ハルカ「目を覚ましてよ!サトシ!」 (51)


サトハルのSSです。

今回、サトシに悲劇が起きます。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1429619309


タケシ「落ち着け!ハルカ。サトシは死なない!」

マサト「そうだよお姉ちゃん!サトシを信じようよ!」

ハルカ「え…っぐ、だって、私のせいでサトシが…」


時は数時間前に遡る。

サトシ「いや~、山道も結構疲れるな。」

ピカチュウ「ピカ…」

タケシ「でも、この辺に宿があるはずだぞ。」

マサト「おね〜ちゃ〜ん。早く〜!」

ハルカ「ハァハァ、待ってよみんな〜。ハァハァ」

サトシ「大丈夫か?ハルカ。」

ハルカ「もうギブ…」

サトシ「しょうがないな〜。ほら!」

そう言うとサトシは、ハルカに手を差し伸べた。

ハルカ「え///」

サトシ「ほら早く!」

ハルカ「う、うん///」

ハルカは恥ずかしながらもサトシの手を取り、サトシに引っ張られながら歩いた。

ハルカ(サトシってこうゆうの普通にしてくるのよね…/// 何だろう、この胸騒ぎ…)

ハルカの顔は少し赤かった。そしてサトシ達は目的地の宿に着いた。

サトシ「ふぅ〜、やっと着いた〜。」

ピカチュウ「ピカピ!」

ハルカ「ハァハァ、もう疲れた…」

サトシ「お疲れ!ハルカ。」

ハルカ「う、うん///」(何だろうこの気持ち…サトシの声を聞くだけでドキドキするっていうか…)


サトシ達は部屋に入り、少し休んだ。

マサト「ねぇ、まだ時間あるし、この辺散歩しない?」

サトシ「それ良いな!ハルカ、タケシ、行こうぜ!」

ハルカ「私も行きたいかも♪」

タケシ「俺はちょっとやることがあるから遠慮しとくよ。」

サトシ「そうか。ピカチュウは?」

ピカチュウ「ピ〜カ…」

サトシ「そうか。タケシ、ピカチュウ頼んだぜ!」

タケシ「あぁ!」

サトシ「じゃあ三人で行くか!」

「「オー!」」

サトシ「う~ん。森の中って結構涼しいな。」

マサト「きっと、アレがあるからだよ!」

サトシ達が見つけたのは、森の中を流れる川に、高さ5㍍程の滝があった。

サトシ「水しぶきがここまで来て気持ちいいな!」

マサト「うん…」

ハルカ「ねぇ、もう少し近くに行きましょうよ!」

その時だった。

ハルカ「きゃあ!!」

ハルカが足を滑らした。

サトシ「ハルカ!!」パシ

サトシはハルカの手を掴み、引き戻した。ハルカは助かったが、それと同時に引き戻した勢いでサトシが落ちる。

ハルカ・マサト「「サトシ!!」」

川が流れているせいか、大きな石がいっぱいあった。そして、鈍い音が聞こえる。二人は下を見ると、血だらけのサトシがそこにいた。ハルカは恐怖で腰が抜けて、その場に崩れる。

ハルカ「う……そ……サトシ………うわあああああ!!!」

マサト「お姉ちゃん落ち着いて!今タケシ呼んでくるからその場にいて!!」

マサトは急いでタケシのいる宿に向かった。

ハルカ「サトシイイイイイ!!うわああああああん!!!!」

ハルカは泣くことしか出来なかった。自分のせいでサトシが死んだかしれない。もうサトシの声が聞けないかもしれない。そんなのヤダ…

数分後、タケシと宿主が来て、サトシは救急車に運ばれた。救急車の中にはハルカ、マサト、タケシ、ピカチュウが乗っていた。それで、今に至る。

ハルカ「どうしよう…私のせいでサトシが…」

タケシ「落ち着けハルカ。まだそう決まったわけじゃない。サトシを信じろ。」

ハルカ「え……っぐ……サトシ…」

ピカチュウ「ピカピ…」


サトシ達は隣町の病院に着くと、すぐに集中治療室に運ばれた。

タケシ「とりあえず、俺はオーキド博士に電話する。マサト達はそこで待っててくれ。」

ハルカ「サトシ…やだよ…」

マサト「お姉ちゃん…」

私のこの気持ちは何だろう。サトシがいなくなると考えるだけで胸が苦しい。もっとサトシと旅がしたい。サトシと一緒にいたい。そばにいたい。話がしたい。声が聞きたい。何でこんなに苦しいの…

