岸部露伴の幻想入り (169)




露伴「なに?休暇?いらないなそんなもの」


男は電話越しに聞こえてくる女の声に対してやや不満そうに答えた。


「あら、ごめんなさい。休暇というのは語弊があったわね」


露伴「……じゃあ」


男の言葉を遮るように女は答えた。


「取材……そう、取材に行って来て欲しいの」


男は一瞬の沈黙の後、さらに不満を表に出して言った。


露伴「取材だって?なんだってこんな時期に」



「ええ。時期なんて関係ないでしょ。とにかく、取材よ。既にこっちでは決定事項として処理してあるから。お願いね」


露伴「場所は。場所を聞いてからじゃないといくらそっちで決定してあろうと行くことは出来ないな」


「……幻想郷よ」


露伴「……幻想郷?なんだそれは?」



「……東の果て、指定した場所に行けば分かるわ」


そこまで言って女は電話を切る。


露伴「おい!おい!……クソッ!なんだアイツは!いきなり……」



~~~~~~~~~~~





東方×ジョジョのクロスオーバーです



注意書きとかは大体同じなのでよければ見てやって下さい

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1422104025

数日後、身支度をして女の指定した場所に行った。


露伴「〜〜ッ!あの女、いつまで僕を歩かせるつもりだッ!!」


飛行機で移動し、バスを乗り換えること数時間、そしてもうかれこれ三時間も歩いている。


露伴「この辺にあるはずだが」



女の指定した場所は、人が住んでいる気配のない山路であった。



露伴「……本当にあった」


その山にポツンと、男の背の高さ程のトンネルがある。


露伴「本当にこの奥にあるのか?……幻想郷が」



とにかく男は歩を進める。


露伴「…………」




…………………………………


…………………………


……………

…………………


………………………


……………………………



更に十分程歩いて、露伴はジメッとした空気を感じ始めていた。


露伴「……凄い霧だな。前がまったく見えないぞ」


引き返そうかとも考えたが、露伴にはその気力も体力もなかった。
更に五分歩く。
突然露伴の目の前に、リボンのようなものが上下に現れた。

しかし、濃霧のせいで見えない。


その二つのリボンをつなぐように、ゆっくりと空間が裂け始めた。


露伴は構わずその空間の裂け目に入っていく。


露伴「…………」






〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜







???「文さんですか?」


山の岩肌の上で山の全体を見回している少女は後ろから近づく存在に見向きもせず答えた。


文「はい。暇そうですね。椛」


文と呼ばれた少女はポリポリと頭を掻いてからどうでもいいように言った。


椛「……ええ。それは、まあ」


文「まあ、とは言っても、あなたなんかは暇な方がいいんですがね」



椛「当たり前です。それ以前にこの妖怪の山に近づくものなどもう…………!!!?」


岩山の上で空を、山全体を眺めていた少女が山に起きた異変に気づく。



文「どうしました?椛」



椛「……侵入者です。いきなり現れました。文さん。ちょっと行ってきます」


剣をしっかりと握り直して走り出す椛。



文「あ、ちょっと待っ……」


それを静止しようと手を伸ばした文だが、既に椛の姿はなかった。


文「……行ってしまいました」



文は首を傾げて、それから嘆息をついて、言った。


文「うーん、私も行ってみましょうか……」


文(椛だけでは心配ですし。相手も、椛も……)

露伴「……なんだ。霧が急に晴れたぞ」


露伴「また山か。……おいおい。幻想郷とやらにはいつつけるんだ。まったく」


露伴は考えていた。
編集長から聞いていた道とはここまで、あのトンネルをくぐるまでだった。
あとは行けば分かるから、との事で、早々に電話を切られてしまった。


露伴「とにかく、あの女にもう一度電話をして……」



携帯を取り出し、電話番号を入力した。
そして耳に当てようとしたその時。


露伴「……??」



携帯電話が耳に当たる感触がなかった。
不思議に思って見てみると、なんと携帯電話の半分から上が、綺麗にスッパリと斬られてなくなっていたのだ。


露伴「ッ!?」


露伴(スタンド攻撃かッ!?)




露伴が辺りを警戒していると、露伴をぐるっと囲む木々のどこからか、声が聞こえてきた。


「〜〜人間よ〜〜」


露伴「誰だッ!?」



「〜〜今すぐこの山から立ち去れ〜〜」



露伴「……!帰り道が!?」


露伴は後ろを慌てて振り向いた霧が晴れてまだ数歩。
自分の歩いてきた道にトンネルの出口などはなく、また、多くの木々が生茂っていた。


露伴(……何か、おかしいぞッ!?霧の中でトンネルを出たなら必ずあの木にぶつかっているはずだし、トンネルが見当たらないし、そもそもさっきの濃霧はどこに行ったッ!?)



露伴「……不可解なこと、だらけだ」


「〜〜動くな!!〜〜」


露伴「…………」


「〜〜怪しい行動をとるな。すぐにこの山から出て行くのだ〜〜」


露伴「……あなたは、こちらが見えているのか?」


「〜〜なに?〜〜」


露伴「見えているのかと聞いている」


「〜〜ああ、お前がこの山に入った瞬間からずっとな〜〜」


露伴「……そうか。それなら話は早い」


そう言うと露伴は息を吸って、ゆっくりと吐いて、戦闘態勢に入った。



「〜〜ッ!?怪しい行動をとるな!〜〜」



露伴「『天国への扉』【ヘブンズドアー】!!!」


露伴が叫ぶと、彼のスタンドがその姿を表した。


描く漫画。
『ピンクダークの少年』の主人公である少年と同じ容姿のビジョンが浮かび上がる。


「ぎゃふ!」


露伴の後方の木の上から何かが落ちた。


露伴「……君か。こんイタズラをしたのは」


椛「…………」


露伴「えーっと、なになに?」



落ちてきたのは、椛だった。
顔が本のページのようにパラパラになって、気絶している。


露伴「……白狼天狗!?こいつ、人間じゃないのかッ!?〜〜〜〜ッ!?なんだこの年齢は。ヘブンズドアーが嘘を書くわけないのは分かっているが、こんなことがあるのか!?」


そのページには、椛が今まで生きてきた記録が書かれていた。
露伴は現状を理解するために注意深くその本を読んだ。


露伴「……そうか。既にここは幻想郷なのか。……フムフム、なるほど。ここは妖怪の山でこいつはそれを守る下っ端妖怪……。妖怪、か」



あらかた情報収集を終え、椛を舐めるように見た。

人間よ少女の容姿に犬のような耳と尻尾。


露伴「……なるほど。犬耳や猫耳なんてのは、創作の中じゃ溢れかえっているが、実在するとなると、こうなるのか。それに妖怪……」



耳を触ってみる。柔らかい。
尻尾を触ってみる。モフモフだ。


露伴「……接着面はどうなっているんだろう。………………フム。耳は頭からそのまま伸びているのか。尻尾の方は……なるほど、尻尾の付け根の周りから毛が生えているんだな」


椛の顔の本に5分後目を覚ますと書いてか
ら椛を元に戻し、スケッチブックを取り出してスケッチを始める露伴。
注意深く丁寧に、その身体の細部に至るまで書いていった。



露伴「……尻尾は。……絵じゃ分からなかったが少し臭うな。やはり人間と同じ容姿でも獣は獣なのか。それに耳は二つずつある」



新しい玩具を買ってもらった子供のように目を輝かせて椛をまさぐってはスケッチしていく。
他人の創作を貶めるつもりはないが椛を
見ると、それら全てがやはり創作の物でしかなくリアリティにかけていると思った。
しばらくそんなことを考えていると、後ろから声がかかった。


文「へー。上手いものですねー」





露伴「…………」


文「あ、怪しい動きをしないで下さいよ。鴉天狗はあなたが瞬きをする間にあなたの首を飛ばせますから」



露伴「…………わかった」



文「そのまま聞いてください。あなた、椛に何をしたんです?」


露伴「……何も。気絶させただけだ」



文「……へえ。じゃあ次の質問です。……あなたはこの山に何をしに?」



露伴「漫画の取材だ」


文「漫画の取材……なるほど。もしかして、あなた、外の世界から来ました?」



露伴「……僕たちが生活している世界を幻想郷の住人は外の世界というのか」



関心したように露伴は言う。


文「……やはり、そうですね。もうすぐ日がくれます。山の頂上に神社があるのでそこまで行ってください。夜の山は本当に危険ですよ」



露伴「……承知した」


そこで露伴は瞬きをした。
激しい風が吹いて、慌てて目を開いたが、そこにはあの鴉天狗の姿も、白狼天狗の姿も、何もなかった。


露伴「……また、歩かなければいけないのか」



そしてまた、歩き出す。

すいません
今日はもう終わりです

どっかで読んだ気がする 前書いてた?

>>12
すいません
完結させてないのだったら似たようなのを……
一応完結させたのだったら吉良吉影と幽々子のやつを……
書かせていただきました……

…………………………


…………………


…………
露伴「……ついたぞ」


ちょうど完全に日が落ちたと言える頃、岸部露伴は文に教えて貰った神社についた。


露伴「……ごめんくださーい」
神社の裏に回り、見つけた玄関を叩いく。


「はーい」



奥から返事が聞こえた。
タタタ、と大きくなっていく足音を聞くと同時に緊張感が大きくなっていく。
今度はどんな未知の生物に会えるのか。
しかし神社ということはもしかすると本物の人間が住んでいるのかもしれない。
それはそれで岸部露伴にとって好都合だった。


??「はーい、すいませんすいません。どなたですかー……ってあら?」


現れたのは緑色の髪をした少女。
この神社の巫女だろうか。
それにしては少し過激な服装をしている。



??「……人間?こんな時間に?参拝者の方……じゃないですよね……?」


露伴「初めまして。岸部露伴です」


自己紹介を軽くして、少しタメを作ってから重さを計るように開く。
自分がこれから口にする言葉が、聞いてもらえる望みの薄いお願いだということを分かっているからだ。



露伴「いきなりですまないが、今夜一晩泊めていただきたい」


相手の巫女の眉がピクリと動いた。
少し驚いた表情をしながらも、何と無く行き場が無いことを察してくれたのか、表情が柔らかくなった。


??「ご丁寧にどーも。東風谷早苗です。……泊めて、ですか。まあ、こんなところでなんですから、とりあえず上がってください」


東風谷早苗(こちやさなえ)。
そう名乗った少女はぺこりと頭を下げて岸部露伴を招き入れた。



露伴(話の分かる人で助かった。ヘブンズドアーを使わずにすみそうだ)

早苗「どうぞどうぞ。座ってください」


部屋の空気がピタリと止まる。
照明の光がチリチリ痛い。
その部屋には女性と子供が一人ずついた。


横になって煎餅をつまんでいた女性は煎餅を口に咥えると慌ててあぐらをかいて座った。
少女の方は涎を垂らして机に突っ伏しながら半分寝ている状態だったのが完全に覚醒した。
慌てて涎を袖で拭いて起き上がる。



早苗「……あはは。すいません諏訪子様、神奈子様。今晩この方が泊めて欲しいとおっしゃってて」


神奈子様、と呼ばれた女性が頬を赤く染めて、コホン、と前置きしてから口を開く。



神奈子「ええ!私は全然いいわよ!」


もう一人の少女も、女性の方をチラリと見てから了解、といった目線を送ってこちらを見た。


諏訪子「部屋も余ってるし、良いんじゃない?」


早苗「はい!……それじゃ、余った部屋に案内してきます。」


そして、早苗はこちらに向き直った。
爛漫の笑顔を見ながら、露伴はこれが罠でないかと心の端に、何か引っかかっていた。


早苗「こっちについて来てくださいね。露伴さん」


露伴「あ、ああ……」


早苗「食事の用意は今からなのでお部屋で待っててくださいね」








露伴は部屋に紹介された後、スケッチブックとペン、鉛筆など数種類の道具だけを持って、縁側でその景色をスケッチしていた。


幻想郷でなければ、この"死"を現実のものとする夜の森の暗さを肌で感じることは出来ないだろう。
明らかに現実のただ暗いだけの森の姿ではないのだ。


露伴(素晴らしい……。創作意欲が湧いてくるッ!昼間の妖怪もそうだがもしかするとこの幻想郷に来て正解だったのかもしれない……)


熟練のプロの手は、正確に、速く、そしてこの森の恐ろしさを完璧に写し取っていた。
そうした事をしていると、タタタ、と二人分の足音が聞こえてきた。


諏訪子「ヘェー。上手いもんね〜」



神奈子「あら本当。凄いわね」


露伴「…………」


諏訪子「……凄い集中力ね」


神奈子「邪魔しちゃ悪いわよ。行きましょ」


チラリと二人の方を見る。
目線は諏訪子の帽子を捉えていた。


露伴「待ってくれ」

神奈子「あら?」


露伴「君たちは人間なのかい?ここに来る前に妖怪を見た。そして今もその帽子を被ってる女」


突然指をさされ、質問の方には反応出来ていない諏訪子。
ポカンとして口から言葉が滑る。


諏訪子「……え?私?」

露伴「そうだ。お前だ。その帽子、まるで生きてるみたいなんだが、後でちょっとよく見せてくれ」


露伴は当たり前、といったように失礼な言葉を投げかけた。


神奈子「……ふーん。諏訪子、アンタ舐められてるわよ。フフフ」


諏訪子「なによ!あいつ!三十年生きてないようなやつにお前呼ばわりされたんですけど!?」


神奈子「まあ、そうね。見た目がちんちくりんじゃーねー?」

諏訪子「…………ムカつくわねー」

露伴「あとお前!」

神奈子「…………!」


神奈子も、お前呼ばわりされる。
隣にいた諏訪子は神奈子とは逆方向を向いて口を押さえていた。


露伴「そのしめ縄はなんだ?ファッションか?そもそも浮いているように見えるんだが……」

諏訪子「ブフゥッ!!」


諏訪子がついに、吹き出した。

………………………


………………


………


早苗「えー!?露伴さん、あの『ピンクダークの少年』の作者さんなんですか!?」



露伴「……あ、ああ」


早苗「感激ですよー!私と神奈子様と諏訪子様がまだ外の世界にいた時の数少ない楽しみの一つでしたから!こっちに来ても香霧堂に置いてあるページの抜けたピンクダークの少年とか飛び飛びですけどちゃんとチェックしてますし!」


早苗が作った料理を四人で囲んでつついている中、東風谷早苗だけが箸を置いて身振り手振りでオーバーに露伴に質問を投げかけている。
露伴も疲れた様子を見せながらも、この後の色々な"頼み事"のためにそれを邪険にはしなかった。


諏訪子「へー。そんなに面白い漫画書いてんの?」


早苗「ええ!それはもう!現実じゃあり得ないものまでリアリティが凄いんですよ!生理的に気持ち悪い(グロテスクな)シーンもありますけど、迫ってくるようなスリルと、個性的で本当に居るような登場人物、特徴的な擬音、コミック表紙に描かれた登場人物のカッコいいポーズが魅力的なんです!!」


神奈子「へ、へえ、そうなの」


早苗「それで、露伴さん!もしかしてこの幻想郷に漫画のネタを探すためにいらしたとか……!?」


露伴「あ、ああ……。まあ、そんなところだ」



