猫「寒い」(112)

男「いやいや、その前に猫→人間へのジョブチェンジについてご主人様たる俺に何か言うことはないのか。寝る前は確かに猫だったように思えるのだが」

猫「寝てる間にオマエが毛を剃ったのか。何をする」

男「剃ってねえ。人は猫みたいに全身にぼーぼー毛が生えないのです」

猫「くちゅっ。……寒い」

男「そりゃ裸だからね。素っ裸だからね。柔肌が眩しいね。おっぱいが素晴らしいね。貧乳が喜ばしいね!」

猫「んー。寒い」モソモソ

男「そして当然の顔で俺の布団の中へ。結果、柔肌が俺の、俺の体に触れてあああああ」

猫「うるさい」ペシペシ

男「ぶべらはべら」

男「いつまでも見ていたくはあったが、俺の精神衛生上よろしくないので、とりあえず手近にあった服を着せた」

猫「……服は嫌いだけど、これはオマエの匂いがするし、我慢してやる」

男「これは嬉しいことを。それはそうと、なんで人に」

猫「…………」ジーッ

男「無視しないで。こっちを見て。ていうかどこを見てる」

猫「…………」ジーッ

男「いや、だから何を壁をじーっと……え、猫時代にもやっていたアレか。アレなのか。ということは」

猫「今日も壁からおっさんが半分だけ顔出してるけど、あれはなんだ」

男「やっぱり心霊現象か。道理でやけに家賃が安いハズだ。霊感がなくて助かった」

猫「なんで悲しそうな顔してるんだ。……まあいいや。眠い」

男「そしてもう飽きてる。実に猫らしい。ああいや、らしいではなく、実際に猫か」

猫「今日はなんかいつもより寒い。これも全部寝てる間にオマエが私の毛を剃ったからだ。なんでそういうつまらんことをする」ジローッ

男「だから、違うっての。理由は知らんが、人間になっちゃったからだっての。ていうかそもそもお前は本当にうちの猫なのか?」

猫「ん、腹減った。ごはん。ごはんー」ウロウロ

男「また話を聞いてねえ。勝手に鍵を開けて上がり込んできた家出してきた少女の可能性も否めないが、まあいいや、うちの猫が奇跡進化を遂げて人になったってことにしよう」

猫「あ! カリカリがない! どゆことだ!」

男「あー。まだ用意してなかったっけ。ていうか人型になってるが、猫飯でいいのか?」

猫「早く出せ。めしを出せ。早くしろ」ペシペシ

男「叩くな。分かった、用意するよ」

猫「早くしろ」ペシペシ

男「人の尻を叩くな」

男「はい、ご飯」

猫「ん! もぐもぐ……ぶべあっ」

男「うわ、汚え」

猫「まずい! すげーまずい! どゆことだ!」

男「あー。味覚は人間準拠なのな」

猫「なのな!?」

男「いや、そこはどうでもいい。しょうがない、俺の飯を分けてやるから、それを食え」

猫「人飯は熱いから嫌だ」

男「安心と信頼の猫舌か。冷ましてから食えば大丈夫だろ」

猫「むー」

男「というわけで、手早く作った俺様のご飯だ。オレサマ オマエ マルカジリ!」

猫「熱そう。……早く冷ませ」ジローッ

男「まあ待て、俺が食うのが先だ」

猫「なんで魚がない」

男「そんな好きじゃないんですよ。あと、食卓に並べるとよくお前が奪って困るので、作らなくなったのも要因の一つだ」

猫「あれは小骨が刺さるが、うまい。もっと作れ」ペシペシ

男「人の頭を叩くない。まあ、追々な。今日は冷蔵庫にあるもので」

猫「むしゃむしゃ」

男「って、何を勝手に人の飯を食ってるか」

猫「熱いッ!」ペシペシ

男「知らん。勝手に食うからだ。ああ、俺の絶品玉子焼きが半分に」

猫「うぅー……むしゃむしゃ。熱いッ!」ペシペシ

男「あ、コイツ馬鹿だ」

男「俺の玉子焼きが猫の胃袋に収まってしまったので、もっかい作った」

猫「舌がヒリヒリする。どうにかしろ」

男「ほら、水でも飲んで冷やせ」

猫「ん」ピチャピチャ

男「なるほど、コップに口をつけて飲むのではなく、水を舐めるのか。卑猥でいいな!」

猫「うるさい」

男「そういや気になったんですが、なんでそんなぶっきらぼうな口調なんですかね? もっと媚び媚びに『ご主人さま、大好きだにゃんっ♪』とか言ってくれませんか?」

猫「なんかあっこの箱から、そーゆー声はよく聞こえてくる」

男「しまった、ペットだから俺の性癖が筒抜けだ!」

猫「オマエがあれの前に座ってる時に、膝に乗るのは結構好きだ」

男「あー。なんかパソコンしてる時によく乗ってきますよね。あと本読んでる時とか、本の上にどっかりと座って満足気な顔してたり」

猫「常に私を見てろ。だが触るな」

男「なんて傲慢な。触ってやる。だが今触るとおにゃのこに襲いかかる変態という構図ができあがってしまい、客観的に見ると明らかに犯罪なんだけど、いいのかな?」

猫「知らん」

男「そりゃそうだ。まあ捕まったら捕まった時だ、触ってやれ」ナデナデ

猫「んー」

男「気持ちよさそうだ。話が違う」

猫「オマエに頭をなでられるのは結構好きだ」

男「成る程」ナデナデ

猫「んー」

男「楽しかった」

猫「もっとなでれ」クイクイ

男「また後でな」

猫「つまらん。まあいいや、寝よう」

男「よく寝るなあ。それより、飯を食ったらお前の服を買いに行きたいと思うのだが」

猫「知らん」

男「お前のことなのに。確かに今の男物のカッターシャツを着てるお色気抜群な感じは大変にいいので……あ! もうこれで一生過ごしてもらっても構わないのでは!?」

猫「zzz」

男「寝るな。ご主人様が素敵な提案をしてる最中に寝るな」

猫「眠い」

男「ええい、猫らしさが憎らしい。猫らしい憎らしい」

猫「んぐ。……んー」モソモソ

男「おや、どうして俺の膝に座りますか」

猫「乗りたい」

男「成る程」

猫「zzz」

男「そして動けなくなる罠」ナデナデ

猫「んー」ゴロゴロ

今日はここまで。

かわいい

支援

支援するから是非続けたまえ

猫「んー……ん。……くああああ」

男「やっと起きたか」ナデナデ

猫「んー。水」テコテコ

男「長時間膝に乗せてあげた飼い主に対する感謝がないのだが。そしてお前を乗せていたために動けず、飯を食う行為以外の行動ができなかったことについての謝罪がないのだが」

