ほむら「星をなぞる」 (20)

杏子「…っあー…今日も疲れたな…」

マミ「そうねぇ、最近魔獣が強くなっている気がするわ」

ほむら「…」

杏子「おーい、ほむら、どうするよ?」

マミ「私の家でお茶でもどう?」

杏子「寒い日に飲むマミの紅茶は最高だからな」

ほむら「…私は…」

ほむら「遠慮するわ、誘ってくれてありがとう」

杏子「そっか、じゃあな」

マミ「また明日」

ほむら「ええ」

ほむら(…綺麗)

ほむら(…とっても綺麗…)

QB「やぁ、ほむら」

ほむら「何の用かしら?」

QB「特に用事はないんだけれどね」

QB「グリーフシードは無いのかい?」

ほむら「…」ポイッ

QB「きゅっぷい」

ほむら「…」ポケー

QB「何を見ているのかな?」

ほむら「夜空を、星を見ているの」

QB「星かい」

ほむら「あなたには分からないでしょうけどね」

QB「そんなことはないよ」

ほむら「あら、本当かしら?」

QB「星が生まれてから壊れゆくまでのエネルギーを効率よく…」

ほむら「はいはいもういいわ」

QB「なんだい、人がせっかく…」

ほむら「そういうことを言っているんじゃないのよ」

QB「じゃあなんだというんだい?」

ほむら「…はぁ」

ほむら「綺麗だと思わない?」

QB「僕らにそういった感情はないよ」

ほむら「じゃあ死になさい」

QB「あんまりだよ」

ほむら「…」

QB「君の星を見る時の顔は不思議だね」

QB「まるで懐かしい思い出を見直しているようだね」

ほむら「…分かっているじゃない」スッ

QB「それは何をしているんだい?」

ほむら「…なぞっているの」

QB「成程、古代から人間は星の形を星座と定義してそれに基づいた神話を作っていたね」

QB「つまり君は神話を思い出しながら星座をなぞっていたわけだ」

ほむら「馬鹿なの?」

QB「ええ?」

ほむら「私がそんなにロマンチストに見えるかしら?」

QB「君くらいの年齢の女の子には割と多いよ」

ほむら「…それもそうかしらね」

QB「じゃあ君は何を思い出しているだい?」

ほむら「まどかよ」

QB「…またそれか」

ほむら「…」

QB「何度も行ったけれど観測のしようがない限りそれは君の頭の中の夢物語に過ぎないんだ」

ほむら「…この世にまどかなんていないってこと?」

QB「そうだね」

QB「この世界に君の言う「まどか」の可能性なんて過去にも未来にも」

QB「有り得ない」

ほむら「…」

ほむら「…いるわよ、まどかは」

QB「…だから」

ほむら「…あの星がまどかなの」

QB「…あれはベテルギウスだよ」

ほむら「じゃああれ」

QB「それも違うよ」

ほむら「…そうよ」

ほむら「どれだってまどかじゃないわ」

QB「何が言いたいんだい、君は」

ほむら「あの星もあの星もまどかじゃない」

ほむら「だったらどれもまどかじゃないわ」

ほむら「…だって宇宙でも有数の文明を持っているものね」

ほむら「…どれもこれもまどかじゃないというけれど」

ほむら「じゃあまどかの存在を否定できる?」

QB「…」

ほむら「貴方達らしく、否定できるかしら?」

QB「それは単なる言葉遊びだ」

ほむら「あら、いいじゃない、言葉遊び」

ほむら「そういうことが一番大事だったりするのよ」

QB「訳がわからないよ、論理以前に君の考えは破綻している」

ほむら「はいはい、もういいわ、消えなさい」

QB「そうするよ」スッ

ほむら「…まどか」

ほむら「…」

ほむら「…逢いたいよ…まどかぁ…」

ほむら(何度も願った)

ほむら(何度も泣いた)

ほむら(その度に貴方が居ないことを実感する)

ほむら(…どうしてあなただったの?)

ほむら(…あなたはどうして円環の理なんかにならなければならなかったの?)

ほむら(…どうして私をおいていったの?)

ほむら(そんな考えが頭をよぎる度に)

ほむら(いつしか私は星をなぞるようになっていた)

ほむら(点と点をつなげて)

ほむら(いつか遠い向こうのあなたへと)

ほむら(届くような一本の線を思い描きながら)

ほむら「星をなぞる」

ほむら(もうそれしか出来ないから)

つぎの日

マミ「あら、暁美さん、おはよう」

ほむら「おはよう」

マミ「いつもより少し遅いわね」

ほむら「そうね、昨日は眠れなかったから」

マミ「ふふ、授業中に寝ちダメよ?」

ほむら「善処するわ」

ほむら「…それよりも今日のことだけれど」

マミ「あぁ、今日は佐倉さんとあなたで行ってくれないかしら?」

マミ「私も遅れていくんだけど少し用事があって」

ほむら「えぇ、分かったわ」

マミ「ふふふ、ありがと」

マミ「どうかした?」

ほむら「え?」

マミ「暁美さん、自分でも気付いてないようだけれど」

マミ「魔獣を倒した次の日は大抵様子がおかしいわよ?」

ほむら「そうかしら…」

マミ「…」

マミ「ま、いつでもいいから」

ほむら「…?」

マミ「いずれ話して欲しいな」

マミ「暁美さんのことと、そのまどかちゃんって子について」

ほむら「…そうね、いつか話すわ」

杏子「よっ」

ほむら「魔獣は?」

杏子「ったく、開口一番それかよ」

ほむら「私は早く倒して帰りたいのよ」

杏子「…はぁ」

杏子「お互い魔獣を倒すときだけの関係だけどさ」

杏子「もうちょっと心を開いてくれねぇか?」

ほむら「…そうね」

杏子「はぁ、まぁいいよ」

ほむら「…」

杏子「…まーた、見てる」

ほむら「え?」

杏子「あんた、ポケーっとしてるときは大抵空を見るよな」

ほむら「…」

杏子「ま、別にいーけどよ」

杏子「お疲れさん」

ほむら「…ふぅ」

杏子「帰んのか?」

ほむら「…そうね」

杏子「ダメだぜ」

ほむら「え?」

杏子「あんた付き合い悪いんだもん
、今日という今日は付き合ってもらうぜ」

ほむら「え、ちょ」

杏子「ほーら、おどおどすんな」

ほむら「…し、してないわよ」

杏子「取り敢えず、マミの家に行こうぜ」ニコッ

マミ「あら、いらっしゃい」

杏子「おう」

ほむら「…」

マミ「今から行こうとしてたのだけれど」

杏子「おっせーよ」

マミ「そうみたいね」

杏子「マミー、紅茶」

マミ「暁美さんも入って」

ほむら「お、お邪魔するわ」

マミ「ふふっ」

杏子「あはは」

杏子「あー、あったけぇ」

マミ「熱くない?暁美さん」

ほむら「…えぇ、あったかいわ」

マミ「ふふ、よかった」

ほむら「…」

杏子「で、教えてくれよ」

ほむら「…え?」

杏子「まどかって奴のこと」

マミ「私も聞きたいわ」

ほむら「…だけど」

杏子「何だよ、仲間だろ?」

ほむら「…」

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