草十郎「ラブレターをもらった」 (38)

魔法使いの夜のSSです
時系列は金鹿と有珠が一応の面識があるくらいの時期です
エログロシリアス一切なしのコメディです
次レスから投下始めます


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 教室


草十郎「…………」シゲシゲ

木乃美「よーう静希。何読んでんだよさっきから」

草十郎「これか? 恋文だ。鳶丸が言うところの『ラブレター』でもある」

木乃美「ほっほーう、そりゃまた結構なことで……」

草十郎「写真も同封されてたんだ。見るか?」

木乃美「お。D組の三好ちゃんか。ちょっとぽっちゃり気味だけど、優しいいい子だぞ」

草十郎「そうなのか」

木乃美「そうそう……って何ィ――!? 静希にラブレターだと―――!!」

『静希にラブレターだと……?』『どうしてあいつに……!』『静希くん可愛いもんねー』『分かる分かる! 純真無垢って感じで和むよねー』

草十郎「……そんなに騒ぎ立てるようなことなのか? ただの手紙じゃないか」

木乃美「いやっ……おまっ……普通大騒ぎするだろ!? 何でそんなに泰然としてんだよ!」

木乃美「はっ!? もしかしてお前、山で夜這いみてーなことしてたんじゃないだろうな!」

草十郎「するわけないだろ。木乃美、俺のことを何だと思ってるんだ」

『ホントよねー、木乃美サイテー』『発想がいかにもバカな男子って感じ』『まあ木乃美だしな……』

木乃美「ぐっ……! だがすまねえ静希、ゲスな勘ぐりをしちまった、許せ」

草十郎「俺はまだ十七なんだ。そんなことしたら、仕置き程度じゃ済まない」

木乃美「年齢の問題だったのかよ……そんで? 何て返事するんだよ」

草十郎「そりゃ断るに決まってる。第一、よく知らない相手と適当に一緒になるなんて不誠実だ」

木乃美「お、おお……ごもっともだな、オイ」

草十郎「当然だ。自分の子を産んでもらう相手なんだから、慎重にならなくてどうする」

木乃美「そうだよなー。一生の問題だもんなー……ああ!? ちょっと待て静希! 何だ今の問題発言はお前この野郎!」

草十郎「?」

木乃美「子って! 高校生にして相手孕ますこと考えてんのか! 進んでんなコラ!」

草十郎「山では何が起こるか分からないからな。作りたい相手ができて、お互いの合意が得られたら、すぐにでも作るべきだと思う。というか、皆はそうしてきた」

木乃美「はっは~……そりゃまた合理的なアレだな、アレ。う~む、すまん静希! 俺の尺度で茶化しちまった! この通り!」

草十郎「そんな大げさにしなくてもいいぞ。価値観の相違を乗り越えて、人は分かり合っていくものなんだ」

木乃美「……つか、ここは山じゃないだろ? なら、適当に付き合っちまってもいいんじゃねえか? 付き合って初めて分かることってのもあるだろ」

草十郎「……そういうものなのか?」

木乃美「そういうもん」

草十郎「なるほど……」

すいません書き溜めが切れました
ある程度溜まったらまたすぐ投下します

お待たせしました 
完結したので投下再開します

 ――――――――


 久遠寺邸


草十郎「――――ということがあったんだけど、二人はどう思う?」

青子「へえー…………まあ好きにすれば? アンタの勝手だし」シラー

有珠「…………」ツーン

草十郎「(……マズい、怒らせた)」

草十郎「や、やっぱりやめておくよ。こんな不誠実なこと、良くないからな」

青子「何でやめるの? いいじゃない、ちょっと試しに付き合って、つまみ食いしてサヨナラなんて、別に珍しいことでも何でもないのに、ねえ有珠?」

有珠「……そうね。静希くんがそういう風に振る舞ってみたいと思うのなら、私は止めるつもりはないけど」


 ソノ代ワリ

 二度トコノ屋敷ノ敷居ヲ跨ゲルト思ウナヨ


草十郎「……いや、良くないことだ。はっきり断るよ」

青子「そ、そう……」

有珠「…………」ホッ

草十郎「それで、どうやって断ればいいと思う? 手紙で告白されたんだから、やっぱりこっちも手紙で返すべきだろうか?」

青子「そんなまどろっこしいことしなくていいでしょ。バシッと口で言って来なさいよ」

草十郎「なるほど。具体的には?」

青子「具体的ったって……『付き合うか付き合わないか』『どうして付き合えないのか』『自分はどう思っているのか』だけ明確にしておけば問題ないでしょ」

草十郎「ふむ。『君とは付き合えない』『何故なら君と子供を作る気がないから』『個人的には、安産型で魅力的だと思っている』って感じでいいかな?」

青子「あーまあいいんじゃない……って良くない! 子供を作る気がない? 安産型で魅力的? 何考えてんのよアンタは!」

草十郎「いや、相手の体格を気にするのは当然だろう。子供だけじゃなく、下手をすれば母体にだって影響が出るかもしれないんだぞ」

青子「そういうことじゃなく! もっとオブラートに包めって言ってるのよ!」

草十郎「オブラート……よく分からない。分かりやすく言ってくれ、蒼崎」

青子「だから、今はそういうのに興味がないとか、勉強に集中したいとか、もっともらしいこと言っとけばいいの」

草十郎「興味ならあるぞ。それに、勉強なら蒼崎が見てくれるから心配ない」

青子「だーかーら! 当たり障りなく断る理由を見繕えって言ってるの!」

草十郎「当たり障りなく……他に好きな人がいるとか?」

青子「ま、まあアンタがそれでいいと思うなら」

草十郎「よし、ならそれでいこう。ありがとう蒼崎、参考になった」

青子「全く、あんまりおかしなこと言わないでよね」

草十郎「大丈夫だ。心にもないことを言おうとするから、話がこじれるんだ。俺の本音をぶつけてくればいいんだろう」

青子「まあ、そういうことだけど……」

草十郎「じゃあ、バイトがあるからこれで。なるべく早く帰ってくるよ」

青子「はいはい、行ってらっしゃい」

青子・有珠「「………………」」


 ――――――――


 生徒会室


青子「…………」モンモン

金鹿「……どうしたの青子。何かあったの?」

青子「……草十郎、昨日ラブレターもらったそうなの」

金鹿「そんな噂を聞いたわね」

青子「それで、どうしたらいいかって相談を受けたのよ」

金鹿「ふーん」

青子「断るって言うから、台詞を考えてあげたの」

金鹿「なるほど」

青子「で、結局その……自分の本音をぶつけてくるってことで話がまとまったわけ」

金鹿「ふむふむ」

青子「だから……」

金鹿「だから?」

青子「……いえ、それだけよ。なんでもない」

金鹿「そ。ならいいけど」

青子「…………」

鳶丸「……噂話がソースで恐縮なんだが、面白い話を一つ聞いたなぞ、蒼崎」

青子「何!?」

鳶丸「曰く、静希草十郎は蒼崎青子に飼われている」

青子「ハァ!?」

鳶丸「曰く、首輪は蒼崎に普段からつけているように言われている」


青子「な……な……」

鳶丸「曰く、屋敷にいる間はずっと犬扱いで、気の向くままに好き放題されている、と」

金鹿「わーお……」

青子「な、な、な……」

青子「何なのよそれは――――!」


 ――――――――



 教室


『2年C組静希草十郎! 今すぐ第二生徒会室まで来なさい! ダッシュ!』


『おお……飼い主の呼び出しだ』『食事時でもお構いなしなのね……』『食事時だからこそだろう……』『一体どんなことさせられてるのかしら……』


木乃美「へい。呼ばれてるぜ、ワンちゃん」

草十郎「そうみたいだな」ガタッ



 ――――――――


 生徒会室


青子「草十郎! そこに座りなさい! 土下座よ土下座!」

鳶丸「いきなり容赦ねえな」

金鹿「おすわりじゃなくていいの?」

青子「黙らっしゃい!」

草十郎「それで。一体何の用だ、蒼崎。早く弁当を食べたいんだけど」


青子「何の用ですって……!? 私の! イメージと! 体裁と! 円満な学校生活をぶち壊してくれた賠償をしろって言ってるのよ~~~~!」

