まおう「よくきたな、ゆうしゃっ」勇者「何これかわいい」(161)

 ー魔王城ー


まおう「ここまでこれたのはほめてやろう!」

まおう「だがここま…で…」スリスリ

まおう「って!!はなせ!?」ブンブン

勇者「え、だってかわいいもん」スリスリ

まおう「われはまおうだぞっ」

勇者「うっそだー」

まおう「う、うそじゃないもんっ」

勇者「こんな愛玩動物が魔王のはずがない」

まおう「まおうだもん!!」キラッ


バチバチ ドンっ!!


勇者「うわぉっ!?」

まおう「ど、どうだっ、まおうだからつよいんだぞっ」

勇者「うわぁ…マジですか…」ヒリヒリ

まおう「だからしょうぶだ!!」

勇者「断る!!」ガバッ

まおう「ひゃっ」ビクッ

勇者「こーんなかわいいのに倒せるわけないよ!!」スーリスリ

まおう「でも、ゆうしゃとまおうはたたかわないとだめなんだ」ジタバタ

勇者「世間一般ではそうだろうけどまおちゃんは誰に聞いたのかね?」

まおう「パパとママ(まおちゃん…)」

勇者「ここに呼びなさい」

まおう「おそとにでていってずっともどってきてない…」

勇者「なん…だと…」

勇者(外ってことは人間界?)

勇者(でも、どこかが襲撃されたとか聞いてないし)

勇者(こんな小さい子置いてどこいったんだろう?)



勇者「今までご飯とかはどうしてたの?」

まおう「そっきんがやってくれてた」

勇者「じゃあその側近呼んでくれる?」

まおう「…しょうぶは?」

勇者「ちょっとそれはあとね」

勇者「大切なお話があるから」

まおう「わかった」

まおう「そっきーんっ!!」

側近?「なんでしょう魔王様」フワッ

勇者「」

勇者(どう見てもただのメイドなんですけど…)

まおう「ゆうしゃがおはなしがあるって」

メイド「あらあら、もう来られてたのですか」

勇者「えっと、側近…でいいんだよね?」

メイド「はい、側近兼魔王様のお世話係であります」

勇者「この子の親は今何しているの?」

メイド「大魔王様方ですか?」

メイド「温泉旅行に行っております」ニッコリ

勇者「え?」

メイド「え?」

まおう「え?」←二人の真似してみた

勇者「温泉旅行?」

メイド「温泉旅行でございます」

勇者「嘘じゃないよね…?」

メイド「はい、本当でございます」

勇者「はぁ…」グッタリ

勇者「無駄な心配して損した…」

勇者「愛くるしくてペロペロしたいぐらいかわいい魔王放置して」

勇者「何してるんだ!!って怒鳴り込んでやろうと思ったのに」

メイド「心の声がだだ漏れですよ、勇者様」

勇者「おっと…それにしても君たちは変だ」

メイド「はい?」

まおう「へんってなに?」

メイド「勇者様のようなロリコンの事ですよ」

まおう「ろりこんってなに?」

メイド「幼い子を 勇者「だらっしゃあああああ!!!」

まおう「?」

勇者「ゴホンっ、あたしが言いたいのは…」

勇者「なんであたしに手を出さないの?」

メイド「手を出すですって…変態っ!?」

勇者「おぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」

メイド「冗談です」

メイド「私たち魔族は今の代より」

メイド「人間に対して一切傷をつけないと決めたのです」

勇者「え…」

メイド「『人と魔族は共存できる』」

メイド「大魔王様のお言葉です」

メイド「ただ種族が違うだけで争うのはおかしいと」

メイド「そう言い、魔族全体にそれを伝えました」

メイド「もちろん反対する者もおりましたが」

メイド「大魔王様の本気を見て皆が納得するまでになりました」

メイド「それで…」

まおう「そっきんーおなかすいたー」

メイド「はいはい、待っててくださいね」パタパタ

勇者「ちょ…いいところで…」

メイド「まぁまぁ勇者様も召し上がっていきませんか?」クルリ

勇者「いやあたしは」グゥ~

メイド「今用意してきますね」ニッコリ

勇者「うぅ///」

まおう「ゆうしゃ」

勇者「ん?なぁに?」

まおう「しょうぶは?」

勇者「」

 -魔王城 大食堂-


まおう「じゃあもうしょうぶしないの?」

勇者「うん、もう戦う必要ないみたいだし」

まおう「あうー」

勇者「やばいその困った顔チューしてやりたい」

メイド「また心の声漏れてますよ」

勇者「はっ」

メイド「勇者様は本当に変態という名のロリコンですね」

勇者「こうなったのはあたしのせいじゃないよ!?」

メイド「あら、そうなんですか?」

メイド(否定はしないんですね)

勇者「師匠でもあり恩人でもある人のせい…」

メイド「あら、人のせいにするんですか」

勇者「メイド嫌い!!」

??「でも私はそんな勇者好き!!」

勇者「」

??「あ、これ美味しい」モグモグ

メイド「ここの近辺で採れたフルーツを使ったサラダです」

??「へ~もっと辛気臭そうな場所かと思ったけど」

??「意外と人間界と変わらないものだね」

メイド「そうでしょう?」

まおう「なにこれ」

??「『これ』はとは失礼なお子ちゃまだな」

勇者「あなたが一番失礼だよ…」

勇者「賢者」

賢者「やぁ勇者、我慢できなくて追っかけてきちゃったっ」テヘヘ

メイド「もしかして~」

勇者「今さっき言った変態の総大将です」

まおう「えらいへんたい?」

メイド「魔王様正解ですよ」

賢者「『とても変態』っていいたいのか!?」

勇者「そんな事はどうでもいいよ…」

勇者「どうしてここに?」

賢者「それを言うかこのアホの子はっ」グイー

勇者「いひゃいいひゃいよほぉ」ビヨーン

賢者「私たちを放っておいて単身で乗り込むとか」

賢者「アホの子と言わずに何て言うのかなっ」ギリギリ

勇者「ふぉげりゅ~」ビヨヨーン

まおう「わたしもやるー」クイクイ

賢者「いいよ、思い切りやってあげなっ」ギリギリ

勇者「ひゃめて~」ビビヨーン

 ー魔王城 中庭ー


勇者「あぁぅ…」グッタリ

メイド「お疲れのようですね」

勇者「あの人苦手なんだ…」

勇者「あたしをここまで育ててくれたのは感謝してるけど」

勇者「一緒にいるとなんか疲れる…」ハァ

メイド「きっとそれだけ心配してたんですよ」

メイド「ああやっては冗談言ってても」

メイド「目は本気でしたよ、賢者様」

勇者「うん…分かってたんだけどね…」

メイド「さすがですね」ニッコリ

メイド「勇者様はこれからどうなさるのですか?」

勇者「うん…まさかこんな終わり方するとは思わなかったし」

勇者「どうしようかな」

メイド「このままここにおられてもかまいませんよ?」

勇者「うーん」

勇者「って、他にここにいる魔族は?」

勇者「どこ進んでも姿すら見えなかったんだけど」

メイド「昔はおりましたけど今は私だけです」

勇者「へ?」

勇者「どこ行ったの?」

メイド「大魔王様が出て行かれる時に」

メイド「勇者様が来られた時に怖がらないようにって」

メイド「全員故郷に帰しちゃいました」

なんと良心的

勇者「その大魔王はそこまでして…」

メイド「はい、よっぽど人間と一緒になりたかったんでしょうね」

勇者「そっかぁ」

勇者「最近おかしいと思ってたんだ」

勇者「魔物とかがどこにも襲撃してこなかったから」

勇者「そういう事だったんだね」

勇者「でも、ホント大魔王はどこ行ったんだろう…」

メイド「温泉旅行って言いましたけど?」

勇者「それどこの温泉?」

メイド「…何か気になることあるのですか?」

勇者の存在意義…

勇者「さすがにあの子置いていったまま戻らないのはおかしいかなって…」

勇者「正確な居場所とか分からないの?」

メイド「さすが勇者様ですね、お優しいです」

メイド「でも私は本当に何も聞かされていませんし」

メイド「アレ以来連絡すら取れない状態なのです」

メイド「申し訳ありません」

勇者「ごめんね、何度も聞いちゃって」

勇者「こっちからちょっと探ってみようかな」

メイド「そんなこと出来るのですか?」

勇者「こう見えても勇者だもん」

勇者「色々顔は利くんだよ」

メイド「やはり何かと手を貸して信用を得たのですか?」

勇者「基本はそうだね」

勇者「でも最初から信じてくれるところもあったかな」

勇者「エルフ族とか何故か手放しで歓迎されたんだけど…」

勇者「人じゃないところからいきなり信用されるっておかしい気がするんだ」

メイド「あら、うちの種族ですか」

勇者「やっぱりメイドさんってエルフだったんだ」

メイド「そうですよ」ピコピコ

勇者(尖った耳がピコピコしてる)

