永瀬伊織「人格入れ替わりしながら」稲葉姫子「ダブルデート?」 (31)

○ユミシロのTwitterのアンケートリクエストから
○時期設定はミチランダム・感情伝導終了後~進級前
○アニメ14~17話を視聴していない方は注意
○入れ替わり中の【】が身体です。文字バランスの都合、名字の頭のみ。
○会話のみSS
○細かいことは気にしないでください
○進行遅いかもしれません


太一 「稲……永瀬?」
永瀬?「なんだ(低音)。……何?」

太一 「あんまりそういう顔するなよ」
永瀬?「可愛い【伊織】の顔が台無しだからか?」

太一 「稲葉の方が可愛いけどさ」
永瀬?「じゃあ、なんだ」

太一 「今は永瀬の身体なんだから不自然過ぎるだろ」
永瀬?「だって……太一とイチャつけないんだぞ。イチャイチャできないんだぞ。デレばん禁止とかどんな罰ゲームだよ」

太一 「埋め合わせはいくらでもするからさ」
永瀬?「一生涯かけて?」

太一 「ああ、決まってるじゃないか」
永瀬?「……うん。わかった」

太一 「……おっ。あれは瀬戸内じゃないか」
永瀬?「あいつらもなかなかのバカップルだな。アタシらほどじゃないが」


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城山 「明日のデート、楽しみだね」
瀬戸内「もう! 誰か聞いてたらどうするの?」

城山 「僕たちのことはみんな知ってるんだし、気にしなくていいんじゃないかな」
瀬戸内「は、恥ずかしいよ……(///」

城山 「じゃあ、デート行くのやめる?」
瀬戸内「行きたい!」

城山 「ハハッ。じゃあ、慣れるまでたくさんデートしようね」
瀬戸内「もう……城山君ったら」



永瀬?「…………き」
太一 「い、稲葉さん?」

永瀬?「きぃぇぇぇぇぇッ!! クソッ! マジで! なんで! 今さら人格入れ替わりなんてやんだよ!?」
太一 「お、落ち着け稲葉!? 永瀬だから違和感ないけど落ち着いてくれ!」

稲葉?「どったの稲葉ん。っていうか【わたし】」
太一 「永瀬か。稲葉が瀬戸内と城山のイチャイチャを見て……」

稲葉?「爆発しちゃった? まあ、【わたし】が太一とラブラブしてたら太一の立場がまずいもんね」
永瀬?「畜生! 壁はないか!? 殴ってもいい壁!」
太一 「元々俺たちもデートする予定だったからな……。デートに行ったとしても、例えば入れ替わりが起きたら
……永瀬が家にいたら、俺か稲葉がそっちに行っちゃうわけだし」




稲葉?「…………ねえ」

太一 「どうしたんだ永瀬?」

永瀬?「どうした伊織」



稲葉?「わたしたち、三人で一緒に出掛ければいいんじゃないかな?」

元ネタは知らんけど、永瀬伊織は流石に安直すぎるネーミングだろ原作者……


・ふうせんかずらがあらわれた!


ふ 「名前が長いからって…この省略はあんまりじゃないでしょうか……」
稲葉「だったら帰れ、<ふうせんかずら>。お呼びじゃねえんだよ」
永瀬「激しく同意するよ稲葉ん!」
太一「しかも、なんで俺たち三人だけなんだ?」


ふ 「ですから……お詫びです」
稲葉「おまえがアタシたちの前に現れないでいてくれる方が何より詫びになると思うんだが」


ふ 「今回は私からの善意というか、サービスです……」
永瀬「その善意、わたしたちにとって全部が得になるとは限らないんだよね?」


ふ 「ほら…【感情伝導】のときに思いもしなかった……不幸な、偶然……? 事故? とにかく、永瀬さんが大変、不愉快な思いをされたり、稲葉さんを危険なことに巻き込んでしまいましたので」
太一「その偶然を狙って、おまえが仕込んでなかった保証はないんだよな?」