早苗「まあ……」


目をキラキラと輝かせ、さらなる質問の弾丸を口に込め直す早苗。
これはまずい、と思った神奈子が先に口を開いた。


神奈子「あ、ああ!露伴、そういえばアンタ、どうやってこの幻想郷に来たの?」


露伴「なに?どうやって……?A県の山にあったトンネルからだな。あそこを抜けるとこの妖怪の山についていた」


神奈子「ふーん」


一転。騒がしい空気がピシャリと音をたてて閉じた。

神奈子「…………それはおかしいねぇ」


早苗「………外からこちらに繋がるトンネル……?」


怪訝な顔をして神奈子は言葉を続ける。


神奈子「……この幻想郷に普通に外の世界から真っ直ぐなんで来る事のできる人間なんているとは思えないんだけど」



露伴「なに?」

神奈子「そもそも、この幻想郷には強力な結界がはられていて、普通の人間じゃ入ることも、出ることも出来ないんだよ」



露伴「……!?出ることも、か?」



神奈子「やっぱり知らなかったか」


一瞬の間。
その一瞬が、神奈子の言葉に重みを増す。


神奈子「……まあ、なんだ。アンタがこの山に突然現れたってのは私も何と無く感じ取ったし、心当たりがないわけじゃない。最悪、私がアンタを元の世界に返してやることも出来るが……」


露伴「…………」


そして、何か思いついたようにポンと手を叩いて露伴を見た。


神奈子「……そうだ!どうだい?幻想郷を取材に来たんだろう?しばらくここを根城としてみなよ」


露伴「……ほう。願ってもない提案だ。それで、何が条件だ」


実際、願ってもない提案だった。
昼間のように、白狼天狗に襲われた時も、気がつかない内に携帯電話が真っ二つにされていたのを思い出す。
あれが初めから自分を狙った攻撃なら、露伴はそれを防ぐ術を持っていなかっただろう。
とにかく、この幻想郷での歩き方、みたいなものを露伴は知る必要があったのだ。
ただ、この女性、露伴の見立てではそこまで無償でやってくれるほどの軽さは微塵も感じていない。


神奈子「へぇ。察しがいいね。なに、簡単な話さ。私ら守矢神社の名前で新しく漫画を書いてもらいたい」


漫画を書く。それを簡単な話とした神奈子に少しの憤りを覚えた。

露伴「……なに?」


神奈子「どうだい?」


露伴「……嫌だね。僕はプロだ。書きたい漫画以外書く気もない」


神奈子「……言うと思った。なら、さっきのピンクダークの少年を初めからこの幻想郷で書いておくれよ。守矢神社の名前をちょこっと載せてくれるだけでいいんだ」


神奈子はわざとらしく、そして大袈裟に笑ってみせた。


神奈子「こちらも血を流すことになるかもしれない。簡単な、条件だろう?」


露伴(……出来ないなら、この山に放り出して元の世界に返してもやらない、ということか)


そして、その後で、神奈子の言葉が引っかかった。


露伴「ム……、血を流すことになるかもしれない?だと?」


神奈子「お、乗ってきたね。……ズバリ、幻想郷にいる間の寝泊まりをうちでしていい。ここまではさっき話したとおり。……あとは、取材にアンタの護衛役としてうちの早苗を付けよう。道案内にもなるよ。ただ、それはこの幻想郷では少し危険なんだ。昼間、白狼天狗に襲われただろう?またあんなことが、あるかもしれない」


露伴「…………」

願ってもない条件。
普通の人間なら、もっと前の段階で快諾していただろう。
しかし、露伴は違った。


露伴「……嫌だね」


神奈子「……あらま」


意外、といった表情。


露伴「そんな条件、のまなくても僕にはあなた達に言うことを聞かせる方法がある」


神奈子「………………へえ」


面白い、やってみろと言いたげに、神奈子は机に手を置いた。
諏訪子、早苗共に緊張感が走る。


露伴はおもむろにスケッチブックを広げて一瞬でピンクダークの少年を書き上げた。
今の露伴にそんな事は必要ないが、気分的にそうしたくなったのだ。
自分の力を示すために。

発動される『天国への扉』【ヘブンズドアー】



三人の目線が集中した今、一瞬で全員顔が本のようになり無力化する。



……はずだった。



露伴「〜〜〜ッ!?」



神奈子「……フム」


諏訪子「……へえ」


神奈子「強力な精神の力だね」


諏訪子「人間のくせにやるじゃん!どうやってここまでたどり着いたか疑問だったけどこんな手の内があったなんてね」


やはり何か不思議な能力があったか、と言ったように別段驚く様子も見せない二人の神。

しかし、


神奈子「諏訪子、早苗が普通にやられてるわよ」



諏訪子「あら?……えぇ!?早苗!早苗!?」


結果、露伴の能力に倒れたのは東風谷早苗ただ一人。


露伴「……何故だ」



神奈子「……まあ、チャチな人間の精神が本物の神様相手に通用するかって言えばどうかしらねってところね」


諏訪子「……あんた、早苗を今すぐ戻しなさい」

神奈子「まあまあ諏訪子。私達がいるんだしそんなに心配しなくても……って早苗が本になってるじゃない!」


諏訪子「…………」


心配する素振りを見せながら、早苗の顔に手をかけていく諏訪子。
それを覗き込む神奈子。


神奈子「……なになに?あら?凄い!ほら見て諏訪子。この子の経歴やら経験やら色んな事が書いてある」


諏訪子「あらほんと」


神奈子「えーと、『私は神奈子様と諏訪子様が大好きです』だって」


諏訪子「可愛いこと言ってくれるじゃないの〜」

と、あるページで諏訪子の手が止まった。


神奈子「……あら、こんなことまで…………」


諏訪子「……まあ」


神奈子「……これはちょっとねぇー」


二人は顔を赤くして、そのページを凝視している。


諏訪子「あらー。この子やっぱりね〜」


神奈子「(露伴、あんまり早苗にくっつけ過ぎてもいけないわね。露伴の方が危ないかも)」


諏訪子「(でもそれはそれでこの幻想郷でずっと漫画を書いて貰える口実になるかもよ?)」


神奈子「(ちょっと、アンタ早苗を売る気!?)」


露伴「……そんな馬鹿な」


忘れていた、というように神奈子は慌てて露伴を下から全体、舐めるように見た。


神奈子「……コホン。……まあ、そうね。露伴。とりあえず、アンタのその能力説明して、早苗戻して、そんでもって早苗に謝って、それから交渉の続きと行こうじゃないのさ」



露伴「……ッ」


露伴は、その言葉に抗う事は出来ない。




……………………

………………

…………



神奈子「なるほどねー」


露伴「…………」


神奈子「便利な能力ね。ヘブンズドアー」


早苗「もう、酷いですよ露伴さん」



露伴「……すまない」


神奈子「まあ、許してやりなよ早苗。この人は外来人だよ。今信用できる人がいなくて皆敵に見えてんのさ」


早苗「神奈子様がそういうなら別にいいですけど……」


神奈子「まあ、岸部露伴。とりあえず、じゃあ気が向いたら、漫画書いてくれないかね。私らも信仰を集めるために必死なのさ」



露伴「……信仰を?」


神奈子「興味のない話になるかもしれないが、私とこいつは神様でね。外の世界で信仰が得られずこっちにお引越しした言わば雑魚よ」


自分を雑魚、と表現するのは、へりくだっておけば、露伴はこちらの頼み事を聞きやすくなることを神奈子は分かっているからだろう。


諏訪子「信仰のない神様は力を失うからね……」

少し俯く諏訪子。


神奈子「アンタ程の漫画家ならこっちの人里の興味を引くことも容易いだろ?私達もアンタを助ける。アンタも私達を助ける。それで行こうじゃないのさ」



露伴「……一枚絵でいいなら、こっちの取材の合間に何枚かは書けるはずだ」


神奈子「おお!やってくれるか!」



露伴「……仕方がない」



神奈子「よし!交渉成立だ!そうと決まれば今日は飲もう!」


露伴「な、ちょ、…………」


そうして夜は、ふけていった…………




………

……………

……………………





〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜




??「アア……完璧だ……」


幻想郷。
ここは人里離れた原っぱで、一人の男と三人の少女がセッションをしていた。


??「今のはたしかに完璧にマッチしてたな!」


??「最初はどうなることかと思ってたけどね……」


??「でも……これが、ロックなんですね……」


明「アア……これが、ロックだ……」



ウットリ。



…………

………………

……………………



すいません
今日は多分終わりです

初めて見たけど期待
吉良吉影と幽々子のって奴、気になるからスレタイおしえて




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



??「さとり様!大変です!」


西洋風の一室に、さとりと呼ばれた少女は静かに佇んでいた。
慌ただしく扉を乱暴に開けて、もう一人の少女が入ってくる。


さとり「あら、お空。どうしたの?そんなに慌てて……」


お空「地底に、地底に……」


お空と呼ばれた少女が言い切る前にやれやれといった感じで続きの言葉を遮った。


さとり「はいはい。大岩が落ちてきたのね。……それで?」


お空「は、はい……。皆が大騒ぎしているみたいなんで……」


さとり「……それで、皆が大騒ぎしているからなんとなく慌てて私に伝えにきたわけね」


お空「はい!そうなんです!」


さとり(……お空の言葉と心の中だけじゃ、なにが話の本質か分からないわね)


と、次の瞬間、さとりは目を丸くして、ゆっくりと言葉を吐き出した。


さとり「……この地底に、隕石が降ってきたですって……!?」


お空「……あ!そうだ、いんせき、たしかお燐がそんなことを……」


さとり「…………」


さとり(やはりお空では当てにならない。お燐を呼ぶべきね。……いや、でも、そもそも地底に隕石……!?そんなこと、本当にあるのかしら……)




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



??「はあ〜、わたしもお姉ちゃんみたいなもっと強いペットが欲しいなぁ」


地底から幻想郷の地上に出るためにフラフラ歩いていた少女は独り言を言いながら考えた。
姉のペットのカラスとネコは強くて姉を慕っているのに、自分にはそんなペットはいない。
妖怪の山に自分のペットを強くしてもらいに行ったのだが、それも失敗に終わってペットに対する欲がどことなく強くなっていた。


??「はぁ〜」


時々、少女とすれ違う妖怪は、まるで彼女がそこにいないかのように振舞っていた。
マネキンの並べられた道を歩いく感覚を感じながら、少女は、退屈そうに空を見上げる。
そこに、キラキラと光る星が見えたのだ。


??「あれ、何かな」


そして、駆け出す。
その光を見失わないように目でおいながら、その落下地点まで一心不乱に走った。



??「わあ……!」


ドゴォッ!!!


凄まじい音とともに、目の前に小さなクレーターを作った。
小石が頬を叩き、爆風が少女を揺らした。


??「……見つけた」


それは、人の形をしていたようにも見えた。


少女はさらにピッチを早めて、爆心地に近づいた。


??「……うう、ここは……」


やはりそうだ。
筋骨粒々の、男だった。


??「ここは地底よ」


??「ムゥ……貴様は……」


こいし「わたしはこいし!古名地こいしよ!」





>>31
ありがとうございます
結構今回も似た部分があるのであんまりオススメ出来ませんがタイトルは
幽々子「吉影様、夜風が気持ちいいですね」
です




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



??「……おじさん、誰?」



薄暗い、部屋の中、綺麗に光る宝石が列をなして浮いている。
その真ん中には、紅い瞳が不気味に揺らめいていた。


??「……ここは……!?」



??「ここはわたしの部屋。それより、おじさん、どっからはいってきたの?」


??「分からない。……気がついたらここにいて……」


??「ふーん、まあ、どうでもいいけど」


??「そうか……」


闇を切り裂くように、二つの瞳の下に、不気味な半月が現れ、そこから音が発せられる。


おじさん、そう呼ばれた男は、その言葉は、泥が耳と目を塞ぐような恐怖と不気味さを合わせた気色の悪い感覚を覚えた。


……そして、次、その半月から最悪の一言が発せられる。


フラン「おじさん、フランと、遊びましょう」




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



??「あら?なにかしら?」


ここは幻想郷。
霧の湖付近に建っている巨大な洋館だ。


その主、レミリアスカーレットは、椅子に肘をついて、うつらうつらとしていた。
吸血鬼である彼女にとって、この朝が早い時間帯はあまり得意ではなかった。
しかし、その眠気を飛ばす些細な"コト"がおきたのだ。

下の階の方で、大きな物音のようなものが聞こえた気がしたのだ。


また妖精メイドが何か倒したか、などと考えたが、それにしては気味が悪い音のように感じた。


レミリア「……咲夜ー!」


レミリアは自身の身の周りをお世話するメイドの名前を呼ぶ。
しかし、返事はない。


レミリア「……変ね」


いつもなら咲夜が既に傍に立って「はい、なんでしょう」などとこちらの指示を待っているものだが、今回はそれがない。


レミリア「……ん」


ピクンと、レミリアの小さな鼻が膨らんだ。



胸に引っかかるものを感じて独り言を続ける。


レミリア「……仕方ない。私が確認してきましょうか」


いつもなら、そんなことはしない。


……が、今回は少し確認しなければならないだろう。


吸血鬼であるレミリアの鼻先をとらえたもの。

それは、


ーーーー血の、臭い。












コツコツ、とワザと地面を鳴らしながら、下の階の廊下を歩く。


レミリア「……血の臭いが、強くなってきてるわね」


コッ、コッ、と、心臓を内側から叩く何かを感じながら、レミリアはその部屋へ近づく。
鼓動が、レミリアの足を早く動かせた。


レミリア(フランが、妖精メイドを玩具にしたか、それとも、咲夜が門番をまた叱っているのか)


レミリアは首を降って、その甘い考えを振り払う。


レミリア「……違う」


部屋の前に立ち、感じとった。

その、邪悪な気を。



レミリア「…………」


そして、ドアの取っ手にてをかけた…………

ヒュー


ヒュー


息が、息が上手く出来ない。


目の前に散らばっているのは二人分の妖精メイドだったもの。


その凄惨な光景の中、お嬢様の椅子に腰をかけてニヤニヤと男が笑っている。
アイツが……アイツがやったんだ……。



ガチャリ



誰かが、入ってきた。

まさか……!?


「さ、さくや……?」


やはり、お嬢様……。


ダメです。逃げてください。

声が、声が上手くでない……。


「……貴様が、この館の主、か。なんだ、タダのガキではないか」



「……アンタが、"コレ"をやったの……」



「"コレ"?もしかして、この部屋に散らばっているゴミの事か?フフ、たしかに。私だな」


「……殺す!」


ダメです。お嬢様……。
あなたでは、あの人の世界に入れてもらえな……。


ーーーー『世界』【ザ・ワールド】!!!




~~~~~~~~~~



??「ミスタさーん?どこですかー?」


一人の少女が、男に声をかける。


縁側でガチャガチャと作業をしていたその男は、ゆっくり振り向いた。


ミスタ「あーん……。なに、うどんげちゃん」

うどんげ「わ、どうしたんですかミスタさん。ものすごく疲れてますね。お買い物行けって師匠が……」


ミスタ「いや、俺はパスだ……。昨日食ったあのすげーうめーやつ?なんていうの?」


うどんげ「肉じゃがですか?」


ミスタ「そうそう。それそれ。そのジャガをさ、4個食ったか3個食ったか考えてたら眠れなかったんだよ……」


うどんげ(……そんな、どうでもいいことで……)


ミスタ「皿には3個入ってたのは数えたんだけどな……。『アイツ』が面白がってオレが余所見してる間に一個ジャガをいれたかもしれねーんだよな」


呆れた顔でうどんげも、肩を落とす。
そして、覚えてもいないことをとりあえずこの単純そうな男に合わせてみた。


うどんげ「……いや、いやいや!私も見てましたよ!たしかにあの人はミスタさんのお皿にジャガイモを入れましたけど、それは2個!2個ですよ!2個!つまりミスタさんは5個のジャガイモを食べたんです!」


ミスタ「……マジ?」

うどんげ「マジです!マジで!」


ミスタ「マジかよォ~~~!はやく教えてようどんげちゃん!オレついに今日死んじまうかってくらいなやんでたよ~~~~!」


うどんげ「はい!それでは買い物を……」


ミスタ「オッケ~オッケ~。任せてよ」



「待ちな!」

うどんげが手に下げたバッグをミスタに渡そうとしたその時、後ろから声がかかった。

ミスタ「…………」


うどんげ「ああ。最悪のタイミングだ……」


頭を抱えるうどんげを尻目に、男はズカズカとミスタに向かって近づいて口やかましく責め立てた。


??「テメーか!?人の靴に鉛玉ブチ込んだアホヤローは!?」


ミスタ「……ああ。残弾が四発だったからどっかで二、三発減らしたっけな。どうかしたか?ホルホースさ・ん・よ〜」


??「……へへ、そうかい。ナルホドナルホド~」


男はミスタから背を向けて離れていく。


ホルホース「今日という今日は我慢ならねーーーッ!テメエの頭を俺のナイスなブーツとそっくりにしてやるぜーーッ!」


ホルホースは振り向くと同時に銃を構えた。
それに反応し、ミスタも銃口をホルホースに向ける。
反射的に二人は西部劇の決闘のような、その状況に持って行ったのだ。
二人の発砲のタイミングは同時だった。


うどんげ「ミスタさん!ホルホースさん!家の中ですよ!」


弾丸はその爆発によって速度を増して銃口から飛び出た。
ミスタの銃弾には、小人が見える。
大きな声で何か叫んでいるが、それもうどんげの怒りからしたら些細なことである。


ーー弾丸は直進し、二人の目には、お互いの眉間にブチ込んだのが見えたはずだったが、しかしそれは叶わず、二つの弾丸は急に方向を変え、空を切り一つは縁側からそとに出て竹林に飛び込み、一つは障子を破って部屋の奥へ消えた。


うどんげ「ああー!障子がー!また師匠にどやされるじゃないですか!!ホルホースさん!ミスタさん!今度こそ一緒に謝ってくださいよ!!!」


ホルホース「……お、おい、ダンナ、買い物行かなくていいのかよ」

ミスタ「……お、おお。そうだな」


ミスタ(今うどんげの瞳が赤くなった気がしたが……気のせいか)


そして、今度は一転、熟練の夫婦漫才でも披露するかのような早業で、逃げ出したのだ。


うどんげ「……ああ!待ってください私もいきますよー!」


そして、うどんげは慌ててその二人を追った。




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



『妖夢〜。今日は用心してこの白玉楼を守りなさいよ〜。絶対、悪い奴が来る予感がするわ〜』


そう言いつけられて、少女は目を瞑りながら集中力を高める。


妖夢「……幽々子様、今度は何を企んでいるのでしょう……」


いつもの戯れと分かりながら、何者がやってきても、今日この日、この時だけは主人の言いつけを守らなくてはならないと、妖夢は思う。


たまに、同じようなお願いをされることがあるが、その時は決まって相手が強力であった。


今回も、そうに違いない。


そして、先程から白玉楼ーー妖夢の背にある屋敷へ続く階段に足をかけるものがいる。


妖夢(大丈夫。今回は負けたりしない。体調も万全だし、過去の自分よりも私はずっと強くなってる。それにーー



それにーー
この楼観剣と白楼剣さえあれば……


斬れぬものなど、あんまりない!)



「さあ、来い!」


「オヤ?サムライじゃねぇか?」




妖夢「参る!」


妖夢の初撃。


??「おっと」


それはいとも容易く受け止められた。
男の手に握られた、ーー鉄球によって。


ジャイロ「お、おい。いきなりなにすんだ!」


妖夢は距離をとり、間合いを計る。

ーー次で、決める。



妖夢「問答無用ッ!」


妖夢は一歩踏み込んだ。

ジャイロ「ッ!?」

と、同時に男の手から鉄球が放たれる。
妖夢はそれを薄皮一枚でかわした。

妖夢「……もらった!」


そして一撃。

ーーしかし、妖夢の一撃は虚しく空を斬る。


妖夢「なに!?」


妖夢は後方に凄い力で引っ張られたのだ。
その方向を見ると目を疑うようなことが起こっていた。


妖夢「鉄球が……私を引っ張って……」


先程避けたはずの鉄球が、妖夢のスカートに絡まって凄い勢いで回転していたのだ。


ジャイロ「ガハハ。ニョホ」


ジャイロは笑うと、もう一つの鉄球を妖夢の右足の脛辺りに放り投げた。


妖夢(まずい。防御しないと……)


しかし、服を後ろから引っ張られているせいで、半ば上に仰け反る形となって上手く剣を振ることは出来なかった。


コツン、と軽く当たっただけで、妖夢の足に入っていた力はスッと抜けてしまった。


妖夢「きゃっ!」


そのまま鉄球に引っ張られ、後ろに盛大に尻餅をつく妖夢。


妖夢(こ、この鉄球は……なに?どんな能力なの?)


無駄な思慮をしている事に気がつくと、妖夢はジャイロの方向を慌てて向く。


目の前には、大きな手が差し伸べられていた。


ジャイロ「大丈夫かい?お嬢ちゃん」


妖夢「…………!」


ジャイロ「…………?」


妖夢「ま、参りました……」



既に鉄球は二つ、ひとりでに跳ねて男の手にすっぽりと収まっている。

ジャイロ「…………!オイオイ、お嬢ちゃん。オレは何も命の取り合いしてるわけじゃねぇんだからそんなに落ち込まなくても……」


命の取り合いをしてるわけじゃない。
その言葉は妖夢の心にさらなる追い打ちをかけた。
この人間は、私の本気で、命を取る危機にすら感じていなかったというのだ。


ジャイロ「……それにしても、おたく、軽すぎやしねぇか?ホントに人間?ってか……」


不思議そうに辺りを見回す。


ジャイロ「ここ、どこ?」


妖夢「……ここは、白玉楼です」


ジャイロ「ああ……そう。なあ、もしかしてここ……アメリカじゃ、ない?」


妖夢「アメリカ……ですか?全然違いますが……」


ジャイロ「ああ。オレはちょっと大事な大事な用をやり残してよォ……」


妖夢「あなたは既に……死んでいます」


ジャイロ「ああ……!」


ジャイロの目に悲哀が浮かんでくる。


ジャイロ「やっぱり……。やっぱり、そうか。オレはあの時……」


妖夢「…………」



??「はい、そこまで!」


突如妖夢の後方から女性の声が聞こえてきた。


妖夢「幽々子様……」


幽々子「あらー、やっぱり負けちゃったのね妖夢」


妖夢「幽々子様〜」


それはあんまりだ。
とでも言いたげな妖夢だったが、幽々子は素知らぬようにジャイロを見つめる。


幽々子「初めまして。白玉楼の主。西行寺幽々子よ」


ジャイロ「どーも、ジャイロ・ツェペリだ」


幽々子「長旅で疲れたでしょう。どうぞ、今日はここで体を休めていって」


ジャイロ「……せっかくの好意だが断らせて


言いかけて、幽々子はそれを遮った。


幽々子「大統領との戦いなら決着したわよ。ジョニィの完全勝利で」


ジャイロ「……!ホントかッ!?い、いや、それより、あんた、ジョニィを知ってんるのかッ!?」


幽々子「まあ、その事も含めて話すから、とりあえずこちらにいらしたら?」


ジャイロから妖夢へ視線を移す幽々子。


幽々子「妖夢。いつまで尻餅ついてるの?ジャイロを案内してちょうだい」


妖夢「は、はい!」

多分、今日はここまでです
すいません
コメントくださってる方、全てに反応は出来ませんがありがとうございます

??「はい、そこまで!」


突如妖夢の後方から女性の声が聞こえてきた。


妖夢「幽々子様……」


幽々子「あらー、やっぱり負けちゃったのね妖夢」


妖夢「幽々子様〜」


それはあんまりだ。
とでも言いたげな妖夢だったが、幽々子は素知らぬようにジャイロを見つめる。


幽々子「初めまして。白玉楼の主。西行寺幽々子よ」


ジャイロ「どーも、ジャイロ・ツェペリだ」


幽々子「長旅で疲れたでしょう。どうぞ、今日はここで体を休めていって」


ジャイロ「……せっかくの好意だが断らせて


言いかけて、幽々子はそれを遮った。


幽々子「大統領との戦いなら決着したわよ。ジョニィの完全勝利で」


ジャイロ「……!ホントかッ!?い、いや、それより、あんた、ジョニィを知ってんのかッ!?」


幽々子「まあ、その事も含めて話すから、とりあえずこちらにいらしたら?」


ジャイロから妖夢へ視線を移す幽々子。


幽々子「妖夢。いつまで尻餅ついてるの?ジャイロを案内してちょうだい」


妖夢「は、はい!」

すいません
誤字で変なことなってるんで再投稿させていただきました

「ムム……!?」


ワシ、こんなにツヤのある手をしとったかのぅ?


それに心なしかいつもより目線が高い気が……。


肌もツヤがあるし、



プツン


「イチチ……」


髪も黒い!


「もしや……」


「お、おい!あんた、鏡を持ってないかのう」


「はあ!?鏡?まあ、あるにはあるけど……」


「ムム……。やはり!やはり!」


黒髪の巨躯の男は人里の通路のど真中で叫んだ。


ジョセフ「オー!ノーッ!」


ジョセフ「どういうことじゃ……。ワシが……若返っておる!」


それはまことに異様であった。
10代20代程の大男が、老人のような言葉を使っている。

周りの人々はチラチラと横目で見るが、なるべく近づこうとしない。

ジョセフ「……どういう、ことじゃ」


そして、自分を避ける通行人の一人を捕まえて言った。


ジョセフ「ここはどこじゃ!日本っぽいって事だけは分かるが……。そうじゃ!M県S市にある杜王町!杜王町はどこじゃ!?」


「ひぃぃぃい!知らねえよォ!そういう事は慧音先生にでも聞いてくれぇ!」


ジョセフ「慧音先生?」


「あそこの寺子屋にいる慧音先生だよォ!」


里の人間がビクビクしながら指さした場所には、木造の少し大きめの建物が建っていた。


ジョセフ「あそこじゃな?よし」

ふう、皆もやっと帰ったし、やっとゆっくりできるわね。


誰もいない教室で一人そんなことを考えながら、授業教材を片付けていく上白沢慧音。


それにしても、今日はなかなかに疲れたな。
さて、これからどうしようか。
読みかけの本でも消費しようか、それとも仮眠でもとってご飯にしようか……。


そんなアフター5OLよろしく余った時間をどう使おうか考えていた慧音の思考を切り裂く存在が現れた。


ジョセフ「慧音先生!」


慧音「あら?あなた……どこかで会ったかしら……」


やはり、ジョセフだった。


ジョセフ「ここがどこか知りたいんじゃ。ちょっと教えてくれんかのぅ」



慧音「…………」


頬をポリポリとかいて、困った表情を浮かべる慧音。
さすが幻想郷。
変なものがよく集まる。

………

………………

………………………



ジョセフ「……なるほど」


慧音「理解したか?」


ジョセフ「ウウム、この幻想郷の特徴みたいなものは理解出来たが……、何で若返った状態でこの幻想郷に生き返ったかまでは分からんということかのう……」


慧音「ええ。見たところ幽霊でもなさそうだし。本当になんでなのだろうな」


ジョセフ「……!いやいい!」


慧音「……?」


ジョセフ「つまり、ワシはもう一度この幻想郷で生きられるんじゃろ?結局、それだけの事じゃ。他には、なんも考える必要なんてなし、じゃな」


そう言ってニッコリと笑ってみせた。


ポン、と手を叩く。
そこで、ジョセフ自身が違和感を覚えた。
それはすぐにジョセフを興奮のピークにまで押し上げる。


ジョセフ「手が、手があるぞッ!!ワシの、なかったはずの手がッ!!」


慧音「……騒がしい奴だな」


ジョセフ「フフフ……」



慧音「……それはそうと、初対面でこんなことを言うのはなんだろうが……」



ジョセフ「?」


慧音「その言葉使い、変えた方がいいな。さっきから背中が痒くてかなわん」


ジョセフ「おお……そう、いや、若返ってたんじゃ、いや、若返ってたんだったな……」






〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


ここは薄暗い、冷たいレンガで四方を囲まれた部屋ーーというより、牢屋と言った方が正しいか。
出入り口は厳重な鍵のかかった分厚い鉄扉だけ。


一切の明かりはなく、ただただ闇が広がっていた。


フラン「あーあ、つまんない。もう壊れちゃった」


その中で、その闇を押し退け、更なるドス黒い闇を纏う一人の少女。


彼女の頬には、血が伝っている。



フラン「おじさん、おじさん、本当に死んじゃったの?よく考えたらね、こんな暗い場所じゃ、フランから逃げるなんてまず無理だよね。だから、お外で続きやろ?そろそろ夜もふけて来たし……」


しかし、返事はない。



フラン「ちぇーつまんないのー」





〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



ここは魔法の森。

そこには、二人の魔法使いが住んでいた。

「ぐ、ぐぁぁぁぁッ!!やめろッ!来るなッ!!」


おいおい。これで何度目だぜ。
随分うなされているようだが……。


「魔理沙、拾い物もいいけど、流石に人なんて拾ってきてどうするつもりよ。しかもすごくうるさいし……」



「仕方ないだろ。あんなとこに捨て置いたら死んじまうんだ」


「……それが?どうしたっていうのよ。今さらそんな命助けたって……」


「…………」






〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「君は、死ななきゃならないんだ」


妖怪「グォォォォォッ!!」


すげぇ。
すげぇよ。

これは……

「あ、兄貴!アンタすげーよ!兄貴さえいればこの幻想郷を手に入れることだって……!アタシの目的も速攻で叶うってなもんだ……!」


目の前の妖怪が、一瞬でチリになっちまいやがった……。



「幻想郷の支配……?そんなものに興味はないが……」


「いや、協力してもらうよ。絶対に……!」


「……フンッ、考えておこう」


「ああ、ああ!頼むぜ……」


(心が腐っている割には綺麗な手をしているじゃないか……。フフ……!しばらくこいつについて行って、平穏に暮らせる場所が手に入れば……!利用させてもらうぞ。小娘……)




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



「映姫様ー。やっぱりこっちからも逃げてったみたいですよ」


……事態は思ったより深刻ね。
強力な精神力をもったーースタンド使い。

死してなおこれ程の力とは……。


小町をもっと早く魂達が反乱を起こした場所にあてるべきだった……!


私の、監督責任ね……。


「小町、……仕方が無いわ。毒を持って毒を制しましょう。こちらも数人のスタンド使いを使って逃げていったスタンド使いを……もう一度、殺してもらいましょう」


「はーい。えーっとじゃあ、どれにしようかなー」


「……………」




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



「……面白いことになってきたわ」


「たしかに」


「フフフ……。たまには刺激をこの幻想郷に与えてあげなきゃ……」


「私の命を救ってくださって感謝しております。マドモアゼル」


「あら、私はただあなたから距離をあけてあげただけよ?やろうと思えばまたすぐにでも……」


「…………」



「余計なことは、しないで頂戴ね」



「フフフ……。わかっていますよミス紫……」

今日は多分これで終了です(二度目)

ストーリーを考えるとやっぱり同じキャラばっかりになりますね
閲覧ありがとうございます


今回は前作のifみたいな感じかな?

>>65
前回のを忘れてもらって新しく別のを書いたなみたいな感じで読んでもらえると気が楽です




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


うどんげ「いやー、結構買いましたね」


人里から永遠亭に帰る道中。
食料を二袋分いっぱいに買い、それを一つずつ抱えたホルホースとミスタを尻目に、二人に荷物を任せて悠々と歩くうどんげの姿がそこにはあった。


ホルホース「ダンナ、これは買い過ぎじゃねェかい?」


ミスタ「……俺もそう思う」


一気にムッとした表情になるうどんげ。


うどんげ「お二方が大飯食らいなんですからそれくらいがちょうど良いんです!」


へいへい、と分かってましたといった様子の二人。
ホルホースは、唇を鶏みたいに突き出したあと、思いついたように自分の思っていた軽い疑問を、ミスタにぶつけてみた。


ホルホース「……そういや、ミスタのダンナ……どうしてこの幻想郷に?」


ミスタ「……急にどうした?」


ミスタの表情が一瞬固くなったのをホルホースは見逃さなかった。


間違いねェ……。こいつは同業者の匂いがしやがるぜ……。


ホルホース「いや……。話したくないんだったらそれでいいんですがね……」


別に興味があるわけじゃねェし、とホルホースは続けた。

うどんげ「……今度は本気の喧嘩でもしてるんですか?」


うどんげが心配そうに、下からホルホースの顔を覗く。


ホルホース「い、いや、そんなんじゃ……」



うどんげ「そうですか!それなら良いんです!」



こっちも食えねえ奴だ。
などと心で毒づきながら、ホルホースは自分の境遇を思い出す。


幻想郷に来た理由……か。


……俺はディオが死んでから、……まあ、ある意味生きる目的みてェなもんを見失っちまった。Jガイルのダンナはもういねーし、ガキとこれ以上一緒に悪さする気にもなんねーし。


そんでフラフラ〜っとしてたら、このアホと会って、色んなとこに喧嘩売って、襲ってくるバカ相手にしてたらいつの間にか永遠亭に流れ着いてたんだっけか……。


ホルホース「……あれ?そういやオレはいつからこの幻想郷にいたんだ?」


ホルホースが自分にだけに聞こえるくらいの声量でボソリと呟いたが、どうやら地獄耳のうどんげには聞こえていたようだ。


うどんげ「……え?」




ミスタ「…………」


ミスタは荷物を運びながら話している二人を一歩引いたところで見ていた。


ミスタ「……こんな場所がまだ世界にあるんだな……。暑苦しい熱帯のジメジメした恐ろしい自然でもねえ……、暗い冷え冷えとした不気味な自然でもねえ、こんな爽やかな安らぎの持てる自然が、よォ」



人里まで行く時には目につかなかった花々も、今ではよく目に付く。

名前なんか知らねえが……、綺麗だ。


そんなことを考えながら、ミスタは二人に目を戻した。


ミスタ「……あ!?」


ビクッと肩を震わせた二人。


ホルホース「いきなりどうしたんだダンナ、野菜でも落っことしたか?」


ミスタ「い、いや、なんでもねえんだ。ちょっとこっちの用事よ。こっちの……」


ミスタがははは……と笑ながらも気になったのかチラリと道端を見た。



ホルホースもうどんげも既に歩き始めていたので気がつかなかったが、ミスタが驚いたのは、うどんげが道端に咲いている花を踏んでしまったからだった。


ミスタ「……俺がちょうど良いなぁって思っていたころに……。気持ちが良くねえな……」


普段のミスタなら絶対しないことであろうが、ちょうど花の美しさに気を取られていたところ、その花が無惨な姿に変貌をとげた。
ミスタにはそれが気持ち悪かったのである。
たとえるなら、細い道で道を譲ってくれた人が、自分と別れてすぐ事故にあったのを見るような……そんな悲しい気持ちだった。


ミスタ「……」



ミスタは二人に気づかれないように、花を起こして、付いたドロを払ってやった。


ミスタ「……よし」

しばらく歩いていると、ミスタはある違和感に気がついた。


ミスタ「……うどんげ、道を間違えてねえか?」


ホルホースとうどんげが足を止めてミスタの方を見た。



うどんげ「え?いや、絶対……」


明後日の方向を見ながら一呼吸置いて、自信なさげにうどんげは続けた。


うどんげ「……とは言い切れませんけど合ってるはずです」


ホルホース「…………」


うどんげは首を傾げて考える。
ホルホースは下を向いて黙った。


ホルホース「……ダンナ。もう少し、ついて行ってみましょうぜ」


ミスタは違和感を感じていた。


ミスタの言葉で、ホルホースもそれに気がついたようだ。


……花が、明らかに多い。
次第に道も見えなくなった。
三人ともとっくに気がついてはいたが歩くのはやめなかった。
ただ花の量が増えただけであって、それ程の危険は感じていなかったからだ。



うどんげ「……道は間違ってないです」


ホルホース「……別に疑っちゃいねえよ」


ミスタ「……しかし、こりゃどういうこどだ」


うどんげ「……おかしい、ですね」


「クスクス……」


後方で、女の笑い声が聞こえた。

三人が一斉にそっちを振り向くと、咲き誇る背の低いひまわりの中、明るく晴れた日だというのに傘をさげた、緑の髪の女性が口元をおさえて立っていた。


ゆうか「フフ、はじめまして……。私は風見幽花よ」

うどんげ「…………」


三人に緊張感が走る。


先に動いたのは、ホルホースだった。



ホルホース「……はじめまして。綺麗なお嬢さん。オレはホルホース」



幽花はクスクスと笑う。


幽花「あら、キザね。……ホルホース。夜まで覚えていられるかしら」


ホルホースが緩めようとした緊張の糸を、また引きちぎる勢いで張らせた幽花。
その綺麗な顔についている大きな目は、殺意をはらんで怪しく煌めいているようだった。


ホルホース「お、おい……」


ミスタ「さがれッ!ホルホース!」


ホルホースが振り向いた。
同様に殺意を放つミスタに驚きを隠せない表情でミスタを見ているうどんげの姿があった。
ミスタは腰に下げていた銃を幽花に向けている。と


幽花「……あら、人間風情が。クスクス……。勝負、開始ね」


ニタリと口角を上げて笑う幽花は心底楽しそうであった。


風で花びらが宙に舞う。
風の音だけが、ヒューヒューと音をたてて幽花の髪を揺らしていた。


うどんげ「弾幕ごっこです!」


一瞬の静けさの中うどんげが声を出した。
これには幽花もキョトンとした顔で、うどんげに注目した。


うどんげ(……まずい。
アレは高クラスの妖怪。
今人間二人を守りながら戦える相手では……ない)



うどんげ「私たちが何をしたか知らないですけど、何か非があるなら謝ります。とにかく、ここで殺し合いはダメです!やるにしても、弾幕ごっこです!」


幽花「…………」



考える"フリ"をする幽花。


たしかにそれがこの幻想郷において至極真っ当な事であることは間違いない。
しかし、いまの幽花は、怒りでそんな事は知ったことではなかった。



幽花「……無理ね。既に私は銃口を向けられた。今さら……弾幕ごっこなんかで……」


ここにきて初めて明確な感情が、顔を覗かせた。


幽花「許しはしない」



それは、怒り。






パァンッ!