猫「ぴちゃぴちゃ」

男「でも水をペロペロしてる様子が大変にエロティックなのでまあいいや!」

猫「うるさい」

男「すいません」

猫「ぺろぺろ。……ふぅ、一仕事した」

男「水を飲んだだけです」

猫「よし、次だ。家の中をパトロールしないと」

男「手狭な家ですので、不要です」

猫「ドアを開けろ」

男「自分で開けられるだろ」

猫「あ。……開けられる! ふふん?」

男「別にすごくないです」

猫「…………」ムーッ

男「ああはいすごいすごい」ナデナデ

猫「ふふん」エッヘン

男「やだこの猫ウザ可愛い」キュン

猫「パトロール開始。廊下!」

男「ドアは開けたら閉めろ。寒い」ブルブル

猫「異常なし。トイレ!」

男「なんか廊下の奥の方から声が聞こえる」

猫「臭い。次、風呂!」

男「はぷしゅ」

猫「あ、水がいっぱい。ぺろぺろ。異常なし」

男「ドアを閉めてえ」

猫「終わり。全部異常なし」スタスタ

男「あー寒かった」バタン

猫「はー頑張った。疲れた。おい男、ドア閉めてないでこっち座れ」

男「お前の後始末だよ。で、なんですか」

猫「膝に座りたい」

男「また今度な。それよりそろそろ買い物に出かけたいのだが」

猫「散歩か。私も行きたい。行く」

男「その格好で外に出られると色々と問題があるのでやめてください」

猫「こうか」ヌギヌギ

男「問題は山積みだ」

猫「服が襲ってきた!」フシャー

男「からまってるだけだ。落ち着け」

男「本音を言うとおっぱいを見ていたかったが、耐えられる自信がなかったので絡まってるのを解いてから、改めて服を着せた」

猫「寒かった」ブルブル

男「じゃ、出かけてくるので留守番を頼むな」ナデナデ

猫「散歩行きたかった」ムスー

男「服買ってからな」

猫「んー」


男「という訳で、店だ」

男「店はいい。物が売ってるからな。物がないと困るので、店はいい」

男「……いかん、頭のデキがばれてしまう。早く猫の服を買って帰ろう」

男「買う物を買ったので帰ってきたら」

猫「お、おかえり! 今ね、知らない人が来てて!」

男「倒れてる観葉植物、部屋中に散らばるティッシュ、ビリビリに破かれた雑誌」

猫「ほ、ホントに! 私もさっき起きたところだからびっくりして!」

男「……はぁ。あー。現行犯じゃないと叱っても意味ねーか。……いや、それは猫の時の話だし、今は人だから、大丈夫か?」

猫「う、うぅ……ホントだよ? 知らない人が、ぐわーって」

男「こらっ!」

猫「ひっ」ビクッ

男「悪さを、そして嘘をつくこの猫は悪い猫だ」

猫「……うぅ、ごめんなさい。ホントは私がやった」ションボリ

男「効いた。やったね人間!」

猫「もうやんない。たぶん」

男「分かればいい。大きな声を出してごめんな」ナデナデ

猫「んぅー」スリスリ

男「さて、怒るのは終わりだ。片付けるか」

猫「手伝う」

男「できるか?」

猫「やってみる」

男「おお。偉いぞ!」ナデナデ

猫「へへー。で、何する? 何する?」

男「じゃ、俺は観葉植物を片付けるから、猫はティッシュを一箇所に集めてくれ。あとでまとめて捨てるから」

猫「ん」コクコク

男「さて、土を片付けて……」

猫「…………」ウズウズ

男「えーと、ホウキとチリトリってどこに置いてたっけ」

猫「……とうっ!」ブワサッ

男「…………」

猫「これは! これは楽しい! ティッシュが! いっぱい! ティッシュが!」キラキラ

男「hey girl」

猫「しまった、見られた!」

猫「怒られた……」ショボーン

男「はぁ……一緒に掃除しような?」ナデナデ

猫「んぅー。ごめんなさい」

男「分かりゃいい。じゃあティッシュ……は、また乱舞しちまうな」

猫「楽しかった。またやりたい」

男「反省の色が見えないね」

猫「反省はしてるが、それはそれでまたやりたい」

男「成る程。我慢してください」

猫「努力はするが、期待するな」

男「やだこの猫男らしい」キュン

男「さて、ティッシュは一箇所に集めておこう。捨てるのも勿体無いし、雑巾代わりにするか」

猫「出しても出しても、あの箱から無限に出てきた。魔法の箱に違いない」

男「そういう作りなだけです」

猫「魔法は存在する……!」キラキラ

男「しまった、何か勘違いさせた。でも、猫魔法少女とか夢がひろがりんぐだから、黙っておこう」

猫「魔法でいつまでも寝ていてえ」

男「魔法関係ねえ。そしていつもいつまでも寝てる」

猫「常に眠い」

男「猫め」

猫「にゃー」

男「あっ! 可愛い!」ナデナデナデ

猫「やめれ」

今日はここまで。

kyawaii

これは素晴らしい

可愛いな支援

男「次、観葉植物」

猫「あぎあぎ」シャムシャム

男「葉を食うな」

猫「……む? まずい! これもまずい! でも前からこのはっぱはおいしくなかった」

男「まー、毛を吐くために食ってたみたいだからなあ。ていうか食うな。これとは別に猫草を植えてるだろ。そっち食え」

猫「こっちのはっぱの方が燃える」

男「……いかん、ちっとも共感できない」

猫「でも、今はなんかオマエが毛を剃っちゃったので、吐く必要がない。オマエのせいで」ジローッ

男「だから違うっての。いつになったら理解してくれるんだ」

猫「……そいや、なんか私の頭に大量に毛がある。身体の毛を剃って頭に植えたのか? なんでそゆことする」ジローッ

男「違う。ただの頭髪だ。人間は頭から毛が生えるんだ」

猫「そいや、オマエにも生えてるな」グイグイ

男「痛い。引っ張るな」

男「ほら、いいから掃除するぞ」

猫「後で。今なんだかだるい」ゴロン

男「流石は猫、dえもんと同じカテゴリなのは伊達ではないな」

猫「……ん? 袋! これは入りたい!」フリフリ

男「そして俺が持って帰ってきた買い物袋を見つけて、四つん這いになり尻をふりふりしてる。一見すると俺を誘っているように見えるので注意が必要だ。あと、パンツはいてないのでほら、色々と」

