男「この手を、離さないぞ」幼馴染「う、うん」(259)

男「まったく、幼は…」

幼「ご、ごめん」

男「今回は俺が見つけられたから良かったけど…」

男「こんな所で迷ったら、幼一人じゃどうにもなんないだろ」

幼「見つけてもらえてラッキー…だったね?」

男「まったく…電車から降りて5秒ではぐれるとは」

幼「えへへ。申し訳ないです」

男「…俺の手、しっかり握ってろよ」

幼「う、うん」


※このssは
幼馴染「ラッキー!」男「また?」
幼馴染「ラッキー!」男「また?」 - SSまとめ速報
(http://jbbs.livedoor.jp/internet/14562/storage/1344254304.html)
の、続きの話しです


男(とっさに握っちゃったけど、なんかちょっと照れるな…)

幼(男に手、握られてる…)

幼(手を繋ぐのなんて、別に何ともないはずなのに…何か照れちゃうな)

幼「ま、まぁ日本語通じるんだからさー」

幼「迷っても、その辺歩いてる人に聞けばわかるよ、多分」

男「それでもだよ、俺が心配なんだよ」

幼「ありがとね、男」

男「しっかし、さすが大都会。人が多いなぁ」

幼「そうだねぇ。沖縄じゃ考えられないねー」

幼「男、道はわかるの?」

男「あぁ、一応ガイドブックは買ってきた」

幼「あとはスマホで何とかなるだろう」

幼「スマホ使いこなして、何か都会人みたいだよ、男」

男「ま、普段はあまり使わないんだけどなー」

男「こんな時くらいは役に立ってもらわんとなー」

男「ちょっと待っててな」
ピッピピッ

幼「あ、あんな所に…」
グイッ

男「ん?、幼どうした?」

幼「あ、ごめん、手握ってたんだった」

幼「あそこに、財布っぽい物が落ちてるから、拾おうかなーと思って」

男「ん、拾って、駅員さんに届けるべきだな」

幼「うん、ちょっと行ってくる。ね?」

男「俺、ちょっと道調べてるからさ」

幼「大丈夫だよ、ほんの数メートルだよ」

男「ん、人ごみに流されないようにしろよ?」

幼「大丈夫だよ。行ってくるね」
タタッ

幼「よっと…わぁ、可愛い財布だなぁ」

幼「革の財布かぁ…何か暖かい感じだなぁ」

幼「これって…手作りかな?」

幼「あっと駅員さん、駅員さん…」

幼「あのー、すみません。これ、落とし物です」

駅員「あぁ、どうもありがとう」

幼「いえいえ。それでは…」

息を切らした女「あ、あの、すんませんっ!」
ハアッハアッ

駅員「はい、なんでしょうか?」

息を切らした女「あ、あの…お、落とし物で…財布、届いてませんか?」
ハァハァ

駅員「どんな財布でしょうか?」

息を切らした女「えっと…現金は…そんなに…入ってなくて」
ハァハァ

息を切らした女「ディズニーリゾートの年間パスポートが入ってて…」

駅員「外見は?」

息を切らした女「あ、えっと、革で出来てて、茶色いです!」
ハァハァ

駅員「ひょっとして、これかな?」

息を切らした女「あ!それ!それです!」
ハァフゥ

駅員「一応中身を確認させてもらってもいいですか?」

息を切らした女「はい!どうぞどうぞ!」
ハァフゥ

幼「あの、大丈夫ですか?」

息を切らした女「あ、うん。大丈夫大丈夫」
ハァ

息を切らした女「久々にちょーっと走って、息が切れてるだけだから」
フゥ

駅員「…間違いなさそうですね。はい、どうぞ」

財布が見つかった女「良かったぁ…」

駅員「この子がたった今届けてくれたんですよ」

財布が見つかった女「あ、ありがとうございます!」

財布が見つかった女「お礼、しなきゃね!」

幼「あ、いえいえ。良かったですね見つかって」

財布が見つかった女「お礼するよ!遠慮しないで!」

財布が見つかった女「この財布、すっごく大切な物なんだー」

幼(すっごく嬉しそう…)

幼(ん?この人…どこかで会ったっけ?)

見覚えのある女「ん?何?私の顔に何か付いてる?」

幼「あ、じっと見ちゃってごめんなさい」

幼「あの、私とどこかで会った事ありませんか?」

見覚えのある女「んん?言われて見れば…どこかで会ったような?」

見覚えのある女「うーん?どこで会ったっけ?」

幼・見覚えのある女「…」

幼「あ!思い出した!」

幼「あの、てだこ祭りの浴衣コンテストで優勝した方ですよね?」

見覚えのある女「うん?ううん?そうだけど…」

幼「あ、私、あの時、2位だった者です!」

祭りで会った女「あ!あぁ!あぁ!思い出した!」

祭りで会った女「私にリゾートホテル宿泊券をくれた人!」

祭りで会った女「ごめんごめん!髪下ろしてるから、わかんなかった!」

祭りで会った女「あの時はありがとね!」

幼「あ、いえいえ、こちらこそ!」

幼「あの時はありがとうございました」
ペコッ

幼「おかげさまで今日、ココにに来られました!」

祭りで会った女「あ、そうなんだ?あの時の賞品で来てるんだ?」

幼「はい、友達と二人で…」

祭りで会った女「あ、今からランドに行く感じ?」

幼「はい、あそこで携帯いじってるのが、その…友達です」

祭りで会った女「へー。ね、あれって彼氏?彼氏?」

幼「あ、は、はい、そうですね。えへへ」

祭りで会った女「へー?へー!あ、私もね、彼氏と来てるんだ!」

祭りで会った女「あ!しまった!あいつの事、待たせてるんだった!」

祭りで会った女「行かなきゃ!それじゃ!」

祭りで会った女「拾ってくれてありがとね!」

幼「あ、はい!さようなら」

祭りで会った女「ばいばーい!」
タッタッタ



男「遅かったな、幼」

幼「ごめんね。財布の持ち主がすぐに見つかってね」

男「ほう。そりゃあ良かったな」

幼「それがねー、なんとてだこ祭りの時、旅行券をくれた人だったんだー」

男「はー?なんつー偶然!」

幼「ねー?結構凄い偶然だよねー?」

男「で、その人は?」

幼「彼氏さんを待たせてるからって、走って行っちゃった」

男「そっか。幼、また一つ良い事したな~」

幼「えへへ。財布見つけたのは偶然だけど良かったよ」

男「それじゃ、そろそろ行くかー」

幼「うんっ!」

男「まずはホテルに荷物預けてこよう」

男「時間が早いからチェックインはまだ無理だけど」

男「荷物は預かってもらえるはずだからさ」

幼「はーい」

幼「それにしても、リュックにして大正解だったね」

男「おう。姉ちゃんが言ってたんだ」

男「トランクより、リュックに入る分だけの荷物にしろって」

男「身軽に動けるし、両手自由だし」

ギュッ

男「こうやって手も繋げるし、な?」

幼「…うん!」



『ランド入口』

男「おぉ…」

幼「凄いね…」

男「おう、想像以上に夢の国だな…」

幼「私たち、場違いじゃない?」

男「そんな事ないだろうよ…多分」

男「さぁ、行くぞ!」

幼「う、うん!」

幼「何から行く?」

男「幼の好きな奴から行こう」

幼「うーん。私、どれが良いのかわからないよ?」

男「そんじゃ、適当に行くか!」

男「きっと行列出来てる奴が面白い!」

幼「うんっ!」

『120分待ち』

男「うぇー…2時間って…」

男「これがディズニーランドの洗礼か…」

幼「どうしよう、違うのにする?」

男「いやー、どっちにしろ並ばないとだろ?」

男「このまま並ぼうぜ」

幼「そうしようかー」

さっきの女「おーい!あなた達…」

幼「あ、さっきの!」

知らない男「誰?知り合い?」

さっきの女「この子だよ、さっき話してた子」

さっきの女「財布拾ってくれたの、この子なの」

しらない男「あー、それはそれは」

知らない男「あの時はありがとうざいました」

知らない男「あなたがくれたリゾートホテル宿泊券のおかげで」

知らない男「沖縄の旅が100倍楽しめました」

幼「えっと…いえいえ、こちらこそですよ」

さっきの女「あ、自己紹介まだだったよね!」

さっきの女「私は千葉女、こっちは千葉男」

千葉男「よろしくー」

幼「私の名前は幼って言います」

男「男です、どうも」

千葉女「よろしくね!幼さん!」

幼「こちらこそ、千葉女さん」

千葉男「で、今からこれに並ぶの?」

男「はい、人が並んでる奴なら面白いかと思って」

千葉女「ははーん、二人とも、初心者だね?」

幼「はい、初めて来ましたから」

千葉女「それじゃあ、私たちが案内してあげよう!」

千葉女「いいよね?千葉男!」

千葉男「いやだっつっても行くんだろ?良いよ」

千葉男「それに財布拾ってくれた恩も、きちっとかえさないとな」

幼「そ、そんな、悪いですよ」

千葉女「まぁまぁ、あの賞品券、確か3泊4日だったでしょ?」

千葉女「今日で回り方覚えて、明日と明後日、二人で楽しめばいいじゃん!」

千葉男「お礼がしたいんだよ、こいつ」

千葉女「こいつ言うな!」

幼「わかりました、それじゃ道案内お願いします!」

幼「良いよね、男?」

男「もちろん。よろしくお願いします!」

千葉女「うんうん!ダブルデートだね!」

幼「は、はいっ」

千葉女「それじゃまずねー」

千葉女「この列に並ぶの止めてー」


千葉女「わかった?」

男「こんな順番の取り方があるんですね」

千葉女「フフフ基本だよ、基本」

千葉女「さて!それじゃあ、待ってる間、一カ所行ってみようか!」

千葉男「えー、最初に観るのがアレって駄目じゃないか?」

千葉女「いいじゃん!すぐそこだよ、すぐ見れるし!」



千葉女「ね?どうだった?どうだった?」

男「あ、あの、正直に言っていいっすか?」

千葉女「うんうん!」

男「イマイチでした…」

千葉女「でしょでしょ?」

幼「え?」

千葉女「私、来る度にコレ見るんだけどさぁ」

千葉女「何回見ても、良さがわからないんだよねぇ」

千葉女「マイケルはカッコ良いんだけどさー」

男・幼「…」

千葉男「ほら、二人が引いてるだろ」

千葉男「ごめんな、二人とも」

男・幼「い、いえ」

千葉女「さぁ、最初に微妙な気分になったなら…」

千葉女「あとは上がるだけだよ!テンション上げて行こう!」

男・幼「は、はいー」

千葉女「私としては、マウンテンは全部制覇して欲しい!」

千葉女「レッツゴー!」

幼「はいー」

男「千葉女さん、テンション高いですね」

千葉男「いっつもこんな感じなんだよ、あいつ」



男「す、凄かったなー」

幼「そ、そうだね…凄かったね…」

千葉女「どう?初めてのディズニーランドは?」

幼「はい!凄いですねー」

千葉女「最初に軽いがっかり感を味わった事が」

千葉女「他のアトラクションをより一層輝かせてるんだよ!」

千葉男「それはどうかと思うがな…」

千葉女「さぁ、次はこっちだよ、こっち!」
グイッ

男「ちょ、千葉女さん?」

千葉女「いいじゃん!早く行かないと!」

幼(あ…腕、組んでる…)

幼(千葉女さん、楽しそうだなぁ)

千葉男「ごめんね、幼さん」

千葉男「あいつ、今、ちょっとおかしいんだ」

幼「え?い、いえいえ、別に私は何も…」

幼(あれ?…)

幼(何だろう、胸がモヤモヤする…)

幼(こんな気持ち、なった事ない…)

幼(いつもなら男に相談するけど…)

幼(…どうしてだろう、何か…怖い…怖い?)