勇者(かーわいいっ)

メイド「顔が実に気持ち悪いです勇者様」

勇者「はっ」ゴシゴシ

メイド「もっとも私はその中でも異端だったんですけどね」

勇者「異端?」

メイド「また機会があればお話しますよ」

勇者「でもメイドさんも最初からあたしを信用してくれてたよね?」

メイド「それはあれですよ」

メイド「かわいい子に悪い人はいない」

勇者「あんたは何を言ってるんだ」

メイド「冗談はさておき」

メイド「エルフの人たちが勇者様を信用してたのは」

メイド「相手の感情を読み取る能力があります」

メイド「人間にもそういう人もいるでしょうけど」

メイド「エルフ族は深い感情すらも読み解いてしまうようです」

勇者「ほぇ~すごいなぁ」

この勇者って女?

メイド「勇者様に出会った瞬間、勇者様の気持ちを理解したのでしょう」

メイド「この人は安心できる存在だって」

勇者「そっか~だったらうれしいなぁ」

勇者「だって、エルフって人間嫌ってるだろうし」

勇者「…奴隷とかにされちゃうし」

勇者「奴隷とかこの世から永遠になくしたい」ギリギリ

メイド「勇者様…」

メイド「だから勇者様は信用に足る存在なのですよ」

勇者「ありがとう」

>>24 女の子ですよ


勇者「でもさ、そんなあたしでも信用してくれない人いるよ」

メイド「どこのどなたですかそれは」

メイド「ひき肉にしましょう」ズズズズズ…

勇者「メイドさん怖すぎる…」ガクブル

勇者「でも仕方ないよ」

勇者「みんながみんな信用しちゃうなら争いなんてなくなってるよ」

メイド「そういう貴方はそれでもなくしたいと思っているのでしょう?」

勇者「うわ、バレてる」

メイド「勇者様は感情が表によく出てらっしゃいますからね」

勇者「エルフじゃなくても読まれてるのは自覚してます…」

メイド「それでいいと思いますよ」フフッ



アハハハハ

賢者「…」

賢者「心配する必要なかったね」

賢者「楽しそうでなによりだよ…勇者」

賢者「辛い現実なんか知らなくていい」

賢者「できるなら何も知らないままの方が良い事もあるんだよ」

賢者「さーてあの子らに連絡取るかな」

賢者「──聞こえるかーい?私だよ」

賢者「うん、勇者は無事だったよ」

賢者「むしろ元気そうにしてた」

賢者「あ~ごめんそりゃ悪かった」

賢者「それでちょっと調べてほしい事あるんだけど──」

 -魔王城 浴場-

勇者「ひゃっほーい」ヌギヌギ

まおう「なんでそんなにたのしそうなんだ?」

勇者「ここに来るまでお風呂はいる機会思ったより少なかったんだ」

勇者「水浴びはしてたけど暖かいお湯だよ?ポカポカだよ??」

まおう「ん、んぅ・・・」

まおう(すごくうれしそう)

勇者「さぁまおちゃん突撃するよー」ガシッ

まおう「ひゃっ」

勇者「ごーごー」パタパタ

まおう「ひゃあっ」

まおう(ゆうしゃ…あったかい)

勇者「さてまずは頭洗いますか」

まおう「うむ」

勇者「お湯かけるよー」バシャー

まおう「あちゅ!」

勇者「あーごめんね、もうちょっとぬるくしてっと」ザバー

まおう「うー」フルフル

勇者(あーprprしたいっprpr~)

勇者「かゆいところはありませんか~?」ワシワシ

まおう「な、ないでちゅ」

勇者「うほっ」

勇者(『でちゅ』ですって奥さん聞きましたっ!?)

勇者(これはわざとなの!?それとも天然!?)

勇者(発狂しそうなほどかわいいよぉぉぉぉ)

まおう「?どうした?」

勇者「やらな…ゴホン!なんでもないよ」ワシワシ

勇者「はい頭終わり~」ザバー

まおう「はふぅ」フルフル

勇者「次、体ね~」ゴシゴシ

まおう「にゅにゅっ」

勇者(これはだめかもしらんね)

勇者(何なんだこの萌え発生装置は)

勇者(底知らずのかわいさじゃないか!!)

勇者(抱きしめて離したくないっ)

まおう「ゆ、ゆうしゃ…くるちぃ」ギュムゥ

勇者「はっ」

勇者(無意識のうちに抱きついてた)

勇者「ごめんごめん」ザバー

勇者「はふぅ~あったか~」チャプン

まおう「ぬくぬく~」チャプン

勇者「まおちゃんおいでおいで」フリフリ

まおう「?」チャパチャパ

勇者「つーかまえたっ」ギュッ

まおう「うにゅ」

勇者「かわいいなぁ」

まおう「わたし?」

勇者「そうそう」ニッコリ

まおう「はじめて」

勇者「うん?」

まおう「はじめていわれた」

勇者「そっかー」

まおう「ゆうしゃ」

勇者「なーに?」

まおう「ほんとうにたたかわなくていいの?」

勇者「いいよ」

勇者「ここに来るまではね」

勇者「自分がどうなっても魔王を倒すつもりで来たけど」

勇者「まさか魔王がこんなかわいい子で」

勇者「しかも戦う意味がなくなってるなんて思ってなかったからね」

まおう「たたかういみ?」

勇者「メイドさんから聞いてない?」

まおう「メイド?そっきんのことか」

勇者「そうだよー、まおちゃんのおとーさんが決めたんだって」

勇者「人間と一緒になって過ごしたいって」

まおう「パパが…」

勇者「まおちゃんと会った時からするに聞いてないなとは思ったけど」

勇者「もうああやって出迎えなくていいんだよ」

勇者「『よくきたな』じゃなくて『いらっしゃい』とか」

勇者「家族なら『おかえり』とか言えばいいんだ」

まおう「うん」

まおう「じゃあ勇者には『いらっしゃい』?」

勇者「そうだよーよくできましたー」ナデナデ

まおう「んぅっ」ニッ

勇者(しかし…)

勇者(このまま両親が帰らなかったら)

勇者(この子はどうなってしまうのだろう)

まおう「はぅはぅ」スイスイ

勇者(メイドさんがいるとはいえ)

勇者(もし人間が攻めてきたら…)

まおう「ゆうしゃー」

勇者「なに?」

まおう「もうあがるー」

勇者「はーい」

勇者(あたしが…)

勇者(もう勇者だとか魔王だとか関係ない)

勇者(守ってあげたい…)