草十郎「く、苦しい。苦しいぞ蒼崎……」

鳶丸「そのへんにしておけよ、蒼崎。ペットにあんまり乱暴するもんじゃ……ぷふっ」

金鹿「そうよ。いつか静希に手を噛まれ……ぷふっ」

青子「ア・ン・タ・た・ち~~~!」ガルルル

草十郎「お、俺はただあの洋館での扱いをありのまま語っただけだ。嘘なんて一言も言ってない」

青子「言い方ってもんがあるでしょ言い方が! こ、これじゃまるで私が草十郎を奴隷扱いしてるみたいじゃない!」

鳶丸「性が抜けてるぞ、性……ぐはっ!」

草十郎「その通りじゃないか」

青子「ぐぬぬぬぬぬ……とにかく、その子のところに行って誤解を解いてきなさい。その首輪はアンタが好きでつけてるものだって」


草十郎「分かった。好きで蒼崎に飼われてると言えばいいんだな」

青子「違う! それはただのプレゼントで、私とアンタの関係は、ただの家主と居候で、何もやましいことはない! 復唱!」

草十郎「えーと、この首輪は蒼崎のプレゼントで、俺と蒼崎はただの家主と居候の関係で、一線を越えるようなことはしていない」

青子「際どいわ! あーもういいわよそれで!」

草十郎「本当にいいのか? あの家の家主は有珠だろう。それなのに、蒼崎を家主だなんて言うのは気が引けるな」

青子「じゃあ本当の主は有珠だってことも伝えればいいでしょ!」

草十郎「分かった。今度は誤解がないように言ってくる」ガラガラ

青子「ったくもー。何だってこんなことでこんなに大騒ぎしなくちゃいけないんだか」

鳶丸「中々お似合いじゃないか、お二人さん」

金鹿「ペットはナントカに似るって……」

青子「しつこい!!」


 ――――――――


 久遠寺邸


草十郎「蒼崎、例のことだけど、しっかり言うべきことは言ってきたぞ」

青子「はぁ~……私も噂をもみ消すのに一日使っちゃったわよ。気をつけなさいよね、全く」

草十郎「悪かった、反省してる」

青子「最近それもあんまり信用できなくなってきたわね……」

草十郎「む……」


 じりりりりりりり


草十郎「電話だ。珍しいな」

有珠「…………」スッ

青子「いいわ、有珠。私が出てくるから」


 ――――――――


 玄関


青子「もしもし、久遠寺ですが」

金鹿『青子。そっちに静希いる?』

青子「クマ? 何、アイツに用事でもあるの?」

金鹿『いいえ、いるなら今すぐとっちめといた方がいいと思って』

青子「? どうしたの、一体」

金鹿『木乃美が「やっぱ進んでたんだなー静希のヤツ、いやービビったビビった」なんて言ってたから話を聞いてみたんだけどね』

青子「はあ」

金鹿『静希の本当のご主人様は久遠寺さんで』

青子「は?」

金鹿『普段青子の下についてるのは久遠寺さんにそう命令されてるからで』

青子「…………」

金鹿『青子も実は久遠寺さんに弱みを握られていて』


青子「………………」ワナワナ

金鹿『夜な夜な二人は久遠寺さんに言われるがままにとても口に出せないような恥ずかしいことをさせられてるとかって……』

青子「……………………はは」

金鹿『大丈夫。木乃美はちゃんとシメといたから』

青子「……………………ろす」

金鹿『え?』

青子「ゼッタイに殴血殺(ブチコロ)す!! 草十郎!! 首洗って待ってなさい――――!!」


 おわり

これにて完結です
魔法使いの夜アラカルトなるものをブクフで見つけたのですが、これは良いものですのでぜひご一読を
ではまた次の機会に

気に入った短編に触発されて書いたので、多分どなたかに指摘されるだろうと思っていましたが、まさかこれほど早いとは……
何か書きたかったので書いたのですが、それがパクリじゃ世話ないですね、すいませんでした
次はオリジナルのネタで勝負したいと思います

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