セレナ「お嫁さんとはデュエリストではないのか!?」 (35)

沢渡「今月号のDステップ見たか? プロデュエリストのボルテックス工藤が結婚だってよ」

遊矢「あ、俺も見た! ファンの女の人と付き合ってたんだって?」

権現坂「結婚についてのインタビュー記事が半分以上嫁自慢の惚気話になっていたな」

遊矢「……俺達も大人になったら、いずれ結婚するのかなぁ。父さんや母さんみたいに」

沢渡「結婚ねぇ。そりゃ、ゆくゆくはそうするだろうけどよ」

権現坂「結婚か……考えたこともないな。まだ中学生なのだから当然といえば当然だが」

セレナ「……」

遊矢「セレナ? どうかしたのか」

セレナ「……結婚とはなんだ? 融合召喚のようなものか?」

遊矢「へ?」

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沢渡「おいおい結婚も知らないのかよ……世間知らずってレベルじゃねぇぞ」

遊矢「結婚っていうのは、夫婦になることだよ。お婿さんとお嫁さんになるんだ」

セレナ「お婿さんにお嫁さん……それはどんな効果だ? いつ発動する?」

遊矢「だからそういうのじゃなくて」

権現坂「夫も妻も、それ単体では意味を成さん。お互い支え合っていくものだ」

セレナ「フィールドに2体揃ってこそ、というわけか。だとするとペンデュラム召喚に似ているな」

権現坂「そうだ。夫も妻もそれぞれの領分で家族を守るために戦うのだ」

セレナ「なるほど、お婿さんとお嫁さんを別々のペンデュラムスケールにセットしてお互いの効果を……」

沢渡「……こんなデュエル脳のお嫁さんじゃ、家に帰っても休まらねぇぞ」

遊矢「うーん、セレナがお嫁さんか……」

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遊矢「ふぅ、今日の試合もエンタメったなぁ」

セレナ「遊矢!」

遊矢「セレナ、ただいま! 今日の夕飯はなにかな」

セレナ「そんなことよりもデュエルの反省だ。デッキを出せ」

遊矢「えぇっ!? 勘弁してくれよ、今は試合でヘトヘトなんだ」

セレナ「ダメだ! 試合の中継を見ていたが、明らかなプレイングミスがいくつかあったぞ」

遊矢「いや、あれはちょっとした演出で」

セレナ「ふざけるな遊矢! プロだからといって慢心するな! さあデュエルだ!」

遊矢「でも俺今お腹ペコペコで」

セレナ「食事なら用意してある。食べながらデュエルだ」

遊矢(おにぎりとかサンドイッチとか、片手で食べられるものばっかり……)

――――――――――


遊矢「……キツそう」

沢渡「だろ?」

遊矢「なまじ柚子とそっくりなせいで、その光景がありありと想像できてしまうから嫌だ……」

セレナ「柚子がどうかしたのか」

沢渡「こっちの話だよ。権現坂、お前はどう思うんだ?」

権現坂「どう、とは?」

遊矢「仮にセレナがお嫁さんになったとしたらどうか、って話」

権現坂「うぅむ……セレナは世間知らずな以上に、気が強いからな。親父殿とぶつかるかもしれん」

セレナ「何が問題だ? デュエリストならデュエルで自分の意志をぶつけ合うのが当然だ」

権現坂「いや、結婚とは当人同士だけでなく、お互いの家族とも良好な関係を築かねばならん」

権現坂「俺が将来道場を継ぐとしても、妻には親父殿と仲良くしてもらわんと困るな……」

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師範「昇! 昇はおるか!?」

権現坂「どうしたのだ親父殿、血相を変えて」

師範「お前の嫁はどうなっておるのだ! 師範の昇を差し置いて、門下生に勝手に融合召喚なんぞ教えおって!」

権現坂「なに、セレナがそんなことを……どういうことだ、セレナ」

セレナ「不動のデュエルをより強くするために、融合を取り入れるのがいいと思っただけだ」

権現坂「む……確かに俺も、不動のデュエルをより高めるために刃殿にシンクロを教わったことがあったが」

権現坂「そういうことは俺に一言相談してくれんか。親父殿にもちゃんと説明を……」

セレナ「そうだ! 融合モンスターとシンクロモンスターをさらに融合するのはどうだ?」

師範「なら~ん! わしの目の黒いうちは勝手は許さんぞ!」

セレナ「ふん。義父といえど、私に言うことを聞かせたければデュエルで勝つことだ!」

――――――――――


権現坂「この男権現坂といえど、不可能なことはある……」

遊矢「権現坂……」

セレナ「さっきから一体なんの話をしているんだ。ペンデュラムモンスターのことではないのか?」

沢渡「新郎新婦でペンデュラムスケールをセッティングしようとしてる女なんて、世界広しといえどこいつだけだぜ」

セレナ「2体揃えなければならないのならペンデュラムではないのか? それともエクシーズか」

遊矢「モンスターで例えるから変なことになるんだって。夫婦っていうのは、つまり……う~ん……」

遊矢「そう、タッグパートナー! 人生という名のタッグデュエルを一緒に戦うんだよ」

セレナ「つまり、お婿さんとお嫁さんとはデュエリストのことだったのか?」

権現坂「世の夫婦が皆デュエリストとは限らんが、まあそういうことだな」

沢渡「でもなぁ、タッグデュエルってのは多少は相手に合わせる努力も必要だと思うぜ」

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沢渡「マイスイートハニーセレナ! 今日のおやつはなんだい?」

