……へへ」

今日はここまで

バルクホルン「撫でられるのは好きか?」

エーリカ「まあ、誰でもってわけじゃないよ」

バルクホルン「へえ、誰ならいいんだ?」

エーリカ「ああ、もう」

エーリカは溜息を吐く。

バルクホルン「なんだ」

エーリカ「……教えなーい」

バルクホルン「ケチな奴だな」

エーリカ「……じゃあ、サーニャとか」

バルクホルン「ほお、意外だ。撫でてもらったことが?」

エーリカ「あるよー? いっぱいあるよ? そりゃもうトゥルーデとは比べ物にならないくらい」

バルクホルン「別に競うものでもないだろ」

エーリカ「そうですねー」

バルクホルン「何か怒っているのか?」

エーリカ「いーや、呆れてるの」

バルクホルン「?」

エーリカ「ほら、手が止まってるよ」

バルクホルンはエーリカの頭を撫でながら、

バルクホルン「お次は、太ももを後ろから撫でる」

エーリカ「……うへえ」

バルクホルン「なんだその目は」

エーリカ「トゥルーデは変態だなあと」

バルクホルン「おい……お前の目には私が喜々としてやっているように見えるのか。とんだ節穴だな」

エーリカ「え、違うの?」

バルクホルン「バ、バカか!? さっきからこちらがどれだけ我慢してやっていると……い、いや、やると決めたのは私だ! 後からグチグチ言うわけにはいかないんだ……」

バルクホルンはエーリカの背中側に回る。
エーリカは後ろから太ももを撫でられた。

エーリカ「これはあんまり気持ちよくない」

バルクホルン「その後、太ももの裏側をお尻から撫で上げる。

スススッ

エーリカ「あ、いいね……効く効く」

エーリカがふにゃりとバルクホルンの体に身を預けた。

バルクホルン「むくみが解消される……時折まともな注釈が載せられてあるな」

エーリカ「手つきがえろーい」

バルクホルン「なにいッ……」

エーリカはバルクホルンの骨ばった手を握りしめる。

エーリカ「いい椅子だね」

バルクホルン「安くないぞ」

エーリカ「いくら?」

バルクホルン「いくらまでなら払うんだ?」

エーリカ「体で払うよ」

バルクホルン「ごほッごほッ……一体どこでそんなこと覚えてくるんだ……全く、子どものうちからそんなことを覚えて」

エーリカ「もう、子どもじゃないけどね」

バルクホルン「子どもじゃなかったら何だと言うんだ」

エーリカ「セクシーギャル」

バルクホルン「何を言ってるんだ。全く、お前はだから子どもなんだよ」

エーリカ「……じゃあ、大人にしてよ」

バルクホルン「うんん!?」

エーリカ「トゥルーデが私を大人にしてって言ってるの」

バルクホルンの手がじわっと汗ばむのがエーリカには分かった。

バルクホルン「するか!」

エーリカ「じゃあ、他の人に……マルセイユとかに頼もうかなあ。ああ、いいかもしんないね。喜んでしてくれそうだしさ」

バルクホルン「本気か……フラウ」

バルクホルンがエーリカの肩に顎を置く。
後ろから包むように抱きしめてくる。

エーリカ(……これを地でやるからトゥルーデは怖いよね)

