南光太郎vs仮面ライダーW (348)

仮面ライダーBLACKRX×仮面ライダーWのクロスssです。

物語の舞台は本編終了後になります。



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1422956139






仮面ライダーW 今回の依頼は!






<2015年2月>


~風都採掘場~


((ブロロロロッ!))


翔太郎「よっと、どうやら早く着いちまったようだな。」


フィリップ「そりゃそうだろうね、待ち合わせの時間までまだ1時間もある。
翔太郎、さすがに早すぎじゃないのかい?」


翔太郎「悪い、あの人と久しぶりに会うからどうも激っちまってな。」


この街は風都、その名の通り風が吹く街だ。

それを象徴するかのように街の中央に位置する巨大な風都タワーをはじめ、

街の至る場所に風車が設置されてある。

俺の名は左翔太郎、しがない探偵さ。

それにこいつはフィリップ、頼りになる相棒だ。

だが俺たちはただの探偵じゃあない。

俺たちはこの風都を守る二人で一人の仮面ライダーだからさ!

そんな俺とフィリップは愛車であるハードボイルダーに乗ってこの場所へとやってきた。

ここは街外れにある採掘場。何故こんな場所にやってきたのかって?

それは…

(ナレーション:左翔太郎)



((パシィッ!))


翔太郎「痛でっ!?」


亜樹子「何一人でカッコつけてんのよ!このハーフボイルド!」


照井「そうだぞ左。
こんな人気のない場所までやってきてお前たちは一体何をしようというんだ?」


フィリップ「まったくキミという男は…
肝心な時に格好がつかないからまさにハードボイルドならぬハーフボイルドだ。」


翔太郎「やかましい!
大体なぁ…亜樹子!それに照井!何でお前らまでついてくるんだよ!?」


亜樹子「当然でしょ!私は鳴海探偵事務所の所長なんだからね!
事務所の従業員二人が仕事すっぽかしてこんな山奥に来てたら疑いたくもなるわよ!?」


照井「それに俺は所長の夫。今日はたまたま非番だから一緒に…って俺に質問するな!」


ちなみにこの二人は照井竜に鳴海…じゃなくて今は結婚して照井亜樹子。

さっき俺をスリッパで叩いた亜樹子は俺たちの鳴海探偵事務所の所長で、

照井は俺たちと同じ仮面ライダーで普段は風都署の刑事だ。

どうやら俺たちがここに来る事を怪しんでいたとか…

まったく…お騒がせな夫婦だ。

(ナレーション:左翔太郎)



フィリップ「僕たちはここである人と待ち合わせをしているのさ。」


照井「こんな山奥で待ち合わせだと?
どう考えても待ち合わせに適した場所じゃないと思うが…」


翔太郎「いいんだよ。ここは俺とフィリップ…それにあの人との思い出の場所だからな。」


亜樹子「あの人との思い出の場所?私、聞いてない!?」


照井「詳しい説明を聞きたいものだな。」


フィリップ「そうだね、どうせあの人が来るまであと1時間は掛かる。
それまで昔の思い出話を語るには最適だと思わないかい翔太郎?」


翔太郎「ハァ…あんまり昔の事は思い出したかないんだがな…」


こうしてあの人が来るまでの間、俺たちは照井夫婦にある昔話しを聞かせる羽目になった。

未熟な過去は振り返りたくはないんだがな…

(ナレーション:左翔太郎)

ディケイドェ…



亜樹子「それで昔ってどのくらい昔の話よ?」


照井「待てよ、所長が知らない過去で左とフィリップは知っているという事はだ。
それはつまり…」


翔太郎「あぁ、俺とフィリップが出会ったあのビギンズナイトの後の出来事だ。」


亜樹子「ビギンズナイト…それってお父さんが殺された日の事じゃ…!」


今まで明るかった亜樹子の表情が急に強張った。

それもそのはず、ビギンズナイトとは…

かつてフィリップはある施設に監禁されていた。

それを助けたのが俺と、それに俺の師匠であるおやっさんこと鳴海荘吉だった。

だがおやっさんはフィリップを助けた直後に殺された。

おやっさんの実の娘である亜樹子の表情が強ばるのも当然だ。

(ナレーション:左翔太郎)



フィリップ「ゴメンよ亜樹ちゃん。嫌な事を思い出させてしまったね。少し話を変えよう。
ところで僕たちは今でこそ仮面ライダーと名乗っているがそれは何故だかわかるかい?」


亜樹子「え…?
それって二人がお父さんの後を継いで仮面ライダーになったからでしょ?」


翔太郎「半分正解だ、だがおやっさんは自分から仮面ライダーと名乗った事は一度もない。」


照井「なんだと?それはどういう事だ?」


翔太郎「おやっさん以外にもいたんだよ。
俺たちが仮面ライダーを名乗る前にこの風都を守っていた仮面ライダーがな!」


照井&亜樹子「「なんだって――――ッ!?」」


この夫婦はさっきから大袈裟に驚くよな…

けどこれは本当の話だ。

俺とフィリップ、それにおやっさんの前にも…

たった一人、この街を守っていた仮面ライダーがいたんだ。

(ナレーション:左翔太郎)



フィリップ「そう、今から話すのはその仮面ライダーと僕たちとの出会いだ。
ところで照井竜、キミは仮面ライダーになるためにかなり厳しい訓練を積んだはずだよね。
それは血が滲みほどの過酷な訓練だったんじゃないかな?」


照井「あぁ、最初はあのアクセルガンナーを持つだけでも一苦労だったからな。
そういえば今まで聞いた事もなかったが…お前たちもダブルになる際は特訓を…」


翔太郎「したさ、それも恐らくお前以上の特訓をな…」


亜樹子「特訓って翔太郎くんが?
努力とは全く縁が無さそうだから全然想像できないんだけど…!?」


フィリップ「その意見には同感だ。
当時から翔太郎はこのハーフボイルドの性格だからあの人も鍛えるのに苦労していたよ。」


翔太郎「おいコラ!想像で俺を語るんじゃねえ!
だがまあ…そのおかげで俺たちはダブルとして戦えるようになったんだがな…」


照井「待てよ?それじゃあつまりこれからお前たちが会う待ち合わせの人物は…」


亜樹子「ひょっとして翔太郎くんをダブルに鍛えた人なわけ!?」


翔太郎「あぁ、厳しくも優しい…ハードボイルドな匂いを感じさせるタフな人で…
おやっさんとはまるでちがうタイプだが俺たちのもう一人の師匠さ…」


これから話すのは俺たちを仮面ライダーとして鍛えてくれたある人との出会いの物語だ。

そう、あれは今から6年前。

ビギンズナイトから1ヶ月経ったある日の事だった…

(ナレーション:左翔太郎)

とりあえずここまで

今回の物語は翔太郎の回想になります。

それと追記ですがおやっさんが本編で仮面ライダーを名乗ってなかったのは確かです。
MOVIE大戦2010で名乗ってたろと仰る方もいるかもしれませんがそれはスカルの世界から来たおやっさんです。
それに公式の解説でも仮面ライダーの称号は翔太郎たちダブルに送られた称号だからたぶん合ってると思いますので…
>>7
頑張ってディケイドとのクロス考えてみたけど…
どうしても話の内容がディケイドのRX編と同じような話しか考えつかなかったので除外しました。
期待してたらごめんなさい。

※13
本当だ!間違えてた!
ちょっと訂正します!



フィリップ「そう、今から話すのはその仮面ライダーと僕たちとの出会いだ。
ところで照井竜、キミは仮面ライダーになるためにかなり厳しい訓練を積んだはずだよね。
それは血が滲みほどの過酷な訓練だったんじゃないかな?」


照井「あぁ、最初はあのエンジンブレードを持つだけでも一苦労だったからな。
そういえば今まで聞いた事もなかったが…お前たちもダブルになる際は特訓を…」


翔太郎「したさ、それも恐らくお前以上の特訓をな…」


亜樹子「特訓って翔太郎くんが?
努力とは全く縁が無さそうだから全然想像できないんだけど…!?」


フィリップ「その意見には同感だ。
当時から翔太郎はこのハーフボイルドの性格だからあの人も鍛えるのに苦労していたよ。」


翔太郎「おいコラ!想像で俺を語るんじゃねえ!
だがまあ…そのおかげで俺たちはダブルとして戦えるようになったんだがな…」


照井「待てよ?それじゃあつまりこれからお前たちが会う待ち合わせの人物は…」


亜樹子「ひょっとして翔太郎くんをダブルに鍛えた人なわけ!?」


翔太郎「あぁ、厳しくも優しい…ハードボイルドな匂いを感じさせるタフな人で…
おやっさんとはまるでちがうタイプだが俺たちのもう一人の師匠さ…」


これから話すのは俺たちを仮面ライダーとして鍛えてくれたある人との出会いの物語だ。

そう、あれは今から6年前。

ビギンズナイトから1ヶ月経ったある日の事だった…

(ナレーション:左翔太郎)



<2009年1月>


~鳴海探偵事務所~


翔太郎「なぁ…待ってくれよ刃さん!」


刃野「いや…そう言われてもな…荘吉さんいないんだろ?だったら…」


翔太郎「だから…確かにおやっさんはいないよ…
けど俺が代わりに依頼を引き受けるって!こんな依頼俺なら朝飯前だから任せろよ!」


刃野「こんな依頼って…なぁ翔太郎。
俺はお前の事を昔から知っているし悪いヤツだとも思っちゃいない。
だがそんな昔馴染みでも悪いが今のお前に仕事を依頼する事はできない。」


翔太郎「なんだよそれ!?
こっちは1ヶ月も依頼がなくてもうかなり金欠なんだよ…」


刃野「まったく…面倒なヤツだな…
だったらほれ、工場の出稼ぎにでも行ってきたらどうだ?
ディガル・コーポレーションって会社が新しく工場を作るらしくて、
なんでも今はそこの作業員を募集してるそうだぞ。」


翔太郎「バカ言うんじゃねえ!俺はハードボイルドを目指す男だぞ!?
そんな出稼ぎなんてカッコ悪い真似ができるか!!」


刃野「じゃあ勝手にしろ!もう知らん!」


2009年、1月のある日…

その日、俺は事務所で昔馴染みの刃野刑事こと刃さんと些細な事で口論になっていた。

理由は簡単、依頼が無いからだ。

この鳴海探偵事務所へ依頼に来るのはみんなおやっさんを頼りにしている連中だ。

代理の俺では依頼をこなすには力不足と判断されたんだろう。

だが当時の俺にはそれ以外にも理由があったなんて理解すら出来なかった…

結局、今日も依頼がないと落ち込んでいる時だった。

(ナレーション:左翔太郎)



翔太郎「ハァ…結局今日も依頼は0かよ…」



((ビュォォォォッ!))



翔太郎「うぉっ!今日は風が一段と強いな!あれ…事務所の前に誰かいるのか…?」


???「風都、久しぶりに来たがやはり心地いい風が吹く街だな。」


翔太郎「あん?アンタは一体…?」


???「あぁ、実はこの探偵事務所の成海荘吉さんを訪ねにきたんだけど…」


翔太郎「おやっさんを…アンタ一体何者だ?」


風都に流れる風と共に、事務所の前にバイクに乗った一人の男が現れた。

思えば不思議な人だった。

まるで歴戦の戦士のような風格を漂わせるこの男に俺は少しばかり警戒していた。

何故ならこの頃の俺は少し神経を尖らせていたからだ。

その原因は…

(ナレーション:左翔太郎)




((ドッガァァァァンッ!))



翔太郎「何だ!この爆発は!?」


???「近いな!キミはここにいろ!俺が見てくる!」


翔太郎「そういうわけにいくか!風都は俺の街だ!この街で好き勝手やらせてたまるか!」


そんなわけで俺は不本意ながらこの男と一緒に爆発のあった場所へ向かった。

そこにいたのがヤツらだった…!

(ナレーション:左翔太郎)



((MASQUERAD!))


「キャー!」


「助けてくれー!」


タブー・ドーパント「フンッ、虫けらたち!もっと泣き叫びなさい!!」


マスカレイド「「ハハハハハ!」」


???「空を飛ぶ奇妙な女とムカデの骨のマスクを被った怪人たちが街で暴れているぞ!」


翔太郎「あいつらは…あの時の!?」


そこにいたのはタブー・ドーパントとマスカレイド・ドーパントの徒党だった。

ビギンズナイトの時、おやっさんが戦っていた怪人たち。

俺が神経を尖らせていたのもこいつらが原因だ!

こんなヤツらを目の前にして俺は黙っちゃいられなかった!

(ナレーション:左翔太郎)



翔太郎「あいつら…よくもおやっさんを!」


???「おい…待て!ヤツらは人間じゃない!不用意に近づくな!?」


翔太郎「うるせえ!
あいつらは絶対に許さねえんだ!それに俺にはこいつがある!」


???「それは…USBメモリにベルト…?」


俺は咄嗟に自分のガイアメモリと変身ベルトを取り出して変身しようとした。

だが…

(ナレーション:左翔太郎)



翔太郎「行くぜ!変身!」


((………))


翔太郎「あれ?おい!どうした!?何でうんともすんともしないんだ!?」


?????『また無理だったようだ。どうやら僕らはまだ変身できるに至らないようだ。』


翔太郎「携帯電話のスタッグフォンから声が…ひょっとしてお前か!
おい!何で変身できないんだ!?
このベルトを最初につけた時には出来たはずだろ!?」


?????『その件に関しては現在調査中さ。
それよりもヤツらがこんな白昼堂々と動くとは少し予想外だ。
だがこんな行動を起こす理由は見当がついている。
いいかい、キミはこのまま何もせずに大人しく事務所に戻りたまえ。
そうすればヤツらもいずれ諦めて撤退するだろう。』


翔太郎「ふざけんな!この薄情者が!こうなったら俺一人でもやってやらぁっ!」


当時の俺はどういうわけだかダブルに変身する事ができなかった。

その所為で風都の人たちが次々と傷ついていった…

そんな光景を目の当たりにして黙ってはいられなかった!

(ナレーション:左翔太郎)



翔太郎「うぉぉぉぉっ!」


マスカレイド「「ギギッ!」」


翔太郎「おわっ!こいつら…数が多すぎ…うわぁぁぁぁ!?」


多勢に無勢とはまさにこの事だ。

当時の俺はまだろくに戦う術を身につけちゃいなかった。

そんな俺が下っ端とはいえマスカレイドの大軍を相手に勝てるはずもなく…

情けない話だがあっけなくやられちまった。

(ナレーション:左翔太郎)



翔太郎「ぐはっ!?」


マスカレイドA「我々に歯向かうとは生意気なヤツだ!」


マスカレイドB「今回の任務は陽動だが…我が組織に歯向かった罰を受けてもらうぞ!」


タブー・ドーパント「あら…この坊やは確かあの時の…?
全員、この坊やを捕らえなさい。けど殺してはダメよ。
この坊やからある情報をなんとしても聞き出さなければいけないのだからね!」


翔太郎「クソッタレ…おやっさん…すまねえ…」


そこで俺は意識を薄らいでいた。

この時の俺はもう死を覚悟していたんだ…

(ナレーション:左翔太郎)



???「待て!」


マスカレイドA「何だお前は!?」


光太郎「俺の名は南光太郎!その少年をお前たちに殺させはしない!」


マスカレイドC「バカめ!お前ごときに何ができる!」


マスカレイドD「この小僧と一緒にあの世に行け!」


光太郎「いいや、あの世へ行くのはお前たちだ!変…んん…身!!」


さて、ここからは左翔太郎に代わってこの政宗一成がナレーションを進行しよう。

左翔太郎のピンチに駆けつけたのは我らがヒーロー、南光太郎であった!

そして光太郎はマスカレイドたちの前で変身してみせた!!

(ナレーション:政宗一成)

ちょっと待て!アンタ誰だぁぁぁぁ!?

何で俺の回想で勝手にナレーションしてるんだよ!?

(ナレーション:左翔太郎)



RX「俺は太陽の子、仮面ライダーBLACK!RX!!」


マスカレイドE「太陽の子…?」


マスカレイドF「仮面ライダーだと?」


マスカレイドG「なんだか知らんがやってしまえー!」


RX「来い!これ以上人々を傷つけさせはしない!トゥァッ!!」


マスカレイドたちは一斉にRXに襲いかかってくる!

だが歴戦の戦士であるRXにマスカレイドたちが相手になるはずがなかった…!

(ナレーション:政宗一成)

だからそこ…俺が語らなきゃいけないのに…Noooooooooooooooooooo!?

(ナレーション:左翔太郎)



RX「RXパ―――ンチ!!」


マスカレイド「「ギャァァァァッ!?」」


タブー・ドーパント「一体どういう事…?
率いていたマスカレイドたちが全滅するなんて…
それにこの男の姿…黒の戦士…まさかあの時のスカルとかいうヤツと同じ…!?」


RX「この街を…いや…人々を傷つけたお前を許しはしない!」


タブー・ドーパント「舐めるな!ハァッ!」


((ドンッ!)) ((ドンッ!))


RX「こいつ…強力な破壊光線を出すのか!ならば…」


RX「来い!ライドロン!ライディングアローだ!!」


((ドシュゥゥゥッ!))


タブー・ドーパント「キャァッ!これは…一旦引くしかないようね…覚えてなさい!」


RXの出現は全くの予想外であったタブー・ドーパント。

ライドロンを召喚され形勢が不利になったと判断して一目散に撤退する事に…

(ナレーション:政宗一成)

あの…そろそろ代わってもらっていいですか?

(ナレーション:左翔太郎)



翔太郎「誰だ…誰がドーパントを…追っ払ったんだ…?」


RX「おい、大丈夫か?しっかりしろ!」


翔太郎「黒い戦士…アンタ…ひょっとして…おやっさん…なのか…?」


光太郎「どうやら気絶してしまったようだな。
それにしても俺の事をおやっさんと間違えて呼ぶとは…
そうか、それじゃあこの少年が…左翔太郎か。」


こうして俺は自分でも知らない内に光太郎さんに助けられた。

だがこの時、俺は意識が気が朦朧とした状態だった。

だから後であんな誤解をしちまう事になっちまうわけなんだが…

(ナレーション:左翔太郎)

とりあえずここまで

政宗「まだまだ若い者にこのssのナレーションは任せられんな!」

翔太郎「マジっすか!?」

※このssでは光太郎さんの活躍シーンだと政宗さんがナレーションに変更する仕様になります



~鳴海探偵事務所~


翔太郎「うぅ…ようやく目が覚めたぜ…
ここまで運んできてくれて助かったぜ…え~と…?」


光太郎「南光太郎だよ。
キミの事は荘吉さんから聞いてるよ、左翔太郎くん。」


翔太郎「アンタ…おやっさんとは一体どういう関係なんだ?」


光太郎「壮吉さんとは昔馴染みなんだ。
今から1ヶ月前に荘吉さんから手紙をもらってね。
手紙にはこう書かれていた。
『あるやばい仕事を引き受けた。もしも1ヶ月経って返事がなければ…
その時は風都に来てくれ。この街をしばらく見守ってくれ…』とね。」


翔太郎「おやっさんがそんな手紙を…ってそうじゃない!おい!?」


俺はひょんな事から出会った南光太郎と名乗る青年に介抱してもらっていた。

だがそれよりもまず、問いたださなければならないヤツがいた。

(ナレーション:左翔太郎)



翔太郎「出てこい!地下にいるのはわかってんだぞ!?」


フィリップ「なんだい?今は作業に追われていて忙しいんだけど?」


翔太郎「うるせえ!このベルトやっぱり変身できないぞ!どうなってんだ!?」


フィリップ「さあね、その事で僕に八つ当たりするのは筋違いだと思うけど?」


翔太郎「それだけじゃない!
さっきの戦い…苦しんでいる人たちを見捨てようとしやがって!
お前には情けってモンがないのかよ!?」


光太郎「コラ、喧嘩はよせ。一体どうしたというんだ?」


翔太郎「ちょっとな…それよりも腹が減ったし出前でも取るか。」


光太郎さんに喧嘩を止められた俺たち。

正直に言うと…この頃の俺とフィリップの仲は最悪だった…

ビギンズナイトの夜以降、俺とフィリップはこの探偵事務所で共同生活を始めた。

だがこいつを助ける依頼を受けなければ…という思いに駆られていたからだ。

まあ怒っても仕方がない。

俺は気を取り直して腹も減った事だから風麺に出前を取ったんだ。

(ナレーション:左翔太郎)



ウォッチャマン「よぅ、翔ちゃん!ラーメン三丁お待ち!」


光太郎「なんだか全裸で懸賞金生活を送ってそうな人が来たな。」


翔太郎「オォ、ウォッチャマン!風麺のバイトかよ?」


ウォッチャマン「まあちょっと金欠でね、ところでさっきの街での騒ぎだけど大変だねぇ。
ところでこれは情報屋として仕事だけど、
実は騒ぎが起きるちょっと前にあそこでガイアメモリの取引が行われていたらしいよ!」


翔太郎「ガイアメモリの…?」


ウォッチャマン「そうだよ、この街でガイアメモリを知らないヤツはいないからね。
今じゃどこへ行ってもガイアメモリの話で持ち切りさ。
そのうちとんでもない事が起こるんじゃないかって街のみんなは心配してるよ…」


翔太郎「チクショウ!ヤツら形振り構わなくなってきやがったな!」


光太郎「ヤツら…?」


まあそんなわけでウォッチャマンから情報を聞きながらラーメンを食べる俺たち。

そして食べ終わると同時に光太郎さんがいよいよ本題に入ろうとしていた…

(ナレーション:左翔太郎)



光太郎「ごちそうさま、美味しかったよ。それにしても大きなナルトだったな。
ところで率直に聞きたい。さっき街で暴れていたヤツらは一体何者なんだ?」


翔太郎「あれは…ドーパントさ。」


光太郎「ドーパント?そいつらは一体何者なんだ?」


翔太郎「ドーパントってのはつまり…あの…その…」


フィリップ「まったく、それでは彼に代わって僕が説明しよう。
ドーパントとは人間を超越した存在で町ひとつを簡単に破壊できる超生命体だ。
だが誤解しないでくれ。彼らの正体は普通の人間だ。
それが何らかの事情でガイアメモリを手にして暴れまわっているのさ。」


光太郎「ガイアメモリ?」


翔太郎「こいつの事さ。」


光太郎「それはさっき戦いの最中にキミがベルトと一緒に取り出していたUSBメモリ?」


フィリップ「そう、これこそがガイアメモリ。
人間をより進化した生命体に変える事ができる奇跡のアイテムさ!」


自慢げにガイアメモリについて語るフィリップ。

だが当時の俺にはそれが無性に腹立だしかった…

(ナレーション:左翔太郎)



翔太郎「ふざけんな!何が人間の進化を促す奇跡のアイテムだ!
こんなメモリの所為でこの街はメチャクチャになっちまったんだぞ!?」


フィリップ「前にも言っただろう。銃を作る工場の人間は犯罪者かい?
いいや、ちがう。使って悪事をする人間が悪い…とね。」


翔太郎「お前…!
お前がこんなモン作らなきゃ街の人たちだって…!?」


光太郎「二人とも落ち着け!
今はそんな事を言い争っている場合じゃないだろ!それでキミは…え~と…」


フィリップ「僕の名前は…フィリップだ。鳴海荘吉がそう名付けてくれたからね。」


光太郎「名付けた?どういう事だ?」


翔太郎「こいつ…頭はいいのに自分の事は全然思い出せないんだとよ。
しかも自分の名前すら…
それで見かねたおやっさんがフィリップ・マーロウの名前を付けたんだとさ。」


光太郎「だがフィリップ・マーロウといえばレイモンド・チャンドラーの小説の…」


翔太郎「そう、おやっさんが好きな小説に出てくるあのハードボイルドな探偵さ。
まったく…そんな由緒ある名前をこんな根暗なヤツに与えるなんて…
おやっさんも何考えてるんだか…」


ひたすら愚痴をこぼし続ける俺…

振り返ってみると当時の俺は余裕がないとはいえ…相当陰険だったんだなとつくづく思う。

やっぱり未熟な過去はあまり振り返るモンじゃないな…

(ナレーション:左翔太郎)



光太郎「そうだ、おやっさんで思い出したが…壮吉さんはどこにいるんだ?」


フィリップ「鳴海荘吉は…1ヶ月前…ある組織から僕を助け出す際に死んだ…」


翔太郎「ふざけんな!
おやっさんは死んじゃいねえ!生きてるに決まってるだろ!?」


フィリップ「何をバカな事を…?
キミも僕と一緒に見たはずだ。鳴海荘吉が凶弾に倒れる姿を…」


光太郎「なんだって!荘吉さんが!?」


フィリップはあのビギンズナイトの夜の事を光太郎さんに話した。

さすがの光太郎さんも困惑した表情になってたな…

(ナレーション:左翔太郎)



光太郎「そんな事件が…今から1ヶ月前に…」


フィリップ「そう、鳴海荘吉は1ヶ月前に僕をある組織から救出する際に死んだ。
その組織は今、血眼になって僕の行方を追っている。
僕はこれまでガイアメモリの開発の中枢を担っていたからね。
さっきの連中が起こした騒ぎも僕を誘き寄せるための陽動だったのだろう…」


光太郎「だが…そうなると荘吉さんは…」


フィリップ「僕が見た限りじゃ鳴海荘吉があの傷で生きている可能性は殆どないだろうね。
キミもいい加減、諦めた方が…」


翔太郎「いいや、おやっさんは生きていた!間違いねえ!」


フィリップ「キミ…今の話を聞いてなかったのかい?鳴海荘吉は…」


翔太郎「俺はさっきの戦いでスカルを見たんだよ!」


光太郎「え…?」


翔太郎「意識がおぼろげだったから姿はよく見えなかったが…
あの黒い戦士…間違いねえ!あれはおやっさんが変身したスカルだった!
おやっさんは生きてたんだよ!!」


今なら笑い話にもならないだろうが…

当時の俺はさっきのRXの戦う姿をスカルと見間違えていたんだ。

だがおやっさんの死を受け入れなかった俺には、

あの黒い戦士が間違いなくスカルに見えたんだ…!

(ナレーション:左翔太郎)



光太郎「翔太郎くん…それは…」


フィリップ「……なるほど、そういう事か。」


翔太郎「あん?二人ともどうかしたのか?」


フィリップ「だからそれはキミの誤解…」


光太郎「おっと!そうだった!
そういえばさっきキミは変なベルトを取り出していたけどあれは一体何だい?」


いきなり話を逸らす光太郎さん。

今にして思えばあれは勘違いしていた俺に気を遣ってくれたんだろうな…

(ナレーション:左翔太郎)



翔太郎「これは…実のところ俺もよくわかってねえんだ。
あの日、こいつを助ける時におやっさんが依頼主の女から持たされたとしか聞いてないんだが…」


フィリップ「だがこのベルトの性能は本物だ。
このベルトを装着した者はガイアメモリの力を駆使して戦うだけじゃなく、
僕と意志を同化する事ができるんだ!」


光太郎「フィリップくんと意志を同化?
それは確かにスゴイ事かもしれないが…何故そんな事をする必要があるんだ?」


フィリップ「それはこの僕の頭脳がこの地球のあらゆる知識が詰まっている、
『星の本棚』とリンクする事ができるからさ。」


光太郎「星の本棚…?」


翔太郎「なんでもこいつの頭の中には、
星の本棚っていう地球の全ての知識が詰まった本棚があるらしい。
けど怪しいモンだぜ。
そんな便利な本棚があるならどうして自分の事がわからないんだよ?」


フィリップ「だから散々説明しただろう。
星の本棚には何故か僕の情報だけが何故か閲覧不可の状態になっているんだ。
まあ僕の事は置いといてだ…
このベルトを手にした者は超人的な力を発揮できるだけじゃなく、
僕と意志を一体化する事で最高の頭脳を手にする事ができる。
まさに究極の超人の誕生ってわけさ!」


ベルトについて喜々として語るフィリップ。

だが俺にとってそんな話は寝言でしかなかった…

(ナレーション:左翔太郎)



翔太郎「ケッ、使えないベルト巻いたってしょうがないだろ。
こんなモン粗大ゴミにでも出してトイレットペーパーと取り替えてもらった方がマシだ!」


光太郎「おいおい…そんなにぞんざいに扱うなよ。
だが…近くで見るとわかるがこのベルトを作った開発者が相当な技術を持っているのは確かだ!
一体誰が…何の目的でこんな精巧なベルトを作ったんだ?」


翔太郎「興味があるならそのベルトくれてやろうか?
1回しか使えなかったベルトだし、たぶんもう壊れてるだろうからな…」


フィリップ「まったくキミというヤツはこのベルトの価値を何もわかってないね!
これはトイレットペーパーとやらが…その前に待ちたまえ?
トイレットペーパーとは一体何だい?」


翔太郎「あん?ただの尻ふき紙だよ!」


フィリップ「尻ふき紙だって!それは大変興味ある!?」


フィリップの興味は一気にトイレットペーパーに向けられた。

結局フィリップはその後、一日中トイレットペーパーの検索をしていた…

(ナレーション:左翔太郎)

とりあえずここまで

光太郎さんがおやっさんと過去に面識があるのはssだけの設定なので誤解なさらず

それと翔太郎の性格が今よりも尖ってそうなのも過去の話だからという事で納得して頂ければ幸いです



~園咲邸(冴子の部屋)~


冴子「うぅ…」


霧彦「大丈夫ですか冴子さん?」


冴子「あなたが私を助けてくれたの?」


霧彦「はい、私の名は須藤霧彦と申します。以後お見知りおきを…」


冴子「須藤…確かうちのディガル・コーポレーションで一番の営業成績を上げている男…」


ここからは左翔太郎が知らない場面になる。

ここは園咲邸の冴子の部屋。

先程のRXとの戦いで傷ついて冴子は須藤霧彦と名乗る男に介抱されていた。

ちなみにだがこの須藤霧彦こそ、後に冴子と結婚して園咲家の婿となる園崎霧彦本人であった。

(ナレーション:政宗一成)



若菜「あら?お姉さまったらようやく目が覚めたのね。チッ…」


冴子「舌打ちが聞こえたわよ…
若菜、何の用だが知らないけど目障りだからさっさと消えなさい!」


若菜「私だってお姉さまの部屋になんて居たくもないわ。
けど…お父さまがお呼びになってるわよ。一体何の要件なのかしらねぇ?」


冴子「お父さまが…?」


傷ついた冴子を見て喜々として笑顔でいる若菜。

冴子は傷ついた身体でありながら父に呼び出された応接間へと向かった。

(ナレーション:政宗一成)



~応接間~


冴子「お父さま、お待たせしました…」


??「…」


琉兵衛「冴子、今回の失態。これはどういう事か説明しなさい。」


冴子「ですが…お客さまが…」


琉兵衛「冴子、お前はいつから私に指図するようになったのだ…?」


冴子「………わかりましたわ。」


ここは園咲家の応接間。

そこでは園咲家の当主である園咲琉兵衛が愛猫のミックを抱きながら、

全身傷だらけの白いスーツを着た客人を相手に商談している最中であった。

(ナレーション:政宗一成)



冴子「今回の失態は…仮面ライダーと名乗る妙な男に妨害を受けたからで…」


??「仮面ライダー…?」


琉兵衛「客人、その仮面ライダーとやらの聞き覚えがあるのですかな?」


??「お嬢さん、ひとつ聞きたい事がある。
その仮面ライダーとやらはどんな姿をしていたのだ?」


冴子「どんな姿って…全身が黒い身体で…確か太陽の子とか名乗ってましたけど?」


??「全身が黒の仮面ライダー…それに太陽の子だと!?」


冴子からの話を聞き、驚きを隠せない白いスーツの男。

この男の正体は果たして!?

(ナレーション:政宗一成)



~鳴海探偵事務所~


フィリップ「トイレットペーパー、もしくは便所紙とも呼ばれている。
用途は尻を拭く紙であるがそもそもトイレに通常の紙を流しては溶けにくい。
そのために水解紙製に加工されていたのか。
しかもその歴史は古くからあり、
大昔はこれらの代用品として貝、石、ボロ布を代用品としていた。
現代ではスーパー等で手軽に手に入るが廃品物を回収する業者からも貰えるとは…
まさかこれほど興味深いモノだったなんて!」


翔太郎「結局こいつはトイレットペーパーに夢中になってるし…」


光太郎「ハハ、けどキミはこれから一体どうする気なんだい?」


翔太郎「決まってるだろ!
おやっさんが戻ってきたならこんなベルトはもういらねえ!
ドーパント退治はスカルがやってくれるだろうしな!
よっしゃぁっ!これでまた風都に平和が戻るぜ!!」


光太郎「…」


フィリップがトイレットペーパーに夢中になっている頃、

俺はすっかりおやっさんが戻ってきたと勘違いをしていた。

そんな俺を光太郎さんはまるで申し訳なさそうな目で見つめていたな…

(ナレーション:左翔太郎)



光太郎「いいや、それじゃダメだな。」


翔太郎「ハァ…?どういう意味だよ?」


光太郎「壮吉さんが姿を現さないのは恐らくキミに自立してほしいからじゃないのかな。」


翔太郎「自立…おやっさんが俺に…?」


光太郎「よし、これも何かの縁だ!
俺がキミを一人前になれるように鍛えてあげようじゃないか!!」


翔太郎「えぇ――――――ッ!?」


こうしていきなり特訓を受ける事になった俺。

この後…俺にはとんでもない地獄が待ち受けていた…

(ナレーション:左翔太郎)

とりあえずここまで

仮面ライダーには特訓が付き物です



~風都採掘場~


光太郎「うん、この辺りが最適だな!」


翔太郎「ここって街外れの採掘所じゃないっすか!こんなところで何するんだよ!?」


光太郎「決まっているだろ、特訓だ!」


翔太郎「特訓!?」


光太郎「そうだ、翔太郎。
さっきの戦いを見てわかったがお前は戦いの術を全く身につけていない!
それではたとえ荘吉さんが戻ってもまた足でまといになるだけだ。
だからこの俺が一からビシバシ鍛え直してやる!!」


翔太郎「マジっすか!つーか何気にお前呼ばわり!?」


いきなり街外れの採掘所に連れてこられて特訓を受ける事になっちまった。

そんな俺の前にあるとんでもないモノが…

(ナレーション:左翔太郎)



((ブロロロロッ!))


サンタちゃん「よ、翔ちゃん!プレゼント持ってきたよ!」


翔太郎「サンタちゃんか、けど…そのクレーン車は一体どうしたんだよ…?」


光太郎「これはさっき出前に来てくれたウォッチャマンさんに頼んで、
こちらのサンタちゃんさんに持ってきてもらったんだ。
これから行う特訓に使うためにな。」


翔太郎「え…?」


俺の嫌な予感は的中した。

そして…

(ナレーション:左翔太郎)



((ウィィィィンッ!))


((ゴォォォォォンッ!))


翔太郎「うわぁぁぁぁぁ!助けてくれぇぇぇぇぇ!?」


光太郎「逃げるな翔太郎!
このクレーン車に搭載されている巨大な鉄球を見事弾き返すんだ!
そうする事でより頑丈な身体に鍛える事が出来て敵の攻撃を防ぐ事が可能になる!!」


翔太郎「いやいや!無理無理無理!?
どっかの改造人間ならともかく俺は生身の身体だぜ!できるわけねーだろ!!」


光太郎「なあに!このくらいで死ぬもんか!ほら、ぶつかってこい!!」


翔太郎「できるかー!大体特訓って…
バッティングセンターで150キロのスピードボール掴んで数字言い当てるヤツとか、
イクササイズで身体鍛えるんじゃないのか!?」


光太郎「バカッ!そんなわけのわからない生半可な特訓で強くなれるわけがないだろ!
昭和の時代はみんなこうして血の滲むような特訓で強くなったんだぞ!!」


翔太郎「でも…こんなのハードボイルドじゃねえ!
これじゃ…ただの昭和の特撮の特訓じゃねえかぁぁぁぁぁ!?」


風都採掘所には俺の虚しい叫び声だけが響いた。

他にも色々とやらされたな。

鉄塔の上からロープで逆さ刷りにされたり崖から落ちてくる岩を全部避けてみろとか…

だが光太郎さんから教わったのは戦い方だけじゃなかった。

(ナレーション:左翔太郎)



~鳴海探偵事務所~


クイーン「だからぁ…」


エリザベス「さっきからお願いしてるじゃん!」


翔太郎「クイーンにエリザベス…お願いって言われてもなぁ…
俺は探偵だぞ、お前たちの迷子猫探しなんてやるわけには…」


光太郎「いいよ、俺たちに任せてくれ。」


クイーン「やりぃっ!」


エリザベス「さっすがぁっ!話わかるぅ!」


翔太郎「ちょっと待ってくれよ光太郎さん!
こんなのハードボイルドな探偵が受ける依頼じゃないだろ!?」


光太郎「何を言ってるんだ!
この子たちは困っているから俺たちを頼りに依頼してるんだぞ!
それに今のお前に選り好みしている余裕はないはずだろ?」


翔太郎「それを言われると…まあそうなんだけど…」


いつもの俺だったらこんな依頼は絶対に断っていただろう。

だが光太郎さんはどんな依頼でも受ける探偵としての心構えを俺に教えてくれた…

(ナレーション:左翔太郎)



~風都郊外~


翔太郎「光太郎さん!そっちに行ったぞ!」


光太郎「猫!待つんだー!」


翔太郎「ハァ…これが探偵の仕事かよ…あれ?確かこの辺りは…?」


まあ…そんなこんなで迷子猫の捜索を始める俺たちだったんだが…

気づいたらとんでもない場所に迷い込んでいたんだ。

(ナレーション:左翔太郎)



ミック「ミャ~!」


光太郎「よし!捕まえたぞ!」


琉兵衛「おいおい、うちの猫を離してくれんかね?」


光太郎「え…?あぁ、人違い…じゃなく猫違いでしたか。すいません…」


翔太郎「あのおっさん…間違いない!ありゃ園咲の…!?
じゃあ…もしかしてここは…やっべー!
俺たちいつの間にか風都博物館の敷地内に入ってたんだ!?」


そうだ、迷子猫探しに夢中になっていた俺たちは気づかない内に風都博物館に入っていた。

当時の園咲琉兵衛といえばこの街では知らないヤツはいない…

風都への多大な影響力を持つ富豪一家の当主だ。

(ナレーション:左翔太郎)



琉兵衛「キミたちが探していたのはこっちの猫ではないのかね?」


光太郎「本当だ、ありがとうございます。」


翔太郎「園咲さん…そのいきなり敷地内に入ってすんません…」


琉兵衛「ハハハ、気にせんでくれたまえ。
ここは博物館、風都の者なら誰でも気軽に来てもらって構わんよ。」


光太郎「あなたが園咲琉兵衛さん…?
あの、失礼ですが俺はあなたの奥さんである文音さんと面識があるんです。
奥さんは今もお変わりありませんか?」


琉兵衛「家内は…もう何年も前に亡くなってね…」


光太郎「あ、すいません…不躾な事を聞いてしまって…」


気まずくなってんだろ!空気読めー!?

…と当時は思ったが今にして思えばこの発言は白々しい嘘だったんだよな…

何故ならこの時、その文音さんは…

(ナレーション:左翔太郎)



光太郎「翔太郎、俺は先に戻ってこの迷子猫をエリザベスちゃんたちのとこに届けに行くよ。」


翔太郎「うっす!さてと、俺も行くか。」


琉兵衛「その前にちょっと待ってくれんかね。」


翔太郎「え…?」


いきなり園咲琉兵衛に止められる俺。さすがにちょっと緊張したもんだよ。

あの当時、背後から襲われても何ら不思議じゃなかったからな…

だがヤツは何故か俺にこんな言葉を告げたんだ。

(ナレーション:左翔太郎)



琉兵衛「キミは探偵の仕事をしているようだがひょっとして鳴海探偵事務所の人間かね?
あそこの壮吉さんとは何度か会った事があってね。
キミは…どうやらまだ見習いのようだが…?」


翔太郎「ま…まあそうっす。けどすぐに一人前になってみせますから!」


琉兵衛「うむ、頼もしいねえ。
ではこれは老婆心ながら年上として大事な忠告をしておこう。
男が一人前になるきっかけとは、ある日突然何の前触れもなくやってくる事がある。」


翔太郎「ある日…突然…何の前触れもなく…?」


琉兵衛「そしてもうひとつ、言っておきたい事がある。
この世には二種類の男しかいない。
それはそのきっかけが起きた際、立ち上がる事ができる者とできない者だ。
さて、若者よ。キミは一体どちらの男になりたいかね?」


翔太郎「その時…俺は…立ち上がる男になってみせる…何があろうと必ず!」


意固地になりながらも俺は園崎琉兵衛にそう返事して風都博物館を後にした。

だがこの時の俺はまだ知る由もなかった。

この時、園崎琉兵衛が告げた言葉が後の俺に大きな影響を与える事を…

(ナレーション:左翔太郎)



光太郎「翔太郎のヤツ…遅いな…何をしているんだ?」


((ガサッ!))


光太郎「うん…?誰かの気配がする!?」


光太郎「どこにいる!隠れているのはわかっているぞ!」


一方その頃、光太郎の方にもある人物が接触を図ろうとしていた!

その相手は…

(ナレーション:政宗一成)



シュラウド「あなたが南光太郎ね。私の名はシュラウド。
今まであなたたちの事を遠くから観察していたわ。」


光太郎「シュラウドだと…?」


シュラウド「単刀直入に要件を言うわ。
あなたが左翔太郎から預かったダブルドライバーをすぐにこちらへ渡しなさい。
それは私が開発したものよ。」


光太郎「なんだって!?」


突然現れたシュラウドと名乗る全身包帯巻の奇妙な女性。

彼女は光太郎にダブルドライバーを返却するように要求してきた!

