大和亜季「九死に一生を得る」 (101)

アイドルマスターシンデレラガールズのSSです。

当SSはアイドル名「ことわざ」でタイトルをつけているシリーズです。


以前のお話に戻る場合はSS wikiを通ってください。
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前々回
杉坂海「沈黙は金」
杉坂海「沈黙は金」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/kako/1420/14209/1420983052.html)

前回
早坂美玲「窮鼠猫を噛む」
早坂美玲「窮鼠猫を噛む」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1423442123/)


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 ─ 前回のお話 ─


・古賀小春、襲来!

・○○プロの面々は小春と仲良くしようと奮闘!

・だけど、その効果はちょっと微妙っぽい・・・






そして・・・




 ─ 事務所・事務室 ─




村上巴『伊吹が攫われたんじゃっ!!!!!!!!!!!』




モバP(以下P)「は?」

P(伊吹が攫われた?誰に?なんで?)

P「待て、待て待て待て・・・」

千川ちひろ「どうかされましたか?」

P「すみません、今・・・頭のなかこんがらがっていまして・・・」


巴『ウチがトイレから戻ってくる時に1人になっていた伊吹が・・・』


P(確かに今日は巴と伊吹が一緒に撮影だったけど・・・それでも・・・)

P(まさか・・・いや・・・それよりもだ・・・落ち着け俺・・・)



P(みんなに聞こえないよう・・・静かな声で聞こう・・・)

P「巴、覚えている事はないか?車の番号とか、相手の人数とか」

巴『車の番号はわからん、外されていたんじゃ!色は黒!昔見たエステマとかいう車種じゃ!!』

P「エステマ・・・」

巴『相手の人数は2人、片方がナイフを持っといたのは確かじゃ!!』

P「他に?他に何か分からないのか?」

巴『・・・待っちょれ・・・確か・・・ホテルとかなんとか・・・』


P「ホテル・・・取り引き場所か・・・?」

巴『すまん・・・聞き取れてない・・・。ウチが出て行けば・・・こんな事に・・・』

P「気にするな、まっすぐ帰ってこい。美玲が暇そうにしてるからな」

巴『P・・・』

P「大丈夫だって、俺がなんとかする」

巴『・・・・・・』

P「お前のせいじゃない。だから帰っておいで」

巴『・・・ん(肯定)』

P「ふーっ・・・」


P(・・・落ち着け、慌てたら・・・伊吹の命はない・・・)

P「・・・・・・」

P(だからと言って親指咥えて眺めてろなんて事はできない。だが、どうすればいいんだ・・・!!?今の状態で俺に出来る事は・・・!!!何もないのか・・・っ!?)


早坂美玲「なぁ、ウチの名前出してたけど、巴か?アイツが電話してくるなんて珍しいなー、いつもだっt」


P「・・・クソがッ・・・!!!!」


美玲「!?」

ちひろ「プロデューサーさん!?」

P「あっ、ごめん・・・。・・・ちょっと荒れたんだ、頭冷やしてくる・・・」


ちひろ「何があったんですか?」

P「いや・・・気にしないでください・・・」

ちひろ「そんなわけないじゃないですかっ!!」

美玲「そうだぞッ!巴に何かあったんだろッ!?」

P「・・・・・・」

美玲「プロデューサー!!!」

櫻井桃華「Pちゃま!何かあったのなら私たちが協力を・・・!」

P「そうは言っても・・・個人的な問題だよ。みんなには関係ない」

美玲「嘘をつくなッ!!!」

P「っ・・・」

美玲「絶対何かある!言えッ、ウチが信用できないのかッ!!!」

P「・・・・・・」

美玲「巴に何かあったんだなッ!!事故か・・・!?」

桃華「・・・巴さんに命の危機が迫っていますのっ!?」


P「・・・違う。そうじゃない、そうじゃないんだ・・・!!」

美玲「今のプロデューサーはいつものネガティブじゃないッ!!何かがヤバイって顔だッ!!答えろ!!」

並木芽衣子「こらこら美玲ちゃん、プロデューサーに迷惑かけちゃ・・・」

P「・・・・・・」

芽衣子「プロデューサー?」




P「今日はもう・・・みんな帰ってくれ・・・」




芽衣子「・・・・・・分かった」

桃華「芽衣子さん!?」

美玲「帰らないぞッ!!とんでもない事が起こってるくらいウチでも分かるッ!!!!」

芽衣子「プロデューサー・・・いま起こってるソレは解決できるんだよね?」

P「・・・ああ、解決する」


芽衣子「ほらっ、プロデューサーもそう言ってるんだし、ね♪」

美玲「グルルルルルゥ・・・!!」

桃華「美玲さん」

美玲「桃華・・・?」

桃華「・・・Pちゃまに任せましょう。私たちが出て問題の火種を拡げても仕方ありません」

美玲「嫌だッ!!ぜったいに嫌だッ!!!!!!!すごく悪い予感がするんだッ!!!!!!」


P(悪い予感・・・)


桃華「ダメですわ。アナタが出来る事を考えてみてください」

美玲「・・・ギギ・・・うぐぐ・・・ぅ!!!!」

桃華「何も出ないでしょう?」

芽衣子「落ち着いて待つのも、大事なことだよっ」

美玲「・・・ぅぅ!!」


P「・・・もうすぐ巴が帰ってくる。みんなはいつも通り、接してあげてくれ」

美玲「・・・・・・プロデューサー・・・!」

P「どうした?」

美玲「・・・手、パーにしてくれ」

P「こうか?」


美玲「ウラァッ!!!!!!」


P(美玲は俺の手のひらに腕をムチのようにしならせてパンチを振るった)

P「痛っ!」

P(激痛とは言えないが、手首より先にジーンとする痛みが響く。だが、彼女が心から吐き出したいものを感じ取れた)



美玲「絶対・・・絶対解決しろよッ!!!すぐ解決しろよッ!!!!」



P「・・・ああ」








P(事務所にいるアイドルたちはみんなは一度女子寮へと帰らせた)

P(もちろん、自宅帰りのメンバーは女子寮で親に送り迎えを待つよう命令した)


