長葱「二足歩行できるようになった」 (16)

長葱「せっかくだし歩くわ」

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長葱「とりあえずコンビニに入ってみたい」

テクテク

長葱「入店するんだよ」

店員「ラッサッセイ」

長葱「!?」

店員「ラッサッセイ、ラッサッセイ」

長葱「ら、ラッサッセイ…」

店員「!?…ラッサッ…セイ!」

長葱(な、なんなんだ)

長葱(簡単な日本語なら分かるつもりだったが…ラッサッセイとは一体…)

店員「…」

ニカーッ

長葱(超笑顔なんだよ)

テクテク

長葱(まぁいいんだよ、何か買うんだよ)

ガサゴソ

長葱「おっ、何やら親近感。へぇ、あんたポッキーっていうんだ」

ポッキー「へい」

長葱「あんたも細くて長いんだよ」

ポッキー「で、ありますなぁ」

長葱「何故コンビニなんかに陳列されているのか不思議なんだよ?」

ポッキー「我は、お菓子である故」

長葱「お菓子?」

長葱「あんたみたいにチョコレートまみれの細くて長いものを、お菓子っていうんだよ?」

ポッキー「うむ」

長葱「じゃあ私もチョコレートまみれになったらお菓子なんだよ?」

ポッキー「それは分からぬ、が」

長葱「どうしてなんだよ?」

ポッキー「貴様は、野菜である故」

長葱「やぁぁさぃぃぃぃ?」

ポッキー「野菜とお菓子は違う、これは分かるな」

長葱「うん」

ポッキー「長葱は細くて長い。ポッキーも細くて長い」

長葱「うんうん」

ポッキー「だが、長葱はお菓子ではない」

長葱「そこなんだよ」

イラッ

長葱「そこが、そこだけがどうしても納得できないんだよ」

長葱「あんたも私も細くて長いんだよ、一緒なんだよ、生きているんだよ!!」

店員「!」

ビクッ
ジョワ~

長葱「あ、急に大きな声出してごめんなさいなんだよ」

店員「サッセイ…」

ジョボジョボジョボ
ジョボヴィッチ

店員(テニスしてぇ)

店員「…」

ジョ←排尿終了

店員(久しくテニスの事なんか考えた事なかったな…なぁ、錦織)

ギッ

店員(俺たちは寝ても覚めてもテニステニステニス…何か目に見えないものに突き動かされるようにテニスしていたっけなぁ)

店員(俺が頻尿なせいで、お前の隣に立てないと分かった時の絶望感…まだ忘れちゃいないぜ)

グググッ

店員(クソッ、こんな事思い出して何になるってんだ…!)

ダンッ←怒りを紛らわせるかのように肉まん温め機を殴った音

ポッキー「おいそこうるさいぞ」

店員「ラッサッセイ…」

長葱「話を続けるんだよ」

ポッキー「うむ」

長葱「私は野菜の自分が嫌なんだよ」

ポッキー「さっきそんな事言ってたか?」

長葱「言ってたんだよ」

長葱「だから私はお菓子になるんだよ」

ポッキー「どうやって?」

長葱「あんたをバッキバキに折って…とか、どうなんだよ?」

ポッキー「!?」

長葱「細くて長いお菓子といえばポッキー。そのポッキーがアイデンティティともいえる『長さ』が無くなったらどうなるんだよ?」

ポッキー「…」

長葱「沈黙してちゃ分かんないんだよ、早く答えるんだよ」

ポッキー「ははぁん…読めたぞ」

長葱「つまり、そういう事なんだよ」

?「待てよ」

長葱「んあ?」

?「俺を忘れてやしないか」

ポッキー「あ、あんたはトッポ!」

トッポ「ご名答」

長葱「へぇ、あんたポッキーとは逆の進化をしたようなんだよ」

トッポ「そうさ。俺はチョコレートを外側にコーティングするんじゃなく、内側に詰めたのさ、これがな」

長葱「最初にカリッとした歯ごたえ、そしてじんわりと現れる甘いチョコレート…その調べはまさに甘味の暴力、と言えるんだよ」

トッポ「ふーん、なかなかどうして詩人だな」

長葱「そうなんだよ、私は案外ポエマーなんだよ」

ポッキー「しかし、お菓子界のトップスターのあんたがどうしてこんな場末のコンビニに陳列されているのさ」

トッポ「ヘイボーイ、言うねぇ。まぁ俺にも色々事情ってヤツがあるのさ」

長葱「ふぅん」

トッポ「例えば、物騒な輩からいたいけな羊を守る事情、とかね」

長葱「へぇ、なかなか鋭いんだよ、あンた」

トッポ「俺の家系は訳有りでね、代々アカシックレコード的な何かを管理してるのさ」

ポッキー「アカシック…レコード…?」

トッポ「そう、アァァァカシック、レコードさ」

店員(アァァァカシック、バスタァァァ!)

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