 -魔王城 2fベランダ-


勇者「お風呂上りの体ににしみる~」ヒュ~

賢者「あとこれあれば最高じゃないかな?」コトッ

勇者「ミルク!!」ガシッ ゴキュゴキュ

勇者「ぷはぁ~うめぇ~」ドンッ

賢者「おっさんかっ」ツッコミ

勇者「へへ」

賢者「ホントあんたって子は読めないね」

勇者「え?なに?」

賢者「仲間と手前まで来ておいて一人で突撃するし」

勇者「そりゃ悪かったって…」

賢者「しかも倒すべき魔王prprしてるしっ」

勇者「まだprprしてないよ!!」

賢者「『まだ』ですって!!恐ろしい子っ!!」

勇者「ふへへ」ジュルリ

勇者「でもごめんね」

勇者「こんな事になっちゃって」

賢者「別にかまわないよ」

賢者「あんたが決めたことには何も言わないよ私は」

賢者「もう戦う必要ないんでしょ?」

勇者「うん」

賢者「あと大魔王夫妻については調べてもらってるよ」

勇者「えっ!?話聞いてたの!?」

賢者「ちらっとしか聞いてないけど失踪してるんでしょ?」

勇者「そうだけど…」

賢者「今、あの二人にまかせてる」

賢者「何か分かろうが分からまいが」

賢者「そのうちここに来るよ」

勇者「そっか…あの二人にも迷惑かけたなぁ」

賢者「気にしてはないでしょ」

賢者「ただ僧侶は『あとで楽しみにね』って言ってたわ」

勇者「逃げよう」ガクブル

賢者「まぁ嘘だけど」

勇者「うん分かってた」

勇者「賢者って嘘つくとき指くるくる回す癖あるし」

賢者「なん…だと…」

勇者「何年一緒にいると思ってるんだよ」

勇者「さすがに分かるよ」ヘヘッ

賢者「それでも勇者は好きだよ」

勇者「真顔で何言ってんだあんた」

賢者「『like』じゃないよ『love』だよっ」

勇者「はいはいそうですか」

賢者「いけず!!」

勇者「ホントにありがとね賢者」

賢者「ん?」

勇者「あの頃声かけてくれなかったら」

勇者「あたしこうしてまともに勇者にすらなれてなかった」

賢者「…」

勇者「何度も迷惑かけちゃったし」

賢者「勇者」

勇者「うん?あ…」ギュ

賢者「迷惑かけてくれてもいい」

勇者「…」

賢者「あんたはあんたが好きなようにやっていればいいんだ」

賢者「私は勇者の手助けできてたらいいんだよ」

勇者「でも…」

賢者「いつも言ってるだろ?」

賢者「勇者が大好きだから何でもしてやってるんだ」

勇者「不思議だなぁ」ギュウ

勇者「ホントのお姉ちゃんみたいに感じちゃうんだ」

勇者「賢者のこと」

賢者「それでいいのさ」

賢者「あの日、勇者に会ってから」

賢者「私はそういう関係になりたくて一緒にいたんだ」ニコ

勇者「そっか…えへへ」ニッコリ

 ー深夜 魔王城のとある寝室ー


勇者「zzz」

ガチャ ギィ~

「ねた?」ツンツン

「…」ゴソゴソ

「えへへ」

「おやすみ」

 -朝-


勇者「ん…」

モゾモゾ

勇者「あったかい…」

ゴロリ ゴロリ ピト

勇者「あったかいのがついてくる…」クルリ ←振り返った

勇者「」

まおう「すーすー」

勇者「なんだこのかわいい生き物はっ!!」←小声

勇者「えっと、確か昨日一人で寝たよね?」

勇者「あまりにかわいくて寝ぼけて誘拐してきた…?」

勇者「いやないない」

勇者「あるけどないない」

メイド「あるんですか、恐ろしい人ですね」

勇者「うるさいよそこっ」

勇者「となるとこの子が勝手にここに来たのかな?」

メイド「あんまりかわいいからって」

メイド「同性で尚且つ小さい子にあんな事してしまうなんてっ」

勇者「いやっやってない!!そこまではさすがにあたしでも…」

勇者「…これで満足したかい?」

メイド「あら、もうちょっとノッてくれてもよかったのに」

勇者「調子に乗るからダメです」

メイド「いけずですね」

勇者「いけずで結構」

勇者「勝手に独り言に参加してきたのはいいとして」

勇者「おはようメイドさん」

メイド「おはようございます勇者様」

まおう「に~」zzz

勇者「これどういうことなんでしょうかね?」

メイド「随分と好かれちゃいましたね」

勇者「え、これそういう事!?」

メイド「変態っ!?」

勇者「そういう意味ちゃうわっ!!」

勇者「まだ会って一日しか経ってないんだけど」

メイド「あら」

メイド「時間なんて関係ないですよ」

メイド「魔王様ぐらいの年だと勇者様がいい人だって」

メイド「すぐ気づいちゃいますよ」

メイド「子供は純粋ですから」

勇者「そういうもんなんだ…」

メイド「くっついてると安心できるんでしょうね」

勇者「メイドさんも同じ事あった?」

メイド「いつもじゃないけどよく私の部屋に来てましたよ」

メイド「家族のようで私は嬉しかったですけどね」

勇者「家族かぁ…」

勇者「お父さんとお母さん元気かなぁ」

まおう「んぅ…ゆうしゃ?」ゴシゴシ

勇者「起きたのかな、おはよー」

まおう「おはよー」ネムネム

メイド「じゃあ私はお食事の準備してきますね」パタパタ

勇者「あ、お願いします」

まおう「ゆうしゃ…」

勇者「どうしたの?」

まおう「かってにはいってごめんなさい」ペコリ

勇者「え?」

勇者(もう意識がはっきりしてるのか)

勇者(なんという寝覚めのよさ)

勇者(しかもちゃんと謝ってくる)

まおう「ひとりでねてたらなんだか…」

勇者「寂しかったんだね」ナデナデ

勇者(昔、あたしもそうだったからね)

勇者「別に怒ってないよー」

まおう「ほんと?」

勇者「うんうん」

勇者「また寂しくなったら一緒に寝てあげるから」

勇者「またおいで」

まおう「うん!」

勇者「ただいきなり来られるとびっくりしちゃうから」

勇者「ちゃんと起こしてね?」

まおう「わかった!!」

勇者「いい子だ」ナデナデ

勇者「さーてご飯が待ってるからいこっか」

まおう「はーい」

 -大食堂-


勇者「えっと…」

勇者「なんか増えてない?」

賢者「気のせいじゃない?」モグモグ

メイド「いつものお食事風景ですね」ジョボ~ コト

戦士「うまっうまっ」ガツガツ

僧侶「…」ズズー

勇者「気のせいか」ガタッ

いやいやいやいや

まおう「じー」

僧侶「…食べる?」

まおう「うん!」カプ モグモグ

まおう「うま~」

賢者「このスープうまー」

メイド「本日のコーンは最高級のを用意しました」

戦士「おかわりまだあるか?」

メイド「はいありますよお待ちくださいね」

勇者「」モグモグ

勇者「」モグモグ

勇者「な」モグモグ

勇者「何いつもの日常のようにやっとんじゃああああああああ!!」ガタッ!!

賢者「ちゃぶ台返しするかと思った」

勇者「食べ物粗末に出来ないし…」

戦士「そういう問題じゃないと思うぜ」

勇者「なんで朝っぱらから戦士さんと僧侶ちゃんがここにいるんだよ!?」

賢者「昨日言ったじゃない、呼んでるって」

勇者「調べ物はっ!?」

戦士「お腹すいたから中断してきたっ!!」

勇者「あーん?」ギロリ

戦士「ゴメンナサイソンナメデミナイデ」

僧侶「…」

勇者「…」

僧侶「…こっちみんな」

勇者「プチッ」

勇者「見たくもなるわぁぁぁぁぁっ!!」

賢者「さっき口でプチッって言ったね」

メイド「相変わらず面白い方ですね」

賢者「普段真面目だから時々おかしくなるんだよ」

勇者「君たちは調べ物をほっぽってきたって言うのかっ!!」

僧侶「…」スッ

勇者「メモ?」

僧侶「…確かじゃないけど聞いた情報は書いておいたよ」

勇者「…吊ってくる」トボトボ

戦士「待てコラ」ガシッ

勇者「ごめんなさいごめんなさい」

賢者「話聞いてすぐ行動してくれた結果だよ」

賢者「移動用道具使ってもらったから早く終わったみたい」

勇者「そうだったの…」

勇者「やっぱり吊ってこよう…」トボトボ

戦士「あっはっは!相変わらず打たれ弱いねぇ勇者はっ」

勇者「だってちゃんとやってくれてたのにあんな事言っちゃったし」

勇者「吊って 僧侶「次、その行動とったら折檻ね」

勇者「スイマセンスイマセン」ガクブル

メイド「えらいバイオレンスなパーティですね」

賢者「それだけ勇者が好きなのさ」ニコ

戦士「一緒にいると面白いしな」フフン

僧侶「…飽きません」ニー

まおう「ひといっぱいでワイワイたのしいなー」キャッキャッ

勇者「…みんな」

勇者「あたしはこの子の味方になろうと思う」ポン

まおう「んぅ?」

勇者「魔王の味方になるわけだから人間側には嫌われるかもしれない」

勇者「それでもまだ協力してくれるかな…?」

賢者「私はもう何も言わないよ」

賢者「あんたの好きに動けばいい」

勇者「賢者…うん分かった」

戦士「そんなの知ったことかよっ!!」

勇者「戦士さん…」

戦士「仲間放って置けるほどアタシはクズじゃないんだっ」

僧侶「…私に至ってはどうせ嫌われ者だし」

僧侶「…関係ないっ」グッ

勇者「僧侶ちゃん…」

勇者「みんなありがとう」

戦士「つっても最終的には共存なんだろ?」

勇者「うん、出来る限りそうしたいよ」

戦士「まぁみんなで頑張ろうぜ」

勇者「うん、ありがと」

僧侶「…勇者ならできるっ…気がする」

勇者&戦士「「気がするだけかよ!?」」wツッコミ



メイド「勇者様はやはりすごい人ですね」

メイド「仲間にも絶対的な信頼を得ています」

賢者「当たり前じゃない」

賢者「私が育てたんだし」

メイド「本音ですか?」

賢者「あんた無駄に隙がないよね」

メイド「うふふ」

賢者「あの子と最初に出会ったのはあの子が8歳の時なんだ」

賢者「あの年で一人で勇者として魔王退治に出かけようとしてたんだ」

賢者「話を聞くとあの子はこう言うんだよ」



 ゆうしゃ『あたしがんばらないとみんなこまっちゃうの』

 ゆうしゃ『だからみんなのためにゆうしゃとしてがんばるんだ!!』



賢者「たった8歳の子がだよ?泣いたわ」

メイド「でもどう見ても彼女8歳じゃないですよね」

賢者「詳しい事情は省くけど8年間私が修行してあげたんだよ」

賢者「力も経験も足りない状態で行かせれるわけないじゃない」

賢者「勇者の血を引いてるとはいえあのままじゃ無駄死にするだけ」

賢者「いや、もはや勇者の血とか関係なかったかもね…」

賢者「私は生き方を教えてあげただけさ」

賢者「そしたらあんな子に育ったわけ」

メイド「立派ですね」

賢者「あぁあの子はすごいよ」

メイド「いえ、賢者様がですよ」

賢者「何で私なのさ」

メイド「その若さで一人の女の子を育ててこれたんですもの」

賢者「む、無駄に知識豊富な小娘があの子の境遇に泣いただけだよ」プイッ

メイド「賢者様ツンデレですね」

メイド「あの、詳しく聞きませんけど」

メイド「勇者様ってそんなひどい目に?」

賢者「あの子は知らないんだけどね」

賢者「知れば人を救うどころか殺してもおかしくないほど」

賢者「酷い隠れた過去があるんだ」

メイド「教えないのですか?」

賢者「教えるべき機会がまったくないんだよ」

賢者「個人的にはこのまま知らないままでいさせるつもり」

メイド「彼女が幸せでいるために…ですか」

賢者「そうだよ、教えちゃダメだからね」ニッ

メイド「言われなくても」ニコ

 ー魔王城 中庭ー


戦士「おらまてー」

まおう「きゃっきゃ」

僧侶「…せっせ」キュッキュ

戦士「んあ!?」ズシャ

僧侶「…草トラップに注意」ブイ

戦士「引っ掛けてから言ってんじゃねーよ!!」

まおう「わたしもとらっぷつくるー」カサカサ

僧侶「…一緒に悪の戦士を転ばしましょう」

戦士「誰が悪じゃブラック僧侶がああああ!!」ジタバタ

勇者「楽しそうだなぁ」

賢者「一緒に遊ばないの?」

勇者「考えなきゃいけないことあるしね」

賢者「そぅ」

勇者「これからどうしよっかな」

賢者「メモは何て?」

勇者「どこどこでなんかそれっぽい人に話しかけられたとかそういうの」

勇者「ただ」

賢者「ただ?」

勇者「全部共通してある場所のこと聞かれてるみたい」

賢者「でも情報は不確か」

勇者「うん…共通してるのっておかしいけどね」

賢者「もし情報を信じるとしたら?」

勇者「一番最初のお城への行き方」

勇者「でも普通、大魔王なら場所分かると思うんだよね」

賢者「ドジっ子なんじゃない?」

勇者「『あーどこか調べとくの忘れたー』みたいな?」

賢者「それはあんただけ」

勇者「そこまでドジじゃないですよーだ」ベー

賢者「ふふ、でもこれはいい情報かもね」

勇者「でも…」

賢者「曖昧な事はその件に関係なくなるまで調べ通す」

賢者「これ、私の基本」

勇者「賢者のですかぃ」ガクッ

賢者「こいつは私が調べてきていいかい?」ヒラヒラ

勇者「できるの?」

賢者「場所と情報源が分かればどうにかなるよ」

勇者「分かったお願い」

賢者「まかされた…『転送魔法』」ブゥン シュンッ!!

勇者「何か分かればいいんだけどなぁ…」

 -昼過ぎ 図書室-


勇者「…」ペラペラ

勇者 は 本 を 読んでいる

メイド「…」ニコニコ

メイド は ニコニコ 笑っている

まおう「むーん」ポン ポン

まおう は 本 を ドミノ に している

僧侶「…ドキドキ」フラフラ

僧侶 は 不思議な踊り を 踊っている

勇者「ぶっ」

勇者 は 不思議な踊り を 見て 吹きだした

勇者「僧侶ちゃん、なにしているんだ!!」

僧侶「…暇だったもん」ウルウル

勇者「あーごめん」

勇者「集中しすぎてみんな放置してたわ」

まおう「わたしもしゅーちゅーしてるぞー」ドン

まおう「あ」パタパタパタ…

メイド「あらぁ倒しちゃいましたね」

勇者「しかしこれどこまで続いてるの…」

パタパタパタパタパタ

僧侶「…はっ」グイグイ

勇者「…僧侶ちゃんなんであたしの背中を押してるの?」

コトッコトコット キリキリ ポ~ン

メイド「ご愁傷様です」ナムナム

勇者「え?え?」

バシーン!!

勇者「おぶっ!?」ドシーン

僧侶「…ピタ・ゴラ・スイッチ♪」

まおう「わーゆうしゃがふっとんだー」

僧侶「…計画通り」ニヤリ

勇者「そーりょちゃーんっ!!」プンプン

メイド「勇者様っていい加減丈夫ですよね」

勇者「そりゃみんな守るために鍛えてるからね」

勇者「前衛は戦士 後衛は賢者と僧侶ちゃん」

勇者「その間にあたしがいるのがいつもの陣形なんだ」

勇者「剣で攻撃して魔法でカバーしたり…」

メイド「勇者様は万能なのですね」

僧侶「…器用貧乏ともいう」

勇者「うるさいよそこっ!!」

メイド「でも大切なポジションだと思いますよ」

メイド「みんなの欠点を勇者様が引き受けますからね」

勇者「そうでしょ~」

僧侶「…でもよくバレバレの罠にかかる」

勇者「えっと…」

僧侶「…お腹すいたといって駄々こねだすし」

僧侶「…しかも戦闘中に」

勇者「いや…ねぇもうやめて…」

僧侶「…ない胸触りながら」

僧侶「…お~きくな~れ~お~きくな~れ~♪」ワキワキ

まおう「おーきくなーれぇ♪」

勇者「やめてえええええええ!!!!」

メイド「くすくす」

勇者「何であたしの事暴露されてるの…」シクシク

メイド「愛ゆえに…ですね」

僧侶「…すぐドジするし、いぢりやすい」

勇者「ぐすん」

僧侶「…でもパーティの中で一番可愛らしい」

勇者「えっ」

僧侶「…可愛いからいたずらしちゃう」ポッ

メイド「いぢめっこの心情ですね」

勇者「…」

まおう「ゆうしゃどうしたの?」

メイド「本当に打たれ弱いですね」ニコニコ

勇者「も、もーみんなしてぇ!!」

僧侶「…でもさっきのは本音」

勇者「あぅ///」

メイド「それにしても本読まれるのお好きなのですか?」

勇者「賢者の影響もあるかな」

勇者「暇あればすぐ難しそうな本読んでたの見てたから」

勇者「あたしも読んでみよってなって」

勇者「でもバカだから物語とかそういうのしか読めないんだ」タハハ

メイド「それでもいいじゃないですか」

メイド「そういうのも知識を得るのには大事なのですよ」

勇者「へ~」

まおう「ゆうしゃーこれ読んでー」ドン!!

勇者「…」

僧侶「…悪魔召喚書」

勇者「まおちゃんこれ読むものじゃないから…」シマイシマイ

まおう「じゃーこれー」

勇者「…『勇者○○の大冒険』?」

勇者「何で魔王城に明らかに場違いなものがあるの?」

僧侶「…もしかしたら」

勇者「ん?」

僧侶「…大魔王が」

勇者「ありえないことではないね」

勇者「よーしまおちゃんこれ読んであげる」

まおう「わーい、はやくはやくっ」パタパタ

勇者「はいはい」ペラッ

勇者「『昔、勇者と呼ばれていた者が…』」

メイド「私はお茶でも淹れてきますね」

僧侶「…手伝う」

メイド「ありがとうございます」

 ー1f キッチンー


メイド「本当、勇者様は愛されてますね」

僧侶「…うん」

僧侶「…頼りなさそうに見えるけど」

僧侶「…やる時はすごい動く」

僧侶「…それに誰にでも優しい」

僧侶「…いるだけで癒される」

メイド「うちの魔王様と一緒ですね」クスクス

メイド「あの二人とても似ています」

僧侶「…一緒にいて私もそう思った」

コソ~

ヒョイ パク

メイド「あ、そこのクッキー胡椒いれちゃいました」

戦士「うっ、ゴホッ!!ゴホッ!!」ドンドン

僧侶「…捕獲」ガッシ

戦士「フゴッ!!ガフッ!!」ジタバタ

メイド「つまみぐいですか感心しませんね」ニッコリ

戦士「…」ニ…ニコ



戦士「ふぎゃあああああああああああああああああ!!」

 -再び 図書室-


勇者「こうして魔王を倒し、勇者は世界を救ったのでした」

僧侶「…めでたしめでたし」

まおう「おもしろかったー」

勇者「シメを言われてなんだか悔しい…」ズーン

メイド「ちょうど読み終わったみたいですし」

メイド「休憩しませんか?」コト

まおう「クッキーだーっ♪」トテトテ

勇者「そうしよっかな」

勇者「ところで…コレどうしたの?」

コレ「あ゛ぁあああぁあ」ガタガタガタ

メイド「悪い事したので少々おしおきを」

勇者「何をやったらこんなに怯えるんだろう…」

戦士「ゆ、勇者っ!!」ガシッ

勇者「ひゃわっ!?」

戦士「絶対メイドさんだけは怒らせるな・・・」プルプル

メイド「大丈夫ですよ」

メイド「勇者様はそんなことする人じゃありませんから」ニッコリ

メイド「ね?戦士様」

戦士「ひゃい!!そうでありますわね!!」ガクブルガクブル

勇者「?」サクサク

勇者「クッキー美味しいな」

僧侶「…媚薬入りでも?」

勇者「!?げほっごほっ」

僧侶「…うそうそ」

勇者「僧侶ちゃん~」

僧侶「…勇者」ズリズリ

勇者「わわわ引っ張らないで」

勇者「隅っこなんか来てどうしたの?」

僧侶「…賢者から連絡きた」

勇者「え、なんて?」

僧侶「…ちょっと大変な事になったって」

勇者「えっ!?」

僧侶「…静かにして」

勇者「ご、ごめん…それで大丈夫なの?」

僧侶「…大丈夫だって」

僧侶「ただしばらく戻ってこれないみたい」

勇者「そっか…」

僧侶「…心配?」

勇者「うん…」

僧侶「…あの賢者だよ」

僧侶「…絶対戻ってくるよ」

勇者「そうだね…信じてあげなきゃ」

僧侶「…と、油断させておきながら」ズッ

勇者「え…!?ふがー!!!」グイグイ

僧侶「…たーんとお食べ」ニタニタ

勇者「もがー!!?!!?!?」

今日はここまで。
続きは起きたらやろうと思う。

これで大体残り半分ぐらいと言っておきますわ。

トリップテスト。

このss続編あるから、今後のために一応トリップつけておきますね。

(´σω`)ホジホジ

( ´ω`)σ⌒④ ポイ

 -同時刻 最初の城 牢獄-


賢者「まいったねぃ」

賢者「あの件が禁句だったなんて」

賢者「ご丁寧に魔法まで封じられてるよ」カシャカシャ

賢者「なーにが大丈夫だよ…」

賢者「…」

賢者「まぁ大丈夫なんだけどね」チャキ

賢者「みんな私の事を勘違いしてる」スッ

賢者「はぁっ!!」シュッ

バラバラ…

賢者「本当の賢き者は魔法ばかりじゃないんだな」カシャ

賢者「脱出にはナイフひとつで十分」

賢者「さて、逃げるけど何か質問ある?」

兵士「…」

兵士「行くといいさ」

賢者「あら意外な返答」

兵士「もうすでにここがおかしいのは知っている」

兵士「みんな逆らえないだけさ…」

兵士「あんたはこれからどうするんだ?」

賢者「…これを本当に知らせるべきか迷ってる」

兵士「魔王にか?」

賢者「違うよ」

賢者「うちの大将さ」

兵士「そうか、しかしその勇者も『あんな事』に…」

賢者「あの事知ってんのかい」

兵士「城の中では誰もが知ってるぞ」

賢者「そうかい」

賢者「あの子にこの事知らせたら」

賢者「この国は崩壊する」

兵士「…こえぇな」

賢者「それだけの事してしまったんだ」

賢者「覚悟はしておくことだね」

兵士「あぁ…」

賢者「じゃ私は行くよ」コツコツ

兵士「最後にひとついいか?」

賢者「ん?」

兵士「賢者…あんたはやっぱり魔王の味方なのか?」

賢者「その質問自体間違っている」

賢者「魔王は最初から味方だったんだよ」ニコ

 -深夜 ある寝室-


勇者「今日中に帰ってこなかったな賢者…」

勇者「大変な事って何があったんだろう?」

勇者「あ~しんぱいだぁ~」ゴロゴロ

勇者「ね~む~れ~な~い~」ゴロゴロ

コンコン

勇者「?音がした」

コンコン

『もうねたか』

勇者「…」ムクリ

勇者(まおちゃんか)

コンコン ガチャ

まおう「ひゃあああああああああああ!!」

勇者「!?」

グイッ バタン

メイド『勇者様どうかなさいましたか?』パタパタ

勇者「なんでもないよっ(来るの早っ!?)」

メイド『そうですか』

メイド『あまり寝ぼけないでくださいね』プークスクス

勇者(え、叫んだのあたしって事になってるの!?)

パタパタ

勇者「行ったか…」

まおう「…」

勇者「びっくりさせてごめんね」ナデナデ

まおう「んーん」フルフル

勇者「もしかして今日も一緒に寝に来たの?」

まおう「うん」

勇者「いいよーおいでー」

まおう「…」テコテコ ボフン

勇者「ふー」

まおう「…」

勇者「…」

まおう「ゆうしゃ」

勇者「なに?」

まおう「なにかかんがえてる?」

勇者「え?」

まおう「おひる、ほんよんでからおかしい」

勇者「…」

勇者(そんなに分かりやすいのかな)

勇者(この子にまで気づかれちゃうなんてね)

まおう「わたしにできることならするぞ」

勇者「まおちゃん…」

勇者「大丈夫だよ」ナデナデ

まおう「でもなんかいつものゆうしゃじゃない」

勇者「…」ナデナデ

まおう「んぅっ」ダキッ

勇者「!?」

まおう「なんかしらないけどげんきだせ!!」

まおう「げんきないゆうしゃ、なんかやだっ」

勇者「まおちゃん…」

勇者「ごめんありがとう」ギュ

勇者「ちょっと元気でた」

まおう「ホントか?」

勇者「うん」

勇者「眠くなるまでお話する?」

まおう「するー」

勇者「じゃあまおちゃんのパパとママのお話聞きたいな」

まおう「パパとママ?どういうの?」

勇者「どんな人なのか知りたいな」

まおう「わかったー」

勇者(この子にまで心配かけちゃダメだな)

勇者(しっかりしなきゃ)

 -同時刻 メイドの部屋-


メイド「勇者様は本当に魔王様に好かれてますね」

メイド「こっち来なくなったのはちょっと寂しいですけどね」クスン

メイド「不貞寝しちゃいますっ」ボフッ

 -数日後 とある一室-


勇者「…」ゴソゴソ

勇者「何も見つからないな」

勇者「こっちは…」ゴソゴソ

勇者「!?」


 [勇者はエッチな本を見つけた]


