暗女「……」(12)


あぁ……また……また朝がきてしまった

親に挨拶、元気な声で。
家をでる、沈んだ気持ちで。
男くんをながめる、絶望しながら。
女さんを眺める、絶望をかみしめて。

私は一人で歩く。
希望であるはずの絶望の背後をつけて、同じ目標に向かって歩く。

暗女「……失せろカス」

背後の視線に呟いて。

ぼっち「……」じー

リア充死すべし。
こんな考えは横暴だと思う。
現実が絶頂期、花色満開で良い人生で死ねるなんてひどいもの。

リア充半分死ね。
相手を残して、最愛の人を置いて死ね。
死でおまえ等を分かて。

これこそがリア充にふさわしいの。

げた箱。
鍵のない箱。
大好きな彼の靴をさわり放題。

暗女「フフ……」

六月の湿気、湿った靴。
男くんの汗、湿った靴。
暗女「私の唾液、湿った靴」

朝のhr。
遅刻する私。

担任「どうした暗女? 最近遅刻が多いぞ」

暗女「……六月だから」

生徒達「???」

担任「まぁ雨だと確かに歩きにくいが、暗女は家が少し早く起きれば間に会うだろ、明日からは気をつけろよ」

梅雨は雨が多い。
男くんの靴がよく濡れる。
私もよく濡れる。

ガラッ

ぼっち「……」

担任「ぼっち、おまえもまた遅刻かー、今日はどうしたー?」

ぼっち「」視

動く視線。
先にはパッションタワー。
情熱、いや興奮。
制服が征服されそう。

女子生徒「キャーーーーーー!!」
男子生徒「うわぁ……」

六月。
梅雨。
湿った季節。
タワーは湿っていた。

ぼっち「」じー

暗女「死ね死ね死ね死ね死ね」ぼそっぼそっぼそっぼそっ

ぼっち「///」

死ねばいいと思う生き物。
1位、ストーカーなぼっち
2位、私をつけてくるぼっち
3位、私をやたら見てくるぼっち
4位、女

男くんにべたつく女は許せない。
そのうち誰にもばれないように殺してしまうかも……。

もしばれたら、男くんは怒るもの。
それだけなら良い。
私は男くんに嫌われていようとかまわない。
でも、問題は別。
女が人間だってこと。
人を殺したらここにいられないってこと。
男くんを堪能できないってこと。

下校。

男「うえっ、俺の靴まだ湿ってる……」

女「今朝そんなに降ってなかったよね?」

男「うん、てか最近は毎日朝の雨の量に関わらず同じくらい湿ってんだよな」

女「ふーん」

男「やべ、靴下が湿ってきた!!」

私の唾液で湿っていく男くん。
男君の足につられて湿っていく私。
あぁ、恥ずかしい。
でもうれしい。

女「靴下ぬぐために早く一緒にかえろ」

悲しい。

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