猫「……とうっ!」ズザー

男「おおっ」

猫「ふがー! なんか入れない!」ジタバタ

男「そりゃ猫時代より体が大きくなってるからなあ」

猫「なのな!?」

男「言ってねえ」

猫「むー。入りたかった。まあいいや、入れないし、掃除で遊ぼう」

男「遊びじゃないが、手伝ってくれるのはありがたい話だ。ありがとな」ナデナデ

猫「んー」ゴロゴロ

男「じゃ、チリトリとホウキ持ってくるから、ちょっと待ってろ」

猫「留守番か。任せろ、得意だ」

男「そこまで待たなくていいです」


男「物置にしてる所から掃除道具を持って戻ってきたら」

猫「くっ、このっ、ぬーっ!」

男「買い物袋の上で香箱座りしようと悪戦苦闘してる猫の姿が」

猫「あっ! 男! なんか難しくなってるんだけど! どゆこと!」

男「そりゃ猫の時ほど関節が柔らかくないだろうからなあ。諦めろ」

猫「小さくまとまりたいー……」

男「どんな願望だ。ほら、それよりホウキで掃いちゃうから、チリトリ持っててくれ」

猫「ん? ……ここ! ここに座りたい!」

男「まだ自分の体が猫サイズと勘違いしてるな。まあ仕方ないか。でも今のお前の体じゃチリトリに収まらないから諦めろ」

猫「また! また諦めろって! もー!」プンスカ

男「ほらほら、怒るな」ナデナデ

猫「もー」ゴロゴロ

男「じゃあ、はい。チリトリ持って」

猫「こうか?」ギュッ

男「そう。で、そのまま押さえてて」

猫「えやー!」

男「そんな力いっぱい押さえなくてもいいが……まあいいや。じゃあそのままな」サッサ

猫「おお、土が、土が」

男「ふぅ、こんなもんか。細かい砂は後で掃除機で吸い込むか」

猫「それはオマエ用の砂か?」

男「砂……ああ、猫砂のことか。違うぞ。あ、そうだ。トイレのことも教えないとなあ」

猫「おしっこはちゃんと教えられたところでしてるぞ?」エッヘン

男「いや、ほら、もう猫じゃないし。今の人間の姿で今まで通り用をたされると色々と問題がありまして」

猫「んぅ?」

男「まあ百聞は一見に如かず、か。ちょっとこっち来い」

猫「ん」トテトテ

男「これが人間のトイレだ」

猫「あー。なんかよくオマエが入ってるな。それで、何して遊ぶの?」

男「遊びじゃねえ。これの使い方を教える」

猫「いい」

男「いいじゃねえ。まずフタを開ける」

猫「んー」パカ

男「そしたら、そこに座る」

猫「こか。……なんか温かい!」キラキラ

男「尻温め機能搭載型のトイレだ」

猫「これはいい。一生ここにいたい」ヌクヌク

男「俺の膀胱が破裂しちゃうのでやめてください」

猫「ぬー」

男「ここに座り、おしっこやおっきい方をする」

猫「おっきい方って、うんこ?」

男「……や、まあそうなんだけど、あえて言葉を濁したのに。まあ猫相手にそういう気遣いは不要か」

猫「んぅ? それで、砂はどこにある」

男「砂はない」

猫「じゃあどやって砂をかける! 毎回外に出て砂を取りに行くのか! 大変!」

男「砂はかけない」

猫「男は私に死ねと言うのかー」ウルウル

男「そんなんで泣くな。このレバーをひねると水が流れておしっこを流してくれるから、砂はいらないんだよ」ジャー

猫「ひゃあ!」ダキッ

男「別に抱きつかなくてもいいと思うのだが」

猫「びっくりした! お尻の下からじゃーって! 音が! びっくりした!」

男「流せば音もするよ。でも初めてだと驚くか。ごめんな」ナデナデ

猫「びっくりしたー」ゴロゴロ

男「まあ大体こんな感じだ。分かったか?」

猫「砂がないのがひじょうに不満だ」

男「それは、まあ、追々慣れてくださいよ」

猫「うぅー。……おしっこの時だけでも、砂でしちゃだめ?」

男「…………。アリだな! アリだけど、アリだけど……うう~ん、まあいっか。ただ、その際は俺の方を向いてしてください。スジを見ていたいのです」

猫「なんか邪気を感じる!」フカーッ

男「いかん、ヨコシマな下心が俺を支配している。邪気よ去れー邪気去れー」ナムナム

猫「去った」スリスリ

男「よかった。というわけで、おしっこもこのトイレでしてください」

猫「もどれー、邪気もどれー!」ナムナム

猫「もどんなかった」グスン

