侍「ブラック無糖?」 (19)
侍「砂糖を入れない苦豆汁の事でござろう?」
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町娘「苦豆汁って…コーヒーと言いなさいな」
侍「はんっ、メリケンかぶれが」
町娘「まぁそう言わず。機会があれば飲んでみてはいかがですか」
侍「ふん、コーヒーねぇ…」
侍「と、いう訳で自販機の前でござるよ」
侍「江戸に自販機…あるんです」
チャリンチャリン
侍「さて、せっかくだからコーヒーを…お、おろ~」
チェリォォン
侍「体に悪そうな、どぎつい原色なドリンクばかりでござりゅよ~」
侍「でも好奇心を抑えられない…!」
ポチリ ガシャコン
侍「め、メロン…」
カシュ グビリ
侍「このわざとらしいメロン味!!」
侍「も、もう一本…」
ポチリ ガシャコン カシュ グヒリ
ポチリ ガシャコン カシュ グヒリ
ポチリ ガシャコン カシュ グヒリ
ポチリ ガシャコン カシュ グヒリ
侍「う、うひ…」
ポチリ ガシャコン カシュ グヒリ…
侍「う、ひ…世界が、緑色に見えるるるるるるるる」
グルングルン
侍「ひ、ひっ…ひ…なぁんだ、電信柱があるぅぅぅ、刀で斬るぅぅぅ…」
野武士「むっ?」
侍「邪魔な電信柱はきっ、斬るぅよぉ」
チャキッ
野武士「なっ、刀を構えたな貴様!」
チャキッ
野武士「斬り殺されても文句は言えぬぞ貴様!」
侍「うひ…ぼぉくはぁ、さむらいだぁぁぁぁぁ」
ブンブン
野武士「ひっ、危ね」
侍「ふっふっ!」
野武士「殺意は無いが小刻みに振り俺の手足を切りつける…厄介だな貴様!」
侍「あはは、切るじょー切るじょー」
ブンブン
野武士「地味な方法だが、足元への攻撃が有効だ…!」
シュッ ローキック バシィ
侍「ひぎぃ、子比類巻!」
野武士「ローキックは一発で倒すような技ではないが…二度三度同じ所へ入れれば…!」
シュッ バシィ
侍「ひぎぃ!」
野武士「ホーリーランドが愛読書の俺に勝てるかな、貴様!」
侍「あはは」
チャキッ
侍「銃というやつだ」
野武士「そんなんありかよ」
侍「これの弾丸は特別でね…銀でできている」
野武士「…貴様、まさか俺が吸血鬼だと?」
侍「そうでなければ何とするね、ヴァンパイア殿?」
野武士「ふ、ははははは!」
侍「何が可笑しい」
野武士「なにが?なにもかもが、だ!永きに渡り生き長らえたこの命を、異形の化け物のこの私を、銀の弾丸ごときが、ちっぽけな人間ごときが、滅ぼす気でいる!これが可笑しくなくて何とする!」
侍「その高慢さが、ヴァンパイアを衰退させたと、何故分からない…!」
野武士「…なんだと?」
侍「下らぬ貴族思考でヴァンパイアという種族は最早絶滅寸前だ。だのに、あんた等は!」
野武士「貴様…一体…」
侍「俺には昔妻がいた…彼女は…彼女は…」
―ヴァンパイア、だった―
侍「私の妻はヴァンパイア…日の元に出ることは叶わず、人の血が無ければ生きられぬ男だった」
野武士「そうか、お前の妻はヴァンパ…って、ん?」
侍「ん?」
野武士「なんかおかしくなかったか?」
侍「ん?」
野武士「え、突っ込み待ちなワケ?」
侍「ん?」
野武士「だって貴様は男であろう?」
侍「いかにも、たこにも」
野武士「じゃあ合点がいかないなぁ。ホモか?」
侍「他に何とする?」
野武士「まぁ男好きは珍しいもんじゃないけどな。特に江戸では」
侍「そうであろ?」
野武士「異種族で同性婚…もうこれわけわかんねぇな」
侍「雄のヴァンパイアはいいぞ、血を吸われながらの直腸インサートはセブンスヘヴンだぞ」
野武士「それはそれは」
侍「そういや最近ご無沙汰だな…」
チラッ
野武士「…」
侍「…」
野武士「…」
侍「…」
侍「…」
ススッ
野武士「…」
ケツ プリンッ
侍「…」
コカンノ カタナ ボロンッ
「「インサート!」」
おしまい
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