幽花がそこまで言って、鳴ったのは一発の銃声。


ミスタ「……逃げろォォォッ!」


ホルホース、うどんげ、ミスタは一目散に逃げ出した。


幽花「……はあ?ふざけないでよ。こんなもので……。逃がすわけ、ないじゃない」



銃弾は地を割って現れた巨大な植物の根っこに阻まれ、潰れて地面に落ちた



三人の背中を見ながら、自分のなかでも歯止めの効かない感情に、あえて身を任すことを決め、三人を追うためにゆっくりと動き出す。


幽花「…………」

…………

………………

……………………


ホルホース「ありゃあいったいどうなってんだッ!」


三人は永遠亭までの道を大きく外れて森の中を駆け抜けていく。



幽花「私の子供達をよくも……」


ミスタ「左から来るぞ!」


うどんげ「このまま右に逃げましょう!」



幽花は自身の能力で植物を操り、三人の足をなんとか止めようとする。


うどんげ「今度は右です!」



ミスタ「……ッ!しつけぇ!」


うどんげ「なんであの妖怪はあんなに怒ってるんですか!」


ミスタ「…………!」


ミスタには心当たりがあった。
そう、あの時のうどんげが踏んだ花だ。
……しかし、それだけで命を狙われるなどと、あまりにも異常すぎる。
だが、今のミスタにはそれくらいしか心当たりがなかった。


ミスタ「……もしかして」


うどんげ「なにかわかったんですか!?」


ホルホース「ミスタ!右だ!」


ミスタ「〜〜〜〜ッ!?」


幽花が怒っている原因を考えることに気を取られていたのか、ミスタは右脇腹に迫るスピアのような木のツルの存在に気がつかなかった。
危うし。
これは、ミスタには避けることはできない。
ーーが、ホルホースはミスタよりも早くこの木製の槍の存在に気がついていた。
ホルホースは、手をミスタの方に構えて、叫んだ。


ホルホース「ッ!『皇帝』【エンペラー】!!」


突然、ホルホースの手に拳銃のビジョンが現れる。うどんげにも、幽花にも見えていない。
見えているのは、スタンド使いであるミスタただ一人。
ホルホースはエンペラーで、ミスタの腹を撃った。


ミスタ「ッ!?」


そのまま直進すればスピアどころではなく、ホルホースの銃弾がミスタの腹を捉えてしまう。
しかし、ホルホースのスタンド『皇帝』【エンペラー】は、ーーその軌道を、操ることが出来る。
木製の槍を捉えた後、その弾丸は軌道を変え、さらに木の中を進んで破壊していった。

ミスタ「すまねえ!ホルホース」


ホルホース「礼はいいが……。ダンナ!このまま逃げててもラチがあかねえぞ!」


幽花「そうね、そろそろ終わりにしてあげるわ」



この勝負、幽花はわざと通常より遅い速度で走っていた。
三人に聞きたいことがあったからだ。
そして、三人は気がつかない。
もう、詰みの状態であることに。


幽花「…………」



幽花が左手をゆっくり横薙ぎに払う。
ーーすると、三人の目の前に左からゆっくりと大木が姿を現した。
当然のように三人は右に方向転換をする。



幽花は、それを見て、ニンマリと笑ったのだった。





ミスタ「……ッ!?うどんげ!ホルホース!行き止まりだぜ!」


大木を避け、さらにまた大木。
先程と違うのは、三人をぐるっと囲むように隙間なくそびえ立っているということ。
一本一本が太く、たくましく、そしてその側面には見たことのないような毒々しい色の花がところどころ見え、まるでお化け屋敷のオブジェのようであった。



幽花「……あら、鬼ごっこはもうおしまい?」


うどんげ「……」


後ろからゆっくり幽花が歩いてくる。
植物を操る大妖怪は、余裕の表情で三人を射程に捉えていた。


ミスタ「……なあ、オレ達が何をしたっていうんだ?やり合う前にそれだけ教えて欲しいんだ」


幽花「……冥土の土産よ」


ミスタの考えが正しければうどんげが花を踏んだというところだが……。



幽花「私の子達が殺されたの」


やっぱり。とミスタは思った。


ミスタ「子達ってのは……その……、アンタの育てた花のことか?」


幽花「……ええ」



ミスタ「ほらみろ!うどんげ、謝っとけ。な?」


いきなり振られたうどんげは狼狽して目を丸くさせた。


ミスタ「お前が気づかないうちにお花踏み潰してたんだよッ!」


うどんげ「あ、そうだったんですか!?幽花さん、本当にごめんなさい!」


頭をぺこり下げるうどんげ。
幽花はというと、額に深い皺を刻みながらうどんげを睨みつけている。


幽花「何を勘違いしてるのか知らないけど、そんな一本踏み潰したくらいで命まで取りはしないわよ」


ミスタ「ありゃ?」


うどんげ「全然違うじゃないですか!」



幽花「……私がゆっくり、丹精込めて一番大きくしたひまわり畑が……。ううん、それだけじゃない。もっといっぱいの私の子達が……。全て、氷漬けにされてたのよ」


うどんげ「……!?そ、そんなの、私達は知りません!それに、そんなイタズラ、氷精くらいしか……」



幽花「……今、幻想郷で異変が起きている」



うどんげ「……!」

異変。
これまで何度か幻想郷起きた特異な現象のことだ。
その全てが妖怪や人、神までもが引き起こした現象であった。
そしてやはりその全てが、博麗の巫女の手によって解決されている。
今回もその異変が起きたと幽花は言ったのだ。



幽花「……氷精は違うわ。彼女、私が行ったころには既に虫の息だったもの……」


うどんげ「……?」


幽花「先日、この幻想郷で、外来人が"爆発的に"増えた」



ミスタとホルホースが顔を見合わせる。
俺たちのことか?と目が言っていた。


幽花「そしてその外来人は……スタンド、と呼ばれる特殊能力を持っているわ」


ホルホース「……!」


幽花「あなた、あの見えない弾丸のようなもの、まさしくそうじゃないかしら?スタンド使いでないとスタンドは見えないそうだし」


ミスタ「あ、ああ……たしかにそうだが、でもな、やっぱりそれが俺たちの命を狙うって事とは関係ねえように思えるんだがよォ……」



幽花「もう一つ話があるの。私の子達が殺された時に、地獄から使者が来たわ」


うどんげ「小町さんですか?」


幽花「ええどうやら、スタンド使いが地獄から逃げ出して幻想郷で悪さをしているらしいの。……私はその時に、彼女から『スタンド使いは皆殺しにしていい。いや、地獄のメンツにかけて殺さなければならない』と言われたわ。もちろん、こころよく協力を引き受けたわ。……いつか氷のスタンド使いに会える日が来るはずだから」


怒りが、目から滲み出ている。
それは涙のようにも見えたし、自分の子供の死を思う気持ちそのものでもあった。



うどんげ「だから……二人を」


幽花「ええ。あんた達スタンド使いを見てると、虫唾が走るのよ」


ホルホース「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくれ!俺達はまだ死んじゃいねえぜ!?」


ミスタ「そのとおりだ!オレ達を勝手に殺すんじゃねぇッ!」


幽花「……」


ホルホース「……まあ、アンタの言い分は分かった」


ただの八つ当たりじゃねえか……と、言葉を飲み込んでホルホースは続ける。


ホルホース「でもな、オレ達二人は、この幻想郷に来るのに地獄なんか言った覚えなんかないんだぜ?」


幽花「……それが本当なら、ここまで私があなた達を追いかけ回したのが無駄になるわね。でも、あなた達もスタンド使いでしょ?」



ミスタ「……」



幽花「それが、本当ならね、もう追いかけ回す理由にもならないんだろうけど」


そこに来て、初めてうどんげは、"幽花が戦闘態勢に入っている自分の目を見て話している"のに気がついて、慌てて目をそらした。


幽花「でも、もう関係ないわぁ……。スタンド使いは、殺さなきゃ」

すいません
今日は終了です

うどんげ「皆さん!!きますよ!!」


三人を取り囲む大木に無数に咲いている禍々しい色の花が風船のように膨らみ始めた。
一瞬早く反応したうどんげは、その花々を膨らんだ段階で次々と撃ち落としていった。


花々は一斉に破裂し、打ち出すはずだった拳大ほどの巨大な種子をボトボトと落として、同時に花粉であろう黄色い粉も、花を起点に波のように広がった。


ホルホース「〜〜〜〜〜ッ!?ダンナ、くるぜえッ!」


ホルホースもエンペラーで、花々をなぎ払っていくが、さすがの数である。


ホルホース「……ッ、仕方ねえ……。こういう時、色男は辛いんもんだぜッ……」


ケッ、と喉を鳴らし、ホルホースは何を思いついたか、うどんげが攻撃していた方向に、自身もありったけの弾丸を浴びせた。みるみるうちに、一方向ーー後方の大木が丸裸になっていったが、結局、全体で見れば花々の一部しか破壊する事はかなわなかった。



幽香「……終わりね。また次のスタンド使いを探さなきゃ……」


そして、狂気の魔弾は三人を目掛けて発射される。


種子と花粉が一斉に残った花から高速で発射され、三人を襲う。

黄色い煙の中にありったけの種子が飛び込み、最後には土煙の茶色も花粉の黄色と混ざり合って、異様な空間を生み出していた。



ーーやっと、煙が晴れた頃、幽香は目を凝らしていた。

スタンド使いの息の根をしっかりと止めたか確認するためだ。


幽香「……あら、しぶといのね」


そこに現れた光景は、悲惨なものであった。
無傷のミスタとうどんげは、尻餅をついて上を見上げている。
うどんげ双方目に涙を溜めて、口を魚のようにパクパクさせながら、言葉にならない声を必死に出そうとした。


ミスタ「……お、おい。ホルホース……。てめえ、なにやってんだーーーーーーッ!!!?!」


二人の目の前に立っていたのは、ホルホース。
血だらけで、二人を前方の種子から守り抜いた、男の姿だった。


ホルホース「へ、へへ……。どうせ、オレは……女は、殴れねえ。この戦いじゃ、足手まといよ……」



ホルホースは、ゆっくりへたり込んで、うどんげに体を預けた。


ホルホース「……うどんげ、こんな可愛い女の子守って逝けるんなら、オレも本望ってもんよ……」



うどんげ「い、いや、ダメですよ。ホルホースさん……。そんな事言ったら、ミスタさんが怒りますよ……。ほ、ほら、いつもみたいに喧嘩して下さい。ね?」



ホルホースは、答えない。
しかし、その顔は、やり遂げだ男の顔だった。
清々しい笑顔をしていた。


うどんげ「……まだ、息は、あります。ミスタさん」



ミスタ「……おう」


この幻想郷は、平和な世界だと勘違いしていた。
ボスに任務で任された時の事を思い出す。
ジョルノはなんと言っていたか、『スタンド使いよりも強力なバケモノがいる』らしい。と。
なるほど、とミスタは思った。

そして、男は覚悟を決める。

世界一のギャングキング、その男の右腕。


ミスタ「……うどんげ、しばらくの間、ソイツを頼む」



男の名はーーグイード・ミスタ。



ミスタ「来るぞーーッ!準備しろッ!ピストルズッ!」


No.2「行クゾ!仇ヲトレ!」


No.3「マダ死ンデナイダロッ!」


No.1「イイカラ早クシロ!」



ミスタのリボルバーに、額に数字の書かれた小人のビジョンが現れた。
それらはお互いに声を掛け合って、一発一発の弾丸についていった。



ミスタ「……ホルホース、さっさとうちに帰って、お前の横っ面殴ってやるからよ、待ってろよ……」


ホルホースは幽香に向き直り、リボルバーを構えた。


幽香「あら、茶番劇は終わったしら?……それで、その玩具で私をどうするつもり?」



ミスタ「…………」


ミスタは考える。
どうすれば、幽香の生死問わず、うどんげとホルホースを永遠亭に届けることができるか……。


幽香「来ないのなら、こっちから、行くわよ」

幽香がそう言って、何かする前に、ミスタは動いた。
ミスタは、構えたリボルバーから二発の弾丸を発射する。


No.3「イイィーーーーーーッ!!」


No.6「ハアァーーーーーっ!!」


一発一発に小人が一人ずつ乗っている。



幽香「…………」



幽香はそれを軽々と避けてみせる。


幽香「そんなもので、……舐めてるのかしら?」



表情が険しくなり、怒りが顔からチラついた幽香だが、その表情は次の瞬間にまったく逆のものに変わった。
通り過ぎた弾丸が、二発、"後ろから"自分の両足を貫いたのだ。


幽香「〜〜〜〜〜〜〜ッ!?」


ミスタ「よくやったピストルズ」


それと同時に、ミスタはうどんげに一瞥し、幽香にダッシュで距離をつめた。
うどんげも何かを察したようで、ホルホースを抱き抱えてミスタについていく。


幽香「フフッ、これがあなたのスタンドね」


ミスタは、幽香を抱いて、振り回し、先程自分達がいたところまで、投げた。


ミスタ「走れッ!うどんげ!!」


うどんげ「はい!」


幽香はふわりと着地し、あっけなく、うどんげは大木の囲みの中から脱した。幽香の狙いはあくまでスタンド使い。
既に瀕死のホルホースなどには興味がなく、幽香の次の目的はミスタに移っていたのだった。



幽香「……フフッ」


ミスタ「……振り返らず走れよ。うどんげ」


うどんげが脱したじばらく、轟々と音を立てて唯一あった出口が二本の大木に塞がれた。


幽香「……あら、あなたは逃げなかったのね」


ミスタ「……追われても困るからな」


幽香「……じゃあ、死んでくれる?」


ミスタ「……じゃあな、うどんげ、ホルホース。……すまねえ、ボス」


幽香は傘をさした。
禍々しい花々は、また膨らみ始め、ミスタを狙っている。
ミスタは、やっぱり昨日食ったジャガイモが、4つだったことを思い出し、仕方ねえが、やるしかねえ、と幽香にリボルバーを構えなおしたーーーー

時間がかかってすいません
今日はここまでです
閲覧ありがとうございました




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



ここは、どこだ。
よくわからない列を逃げ出して、どこからか外に出たのは覚えている。


「……ムッ」


風の流れが……変わった。


「……おっちゃん、おいしそうだね」



どこからかだ……。
足音も聞こえないのに声がする。
杖は……ないのか。


「……お腹空いてるからさあ、腕、一本でいいからちょーだい。私、最近全然ご飯食べてないの」


「君は……そこか」


風の流れが、おかしい。
多分、あそこ。
あそこに……。


「おじちゃん、私が見えるの?それに、人間のくせに私が怖くないの?」



「……君が誰だかしらないが、俺にそれ以上近づかない方がいい」


「ああ!おじちゃん、目が見えないんだね!よかったぁ、久しぶりにご飯が食べれる!」


む、……消えた。
どこだ!?どこからくる!?


「おじちゃん、いただきます」




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


??「小町!てめぇ!人を呼びつけといてサボってんじゃねぇッ!」


ここは 人里と山を結ぶ道の途中。
巨大な鎌を持つ、それに見合った背の高い女が歩いていた。
その隣にはその女よりさらに一回り大きな男が肩に兆の文字をつけた学ランを着て、並んで歩いている。


小町「ふぁあ……。形兆さん、大きな声出さないで下さいよ……。こんな夜に気張ったって疲れるだけですって……」


形兆「てめぇが寝床が用意出来てねえって言うからわざわざ人里まで行ってんだろうが!」


小町「ああ!もう、うるさいですね!じゃあここで寝ましょう!今夏で暖かいですし、おやすみなさい!形兆さん!」



いいながら、小町は道を少し外れて原っぱで大の字になって寝転がってしまった。



形兆「こ、小町……。オメェってやつは……」


小町の元までかけより、既に寝息を立てているその顔を見て諦めたように言った。



形兆「……ッ!オメェがそれでいいならそれでいいぜ……」


形兆はその場に座り込んだ。



形兆「……なんでだろうな、幽霊になっちまってから眠くねぇ」


形兆は、自分の学ランを脱いで、小町の上にかけたあと、夜の月を見上げてから横になった。




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


??「ンドゥール、ミミズとってきたけど?」


ンドゥール「……人間はそんなもの、食わん。もっとマシなものはないのか、ルーミア」


ジリジリと夏の暑さが肌を焼く。
場所は変わらずここは人里と妖怪の山を結ぶ道の上。
金髪の少女が隻腕の男の手を引きながら歩いていた。


ルーミア「あったら自分で食べてるよー」



ルーミアはポイッとミミズを口の中に入れて咀嚼した。


ンドゥール「それにしても、この幻想郷に入るものは、空中を自由に飛べるとは本当なのか」


ルーミア「そうだよ。例外もいるけど、人間以外は皆飛べるよ」


ンドゥールは焦っていた。
目の見えない自分としては、空を飛ばれるとまったく相手を見つける事が出来ないからだ。



ルーミア「……フフッ、それにしても、久しぶりに人間を食べたから、あまりの美味しさにまだ舌がヒリヒリしてるよ。ねー」


目で、もう一本の腕もくれと言っているのをンドゥールは感じた。
ダメだ、とハッキリ言って、この妖怪は本当に自分を医者に連れて行ってくれているのかという猜疑心も拭えなかった。



??「あら、妖怪さん、その男」


そんなことを考えていると、後ろから声がかかった。
女の声だ。


ルーミア「……だれ?」


??「ひょっとして、その男、外来人じゃ?」


追っ手か、とンドゥールの心臓が飛び跳ねる。


ルーミア「うん。そうだよ。目も見えないみたいだし、腕を一本くれたからお礼に迷いの竹林の先の医者まで連れて行くところなの」


??「ほおー」


足音から察するに女一人。
だが、女にしてはデカい。
そして重い振動が強い。


??「片腕を、ほおほお」



女?は動かない。



ルーミア「で、お姉ちゃん、誰?」


小町「私は小野塚小町。死神でさあ」



ンドゥール「ッ!?」


ンドゥールは身構えた。


小町「……やっぱり、あんた、ウチを脱走した輩の内の一人だね。さて、こっちに帰って裁かれてもらうよ」


ンドゥールは、戦闘態勢に入る。
腕の止血使っていたゲブ神を止め、どこから来ても大丈夫なように正面に配置する。
ンドゥールは、そこで何か心に引っかかるものを感じた。


小町「……お嬢さん、そいつ全部食べても良いって言ったらどうする?」



ルーミア「ほんと!?」


小町「ああ、だから、あたいが今からやることには目を瞑っておいておくれよ」



ンドゥールは、そこでやっと違和感に気がついた。


だが、遅い。



ンドゥール「……声の位置が、目の前の奴とはちが……!」



言い切る前に、ンドゥールの首は、胴体と分断された。


形兆「終わったか、小町」


小町「はいよ。……彼、相当の手練だったね。最初っから飛んでなきゃ結構手こずったかも」


小町の頬は、ンドゥールのスタンドによって切り裂かれて、うっすら血を引いていた。


形兆「……その鎌、斬れないんじゃなかったのか?」


小町「……フゥ、細かいことは気にしなさんな。形兆さん、次、行くよ」




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



??「なに〜〜ッ!?この幻想郷にもロックをやる奴がいるのか?メルラン」



メルラン「ええ。そうよ。明」



三人の少女と、一人の男が、巨大な洋館の一室で話をしている。


明「そうか……。幻想郷を見て回って、もしかすると、ここはとんでもねぇもんなんじゃねえかと思っていたが、音楽はなかなか進んでんだな……」


リリカ「嬉しそうですね。音石さん」



明「おうよ。死んで地獄来ちまって、どうしようかと思っていたが、またチャンスが回ってきただろうからな……」


ルナサ「そうか……。まあ、明の腕には程遠い。あれは最早騒音だよ」


フフッと、三人は笑う。


明「聞いてみねえと分かんねえよルナサ。ロックっての良いところは、楽器の良し悪したけじゃ語れねんだ」


なるほど、と三人は思った。
音石が何度も見せてくれたギターには、たしかに、"騒音にしか聞こえない"ながらも心を打つ音楽があった。


メルラン「……で、どうすんだ?明。この前死神がお前を探してたぞ!」



明「……せっかくもらった新しい人生だ。今度はやりてえことやって輝いて死ぬぜ」


三人の少女はニヤリと笑った。



音石明も、それに釣られて、ニッコリと笑う。


明「人間も妖怪も関係ねぇ……。全員気絶しちまうくらいのサイッコーのライブを、この幻想郷でやろうじゃねえか!」


三姉妹「おう!・うん・はい!」

ちょっと休憩します。
最近眠れなくて困ってるんでちょっと更新が深夜に多くなるかもです

おつ
眠れないとか大丈夫なのか

>>106
まあまあ大丈夫ですよ〜




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



??「クソッ!ナメやがってッ!」


ここは紅魔館前の湖。
その湖畔で男が一人、ポケットに手を突っ込みながら眉間に皺を寄せながら地面を何度も蹴っていた。



??「やっぱり葉なんてほれねぇじゃねえかッ!クソッ!立派な向日葵もサルスベリもアサガオも皆破れちまったッ!」


男は何度もつま先を地面に打ち付けて、目的もなくフラフラと歩いていた。


??「やっぱり確かめねえときがすまねぇ〜〜ッ!あるもんならこのギアッチョが掘ってやるから出て来やがれッ!」


ギアッチョと名乗った男は数々の広大な花畑を凍らせていったのを思い出しながら言った。



??「おい人間!」


ギアッチョ「あ?」


穴が足の甲まで届くぐらい掘れた頃、後ろから元気な少女の声がかかった。


??「そんなとこでなにしてんだ?」



ギアッチョ「誰だてめえは……。なんで飛んでやがる……」


チルノ「あたいはチルノ!羽があるなら飛べるだろ?お前こそ誰だ?」


チルノにとって、イライラしているギアッチョ相手に、この会話は文字通り最悪だった。
ゆっくりチルノに近づくギアッチョ。
目の前にある飛んだチルノの足首を握って、力いっぱい地面に叩きつけた。


ギアッチョ「じゃあよぉ……」


チルノ「お、おい、なにする人間!はな……ッッッ!?」


ギアッチョ「ペンギンが飛べねえのはなんでだろうなッ!!クソッ!ナメやがって〜〜〜ッ!!」



地面に叩きつけられたチルノの肺から、目一杯の空気が漏れた。
失った分の空気を求めて大きく開けた口に男は先程の地面を掘るように、蹴りを叩き込む。


チルノ「ゲハァッ!!」


ギアッチョ「オラッ!飛んでみれるもんなら飛んでみやがれッ!!」




ギアッチョ「……チッ!」


チルノがやっと動く気がなくなったとき、こんな大声を出して、地獄からの追っ手の存在を思い出し、そそくさとその場から離れるように思って、キョロキョロと周りを見渡しながら森の中に消えていった。


チルノ「痛いよう……」


実は、これを見ていた者がいる。


チルノの友人、大妖精である。


チルノが虐められているのを見つけ、すぐに紅魔館まで助けを求めに行ったのだ。



ーーが、大妖精がそこに帰ってくることはなかった。




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



魔理沙「ほら、飲め。ディアボロ。私特製の、キノコスープだ」


ディアボロ「あ、ああ……」


ここは魔法の森の中にある小さな木造の家。
その一室でベッドの上で上半身を起こし、手には小さなキノコスープの入った木製の皿を持った長身の男がいた。


ディアボロ「君は……」


魔理沙「私は霧雨魔理沙だぜ」



ディアボロ「ここは……」


魔理沙「私の家だ。大丈夫か?随分うなされてたみたいだが」



ディアボロ「あ、ああ……」


ディアボロは思い出す。
あのロードローラーに潰されたのが最後だったか、それともチンケなギャングの銃撃戦に巻き込まれたのが最後だったか……。
ともかく、ここで目を覚ました。


ディアボロ「…………」


魔理沙「どうした?スープが冷めるぜ?」



ディアボロ「あ、ああ……」


美味い、そういいたかったが、悲鳴以外の声を上げるのが久しぶり過ぎて言葉にならなかった。


魔理沙「……どうだ?」


ディアボロ「あ、ああ……」


魔理沙「そうか、良かったぜ」












寝ます
すいませんが、前の分をしっかり忘れておいてくださいね(。-_-。)
お願いいたします




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「目を覚ますのだ。人の子よ……」


どこからか、声が聞こえる。


ああ……、エリナ、最愛の人よ。
君は、助かったのかい?
出来れば、それだけは知っておきたかった。


そういう風な事を考えて、目に涙が溜まる。


「目覚めるのだ……人の子よ……」


ディオ……君は、きっとまだ生きているのだろうね。
何故か、そう思うよ。


「……人の子よ」


それにしても、ここはどこだろう。
天国についたのかな?
それなら、エリナを探さなきゃ……。



「もしもーし、人の子よー?」


ん?なんだかおかしいな。
感触が、まるで生きてるみたいに……。


「はよ起きろ!この私がせっかく起こしてやってるのに!」



「うわぁ!!?」





〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



ここは博麗神社。
境内では、一人の紅白の衣装に身をつつんだ巫女が、手を組んで仁王立ちしている。


霊夢「紫ー!」


少女が叫ぶと、露伴を幻想郷に連れてきたものと同じ"スキマ"が出現し、そこから金髪の大人びた雰囲気の女性が姿を現した。



紫「あら?バレてた?」


霊夢「あんた、また何か幻想郷に呼んだでしょ?」


紫「……ええ」


やっぱり、と言った顔で、霊夢はその女性を睨みつけた。


紫「そんな怖い顔をしないでちょうだい。たしかに、死人を連れてきたり、編集長になったり、敵方のギャングのボスになって私を相手の部下に暗殺させるようにしむけたり、刑務所内で殺人を起こしたりしたけど、それ以外は何もしてないわよ」


霊夢「逆に何をしてないのか聞きたいぐらいにしてるじゃないの!」



紫「……まあまあ落ち着いて霊夢」


霊夢「……」



紫「で、要件はなに?」


霊夢「……さっき、死神が来たのよ」


申し訳ない
>>1に書いとくべきでしたが、話の都合上時空が歪んで同じ時に各部の人達が生きていると思ってほしいです
混乱させてすいません
出来ればキャラの時系列はあまり関係ないものとしてお願いいたします(。-_-。)

それが?
と言った顔で紫は霊夢を見る。


霊夢「とぼけないで。あんたの仕業でしょ?スタンド……使いっての?それが地獄から逃げ出したのは」



紫「それは違うわ」


霊夢「……」


紫「その地獄の脱走の件は私は一切関与していないわよ。断言出来る」


紫(私が逃したのは音石明ただひとり……。嘘は、言ってないわよね)


ニヤリと意味ありげに笑う八雲紫を尻目にしかめっ面で続ける霊夢。


霊夢「ホントね?」


紫「ええ」


霊夢「じゃあ、地底に落ちた隕石については?」


紫「……?それは、なんのことかしら?」


一転して、驚いた表情で霊夢は紫を見た。


霊夢(……隕石の件は本当に紫ではないっぽいわね)



霊夢「……とにかく、これは異変ということよ」


紫「まあ……そうね」


霊夢「地獄から逃げ出したスタンド使いを全員とっ捕まえてやらなきゃ」

すいません
多分今日はおわりだと思います




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


何もない。
黒と紫の異様なコントラストで構成された空間。
足場のようなものも存在せず、ただグニャグニャと変貌する色だけがその空間を作っている。


そこに、二人の男女が向かい合って立っていた。
たしかに、立っていた。



紫「……まずいわね。計画が少し狂い始めているかもしれないわ。ヴァレンタイン、あなたの仕業?」


ヴァレンタイン「フフ……、私は常にあなたの目に届く範囲にいたはずですが」


男の言葉に、頷いて、少し怪訝な顔をして紫は続ける。


紫「今のままでも問題はないけど、"祭"は人が多いに越したことはないわ。……まったく、閻魔の名も落ちたものね。死者を逃すなんて……」


チッ、と舌打ちをする紫。



ヴァレンタイン「……それで、私を今ここに呼んだ理由は……」


紫「仕方がないから、あなたも地獄から逃げ出したスタンド使いを探してきてちょうだい。……私はちょっと、外から連れてきたお客様の監視で忙しいから」


ヴァレンタイン「了解した」


紫「……藍を貸すわ。出来るだけ、早急にお願いね」


男は、"スキマに挟まれて"その場から一瞬で消えた。




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



きのこスープを食べ終え、やっと少し落ち着きを取り戻したディアボロ。
そこでようやく数々の疑問が自分の中に湧き上がるのに気づき、なにから話せばいいのか混乱した。



魔理沙「もう、いいのか?」



ディアボロ「……ああ、ありがとう」



魔理沙「…………」



しばしの沈黙。
ーー数秒の間をへて、やっとディアボロは何を聞くか決め、口を開いた。


ディアボロ「俺が、眠って何日になる」


魔理沙「ん?あ、ああ……。そうだな、一週間もたたないくらいじゃないか?」



ディアボロ「……そうか」


最長記録だな、とディアボロは思った。



魔理沙「……元気になったか。よかったよかった」


口を大きく横に開いて笑う少女を見て、ディアボロもつられて口角が若干上がる。
少女はその後大あくびをして、その場で地面に横になった。


ディアボロ「お、おい……」


ディアボロは慌てて魔理沙を覗き込むように見た。
すぅすぅと寝息を立てて、既に少女は眠りについている。


ディアボロ「……」

ディアボロ「…………」


男は考えた。
こいつは何故私を助けたのだろう。
少女の姿は西洋に伝わる魔女の姿そのものであり、怪しい本と薬のようなものが散乱している。
男は違和感を覚えた。
もしかすると、自分の死はこれからではないのか?


男は思い出す。
一週間、という長い時間を生きて、忘れかけていたが、まだ終わりに辿り着く事は出来ないだと。


このまままた殺されても嫌だし、何かしらで死んでこの部屋を血で汚してやるのもバツが悪い。
ディアボロは、理由付けした後、背筋に張り付いた薄氷を振り払って部屋を出ることを決めた。



ディアボロ「…………」


途中、魔理沙の顔が目に入った。


少し考え、ディアボロは少女をそっと抱き抱えると、自分の寝ていたベッドに寝かせて上から布団をかけてやった。


ディアボロ「……ありがとう」


ドアに手をかける。



「……あら、とんだ恩知らずがいたものだわ。もう行っちゃうの?」

ディアボロ「……君は」


ディアボロの心臓が、一度大きく飛び跳ねた。
ドクドクと血流が加速し、この腕のカーブを曲がり切れずに血管を破って外に飛び出てくるのではというほどだ。


ディアボロは戦闘態勢に入っている。
しかし、心身ともに疲弊しきっている男のその構えは、父親から暴力を受ける幼子のように、雨の中外的から縄張りを守る子犬のように、弱々しく、そして無力であった。



アリス「……初めまして。人間さん」


部屋の影からどこからともなく現れた女性はクスクスと笑う。

初めからそこにいたのか、それとも今この場にちょうど現れたのか、ディアボロには見当もつかない。


アリス「私はアリス・マーガトロイド。そんな構えないで。今は、あなたに危害を加えるつもりはないわ」


今は。
その言葉に、ディアボロの心臓はもう一度大きく、ドクンと跳ねた。



ディアボロ「……何が用だ」



言ったところで、少女を取り巻く空気がディアボロにとって恐怖そのものである死が香るモノに変わった。



アリス「呆れたわ。人の名前を聞いておいて」



ディアボロ「私は、ディアボロだ」



アリス「……そう」


どうでもいい、といった彼女の態度に、ディアボロは困惑するしかなかった。
一体全体彼女達の目的はなんだ?
アリスと名乗った少女はそこの魔女の格好をした女の仲間か?


思考がグルグルと回転する。
と、いうよりもグニャグニャと溶け合い、混ざり合い、答えなど何一つ現れない。



アリス「……私は」


男の思考を止めるように、アリスは口をゆっくり開いた。


アリス「私は、魔理沙にそんな男は捨て置いておけばいいと言ったのに、もう手遅れだと、言ったのだけれど……」


すこし、雰囲気が変わった。



アリス「魔理沙はそんなこと一切聞かず、この一週間ほとんど寝ずにあなたを看病した」


ディアボロ「…………」


この少女が?
見ると、目頭は赤く腫れ、それに対して目下は青黒く濁っていた。



アリス「……なにか、巨大な力と戦っている、とかなんとか言ってたわね。私はそういう奴をほっとけない、ってね」


急に、ディアボロの心に罪悪感のようなものが現れた。
人を利用するだけして殺し、その人生の道中、実の娘すら手にかけようとしていた男が、何の罪悪感か、とディアボロは心の中で自嘲する。


アリス「……ここで、あなたに勝手に帰られても、……私が、嫌な気分になるわね」



ディアボロ「…………」



アリス「今日は、家に泊まっていきなさい。明日、魔理沙にお礼を言って。……その後で、身の振り方は決めればいいわ」


ディアボロ「……あ、ああ」





〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



「おじちゃん……ほら、パンだよ」


ゆらゆらと宝石の列が、こちらに近づいてくる。
唇ににパサパサした感触の物体があてがわれたのを感じて、口を開くと、その物体がゆっくり入ってきた。



「……こんなに丈夫な玩具、初めてだから、どうやって遊べばいいのか、分からないの」



男が少女にあてがわれたモノを咀嚼していると、続いてコップのような形のものが、手にあてがわれた。
男はゆっくりそれを掴んで口まで運ぶ。


水だった。



「……地下室には食糧庫があるの。おじちゃんに逃げられると嫌だから、フランがとってきてあげるね」



男は見えているのかどうか分からないが、その場で頷く。



「……もう少ししたら、また遊んでくれる?」



「……ああ」



「ホント!?フフフ……。よかった……」

多分今日は終了です
遅くなってすいません
これからはテストが終わったんでできるだけ毎日更新します




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


ディアボロ「……おい」



魔理沙「どうした?ディアボロ?」


ディアボロ「これは、一体全体どういうことだ」


アリス「あら?何か不満?居候さん」


魔法の森、魔理沙とアリスの家からそう遠くない場所で、ディアボロと魔理沙はアリスの傀儡人形に囲まれて立っていた。



アリス「今日は私の人形達の調整をし終わったばかりだから、その具合を確かめるのを手伝ってもらうわよ」


ディアボロ「グ……」


ディアボロは不安そうに魔理沙を見た。


魔理沙「大丈夫だディアボロ。死にはしないよ」


ディアボロ「…………死には、か」



魔理沙「ああ。死には、だ」


魔理沙はニヤリとイタズラな笑みを浮かべ、ディアボロを一瞥した。



そして数分後。


ディアボロはボロボロになった上、地面に突っ伏して動かなくなった。



アリス「あらら、もう伸びちゃったの?」


魔理沙「ハハハ、情けなないなディアボロ!」





………………………………


……………………


…………



ディアボロ「いい加減にしろッ!」



アリス「……?」


魔理沙「……?」


アリスの紅茶の入ったカップを持った手が止まった。



ディアボロ「毎日毎日、これでは体が持たん」


魔理沙「大丈夫だ。ディアボロ」



ディアボロ「……何の根拠がある」


アリスはああ、そんなこと、と言って紅茶を口に運ぶ。


魔理沙「ただの勘だぜ」



ディアボロは苦虫を噛み潰したような顔で二人の少女を睨んだ。


アリス「あのね、私がそんな見極めも出来ないように見える?」


ディアボロ「……」


アリス「現に、あなたは生きてるし、最近はそのモヤシみたいな体にお肉も付いてきたんじゃないかしら?」


ディアボロ「ムム……」



魔理沙「そうそう。それに毎日毎日たって、まだディアボロが起きてから一カ月もたってないぜ?」



ディアボロ「オレが起きてからほぼ毎日じゃないかッ!」



アリス「……まあまあ、いいじゃない。誰のおかげであったかい食事とこんな美味しいお菓子が食べれると思ってるの?睡眠だってベッドの上で暖かい毛布にくるまって出来るし」


そう言ってアリスは四角いクッキーを一つつまんで口に入れた。


ディアボロ「それは……」


アリス「ね?」


ディアボロ「……」

魔理沙「ハハハ、チョロい奴だなディアボロは」


ディアボロ「な……!」


魔理沙「じゃあ、今日は、最近頑張ってるお前に私が良いものをプレゼントしてやるよ」


アリス「……?」


ディアボロ「……?」


魔理沙「まあ、楽しみに待っとけ」

………………………………


……………………


…………


ディアボロ「……おい、魔理沙」


魔理沙「どうした?」


ディアボロ「これは、どこに向かっているんだ?」


アリス「……私も気になるわね」


魔理沙「ああ、じゃ、ここでいいか」


ここは木一本ないただの原っぱ。
魔理沙はそこに持っていたシートを広げて、ゆっくりとその上に胡座をかいた。


魔理沙「ほら、二人とも」


ディアボロ「あ、ああ……」


魔理沙はシートの上をパシパシ叩きながら、二人を急かした。
ディアボロもアリスも不思議そうな顔をしながらようやくゆっくりと座り、魔理沙の次の言葉を待っていた。


魔理沙「よしーーーー」


どこから出したのか、目の前には酒とアリスの家から(勝手に)持ち出したつまみが並べられていた。


魔理沙「ディアボロ、幻想郷に、ようこそ」



魔理沙「……今日は、星が綺麗だぜ」


魔理沙は両手を大きく開いて空を見上げる。
つられて二人も見上げた。
そこには、暗い幻想郷を盛大に照らす夜空を埋め尽くす程の星々に、まん丸とした月がその存在を主張していた。


魔理沙「……へへ。霊夢達はちょっと忙しいみたいだったから、先に私がディアボロの歓迎会でも、とおもったんだぜ」


アリス「……へえ」


ディアボロ「……ああ。なるほど。これは、いいものだな……」


その空の壮大さに心奪われた二人。
魔理沙も邪魔をしては悪いか、と小さな声で二人に言った。


魔理沙「……ま、じゃあ、飲んでくれ」


気がつくと、ディアボロの前には酒の注がれた小さなグラスが、ちょこんと置かれていた。

ディアボロは、ゆっくりと酒を口に運ぶ。


アリス「……魔理沙のくせに、面白いこと考えるじゃない」


魔理沙「ディアボロが家に来て、ちょうど一カ月だったからな。丁度いいと思ったんだぜ」

アリス「そう言えばこのお酒はどうしたの?」


魔理沙「霊夢のとこから持ってきた」


アリス「このおつまみは……こっちは私のだとして、こっちのキノコは魔理沙のよね?後のは?」


魔理沙「それも、霊夢のとこから持ってきたんだぜ」


アリス「……まあ、今は野暮な事は言うべきじゃないわね」


アリスはフフッと笑ってお酒の入ったグラスを口に運んだ。


しばらく、他愛のない話をしながら三人でゆっくりとお酒を減らしていった。


魔理沙が持ってきた一升瓶三本分のお酒のうち、一本終わる頃、アリスが眠たそうに目をこすった。


アリス「それにしても、魔理沙がこんなロマンチックなことを考えるなんてね……。頭でも打ったんじゃないの?」


魔理沙「アリス、わたしは初めからロマンチストだぜ」


アリス「ふーん……」


魔理沙が持ってきた一升瓶三本分のお酒二本が終わる頃、アリスからスゥスゥと寝息が聞こえて、魔理沙が目をこすり始めた。


魔理沙「……ディアボロ」


ディアボロ「……どうした?」


魔理沙「最近うなされなくなったんじゃないか?」


ディアボロ「…………」


魔理沙「そうか。良いことだ。……また、怖くなったらいつでも手を握ってやるよ。私も、アリスも、お前の味方だ」


ディアボロは思い出す。
自分の記憶が何度も自分の死を反芻していた時、それをゆっくりと打ち消すような力が手のひらに熱を帯びて伝わってきたのだった。
そうか。魔理沙が。とディアボロは思った。

一升瓶三本分全て飲み終えた頃、魔理沙はゆっくりと眠りについた。


ディアボロ「……フゥ」


ディアボロはゆっくりとため息をついて、熟睡している二人の少女を荷物のように担いで立ち上がった。


シートの上を見る。


……明日、片付けに来よう等と考えながら、帰路についた。



ディアボロ「……まったく」


………………………………


……………………


…………



魔法の森の中。

ディアボロは、焦っていた。


家の位置が分からない。


先程まで闇を照らしていた星々の光もここでは少ししか届かず、視界も悪い。


しかし、ディアボロは道は間違えていないと確信していた。


そもそも歓迎会は魔法の森をアリスの家から真っ直ぐ抜けただけの適当な場所にあったので、ディアボロは抜けて来た位置から入り、抜け出た角度にひたすら直進するだけで、アリスの家、またはその付近に行くことができるはずなのである。



慎重な自分自身が間違っているとはディアボロは一つも考えてはいなかった。
何かがおかしい。


そんなことを考えていると、ディアボロに向かって一粒の光の弾丸が飛んできたのである。



ディアボロ「……これは、スペルカードルールの……!」


ディアボロは二人を担いだまま横に避けた。


球の飛んでくる方向を見ると、さらに多くの弾幕がディアボロを襲った。


ディアボロ「誰だ……」


彼のスタンド。
キングクリムゾンが出せればこれしきの弾幕等何発来ようともものともしないだろう。
が、それはかなわない。

ディアボロ「何者だ!」



答える声はなく、代わりにさらに多くの弾幕がディアボロに向かってくる。


ディアボロ「……ッ!」


再度、また横に避けた。


焦りが心臓を引っ掻く。
まずい。どうする。
次第に忘れかけていた死の記憶が呼び起こされた。


向こうはスペルカードルールにのっとった弾幕勝負なのだろうが、無防備な人間があれだけの弾幕を喰らえば、良くて重症、最悪死にいたる。


不意打ちを仕掛ける奴がアリスの時のように上手い具合に調節などしてくれるはずもないだろう。


ディアボロは気が気でなかった。


ディアボロ「魔理沙!アリス!」


二人を呼ぶが、返事はなかった。
足が震え、動悸が激しくなる。



ディアボロ「……ここまでなのか」

弾幕は一瞬止んだかと思うと、今度は、これまでの比にならないくらい大量の弾幕が広範囲に、比較的ゆっくりとした速度でこちらに向かってくる。

赤と緑のコントラストが綺麗だと、はたから見れば思うだろう。


しかし、それはディアボロにとっては絶望の光以外何物でもなかった。



ディアボロ「……出ろッ!出るのだッ!『キングクリムゾン』!」



叫ぶディアボロ。
しかし、出ない。


森の木々を盾に使おうと考える。

だが、一番近い木も、相当距離があった。
あれだけ生い茂っていた木々が、全て遠い。


ディアボロ「……クソッ!」


アリスと魔理沙を抱えて背を向けるディアボロ。


ディアボロは、ハッキリと自分が弾幕の波に飲まれるのが"見えた"。


そこで、ディアボロの意識は途切れた。

随分時間がかかってすいません
これで今日はおしまいです

魔理沙「よ!ディアボロ。目は覚めたか?」


目を覚ますと、もう見慣れた風景が眼前に広がっていた。
木像の壁に本と怪しい道具で散らかった部屋、涼しい顔をした魔理沙が床に膝立ちのままベットに肘をついてこちらを見ている。



ディアボロ「…………私は」



魔理沙「いつつ……二日酔い気味でちょいと頭が痛いぜ」


ディアボロ「…………!!魔理沙!」


魔理沙「お、おお、どうした?」


謎の弾幕に襲われた事を思い出し、自分でも驚く程の大きな声が咄嗟に喉を通って空気を揺らした。
魔理沙の困惑した顔を見た後、おかしいのは自分なのかと思い直して気恥ずかしい感覚がディアボロを冷静にさせる。


ディアボロ「……大丈夫だったのか?アリスは?」


魔理沙「……ああ、なるほど。大丈夫だ。私もアリスも、なんともないぜ!昨日のは……まあ、知り合いのいたずらだろうぜ」


ディアボロ「いたずら……」


ニコニコしながら親指を立ててこちらに向ける魔理沙を見て、命を奪われる危機にヒリヒリとした身を焼く焦りを感じた自分と、どうすることも出来なかった絶望に身を任せた自分が、バカバカしく思え、一気に疲れがディアボロの背を襲った。



魔理沙「どうした?ディアボロ?」



ディアボロ「い、いや、……なんでもない」

頭を抱えるディアボロを尻目に、無邪気に笑っている魔理沙。


魔理沙らしいな。
とディアボロは思った。



魔理沙「ほら」



言われて頭を上げると、目の前には木製のお椀に中にはキノコのスープ。



ディアボロ「……魔理沙」


魔理沙「……どうした?」


ディアボロ「……お前、それしか作れないのか?」


魔理沙「…………」


少しの間。
魔理沙は苦い顔をして文句でもあるのか、と言いたげな顔をしてディアボロを睨んでいる。


魔理沙「……黙って食」



アリス「魔理沙!!」



突如、扉が勢いよく開いて慌てた様子でアリスが魔理沙の家に飛び込んできた。
片手にはだらんと垂れた紫色の物体。



アリス「紅魔館に急ぐわよ!」


魔理沙「お、おい、いきなりどうした?それにその紫色のは……パチュリーか?」


パチュリー。
そう呼ばれた物体はよく見るとうなだれた人の形をしていた。

パチュリー「うう……。この人形使い……。怪我してるって言ってるでしょ。離しなさ…むきゅ!」


プルプルと震えながら顔を上げたその少女は、力無く小さな声を振り絞っていたようだが、言いかけてアリスの手から地面に落ちた。



パチュリー「…………」



地面に突っ伏したままパチュリーは動かない。


パチュリー「……魔理沙」


構わず続けるパチュリー。


魔理沙「……お、おう」



パチュリー「……レミィを、助け……ハァ、ハァ」


魔理沙「……レミリアを?私が?いきなりどうした?」



パチュリー「……お願い。レミィを、レミィを……ゲホッ!ゲホッ!」


魔理沙「おい!パチュリー!」


顔を上げず、そのままのパチュリー。
顔は見えないが、とても苦しそうだ。
パチュリーは咳で頭を大きく揺らす。


アリス「……柄じゃないわね。あなたがそんなに取り乱すなんて」

パチュリー「……ハァ、ハァ」


魔理沙「……行こうアリス。ディアボロ、お前はパチュリーを見ててくれ。頼んだぞ」


魔理沙とアリスは、勢いよく家を飛び出す。


パチュリー「待っ…ゲホッ!魔理沙…ゲホッ!ゲホッ!待って……」

……行ってしまった。
手に持っていたキノコスープを地面にぶちまけて。


ディアボロは突っ伏したままの彼女を抱き起こし、自分の寝ていたベットに仰向けに寝かせた。


ディアボロ「泣いているのか?」


見ると、パチュリーの目には涙が溜まってウルウルと今にも溢れそうであった。


パチュリー「……あなたは?」


ディアボロ「最近、この家にお世話になっている」


パチュリー「……フゥ。最近、魔理沙が紅魔館に来なかったのはそういう事だったのね。ありがとう。礼を言うわ。あなたのおかげで魔理沙は今まで生き残っていた」


少女の頬に涙が伝う。


パチュリー「……でも、ダメね。ついにどうしようもなくて、助けを求めてしまった。……あなた、魔理沙逹を追いかけて。霊夢やうどんげも連れて行って、……見えない打撃が飛んでくる。と。あの二人だけでは、……ゥ、ゲホッ!!ゲホッ!!」



ディアボロ「……しかし、君は」



パチュリー「持病の喘息だから大丈夫よ!早く!!……!!」


ディアボロの心臓が飛び跳ねた。
涙を流す弱々しいその少女に、ボロボロで体も小さく震わせているその少女に、鬼気迫るその迫力に気圧され、黙って魔理沙の家を走り出した。
後ろの方で大きな咳が絶え間なく聞こえてくる。
ディアボロは不安にかられながらもかろうじて空中に見えた魔理沙たちの方向に走り出した。

今日は終わりです
ありがとうございました




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



暗闇。
いつもと変わらない暗闇。
自分がここに来て何日たったのかは分からない。朝も夜も、時間さえ。
少女が覚醒する度に襲ってくる光の球を避けて、避けて、この数日を生きていた。
耐えきれず、何度か彼女に手痛い一撃を食らわせたが、何故か、その度に彼女は喜んだ。
男は方は戦いの感触を思い出し、成長していくのが自分で分かって嬉しさとも取れる手応えを感じていた。

……だが、そんな刺激的な毎日も終わり今はまた違った様子だ。

男は初めて目を覚ました時よりは格段にマシな待遇を受けていると言える。


ゴツゴツした石畳みの上で目を覚ました自分は、今はいつの間にか用意された毛布とベットの上で寝起きしていた。
水しか与えられなかった日々にはパンまでついた。
……少女が自分と戦うのに飽きてきていたのだろう。
最近では"外の世界"について自分に質問してくるばかり。



チカッと、ベットに横たわっている自身の体の上で、規則正しくならんだ宝石達が輝きだした。



「おじちゃん、上に、行くよ」



眠っていた少女が、覚醒したのだ。






〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



ディアボロ「魔理沙ー!!」


ディアボロは自分でも知らない森の中の道を走りながら大声で何度も叫んだ。



ディアボロ「……ッ!」


しかし、その声は届かない。


ディアボロはその道が無限に続くような無力感を感じながら、魔理沙達を見失わないように同じ方角に全速力で駆けていく…………



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



魔理沙「……これはたしたかに」


アリス「……ええ。そうね魔理沙」


いつもとは明らかに違った紅魔館の様子に、二人はなんとなく門の中に一歩踏み出せないでいた。
窓からチラチラ見える妖精メイドのせわしない動きも、テラスに悠々と構えるメイドと紅魔館の主人も、今日はその姿を現す気配もない。



強力な力を持った紅魔館の主人ーーレミリア・スカーレット。
時を止める力を持った人間ーー十六夜咲夜。


この二人を押さえつけ、なおかつ、あの聡明なパチュリーまで不覚をとらせる力を持った敵。
その敵に打ち勝つ事は二人の持てる力以上のものを見せても難しいだろう。
それが分からない程二人はバカではない。



ーーしかし、戦わなければならない。
大事な友が、恥を忍んで、地面を這って、涙を流して手を伸ばしたのだ。



その手を……取って、必ず救い出す。


二人はゆっくり一歩を踏み出した。




……………………


………………


…………



魔理沙「……ッ!なんだ……コレ……」



紅魔館で、二人は驚くべきものを目にした。
特大の水風船が部屋の中心で爆発したように部屋全体に血液が散らかっている。



魔理沙「グ……。く、臭えぜ……」



アリス「次、行くわよ。魔理沙」



二人は鼻を塞ぎながらその部屋を後にした。



アリス「あれは……なに?」


魔理沙「私が知るわけないだろう!」


よく気にしてみると、紅魔館全体が先ほどの部屋のような異様な匂いと空気を含んでいた。
次の部屋も、また次の部屋も。
その気色の悪さに少女達の心もその"悪意"に蝕まれていった。



アリス「一体、どうなってるのよ!」


声を荒げるアリス。


魔理沙「だから、私は知らないって……アリス。深呼吸だ。ゆっくり、ゆっくり」



それを理解し、落ち着かせようとする魔理沙。
しかし、アリスは……。


アリス「そんなの!このくっさい空気をゆっくり?冗談じゃないわよ!」


魔理沙「お、おい……」


アリス「行くわよ。あの吸血鬼の部屋に!」


……………………


………………


…………



アリス「……ここね」


魔理沙「……ああ」


鼓動が周りに聞こえるのではないかという程大きく高鳴っていた。
血が背中に溜まり、冷え固まっている。


ここだけ、空気が違う。
そう二人は感じた。


周りの空気を吸い込み、そして禍々しくその性質を変え、吐き出す。
まるで部屋自体が一つの生き物のように呼吸しているかのようであった。



ここには他の部屋にある乱雑に散らかった悪意はなく、ただ純粋に鋭い、一本の"悪意"。


吐き気を催す程の邪悪。
ここに……今回の事件の大元がいる。
そう二人は確信して、魔理沙はドアに手をかけた。


魔理沙「……入るぞ」


アリス「……ええ」

今回は終了です!
ありがとうございました!



ギィィィ………


悪魔が口を開けるかのような邪悪な空気に飲まれないように、二人は気をしっかりと保ちながら、部屋の中へと踏み込む。



魔理沙「レミリア、いるのか……?




部屋を見渡してみると、案外、綺麗なモノであった。
いつもの、二人の記憶にあるレミリアの生活スペースそのものであり、家具や机、椅子の配置も変わらない。
ただ、二人の目を引く異物は、一つだけ……。



アリス「なに……?あの悪趣味な棺桶は?」



魔理沙「…………」



魔理沙も不思議そうな顔をしてその部屋の真ん中に置いてある棺桶に向かって歩いていく。


アリス「ちょ、ちょっと魔理沙!」



魔理沙「……開けるぜ?」



魔理沙は、棺桶の蓋に手をかけてアリスを一瞥したあと、ゆっくり蓋を横にずらしていった。





魔理沙が目にしたもの。


それは、"血で服がべっとりと汚れたアリス"だった。



魔理沙「……う、うわあああッ!」



アリスは、虚ろな目で魔理沙を見ていた。
まるで金魚のようにパクパクと動かしている口は、魔理沙に逃げてと伝えようと必死に動かしているものだとは魔理沙は気がつかない。



魔理沙「ア、アリス!なんでこんな……」


???「……気にいって貰えたか?私がたった今作ったオブジェは?」


突然後ろから声がかかる。
魔理沙は驚いて振り向くと、そこには金髪の筋肉質な男が立っていた。
男は続ける。


???「……フフ、久しぶりの客人だな」


魔理沙「なんだお前……」


DIO「私の名はDIO……。ようこそ、"私の館"へ……」


魔理沙「お前がアリスをこんな風にしたのか……」


DIO「フム……。まあ、私しかいないだろうな。こんな事が出来るのは」


魔理沙「…………」


魔理沙は次の瞬間、怒りに任せ、ミニ八卦炉を腰から前へ最短の距離で構えた。
そして、間髪を入れず、自身の最大火力の攻撃を放つ。


魔理沙「マスタースパーク!!!」



紅魔館の壁を次々に突き破り巨大なレーザーは空を切り裂いた。
途中、不幸にも飛んでいた鴉の妖怪を地に落としたのを魔理沙ら知る由もなく、塵と化した紅魔館の残骸を睨んでいた。


怒りで、肩を震わせている。



魔理沙「フゥ、フゥ……」



DIO「どうした?そんなに興奮して」



魔理沙は、内心この男を打ち取ったと、そう思っていた。
男には、指一本動かす程の間しかなかったはずだ。


しかし、男は、立っていた。
自分のすぐ後ろに。


魔理沙「なん……で……」


膝の力がスッと抜けて地面に倒れた。

気が付いた時にはもう遅かった。


肩甲骨の辺りからはドクドクと生暖かい液体が一生懸命に血管を走っているのが魔理沙に感じさせる。
それと同時に走ってくるのは鋭い痛み。


魔理沙が、肩の骨を割られたと理解するのには大変な時間がかかった。



魔理沙「グ……。ウ……」


DIO「素晴らしい能力だな。ここの住人はやはり皆こういうものか。ンン?」


男は魔理沙の割れた肩甲骨に足を置いた。


DIO「となると、アチラの女性も貴様と同じような能力が備わっているのだろうな」


そして、力を徐々に入れて、魔理沙の肩を圧迫していく。


魔理沙「ッッッッ!!?」

DIO「なるほど、これがそうか」


魔理沙の肩を踏んでいるDIO。


それを取り囲むのは五体の人形。
その人形を操っている糸のようなものは全て棺桶の中から飛び出していた。
DIOは五体の人形を見回した。



DIO「人形遊びでこのDIOに敵うと思うな小娘ッ!」


人形が動きを見せようとした瞬間、五体の人形は、"同時に"破壊された。


DIO「フム、やはり、スタンドを認識出来る者はこの幻想郷にはいないようだな……」


男は、確かめるように二人の少女を相手にする。



アリス「……ァリァ!」


魔理沙、そう叫んだつもりだった。
ーーが、アリス、DIOに食らわされた腹と喉への二撃のせいで、滑稽な音が空気を震わせるだけだった。


DIO「つまらんな。小娘共、所詮こんなものか」


魔理沙「お、お前……、こんな事をして、何がしたいんだぜ……」


DIO「フム。私が何をしたいか……か。……知れたこと、"昔"も"今"も、このDIOの目的など世界を手に入れることの他にはないのだッ!」


悪のカリスマがいるなら、まさしくこのような笑みを浮かべる男だろう。
魔理沙はそう思った。


すいません。
短いですけど今日は終了です

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