男「まあ最初は気持ち悪いと思うが、徐々に慣れてください。どうしても無理なら、しばらくは猫用のトイレも用意しとくから」

猫「砂をかけていいの!?」

男「猫用の方でならな」

猫「やった! やったぁ!」ピョンコピョンコ

男「やや、可愛い」ナデナデナデ

猫「やめれ」ネコパンチ

男「過剰になでると嫌がりますね」ハナヂ

猫「それなりになでろ」

男「こんな感じか?」ナデナデ

猫「そんな感じ」ゴロゴロ

今日はここまで。

素晴らしいssに出会った

文体的に幽霊の人のもよう

期待期待

可愛い支援

トイレ教えたのはいいが拭くのはどうするんだ

猫「じゃあ、ちょっとおしっこしてみる。見てて」

男「見ていたいのは山々なんだが、我慢できる自信がないのでトイレの外で待ってるよ」

猫「見ててほしいのに!」プンスカ

男「まあ我慢してくれ。じゃ」ガチャ

猫「ふにゅーん……」

男「そんな声を出されては、外にいられないではないか」ナデナデナデ

猫「なでんな」フカーッ

男「お前が庇護欲をかきたてる声を出すのが悪いのだ。諦めてなでられろ」ナデナデ

猫「ふぐぐ」

男「よし、満足。じゃあ今度こそ外にいるから、一人でするんだぞ」ガチャ

猫「ふにゅーん」プルプル

男「小刻みに震えるというトッピングまで付け加えるあざとさ。あざといなさすが猫あざとい」ナデナデ

猫「なでんなー」ゴロゴロ

男「じゃあ今度こそな。三回目はないからな」ガチャ

猫「…………。……? 男、おとこー!」

男『なんだ?』

猫「なんか出ないー! そいや、まだおしっこしたくないー!」

男『……じゃあ出てきなさい』

猫「んぅー」ガチャ

男「……はぁ。したくなったら言ってくれな。トイレットペーパーの使い方も教えなきゃいけないし」

猫「まかせろ!」フンス

男「なにをいばっている」

猫「あ! ちょっと急ぐからあとで!」

男「はぁ?」

猫「よっこいしょ。っこいしょ。……やっぱうまく座れない!」フカーッ

男「ああ、香箱座りに再チャレンジか。無理だっての」

猫「まとまりたいのに! まとまれない! なんで!」

男「それが人間の関節の限界だ」

猫「うー。なんでニンゲンにする」ジローッ

男「睨むな。そもそも俺がしたんじゃねえよ」

猫「じゃー誰がした!」

男「分からん」ナデナデ

猫「さわんな」ペシペシ

男「考えても分からんことを考えても仕方あるまい。それより、まだ仕事が残っている」

猫「縄張りのパトロールか! 一緒に行く?」キラキラ

男「違う。行かない」

猫「うー!」ペシペシ

男「はいはい。どっかの駄猫が雑誌をびりびり破いちゃったので、それの掃除がまだ残ってる」

猫「どっかの猫じゃなくて、ここの猫。私。私がやった。忘れた?」クイクイ

男「や、……まあ、いっか。これくらいなら一人ですぐ終わりそうだから、パトロール行ってきてもいいぞ」

猫「やった! じゃ、行ってくる!」

男「着替えてから行きなさい。その格好(カッターシャツonly)で外に出たら、風邪を引いちゃうし俺が捕まる」

猫「いい」

男「いくねえ」

猫「むぅ」

男「んーと……これこれ。お前用の服と下着だ」

猫「そっちの袋の方が楽しそうだ」

男「かぶる?」

猫「る!」

男「はい」スポッ

猫「なーっ!? 見えない、何も見えない!」

男「おお、バックしてるバックします」

猫「暗い狭いワシャワシャする! 出せぇ!」

男「はい」スポッ

猫「暗かった! 狭かった! 何する!」フカーッ

男「かぶるって言ったじゃん」

猫「言ってない!」

男「この猫言い切りやがった」

猫「なんであんな怖いことする! 男嫌い!」

男「ごめんね」ナデナデ

猫「許さん」ゴロゴロ

男「あの後、いっぱいなでたら許された」

猫「zzz」

男「だが、なんか満足しちゃったのか俺の膝に座って寝てしまった。またしても行動不能」

猫「zzz」

男「……ていうか、今更だが、なんで人になったんだろ。これからどうなるんだろ。人はどこから来てどこへ行くんだろ」

猫「……う、うるしゃー……」

男「ああゴメンゴメン」ナデナデ

猫「……んぅー……」

男(……猫の一匹くらい幸せにできずに、何が飼い主か。それがちょっと人間になっただけの些細な事だ。a piece of cake.楽勝さ)

