吸血鬼「愛する女に出逢うまで」 (91)


昔々、弱い弱い魔族がいた。


そいつには何の取り柄もなく、周囲の奴等から馬鹿にされるくらい底辺の魔族だった。

魔族と言えるかどうかさえ不思議なほどに非力な魔族だった。

周囲は同族だと認めていなかったかもしれない。


痩せぎすで青白い肌、如何にも弱そうな風体。

美しかったが、美しさが力になる世界ではなかった。


【人間】と言われることさえあった。


馬鹿にされる度に愛想笑いを浮かべた。
 
悔しさを誤魔化して、憎しみを胸に過ごす日々を送っていた。



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だがそんな奴にも野心はあった。

力が全ての世界で成り上がる術を模索した。

弱者は、魔界の中で強くなろうとしていた。


だが自分より弱い魔族などいやしない、全く歯が立たない。

そんな弱小魔族が目を付けたのが、人間。

いや……ちょっと違うな。


目を付けたのは、人間の血。

人間の血を、命を【奪う】ことだった。

人界との接触は堅く禁じられているにも拘わらず、そいつは『それ』を実行した。


夜な夜な人界へと赴き、人間の命を奪い続けた。


そいつは信じいた……

何の力のない自分、蔑まれる自分を消し去る為に……


藁にも縋る想いだったんだろうな。

だから、命を奪えば力が増すという妄想妄執に取り付かれた……

しかしそれは現実となり、そいつは力を得た。

奪った分だけの命を得、不死とも言える肉体を得たんだ。


挙げ句、その馬鹿は血に酔い、一代で数万の命を奪った。



自分の為だけに、数万人の人間を殺し続けた。

つまり数万回殺されても生き延びられる力(命)を得たわけだ。


それ後、入念に準備をして実行に移した。

それから自分より上位の魔族に戦いを挑んだんだ。

底辺だと、【人間】と蔑み侮っていた連中に……


どんな汚い手でも使った。

勝つ為、見下した者を見返す為に……


何度も何度も死を偽装し、己を蔑んでいた彼等彼女等、全員を殺した。


その後の戦い全てに勝利した。

奪った魔法で、奪った力で、奪った姿で……


勝利しただけでなく奪った。

敗者の力を奪い、力を高め、更なる力を求めた。

それから長い時、幾多の戦いを経て、その馬鹿は魔界を支配する王となった。


同族とさえ認められなかった屑は他者の力を奪い、這い上がり、遂には王となった。


王となった後、そいつ名は

ブラッドリー・アナステシア・ディーア。


こいつの一族は、こう呼ばれることになる。


その後の戦い全てに勝利した。

奪った魔法で、奪った力で、奪った姿で……


勝利しただけでなく奪った。

敗者の力を奪い、力を高め、更なる力を求めた。

それから長い時、幾多の戦いを経て、その馬鹿は魔界を支配する王となった。

同族とさえ認められなかった屑は他者の力を奪い、這い上がり、遂には王となった。


王となった馬鹿の名は

ブラッドリー・アナステシア・ディーア……


こいつの一族は、こう呼ばれることになる。






【吸血鬼】と……





そういや言い忘れてたな。


俺は、俺の名は

ルクレーシャス・クリストファー・ディーア。



これは、妻と出逢う以前の物語り。



俺を愛し、救ってくれた女と出逢う以前。

友人と言っていいのか分からねえが、奴と出逢う以前。

息子、ロイ・クリストファー・アルノルトが生まれる以前。




アニ・アルノルトと出逢う前の物語りだ。


酔ってんのに調子に乗って書いてたから許して。
一応見直したつもりだったんだけど、ダメだったかぁ
たぶん早めに終わるはず。

この文に誤字脱字はない。

>>3の二行目 そいつは信じていた……

>>4の三行目 その後、入念に準備をして実行に移した。

他にもあるかもしれないけど、これからは気を付ける。

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