勇者「すいませーん!」(10)

ルイーダ「はいはーい」

勇者「王様にここで仲間を紹介してもらう様に言われたのですが…」

ルイーダ「あぁ、話は聞いてるよ」

ルイーダ「……アンタが勇者かい?」

勇者「はい、一応勇者です」

ルイーダ「ふ~ん…まぁいいわ、こっちにいらっしゃい」

勇者「はい」

ルイーダ「あら、今日はアンタ達二人だけかい?」

僧侶「……」コクリ

魔法使い「……」コクリ

ルイーダ「そっか…まぁいいか」
ルイーダ「勇者君、こっちが僧侶ちゃんでこっちが魔法使いちゃんね」

ルイーダ「で、僧侶ちゃん魔法使いちゃん、この人が勇者君だよ」
僧侶「……」ペコリ

魔法使い「……ドモ」ボソ

勇者「よ、宜しくお願いします!」ペコリ

僧侶「?」

魔法使い「……ナニガ?」ボソ

ルイーダ「あぁ…僧侶ちゃん、魔法使いちゃん、アンタ達今から勇者君の仲間になってくんない?」

僧侶「……」

魔法使い「……」

勇者「お、お願いします!」ペコリ

僧侶「……」コクリ

魔法使い「……僧侶が良いなら…良い」ボソボソ

勇者「ホント?!ヤッター!」ピョンピョン

勇者「よろしくね、僧侶ちゃんに魔法使いちゃん!」

僧侶「……」コクリ

魔法使い「……ヨロシク」ボソ

ルイーダ「うーん、後1人は……」

カランカラン

ルイーダ「あ、いらっしゃい」

勇僧魔「「「!?」」」

老人「お嬢さん、ここがルイーダの酒場でいいのかの?」

ルイーダ「えぇ、ここが私、ルイーダが経営する店だよ」

老人「ほほう、若いのに店を経営するとは立派じゃの」

ルイーダ「いやいや、褒めても何も出ないよ」ニヤニヤ

ルイーダ「それにしても爺さん、随分ゴツイ体つきだね」

老人「ホッホッホッ、少しばかり武術をやっとるからの」

勇(あの体つきはちょっとじゃない…)

ルイーダ「ところで何か用があって来たんでしょ?」

老人「おぉ、そうじゃったそうじゃった」

老人「ちと聞きたい事があるんじゃよ」

ルイーダ「なんだい?」

老人「次元の狭間と言う物を探しているんじゃが、心当たりはないかの?」

ルイーダ「次元の狭間?」

老人「うむ」

ルイーダ「う~ん、聞いたこともないね…アンタ達はどうだい?」

勇者「いえ、残念ながら」

僧侶「……」フルフル

魔法使い「……アル」ボソ

老人「ほほう、お嬢ちゃんそれは何処にあるのかの?」ニコリ

魔法使い「……分からない、私も本で読んだだけ」ボソボソ

老人「ふむ、覚えてる範囲で教えてくれんか?」

魔法使い「……」コクリ

昔々、まだ人間が弱く神の加護無しでは生きていけなかった時代。

ある日魔王が神の居る天界に攻撃を仕掛けてきた。

神と魔王の戦いは激しさを増し100年もの間続けられた。

両軍の兵は徐々に数が減り、ついには神と魔王が直接戦う事になってしまった。

神と魔王の戦いは想像を絶するもので、人間達はただ神の勝利を信じ、祈る事しか出来なかった。

戦いが激しさを増すと同時に、地は裂け、海は枯れ、天には雷雲が広がっていった。

(このまま戦い続けては世界が滅びてしまう)そう思った神は生き残った兵にある命令を下した。

『人間達に力を!戦う力を与えよ!!』

命令を下された神兵達は、生き残った人間を天界に呼び、力を与えていった。

この時与えられた力こそが『魔法』である。

しかし、人間の数は戦いの被害や餓えや病気などで半分以下に数を減らしていた。

そして神は生き残った兵と人間で魔王に総攻撃を仕掛けるのであった。

人間が加わった事で神軍が数では有利になった。

両軍が睨み合う中……

魔王『フム、人間共に力を与えたか…』

神『あぁ、これ以上戦いを長引かせては世界が壊れてしまうからの』

魔王『クックックッ、貴様は人間共に力を与えたらどうなるか分かっておるのか?』

神『……ワシは人間達を信じる!』

魔王『信じるだと?ハッハッハ!弱者が力を得たら起こるのは争い!』

魔王『例えこの闘いが貴様等の勝利で終わっても、今度は人間同士の争いが起こるぞ!』

神『……そうかもしれぬ』

魔王『ぬ?』

神『だが!ワシは人間達を信じる!いつか争いが無益な物だと気付き、互いに手と手を取り合い平和な世界を築いて行ってくれるとな!』

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