【アイドルマスター ミリオンライブ!SS】北沢志保「波動拳が出ません」 (31)

P「えっ?何だって?」

志保「波動拳が出ないんです」

P「波動拳ってあの波動拳?ゲームの?」

志保「はい、ストツーです」

P「ストツーとはまた、なんでそんな古いゲームを」

志保「家にはファミコンしかないので」

P「スーファミね」

志保「長いので私はファミコンと呼びます」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1424437314

P「志保もゲームをするんだな、意外だ」

志保「いえ、私じゃなくて、弟が」

P「成程、弟くんの為か」

志保「練習してるんですが、上手く出来ないみたいで」

P「それで志保が教えよう、と」

志保「……こんなことを頼めるのは、プロデューサーさんだけなんです」

志保「手伝ってもらえますか?」

P(ううむどうしたものか。出来る保証はないが……)

P(……まぁ、志保が悩んでいて、それなりに手助け出来るのなら、やるべきか)

P「正直ストツーは昔触ったくらいしか経験ないが、それでもいいなら力になろう」

志保「ありがとうございます。……では、時間はどうしましょう」

P「そうだな……お、明日の午後なら都合良さそうだな。俺も半休だし」

志保「はい……あの、このことは皆には内緒に…」

P「まぁ、誰かに言うことでもないな」

志保「それじゃあ、私の家で」

P「そんな時間はかからないし、終わったら折角だし何処か行くか?」

志保「い、いえ、そこまでは……」

――――翌日

P「おじゃまします」

志保「今日は、よろしくお願いします」

P「そんなかしこまらなくていいって」

P「それじゃ、早速始めようか……って、あ、懐かしいなスーファミ」

志保「やっぱり古いんですか」

P「そりゃ俺が子どもの頃だからな……」

志保「お茶でも持ってきます」

P「お、ありがと」

P「うーん、やっぱスーファミのコントローラーは小さいな」

志保「そういうものですか?」

P「64のコントローラーとか二倍くらい重い気がする」

志保「ふぅん」

P「一番好きなのはキューブのヤツかな。今でも使えるし」

志保「温かいお茶でいいですか?」

P「ああ」

P「それじゃお茶も来たことだし、始めるか」

志保「はい」

P「よし起動」カチャ

志保「……付かないですね」

P「カセットフーフーするか」

志保「あれって迷信らしいですよ?」

P「まぁここは子どもの頃のおまじないとして一つ」

<デッデーッデテッデッデデデデーッ

P「付いた。……あーこんな始まりだった気がする」

P「よし早速2P対戦だ。志保はリュウでいいな」

志保「はい」

P「やったことは?」

志保「少しだけですが」

P「ま、正直俺も分からない事多いから説明書を見つつやろう」

P「それじゃあ俺はケンにしようかな」

志保「リュウじゃないと波動拳は撃てないのでは?」

P「いや、ケンとリュウは必殺技同じなんだよ」

志保「そうですか」

P「流派が同じだとか何とか」

P「早速波動拳やってみるか」

志保「お願いします」

P「コマンドはっと……ああそうだ、これだこれだ」

<ハドーケン

志保「あ……」

P「出来た出来た、こんな感じだった」

志保「凄い……」

P「いやいや、全然凄くないから」

P「書いてある通りにやればいい」

志保「はい」

P「下」志保「下」

P「右斜め下」志保「右斜め下」

P「右でパンチ」志保「右でパンチ」

P「ハドーケン」志保「出ません」

P「ええっ」

P「もしかして、丁寧に全部押してるんじゃないか?ちょっとコントローラー借りるぞ」

P「こうして……下から勢い良く斜め下、右でパンチ」

<ハドーケン

志保「あぁ……そうするんですね」

P「まぁあのコマンド表だけでは分かりにくいかもな」

志保「……………………………」

P「……ラウンドの最後までリュウがパンチしてただけだな」

志保「次は必ず……」

P「俺は他の必殺技でもやるか。昇竜拳は……」

<ショーリューケン

P「そうだそうだ。似てるんだよなコマンド」

志保「下斜め右、下斜め右……」

P「えっと、後は竜巻旋風脚か……」

<タツマキセンプーキャクッ
<ウーワッ

P「あっ」

志保「邪魔をしないでください」

P「すみませぇん……」

<ショーリューケン

志保「ん?」

P「何故そっちが出る」

志保「間違えました」

志保「…………出来ない」

P「うーん、もういっそ百裂張り手でいいんじゃない?コマンド簡単だし」

志保「カッコ悪いので駄目です」

P「な!エドモンド本田は相撲の復興のために頑張ってるんだぞ!」

志保「えー……」

P「本田めっちゃ頑張ってるんだぞ!頑張れ本田!!きっと輝けるからな、本田!!!!」

P(その後2、3戦かけて練習をしたが、志保は上手いこと波動拳を出せなかった)

P「……ふむ、ちょっと気分でも変えて他のキャラで遊んでみるのはどうだ」

P「俺だって」

志保「もう少しだとは思うんですが……」

P「まぁゲームなんだからもっとゆったりすればいい。肩に力が入ると窮屈だぞ」

志保「……何だか、プロデュースされてるみたいです」

P「まぁ、プロデューサーだしな」

志保「春麗を使ってみます」

P「じゃあ俺はダルシム」

<ファイッ

志保「相手の体力を0にすればいいですよね」

P「そうそう」

<ヤァッヤァッヤァッヤァッ

志保「これが百裂キックですね」

P「しかしここまで離れれば当たるまい」

志保「でもプロデューサーさんの攻撃も当たりませんよ」

P「それはどうかな?」

<ヨガファイヤー

志保「えっ?」

P「飛び道具は波動拳だけじゃない」

志保「ジャンプでかわします」

P「それかガードね」

志保「ガードは難しいです」

P「分かる。正直俺も使えない」

<ヨガ、ヨガ、ヨガ、ヨガ

志保「……何がヨガなんでしょうか」

P「相手の頭殴ってるだけなんだよな……」

志保「そもそもなんでこの人は手が伸びるんですか」

P「ダルシムはヨガの達人だからな」

志保「……百瀬さん、ヨガが趣味って言ってましたよね」

P「このみさんに教えてあげればいいと思う」

志保「なんという」

<DHALSIM WIN

P「よしっ」

志保「む……」

P「っと、夢中になってしまったが、志保の特訓してたんだな」

志保「……もう一回です」

P「え?」

志保「もう一回、して下さい」

P「あ、ああ……」

P(その後、勝負は何度も続いた……)

P「時に志保」

志保「なんですか」

P(怒ってる……)

P「なんでザンギエフだけ使わないんだ?」

志保「弱そうなので使いません」

P「ザンギエフさん……本田は一度使ったのに……あんなに楽しそうに百裂張り手をしていたのに……」

志保「た、楽しくなんて」

P「連打してる時とても可愛かった」

志保「なっ、何見てるんですか!!」

<E. HONDA WIN

志保「やった……」

P「調子に乗ってソニックブームの練習してたら負けた……」

志保「勝ちましたよ、プロデューサーさん」

P「それはよかった」

志保「そろそろ波動拳、いけそうです」

P「そうだな。コマンドは斜めを意識しなければいいと思うぞ」

志保「やってみます」

<ファイッ

志保「では……」

志保「下から、右へ……」

志保「波動拳!」

<ハドーケン

P「おっ!」

<ハドーケン
<ハドーケン
<ハドーケン

志保「出来た……」

P「おめでとう」

<ハドーケン
<ハドーケン
<ハドーケン

P「いやー、やっと出来たな」

<ハドーケン
<ハドーケン
<ハドーケン

P「あっ、えっ、ちょっと」

<ハドーケン
<ハドーケン
<ハドーケン


<RYU WIN


P「まじかー……」

志保「やりました」

P「まけましたー……」

志保「プロデューサーさん、ありがとうございます」

P「これで弟君に教えられるな。所で……」

志保「はい?」

P「波動拳、いただきました」

志保「…………あっ!」

P「いやぁ迫真の演技だったぞ。本当に波動拳が撃てそうだった」

志保「わすれてください!!」

――――翌日


志保「プロデューサーさん、お早うございます」

P「おはよう志保」

志保「先日はありがとうございました」

P「いいっていいって。弟君は波動拳出来るようになった?」

志保「はい、私よりも飲み込みが早かったです。とても喜んでました」

P「それはよかった」

志保「……あの、また相談したいことがあるんですけど……」

P「ん、何だ?」



志保「スクリューパイルドライバーが出ません」

P「ザンギエフ使ったんかい」


以上になります。

昨夜ストⅡ芸人なるものを見て、ふと「北沢志保なら弟と対戦してそう」と思い立ったのが話の骨子です。
昔やったストⅡの記憶を引っぱり出しましたが、波動拳が出た時の喜びはそこそこありました。そんなことを志保にも思ってもらいつつ、しかし中身はPと色々喋るものとなりました。

北沢志保が何時か現実で波動拳を撃てる日を願って!

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