提督「なに? RUCKだと?」 (33)

他スレから影響うけた。ドッキリ系

間宮「次の方」

提督「ここか」

間宮「あら、提督ですか? どうしたのですか?」

提督「間宮、君が艦娘たちのカウンセリングをしていると聞いたので、見に来たのだ」

間宮「まあ、カウンセリングなんてそんな大仰なものでもありません。ただ日常的な悩みを聞いて、それにちょっとだけ助言をしているぐらいです」

提督「すまない。艦娘のメンタルケアも私の仕事なのに君に任せてしまって」

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間宮「いいえ、いいんです。私もあの娘達に慕われて母親のような気持ちですから」

提督「君も若い。そんな歳じゃない」

間宮「あらあら。おだてても何もありませんよ?」

提督「事実だ」

間宮「まあ! ………私が面映くなってしまいます。話題を変えましょう。そうですね。せっかくですから、提督の悩みをお聞きしましょうか」

提督「悩みか。そうは言っても、この鎮守府のみんなはとても素晴らしい。能力的にも申し分なく、人格的にも魅力的だ。この環境で更に悩むなんて贅沢なことだ」

間宮「いいじゃないですか、贅沢。提督は今まで身を削り多くの功績を残してきました。少しぐらい贅沢してもバチは当たりません」

提督「………そうか」

間宮「さてさて、言ってみるだけならタダです。私の前でぐらい、そのささやかな贅沢をしていってください」

提督「そうだな。………もっと艦娘と仲良くなりたいかな」

間宮「ええ!? 今でも十分に仲がよろしいと思いますけど」

提督「おや、君は贅沢させてくれるのではなかったか? 十分でも不足していると感じるのが贅沢のはずだ」

間宮「………そうでしたね。あなたほど艦娘に信頼されている人もいませんから、つい」

提督「どういうことだ」

間宮「他の鎮守府でもあなたの謹厳実直な人柄は有名です。提督が嘘一つ吐いたこともないことも」

提督「そんな大層なものでもない。ただ嘘を吐く機会がなかっただけだ」

間宮「それでも、あなたが誠実であり続けたことは紛れもない事実。みんな提督のことをとても信頼しています」

提督「しかし、そこが問題なのだ」

間宮「どうしてですか?」

提督「誠実というのは美徳とされているが、悪く言えばつまらない人間でもあるということだ」

間宮「そんなことありません。誠実な人でもとても愉快なかたもいます」

提督「もちろんだ。しかし、私の性格というのは、その、冗談も言えないような類のものだ」

間宮「しかし、軽口をたたければ良いというものでもありません。頑固な厳粛さの方が艦娘達の大きな信頼を得る場合もありますから」

提督「しかしだな。そのためか、なんというか艦娘と距離感がある気がしてな。だから、間宮に艦娘の相談を任せてしまっているのだろう」

間宮「ふふふ」

提督「どうした?」

間宮「いえ、なんといいますか、思春期の娘を持ったお父さんみたいな雰囲気だったもので。背中を丸めてこじんまりしてて………ふふ」

提督「君は先で艦娘を娘みたいと言っていたが、それだと私達は夫婦ということになるのだが」

間宮「あ、あら、まあ………提督ったら冗談言えてるじゃありませんか」

提督「君の話を整合したら、そうなっただけだ」

間宮「………もう。分かりました。提督が艦娘と仲良くなれる方法を教えます」

提督「そんなのあるのか」

間宮「なんですか? 答えには期待していなかったということですか?」

提督「いや、そうではないが」

間宮「提督にはドッキリをしてもらいます。といっても、派手なことは荷が重いでしょうから、いたずら程度ですが―――――」

提督「分かった。間宮の指示に従おう」

後日

間宮「次の方」

提督「私だ」

間宮「あら、提督ですか? どうしました」

提督「君に言われたことをやってきた」

間宮「本当にやったのですか」

提督「君がやれと言ったのだろ」

間宮「いえ、まさか提督がいたずらじみたことを実際にしてくれるなんて思ってなかったので」

提督「君の私への評価がよくわかった。遠征帰りの駆逐艦にご褒美に渡していた飴玉をハッカ飴にするぐらいの度胸はある」

間宮「それでどうなりました」

提督「あの後に丁度第六駆逐隊が帰ってきたので、ハッカ飴を渡したんだ。いつも通り甘いものかのようにな」

間宮「暁ちゃん達ですね」

提督「君の予想ではどうなるはずだったかな」

間宮「騙されてハッカ飴を渡されたのですから、少し涙目ながら「何か悪いことした?」と追いすがってくると思います」

提督「その後、冗談だと言って、後ろ手に持った本来の甘い飴玉を手渡すという算段だったな」

間宮「はい。それで「バカバカバカー」とぽかぽかと叩かれて仲が深まるという予定でした」

提督「そうだ。しかし、あいつらどういうことか苦いはずのハッカ飴を「甘い、甘い」と言ってうまそうに舐めてたんだ」

間宮「そんなはずはありません。あの娘達、特に暁ちゃんは駆逐艦の中でも特に苦いものが苦手だったはずです」

提督「気を使って「甘い」と嘘をついてるのかと思ったが、他の三人はともかく暁にそんなことができるとも思えない」

間宮「味覚の変化? いえ、ハッカ飴のような特有の味わいのものは子供の時には大丈夫だったけれど、歳をとるとダメになったという人もいますし、彼女達の味覚にフィットしたということでしょうか」

提督「それでもハッカを甘いと感じるのは奇異な気もするが。それよりも、私は意外な彼女達の振る舞いに戸惑った。既に美味しそうに頬張っているんだ。改めて隠した飴玉を渡すのも気が引けた」

間宮「それでどうしたのですか?」

提督「とりあえず、それもあげたよ。私が持っていても仕方ないからな。それでいつもより二倍も飴玉がもらえた彼女達は非常に喜んで手をブンブン振って礼を言いながら去っていった」

間宮「余りドッキリした意味がありませんね。やはり規模が小さすぎましたか。それでは次は―――――」

提督「まだ続けるのか。まあいい。気が済むまでやろう」

後日

間宮「次の方」

提督「私だ」

間宮「提督ですか。それで用件はやはり」

提督「そうだ。ドッキリの報告だ」

間宮「存外やる気ありますよね」

提督「そんなことはない」

間宮「今回のドッキリはイヤイヤではできないと思いますよ」

提督「まさしく。早朝に無断で私室に入るんだからな」

間宮「でも、寝起きドッキリはやっぱり王道ですから少しは我慢してください」

提督「我慢し終えた人間にかける言葉ではないな」

間宮「それはすみません」

提督「間宮、君の計画を事後確認させてくれ」

間宮「部屋の中に明朝に侵入し起こします。基本はこれだけです。寝起きの素顔を見られて強い羞恥を覚える艦娘に効果的なものです」

提督「ああ。だから、条件的には精神的に幼すぎても成熟しすぎていてもダメだった。そこで白羽の矢が立ったのは鈴谷と熊野だ」

間宮「良い人選だと思います」

提督「そして、君に言われたアレンジも敢行するつもりだった」

間宮「朝の六時に侵入して大声で「八時だぞ! 遅刻だ!」と叫んでたたき起こすというものですね。あなたがただ部屋に侵入するだけでは、ドッキリと気づかれないかもしれませんから」

提督「そのような明確な悪ふざけをしなければ冗談と理解されない可能性があるからな」

間宮「まず六時に八時だと言って起こすのですから、何事かと飛び起きるはずです。そして時間のズレを認識していたずらだと気づきます」

提督「その後は各々の反応が帰ってくるという予定だった」

間宮「鈴谷ちゃんならば「なによー、もっと寝かせてよ」とぶつくさ言ってふくれっ面になり、美容に気を遣う熊野ちゃんならば提督の存在に気づくやいなや恥ずかしそうに毛布にくるまるのではないかしら」

提督「そうだったな。そして、彼女たちに怒られるはずだった」

間宮「それでも、提督の新たな一面を主張できたのならば、より仲良しになれます。それで、どうして少し暗い顔なのですか」

提督「それは計画が失敗したからだ」

間宮「どうしてこのドッキリが失敗するのですか。あの娘達が六時の時点で起きていたのですか」

提督「いや、私が部屋に入った時はまだ熟睡していたよ」

間宮「では、どんな不都合が」

提督「約束通り「八時だ! 遅刻だぞ!」と叫びもした。そして、彼女達は予想通り跳ね起きた。しかし、その後がまずかった」

間宮「何があったのですか」

提督「時計の針は八時少し回ったところを指していたんだ」

間宮「どうして時間を間違えるんですか!」

提督「いや、部屋の前で時計を確認した時はまだ五時だったんだ。刻限には余裕があると思って扉の前で深呼吸などで少し気持ちを落ち着かせていたんだ」

間宮「それで、あなた自身が八時を六時と勘違いして突入したのですか? 落ち着きすぎではないかしら?」

提督「面目ない。体感的には一時間ちょっとだったんだ」

間宮「時計を見れば済む話じゃありませんか」

提督「自分でも少し遅れた自覚があったから急いで行動に移ったんだ。まさか八時だとは思わなかったが」

間宮「それでどうしたのですか」

提督「飛び起きたあと、彼女達は時計を見て「きゃっ!」と叫んで大急ぎでしたくを始めた。結果的に八時に起こしたことになったんだ。私は遅刻を叱りにきた体になった」

間宮「鈴谷ちゃんならともかく、熊野ちゃんが八時まで眠っているなんて珍しい気もします」

提督「そうだな。熊野はいつも遅刻しがちな鈴谷を引っ張ってきていた。それだから、自分が遅刻するなんて思ってなかったんだろう。私に謝った後、押取り刀で鈴谷を連れて出て行ったよ」

間宮「なるほど。ドッキリ失敗ですね。提督が主体となるドッキリはダメかもしれませんね。だったら、次は―――――」

提督「被害が出ないのならば、意に沿おう」

後日

間宮「次の方」

提督「私だ」

間宮「提督、ドッキリはどうでした」

提督「失敗だ」

間宮「またですか」

提督「そうとも。またなんだ」

間宮「しかし、計画した出撃ドッキリでどのようにして失敗したのですか」

提督「概要はこうだったな。低練度駆逐艦に「今度の出撃では轟沈するかもしれない」と言って、近代化改修も最大までする。そうして不安にさせた艦娘を高練度艦に随伴させて鎮守府正面海域へ出撃させるといったものだ」

間宮「駆逐と軽巡しか出現せず、また数も少ない。不安を煽ったわりに至極簡単に作戦完了できます。そして拍子抜けした娘が提督に文句を言いに来る予定でした」

提督「ターゲットは吹雪で、その随伴の高練度艦は金剛と58にした」

間宮「吹雪ちゃんですか。真面目な娘です。提督に怒ることはないかもしれませんが、どういった意図かは聞きにくるでしょうね」

提督「そこでネタバラシ。イメージの一新をはかるというわけだ」

間宮「それで失敗とは」

提督「このドッキリの要は轟沈を匂わすような任務が実際にはものすごく簡単だったというところにある」

間宮「はい。それで「なんであんな脅しをしてきたんですか!」とプリプリと怒らす計画でした」

提督「しかし、吹雪は轟沈しかけた」

間宮「どうしてですか! 吹雪ちゃんでも十分に正面海域程度はクリアできたはずです」

提督「何があったのかと金剛や58に聞いたが、よく分からないらしかった」

間宮「なにかイレギュラーな敵艦でもいたのでしょうか」

提督「それだと、金剛たちも無事では済まなかったはずだ。しかし、イレギュラーがあったことは確かだろう」

間宮「相手じゃないなら、こちら側に問題があったのでしょうか」

提督「どうやら戦闘海域内で急に吹雪の速力が落ちたらしい。艤装の整備不良のようだった」

間宮「整備不良ですか」

提督「浮力もなくなりかけていたようだしな。動けない駆逐艦は潜水艦以上に標的にされて集中砲火を浴びたらしい。急いで「無事帰還できる」と激励して撤退させた」

間宮「しかし、機動力を失った吹雪ちゃんもよく撤退できましたね」

提督「金剛に曳航させて58には囮になってもらってな。非常に危なかった」

間宮「しかし、整備不良の原因はなんだったのですか」

提督「委員会を立ち上げて原因の究明を急がせてある」

間宮「そうですか。忙しくなりましたね。今回はドッキリと言って騒いでいる場合でもありませんね」

提督「そうだな。また落ち着いたら来るよ」

後日

間宮「次の方」

提督「私だ」

間宮「あら、提督。お久しぶりです」

提督「そんなに期間は空いていないと思うが」

間宮「まあ、私の個人的な感じ方ですから。それで、もういいのですか」

提督「ああ、蓋を開ければ単純なことだった」

間宮「駆逐艦の娘達がぶつくさ文句を言っていたのですが、それと関係が」

提督「恐らく。整備不良の原因は艤装の無断の持ち出しだった」

間宮「無断の持ち出しですか」

提督「ああ。吹雪は無断で艤装を使って訓練していたらしい。吹雪だけじゃない。駆逐艦のなかではしばしばそういった無断の持ち出しが横行していたらしい」

間宮「血気盛んな駆逐艦のなかでは決闘ごっこという遊びが流行っていましたが、今度の規制でできなくなったと文句を言っている娘もいましたよ」

提督「それは我慢してもらおう」

間宮「それで吹雪ちゃんは大丈夫なのですか」

提督「ああ。傷は完治している」

間宮「いえ、そうじゃなく。今回の騒動の原因は吹雪ちゃんだったわけですから、規制の原因も吹雪ちゃんだとして何か不和が生じていないのですか」

提督「あいつらも無断で持ち出すことが悪いことくらい知っている。それができなくなって遊びの種類が減ったところで、誰も吹雪を責めることはできない」

間宮「そうですか。………まあ、私にそういった軍事方面や運営の話をしても仕方ありませんよね。提督のドッキリの話をしましょう。その方が私も楽しいです」

提督「まだするのか」

間宮「もちろんです。まだ何の成果も得られていないじゃないですか」

提督「そうでもない。無断持ち出しを規制できただろ」

間宮「それは別に提督がドッキリしなくても、いずれ問題となったことでしょ? 一度くらいちゃんとドッキリを成功させて提督にも親しみやすさを出して貰わなければ、間宮相談所の名折れです」

提督「そうか。好きにしてくれ」

間宮「そうします。さて、提督はドッキリをするにしても後に影響を残さないのが良いのですよね」

提督「影響を残さないというか、まあドッキリはその場で完結すべきものだとは思う」

間宮「それでは伝統的な恋愛ドッキリはできませんね」

提督「恋愛ドッキリ?」

間宮「はい。ある艦娘に好意を寄せているかのようなドッキリです。初々しい艦娘の可愛い反応が見れます」

提督「それはダメだ。人の気持ちを弄ぶようなものは、たといその場では丸く収まっても、どこかでしっぺ返しがくる」

間宮「提督なら、そう言うと思ってました。だから、もう一つの伝統的ドッキリにしましょう」

提督「それはなんだ」

間宮「死亡ドッキリです」

提督「死亡だって? 誰が死ぬんだ」

間宮「提督です。提督があたかも死亡してしまったかのようなドッキリです。好意を寄せている人の死によって悲嘆にくれる艦娘の感動的な反応が見れます」

提督「流石に悪趣味じゃないか?」

間宮「まあ、まあ。死亡ドッキリは恋愛ドッキリより尾を引きませんし、それに提督は艦娘と胸襟を開いて話したかったんでしょう? それならば、感情に訴え掛けるドッキリの方が都合がいいんです」

提督「そうか。でも、どうするんだ。それは俺が仕掛け人になることはできないはずだ。死人である俺が自分で死亡通告するのか」

間宮「そうですね………それでいきましょう!」

提督「本気か?」

間宮「だって、提督ったら簡単なドッキリでも器用に失敗するのですもの。だったら、もう一コマオチにするのもありかもしれません」

提督「それはもはやドッキリなのか? というか、死亡ドッキリだと艦娘の感動的反応が得られると君は言っていたが、それだと無理じゃないか」

間宮「とりあえず、提督がジョークを言える人間だとまず認知してもらいましょう。普通に死亡ドッキリをしても何故か失敗に終わりそうですし。今度の朝礼で派手に提督の死亡をご自身から伝えてください」

提督「酷く間抜けなドッキリもあったものだな」

後日

間宮「次の方」

提督「間宮! 大変なことになった! 言われた通りに「私は昨日死亡しました」と朝礼で伝えたら、艦娘はジョークと認識するどころか、全員「提督が死んじゃったよ」とわんわん泣き出す始末。ドッキリだと伝えようにも彼女達のなかでは俺は死人らしく、死人に口無しと言わんばかりに言葉が届かない! これほど嘘をつけない体質を呪ったこともない! それで全員が無視してくる状況に陥ったんだからな! 聞いているのか! 間宮!」

間宮「次の方」


おわり

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