幼馴染「クリスマス…ちゃんと伝えるんだ」(118)

幼「今までの関係が楽しくて」

幼「落ち着いてて」

幼「それが壊れてしまうのが怖かったけど」

幼「もう、自分の気持ちに嘘はつかない!」

幼「だから伝えるんだ…男に」

幼「大好きだって!」

幼「…でもどうやって伝えよう」

幼「メールで…」

幼「いやいや、こんな大切な事は…」

幼「ちゃんと口で言わないと…」

幼「じゃあ電話で…」

幼「いやいや」

幼「やっぱり、直接言わないと…」

幼「クリスマスに男の家に行って…」

幼「でも、おばさん達も居るもんね…」

幼「聞かれたら、恥ずかしいし…」

幼「…無理かな」

幼「いやいや!」

幼「せっかく決心したんだ!」

幼「絶対告白する!」

幼「家じゃダメだとしたら…」

幼「外に呼び出して…」

幼「あ、場所は何処にしようかな?」

幼「そう言えば、中央公園のイルミネーションが綺麗だったなー」

幼「あそこで告白出来たら、なんか良いかな」

幼「うん!場所は公園にしよう!」

幼「問題はどうやって呼び出すか…だなぁ」

幼「どうしよう…」

幼「クリスマスまであと二日しかないし」

幼「その間に何とかしなきゃ…」

幼「幼友ちゃんに相談してみようかな…」

幼「あ!そうだ!プレゼントも用意しなきゃ!」

幼「プレゼント渡して、思いの丈を伝えよう」

幼「プレゼントは何にしようかな…」

幼「去年までは自分で焼いたケーキをプレゼントしてたけど」

幼「今年は何か…形に残る物にしよう!」

幼「…」

幼「悩み事が増えちゃった…」

幼「やっぱり明日、幼友ちゃんにちょっと相談してみよう」

幼「そうしよう」



幼友「え?告白されるなら?」

幼「うん。告白されるなら、どう言う風にされたい?」

幼友「え?何?幼、私の事が好きなの?」

幼友「私、ノーマルなんで、告白されても困っちゃうよ?」

幼「え?ち、違うよ!そうじゃなくて!」

幼「じゃあ、質問変えるね」

幼「好きな男子に告白するなら、どうする?」

幼友「んー?私なら、直接その男子の前に立って」

幼友「好きです!付き合って下さい!って言うかなー?」

幼「お、男前だね…」

幼友「何?幼、誰かに告るの?」

幼「え?あ、あの…」

幼友「あぁ、誰かにじゃないよね」

幼友「男に告るんだよね?」

幼「あ、あの…」

幼友「ん?違うの?」

幼「…違わないです」

幼友「だよねー」

幼友「でも何で急に?」

幼「あの…クリスマスにね」

幼「思い切って告白しようと思って」

幼友「ふふ。ロマンチックだねー」

幼友「乙女だねー、幼ってば」

幼「何かね、切っ掛けが無いと」

幼「いつまでも告白出来ないかと思って…」

幼友「そっか。いよいよ告るのかー」

幼友「でも、私のやり方は、幼には無理だよね」

幼「そんなに男前な事はちょっと、無理…かな」

幼友「じゃあ、一緒に考えよっか?」

幼友「幼、一人で悩んで答え出ないから」

幼友「私に聞いてきたんでしょ?」

幼「う、うん…」

幼友「んー。それにしても、あの朴念仁に告白かぁ」

幼友「はっきり好きって言わないと、伝わらないよね」

幼「うん。自分の気持ち的にもね。はっきり言いたいの」

幼友「じゃ、携帯じゃダメだよね」

幼「うん…ただ、どんな感じで伝えれば良いのか解らなくて」

幼友「呼びつければ?」

幼「それをどうやってやるかが問題なんだよー」

幼友「そう?」

幼「メールで『用があるから、ちょっと』なんて送ったら」

幼「速攻電話かかってくるだろうし」

幼友「あー、そりゃそうだろうね」

幼友「『用って何?』って言いそうだー」

幼「多分、言われると思う…」

幼「だから悩んでるんだよー」

幼友「手紙書けば?」

幼「手紙?」

幼友「そ。ラブレター」

幼「ラ、ラブレター…」

幼友「それならさすがに速攻電話掛かって来たりはしないでしょ?」

幼「うん!ラブレター良いかも!」