ふ 「二次的な問題は僕の責任じゃありませんし……証拠はないんでしょう? なら、話を進めていいですよね……」

>>4作者がプロレス好きだから、そっち関係じゃないかと…


ふ 「今回は八重樫さん、稲葉さん、永瀬さん……。この三人の間で望まれる【現象】を起こしてあげます」
太一「拒否権は……ないんだよな?」

ふ 「私が自由に選んでいい、と解釈させてもらいます……」
永瀬「消去法で【人格入れ替わり】か【感情伝導】しかないと思うんだけど」

ふ 「【時間退行】は物理的な変化が起こりますからね……」
稲葉「【欲望解放】も論外だ。状況のコントロールがまったくできないからな」

ふ 「皆さんだったら、上手くやるんじゃないですかね? 【時間退行】なんて、僕も興味はありますよ……」
永瀬「じゃあ、【感情伝導】?」

ふ 「ああ……考えてみたら二回も同じこと続けるのはつまらないですよね?」
太一「それって、最初から【人格入れ替わり】にするつもりだったんじゃないのか……」




太一←入れ替わり→永瀬



永瀬【太】「おお!久しぶりの太一の身体だよ!?」

太一【永】「永瀬の身体になるのも久しぶりだな……もう二度とないと思ったんだが」

稲葉   「……不愉快だ。どうせなら自由に入れ替わりできるとか、もっと制御権寄越せってのに」



永瀬【太】「自由にできるなら最初から何もやらないしね」

太一【永】「まあ、その通りだよな」

稲葉   「……じゃあ、太一。とりあえずイチャつこう」




稲葉「……じゃあ、太一。とりあえずイチャつこう。そろそろ太一分の補給がしたいな♡」



永瀬・太一『…………どっちと?』




稲葉   「――――あの野郎ハメやがったなぁ!?」
永瀬【太】「元からそのつもりなんだと思う。ってかわかってるよね稲葉ん」


稲葉   「クソっ。どっちだ!? アタシは太一の【魂】と【身体】のどっちを選べばいいんだッ!!」

太一【永】「【永瀬の身体】とイチャイチャしてると……別の意味で問題だよな」

永瀬【太】「稲葉ッ。俺とのあんなことやこんなことは遊びだったのか!?」


稲葉   「違うんだ太一――――っておい。伊織、ちょっとこっち来い」

永瀬【太】「はッ。元に戻った! 違うんだ稲葉! 永瀬はあっちだぞッ!」

太一【永】「だ、騙されるな稲葉! まだ元に戻ってないぞ!?」


桐山「でも、いいんじゃないの? 三人の間だけだし。青木と違って太一はバカじゃないし」

青木「いや! 太一だってうっかりあんなことやこんなことぐらいするよな!」

稲葉「太一♡ アタシの【身体】大事にして……なんだったら好きにしていいんだぞ♡」

太一「だ、大丈夫だ……何もしないから。基本的なルールは前と同じでいいよな?」

永瀬「あれ? わたしが【太一】になってるとき稲葉んに襲われたりしないよね?」



稲葉「…………たぶんな」



太一「稲葉も【俺】になってるとき、変なことしないよな?」
稲葉「したらダメなのか!?」
桐山「自重しなさい!」


青木「ハッ! わかったぞ!」
太一「何がだ?」

青木「オレも唯とラブラブになったらお詫びに唯ともう一度【人格入れ替わり】ができるかもしれないんだよな!?」
太一「むしろそうやって期待させて何もしないと思うぞ」

稲葉「なあ、太一っ。ちょっとぐらい、いいだろう?」
太一「具体的に何をするんだ?」
桐山「そうそう。何をするの?」
青木「ナニをするって……アレじゃないの?」
永瀬「アレってなにさ」