(ナレーション:政宗一成)



光太郎「なるほど、これはあなたが開発したモノなのか。
だがこれは荘吉さんの遺品でもある。それを簡単に渡すわけには…」


シュラウド「わかっていないようね…
そのベルトはこの街に出没するドーパントを倒すため、
そしてこの街で恐ろしい陰謀を企てているある男を倒すために開発したモノなのよ!」


光太郎「やはり…だがそれこそ今あなたに返すわけにはいかない!このベルトはいずれ…」


シュラウド「あの左翔太郎とかいう坊やが成長した時に渡す気?けどそれは不可能よ。」


光太郎「不可能だって…だが何故だ?」


シュラウド「これは…あなたたちがフィリップと呼ぶ少年と意思を同化する事ができるベルト。
それにはこのベルトの装着者があの子と意志をひとつにしなければならない必要があるの。
けどあの左翔太郎は鳴海荘吉が死んだのはあの子の所為だと未だに思い込んでいる。
今の二人の相性は最悪といっても過言ではないわ。
そんな二人が意思をひとつにする事は不可能よ!」


光太郎「…」


シュラウドからダブルドライバーでの変身ができない理由を告げられる光太郎。

そんなシュラウドに光太郎はある事を尋ねた。

(ナレーション:政宗一成)



光太郎「それでは聞くがこのベルトを使いこなせる人間が他にいるのか?」


シュラウド「えぇ、一人だけ候補になる者がいるわ。
照井竜という名の青年よ。彼はドーパントに肉親を奪われた。
復讐心に駆られた彼には完全な戦闘マシンであるダブルになる適性があるわ。」


光太郎「照井竜…ドーパントに家族を…それにダブルだって…?」


シュラウド「そうよ!
鳴海荘吉がいなくなった今…
あの男のおぞましい野望を阻止するにはダブルしかいないの!」


シュラウドの話を黙って聞き続ける光太郎。

だが光太郎の返答は…

(ナレーション:政宗一成)



光太郎「悪いが断る。」


シュラウド「何故…今の話を聞いて何故私にそのベルトを渡そうとしないの!?」


光太郎「事情は知らないが、あなたもその照井竜という青年同様復讐心に駆られている。
そんな周りが見えない今のあなたにこのベルトを渡すわけにはいかない!」


シュラウド「それではどうする気なの!
いずれ組織は近い内に必ず動き出そうとするわ!そうなってからでは遅いのよ!?」


光太郎「その時は俺が…いや…俺でなくとも…
この街を…人々を愛し…守ろうとする若者たちが必ず立ち上がるはずだ!!」


シュラウドの前でそう高らかに答える光太郎。

だがシュラウドは…

(ナレーション:政宗一成)



シュラウド「くだらないわ、所詮はただの理想よ。
荘吉以外の人間がこの街のために立ち上がろうとするなんて絶対にありえないわ…」


光太郎「そうとも限りませんよ文音さん。」


シュラウド「あなた…私の正体を!?」


光太郎「えぇ、あなたとは以前に一度だけ会った事があるからもしかしたらと思ってね。
それにあなたは、もしかしてフィリップのお母さんじゃないんですか?」


シュラウド「そこまで…わかるの…?」


光太郎「さっきの話にいくつかフィリップを気遣う言葉が入り混じってましたからね。
それにこのダブルドライバーは何故かフィリップの意思を伝う事を前提に作られている。
そんな事は息子の身を案じる母親にしかできない事だと思ったんですよ。」


シュラウド「……いいわ、今はあなたにそのベルトを預けてあげる。
けど…いずれヤツらは必ず動き出す。その事を絶対に忘れないで!」


シュラウドはその場から立ち去った。

光太郎はシュラウドが残した言葉を思い出しながらダブルドライバーを見つめていた。


光太郎「ダブル…それがこのベルトで変身する戦士の名か…」


光太郎は感じていた。

シュラウドが何と言おうとこのダブルドライバーを真に扱える者は、

翔太郎とフィリップ、あの二人しかいないという事を…!

(ナレーション:政宗一成)

とりあえずここまで

現在ダブルドライバーが機能しない理由はss独自の設定です

本気になさらないでください

あと特訓風景は…まあライダーならジープじゃなく鉄球付きのクレーン車だと…



それから数ヶ月の時が過ぎた。


ロボライダー「俺は悲しみの王子、RX!ロボライダー!ボルティックシューター!!」


「「ギャァァァァッ!?」」


バイオライダー「俺は怒りの王子、RX!バイオライダー!バイオブレード!!」


「「グギャァァァッ!?」」


街にマスカレイドたちが蔓延るようになったがヤツらは尽くRXに倒された。

この頃から風都の人々の間ではバイクに乗り現れる仮面のヒーローの噂が広まっていた。

そして今日も…

(ナレーション:政宗一成)



~ディガル・コーポレーション~


霧彦「冴子さん、またRXが現れてガイアメモリの取引が中止になったと報告が…」


冴子「RX…!尽く私たちの計画の邪魔をして!まったく忌々しいわ!?」


若菜「あらあら、お姉さまったらご自分の無能を他人の所為にするのはいけないわよ♪」


冴子「黙りなさい若菜!アンタもあのRXと一度でも戦ってみたらわかるはずよ!
いくら強力な攻撃をしてもバイオライダーに避けられて…
力で挑んでもロボライダーで完膚なきまでに叩きのめされて…
そしてどんな罠を張ろうとも最後は太陽の力だとか奇跡が起きたで形勢逆転されてしまう。
こんな理不尽な戦い…もうやってられないわ…」


若菜「どうした事なのかしら…?
いつもは忌々しいお姉さまが今はなんだか不憫に思えてきたわ…」


苛立ちを隠しきれない冴子…

そんな時、霧彦からある意見が告げられた。

(ナレーション:政宗一成)



霧彦「冴子さん、落ち着いてください。
まもなく園咲さまがRX打倒に向けて何か策を練られているはずです。
どうかそれまでご辛抱を。」


冴子「フン、お父さまに介入されたら私の立場がないわ…」


霧彦「ならば私にお任せください。
ヤツが倒されたと同時にこれまでとは比べ物にならない程、
ガイアメモリを流通させてみせますよ。そしてその暁には…」


冴子「この私に何を要求する気?地位?名誉?それともお金?」


霧彦「フッ、誤解しないでほしい。そんなモノに興味は無い!
冴子さん、私はあなたと結婚したいのです!
あなたの婿として必ずや誰もが納得する実績を上げてみせます!!」


冴子「結婚って…まあいいわ。全てが上手くいくなら結婚でもなんでもしてやるわよ!」


若菜「あのお姉さまに求婚だなんて物好きな男もいるものだわ。」


RX打倒の暁には冴子にプロポーズを申し込むつもりの霧彦。

その頃、園咲邸ではRX抹殺に向けての作戦が着々と進められていた!

(ナレーション:政宗一成)



~園咲邸~


琉兵衛「仮面ライダーとやらの出現で計画に大幅な遅れが生じている。
どうやら冴子では荷が重すぎたようだな。」


??「園咲さん、この遅れは重大ですぞ!
これ以上計画に遅れが生じれば我々はあなたへの援助を見直さなければいけませんな!」


琉兵衛「わかっている、あぁ…わかっているとも…」


その頃、園咲邸では園咲琉兵衛が先日この家を訪れた白い制服の男から叱責されていた。

だが琉兵衛とて手を拱いているわけではなかった。

そんな琉兵衛の下へ愛猫のミックが何やらあるモノを持って現れたではないか。

(ナレーション:政宗一成)



ミック「ミャ~!」


琉兵衛「お帰りミック、お使いご苦労だったね。」


??「この猫…何か持っていますが…これは何なのですか?」


琉兵衛「これはある者にとっての弱点というべきモノですな。」


??「弱点…?あの仮面ライダーに弱点があるのか!?」


琉兵衛「いいや、これは仮面ライダーにとっての弱点ではない。
だが仮面ライダーではなくてもヤツに近しい者にとっての弱点ならその効果は十分にある。
今はそれだけ言っておきましょう。」


??「言っている意味がよくわからんが…
それでは打倒仮面ライダーに向けての対策は進められているのですか!?」


琉兵衛「勿論、我々はこの街の支配者ですからな。
仮面ライダー、一見無敵に見えるが彼だがこの街にやってきてまだ間もない。
そこに付け入る隙がある。フフフフフ…!
ところであなたに授けたいガイアメモリがあるのだが。」


不敵な笑みを浮かべる琉兵衛。

そして琉兵衛はこの男にあるガイアメモリを授けた。

(ナレーション:左翔太郎)



??「園咲さん、このガイアメモリは?」


琉兵衛「そのガイアメモリはあなたを選んだ。
ガイアメモリは誰でも簡単に扱える代物ではない。
あなたの持つ才能がこのガイアメモリの性能を十分引き出せるだろう。
そのガイアメモリを使えば間違いなく仮面ライダーに…」


??「勝てると…?
なるほど、いいだろう。ヤツはこの私、自らが引導を渡さねばならない相手!
決着は自らの手で付けてやる!!」


男が手にしたガイアメモリ、

それは『I』と刻まれたガイアメモリであった。

果たして、これから一体何が起ころうというのだろうか!?

(ナレーション:左翔太郎)

とりあえずここまで

そろそろ敵が本格的に動き出します



~風都採掘場~


翔太郎「ハァ…ハァ…もう限界だ…」


光太郎「どうした翔太郎、もう降参か?」


翔太郎「…っと見せかけて!まだまだー!」


光太郎「そうだ、戦いにおいてその熱い怒りは魂に込めろ!
だが怒りにまかせて冷静さを失うな、クールな心で状況をよく把握しろ!
そうすれば相手の動きをよく見極めて勝利を掴む事ができる!!」


特訓を開始してから数ヵ月が経とうとしていた。

俺は相変わらず光太郎さんから地獄の特訓を受ける毎日だ。

その間に探偵としての仕事やマスカレイドどもを退治してまわっていた。

ようやく特訓にも慣れて一応順調な日々を送っているはず…

それなのに俺の胸には何故かポッカリと穴が空いた感じがあった。

(ナレーション:左翔太郎)



翔太郎「ぜぇ…ぜぇ…」


光太郎「よし、今日はここまでだ!じっくり身体を休めるんだぞ!」


翔太郎「チクショウ…やっぱ勝てねえ…
だがいつか絶対光太郎さんを追い越してやる…師匠越えしてやるからな…!」


光太郎「ハハハ、そいつは楽しみだ!」


翔太郎「ハァ…」


光太郎「どうした、何か悩みでもあるのか?」


翔太郎「あぁ、どうしてスカルは…
いや…おやっさんは俺の前に現れないのかなって…そう思ってさ…」


光太郎「…」


そうだ、この時の俺は疑問に思っていた。

マスカレイドのヤツらが現れるたびに人々は黒い仮面の戦士が目撃したが、

その戦士は何故か俺の前には一度も姿を見せなかった。

何故スカルことおやっさんは俺の前に現れようとしないのか、それが疑問だった…

(ナレーション:左翔太郎)



光太郎「それは…」


翔太郎「まあ考えてもしょうがねえ…
今は早く成長して俺が立派になった姿をおやっさんに見てもらわなきゃな!
光太郎さん、悪いが先に事務所へ帰っていてくれ。
俺は少しこの辺をブラブラしてから戻るよ。」


光太郎「あぁ、わかった…」


光太郎さんは何か言いたげな表情で俺を見つめていた。

今ならその理由が嫌というほどわかる。

まったく、当時の俺は…どんだけ光太郎さんに迷惑をかけていたんだか…

(ナレーション:左翔太郎)



~鳴海探偵事務所~


光太郎「ただいま…」


フィリップ「やぁ、お帰り光太郎さん。彼は一緒じゃないのかい?」


光太郎「フィリップか、実はキミに言っておきたい事があるんだが…」


フィリップ「それは鳴海荘吉の死についてかい?」


光太郎「……そうか、やはりキミは気づいていたんだな。」


フィリップ「あぁ、最初からね。むしろ知らないのは彼だけだよ。
まったく、いつまでこの茶番を続ける気なんだい?」


光太郎「茶番…確かにそうかもな…」


フィリップは既に鳴海荘吉がこの世にいない事に気づいていた。

直情的な翔太郎とちがい、

物事を冷静な目で判断できる彼だからこそ感情に流されずにいたのだろう。

(ナレーション:政宗一成)



光太郎「いつか本当の事を話さなきゃとわかってはいるんだが…」


フィリップ「まったく…翔太郎といい光太郎さんといい…
二人にはどうも甘いところがある。それでよく今まで戦ってこれたものだね。」


光太郎「……フィリップ、もしかして俺の正体を知っているのか?」


フィリップ「南光太郎、あなたの事は地球の本棚に二冊載っていたよ。
一冊目は『仮面ライダーBLACK』
日食の日、あなたと親友の秋月信彦は暗黒結社ゴルゴムという組織に選ばれた。
そして19歳の誕生日に世紀王ブラックサンへ改造手術させられるが直前で脱走。
それ以来、仮面ライダーBLACKと名乗りゴルゴムに立ち向かった。」


光太郎「…」


フィリップ「ここからが二冊目の『仮面ライダーBLACKRX』
ゴルゴム壊滅から半年後…
今度は異次元からの侵略者、クライシス帝国が出現。
あなたは立ち向かおうとするが連中に変身機能を破壊されてしまい、
宇宙空間に放り出された。
けどその時、太陽のエネルギーを与えられて仮面ライダーBLACKRXとして復活。
RXの力を得たあなたはクライシス帝国との壮絶な戦いを繰り広げた。」


光太郎「驚いたな、地球の本棚はそこまで把握しているのか…」


フィリップ「その後は次々と現れる悪の組織を倒していく傍ら、
そんな組織に立ち向かうべく新しく誕生した後輩の仮面ライダーたちを導いている。」


光太郎のこれまでを語るフィリップ。

その過去について間違いはなかった。

(ナレーション:政宗一成)



光太郎「あぁ、どれも苦しい戦いだった。
だがその度に出会った新しい仲間と絆を深めて、俺は勝利を得る事ができた。」


フィリップ「仲間との絆か…僕には理解できない言葉だね。」


光太郎「そうとは思えないな。キミにも絆を深める事ができる相手が必ずいるはずさ。」


フィリップ「他人との絆ね。
そんなモノ…僕が築けるはずがない…何故なら僕は悪魔だからだ…」


光太郎「悪魔…?」


フィリップ「そうだ、僕は悪魔だ。
以前、僕は翔太郎に『悪魔と相乗りする勇気はあるか』と尋ねた。
何故その時、僕が自分の事を悪魔だと称したかわかるかい?」


光太郎「それは…どういう事だ?」


フィリップ「僕がかつて翔太郎に言った事を覚えているかな。
銃を作る工場の人間は犯罪者かと…?
その工場で働いている人たちは、
自分たちが人を傷つける武器を作っているという責任を自覚して銃を製造している。
だが僕はどうだ?
単なる好奇心でガイアメモリを作り続けていただけにしか過ぎない。
そこに何の責任も感じず…
そんな僕が人から悪魔と罵られても文句は言えないんだよ。」


自らを悪魔だと称する理由を明かすフィリップ。

それはダブルの変身についても…

(ナレーション:政宗一成)



フィリップ「だから今の僕たちは変身する事ができない。」


光太郎「それは翔太郎とフィリップの意思が合わないからでは…?」


フィリップ「確かにその通りさ。
だが問題なのは翔太郎の方じゃなく僕の方だ。
一番の原因はこの僕が変身する事を恐れているからだ…」


光太郎「何故そこまで変身に恐れを感じるんだ…?」


フィリップ「あなたにだけは話しておこう。
ビギンズナイトの時、確かに僕たちは一度ダブルに変身する事ができた。
その時、僕は自らの専用メモリであるファングメモリを使用した。
しかし慣れない力は使うべきではなかった。
あの時…僕は暴走した…あの凶暴な力を自分の意思で抑えられなかったんだ…」


光太郎「ダブルの力は扱いを間違えるとそこまで危険なのか…?」


フィリップ「そして僕は自覚した。
扱えない力など何の意味も持たない…ただの暴力と一緒だと…
それに今まで面白半分でガイアメモリを生み出していた罪も…
僕一人では背負う事が重すぎる罪だけどね…
こんな悪魔と罵られて当然な僕が、
師である鳴海荘吉を殺された左翔太郎と力を合わせて変身するなど…
所詮無理な話だったんだ。」


光太郎「重すぎる罪か…」


重すぎる罪。

そのフィリップの告白に光太郎もまた過去に起きた戦いによる自らの罪を告げようとした。

(ナレーション:政宗一成)



光太郎「フィリップ、キミに言っておこう。
キミが星の本棚で知ったように俺はかつてクライシス帝国と戦った。
だがその時、俺はクライシス皇帝に迫られ…
怪魔界にいるクライシス50億の民の命を犠牲にしなければならない選択を選んでしまった。
俺は今でも思う、あの時もっと他に方法があったんじゃないかと…」


フィリップ「50億の民…そんな大勢の人々が犠牲になるなんて…!?」


光太郎「いいか、フィリップ。
俺は、いや俺たちは…偶然とはいえ確かに強力な力を得てしまった。
だがそれは一歩間違えれば一方的に殺戮を行う冷酷な殺人マシンとなってしまう。」


フィリップ「冷酷な殺人マシン…」


光太郎「だが今のキミはダブルの力を危険なモノだと理解している。
それだけでキミはかつての自分とは大きくちがうはずだ。
それにフィリップ。
ダブルの力を危険だと恐れているのは同じく変身する、
翔太郎の事を気遣っているからじゃないのか?」


フィリップ「それは…この僕が他人を気遣うなんて…」


それはフィリップが無意識に取っていた行動であった。

だが歴戦の戦士である光太郎はそんなフィリップの心情すら見抜いていた。

(ナレーション:政宗一成)



光太郎「それは他人を思いやる優しさなんだ。
フィリップ、たった一歩でいい。少しだけ自分から他人に歩んでみろ。
そうする事できっと人は誰かと絆を深める事ができるはずさ。」


フィリップ「少しだけ…自分から…」


光太郎「それにしても翔太郎のヤツは遅いな…何をしているんだ?」


事務所に戻らない翔太郎の心配をする光太郎。

そんな時、事務所へ来客が…

(ナレーション:政宗一成)



クイーン「あ、光太郎さん!」


エリザベス「ちょっと大変なの!」


光太郎「クイーンちゃんにエリザベスちゃんか。また迷子のペット探しかい?」


クイーン「今日はそんなんじゃないって!」


エリザベス「さっきね、センター街で刃さんやマッキーが変なヤツらに捕まってたの!」


クイーン「他にも何人か捕まってその変なヤツらが風都採掘場の方へ行ったの!?」


光太郎「なんだって!わかった、すぐに行くよ!
フィリップ、俺はこれから出かけてくる。後は頼んだぞ!」


フィリップ「…」


そう言って光太郎は事務所を出ていった。

そして光太郎の言葉を聞いたフィリップの胸の内にある変化が起ころうとしていた。

(ナレーション:政宗一成)

とりあえずここまで

フィリップの罪はss独自の解釈ですので本気になさらず…



~風都採掘場~


翔太郎「へへっ、こんな採掘場でもバッタがいるんだな。ほらほら♪
あ~ぁ、それにしてもてっとり早く一人前になる方法はないもんかねぇ?」


翔太郎「そしたらおやっさんも俺の事見直して、
ハードボイルドな探偵らしい依頼を紹介してくれるんだろうなぁ…」


((ガサッ!))


翔太郎「うん?何だありゃ…?」


その頃、俺は愚痴りながら未だに採掘場をウロウロと彷徨っていた。

だがそんな時だった!

(ナレーション:左翔太郎)



刃野「痛っ!やめろって!?」


真倉「お願いだから乱暴しないで…」


マスカレイドH「おい、早くしろ!」


マスカレイドI「急がないと間に合わんぞ!」


翔太郎「あいつらは!?」


なんとそこで俺が目撃したのは、

刃さんやマッキー、それに風都の人々が、

マスカレイドたちによって強制的に働かされている姿だった!

(ナレーション:左翔太郎)



マスカレイドJ「この採掘場にはガイアメモリを製造するために必要なレアメタルがある!」


マスカレイドK「これまで何度も妨害を受けて製造日程が大幅に遅れている!
この遅れを急いで取り戻すために我々はお前たちを集めていたんだ!」


マスカレイドL「わかったらさっさと働け!
それと我々の動きを追ってた刑事ども!お前らもだ!!」


刃野「ご丁寧に解説ありがとうよ!」


真倉「わかりました!頑張って働きます!だから乱暴はしないで!?」


翔太郎「そういう事か…あいつらめ!この街を泣かすヤツはこの俺が許さねえ!!」


俺はみんなを助けようと急いで乗り込もうとしたんだが…

(ナレーション:左翔太郎)



((ドガッ!))


翔太郎「うわっ!?」


タブードーパント「バカな坊やね。お前如きが私たちに適うはずがないのに。」


翔太郎「お前は…あの時の…!?」


タブードーパント「いいからこちらの質問にだけ答えなさい。
お前が匿っている少年、彼の居所を教えなさい。そうすれば命だけは助けてあげるわ!」


翔太郎「冗談じゃねえ!お断りだ!」


タブードーパント「それなら別に構わないわ。
お前を使ってあの子をこの場所で誘き寄せればいいだけの話よ!」


俺はヘマをやらかしちまった。

再びあの女が目の前に現れて俺は捕まったんだ…

フィリップを捕獲するためにこの俺を人質に使う気だったらしい。

(ナレーション:左翔太郎)



「トゥァッ!」


タブードーパント「お前は…!」


翔太郎「黒い戦士!やっぱりおやっさんか!?」


そんな俺のピンチに颯爽と現れたのが黒の戦士だった。

俺はおやっさんが現れたものだと思い大喜びした。

けど…そうじゃなかった…

(ナレーション:左翔太郎)



RX「翔太郎、大丈夫か?」


翔太郎「そんな…スカル…じゃない…?アンタ一体誰だ!?」


RX「………そんな事は後だ!早く人々をここから避難させろ!」


タブードーパント「現れたわねRX!今日こそお前を倒してやるわ!」


RXはタブードーパントと戦っていた。

だが俺はRXから任された人々の避難なんてそっちのけで戦いを呆然と眺めていた。

一体何がどうなっているんだ?

おやっさんは何処へ行ったんだ…?

そんな疑問が頭の中で過ぎっていた…

(ナレーション:左翔太郎)



『何故、既に自分でもわかっている事を疑問に思うのだね?』


翔太郎「声が…一体誰だ!?」


『キミはもうわかっているはずだ。』


翔太郎「誰だ!姿を見せろ!」


『鳴海荘吉の死を間近で目撃したはず。それなのに何故、その死から目を背ける?』


翔太郎「ちがう!俺はおやっさんが死んだなんて信じちゃいねえ!
おやっさんはあんな事で死ぬはずがない…
今もどこかで生きていて影ながら風都を守っているんだ!そうに決まっている!!」


どこからか聞こえてくる謎の声を俺は必死に否定した。

あのおやっさんが死ぬはずなんてない。

今もどこかで生きていると頑なに信じていた。

だが…現実は非情だった…

(ナレーション:左翔太郎)



『それでは、これを見ても同じ事が言えるのかね?』


((ガシャンッ!))


