男「思い出さないように」(33)

男(やべ、こっちの道は幼の家までの道じゃないか)

男(こっちから行くか)

スタスタ

男(ここのケーキ屋、あいつと良く行ったな…)

男(いつも、ショートケーキばっか食いやがって)

男(ああ、見ないように、見ないように…)

男(寒いなぁ…)ゴソ

俺がいつもポケットに手を入れて歩いてるのは
あいつとの思い出を絶対にこぼさないため

ドカッ

男「あ、すいません」

リーマン「チッ…前見て歩けよ」

俺が前を見て歩けないのは
景色の中に無意識にあいつを探してしまうから

♪~i don't want a lot for christmas

男(クリスマスか…)

男(そう言えば、あいつはこの歌好きだったな…)

男(歌詞もわからないのにいつも適当に口ずさんでたっけ…)

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幼「あいうぉんふぉーあろっあクリッスマス」

幼「えーぶりーしな、えんはんはーん」

男「歌えないなら最初から鼻唄でやれよ」

幼「えー、いいじゃん。この歌好きなんだもん!」

男「なら歌詞覚えるとかcd借りるとかしろよ」

幼「それはめんどくさいじゃん?」

男「じゃあ鼻唄にしろ音痴」

幼「え、私音痴なの」

男「自覚なかったのかよ」

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男(はあ、何思い出してるんだよ…)

男(さっさと帰ろう…)

ガチャ

男「ただいまーっと…」

男(まあ、もう出迎えてくれる人は居ないんだけどね)

男(少し、部屋の掃除をするか…)

ゴソゴソ

男(あ、これ…幼の本じゃないか…返し忘れてた…)

男(まあ、今度持って行くか…)

ガサガサ

男(ん?これあいつの服?)

男(なんであるんだよ…くそっ…)

男(もういいや、片づけは止めよう…)

男(寝るか…)

モゾモゾ

男(…)モゾモゾ

男(…寒いな…)

男(いつもは、暑いとか狭いとか騒いでたのにな…)

男(駄目だ、起きてるだけであいつの事ばっか…)

男(明日も変わらず仕事だ、さっさと寝なきゃ…)

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母「二人は将来何になるのかなぁ?」

幼「えっとね!私はね!男君のお嫁さんになるの!」

男「えっとね!僕はね…うーんっとえーっと…幼と一緒!」

母「あらあら男、それじゃああなたもお嫁さんになっちゃうわよ」

幼「男は男の子なんだからお婿さんになるんだよ!私のお婿さん!」

男「お婿さん?それってパパみたいなこと?」

母「そうよぉ!いまから結婚式が楽しみねぇ!」

アハハハハ

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ピピピ ピピピ ピピピ

男(朝か…)

ピピピ ピピピ ピピピ

男「幼~目覚ましうるさい…」

ピピピ ピピピ ピピピ

男「…」

ピピピ ピピピ ピピピ

男(…まだ、慣れないのか…)

ピピpガチャン

男「ぅう~ん!」

男「さって…朝飯食って行くか…」

男「何食うか…」

男「そもそもなにかあるかな…」

ガチャ

男「パンと…卵でいいか…」

コンコンパカッ

ジュー

チーン

男「お、パン焼けた」

男「お、良い感じ…」

男「あっちちち…」

男「ふぅ…」

男「くっそ…熱すぎだろ…」

ジュージュー

男「やっべ!忘れてた!火ぃ止めなきゃ!」

カチッ

男「少し焦げちゃったか…」

男(ま、いっか)

モグモグ

男(美味しくないな…これならコンビにでおにぎりとか買うべきだったな)

男「そろそろ出勤しないと…」

-会社-

同僚「おお、久しぶり」

男「おお、おはよ」

同僚「どうだった?有給は!」

男「まあまあだったよ…」

同僚「なんだ、どこも行かなかったのか?」

男「実家に帰ってたんだよ」

同僚「ふーん」

ガチャ

男「おはようございます」

同僚「おはようございまーす」

男(疲れた…)

同僚「なあ、この後どっか呑み行かね?」

男「いや、今日はやめとくよ」

同僚「そっか、何があったかわからんが元気出せよ」

男「おう、ありがと」

同僚「じゃーな」

男「おう、また明日」

男(雪か…どうりで冷えるわけだ…)

男(寒いなぁ…)

ギャル「雪だぁ!道理で寒いわけだねぇ!」

チャラ「ホントださっみぃ!」

男(…幼…今年の冬は…寒いよなぁ…)

男(なんか、帰る気分じゃないな…)

男(これなら同僚の誘いを断るんじゃなかったな…)

男(海…行ってみるか)

ザザーンザザーン

男(寒…)

男(ここで…あいつと喧嘩したっけ…)

男(今考えると、アホらしくて笑っちゃうな…)

男(確か、俺が他人の水着に見とれたとかなんとか…)

男(とんでもねぇ言いがかりだったから、俺もつい怒ったんだっけ…)

男(…)グスッ

男(…おかしいな…)ボロボロ

男(涙はとっくに枯れたはずだったのにな…)ボロボロ

男(…寒いよ…)

男(お前は…)

男(冬は大好きだって言ってたな…)

男(今なら、わかるよ…)

男(人のぬくもりを、より強く感じられるんだもんな…)

男(いつまで俺はあいつのことを引きずるつもりなんだろうか…)

男(そもそも、あいつを忘れることが出来るのかよ)

男(忘れて…いいのかよ…)

男(もし、お前が居なかったら俺はこんなに辛い思いはしてなかったんだろうか)

男(もし、お前と過ごした事を全部忘れられるのなら…)