千葉女「おーい!二人とも早く早く!」

千葉女「次のマウンテンに行くぞー!」

幼「は、はーい」

幼(…何だろう、やっぱりモヤモヤする)

幼(気持ちがざわついて…やっぱり怖い…)

千葉男「…」

千葉男「おい!ちょっとこっち来い!」

千葉女「な、何よ!」

千葉男「いいから、ちょっと来い!」
グイッ

男「ふぅ…やっと解放され…ん?どうした幼?」

幼「え?な、何が?」

男「何か、顔色悪いぞ?大丈夫か?」

幼「あ、うん。大丈夫だよ、男」

幼「ちょっと人ごみに酔っただけだよ、うん」

男「そうか…?きつくなったら言えよ?」

幼「ありがと、男」

幼(…ホッとした)

幼(でも何だったんだろう、さっきのモヤモヤ…)

男「しっかし凄いよなぁ」

幼「えっ?」

男「いや、沖縄にはこんなアトラクションとかないじゃんか?」

男「生まれて初めて乗ったけど、凄いもんだよなぁ」

幼「そ、そうだねー。ビューンってなったり、ガタンってなったりねー」

幼「どれも未知の感覚だよねー」

幼「…」ハァ

男「…幼、やっぱり調子悪い?」

幼「え?だ、大丈夫だよ?」

幼「全然平気だから、心配しないで?」

男「幼は無理するタイプだからなぁ」

幼「ホントに大丈夫だから!ね?」

男「…」



千葉男「待たせてごめんな、二人とも」

千葉女「…」

千葉男「ほら、言う事あるだろ?」

千葉女「う、その…はしゃいじゃって、ごめんなさい」

千葉男「まったく…はしゃぎすぎだ、お前は」

千葉女「ごめんね?」

幼「あ、こちらこそ、すみませんっ」

幼「逆に気を遣わせてしまって…」

千葉男「いやいや、謝るのはこっちだよ」

千葉男「振り回しちゃってごめんなー」

男「や、もうここはお互い、謝るのナシにしましょうよ」

男「せっかくの夢の国なんだから」

男「楽しまないと損ですよ!」

千葉女「そ、そうだよね!だよねー!」

千葉男「確かにそうだけど、お前が言うな」
ポカッ

千葉女「すいませんっ!調子のってホントすんませんっ!」

幼「ふふっ。お二人お似合いですねー」

千葉女「そう?そう?そう見える?」

幼「見えますよー。凄くお似合いです」

千葉女「えっへっへー。だってよ?千葉男?」

千葉男「…ありがとね、幼さん」

千葉女「照れてる照れてる!にへへー」

千葉男「ゴホン!まぁそんな訳でさ」

千葉女「どんな訳だー!」

千葉男「茶化すなよ!」

千葉女「サーセン!サーセン!」

千葉男「ここからはちょっとゆっくり見て回ろうぜ?」

千葉女「アトラクション以外にも、見て回るもの、いっぱいあるからね!」

千葉男「道案内するからさ」

男「そうしましょうか」

幼「宜しくお願いしますー」



男「いや、本当にまったく…想像以上です」

千葉男「初めてだもんな。色々ビックリだろ?」

男「ビックリだらけですよ」

幼「まさか、ミッキーとミニーにも会えるなんてー」

千葉女「たまーに歩いてるんだよ」

幼「はー…本当に、色々あるんですねー」

千葉女「ふふふー凄いでしょ?一日じゃ、絶対回りきれないよ!」

千葉男「なんでお前がドヤ顔なんだよ」

千葉女「いいじゃん別に!」

幼「ふふっ」

千葉女「えへへー楽しいね、幼さんっ」

幼「はい!とっても楽しいです!」

幼「本当に来て良かったです」

千葉女「そう言ってもらえると、旅行券あげた私も心晴れ晴れだよ!」

千葉男「その代わりに俺たちはリゾートホテルに泊まれたんだから」

千葉男「おあいこだろ」

千葉女「それはそうだけどさー」グゥ

全員「…」

幼「そ、そういえば、お昼食べてませんでしたね」

千葉女「お恥ずかしい…でもさすがにお腹空いたー」

男「楽しすぎて、時間経つの忘れてました…もう夕方なんですね」

千葉男「それじゃ、何か食べようか」

千葉女「賛成!賛成ー!」

千葉女「行きたいレストランは…って聞かれても解んないよね?」

幼「はい、全然わかりませんー」

千葉男「じゃ、カレー食べに行こう!」

千葉女「えー?またカレ-?違うやつにしようよー」

千葉男「いいじゃん、カレー。な?二人はどうよ?」

幼「えーっと…」

男「俺ら、全然わかんないんでお任せします!」

千葉女「いやいや!せっかくの旅行なのに!カレーとか!一番無い選択でしょ!」

千葉男「…じゃあ、ブルーバイユーとか?」

千葉女「いいねー!今日は奮発して、そうしちゃおうよ!」

千葉女「ちょこーっとお高いけど、カレーよりは良いよね?」

男「俺らは大丈夫です!」

男「観光地のご飯が少々お高いのはわかってますから!」

千葉女「なら、レッツゴー!」

千葉男「俺ら普段は軽いやつしか食べないんだよ」

千葉男「食費削る感じだからさ」

千葉女「でもでも!今日くらいは良いよね?」

千葉男「まぁ、そうだな。今日は特別だな」

幼「じゃあ、行きましょう!私もお腹空きましたー」



『レストラン』

千葉男「席、空いてて良かったなー」

男「なにせウチには、幸運の女神様がいますからね」

男「あ、そういえば、ちょっと質問が」

千葉男「ん?何?」

男「お二人、何歳ですか?」

千葉男「二人とも17歳、高2だよ」

男「おっと、同い年だったとは!?」

千葉男「え?」

千葉女「え?マジで?タメなの?」

幼「えー。お二人、年上だと思ってました」

千葉男「完全に年下だと思ってた…」

千葉女「同じ17歳…どうしてこんなに差が…」

幼「え?」

千葉女「ちょっと幼さん…こっち来て」

幼「はい?」

千葉男「おい、また変な事言ったりすんなよ?」

千葉女「うっさい!」



千葉女「ちょっと質問なんだけどさ」

幼「はい?」

千葉女「ね、男君とその…お付き合いして長いの?」

幼「いいえ。その、私と男は幼馴染なんですけど」

千葉女「マジで?私と千葉男も幼馴染なんだよ!」

幼「そうなんですか?」



千葉女「家もすぐ隣りなんだよっ」

幼「あ、私たちもそうなんですよー」

千葉女「へー!へー!私たちって、何か似てない?」

幼「そうですねー。なんだか、昔から知ってるような…そんな感じしますねー」

千葉女「ね、突然だけど、アドレス交換しない?」

幼「はい?」

千葉女「私たち、何か縁があるなぁと思って!」

千葉女「それで、友達になれるんじゃないかなと思って!」

幼「あ、は、はいっ」

千葉女「それじゃ、早速っ!」
ピッ

幼「はい!」
ピッ

千葉女「…これで良しっと」

千葉女「ねぇねぇ、それでさぁ?」

幼「はい?」

千葉女「さっきの質問に戻るんだけど」

千葉女「男君とお付き合いしだして長いの?」

幼「えっと、男女としての付き合いは、全然ですよ」

幼「あの…告白して、付き合い始めたのが、実は先週なんですよ」

千葉女「えー?そうなの?」

千葉女「あー、でも小さい頃からずっと一緒に居たんだよね?」

幼「はい。保育園からずっと一緒です」

千葉女「…来年受験でしょ?大学も一緒の大学に行く?」

幼「うーん、どうでしょう。まだ受験の事とか、考えてないです」

千葉女「将来の事とか、考えたりする?」

幼「えーと、まぁ、はい。それは考えたりします」

千葉女「男君のお嫁さん?」

幼「一応、はい。お嫁さん希望ですね、はい。えへへ」

千葉女「だよねだよね。やっぱりそうだよね」

千葉女「私もそうなんだけどさぁ」

幼「ん?」

千葉女「ちょっとね、将来について意見の相違があって」

千葉女「最近、実は喧嘩気味なんだよね」

幼「でも、お二人、もうすでに夫婦みたいな感じに見えますよ?」

千葉女「そうかな?へへへー。ありがと幼さん」

幼「ホントですからー」

千葉女「それと…さっきはごめんね?」

幼「え?」

千葉女「男君と腕なんか組んじゃって」

千葉女「私、ちょっとやり過ぎだったよね」

千葉女「ごめんっ」

幼「あ、あの…いいですから。大丈夫ですから」

千葉女「いーや!私にはわかるよ、幼さん!」

千葉女「あなた、優しいから、無理してるでしょ?」

幼「う…無理、してる様に見えますかね?私…」

千葉女「私と男君が、腕を組んでいるのを見て、何か思ったでしょ?」

幼「それは…ちょっと、モヤモヤした気分になって…」

幼「不安で、怖い気分に…なりました」

千葉女「それを人は嫉妬って言うんだよ!」

幼「嫉妬…」

千葉女「私たちもそうだったから、ちょーっと言わせてもらうけどさ」

千葉女「小さい頃からずーっと一緒に居て、もう周囲から見たらさ」

千葉女「恋人同士に見えてたと思うんだ」

幼「…」

千葉女「だからそんな二人の間にさ」

千葉女「割って入ってくる人なんて居なかったんじゃないかな?」

幼「…そうかもしれません」

千葉女「二人がお互いの事、大事に思ってるの、すっごく良くわかる」

千葉女「だから、本当に好きな人の事、疑っちゃダメだよ?」

千葉女「幼さんだけじゃなくて、男君も優しいからさ」

千葉女「私みたいなタイプの女の子が、男君の側に現れたらさ」

千葉女「グイグイ来られたら、あまり強く拒否出来ないと思うんだ」

千葉女「実際さっきもそうだったでしょ?」

千葉女「でも絶対、男君は、幼さんの事が好きだから」

幼「そうでしょうか…」

千葉女「絶対だから!見てれば解る!」

幼「は、はい…」

千葉女「それと、これを」
ゴソゴソ
ギュッ

幼「え?こ、これって…」

千葉女「あげる!今夜、同じ部屋で寝るんでしょ?」

幼「は、はい」

千葉女「…頑張って!」

千葉女「幼さんが今思ってる事、ちゃんと男君に話して!」