幼「書いた事無いけど、頑張ってみる!」

幼友「で?何て書くの?」

幼「え?」

幼友「呼びつけるんでしょ?何処に?何処で告白するの?」

幼「うーん…一応考えてはみたんだけど…」

幼友「どこに呼び出すの?」

幼「中央公園の…」

幼友「あぁ、あのイルミネーションの?」

幼「そ、そう…ベタかな?」

幼友「超ベタだけど、良いんじゃない?」

幼友「あの鈍感に告白するなら、それくらいベタな方が良いよ」

幼「う、うん。ロマンチックな感じで、良いかなぁって」

幼友「うんうん、良いじゃん、そこで」

幼「ホント?ホントにそう思う?」

幼友「夜、呼び出すんでしょ?」

幼友「周囲、似たような人一杯だろうけどね」

幼「う…カップルだらけかな?」

幼友「まぁ、そうでしょ」

幼「そんな雰囲気に耐えられるかな…」

幼友「そんな雰囲気だから、良いんじゃない」

幼友「鈍感な男も、雰囲気で解るでしょ」

幼友「…多分」

幼「あ、あとね、プレゼントをあげようと思うんだけど」

幼「何にしようか迷ってるの」

幼友「去年まであげてなかったの?」

幼「去年までは手作りのケーキをあげてたんだけど」

幼「今年は、ちょっと特別な物をあげたいと思って…」

幼友「あれだ、あれ」

幼「あれ?」

幼友「私自身がプレゼントでーす!的な?」

幼「え?えぇー?」

幼友「駄目か」

幼「駄目って言うか、む、無理…」

幼友「無理か…じゃあ…」

幼「何か、形に残る物が良いかなって思ってるんだけど」

幼友「んー…人へのプレゼントって難しいなー」

幼友「うまい棒千円分とかじゃ駄目?」

幼「いや、それは食べたら無くなっちゃうから…」

幼友「駄目かー」

幼「形に残る物で、邪魔にならなくて」

幼「出来れば、いつも持ってて欲しい…かな?」

幼友「うーん。難しいね」

幼友「手編みのマフラー!ってのは?」

幼「時間が無いよ…」

幼友「じゃあ、普通にマフラー買ってプレゼントは?」

幼「男は今年の冬、新しいマフラー買っちゃってるんだよ」

幼「私と、男のお母さんで一緒に選んだんだー」

幼友「むー…じゃあ、服とか?…違うかー」

幼「うーん、違うかなー」

幼友「でも普段身につける物って言ったら…」

幼友「アクセサリー?でも男は身に着けそうに無いよね」

幼「多分…」

幼「あ!普段絶対持ち歩いてくれる物があった!」

幼友「え?何?」

幼「お財布!」

幼友「あぁ、良いね、財布」

幼「そう言えば、最近財布買い換えようかって話してたや」

幼友「じゃあもう決まりじゃん」

幼「うん!今日、帰りに買いに行ってくるよ」

幼友「私も一緒に行っても良い?」

幼「うん!」

幼友「…私も何か買おっかな」



幼友「これとか良くない?」

幼「うーん?派手過ぎないかな?」

幼友「そうかなー。カッコ良いじゃん?ヒョウ柄」

幼「男にはあんまり似合わないかなー」

幼友「そっかー。それじゃあ…」

友「お?幼友に幼ちゃんじゃん」

幼友「あら。あんたこんな所で何してんの?」

友「ちょっとお使い頼まれてな」

友「そっちは?」

幼「ちょっと財布を見てたんです」

友「お?そのヒョウ柄の財布カッケーな!」

幼友「カッケーかな?コレ」

友「おう!それいくらだ?」

幼友「4980円だね」

友「うぉぉ、1000円足りねぇ…」

幼友「何?買うつもりだったの?」

友「丁度財布買い換えようと思ってたんだ」

友「だが、金が足りん!出直してくる」

幼友「だが残念、この財布は私が買ってしまうのでした」

友「あんだと?」

幼友「私が先に見つけたんだし」

友「ぐ…ま、まぁ財布くらい別にいつでも買えるし!」

幼友「へっへっへ。負け犬の遠吠えご苦労様」

友「バーカバーカ!」
タッタッタ

幼友「…バカはどっちだっつー話しよね」

幼「幼友ちゃん、本当にその財布買うの?」

幼友「あぁ、うん。買うよー」

幼友「幼は?どれにするか決めた?」

幼「ちょっと高いけど、この革の財布にしようかなぁって」

幼友「おぉ、良いじゃん?…確かに高いけど」

幼「記念に残る品にしたいから…」

幼友「それじゃ、会計してこようか!」

幼「うんっ」



幼友「あとは…手紙を書いて渡す…だねー」

幼「手紙は今晩書くよ」

幼友「どうやって渡すの?」

幼「私の家と男の家、イブの夜は毎年合同でパーティするから」

幼「その時に、渡そうかな…と」

幼友「ん?パーティーって夜だよね?」

幼「ううん。今年のイブはお休みだから、お昼にやるんだー」

幼友「あ、その後、二人で抜け出すって事かー」

幼「…男、来てくれるかなー」

幼友「あいつは鈍感だけど、頼まれた事を断る様なやつじゃないでしょー」

幼「そ、そうだよね」

幼「手紙、上手に書けるかな…」

幼友「上手に書く必要なんて無いよ、幼」

幼「え?」

幼友「幼の気持ちがこもってれば、それで良いと思う」

幼友「男は鈍感だけど、幼の気持ちには気付いてくれると思うよ?」

幼「うん…頑張って書いてみるね!」



幼「幼友ちゃん、今日はありがとうね」

幼友「いやいやー。私は別に何もしてないけどねー」

幼友「頑張りなよ、幼。応援してるからね」

幼「ありがとう、幼友ちゃん」

幼友「じゃーねー」

幼「またねー」



幼友「…さて、私はどうすっかな」



幼「さて、ラブレター」

幼「どう書こう…」

幼「好きですって書くべきかな?」

幼「いやいや…公園で告白するんだから」

幼「呼び出すだけで良いんだ」

幼「『男へ。今晩9時に、中央公園の噴水前まで来て下さい』」

幼「…何か素っ気ないかな?」

幼「でも、他に書く事無い…」

幼「これだけ見たら、果たし状みたいかな?」

幼「うーん…」

幼「じゃあ、もうちょっと足そうかな」

幼「『男へ。私から大切な話しがあります』」

幼「『男の家族や私の家族には知られない様に』」

幼「『今晩9時に、中央公園の噴水前まで来て下さい』」

幼「ちょっと増えたけど…やっぱり素っ気ないかな?」

幼「でもこれ以上は書く事ないから…これで良いかな?」

幼「それじゃこれを可愛い便箋に…」

幼「便箋は可愛くない方が良いかな?」

幼「封筒も、便箋も目立たない感じに…」

幼「文章量も少ないし…」

幼「便箋に入れるまでもないかな?」

幼「一枚の紙に書いて、折り曲げて小さくして」

幼「パーティ終わる時、男にそっと渡そう」

幼「うん!我ながら良い考え!」

幼「それじゃ、この紙に…」






幼父「男!お前もこっちきて飲め!」

男父「もう四捨五入したら成人だろ?飲め飲め!」

男「飲めるわけないだろ!」

幼母「全く…おっさん二人は、もうデキあがってるわね」

男母「まぁ、年に何回もある事じゃないし、大目に見ましょう」

幼母「そうね」

幼「クリスマスパーティだもんね!」

幼母「幼、ちょっとテンション高い?」

幼「え?な、何が?」

幼母「まさか、お酒飲んだんじゃないでしょうね?」

幼「そんな。まさかだよー」

男母「でも、何かそわそわしてるように見えるわね?」

幼「パ、パーティで、ちょっと浮かれてるんですよっ」

幼母・男母「…ふぅん?」

男「おーい、母ちゃん。ビール2本追加だってさー」

男「あと、つまみが足りねーってさ」

男母「はいはい…ちょっとペース早いわね」

男「昼間っから、酔っ払うって、良い身分だよな」

幼「そ、そうだよねー。まったくお父さんたちってば」

男「俺、ちょっとトイレ行ってくるわ」

男母「それじゃ幼ちゃん、これ運んでもらえる?」

幼「はーい」

幼父「おー、幼ちゃん。ちょっとココに座りなさい」

幼「何?お酌?」

幼父「あ、お酌も頼みたいけど…」

幼「けど?」

幼父「母ちゃん達には内緒で、聞きたい事がある!」

男父「幼ちゃん、本当の事を答えてくれな?」

幼「は、はい?」

幼父「男と付き合ってないってホント?」

幼「え?」

男父「さっき男に聞いたら、そんな事無いって言ってたんだよ」

幼「そ、その…お付き合いはしてないよ?」

幼父「そんな馬鹿な?」

男父「へっへっへ。賭けは俺の勝ちだな?」

幼「賭け?」

幼父「俺は付き合ってる方に、こいつは付き合ってない方に賭けたんだ」

男父「ウチの息子を侮るなよ?」

男父「あいつは俺に似て、鈍感朴念仁だ!」

幼父「あの野郎、どこに目ん玉つけてやがるんだ…」

幼父「ウチの娘の何処に不満があるってんだ…」

男父「鈍感の目には何にも映ってねーのさ、ははは」

幼(自分の息子の事、そこまで言わなくても…)

幼「お父さん達、お酒はそろそろ控えた方が良いよ?」

幼父「いいじゃあねぇか!クリスマスイブだぜ?」

男父「ケンタッキーのおっさんに感謝だぜ!」

幼(ケンタッキーは関係無いと思うけど…)

男「幼、もうこっちいいぞ」

男「酔っ払いの相手、疲れるだろ?」

幼「あ、じゃあ後宜しくね?」




幼父・男父「グガーグガー」

男「みっともねぇ顔だなぁ、二人とも」

幼「ふふ、そうだね」

男「写メ写メっと」
カシャッ

幼「それじゃ、こっちの後片付け始めようか」

男「おう」

ガチャガチャ
男「しっかしまた沢山飲んだなぁ…」

幼「料理も完食だったねー」

男「ま、普段こう言う事に縁が無いからな」

男「たまには良いだろ」

幼「そうだねー」

男「全部お盆に載せたな?」

幼「うん」

男「んじゃ、流しに運ぶぞー」

幼「あ…」

男「ん?まだ何か残ってるか?」

幼(い、今がチャンスかも?)

幼「あ、あのね男」

男「んー?早く載せてくれー」

幼「これ、私たちが帰った後、一人で読んでねっ」
サッ

男「ん?今俺のズボンのポケットに何か入れた?」

幼「手紙」

男「ん?手紙?」

男「今読んじゃ駄目なのか?」

幼「い、今じゃなくて!私たちが帰ってから!」

幼「一人で読んで!絶対だよ!」

男「お、おう」

幼「それじゃ、洗い物を流しに運ぼう?」

男「了解っと」



幼母「それじゃ、お邪魔しました」

幼「お邪魔しましたー」

男母「楽しかったわ。またねー」

男母「今度はお正月かしらね?」

幼母「ふふ。そうかもね」

男「気をつけてなー…って言っても、すぐ隣りだけど」

幼「じゃ、じゃあね、男」

幼「男、忘れないでよね?」

男「ん?あ、あぁ。オッケー」

幼母「それじゃ、ほら、しっかり歩きなさい!」

幼父「おぉう…だ、だいじょぅぶ…」

幼母「全然大丈夫じゃないでしょ!」

幼父「…俺はまだ行ける!どこまでも!」

幼父「おぉぇー」

幼母「ちょっと!吐かないでよ?」



幼「今、六時か…」

幼「プレゼント、オッケー」

幼「気合の入った勝負服、オッケー」

幼「覚悟…オッケー!」

幼「ちょっと早いけど、もう出よう」

幼「出る所、被りたくないし」



幼「わぁ…雪、積もってきてる…」

幼「寒いと思ったー」

幼「ホワイトクリスマスだー」

幼「もっと積もるかなー?」

幼「ふふっ。積もったら、雪合戦とかするかなー」

幼「…」

幼「昔は雪が降ったら、色々やったなー」

幼「雪ウサギをいーっぱい作ったり」

幼「少ない雪で、真っ黒いカマクラ作ったり」

幼「…楽しかったなぁ」

幼「…」

幼「告白して、断られたら…」

幼「もうそんな事も出来なくなるのかなー」

幼「…それは嫌だなー」

幼「…告白、止めちゃおうかなー」

幼「…でも、もう手紙渡しちゃったし」

幼「駄目駄目!頑張れ自分っ!」

幼「もう自分の気持ちに嘘付かないって決めたんだからっ!」

幼「ん?あのおばあちゃん…」

お婆ちゃん「…」キョロキョロ

幼「おばあちゃん、どうしたんですか?」

お婆ちゃん「あぁ、ちょっとねぇ…」

お婆ちゃん「駅まで行きたいんだけどねぇ」

お婆ちゃん「道が解らなくなっちゃってねぇ」

幼(ここから駅までって…全然反対方向だ)

幼(…時間はまだあるし)

幼「おばあちゃん、私が駅まで案内しますよー」

お婆ちゃん「そんな、いいんですよぉ」

お婆ちゃん「あなた、そんなおめかしして」

お婆ちゃん「何処かへお出かけする途中でしょう?」

お婆ちゃん「私なんかに構わずに、ね?」

幼「大丈夫です。時間まだまだありますし」

幼「この辺り、道解りにくいですしね」

お婆ちゃん「とっても助かるけど…良いの?」

幼「はい!さ、駅はこっちですよー」

お婆ちゃん「ありがとうねぇ」

幼「おばあちゃんは?電車に乗ってどこかにお出掛けですか?」

お婆ちゃん「久しぶりに息子が帰って来るもんでねぇ」

お婆ちゃん「駅まで迎えに行こうと思って」

お婆ちゃん「久しぶりに外に出てみたんだけどねぇ」

お婆ちゃん「途中で、道が解らなくなっちゃってねぇ」

お婆ちゃん「年は取りたくないわねぇ」

幼「おばあちゃんのお家はどこですか?」

お婆ちゃん「○○町よぉ」

幼「じゃあ、結構歩いて来たんですんねー」

お婆ちゃん「そうなのー」

お婆ちゃん「私、五年前にちょっとだけ足を悪くしちゃってねぇ」

お婆ちゃん「あまり外に出なくなっちゃってねぇ」

幼「それでも、息子さんを迎えに行くんですね」

お婆ちゃん「ごめんなさいねぇ。ご迷惑をお掛けして」

幼「全然迷惑じゃないですよー」

幼「駅につけば、息子さんが待ってますよ!」

幼「大丈夫ですからねー」

お婆ちゃん「お嬢ちゃんは本当に優しい子だねぇ」

お婆ちゃん「おめかしして、今日はデートかい?」

幼「い、いえ、デートって言うか…」

幼「私、好きな人が居て」

幼「今日、その人に告白しようと思って…」

お婆ちゃん「あらあら…それは一大事ねー」

幼「えへへ。実はそうなんですよ」

お婆ちゃん「でもお嬢ちゃんならきっと大丈夫よ」

お婆ちゃん「こんなに可愛くて、優しい娘なんだもの」



お婆ちゃんの息子さん「本当にどうもありがとうございます」

お婆ちゃん「本当にねぇ。ありがとうねぇ」

幼「いえいえー」

息子さん「何かお礼を…」

幼「全然気にしないで下さい!私、用事があるのでこれで…」

お婆ちゃん「あ、お嬢ちゃん、これあげる」

幼「あ、私が好きなレモン味の飴だー」

お婆ちゃん「こんな物しか持ってなくて…ごめんねぇ」

幼「いえいえ、嬉しいです。ありがとうございますっ」

幼「それじゃ、私はこれで」

息子さん「本当にどうも!」

お婆ちゃん「お嬢ちゃん、上手く行くと良いねぇ」

幼「はいっ」



幼「7時半か…まだまだ余裕!」

幼「この駅から公園までなら、15分で着く…はず!」

幼「よし!ゆっくり行こう」

バタッ

幼女「うわぁぁぁぁぁん!」

幼「お、お嬢ちゃん、大丈夫?」

幼女「いたいよぉーーーうわぁーーーーん」

幼「ほら、大丈夫だからねー」

幼(確か鞄の中に…)
ガサゴソ

幼「お嬢ちゃん、コレ見てー」

幼女「うぅ…ぐすっ…それなぁに?」

幼「これはねー、お姉ちゃんがサンタさんから貰った」

幼「魔法の絆創膏なんだよー」

幼女「サンタさんから!?」

幼「そう!これはすっごいよー」

幼「お嬢ちゃんの足に貼るよー」

幼女「うんっ」

幼「はい、魔法の絆創膏貼ったから、もう痛くないでしょう?」

幼女「サンタさんのだから?」

幼「そう。凄いでしょ?」

幼女「うん!もう痛くない!」

幼「良かったねー」

幼「お嬢ちゃんは一人で来たの?」

幼女「幼女ねー、ママときたのー」

幼「幼女ちゃんのママはどこかなー?」

幼女「幼女がお花見てたら、ママいなくなってた…」

幼女「うぅ…ママ…どこー?」

幼(迷子だったんだ…駅員さんに…)

