男「父親の手紙を読んだ」吸血鬼「あなたをずっと待っていた」 (7)

基本的に夢で見たことをところどころ改変して書いてます。
初めてのSSなので色々変なところがあると思いますがよろしくお願いします

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父親が死に、葬式や遠くから来た遺族達と別れ父親の遺品を整理していると一つの封筒を見つけた。
封筒の中身を見てみると俺宛の手紙がそこには入っていた。
そこにはここから何十キロも先にある場所へ向かってほしいとだけ書いてある。
俺は子供の頃から父親との接点があまりない。父親は仕事の都合でいつも出かけていてばかりだったからだ。
父親が何の仕事をしていたのかも……俺は知らないまま別れる事になってしまった。

男「やめだやめだ!ただでさえこんな時に……」

暗い感情を吹き飛ばすように頭を振った。もやもやした気分を振り払いコートを着て外に出る。
季節は冬になったばかりのせいか、外の寒さが肌に染みた。
何時間もかけて父親の手紙に書いてあった場所に行くと、そこには大きな館が聳えたっていた

男「おいおい……これは……」

随分と大きな館だったが、ところどころを蔦が蔓延っていて誰も住んでないように思えた。
いや、その通りだろう。
このまま帰るわけにも行かず、俺は館の中へと足を踏み入れた。

男「お邪魔します。誰かいませんか?」

返事はない。誰もいないようだった。昼時だと言うのに明かりはなく、人の気配すらしない。
何かの罠のように目の前においてある蝋燭台を手に持ち、落ちているマッチで火を灯す。
しけっているのか中々火がつかなかったが、4本目のマッチで火がついた。
明かりが心もとなく少し不安を煽られたが、目に映ったドアに手をかけた。

男「頼むから幽霊とかやめてくれよ……」

オカルトを信じたことなどはないが、なるべくならそんな物とはお目にかかりたくはない。
何部屋か探索してみたが、これと言った物はなにも見つからなかった。
って言うよりは、埃まみれで少し息苦しい。マスク持参と手紙に付け加えてくれればよかったのに……

男「なんだこれは?」

今までとは少し変わった扉を見つける。嫌な予感がした。
この扉を開けてしまったら、何か嫌な事が起きると体が告げていた。

男「せっかく来たんだ……行けるとこまで行ってやるさ」

そっと扉を開けた。それは広い広い牢屋だった。
暗くて何もないように見えたその牢屋の中には、人影のような物が見えた。
焦ってそちらに火を向ける。

男「だっ誰だ!?」

声が上ずる。心臓の音がやけに耳についた。だが、心臓の音とは別の音も耳は拾っていた。

??「うるさいわね……こんなところに人の子が何の用?」

綺麗な女性だった。目を奪われるような美しさを儚さを持った人だった。
鉄格子越しに見るその姿は薄汚れているようにも見えた。

男「おっ俺は、父親の遺品の手紙を読んでここまで来た。お前は……何者なんだ?」

幽霊とは言わないでくれ。頼むから。

??「私は吸血鬼。遥か昔、人間の男に恋をした。哀れな吸血鬼」

人間に恋をする吸血鬼とは、言葉だけで聞けばとてもロマンチックに聞こえた。
だが、そんなものおとぎ話の世界だけだ。

男「吸血鬼何か居る訳がないだろう!ここは一体何なんだ?俺の父親を知っているか?」

吸血鬼「えぇ、知っているわ。……あいつ、死んだのね。人間にしては長生きしたものね」

男「……父親の手紙には、ただここに行けとだけ書いてあった。俺がここに呼ばれた理由を知らないか?」

吸血鬼「質問ばっかりね。まぁ、でも知っているわ。きっと、私達のことでしょうね」

男「私達?俺にはお前以外誰も見えないが……」

幽霊がいるとかやめてくれ。俺には何も聞こえない。何も見えない。

吸血鬼「ふふ、違うわ。私以外は皆出て行ってしまったの。彼がいなくなってしまったから」

男「彼?他にも何人かここに住んでいたのか?」

吸血鬼「えぇ、そうよ。貴方のお父さんと私、それに数人の妖怪が一緒にね」

男「よ……妖怪だって?」

そんな馬鹿な。まったくもって理解が追いつかない。いきなり非現実に取り残された気分だ。

吸血鬼「貴方を待っていたわ。ずっと、ずっと」

男「俺を?どうして?」

吸血鬼「あの人の息子に興味があったの」

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