千葉女「後は成り行きに身を任せてれば良いと思うよ!」

幼「はい…」

千葉女「絶対!大丈夫だから!」

千葉女「それじゃ、そろそろ席に戻ろうか!」

幼「はいっ!」




千葉女「さぁ、お腹も膨れた所で!時間も丁度いい感じ!」

千葉女「最後はいよいよお待ちかねの!」

千葉男「パレードね。早めに行って場所取ろう」

千葉女「いい場所知ってるからね!付いて来て!」

幼「はいっ!」



千葉女「ここ!ここで待ってればよく見えるよ!」

幼「わぁ…凄い人の数…」

千葉男「びっくりするよ、きっと」

男「楽しみです」

ギュッ

男「ん?」

幼「はぐれない様に…ね?」

男「おぅ」



『パレード』

男「すっげー…」

幼「本当に、凄い…」

千葉男「何度見ても綺麗だな、千葉女」

千葉女「そ、そうだね…」

千葉女「本当に…綺麗だね…」

千葉女「…あと、何回、一緒にこのパレードを見られるのかな」

千葉男「はぁ?何だそれ。何回だって見られるだろ?」

千葉女「…うぐっ」

千葉男「ん?どうした?…おい、泣いてるのか?」

幼「千葉女さん?どうかしたの?」

千葉女「な、何でもない!何でもないからっ!」

千葉男「何でもない奴が泣くかよ!」

千葉女「今日のパレードはひときわ綺麗だなーって!」

千葉女「感動してたんだよっ!」

千葉男「おい…嘘つくなよ、千葉女」

千葉女「わ、私は…私はっ!」
ダッ

千葉男「おいっ!」

千葉男「あー、二人とも、ごめん!俺も行くわ!」

千葉男「パレード、楽しんでな!」

千葉男「縁が有ったらまた会おう!じゃな!」

幼「は、はい!千葉女さんによろしくって!」

男「また!」

幼「…行っちゃったね」

男「嵐の様な人たちだったな」

幼「うん、そうだねー」

男「浴衣コンテストの時も、漫才みたいな感じだったよ」

幼「ふふっ。夫婦漫才?」

男「そうだな。夫婦漫才だったな、あれは」

幼「…大丈夫かな?」

男「大丈夫だろう」

幼「だよね」

男「だよ」

幼「パレード、綺麗だね…」

男「手、離すなよ?」

幼「うん。絶対、離さないから」

男「…ずっと、傍に居ろよ」

幼「え?何?今何て言ったー?」

男「何でもない!しっかりパレード見ようぜ?」

幼「う、うん!」



『ホテルの部屋』

幼「はぁ…パレードも花火も綺麗だったねー」

男「あぁ、凄かったなー」

幼「楽しかったけど、ちょっと疲れちゃったね?」

男「そうだなー。今日は色々あったもんなー」

幼「へ、部屋の中もディズニー満載だね?」

男「そうだなー。何か楽しい部屋だな?」

幼「あ、汗かいちゃったし、私、先にシャワー浴びてくるね?」

男「あいよ、どうぞー」

幼「そ、それじゃ、ね?」

男「おー。俺は明日どこ行くか、ガイドブック見ながら考えるー」

幼「う、うん…」

幼(シャワー浴びたら、言うんだ…)



幼「シャワー空いたよー?」

男「お、おう。それじゃ俺もさっと浴びてくるかなー」

幼「う、うん。部屋の中だけじゃなくて、お風呂もこだわってるよ」

男(風呂上りの幼…別に見慣れてるはずなのに、何か…)

男(よ、よく考えたら、今日、同じ部屋で寝るんだぜ?)

男(…)

男(…ドキドキするな、オイ)



男「あー、さっぱりしたー」

幼「ね、ここから見る景色も凄いよー」

男「おー。確かに凄い綺麗だなー」

男「こんなところに無料で来られて、本当にラッキーだなー」

幼「ラッキーだよねー」

男「幼がな?」

幼「えへへ。そうかな?」

男「今日だって、財布拾ってからの、千葉女さんと再会とかさー」

男「奇跡的なラッキーだと思うぜ?」

幼「えへへ。言われて見ればそうかもねー」

男「あぁ、ラッキーでハッピーさー」

男・幼「…」

男「そ、それじゃ、明日も早いし、そろそろ寝るか!」

幼「それじゃ、私、こっちのベッドで寝るね?」

男「おう、俺こっちなー」

幼「それじゃ、おやすみ、男」

男「お休み、幼」

男・幼「…」

幼(い、言えない…一緒に寝ようって…)

幼(やっぱりちょっと怖い…)


男(な、何も…ないよな…)

男(ガッカリしたような、ホッとしたような…)

男(複雑な気分だぜ…)

男(俺から行くべき…か?)

男(でもなぁ…)



30分後

幼(…眠れない)

男(あぁ、悶々として、眠れねー)
モゾモゾ

幼「…ね、男、起きてる?」

男「んー?幼、眠れないの?」

幼「う、うん」

幼(今!今、言うんだ!)

幼「あの、ね?い、一緒に寝てもいい?」

男「ん?いいぞ。じゃあ、ベッド寄せるか」

幼「あ、あのちがくて…男のベッドで、一緒に寝ても、いい?」

男「え?」

幼「ダメ…かな?」

男「い、いや、良いけど…」

幼「…じゃ、じゃあそっちに移るね」

男「お、おぅ」

ゴソゴソ

幼「お邪魔しまーす…」

男「狭いところですけど、どうぞどうぞ」

男・幼「…」

男(ほわーーーーっ!)

男(…背中合わせだけど)

男(幼と同じ布団で、寝るなんて、何年ぶりだ?)

男(超ドキドキする!!)

男「…ぅ」

幼「……」

男「…幼、何かあった?」

幼「えっ?な、何かって?」

男「急に幼がこんな事言い出すなんてさー」

男「俺は未だかつて経験した事のない事態に」

男「…結構、うろたえてるんだぜ?」

幼「ご、ごめんね、急に」

男「謝らないでくれよ」

男「あー…ひょっとして千葉女さんに何か言われたとか?」

幼「え、あ、うん。確かに千葉女さんにちょっと言われたけど…」

幼「こ、これは…私の問題だから」

男「そ、そうか…」

幼「…」

男「…」

幼「あ、あのね、男!」

男「う、うん?」

幼「男は、将来の事とか、考えてる?」

男「将来?」

幼「来年、3年生になるじゃない?」

男「あぁ、進学の事かー」

幼「あの、それよりもう少し先の事とか、さ?」

男「先?就職の事?」

幼「…もうちょっとだけ、先」

男「…」

幼「…」

男「あ…その、え?そう言う話し?」

幼「あの、昔の約束の事だけど、どうなのかなー?って」

男「…幼、言っておくけどな」

幼「何?」

男「先週、商店の店先でも話したけどさ」

男「あれは、俺の方から、お願いしたんだぜ?」

男「幼に、俺のお嫁さんになって欲しいってさ」

男「それに俺の心は昔から変わらないよ」

男「俺、何の取り柄もないけどさ」

男「幼の事、好きだ」

男「幼の事を一番に想い続ける事だけは、世界一だって自信がある!」

幼「…」

男「進学や就職の事はまだ全然考えてないけどさ」

男「俺が進む隣りには、幼が居てほしいって思ってる」

男「でも、それは俺のワガママだから」

男「もし、幼の方が俺に付き合うつもりが無くなったら…」

男「そう思うと、怖くもなる」
ゴソゴソ
ギュウッ

男「お、幼?」

幼「わ、私が男以外の人を好きになるなんて、考えられないよ…」

男「そ、そうか?」

男(首筋に、幼の息が当たって、くすぐったい…)

幼「男、こっち向いて?」

男「ん」
クルッ

男「…幼、泣いてるのか?」

幼「わ、私、今日ね」

幼「千葉女さんと、男が腕組んでるの見て」

幼「モヤモヤして、不安になって、怖かった」

幼「こんな気持ち、今までなった事なかったから」

幼「すっごく怖かったんだ…」

男「…」

幼「千葉女さんに、これが嫉妬なんだよって言われたよ」

幼「私、こんな感情知らなくて」

幼「今まで、周囲にそんな人居なかったからだって」

幼「言われて気付いたよ」

幼「確かに、今まで男の隣りは私が独占してたけど」

幼「これから先も同じとは限らない…」

幼「男が誰か他の人と一緒に、遠くに行っちゃったらどうしようとか」

幼「…夕方、パレードが始まるまで、ずーっとそんな事考えてたんだー」

がんばれ

幼「えへへ…私ちょっと妄想が激しいよね?」

幼「…1週間前までは、ただ一緒に居られるだけで、幸せだったのにね」

幼「もっともっと、傍に居たくなっちゃったんだー」

男「…不安にさせてごめんな、幼」

男「でも、大丈夫だから。俺には幼しか居ないから」

男「昔からずっと好きだから」

男「これからもずっと好きだから」

幼「…うん、ありがとう男」

男「大丈夫、俺たち二人は大丈夫だ!」

男「この先、どんな事があっても!絶対っ!」

ギュッ

男「この手を、離さないぞ」

幼「うん!うんっ!」

男「それじゃ、そろそろ寝るか」
ゴソゴソ

幼「えへへ…男の腕枕、小六の時以来だね」

男「そうだったかな?」

幼「そうだよ。私は覚えてるよ?」

男「夏休み、台風の時だよな。俺も覚えてるさ」

幼「だよね。えへへ」

男「…」
ギュッ

幼「…ほっとする…凄く落ち着くよ、男の腕の中」

男「俺も、幼の体温が感じられて、落ち着くよ」

幼「…今、何考えてる?」

男「好きな人と抱き合うのって、気持ちいいんだなぁって」

幼「ふふふー。私も大体同じ事考えてたよー」

男「大体?…他にも何か考えてる?」

幼「もっと、安心させて欲しいなって、思ってる」

男「うん?」

幼「…好きだけじゃ、足りない、よ…」

男「…幼、愛してるぞ」

幼「私も、愛してるよ、男…」

男「…幼」

幼「男…いいよ?」

幼「わ、私は覚悟、出来てるよ?」

男「幼…」

幼「だ、大丈夫だから…ね?」

男「本当に、良いのか?」

幼「…うん」

男「じゃ、じゃあ…キス、するぞ?」

幼「うん…」

チュッ…チュッ…チュッ

幼「…んぅ」

チュ

幼(んっ…唇、離れない…?)