稲葉「た、例えば……太一の声を録音したりとかっ」
永瀬「太一に何を言わせるのさ」
桐山「『稲葉ー愛してるー』とかそういうの?」


稲葉「ひ、姫……」
太一「『姫』って呼んで欲しいのか?」


稲葉「『姫子』って言わせたいなぁって……」


永瀬「太一少年っ。さっさと願いをカナエタマエ!」

太一「えっ…………ええっと」

桐山「名前ぐらい、いいんじゃないの? 二人とも付き合ってるんだし」

青木「オレも唯に『義文』って言われたい!」



稲葉「太一……」
太一「そ、そんな焦ることじゃないだろう!? ほら、これから少しずつ――――」


・永瀬←入れ替わり→太一


永瀬【太】「え?」
太一【永】「え?」


青木   「チャンスだ稲葉っちゃん! 伊織ちゃんに言わせたい放題だ!」
稲葉   「ストップ! 待て。伊織、言うなよ!」
永瀬【太】「稲葉ん……」


稲葉   「こ、心の準備がまだ……(///」

永瀬【太】「あー、あー、おほん。ひ」

太一【永】「待ってくれ! それは俺もまだ心の準備が……!」


永瀬【太】「どうしろってのさ」
桐山   「ねえ伊織。笑って笑って。はい、チーズ!」

永瀬【太】「……爽やかっぽく撮れた?」
桐山   「撮れたわよ。でもこの太一って、今の太一と変わらないよね」

永瀬【太】「ああ……そっか」
桐山   「稲葉と付き合ってから、太一もたくさん笑うようになったんだよね」


永瀬【太】「…………そうだね」

ちなみにアンケは10RTで以下のものに先に三票入ったら、というものでしたが
4分ほど10RT来たのでAで書いてます

A:稲葉姫子(デレばん)×八重樫太一×永瀬伊織

B:円城寺紫乃×宇和千尋

C:桐山唯×青木義文×八重樫太一

続きは明日投下します。失礼します。

追加



稲葉【太】「久しぶりの太一の身体だなあ……」
太一【稲】「稲葉の身体もあまり変わりないな……」


稲葉【太】「太一。それはアタシが全然成長してないって意味か?」
太一【稲】「いや……だって、稲葉は十分美人だし」

稲葉【太】「うんうん♡」
太一【稲】「俺の身体でデレるのはやめてくれ……」

稲葉【太】「それでなんだ? どこがいいんだ?」
太一【稲】「……脚はすらっとしてて、長くてきれいで」

稲葉【太】「うんうん」
太一【稲】「こう、背筋がきれいで」

稲葉【太】「♡♡♡」
太一【稲】「あとは…………その。怒らないか?」

稲葉【太】「早く言えよ♡」
太一【稲】「腰回りが……なんていうか」

稲葉【太】「きゃああああ♡ 腰回りっていうかアタシの尻が好きなんじゃないのか?」
太一【稲】「頼むから稲葉! 俺の声で『きゃあああ!』とかやめてくれ!」

稲葉【太】「今だったら、好きに触っていいぞっ♡」
太一【稲】「そ、それは自重するよ」

稲葉【太】「あとでみっちり文章にして書いてやるからな♡」
太一【稲】「18禁タグつけ忘れないでくれよ……」


・太一←入れ替わり→稲葉


稲葉「おっ。元に戻ったか」
太一「そう、みたいだな……」

稲葉「…………なあ、太一」
太一「なんだ」

稲葉「アタシはもっと、可愛く、きれいになってやるからな。覚悟しとけよ(パン☆指鉄砲」
太一「ぐはッ……あ、ああ。期待してるよ」

稲葉「そ、それに」
太一「まだ何かあるのか?」

稲葉「アタシ、成長してるかもしれないから……試してみてもいいんだぞ(揉み つ胸」
太一「」



太一【稲】「これは……」
稲葉【永】「」
永瀬【太】「」



稲葉【永】「稲葉~ん。たまにはわたしの相手してくれてもいいんじゃない?」
太一【稲】「え!?」
永瀬【太】「ちょ……稲葉ん!?」

藤島   「あら? 八重樫君、フラれちゃったの?」
太一【稲】「ふ、フラれ……」

藤島   「はッ! 新たなライバルが出現したというわけね。稲葉さんを巡って――――」
永瀬【太】「いや違――――」

稲葉【永】「太――――稲葉ん、早く行こーよ(ぎゅッ胸)腕」
太一【稲】「ええ!?」

藤島   「フフフフフフ。今の稲葉さん、とっても可愛いものね」
永瀬【太】(あかん……っていうかこれぐらいは――――いやでも)