P「みんな帰りましたか?」

ちひろ「・・・ええ。残っている子はいませんよ?」

P「・・・・・・ふーっ・・・」

ちひろ「何があったのですか?」

P「ちひろさん、何があっても取り乱さないでください」

ちひろ「はい・・・」

P「伊吹が・・・攫われました」

ちひろ「・・・・・・っ」

P「メールも電話もしたのですが・・・返事がありません」

ちひろ「・・・伊吹ちゃんの事だから、メールはすぐに返しますもんね・・・」

P「攫われた原因は不明、ですが巴と一緒にいたことから予想できるのは・・・」

ちひろ「巴ちゃんのご実家に関わる問題」

P「ええ・・・ですがカタギに迷惑をかけるような輩は極道でも何でもありません」

P「・・・ただの人攫いです」

ちひろ「・・・・・・」


P「巴の目撃によると相手は2人組で黒いエスティマに乗り、ナイフのような刃物を持っているということ」

P「トイレに行っていたという巴の言葉を信じるなら、テレビ局の駐車場内で攫われたのでしょう」

ちひろ「・・・計画性がありますね」

P「それはヤツらに聞かないと分かりません」

ちひろ「どうしますか?警察にお願いしますか?」

P「いえ、警察には事後報告を・・・考えています」

ちひろ「え?」

P「公にしてマスコミに知られてしまっては伊吹を助けられたとしても彼女の人生をズタズタにしてしまいます」

ちひろ「でも・・・」

P「覚えていますよね?俺が暴漢から雪乃さんを助けた時のこと」

ちひろ「・・・事務所や由愛ちゃんのような小さい子に恐喝まがいのインタビューがありましたね・・・」

P「そうです。もしマスコミにこの事が見つかっては・・・伊吹は文字通り身を削ることになります」

P「ただでさえ、捕まって辛い思いをしているに違いありません。そんな彼女をハイエナ共に晒させるわけにはいきません」


ちひろ「ですが・・・どうするのですか?」

P「今日中に取り戻します」

ちひろ「どうやって・・・?」

P「うっ・・・・・・」

ちひろ「案はないんですか?」

P「探します・・・走り回って・・・!」

ちひろ「それではイタチごっこになってしまいます!!」

P「だったらどうしろと!!伊吹は今も助けを待っているに違いません!!!!」

ちひろ「落ち着いてください。いま良い方法を考え付きました」

P「?」





P「・・・GPS」

※GPS(グローバル・ポジショニング・システム):衛星で位置情報を教えてくれるサービス

ちひろ「はい、社長の命令で仕事用の携帯電話を皆に持たせているのは知ってますよね?」

P「もちろんです・・・が、確か伊吹は充電の減りが早いと言って位置情報サービスは切っているはずです。・・・俺や芽衣子に相談していたのを覚えています」

ちひろ「あの社長がわざわざ渡しているんです。そういう所は対策済みですよ」


カチカチ・・・カチッ


ちひろ「ほら、どうですか?」

P(ちひろさんは伊吹にメールを送った後、パソコンの画面で伊吹の現在地が表示された・・・!)

ちひろ「コマンドを打ったメールを送れば、GPSを起動するというシステムです」

ちひろ「あのケータイ、オーダーメイド品なんですよ。こういう時のために・・・社長が用意していたんです」

P「・・・・・・」

ちひろ「・・・終わったらあのケータイの講習しましょうか?」

P「ホント・・・お願いします」


P(伊吹の現在位置は・・・高速道路を通り、国道を通り、ある場所に固定された)

P(・・・あのテレビ局から約10km・・・ホテル□□・・・!)

ちひろ「・・・行くのですか?」

P「当然です!!!」

ちひろ「ふふっ、私は止めませんよ。必ず伊吹ちゃんを助けてくださいね」

P「分かりました!!!」





ちひろ「・・・ホント・・・向こう見ずな人」








 ─ ホテル□□・?階・廊下 ─



小松伊吹「むーっ!!!む゛ーっ゛!!!!!」

男1「うっせぇ、黙ってろ!!!」

伊吹「・・・う゛ーっ↓」

男1「おい、扉を開けろ」

男2「おう」

伊吹(ここ、どこっ!?)

伊吹(後ろから口を押さえられてそのまま車に引きこまれて・・・)

伊吹(そこから袋に詰め込まれた、までは覚えてるっ・・・でも)




 ─ ホテル□□・?階・△号室 ─


伊吹「う゛う゛っ!!」

伊吹(いたいっ!!たぶん、ベッドに投げ込まれたのかも・・・くそー、袋さえなければ噛み付けるのに)



男1「・・・うっし、いっちょあがり」

男2「だけどよぉ、アニキ・・・コイツ、村上巴じゃねーぜ?」

伊吹「も゛も゛も゛びゃんっ!!?(巴ちゃん!!?)」

男1「コイツが反応してるって事は知り合いだろ、取り引きはできなくはない」

男2「そうだけどよぉ」

男1「なぁに、まずは○○プロとの取り引きだ。面倒はそっからだ」

伊吹(もしかしてあたしの身柄と巴ちゃんの身柄を天秤にかけられてる・・・?)

伊吹(どうにかしてPに伝えないと・・・)


男2「なぁアニキ、話変わるんだけどさぁ」

男1「なんだ?」

男2「腹減らねぇ?昨日からぶっ通しで動いてるからめっちゃ腹減ってんだけど」

男1「しゃーねぇなぁ・・・ちょうど下のレストランがやってるから食いに行くか」

男2「アニキってば話が分かるぅ」


ガチャ・・・バタンッ!


伊吹(しめたっ!!多分、ヤツらが2人とも消えた!!今のウチに脱出・・・)

伊吹「んーんー!!」

伊吹(こ、この袋・・・どういうタイプなのっ!?)

伊吹(落ち着いて確認したら・・・手も足も縛られてるしっ・・・!)

伊吹(でも口は塞がれてない!この袋から顔さえ出せれば・・・!!)



伊吹(ん?)

伊吹(頭の上に冷たいものが・・・!あっ!!)

伊吹(もしかしてこれ・・・チャックかなっ!!!やったっ、これを重点的に・・・!!)


伊吹「んぅっ!!ん───っ!!」


伊吹(びくともしないっ!!・・・って待てよ・・・これ下止めの方なのかもっ!!!)

伊吹(ダンサーの柔軟性舐めないでよぉ──っ!!)


伊吹「ぐぬぐぬぬぬぅ」


伊吹(よしっ、袋の中で向きが逆になれた!!よし、えいっえいっ!!)


ジジッ・・・ジジッ・・・


伊吹「ぷはーっ!顔出せたっ!!」

伊吹(って、はっ!!油断してたっ!!誰かいたらまた袋に戻される!!)



・ ・ ・ ・ ・ 。



伊吹「よし・・・誰もいないね・・・?」

伊吹「これであと手と足が自由に動ければなぁ、逃げるのになぁ・・・」

伊吹「はぁ・・・みんなぁ・・・P・・・助けてよーっ」





伊吹「それにしてもここどこだろう・・・ホテルの一室・・・ではあるよね」

伊吹「豪華ってわけじゃない、でもビジネスホテルってわけでもない・・・」

伊吹「・・・いや、そんな事はアタシに関係ないし」

伊吹「あー・・・せめて手だけでも動かせられればなぁ・・・」



伊吹「ん?」


伊吹(外から差し込む月明かりだけだけど、アタシは確かに確認できた。ベッドの横に、自分が入ってる袋とまったく同じ袋がある事を)

伊吹(もしかして・・・アタシ以外にも誰か捕まったんじゃ・・・!!)




伊吹「よっしょ、よっしょ」



伊吹(芋虫みたいに動いて、なんとかその袋に近付いた)


伊吹「おーい、誰かいますかー?」


伊吹(アゴでつついて、中身を確認する。柔らかかったから・・・たぶん人)


「・・・・・・!!」ビクン

伊吹「おおう?大丈夫?」

「んー!!!んー!!!!」

伊吹「声出てるから生きてるね。ちょっと待って!」

「ん──────────!!!」

伊吹「待って、動かないで!ファスナーが壊れちゃう!!」

「・・・・・・」

伊吹(中の人は理解して、ピタッと止まってくれた)

伊吹「ファスナー開けるよー」




伊吹(アタシはなんとか歯で噛んで袋のファスナーを少し開けることが出来た)

伊吹(中からは多分・・・女性の足が見えた)



伊吹「あーっ、やっぱり足の方かぁ・・・中で回転できる?」

「──って──ますっ!!」

伊吹「き、聞こえないけど頑張ってー!」



伊吹(中でなんとかぐるりと一回転。“彼女”は髪をボサボサにしてなんとか袋から顔を出せた)