レロッ

幼(あっ…男の、舌が…)

幼(…)

男・幼「ぷはっ…」
ハァハァ

幼「大人の、キス…だね?」

男「おぅ…」

幼「キスって、気持ちいいね…」

男「そうだな…凄いな…」

幼「…今、何考えてる?」

男「幸せだなって」

幼「私もだよ、男」

チュッ

男「…幼」

幼「…うん」

ピロリロリ

幼「ん?私の携帯…」

男「メール?」

幼「そうみたい…でも、今は…ね?」

男「あぁ」

ピロリロリ

幼「またメールだ…」

男「こんな時間に…緊急の連絡かな?見た方がいいかも」

幼「うん…ちょっと見てみる」

ピッ

幼「あ…千葉女さんからだ」

男「アドレス交換したんだ?」

幼「うん。お昼にね…ふふっ」

男「どうした?なんだって?」

幼「千葉男さんと上手くいったんだって」

男「そっか、良かったな」

幼「二通目のメール『真っ最中だったらゴメンねー』だって。ふふっ」

男「ぶはっ…何て事書いてんだ、あの人」

男「…まぁ、当たってたんだけどな」

幼「実はね、お昼にこれ…渡されたの」

男「そ、それって…コンドーぉぅ…」

男「マジで、何考えてんだ、あの人は…」

幼「ねー?」

男・幼「…」

男「ふふっ…何だか、なぁ?」

幼「えへへ、そうだねー」

男「そんな空気じゃなくなっちゃったな?」

幼「ふふっそうだねー」

幼「何か、緊張感がなくなっちゃったよー」

男「やっぱり、ちょっと無理してたんだな?」

幼「えへへ…そりゃあねー」

幼「一大決心だったんだよー」

男「無理させてごめんな」

幼「謝らないでよ、男」

男「…まぁ、俺たちには俺たちのペースがあるよ、幼」

男「焦る事とか無いよ」

男「俺はいつでも、幼の傍に居るからさ」

幼「うんっ」

男「…本当に、もう寝るかー」

幼「うん、そうだねー」

男「取り敢えず、今日はこれで、な」
ゴソゴソ

幼「腕枕、再びー…えへへ」

男「明日も朝から一杯楽しもうな?」

幼「うんっ!」

男「それじゃ…」

幼「あ、最後に…」

男「ん?」

幼「お、お休みの、キス…ね?」

男「う、うん」
チュッ

幼「おやすみ、男…」

男「おやすみ、幼…」




『空港』

男「いやぁ、楽しかったなぁ」

幼「そうだねー。楽しかったねー」

男「3泊4日なんて、あっという間だなー」

幼「本当にそうだねー。時の経つのを忘れちゃうよね」

男「さすがは夢の国だったなー」

男「金も結構使っちゃったけど、これは仕方ないよなー」

幼「やっぱり凄かったよね。その分、サービスも凄かったけど」

男「まぁ、沖縄も観光地じゃ、観光フィーが付いてたりするもんな」

幼「それもそうだね」

男「さてと…荷物は全部宅急便で送ったから、身軽だし」

男「お互いの両親にお土産でも買って行くか?」

幼「あ、そう言えば頼まれてる物があったんだ」

男「え、大丈夫か?空港で買えるものか?」

幼「何かねー、空港限定のバウムクーヘンをお願いされたの」

男「はは、おじさんらしいな」

幼「お父さん、甘いもの大好きだからねー」

男「…そのバウムクーヘンの代金、俺が出すよ」

幼「え?何で?」

男「いやぁ…その…おじさんとおばさんに、挨拶に行こうと思って、さ」

幼「挨拶?」

男「む、娘さんを下さいーとか、そんな感じの?」

幼「…」

男「駄目かな?」

幼「駄目じゃない。駄目じゃないよ、男」

幼「お父さん、きっと喜ぶと思うよ」

男「そうかな?」

幼「内緒だったけどねー」

幼「ずっと息子が欲しいって言ってたんだよー」

幼「男みたいな息子が居たらなーって」

男「そ、そうか」

幼「だから、きっと喜んでくれると思うよ」

男「おう…そうだと良いな」

幼「私も嬉しいよ、男」

男「…おう。喜んでくれてなによりだ」

幼「えへへー。まったく私って、本当に幸運だなーと思う」

幼「その幸運は男からもらってるんだと思う」

幼「これからもずっと傍に居てね?」

男「おう!それだけは他の誰にも譲れないな」

幼「…手、繋いでいい?」

男「もちろん」
ギュッ

男「それじゃ、そろそろ行こうか」

幼「まず、バウムクーヘン売ってるお店を探さなきゃー」

幼「一応メモ持ってるんだけどね」

男「どんなバウムクーヘンなんだろうな?」

幼「なんかねー…」

ピロリロリ

幼「ん?メールだ」

ピッ

幼「あ、千葉女さんからだ」

男「なんだって?」

幼「『またね!』って」

男「何か、またいつか会えそうな気がするなぁ」

幼「ふふふ。私もそう思うよー」

男「取り敢えず、バウムクーヘン買いに行くか!」

幼「うん」

ギュッ!

男「この手、離さないぞ!」

幼「うんっ!」





ひとまずおわり

読んでくれた人、ありがとうございます

そのままこのスレで続きと言うか、別視線編、投下します

明日か明後日投下予定です

では。


やっぱこれだわ

乙乙
幼なじみの人、久しぶり

次は千葉の2人編かな?
楽しみにしてるよ



本当ほのぼのするわぁ、、、
素晴らしい!!

いいですねえ

読んでくれた人、本当にありがとうございます
続き、投下します

男「この手、離さねーぞ?」 幼馴染「う、うん?」

幼「どうしたの?急に私の手をつかんだりして」

男「お前、どう言うつもりだ?」

幼「な、何?男ってば。ひょっとして告白?」

幼「いやぁ、こんな往来で、照れてしまいますなぁ!」

幼「でももっとさ、風情って物を考えてよ、男ってば!」

幼「粋じゃないよ!無粋だよ!」

幼「江戸っ子の名折れだよ!」



※ここからの話しは
男「騙された!」幼馴染「騙してない!」
男「騙された!」幼馴染「騙してない!」 - SSまとめ速報
(http://jbbs.livedoor.jp/internet/14562/storage/1343564764.html)
の、続きの話しです


男「俺は船橋生まれの、船橋育ちだ!江戸っ子じゃねぇ!」

幼「え、マジで?」

男「おい!ごまかそうとしても無駄だぞ?」

幼「なーんのーことーだーかー?」

男「おもいだしてごーらんー?」

男「って、思い出のアルバムみたいに歌うな!」

男「幼稚園の卒園式か!」

幼「ノってくる所は、さすが男!」

男「とぼけるつもりか?そうなんだな?」

幼「もう!そんなに怒る事ないじゃんかー」

男「怒ってる訳じゃないぞ、幼」

男「俺は説明を求めてるだけだ!」

幼「だってー。ディズニーランドに行きたくなっちゃったんだもん」

男「問題はそこじゃない!」

男「行きたいからって、年間パスを買うなよ!」

男「しかも、金はあの貯金箱から出したんだろ?」

男「バイトも何もしてない、月五千円の小遣いしかもらってない幼が!」

男「八万もする、2パーク年間パスなんて、買える訳がないよな?」

幼「そんな怒んないでよー」

男「お前、最近様子が変だぞ?」

幼「別に!変じゃないですけど!」

幼「年頃の女の子なんだから、ディズニーランドくらい行きたくなるよ!」

男「…沖縄旅行から帰ってきた辺りから、おかしいぞ?」

幼「…」

男「何だ?言いたい事あるなら言ってくれよ!」

幼「…鈍感!」

幼「手、離して!」

男「走って逃げずに、説明してくれるならな?」

幼「…」

男「黙ってちゃ、わかんないよ、幼」

幼「じゃあさ…一つお願いがあるんだけど」

男「何だ?」

幼「男も、年間パス、買って!」

男「は?」

幼「いいでしょ?」

男「何でそうなるんだ?」

幼「男と一緒に、ディズニーランドとシーに行きたいの!」

幼「言わせないでよっ、恥ずかしいっ!」

男「照れ隠しのつもりか?」

幼「本心よっ!」

男「あの貯金箱の中、何の為に貯めてたのか、覚えてるか?」

幼「さーぁ?どうだったかなぁー」

男「…」

幼「それじゃ、今度の金曜日、一緒にディズニーランドに行こうね!」

男「…」

幼「ね!?」

男「…解った。また、説明するつもりがないんだな?」

幼「それは男の答え次第だよっ!」

男「今度の金曜日、ディズニーな。解った」

幼「え?本当?」

男「もう幼の分は年間パス買っちゃってる訳だし」

男「使わなきゃもったいないもんな」

幼「う、うん!そうだよ!そうだよ!」

男「はぁ…まったく、最近の俺は、お前に振り回されてばかりだな…」

幼「あんたがあんな事言わなければ、私だって…」ボソッ

男「ん?今何か言ったな?何だ?」

幼「鈍感君には絶対解らない暗号をつぶやきましたー!」

男「何だよ、それ」

幼「良いから、取り敢えず今日はもう帰ろう!」

男「…」



男(最近、幼の様子がおかしい…)

男(沖縄に旅行に行った時、確かにお互いの気持ちを伝えあったし)

男(流れに身を任せて、あんな事にもなっちゃったし…)

男(ひょっとしてアレが原因なのか?)

男(いや、でも、帰りの飛行機の中では大はしゃぎだったし)

男(数日はいつもの騒がしい幼だった…)

男(となると…原因は)

男(幼の誕生日…か?)

男(でもプレゼントは喜んでくれたよなー)

男(手作りだからって嫌な顔はしてなかったもんなー)

男(ん。そういえば、誕生日の次の日に変な事言ってたか…)



幼「私はギャングスターになるッ!」

男「…」

幼「なるッ!」

男「あぁ、なれなれ。ギャングスターにでも、脱獄囚にでも」

男「ヤンキー高校生にでも、海洋学者にでもなんにでもなれ?」

幼「ギャングになって、男の事なんか、ちょちょいっと消しちゃうんだからっ!」

男「はぁ…消されるのか、俺は」

幼「だ、だから、イタリアには近付かない方が良いね!」

男「イタリア?」

幼「私、イタリアンマフィアのボスになるから!」

男「ボス」

幼「パッショーネのボスの正体を知っている男の事を」

幼「暗殺チームに命令して、消すよ!」

男「暗殺」

幼「だからイタリアには近付くなッ!」

幼「ボスの命令は絶対だから!」

男「…ボスね」



男(あれが誕生日の次の日…)

男(それから言動が怪しくなったような気がする)

男(jojo好きなのは知ってたけど)

男(何で急にイタリアンマフィアになるんだ…)

男(取り敢えず、金曜日、ディズニーランドだな)

男(結婚資金としての貯金、年間パス買ったら、ほとんど無くなっちまうな)

男(バイト、本格的にお願いするかなぁ)



男「…おい、自分から時間指定しといて、遅刻ってどう言う事だよ!」

幼「えー?昨日の夜ー、デートに何着ていこうか、迷ってたらー」

幼「寝る時間が遅くなっちゃってー」

幼「ついつい遅刻しちゃいまいた!てへぺろっ!」

男「まぁ、良いけどさ…その服、すげー似合ってるぞ」

幼「えへへ、ありがとっ。気合入れてきましたからねっ!」

男「んじゃ、行くか!」

幼「おー!」



『ランド入口付近・チケット売り場』

男「はい、2パーク年間パスで」

男「はい、原付の免許証があります」

男「それじゃ、これ代金です」

男「どうもです」

男「ふぅ…八万か…」

男(高い買い物だな…)

男「おーい、幼。買ったぞ、年間パス」

幼「…」

男「どうした?早く入ろうぜ?」

幼「男、ちょっとここで待ってて」

男「は?どうした?」

幼「さ、財布、お、落としちゃった、みたい…」

男「は?マジで?」

幼「で、電車に乗った時は持ってたし」

幼「改札から出た時も手に持ってた」

幼「だから多分、その直後に落としたんだと思う…」

幼「ちょっと、駅まで行ってくるから!」

男「おい!俺も行くよ!」

幼「良いから、待ってて!」

幼「私の方が、走るの早いし!」

男「わかった。俺はこの周辺を探してみるから」

幼「うん!ちょっと行ってくる!」
タッタッタ

男「あのウォレット、落としちまったか…」

男「…また、作るかなぁ」



幼「見つからなかったらどうしよう…どうしようっ」

幼「男からのプレゼントなのに!」

幼「と、とにかくまずは駅員さんに、聞かなきゃ!」
タッタッタッ


幼「あ、あの、すんませんっ!」
ハアッハアッ

駅員「はい、なんでしょうか?」

幼「あ、あの…お、落とし物で…財布、届いてませんか?」
ハァハァ

駅員「どんな財布でしょうか?」

幼「えっと…現金は…そんなに…入ってなくて」
ハァハァ

幼「ディズニーリゾートの年間パスポートが入ってて…」
ハァハァ

駅員「外見は?」

幼「あ、えっと、革で出来てて、茶色いです!」

駅員「ひょっとして、これかな?」

幼「あ!それ!それです!」
ハァフゥ

駅員「一応中身を確認させてもらってもいいですか?」

幼「はい!どうぞどうぞ!」
ハァフゥ

知らない女「あの、大丈夫ですか?」

幼「あ、うん。大丈夫大丈夫」
ハァ

幼「久々にちょーっと走って、息が切れてるだけだから」
フゥ

駅員「…間違いなさそうですね。はい、どうぞ」

幼「良かったぁ…」

駅員「この子がたった今届けてくれたんですよ」

幼「あ、ありがとうございます!」

幼「お礼、しなきゃね!」

財布を拾ってくれた女「あ、いえいえ。良かったですね見つかって」

幼「お礼するよ!遠慮しないで!」

幼「この財布、すっごく大切な物なんだー」

幼(あぁ…本当に、良かった!ラッキー!)

財布を拾ってくれた女「…」
ジー

幼「ん?何?私の顔に何か付いてる?」

財布を拾ってくれた女「あ、じっと見ちゃってごめんなさい」

財布を拾ってくれた女「あの、私とどこかで会った事ありませんか?」

幼「んん?言われて見れば…どこかで会ったような?」

幼「うーん?どこで会ったっけ?」

幼・財布を拾ってくれた女「…」

財布を拾ってくれた女「あ!思い出した!」

財布を拾ってくれた女「あの、てだこ祭りの浴衣コンテストで優勝した方ですよね?」

幼「うん?ううん?そうだけど…」

財布を拾ってくれた女「あ、私、あの時、2位だった者です!」

幼「あ!あぁ!あぁ!思い出した!」

幼「私にリゾートホテル宿泊券をくれた人!」

幼「ごめんごめん!髪下ろしてるから、わかんなかった!」

幼「あの時はありがとね!」

祭りで会った女「あ、いえいえ、こちらこそ!」

祭りで会った女「あの時はありがとうございました」
ペコッ

祭りで会った女「おかげさまで今日、ココにに来られました!」

幼「あ、そうなんだ?あの時の賞品で来てるんだ?」

祭りで会った女「はい、友達と二人で…」

幼「あ、今からランドに行く感じ?」

祭りで会った女「はい、あそこで携帯いじってるのが、その…友達です」

幼「へー。ね、あれって彼氏?彼氏?」

祭りで会った女「あ、は、はい、そうですね。えへへ」

幼「へー?へー!あ、私もね、彼氏と来てるんだ!」

幼「あ!しまった!あいつの事、待たせてるんだった!」

幼「行かなきゃ!それじゃ!」

幼「拾ってくれてありがとね!」

祭りで合った女「あ、はい!さようなら」

幼「ばいばーい!」
タッタッタ



男「…で?見つかったのか?」

幼「ほら、この通り!」

男「良かったな」

幼「うん!」

男「落とさないようにしろよ?」

幼「わかってるって!」

男「年間パス、無駄にしたくないもんな」

幼「…年間パスなんてどうでもいいよ、マジで」

男「どうでもよくはねーだろ」

幼「男が作ってくれた、この財布が、大事なんだよ!」

男「おぅ。そう思ってくれてるなら、落とさないように、な」

幼「もう一生、落とさないから!」

男「おぅ…一生…な」

幼「フフフ、ちょっと照れてる?」

男「照れてる訳じゃねーよ」

男「それにしても、よく見つかったな」

幼「丁度、親切な人が届けてくれた所でさ…」

幼「あ!しまった!」

男「どうした?」

幼「お礼するの忘れてた!」

男「おいおい…」

幼「もう一回駅まで戻ろう!」

男「もう居ないだろ」

幼「実はさ、なんとその子がねー」

幼「沖縄でリゾートホテル宿泊券をくれた子だったんだー」

男「は?マジで?なんつー偶然!」

幼「今からランドに行くって言ってたらか、そこで会えるかも!」

男「いやいや、それは無理だろう…」

幼「まぁ、過ぎた事を悔やんでも仕方ない!取り敢えず、行こう!」

男「おう!俺も年間パス買ったしな」

幼「今日は楽しもうね!男!」

男「お、おう!」

男(なーんか、無理してるような気がするんだよなぁ)



男「さて…取り敢えずファストパスも取ったし」

幼「なら、次行く場所は、わかってるよね?」

男「…あれはもう良いんじゃないか?」

幼「ノンノン!アレを見ないと、話しが始まらないよ!」

幼「さ!行こう!行こう!」

男「おー…」

幼「ふんふーん♪」

男「ご機嫌だな…」

幼「まっねー。財布が無事に見つかったから…」

幼「…あれ?」

男「どうした?」

幼「あの、列の最後に並んでる二人…」

男「ん?」

幼「ちょっと、行こっ!」
タッタッタ

幼「おーい!あなた達…」

さっきの女「あ、さっきの!」

男「誰?知り合い?」

幼「この子だよ、さっき話してた子」

幼「財布拾ってくれたの、この子なの」

男「あー、それはそれは」

男「あの時はありがとうざいました」

男「あなたがくれたリゾートホテル宿泊券のおかげで」

男「沖縄の旅が100倍楽しめました」

さっきの女「えっと…いえいえ、こちらこそですよ」

幼「あ、自己紹介まだだったよね!」

幼「私は幼、こっちは男」

男「よろしくー」

さっきの女「私の名前は沖縄女って言います」

そばに居た男「沖縄男です、どうも」

幼「よろしくね!沖縄女さん!」

沖縄女「こちらこそ、幼さん」

男「で、今からこれに並ぶの?」

沖縄男「はい、人が並んでる奴なら面白いかと思って」

幼「ははーん、二人とも、初心者だね?」

沖縄女「はい、初めて来ましたから」

幼「それじゃあ、私たちが案内してあげよう!」

幼「いいよね?男!」

男「いやだっつっても行くんだろ?良いよ」

男「それに財布拾ってくれた恩も、きちっとかえさないとな」

沖縄女「そ、そんな、悪いですよ」

幼「まぁまぁ、あの賞品券、確か3泊4日だったでしょ?」

幼「今日で回り方覚えて、明日と明後日、二人で楽しめばいいじゃん!」

男「お礼がしたいんだよ、こいつ」

幼「こいつ言うな!」

沖縄女「わかりました、それじゃ道案内お願いします!」

沖縄女「良いよね、沖縄男?」

沖縄男「もちろん。よろしくお願いします!」

幼「うんうん!ダブルデートだね!」

沖縄女「は、はいっ」

幼「それじゃまずねー」

幼「この列に並ぶの止めてー」




沖縄男「す、凄かったなー」

沖縄女「そ、そうだね…凄かったね…」

幼「どう?初めてのディズニーランドは?」

沖縄女「はい!凄いですねー」

幼「最初に軽いがっかり感を味わった事が」

幼「他のアトラクションをより一層輝かせてるんだよ!」

男「それはどうかと思うがな…」

幼「さぁ、次はこっちだよ、こっち!」
グイッ

沖縄男「ちょ、幼さん?」

幼「いいじゃん!早く行かないと!」

沖縄女「…」

男(沖縄女さん、複雑な顔してるなぁ…)

男「ごめんね、沖縄女さん」

男「あいつ、今、ちょっとおかしいんだ」

沖縄女「え?い、いえいえ、別に私は何も…」

幼「おーい!二人とも早く早く!」

幼「次のマウンテンに行くぞー!」

沖縄女「は、はーい」

沖縄女「…」

男「…」

男「おい!ちょっとこっち来い!」

幼「な、何よ!」

男「いいから、ちょっと来い!」
グイッ



幼「何よ、もう!」

男「あのなぁ、沖縄男君と、腕組むの止めろ!」

幼「あら、嫉妬ですかにゃ?くふふ」

男「まぁ、ある意味合ってるけどな」

男「沖縄女さんが可哀想だろ?」

男「せっかく沖縄から二人で旅行に来てるのに」

男「俺たちみたいな邪魔者が居るだけでも、アレなのに」

男「これみよがしに、腕なんて組むなよ」

幼「う…沖縄女さん、気にしてた?」

男「俺の目にはそう見えたな」

幼「うぅ…謝らなきゃ…」

男「はしゃぎすぎなんだ、幼は」

幼「…ごめん」

男「んじゃ、ちゃんと二人に謝るんだぞ?」

幼「はいー」



幼「ホントにごめんね?」

沖縄女「いえいえ!気にしないで下さいー」

沖縄女「楽しく行きましょうー」

幼「それじゃ、お詫びとして、色んなキャラを見せてあげよう!」

男「おい、気軽に言うなよ、そんな事」

幼「大丈夫!大丈夫!まずはキャプテンを見つけよう!」

沖縄男「え?キャプテンって…さっきのキャプテンeoですか?」

幼「あはは、違う違うー。ジャック・スパロウだよ」

沖縄男「え?キャプテン・ジャック・スパロウ?」

幼「そう!カリブの海賊辺りに居るんだよ!」

幼「この時間なら…おそらく!」

沖縄男「は、早く行きましょう!」

男「え?ひょっとしてファンなの?」

沖縄女「は、はい…沖縄男は、あの映画の大ファンなんですよ」

幼「じゃあ、焦らず急いで行こう!」



沖縄男「ジャック…めちゃカッコ良かった…」

沖縄女「会えて良かったね?」

沖縄男「写真も撮れたし、満足…」

幼「そんなに感動して貰えたら、こっちも嬉しいよ!」

幼「でもまだまだ!他のキャラにも会いに行くよっ!」

沖縄女「は、はいっ!」



沖縄女「ふふっ」

幼「えへへー楽しいね、沖縄女さんっ」

沖縄女「はい!とっても楽しいです!」

沖縄女「本当に来て良かったです」

幼「そう言ってもらえると、旅行券あげた私も心晴れ晴れだよ!」

男「その代わりに俺たちはリゾートホテルに泊まれたんだから」

男「おあいこだろ」

幼「それはそうだけどさー」グゥ

全員「…」

沖縄女「そ、そういえば、お昼食べてませんでしたね」

幼「お恥ずかしい…でもさすがにお腹空いたー」

沖縄男「楽しすぎて、時間経つの忘れてました…もう夕方なんですね」

男「それじゃ、何か食べようか」

幼「賛成!賛成ー!」

幼「行きたいレストランは…って聞かれても解んないよね?」

沖縄女「はい、全然わかりませんー」

男「じゃ、カレー食べに行こう!」

幼「えー?またカレ-?違うやつにしようよー」

男「いいじゃん、カレー。な?二人はどうよ?」

沖縄女「えーっと…」

沖縄男「俺ら、全然わかんないんでお任せします!」

幼「いやいや!せっかくの旅行なのに!カレーとか!一番無い選択でしょ!」

男「…じゃあ、ブルーバイユーとか?」

幼「いいねー!今日は奮発して、そうしちゃおうよ!」

幼「ちょこーっとお高いけど、カレーよりは良いよね?」

沖縄男「俺らは大丈夫です!」

沖縄男「観光地のご飯が少々お高いのはわかってますから!」

幼「なら、レッツゴー!」

男「俺ら普段は軽いやつしか食べないんだよ」

男「食費削る感じだからさ」

幼「でもでも!今日くらいは良いよね?」

男「まぁ、そうだな。今日は特別だな」

沖縄女「じゃあ、行きましょう!私もお腹空きましたー」



『レストラン』

男「席、空いてて良かったなー」

沖縄男「なにせウチには、幸運の女神様がいますからね」

沖縄男「そういえば、ちょっと質問が」

男「ん?何?」

沖縄男「お二人、何歳ですか?」

男「二人とも17歳、高2だよ」

沖縄男「おっと、同い年だったとは!?」

男「え?」

幼「え?マジで?タメなの?」

沖縄女「えー。お二人、年上だと思ってました」

男「完全に年下だと思ってた…」

幼「同じ17歳…どうしてこんなに差が…」

沖縄女「え?」

幼「ちょっと沖縄女さん…こっち来て」

沖縄女「はい?」

男「おい、また変な事言ったりすんなよ?」

幼「うっさい!」



男「行っちまったな…」

沖縄男「ですね」

男「ごめんなー。本当は二人で回りたかったよなー?」

沖縄男「全然!気にしないで下さい!」

沖縄男「回り方教えてくれたの、ホント感謝してます」

沖縄男「それに、お二人と居ると、楽しいですよ」

男「そう言ってくれると、救われるよ」

男「…あいつ、最近おかしくてさ」

男「ちょっと原因が解らなくて、困ってるんだ…」

男「あ、ごめんな、愚痴っちまって」

沖縄男「構わないですよ」

沖縄男「お二人は付き合い長いんですか?」

男「いやー、正式に付き合い始めたのは1ヶ月くらい前だよ」

男「あの、てだこ祭りの時に色々あってさ」

男「確かにお互い好き同士なはずだったんだけどさー」

男「最近、変な言動が…あ、あいつの言動が変なのはいつもなんだけど」

男「意味不明な事つぶやいたり、イライラしたりさー」

男「なんか、正直よくわかんなくなってきてさー」

沖縄男「でも、傍で見てて思いますけど」

沖縄男「お二人、とっても息が合ってますよね」

男「そう?本当にそう見える?」

沖縄男「そう言えば、浴衣コンテストの時も、漫才みたいでしたよね」

男「ハハハ。あいつと話してると、自然とあんな感じになっちゃうんだ」

沖縄男「それって心から信用しきってるからじゃないですか?」

男「そう…かな?」

沖縄男「俺はそう思いますよ」

沖縄男「だから男さんが思ってる事、正直に聞けばいいんじゃないですかね?」

男「聞こうとしても、はぐらかされるんだよなぁ」

沖縄男「心当たりはないんですか?」

男「んー。沖縄から帰って来た直後はご機嫌だったんだけど」

男「あいつの誕生日に、革の財布をプレゼントしたんだ。手作りでね」

沖縄男「革の財布を手作りですか?凄いですね!」

男「へへ。時間かかったんだけどさ」

沖縄男「それが気に入らなかった…とか、ですか?」

男「いや、大層喜んでくれたんだよ」

男「でも、その直後から、様子が変なんだよ」

沖縄男「どうやら、その辺りが鍵じゃないですか?」

男「やっぱそうかなー」

男「財布自体は大切にしてくれてるんだけどさ」

男「…まあ、今日は落としちまってたけど」

沖縄男「フフッ。でも必死に駅まで走って来たらしいじゃないですか」

男「あいつ足速いから。普段から元気の塊みたいなやつだからなー」

沖縄男「元気の塊!まさにそんな感じですねー」

男「でもそれが切っ掛けで、二人と知り合いになれたんだから」

男「それはラッキーって事かな?」

沖縄男「ウチの幼馴染のラッキーパワーを侮ってもらっては困りますよ?」

男「へぇ?二人、幼馴染なんだ?」

沖縄男「そうですよ。家が隣り同士なんです」

男「へー!ウチらもそうなんだよ!」

沖縄男「何か、俺ら、似てますね?」

男「だなー。お互い、漫画みたいな幼馴染関係だな」

沖縄男「それ、俺も常々思ってますよ、漫画みたいだなぁって」

男「ハハハ。そうだよなぁ」

沖縄男「フフフ。ですよねー」

幼「おまたせ、お二人さん!」

男「おう。話しは終わった?」

幼「有益な話しが出来ましたー」

男「そりゃあ重畳」

沖縄男「沖縄女?何か顔赤いぞ?大丈夫か?」

沖縄女「だ、大丈夫。何ともないから!」

沖縄男「そうか?無理はするなよ?」

沖縄女「う、うん…」



幼「お腹いっぱいー」

男「だなー」

沖縄男「美味しかったですね」

男「ちょーっと高いけどね」

幼「あ、いつかさ、予約が取れたらさ」

幼「今度はランチショーとディナーショーを見ると良いよ!」

幼「あれは凄いから!」

幼「まぁ、予約にはクレジットカードが必要だから」

幼「社会人になってから、だけどね」

沖縄男「頑張ります!」

幼「それでも予約取るの、大変だけどね」

沖縄男「でも何とかなると思うんですけどね」

男「幸運の女神様が、居るんだもんな?」

沖縄男「です!」

幼「それって私の事?」

男「違う。沖縄女さんの事だ」

男「お前はどっちかって言うと、トラブルメーカーだな」

幼「トラブル上等!人生は苦難があってこそ、楽しめるってもんよ!」

男「お前が起こすトラブルは大抵意味のないトラブルだけどな?」

幼「むー!何だと、間抜け面!」

男「何だ、しみったれた小娘が!」

沖縄女「あの、喧嘩しないで下さい!」

沖縄男「これ、喧嘩じゃないよ、沖縄女」

沖縄男「ね?男さん?幼さん?」

男「まぁ、じゃれ合ってるって感じ?」

幼「日常会話だから、気にしないで、沖縄女さん!」

沖縄女「は、はぁ…」



幼「さぁ、お腹も膨れた所で!時間も丁度いい感じ!」

幼「最後はいよいよお待ちかねの!」

男「パレードね。早めに行って場所取ろう」

幼「いい場所知ってるからね!付いて来て!」

沖縄女「はいっ!」



『パレード』

沖縄男「すっげー…」

沖縄女「本当に、凄い…」

男「何度見ても綺麗だな、幼」

幼「そ、そうだね…」

幼「本当に…綺麗だね…」

幼「あと、何回、一緒にこのパレードを見られるのかな…」

男「はぁ?何だそれ。何回だって見られるだろ?」

幼「…うぐっ」

男「ん?どうした?…おい、泣いてるのか?」

沖縄女「千葉女さん?どうかしたの?」

幼「な、何でもない!何でもないからっ!」

男「何でもない奴が泣くかよ!」

幼「今日のパレードはひときわ綺麗だなーって!」

幼「感動してたんだよっ!」

男「おい…嘘つくなよ、幼」

幼「わ、私は…私はっ!」
ダッ

男「おいっ!」

男「あー、二人とも、ごめん!俺も行くわ!」

男「パレード、楽しんでな!」

男「縁が有ったらまた会おう!じゃな!」

沖縄女「は、はい!千葉女さんによろしくって!」

沖縄男「また!」



男「おい!待て!幼っ!」
ガシッ

男「やっと捕まえた!」

幼「…」

男「この手、離さないぞ?」

幼「痛いよ!手を離してよっ!」

男「断る!もう追いかけっこは嫌だからな!」

幼「…」

男「パレードはもういいのか?」

幼「いい…」

男「花火は見なくていいのか?」

幼「もう帰る…」

男「まぁ、また見に来れば良いしな」

幼「帰り、タクシーで帰りたい…」

男「贅沢だな、おい」

幼「タクシーが駄目なら、ハイヤーでも良い…」

男「贅沢のランクが上がってるじゃねーか!」

幼「駄目なら、歩いて帰る…」

男「ったく。んじゃ、タクシー拾える所まで行くか」

幼「うん…」

幼「あの2人には悪い事しちゃった…」

男「そうだな」

幼「最後にケチつけちゃった…」

男「まぁ、そうだな」

幼「後でメールしとく…」

男「アドレス交換してたのか?」

幼「レストランでね」

男「そっか」

男「お、タクシー丁度来たな」

男「ほら、先に乗れよ、幼」

幼「…うん」



男「ほら、着いたぞ、幼」

幼「…うん」

男(結局タクシーの中でも一言も会話出来なかったな…)

幼「じゃあね、男。バイバイ!」

男「おい!ちょっと待て、幼!」

幼「覚悟は出来てるか?私は出来てるッ!」

男「はぁ?覚悟?」

幼「今日はもう、寝るから!」

男「なぁ、一体どうしたんだよ、幼」

幼「と、とにかく!寝る前に、机の上を見てから、寝てよね!」

幼「じゃ!おやすみっ!」

男「…机の上?」



男「机の上にカセットテープが置いてある…」

男「今朝の遅刻の原因はコレを仕込んでたからと見た!」

男「しっかし、今どきカセットテープって…」

男「再生する機器が俺の部屋にはねーよ!」

男「…ん?一緒に手紙が入ってるな」
ガサガサ

男「なになに…『心配ご無用!ベッドの下を見てみなさい!』?」
ゴソゴソ

男「あ、小さいラジカセ…これ確かおじさんの部屋にあった…」

男「わざわざこんな小細工を…」

男「まぁ取り敢えず、聞いてみるか」

ガチャガチャ
カチッ

テンテーテケテーテケテーテケテン…

男「え?これって落語の出囃子?しかも…ロッキーのテーマ?」

男「どんなセンスだ」

幼『ゴホン。えー』

男「始まったか」

幼『男へ。あなたがこれを聞いていると言う事は私はもう…』

幼『…』

幼『なんて事もなく、きっと隣りの家の私の部屋に居る事でしょう』

幼『カセットテープで言葉を贈るなんて、良いアイディアだと思わない?』

幼『こんな事、思いつくなんて』

幼「私ってばcool!! cool!! cool!!!」

男「何言ってんだ、あいつは…」

幼『直接でも、電話でも、どうしても話しが逸れちゃうから』

男「まぁ、主にお前のせいで逸れるんだけどな?」

幼『今、お前のせいで話しが逸れるとか、つっこんだでしょ!』

男「…」

幼『フフフ、私の超能力に、ビビっているでしょうよ!』

男「そう言うのがあるから、話しがそれるんだ、アホめ」

幼『今度は、カセットじゃなくて、直接話してるんじゃね?とか思ったでしょ!』

男「思ってねーよ」

幼『まぁ、そんな枕はここまでにして!』

男「あぁ、枕だったのか、今のは」

幼『今日のディズニーランドは楽しかったよね?』

幼『年間パスも買っちゃった事だろうし』

幼『来年の夏までは一緒にディズニーランドに行こうね!』

幼『何度も行こうね!』

幼『沢山、思い出作ろうね…』

幼『きっと、明日の…じゃなくて、今日の私、頑張ったと思う』

幼『これで男の夢、応援してあげられる』

男「は?」

幼『イタリアで立派な革細工職人に、なって下さい』

男「はぁ?イタリア?」

幼『私、ずっと待ってるからね!』

幼『男の隣りは私の指定席なんだから!』

幼『あんまり帰りが遅くなるようだったら」

幼「私、イタリアに押しかけ女房に行くからねっ!』

幼『そ、それまで、浮気とかしたら、許さないから!』

男「…」

幼『男の事、本当に、愛してるからね』

幼『男も私の事、愛してくれてるって信じてるから』

幼『…』

幼『えー、つまり、私が愛している男に言いたいのは』

幼『一生一緒にイテァーリァと、こう言う訳ですな』

幼『お後がよろしいようで』

テンテーテケテーテケテーテケテン…

カチッ

男「…イテァーリァ?」

男「全然オチてねぇ!てか意味がわからん!」

ガラッ

ガンガン!

男「おい!鞄持ち!よく言って前座!顔出せ!」

ガンガン!

男「最後のオチ、別に上手くねーから!」

ガラッ!