稲葉【永】「――――太一ッ。稲葉んは簡単に渡さないからね!」
太一【稲】「ぶはッ」

藤島   「やだ。本気なの?」
永瀬【太】「【永瀬】? ちょっとこっちでお話ししようか?」


稲葉「メチャクチャ怒られた」
太一「そりゃそうだよ……。なんで俺まで」

永瀬「わたしの胸押しつけられてデレデレしてるからっしょ」
太一「してないだろ!?」

稲葉「伊織の胸が気持ちよくてデレデレしてたのか太一!?」
太一「稲葉がやったんだろ!?」

永瀬「あっ。否定しなかったね」
稲葉「よし。伊織、ちょっと癪だが……太一に抱きつけ。太一がどこまで反応するか見届けて―――」

・入れ替わった

太一【永】「」
稲葉【太】「」
永瀬【稲】「」


稲葉【太】「ちょっとトイレ行ってくる。男子トイレの方にな」
太一【永】「…………何をするんだ?」

稲葉【太】「ナニに決まってるだろ?(ゲス顔」
永瀬【稲】「太一のゲスい顔って酷いね」

太一【永】「止めに行くぞ!」
永瀬【稲】「わたし、行かないよ? って、ちょっと待って。その身体は【わたし】なんだからね!?」

稲葉   「さあ、ドンと来い」
太一【永】「ほ、本当にやるのか?」

稲葉   「もちろんだ」
太一【永】「(ぎゅっ」

稲葉   「見た目は【伊織】だが、やっぱり太一だな……」
太一【永】「【永瀬】そのものだけどな……。っていうか、もう俺の【身体】とかどうでもいいのか?」

稲葉   「いや。【太一の身体】じゃなきゃ満足できん。【太一】じゃないとできないこともあるしな?」
太一【永】「なんていうか、なんで男と女って性別で分けられてるのかわからなくなるな」

稲葉   「なんでだ」
太一【永】「稲葉はあくまで【俺の魂】が好きなんだろ?」

稲葉   「【身体】も欲しい」
太一【永】「だとしても、俺って人間の重要なものは【魂】の方だろ」

稲葉   「いまさら伊織みたいなことを言わなくていいんだぞ。男と女。この二種類じゃなきゃ子供が作れないんだ。社会的にも一般的には異性とでなきゃ結婚もできなかった」
太一【永】「……そこはちゃんと過去形なんだな」

稲葉   「言いたいことはアタシにもわかるさ。この状況が特殊なだけなんだよ」
太一【永】「でもさ、俺たちではありえないけど……俺たち以外だったらありえたかもしれないだろ?」

稲葉   「異性の身体になって同性を好きになるとかって言いたいんだろ。それはそれだ」
太一【永】「個人的に、永瀬目線だと稲葉ってすごくかっこよく見えるんだなって思うときがあるからさ」

稲葉   「それはそれで不安になるな……」



稲葉 「伊織?」
永瀬?「稲葉ん……(///」

稲葉 「」
永瀬?「ねえ、稲葉ん。ちょっと聞いていいかな?(///」

稲葉 「待て。待ってくれ伊織……あ、アタシは――――いわゆるノーマルで。女子同士の…百合的なあれでは」
永瀬?「あのね……わたし、稲葉んに伝えたいことが――」

稲葉 「済まない伊織! アタシにはもう太一という男が……!」
永瀬?「――あっ。戻ったってうおおおおおお!?」

稲葉 「ど、どうしたんだ伊織? っていうか戻ったってさっきのは太一だったのか!? あとどうした?」
永瀬 「お、お手洗い……行ってくるね。ちょっと…ううん……けっこうキケンっ」

