汐音「ののかー!」 (19)

ノエル「ののかー!」ダキッ

乃々香「どうしたの、ノエル?」

ノエル「お昼ごはんまだー?」

乃々香「もうちょっと待ってね」

ノエル「今日のお昼はなに?」

乃々香「バジルソースのパスタだよ」

ノエル「ばじるそーす?」

乃々香「ノエルはバジルソースきらい?」

ノエル「ううん! ののかが作るものだったらなんでもだいすき!」

乃々香「そっか、ありがと」ニコッ

ノエル「うんっ」

汐音「……」ジーッ

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汐音(ノエルはどうしてあんなに素直に人と接せられるのかしら)

汐音「私も見習うべきよね……」

ノエル「しおね、どうしたの?」

汐音「……別になんでもないわ」

ノエル「ふーん。あ、もしかして、しおねはばじるそーすきらい?」

乃々香「そうだったの、汐音?」

汐音「いいえ、そんなことはないわ。私も乃々香が作るものなら……」ハッ

乃々香「汐音?」

汐音「な、なんでもないわ。とにかく私がバジルソースを嫌っているとか、そんなことはないから」

乃々香「そっか、よかった」ニコッ

汐音「たっ……食べさせてもらう身の私が、文句なんて言うわけないでしょ///」

乃々香「あ、もうすぐできあがるから、コップとお茶の用意してね」

ののえるしお「いただきます!」

ノエル「みどりいろ!」

乃々香「バジルっていうハーブを使っているの。味はちょっと大人向けだったかも。ノエル、大丈夫?」

ノエル「うんっ、おいしいよっ!」

乃々香「よかった。汐音は?」

汐音「ええ、とてもおいしい……。毎日食べたいくらい」

乃々香「そんな、大げさだよ」アハハ

汐音「大げさ……かしら」

汐音(自分の気持ちを素直に言葉にしたつもりだったのだけど、どうもうまくいかないわね)

ノエル「おいしー! デミグヌフソースの次くらいにすき!」

汐音「なによその、禍々しい名前のソースは……」

乃々香「デミグラフソースね。じゃあ今度はそのパスタも作ってあげる」

ノエル「やったー!」

汐音「……」

汐音(ノエルを観察した感じだと、無邪気っぽく振る舞うのが重要なのかしら……)

ノエル「ごちそうさまっ! それじゃあののか、しおね、またね!」

乃々香「もういっちゃうの?」

ノエル「今日はゆずきとペットボトルロケットを飛ばすやくそくしてるの!」

乃々香「そっか。じゃあね」

汐音「またね、ノエル」

ノエル「うんっ!」フリフリ

 スタタタ ガチャ

乃々香「……ふぅ」ストン

汐音「乃々香?」

乃々香「なに、汐音?」

汐音「……なんでもないわ。それより、お皿片づけしちゃいましょう」

乃々香「うん、そうだね」

汐音(ノエルがいなくなって、少し元気がなくなったような気がする……。やっぱり、私と二人きりだと気を使ったりするのかしら)

乃々香「ふんふふーん♪」カチャカチャ

汐音「……」

汐音(私も……ノエルっぽく振る舞えば、ノエルと同じように接してもらえるのかな)

汐音「のっ……」

汐音「ののかー!」ダキッ

乃々香「!?!?」ビクッ

乃々香「しっ、汐音っ!? なにっ、どうしたのいきなり!?」ドキドキ

汐音「な、名前呼んだだけだよ!」

乃々香「名前呼んだだけじゃないよね!? 抱きついてるよね!?」

汐音「抱きつきたくなったからだよっ!!」

乃々香「えー!?」

乃々香(どうしよう……! 汐音が壊れちゃった!)

汐音「ののか……」ギュウ

汐音(これ、思ってたより何十倍も恥ずかしいわね……///)

乃々香「し、汐音……」

乃々香(寒さでおかしく……はないか……普通おかしくなるのって暑いときだよね……)

汐音「……ののか?」

乃々香「う……」

乃々香(でも……汐音に限っていたずらってことはないだろうし……)

汐音「……」

汐音(ここからどうすればいいのかしら)ギュウ

乃々香「?」

乃々香(抱きついてきたと思ったら、動きが止まった……?)