男(俺は楽になれるんだろうか…)

男(…でも、ほぼ生まれたときから一緒だったんだ…)

男(あいつの事を忘れたら)

男(俺は、もう俺じゃ無いんじゃないのか…)

男「今日はもう帰ろう…」

-自宅-

男(夕飯は…いいかぁ)

男(さっさと風呂入って寝よう…)

男(はぁ…)

-数日後-

同僚「よう、大丈夫か?お前、顔色悪いぞ?」

男「ああ、大丈夫、大丈夫」

同僚「そっか、あんま無理すんなよ」

男「だから大丈夫だって。昨日ちょっと夜更かししただけだから」

同僚「ったく…学生じゃあるまいし…まあいいけど…」

男(ちょっと顔に出てたな。しっかりしないと)

男「ふぅ…これはこれで終わりっと…まだなんかあります?」

上司「お疲れ様!もう帰って平気だよ!」

男「ありがとうございます」

スタスタ

ガチャ

男(あ~マジで体調悪いかもな…風邪か…?)

男「やっぱ外は寒いな…」

男「さっさと帰ろう…」

クラッ

男「あ…」

バタッ

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幼「ねぇねぇ!男!男ってば!」

男「ん…なんだここ…どこ?」

幼「あ、起きた!」

男「お、幼なのか!?」

幼「それ以外誰って話だよー」

男「え…でも、お前…」

幼「えい!」

ベシッ

男「ったぁ!いきなりデコピンすんじゃねぇ!」

幼「だって、男君がバカだから」

男「理由になってねぇよ!」

幼「ねぇ、ちゃんとご飯食べてる?」

男「はぁ?ちゃんと食ってるよ」

幼「はい、嘘つき」

男「なっ」

幼「最近コンビニ弁当とラーメンしか食べてないでしょ。駄目だよ、それじゃあ」

幼「ちゃんと栄養バランス考えて食べないと駄目だよ」

男「じゃあ…」

幼「ん?」

男「じゃあ、前みたいにお前が作ってくれよ」

男「俺が作ったって駄目なんだよ!」

男「いくら俺が頑張っても…」

男「唐揚げ、酢豚、肉じゃが」

男「いくら俺が頑張っても…お前には敵わない…」

男「だから…また作ってくれよ!」

幼「それが出来ないから、今言ってるんでしょ」

幼「私だってそうしたいけど」

幼「もう、出来ないから言いに来たんだよ」

男「…」

幼「それと…」

男「ん?」

幼「あんた、あの後から私に会いに来てない」

幼「淋しいんだから…来てよ…」

幼「…それだけ」

幼「またね…」フッ

男「おい!」

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男「…っは!」

母「…!あんた!無理して!バカじゃないの!?」ポロポロ

男「…ここは…」

母「病院よ!あんた栄養失調で倒れたのよ!このバカ息子!」

男「そっか…ごめん…」

母「本当にビックリしたんだから…二度とやめて!」

男「ああ…ごめん」

母「あんたまで死んだのかと思ったじゃない!」

男「だからごめんって…」

母「先生に言いにいくから待ってなさい…」

男「ねえ、母さん。俺行かなきゃ行けないところがあるんだけど…」

母「それは、今すぐに行かなきゃ駄目な所なの?」

男「…ああ、先生には後で俺が謝るから」

母「…わかった、行ってきなさい」

母「外は寒いから、これ着ていきな」

男「ありがとう…!」

-幼の墓-

男「はぁ…はぁ…はぁ…んぐっ…はぁ…」

男「幼…」

男「いままで、来れなくて…ごめん」

男「俺は、逃げてただけだ…」

男「お前は俺に病気の事を隠してて…」

男「お前を理由にして…お前の事を引きずって…」

男「後悔して後悔して後悔して…」

男「お前は…もう居ないのにな…」

男「何もかもをお前のせいにしてもういいかで済ませてた…」

男「お前からしたら、迷惑な話だよな…」

男「これから、俺…頑張るから」

男「料理も掃除も洗濯も…」

男「なんでもお前以上に出来る男になって…」

男「ここに…帰って来るから…」

男「俺と一緒に毎日を過ごしてくれてありがとう」

男「俺の事を叱ってくれてありがとう」

男「俺の事を励ましてくれてありがとう」

男「俺の事を慰めてくれてありがとう」

男「俺の事を…好きになってくれて…ありがとう」

男「じゃあ、俺は帰るね…」

男「あ、最後に…」

男「お前の事、愛してるよ」

男「これから先十年後も、二十年後も俺がじじいになっても」

男「お前の事だけは、ずっと大好きでいるから」

男「それだけは、絶対に忘れないから」

男「じゃあ、またいつか…」




『私もだよ、男』

男「…!」

俺の耳には確かに聞こえた

声が、はっきりと

幻聴なのかもしれない

俺が疲れてるから、聞こえたのかもしれない

でも、俺はこの声をずっと覚えておく事にした

だって

俺の大好きな…

幼の声だったから…

-終わり-

なんか…発想とかはいいのかも知れないけど…

うーん…

まあ悪くはないけどその辺によく転がってるような話

>>31

俺もそう思うわ

設定がありきたりだっただけでまぁまぁいい感じな気がするから>>1の書いた他のやつを少し見てみたい気がする

夜中になんとなくパッって出てきたのを書いたらこんな事になってしまった

もう少しちゃんと考えれば良かったと反省。

>>32については今書いてるのが一つあって半分息抜きでこれ書いたんだが

完結してないからここで言ったら宣伝になっちゃうのでそこは言わないでおく

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