エーリカ「別に関係ないじゃん」

バルクホルン「ある。私はお前の上官だ」

エーリカ「上官ねえ……」

ここまでねます

バルクホルン「で、お前本当にあの暴れ鳥の所に」

エーリカ「トゥルーデが行くなって言ったら行かないかもよ?」

バルクホルン「じゃあ、行くな」

間髪入れず、彼女は言った。

エーリカ「……うん」

エーリカは頬笑む。
バルクホルンに見られないように。
しかし、内心驚いていた。
何の迷いもなくそう答える彼女に。

バルクホルン「勝手に離れるな。傍にいてくれフラウ」

エーリカ「おっとこまえだねー……」

バルクホルン「身勝手な部下を持つと苦労するよ……お前もそのうち分かるようになるさ」

エーリカ「そうやって、付き合ってくれる所けっこう好きだよ」

バルクホルン「じゃないと、お前は拗ねるだろ」

エーリカ「えー、拗ねたりなんてしないって」

バルクホルン「じゃあ、これからお前のお遊びに付き合わなくていいな?」

エーリカ「お遊びって何さ」

バルクホルン「記憶喪失ごっことか、宝探しごっことか……」

エーリカ「あー……えへへ」

バルクホルン「ほらな……」

ガタッ。

バルクホルン・エーリカ「……」

扉の外から物音。
エーリカは音を立てないようにベッドから降りて入口に向かう。

取っ手に手をかけ、一気に開ける。

エーリカ「えい!」

エイラ「ぐえ!?」

エーリカは良い手応えを感じた。

エーリカ「何してるのさ」

エイラ「ちょ、ちょっとたまたま聞いてただけなんだナ」

その後ろの人間を庇うようにエイラが両手を広げた。

エーリカ「……サーニャまで、何やってるのさ」

サーニャ「朝ごはんの時間過ぎてるから、呼びに来たの」

エイラ「そ、そうだそうだ」

めちゃ眠いのでねます

俺が代わりに寝とくから遠慮せず続けてくれ

>>22
ありがと
続きはまた夜です

ごめん眠くて寝た
また今日の夜に

エーリカ「朝ごはん、ね……?」

エイラ「来ないなら、食っちゃうぞ」

エーリカ「すぐ行くよ」

サーニャ「……ミーナ中佐に怒られるよ」

エーリカ「はいはい」

エイラ「ほっとけサーニャ。人の忠告を聞くような人間じゃないゾ」

エーリカ「分かってるじゃん」

サーニャ「……」チラ

バルクホルン「……」ビクッ

エイラ「行くぞ、サーニャ」

サーニャ「うん……」

エーリカ「また後でねー」

エーリカは二人の影が無くなってから、扉を閉めた。

バルクホルン「ごほん……」

エーリカ「……ふわあ。ねむーい」

バルクホルン「ごほんごほんッ」

エーリカ「やだ、なに、風邪? うつさないでよね」

バルクホルン「違うッ。あのサーニャの目を見なかったのか」

エーリカ「見てないけど」

バルクホルン「……エーリカのベッドで何してるの? ってそんな目をしていた……」

エーリカ「そりゃ、女と女が同じベッドにいてすることなんて一つしかないと思うけど……」

バルクホルン「そうか……ッくそう……そっちの方で誤解されるのは非常にマズイ」

エーリカ(……あれ、この後そういう予定だったんだけど)

バルクホルン「誤解を解いて来ねば……」

バルクホルンは立ち上がる。

エーリカ「え、どこ行くのさ」

バルクホルン「朝食だ、行くぞ。ハルトマン」

エーリカ「これからが良い所だったのに……」

エーリカは雑誌をズボンに挟み、部屋を出ていくバルクホルンに続いた。

食堂に続く廊下

エーリカ(なんかムラムラする……)

バルクホルン「やはりあのような行為で償うのがそもそもの間違いだったのだ」

エーリカ「さいですか……」

バルクホルン「ミーナに正直に言って、作り直してもらえば良かったのだし……」

エーリカ「そこまでしなくていいって」

バルクホルン「いや、ダメだ。ちょっと、ミーナの所へ行ってくるから先に食堂へ向かっててくれ」

エーリカ「あ、ちょっと」

足早に廊下を駆けていく。

エーリカ「えー……」

トサッ。
雑誌がエーリカのズボンから落ちる。

エーリカ「……」

ペリーヌ「あら、ハルトマン中尉。朝食はもうお済みかしら? ミヤフジさんが、料理が冷めるからと嘆いていましたわよ」

エーリカ「……ああ」

ペリーヌ「何か、足元に落ちてましてよ……」

ペリーヌは雑誌を拾い、小さく悲鳴を挙げた。

ペリーヌ「な、なんですの!? このいかがわしい本はッ!?」

エーリカ(へー……)

エーリカはにやりと笑う。

エーリカ「え? 知らないの? これって今流行りのマッサージで……意中の人にすればアドレナリンが分泌されまくって、良い雰囲気になること間違いなし! なんだけど」

ペリーヌ「なんですって……」

ごめん寝ます

エーリカ「ほんとだよー。私、嘘つかないもん」

ペリーヌ「中尉に言われると信用しずらいのですけど……」

エーリカ「凝り性だなあ、ペリーヌは」

ペリーヌ「前科がありますよね」

エーリカ「まあ、いいから試しに今やられてみなよ」

ペリーヌ「はい?」

エーリカはペリーヌの体を素早く掴んだ。

ペリーヌ「ちょっとお?!」

エーリカ「えへへ」

ペリーヌの絶叫が廊下に響き渡ったが、
誰一人聞いたものはいなかった。

エーリカは軽く衣服を整える。

ペリーヌ「ふああ……坂本……しょうさああ」

エーリカ「どう? 気持ち良かったでしょ?」

ペリーヌ「う……」

多少頬を上気させて、言葉に詰まるペリーヌにエーリカは満足そうに笑った。

ルッキーニ「あれー、二人ともそこで何してるの?」

エーリカ「カモがネギ背負ってやってきた……」

ペリーヌ「にげ……て」

ルッキーニ「うん?」

エーリカ「捕まえた♪」

ルッキーニ「うじゅ?」

エーリカ「……」

ふにゅ。

ルッキーニ「くすぐったいよおッ」

エーリカ「なんか、これじゃない感……だな。まあいっか」

ルッキーニ「今、ものすごく失礼な言葉を聞いたような木がするんだけど」

エーリカ「気にしない気にしない」

もにゅ。

ルッキーニ「なんで、お尻揉むの……?」

ルッキーニが不安そうにエーリカの方を見た。

エーリカ「気にしない気にしない」

――――
―――


食堂

バルクホルン「やはり、ミーナに言って良かった。一件落着だ……ん?」

ミーナ「どうしたの?」

バルクホルン「いや、ハルトマン……あいつ、来てないな。朗報だと言うのに」

ミーナ「まだ寝てるんじゃないのかしら」

バルクホルン「いや、さっきまで廊下で一緒だったのだが」

ミーナ「そのうち来るわよ。トゥルーデったら少しは子離れしないと、子はいつまで経っても親離れできないわよ」

バルクホルン「しかし、あいつを放っておくと何をしでかすか……」

ミーナ「目に余ることもあるけれど、みなのためを思ってくれてのことばかりじゃない」

バルクホルン「ミーナこそ、欲目じゃないか?」

ミーナ「あなたほどではないわよ」

バルクホルンは咳払いして、椅子に腰かけた。
向かい側に、エイラとサーニャが座っていた。

バルクホルン「先ほどはすまなかったな」

サーニャ「……いえ」

エイラ「あれ、相棒はどこ行ったんダ?」

バルクホルン「ああ、もうすぐ来るさ」

バルクホルンは夜間哨戒の疲れで少し気だるげな表情の少女に目をやった。


『ほお、意外だ。撫でてもらったことが?』

『あるよー? いっぱいあるよ? そりゃもうトゥルーデとは比べ物にならないくらい』


バルクホルン(……比べ物にならないくらいか)

バルクホルン(まあ、妹のようにハルトマンを撫でてやりたくなる気持ちは分からんでもない……)

バルクホルン(しかし、そんな関係ならば、私に一言くらい何か言ってくれても……)

バルクホルン(だが、それも……過保護と言うものか……)

バルクホルン(となると、こいつらいわゆる三角関係ということになるのか……)

エイラ「あのー、あんまりサーニャをじろじろ見ないで欲しいんダケド……)

バルクホルン「おっと、すまない」

サーニャ「?」

バルクホルン「大変だな、お前たち。頑張れよ」

エイラ「は、はあ?」

と、食堂の扉が勢いよく開かれる。

エーリカ「ふわあ……」

バルクホルン「遅いぞ。どこに行っていたんだ」

エーリカ「ちょっと、ね……あ」

リーネがお盆にポテトを載せていたのを見て、エーリカが素早く手を伸ばす。

エーリカ「一個もーらい」

リーネ「たくさんあるから、急がなくても大丈夫ですよ?」

リーネが笑う。

バルクホルン「ほら、ハルトマン席に座って食べんか」

エーリカ「はーい」

リーネ「あの、ハルトマン中尉」

エーリカ「んぐ?」

リーネ「ペリーヌさん、見ませんでしたか?」

エーリカ「さあ?」

エーリカは喉を唸らし、二個目のポテトを掴む。
席の端から、今度はシャーリーが、

シャーリー「ハルトマン、途中でルッキーニ見なかったか?」

エーリカ「見てないよお……んぐんぐ」

シャーリー「全く、あいつどこに行ったんだか……」

リーネ「ペリーヌさんも呼びに行ってから戻って来ませんしね……」

バルクホルン(何かあったのか……?)

芳佳「バルクホルンさん、あの、前言っていた扶桑のお茶淹れてみたんですが……お口に合うか」

バルクホルン「おお! すまない、昔友人から聞いたことがあってな一度飲んでみたかったんだ」

エーリカ「ふーん」

芳佳「ハルトマンさんも、どうぞ」

エーリカ「ありがとう、ミヤフジ。良い香りだね」

芳佳「私も香りが凄く好きなんですッ」

バルクホルン「香りだけじゃないぞ。味良しだ。やはり、淹れる者の心が現れるんだろう」

芳佳「え、ええ? そんな、私普通に淹れただけですよッ」

エーリカ「……」

バルクホルン「謙遜するな。お代わりをもらっていいか?」

芳佳「はい」

エーリカ「おいも、もーらお」

バルクホルン「そんなにイモばかり食べてると太るぞ?」

エーリカ「えー、やなこと言わないでよー」

エーリカは唇の先を尖らせた。

芳佳「ふふ……ハルトマンさん、口の端においもついてますよ?」

エーリカ「えー? 取って取って」

バルクホルン「ほら、こっち向け」

エーリカ「はーい」

バルクホルンは指で取って、自らの口に放り込む。

エーリカ「……ちょ」

バルクホルン「ん?」

エーリカ「ほんとずるいよね……」

バルクホルン「さ、料理が冷めてしまう前に頂こう」

一部始終を見ていたミーナが溜息を吐いたが、バルクホルンの耳に届いてはいなかった。

―――
――


ハルトマンらの部屋


エーリカ「ねえねえ、トゥルーデ。さっきの続きやらないの?」

バルクホルン「しない」

エーリカ「なんでさー」

バルクホルン「お前なあ、不誠実だと思わないのか」

エーリカ「?」

バルクホルン「流された私にも非があるが、サーニャというものがありながら……私がとやかく言うことでもないが、三角関係に折をつけろよ」

エーリカ「三角? 誰と誰と誰がさ」

バルクホルン「お前と、サーニャと、エイラだろ。何を言っているんだ」

エーリカ「……ッぷ、ふふふッあははッ?!」

バルクホルン「何が可笑しいんだ」

エーリカ「だって、別にサーニャのことそんな風に見たことなかったから……ッくすくす」

エーリカはお腹を抱えた。
バルクホルンはそれでどこか余所余所しく接していたのか。

バルクホルン「そうなのか? 私は、てっきり」

エーリカ「なんでそんなこと思ったのか知らないけどさ、ないからね」

バルクホルン「なんだ、私の勘違いか」

バルクホルンが照れ臭そうに頭の後ろをかく。

エーリカ「気にしてくれてありがとう」

バルクホルン「いや、お前らが仲が良いのは知っていたからな」

エーリカ「……でもさ、トゥルーデは知りたくないの?」

バルクホルン「何をだ?」

エーリカ「私の意中の人」

バルクホルン「それは、聞きたいような聞きたくないような……」

エーリカ「へえ」

バルクホルン「だが、お前にふさわしい人間ではないと認めんぞ」

エーリカ「……やだなあ。父様みたいなこと言わないでよ」

バルクホルン「で、誰なんだ言ってみろ」

バルクホルンは少し顔を反らした。
気恥しいのだろうか。

エーリカ「そうだねえ……ヒントは、上官」

バルクホルン「また、範囲が広いな」

エーリカ「も一つ、直情的」

バルクホルン「ペリーヌ……いや、上官だしな。坂本少佐か?」

エーリカ「あと、真面目で規則にうるさい」

バルクホルン「そんな上官いたか?」

エーリカ「いるんだよねえ、それが。あ、あと力持ち」

バルクホルン「ふむ思い当たらないが……だが、話しを聞く所、悪い人間では無さそうだな。お前にピッタリだと思うぞ」

エーリカ「本人がそう言うなら、安心だね」

バルクホルン「ああ、安心……だ? 本人?」

エーリカ「にっぶいよねえ。自分のこと言われてるのにも気づかないなんて」

バルクホルン「な、お前からかったのか?! こっちが真剣に聞いていたと言うのに」

エーリカは、バルクホルンの振り上げた腕を掴んだ。

バルクホルン「おいッ」

エーリカ「からかってるように見えたなら謝るよ」

バルクホルン「ハルトマン……?」

エーリカ「……」

バルクホルン「からかってるんだろ……?」

エーリカ「……バカじゃん」

バルクホルン「なあ、おい……」

エーリカは力なく腕を離した。

エーリカ「そうだよ、からかってみたのッ……今、本気で信じたでしょ?」

早口でそう言うと、バルクホルンはどこかほっとした顔を見せた。
それに無性に腹が立ってしまったが、エーリカは飲み込んだ。

バルクホルン「全く、びっくりさせるな……。あ、そうだ言い忘れていたんだが、勲章! 作り直してもらえることになったぞッ。良かったな、ハルトマン!」

エーリカ「わーい」

バルクホルン「あまり嬉しくなさそうだな?」

エーリカはズボンから雑誌を引き抜いて、バルクホルンに投げつける。
それが、彼女の顔面に衝突した。

バルクホルン「あいた!? わ、わけがわから?!」

エーリカは自分の顔に流れているものを腕でこすった。

バルクホルン「おい、何泣いて……」

エーリカ「鼻に埃が入った……ずびッ」

バルクホルン「掃除をしないから、そうなるんだぞ?」

エーリカ「そうだね…‥ずずッ」

バルクホルン「ほら、ハンカチ」

バルクホルンがポケットから取り出したそれを、エーリカは笑いながら受け取った。

エーリカ「バカじゃん……」

それから、二度目の悪態を吐いた。

―――
――


その後、ネウロイの出現によって会話は中断を余儀なくされた。
空に上がったものの、バルクホルンは先ほどのエーリカの表情が気になり、彼女の方を何度か窺っていた。

エーリカ「……」

そして、戦闘を終えて、どこか心ここにあらずな彼女に話しかけた。

バルクホルン「ハルトマン、体調は大丈夫か?」

エーリカ「体はぴんっぴんだよ……ただ、ユニットのモーター音が何かいつもと違う。エーテルが上手く誘導できなかった」

バルクホルンからすると、先ほどの戦闘も見事なものだったが、
当人からするとそうではないようだった。

バルクホルン「どこか故障でも?」

エーリカ「ううん。整備は完璧だった……」

バルクホルン「ならば、被弾かあるいは塵が入ったか……」

エーリカは唸って、首を振った。

エーリカ「ちょっと、降りたら格納庫の連中に聞いてみるよ」

バルクホルン「ああ、何かあればすぐに言え」

エーリカ「うん」


――――
―――

格納庫の前でエーリカを見送ったバルクホルンだったが、様子が気になり辺りをうろついていた。

整備士「あの、バルクホルン大尉」

歩いていると、声をかけられた。
険しい表情をしていたので、何かと問うと、

整備士「格納庫から……変な音が聞こえるんですよ……み、見てもらってかまいませんか」

バルクホルン「変な音?」

呆れながら問い返す。

整備士「ネ、ネウロイとかでは」

バルクホルン「であれば、警報が鳴っているはずだが……」

新種だろうか。

バルクホルン「分かった。見てくるからここで待っていろ」

整備士「はい。お願いします」

バルクホルン(格納庫にはエーリカがッ……何事もなければいいが)

暗がりの格納庫に忍び足で入る。
耳を澄ますと、確かに風の吹き抜けるような音が聞こえていた。
バルクホルンは魔動力を込める。
さらに研ぎ澄まされた聴覚により、どこから音がしているのかが判別できた。