乃々香「汐音?」

汐音「な、なに?」

乃々香「急にそんなことされても、私、どうすればいいのかわからないよ?」

汐音「……そうね。ごめんなさい」パッ

乃々香「……」ジャー

乃々香(どうやらふざけていただけみたいだけど……)チラッ

汐音「……」フキフキ

乃々香(こころなしか、落ち込んでいるような)

汐音「……終わったわ。リビングのソファで待ってるわね」

乃々香「あ、ちょっと待って」

汐音「なに? もう洗い物は残ってないと思うけど」

乃々香「洗い物のことじゃなくて、汐音のこと」

汐音「私の? ……別に、さっきのはちょっとふざけただけよ」

乃々香「私の知ってる汐音っていう女の子は、あんなふうにいきなりふざけたりする子じゃなかったよ」

汐音「……そうかもね。私は冗談とか言えない、つまらない人間だから」

乃々香「……」

汐音「じゃあ、向こう行ってるから」

乃々香「ちょっと、汐音」ガシッ

汐音「なっ、なに?」ビクッ

乃々香「私の大切な友達を、そんなふうにいわないで」

汐音「な……なんのことよ」

乃々香「つまらない人間、って」

汐音「だって事実じゃない。それに自称なんだから、いいでしょ」

乃々香「汐音がよくったって、私がよくないの」

汐音「そんなの……わがままよ」

乃々香「そんなわがままをいいたくなるくらい、私は汐音のことが好きなの」

汐音「すっ……!?///」

乃々香「ねえ汐音、どうしてあんなことしたの? 教えて」

汐音「……乃々香が、ノエルと一緒にいるとき、すごく楽しそうだったから」

乃々香「もしかしてあれって、ノエルの真似だったの?」

汐音「……」コク

乃々香(びっくりしてて全然気づかなかった)

汐音「ノエルみたいに素直な振る舞いができれば、乃々香はもっと気楽に私に接してくれると思って……」

乃々香「それじゃあ汐音は、私が汐音と一緒にいるよりは、ノエルと一緒にいる方が楽なんだと思っているの?」

汐音「だって、ノエルといるときはあんなにニコニコ笑っているのに、私と二人きりになったとたん、あまり笑わなくなるじゃない。さっきだってため息をついていたし」

乃々香「……はぁ」

汐音「な、なによ」

乃々香「汐音って意外と天然なんだね」

汐音「……どういう意味よ」

乃々香「たしかにノエルはかわいいし、おもしろいし、一緒にいると楽しいよ」

汐音「……」

乃々香「ノエルと比べれば、たしかに汐音はあまりしゃべらないし、落ち着いてるから、二人でいても静かになることは多いよね」

汐音「……ええ」

乃々香「でもね、いつもノエルと一緒だと、たぶん私は疲れちゃうよ。ノエルはちょっとわんぱくなところがあるし、目を離すと予想外のこともするし……」

乃々香「だから、私は汐音と一緒にいるのが一番落ち着くの。汐音の隣で本を読んだり、うたた寝したりするのが好き。そういう瞬間だって、ノエルと一緒に遊んだりしているときと同じくらい、私にとって大切なときなんだよ」

汐音「……つまり、私は今のままでいいのかしら」

乃々香「今のままでい続けるのがいいかはわからないけど、無理をして変わる必要はないんじゃないかな。少なくとも、私は今の汐音のことが好きだよ」

汐音「ふ、ふうん……///」

乃々香「汐音は?」

汐音「え?」

乃々香「汐音は、私と一緒にいて、疲れたりしない?」

汐音「……あたりまえでしょ。私も、乃々香の隣が一番落ち着く。乃々香は大切な友達よ」

乃々香「えへへ。ありがと」

汐音「それに……私も、乃々香のことは大好きだから」ボソッ

乃々香「え? なにかいった?」

汐音「なんでもないわ」

終わり

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このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年04月01日 (水) 17:29:57   ID: Okdpg9kJ

すばらしい!

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