タケシ「何とか連絡は取れた。早くて今日の夜に着く。何れも明日には…」

ハルカ「サトシ…死んじゃいや…」

タケシ「ハルカ、大丈夫だ。サトシなら大丈夫。必ず助かるよ。」

タケシはそっとハルカを抱きしめた。


P.M10:00 オーキド博士とシゲル、ハナコ(サトシの母)、ケンジが病院に着いた。

オーキド博士「サトシは?」

タケシ「まだ手術中です…」

オーキド博士「そうか…」

ハルカ「ごめんなさい…私のせいで…」

ハナコ「ううん、ハルカちゃんのせいじゃないわ。事故よこれは。」

ハルカ「でも…私が落ちさえしなければ…」

ハナコ「大丈夫!サトシを信じて?」

シゲル(サトシ…)


P.M10:42 集中治療室から先生が出てくる。

オーキド博士「あの、サトシは…」

先生「一応、手術は成功しました。」

オーキド博士「そうですか。」

タケシ達はホッとする。

先生「ですが…」

「「「?」」」

先生「脳への衝撃が非常に強い。目が覚めても記憶が無くなるか、最悪の場合…死ぬかもしれません…」

ハルカ「え…」


ハルカはそれを聞いた時、目の前が真っ暗になった。"死ぬ"医者の口から出てきて欲しくない言葉だった。せめて記憶が無くなるまでにして欲しかった。ハルカの口からとんでもない事を発した。

ハルカ「……ぬ。」

マサト「え?」

ハルカ「サトシが死んだら……私も……」

タケシ「ハルカ!!」

タケシは怒鳴った。ハルカが何を言おうとしてるのかすぐに分かった。決して言ってはいけない事だった。

タケシ「馬鹿なことを考えるな!そんなことして、サトシが喜ぶと思ってんのか?!」

ハルカ「私のせいで…サトシが…」

パーン


ハルカはシゲルに頬をぶたれた。

ケンジ「おいシゲル!」

シゲル「……にしろ。」

ハルカ「え…」

シゲル「いい加減にしろ!!誰のおかげでお前の命が救われたと思ってんだ!その救ってもらった命を無駄にすんのかよ!!」

オーキド博士「おいシゲル、ここは病院じゃぞ。」

ハルカ「…たに、貴方に私の何が分かるのよ!!」

ハルカは走ってその場からいなくなったら。しばらく沈黙が続いた。

ピカチュウ「ピカピ…」

みんなは、近くのポケモンセンターで泊まることになった。ハルカ以外は…


その日、ハルカはずっとサトシの病室の前に座っていた。ピカチュウと一緒に…

ハルカ「ピカチュウ、ごめんね…私なせいでサトシが…」

ピカチュウ「ピカピ!ピカピカ…ピカチュ!」

ハルカ「ありがとね。ピカチュウ、私ね、もっとサトシと旅がしたいの。」

ピカチュウ「ピカ…」

ハルカ「もっと話がしたい、一緒にいたい。そう思ってるの…でも、サトシが私の前からいなくなるって考えただけで…え……っぐ…胸が…うっぐ……苦しいの……」

ピカチュウ「チャー…」

ハルカは泣きながら、ピカチュウを抱きしめた。


ハナコ「ハルカちゃん。」

ハルカ「ハナコさん…」

ハナコ「隣…良い?」

ハルカ「……はい。」

ハナコ「ありがと。」

しばらくして、ハナコが口を開いた。

ハナコ「ハルカちゃん、さっき何でシゲル君がぶったかわかる?」

ハルカ「い、いえ…」

ハナコ「サトシとシゲル君が幼馴染って事は知ってるわよね?」

ハルカ「はい…」

ハナコ「サトシとシゲル君は凄く仲が良かった。サトシはシゲル君の気持ちが分かってたし、シゲル君もサトシの事を理解していた。そして今回も、ハルカちゃんを助けたサトシの気持ちも。」

