少女「社会に役立つ自殺の仕方を教えましょう」 (8)

「では、次の方どうぞー」

スタスタ…
コン、コン

面接官「はい、どうぞ」

ガチャ
男「し、失礼します!」

面接官「はいはい、じゃそこ座って」耳ホジ

男「は、はい!」カチコチ

面接官「えーっと…男さん、でお間違いありませんか?」ペラ…

男「はい!男です」

面接官「えー、ではさっそく、面接を始めたいと思います」ふぁあ…

男「はっはひ」

面接官「えっと…?○○高校卒業、アルバイトを…二年やってたんだ」

男「はい!居酒屋のアルバイトでして、駅前で結構大変だったんですけど、でも効率よく仕事に臨めましたっ」

面接官「ああ、そう…。んで、今26歳」

ドキッ

男「…はい」

面接官「この7年間くらい、空欄ですけど?何してたんです?」

男「え、ええっと…それは…」

面接官「…」

男「そ、その…」

面接官「…あのさあ」

面接官「別にね、こっちとしてはね。はっきり言ってあんたを採用しようがしまいが別に困らないわけ。人手が足りないわけじゃないんだし」

男「…」

面接官「なにしてたの?この空欄の間。まあ大体わかるけどさ、なに?そんなことも怯えて言えないんなら、あんた、この会社にいる必要ないからね」

男「…そ、その…」グッ

面接官「もう、いいから。帰ってくれない?」

面接官「君なんか、うちには必要ないんだよ」

男「……」

男「………わ、わかりました」

ガタッ
スタスタ…

男「…あ、ありっありがとうございますた」

バタン

カー、カー、カー…

男「…」トボトボ

男「……はぁ」

男(二十歳からニートになって、約6年。親が早死にして初めて実感したのは、焦りじゃなくて、恐怖だった)トボトボ

男(やっぱり、いきなり社会に出るなんて無理だ。なにもかも、慣れないんだもの)

トボトボ

男「…これで、100回くらい面接してる気がするなあ」

男「…あーあ」

ガチャガチャ
キィイ

男「…ただいま」ボソッ

ひたひた

男「ただいまあ。シロ、帰ったぞお…」

………

……トコトコトコ

猫「ニァア」

男「シロ、ただいまあ」

猫「ナォン」ぐりぐり

男「……俺、今日もダメだった」ナデナデ

チラ

餌皿カラッ

猫「ニァア、ニァア」ぐりぐり

男「……ごめんな、今日もカリカリは無しだ」

男「安売りの缶詰で我慢してくれ」

カンカン、
ボトッボトッ

猫「あんぐあんぐ…」

男「……よっこらせ」どさっ

男「……」

男(親も死んだ、家族はいない)

男(いつまでたっても、職が決まらない)

チラ、

猫「んぐんぐ…パクパク…」

男(……もう、)

男(この子をどこかに預けて、死んだり)

バタッ

男(…なんて)

猫「……ニァア」スタスタ

男「…シロ」

ナデナデ

猫「ニャア?」

男「シロは俺といて、幸せか?」

猫「……」

スタスタスタ

男「あっ…」

猫「…」プイー

男「……」グッ

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