バルクホルン「こっちか……」

数メートル近いクレーンの後ろに回り込む。
ぶわっと、風が目の前を通り抜けた。

バルクホルン「うわ?!」

エーリカ「あれ……」

バルクホルン「お前、こんな隅っこで……何を」

エーリカ「ちょっと、修理を」

バルクホルン「修理って……整備の奴に頼まなかったのか」

エーリカ「あー……うん、ごめん」

バルクホルン「謝ることでもないが」

エーリカ「何しに来たの」

バルクホルンが整備士の話しをすると、エーリカはけたけたと笑った。

バルクホルン「表でやればよかろうに」

エーリカ「あんまり見られたくなくて」

修理に来たはずなのに、矛盾したことを言うエーリカにバルクホルンは首を傾げた。

バルクホルン「お前やっぱりどこか……」

エーリカ「こいつさ……ッ」

と、バルクホルンの言葉を遮ってエーリカがユニットに触れる。
慈しむように撫でた。

エーリカ「今日は私が上手く乗ってやれなかったから、怒ってるんだ」

バルクホルン「そんなAI機能はなかったと思うが……」

エーリカ「ううん、怒ってる。私の代わりに怒ってる」

バルクホルン「……ハルトマン」

エーリカ「自分のこと甘やかすなって怒ってる……」

バルクホルンは困惑した。
エーリカが何を言おうとしているのか、それを何とか理解してやりたいとも思っていた。

バルクホルン「どうしたら、そいつの怒りは収まるんだ」

エーリカがこちらを向く。

エーリカ「……」

立ちあがって、抱き着いてくる。

バルクホルン「……」

そっと抱き返す。

エーリカ「トゥルーデがキスしてくれたら」

バルクホルン「はッ!?」

エーリカ「してくれないの?」

バルクホルン「ばかッ……お前、そういうのは好きな奴としろ」

エーリカ「トゥルーデだよ……」

バルクホルン「うん?」

エーリカ「なんで分かってくれないのさ……気が付いてくれたっていいじゃん」

バルクホルンは目を瞬かせる。
と、戦闘前にエーリカと話した内容が蘇る。

バルクホルン「だって、からかったんじゃ……」

エーリカ「困ってたでしょ、トゥルーデ……でも、嘘吐いたら……戦闘に支障出たから、みんなに迷惑かけるくらいならトゥルーデにって……」

ぼそぼそと胸元で少女は言った。

エーリカはやや背伸びをして、バルクホルンの唇に自分の顔を近づける。

バルクホルン「ま、まて……」

エーリカ「またない」

制止の声も空しく、エーリカの唇がバルクホルンの唇の端に当たった。

バルクホルン「……ッ」

エーリカ「なんてね……今度こそ信じた?」

バルクホルンは叱りつけるつもりだった。

エーリカ「トゥルーデ?」

だが、闇に溶けるエーリカの瞳が自分を求めていることにはたと気が付いた。
それを意識した途端に、自分の中に燻っていた熱が燃え上がるのを感じた。

バルクホルン「……ッ」

エーリカ「んッ……」

バルクホルンはエーリカの体を強く抱きしめる。
彼女の柔らかな肢体に沈み込んでいく。
意識しなかった匂いが、鼻をくすぐった。
ミルクのようだ。

バルクホルン「……」

エーリカ「ちょ、いたいって……」

バルクホルン「あ、すまないッ……」

バルクホルンが慌てて体を離した。
エーリカの潤んだ瞳。
鼓動が速くなった。
目の前にいる、妹のような戦友に劣情を催している。
信じられないことだった。

エーリカ「バカ力……でも」

少女は腕の中で微笑む。
人懐っこい顔で。

エーリカ「好きだよ……」

バルクホルンは震えた。
野犬のように凶暴な衝動に駆られて、エーリカを押し倒してしまいそうになった。

エーリカ「ずっと……朝に触ってもらってたからさ、我慢できなかったんだ……きっと。もっと、触って欲しくて。でも、今の関係のままじゃ……そんなことできないよね。それとも、やっぱり……ミヤフジがいい?」

バルクホルン「なんで、ミヤフジが出てくるんだ……」

エーリカ「だって、似てるじゃんか妹に……勝ち目ないし」

バルクホルンは漸く、彼女が怒っている理由が分かった。
嫉妬していたのだ。
信じられなかった。
マイペースで、人をおちょくってばかりいたあの黒い悪魔が、
ただ一人の少女のように振る舞っていることが。
それが向けられているのが、自分自身だと言うことにも。

バルクホルン「別に、ミヤフジは……大切ないも、う、いや仲間としか」

エーリカ「そうなんだ……あ、別に無理して私をとって欲しいわけじゃないからね。そういう優しさいらないから」

エーリカにきっぱりと言われ、バルクホルンは口を魚のように開閉させた。

バルクホルン「い、一日……時間をくれないか」

エーリカは無言で頷いた。

――――
―――


浴室


バルクホルン「……」

バルクホルンは湯船に身を沈め、悶々とした脳内のせいでのぼせそうになっていた。

ルッキーニ「……今日は疲れがやけに取れてる」

ペリーヌ「あら、あなたもですか? 私もですの」

シャーリー「お前ら朝どこ行ってたんだよ」

ルッキーニ「……しょ、しょれは」

ペリーヌ「言わぬが吉でしてよ」

シャーリー「なんだよ。教えろよー」

後から来た連中の声も定かではない。

バルクホルン「……」

ルッキーニ「実はハルトマン中尉が――」

バルクホルンはその単語に、湯船をわずかに波立たせた。

バルクホルン「……」

サウナ室の扉が開かれる。
中に入っていたのは、サーニャとエイラ、そしてエーリカだった。

エーリカ「何か、今聞こえたような」

ルッキーニ「あ! 今朝はよくも……ん? でも疲れが取れてるから……感謝しないといけないのかな」

ペリーヌ「確かに……」

シャーリー「おいおい……」

エーリカ「気持ち良かったでしょ? もう一回やろうか!?」

ペリーヌ「か、勘弁してくださいましッ……ひいッ」

エーリカがペリーヌの体に覆いかぶさった。

バルクホルンは無意識に、体が動いていた。
気が付けば、湯船から出て、エーリカの腕を取っていた。

エーリカ「……ト、トゥルーデ?」

きょとんとしている。

バルクホルン「浴室で騒ぐな」

シャーリー「いつものことだろ、カリカリすんなって」

エーリカ「……ううん、ごめん」

バルクホルン「……いや」

――――
―――



エーリカらの部屋


バルクホルンはエーリカと気まずいまま就寝の時間を迎えることになった。
風呂場での自分の行動にもまだ整理がついていなかった。

バルクホルン「……なんなんだ、くそッ」

このままでは眠れない。
バルクホルンは立ち上がり、
スタンドライトで本を読むエーリカに声をかけた。

バルクホルン「おい」

エーリカ「んー……?」

バルクホルン「そっち、行っていいか」

エーリカ「なんで……?」

バルクホルン「お前の顔が見たい」

エーリカ「……いいけど、なんなのその理由……ぷッ……くくッ」

エーリカの背中が揺れていた。

バルクホルンはそれで少し気が楽になった。

バルクホルン「……ハルトマン、きさまのせいで全く寝られん……」

嘆息気味に告げる。

エーリカ「ごめんねー」

バルクホルン「謝意があるようには聞こえんな」

ベッドの脇に立つ。
エーリカがベッドの上に積み重ねていた本を移動させ、座るスペースを作った。

エーリカ「座る?」

バルクホルン「ああ」

少女の横に腰かけて、肩を寄せた。

エーリカ「……近くない?」

バルクホルン「嫌か」

エーリカ「いいけど……」

バルクホルン「お前といると、落ち着くんだが……今は、その」

エーリカ「……」

バルクホルン「逆だ……」

エーリカ「……」

バルクホルン「……なに、いや、うむ……」

エーリカ「無理しないでよ」

バルクホルン「違うッ……聞いてくれ」

エーリカの熱なのか、自分の熱のせいか。
熱い。

バルクホルン「こういう時に、場慣れした奴ならすっと……言葉が出るんだろうが、生憎私はお前の望む言葉を出せるとは思わん」

エーリカ「うん……」

バルクホルン「だから、愛を誓うとするなら、これしかあるまい」

バルクホルンはエーリカの左頬に右手を添えて、こちらへ向けた。

バルクホルン「好きだ……ハルトマン」

閉じられた瞼に一度啄む。
それから、小さくぷっくりとした桃色の唇に触れた。


耳を指の腹でこする。
むずがゆそうに、片目を閉じた。

バルクホルン「ただな……キスより先は、まだ無理なんだ」

物欲しそうなエーリカに、バルクホルンは耳打ちする。

エーリカ「いいよ、それでも」

バルクホルン「できないわけじゃないんだ……今さらになって気が付いてしまったこの気持ちが、お前を傷つけるかもしれない」

エーリカ「痛いのは嫌かな……」

バルクホルン「だから、少しずつでもいいか……?」

エーリカが顎を引く。

エーリカ「いいよ……」

バルクホルン「……照れ臭いな」

エーリカ「赤くなってるー」

人差し指で、バルクホルンの頬を突き刺す。

バルクホルン「……からかうな、全く」

エーリカ「今朝あれだけ大胆なことしといて……ねえ」

バルクホルンは今朝のことを思い出して、頭を抱えた。
今思うとなんて恥ずかしいことをしてしまったのだろうか。


エーリカ「ま、気が付いただけでもよしとしよう」

バルクホルン「え?」

エーリカ「ううん、なんでもないよ。大好きだよ」

指を絡ませて、エーリカは言った。
がたん、と扉の外で音がした。

エーリカ・バルクホルン「「……」」

互いに顔を見合わせて、笑いあった。





おわり

駆け足で、すまん
おしまい

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年07月04日 (土) 06:29:16   ID: KfKZz-ZC

申し訳程度の地の文がアレすぎて笑ってしまう

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