伊吹「って・・・アンタは・・・!!」

「アナタは・・・確か・・・○○プロの・・・」


伊吹(蠱惑な眼差しと知的な雰囲気を売りにしているヤツ!!えっと、名前は確か・・・)


伊吹「Coプロの古澤頼子ちゃんだよね!?」

古澤頼子「はい・・・アナタは小松伊吹さん・・・でいいんですよね?」

伊吹「そーそー。はーっ・・・良かったぁ・・・」

頼子「良かった?」

伊吹「やっぱり1人じゃ心細いからさ、誰かがいるだけでなんだか嬉しくなるというか」

頼子「・・・そうでしょうか」

伊吹「なんだよー、ダメだよ、マイナスに考えちゃあ♪」

頼子「・・・それは分かりますが」

伊吹「何か不満なん?」

頼子「・・・小松さんは・・・いま自分がどういう場面にあるか分かりますか?」

伊吹「攫われたんでしょ?んで、身代金とか要求される」

頼子「・・・分かってるじゃないですか」

伊吹「ふふん♪」

頼子「褒めてはいません」


伊吹「まぁー、神経張っても仕方ないって。あの犯人たちを怒らせなければとりあえずは大丈夫だよ」

頼子「なぜ、そう言い切れるのですか?」

伊吹「んー、なんたってアタシのプロデューサーは巷じゃ有名な不死身星人Pだからねっ!あの人は絶対に助けに来てくれる。アタシはそう信じてるから」

頼子「・・・・・・羨ましいですね」

伊吹「Pが?絶対あげないし。雪乃さんに怒られるのはゴメンだよ」

頼子「いえ、その・・・能天気さが」

伊吹「バカにしてるぅ!?」

頼子「そ、そういう意味では・・・」

伊吹「古澤ちゃ・・・うーん、言いにくいから頼子ちゃんでいいよね、はい決定」

頼子「え、あっ・・・」

伊吹「頼子ちゃんさー、信頼できる人っている?」

頼子「・・・・・・」

伊吹「すっごく暗い顔してるからさ、信頼している人が絶対助けに来てくれる!って思えば少しは気持ちが楽になるよ」

頼子「・・・・・・」



伊吹(目を逸らされた。もしかして地雷・・・?)


頼子「・・・・・・」

伊吹「・・・・・・」

頼子「・・・・・・」




伊吹(そんな沈黙が20分近く、続いちゃったわけなんですが・・・ようやく口を開いてくれました)



頼子「Coプロは・・・とても厳しいところです」

伊吹「厳しい・・・ほぅ」

頼子「私たちは商品です。商品である以上、利益を得なければいけない」

頼子「利益が十分に得られなければ・・・そのアイドルは切られます」

伊吹「切られるって・・・クビ?」

頼子「はい・・・そちらに移った梅木さんも・・・本質的には」

伊吹「・・・今となっちゃアタシたちの主力の1人だけどね」

頼子「その人にとって一番良い環境があります。梅木さんは・・・Coプロではなかっただけですよ」

頼子「そして、その取捨選択をするのは私たちのチーフプロデューサー、CoPさんです」

頼子「彼はとても利己的です。ただその利己的な感情を他者に認めさせるだけの実力と成績がある」

伊吹「・・・つまり、ワガママだけど凄い人ってこと?」

頼子「そうですね・・・」


伊吹「利己的なら・・・全力で助けてくれるじゃん!そもそもアイドルが減る事自体がマイナスなのに・・・!」

頼子「果たしてそうでしょうか・・・?」

伊吹「え・・・?」

頼子「私は・・・Coプロでは下から数えた方が早いです。表情も暗い、自信もない・・・ノルマも・・・ギリギリの低空飛行」

頼子「申し訳程度の・・・存在です」

頼子「消えたとしても、会社的には何も問題ない」




頼子「むしろ消えた方が・・・」




伊吹(なーんか、ネガティブだなぁ・・・ネガティブなのはウチのPだけで十分なんだけど。ちょっといろいろ聞いてみようかな)


伊吹「・・・じゃあさ、なんでアイドルになったの?」

頼子「それは・・・」

伊吹「それは?」

頼子「・・・・・・」


伊吹(ダンマリか。ならこっちから言おうかな)

伊吹「・・・アタシはね、もっとたくさんの人に自分の踊りを見せたいから、今こうやってアイドル頑張ってるんだ」

頼子「・・・・・・」

伊吹「最初はストリートパフォーマーになろうかなーって思ってたんだ」

頼子「ストリートパフォーマー・・・大道芸とか・・・?」

伊吹「まー、そんなところ。アタシはずっとダンスやっててさ、将来のこともダンスでいいや・・・なんて考えてたんだ」

頼子「・・・棘の道ですね」

伊吹「ホントそうだった!やっぱり大変なものがあったよ。たとえばブレイクダンスは男性がやるものってイメージ強いし、時間帯に合わせてダンスを選ばないと変なのに絡まれるしね」

頼子「そう・・・ですか」


伊吹「一番大変だったのは“ショバ代取ったのか”って因縁つけてくる時だったなぁ・・・」

伊吹「そもそもストリートパフォーマンスするのに警察署の許可もらってるーっつのって話でさ」

伊吹「気持ち悪い男がアタシの腕掴んで強引に引っ張ってくの」

頼子「・・・え?」

伊吹「多分、若い女だから知識ないだろうし、脅せばヤれるとでも思ったんじゃないかな?」

頼子「・・・どう、なったんですか?」

伊吹(・・・食いついてきたね)


伊吹「意外とソイツの力強くてさ、アタシがダンスで鍛えてるって言っても振り払えなくて、路地裏まで引っ張られちゃってさ・・・」

頼子「もしかして・・・」

伊吹「いやいや!そこでさ・・・」



伊吹『いやっ、やめてやめてよぉ!!!』

『最近の女はホント男を誘惑することしか考えねぇからなぁ・・・イッシシシ』

伊吹『誰かっ、誰かぁっ、いやぁ!!』

伊吹(この時はホントいろんなモノを失うかもって思ったよ・・・)


P『こんのっ、脳内ピンク色ヤローめぇ!!!!』

『ぐべぇぇっ!?』

伊吹『え・・・?』

P『ダンサーさん、大丈夫かい?』



伊吹「って、今のプロデューサーが助けにきてくれたんだ」

頼子「・・・素敵な方ですね」

伊吹「ホントだよ、誰かが困ってると一目散に来るんだから」

伊吹(本当はその後にPの『あ゛ー!先に殴っちまったぁぁぁぁ!!!裁判で負けるぅぅぅぅう!!!』があるんだけどね)


伊吹「んで・・・アタシのダンスを別なところで活かさないか?って誘われてね」

頼子「そして・・・アイドルの道に・・・」

伊吹「うん」

伊吹「踊れるならどこでもいいって思ってたけど、違う。見てくれる人のために踊れるアイドルだったからアタシはここまでやってこれた」

伊吹「ダンスをやってたから、ダンスで生きたいって思ってたから今の自分がいる」

伊吹「ダンスでアタシなりのアイドルを描いていくって決めたから・・・数え切れないものを手に入れてきた」

頼子「自分なりのアイドルを・・・描いていく・・・」

伊吹「へへっ、そうそう!自分がやりたい何かを描けなきゃ!その結果、アタシのユニット、エキサイトダンサーズはなんだかんだ引っ張りだこなんだ♪」

伊吹「3人で歌って踊って踊って、踊って!たくさんの人に興奮と感動を送る、それがアタシのアイドル道!」


頼子「・・・羨ましい・・・」

伊吹「・・・・・・羨ましい?」

頼子「私は・・・華やかな世界に憧れて、アイドルの世界にやってきました」

伊吹「うん」

頼子「でも、待っていたのは・・・孤独と戦い続ける世界でした」

伊吹「・・・」

頼子「毎日、壊れそうな自分を鏡で見ているだけの・・・そんな生活」

伊吹「よく生き残れてるね」

頼子「和久井さんが・・・素質があると言って残してくれてるんです」

伊吹(Coプロの影のリーダー、和久井留美・・・)