猫「……んぐー」アギアギ

男「人の指を食うな」

猫「……んぎゅ、まずい」ペッペ

男「この猫失礼だな」ナデナデ

猫「……んぐ、……くぁぁぁぁぁ」

男「遅い。もう夜だぞ」

猫「んー。あー。……あ、男だ。ごはんくれ」スリスリ

男「寝て飯食ってまた寝て……俺もそういう生活したいよ」

猫「すればいいのに」キョトン

男「あー……お前にゃこれから色々と人間社会の常識を教えないといけないとなあ」ナデナデ

猫「なでんなー」ゴロゴロ

男「そう言えば、お前って何歳なんだ?」

猫「知らん」

男「……まあ、なんとなくその返事は予測できていたが。見た感じ小学生か中学生くらいですかね?」

猫「くああ……」アクビ

男「猫ん時は何ヶ月って子猫だったから、それを人に換算すると……まあ、そのくらいか」

猫「んふー。それより飯、めしをくれ」

男「学校とかどうしよう。そもそも完全に人に固定されてるのだろうか。明日になったら元の猫に戻ってたとか笑い話にもなりゃしねえしなあ。それなら今のうちに死ぬほどイチャイチャする必要があるし、ふーむ」

猫「めし、めーし」スリスリ

男「……まあ難しいことは後でいいや! 飯食うか!」

猫「はやく」スリスリ

男「はいはい」

今日はここまで。

乙です
日付変わったぞ?

>>49
鬼畜wwwww

なんにせよ乙

年齢の下りで一気に危ない香りが……

おい···鬱はやめてくれ···もうsan値がボロボロなんだ····

男「冷蔵庫を開けたのだが」

猫「なにもない」ノシッ

男「乗るな」

猫「男の背中に乗るのは楽しい。ここに住みたい」

男「大変迷惑です。……うーむ、こうも食材がないとどうしようもないな。しょうがない、二人で枯れ死ぬとするか」

猫「ヤだ! ごはん! ごーはーんー!」ペシペシ

男「叩かれては仕方ない。買い物に行くか」

猫「外! 散歩か!」キラキラ

男「んー……そだな。その状態でも外に慣れさせないとな。よし、一緒に行くか」

猫「おー!」

男「じゃあ着替えてください」

猫「おっぱいが見たいのか?」

男「はいっ! ……ああいや違う、それが目的なのではない。その格好で外に出ると風邪をひくからであって、決して着替えにかこつけて猫のおっぱいが見たいのではないのだよ?」

猫「別に見せてもよかったのに」

男「見たいです!!!!!」

猫「うそ」

男「…………」

猫「……くああ」アクビ

男「…………」ポロポロ

猫「泣いた!?」

男「何か辛い事件があったような気がしたが、得意の妄想に逃げ込み『元気を出すんだよ、お兄ちゃん! ふぁいとふぁいとー!』と妄想妹に頭をなでてもらったので、もう大丈夫だ」

