秋月涼「僕は強くなる、諦めたくはないから」 (41)

僕、秋月涼はかっこよくなるために男性アイドルを目指すことにした

だけど何故かどういう理由か女性としてアイドルをすることになった

かっこよくなるために女性になるというわけのわからない理屈でアイドルになったけど、諦めずにアイドルを続けた

いろんなトラブルがあったけど…泣いたり怒ったり恥ずかしがったりしたけど頑張ってトップアイドルを目指した

そして僕はついに念願のトップアイドルになった…これで男性としてトップアイドルになれる、今よりかっこよくなれる

そう思っていた

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876プロ

涼「えええええええええええええええ!?」

石川社長「ちょっと声が大きいわよ」

愛「あたしよりおおきいですね!」

絵理「ひぅ…」

涼「そんな…話が違いますよ!」

涼「女性アイドルでトップになったら男性アイドルとして活躍させるはずじゃなかったんですか!?」

涼「どうして男性アイドルとしてデビューさせてくれないんですか!?約束が違います!」

石川「う~ん、そもそもうちは女性アイドルしか育成してなかったのよね、もともと」

石川「だから急に男性アイドルを育成しようにも専門外だし…いろいろ大変なのよね」

石川「衣装とか更衣室とか…それ以前に女性だらけの事務所に男一人って、よく考えたらかなり危ないわね、いろんな意味で」

石川「第一、うちには男性アイドルを育成するスキルがないから…ねぇ…」

愛「涼さんが男のままで女装を続けてもあたしたちは気にしません!」

涼「何で!?」

絵理「女装の涼さんは涼さんらしくて…安心する?」

涼「いつから僕の個性が女装になったの…」

涼「ううっ…せっかくかっこよくなったと思ったのにまだ振り回されるなんて…」

涼「それで…本当にダメなんですか?」

涼「せっかく約束を守ったのに、それを破るんですか!?」

石川「破るわけはないでしょ、私も一応大人よ、そして事務所の社長よ」

石川「もちろん、せっかく苦労してトップになったのにそれを水の泡にさせるわけにはいかないわ」

石川「どうにか検討はしておくから、とりあえず適当にすごしていきなさい」

涼「なんだか心配だな…」

石川「ちゃんとあなたに相応し新しい舞台を用意しておくから期待して待っていなさい」

涼「はぁ…」

公園

涼「はぁ…せっかく男性アイドルになれたと思ったら、デビューさせてくれないなんて…」

涼「もしかしてこのままずっと女性アイドルとして過ごすのかな…」

涼「男性と発言しておいて女性として過ごすなんて…正真正銘の変態だよ…」

涼「…僕は何でアイドルになりたかったんだっけ?」

涼「もうわからなくなってきた…」

「あれ、涼じゃないか?」

涼「えっ?」

真「久しぶりだね涼、あの時以来だね!」

涼「真さん…!?」

真「テレビ見たよ、あの時は本当に驚いた!」

真「まさか男だったなんて、とてもそうは思えなかったよ!」

涼「はい…」

真「にしてもまさかあの武田さんから歌を作ってもらったなんてね、千早から聞いたよ」

真「『また勝負したい』って言ってたよ、本気の涼と」

涼「はい…」

真「涼、どうかしたの?なんか顔色が悪いよ」

涼「いえ、別にそんな…」

涼(怒ってるかな…怒ってるよね…あんなことをしたりしたから…怒って…)

真「…」

真「ねぇ、涼」

涼「はい…」

ガシッ

涼「えっ!?」

グググググググ

涼「あ"ぎゃあ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!!!」

涼「いたいいたいいたいいたいいたい!!!」

真「あの時はよくも騙してくれたね!」グググ

真「律子のいとこだから安心しきっていたけどまさか男だったなんて知らなかった!」グググ

真「わかっていたらあんな真似をさせなかったのに!胸の話とかボディタッチとか!」グググ

真「そもそも女の子の僕が男に稽古ってなんだよ!そんなに僕が男に見えるの?ふざけるなよ!」グググ

真「ある意味あのでたらめな記事も間違っちゃいないじゃないか!」グググ

涼「ごめんなさい!あの時は本当にごめんなさい!悪気はなかったんです!」

涼「本当にごめんなさい!許してください!だから放して!」

真「…」

パッ

涼「ううっ…腕が痛い…」

真「ふぅ…これでお相子だね」

涼「す、すいません…」

真「いや、こちらこそごめん…ちょっと今までの記憶がフラッシュバックして…//」

真「それに涼も悪気があったわけじゃないんだよね、事務所の方針で女になっただけだもんね」

涼「本当にすいません…」

真「それにしても涼って凄いよね」

涼「えっ?」

真「あんな境遇を体験しても諦めずにアイドルをやり続けていたんだろ?」

涼「はい」

真「もし僕が女性アイドルになりたかったら男性アイドルとしてデビューしろなんて言われたら、断るかもしれないな」

真「男性アイドルとしてトップになってもそこから女性アイドル目指そうなんてとてもきつすぎるよ、立場的に」

真「よく考えたら女性のトップになったら男性として目指していいなんてめちゃくちゃな理屈だね」

涼「真さんの言うとおりです…、武田さんに会わなかったら今頃まだ女性としてデビューしていたままかもしれません」

真「それで、涼はこれからどうするの?」

涼「どうって?」

真「男性アイドル、目指すんじゃないの?」

涼「そうしたいのは山々なんですけど…」

涼「事務所の方針とかなんとかで男性アイドルは専門外で…」

真「まあもともと涼が女性としてデビューした時点でね…男性にさせるつもりはなかったかもね」

真「悔しいけどかわいいもんね涼は、悔しいけど」

涼「せっかく男らしくなったと思ったのにかわいいなんていわないでください…」

真「あはは!ごめんごめん」

涼「それで、これからのことですけど…」

真「どうなるかまだわからない…」

涼「はい、再びアイドルになれる期待とそうはならない不安ばかりです」

真「期待不安の未来だね、わからなくもないよ、その気持ち」

涼「だけど僕は、諦めるつもりはありません」

真「うん、いい心がけだよ、頑張ってかっこよくなってくれよ!応援するから」

真「女の僕のほうがカッコいいというジンクスを壊してくれよな?もうこっちとしては嫌なんだから…」

真「こっちも全力で可愛くなるから」

涼「はい、わかりました」

涼(あの時みたいなおかしなことになるくらいならこのままでいいっていっちゃだめだよね…)

prrrrrrrr

真「あっ、ごめん…ちょっと待ってて」

真「もしもし、あれ、雪歩?どうしたの?」

真「うん、うん…わかった、すぐ食べに行くよ、じゃ」ピッ

真「ごめん涼、ちょっと用事ができたからいかなきゃいけないんだ」

涼「そうですか」

真「だからまた今度話そうか、男性アイドル頑張れよ!応援するから」

涼「はい、真さんも頑張ってください」

真「あとあの時の返事、次は女じゃなくて男として聞かせてよ!待ってるから」

涼「えっ…返事って?」

真「それじゃあ涼!また!」ダッ!

涼「あっ、真さん!」

涼(…返事って何だっけ?)

876プロ

涼「ただいま帰りました」

石川「涼、あなたにお客さんが来ているわ」

涼「お客さんって?」

武田「そう、僕だ」

涼「た、武田さん!?どうして武田さんがここに!?」

石川「喜びなさい涼、武田さんが直々にあなたに相応しい舞台を見つけてくれたのよ」

涼「えっ?」

石川「涼には悪いけど、やっぱりうちでは男性アイドルとしてプロデュースすることはできないわ」

涼「そんな…」

石川「でもあなたの努力を無駄にするわけにはいかない」

石川「武田さんと相談してあなたに相応しいところを探したわ」

涼「相応しいところ?」

武田「秋月君、君はもし876プロから離れて別の事務所でアイドルをすると言われたらどうする?」

涼「…え?それって…移籍とかですか?」

武田「完全移籍ではない、単に一時的にそこでデビューするだけだ…留学のようなものだ」

武田「僕なりに考えたんだが、キミは男としてデビューするならそれなりの環境でやるのが相応しい」

武田「そこで僕は315プロダクションという男性アイドルを育成する事務所にキミを推薦したんだ」

涼「315プロダクション?」

武田「そう、そこはまだ駆け出しだが成長が早い事務所だ、ジュピターもそこにいる」

涼「ジュピター…」

武田「もし男性としてデビューするならそこがいい、事務所や彼らと共に成長ができる」

涼「だけど僕が移籍するということは…」

武田「ああ、しばらく876プロから離れることになる」

涼「それってつまり…」

武田「男性アイドルの夢を取るか、ディアリースターズと共に活動することを取るかだ」

武田「二者択一だ、だが完全に移籍するというわけではない」

武田「君の気持ち次第だが、315プロで力をつけた後再び876プロに戻ることもできる」

涼「…」

武田「別に返事は今すぐでなくてもいい」

武田「気持ちの整理が整ったら僕に連絡をしてくれ、いいかい?

涼「わかりました」

武田「よし、それじゃあ僕は失礼する」

石川「本日はありがとうございました」

涼「…」

3時間後再開予定



夢子「さて、これでいいかしら?」

夢子「うん、我ながらいい出来ね!」

prrrrrrr

夢子「誰よ、こんな夜に電話する奴は?」ピッ

夢子「はい、桜井ですけど」

夢子「…涼!?ど、どうしたの突然電話して…!?」

夢子「…え、相談があるの?」

夢子「ええ…、わかったわ、そこにいけばいいのね」

夢子「ええ、それじゃあまた…」ガチャ

夢子「涼から相談なんて珍しいわね」

翌日

公園

夢子「こんなところに呼び出して…話って何、涼?」

涼「夢子ちゃん、相談があるんだ…」

夢子「珍しいじゃないの、あんたが相談なんて」

涼「実は僕…武田さんの誘いで876プロから315プロへ移籍する話を貰ったんだ」

夢子「ふ~ん、そうなんだ、武田さんの誘いなら受ければいいじゃない」

涼「あれ、素っ気無いね?」

夢子「涼がどこへ行こうが、私にとってはあまり関係ないからよ、その気になればいつでも会えるから」

夢子「たまに会いに行ったりすることもできるんでしょ?」

涼「まあね、完全に放れるわけじゃないよ」

夢子「なら迷う必要はないわ、適当に力をつけて戻ればいいじゃないの」

涼「うん…」

夢子「…もしかして迷っているの?」

涼「まあね、僕としては男として再デビューしたいけど、愛ちゃん達と別れるのも嫌なんだ…」

夢子「…」

涼「今まで三人一緒に頑張ってきたんだ、これからも三人でアイドルを続けたい…」

夢子「…」イラッ

涼「はぁ…876プロで男としてデビューするという選択肢がないのが本当に悔やまれるよ…」

夢子「…」

夢子「ああもう…じれったいわね!なによこの意気地なし!」

夢子「あの時私を元気付けてくれた涼はどこ行ったのよ!」

涼「えっ?」

夢子「ちょっと待ってなさい!電話したいところがあるから」

涼「電話…?」

ア、ワタシヨ

ジツハネ、リョウガイセキニツイテナヤンデイルノヨ

フタリヲトルカオトコヲトルカトイウワダイデカクカクシカジカ

バショハアノコウエンダカラ、アイサンニモツタエナサイ

ソレジャ

ピッ

夢子「全く…男の癖に優柔不断なんだから…」

30分後

愛「涼さん、夢子さんから話は聞きました!」

涼「愛ちゃん、絵理ちゃん!?夢子ちゃん、どうして…?」

夢子「あんたのうじうじした姿を見てイラッとしたからよ」

夢子「悩む暇があったら本音を言いなさいよ!大体彼女たちのほうが私より相談相手に相応しいでしょ!」

涼「うっ…」

絵理「涼さん、移籍したい…?」

愛「正直に答えてください!」

涼「わ、わからないよ…僕としては男としてデビューしたい」

涼「だけど、それで二人と別れることになるのは嫌なんだ…」

愛「完全に離れ離れになるんですか?二度と会えなくなるんですか?」

涼「そういうわけじゃない、ある程度月日がたったらまたここに戻れるけど…」

涼「僕としては…正直僕たち三人と一緒にいるのはとても楽しかった、これからもずっといたいよ」

涼「いろんなことがあったけど…長い間一緒にいたのに別れるなんて…」

愛「…」

絵理「涼さん、私…涼さんと別れるのはいや」

愛「あたしもです」

絵理「だけど、私たちに気を使って涼さん自身の夢を諦めることになるのはもっと嫌」

愛「あたしもです!」

絵理「涼さん、思い出して…涼さんの夢を…どうして涼さんがアイドルになったのかを?」

涼「僕の夢?」

絵理「私たちと一緒にいたかったから…アイドルになりたかったの?」

涼「…違う、僕は弱い自分を変えるために…強くなるために、カッコよくなるために」

涼「男らしくなるためにアイドルになりたかった」

絵理「なら、私たちのことは気にしないで」

夢子「夢を諦めないでっていったのはあんたじゃないの、その言葉を私の口から言わせる気?」

愛「空気など読むなですよ、涼さん!」

涼「…うん、そうだよね」

涼「夢を諦めるなといっておきながら、こんなところで諦めたら情けないもんね」

涼「わかったよ二人とも、僕はもう迷わない…男になるための修行に、移籍しに行くよ」

涼「二人とはしばらく会えなくなるけれど…」

愛「次会うときは男らしい涼さんとして帰ってきてください!」

絵理「そのときが来るまで待ってる?」

涼「うん、わかってる」

涼「離れ離れになっても、ディアリースターズの絆は無くなったりしたい、僕たちの関係は不滅だ」

愛「たまに遊びに来てください!」

涼「もちろんだよ」

夢子「やれやれ、一件落着ね」

涼「…というわけでお願いします」

武田『それが君の答えか』

涼「はい」

武田『わかった、これから手続きに入る、後のことは僕たちに任せてくれ』

武田『キミは新しいステージに旅立つための心構えを身に着けておくんだ』

涼「わかりました、あと…どうもありがとうございました」

武田『ああ、次の事務所での活躍、健闘を祈る』ガチャ

涼「…よし」

律子『まなみさんから事情を聞いたわ』

律子『涼、あんた移籍するんですってね』

涼「うん、一時的だけどね」

律子『正直もったいないわ、女としてデビューしたままのほうが活躍できるのに…』

涼「ちょっと律子姉ちゃん!?」

律子『冗談よ、あなたがせっかく叶えた夢ですもの、応援してるわ』

涼「うん、僕…きっとイケメンアイドルを目指してみせるよ!」

律子『イケメンね…ならまず少なくとも真を超えてみなさい』

律子『男だらけの中でアイドルしててもまだ可愛かったら男失格よ、いい?』

涼「うん、わかったよ律子姉ちゃん…僕、頑張るから」

翌日

涼「…これでよしっと」

まなみ「涼さん、しばらくお別れですね」

愛「正直寂しいです…」

絵理「愛ちゃん、量産を動揺するような言葉、言っちゃダメ」

涼「いいよ、寂しいのは僕も同じだから」

涼「でも大丈夫、すぐに戻ってくる、しばしの別れだよ」

愛「涼さん…」

絵理「涼さん…」

涼「それじゃあ僕は行くよ、今までありがとうございました」

石川「向こうに行っても、達者でやりなさい」

石川「ヘマやって876プロに恥を欠かせちゃダメよ」

涼「はい!」

涼「…それじゃあみんな、またね」

絵理「また…」

まなみ「また」

愛「また…また……」グスン

愛「また会いましょおおおおおおおおおおおお!!!」

マタイツカイッショニライブシマショウネエエエエエエエエ!!!

アタシタチモガンバッテセイチョウシマスカラリョウサンモセイチョウシテクダサアアアアアイ!!!

涼「ふふっ…、流石愛ちゃんだ、こんなに離れてもまだ聞こえるよ」

涼「…思い返せば本当に色々あったな、あの時は二人に秘密を隠すことが精一杯だったな」

涼「男として失格の行為を数え切れないほどやった気がするよ…、逮捕されてもおかしくなかった」

涼「だけど、もうその心配はない…もう秘密を隠す必要はない、やっと自由になれたんだ」

涼「そしてこれから新しいステージが僕を待ち受けているんだ」

涼「みんな、待ってて…」

涼「僕はもっと強くなる、夢を諦めたくないから」

そして…

涼「今日から僕の新しい人生が始まるんだ…!」

涼「みんなに受け入れてもらえるか、不安もあるけれど…これが、僕の夢だから!」

涼「決して恐れることなく今を楽しむよ」

ピンポーン

涼「すいませーん、こちらが315プロダクションでよろしいでしょうか?」

『はい、そうです』

涼「あの、自分…ここで新しくアイドルをやることになった秋月涼っていいます」

『はい、お話は伺っております、しばらくお待ちください』

涼「いよいよ始まる、僕の前に広がる新たなステージ、ここで僕は新たな第一歩を踏み出すんだ!」

涼「僕の戦いはまだ始まったばかりだ!」

涼が真のイケメンアイドルになれることを信じて

終わり

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