勇者「いやこんなの探してるんじゃない…」ポイッ

勇者「…チラッ」

勇者「…これは今後のための勉強だからっ」ペラペラ

勇者「で、でかっ!?どうやったらこんなに育つんだ…」ペラッ

勇者「これが噂の・・・おち・・・」ペラッ

戦士「なんだいそんなもの見て」

勇者「いや勉強をね…」

戦士「そんなの実際見てみないと参考にならんよ」

勇者「え、そうなの?」

戦士「実物見たアタシがいうんだから間違いないねっ」

勇者「そうなんだ…」ゴクリ

勇者「…」

勇者「」トボトボ

戦士「吊りに行くなっ!!」ガシッ

勇者「離してっ!!恥ずかしくて生きてられないっ!!」

戦士「ソレぐらい誰でも見るもんだろ」

戦士「興味ある年頃だしね」

勇者「うぅ…」ジー

戦士「誰にも言わないでやるから」

勇者「戦士は平気なの?」

戦士「アタシの生まれた環境だと」

戦士「この手の話は日常茶飯事だしなー」ブルンブルン

勇者「すごいな…」ガシッ

戦士「そうか?…人の乳掴んで何やってんの?」

勇者「いやぁなんかでかいものが」

勇者「目の前ブルブルしてて」

勇者「すごく…不快です」モニモニ

戦士「アッー!!こら…ちょ…」

僧侶「…」

勇者「このバケ乳め退治してやるっ」モニモニッ

戦士「やめっ・・・ば・・・」

僧侶「…」

賢者「あんたら何してんの?」

勇者「あ…」

戦士「はぁはぁ…戻ってきてたのか」

賢者「悪かったね戻るのが遅くなって」ナデナデ

勇者「心配したんだよ?」ショボーン

賢者「ごめんごめん」ナデナデ

賢者「思った以上に深刻な状況になっててね」

勇者「深刻?」

僧侶「…」

賢者「あまりにもアレだからこの四人だけで話そう」

戦士「深刻とかアレとかどんだけやばい事なんだ?」

賢者「今から話すけど落ち着いて聞いてほしい」

勇者「…」コクリ

賢者「まず大魔王夫妻は確かに城に来たらしい」

賢者「ただそれだけ」

賢者「そのあとの情報がないんだ」

戦士「どういうことだ?」

賢者「つまり城に入るまでは見てるけど」

賢者「出てきたのは誰も見ていない」

勇者「じゃあずっとお城にいるって事?」

賢者「…『いる』と言うより『いた』…だね」

賢者「どんなに探したっているはずないさ」

賢者「だって」





賢者「──殺されたんだから」

勇者「え…」

勇者「ころ…された…?」

戦士「マジかよ…」

賢者「私は城へ行き国王とその件について話したんだ」

賢者「いやぁあれは…」

賢者「胸糞悪かったわ」


 ~回想 城 王の間~


賢者「賢者、ただいま戻りました」

国王「おぉ待っておったぞ賢者」

国王「魔王は討伐できたのか?」

賢者「いえ…少々聞きたいことがあるのですが」

国王「あれからもう約束の八年経っておるのだぞ!!」

国王「早く倒してまいれ!!」

賢者「…話を聞いてほしいのです」

国王「…なんじゃ」

賢者「過去にこの場に…」

賢者「大魔王と名乗る者が現れませんでしたか?」

国王「あぁ、あの世迷言言っていた魔族二人か」

国王「人間と魔族の共存を望むとか言っておった」

賢者「国王様はなんと言われたのですか?」

国王「はっ、魔族風情が人間と共に生きようとか」

国王「絶対裏があると思ったのでな」

国王「二人まとめて処分してやったわ」

賢者「!?」

国王「『信じてください』などとずっと言っておった」

国王「誰が魔族なんて信じるというのだっ」

国王「あんな汚らわしい種族さっさと滅ぶべきだ」

賢者「…相手は抵抗してこなかったのですか?」

国王「何故か知らぬがずっとその場を動かんかった」

国王「肉片になるまでずっと同じ事言うておったわ」

国王「人間と共存とか狂っておると思わないかね?」

賢者「…お言葉ですが国王様」

賢者「狂ってるのはあんただよ」

国王「なっ…」

賢者「気が付かなったかい?」

賢者「魔族が人間界に進行して来なくなったのを」

国王「…」

賢者「その者達は本気で共存しようとしていたんだよ」

賢者「そのために人間界の一国であるここに来て」

賢者「和解しに来てたんだ」

賢者「それを話も聞かず殺すなんて」

賢者「人間として…いや生ける者として最低だ」

国王「なんじゃとっ!?」

国王「今まで特別魔道研究者として」

国王「ここにおらせてやった恩を仇で返すというのかっ!!」

賢者「最初からあんたはあまり信用してなかったよわたしゃ」

国王「なっ!?」

賢者「まだあんたがやった事あるだろう」

国王「そんなのしらぬ!!誰かっ!!」

兵士「どうなさいました?」

国王「こやつを捕らえよ!!」

兵士「はっ」ダダダッ

賢者「あんた…人間の屑だ」ズルズル

賢者「まだ魔族のほうが綺麗なもんだよ」ズルズル

国王「早く!!早く連れて行け!!」

賢者「忘れるなっ!!」

賢者「あんたがやった事はただの自己満足だっ!!」

賢者「私の大切な子達を泣かせる奴は」

賢者「許さないっ!!!!」

 ~回想 終わり~


賢者「と、いうことで牢獄に放り込まれ」

賢者「城脱出と魔封のリング破壊するまでに手間取って」

賢者「戻るのが遅くなった、と」

僧侶「…」

戦士「勇者…」

勇者「…」グッ

賢者「ふぅ…何か質問は?」

勇者「大魔王達の遺体はどうなったの?」

賢者「詳しくは聞けなかったけど」

賢者「亡骸も残さないよう燃やされたと思う」

賢者「牢にもどこにも遺体はなかった」

勇者「なんで…」ポロ

勇者「なんでそんな事に…」ポロポロ

賢者「今までやってきた事考えればおかしくはないけど」

賢者「人間も同じなんだよね」

賢者「お互いひどい事をしてきている」

賢者「ただすべての者がそうしてきたわけじゃない」

賢者「結局はそういう屑がいるせいだろうね」

賢者「一言で言えば自己満足のため」

戦士「国王はそこまで魔族が憎かったのか」

賢者「違うよ」

賢者「ある意味国王の選択は正しいんだ」

賢者「今まで憎み合っていた者が和解をしようとしてくる」

賢者「疑ってもおかしくない」

賢者「ただ、ここでその確認もせず」

賢者「決め付けだけで判断するのは間違いだ」

賢者「相手は何をされても手を出さなかったんだ」

賢者「人間はその行動の意味をきちんと理解するべきだった」

僧侶「…人間って本当に最低」ムスッ

賢者「いや、あの城では国王以外の人間は全員分かってたよ」ポンポン

賢者「本物の屑は国王だけさ」

戦士「でもよーそれでも魔族だと信じがたくなっちゃうんじゃないか?」

賢者「気持ちは分かるよ」

賢者「でも、その件じゃなくても国王は罪を犯してるんだよ」

賢者「もっとも最低な事を」

勇者「ひっく…まおちゃん…」

勇者「かわいそうすぎるよ…」

賢者「あんたは相変わらず優しいね」ナデナデ

勇者「許せないよぉ…」

僧侶「…賢者」

賢者「なにかな」

僧侶「…もうひとつの罪って何?」

賢者「…」

賢者「そうだね」

賢者「話しておこうか」

賢者「勇者」

勇者「ぐすっ…なに?」グシグシ

賢者「今から話す事は本当は言うつもりなかった」

賢者「知らないままでいた方が幸せだと思ってた」

賢者「先に謝っておく…ごめん」

勇者「…なに」

賢者「もうひとつの罪」

賢者「それはね勇者…」


………

 ー魔王城外ー


メイド「本当にいいのですか?」

勇者「うん、もう決めたんだ」

メイド「私はかまいませんし、魔王様も喜びます」

メイド「ですが…」

勇者「メイドさん」

勇者「あたしはもう帰るところないんだよ」

勇者「だからいいの」

メイド「…分かりました」

メイド「帰ってくるのをお待ちしておりますね」ニッコリ

戦士「やれやれそんじゃ行くか」

勇者「二人はホントに来てくれるの?」

僧侶「…ほとんどする事ないけどね」

戦士「アタシ達は最初からあんたの味方だって言ったろ」

勇者「ありがとう」

賢者「転送したらやり直しとかきかないよ」

賢者「覚悟はいいかい?」

戦士「いつでもこい!!」

僧侶「…大丈夫」

勇者「賢者、お願い」

賢者「目標に一直線」

賢者「それだけ考えておくんだよ」ブゥン

シュンッ

 -城 司書室-


シュンッ

賢者「すまないね」

賢者「ここしか安全な転送先がなかったんだ」

勇者「かまわないよ」ザッ

勇者「もう泣くだけ泣いた」

勇者「たまったものは全部流しきった」

勇者「いくよみんなっ!!」

全員「おぉっ!!」

 -城 廊下-


勇者「…」コツコツ

賢者「そこ右」コツコツ

僧侶「…」コツコツ

戦士「囲まれてるぞ…」ボソ

賢者「分かってる」

賢者「来るのバレてたみたいね」

戦士「ここでアタシと僧侶の出番かな」

勇者「お願い」

賢者「絶対食い止めて」

賢者「傷ひとつつけないようにね」

戦士「難易度たけーよっ」

僧侶「…文句言わない」

戦士「っかってるよ」

賢者「じゃあ勇者いくよっ」タタタ

勇者「うんっ」タタタ

戦士「やっと戦い終わったと思ったんだけどなぁ」

僧侶「…これは大事な戦いだから」

戦士「そうだな」

戦士「魔王と勇者のためだ」ザッ

僧侶「…逃げるわけにはいかない」ザッ

兵士「侵入者だ一気に攻めろ!!」ドドドッ

兵士「相手は勇者一行だ!!気を引き締めろ!!」ワーワー

戦士「人間と戦うはめになるとはねぇ」ハァ

僧侶「…一応聖職者なのに」

戦士「盗賊より汚い奴がよくいうぜ」

戦士「まぁ話は後でするとして…」

戦士「かかってこいよ!!ここは通さないぜっ!!」


 -城 大広間-


賢者「勇者、先に行って」

勇者「え、賢者は?」

賢者「多分あの二人だけじゃ止められない」

勇者「そんな…」

賢者「ここの全勢力で向かってきてるからね」

賢者「大丈夫よ、絶対先には行かせないから」

賢者「まおたんのために頑張るんでしょ?」

賢者「絶対に許しちゃダメだ」

勇者「…うんっ!!」

勇者「行ってくるよ!!」ダッ

賢者「はいはい頑張ってらっしゃい」ヒラヒラ

兵士長「賢者さん…貴方は何を考えらっしゃるんですか?」ザッ

兵士長「貴方はここの特別魔道研究者でしょう」

兵士長「そんな貴方がなぜこのような事を」

賢者「言える事はたった一つだよ」

賢者「私の大事な妹たちを泣かせる奴が許せないだけさ」

兵士長「妹?」

賢者「あんたには分かんないだろうね」

賢者「さぁおいで」ゴゴゴゴゴ

賢者「私の魔法で吹き飛ばしてあげるよ!!」

 ー王の間の扉前ー


勇者「この先に国王が…」ドクンドクン

勇者「よし…」

ギィ~

勇者「!?」シャキン

国王「よく戻ってきた勇者よ」

勇者「これは…どういう事ですか?」

兵士達「…」チャッ

国王「何、ちょっと裏切りを働いた者がいるようでな」

勇者「…」

国王「わしは魔王を倒してこいと言った」

国王「それで勇者、魔王の首はどこにある?」

勇者「あるわけないでしょ」ボソ

国王「何?」

勇者「まおちゃんの両親殺したのは貴方ですってね?」

国王「まおちゃん?」

国王「くくく…まさか勇者ともあろうものが魔王側に寝返るとはな」

国王「あぁ、殺してやったよ」

国王「まさかあれが魔王だとは思わなかったが」

国王「いや、前魔王だったか」

国王「いつまでもあの声が耳について離れんわい」

勇者「…声?」

国王「『信じてください』といつまでも言っておった」

国王「死ぬまでずっとな」

勇者「なぜ信じてあげなかったのですか?」

国王「魔族だぞ?普通信じないであろう」

国王「我々人間を襲い、蹂躙しまくってきた奴らと」

国王「手を組むとか吐き気がするわい」

勇者「…まれよ」

国王「今なんと言った?」

勇者「黙れと言ったんだっ!!」

国王「!?おい、やってしまえ!!」

兵士達「はっ」ダダダッ

勇者「どいて…」コツコツ

兵士達「それ以上動くな」ジャキッ



勇者「どけぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」



兵士達「!?…」

スッ カシャン

国王「な、何をしておる!!何故武器を捨てた!!」

勇者「死にたくなければこの場から離れてください…」

兵士達「…」コツコツ

ギー バタン!!