幼女「ぐすっ…ひっく…」

幼女「うぅ…うわーん」

幼「幼女ちゃん、これ上げる」

幼女「ぐすっ…あめだま?」

幼「そう。これも魔法の飴玉なんだよー」

幼女「これも?」

幼「これなめたら、すぐママが見つかるよー」

幼「だから、はい、どうぞ」
ペリペリ

幼女「おねえちゃん、ありがとう!」
パクッ

幼「ちょっとお姉ちゃんと一緒に、駅員さんの所に行こうか」

幼女「うんー」



幼女の母「幼女ちゃん!」

幼女「マーマー!」

駅員「すぐ見つかって良かったですね」

幼女の母「本当にどうもありがとうございます!」

幼「いえいえ。私はここに連れてきただけなので」

幼「無事に会えて良かったです」

幼「それでは、私はこれで…」

幼女の母「あのっ!な、何かお礼を…」

幼「い、いえ、そんなのいりません」

幼「幼女ちゃんと一緒にお出掛け、楽しんで来て下さい」

幼女「魔法のおねえちゃん、ありがとう」

幼「えへへ。幼女ちゃん、ママと一緒に楽しんで来てね」

幼女「うんっ!」

幼女の母「本当にありがとうございました!」

幼女「おねえちゃん、ばいばーい!」



幼「ふぅ…今の時間がっと」
ピッ

幼「あっ…もう八時だ」

幼「ちょっと急ごうかな」

妊婦さん「うっ、いたたたたっ」

幼「だ、大丈夫ですか?」

妊婦さん「だ、大丈夫じゃ、無いかも…」

妊婦さん「ご、ごめんなさい、救急車呼んで貰えないかな?」

幼「は、はい!」
ピッピッ

幼「す、すみません!救急車お願いします!」

幼「妊婦さんが、倒れてて…早くお願いしますっ!」



バタン
救急隊員「それじゃ、通報どうもありがとう」

幼「い、いえ。妊婦さん大丈夫ですか?」

救急隊員「破水してるし、陣痛も来てるから」

救急隊員「もうすぐ生まれるはずだよ」

救急隊員「それじゃ!」

幼「はい」

ピーポーピーポー

幼「はぁ…ビックリしたー」

幼「でも元気な赤ちゃんんが生まれると良いな」

幼「…」

幼「あ!時間!もう8時半だ!」

幼「急がなきゃ!」

幼「ひょっとしたら、男もう来てるかも…」
タタッ

ツルッ

幼「あっ!」

ゴツッ






幼「うーん…」

女医「あら、目が覚めた?」

幼「はっ!?私…」

女医「道で滑って、頭を打ったらしくてね」

女医「救急車で運ばれてきたの」

幼「あっ…てて…ちょっと痛いです」

女医「雪のせいで道が凍ってたのね」

女医「気を付けないとダメよ?」

幼「は、はい…どうもありがとうございます」

幼「あ、私の荷物はどこですか?」

女医「あー…ここにあるけども…」

幼「あ…」

女医「あなたが転んだ時、下敷きになっちゃったみたいね」

女医「服はそれほど汚れてなかったけど」

女医「鞄の中身は潰れちゃってて…」

女医「連絡先を知りたくて、中を見させてもらったけど」

女医「携帯も壊れちゃっててね」

女医「だから、あなたが目を覚ますまで、私が傍で待ってたって訳」

幼「す、すみません…クリスマスなのに」

女医「そんな事は気にしなくて良いのよ。別に用事も無いしね」

幼「用事…」

幼「い、今何時ですか?」

女医「今?11時50分ね」

幼「じ、11時50分!?」

幼「わ、私、行かなきゃ!」