頼子「正直、お情けだと思ってます」

頼子「きっと、上の人間は自分から消えてくれるのを・・・待っているんです」

頼子「誘拐されたのも・・・ただのお迎えなんです。闇に消える・・・その準備の・・・」


伊吹「そんなことないっしょー」


頼子「っっ!!!なんでそんな楽観できるんですか!!!」

伊吹「だってあの和久井留美が認めてるんでしょ?」

頼子「・・・・・・」

伊吹「和久井留美の実力知らないわけないでしょ?ただでさえ秘書業とアイドルの両立なんかアタシにはムリムリ」

頼子「・・・だからお情けだと・・・!」

伊吹「お情けでも噛り付いた?」

頼子「・・・・・・っ」

伊吹「大丈夫だって。自分の可能性は自分じゃ分からないモノ」

伊吹「誰かが見てくれて初めて分かるんだ」

伊吹「先輩がいきなり目をつけてくれるなんて、そんな幸せないでしょ」


頼子「・・・・・・」

伊吹「・・・・・・」

頼子「・・・・・・」

伊吹「・・・・・・」

頼子「・・・まだ間に合うと・・・思いますか・・・?」

伊吹「よゆーよゆー」

頼子「・・・・・・」

伊吹「人間、頑張れば何でもできるもんだよ」

伊吹「だから・・・希望を捨てずに、ね?」

頼子「・・・・・・はい」



「──────、───」

「───、─────────」


伊吹「やばっ、あいつら帰って来た!」

頼子「・・・どうしますか?」

伊吹「とりあえず袋の中に隠れて、やり過ごす!アタシのプロデューサーが絶対に助けてくれるから!いいね?」

頼子「・・・分かりました。・・・今はアナタを信じます・・・」




 ─ ホテル□□・駐車場 ─



P「やっと着いた!ホテル□□・・・」

P(まずは・・・エステマを探そう!)

P「本当にここに来ているかどうか・・・!」

P(巴の証言が確かなら・・・黒のナンバープレートのないエステマが・・・)

P「・・・あった!!」

P(いかにも中古屋で買いましたって感じの古いエステマが駐車場の隅に停められていた)

P「となると・・・やはり伊吹はこのホテルの中に・・・」



 ─ ○○プロ女子寮 ─


美玲(芽衣子さんの命令で・・・女子寮に全員集められた。当然、巴もだ)


巴「みんな、ホントにスマン・・・!!」

成宮由愛「巴ちゃん・・・土下座なんて・・・」

巴「・・・伊吹に何かあってからじゃ遅いんじゃ!!!」

杉坂海「巴ちゃん、アンタは最良の手立てをしたんだ」

巴「そんなワケあるか!!!」

海「考えてもみなよ、伊吹を助けようとして巴ちゃんが突っ込んだ所で2人とも捕まるのは目に見えてるよね?」

巴「・・・うぐぐ」

海「すぐさま、Pさんに連絡した。一番良い判断だと思うよ。だから、自分を追いやらないで」

巴「・・・・・・むぅ」

美玲(巴は美羽や由愛に慰められている。自分のせいだとこれからも自分を責めなければいいけどなッ)

海「問題は・・・」

美玲「プロデューサーの方だなッ」

相原雪乃「この調子だと・・・1人で敵地に突入しようとしているのは確実でしょうね」

海「一体どうする気なんだろうね。ウチには考えつかないよ」

雪乃「・・・・・・そうですわね。そのPさんも今どこにいるのやら・・・」




 ─ ホテル□□・フロント ─


「いらっしゃいませ、ご予約はとらr」

P「すみません、2人組の男性で部屋を取っている所ってありますか?」

「いえ、いませんね」

P(当然の反応。そうだよね、仮にもお客様、情報を提示できるはずがない・・・)

P(そうだ・・・!)

P「例えば・・・大きな袋を持っていたとか・・・」

「いえ」

P「お願いします・・・!教えてください・・・!」

「これ以上の行動は警備員を呼びますよ」

P(しめた・・・!)

P「むしろ警備員を呼んでくれませんか?」

「は?」

P「お願いします!」

「え、ええ・・・」

P(受付の人は怪訝な顔をしながら内線で警備員を呼んだ)



 ─ ホテル□□・裏口 ─


P(俺は警備員に連れられ、裏口へと向かった)

P(追い出す準備と、関係ない人を巻き込まないためだろう)

P(だが、チャンスだと俺は思った)



P「お願いします!人の命がかかっているんです!」

「そう言われてもねぇ・・・」

P「お願いします!!!せめて・・・せめて監視カメラを見せてください!!」

「あー・・・やかましいなぁ、警察呼ぶよ?いいの?」

P「・・・・・・」

P(ここで警察を呼ばれたら・・・伊吹どころの話じゃなくなる・・・)

P「止めてください・・・!」


「じゃあ、とっとと出てってくれる?」

P「そうはいきません!!大事な人が・・・大事な人が攫われてるんです!!!」

「どこに証拠があるのよ」

P「・・・・・・これです」

P(俺はGPSを見せ付ける)

P「ある時からずっとGPSがこのホテルを指しているんです」

「・・・なーんて言っちゃって、それも仕込みなんじゃないの?」

P「そんな事はありません!」

「・・・・・・はぁ、監視カメラ見たら、帰る?」

P「はい、もちろんです」

「厄介なヤローさんだこと、こっちにおいで。満足したら帰れよ、まったく」

P「ありがとうございます」



 ─ ホテル□□・監視室 ─


「いつ頃からのが見たいの?」

P(ホテルに到着したのが確か・・・)

P「すみません、1時間半ぐらい前から再生してもらえませんか?」

「ほいっと」


P(ビンゴ。ある2人の男の姿、片方が大きな袋を担いでいて、袋は人が1人入りそうなサイズだ)

「コイツかい?」

P「時間的に間違いなく、コイツらが誘拐犯です」

「確かに怪しい袋は持ってるけどよぉ」

P「この人たちが取っている部屋は何号室ですか?」

「ちょっと待ってろ」

P(警備員の人はおそらく受付に連絡しているのだろう)

「505号室だってよ」

P「そこが映るカメラはありませんか?」

「5階のカメラね、ほいほい」



P(カメラにははっきりと映っていた。二人組の男がずっと部屋の前で見張っているのを)


「・・・あちゃー、こりゃ黒だね」

P「どうみても怪しすぎる・・・」

「確かに不可解な行動からして、誘拐犯だと断定しよう」

「だが、アンタはどうするんだい?」

P「俺が突入して、助け出します」

「2人組なんだろう?ちょっと厳しくないか?」

「悪いが、俺なら警察を呼ぶね。だが、アンタは呼んで欲しくないんだろう?」

P「・・・・・・」

P(こんな時、映画の主人公なら・・・どうするか。俺はそんな考えが頭を過ぎり、あの子に電話をかけていた)



 ─ ○○プロ女子寮 ─


藤居朋「・・・大丈夫かな・・・大丈夫よね・・・?」ウロチョロ

雪乃「朋ちゃん、気持ちは分かりますが、落ち着いてください」

朋「わ、分かってるわよー・・・。でもPはPで命知らずだし・・・伊吹ちゃんは軽い口で喧嘩売ってると思うと・・・」

朋「も゛ー゛!!!なんでアタシがこんなに心臓張り裂けそうなのよぉ・・・」

雪乃「朋ちゃんが毎日やってる占いはどうだったんですか?」

朋「・・・そーいややってなかった!そうね、ネットのタロット占いで・・・えい!」


『審判の逆位置』


朋「    」バタッ

雪乃「朋ちゃん!?どうしました!?」

海「審判の逆位置?ミッチー、分かる?」

大原みちる「え゛、審判の逆位置・・・なんですか・・・?」

海「・・・マズいやつ?」

みちる「マズいも何も“もうやりなおせない状態”、“悲しい別れ”を意味する状態・・・」

海「え・・・?」


ザワザワザワ・・・!!



雪乃「落ち着いてください!」

美玲「お、お、お、落ち着けるかッ!!ぷ、ぷ、プロデューサーが死んじゃう・・・」

雪乃「死ぬわけがありません!あの人は崖から落ちても、串刺しになっても、死んだ事がありましたかっ!?」

海「それは・・・ないけど・・・」

雪乃「今回も大丈夫です。伊吹ちゃんを連れて帰ってきます・・・」

みちる「雪乃さん・・・無理してませんか?」

雪乃「大丈夫です・・・無理なんか・・・今の伊吹ちゃんの事を考えれば、何ともありません・・・」



Pipipipi!!!!



大和亜季「すみません、電話が・・・P殿・・・?」

一同「!?」

亜季「ごめんなさい、でます!!もしもし、P殿!?」

P『亜季ちゃん、今どこだい?』

亜季「今の場所でありますか・・・?」チラッ

みちる「・・・・・・」

雪乃「・・・・・・」

亜季「・・・自分の部屋であります」


P『そうか、よかった・・・!あまり皆に聞かれたくないからね』

亜季「P殿はいまどちらに・・・?」

巴「・・・っ!!」

P『県内のホテル□□だ。』

亜季「ホテル□□・・・!」

雪乃「・・・誰か検索してください!」コソコソ

若林智香「アタシがやります!」コソコソ

亜季「P殿・・・巴ちゃんから聞いています」

P『そうか・・・巴ちゃんね・・・』

亜季「と、巴殿であります!」

P『はははっ、話が早い!このホテル□□で伊吹が捕らわれているだろう部屋まで確定できた!』

亜季「本当でありますかっ!?」

P『なぁ、亜季ちゃん・・・ホテルの5階で相手は男性2人でナイフを武装・・・この状態に突っ込んで伊吹を救えると思うか?」

亜季「・・・100%無理だと思います。倒すだけならともかく・・・伊吹殿を救助するとなると、相手がまず人質にとると思います」


P『だよなぁ・・・』

亜季「・・・行くのでありますか?」

P『もうちょっと策が欲しい』

亜季「P殿、私はアナタの命も大事であると具申しておきます」

P『ん(把握)』

亜季「伊吹殿も大事であります。ですがP殿、アナタも同じだけ大事であります」

P『・・・ん(ちょっと恥ずかしい)』

亜季「決して無理はしないよう」

P『もちろんだ』

亜季「・・・P殿、アナタの最初の作戦を教えてください」

P『ホテルの運営側を味方に付ける事が出来た。これで停電をわざと作る事ができるから、暗闇の中強襲し、伊吹を回収して逃げるつもりだった』

亜季「・・・だった。つまり無理と判断したと」

P『ああ。このホテルは都内のど真ん中にある。つまり・・・停電を作ったところで外からの光が入ってそこまで暗くならない事が分かったんだ』

亜季「なるほど、夜戦は奇襲できなければ効果は薄いでありますな・・・」


P『それに・・・5階だ。伊吹を回収した後、Uターンして戻らないといけない。戻ったところで相手が復活してたら俺どころか伊吹にまで被害が行ってしまう』

亜季(Uターン・・・?)

亜季「智香殿・・・救助マットについて調べてもらえませんか・・・?」コソコソ

智香「了解でーす・・・」

亜季「P殿、ちょっと待ってください」

P『ん。分かった』

智香「亜季さーん、出ましたよー」コソコソ

亜季「・・・分かりました。なるほど・・・」

亜季「P殿、作戦が考え付きました」




 ─ ホテル□□・5階・廊下 ─



男1「本当に取り引きは上手く行くんだろうか・・・」

男2「はっ、兄貴らしくねぇ。俺たちには“コレ”があるんだからよぉ」

男1「それは絶対に使うな、あくまで持つだけにしろ」

男2「へいへい」



ジリリリリリリリリリ!!!



男1「・・・非常ベルか?」

男2「火事かもしんねぇ!俺見てくる」

男1「ああ、頼んだ。俺はここを見てる」




バチッ・・・!



男1「なんだ、停電か・・・ガチの火事か?」

男1「チッ・・・あと少しで取り引きの時間だと言うのに・・・」



「・・・っはぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」




 ─ ホテル□□・5階・505号室 ─


頼子「・・・・・・」

伊吹「・・・絶対、Pが助けに来てくれるから」

頼子「はい・・・」

伊吹「・・・ウチのプロデューサーは・・・魔法使いで王子様でゾンビで最強なんだから・・・!」



ジリリリリリリリリリ!!!




伊吹「え、なにっ!?」

頼子「非常ベル・・・」

伊吹「も、もしかして火事・・・!?」



「・・・っはぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」


伊吹「この声・・・!」

P「伊吹!!!」

伊吹「P!!!!!」

頼子(あの人が・・・P)

伊吹「P、P、どうしたの!?どうするの!?」

P「話は後だ!!ってこの子・・・」

頼子「・・・・・・」

伊吹「頼子ちゃんも捕まった人なんだよ!」

P「うっ、分かった!よく聞け!今からキミたちをベランダから“落とす”!!!」

頼子「え!?」

伊吹「ちょ、どういう事!?」



 ~ 15分前 ~



P「救助マット?」

亜季『はい、救急用の救助マットで伊吹殿とP殿は5階から飛び降りるのであります』

P「本当に大丈夫なのか?」

亜季『・・・ホテルの5階は大体15~17mであります。調べた限り、救助マットは112kgの人間を地上15mの高さまで救う事ができます』

P「・・・ギリギリセーフかギリギリアウトのどちらか、か」

亜季『伊吹殿の体重ならば大丈夫であります。問題はP殿・・・』

P「いや、それで行こう。時間がない、レスキューを呼べば用意してくれるんだな?」

亜季『やってくれると思います。ですが・・・』

P「・・・警察やマスコミも動きそうだな」

亜季『・・・・・・』

P「・・・・・・」

亜季『P殿、四の五の言ってる場合では・・・ありません。伊吹殿の命が・・・最優先であります』

P「・・・そうだな、分かった」

亜季『P殿!』

P「ん?」

亜季『御武運を・・・私はここで待ってますから』



 ~ ~ ~ ~ ~



P(救助隊の確保、別の階の非常ベルで敵を分断、停電による暗闇からの奇襲、よし、上手く行ってる)

P(奇襲は相手が1人だから効果があった・・・絶対2人いたらもう1人にやられてた・・・!)


頼子「ベランダから落とす・・・?」

P「ああ、今救助隊が救助マットを用意してる!そこに向けて落とす!」

伊吹「それって大丈夫なの?」

P「もちろんだ。救助隊の人たちも太鼓判を押してくれた」

伊吹「っ!頼子ちゃんを先に!!」

頼子「え?そんなっ!」

P「・・・分かった」

伊吹「Pが絶対助けてくれるって言ったでしょ?アタシ、嘘は言いたくないしね」

頼子「・・・伊吹さん」



P(救助隊からのOKサインが来た)

P「古澤さん、失礼しますね。私なんかが抱っこして」

頼子「いえ・・・」

P「改めて言いますが、ベランダから落とします。しばらく紐無しバンジーの気分を味わいますが、目をつぶって我慢してください」

頼子「はい・・・大丈夫です・・・」

P「いいですか?手を離しますよ?」

頼子「はいっ・・・」



ばさっ・・・!



「おっけぇぇぇえ!!!」

「確保!すぐに救急車に!!!」



P(よし、無事に下ろせたようだ)


伊吹「頼子ちゃん大丈夫だった!?」

P「よっしょっと・・・もちろん、次は伊吹の番だ」

伊吹「・・・Pも下りるんだよね?」

P「伊吹の後でな」

伊吹「でもPにお姫様だっこされるなんて後で雪乃さんになんて言われる事やら」

P「なんも言わないよ。命がかかってるんだ」

伊吹「ははっ、じゃあお礼のキスは後でね」

P「いりません、んなもん」

伊吹「あっ、ひど~い!!」



伊吹「んで、まだ?」

P「待って、下のスタッフが準備が出来てない」





ドタタタタタタタッ!!


伊吹「この足音・・・!」

P「マズい、下の階に行ったやつに気付かれた!!」

伊吹「ど、どうするの!?」

P「・・・強行する!」




「次、お願いしまーす!!」



P「さぁ、伊吹の番だ!!」

伊吹「早く・・・早く・・・」




「てめぇぇぇぇぇっ!!!!!」





P「っ!!!!!」

伊吹「Pっ、アイツ、“拳銃”・・・!!」

P「ぐっ、せめて伊吹だけでもっ!!!!!」




伊吹「えっ・・・」









伊吹(ゆっくりと・・・自分が落ちていく中、目に焼き付いていく)

伊吹(自分を助けてくれた人が強い衝撃でベランダの手すりに叩きつけられているのを)

伊吹(激痛に顔を歪ませ、膝をつくのを)


伊吹「P・・・?」




伊吹(Pが撃たれた・・・?)





「大丈夫かっ!?」

「意識はあるか!?」

「脈はあります!放心状態です!」

「はやく救急車に運べ!!!」

「しかしなんだ今の銃声は!?」

「何が起こってるんだ!?」



伊吹「P・・・P・・・」





伊吹(地面についた後、アタシの意識はどこかに消え去った・・・)





 ~ 5分前 ~


松山久美子(亜季ちゃんがホテル□□と聞いた瞬間、何人かはすぐさま女子寮を出てしまった。私もその1人)

喜多見柚「ここだよ、ホテル□□!」

芽衣子「見て、今誰か落ちたよ!!」



「おっけぇぇぇえ!!!」

「確保!すぐに救急車に!!!」


柚「今のって・・・」

芽衣子「Coプロの子だよね、どういう事・・・!?」

柚「Pサン、今になって他の子も助けてるの?」

久美子「らしいというか、なんというか」



「次、お願いしまーす!!」



芽衣子「あれ・・・もしかして伊吹ちゃん?」

柚「よかった、助かったんだ!!」

久美子「伊吹ちゃんに付いてあげよう、ちゃんとケアしてあg・・・」






ダァァァァァァン!!!!!




久美子「え?」

柚「・・・なに、いまの・・・?」

芽衣子「・・・・・・っ、ねぇ・・・あれ・・・」

久美子(ベランダに力ない片腕が垂れ下がっていた。え・・・P・・・君?嘘だよね・・・?)

柚「Pサン・・・?」



芽衣子「・・・っ、伊吹ちゃん!!!」


「ご友人の方ですかっ!?」

芽衣子「はいっ」

「今から病院にお送りします!ご同行お願いします!」

芽衣子「分かりました!」

芽衣子「伊吹ちゃん!!大丈夫っ!?」

伊吹「P・・・・・・」

芽衣子「大丈夫!プロデューサーは大丈夫だからねっ!!」

伊吹「P・・・P・・・」

芽衣子「大丈夫だから!!」


久美子(芽衣子さんは伊吹ちゃんと共に病院に行ってしまった)

久美子(それから10分して・・・武装した警察がやってきた。銃声の原因を確認しにいくらしい)


柚「クミちゃんサン・・・Pサン、大丈夫だよね・・・?」

久美子「うん、大丈夫・・・大丈夫だよ・・・」


「犯人逃亡!」

「渋滞でパトカー出せません!!」

「至急、ヘリでの追跡をお願いします!!」

「了解!」

「被害は?」

「それが・・・」



久美子(P君・・・)



「報告します!重傷者が2!1人は今にも死にそうです!!」

「重傷者を早く、病院へ!!」



久美子「死にそうっ・・・!!?」

柚「あっ・・・」クラッ

久美子「柚ちゃん!?しっかりして柚ちゃん!!!柚ちゃんっっ!!!!」


久美子(お願い神様・・・P君を・・・連れていかないで・・・)




翌日・・・。


 ─ Coプロ ─


頼子「・・・・・・和久井さん」

和久井留美「あら、古澤さん、もう大丈夫なのかしら」

頼子「はい・・・今は、体を動かしたくて」

留美「そう、ほどほどにね。心へのダメージはもっと深いはずよ」

頼子「・・・はい」

留美「それじゃあ、頑張ってね」

頼子「はい・・・」


留美「・・・・・・」

頼子「・・・・・・」

留美「・・・・・・」

頼子「・・・あのっ」

留美「何かしら?」

頼子「・・・トレーニング見てもらえ・・・ませんか?」

留美「・・・・・・」

頼子(ダメ・・・かな)

留美「・・・・・・そうね、この後15時からすーこちゃ・・・コホン、塩見さんと脇山さんの2人のレッスンがあります」

留美「この2人に混じってレッスンするなら、見てあげられるわ」

頼子「本当ですかっ・・・!」

留美「準備運動しておきなさい。体は一番の資本よ」

頼子「はいっ!」

頼子(伊吹さんとPさんは・・・大丈夫でしょうか?今は自分がやれることをします・・・)




 ─ いつもの病院 ─



亜季「よくない・・・状況でありますか」

医者「ええ、生きるか死ぬかの瀬戸際です。むしろ生きてるのが不思議なくらいです」


亜季(私は・・・○○プロの代表で医者からP殿の容態を聞きに来たのだった)

亜季(P殿が撃たれたと聞いた時は・・・背筋が凍った)


医者「私もPさんの体を何度も面倒見てきた人間だけどね、ここまでボロボロになったのは初めてだよ」

亜季「・・・撃たれたんですよね」

医者「正直、超がつくぐらい運が良かったとしか言えない。このレントゲンを見てください」

亜季「胸の部分・・・でありますね」

医者「まず、ここが弾丸の入射口です。背中から第二肋骨に直撃している」

亜季(肋骨の付け根からちょっと離れた部分が、粉々になっている)

医者「驚く事に、第三肋骨も、第四肋骨も折れているんです」

亜季「まさか・・・跳弾?」

医者「そのまさかです。肋骨はものすごく衝撃に弱いのです、だから弾丸を弾くとなると骨が異常に堅いか、弾丸が弱まったの2択」


医者「偶然に偶然が重なり、内臓器官に達する事なく弾丸を外に追い出せた」

亜季「・・・なぜですか?普通なら、P殿を貫通するはずであります」

医者「警察によるとね、発砲時に止めようとした人がいたみたいなんだ」

医者「犯人はその人ごと、Pさんを撃った」

亜季(・・・弾丸が誰かを貫通したおかげで威力が弱まっていた、という事でありますか・・・九死に一生を得るとはこの事・・・)

医者「・・・本当に天に恵まれてる人です、Pさんは。これでもまだ死なないって言うんだから」

亜季「本当であります・・・」

医者「治るって信じて、お見舞いしてあげてください。まだいつ目覚めるか分からないし、容態がいつ変わるか分かりません」

亜季「はい」



亜季「ふぅ・・・」

久美子「亜季ちゃん・・・P君は!?」

雪乃「Pさんは!?どうなったんですの?」

亜季「大丈夫であります。背中にトンネル作って、出血多量で・・・倒れただけであります」

雪乃「・・・・・・」

久美子「・・・・・・」

亜季「・・・お見舞い、何度も来ましょう。そうすれば・・・P殿の事であります、ひょろっと起きるであります・・・」

久美子「そうね・・・」



 ─ 病院・Pの部屋 ─


P「・・・・・・」

巴「・・・P」

巴「伊吹が寝込んどる・・・柚も、里美もじゃ・・・」

巴「ウチが・・・ウチが・・・極道の娘でなんか・・・なければ・・・!!!」

巴「・・・伊吹もお前も・・・傷付くことなんてなかったんじゃ!!」

巴「・・・・・・何か、何か言ってくれ・・・アイドルを辞めろでも、どうでもいいでも、P・・・お願いじゃけぇ・・・」

由愛「巴ちゃん・・・」

巴「由愛・・・」

由愛「帰ろう?」

巴「・・・ぐすっ・・・」

由愛「Pさん・・・早く良くなってくださいね。私も、みんなも・・・待ってますから」



P「・・・・・・」




Pipipipipi!!!

Pipipipipi!!!

Pipipipipi!!!





「もしもし!もしもーし!プロデューサー!おかしいな、おーい!!いま出れないのかな?えへへっ、こういう時は、メロメロ留守伝“大作戦”、いっくよー!!!」









終わり


以上です。今回はここまでです。
読んでくれた方はありがとうございます。

「九死に一生を得る(きゅうしにいっしょうをえる)」とは助かる事のない状況から辛うじて、助かる事のたとえです。
さてさて、次回はどうなってしまうんでしょうか。

さて、次回は

・西川保奈美「首が回らない」

次々回は

・???「親の因果が子に報う」

・藤居朋「白波」

のどちらかになります。


次回は19歳組パレードを予定しています。
・・・え?最後のはなんだって?それも次回のお楽しみに。

あ、今回オマケを用意していますが、CoPサイドなので気に食わない方はご注意。

ではまた。

質問だけど頼子が誘拐された理由は?
次回のストーリーに絡むならスルーで

>>72
おまけで書いてます。夜投稿するので少しお時間を。


おまけ


 ─ Coプロ・とある部屋 ─




八神マキノ「・・・戻ったわ」

CoolP(以下CoP)「あ、おかえりー」

マキノ「Pの手術は上手くいったそうよ」

CoP「あっ、良かった♥」

マキノ「・・・ただし、回復のための体力消耗で死ぬ可能性アリ」

CoP「むむむっ、御三家としてはPちゃん死んじゃうと僕らも育たないからなぁ・・・」

CoP「はよ治れー!僕の気を半分送ろうー、はぁあぁぁぁぁぁああああ!!!」

マキノ「・・・アナタの行動で人が死にかけている事は忘れないで頂戴」

CoP「分かってるよー」

マキノ「・・・本当に分かってるの?」

CoP「もちのロンロン」

マキノ「・・・むかつくわね」


CoP「なーなー、マキノン」

マキノ「なに?」

CoP「一昨年さ、LIVEバトルで完封勝利した時のこと、覚えてる?」

マキノ「覚えてるわ」

CoP「じゃあさ、その対戦したプロダクションのプロデューサー・・・責任取って首つったの知ってる?」

マキノ「なっ・・・!?」

CoP「LIVEにかなりの借金して準備したんだろうけど、マキノンの魅力には勝てなかったって話」

CoP「まぁ、僕がマキノンに伝わらないようにしてたんだけどさ」

マキノ「まさか・・・私が・・・」

CoP「人間、いつ誰が誰を殺すかなんて分からないもんだよ。いちいちクヨクヨしてたら、それこそ死んだ人に失礼だ」

CoP「それが僕の哲学」


CoP「それにマキノンのせいじゃないし」

マキノ「・・・・・・ぐっ」

CoP「正々堂々戦ったマキノンが責められるわけないじゃん」

マキノ「なぜそれを言った!!?」

CoP「だから言ったじゃん。いちいちクヨクヨしてたら、死んだ人に失礼って」

マキノ「・・・食えない男」

CoP「マキノンはPちゃんに食われる予定だしね」

マキノ「あぁ、もう!」

CoP「あ、ちゃんと録画しといてね。小さい子の性教育に使うから。妊娠まで行ってくれると百点満点」

マキノ「死ね!!////」

CoP「生きる!!」


マキノ「ニュージェネレーション・パッチワークの1stライブチケット、初月販売率98%よ」

マキノ「一応、売り切れとは表記しているけど、残り2%はどこで捌くつもりなのかしら」

CoP「基本的にキャンセルでの漏れを考えて2週間前かなぁー、それでも殺到すると思うよ」

マキノ「あまり渋谷凛の名を風化させるのはよくないのでは?」

CoP「・・・凛ちゃんのカリスマ性はこの程度で消えたりはしないさ」


Pipipi!


CoP「マキノン、メールじゃない?」

マキノ「そうね、ふむ」

マキノ「・・・・・・マスコミ各社への口止めは終わったわ」

CoP「お、でけた?まぁ、これはお詫びだよ、Pちゃん、ゆっくり休んでくれ」

マキノ「本人の前で言ってあげなさい」

CoP「え、やだ、恥ずかしい」

マキノ「コイツ・・・!」

CoP「それに失敗した作戦が世に出回るのってヤじゃん」

CoP「僕は“小松伊吹”をヒロインにするつもりはないんだし」

CoP「“村上巴”ちゃんがいいのっ!プンプン!」

マキノ「はぁ・・・」


Pipipipi!!



CoP「おっと、この電話は~♪」

マキノ「?」



CoP「はろはろ~、ゴキゲンかい?」

男2『た、助けてくれ!!』

CoP「えー、せっかく逃亡してるなら逃亡する楽しみをじっくり味わいなよ。1日逃げ回れるなんて才能あると思うよ?」

男2『ふざけるな!』

CoP「ふざけるな、は僕の台詞だよ。なーんで村上巴じゃなくて小松伊吹なんだよ、分かる?年齢13才と19才だよ?」

男2『それは許してくれ!!俺だってアニキを撃ちまったんだ!!』

CoP「はぁ、いやそれは僕に関係ないし」

男2『嫌だ、嫌だ!逮捕なんて、逮捕なんて・・・!』

CoP「お前、Pちゃんや兄の事を撃っておいて何言ってんの?撃たれた兄は警察病院行っちゃったしねぇ」


 ~ ~ ~ ~ ~



男1「っててててて・・・くそっ、何があったんだ!?」



ドタタタタタタタ!!!