猫「うー。おっぱい見る?」

男「もう騙されん、騙されんぞ!」

猫「うそじゃないのに。まあいっか」

男「なんと。人を疑ったためにこの様か。これからは性善説を支持します。でもコイツ猫だから性善説も何もないよな」

猫「それより、外、外! さんぽ! パトロール!」

男「あー、はいはい。じゃあ着替えてください」

猫「この服はおそってくるから嫌だ」

男「絡まっただけだ。ゆっくり脱げば絡まらないから安心しろ」

猫「ゆっくり脱いでるところを見たいのか?」

男「…………。…………。はい!」

猫「私を襲うのか?」ブルブル

男「いかん、熟考の上での台詞だったのだが、それでも何か勘違いさせた。襲いません」

猫「おっぱいが小さいからか?」

男「それは襲う理由にはなるけど、襲わない理由にはなりません」

猫「襲われる!」ブルブル

男「ままならないなあ」

男「どうにか説得して、着替えを了承させた」

猫「やさしくしろ?」クイクイ

男「ただ、誤解は解消されなかった様子。まあ後でいいや。とりあえず……えーと、はい。この下着をつけろ」

猫「んしょ、と。どだ?」

男「頭にかぶるものではない」

猫「リボンが可愛いのに!」

男「それはパンツだ。尻を隠す下着だ」

猫「あー。ぱんつじゃないから恥ずかしくないもんってやつな。あの箱がなんか言ってた。知ってる知ってる」

男「やだ、俺の趣味が丸裸」

猫「はいた!」チラッ

男「見せなくていいです」

猫「見たくないのか?」

男「そりゃ見たいですよ!」プンスカ

猫「じゃー見たらいいのに」

男「なんかね、見せてくれるって言ったのに見せてくれないひどい猫がいるんですよ。そのトラウマから未だ逃れられないんですよ」

猫「あれはおっぱいの話。ぱんつは別」

男「なんだそうか! じゃあ見せて。じっくり見せて。至近距離で見せて。お尻に顔を埋めさせて」

猫「うそ」

男「…………」

猫「くああ……」アクビ

男「……ふ、ふん。分かっていたさ。二度も引っかかるほど人間は愚かではないのだよ」

猫「半分泣いてるが?」

男「この猫目ざといな」

猫「んー。もけもけする」モゾモゾ

男「パンツか。そりゃ今まで何もはいてなかったもんな。はいてないは正義だもんな。はいてても正義だもんな。つまり、女の子という存在は正義なんだ」

猫「ぬぐ」スルリ

男「ダメです」モドシ

猫「なんで!」

男「社会常識がそれを許さないからです。あと、風邪ひくから。風邪ひくと病院で注射を打つ羽目になるが」

猫「ちうしゃ」ブルブル

男「いいのか」

猫「いいわけない! あんな痛いのごめんだ! またいじめる気か!」フカーッ

男「医者はお前の病気を治してくれる善き人なのだぞ?」

猫「おしりになんか棒入れるし! あの白い人嫌い!」

男「あー……そっか、直腸で体温計るんだっけ。それは、その、災難でしたね。人間な今で想像すると身震いするよ」ブルブル

猫「うぅー」ブルブル

男「思い出し震えか。気持ちはわかる」ナデナデ

猫「怖くなくなるまでなでろ」ブルブル

男「はいはい」ナデナデ

猫「怖くなくなった」ゴロゴロ

男「そいつは重畳」

猫「でも、オマエのせーで怖くなったんだからな? それを忘れたらダメだからな? だから晩ご飯は魚だからな?」スリスリ

男「魚かぁー……。肉にしません? あ、これだけ寒いと鍋でもいいな」

猫「さかな! な! ななな!」

男「なーなーうるせえ。ああもう、分かったよ。今日は魚ね」