女医「まだ寝ていた方が…」

幼「行かなきゃいけないんです!」

女医「…何か、大事な用があるのね?」

幼「はいっ!」

女医「それじゃ、今度は転ばない様に気をつけてね?」

幼「はいっ」

幼「後日お礼に伺いますんで!」

女医「あはは、気にしないで。お大事ね」

幼「それじゃ、失礼しますっ」
ペコッ
タタタッ


女医「今日はイブだもんね…可愛い格好してたし」

女医「上手くいくと良いわね」



幼「あ…雪、積もってる…」

幼「もう3時間も過ぎちゃって…」

幼「今日、告白するって決めてたのになぁ…」

幼「…」

幼「でも、公園までは行こう!」

幼「男は待って居るような気がする」

幼「ここからなら10分くらいで公園に行ける」

幼「男が居たら…その時は…」

幼「雪、結構積もってるから、すこし走れるかな?」

幼「転ばないように、気をつけて…」
タタッ


幼「見えた、噴水!」

リーンゴーン…

幼「あ…この音…」

幼「教会の鐘の音だ…」

幼「0時の鐘の音だ…」

幼「告白…出来なかったな…」

幼「ぐすっ…」



男「幼!」

幼「お、男?」

男「おい、大丈夫か?心配したんだぞ?」

男「携帯にかけても繋がらないし」

男「幼の家に電話しても、出掛けたって言うし」

幼「あ、あの…私…」

男「本当に心配したんだぜ?」

男「…ん?可愛い服だけど…ちょっと汚れてるな?」

男「本当に、何かあったのか?」

幼「だ、大丈夫」

男「幼、泣いてるのか?」

幼「ううん、大丈夫」

幼「ちょっとだけ、ね。思うところあってね」

幼「別に怪我したとか、そう言うのじゃないから、大丈夫だよっ」

男「…」

幼「それより、こんな雪の中、3時間も待たせちゃって本当にごめんね」

男「それは気にするなよ」

男「俺が待って居たかったんだ」

男「探しに行こうかとも思ったけどさ」

男「すれ違いになるのは嫌だったし」

男「幼は絶対来るって信じてたしな」

幼「ありがとう、男」

男「そんで、やっぱり幼はここに来たしな」

男「大事な話しがあるんだろ?」

幼「うん、あのね、男」

幼「その…今日ここに呼び出したのはね…」

幼「き、聞いて欲しい事があってね」

男「家じゃ言えない事なんだよな?」

幼「う、うん…」

幼「あ、まずプレゼントがあってね」
ガサゴソ

グチャッ…

幼「あ…」

幼(転んだ時、踏んづけちゃったんだ…)

男「お?これ?開けて良い?」

幼「せっかく包装したのに、グチャグチャに…」

男「どうせすぐ開けるんだから、気にしないよ」
ガサガサ

男「おぉー!カッコ良い財布!」

幼「先週、財布買い替えようかなーって言ってたでしょ?だから…」

男「一生大事にするよ!」

幼「えへへ、喜んでもらえて私も嬉しいよ」

幼「それでね」

幼「本当は昨日…クリスマスにね」

幼「言うつもりで決心してたんだけどね」

幼「間に合わなかったけど、これだけはどうしても言いたくて」

幼「男君、あなたの事が好きですっ!」

幼「私とお付き合いして下さいっ!」
ペコッ

男「お、おぅ…て言うか、幼さん」

幼「ん?」

男「け、結構大声だったな」

幼「え?」

ザワザワ

幼「あっ…」

幼(いっぱい人が居るの忘れてた…)

