女「楽な職業ってありますか?」クリスタル「ないです」(69)

クリスタル「このような僻地に来客かと思えば....」

クリスタル「ここはハローワークではないんです」

女「そこをなんとか....お金が欲しいんです、飢え死にしそうです」

クリスタル「ジョブは一般人にそうやすやすと与えられるものではありません」

クリスタル「というか貴方そこそこ顔が整っているのですから体でも売ればいいのではないですか?」

女「とんでもないことをいいますねこのガラス細工」

クリスタル「何か言いましたか?」

女「いいえなんでもありません」

クリスタル「しかし私としましては猫の手も借りたい状況でもあります」

クリスタル「働き次第ではジョブを与えることも考えましょう」

女「と言いますと?」

クリスタル「そう遠くない前、神が子を授かりました」

女「それはおめでたいです」

クリスタル「ですがある病にかかり、子供は親の元を離れてしまいました」

女「不思議ですね、何故病にかかっただけでどこかへ行ってしまうのでしょうか?」

クリスタル「その辺の事情はまだわかりません、ですので調査も兼ねて捜しに行ってはくれませんか?」

女「いやです面倒くさい」

クリスタル「貴方今現在断れる状況なのですか?」

女「いやいや、まともに働きたくないからここに来たんですよ」

クリスタル「飢え死にしそうな状況でよくそんなことが言えますね」

クリスタル「....困ったものです、ここまで怠惰な人間がいたとは」

クリスタル「ならばこの任務を受注してくれさえすれば一定水準の生活ができるようにお金を与えます」

女「なんと!!そうなれば....」

クリスタル「ただし貴方が任務を放棄して逃げるということも考えて見張りの使いを出します」

女「なんて神経質なんでしょう、計画が即座にぶっ壊れてしまいました」

クリスタル「本来貴方のような人には頼まないのですよ?それを無下に断るなんてことは」

女「いえいえやります!他の仕事なんかより全然ホワイトです!」

クリスタル「わかりました、では使いの者を出します、出てきなさい」

女「(ティンカーベルみたいに小さいのかな....)」ドキドキ

オーク「おお、がわいいおなごでねぇか!」

女「なんと、こんな聖域にモンスターとはご法度ですね」

クリスタル「いえ、これから貴方のパートナーになる者ですが」

女「なんてセンスの悪いジョークなんでしょうか、真実ならば後にひぎぃ展開しか見えないのですが」

クリスタル「他の戦士たちにも使いを出しているのでオークしか残っていなかったのです」

女「あんまりですよ!!どう見ても悪意あるクリーチャーじゃないですか!」

クリスタル「いいえそんなことはないです、そしてオークはパワーも監視能力も意外と優れています」

オーク「一発ヤラせてくんねーが?ムラムラしてきたぞ」

クリスタル「理性もそれなりに....」

女「ないでしょ!猿よりひどいですよこれ!!」

クリスタル「お金はオークにもたせてあります」

クリスタル「ではオーク、女、神の子の命はまかせましたよ」

オーク「ひとまず外に行くだ」ガシッ

女「ちょっ!離してください!ちょっとぉ....」

女「まさかパートナーがこれとは....、ですが生活が安定すると考えれば全然かもですね」

オーク「腹減ったなぁ、金あるしメシでも食いにいくだ、おめぇも食うだろ?」

女「それは是非ともいただきますが、それより旅のアテはあるのでしょうか?」

オーク「全然ねぇが、神の子は容姿が特徴的だ」

オーク「どっかで見たか聞き込みして回る」

女「その恰好でですか?人間相手だとちょっと困難な気が....」

オーク「大丈夫、このイヤリングをつけると人の恐怖心を和らげることができるだ」

女「便利ですね」

女「」バクバクバク

オーク「おめーオークより胃袋でけえんじゃねぇのが?」

女「失礼な、いたって普通です」

オーク「ところで聞き込みしてきたけんど、目撃情報が結構あるだ」

女「有り金使い切るまで見つけないようにしましょう、その方が得です」

オーク「ぞんな時間ねぇーっづーの、今から探索にうつんぞ」

女「えー、せっかちな」

キャアアアアア!

殺人鬼「」ザシュザシュ

店員「うわぁ!!噂の殺人鬼だ!!!逃げろ!!」

女「穏やかではないですね、なんなんでしょうか」フキフキ

オーク「最近よう人を殺しとる悪党だ、中々厄介な現場に遭遇しちまっただ」

女「そんなことより店員が逃げた今の内に食料を確保するのが先決です!」ゴソゴソ

オーク「おめーも結構タチ悪いだ」

殺人鬼「ほぉ...、殺し甲斐がありそうなアマが....」

オーク「まずいだ、お前目をつけられたぞ」

女「ふえっ?」

殺人鬼「死ね!!」

オーク「あぶねぇだ!!」

殺人鬼「どけブ男!!」ドガッ

オーク「ぐおっ!」

女「あっ...」

殺人鬼「」シュッ

女「(あ、殺される)」

ピタッ

女「.....?」

少女「」キィィィン

殺人鬼「キキキ、なに見てんだお前?なんかこっちのガキのほうが殺してぇなぁ」

殺人鬼「オラッ!」シュッ

ザシュッ

少女「.....」ポタポタ

殺人鬼「キキキ」

衛兵「居たぞ!あいつだ!」

殺人鬼「」タッタッタッ

衛兵「逃げたぞ!追え!!!」

女「ちょっと君大丈夫?」

少女「平気、貴方のをもらったから大丈夫」

女「?」

少女「じゃあね」スッ

女「待ってその怪我じゃ....、って消えちゃった」

オーク「いてて...、おう無事だったかよかっただ」

女「危うく死ぬところでしたよ、ちゃんと守ってください」

オーク「おめーが悠長に食い物あさってたのが悪いんだろうが、犯すぞ」

女「一生分の金をくれるなら私の処女を差し上げましょう」セクシーポーズ!!

オーク「んな安い貞操にゃつりあわねーだ」

女「まぁ失礼な」

女「あのですねオークさん、さっき小さい女の子が胸を刺されたのですが」

オーク「あぁ災難だっただなそりゃ」

女「その子悲鳴も上げずにいたんですよ」

オーク「声もでねぇぐらいに痛かったんだろう?」

女「そして殺人鬼が去った後に駆け寄ったのですが、変なことを言い出しました」

女「なんでも貴方のをもらったから大丈夫だとか」

女「仕舞いには血みどろのまま消えてどこかへ行ってしまったのですよ、いやー初の心霊体験です」

オーク「そいつすげー怪しいだ、もしかしたら神の子の可能性があるだ」

女「まっさかー、幽霊ですよ多分」

オーク「作り話ではないんだろう?」

女「それはそうですけど」

オーク「手探りの状態の今じゃ一番有力そうな情報だ、それを掘り下げてくぞ」

女「(あれ?まさか私自分から仕事を進めてしまったのでは?えらいミスをしてしまったようです)」

オーク「で、容姿はどんなだっただ?」

女「いやーよく見てなくて覚えていません、すいませんねぇ」

オーク「なんで目をそらすだ?おめー嘘ついてんじゃねぇだろうな」

オーク「本当の事言わないと俺の独断で今夜メシ抜きだ」

女「白い服を着た黒髪の少女です、髪に見たことのない髪飾りをつけていました」

オーク「わがった、これから調査を開始すんぞ、おめーの働き次第じゃメシの量増やしてやる」

女「イエスマイボス!!」

女「(あぁ長期的な利益より目先の幸せに目が眩むなんて...)」

女「私ロブスター食べたいです」

オーク「んなら精進するだ」

女「まっ、細かいことはいっか...」

~スラム街~

女「うわ....、なんでこんなところに」

オーク「ここでそういう奴をよく見るとかいう噂がある」

女「なんか変な目で見てくる人が多いです....」

女「美しいと言うのは罪なものですね....」

オーク「バカかてめぇ、食うものなくて性欲なんて枯れてら」

オーク「おおむね追いはぎの機会を窺ってるか拉致して商品にしようかと考えてるか」

女「私高く売れますかね?」

オーク「交渉してきたらどうだ?」

女「いえいえ冗談です」

オーク「まぁ気をつけろよ?いざとなったらさっき買ってやったその護身用のスタッフを使え」

女「どうせなら食い物がよかったですが....」

オーク「お前は食い物のことしか頭にねぇのか」

男「ぐぅぅ....誰か助けてくれ」

女「あの、大丈夫ですか?」

オーク「おい無暗に近づくな、芝居をうってるかもしれねぇ」

女「すごい熱ですよこの人、病院に連れてった方が」

少女「余計な事しないで....」キィィィン

女「あ、貴方さっきの女の子!」

オーク「なに?」

男「あぁ...、天使様、ありがとうございます」

女「熱が...、下がってる」ピタ

少女「ひとつ言っとくけど、私は人間を助けるつもりなんてない」

少女「利害が一致した、それだけ」フラフラ

女「ちょっと、どうしたの!?」

少女「関係ない、それよりこの場所から出て行って」フラフラ

女「えっ....」

少女「二度目はない」フッ

女「ちょっ...、消えちゃった」

オーク「....」

オーク「女、あのガキは8割がた神の子だ」

オーク「さっきのってあいつか?」

女「はいそうです、にしても普通の子供とは思えませんね」

女「傷は何故かありませんでしたが、服にナイフの刺した痕がありました」

女「そして不可解な発言が多く見受けられます、なんなんでしょう」

オーク「よく分からん、だがここによく入り浸ってるのは間違いなさそうだ」

女「はい、たしかにそういうふうな事も言ってました」

オーク「ちょっといいか?」

男「なんだ、まだいたのかあんたら」

オーク「さっきおめーあいつのこと天使様とかなんとかいってただな」

男「そうだ、病も治せるし空腹も満たしてくれる救世主なんだ、ホント感謝してるよ」

オーク「ここにはよく現れるんだな?」

男「まぁな、でも用が済んだらフッと消えちまうのさ」

男「だから誰も結局どこへ帰るかもわからねぇ」

オーク「なるほど....」

オーク「よし、早速探すぞ」

女「えー、休憩しましょうよ、ここらでイッツティータイムです」

オーク「何呑気な事いってんだ」

子供「へへっ!もらい!」ガッ

女「あ!スタッフが!」

男「くそ!スリかあいつ!俺の金、盗みやがって!!」ダッ

オーク「追うぞ」

女「は、はい」

子供「は、離せよ!」

男「てめぇこんなことしてタダで帰れると思うなよ?」グッ

子供「ひっ....」

オーク「さっきの男がスラれたのか」

男「歯くいしばれ!!」

女「止めないと!」

少女「余計な事しないで!!」キィィィン

少女「逃げなさい」

少年「う、うん」

オーク「あ、スタッフ返すだ!おいこら!」

女「え?」

男「.....」グッ

男「」バキッドコッゲシッ

少女「....」

女「え、ちょっとやめてください!何故女の子を殴るんですか!」

男「」バキッ!

少女「!」

女「やめなさい!!!」ドゴッ

男「がはっ」バタッ

女「大丈夫?」

少女「ねぇあなた、人の邪魔して楽しい?私嫌がってるように見える?」

女「えっ」

少女「迷惑、私の前から消えて」

女「そんな....」

オーク「なぁ、おめー神の子か?」

少女「ふーん、誰かの差し金か....、どうりで私に付きまとうわけね」

オーク「どうやら間違いないようだな」

少女「言っておくけど私は神のもとへは帰らない」

オーク「何故だ?」

少女「言う義理なんてない、それじゃ」フッ

女「....またいなくなっちゃいましたね」

オーク「女、暗くなっちまったし帰るだ」

オーク「武器はまた買ってやるし気にするんじゃねぇだ」

女「.....オークさん、私おせっかいをしてしまったのでしょうか」

オーク「...わがらねぇ、もしかしたら常識で考えてるとあいつを説得できないかもしんねぇだ」

女「モヤモヤします、あの子にいろいろと聞いてみたいです」

オーク「やる気がでてきたのか?」

女「善意を咎められた理由が知りたいだけです」

オーク「....まぁなんでもええが、この男一緒に宿屋へ連れ帰るぞ」

女「どうしてですか?」

オーク「こいつ、おかしいとおもわねぇか?」

女「....あの子を殴ったことですか?」

オーク「ああ」

オーク「ガキを逃がしたからって恩人をボコボコにするのか?」

女「一般的に考えるとおかしいですね」

オーク「ドラッグでもやってんのかもしんねぇけど」

オーク「今日の神の子の行動を見てるとあいつの仕業っていう可能性が高い」

女「ともかく事情聴収ですね?」

オーク「そうするだ」

男「うっ....」

女「目が覚めましたか?」

男「ここは....」

女「宿屋です、あちらの大男がここまで運びました」

男「なんでまた一体....」

オーク「おう、おめーにちぃとききてぇことがあるだ」

男「はぁ」

オーク「おめーなんでお前が言ってる天使をボコボコにしたんだ?」

男「は?何言ってるんだあんた、俺がそんなことするわけな....」

女「....私達、ちゃんと見てましたよ」

男「したのか?俺が」

オーク「覚えてねぇのか?」

男「あぁ....、そういやスリを捕まえたあとの記憶だけすっぽり抜けちまってら...」

オーク「おめー強く殴りすぎたんじゃねぇのか?」

女「私は知りませんよ、第一止めるのに精いっぱいでしたし」ツーン

男「もう天使様に顔向けできねぇ....」

オーク「今までもあいつと会ったときにこういう経験はあったのか?」

男「いやないが」

オーク「じゃあ....」

...........
........
.....
..

女「あまりいい情報はなかったですねー」

オーク「いーや、神の子のもってる力の正体は大体わがったかもしんねぇ」

女「と、言いますと?」

オーク「おそらくある事象の対象を自分に変更する力だ」

女「すみません、何言ってるんですか?」チンプンカンプン

オーク「...例えばある人間が火傷を負ってしまう瞬間があったとするだ」

オーク「神の子はその火傷を人間の代わりに負うことができる、人間は無傷ってわけだ」

オーク「熱の件しかり男の件しかり....こういう力が働いてるかもな」

女「なるほど」

オーク「殺人鬼の件も明らかにあいつはお前を殺そうとしてただが....」

オーク「神の子が偶然いてその力を使った....」

女「だから刺されたと?にしてもいくつか疑問点があります」

オーク「なんだ」

女「何故、神の子の傷は完全に癒えていたのでしょう?」

オーク「神の子だからだ」

女「今日一番説得力感じましたよ」

女「もう一つ、オークさんの立てた仮説には彼女のメリットが見当たりませんが」

オーク「そうだ、そこなんだ」

女「.....マゾヒスト!?」ハッ

女「これなら筋が通りますね!」

オーク「アホ」

オーク「とりあえず明日にもう一回神の子の捜索をするだ」

女「わかりました」

女「にしたってオークさん見た目の割に頭まわりますね」

オーク「犯すぞ」

女「私の次に頭いいですね」

オーク「それこの世で一番頭悪いってけなしてんのか?」

女「え?どういうことですか?」

オーク「知るか、もう寝るだ」

女「なんだか釈然としませんが、おやすみなさい」

スラム街

女「ふあーあ、ねむっ」

オーク「昼まで寝てただろうが、まったく」

ガキA「へっへー!遅いぜ少女!」

ガキB「捕まえられるものなら捕まえてみやがれ!」

少女「まてー!!」

女「おやおやあれは」

女「こら!あなたたち、いじめはいけません!!」

ガキA「なんだこの薄汚い女」

ガキB「ここらじゃ見たことねー顔だな」

女「まさかスラム街のガキに薄汚いと言われるなんて夢にも思いませんでしたよ」

少女「またあなた...」

女「大丈夫?何か盗られたの?」

少女「は?何か勘違いしてない?」

ガキA「俺たち鬼ごっこしてるだけだぜ?」

ガキB「そうだよ」

女「なんだ、そうでしたか」

少女「そういうことだからでていk」

ガキA「3人じゃつまんねーと思ってたしあんたもどう?」

ガキB「やろうぜー」

少女「なっ」

女「体力を無駄に浪費する遊びなんて気が進みませんね」

オーク「どうせ使い道ねーんだから遊んでやれ」

女「失礼な」

オーク「どうやらこいつら仲がいいらしいし近づけるチャンスだ」ヒソヒソ

女「まぁそれはそうですがね...」

少女「...」

女「一緒に遊んでもいいですか?」

少女「勝手にすれば」

女「じゃあお言葉に甘えさせてもらいますね」

ガキA「あっちの大男はなんだ?」

ガキB「多分こっちの姉ちゃんの父親とかじゃない?」

女「んまぁ失礼な!こんなモノから私みたいな妖精が生まれるわけないでしょう!」

オーク「いい加減犯すぞメス」

ガキA「んじゃあ姉ちゃん鬼な!10秒数えろよー!」ダッ

女「えー私が鬼ですかー」

オーク「んじゃあ俺は見張っとくだ」

女「自分だけ楽しようとしてますね...」

オーク「とりあえず仲良くなって頑張ってくれだ」

女「はいはい、やればいいんでしょうやれば」

女「...3・2・1」

女「さぁ探しますよー」

少女「」ビクッ

女「あ、少女ちゃん発見です!」

少女「ついてこないで、迷惑」

女「いやこれ鬼ごっこですし」

少女「そういう意味じゃなくて...」

少女「私を連れ戻そうとしてるんでしょう?それが迷惑だって言ってるの」

女「では逆に聞きますが、何故戻るのが嫌なんですか?」

少女「そ、それは...」

ガキA「デコピーン!!」パチン

女「いだっ!!」

ガキB「うわこの女まぬけ」

ガキA「見た目通りだな」ハハハ

女「これだからスラム育ちのガキは...」

ガキA「ここまで来てみやがれ!!」

女「こら待ちなさい!!」

少女「やれやれ...」

女「と見せかけてタッチです!!」

少女「なっ!!!」

ガキA「だっせーなー少女」

女「さー捕まえてごらんなさい!!オホホホホ!」ダッ

少女「このっ!」ダッ

女「」ダダダダダ

女「」ダダダ...

女「」ゼェゼェ

少女「」スタスタ

少女「タッチ」

女「持久戦は苦手です...」ゼェゼェ

少女「タッチされてから5秒も経ってないんだけど」

女「違うんです、私の全盛期ほどの実力は発揮できていません」

少女「あなた妙にプライド高いね」

女「それは舐められちゃ女が廃りますからね、プライドは山より高くと偉い人も言ってました」

少女「それにすごく正直だね」クス

女「いやー、それはよく言われますけどねー」テレテレ

少女「まぁ悪く言えば馬鹿だけどね」

女「何故悪く言い直したんですか」

少女「あなたのこと嫌いじゃないわ、面白いし」クスクス

女「なんか癪に障りますがありがとうございます」

少女「私がここに来た理由、知りたい?」

女「教えてくれるんですか?」

少女「別に隠さなきゃいけないってこともないし...それでも帰るかどうかは別だけどね」

女「聞きたいです!」

ガキA「はなせよ!!」

髭面「このガキ酒瓶倒しやがって、高かったんだぞ」

ガキA「悪かったって言ってるじゃんか!!」

女「助けないと!」

少女「焦ることない、見てて」キィィィン

髭面「おらっ!!」バキッ

少女「うっ!」

女「少女さん!」

髭面「んなとこいたらあぶねーだろうが!」

少女「酒瓶、なにもなっていない」

髭面「あれ、んとだ...なんもなってねぇ」

ガキA「なんもなってねーじゃねぇかよ!」

髭面「すまねぇ坊主、酒で酔ってるみてぇでぇ」ヘッヘッヘ

ガキA「ったく」

ガキA「今誰鬼?」

少女「女よ」

ガキA「せいぜい頑張れよノロマ!!」ダッ

女「口の減らないガキですねー」

女「ところで、さっきのは一体どういうことですか」

女「前にも同じような現象を見ましたが」

少女「私は、人間の不幸を吸い取らなければ生きていけない体になった」

女「不幸を吸い取る...?」

少女「あなたたちが食がなければ飢え死にするように」

少女「私も他人の不幸を得なければ体が朽ちる」

女「それであの男が急に殴ったのも酒が元に戻ったのも...」

少女「そう、私が不幸を吸い取ったせい」

女「そうだったんですか...」

少女「私が戻らない理由がわかった?」

女「親の神様には相談しないんですか?」

少女「しない、戻ってもどうせ病気のせいで自分の子供として見ないから」

女「そんな、行ってみないとわからないんじゃ...」

少女「なにもわかってない、神は完全な存在」

少女「不完全な存在は神じゃない」

少女「現在の私はあなたたち人間と同じ飢えがある...まるで人間...不完全の象徴」

少女「帰ったって、差別されて消されるだけ...」

女「素敵じゃないですか!」

少女「素敵?」

女「人間の不幸を吸い取るっていわば人を幸せにすることができるってことですよね!!」

女「神様なんかより全然神様っぽいじゃないですか!!」

女「私、飢えそうでパンの一つも満足に食えない状況でも神様は何もしてくれませんでした」

女「けど、少女さんは私を助けてくれたじゃないですか!!」

少女「あれは...私があなたの不幸を欲していただけ、助けようなんて思ってない」

女「それでも、少女さんは私の恩人です」

女「私にとって、神様より神様ですよ」

少女「...」

少女「何を言っても戻らないから」

女「ええ無理して戻らなくていいですよ」

少女「は!?あなた私を連れ戻しに来たんじゃないの?」

女「そうですけど、気が変わりました」

少女「えっ...」

女「でも、少女さんはどうしたいんですか?」

少女「...」

少女「本当は、戻りたいけど...仕方ないじゃない」

女「病気のせいだからですよね?」

女「だったら一緒に治しましょうよ!!」

少女「治す...?どうやって」

女「さっぱり見当がつきません!」

少女「なにそれ...」

女「これから考えましょうよ、一緒に」

少女「無責任...」

女「大丈夫ですよ、私頼りになりますから」

少女「自分で言うんだ」

女「ええ」

少女「......」

少女「...やることもないし、別にいいよ」

女「では不完全な者どうし頑張りましょう!」

少女「一緒にしないで、私はあなたより完全に近い」

女「私も巷ではあの娘は完全に近いとよく噂されています」

少女「どんな巷よ...」

少女「その...女」

女「なんですか?」

少女「ありがとう、何か気が軽くなった気がする」

女「それはよかったです」

ガキA「いつまでダベってんだこのノロマ!!」デコピン

女「いだっ!このクソガキ!!」

ガキB「うわー、にげろー!!」

少女「...クス」

ガキA「おう、今日は楽しかったぜー!」

ガキB「またなー」

少女「またね」

女「はぁー、疲れましたー」

オーク「お前ら仲良くなっただな」

少女「あんまりに女がかまってちゃんだから、私もあきらめた」

女「まぁまぁ、照れちゃって可愛いところがあるじゃないですか」

少女「照れてない」

女「ご飯でもどうですか?少女さん」

少女「ご飯は食べなくても大丈夫」

女「でも食べられるんですよね?」

少女「食べられるけど」

女「なら一緒に食べてコミニュケーションしましょう、オークさんにも事情を話さないとですし」

オーク「なんか話がついたようだな、聞かせてもらうだ」

少女「...いいよ」

酒場

オーク「なるほど、そんな事情が」

少女「」コクッ

女「うまいうまい」バクバクバク

オーク「おめー食いすぎだ、俺の倍以上じゃねぇか」

女「今日はいっぱい走りましたからね!そりゃ食べたくもなりますよ!」

少女「...」

女「はい、少女さん」

少女「なにそれ」

女「ロブスターですよ、こうやって割って食べるんです」パキッ

少女「いや、グロい」

オーク「それ俺のなんだが」

女「ほらほら、身がフリフリですよー、ほれほれ」

少女「いらない」

女「そうですか、じゃあ私が食べますねー」

オーク「ふざけんな犯すぞ」

少女「...これは何?」

女「それは...にぼしですよ、いわゆる小魚です」

少女「にぼし...うまそう」

女「目の付け所が渋いですねー」

少女「」パクッ

少女「」ホワワーン

少女「革命的だ!人間はこんなうまいものを食っていたのか!!」

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