ハルカ「私を助けた、サトシの気持ち…?」


ハナコ「ホウエンに来て、サトシとシゲル君は頻繁に連絡をするようになった。その内容はねハルカちゃん、貴方自身なの。」

ハルカ「私…自身…?」

ハナコ「サトシはね、ハルカちゃんの事が好きだったの。シゲル君言ってたわ。」

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シゲル『サトシは彼女の事で凄く悩んでいた。いつ気持ちを伝えればいいのか分からない。そもそも伝えていいのか。サトシは真剣に悩んでいた。そんな大好きなハルカをサトシが助けたのに無駄にするなんて…サトシが……可哀想だ…。サトシはそんなの望んでいない。サトシの為にも彼女には生きて欲しいんだ。』

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ハルカ「だからシゲルは…」

ハナコ「ハルカちゃんだって、サトシの事好きなんでしょ?」

ハルカ「え?///」

ハナコ「違うの?」

ハルカ「…よく分からないんです。ただ、サトシといると楽しいし、一緒にいても全く飽きません。でも…そのサトシがいなくなると思うと、苦しいんです…」

ハナコ「ハルカちゃん、それが恋よ。」

ハルカ「恋?」

ハナコ「えぇ。貴方は気付いていない内に、サトシの事が好きになっていたのよ。」

ハルカ「そうか。だから…」

ハナコ「だったら、尚更サトシを信じなきゃ駄目じゃない。貴方が悲しんでいると、サトシも悲しむわよ?」

ハルカ「……はい。有難うございます……グス」

ハルカはハナコに言われて自分の気持ちが理解できた。そして、私の為に命に危険を犯してまで助けてくれたサトシが嬉しかった。そう思うと、また涙が出たきた。

次の日、タケシ達が病院に来た。オーキド博士は仕事関係でカントーに帰った。

タケシ「ハルカ、やっぱりここにいたか。」

ハルカ「みんな、ごめんね。私、間違ってた。」

タケシ「もう良いんだ。」

ハルカ「シゲル、あんな事言ってごめん。」

シゲル「いや、僕もぶってすまなかった。もう痛くないかい?」

ハルカ「うん大丈夫。それに…」

シゲル「今はそれ以上言わなくて良い。言うなら本人に良いな。」

ハルカ「…うん。」

ケンジ「ハルカ、疲れただろ?僕達が見ているから、休んできな。」

ハルカ「ありがとう。そうする。」

ハルカは病室を後にした。

サトシが入院して一週間。サトシはまだ目を覚まさない。

タケシ「あれから一週間か…」

マサト「サトシ、大丈夫かな…」

ハルカ「大丈夫よ。心拍数も安定しているみたいだし、サトシを信じましょ。」

マサト「お姉ちゃん…」

タケシ「ハルカ…」

ハルカ「サトシが元気になったら、また旅しましょ!」

タケシ「…そうだな!」

シゲル(一番辛い思いをしているハルカが一番前向きになっているんだ。サトシ、彼女の為にも頑張れ!)

ピカチュウ「ピカピ…」

時間は八時を過ぎ、ハルカ達はポケモンセンターに戻って行った。

みんなが寝付いた時、ハルカは一人バルコニーにいた。

ハルカ(風が…気持ちいい…)

一人で風にあたっていると、タケシがやって来た。

タケシ「ハルカ、まだ起きていたのか。」

ハルカ「うん…少し風にあたりたくて。」

タケシ「そっか…」

タケシがハルカの隣に行くと、ハルカに話しかけた。

タケシ「サトシが目を覚ましたら、ちゃんと気持ちを伝えないとな。」

ハルカ「え?」

タケシ「お前の態度を見ていれば分かる。どれだけサトシが好きなのか。」

ハルカ「うん、そのつもりよ。だから…サトシを信じてる。」

タケシ「その言葉が聞けて安心した。さぁ、もう寝よう。」

ハルカ「うん」

?「…ルカ、ハルカ。」

ハルカ「この声、サトシ?」

ハルカの目の前にサトシが立っていた。

ハルカ「良かった!目を覚ましたのね!」

ハルカが抱きつこうとした時、サトシの身体をすり抜けた。

ハルカ「え…」

サトシ「ハルカ…今までありがとう。ハルカとの旅、楽しかった。」

ハルカ「何言ってるの…?サトシ…」

少しずつサトシの身体が薄れていく。

サトシ「ハルカ、お別れだ…」

ハルカ「嘘……嘘!!」

サトシ「トップコーディネーター、絶対なれよ…」

そう言うとサトシの身体が消えた。

ハルカ「やだ…行かないで!サトシ!!」ガバッ

そう言ってハルカは目を覚ました。体中汗をかいていた。周りには誰もいない。時計を見ると十時を指していた。みんな病院に行ったのだろう。

ハルカ「ゆ……め……?」

ハルカがホッとした瞬間、タケシが思いっきりドアを開けた。

タケシ「ハルカ!サトシが!!」

ハルカ「え…」

サトシが入院して一ヶ月。それは悪夢の始まりに過ぎなかった

ハルカが急いで病院に行く。サトシの病室に着くと、みんなサトシの周りに行き、声をかけていた。サトシの心拍数が低下してきている。容体が急変したのだ。

マサト「サトシ!頑張れ!!」

シゲル「目を覚ませ!こんな所で負けんな!!」

ケンジ「サトシ!頼む目を覚ませ!!」

ピカチュウ「ピカピ!!ピカチュ!!」ウル

ハナコ「サトシ…」

ハルカ「う……そ…」

ハルカは思い出す。まさかあの夢は本当にお別れを言いに……嘘でしょ…?

ハルカ「サトシイイイイイ!!目を覚まして!お願い!!!!」

ハルカは目に涙を浮かべながら、サトシの手を取った。だが、サトシの心拍数はどんどん減っていく。

ハルカ「サトシイイ!そんなのやだよ!!あんなお別れやだよ!!!」

マサト(お姉ちゃん…)

ハルカ「まだサトシと一緒にいたい!話がしたい!気持ちを伝えたい!!なのに…私を置いてかないでよおおおお!!!」

ハルカは泣き叫ぶ。まだ自分にはやる事がある、サトシに言いたい事がある。だからお願い……死なないで……!

みんなが落ち着くと、先生が話を始める。

先生「皆さん聞いて下さい。恐らく、このまま行けばサトシ君は今夜がやまかと…」

ハルカ「嫌だあああ!そんなの嫌あああ!!」

タケシ「落ち着けハルカ!」

タケシがハルカを抑える。

先生「ですが、助かる方法が一つだけあります。ですがこれは危険な方法です。それでも…良いですか?」

この方法は成功率30%の危険な処置だ。一つミスすると、死に至る。だが、サトシを助けるにはそれしか無かった。

ハルカ「……お願いします。サトシを…救って下さい。」

ハナコ「私からも、お願いします。」

「「「お願いします!」」」

ピカチュウ「ピカピ!」

先生「分かりました。では、処置の内容をご説明します。」

サトシを助ける為のオペが、今始まる。

マサト「お姉ちゃん、頑張って!」

タケシ「あんまり無理すんなよ。」

シゲル「今度は君が救う番だ!」

ハナコ「ハルカちゃん、私からもお願い。サトシを…救ってあげて…」

ハルカ「みんな…うん!任せて!」

ピカチュウ「ピカ…」

ハルカ「ピカチュウ、大丈夫。サトシは必ず助ける!」

ピカチュウ「チャー…」

ハルカはオペ室に入って行った。


ハルカ(サトシ…)
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先生『サトシ君は今、血液が足りません。そこで、誰かの血を分けて欲しいのです。出来れば、お母さんにやってもらいたいんですけど…』

ハナコ『はぁ。』

ハルカ『先生。サトシは何型ですか?』

先生『サトシ君はA型です。』

ハルカ『私、やります!』

ハナコ『え?』

ハルカ『サトシに助けてもらって、今私は生きている。なら、今度は私が助ける!!』

ハナコ『ハルカちゃん…』

ハルカ『私もA型です。私にやらせて下さい!』

ハナコ『…わかったわ。お願い。』

ハルカ『はい!』
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ハルカ(私が…助けてあげる!)

マサト「お姉ちゃん、大丈夫かな…」

タケシ「このオペは、ハルカの命にも影響するからな。」

マサト「もし、お姉ちゃんに何かあったら…僕…」

タケシ「安心しろ、マサト。ハルカなら大丈夫だ。」

シゲル「でも、本当に危険だよな。もし、サトシの心臓が止まったら、輸血しながら電気ショックって…」

ケンジ「しかも、サトシは頭だ。電気ショックを受ければ傷口が開くことも…」

ハナコ「みんな、そのへんにしましょう。今は二人を信じるのよ。」

タケシ(サトシ……生きろ)

(あれ……ここはどこだろう……)

(ここで何やってるんだろう……)

(確か、森の中でハルカを助けて…)

サトシ(そうか…俺……死んだのか………)

サトシ(死ぬなら、みんなにお別れ言って死にたかったな…)

サトシ(ハルカともう少し一緒にいたかったな……)

オペ室のサトシは、右目から一粒の涙が垂れた。

ハルカ「サト…シ?」

その時だった。

ピーーーーーーーーーーーー

ハルカ「う…そ…」

オペ室に流れた高音は、外にいたタケシ達にも聞こえた。

タケシ「嘘…だろ…?」

ピカチュウ「ピ…カ…」

ハナコ「サトシ…サトシイイイイイ!!!」

シゲル「ハナコさん落ち着いて下さい!まだ電気ショックが残っています!」

ケンジ「ハルカ…頑張れ…」

オペ室の中では

先生「早く電気ショックの用意だ!」

ハルカ「サトシ!頑張って!お願い!」

ハルカの左手は、サトシの右手をギュッと握りしめた。
そして、サトシの電気ショックが行われた。

サトシ(はぁ、結局ポケモンマスターにはなれなかったな…)

サトシ(でも、ハルカが助かったならそれで良いや。)

サトシ(これからどうしよう…)

「サトシ。」

サトシ(あれ?この声…)

サトシ「ハルカ?」

ハルカ「サトシ、迎えに来たよ。」

サトシの目の前に現れたのは、ハルカ、マサト、タケシ、ピカチュウだった。

ハルカ「サトシ、旅はまだ終わってないでしょ?」

タケシ「一緒に行こう!」

マサト「サトシ!」

ピカチュウ「ピカピ!」

サトシ「あぁ、一緒に行こう!」

看護婦「先生!ハルカさんの心拍数も低下しています!!このままだとハルカさんも…」

先生「落ち着け!二人共救うんだ!!」

ハルカも危険な状態だった。

(ここ…どこ…?)

(あれ…?オペ室にいたはずなのに…)

ハルカ(夢…?)