翔太郎「こいつは…確かおやっさんが付けていたベルトにガイアメモリ!?」


『それは私の忠実な飼い猫が探し出したモノだ。
さて、これがここにある意味がわかるか?
鳴海荘吉は既に死んでいる。キミがこれまで追い求めていたのは幻だったのだよ!』


翔太郎「そんな…うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!???」


声の主が俺の目の前に投げつけたのは、

おやっさんのロストドライバーとスカルのガイアメモリだった。

その瞬間、俺の中にあった何かが弾けた…

(ナレーション:左翔太郎)



翔太郎「お前ら…よくもおやっさんを!」


RX「よせ、翔太郎!生身のお前では適うはずが…」


翔太郎「うるせえ!アンタもこいつらと同じだ!よくも俺を騙しやがって!!」


タブードーパント「ウフフ、仲間割れとは見苦しいわね。」


翔太郎「うおおおおおっ!!」


怒りに我を忘れた俺は無我夢中でドーパントたちに挑んだ。

(ナレーション:左翔太郎)



『お父さまに歯向かうなんて無礼なヤツ…チッ!』


『ミャ~!』


翔太郎「また声が…誰だ!?」


だが俺の耳元にまたもや妙な声が聞こえてきた!

そいつらの正体は…

(ナレーション:左翔太郎)



((CLAYDOLL!))


((SMILODON!))


クレイドールドーパント「チッ、ハァッ!」


スミロドンドーパント「シャァァァッ!」


翔太郎「うわぁぁぁぁぁ!?」


RX「翔太郎が…!こいつらも…ドーパントなのか…!?」


『そうだ、だが我らはただのドーパントではない!
我らは全てのドーパントを統べる偉大なる家族なのだ!!』


RX「家族…?」


突然現れた二体のドーパントたちによって俺は捕まった。

そしてもう一体、謎のドーパントが現れやがったんだ!

(ナレーション:左翔太郎)



((INJURY!))


インジャリードーパント「ガァァッ!私の名はインジャリードーパント!!」


RX「インジャリードーパントだと…?
その名の通り、全身傷だらけのドーパントじゃないか!?」


インジャリードーパント「RX、貴様はこの私が倒す!ハァッ!」


((ドシュッ!)) ((ズバッ!))


RX「ぐっ…!なんて強さだ!?」


タブードーパント「あのRXを鋭利な刃で傷つけたわ!」


突然現れたインジャリードーパントは強かった。

ヤツはRXの全身を満遍なく傷をつけた!

傷をつけられたRXは満足に動く事ができなかった…

(ナレーション:左翔太郎)



RX「こうなれば…一旦撤退するしか…」


クレイドールドーパント「待ちなさい、この男がどうなってもいいのかしら?」


翔太郎「うぅ…この…離しやがれ!?」


RX「しまった…翔太郎が人質に…!」


『フフフ、いかに歴戦の戦士であろうと戦いに素人の若造を連れているのではねぇ…
この未熟な若者がキミの弱点だったのだよ、RX!』


俺は先走ってドーパントたちにやられただけじゃなく人質にされてしまった…

そしてさっきから俺に語りかけていた声の主がその正体を明かした。

ヤツこそこの街を影で支配する男だったんだ!

(ナレーション:左翔太郎)



テラードーパント「我らは『ミュージアム』!この街を影で支配する秘密結社である!!」


RX「ミュージアム…それがお前たちの組織の名か!」


タブードーパント「今まで私たちはその存在を隠して活動してきた。
けどもうその必要はないの、何故なら…!」


インジャリードーパント「我らの邪魔者である仮面ライダー!
今日この場所で、お前を始末するからだ!ハァァァァァァッ!!」


RX「おのれ!こうなればパワー全開だ!」


今までその存在をひた隠しにしてきたミュージアムが堂々と名乗りを上げた。

RXもヤツらに対抗するためにパワー全開で戦おうとしたんだが…

(ナレーション:左翔太郎)



((ズシィィッ!))


RX「な…身体が鉛のように重たい…これはどういう事だ…!?」


インジャリードーパント「フハハハハ!これぞ私の能力だ!
私は自分がつけた相手の傷を操る能力を持っている。
インジャリー、つまりお前の全身につけられた『傷』は私の思うがままなのだよ!!」


テラードーパント「我ら家族の街を土足で踏みにじった仮面ライダーよ。
今こそ、その報いを受けるのだ!皆、仮面ライダーに攻撃を集中するのだ!!」


「「「ハァッ!!」」」



((ドッガァァァァァァン!!))



ミュージアムの幹部たちはRXへ集中攻撃を行った。

それと同時にRXは変身が解けてしまい地面に叩きつけられた。

そして俺はRXの正体を知る事になる…

(ナレーション:左翔太郎)



光太郎「うわぁぁぁぁ!?」


翔太郎「光太郎さん!?嘘だろ…光太郎さんが仮面ライダーだったのか…?」


光太郎「すまない…翔太郎…本当ならもっと早く俺の正体を言うべきだったのに…」


翔太郎「何でだよ!何でこんな俺を騙すような事を…!?」


テラードーパント「おやおや、騙すとは随分酷い事を言うねえ。」


翔太郎「なんだと!?」


テラードーパント「彼はこれまでキミのためを思って言えなかったのだよ。
もし黒の戦士の正体を知ればキミは鳴海荘吉の死が真実であったと絶望してしまう。
だからこそ真実を告げられなかった。全てはキミの心の弱さが原因なのだ。」


翔太郎「俺の…心の…弱さ…」


テラードーパントの言う事は全部本当だった。

確かに黒の戦士の正体を知れば俺は絶望するというのは間違っていなかった。

現にこうして自暴自棄になって敵に捕まっちまった…

光太郎さんに罪は無い。

悪いのは…俺が…いつまでたってもおやっさんの死を受け入れる事ができなかったからだ…

(ナレーション:左翔太郎)

とりあえずここまで

インジャリーのメモリは作者が勝手に作ったメモリではありません

Wの第1話で翔太郎が亜樹子にガイアメモリを説明するシーンで出てきています




インジャリードーパント「フハハハハ!無様だな南光太郎!
こうもあっさりやられてしまうとは、最強の仮面ライダーが聞いて呆れる!」


光太郎「お前…まるで俺に恨みでもあるみたいだが一体誰だ!?」


インジャリードーパント「そういえばまだ正体を明かしていなかったな。
よかろう、私の正体を知ればその理由がわかるだろう。」


インジャリードーパントは身体からガイアメモリを抜き取り変身を解除した。

その姿を見て光太郎はある男の名前を叫んでいた。

(ナレーション:政宗一成)



氷室「フフフ、南光太郎。私の顔に見覚えがあるはずだ!」


光太郎「お前…確か…氷室…!氷室巌!?
だが…お前はISS(Institute of Super Science)研究所の爆発で死んだはずじゃ…?」


氷室「フッ、だがこうして生きていたのだ!
それにお前たちが滅ぼしたはずの財団も密かに闇の社会で生き続けていた!」


光太郎「なんだって!?」


南光太郎vsシリーズの読者諸君!この男の事を覚えているだろうか?

かつて『南光太郎vs真・仮面ライダー』において密かに生きていた、

財団メンバーにして元ISSの氷室巌である!

あれから数年、生き延びた氷室はその手腕で財団を再建する事に成功した。

そして現在では…!

(ナレーション:政宗一成)



テラードーパント「財団は我らミュージアムの出資者になってくれたのだ。」


光太郎「なんだって!?」


氷室「…まだ検討中の段階だがな。
さて、南光太郎よ。お前の運命も最早これまでだ!
私が味わった死の苦しみをお前にも味あわせてやるぞ!!」


光太郎「くっ…!」


光太郎に止めを刺すべく再びインジャリーメモリーでドーパントに変化しようとする氷室。

だが…!

(ナレーション:政宗一成)



テラードーパント「これより仮面ライダーBLACKRXの力をガイアメモリに封印する!」


光太郎「なんだと!?」


タブードーパント「お父さまの仰せのままに!」


クレイドールドーパント「ハァッ!」


スミロドンドーパント「ガルゥゥッ!」


((ヴァァァァァァッ!))


光太郎「うわぁぁぁぁ!」


翔太郎「おい…何をする気だ!やめろ…やめろ!?」


ミュージアムの幹部たちが力を結集させて光太郎さんをガイアメモリに封印しようとした。

だが…俺は何もできずに呆然と眺める事しかできなかった。

(ナレーション:左翔太郎)



翔太郎「あぁ…すまねえ…光太郎さん…
俺が…ちゃんとおやっさんの死を受け入れていればこんな事には…」


光太郎「いや…俺にも責任がある…
最初にちゃんと…俺は自分の正体を言うべきだったんだ…
その結果がお前を苦しませる事になるなんて…すまなかったな…」


翔太郎「そんな…光太郎さん!」


光太郎「最後に…渡しておきたいモノがある…これだ…」


光太郎さんは最後の力を振り絞って俺にあるモノを託してくれた。

それは俺が光太郎さんに預けたはずのベルトだった…

(ナレーション:左翔太郎)



翔太郎「これは…ベルト!」


光太郎「そうだ…荘吉さんや…俺が倒れた今…
この街の平和を守れるのは…お前しかいないんだ…翔太郎…!」


翔太郎「無理だよ…光太郎さん…
このベルトで変身できたのは最初の1回だけ…あとは全然ダメだったんだ…」


光太郎「いいや、今のお前なら…
いや…お前たちならできる!お前たちならダブルになれると俺はそう信じている!!」


光太郎さんはこんな俺の事を信じてくれた。

一時は疑いの目を向けてしまったこんな俺を…

(ナレーション:左翔太郎)



クレイドールドーパント「フフ、そのベルトが何だと言うの?」


タブードーパント「こんな虫けらに後を託すしかないなんて敵ながら同情するわ。」


光太郎「そうかな…お前たちは…見誤っている!
この左翔太郎は…これでも…あの鳴海荘吉のたった一人の弟子なんだぜ…
誰が…なんと言おうと…俺は信じているぞ翔太郎…お前たちがこの街を救うとな…」


翔太郎「けど…光太郎さん…俺はまだ一人じゃ…」


光太郎「だったら…これは俺からお前たちへの最初の依頼だ!」


翔太郎「依頼…?」


光太郎「そうだ…この街を守ってくれ!
それがお前たちの最初の依頼主である俺からの依頼だ…!」


テラードーパント「話は終わったようだね。仮面ライダーBLACKRX!封印する!!」


光太郎「翔太郎…あとは…頼んだ…ぞ…」


翔太郎「光太郎さぁぁぁぁぁぁぁん!!??」


((シュィィィィン!))


こうして俺の目の前で光太郎さんはガイアメモリに封印された。

そして光太郎さんの居た場所には、

ひとつは『B』、もうひとつは『R』と書かれた二つのガイアメモリが置いてあった…

(ナレーション:左翔太郎)



テラードーパント「これで我らミュージアムを脅かす仮面ライダーは倒された。
娘たちよ、捕らえた人間たちを別の場所に移動させよ。計画を次の段階に移行させる。」


クレイドールドーパント「わかりましたわ、お父さま。ほら、歩きなさい!」


スミロドンドーパント「シャァァッ!」


刃野「痛っ!」


真倉「お願いだから暴力はやめて!」


タブードーパント「お父さま、この探偵気取りの虫けらはどうしますか?」


テラードーパント「彼はここに置いていい。個人的に聞きたい事があってね。」


俺が嘆いている間に刃さんたちは別の場所へ移動された。

残った俺は殺されるのかと覚悟したその時だった…

(ナレーション:左翔太郎)



氷室「どういうつもりだ!?」


テラードーパント「何か不満でもあるのかね?
計画通り仮面ライダーは始末した。問題など何も無いはずだが?」


氷室「私は仮面ライダーを抹殺したかった!
なのにキサマらミュージアムはヤツをガイアメモリに封じただけとは…
今すぐそのメモリを壊してヤツを始末しろ!」


翔太郎「仲間割れか…?」


どうやら仲間割れが起きたらしい。

氷室という男がテラードーパントへ文句をつけていた。

だがそこへ仲裁に入るかのように二人の男女が現れた。

(ナレーション:左翔太郎)



ネオン「氷室局長、これ以上くだらない諍いはお止めください。」


加頭「ミュージアムに仮面ライダーの封印をお願いしたのは私たちです。」


氷室「お前たちは…ネオン・ウルスランド副局長!それにエージェントの加頭順!?」


ネオン「RXは最強の仮面ライダーです。
始末するよりもその力を解明すれば大きな戦力にはずですが?」


加頭「氷室局長に対するRXへの感情はまるで憎悪というより恐怖ですね。
過去に何があったのですか?」


氷室「黙れ!お前たちはRXの恐ろしさを知らないからそんな事が…
うん?この虫けらめ!何を見ている!?この!!」


運悪く俺はヤツと目が合ってしまった。

氷室は俺の事を蹴飛ばそうとしたんだが…

(ナレーション:左翔太郎)



((ピタッ!))


氷室「ひっ…こ…これは!?」


翔太郎「こいつは…バッタだ!
さっきこの辺をウロウロしてた時に俺の服にくっついたのか?」


氷室「もういい、とにかく私も先にあの場所へ向かう!
それと仮面ライダーを封じたメモリはこの私が預かっておく!」


加頭「氷室局長…私たちの事を嫌っているのでしょうか?私、ショックです。」


ネオン「無理もないわ。
当初彼はミュージアムではなく不死身の傭兵集団『NEVER』に出資する腹積もりだった。
けど、組織内でミュージアムへの出資の意見が多かったから彼の意見は却下された。」


加頭「なるほど、私たちもその時反対派でしたから彼の機嫌が悪いのは当然…
さて、要件は済んだし退散しましょう。」


翔太郎「今のヤツら…一体誰だったんだ?
クソッ、ボコボコにやられたから意識がぼんやりしてきやがった…」


こうして氷室たちはいなくなった。

残った俺はテラードーパントと二人きりの状況になったわけだが…

(ナレーション:左翔太郎)



テラードーパント「さて、これでようやく二人きりになれたね。左翔太郎くん。」


翔太郎「お前…何で俺の事を?それにどうしておやっさんの事も知っていた!?」


テラードーパント「それはかつて私が鳴海荘吉の変身するスカルと何度も戦ったからだ。
こうしてキミと二人きりになりたかったのは鳴海荘吉が遺した弟子のキミを試したいからだよ。」


翔太郎「試したいだって…?」


テラードーパント「その通り、私はキミの大事な者たちを二度も手に掛けた!
さぁ、私が憎いだろう!私を倒さなければならない理由ができただろう!
どうする?キミはこれからどうする気だね?」


翔太郎「俺は…俺は…!」


テラードーパント「ほぅ、それは先ほど南光太郎がキミに遺したベルトだね。
それで鳴海荘吉みたく変身するのかね?
いいぞ!さぁ、変身したまえ!そして私と戦うのだ!!」


そうだ、ヤツの言う通り俺は戦わなきゃいけない!

ミュージアムは俺からおやっさんや光太郎さんを奪った敵だ!

今こそ変身して戦う時だった!

…だが…俺は…

(ナレーション:左翔太郎)



翔太郎「う…あ…あぁ…何で震えが止まらないんだよ…!?」


テラードーパント「何をしている?私はキミの敵だぞ!以前、こう言ったはずだ!
男にはある日、突然何の前触れもなく一人前になるきっかけが起こると!
キミにとっては今がその時ではないのかね?」


翔太郎「うるせえ!お前なんかに言われなくたって…
けど…何だよ…この恐怖心は…?こんな恐怖は…今まで感じた事が…ねえよ…!?」


テラードーパント「所詮はその程度か…
鳴海荘吉やあの仮面ライダーが育てた男だと思って興味があったのだが…
とんだ見込み違いだったよ。
どうやらキミは立ち上がる事ができない男だったようだ。」


そんな捨て台詞を残してヤツはその場を去った。

あとでわかった事だが、

テラードーパントはその名の通り、相手に絶対的な恐怖を植え付ける能力があった。

ヤツが生み出す恐怖の前に俺は立ち向かうどころか立つ事すらできなかったんだ…

それからヤツと入れ替わりで一人の女が倒れている俺の前に現れた。

(ナレーション:左翔太郎)



シュラウド「やはり…左翔太郎ではテラーには対抗する事ができなかったわね。」


翔太郎「今度は…誰だ…?」


シュラウド「このダブルドライバーは回収させてもらうわ。
このベルトが使えない以上、最早あなたが持っていても何の意味もないでしょう。」


翔太郎「やめろ…そいつに触るな…」


シュラウド「この男…まだ動けるの?」


翔太郎「それは…光太郎さんが…俺を信じて遺してくれたベルトだ…渡しはしねえ!」


シュラウド「…」


その時の俺は薄れゆく意識の中、最後の力を振り絞ってベルトだけは守った。

それからシュラウドは何を思ったのか何も言わずに立ち去った。

そして俺は気を失った…

(ナレーション:左翔太郎)

とりあえずここまで

氷室巌って誰だと思った方は詳しくはこちらをお読みください

南光太郎vs真・仮面ライダー
南光太郎vs真・仮面ライダー - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1407240535/)

一応話が繋がっているという事で理解してくれれば幸いです






~鳴海探偵事務所~


フィリップ「あれから翔太郎どころか光太郎さんも帰ってこない。何かあったに違いない。」


((ガ…ガガ…))


フィリップ「どうしたんだ、ラジオの音声が乱れているぞ?
確かこの時間だと『園咲若菜のヒーリングプリンセス』が流れているはずだが…」


その頃、鳴海探偵事務所では俺たちの帰りを待つフィリップの姿があった。

だが、ラジオから突然奇妙な音声が流れてきたんだ!

(ナレーション:左翔太郎)



『風都の諸君、聞こえるかな?』


フィリップ「これは…まさか…電波ジャック?」


『我らはミュージアム、この街を裏で支配する者たちである!』


フィリップ「間違いない!ミュージアムによる宣戦布告だ!?
つまりいよいよ組織が本格的に動き出そうとしているんだ!!
だが何故こんなに堂々とやる必要が…?」


ラジオから流れてきたのはミュージアムによる風都の人々への宣戦布告だった。

だがそれだけじゃない。

このラジオの放送にはさらに大きな意味があったんだ!

(ナレーション:左翔太郎)



『この放送を聞いている風都の人々よ。』


『既に諸君は我々の力を目にしているはずだ!』


『それを踏まえて尋ねたい事がある。』


『諸君はこの力が欲しくはないか?』


『既に理解したはずだ。
この力を与えられた者はどんな実現不可能な困難も圧倒的な力で可能にできる事を!』


フィリップ「そうか!この宣戦布告の真の狙いは人々へのガイアメモリの流通だ!?
しかしこのタイミングでこんな真似をするという事はまさか…」


この時、連中の宣言を聴いていたフィリップに嫌な胸騒ぎが過ぎった。

そしてそれが現実のモノとなった…

(ナレーション:左翔太郎)



『諸君も噂で聞いたであろう、この街を人知れず守っている仮面の戦士。』


『その仮面ライダーと名乗る戦士は我々ミュージアムによって既に倒された。』


『最早何の妨げもない。』


『ガイアメモリを求めし者たちよ!』


『今こそ欲しろ!』


『そうすれば我らの使いが諸君らにガイアメモリを与えよう!』


『我らはミュージアム!このガイアメモリを欲する、全ての者たちに力を授けるぞ!!』


フィリップ「そんな…RXが倒されただって…?
それじゃあ…今この街を守る者は…誰もいないという事じゃないか!
まずいぞ!これでは風街の人々にガイアメモリが出回ってしまう!?」


仮面ライダーが倒された。

連中は自分たちの力を示すためにラジオで宣言した。

その放送を聴いた者たちは、ある者は悲しみ…そしてある者は喜びに興じた…

そして風都の人々にもある変化が起きた。

(ナレーション:左翔太郎)



『俺を…』

『私たちをクビにしたウインドスケールに復讐したい!』


『ギャンブルだ!イカサマだ!
バカでクズな客どもから有り金を全部せしめてやるんだ!!』


『僕の土地に手を出すヤツを消してやりたい!』


『力があれば街の害虫を駆除する事ができるんだ!』


『私は…味覚の化身になってみせる!』


『私の心には、憎しみしか残っていない!』


霧彦「フフ、いいでしょう。
あなた方の願いは全てこのガイアメモリが叶えてくれます!
さぁ、このメモリを手にしなさい。そうすれば全てが思うがままだ!!」


この日、ミュージアムの闇のセールスマンたちが、

街の往来でガイアメモリを人々に売り捌いていた。

その中でも史上最高の販売成績を上げた須藤霧彦。

ヤツはこの時の功績が認められて後日、園咲家の正式な婿となった。

その一見華やかに見える選択が、後に自分を死へと導く運命になるとも知らずにな…

(ナレーション:左翔太郎)




「「ぎゃぁぁぁぁっ!?」」



「「助けてぇぇぇぇ!?」」



「「今まで俺たちを守ってくれた仮面の戦士はもういないんだ…」」



「「風都はもうお終いよ!?」」



こうしてミュージアムの闇のセールスマンたちによって風都にガイアメモリが出回った。

それと同時にドーパントに変化した連中が暴れ出して、

風街に住む人々の心を恐怖と絶望が支配した。

全ては俺の所為だ。

俺がもっと早くおやっさんの死を受け入れてればこんな事には…

    
           ―――俺は…この街を泣かせちまった…


(ナレーション:左翔太郎)

とりあえずここまで

街にガイアメモリが出回り絶望的な状況となりました



<2015年2月>


~風都採掘場~


翔太郎「とりあえず一旦ここまでだ。」


フィリップ「今にして思えば、
僕たちがもっとしっかりしていればいくらでも対策があった。なのに…」


照井「なるほど、風都にガイアメモリが流通したのにはそんな経緯があったからか。」


亜樹子「あの…ところで…
さっきから翔太郎くんに代わってナレーションしている…
この渋い声の政宗一成っておじさんは一体誰!?」


さて、一旦回想は中断して俺たちは今までの事を振り返っていた。

だが今更後悔しても何も始まりはしない。

これは既に過ぎ去った過去の回想なんだからな…

(ナレーション:左翔太郎)



照井「しかしこんな絶望的な状況で、
お前たちはどうやってミュージアムに立ち向かう事ができたんだ?」


フィリップ「それは…ここから逆転劇が始まったからさ。」


翔太郎「そうだ、男はタフでなければ生きていけないってな!
あのフィリップ・マーロウの言っていた言葉だぜ!」


照井「逆転劇だと…?」


亜樹子「だから政宗一成って誰!?私聞いてない!!??」


翔太郎「うるせえぞ!亜樹子!今から続きを話してやるから黙って聞いてろ!!」


やたらと騒ぐ亜樹子を黙らせて俺はもう一度過去の話を続ける事に…

あの後、俺は傷だらけの身体を引き摺りながらなんとか事務所まで帰ってこれた。

だが、その時の俺の心と身体はボロボロだった…

(ナレーション:左翔太郎)

とりあえずここまで

亜樹子の発言は無視して話を進めます



<再び2009年>


~鳴海探偵事務所~


フィリップ「お帰り…」


翔太郎「…」


フィリップ「その顔…言わなくてもわかる。組織にやられたんだね。」


翔太郎「……」


フィリップ「肝心の光太郎さんも連中に捕らえられたというところか。」


翔太郎「………」


フィリップ「一応伝えておくが多くのガイアメモリが街に流れた。
今もミュージアムの闇のセールスマンたちがガイアメモリを人々に配っているはずだ。」


翔太郎「…………」


フィリップの言葉は俺の耳から風のように流れていった。

正直この時、フィリップが何を言ってたかなんてろくに覚えちゃいなかったよ。

俺は光太郎さんを失い、敵の親玉を目の前にしながら怯えていただけだったからな…

(ナレーション:左翔太郎)



フィリップ「南光太郎が仮面ライダーだった事がそんなにショックだったのかい?」


翔太郎「お前も光太郎さんの正体に気がついていたのか…?」


フィリップ「あぁ、彼がこの街にやってきたその日に仮面ライダーも現れた。
星の本棚を使わなくてもこの程度の事は単純に推理すればその正体にすぐ気づけるよ。」


翔太郎「ハハ、その程度の事も推察できないだなんて俺は探偵としては失格だな…」


フィリップ「…」


あの時の俺はフィリップの軽い嫌味すら今の俺には受け流す事もできずにいた。

光太郎さんがいなくなり、

街にガイアメモリが流出するという最悪のこの状況では行動を起こす気力も出なかった…

だがそんな時、ラジオから再び奇妙な音声が流れてきたんだ!

(ナレーション:左翔太郎)



『風都の者たちよ、聞こえるか?』


翔太郎「ラジオから声が…?」


フィリップ「これはさっきの宣戦布告した声の主とは違うぞ!一体誰だ!?」


翔太郎「この声…こいつは確か…間違いない!
仮面ライダー…いや!光太郎さんを傷つけた氷室とかいう男の声だ!?」


『先程の放送で確かにこの街にガイアメモリが流出された。』


『だが未だに、
この街の者たち全員が我々のガイアメモリを手にしていないという結果なのが残念だ…』


『どうやらまだデモンストレーションが足りないのだろう。』


『そこで私は思い付いた!』


翔太郎「この野郎…何を言ってやがる!?」


フィリップ「まさか…この男…」


再びミュージアムがラジオを電波ジャックしてきた。

その放送を聞いた俺とフィリップの嫌な胸騒ぎが的中する事に…

(ナレーション:左翔太郎)



『これより私たちは捕らえられていた者たちを強制的にドーパント化させる!』


『そしてドーパントと化した者たちを率いて…』


『この風都の街をドーパントが支配する街にしてあげよう!!』


『これより1時間後、私たちの配下になったこの者たちが、
諸君にガイアメモリをお届けに現れるだろう。その時まで楽しみに待っていてほしい!』


翔太郎「なんだと!?」


フィリップ「なるほど、最悪な展開だ…」


それっきりヤツからの連絡は途絶えた。

捕らえられた人間たち、恐らく先ほどの採掘場にいた刃さんたちの事だろう。

彼らを無理やりドーパントにして操りこの街を支配する気なんだ。

この放送を聴いた俺は居てもたってもいられなくなった…!

(ナレーション:左翔太郎)



翔太郎「これ以上ヤツらの勝手にさせてたまるか!」


フィリップ「待ちたまえ。一体どこへ行く気だ?
相手はラジオの音声のみで一方的に連絡してきている。ヤツの居所がわからないだろ。」


翔太郎「そんなのしらみ潰しに探せばいいだろ!
こうしている間にも刃さんたちが危険な目に遭っているかもしれないんだぞ!」


フィリップ「ならば僕を使いたまえ!」


翔太郎「お前…何を言って…?」


フィリップ「以前にも言ったが連中は今も僕の事を血眼になって探している。
この僕をヤツらに売れば人質を開放してもらえるかもしれない。」


フィリップの意見に俺は思わず驚きを隠せずにいたが…

だが俺はそんなフィリップの提案を受け入れる事はできなかった。

(ナレーション:左翔太郎)



翔太郎「悪いがそいつはダメだ。」


フィリップ「何故だ、一刻を争う事態なんだろ?
僕が行けばヤツらも取引に応じてくれる可能性が…」


翔太郎「おやっさんが言ってたぜ。
何があろうと誰かを売るような真似は絶対にするなってな。
それに…お前とは色んな経緯が合ったとはいえこの数ヵ月一緒に生活してきた仲だ。
もう俺は…これ以上目の前で大切な人がいなくなるのを見たくはないんだ…!」


フィリップ「翔太郎…」


それが俺の本心だった。

けどその言葉を聞いたフィリップはある行動に出たんだ。

(ナレーション:左翔太郎)



~地下ガレージ~


翔太郎「おい、こんな時にいきなり地下ガレージに来いとか一体どうしたんだよ!
ここは俺だって今までおやっさんから立ち入り禁止だって言われてた場所なんだぞ!?」


フィリップ「ここなら心が落ち着けるんだよ。
それと、さっきのキミの言葉を聞いて少し力を貸してあげたくなった。」


翔太郎「あん?お前こんな時に何言って…?」


フィリップ「今から僕は星の本棚に入る。そこでヤツの…
氷室という男の正体とヤツらが今いる場所を突き止めてやるんだ!」


翔太郎「本当か!?」


単なる気まぐれかそれとも何かを決意したのか、

フィリップは星の本棚に入りヤツの事を探ろうとした。

(ナレーション:左翔太郎)



フィリップ「ダメだ。検索事項が多すぎる。これでは探すのに時間が掛かってしまう…」


翔太郎「おいおい…時間がないんだぞ!
何かもっとてっとり早く探せる方法はないのかよ!?」


フィリップ「それなら何かキーワードを教えてくれないか?」


翔太郎「キーワード?」


フィリップ「キミはヤツらと直接交えたはず。
それなら何か重要な情報、その断片だけでも得ているはずだ。
それを僕に伝えてほしい。」


フィリップの言う通り星の本棚も万能じゃない。

俺はヤツらの会話の中から得たキーワードを一通りフィリップに伝えた。

『テラー』 『タブー』 『クレイドール』 『スミロドン』 『ミュージアム』

だがどれもヒットしなかった…

(ナレーション:左翔太郎)



フィリップ「ダメだ。全然違う。
それに今のキーワードは全部閲覧不可になっている。
恐らく組織が僕に重要な情報を与えないように遮断しているのだろう。」


翔太郎「クソッ!打つ手無しか…
待て、焦るな。もう一度よく思い出せ!あいつらが言っていた事を…」


翔太郎「そうだ、光太郎さんがあいつの名前を言っていた。
検索キーワードを追加、『INJURY』、それに『氷室巌』だ!」


フィリップ「『INJURY』、それに『氷室巌』、出てきたぞ!」


どうやらキーワードがヒットしたようだ。

星の本棚からヤツに関する情報が出てきた。

(ナレーション:左翔太郎)



フィリップ「ヤツの事は『真・仮面ライダー序章』という本に載っていた。
その本にはこう書かれている。
『氷室巌』、元ISS研究所の所長にしてその正体は財団メンバー。
ISS研究所で氷室は人間を改造手術した改造兵士の研究を行っていたようだ。
だが彼は過去に…風祭真という男に惨殺されている。
それも全身を傷だらけにされてね。
どうやら氷室はこの風祭真とやらに余程恨まれていたらしいね…」


翔太郎「全身を…だからヤツは傷らだけだったのか!
けど…殺された氷室が何で生きていたんだ?」


フィリップ「氷室は人間ではなかった。
ヤツもまた改造兵士であったようでその後、裏社会で財団を再建させたようだ。」


翔太郎「氷室は人間なかったのか…
そんな得体の知れないヤツが風都を支配するのか!?」


氷室の正体を知り俺は改めてヤツへの怒りに燃えた。

だがそれでもまだ肝心の居場所がわからなかった。

(ナレーション:左翔太郎)



翔太郎「それでヤツの居場所は?」


フィリップ「それがどうも出てこないんだ。キーワードがまだ足りないな。」


翔太郎「クソッ!一体どうしたら…
待てよ、ヤツらは採掘場でガイアメモリに使うレアメタルの採掘を行っていたな。」


フィリップ「なるほど、それなら次にヤツらが向かう先はあそこしかない。」


翔太郎「あそこ?」


フィリップ「材料を手に入れたら次にどうするか、製造しなきゃいけないだろ?」


翔太郎「製造…じゃあ…つまりヤツらは工場か!?」


フィリップ「だがどこの工場かわからない。もう少し何か手がかりがあれば…」


翔太郎「手がかりって他にはもう何も…
クソッ!急がなきゃ刃さんたちの命が!待てよ…刃さん…?」


その時、俺は唐突にある事を思い出していた。

そう、以前刃さんと口論になった事を…!

(ナレーション:左翔太郎)



翔太郎「わかったぜ、ヤツらの居所が!」


フィリップ「しかし乗り込んでどうする気だい?今のキミでは…」


翔太郎「確かに…今の俺じゃまともに戦う事はできないかもしれない…
だが俺は…光太郎さんに依頼されたんだ。この街を守れとな!
あの人は命を賭して俺を助けてくれた!
なら俺だって…一度ボコボコにやられたくらいで落ち込んでる場合じゃない!
ここで立ち上がらなきゃ男じゃねえ!!」


フィリップ「ここで立ち上がらなければ…か…」


翔太郎「そうだ、お前に渡しておきたいモノがある。これだ!」


フィリップ「これは…ダブルドライバー?何故これを僕に渡すんだ?」


翔太郎「残念だが俺とお前じゃ変身できなかった。
だが他のヤツとならもしかしたら変身できるかもしれないだろ。
お前は今すぐこの街を離れて俺の他に変身してくれるヤツを見つけ出してくれ。
そしていつの日かミュージアムを倒すんだ…頼んだぜフィリップ!」


フィリップ「キミ…僕の名前を…」


フィリップにベルトを託して俺は事務所を出て行った。

決戦の場所へ赴くために…

だがその前に…ちょっと格好を整えたくてね。

あのビギンズナイトの時、おやっさんは最期の瞬間、俺にこう言ってくれた。


『帽子の似合う男になれ…』


最後くらいカッコつけてもいいよな…おやっさん…!

(ナレーション:左翔太郎)

とりあえずここまで

ヒーローはボロボロに負けてからが本番です



~ガイアメモリ製造工場~


刃野「クソッ!離しやがれ!」


真倉「お願いだから俺だけは助けて~!」


氷室「黙れ、お前たちは刑事だ。
自分たちが市民に代わって犠牲になるのは警察官にとっては名誉な事じゃないのか?」


その頃、このガイアメモリ製造工場では氷室が陣頭指揮を執りながら、

捕らえられた人々に無理やりドーパント化させよとしていた。

(ナレーション:左翔太郎)



タブードーパント「まったく…
出資者とはいえ部外者にこうまで勝手にやられるのは正直不愉快だわ。」


クレイドールドーパント「そんな事よりお姉さま!
この街の連中に宣戦布告するために電波ジャックするのに何故私の番組を潰したの!?
電波ジャックするのならTVでもインターネットでもなんでもよかったじゃないの!
私への嫌がらせには限度というものがあるわよ!!」


タブードーパント「本当にバカな子ねぇ…
悔しいけどアンタの番組は風都市民の大半が聴いている。
中途半端な番組を電波ジャックするよりもその方が効果は抜群に決まってるじゃない。」


クレイドールドーパント「なるほど…私の番組が人気があるから…」


タブードーパント(本当はただの嫌がらせだけどね…)


そんな園咲姉妹が口論していた最中だ。


((ガコンッ!))


工場の正面扉が開いた。

その扉の前にはひとりの男が立っていた…

(ナレーション:左翔太郎)



―「待て…!」


氷室「むっ!誰だ!?」


クレイドールドーパント「帽子の男が正面扉を開けてやってきたわ!」


タブードーパント「あの帽子は…まさか!?」


刃野「あのソフト帽は…間違いねえ!
この街であんな帽子被ってるのは荘吉さんしかいねえ!!」


そこに現れた帽子を被った一人の男。

だがその男の正体は…

(ナレーション:左翔太郎)



翔太郎「悪いな刃さん、来たのはおやっさんじゃなく俺さ!」


刃野「しょ…翔太郎!?」


真倉「なんだよ…見習いかよ…」


クレイドールドーパント「この男…まだ懲りてなかったのね!」


タブードーパント「けど何故この場所がわかったの?」


氷室「我々は音声でのみしか連絡を伝えてないはず。手掛かりなどなかったはずだぞ!」


手掛かりなんてなかっただって?

とんでもない、手掛かりは最初からあったのさ。

それも意外な人物が残してくれた大きな手掛かりがな!

(ナレーション:左翔太郎)



翔太郎「ここを突き止める事ができたのは刃さんのおかげだよ。」


刃野「俺の…?けど俺が何を…?」


翔太郎「以前、刃さんは俺にこう言っただろう。
『ディガル・コーポレーションって会社が新しい工場で作業員を募集してるから出稼ぎに行け』ってさ。」


刃野「そういえばそんな事を言ったような…」


翔太郎「確かにその通りだった。
この風都で今一番人員を集めているのはディガル・コーポレーションの新設工場だけだ。
つまりガイアメモリの製造工場はここしか考えられないってわけだ!」


クレイドールドーパント「チッ!お姉さまのヘマで場所が判明してしまったのね!」


タブードーパント「うるさいわね!
アンタはお父さまから甘やかされてるからそんな事が言えるのよ!?
私がお父さまの要望に応えるのにどれだけ苦労してるのかアンタにわかる!!」


氷室「黙らんか!出資者の前で姉妹喧嘩している場合か!
探偵、確かにこの場所を突き止めたのは見事であった。
しかし、今のお前に何ができると言うのだ?」


翔太郎「…」


ヤツの言う通りだ。

今の俺はまともにドーパントと戦うのは無理だ。

だが…!

(ナレーション:左翔太郎)



翔太郎「確かに今の俺はまともにお前らドーパントとは戦えない!
だがなぁ…捕らわれている風都の人たちを助ける事くらいはできるぜ!」


氷室「ふざけるな!お前如きにそこまで勝手な真似ができるはずがない!」


タブードーパント「その通りよ、虫けらが調子に乗らないで!」


クレイドールドーパント「覚悟しなさい!お父さまの邪魔はさせないわ!」


全員が一斉になって俺に襲いかかってきた!

それでもここでビビって立ち止まるわけにはいかない!

俺はたった一人で捕らわれている人たちを助けようとした。

けど…捕らわれた人たちを助けに来たのは俺だけじゃなかったんだ…!

(ナレーション:左翔太郎)




((ブォォォォンッ!))



クレイドールドーパント「キャァッ!?」


氷室「突然巨大な車が現れたぞ!」


((ブワァァァァッ!))


タブードーパント「今度は車から物凄い排気ガスが!」


刃野「ゲホッ!ゲホッ!」


真倉「煙が!これじゃ前が見えない!」


翔太郎「この車は…一体…?」


突然、黒い車が現れて俺のピンチを救ってくれた。

だが誰がこのピンチを救ってくれたのか俺にはわからなかった。

おやっさんが死に光太郎さんが倒れたこの状況で俺を助けに来てくれるヤツなんて、

いやしないと思っていたのに…

(ナレーション:左翔太郎)



フィリップ「これは高速移送装甲車の『リボルギャリー』さ。
かつて鳴海荘吉がスカルとして戦っていた時に使用していた『スカルギャリー』を、
僕が地下ガレージで改造したモノだ。」


翔太郎「フィリップ!お前…何でここに?ベルトを持って街を離れろって言っただろ!?」


フィリップ「悪いが、僕はキミから離れる気はないよ。
僕も…フィリップという名を呼んでくれる人間がこれ以上いなくなるのは嫌だから…
それに昔から言うだろう、悪魔は一度見初めた相手を決して離さないって!」


翔太郎「けど…俺とお前じゃ…」


フィリップ「僕を信じてくれ翔太郎。
今の僕とキミならダブルに変身する事ができる。
翔太郎、僕が踏み出せる一歩はここまでだ。あとはキミ次第だ。」


俺の忠告を無視して、

フィリップは作ったばかりのリボルギャリーでこのピンチに駆けつけてくれたんだ!

フィリップは恐らくこの時、初めて自分から他人に一歩だけ近づいたんだと思う。

こいつが初めて俺に見せた本音だ。

ここで断ったらハードボイルドな男が廃るってモンだろ?

(ナレーション:左翔太郎)



翔太郎「いいのか?ここで死ぬかもしれないんだぜ?」


フィリップ「構わないさ、最初にキミを戦いへ誘ったのはこの僕だ。
翔太郎、また聞く事になったけど…悪魔と相乗りする勇気はあるかな?」


翔太郎「当然だろ!俺はお前の…『相棒』……だからな!!」


フィリップ「相棒か…さぁ、翔太郎。このダブルドライバーを装着するんだ!」


そして俺はフィリップの言った通りにダブルドライバーを装着した。

するとどうだろうか?

今まで仲違いばかりしていた俺たちの意思が互いに共有できるようになったんだ!

(ナレーション:左翔太郎)



翔太郎「感じる、俺は今…フィリップと意識が共有しているのがわかるぞ!」


フィリップ「今こそ変身の時だ、メモリを装填するよ!」



((CYCLONE!\/JOKER!))



翔太郎&フィリップ「「変身!!」」



((ビュォォォォォッ!))



ダブルドライバーに俺たちのサイクロンとジョーカーのメモリを装填した。

それと同時に風都の心地よい風が俺の身体を優しく包み込んだ!

そして次の瞬間、そこに俺の姿はなかった。

代わりに一人の異形の戦士がいた!

全身が緑と黒の二色に風都の風をなびかせるマフラーを身につけたその姿…

それはかつて俺たちがビギンズナイトの時に一度だけ変身に成功した、

あの戦士の姿だった!

(ナレーション:左翔太郎)



刃野「ゲホッ!ゲホッ!ようやくガスが晴れてきたか…」


真倉「刃野さん!あそこ見てください!仮面を被った半分緑で黒な変なヤツがいますよ!」


氷室「あの男は一体何者だ!?」


タブードーパント「あいつは…まさかダブル!」


クレイドールドーパント「それじゃあ…あいつはダブルドーパント!?」


ガスが晴れたと同時に全員が変身した俺たちの姿に注目した。

しかし…ダブルドーパントはねえよなぁ…

(ナレーション:左翔太郎)



真倉「あれって…ひょっとして今風都で噂になっている仮面の戦士じゃ…?」


刃野「それじゃあ…あれが仮面ライダーなのか!?」


翔太郎(俺たちが光太郎さんと同じ…仮面ライダー?)


フィリップ(いいんじゃないかな。
僕たちは鳴海荘吉や光太郎さんからこの街の平和を託された。
今の僕たちなら仮面ライダーを名乗る資格が十分にあるはずだ!)


翔太郎(なら決まったな、この姿での俺たちの名前が!)


奇しくも刃さんの口から出た『仮面ライダー』。

少し気が引けるが…まあ…今の俺たちの姿にはピッタリだったんだよな。

だから俺たちもさっき宣戦布告したミュージアムの連中と同じく派手に名乗りを上げた!

(ナレーション:左翔太郎)




ダブルCJ「「そうだ!」」



ダブルCJ「「俺たちは!」」



ダブルCJ「「二人で一人の!」」



ダブルCJ「「仮面ライダーだ!!」」



氷室「貴様が…新しい仮面ライダーだと!?」


ダブルCJ「そうだ、ミュージアムがこの街の平和を乱すなら…
俺たち仮面ライダーWがこの風都の平和を守る!
この街を泣かすヤツは絶対に許さねえ!!」


決まった…

『仮面ライダーW』

この時こそ、俺たちが初めて仮面ライダーと名乗った瞬間だった!

(ナレーション:左翔太郎)

とりあえずここまで

お待たせしました、ここでようやく仮面ライダーWの参上です

ちなみに他のみんなはこの時リボルギャリーの排ガスで辺りが見えなくなっていたために、

翔太郎たちが変身したところを見ていません。

まだ正体は明かせないのでご都合主義です。



クレイドールドーパント「仮面ライダーWですって?ふざけた事を!」


タブードーパント「たった一人で何が出来るのかしら!」


ダブルCJ「言っただろう!俺たちは二人で一人だってな!ハァッ!」


((ブワァッ!))


「「キャァァァァッ!?」」


仮面ライダーWサイクロンジョーカーはその名の通り風を操る戦士だ。

俺たちが放つ拳で突風が吹き上がり二体のドーパントは姉妹仲良く吹っ飛ばされた!

(ナレーション:左翔太郎)



氷室「なんと情けない…こうなれば私自らの手で倒す!」


((INJURY!))


インジャリードーパント「ガァァッ!覚悟しろ仮面ライダーW!
お前もRXと同じく、この私が倒してやる!!」


フィリップ(よくもRXを!待てよ…この激しい感情は何だ?
まるで胸が熱くなる!この感情は一体…!?)