幼「前座は無いでしょ!二つ目位の腕前はあったでしょ?」

幼「最後、上手かったでしょ!一生一緒にイテァーリァ!」

幼「三木道三リスペクトだよ!」

男「あぁ…『一生一緒に居てくれや』と、かけたのか」

男「全然意味わからんかった」

幼「ショック!せっかく考えたのに!」

男「幼、ちょっとこっち来い」

幼「…嫌だ」

男「んじゃ、俺がそっち行くわ」

スタッ

幼「不法侵入!深夜に!うら若き乙女の部屋に賊が侵入!」

幼「アルソック!アルソックはまだ来ぬか!」

男「おい、深夜って程じゃねーけどさ」

男「もう大概良い時間なんだから、大声だすなよ」

男「近所迷惑だろ?」

幼「窓をガンガン叩くのはぁー近所迷惑じゃないんですかぁー?」

男「まぁ、それはすいませんでした」

幼「…せっかくの私の粋な計らいが、台無しじゃん!」

男「テープの事か?」

幼「それ以外ないでしょ!」

幼「明日からはまた、普通に笑えると思ったのに…」

幼「今、顔見たら、決心鈍るじゃんか!」

男「一応聞くけど、何の決心だ?」

幼「男を笑顔で見送る決心だよ!」

男「俺がどこに行くのを見送るんだ?」

幼「イターリアー」

男「何で?」

幼「え?」

男「何で俺がイタリアに行く事になってるんだ?」

幼「え?だって、高校卒業したら、革細工職人の修行しに」

幼「イタリアに行くんでしょ?」

男「だから、何でイタリア?」

幼「え?イタリア在住の叔父さんのところに修行に行くって…」

男「そんな事、一言も言ってないぞ?」

幼「え?」

男「俺が革細工習いに行ってるのは、鬼高の叔父さんの所だ」

幼「え?鬼高って、市川の?」

男「そうだ」

幼「えぇ?ウチから歩いて行ける距離じゃん!」

男「俺が何の為に原チャリを買ったと思ってるんだ?」

幼「え?原チャリで通うん?」

男「実はもう通ってる」

幼「えー!?なに、その驚愕の事実!」

男「声がデカいよ、幼」

幼「え?でも、だって…」

男「イタリアで修行した叔父さんに、革細工を習ってる」

男「俺が言ったのはそれだけだぞ?」

幼「イタリア…叔父さん…革細工…」

男「どんな聞き間違いだよ、まったく…」

幼「う…」

男「幼にあげたウォレットな」

幼「う、うん」

男「あれだって、叔父さんに習いながら半年かけて作ったんだぜ?」

幼「マジで?」

男「まだ大きな物は作れないけどさ」

男「実は叔父さんの店で、俺が作った小物、売りに出してもらってるんだ」

男「店番もちょっとやってるし、まぁバイト兼見習いだな」

幼「マジで?まぁ、男、器用だもんね」

男「実は進路もそんな感じで選ぼうかと思ってる」

男「大学か、専門学校かは、まだ決めてないけどな」

幼「そ、それ!それだ!」

男「ん?」

幼「私の誕生日にも、そんな感じの話ししてた!」

男「あぁ、将来の事な?」

幼「それで、イタリアとか、革細工の修行とか言うから…」

男「まぁ、イタリアには行かないから安心しろ」

幼「…そっか」

男「幼は馬鹿だなぁ」

幼「馬鹿とはなんだ!」

男「ちゃんと人の話しを聞きましょう」

幼「うぅ…」

男「取り敢えず、誤解は解けたな?」

幼「すみません、聞き間違えて、暴走してました…」

男「まったく…そんなんで一ヶ月近く、様子が変だったのか」

幼「だ、だって!男が遠くに行っちゃうと思ったら…」

幼「胸がチクチクして、ザワザワして…」

幼「どうにもならないくらい、不安だったんだよっ!」

男「俺の事、思ってくれてるのは嬉しいよ」

男「でも俺がお前の傍から居なくなるはずないだろ?」

幼「…そんなの、解んないじゃんか!」

男「あーもう!」
ギュッ

幼「ふわぁっ!?」

男「落ち着けよ、幼」

幼「…」

男「俺は居なくならないから」

男「ずっと傍に居るから」

男「俺を信じてくれよ」

幼「…うん」

男「手に職つけたいから、革細工の修行してるけど」

男「それは、早く自立したいからなんだぜ?」

男「早く一人前になって、幼を…その、嫁に下さいって」

幼「よ、嫁…お嫁さん…」

男「ちゃんと、おじさんとおばさんに言えるようにって」

幼「…先の事、本当に考えてるんだね」

男「あぁ、真剣に考えてるぞ」

幼「超、嬉しい…」

男「泣くなよ、幼」

幼「男…愛してるよ」

男「俺もだ、幼」






?「そこだ!チューしろ!」

?「それはまだ早いわよ!」

?「いや、今がその時だ!行け!男君!」

?「雰囲気が大事よ!もう少し抱擁の余韻に浸るべきよ!」

?「流れ的にチューするタイミングだろう?」

?「まだです。あなたは本当に解ってないわね」

?「そっちこそ!そんなんじゃ、将来の息子に罵倒されちゃうぞ?」

?「なんであたしが罵倒されなきゃならないのよ!」

?「声がデカいっつーの!見つかったらどうすんだ!」

?「あなたが変な事言うからでしょ?」

?「こういうのはな!タイミングを逃すと、しにくくなるんだよ!」

?「そのタイミングが今じゃないって言ってるの!」

?「なんだとー?」

?「なによ!やるって言うの?」

?「表出ろや、コラァ!」

?「上等だ!誰のヘアスタイルがサザエさんだ、このスットコがぁ!」

男・幼「…」

幼「お父さん、お母さん…もうそろそろつっこんでも良い?」

幼父「はっ!?」

幼母「しまったっ!」

男「二人で何してるんすか?」

幼父「いや、ほら…その…なぁ?」

幼母「えーっと、あの…あ!」

幼母「窓をガンガン叩いてる音が聞こえたから!」

幼母「幼ちゃんの部屋に侵入者でもと思って!」

幼父「そ、そうそう!最近は物騒だから、なー?」

男「ウチと、この家、30センチしか隙間無いじゃないですか」

幼父「人が侵入するには充分だろう」

男「さすがに無理がありますよ、おじさん」

幼父「コラ!おじさんじゃないだろう、男君!」

幼父「いやさ、男!」

男「呼び捨て?」

幼父「だって、息子に君付けなんて、おかしいだろ?」

男「あ、あの…」

幼母「ふふふ。照れちゃって…かわいいんだから」

幼母「こんなかわいい息子が出来て、嬉しいわー」

幼「お父さん!お母さん!」

幼母「大丈夫よ、幼ちゃん。解ってるからね!」

幼母「ずっと夢見てきたんだもんね?」

男「夢?」

幼母「男ちゃんのお嫁さんになる事!」

幼母「夢、叶うね!」

幼「あ、あぅ…」

幼父「取り敢えず、男。一発殴って良い?」

男「え?普通に嫌ですけど」

幼父「えー?俺すっげえ憧れてたのになー」

幼父「娘は嫁にやる!代わりに一発殴らせろ!って」

幼父「リア充みたいじゃん?」

幼母「それは右手で殴るんですか?」

幼父「ノゥ!ノゥ!ノゥ!」

幼母「左手ですかぁ?」

幼父「ノゥ!ノゥ!ノゥ!」

幼母「ひょっとして、オラオラですかぁ?」

幼父「イェス!イェス!イェス!」

男「オラオラだと、一発じゃないじゃないですか…」

男「それに、本当に戦ったら、勝てそうな気もするんですけどね」

幼父「でも、一発くらい良いだろ?」

幼父「手塩にかけて育てた娘を嫁に出すんだ」

幼父「大丈夫、手加減して、人中にチョップ程度で許すから!」

男「グーで頬っぺ殴られる方が安全な気がします…」

幼母「あなた!そんな事したら、息子に嫌われますよ…って」

幼母「私は止めれば良いのよね?」

幼の両親「ひゃーーーーーー!リア充っぽい!」

幼の両親「イェーーーーイ!」
パシッ

幼「何で今、ハイタッチしたの?」

幼父「これはな、幼」

幼父「お父さん達の儀式みたいなもんだ」

幼母「お約束ってやつね」

幼父「それにしてもなぁ」

幼母「そうねぇ」

幼父「ウチの娘がリア充になるなんてなぁ」

幼母「全く…ねぇ」

幼「いや、あんたたちもリア充でしょ?」

幼父「娘よ、何を言う!?」

幼母「そうよ、幼ちゃん!親に向かって何て事言うの!」

幼母「良い?私たちはね…」

幼の両親「世のリア充に爆発しろって叫ぶ側!」

幼父「なのだよ」

幼「…なのだよ、じゃないわよ!」

幼「なんで二人ともドヤ顔なのよ!」

男「あの、おじさん…ちょっと…」

幼父「おじさん、じゃないだろう!お義父さんだろ?息子よ!」

男「あぁの…さっきの聞いてたんですよね、全部」

幼父「親として、当然じゃないか」

男「あのー、それでですね…娘さんとですね」

幼父「あぁ、解ってる!解ってるから!」

幼母「そうよ、男ちゃん。全部解ってるからね?」

男「う…」

幼父「さ!どうぞどうぞ!」

幼母「結婚の報告よね?あ、まずは婚約からかしら?」

男「ぎ、逆に言いづらいんですけど…」

幼「…」

男「俺まだ高校生だし」

男「世間の事何も知らないガキですけど」

男「娘さんを一生幸せにしますんで!」

幼父「うんうん」

幼母「幼ちゃんの事、任せたわよ?男ちゃん」

男「精一杯努力します」

幼「一生一緒にイテァーリァ」

男「それ、全然上手くないからな?」

幼「もう!ノリ悪いなぁ、男は!」

男「ボケるならちゃんとボケろよ」

男「ツッコミにくいわ!」

幼父「さすが幼馴染!息ピッタリ!」

幼母「将来安泰ね!」

男「あ、はぃ…」

幼「もう!二人とも!男が困ってるでしょ!」

男「主に君が原因なんですけどね」

幼「そんな事じゃ2013年のキングオブコントには輝けないよ?」

男「そんな物に出るつもりはありません」

幼父「賑やかで楽しいなぁ!」

幼母「ホントにね!リア充も良い物ね!」

幼父「テンション上がってきたー!」

幼父「男!外でキャッチボールでもするか?」

男「こんな夜にですか…?」

幼父「時間の事考えてなかった!」

男「幼が考えなしに喋るのは、おじさんに似たんですよね」

幼父「そんなに褒めるなよ、男」

男「…」

幼母「じゃあ、お赤飯!お赤飯炊きましょう!」

男「こんな時間からですか…?」

幼母「あら、赤飯に時間は関係ないんじゃないかしら?」

男「幼が勢いだけで行動するのは、おばさんに似たんですよね」

幼母「あら、そんなに褒めても、お赤飯くらしか出ませんよ、うふふ」

男「…」

幼「…と、取り敢えず、二人とも、解ったでしょ?」

幼の両親「解りました!」

幼父「おい、男。今日泊まって行けよ?」

男「えー?」

幼母「お家には私から電話しておくから、ね?」

男「いや、自分で言ってきますけど…」

男「て、いうか良いんですか?」

幼父「あたぼうよ!」



男「…なんか、成り行きで泊まる事になったけど」

男「良いの?」

幼「良いよ良いようん。むしろ大歓迎だよ!」

男「んじゃぁそろそろ寝るか?」

幼「う、うん…そうだね」

幼「あ!そうだ!」

男「ん?」

幼「沖縄女ちゃんにメールしなきゃ」

男「いつのまにアドレス交換したんだ?」

幼「レストランでね」
ピッ

男「メールに何書くつもりだ?」

幼「私たちの事!」
ピッピッ

男「もう寝てるんじゃないか?」

幼「いーや、起きてると思うよ」
ピッピッ

幼「送信っと」
ピッ

男「何で起きてると思うんだ?」

幼「そりゃあ…」

幼「あ!そうか!でも…いや、まぁ、もう一通送ればいいか!」
ピッピッ

男「変なメール送るなよ?」

幼「全然!変な事じゃないから!」

幼「二通目、送信っと」
ピッ

幼「あとは、私たちの話しだもんね」

男「ん。もう寝るんじゃないのか?」

幼「いや、寝る寝る!もう超寝るけどさ!」

男「超寝るって何だよ」

幼「何で床に布団なんか敷いてるの?」

男「は?俺に直で床に寝ろと?」

男「まぁ、暑いからそのまま床でも良いけどさ」

男「起きたとき、身体の節々が痛くなる事があるから…」

幼「じゃなくて!こっち!」
ポンポン

男「何だよ、その『察しなさいよ』みたいな顔」

幼「え?そこが読めてて、何故肝心な部分が読めないの?」

男「読む?」

幼「私の心…よ」

男「お前のドヤ顔はウザイなぁ」

幼「婚約者に向かって、ウザイって言うな!」

男「でもそんなウザさも好きだぜ、幼」

幼「…バーカ」
バフッ

男「照れて枕に顔うずめてる幼も可愛いよ」

幼「私が照れるって解ってて、そう言う事言うの止めてよねっ!」

男「…俺もベッドで寝るって事だよな、それは?」

幼「そうでーす」

男「暑くないか?」

幼「へいクーラー!ガンガン行こうぜ!」
ピッピッピ
ゴバー

男「わかったわかった…わかったから、設定温度もうちょい上げてくれ」

幼「じゃあ20度くらい?」

男「28度で良いだろ」

幼「暑くなると、思うよ?」

男「…ばーか」

幼「照れてる?照れてる?へへへー」

男「…お邪魔します」
ゴソゴソ

幼「あ、もうあっついね」

男「確かにな…」

男「俺やっぱ床で…」
ギュッ

幼「駄目!それは駄目!」

男「…」

幼「今日は、一緒に寝るの!」

男「またおじさん達に覗かれるかも…って思ったらさ」

幼「大丈夫!あの二人だって、空気くらい読めるよ!」

幼「私の両親だよ?」

男「知ってるから、不安なんだよ…」

幼「本当に大丈夫だから、ね?」

男「わかったよ…」

幼「ギューってして欲しい」

男「…」
ギューッ

幼「ずっと傍に居てよね、男」
ギューッ

男「こっちの台詞だっつーの」

幼「相方として、傍に居てね?」

男「おう…ツッコミは任せろよ」

幼「うん…この手、離さないよ?」
ギューッ

男「…それは俺の手でも握って、言ってくれよ」

幼「…」
ギューーーーッ

男「ちょっと苦しい!苦しいんですけど!ベアハッグかよ!」

男「ギブ!ギブアップです!」

幼「…照れ隠しですー」

男「解ってるよ」

男・幼「…」

男「愛してるぞ、幼」

幼「えへへ、私もだよ、男…」
チュッ

幼「久しぶりのキス、だね?」

男「…そうだな」

幼「今夜は、いっぱい男を感じたいよ…」

男「恥ずかしい事言うなよ」

幼「照れ隠しですー…えへへ」

男「あんまり俺の理性を甘く見るなよ?」

幼「知ってるよ、四天王で例えるなら、土、なんだよね?」

男「…悔しいが、その通りだ」
チュゥッ




幼「おーい、男ー!起きろー」

ガンガン

ガラッ

男「起きてるっつーの…何だ?」

幼「今からお出かけしよっ!」

男「んー?良いけど、どこに?」

幼「空港」

男「は?」

幼「沖縄女さん達、今日帰るんだよ」

男「見送りに行くのか?」

幼「そうでーす」

男「解った、準備するよ」

幼「40秒でね!」



『空港』

男「何時の便だ?」

幼「jtaの16時45分発だよ…こっちだね、多分」

男「見つからなかったらどうするんだ?」

幼「電話番号知ってるんだから、電話するよ」

幼「でも一応、サプライズだから、ギリまで探す!」

男「サプライズなのか…」

幼「多分、お土産売り場のどこかに居ると思うんだー」

男「おいおい、どれだけ広いと思ってるんだよ…」

幼「それでも私たちはッ!決してッ!くじけないッ!」

男「お?あれじゃないか?」

幼「え?あ、ホントだ。良かった、見つかってラッキー」

男「沖縄女さんはすげーラッキーらしいからな」

男「そのお陰じゃねーか?」

幼「…」

男「…どうした、声かけないのか?」

幼「…ちょっとこっちに」

男「何で物陰に隠れるんだ?」

幼「いいから!」

男・幼「…」

幼「…メールメール」
ピッピッ

幼「『またねっ!』っと」
ピッ

男「おい、二人にさよならとかしなくていいのか?」

幼「フッ…男、あの二人を見てよ…」

男「さっきから見てるけどな?」

幼「すっごく幸せそうな顔…きっとあの二人、結ばれたと思うんだー」

幼「手の繋ぎ方も、恋人繋ぎじゃない?」

男「お、おぅ…そうか?そうだな」

幼「あと、私、沖縄女ちゃんに、ゴム渡したし!」

男「なっ!?」

幼「あれはきっとそう言う感じだよ!」

男「お前なぁ…マジちょっと考えて行動しろよ?」

幼「ふふん。相方がヘタレだと、女の方は苦労するんだよ!」

男「うぐぅ…それ言われると…」

幼「それに、沖縄女ちゃんも、ちゃんと覚悟決めて来てたみたいだし」

幼「私はちょこっと後押ししただけだもん」

男「まぁ、あの二人が幸せそうだから、良いけどな」

幼「そう言う事!だから私たちはクールに去るぜっ!」

男「はいはい…cool!cool!!cool!!!」

幼「言い方が何かあの漫画みたくなってる…貴様、馬鹿にしているなッ?」

男「ハハハ!バレたか!さすが俺の相方!」

幼「…もう!アホ!」

男「アホって言うな、間抜け面!」

幼「そんじゃ、私たちも行こうか!」

男「おう!帰るか!」

幼「私たちも手、繋ごうよ」

男「おう!」
ギュ

幼「ね、男が、しょぼくれたじいさんになってもさ」

男「おう?」

幼「この手、離さないでね?」
ギュッ!

男「嫌がったって離さねぇよ、絶対!」
ギュッ!



おわり

これで終わりです
最後まで読んでくれた人が居たら嬉しいです

次スレは
幼馴染「ちっちゃい……」
ってタイトルでスレ立てると思います

見かけたら読んでくれると嬉しいです
では。

乙でした!
次も期待です!

超乙



いつもありがとうございますっっ!!


相変わらず面白いです

乙乙
250レスって長いなーと思ったら、2本分だったのね
これならスレ分けても良かったんじゃない?
ともあれ面白かった

続編なのに、前の話し読んでなくても、ある程度話しが成立してる
面白いかどうかは別としても、文章構成が上手だと思う
同じss書きとして、嫉妬しちゃう

おつおつ

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