猫「わーい! おいしく作れ?」

男「焼くぐらいしかできませんが、それでいいなら」

猫「冷めるまでオマエも食べたらダメだからな?」

男「何故に」

猫「……せっかくオマエと同じになったのに、ごはんが別々なのは、さびしい」ションボリ

男「ヤだ、この猫超可愛い」キュン

猫「まじめに言ってる!」

男「俺はいつでも真面目だぞ?」

猫「えぇー……」

男「そこで渋面を作られると、俺はもうどうしたら」

男「でも、しかし、ふむン……」

猫「どした?」スリスリ

男「や、少しだけお前が人になった理由が分かったような、見当違いのような、お腹が空いたような」グゥ

猫「私も空いた」グゥ

男「じゃー着替えて行きましょう」

猫「ん。じゃ、着替えさせろ」バンザイ

男「どうにも背徳的ですね」

猫「やさしくしろ?」

男「どうやったらこの誤解は解消されるのだろうか」

今日はここまで。



猫かわいい

──外

男「うぉ……やっぱ夜は寒いな」

猫「寒いぃ! 前より寒い! 服は毛に劣る!」フカーッ

男「怒るな。夜なんだから静かにな」

猫「なんで!」

男「夜はみんな家にいてゆっくりしてるし、まだ早いが寝てる人もいるからな。お前も家で寝てる時に大きい音がして目が覚めたら嫌だろ?」

猫「ん。よく分かる話だ。静かにする」コクコク

男「物分かりがよくて助かるよ」ナデナデ

猫「んー」ゴロゴロ

猫「でも寒い」ブルブル

男「んー……よし。猫、合体だ!」

猫「交尾か? やさしくしろ?」

男「違います」

猫「痛くするのはヤだ」ウルウル

男「そうでもなくて。俺のコートの中に入れ、と言いたいのだ」バサッ

猫「! 入る!」スポッ

男「ふむ。どうだ?」

猫「あたたかい! 楽しい! 嬉しい!」ゴロゴロゴロ

男「そりゃよかった」

猫「ずっと、ずーっとこうしてる」ゴロゴロ

男「ずっとは問題あるなあ」

猫「ずっと!」フカーッ

男「あー……じゃあ、店に行くまではこうしてるか」

猫「ややふまん」

男「じゃあ今すぐ己の中の獣(猫)を凍える夜空に解放する」

猫「ちょーふまん!」

男「なら、やや不満で我慢してください」

猫「むー」

男「しかし、猫がコートに入ってると非常に歩きにくいな」ヨロヨロ

猫「出ない」ギュー

男「いや、そうじゃなくて、歩きにくいなあという話をしただけで」

猫「絶対に出ない!」ギュー

男「……そんな寒いのか? 一度戻ってカイロか何か取ってくるか?」

猫「そじゃなくて。そじゃなくて。くっついてたい」

男「…………。成る程」

猫「顔が赤いが?」

男「嬉しいと恥ずかしいが同居してるんだよ」

猫「なるほど」ゴロゴロ

──スーパー

男「ふぅ……暖房のありがたみが身に沁みるよ」

猫「はえー……なんかキラキラしてるな!」

男「ああ、クリスマスだからそういう飾り付けもしてるな。他のお客さんに迷惑だし危ないから、あまり大きな声を出したり走ったりするなよ」

猫「分かった!」バビューン

男「何ひとつ分かってねえ! 待てそこのダッシュ猫!」

猫「怒られた……」ションボリ

男「ぜー、ぜー……あー、全力で走ったのなんて久しぶりだ」

猫「こんなので疲れてたら、私の相手はつとまらないぞ?」

男「ちょっとは悪びれろ」

猫「むぅ。もう走らないもん。たぶん」

男「そのたぶんってのが怖いぜ……」

男「じゃあ、今度は走らずにゆっくり見て回ろうな」

猫「んー。ここにあるの、全部食べていいのか?」