ダブルCJ「そいつはお前が感じる激しい怒りだフィリップ!
だが落ち着け、焦るな。光太郎さんがこう言っていた。
熱い怒りは魂に込めろ、そしてクールな心で冷静さを見失うなってな!
そうだ、光太郎さんと同じく熱い魂とおやっさんのようなクールな心でヤツを倒す!!」


フィリップ(熱い魂とクールな心か、それならピッタリなメモリがある。)


そう言ってフィリップはWのメモリを交換してフォームチェンジを行った。

交換したメモリは炎のように赤い『HEAT』とクールな心を象徴する『METAL』のメモリだ!

(ナレーション:左翔太郎)



((HEAT!\/METAL!))


ダブルHM「ウォッ!身体の色が変わった!?」


フィリップ(これは仮面ライダーWヒートメタルだ。
このフォームになる事で防御力と攻撃力がサイクロンジョーカーよりも増すんだ!)


インジャリードーパント「くだらん!何がフォームチェンジだ!
そんなモノは私の刃の前では切り刻まれるだけだぁぁぁぁぁっ!!」


((ガキィンッ!))


インジャリードーパント「くっ…私の刃が通用しないだと!?」


ダブルHM「お前の攻撃なんて光太郎さんから受けた特訓に比べたら屁でもねえ!」


フィリップ(翔太郎、一気に決めるよ!)


さすがはW随一の防御と攻撃力を持つヒートメタルだ。

そしてヤツが怯んだ隙を突いて俺たちは一気に畳み掛けた!

(ナレーション:左翔太郎)



((METAL!MAXIMUM DRIVE!))


ダブルHM「「メタルブランディング!!」」


インジャリードーパント「ぐわぁぁぁぁ!?」


フィリップ(ヒートメタルの必殺技が決まった、これでヤツはメモリブレイクされる!)


ダブルHM「やったか!?」


仮面ライダーWヒートメタルの必殺技である、

メタルブランディングの一撃を喰らうインジャリードーパント。

俺たちはヤツを倒したかと思ったんだが…

(ナレーション:左翔太郎)

とりあえずここまで

やったか?なんて言うと大抵敵は生きてます



インジャリードーパント「まだだ!」


ダブルCJ「あの野郎…まだ立ち上がる気か!?」


フィリップ(よせ、勝負は付いた。これ以上無理をすると身体が耐え切れなくなるぞ。)


インジャリードーパント「ククク、敵に情けをかけてもらうほど落ちぶれてはいない…
それに私にはまだ奥の手がある、そうだ…この二つのメモリがなぁっ!」


ダブルCJ「そのガイアメモリは!?」


インジャリードーパント「このガイアメモリで私は更なる力を得るのだ!」


ヤツが手にしていたのは『B』と『R』の文字が刻まれたガイアメモリだった。

あの光太郎さんが封じられているガイアメモリをヤツは手にしていたんだ!

そして…

(ナレーション:左翔太郎)



((BLACK!))


((RX!))


インジャリーBRドーパント「フハハハハ!凄い、体中に力が漲ってくる!
あの時テラーの言う通り、ライダーを処分しなくて正解だった。
これほど素晴らしい力が手に入ったのだからなぁっ!!」


ダブルCJ「あいつ…光太郎さんの力を取り込んだのか!?」


タブードーパント「それだけじゃ…」


クレイドールドーパント「ないわよ!」


フィリップ(しまった、さっきのドーパントたちも復活してしまったようだ。)


タブードーパント「さっきはよくもやってくれたわね!」


クレイドールドーパント「けどあれは不意を突かれただけ。次はないわよ!」


パワーアップしたインジャリーBRドーパント。

それに再び立ち上がってきたタブーにクレイドールの二体に囲まれ、

俺たちは一気に不利な立場へ逆戻りしちまった…

(ナレーション:左翔太郎)



インジャリーBRドーパント「喰らえっ!」


タブードーパント「ハァッ!」


クレイドール「チッ…ハッ!」


((ドンッ!ドンッ!ドンッ!))


WCJ「クソッ!三対一じゃさすがに不利か!?」


フィリップ(このままではまずい、一度体勢を立て直すためにも引くんだ!)


ダブルCJ「ダメだ!ここで逃げるわけにはいかない!
俺たちは光太郎さんからこの街の平和を守れと依頼された!
探偵なら何があろうと最後まで依頼をやりとげなきゃいけないんだ!!」


フィリップ(…翔太郎…わかった。それなら奥の手を使おう!)


そんな手があるなら勿体ぶらずにちゃんと教えろよと…

まあ過去の回想に今更文句言ってもしょうがない。

俺はフィリップの指示に従った。

(ナレーション:左翔太郎)



((LUNA\/TRIGER!))


ダブルLT「今度は黄と青の身体になったぞ?」


フィリップ(その姿は仮面ライダーWルナトリガーだ。
この姿になる事でトリガーマグナムによる射撃攻撃とルナの特性である柔軟さが備わる。
さぁ、攻撃を!)


インジャリーBRドーパント「クク、無駄だ!
いくら攻撃しようとお前の攻撃などこの私には通用するわけがない!!」


フィリップ(それはどうかな、翔太郎撃つんだ!)


((TRIGER!MAXIMUM DRIVE!))


WLT「「行くぜ!トリガーフルバースト!!」」


((バシュゥゥゥッ!))


トリガーマグナムから必殺のトリガーフルブーストが発弾された!

インジャリーBRドーパントは自分に当たるものだと思って防御の体勢に入っている。

だがなぁ、俺たちの狙いはお前じゃないんだよ!

(ナレーション:左翔太郎)




((ドッガァァァン!))



インジャリーBRドーパント「何…当たっていないぞ…?」


タブードーパント「ヤツが当てたのは工場の天井よ!?」


クレイドールドーパント「フフ、狙いが逸れたのね。所詮は戦いのド素人だわ!」


WLT「おい…フィリップ…言われた通りに天井を撃ったけど…この後どうするんだよ?」


フィリップからの指示はドーパントを攻撃するのではなく、

どういうわけか頭上の天井を破壊しろというモノだった。

壊れた天井からは太陽の光が差し込むだけだった…

(ナレーション:左翔太郎)



インジャリーBRドーパント「愚か者め!今度こそ地獄へ送ってやる!!」


ダブルCJ「あいつ…フルパワーでこっちに向かってきやがる!やべえ…これじゃあ!?」


フィリップ(いいや、こちらの狙い通りだ!)


インジャリーBR「死ねぇぇぇぇっ!!」


まるで計算通りだと言わんばかりにフィリップは自信満々に言ってのけた。

俺にはこの行動の意味が全くわからないが…一体どうなるんだ!?

(ナレーション:左翔太郎)



フィリップ(翔太郎、このssシリーズではヒーローがどんな過酷なピンチを迎えようとも、
ある人物が一言叫ぶととてつもない奇跡が起きて大逆転するんだ。
キミはその事を知っているかい?)


ダブルCJ「ハァ…?お前一体何を言ってるんだよ!?」


フィリップ(さて、それじゃあキミは今すぐ政宗一成さんにナレーションを交代してくれ!)


ではフィリップからの熱い要望に応えてここからは私がナレーションを交代しよう!

(ナレーション:政宗一成)

え…嘘!?

ここで代われって…だからこれ俺の回想!

しかも今…結構大事な場面なのにぃぃぃ!?

(ナレーション:左翔太郎)

その事はさておいて、大ピンチに陥った仮面ライダーW!

だが…その時!

(ナレーション:政宗一成)







―――その時、不思議な事が起こった!!―――





(ナレーション:政宗一成)

とりあえずここまで

相棒にすらナレーションを代われと言われた翔太郎の明日はどっちだ?



インジャリーBRドーパント「ぬ゛わぁぁぁぁ!?」


タブードーパント「インジャリードーパントが苦しがってるわ!」


クレイドールドーパント「けど…一体何で…!?」


WCJ「あれは…ヤツが差し込んだBLACKとRXのメモリが拒絶しているんだ!
けど…これはどういう事だ!?」


フィリップ(それは今のヤツの身体に太陽の光が照らされたからさ!)


フィリップの言う通りである!

インジャリーBRドーパントの身体に太陽の光が照らされた。

苦しむインジャリーBRドーパントの身体に異変が起きたのだ!

それは何故か?

インジャリーBRドーパントが吸収したRXは光の戦士である。

そのRXの力を封印した二つのガイアメモリが太陽の光で力を取り戻し、

今まさに目覚めつつあったのだ!!

(ナレーション:政宗一成)



((ズボォッ!))


インジャリーBRドーパント「ぐぉぉぉっ!?」


タブードーパント「大変だわ!」


クレイドールドーパント「封印したガイアメモリが、
インジャリーBRドーパントの身体から勝手に抜けていったわ!?」


ダブルCJ「よっと、こいつは返してもらうぜ!」


フィリップ(翔太郎、そのガイアメモリをダブルドライバーに装填するんだ!)


ようやく二つのガイアメモリを取り戻した仮面ライダーW!

そしてダブルドライバーに装填した時、驚くべき事が起きた!?

(ナレーション:政宗一成)



((BLACK!))


((RX!))


「「トゥァッ!!」」


タブードーパント「あぁっ!ダブルのベルトから二人の戦士が現れたわ!?」


クレイドールドーパント「あれは…まさか!?」


突然現れた二人の戦士!その正体は!?

(ナレーション:政宗一成)




BLACK「「仮面ライダーBLACK!!」」



RX「「俺は太陽の子!仮面ライダーBLACK!RX!!」」



ダブルCJ「やったぜ!RXの復活だ!」


フィリップ(だが…何故二人に増えたんだ?)


BLACK「翔太郎、フィリップ、助けてくれてありがとう!
お前たちが力を合わせて変身し、俺たちを助けてくれると信じていたぞ!!」


RX「どうやら封じられていた時、
ガイアメモリが二つに分かれていたから俺自身もBLACKとRXに分かれてしまったらしい。
だがこれで三対三、お前たちミュージアムを相手に戦えるな!!」


ダブルCJ「二人に分かれたってそんなのありかよ?」


フィリップ(なるほど、奇跡の力とは興味深いね。)


遂に復活を果たした仮面ライダーBLACK、そして仮面ライダーBLACKRX!

今こそ反撃の時だ!!

(ナレーション:政宗一成)

とりあえずここまで

続きは夜の9時あたりから



インジャリーBRドーパント「フンッ、今更ライダーが復活したところで…
まだ私の身体にはRXの残留エネルギーが残っている!
その力でお前たちを返り討ちにしてやる!!」


タブードーパント「私たちも行くわよ!」


クレイドールドーパント「そうね…
このままノコノコと帰ったらお父さまに会わせる顔がないわ…チッ…」


RX「この街にガイアメモリをばら撒いたお前たちは絶対に許さん!」


BLACK「お前たちの野望は俺たち仮面ライダーが打ち砕く!」


フィリップ(さぁ、翔太郎。今こそ鳴海荘吉のあの言葉を…)


ダブルCJ「さぁ、お前たちの罪を数えろ!!」


対峙するこの街の正義と悪の戦士たち!

さぁ、ここからが本当の戦いだ!!

(ナレーション:政宗一成)



BLACK「トゥッ!タブードーパント!お前の相手は俺だ!」


タブードーパント「仮面ライダーBLACK!これ以上計画の邪魔はさせないわ!」


RX「クレイドールドーパント!お前はこの俺が相手だ!」


クレイドールドーパント「この…チッ!」


ダブルCJ「氷室、お前は俺たちが相手だ!」


インジャリーBRドーパント「若造が…調子に乗るな!」


それぞれの相手を定めて一騎打ちに持ち込む戦士たち!

こうして戦いの火蓋は切って落とされた!!

(ナレーション:政宗一成)



タブードーパント「仮面ライダー!お前がこの街に現れなければこんな事には!」


BLACK「冴子ちゃん、すっかり変わってしまったね。」


タブードーパント「私の名前を何で?…そういえばお前の姿を以前どこかで見た覚えが…」


BLACK「あぁ、俺たちは以前一度だけ会った事があるからね。」


仮面ライダーBLACKvsタブードーパントの戦い。

何やらBLACKは過去に園咲冴子と因縁があるようなのだが…?

(ナレーション:政宗一成)



クレイドールドーパント「チッ…この!」


RX「やめるんだ!
さっきの戦いでは不意をつかれたが、
ろくに戦った事もないキミでは俺の相手などまともに出来るはずがない!」


クレイドールドーパント「黙れ!お姉さまといい…仮面ライダーといい…
私の事を子供扱いして!私が戦えるところを見せてあげるわ!!」


RX「どうやら言っても無駄のようだな。
昔は冴子ちゃんに懐いている無邪気な子供だったのに…」


こちらは仮面ライダーBLACKRXvsクレイドールドーパントの戦い。

どうやら南光太郎は以前、一度だけ園咲姉妹が幼い頃に会った事があるようだ。

(ナレーション:政宗一成)



RX「何故父親の悪事に加担するんだ!?」


タブードーパント「それこそ…まさにタブーだわ!
この風都であのお父さまに逆らえる者なんて誰一人としているわけがない!
かつてお母さまだって…お父さまに逆らい…いなくなってしまった。」


クレイドールドーパント「お父さまこそこの世で一番の偉大なる御方よ!
そのお父さまの野望を私たち娘が実現させなくてどうするというの!」


BLACK「やはり…園咲琉兵衛が黒幕か…」


RX「そしてその娘たちがヤツの部下としてこの街の支配に加担しているとは…!」


園咲家の事情を知ったRXとBLACK。

だがいくら娘たちとはいえ彼女たちもまた風都の人々を苦しめる張本人。

説得が通じないのなら手段はひとつ!

(ナレーション:政宗一成)



BLACK「二人とも、どうしても戦う気か!」


タブードーパント「くどいわ!私たちはお父さまに逆らう事はできないのよ!」


RX「出来ればキミたちとは戦いたくはないのだが…」


クレイドールドーパント「フフ、女を相手に戦えないとでも…?甘いわね!」


BLACK「こうなれば仕方がない、行くぞRX!」


RX「オゥッ!BLACK!」



BLACK&RX「「キングスト―――ンッ!フラッシュッ!!」」



((ヴァァァァァァッ!!))


冴子&若菜「「きゃぁぁぁっ!?」」


BLACK&RXのキングストーンフラッシュがタブーとクレイドールに直撃!

その結果、二人はメモリブレイクこそしなかったものの変化が解けてしまう。

だがそこへスミロドンドーパントが出現、二人は園咲琉兵衛に回収されてしまった。

(ナレーション:政宗一成)



ダブルCJ「このっ!」


インジャリーBRドーパント「無駄だ!無駄だ!お前の攻撃など私には効かん!」


フィリップ(やはりライダーの力を取り込んだヤツに勝つには難しいか…)


ダブルCJ「フィリップ、このままじゃやばいぞ!」


フィリップ(だが…ヤツを攻略する手立てがない…どうしたら?)


一方こちらは仮面ライダーWvsインジャリーBRドーパントの戦い。

だがインジャリーBRドーパントの力は依然として健在であった。

さすがにもうここまでかと思った…その時であった!

(ナレーション:政宗一成)



RX「諦めるな翔太郎!フィリップ!
お前たちが諦めなければ勝機は必ず見つかるはずだ!!」


BLACK「どんな強敵でも必ず弱点がある!それを探せ!!」


フィリップ(光太郎さん!)


ダブルCJ「二人に応援されちゃ…負けるわけにはいかないよな!
けど…ヤツの弱点…待てよ…?そうだ!思い出したぜ!確かあの時…!
フィリップ、ヤツの星の本棚に入ってくれ。検索キーワードは『バッタ』だ!!」


フィリップ(わかったよ翔太郎、おや?これは面白い事がわかったよ!)


何やら秘策を思い付いた翔太郎たち。そして二人は一気に反撃に出た!

(ナレーション:政宗一成)



フィリップ(みんな!氷室に顔を向けるんだ!)


BLACK「顔を…?」


RX「わかった。」


ダブルCJ「おい氷室!俺たちの顔を見てみろ!何かに似てないか?」


インジャリーBRドーパント「何かにだと…?」


フィリップ(そうだね、たとえば…キミの嫌いなバッタに似てないかな?)


インジャリーBRドーパント「バッタ…?ヒィィッ!近寄るな!?」


これはどうした事だろうか?

今まで圧倒的な戦闘力を誇っていたインジャリーBRが急に怯え出したではないか!

この状況は一体どういう事なのか!?

(ナレーション:政宗一成)



フィリップ(これは…トラウマさ。)


BLACK「トラウマだって…?」


RX「つまりヤツは過去に心に何らかの精神的な傷を負っているんだな!」


ダブルCJ「あぁ、俺がそれに気づいたのは採掘場での事だった。
あの時、ヤツはバッタを見るなり急に怯えていた。
これは何かあるかと思ったが…」


フィリップ(ちなみに検索した結果、その理由が判明した。
氷室は過去に風祭真が変身したバッタの遺伝子を用いた仮面ライダーシンに殺害された。
既にその時、氷室は改造兵士であったために一応命は助かったが…
それでも一度は瀕死の重傷を負わされた相手だ。
氷室にトラウマを与えられるには十分な出来事だったわけさ。)


BLACK「なるほど、俺たち仮面ライダーの大半がバッタをモチーフにした改造人間だ。
だから俺たちの顔を見るなりそのトラウマがフラッシュバックしてしまったわけか!」


過去のトラウマを暴かれて怯え出すインジャリーBRドーパント!

しかしそれだけではなかった。

フィリップは氷室のもうひとつの秘密までも暴いてみせた!

(ナレーション:政宗一成)



フィリップ(そしてヤツが光太郎さんを必要以上に恐れていた理由がもうひとつある。
それはあの時の…ISS研究所の事件の失態が自分にある事を秘密にしているからさ!)


ダブルCJ「そりゃ一体どういう意味だ?」


BLACK「なるほど、そういう事か!」


RX「あのISS研究所での事件…ヤツは研究所の責任者だった。
しかし真の怒りの引き金を引いたのは紛う事なき氷室自身だ!
自分の失態で研究が失敗に終わった事を組織の者たちに知られたらその立場が危うい。
だからその事実を知っている俺を始末しようと躍起になっていたわけか!?」


かつての事件の失態を暴かれたくなかった氷室。

しかし真実を見抜く探偵の目は誤魔化せなかった!

数年の時を経て氷室の罪を白日の下に晒したのであった!!

(ナレーション:政宗一成)



インジャリーBRドーパント「おのれ…よくも!こうなれば全員皆殺しだ!!」


ダブルCJ「へっ!最初からそのつもりだろ!」


BLACK「RX、俺たちも行くぞ!」


RX「オゥッ!
ヤツの身体にある俺たちの力をこれ以上悪用されるわけにはいかないからな!」



「「トゥァッ!!」」



BLACKとRXは大ジャンプ!

そしてインジャリーBRドーパントへ必殺キックを放つ!!

(ナレーション:政宗一成)



BLACK「ライダ―――ッ!キ―――ック!!」


RX「RX!キ―――ック!!」


インジャリーBRドーパント「グォォッ!?だが…この程度では…」


ダブルCJ「なんてヤツだ…BLACKとRXのキックを喰らってもまだ…」


フィリップ(いいや、そんな事はない。
ヤツの身体に亀裂が生じている。あとひと押しだ、僕たちも彼らに続くんだ!
翔太郎、今こそサイクロンジョーカーの必殺技を放つ時だ!!)


ダブルCJ「わかった、マキシマムドライブだな!」


((JOKER!MAXIMUM DRIVE!))


ジョーカーメモリによるマキシマムドライブを発動させるダブル!

その瞬間、ダブルの身体を緑の風が駆け巡る。

その風はやがて竜巻となり、ダブルの身体を宙に浮き上がらせた。

そして身体を分割させ、時間差で両足蹴りを叩き込んだ!

(ナレーション:政宗一成)




ダブルCJ「「ジョーカーエクストリーム!!」」



インジャリーBRドーパント「うぎゃぁぁぁぁぁ!?」



BLACK「やった!氷室の身体からメモリが排出された!」


RX「ダブルのメモリブレイクが決まったんだ!」


氷室「うぅ…この私が敗れるとは…」


仮面ライダーW、仮面ライダーBLACK&RXの三大ライダーキックが炸裂!

インジャリーBRドーパントは敗北、変化を解いた氷室の身体が地面に叩きつけられた。

それと同時にインジャリーメモリも損壊。

これで二度とインジャリードーパントが現れる事はないだろう。

(ナレーション:政宗一成)



刃野「お…終わったのか…?」


真倉「刃野さん…危ないっすよ!まだ敵がいるかもしれないのに!」


刃野「うるせえ!仮面ライダーも気になるし…大体翔太郎はどこへ行ったんだ!?」


え~と…ここからは俺がナレーションでいいんだよな?

その頃、刃さんとマッキーは囚われていた人々を避難させていた。

するとそこへ…!

(ナレーション:左翔太郎)



((ブォォォンッ!))


ダブルCJ「ハァッ!」


刃野「おわっ!アンタは仮面ライダー!?」


真倉「やっぱり本当にいたんだ!」


ダブルCJ「この男を頼む、こいつがこの一連の事件の犯人だ。」


氷室「ぐ…うぅ…」


工場の爆煙から飛び出たのはハードボイルダーに乗った俺…つまりダブルだ。

俺は刃さんに氷室を突き出した。

(ナレーション:左翔太郎)



刃野「なぁ…仮面ライダー…アンタは一体何なんだ…?」


光太郎「彼は仮面ライダー、この街を守るヒーローですよ!」


真倉「あ、光太郎さん!
それにもう一人は探偵事務所の居候?こんなとこで何で寝てんだ!?」


意識を失ったフィリップの身体を抱えてみんなの前に姿を現す光太郎さん。

どうやらひとつの身体に戻ったらしい。

それに俺たちダブルのフォローをしてくれた。

さて、これで事件は解決でめでたし…なんだけど…

フィリップは少し不満だったらしい。

(ナレーション:左翔太郎)



フィリップ(翔太郎、何故氷室を始末しないんだ?後々面倒な事になるよ。)


ダブルCJ「構わないさ、俺たちは殺し屋じゃない。探偵だ。
事件が終われば犯人を警察に突き出してそれで終わり、後の事は全部警察に任せる。
そうだよな、おやっさん…!」


フィリップ(フッ、本当にキミは甘いな。)



((ブロロロロッ!))



そして俺はハードボイルダーを走らせてその場を去った。

氷室は警察に逮捕され、風都の人々の間では仮面ライダーの噂が囁き始める事となった…

(ナレーション:左翔太郎)



~園咲邸~


スミロドンドーパント「シャァァァッ!」


琉兵衛「ありがとうミック、とりあえず今回はこれでよしとするか。なぁ、加頭くん?」


加頭「…」


その頃、この園咲邸では園咲琉兵衛がスミロドンドーパントから一連の報告を受けていた。

(ナレーション:政宗一成)



加頭「氷室『元』局長も愚かでしたね。
あの人の失態なんて組織内では既にバレていたのにそれを未だに気にしていたとは…
ですが園咲さんのおかげで彼の処分がスムーズに運べて、私嬉しいです。」


琉兵衛「これで財団の次期局長はネオン・ウルガルド女史に決定か。
彼女から支持を受けている我々ミュージアムも、
今回のウルガルド女史の局長への就任は喜ばしい事だと思っている。」


加頭「まさか彼も自分が園咲さんの掌で踊っていたとは夢にも思わなかったでしょう。
今回の事件の背後には私たち財団…いえ『財団X』の権力争いが絡んでいたのですから。
あとは…氷室元局長の処分ですが…」


琉兵衛「それには及ばない。インジャリーメモリには細工が施されていてね。
メモリブレイクされると同時に精神が崩壊する仕組みになっている。
もう彼は廃人同然だ、何もする事はできんよ。そちらが手を下す必要もない。」


加頭「なるほど…」


なんと今回の事件の背後にはミュージアム、

そして謎の組織である財団Xの権力争いが絡んでいた!

その園咲琉兵衛の用意周到な策に無感情な加頭ですら思わず恐怖を覚えるほどであった…

(ナレーション:政宗一成)



琉兵衛「それとキミに渡したいモノがある。これだ。」


加頭「これは…ベルトとメモリ…?」


琉兵衛「スポンサー特権というモノだ。
このユートピアメモリは私たちミュージアムの幹部と互角の力がある。
何かの役に立つはずだ、よかったら貰ってくれないかな。」


加頭「わかりました、それでは…」


こうして加頭は園咲邸を去った。

そんな琉兵衛を、変身を解いたミックが何やら物言いたげな顔で見つめていた。

(ナレーション:政宗一成)



ミック「…」


琉兵衛「うん?どうしたんだいミック?
何?今回の事件で何故私が財団Xの権力争いに首を突っ込んだのかと聞きたいのかね?
それは簡単な事だよ。」


ミック「?」


琉兵衛「あの氷室という男は…
我々ミュージアムへの支援に関して消極的だった。
ならば早々に手を切らねばいけない。トカゲの尻尾切りと言うだろう?」


ミック「…」


己の野望のためなら誰であろうと容赦なく叩き潰す!

そんな琉兵衛の言う事をミックはただ黙って聞いていた。

(ナレーション:政宗一成)



琉兵衛「だが…だからといって我々に対抗する者がいないというのは張り合いがない。」


ミック「…」


琉兵衛「鳴海荘吉、スカルだったか。
あの男は我々のよき好敵手ともいうべき男、彼がいなくなって少々物足りなくなっていた。
私はあの男が娘を…若菜を成長させるよい起爆剤かと思っていたのだが…」


ミック「?」


琉兵衛「あぁ、すまない。この事はまだ誰にも言ってなかったね。
実は、既に私の後継者は決まっている。若菜だ!」


ミック「ニャッ!?」


さすがのミックもこれには驚きを隠せずにいた。

何故なら若菜はこの家の次女で普段はタレント業に携わっているからだ。

仕事面は全て冴子が携わっているのに一体何故若菜を選ぶ必要があるのだろうか…?

(ナレーション:政宗一成)



琉兵衛「我が壮大なる野望であるガイアインパクト!
それを行うには冴子では不可能だ、しかし若菜にはその器がある!」


ミック「…」


琉兵衛「しかし若菜はまだ未熟。そんな若菜に成長を促すには強敵が必要だった。
その役目はあのスカルこと鳴海荘吉こそが適任だと私は思っていた。
だがそのスカルは既にこの世にいない…しかしその代わりが見つかった。」


ミック「…」


琉兵衛「そうだ、あの仮面ライダーWとやらだ!
あの者なら若菜をエクストリームへと覚醒させてくれるだろう!
そのためにこの私自らが出向いてあの仮面ライダーの若者に発破をかけたのだからね!
フハハハハハハ!!」


今回の事件は全て園咲琉兵衛の壮大なる野望、

ガイアインパクトのための布石でしかなかった!

これより1年後、琉兵衛の望み通り若菜はエクストリームに覚醒。

そしてガイアインパクトが起ころうとする!

だがこの時の琉兵衛は知る由もなかった。

自分の手駒として見ていなかった一人の若者が、

計画を叩き潰し、自らが築いた組織を壊滅させる事になるとは思いもしなかったであろう。

(ナレーション:政宗一成)



ミック「ミャ~!」


琉兵衛「なんだって?
今回の事件で私の正体が仮面ライダーにバレたのではないかだと?
心配はいらん、力を加減したからね。
左翔太郎は私に関する事は何も覚えていないはず。
もしも覚えていたら、通常の人間なら発狂死してしまうだろう。
だが…本能は覚えているはず。当面彼は私とミュージアムの接点に気付く事はなかろうて。」


ミック「…」


琉兵衛「それと…南光太郎こと仮面ライダーBLACKRX。
この街に仮面ライダーは二人もいらない。
あの男にはそろそろ退場してもらおうかな。フフフ…」


不敵な笑みを浮かべる琉兵衛。

こうしてこの事件の黒幕は今も尚、君臨し続ける事となる!

(ナレーション:政宗一成)



~鳴海探偵事務所~


翔太郎「もう行っちまうのか光太郎さん?」


光太郎「あぁ、風都を守る仮面ライダーは…翔太郎にフィリップ、お前たちがいる。
この街での俺の役目は終わったんだ。」


フィリップ「できればあなたにはまだ残ってほしいけど…」


光太郎「そうもいかない。
どうやらまた新たな組織が動き始めたようだ、俺はそいつらを倒さねばならない!」


翔太郎「今回氷室の背後にいた財団、ヤツらを追うんだな?」


光太郎「そうだ、また忙しくなるかもな!」


あの事件から数日後。

鳴海探偵事務所の前ではバイクでこの街を去ろうとする光太郎さんの姿があった。

そして別れを惜しむ俺とフィリップの姿も…

(ナレーション:左翔太郎)



翔太郎「光太郎さん、今までありがとうな。あの採掘場での特訓の日々は忘れないぜ!」


光太郎「採掘場か、そういえば思い出したが…
ミュージアムの連中が出した荘吉さんのベルトとガイアメモリはどうしたんだ?」


翔太郎「あぁ…あれか…
実はあの時、意識が朦朧としてよく覚えてないんだが包帯した変な女が持っていったんだ。
まったく…おやっさんのベルトをどうする気なんだか…」


光太郎(持っていったのは恐らくシュラウドか。
だが荘吉さんのロストドライバーを一体どうするつもりだ?)


おやっさんのロストドライバーの行方を気にかける光太郎さん。

ちなみにこれは余談だが、

今回シュラウドが回収したロストドライバーはこの後、

とある事件(小説版仮面ライダーW  Zを継ぐ者)においてフィリップが使う事になる。

そしてそのロストドライバーは巡り巡って…

(ナレーション:左翔太郎)



フィリップ「けど…光太郎さんがいなくなると寂しくなるね。」


翔太郎「よせよフィリップ。
人は皆、いつかは別れの時が来るんだ。
ハードボイルドな男ならここは笑顔で送り出すべきだぜ…グスッ…」


フィリップ「翔太郎…そんな泣きながら言われても全然説得力がないよ…」


光太郎「ハハ、ありがとう二人とも。
だがこの街での俺の役目は本当に終わったんだ。
かつて俺に送られてきた荘吉さんからの手紙にもこう書いてあった。

『この街をしばらく見守ってくれ…』

つまり俺が荘吉さんから頼まれた依頼は、
お前たちが戦えるようになるまで見守ってくれって事だったんだよ。」


翔太郎「そうか…おやっさんはそこまで俺たちの事を考えてくれてたのか…」


ありがとう、おやっさん。

俺は心の底からおやっさんに感謝した。

(ナレーション:左翔太郎)



光太郎「さて、これからが大変だな。今後ミュージアムは本格的に動き出す。
それこそ今回とは比べ物にならない強いドーパントたちが次々と現れるだろう。」


翔太郎「心配いらねえさ!どんなドーパントが来ようと…!」


フィリップ「僕たちがこの街を守る。」



翔太郎&フィリップ「「俺(僕)たちは二人で一人の探偵で仮面ライダーだ!!」」



この風都は俺たちが守る!

光太郎さんからの依頼はまだ完全に果たされてはいない。

その依頼が果たされるその日まで、俺たちは戦い続ける!!

(ナレーション:左翔太郎)



光太郎「そうだ、お前たちは二人で一人の探偵で、そして仮面ライダーだ!
これからも二人でこの街の、風都の平和を守っていくんだぞ!
それが俺からお前たちの最初の依頼なんだからな!!」


翔太郎「あぁ、任せてくれ!
それと…この街が平和になって光太郎さんの依頼が果たせたら…
もう一度この街に戻ってきてくれ。
その時…一人前になった俺の姿を見てほしいんだ…」


光太郎「あぁ、その時は必ず戻ってくる。じゃあな、翔太郎!フィリップ!」


((ブォォォォッ!))


バイクが駆ける音と共に光太郎さんは鳴海探偵事務所を去って行った。

まるでこの街に流れる風のように颯爽と…

グスッ…いけねえな…過去の回想なのに何で泣いてんだ俺…?

さて、光太郎さんが去った後だけど…入れ替わりで刃さんがやってきたんだ。

(ナレーション:左翔太郎)



刃野「よぅ、翔太郎。この間は世話になったな!」


翔太郎「あ、刃さん!何だよ?また説教にでも来たんすか?」


刃野「いや、ちょっと聞きたい事があってよ。お前…もし俺が妙な依頼を頼んだら断るか?」


翔太郎「まったく…変な事聞くな?
けど俺は断らないぜ、どんな依頼だろうが依頼人が俺に助けを求めてくるんだ!
かつてのおやっさんもそうだった。何だろうと受けてやるよ!」


そうだ、俺が今まで依頼人から信用されてなかったのは依頼を軽んじていたからだ。

その事を教えてくれたのが今回の事件だ。

どんな依頼だろうが身体を張って最後までやり遂げてみせる!

それが探偵ってモンだよな、おやっさん?

(ナレーション:左翔太郎)



刃野「どうやら今のお前になら任せる事ができそうだな。
この資料を見てくれ、どうやら先日の事件で街に流れたガイアメモリによる仕業なんだ。」


翔太郎「これは…この街のアパレルメーカー『WIND SCALE』火災現場の写真…?
しかし店の鉄骨まで溶けてるなんて通常の火事じゃ絶対にありえないぞ!?」


フィリップ「少し拝見するよ。
なるほど、これは炎を操る『マグマ』のメモリを使うドーパントの仕業とみるべきだ。」


翔太郎「どうやら…この街は俺たちを休ませちゃくれないようだ。」


今回の事件を無事に解決させた俺たちだったが…

既に新たな事件が動き始めていた。

だがどんな敵が現れようと俺たちは絶対にこの風都を守ってみせる!

この街を泣かすヤツは決して許さないからな!!

(ナレーション:左翔太郎)



~風都駅~


((ブォォォォッ!))


光太郎「この街ともお別れか、名残惜しいな。だがもう行かなければ…」


???「あのぉ~、すいません。ちょっといいですか?」


光太郎「うん?どうしたんだい?」


バイクに乗って風都を立ち去ろうとする光太郎。

だが駅に立ち寄った時、一人の少女が光太郎に声を掛けてきた。

その少女とは…

(ナレーション:政宗一成)



???「住所が風都風花町一丁目二番地二号でかもめビリヤード場という場所知りませんか?
今からそこへ行きたいんですけど…」


光太郎「風都風花町一丁目二番地二号のかもめビリヤード場…?
確かそこは…キミはひょっとして鳴海探偵事務所に用があるのかい。お嬢ちゃん?」


亜樹子「お嬢ちゃんって…私は鳴海亜樹子!これでも二十歳の成人です!!」


光太郎「ご…ゴメンよ。成人にはちょっと見えなくて…中学生くらいかと思った。
うん…?ちょっと待ってくれ!鳴海…?ひょっとしてキミは荘吉さんの!?」


亜樹子「あれ?お父さんの事を知っているんですか?
私これからそのお父さんの探偵事務所へ行きたいんですけど!」


なんという偶然であろうか。

この街を去ろうとする光太郎の前に現れたのはこの街へ来たばかりの亜樹子であった!

(ナレーション:政宗一成)



光太郎「しかし…荘吉さんに娘さんが居たなんて知らなかったな…」


亜樹子「私、ずっと大阪に住んでてお父さんとはこれまであまり会ってないんですよ。
ところが最近、お父さんと連絡が取れなくなって…
おまけに事務所に変なヤツが居着いたって噂を聞いたモノだから、
大阪からこうして遥々やって来たんです!」


光太郎「変なヤツ…?あぁ、なるほど…」


亜樹子「それにしても風都って変な街ですよね。
さっきから風ばっかり吹いてるし…変な人も多そうだし…
お父さんもこんな街よりも大阪に来ればいいのに!」


光太郎「…」


まだ父親である鳴海荘吉の死について何も知らない亜樹子。

光太郎はそんな亜樹子に荘吉の死を知らせようとはしなかった。

恐らくそれは自分の役目ではないと思ったからだ。

(ナレーション:政宗一成)



光太郎「なぁ、亜樹子ちゃん。少しだけ俺の話を聞いてくれるかい。」


亜樹子「いきなりちゃん付け!けど何ですか?」


光太郎「キミはこれから二人の少年たちと一緒に風都の困難に立ち向かう事になるだろう。
だが、もしもあの二人が挫けそうになったら…その時は影ながら支えてあげてくれ。
これからの戦いで俺はあの二人を助ける事はできない。だからお願いだ。」


亜樹子「ちょ…ちょっと!
いきなりそんな事言われても…私…聞いてない!大体その二人って誰!?」


光太郎「あぁ、いきなり変な事を言ってゴメンよ。
それとキミはさっき大阪の方が良いって言ってたけどそんな事はないよ。
この風都もいい街だよ。
なんたってこの街には誰よりも風都を愛する仮面ライダーが守っているからね!」


亜樹子「え…?仮面…なにそれ!?」


光太郎「じゃあ…あとは頼んだよ!」


こうして南光太郎は風都を去った。

これから翔太郎とフィリップにどんな苦しい困難が待ち受けているのか、

光太郎は知っていたのかもしれない。

だがそれは翔太郎たちが自らの力で乗り越えなければいけない試練である。

だからこそ光太郎は敢えてその事を口にしなかった。

かつての自分もそうだったように…

(ナレーション:政宗一成)






光太郎「さらば、仮面ライダーW!この風都を守る二人の仮面ライダーよ!!」





~終わり~

これで終わりです

なんか忘れてる事があった気が…?



【エピローグ】


<2015年2月>


~風都採掘場~


翔太郎「こうして俺たちは風都を守る仮面ライダーになったわけだ。めでたしめでたし…」


((バシィッ!))


翔太郎「痛っ!何すんだ亜樹子!?」


亜樹子「何すんだじゃないわよ!勝手に話を終わらせてどうすんの!?」


フィリップ「そうだよ翔太郎、ここで話を終わらせたら僕らがこの場所へ来た意味がない。」


照井「まったく…相変わらずのハーフボイルドだな。」


亜樹子「翔太郎くんの回想なのにナレーションの半分を他の人に乗っ取られてるし!
政宗一成さんって本当に一体誰なの!?」


翔太郎「それは俺が聞きたいよ…」


回想が終わったところでいきなりスリッパでぶたれる俺。

まったく…余韻にくらい浸らせろよな…

(ナレーション:左翔太郎)



照井「お前たちの過去は一通りわかった。だがそうなるとだ。」


亜樹子「今日二人がここで会う人ってまさか…?」


((ブォォォォッ!))


翔太郎「お、このバイクの音は!」


フィリップ「どうやらようやく来てくれたようだよ。」


激しいバイクの排気音がこの採掘場に響き渡った。

それは俺たちとは別方向からやってきたもう一台のバイク。

乗っているのは俺たちが待ち合わせをしていた相手だった。

(ナレーション:左翔太郎)



光太郎「やぁ、翔太郎にフィリップ。久しぶりだな!」


翔太郎「あぁ、光太郎さん!」


フィリップ「本当に久しぶりだね。」


亜樹子「それじゃあ…この人が…南光太郎さん!?」


照井「仮面ライダーとして数々の悪の組織と戦い続けて、
それに左たちを仮面ライダーWとして鍛え上げた男なのか!?」


光太郎「初めましてだね、照井竜くん。
それに鳴海…いや…今は結婚して照井亜樹子ちゃんか。キミたちの事も聞いているよ!」


そう、今回俺たちが待ち合わせしていた相手とは…

俺のもう一人の師である南光太郎さんさ!

(ナレーション:左翔太郎)






……


………


光太郎「なるほど、あれからミュージアムは壊滅したんだな。」


翔太郎「あぁ、ミュージアムはこの街の富豪一家園咲家の連中が支配する組織だった。」


フィリップ「そして僕もその園咲家の者だった。
僕たちはミュージアムを倒した。だが…園咲家は僕を残してみんないなくなった。」


光太郎「そうか。冴子ちゃんと若菜ちゃん、二人には生きていてほしかったんだが…」


フィリップ「その言葉だけで十分だよ。姉さんたちはこの街で数々の罪を犯した。
けど最後は…この街を…いや…僕たちを助けるために戦い…そして命を落とした。
決して報われなかったわけじゃない。」


照井「ミュージアムの背後にいた財団Xも園咲家を見限った。」


亜樹子「今じゃこの街は平和そのものよ!
けど…たまに…ミュージアムが遺したメモリで変身する困ったのがいるくらいだけどね。」


俺たちは光太郎さんに風都の近況を報告した。

あれから数年が経った。

ミュージアムは壊滅し背後にいた財団Xからの援助も打ち切られた。

この街はようやく平和を取り戻したんだ。

(ナレーション:左翔太郎)



光太郎「なるほど、話はわかった。だが…何故俺をここに呼び出したんだ?」


亜樹子「そうよ、話だけだったら事務所でよかったじゃない?」


照井「こんな場所で世間話する必要があったのか?」


あぁ、どうしてもこの場所じゃなきゃダメなんだ。

今回光太郎さんをこの場所に招いたその理由を俺はようやくみんなの前で話した!

(ナレーション:左翔太郎)



翔太郎「光太郎さん、この場所で特訓していた頃の事を覚えているかい?
俺はいつか絶対に師匠越えしてやるってさ!
今こそこの帽子が似合う一人前の男になってやろうと思ってるんだ!」


光太郎「なるほど、そういう事か。」


亜樹子「え…?何…?どういう事!?」


フィリップ「つまり翔太郎は、
これから師である光太郎さんに一人前と認められるために師匠越えをするのさ。」


照井「なんだと!?」


そうだ、どこの業界でもそうだが…

弟子が師匠から本当に一人前として認められるには師匠越えするしかねえ!

けど俺の師であるおやっさんはもうこの世にはいない。

だからもう一人の俺の恩師の光太郎さんにこの事を頼みたいと思ったんだ!!

(ナレーション:左翔太郎)



亜樹子「でも師匠越えって何をする気なの!?」


照井「待てよ、この場所に来たという事は…
そうか!左たちはこの採掘場で師の光太郎さんと戦う気なんだ!?」


フィリップ「そういう事さ、僕は止めたんだけどね。」


翔太郎「…というわけで光太郎さん。突然で悪いんだが…この勝負受けてくれるかい?」


光太郎「あぁ、いいだろう。
これも俺が荘吉さんから引き受けた事だからな!師匠として手加減はしないぞ翔太郎!!」


そして俺と光太郎さんは対峙しあった。

光太郎さんは既に戦闘態勢に入り、俺も懐からベルトを取り出した。

だが俺が取り出したのはいつものダブルドライバーじゃない。

そのベルトは…

(ナレーション:左翔太郎)



光太郎「そのベルトは…まさか荘吉さんが使っていたのと同じロストドライバー?」


翔太郎「そうさ、これはロストドライバーだ。
けどこれはただのロストドライバーじゃない、おやっさんが使っていたモノさ。
あれから色々あってね、今はこうして俺の手元にあるんだ!」


光太郎「それじゃあ…まさか…!」


翔太郎「フィリップ、まずは俺だけにやらせてくれ。頼む!」


フィリップ「わかったよ、翔太郎。気の済むまでやればいい。」


こうして俺は自らのガイアメモリであるジョーカーメモリを取り出し変身ポーズを取った。

(ナレーション:左翔太郎)



((JOKER!))


翔太郎「俺…変…身!」


ジョーカー「仮面ライダージョーカー!行くぜ!!」


光太郎「フィリップ抜きの単独変身か!」


ジョーカー「おやっさんからロストドライバーを受け継いで、
俺は仮面ライダージョーカーになった!
ジョーカーの力はダブルの半分だがこの街を守る想いは変わらないぜ!!」


俺が変身したのはダブルではなく仮面ライダージョーカーの姿だった。

全身黒いボディが特徴のジョーカー!

それに対して光太郎さんも…

(ナレーション:左翔太郎)



光太郎「いいだろう、お前がそう来るなら…俺も…」


光太郎「変…んん…身!!」


BLACK「「仮面ライダーBLACK!!」」


亜樹子「こっちも黒だー!」


照井「あれが…噂のRXか!」


フィリップ「いや、ちがう!あの姿はRXの前身である仮面ライダーBLACKだ!」


なんと光太郎さんが変身したのはRXじゃなく仮面ライダーBLACKだった!

まさか光太郎さんは…?

(ナレーション:左翔太郎)



BLACK「黒の仮面ライダー同士の対決だ。
翔太郎、俺がRXの姿じゃないからといって油断なんかするなよ。
BLACKがRXよりも弱いだなんて思っていたら大間違いだからな!」


ジョーカー「そっちこそ!俺がダブルじゃないからって甘くみないでくれよ!」


フィリップ「黒の仮面ライダーたちの対決、まさに興味深い!」


照井「この師弟対決…注目の一戦だな!」


亜樹子「ちょっとちょっと…私聞いてないよー!?」


うるさい外野は置いといてだ。

ここからが俺と光太郎さん、黒の仮面ライダーの師弟対決だ!

行くぜ!!

(ナレーション:左翔太郎)

とりあえずここまで

エピローグですがここからが本番です
翔太郎は見事一人前として認められるのでしょうか?



BLACK「トゥァッ!」


ジョーカー「ハァッ!」


((ビシィッ!)) ((バシィッ!))


照井「お互い武器は一切使わない素手の対決だ!」


フィリップ「これは純粋に力と技の戦いになるね。」


亜樹子「あわわ…正義のヒーロー同士の戦いなんて…こんなのありなの!?」


ジョーカーとBLACK、互いに武器を使わない徒手空拳の戦いが始まった!

けどさすがは光太郎さんだ。

一発の拳の重みが戦いの年季を感じさせてくれる!

だが俺だって負けちゃいられない。

数々のドーパントたちとの戦いで俺も強くなったんだ!

(ナレーション:左翔太郎)



((JOKER!MAXIMUM DRIVE!))


ジョーカー「やるな光太郎さん!そろそろ行くぜ!」


BLACK「あぁ、翔太郎!俺も負けないぞ!」


フィリップ「翔太郎がジョーカーのメモリをマキシマムスロットに装填した!
どうやらマキシマムドライブを発動させるつもりだ!」


照井「待て!BLACKもパワーをチャージしているぞ!」


亜樹子「それじゃあ…二人とも必殺技をブツける気なの!?」


そうだ、このまま戦っても埒が明かない。

俺たちは渾身の力を込めて互いの必殺技を放ったんだ!!

(ナレーション:左翔太郎)



BLACK「ライダ―――ッ!パ―――ンチッ!!」


ジョーカー「ライダー…パンチ…!」


((バシィィィッ!))


BLACK「ライダ―――ッ!キ―――ック!!」


ジョーカー「ライダー…キック…!」


((ドガァァァァァッ!))


俺たちは互いの必殺技であるライダーパンチ、ライダーキックを放った!

その衝撃は凄まじく、俺たちの技は相殺されてしまうほどだった…

(ナレーション:左翔太郎)



翔太郎「うぅ…」


光太郎「今の衝撃でお互い変身が解けてしまったようだな。」


亜樹子「そうなると…この戦いはもう終わり…?」


フィリップ「いや、これから第二ラウンドが始まるんだ。そうだろ、翔太郎?」


翔太郎「あぁ、そうだぜフィリップ。戦いはまだまだこれからだ!」


光太郎「まだやる気か!こうなればトコトン付き合ってやる!」


照井「左がベルトをロストドライバーからダブルドライバーへ交換した!
それに光太郎さんもさっきとは違う変身ポーズを取っている!
つまり…これはまさか!?」


照井の予想通りだ。

俺たちは戦いを続けるためにさらなる姿へと変身したんだ!

(ナレーション:左翔太郎)



翔太郎&フィリップ「「変身!!」」


((CYCLONE!\/JOKER!))


ダブルCJ「さぁ、お前の罪を数えろ!」


亜樹子「翔太郎くんたちがダブルに変身した!これで…」


光太郎「変…んん…身!!」


RX「俺は太陽の子、仮面ライダーBLACK!RX!!」


照井「いや、光太郎さんもRXに変身している!
どうやら…みんなまだ戦いを続けるつもりらしいな…」


そうだ、俺たちはまだ納得しちゃいない!

俺はフィリップと変身して風都を守る仮面ライダーWに!

光太郎さんも太陽の子、仮面ライダーBLACKRXへと変身!

戦いは激しさを増していった!!

(ナレーション:左翔太郎)



~風都刑務所~


??「うぅ…感じるぞ…」


??「ヤツらが戦っている…!」


??「私をこんな牢獄に閉じ込めたあの二人が…許せん!」


その頃、この風都刑務所の牢屋で一人の男が復讐に燃えていた。

そして男はあるガイアメモリを使い脱獄を図ったんだ!

(ナレーション:左翔太郎)



~風都採掘場~


((LUNA!\/JOKER!))


((JOKER!MAXIMUM DRIVE!))


ダブルLJ「「ジョーカーストレンジ!」」


RX「RXパ―――ンチッ!」


((HEAT!\/TRIGER!))


((TRIGER!MAXIMUM DRIVE!))


ダブルHT「「トリガーフルバースト!」」


ロボライダー「俺は悲しみの王子、ロボライダー!ボルティックシュータ!」


((CYCLONE!\/METAL!))


((METAL!MAXIMUM DRIVE!))


ダブルLM「「メタルツイスター!」」


バイオライダー「俺は怒りの王子、バイオライダー!バイオブレード!」


俺たちと光太郎さんの戦いは続いていた。

俺たちダブルはフォームチェンジを行い多彩な技を繰り出した。

だが光太郎さんも負けずに、

ロボライダーとバイオライダーにフォームチェンジを行い互角に渡り合っていた。

そんな時、照井のビートルフォンからコール音が鳴り響いた。

(ナレーション:左翔太郎)



照井「こんな時に一体誰から電話だ?
もしもし、あぁ刃野刑事か。何?風都刑務所から脱走!一体誰が!?」


亜樹子「なんだか私…悪い予感がするんだけど…」


フィリップ(何やら雲行きが怪しい。翔太郎、ここは一旦戦いを中断しよう。)


ダブルCJ「おいおい…そりゃないぜ!ここからが本番だってのによぉ!」


??「「そうだ!戦いはこれからが本番だ!!」」


RX「何だこの声は…?一体誰だ!?」


採掘場の崖の上から一人の男が俺たちに向かって叫んできた。

その男とは…なんとあいつだった!?

(ナレーション:左翔太郎)



氷室「久しぶりだなぁ、仮面ライダーども!」


RX「お前は…氷室!確か風都刑務所に収監されていたはずでは!?」


照井「そうか、先ほど刃野刑事から連絡のあった脱獄犯というのは貴様か!」


亜樹子「でも…何でここへ?さっさとこの街から逃げればいいのに!」


フィリップ(亜樹ちゃんの言う通りだ、だがそれでもヤツがここに来た目的は恐らく…)


ダブルCJ「俺たちへの…復讐か!」


氷室「そうだ、私を刑務所に閉じ込めたお前たちに復讐するために私は戻ってきた!
一時はメモリブレイクの所為で廃人と化したが…
今のお前たちの戦いを感じてこうして蘇った!今こそ復讐の時だ!!」


俺たちの目の前に現れたのはかつてこの街を恐怖と混乱に貶めた財団Xの氷室だった!

どうやら俺たちに復讐するつもりらしいが一体何をする気だ!?

(ナレーション:左翔太郎)



氷室「行くぞ…!」


((ETERNAL!))


氷室「変身!」


エターナルレッドフレア「仮面ライダーエターナル!」


RX「バカな…仮面ライダーだと!?」


照井「しかもあの姿は…かつて風都を死者の街にしようとした…
不死身の傭兵集団、NEVERの大道克己が変身した仮面ライダーじゃないか!」


エターナルレッドフレア「それだけではない!我が忠実なる配下たちよ、その姿を現せ!」


「「シャァァァッ!」」


ダブルCJ「そんな…お前たちは!」


エターナルの後ろから4人の怪人たちが現れた。

そいつらの正体は…なんと…!

(ナレーション:左翔太郎)



ルナドーパント「ウフフ!」


ヒートドーパント「ハァッ!」


メタルドーパント「ヌンッ!」


トリガードーパント「…」


照井「こいつらは…同じくNEVERが変化したドーパントたち!?」


エターナルレッドフレア「その通り、しかしひとつだけ違うところがある。」


フィリップ(彼らは僕たちが戦ったNEVERじゃない!
恐らく財団Xが自分たちの技術で再生させたドーパントたちだ!?)


チッ、どうやら悪の組織にはお決まりの再生怪人たちのご登場だ!

けどこいつら…気のせいかオリジナルのヤツらと少し似てるような…?

(ナレーション:左翔太郎)



RX「翔太郎、勝負はひとまず御預けだ!まずはこいつらを…」


ダブルCJ「オゥッ!さっさと片付けてやる!」


照井「待て、ここは…」


亜樹子「うちの旦那にやらせてあげて!」


ダブルCJ「へ…?」


亜樹子「だって竜くん…
このss始まってからずっと翔太郎くんの回想聞いていただけだよ!
ここで活躍させなきゃただの空気で終わっちゃうでしょ!?」


照井「…あの所長…それは言い過ぎじゃ…」


ダブルCJ「しょうがねえな…照井。ここらで活躍しておけよ。」


照井「やめろお前たち!俺をいらない子扱いするなぁぁぁっ!?」


RX「照井夫妻はかかあ天下なのか…
荘吉さん、あなたの娘さんは風都で逞しく生きてますよ。」


フィリップ(翔太郎、変身を解いてくれ。ここは僕が引き受けよう。)


さて、そんなわけでここからは亜樹子にせがまれた通り、

照井とフィリップにバトンタッチだ!

頼むぜ、二人とも!

(ナレーション:左翔太郎)

ここまで

そんなわけでここらでようやく照井さんの活躍です

いい奥さんを持って幸せだね!



((ACCEL!))


照井「変っ…身!」


((FANG!\/JOKER!))


フィリップ&翔太郎「「変身!」」


アクセル「仮面ライダーアクセル!さあ、振り切るぜ!」


ダブルFJ「さぁ、お前たちの罪を数えろ!」


エターナルレッドフレア「また新たなライダーか。小賢しい!殺れ!」


「「「「ガァァァッ!」」」」


さて、この場はフィリップと照井の出番だ。

照井は赤く輝く仮面ライダーアクセルに、俺はフィリップをメインにしたダブルFJに変身!

NEVERもどきと対決だ!!

(ナレーション:左翔太郎)



アクセル「まずはヒートドーパント、お前からだ!エンジンブレード!」


ヒートドーパント「ハッ!」


亜樹子「よっしゃ!頑張れ竜くん!」


((ENGINE!MAXIMUM DRIVE!))


アクセル「ダイナミックエース!」


((ズバァァァッ!))


ヒートドーパント「キャァァァァッ!?」


まずは一体、エンジンブレードの斬撃でヒートドーパントを撃破だ!

さて…お次は…

(ナレーション:左翔太郎)



メタルドーパント「ヌゥンッ!」


アクセル「次はメタルドーパントか!
お前にはこれだ!その鉄の肉体をドロドロに溶かしてやる!」


((ACCEL!MAXIMUM DRIVE!))


アクセル「アクセルグランツァー!」


メタルドーパント「グガァァァッ!?」


業火を纏ったアクセルの必殺キックが決まった!

ヒートドーパントに続いてメタルドーパントも撃破したアクセル!

次はコイツだ!

(ナレーション:左翔太郎)



ルナドーパント「ク~ネクネ♪ク~ネクネ♪」


アクセル「こいつ…妙に前任者の性格が反映しているな…?そんなお前にはこれだ!」


((TRIAL!))


アクセルトライアル「仮面ライダーアクセルトライアル!
お前を倒すのに10秒もかからん!瞬殺してやるぜ!!」


((TRIAL!MAXIMUM DRIVE!))


アクセルトライアル「マシンガンスパイク!」


((ドガガガガガガガガッ!))


ルナドーパント「クネクネ~!?」


アクセルトライアル「6.9秒、それがお前の絶望までのタイムだ!」


青い身体が特徴のアクセルトライアルの高速連続キックでルナドーパントを撃破だ!

ちなみにルナドーパント…俺も戦ったが…

なんというか…NEVERの中じゃ一番の変人だったよな…

そんなルナドーパントを10秒かける事もなく倒すとは照井もマメだなぁ。

つーか6.9とか何気に卑猥な数字なのは気のせいか?

まあ…それはともかく最後はコイツだ!

(ナレーション:左翔太郎)



トリガードーパント「ハッ!」


((ダンッ!ダンッ!ダンッ!))


アクセル「最後にお前が残ったか!
それにしても…この射撃、本物はもっと精密に撃ってきてたぞ!
フンッ、所詮は偽者か。そんなお前にはこのメモリで引導を渡してやる!」


((ACCEL!UP GRADE!BOOSTER!))


アクセルブースター「仮面ライダーアクセルブースター!ハァァァッ!」


トリガードーパント「グッ…!」


アクセルブースター「ブーストスラッシャー!」


((ズバァァァァッ!))


トリガードーパント「グハァァァァッ!?」


アクセルブースター「絶望が…お前たちのゴールだ!」


そしてトリガードーパントも、

黄色い身体で飛行能力を持つアクセルブースターの斬撃により倒された。

これでNEVERもどきは倒された。

残るは氷室、お前だけだぜ!

(ナレーション:左翔太郎)



エターナルレッドフレア「チッ…役立たずが…所詮は再生怪人か!
だが私は違うぞ!お前たちと同じ仮面ライダーの力を宿しているんだからな!」


ダブルFJ「同じ仮面ライダーの力?それはどうかな!ショルダーセイバー!」


((シュバッ!))


エターナルレッドフレア「これは…ダメージだと!
こんなバカな…財団Xの調べによるとダブルはかつてのNEVERとの戦闘で、
このエターナルには手も足も出なかったはずではなかったのか!?」


翔太郎(ハッ!随分と古い情報だな!)


ダブルFJ「あの時の僕たちと思ってもらっては困るな。あれから僕たちも成長している。
それに…ひとつだけ忠告しておく事があるが…
そのエターナルの姿…おかしいと思わないのか?」


エターナルレッドフレア「おかしいだと、どういう意味だ?」


こいつ…俺が言うのもなんだがかなり抜けているな。

一度変身した自分の姿を鏡で見てから出直してこいってんだ!

(ナレーション:左翔太郎)



ダブルFJ「どうやら園咲琉兵衛から話を聞いてなかったようだね。
ガイアメモリとその装着者にはそれぞれ適合率というモノが存在する。
氷室、キミにはかつて失われたインジャリーメモリとの適合率は高かった。
しかし…そのエターナルメモリとの適合率はかなり低いようだ。
その証拠に本来ならエナーナルの身体に刻まれている青の炎の刻印が赤になっている。
つまり…その姿はエターナルメモリがキミに適合していないという確かな証拠さ!」


エターナルレッドフレア「バカな…そんな事が!?」


亜樹子「そういえば…
以前見たエターナルは青かったし…それにマントも付けてたような…
それに比べるとこのエターナルはちょっと貧相に見えるよね。」


かつて俺たちと死闘を繰り広げたNEVER、そして仮面ライダーエターナル!

あんなとんでもないヤツらの力を再生怪人で再現しようってのが所詮無理な話だったんだ。

(ナレーション:左翔太郎)



((FANG!MAXIMUM DRIVE!))


ダブルFJ「「ファングストライザー!」」


エターナルレッドフレア「ぐはっ!だが…まだやられは…」


しぶといヤツだ。

さすがは財団Xの幹部にまで上り詰めた男なだけはあるな。


((ブォォォォッ!))


けどそこへヤツに向かってバイクの排気音が響いてきた!

(ナレーション:左翔太郎)



RX「後輩たちが頑張っているんだ。
俺もただ黙って見ているわけにはいかないな!行くぞ、アクロバッター!!」


亜樹子「RXがバイクに乗ってエターナルに突進していくよ!」


RX「喰らえ!アクロバットバーン!!」


エターナルレッドフレア「ぐはぁっ!」


RXの愛車であるアクロバッターによる突撃!

さすがに恐れを感じたヤツは逃げようとする。

そうはさせるか!

ヤツを逃がさないために俺たちはファングジョーカーの変身を解いて、

再びダブルへと変身、そして鳥型特殊ガイアメモリのエクストリームメモリを召喚した!

(ナレーション:左翔太郎)



((XTREME!!))


ダブルCJX「「ハァッ!」」


エターナルレッドフレア「おのれ…ダブル!」


ダブルCJX「今度こそ本当に最後だ!行くぜフィリップ、メモリブレイクだ!」


((HEAT!LUNA!JOKER!CYCLONE!MAXIMUM DRIVE!))


ダブルCJX「「ビッカーチャージブレイク!」」


エターナルレッドフレア「ギャァァァァァッ!?」


氷室「うぅ…」


RX「よくやったぞ二人とも、今度こそ氷室を完全に倒せたな!」


アクセル「こいつめ、今度はもっと厳重な牢獄に閉じ込めてやる!」


仮面ライダーWサイクロンジョーカーエクストリームの力で、

氷室をメモリブレイクさせる事に成功した。

けどその時、エターナルを倒した際に発生した強い爆風を、

ベルトのエクスタイフーンが吸収したんだ。

(ナレーション:左翔太郎)



ダブルCJGX「これは…」


フィリップ(仮面ライダーWサイクロンジョーカーゴールドエクストリーム!
そうか、さっきのエナーナルレッドフレアを倒した際に発生した強い爆風を、
ベルトのエクスタイフーンが吸収した事によりパワーアップしてしまったんだ!?)


ダブルCJGX「…という事は…試合再開って事だよな!」


RX「いいだろう、お前たちが風の力で向かってくるなら…俺は…太陽の力で立ち向かう!」


何の偶然か仮面ライダーW最強形態、

面ライダーWサイクロンジョーカーゴールドエクストリームへパワーアップした俺たち!

そしてRXも対抗するためにベルトから必殺の剣を抜き出した。

まるで太陽のように光り輝くその剣は…

(ナレーション:左翔太郎)



RX「リボルケイン!!」


フィリップ(RXの必殺武器だ!
あれはさすがにエクストリームでも受け止めるのはきついだろうね…)


アクセル「どうやら両雄、次で決着が付きそうだな!」


亜樹子「頑張れ二人ともー!風都のライダーの意地を見せてやれ!」


あぁ、言われなくてもやってやる!

俺たちは今日、あのRXを超えてみせる!

(ナレーション:左翔太郎)



RX「翔太郎、フィリップ、この戦いで勝敗に関係なく俺はお前たちを一人前と認めるぞ!!」


ダブルCJGX「嬉しい事言ってくれるね、けど…勝つのは俺たちだ!」


フィリップ(翔太郎、この一撃で全てが決まる!
出し惜しみせずに全てをこの一撃に込めてRXにぶつけるんだ!!)



((バッ!))


俺たちは互いに空高くジャンプして必殺技を繰り出した!

(ナレーション:左翔太郎)




RX「「リボルクラッシュ!!」」



ダブルCJGX「「ゴールデンエクストリーム!!」」



((ガカッ!!))



アクセル「伏せろ!所長!これは…」


亜樹子「何…!一体何がどうなったの!?」


その瞬間、辺りは眩い光に包まれ…

照井と亜樹子に至ってはこの決着を見る事はできなかった。

さて、この勝負の勝敗だが…いや…よそう。

これは俺たちだけの戦いだ。

この結果を知るのは俺とフィリップ、それに光太郎さんの三人だけでいい。

だが…敢えて…言うなら…

やっぱRXは…光太郎さんは強かったって事かな。

(ナレーション:左翔太郎)


南光太郎vs仮面ライダーW 【完】



















さて、今回こうして無事完結した南光太郎vs仮面ライダーWであるが…

(ナレーション:政宗一成)

あれ…?ちょっと…何やってんすか政宗さん!

もう終わりっすよ!?

(ナレーション:左翔太郎)

いや、まだ終わりではない!このssはこれより番外編へと突入する!!

(ナレーション:政宗一成)

えぇ―――――――――――っ!?

(ナレーション:左翔太郎)



今回、鳴海荘吉からの手紙により風都を訪れた南光太郎。

しかし光太郎は過去に鳴海荘吉、シュラウド、園咲姉妹と出会っていた。

一体過去にこの風都で何が起こったのか?諸君はその秘密を知りたくはないだろうか!?

それをこれより始まる番外編で明かしていこうと思う。

それでは…



【番外編】南光太郎vs仮面ライダースカル
【番外編】南光太郎vs仮面ライダースカル - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1425033916/)



ぶっちぎるぜぇ!!

(ナレーション:政宗一成)


最後の最後に…政宗さんに全部持っていかれたぁぁぁぁぁ!?

(ナレーション:左翔太郎)


つづく


というわけでこのssはこれで終わりです

ですが、

【番外編】南光太郎vs仮面ライダースカル
【番外編】南光太郎vs仮面ライダースカル - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1425033916/)

こちらに続きます。

物語の舞台は>>110あたりの光太郎さんと翔太郎が特訓していた頃の話になります。
よろしければ引き続き番外編の方も読んで頂ければ幸いです。

これで一旦本編は終了です。

ちなみにおやっさん没後のロストドライバーの経緯ですが…

ミックがロストドライバーを発見しそれをテラーが翔太郎たちに見せる→

その後、シュラウドが回収→

小説版で回収したロストドライバーをフィリップが仮面ライダーサイクロンに変身するために使用→

TV版48話で消滅したフィリップがロストドライバーを翔太郎に託す

とこのssではこういう解釈にさせていただきました。

ですがこれはssですのでこれが公式だと本気で解釈しないでください。

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom