キュイ「逃がさんぞベジータ。このキュイ様が片付けてやる」(12)

フリーザに露骨な反逆姿勢を見せたベジータを追い、ナメック星に到着したキュイ。

キュイのスカウターはすでにベジータを捕捉していた。

キュイ「聞こえてるかベジータ」

ベジータ『何の用だキュイ』

キュイ「白々しい野郎だ…。だが、これで堂々とキサマを殺せるというわけだ」

ベジータ『笑わせるなキュイ。キサマに俺を殺せると思うのか?』

ベジータ『待っててやるからさっさと来やがれ』

キュイ「俺様の戦闘力の方が明らかに上回っているというのに、大した自信だぜ」

キュイ「お望み通りすぐ殺しに行ってやるから、ビビッてもらさんようにションベンしとけ猿野郎」

キュイ「へっへっへ…ベジータ。ようやくライバル同士、決着を付ける時が来たようだな」

対峙する二人。

キュイ「腕を落としたようだな」ニヤッ

キュイとベジータはほぼ五分五分の戦闘力を持つ。

これは当の二人も周囲にも広く周知されている事であった。

ザーボンがキュイにベジータの処刑を命じたのも、仮にベジータが勝ったとしても無事では済まないと踏んだからこそである。

キュイ「その戦闘力じゃお前に勝ち目はないぜ」

ベジータ「ライバル同士だと?だったらいいものを見せてやろう」

戦闘力で下回るはずのベジータが余裕の発言。

ベジータ「この俺が地球に行った時、そこで戦った奴らから面白い事を学んだ…」

キュイ「ケッ!逃げ足の速さをか?」

ベジータ「戦闘力のコントロールを、だ!!」

キュイ「戦闘力のコントロールだと!?」

ベジータ「そのスカウターで俺の数値をよく見てみやがれ!!」

気を高めるベジータ。

キュイ「むぅ…!?確かに数値が上がって行く!!」

キュイ「17000…18000…19000…」

戦闘力が変化する事には驚いたキュイであるが、なぜか数値そのものには驚いた様子はない。

キュイ「20000…21000…22000…」ボンッ

淡々と数値を読み上げている途中、スカウターがオーバーフローを起こして故障してしまった。

キュイは相手の戦闘力をスカウター無しで察知する能力はない。

しかし、スカウターが故障した後もベジータの戦闘力が依然上昇中である事を理解していた。

ベジータ「スカウターが壊れて数値が把握出来なくなったようだな」

充分戦闘力を高め切ったベジータは余裕の笑みをもらす。

キュイ「正確な数値はわからんが、低く見積もって23000強、高くて25000弱ってところかな」

何故か冷や汗ひとつかかないキュイ。

圧勝を確信していたベジータは、そんなキュイの態度を、観念したと受け取った。

つまり、思いっ切り油断していた。

ベジータ「こんなはずじゃあなかった…だろ?」ニヤッ

ベジータ「バカめ!俺は絶えず前線で戦って来たんだ!地球じゃ死にかけた程の戦いだった!」

人間、余裕が出れば気も大きくなる。

それはサイヤ人であろうが地球人であろうがナメック星人であろうが変わりはない。

ベジータ「フリーザのところでぬくぬくとしていたキサマと何時までも互角だと思うか!」

キュイ「いい気分に浸っているところ悪いが、試しに俺様の数値も確認してみたらどうだ?」

ベジータ「なんだと?」

妙な事を…とベジータは思った。

互角と目されていたキュイとベジータの戦闘力は共におよそ18000。

ただしこれは、ベジータが地球やその他の惑星に率先して侵攻する前の話である。

幾多の戦いを潜り抜けて来たベジータは今や低く見積もっても23000を超え、方やキュイはロクに戦闘もこないていない為、今も18000しかないはずである。

…『はず』である。

ベジータ「全く無意味な事だが、最期の願いくらい聞いてやるとするか」

そう言ってスカウターを覗き込むベジータ。

ベジータ「………!」

途端に沈黙するベジータ。

余裕の笑みは驚愕に、そしてキュイとは対照的に額からは滝のような冷や汗。

ベジータ「バ…バカな!スカウターの故障か!?戦闘力50000だとお!!!」

もはやフリーザの部下なら誰もが恐れるギニュー特選隊クラスである。

キュイ「フリーザ様のところでぬくぬくと…と言ったな?」ザッ

ベジータ「うっ!!?」

キュイが一歩前に出れば、ベジータは一歩後ずさる。

キュイの足取りは堂々と軽やかだが、ベジータのそれは膝が笑って折れ曲がりそうである。

キュイ「バカめ!俺様は絶えずフリーザ様の身近という絶大なプレッシャーの中に身を置いていたのだ!」

キュイ「ザコばかり相手にして、たかが一回死に掛けただけの貴様と互角だと思うか!」

ベジータ「うぐぅ…!」

キュイの正論と戦闘力にもはやぐぅの根しか出ないベジータ。

こうなればベジータには逃げる以外に道は無い。

戦闘力に2倍の差があっては勝負として成立しないのがこの世界の常識である。

ベジータ「くっ!」バシュン

キュイに背を向け逃走を謀るベジータだったが…。

キュイ「逃がすか!」バシュン!

しかし回り込まれてしまった!

ドゴォッ!

ベジータのボディにキュイの左ボディブローが炸裂!

この時点で即死級のダメージだったが…。

バギャッ!

腹を打たれて前かがみになったベジータの顎に追い打ちを掛ける右アッパー!

凄まじい勢いで吹っ飛んでいくベジータ。

多分この時点で生きていないと思われる状態だったが、キュイはニヤリと笑うと…。

キュイ「うががががー!」

ダメ押しの連続エネルギー波でさらなる追い打ち!

エネルギー波の一発一発が、ベジータの最大の技であるギャリック砲を上回る威力である。

こんなものをほぼ死体同然の状態で食らったら一溜まりもない。

例え万全の状態であっても一溜まりもない。

ベジータは細胞一つ残らずエネルギー波によって消滅した。

キュイ「へっ…!猿野郎に手向けるにしちゃ、出来過ぎた花火だったぜ」ピッ

キュイ「ザーボン、聞こえるか」

ザーボン『ああ。全て把握している。ご苦労だったな』

キュイ「全く…今後もあんなのとライバルだったと思われちゃ恥だぜ」

ザーボン『その事は今回の件で過去の遺物になるだろう。安心しろ』

ザーボン『…で、褒美は何がいいかとフリーザ様は仰っているが、どうする?』

キュイ「あの猿野郎を処刑させてくれた自体が褒美みたいなもんだぜ」

キュイ「だから何も要らねえとフリーザ様にお伝えしてくれ」

これはキュイとベジータのもしもの話である。

‐ザ・エンド‐

ベジータファンの方すみませんでしたm(_ _)m

これで終わりです。

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