男2「てめぇぇぇぇぇっ!!!!!」


男1「あいつ、なにやっ・・・おいバカやめろ!!!」



P「っ!!!!!」

伊吹「Pっ、アイツ、拳銃・・・!!」

P「ぐっ、せめて伊吹だけでもっ!!!!!」



男1「おい、やめろ!!!撃つなっ撃つなぁぁぁぁぁっ!!!!!」




ダァァァァァァン!!!!!




男1「ぐ、ぐぅ・・・!!」

P「だはっ!!!!」



男2「あ、アニキ・・・?な、なんでアニキが前に・・・?お、俺が撃ったのか・・・う、うわあああああああああああ」



 ~ ~ ~ ~ ~



CoP「おまけに逃げ出すし」

男2『そ、そもそも誘拐ってのがおかしいんだ!』

CoP「だから僕は言ったじゃん、犯罪スレスレだから全力で逃げる用意しろって」

男2『お、お前に命令されたって言ってやる!ぜってぇゆるさねぇ!!』

CoP「約束守れないヤツに言われてもねぇ」

CoP「僕はこう言ったはずだよ」



CoP「村上巴を誘拐し、Pに撃退される。Pをヒーロー、村上巴をヒロインにする作戦だって」




CoP「それをわざわざ銃を使ってまで、ねぇ・・・」

CoP「それに念には念をって僕が提供したのはドラマで使う、刃のないナイフだけなんだけどなぁ・・・?」

男2『うぐっ・・・』

CoP「どこで劣化した銃を手に入れたのやら・・・どーせ、新宿の裏道だろうけど」

男2『どうしてそれを・・・!』

CoP「舐めんな、僕だって頼子ちゃんを攫ったてめぇらを許すつもりはない」

男2『は、はぁ!?それはお前が・・・』

CoP「Good night!逆探知はすでに済んでいる」

男2『け、警察がもう・・・て、てめぇっ!!!』

CoP「ブタ箱行きだ。Pちゃんを傷つけた報いは絶対に受けさせる」

男2『うわああああああああああああああああ!!!!』





CoP「ふぅ、ゴミ掃除かんりょー♪」

マキノ「結局、誰なのよ」

CoP「売れなさすぎて砂になりかけてた劇団員。演技力へのプライドあると思って雇ったのにぃ」

CoP「ただの犯罪者になっちゃった。僕が望んでるのはそーいうのじゃないんだよなぁ」


マキノ「・・・・・・で、これからどうするの?」

CoP「あっはっはっ、どーしようかマキノン」

マキノ「・・・知らないわ」

CoP「村上巴がヤクザの娘だっていう“証拠作り”が失敗に終わった上に、いろいろ傷つけられたわけだしねぇ」

マキノ「誘拐されればヤクザの娘って信用されるのかしら・・・?」

CoP「ただ公表するだけじゃ、絶対信用されないってば。彼女の立場的には誘拐が一番、美味しいって思ったんだけどねぇ」

マキノ「そういうこと」

CoP「しばらくお蔵入りかなぁ」

マキノ「無理にやるべきじゃないわ。○○プロのバックには櫻井、相原、村上、それに矢口がいる」

マキノ「親は子のためなら何でもやるわ。油断しないこと、ね」

CoP「へいへいよー」

CoP「最高のヒロインになった村上巴はトップアイドルの道を一直線!ですが、その一歩手前でのヤーさんの娘というスキャンダル、いやーいい作戦だと思ったんだけどなぁ」

CoP「せっかくCoプロは仕組んでません!っていう“意思表示”のために頼子ちゃん攫わせたのに、ざーんねん」


CoP「ってか、ホントPちゃん大丈夫かなぁ・・・Cuプロんところは涼宮ちゃんが何人か連れてお見舞いに行くらしいけど・・・」

マキノ「行けば?」

CoP「マキノン付いてきて」

マキノ「・・・私は個人で行くわ」

CoP「あっ、行くには行くんだ・・・」

マキノ「私はそれ以上に古澤頼子のダメージが気になるわ」

CoP「ね」

マキノ「ね、じゃないでしょうが。どこにスケープゴートに自分のアイドルを使う人がいるの!!」

CoP「それは反省してるって。部外者は信用できないってのが今回分かったわけだし」

CoP「・・・○○プロのCoプロへの敵意が増えてなければいいんだ。ライバルみたいな、ツンデレ同士の恋人みたいな・・・そんな立場に・・・」



CoP「って・・・恋人・・・Cuプロ・・・かぁ・・・良い事思いついちゃった!!」

マキノ「悪い事ね」

CoP「マキノン、るーみんに伝えておいて。頼子ちゃんをたっぷり育てておくようにって」

マキノ「はぁ・・・ただじゃ転ばない人ね・・・」



 ─ Coプロ・トレーニングルーム ─


頼子「お願いします!!!私も一緒にレッスンに参加させてください!!!」

塩見周子「・・・・・・」チラッ

脇山珠美「な、なんですかすーこさん!珠美ははじめっから異論ないですよ!!」

周子「だって。よかったね、タマちゃんが許してくれるならあたしも大丈夫」

珠美「珠美には何の権限もないですよ!!」

頼子「い、いいのですか・・・?」

周子「いいよいいよ、タマちゃんが認めれば世の中なんだってオッケーなんだし」

珠美「うがーっ!!」

周子「なにとぞーなにとぞー珠美神のご利益をーナムナムー」

珠美「珠美は神様でもなんでもないですよ!!珠美は美少女剣士アイドル脇山珠美、ですよ!」

周子「だって。タマちゃんの自己紹介は以上」

珠美「ウガーッ!!」

周子「あたしはシューコ、よろしくね。すーこでいいよ、みんなそう呼んでるし」


頼子「・・・・・・」

周子「ん?どったん?」

珠美「な、何か珠美・・・悪い事しましたか・・・?」

頼子「・・・・・・ぐすっ・・・」

周子「あータマちゃん泣かしたー」

珠美「違いますよっ!!あ、あれ・・・名乗り・・・かっこ悪かったかな・・・?」

頼子「いえ・・・自分がいて・・・いいんだって思えて・・・!!」

周子「ほー」

珠美「問題ナシ、ですよ!同じCoプロの“仲間”じゃないですかっ!!」

頼子「う、うぅ・・・なかっ、なかま・・・ぐすっ、ううううっ・・・」

周子「あー、今度こそタマちゃん泣かしたー」

珠美「えーっと、えーっと、古澤さん?古澤頼子さん?“頼子”さーん?」

頼子「な、なまえでっ、うぅ、ぐずっ・・・」

周子「タマちゃんサイテー」

珠美「た、珠美の何が悪いんですかぁぁぁぁっ!!!!誰か教えてくださああああああい!!!!」





CoP「下地はもう出来てた、か」

CoP「頼子ちゃんの花道、盛大に作ってあげようじゃないの・・・」





おまけ終わり

以上で今回のおまけは終わりです。


そういえば書き忘れました。次回からあの二人がようやく本編に関わってきます。
パジャマがかわいすぎて3枚即ゲットでした、はい。

加えてSSwikiでの特殊ENDの表記を変えます。
どこの話から見れるのか、要望があったのでお応えしたいと思います。

それでは、HTML化願い出してきます。

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