稲葉 「トイレ我慢してただけかよ……」
太一 「あ、稲葉! 【永瀬】を見かけなかったか?」

稲葉 「トイレに直行したよ」
太一 「元に戻ってよかった……。前にもギリギリのところで戻ったことがあったけど、こればっかりはな……」
※入れ替わり編ドラマCD

稲葉 「アタシのときはどうするんだ?」
太一 「が、我慢するよ……」

稲葉 「非常時だから、太一の判断に任せるぞ♡」
太一 「そんな期待に満ちた目で言われてもな……」


稲葉【太一】「(///」
永瀬【稲葉】「稲葉ん?」

稲葉【太一】「(*ノノ)」
永瀬【稲葉】「……トイレ行きたいなら行けばいいんじゃないの?」

稲葉【太一】「――――太一に言うなよ?」
永瀬【稲葉】「怪しまれないようにね」


~数分後~


永瀬「太一、戻ってる?」
太一「ああ……それと、こっちのこともなんとか間に合った」
稲葉「(イライラ)」


永瀬「稲葉ん、直接に頼んだ方が早いんじゃないの?」
稲葉「それもそうだな(スッ」
太一「頼むから自重してくれ……!」

・部室

太一?「さあ、ドンと来い……」
稲葉 「うん♡」

太一?「稲葉……下の名前で呼んでいいか?」
稲葉 「ダメだ。つーか、伊織。そういうのはいいんだ」

太一?「太一に抱き締められるだけで満足なの?」
稲葉 「不満だ。けど、こうやってゆっくり太一に抱き締められたい」

太一?「太一に怒られない? 主にわたしが」
稲葉 「怒られるとしたらアタシの方だよ……。彼氏の身体にこんなことしてもらってるんだし」

太一?「二人とも付き合ってるんだからさ……もうちょっとハメを外しちゃってもいいんじゃないの。R18指定みたいなことはどうかと思うけど」
稲葉 「……どこまでならセーフだと思う?」

太一?「――――線引きが難しいね」
稲葉 「だろ? そう思うだろ? しかも高確率で直前に元に戻るんだぞ……」

太一?「そうじゃなきゃここで書いてないネタも多いもんね」
稲葉 「そうでなかったら、伊織だってやりたい放題だろ?」

太一?「しないよ。稲葉姫子はわたしの親友だから」
稲葉 「本当か? っていうか、何かしてもバチは当たらないぞ?」

太一?「だったら、試しにここで稲葉んの唇でも奪ってみよっか。太一と最近キスした?」
稲葉 「…………してない」

太一?「ふーん……」
稲葉 「おい、伊織……おまえ。―――――本当にそっちの気があるんじゃないのか!?」




永瀬?「稲葉、永瀬。頼まれたジュース買ってきた……ぞ?」


※【太一】が稲葉の顎を手に乗せて顔を近づけている。


永瀬?「なんだこれ……っていうかそこのおまえ…俺? 誰だ!?」
太一?「おまえこそ誰だ!? 稲葉は渡さないぞ!」
稲葉 「やめてくれ! アタシのために争うな――っていうか伊織。悪ふざけはそこまでだ(怒」

太一「――――おっ? 元に戻ったのか」
稲葉「本当か!? よし、続きをしよう。今すぐ!」
永瀬「だ、騙されるな稲葉! それは永瀬だ!」

稲葉 「どっちなんだよ!?」

・一週間経過

稲葉「やっぱ、ストレスが溜まるだけだよな……」
太一「そうだな……」
永瀬「この場合、私が間に入ってるのが一番の原因なんだよね……」

稲葉「伊織は別に悪く……………………おまえもけっこう遊んでただろ」
太一「いや、そんなことは………………そうでもないか?」
永瀬「そうかもねっ。っていうか間に入ってなかったら色々まずかったよね。てへ☆」



太一「……なあ、永瀬はどっちがいいんだ?」
永瀬「――――それってあれ? 太一と稲葉ん、どっちが好きかってこと?」

太一「そうじゃなくてだな。今みたいに――――いや、俺と稲葉付き合う前みたいに、三人一緒にいられる方がよかったのか?」
稲葉「太一……」

太一「もちろん、今を後悔してるわけじゃないんだ。未練、っていえばそうなのかもしれないけど」
永瀬「う~ん。わたしの場合、どうかな」

太一「…………」
稲葉「…………」
永瀬「確かに二人との付き合い方は変わったけど。わたしと稲葉ん、わたしと太一の信頼は何も変わってないっしょ?」

太一「信頼、か」
永瀬「わたしにもなんていえばいいかわからないけど。でも二人とも大好きだよ。恋愛とは違うけど。太一のは……それに近いものだったと思うけど」
稲葉「伊織……」

永瀬「ごめんね……。そうだね。寂しいって感じてたとこはあるかもね」
太一「寂しい、か」
稲葉「アタシの、身勝手のせいだよな」

永瀬「そんなことないよ。太一も稲葉んも、自分で自分の道決めただけだし。どれだけ親友だったとしても、絶対傍に居続けるなんてできないよ」


太一「一度聞いてみたかったけど、永瀬は稲葉のことが好きなんだよな?」

永瀬「大好きだよ。大親友。私が男だったら太一と奪い合ってたかもね!」


・数日後

稲葉「…………はあ」
太一「やっぱり、デートに行きたかったのか?」

稲葉「行きたかったには行きたかったが……仕方ないだろ。伊織から離れてアタシと行動したら、入れ替わった時にアタシか太一の【魂】が【伊織】の身体に飛ばされちまうんだ。<ふうせんかずら>もそこまで考えてやってるのさ」
太一「それはわかってるけど……稲葉が辛いだろ?」

稲葉「伊織に比べれば一時のことだよ。アタシたちの間に割って入るようにされちまってるんだからな」


壁)永瀬「――――」


そして>>1へ至る。

・デート当日

稲葉「本当に来ちまったな」
永瀬「いいじゃんいいじゃん!」
太一「息抜きも大事だからな…………ほら、稲葉」

稲葉つ(恋人繋ぎ)ぎゅっ)太一

永瀬「おおっ? 手が早いね……手だけに」
太一「上手いこと言えてないぞ」

永瀬つ(恋人繋ぎ)ぎゅっ)太一

太一「な、永瀬!?」
永瀬「えへ☆ 恋人繋ぎは初めてだね?」

稲葉「――――太一」
太一「(びくっ」
永瀬「稲葉ん! 今回だけだから見逃してよ」

稲葉「………………わかった」


太一「……っていうか、さすがに三人だと歩きにくいんだが」
永瀬「太一の腕に絡めた方がいい?(ふにっ」
稲葉「…………(スッ…ふにっ」

太一「――――周りからの視線が痛いから控えてもらっていいか?(汗」


永瀬「じゃあ、わたしがやめるから稲葉んはそのまま続けていいよ」
稲葉「逆だ。アタシがやめるから伊織は続けてていいぞ」


永瀬「…………」
稲葉「…………」


永瀬「ごめん稲葉ん。悪ふざけが過ぎたよ。ほら、わたしはあくまで入れ替わりが起きたときのための【身体】なだけだし」
稲葉「違う。せっかくだから伊織も一緒に楽しめ。ダブルデートみたいなもんだと思って付き合え――――」



・太一←入れ替わり→永瀬


永瀬【太】「あっ」
太一【永】「―――あっ」
稲葉   「い、入れ替わったのか!?」



太一【永】「こ、この場合は……」
永瀬【太】「――――こうだよ!」


・【永瀬】と稲葉が腕を絡めて組む


永瀬【太】「これで無問題!」
稲葉   「なるほど…………」
太一【永】「そうきたか……」


稲葉「いや、よくねぇだろ!?」

・喫茶店

永瀬【太】「ほほう…………。ここが二人の憩いの場――――っていうか、お勧めデートスポットで紹介したとこだよね」
太一【永】「ああ……永瀬はここ初めてだったな」
稲葉   「……そういえばそうだな。ふだんから来てるカップルは一組か二組しかいないのが幸いだ」


永瀬【太】「そっか。ふだんから使ってるとこだと、後々太一の世間体がまずいよね? …………ごめんね太一」
太一【永】「謝ることないよ。配慮っていうなら俺も考えなしで賛成したわけだし」
稲葉   「うむ…………まあ、多少ならカバーできるさ。それより来たからには注文しよう」


永瀬【太】「お勧めとかある?」
太一【永】「最近だとパンケーキかな? 値段も手ごろで稲葉も気に入ってるんだ」
永瀬【太】「ほほう……やっぱりそこも考慮してるんだね。まあ、デートする分だけお金もかかるから当たり前なのかな」


稲葉   「それもあるけどな。値段の割に味がいいってのは得だろ?」
永瀬【太】「稲葉んらしいや」





太一【永】(なんだろう…………。不思議な光景だ。目の前で自分が稲葉と楽しそうに話している。客観的に見ている。それと、ちょっとだけ胸が痛む)



・太一←元に戻る入れ替わり→永瀬

・稲葉←さらに入れ替わり→永瀬



太一    「」
永瀬【稲葉】「」
稲葉【永瀬】「」


太一「―――戻った?」


永瀬【稲】「これ稲葉ん?」
稲葉【永】「……伊織か(胸:ふにっ」


永瀬【稲】「どこ触ってんのさ稲葉ん」
稲葉【永】「ま、そんなことよりだ…………注文しよう」



太一(稲葉も落ち着いてきたみたいだな……)



店員「お待たせしました」

つパンケーキ つコーヒー


稲葉【永】「よし、伊織……もとい稲葉。太一に食べさせてやれ」
永瀬【稲】「逆でしょ? 太一に食べさせてあげなよ」


太一(そうか。今度はこうなるのか………頭が痛くなるな)



太一   「俺なら自分で食べ――――なんだよ?」

稲葉【永】「太一」
永瀬【稲】「逃げるの?」


太一   「だ、だったら……二人で食べさせあえばいいんじゃないか?」

稲葉・永瀬『解決になってない!』



稲葉【永】「仕方ない。ちょうど今、常連のカップルが出て行ったから二人でやろう」

永瀬【稲】「ちょ…本気……?」

太一   「いや、他に解決策もないし、客も減ってる今がチャンスかもしれない。あとは時間との勝負だ……!」



永瀬【稲】「よし来た! こ、これぐらいの大きさでいいかな?」

Ψ△パンケーキ

稲葉【永】「準備できたな? 伊織、先にいいぞ」
永瀬【稲】「え!? 稲葉んまだなの……ってわざとだね?」


稲葉【永】「時間がない。あと間違って太一を刺すなよ」
永瀬【稲】「わ、わかったよ…………(///」


太一   「永瀬……(///」
永瀬【稲】「あ、あーん…………(///」



稲葉(目の前で【稲葉姫子】が太一に『あーん♡』をしている。奇妙な光景だ。【稲葉姫子の魂】はここにいるのに、【稲葉姫子の身体】は目の前で最愛の人と戯れている。――――最初から、これが狙いだったんじゃないのか。<ふうせんかずら>……)





太一   「 (///」
永瀬【稲】「 (///(*ノノ)」



稲葉【永】「さて、アタシもやるかな」


Ψパンケーキ


稲葉【永】「さあ、太一。あ・ー・ん♡」

太一   「お、おう(///Д」



 何か、見落としがある気がする。
 とても重大な。致命的な。大事なことが―――







 心の中で思わず『あっ』という呟きが漏れた。
 そんな光景だった。
 目の前の【永瀬伊織】が、八重樫太一に恋人の真似ごとを――――
 いや、それは正しい表現じゃない。
 そこにいる、八重樫太一と対面している【永瀬伊織】は【稲葉姫子】であり、【永瀬伊織】ではないのだ。
 正しく、二人は恋人同士なのだ。


 【稲葉姫子】と【八重樫太一】なのに。


 【永瀬伊織】と【八重樫太一】ではないのに。


 そこにあるのは恋人たちの風景だった。


 酷く違和感のある光景なのに。
 心の暗い奥底。ほの暗い、傷跡のような場所に羨望が渦巻く。
 そこには妬みも、熱情も、冷たさも、光も、拒絶も、希望も、何も残っていないはずなのに――――



 太一たちが入った喫茶店のすぐ近く――――窓際の席に座った太一たちが見える――――街路樹の木陰に桐山唯と青木義文の姿があった。


「やっぱり三人とも雰囲気が重いわね」
 尾行ということで唯は服装をスポーティなものにしていた。
 ラフなピンクのパーカーにジーンズ。
 髪もアップにして、目深くキャップを被っている。
 隣で同じように太一たちを見守っている青木はその逆だった。
 フォーマルなシャツにスラックス、そしてグレーのジャケット。サングラスまでかけているのだが、この日に限って違和感を感じさせない。
 表情から普段の緩さが抜けているため、一八○センチを超える長身とスタイルの良さから大人びた雰囲気を纏っている。


 ―――違和感が仕事してない!


 と、心の中で全力で突っ込みを入れる。
 まったく正反対のファンションセンスの二人組ということもあって、時折通行人から奇異の目で見らている。
「オレだったらあんな雰囲気、絶対に耐えられないよ……」
 喫茶店に入ってからというもの、伊織も太一も稲葉も、どことなくぎこちない様子だった。
 伊織や稲葉が交代で、太一の口にパンケーキを運んでいる。
 伊織は稲葉を、稲葉は伊織を、不思議なもの―――あるいは幻か―――を見るような目で見ていた。
 無理もないわ、という言葉を唯は飲み込む。
 ほんの少し前まで三角関係だった男女がダブルデート。
 それもお互いの身体が入れ替わり、『好きだった相手と恋人のように振る舞う自分がいる』という現象が起きているのだ。
「あたしだったら…………」
 『あたしだったら』と考えて唯は思った。


 例えると、例える場合は誰が誰に当てはまるのか。


 太一が唯だとすれば。
 青木と太一が、唯を巡って取り合っているようなものだろうか。
 唯の脳裏に(若干)イケメン補正のかかった太一と青木に挟まれるビジョンが浮かぶ。


『――――桐山、今日はまた一段と可愛いな』

『そ、そう? えへへ……♡ って毎日言ってるじゃない!』

『そ、そうなのか!? 唯! 唯は今日も明日も可愛いぞ! 絶対だ!』

『アンタねぇ……それって今日も明日も変わんないってことじゃないの!?』


 ――――やっぱりない。ないないない。
 思わず「ダメだわ……まず青木が太一に勝てる要素がないわよね………」と口にしていた。


 ――――なんだかすごく失礼なことを言われた気がする。


 すぐ傍にいる唯が「ダメだわ……まず青木が太一に勝てる要素がないわよね………」と呟いていた。
「唯? 何を想像してたのか聞かないけどさ…………」
 なんであれ、これだけは伝えておかねばならないと青木は考えていた。
 青木は即決、即行動に移した。


「オレの唯が大好きだって気持ちだけは太一に余裕で勝利できるぜ!」


 青木が最高の笑顔で親指を立てると、唯ががっくりうなだれた。
「アンタのそういう無駄にへらへら笑うとこが残念なのよ……ポジティブなのはいいけど」
「あれ? これって好感度のポイントプラスになってるよね?」
「プラスマイナス・ゼロよ」
「マジ!? ってかなんで?」
「…………なんていうか、過剰? なのよね。それはそれでいいけど」
「それっていいってことなの? 悪いってことなの!?」
「そんなことより、あんまり騒ぐと稲葉たちに気づかれるわよ」
 ――――そんなことなんかじゃないんだよ!
 と、青木は心の中で叫ぶ。唯は再び店内をのぞき込む。
 ガラス越しに会計に向かう太一たちが見えた。
「見て。移動するわよ」
 唯が髪をかきあげる仕草をするが、手が空振る。
「おお? これはこれで女の子の珍しい光景なんじゃ……」
「ただの癖よっ」
「唯は髪を下ろしてた方が可愛いよ! そうそう、髪をかきあげるとこも超可愛い!」
「恥ずかしいから黙ってッ!」
 青木は鳩尾に軽く突きを入れられて悶絶した。



・ゲーセン

稲葉「定番といえば定番なんだが……どうだ伊織、何かやりたいものはあるか?」
永瀬「…………クレーンゲームとか?」
太一(微妙に空気が悪いな……)


永瀬「稲葉んは得意?」
稲葉「アタシはそれほどじゃない。太一にアドバイスぐらいならするけどな」


永瀬「ってことは経験値は太一が一番高いってことだね」
太一「え? っていうか、永瀬はこういうの得意そうに見えるけど……」


永瀬「いやー……なんていうか。わたしもこういうのあんまりやらないし。付き合いでやることはあるけどさ」
太一「そ、そうか……。よし! 俺がやってみよう」




・少し離れたスペース

桐山「うわっ。なんかもう、ぎこちないわね……」
青木「つーか、今回のデートって切り上げるタイミング難しいんじゃないかな」


桐山「なんで?」
青木「『いつもこんなもんだよ』って適当なところで切り上げればいつでも終わりにできるけどさ。そんな終わり方じゃ、三人とも納得しないと思うよ」


桐山「ああ……そうね。伊織も太一も中途半端にするの嫌だよね。稲葉にしたって……」
青木「稲葉っちゃんは『自分が我慢すればいい』とかって考えてるかもしれないし、実際に言い出しかねないけど。そういうのは太一も伊織ちゃんも予想できるだろうから、絶対に納得しないよ」

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