セレナ「昨日の残りご飯で作ったしょうゆせんべいだ。お茶もあるぞ」バリバリ

沢渡「……今朝、今日は苺のタルトの気分だって言っておかなかったか?」

セレナ「知らん。そんなことは私の管轄外だ」

沢渡「知れよ! 「今日のおやつは甘いものがいいな~」って言っただろ!」

セレナ「それだけで苺のタルトだと特定できるものか!」バン!

沢渡「……まあいいや。それで、今夜のディナーはどこに行く?」バリバリ

セレナ「肉が食べたい。今夜は焼肉に行くぞ」

沢渡「俺は今日はサッパリ系がいいんだけど」

セレナ「そうか。じゃあ、お前の肉にはちゃんとレモン汁をかけておいてやろう」

沢渡「そういうことじゃねーよ!」

――――――――――

 
 
沢渡「セレナ! お前はまず他人に合わせるってことを知った方がいいと思うぜ!」ビシッ


遊矢「いや、お前も大概だろ」

セレナ「弱い方が強い方に合わせるべきだろう。タッグだからといって足を引っ張られるのは御免被る」フン

権現坂「こっちも微妙に話が噛み合っていないな」

沢渡「まったく、柊柚子とそっくりなのは顔だけにしとけってんだ。気の強いところも似てやがるぜ」

遊矢「黒咲の妹もストロングなのかな……ちょっと怖くなってきた」

セレナ「お前達の話はまるで意味がわからん。結婚とはなにか、零児に聞いてくる」スタスタ

権現坂「うむ、それがいいだろうな」

沢渡「第一、結婚なんてまだ先の話だし、手近な女で考えてみようってのがそもそも間違いだったな」

遊矢「ハハハ……そうかもな」

==========

 
 
遊矢「……なんて話をしたことがあったろ。覚えてる?」


セレナ「ああ、そんなこともあったな。今にして思えばまったくバカバカしい話だ」

遊矢「ハハハ……確かに。でもそんなバカな話で盛り上がるのが男ってもんだよ」

セレナ「しかし件の話を改めて聞く限り、お前は私をそんなにダメな女だと思っていたのか」ジロッ

遊矢「し、仕方ないだろ。あの頃の君はホントに世間知らずのデュエル脳で……」

セレナ「言うな! ……あの後、零児やデニスにも笑われたんだぞ」カァァァ

遊矢「あの二人にからかわれてる君もちょっと見てみたかったかも……あっ、みんな!」


「遊矢先生ー! セレナ先生ー!」「さよならー!」「また明日ー!」


遊矢「また明日! 気をつけて帰るんだぞー!」

セレナ「……ふふっ」

遊矢「どうした?」

セレナ「いや……よくついてきてくれた、と思ってな」

セレナ「赤羽零王の野望を打ち砕いた後……私が融合次元に戻ってアカデミアを立て直すと言ったとき」

セレナ「遊矢……お前も私と一緒に来ると言ってくれた」

遊矢「ああ……ずっと考えてたんだ。俺さ、父さんみたいなエンタメデュエリストになるのが夢だったけど」

遊矢「デュエルでみんなを笑顔にするために、他になにかやれることがあるんじゃないかって……」

セレナ「それで『遊矢先生』か?」

遊矢「うん。アカデミアで、人を傷つけるためじゃない……大人も子供もみんなが笑顔になれるデュエルを」

遊矢「そんな楽しいデュエルを教えるのも、俺なりのエンタメなんじゃないかなって……そう思ったんだ」

遊矢「君だって、そんな俺を理解して支えてくれただろ。『セレナ先生』?」

セレナ「ふふ……そうだな」

セレナ「……遊矢。大事な話がある。聞いてくれるか?」

遊矢「なんだい? セレナ」

セレナ「……あの頃の私は……アカデミアの外の世界を何も知らなかった」

セレナ「だけど遊矢達と共にランサーズとして戦って……色々な物を見て、経験して」

セレナ「今ならちゃんとその意味がわかる。だから、その、つまりだな……」

セレナ「わ、私と……」

遊矢「待って、セレナ」

セレナ「っ……」

遊矢「そこから先は、俺に言わせてくれ。……男の甲斐性ってやつだからさ」

セレナ「そ、そうか……? そういうもの、か」

遊矢「うん。そういうもの」

セレナ「わかった。じゃあ、言ってくれ」



遊矢「……セレナ。俺は君のことが――」

お わ り


柚子に間違われて真澄に百合乱暴されるセレナのSSください! 沢渡さんがなんでもしますから!

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