ハルカは周りを見渡すと、誰かが歩いているのが見えた。その中に、肩に小さい生き物が乗っていた少年がいた。

ハルカ「サト…シ?」

その少年は、紛れもない、サトシの姿だった。

ここから、最初に出てきたハルカをハルカA、今出てきたのをハルカBにします。

サトシ「……え?」

ハルカB「サトシ!……え?」

二人は目を疑った。なぜ、ハルカが二人いるのだろうかと。

サトシ「ハルカが…二人?」

ハルカA・B「「私が……二人?」」

ハルカA「サトシ、アレは偽物よ!早く行きましょ!」

ハルカB「待ってサトシ!私が本物よ!!」

サトシ「何がどうなってんだ?」

ハルカA「あの人が死神よ!信じて!」

サトシ「死…神?」

ハルカA「えぇ。貴方を連れてって、元の世界に戻れなくするつもりよ!」

ハルカB「何言ってんのよ!あなたの方が偽物かも!って言うか死神って何よ!!」

サトシ「俺も、死神って初めて聞いたぞ?何で知ってんだ?」

ハルカA「そっ、それは…」

サトシ「お前…まさか…」

ハルカA「フッフッフ。バレちゃしょうがないわね。私が死神よ!」

ハルカAの姿が変わり、タケシ達の姿が消えた。

サトシ「死神!」

死神「サァサトシ、ハヤクイクゾ…」

ハルカ「サトシ!早くこっちに!」

ハルカは手を差し伸べる。

死神「マテ…イカセナイゾ…」

サトシ「くそっ、ハルカ!」

サトシはハルカの手を取った。

ハルカ「行こう!サトシ。」

死神「マテ…」

サトシとハルカはひたすら走り続ける。だが

ハルカ「ハァハァ、え?嘘でしょ?」

ハルカ達が走った先に道は無かった。下を見ても何も見えない。だが、誰かの声が聞こえる。

『ハルカ!サトシ!気をしっかり持て!』

『お姉ちゃん!』

『ピカピ!ピカ…ピカチュ!』

ハルカ「この声…タケシ?」

サトシ「マサトとピカチュウも聞こえる!飛び込むぞハルカ!」

ハルカ「無茶言わないで!」

サトシ「助かるにはこの方法しかない!」

死神「フッフッフ…ヤット追イ付イタゾ…」

背後には死神がいた。

ハルカ「もう…行くしかないわね…」

サトシ「飛び降りるぞ!」

死神「マッ、マテー!」

サトシとハルカは落ちていった。サトシはハルカを不安にさせないよう、抱き締めた。ハルカもまた、恐怖心で抱き着いた。

オペ室にはタケシ達も入っていた。今もまだ、サトシの電気ショックは続き、ハルカの心拍数も低下している。

タケシ「サトシ!ハルカ!頑張れ!」

マサト「お姉ちゃん!!」

ハナコ「サトシ!お願い目を覚まして!!」

シゲル「…くそっ!」

ケンジ「サトシ…」

そして……

……あれ?ここは………

タケシ・マサト「ハルカ(お姉ちゃん)!」

ハルカ「タケシ…マサト…」

タケシ「やっと目を覚ましたんだな。お疲れ様!」

オペが終わって3日後だった。

ハルカ「私…生きてる?」

タケシ「もちろん!生きてるよ。」

ハルカ「そっか…あれ?サトシは?」

タケシ「それが…」

ハルカ「嘘…」

ハルカはいきなり病室を出て、サトシの病室に行った。

ハルカ「サトシ!」ドン

そこにはハナコ、シゲル、ケンジ、そして…

サトシ「よう!ハルカ。」

元気なサトシが目の前にいた。

ハルカ「サ…ト…シ…サトシイイ!」ガバッ

サトシ「いてっ!」

ハルカは泣きながらサトシに抱き着いた。

ケンジ「おいハルカ。サトシはまだ…」

シゲル「いや、このままにしておこう。」

ハルカ「うええええん…サトシイイ…」

全員がハルカを見守るしか無かった

タケシ「それにしても、凄かったよ。」

サトシ・ハルカ「「え?」」
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タケシ『もう…駄目か…』

その時

ピーーーーーーーッピッピッピッピッ

タケシ『…え?』

マサト『サトシの心臓が…動い…た?』

看護婦『先生!ハルカさんの心拍数も安定しています!』

先生『そっか…ふぅ。皆さん、成功しました!』

『『『や…やったーーー!!!』』』

タケシ『サトシ!よく頑張ったな!!』

マサト『お姉ちゃん…グスッ…よがっだあああ』

ハナコ『ハルカちゃん、ありがとう!先生、ありがとうございました!』

先生『いえいえ。これも、サトシ君とハルカさんが頑張ってくれたおかげです。』

シゲル『二人を救ってくれて、有難うございます。』

先生『恐らく、ここ数日は目を覚まさないでしょう。ですが、もう大丈夫なので安心さてください。』
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サトシ「そんな事が…」

タケシ「二人共、よく頑張ったな!」

ハナコ「ハルカちゃん、ありがとう!」

ハルカ「いえ、私は別に…」

ケンジ「とりあえず、二人は絶対安静だ!ハルカは多少動いてもいいけど、サトシはダメだぞ!!」

サトシ「あぁ、分かってるよ。」

シゲル「じぁあ、僕達は外に出るよ。サアァァァトシ君、後は頑張りたまえw」

サトシ「おいシゲル///」

ハルカ「いきなり二人きりにしないで欲しいかも///」

シゲル「アディオス!」

タケシ達は病室を出ていった。

病室に残されたサトシとハルカ。二人共何を話したらいいか分からなかった。

ハルカ(伝えなきゃ…サトシに…)

サトシ(今しかないよな…)

サトシ・ハルカ「「あの!!」」

二人の声が重なってしまった。二人共顔を赤らめ、目を背ける。

サトシ「ハ、ハルカから良いよ///」

ハルカ「い、いや、サトシから///」

サトシ「俺大したことじゃないし…」

ハルカ「私も…」

また沈黙が続いた。しばらくして、ハルカが口を開いた。

ハルカ「サトシ、ありがとう。落ちそうな私を助けてくれて。そして、危険な目に合わせてごめんなさい…」

ハルカは俯く。サトシに悪い事をして、合わせる顔が無かった。

サトシ「何言ってんだよ!ハルカ。お礼を言うのはこっちだぜ!」

ハルカ「え?」

サトシ「夢の中でさ、ハルカに助けてもらった。死神に連れて行かれそうな所をハルカが来て手を引っ張ってくれた。もし、あの時ハルカが来てくれなかったら本当に死んでた。だから、ありがとう。ハルカ…」

サトシの顔は優しい笑顔だった。ハルカは驚いた。危険な目に合わせた自分に"ありがとう"って言ってくれた。そして何より、自分と同じ夢を見ていた。

ハルカ「私もね、サトシ。夢の中でサトシに二回会った。」

サトシ「え…」

ハルカ「一回目はサトシが私にお別れを言いに来たの。その後にサトシの容体が急変して怖かった。」

サトシ「ハルカ…」

ハルカ「二回目はね、サトシと同じ夢を見たの。」

サトシ「同じ…夢?」

ハルカ「サトシが死神に連れて行かれそうになって、私と一緒に逃げて、最後は二人で飛び降りた。目を覚ましたら病室にいたわ。」

サトシ「じゃあ、同じ場所にいたのか…?」

ハルカ「多分ね。」

「「フフフ、フハハハハハハ!」」

偶然起きた出来事が可笑しくて、二人は笑いあった。

ハルカ(やっぱり、サトシといると楽しい。好きだな…サトシの事…)

サトシ(ハルカといると嬉しい。やっぱり伝えないとな…)

そして、サトシが思い切って口にした。

サトシ「ハルカ!」

ハルカ「ん?」

サトシ「俺…ずっと前から…ハルカのこと…んっ///」

気付けば、ハルカの唇とサトシの唇が重なり合っていた。

ハルカ「…それ以上言わなくて良いよ。私も、同じ気持ちだから///」

サトシ「ハルカ…」

ハルカ「サトシ…」

二人は見つめあい、唇を重ね合わせる。さっきよりも、長く…

お互いの気持ちが一つになる時、そこに幸せが生まれる。もし、今回の事故が起きていなかったら、サトシは気持ちを伝えられずに、ハルカは自分の気持ちに気付いていないかもしれない。

サトシは後遺症として、生涯車椅子生活だが、二人は無事退院し、交際を始める。後に結婚し、サトシとハルカの間に新たな"幸せ"が生まれ、暖かい家庭を築いていった。





fin

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年05月10日 (日) 00:51:02   ID: eW_7O7gp

とても感動しました。つぎの作品に期待します❗

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