男「ち、ちょっと移動すっか」

幼「う、うん…」

幼「な、何かごめんね?」

男「いやいや。大丈夫だけどさ」

幼「カップルだらけだって事、忘れてたよ…」

男「あー、あのさ幼」

幼「ん?何?」

男「昼のパーティの時は家族皆でだったけど」

男「改めて、幼だけに言いたい」



男「メリークリスマス、幼」

幼「あ、あの…」

男「何で驚いた顔してるんだ?」

男「0時まわったから、今日がクリスマスだろ?」

幼「そ、そうだね」

男「大体、皆イブに騒ぎすぎなんだよな」

男「キリストの誕生日は今日だってのにさー」

幼「…」

男「だから、クリスマスに告白するって言う幼の決心はさ」

男「ちゃんと果たされたんじゃね?」

幼「うん…そうだね。今日がクリスマスだもんね!」

幼「えへへ。やっぱり男は言う事が違うなぁ」

男「…やっぱり幼は笑った顔が一番だな」

男「そんな幼の事が昔から好きだったんだ」

幼「えっ?」

男「隣りの家の幼馴染っていう関係がさ」

男「とっても心地よくてさ」

男「壊したくなくて」

男「俺、ずっと逃げてたんだよな」

男「改めて言わせてもらうけど」

男「幼、俺もお前の事が好きだ」

男「俺と付き合ってくれ」
ペコッ

幼「えへへ、顔上げてよ、男」

男「…」

幼「私たち、お互い同じようなこと考えてたんだね」

幼「気持ち繋がってた気がして、嬉しいよ」

男「お、おう。俺も嬉しいよ」

男「俺たち、正式に付き合うって事で良いんだよな?」

幼「よろしくお願いします」
ペコッ

幼「…でも、お付き合いするって言っても」

幼「今までと変わらないんじゃ、しょうが無いから…」

男「う?」

幼「えいっ」

ぎゅっ

男「お、おぅ」

幼「男もぎゅってして?」

男「おう…大胆だな、幼」

ぎゅっ

幼「…こうしてると暖かいね」

男「そうだな、暖かいな」

幼「あ、また雪が降って来たよ」

男「ホワイトクリスマスって、何か良いよな」

幼「風情があって、ね」

男・幼「…」

幼「クリスマス…ちゃんと伝えられて良かった」

男「俺も、良かったよ」

幼「ね、キスしても良い?」

男「う?と、突然だな…」

幼「嫌?」

男「い、嫌じゃ、ないけど…」

幼「イエス様の誕生日に、ノーは無いよねっ?」

男「イ、イエス…」




ちゅっ



おわり
だけどちょっとだけおまけあり

ガンガンガン

幼友「おーい。起きてるんでしょー?」

ガラガラ

友「んだよ、今ゲーム中なんだけど」

幼友「ほら、これ」
ぽいっ

友「ん?」
ぱしっ

友「なんだこれ?」

幼友「今日何の日か知ってる?」

友「は?別に何の日でもねーよ」

幼友「クリスマスも知らないの?」

友「クリスマスは3年くらい前から中止になったはずだ!」

幼友「あ、そ?でも今年は開催されたみたいよ」

友「て事はこれ、プレゼントか?」

友「お前が俺に?」

幼友「まあね」

友「開けていいか?」

幼友「ご自由にどうぞ」

友「…」
ガサガサ

友「おぉ!ヒョウ柄の財布!」

友「超カッケー!」

友「マジ貰って良いのか?」

友「自分が使う為に買ったんじゃねーの?」

幼友「違うわよ」

幼友「それ、プレゼント用に買ったの」

友「俺の為に買ったのか?」

幼友「あら。鈍感な癖によく解ったわね」

幼友「あんたの為に買ったのよ」

友「お、おぅ…そうなのか」

幼友「友、好きだよ」

友「は、はあ?いきなりどう言う事だよ?」

幼友「好きです、付き合って下さいって事」

友「マジで?」

幼友「マジよ。で、返事は?」

友「お、おぅ…」

幼友「はっきり、返事くれるよね?」

友「俺もお前の事、ずっと好きだったさ」

幼友「…だったって過去形?」

友「ち、違う!好きだって事をだな…」

幼友「じゃ、私と付き合ってくれる?」

友「こっちの台詞だっつー話しだよ」

幼友「じゃ、久々にちょっとそっちに行っても良い?」

友「お、おう…気をつけて渡れよ」

ヒョイ
幼友「お邪魔しまーす」

友「い、いらっしゃい」

幼友「問答無用っ!」

友「は?」

ガシッ

チュッ


幼友「メリークリスマス、友」



ほんとにおわり

これでおわりです
誰か読んでくれたら嬉しいです
書きため、クリスマスに間に合って良かった

0時の書き込みも上手く行ったし、満足です
メリークリスマス

次スレは
幼馴染「おまたせ」 男「おう」
ってタイトルで立てると思います
見かけたら読んでくれると嬉しいです
では。

>>82
>>1すげえええええええ

>>82
>>1すげえええええええ

乙。幼馴染はラブラブちゅっちゅに限るよね

乙!
現実と同期させるとか良かったよー


すげぇ

おつおつ

乙です

乙!

今回も楽しめましたー!
>>1は良いクリスマスを過ごせたかな??


コンマ無いのうまく利用したなぁ

>>82
こういうアイデア大好きだわ



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