国王「なぜじゃ…」

勇者「分かりませんか?」

勇者「もう貴方にはついていけないんですよみんな」

勇者「あたし達もですけど」

勇者「大魔王達は本気で共存の道を進んでいこうとしてました」

バサッ

国王「なんじゃこれは」ペラペラ

勇者「魔王城のある場所にあった資料です」

勇者「それに共存のために色々思考したり研究した記録がかかれています」

国王「…これがどうしたのじゃ?」

勇者「…これがどうした?」

勇者「貴方は何も思わないのですか?」

勇者「彼らはここまでして人間と一緒になりたいと願っていたのですよ」

勇者「まず戦争をなくすためすべての魔族の襲撃をやめさせました」

勇者「力づくとかではなく話し合いだけで、です」

国王「所詮紙に書かれた事を信じろと?」

勇者「っ!!」

勇者「…あたしは魔族の人と直接話して聞きましたっ」

勇者「それに魔王とも話し合いました」

勇者「魔王は純粋な人でした」

勇者「あたしが一目見ただけで戦いを放棄してしまったぐらいです」

国王「…やはり小娘じゃダメじゃったか」

国王「もうよい…下がれ…」

国王「今までの暴言は許す」

勇者「…国王」

勇者「貴方が許しても貴方をあたしは許さない」

国王「なに!?」

勇者「無抵抗な人を平気で殺め、相手の努力をすべて無にした」

勇者「…」ジャキ

国王「貴様…何を…」

勇者「大魔王達以外にも殺した人いるんですよね?」コツコツ

国王「な、何の事じゃ…」

勇者「8年前」

国王「?」

勇者「勇者に選ばれた少女の両親がここに訪れた」



 賢者『勇者の両親はあんたが旅立ったあとすぐ城に来てたんだ』




勇者「まだたった8歳の娘を旅に出すのはやめてくれと言ってきた」




 勇者父『あの子はまだ8歳なんですよ!!』

 勇者母『まだ世界も知らない子なんです!!』


国王「何故貴様がソレを…」

勇者「それをあなたは拒否」

勇者「勇者がいる国」

勇者「魔王を討伐できれば国もまた潤う」

勇者「早く国を大きくしたい」

勇者「勇者の両親はせめてもう少し大きくなってからと訴えた」




 勇者父『もうあと数年!!それだけでも時間を与えてもらえませんか…』



勇者「だけど、それを拒否」

勇者「早く国を…」

勇者「それでも食い下がる両親」

勇者「言う事を聞かない国民を貴方は…どうしました?」




 勇者母『お願いです…あの子に無駄死にしてほしくないのです』

国王「あ…ああぁ…」

勇者「大魔王達と一緒」

勇者「まるでゴミのように殺した」




 国王『殺せ』




勇者「あたし最近まで知らなかったんですよ」

勇者「普通に家で待ってくれているとばかり思っていました」

勇者「これって真実なのですか?」



 賢者『城の兵士達が泣きながら一部始終教えてくれたよ』

 賢者『これは紛れもない事実なんだ』

 賢者『みんなあんたのために泣いてくれていた』

 賢者『正真正銘の屑は国王だけさ』





国王「違うっ!!」

勇者「わしはやってないっ!!知らないっ!!」

勇者「どこまで腐っているのですか貴方は」

勇者がいきなり老けたな

吹いたww

勇者「でもこの話聞いてやっと分かった事があったんですよ」

勇者「あたしとまおちゃんは同じだったんですよ」

勇者「似たもの同士」

勇者「お城で魔王として頑張っていた」

勇者「まだ見ぬ勇者と両親をずっと待ってたんです」




 まおう『ゆうしゃってどんなひとだろ』


 まおう『パパ、ママはやくもどってこないかなぁ』

勇者「健気ですよね」

勇者「そんな健気な少女を貴方は踏みにじったんですよ」

勇者「あたしも同じですよ」

勇者「勇者として頑張ってみんなを安心させたい」

勇者「そして帰りを待つ両親の元に早く帰ろう」

勇者「そう思ってたんだけど踏みにじられた」

勇者「…もう限界なんです」

 賢者『あんたは腐っても勇者だ』

 賢者『でも、戦いも終わってもうあんたは普通の女の子だ』

 賢者『正しき者とかもはや関係ない』

 賢者『国王だけは絶対に許してはいけない』

国王「…」ガタガタ

勇者「あたしとまおちゃんの大切な人を殺した罪は消えません」

勇者「…」スッ

国王「ゆ、ゆるしてくれ…おねがいだ…」

国王「金ならいくらでもやる…なんなら王女に迎えてやってもいい」

国王「だから…命だけは…」

勇者「そうやって言い続けたまおちゃんの両親を許しましたか?」

勇者「そうやって言い続けたあたしの両親を許しましたか?」

国王「死にたくない…しにたくない…」

勇者「…もうしゃべらないで…汚物っ…」ヒュッ




グシャッ

 -城 通路-


賢者「ふぅ…さすがに疲れた」

兵士長「あれだけいた兵士達が…」

賢者「まだやるかぃ?」

兵士長「とんでもない」カラン

賢者「全体回復魔法」ポワァァァァン

兵士達「うぅ…傷が…」

兵士長「賢者さん…」

賢者「だってあんたらだって国王に恐れてただけでしょ?」

賢者「悪くもない人間殺したりはしないさ」ニッ

兵士長「俺達の…負けだ…」

戦士『ちょ・・・待てそっち行くな!!』


賢者「ん~?」

賢者「なんかこっち来る」

まおう「こっちにゆうしゃいるんでしょ!!」パタパタ

賢者「なん…だと…」

まおう「けんじゃ!!」

賢者「はいストップ、何でここにいるんだぃ?」

まおう「わたしもたたかう!!」

賢者「…」

まおう「だってゆうしゃのパパとママころされたんでしょ」

賢者「なんでそれを…」

まおう「きいてたもんっ」ポロポロ

まおう「かわいそうだよ…ゆるせないよぉ」ポロポロ

賢者「…」

戦士「まお…」

僧侶「…メイドに転送してもらったんだって」

僧侶「…少しの間だけ転送の情報残ってるんだよね」

僧侶「…それ利用したみたい」

賢者「魔法陣の書き換えか…その発想はなかったわ」

賢者「メイド恐るべし…」ガクリ

賢者「まおたん」

まおう「?」

賢者「行っておいで」ポン

戦士「賢者!?」

まおう「いいの?」

賢者「この先に勇者はいるよ」スッ

賢者「今は一緒にいておやり」

まおう「ありがとけんじゃ!!」パタパタ

僧侶「…よかったの?」

賢者「似たもの同士、傷ついてるけど」

賢者「失ったものと同じぐらい大切なもの手に入れたんだ」

賢者「引き離す理由なんてないさ」

戦士「賢者あんたかっこつけすぎ」

僧侶「…いつでも私達のお母さんです…賢者は」ニー

賢者「お母さん言うな」ポカ

戦士「虐待だー!!訴えろー!!」ドタバタ

僧侶「…やめてお母さん…エッチなお仕事は…」フルフル

賢者「それ」

戦士「?」

賢者「わたしゃ変態だが本当は狼の皮かぶった羊なんだ」

僧侶「…?」

戦士「どういうことだ?」

賢者「これがわかりゃあんたらは大人だっ」

賢者(お母さん…か)

賢者(せめてお姉さんにしておくれよ)

賢者(まだ24なんだよ、わたしゃ)

賢者(世話の焼ける子ばかりで困るね)ニコ

 -王の間-


勇者「終わった…」カランッ

勇者「お父さん…お母さん…」

勇者「仇はとったよ…」ポロポロ

勇者「まおちゃんのパパとママの仇も…一緒に…」ポロポロ

勇者「これ…で…よかった…んだよ…ね…」ガクッ

ギィィィィィ

まおう「ゆぅーしゃーっ!!」

勇者「え・・・まおちゃん…?」

勇者「ダメだよ…ここにきちゃ…」

勇者「汚いもの…転がってるし…」

勇者「あたしも汚れちゃってるし…」

まおう「かんけいない!!」ダダッ

ギュウ

勇者「あ・・・」

まおう「ゆうしゃのパパとママのかたき」

まおう「わたしのパパとママのかたき」

まおう「とってくれたんだよね…?」ギュー

勇者「!?」

勇者「うん…」

勇者「頑張っちゃった」

まおう「えらいぞゆうしゃ」ナデナデ

勇者「う…グス…」

まおう「ゆう…しゃぁ…」

まおう「ありがとおおおおおおおおおおお!!」ギュウウウウウウ

勇者「ふぁあああああああああああああ!!」ギュウウウウウウ

それからしばらく泣き続けたあたし達。

入ってきたみんなにうるさいと怒られたのは

今ではいい思い出です。



この国はどうなるのだろうと考えてたら

賢者「隣の国と交渉した結果」

賢者「あちらと合併という形で残るんだってさ」

だそうです。

戦士と僧侶は自分のやりたい事をするべく人間界に帰りました。

戦士「故郷は変態ばかりだけどあいつら相手にしながら働きたいんだ」

僧侶「…もっといい遊び道…癒されるものを捜しながらのんびりしたいです」

二人とも実に理由が怪しいものだが気にしないでおく。

遠く離れていてもこの人達はずっと大切な仲間でいたいです。

おつー
王様倒されて憎んでる奴とかいなければいいが....

ごめんなさい実はまだちょっとだけ続きあります。
投下していいかわからない状況なので様子見てた。
残り投下します。

賢者は城でのらりくらり生きています。

賢者「元々こういう生き方だったしいいのさぁ」

と、言ったのでとりあえず殴っておく。

『我々の業界ではご褒美です』とか言ってたがもうスルーした。

そんな賢者はあれ以来人間界と魔界を行き来して

共存のために色々手を打っている最中らしく、

しばらくの間それを知らなかった…。

吊ろう…。

メイドさんは相変わらずあたしたちの周りでニコニコしながら、

メイド「お世話する人が増えちゃいましたが楽しいです」

との事。

この人にはこれからもお世話になりそうだ。

まおちゃん?

この世で一番かわいいといっても過言じゃない存在だ。

これからもこの子を守っていくのは変わりないと思います。

数年経って段々賢者に性格が似てきているのはどうなんだろう…。

魔王「メイドーっ!!勇者の胸がかわいそうだからなんとかしてあげて~」

あまりに頭来たから30分モフモフしておいた。

あたしは…

今日も元気です。

勇者として旅に出始めた時は

周りに誰もいなかったけど、

今ではかけがえのない人たちでいっぱいです。

とっても幸せな毎日を過ごせています。

こんなの書いても届くかは分からないけど

書かずにいられなかったので渡しておきます。

どうかこれからも見守っていてください。



お父さんとお母さんへ


勇者より

勇者「これでよしっと」パサッ

勇者「それじゃまた来るね」クルリ

勇者「…」

勇者「転送魔法が…消えてる」ガビーン

勇者「くっそー走って帰ってこいってか!?」ダダダッ

勇者「やっとついた…」

勇者「賢者にはあとでおやつ抜きとメイドさんに伝えておこう」

ギィ~ シュンッ

勇者「え!?」

ドサッ

勇者「うきゃっ」

勇者(ここは…まおちゃんのお部屋?)

勇者(入ってすぐに転送魔法陣とは…)

勇者(ホントに成長したなぁ)

魔王「…」ニコニコ

勇者「まおちゃんの仕業か…」

魔王「転送魔法覚えたっ」

勇者「も~びっくりさせないでよ」

魔王「ごめーん」

勇者(これからもその笑顔をなくさないよう)

勇者(あたしは守っていく)

魔王「あ、言い忘れてた」

魔王「おかえり、勇者っ」

勇者「なにこれかわいすぎ」



 おしまい?

一応、第一部終わりでございます。

次からはタイトル変わるので別スレでやるつもり。

次回予告↓

 賢者「毎日楽しけりゃいいよね」

乙!

おつー

おつー
できれば立ったら教えてほしかったり.....w

1です。
携帯からなんでトリップわすれた…。


続きとなる、これの関連作品
賢者「毎日楽しけりゃそれでいいよね」 - SSまとめ速報
(http://jbbs.m.livedoor.jp/b/i.cgi/internet/14562/1353218482/)


リンクありがとうございます!

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom