アニエス「ティズが私を求めてくれません……」 (72)

ブレイブリーセカンドのネタバレ注意
駄文注意

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私は本当に幸せ者です

なんたって、世界で一番大好きな人と結婚することができたのですから

巫女としてでも、法王としてでもなく、ありのままの私を包み隠さず見せられるティズの存在は、私にとって非常に大きなものなのです

そして、ティズと二人でノルエンデ村に住み始めてしばらくが経ちました

幸せでいっぱいな生活ではありますが、いくつか悩みを抱えるようになってしまいました……


ティズ「おはようアニエス。朝ごはんできてるよ」ニコッ

アニエス「おはよう、ティズ。相変わらず美味しそうですね」


まず一つ目の悩みは、ティズはとても手先が器用だと言うことです。ティズの料理はとてもおいしくて、幸せな気持ちになれますが、同時に自分への情けなさも合わさって複雑な気持ち

です……


ティズ「どうかした?もしかして、口に合わなかった?」

アニエス「い、いえいえ!違います!ティズの作った料理はいつも美味しいですよ!」パクパク

ティズ「そっか、良かった」ニコッ

アニエス「…………、」

アニエス「…………ね、ねぇ、ティズ?そ、その、明日は私が朝ごはんを作ろうと思うのですが、いいですか?」

ティズ「アニエスが作ってくれるのかい?それは嬉しいよ!ぜひ作って欲しいな!」ニコニコ


わー……////

ティ、ティズったら、なんて眩しい笑顔を向けてくれるのでしょう……////

でも、果たして期待に添えるようなものを作れるかどうか……

どうやら自分で悩みの種を蒔いてしまったようですね……頑張らなくては……

ティズ「じゃあ僕はちょっと外に出てくるね」ガタッ

アニエス「あっ、私も行きます!」

ティズ「え?ただの散歩だから別に楽しくないと思うよ?」

アニエス「い、いいのです。ティズと一緒に歩きたいだけですから」

ティズ「て、照れるなぁなんか……」


そうして私たちは村を歩きはじめました

一度は壊滅したノルエンデ村ですが、今となってはまったくそのような面影はありません

どこまでものどかで、どこまでも平和で

本当に素晴らしい村です


ティズ「いい天気だねぇ」

アニエス「ええ、本当に」


私達は自然と手を繋ぎながら歩いていました

ティズの手はとても温かくて、ティズの手を握っているだけでどこかほわわんとした気持ちになれます

「おーい、ティズくーん」ブンブン

ティズ「こんにちはー!今日もいい天気ですねー!」ブンブン


村に越してきたおじいさんが、ティズの顔を見るなり嬉しそうに大きく手を振ってきました

かつてノルエンデ村の復興総督に任命されたティズは、見事に故郷を復興させました。村人からの人望は相当厚く、誰からも好かれているのです

そしてこれが、私の二つ目の悩みでもあります


アニエス「…………ティズ」

ティズ「なに?」

アニエス「しょ、正直に答えてください」

ティズ「?」

アニエス「わ、私は、あなたの隣に居る者として、あなたと釣り合いが取れていますか?」

ティズ「えっ?」

ティズは、この村ではそれはもう人気者です。この村に限ってはあの世界的アイドル・プリンさんよりも人気者なのです

そんな彼と私では、実は釣り合いが取れていないのではないでしょうか……?


ティズ「何突拍子もない事言ってるんだよ、アニエス」

アニエス「で、ですが……」

ティズ「そもそも僕は、釣り合いだのなんだのと偉そうなことを言える立場じゃあないよ。ただの羊飼いでしかないんだからさ」

ティズ「というか、巫女で法王だったアニエスがそのセリフを言うのかい?」クスッ

アニエス「そ、それは過去のことです。大事なのは今ですから」


ティズはそんな私の顔をじっと見つめて、なんだか微妙な笑みを浮かべました

ちょっぴり呆れたような、ちょっぴり照れくさそうな、そんな顔


ティズ「僕の隣にはアニエスに居てほしいよ。釣り合いだとかそんなつまらないこと考えてほしくないな」


……あ、相変わらず、恥ずかしいことを面と向かって言いますね、ティズは……////

でも、彼の言葉を聞いて、私の不安はみるみるうちに薄れていきました


アニエス「は、はい……ティズが、そう言うのなら……////」


ティズの言葉で一つ不安が取り除かれました

しかし、私の一番の不安はいまだ残っています

それは……


―――――――――

―――――

―――



ティズ「さて、そろそろ寝ようか」

アニエス「ひゃ、ひゃい!!!」

ティズ「!? ど、どうしたのアニエス……」

アニエス「い、い、いえ!何でも!!」


私達はのそのそとベッドの中に入っていきました

私とティズはダブルベッドで毎晩一緒に寝ています……が、しかし……


アニエス(きょ、きょうこそ、来てくれるかしら……)チラッ

ティズ「……zzz」

アニエス(…………)


……そうです。私の一番の悩みは、ティズが私を求めてくれないことなのです……

私とティズが結婚して、もう結構な日数が経ちます

それなのにティズったら、私を一向に求めてくれないのです


アニエス(もしかして、クリスタルの巫女だったからでしょうか……?私はすでにオブリージュの名は捨て、身も心もティズに捧げる覚悟だというのに……)


キ、キス…は何回もしていますが、それより先はしていないのです

私はもう毎日のようにティズを受け入れるシミュレーションを重ねているのですが、それが活かせないのが現状です


アニエス(ど、どうしてなのでしょう……。考えたくはありませんが、私に女性としての魅力が感じられない……とか?)


ティズ……あなたは、私では、こ、興奮できないのですか……?

だとしたら、私はどうすれば……

―――――――――――――

―――――――

―――


ティズ「ふわぁ……朝か……」

アニエス「オハヨウティズ」

ティズ「うわぁ!?アニエス、どうしたのその隈!」

アニエス「考え事をしていたら、眠れなくなってしまって……」

ティズ「考え事?何かあったの?」

アニエス「ええ……まぁ」

ティズ「……ねぇアニエス。悩みを一人で抱えるのは君の悪い癖だよ」

アニエス「すみません……」

アニエス(あなたのせいですけどね?)

ティズ「誰かに相談するって言うのはとても大事なことだと思う。だから、あまり抱え込まないようにね」

アニエス「は、はい……」

その後、私は宣言通り朝食を作るも、寝不足のせいで散々な結果となってしまいました……

寝不足じゃなくても失敗していたような気もしますが、たぶん寝不足のせいです


ティズ「えっと……前より上達したんじゃないかな?この調子だよ、アニエス」


ああ……ティズの優しい言葉がこんなにも辛いとは……

さらに落ち込んでしまいます……


ティズ「じゃあ僕は少し羊達の様子を見てくるから。アニエスはちゃんと睡眠とりなよ?」

アニエス「は、はい……すみません……」

ティズが家から出てからも、私はずっと考えていました

一体どうしたらティズは私を求めてくれるのでしょう……

色々と考えていると急に、トントン、とノックの音が響きました

ノックをすると言うことは、ティズじゃないのは確かですが……


アニエス「はい、どちら様でしょうか?」ガチャ

マグノリア「Long time no see!お久しぶりね、アニエス」

アニエス「マ、マグノリア!?どうしてあなたがこの村に!?」

マグノリア「ちょっとカルディスラに用事があったの。せっかくだからノルエンデ村に寄ってティズとアニエスに会おうかなってね」

アニエス「そうでしたか……」

マグノリア「あら?どうかした?浮かない顔ね」

アニエス「………………」




―――誰かに相談するって言うのはとても大事なことだと思う。だから、あまり抱え込まないようにね




アニエス「……あ、あの、相談があるのですが」

マグノリア「相談?私でよければ」

アニエス「と、とりあえず中に入ってください」

マグノリア「ええ、ありがとう」

マグノリア「で?相談って?急に来た私を頼るだなんて、よっぽど切羽詰まっているのね?」

アニエス「ええ、正直かなり切迫した状況です。……実は……その……言いにくい事なのですが……」

マグノリア「大丈夫よ。ほら、言ってみて?」

アニエス「えっと……ティ、ティズが……」

マグノリア「ティズが?」

アニエス「ティズが私を求めてくれません……」

マグノリア「へっ!?///」

アニエス「ど、どうしたらよいでしょうか?恥ずかしながら一人では良い考えが浮かばなくて……女性として貴方の意見を伺いたいのです……って、どうかしましたかマグノリア?」

マグノリア「だ、だいじょうぶよ……続けて」


どうしたのでしょうマグノリアは……

若干顔を赤らめて、急にそわそわしだしてしまいした


マグノリア(私だってまだユウとSEXしたことないのに……そんなのよく分からないわよぉ)

アニエス「どうやったらティズは私を求めてくれるようになるのでしょう?」

マグノリア(アニエス……本当に切羽詰まってるのね。私の知ってるアニエスなら絶対言わないことだもの……)

マグノリア(力になってあげたいけど、なんて言ったらいいのかしら……)

アニエス「……やっぱり、そんな方法有りませんよね……ティズは筋金入りの朴念仁ですから……もう一生求めてくれないかも……」グスッ

マグノリア(はっ!!そ、そうか!)

マグノリア「わ、分かったわアニエス!逆転の発想よ!」

アニエス「逆転の発想……?」


私はマグノリアの言葉をおうむ返しに呟きました

一体どういう意味なのでしょう?


マグノリア「あなたがティズを求めればいいのよ!ティズみたいなSpecialな朴念仁にはそうでもしないとだめなのよ!」

アニエス「わ、私が、ティズを求める……?////」

その発想は全くありませんでした……

私ときたら、ティズにどう私を襲わせるかばかり考えて、自分から行動することを放棄してしまっていたのです

元巫女として……元法王として、私は恥ずかしい……


マグノリア「純朴なティズを待つよりもそっちのほうがいいわ。一度あなたの方からティズを求めれば、以降はティズの方から求めるようになるかもしれないしね」


早口でまくしたてるマグノリアの言葉を、私は頭の中で何度も繰り返し、そして―――


アニエス「……ありがとうございます、マグノリア」

アニエス「私は…私は……!!ティズを!!襲います!!!!!」


―――覚悟は決まりました

今までの受け身な姿勢を崩し、今度は私の方から、ティズを襲ってみせます!!

続きます
読んでくれた方ありがとうございました

投下します

―――――――――――

――――――

―――



ティズ「へぇ、今日マグノリアが来てたのかぁ。気付かなかった」

アニエス「はい。色々と助かりました」


私は夕飯時に、マグノリアが来ていたことをお話しました

話の内容まではもちろん話していませんが……


ティズ「うーん、残念だったな。僕もマグノリアに会いたかったよ」

アニエス「…………むむ」


ティズったら……他の女性のことを気にするなんて、私の処女を奪ってからにしてほしいものです

アニエス「話は変わりますが、実は明日エタルニアに行こうかと思っているのです」

ティズ「エタルニア?もしかしてイデアに用事?」

アニエス「ええ、よくわかりましたね」

ティズ「あはは、アニエスの考えることは大体分かってるつもりだよ」ニコッ

アニエス「……………………………………」ジトー

ティズ「えっ、な、何?ごめん、僕おかしなこと言った?」

アニエス「なんでもありませんっ」


爽やかな笑みを浮かべながら平然と嘘を言うだなんて、まったくティズは困った人です

困ったさんのティズには然るべきオシオキが必要ですね……ふふふ

なんだかティズを襲いたいという気持ちがより一層高まった気がします

明日のエタルニアへの旅立ちが楽しみです

その夜、ティズがいつも通り寝てしまった後、私は寝室を抜け出してペンダントに呼びかけました


アニエス「イデア……イデア、聞こえますか」

イデア『おーアニエスじゃん!どうかした?』

アニエス「すみません、夜分遅くに。お仕事もあるのに……」

イデア『仕事なんて今日はもうとっくに終わったよー。で、どうかしたの?』

アニエス「あの……実は……ブ、ブラボービキニ……か、貸していただけませんか?」

イデア『…………ん?ごめん、よく聞こえなかった。何を貸してほしいって?』

アニエス「ブラボービキニ……です」

イデア『……アニエス。熱でもあるの?』

アニエス「ね、熱なんてありません。実は……」


私は顔を真っ赤にしながら、途切れ途切れに事情を話しました

私の話を聞いていたイデアも私と同じくらいに顔を真っ赤にしていたと思います

アニエス「……と、いうわけで、私はブラボービキニを着てティズを襲いたいと思ったのです」

イデア『あー……色々言いたいことはあるけど、とりあえずアニエスのためなら全然いいよ。貸すというか、もうそのままあげる』

アニエス「ええ!?いや、それは悪いです!」

イデア『いいって。多分あたしは使わないから、アレ』


何度か押し問答を繰り返した結果、私はイデアからブラボービキニをそのまま譲り受けることになりました

若干押し付けられたような気もしますが、イデアには感謝しなくてはなりませんね


アニエス「もし必要になったらいつでも言って下さい。すぐにお返ししますからね」

イデア『相変わらず律儀だなーアニエスは…………そうだ、エタルニアにはティズと一緒に来るんでしょ?』

アニエス「いえ、ティズは行きませんよ?村人から大事な相談を受けるそうなので」

イデア『えー!?ティズなしでエタルニアまで来るなんて絶対無理だからやめた方がいいよ!』

アニエス「なっ!?」

イデア『アニエス一人じゃ一生かかっても辿り着けないよ!?私が飛空艇出すように指示するから、絶対一人で来ちゃダメよ!』

アニエス「そ、そんなわざわざ……公国の手を煩わせるわけには……」

イデア『ぐだぐだ言わない!元法王なんだからそれくらいの待遇は許されるって』

アニエス「…………本当にいいんですか?」

イデア『いいよ、元帥のあたしが言うんだから間違いない』

アニエス「……何から何まですみません。ありがとう、イデア」

イデア『いいって。おやすみ、アニエス』

アニエス「はい、おやすみなさい」


良い友人に恵まれて、私は本当に幸せ者です

晴れやかな気分で寝室に戻り、すやすやと寝息を立てているティズにキスをして眠りにつきました


翌朝


ティズ「アニエス、忘れ物はない?」

アニエス「はい。まぁ旅とは言っても、公国が飛空艇を出してくださるので、明日の昼には帰ってきますよ」

ティズ「イデアには感謝しないといけないな」

アニエス「ええ…………あ、来ましたね」


エタルニア公国軍の飛空艇が上空から降りて来ました

想像よりもずっと大きな飛空艇で正直驚きが隠せません

そして、飛空艇の中から出てきた人物を見た私とティズはさらに驚きました


アナゼル「お迎えに来ました、元法王」

ティズ「アナゼル!まさか君が来てくれるなんて思わなかったなぁ」

アニエス「ええ。イデアの側近であるあなたにわざわざ出向いていただけるなんて……」


飛空艇の中から出てきた暗黒騎士アナゼル・ディーは、ティズと私の驚く顔を見て呆れた声で言いました


アナゼル「あのな……アニエス・オーリアは元法王でイデアの友人だぞ?生半可な護衛じゃイデアが納得するわけがないだろう」

ティズ「あはは、確かに」

アナゼル「さあ、アニエス。早く乗ってくれ」

アニエス「あ、はい!ティズ、また明日!」

ティズ「うん、また明日!アナゼル、アニエスのことよろしくね」

アナゼル「ああ、もちろんだ。さぁ、発進するぞ」


そうして私はブラボービキニを譲り受けるため、エタルニアへと出発しました

今日一日ティズと会えないのは辛いですが、それもティズとの未来のため。致し方ありません


アニエス(そういえば、ティズが村人から相談を受けると言っていましたが……どんな相談なのでしょう?)


少し疑問に思いましたが、すぐに忘却の彼方へと消え去りました

今の私にとって、今一番重要なのはそんなことではなく、ティズとの明るい未来ですから

続きます
次回はR18要素を含むので注意

投下します

エタルニア公国




アナゼル「着いたぞ。知ってのとおりだが、エタルニアは気温が低い。防寒具はあるか?」

アニエス「ええ、もちろんですよ」


私はついにエタルニアへと足を踏み入れました。イデアが持っているあのビキニは、ティズを襲ううえでかなりの効力を発揮してくれるはずです

アナゼルと複数の護衛に導かれ、イデアのいる総司令部へと歩き出しました


アナゼル「アニエス、聞きたいことがあるんだがいいか」

アニエス「はい?」

アナゼル「イデアに何の用事があるんだ?イデアは何故か教えてくれなかったのだが……」

アニエス「えっ!?えーとえーと……ひ、秘密です////」

アナゼル「イデアも同じような反応をしていたが……まぁいい。友人同士でしか話せないことも多いだろうしな」

アニエス「ご理解いただき感謝します……」

総司令部の中には何度も入りましたが、なぜかまったく道を覚えられませんね……どうしてなのでしょう

ですが今日はアナゼルが道案内をしてくれるので安心ですね


アナゼル「イデアは自分の部屋で待ってるそうだぞ。イデアの部屋への道は分かるな?」

アニエス「え!?部屋への道……ですか?」

アナゼル「…………分かった。そうだったな、部屋の前まで案内しよう」

アニエス「……ほ、本当にすみません」


いつかは方向音痴も直したいものですが……いつのことになるのやら、まったく見当もつきません

とは言っても、ティズと一緒に居れば迷子になることはないので、もう直さなくても大丈夫でしょうか……

これからもずっとティズと一緒にいるのですから、方向音痴なんてきっと気にならなくなってしまいますよね?


アナゼル「おい、何をぼーっとしてる。もう部屋の前まで来ているぞ」

アニエス「あれ!?す、すみません。それじゃイデアのところに行ってきます」

アナゼル「ああ」

イデアの部屋




イデア「おっ、来たねアニエス。久しぶり!」

アニエス「ええ、お久しぶりです!」


私達は久々の再会にしばし昔話に花を咲かせました……が、すぐに本題に入りました


イデア「う~ん……それにしても、アニエスからその気にさせるなんて、ティズすごいねー」フフフ

アニエス「わ、笑い事じゃありません。ティズったら本当にしょうがないんですから……」

イデア「まぁ、たしかに笑い事じゃすまないか……結婚してからもう大分経つもんね」

アニエス「ええ……」


その後、しばし沈黙が続きました。イデアがそわそわし始めたのを見て、ブラボービキニを渡すタイミングを図っているのではないかと予想した私は、小さく咳払いをして、


アニエス「イデア……そろそろ例のブツをいただけますか?」


そう切り出すと、イデアはほっとしたように笑いました。


イデア「うん、もうちゃんと用意してあるからね!はい!」

アニエス「ありがとうございます。大切に使いますからね!」

イデア「あはは、頑張りなよ?しっかりティズを襲わなくちゃ」

アニエス「はいっ!」

イデア(良い返事~………よっぽど切羽詰まってたんだね、アニエス…)ホロリ

もう辺りは暗くなってきていました。窓から外を見渡したイデアは、私のために温かい寝室を用意すると言ってくれました

本当に、イデアには頭が上がりません。お世話になりっぱなしですから、いつか恩返ししないといけませんね……


公国軍兵士「元帥閣下、準備できました」

イデア「おっ、ありがと。アニエス、寝室の用意できたって」

アニエス「ありがとうございます。えっと、場所は……」

公国軍兵士「大丈夫です。自分が責任を持って案内します」ビシッ

アニエス「す、すみません……」

イデア「あはは、アニエスの方向音痴も有名になったもんだねー。それじゃあおやすみ、アニエス」

アニエス「はい、おやすみなさいイデア」ニコッ

寝室





はぁ……今朝まで一緒に居たはずだというのに、やはりティズが恋しくなってきました

今の私と同じように、ティズも私がいなくて寂しい思いをしてくれているのでしょうか……


アニエス(声だけでも聞ければ……あ、そうでした!ペンダント!)


ティズにはいざという時のためにペンダントの欠片を渡していたのでした!普段は全く使わないからすっかり忘れてしまっていたのです

私は急いでペンダントを取り出して呼びかけました


アニエス「ティズ……聞こえますか?ティズ……」


反応はありませんでした。普段使うことが無いものですから、仕方のないことかもしれませんね……

ティズの声を聴くことができず、意気消沈してたとき、突如ペンダントが輝きだしました


ティズ『もしもーし?アニエス、どうかしたの?』

アニエス「ティズっ!」パァッ

アニエス「ティズ、体調はどうですか?どこか痛かったりしませんか?」

ティズ『ん?元気だよ』

アニエス「良かった~……私がいない間にティズに何かあったらどうしようかと……」

ティズ『はは、心配性だなぁ』

アニエス「それにしてもよく気付きましたね。私達二人にとっては今まで必要のなかったものですから、気付かないかと……」

ティズ『君のことを考えていたら、ペンダントの欠片のことを思い出したんだよ』


ああ、ティズ……私は……


アニエス「あなたに会いたいです……ものすごく」

ティズ『うん、僕もだ』


顔がにやけそうになるのをこらえるのに必死でした……

ティズ『ところでアニエス、イデアとの用事はもう済ませたのかい?』

アニエス「え、ええ……はい」


そこで私はふと、ティズが村人からの相談を受けていたことを思い出しました


アニエス「ティズの方は無事相談事は解決できたのですか?」

ティズ『ああ、それがちょっと用事があったらしくて、明日の朝に延長したんだよ』

アニエス「そうなんですか。ちなみにどんな相談内容なんです?」

ティズ『実は僕もまだ知らないんだよ』

アニエス「あら?そうだったんですか……ふわぁ」


ティズの声と顔を確認して安心したのでしょうか。段々と睡魔が襲ってきました

ティズはそんな私の表情を見て、穏やかに笑いながら、


ティズ『そろそろ寝る時間だね。おやすみ、アニエス』

アニエス「はい、おやすみなさい……ティズ……」ウツラウツラ

―――――――――――

―――――――

―――

イデアからブラボービキニを譲り受け、エタルニアから無事ノルエンデ村に着いた私は、意気揚々と家への道を歩いていました

ようやくです。ようやくティズと繋がるための準備が整いました

私の一番の悩みがついに解消される時が来たのです

家までの道のりで、私はどのようにティズ襲うか考えていました

襲うとは言ってもやはり優しく、ティズを包み込むような穏やかな心でエスコートする、というのが理想でしょうか

本当にティズを襲おうとしても、私の腕力じゃティズには敵いませんから、やはり大人っぽくティズを導く、というのがよさそうです


アニエス(ふふふ……ティズの反応が楽しみですね)ニコニコ


ようやく家の前まで着きました。流石の私も、村の入り口から自分の家までは一人でも大丈夫なのです

嬉しさを隠そうともせず、満面の笑みを浮かべながら、私は勢いよくドアを開きました


アニエス「ティズ!ただいま!」


…あら?反応が無いですね…………

家中を探し回りましたが、どうやらティズはいないようでした

真面目なティズのことですから、きっと牧場で羊の様子を見ているのでしょう

私は家のすぐ近くにある牧場を見渡しました


アニエス「あっ!ティズ………………あら?」


牧場の中に、確かにティズはいました……が、ティズの隣にもう一人、私の知らない人が立っていました

その人は髪の長い女性で、なんだかとても仲睦まじそうに談笑していたのです

特に女性の方は恍惚とした表情を浮かべているようにも見えます


アニエス(ティズ……?)


なんでしょう、この気持ちは……

今まで生きてきた中で最大級の焦りと不安と怒りがこみ上げてくるのが分かりました

様々な感情が混ざりに混ざって、気が付いたら私はティズと髪の長い女性の元へ全力で駆け出していました

ティズ「世間話はこれくらいにして……そろそろ相談の本題を聞かせてほしいんだけど」

村娘「えっと……実は私……////」





アニエス「ティズっっっ!!!!!!!!」ダダダッ





ティズ「あぁ、アニエス!おかえ……」


ティズが何か言い終わる前に、私は我ながら驚くほどの速さと力でティズの二の腕をがっちり掴んで、そのまま家の方へずんずん進んでいきました

多分この時の私の顔はもうすごいことになっていたと思います

もし今の私を法王としての顔しか知らない人が見たら、きっと私だと分からないでしょう。それほどすごい形相でした

ティズ「ちょ、ア、アニエス!?急にどうしたんだよ!?」ズルズル


ティズの問いかけには答えず、私は玄関扉を弾けるように開け、そのままずんずんと寝室までティズを引きずり、私達のベッドにティズを投げました


ティズ「ぐえっ!な、アニエス……んぷっ!?」


抗議をしようとしたティズに覆いかぶさり、頬を両手でがっちり掴んで強引に唇を重ねました

苦しいのか恥ずかしいのか分かりませんが、ティズの体温は凄いことになっていました。かくいう私も気持ちの昂りを抑えられずに顔を真っ赤にしていたのですが……

息が続く限りのキスを終えた私は、超至近距離でティズの瞳を見つめました


ティズ「ア……アニエス……どうしたんだよ……」ハァハァ


息も絶え絶えに呟くティズの口を再び唇でふさいで舌をねじ込みました。暴れるティズの舌を絡め取り、舌の先を吸い上げると、ティズは目を見開いて足をバタバタと動かしました

ティズ「ぷはっ……アニエス!一体どうしたっていうんだよ!?」

アニエス「どうしたもこうしたもありません!!!ティズのばかっっっ!!!!」

ティズ「へ……?」


私が気持ちの昂りを抑えようともせず訴えると、ティズはきょとんとした表情でそんな気の抜けた声を出すものですから、私はより一層想いが爆発しました


アニエス「ばかっ!ティズのばか!私がどんな想いであなたとの毎日を過ごしていたか分かりますか!?私がどんな想いでエタルニアに行ったか分かります!?」

ティズ「アニ……エス……?」

アニエス「あなたと…え、えっちなことがしたくて悩んでいた私の気持ちが、分かりますか!?」

ティズ「えっ!?////」


素っ頓狂な声を上げて顔を真っ赤に染めるティズを見て、私は段々と理性のブレーキが利かなくなっていくのを感じていました

ティズの服の裾を掴んでまくり上げ、続いてズボンを下ろそうとしたところで制止がかかりました


ティズ「アニエス!?ほ、ほんとにどうしちゃったんだよ!君らしくないことばっかりして!」

アニエス「黙ってくださいティズ!!私は、私はずっと不安だったんですよ!?それなのにあなたは、村の女性とあんなに仲睦まじそうに!!」

ティズ「!?」

ティズ「待ってアニエス。僕はあの娘にそんな特別な感情は……」

アニエス「あの娘の恍惚とした表情を見ましたか!?どう見たってあなたに気があるじゃないですか!」

ティズ「そ、そんなことありえないって……」

アニエス「あなたはもっと自重して下さい!老若男女構わず好意を振りまいて!!そんなだから、あの娘のような……!!」

ティズ「と、とりあえずゆっくり話し合おう?ね?」


私はティズの制止を振り切り、無言で強引にズボンを下ろしました

今朝ノルエンデ村に着いた時には、ティズを包み込むような穏やかな心でエスコートする、などと思っていましたが、やはり理想と現実は異なるものなのですね

まったくの正反対。私は自分でも驚くほどの腕力でティズを襲っているのです


ティズ「わわっ!アニエス!ほ、ほんとに待って!」

アニエス「拒否します!もう待てません!」

そう言って私は、自分の衣服に手を掛けました。そう、実はイデアから譲り受けたブラボービキニをすでに服の下に着ていたのです

昔の私はこの恰好を恥ずかしいと思っていましたが、今は違います。今となっては頼もしい戦友のようにすら感じています

衣服を脱ぎ捨て、ブラボービキニ姿の私を見たティズは今にも爆発しそうなほどに顔を真っ赤に染めました

そして、ティズの下着がそそり立っているのを見て、私はあまりの嬉しさに興奮しました

興奮のあまり、目にもとまらぬ速さでティズの下着を剥ぎ取り、ティズのソレがむき出しの状態になりました


アニエス(は、初めて見ます……これが、ティズの……////)サワッ

ティズ「わっ!?」


ティズの反応がなんだかおかしくて、それと同時にとても愛おしい……


アニエス「ティズ……私なりに精一杯頑張りますから、私を不安にさせた責任……取ってもらいます」


そう囁いて、私はもう一度ティズに口付けをしました

そうするとティズはそれ以上の抵抗をやめ、体の力を抜いてこくりと頷きました

続きます
次回で終わります。読んでくれた方ありがとうございます

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