男「お金を払わないとダメです」

猫「おかね?」

男「あー、そこからか。えーと……これ。この紙とか硬貨と交換に、この食べ物をもらうんだ」

猫「交換? なんで自分で取らない」

男「自分で取るのは大変だから。それに、取ってもこの辺のものしか取れないだろ? その点トッポってすげぇよな、最後までチョコたっぷりだもん」

猫「とっぽ?」

男「間違えた。よく間違えます」

猫「がんばれ?」ナデナデ

男「頑張ります」ナデナデ

猫「なでんなー」ゴロゴロ

男「まー、なんだ。とりあえずはお金を払って物を買う、と覚えてください。詳しいことは追々教えます」

猫「少しわかった」

男「上出来だ」

猫「ふふん?」エッヘン

男「そんな胸を張るほど偉くはないです」

猫「むー」

男「さて、魚ね。何があるかな」

猫「魚ならなんでもいい。おっきいのがいい。おいしいのがいい」

男「魚の良し悪しなんて分からないからなあ……」

猫「私にまかせろ! とくい中のとくいだ!」

男「それは頼もしい。んじゃ、この魚はどうだ?」

猫「うまそう」

男「これは?」

猫「うまそう」

男「こっちのは?」

猫「うまそう」

男「…………」

猫「?」

男「結局、適当に何尾か買った」

猫「うへへー」ニマニマ

男「大喜びだな」

猫「前はあんまり食べらんなかったからな。楽しみだー」

男「魚ねぇ……正直、骨が多いばかりで何がうまいのかよく分からんのだが」

猫「むっ。おいしいのに。オマエなんかおっきい魚に食われちゃえ」

男「なんてひどい猫なんだ」

猫「……うそ。死んだらヤだ。死ぬな?」ギュー

男「いや、別に好んで死んだりはしないけれども。だから、そんな力いっぱい手を握らなくても大丈夫だ」

猫「死ぬならご飯をいっぱい用意してから死ね?」

男「なんてひどい猫なんだ」

猫「あと、時々生き返って頭なでろ。一日一回でいい。たまに二回なでろ」

男「そういうのはできない仕様です」

猫「じゃー死ぬな」

男「頑張ります」ナデナデ

猫「んー」スリスリ

男「さて、次は俺の飯を買うか」

猫「? オマエのご飯ならすでに買ってるが?」

男「いや、この魚はお前の飯だろ。俺はそんな好きじゃないので、何か別の肉々しいものを」

猫「いっしょ! いっしょの食わないとダメ!」

男「えぇー。一緒の食卓に座ればよいよいよい(残響音含む)わけではないの?」

猫「ないないない(ざんきょーおんふくむ)」

男「むぅ。まあ、たまにはいいか」

猫「明日も魚だが?」

男「…………。明日は肉」

猫「さかなー!」

男「今日は猫が人になった記念だから魚だが、明日は通常営業記念で肉だ。明後日はまたその時に相談しよう」

猫「うぅー……。あ! ささみならいい。ささみなら可。ささみ食いたい」

男「あー。猫時代もささみ好きだったもんな」

猫「ん! ささみ! ささささみ!」

男「さが多い」

猫「むずかしい」

男「舌が上手に回らんか」

猫「うべべべする」

男「ふむン。じゃ、ささみも買って帰るか」

猫「! 魚と一緒に、今日食べていいのか?」

男「まー、お前が人になったお祝いだ。たまには奮発するさ」

猫「大喜びだ!」ヒャッホー

男「騒ぐと買わない」

猫「騒いだことなんか一度もない!」プンスカ

男「この思い切りの良さは見習うべきか」

猫「にゃ?」

男「んじゃ、買いますか。どのささみがいいか、お前が選べ」

猫「まかせろ、とくいだ!」フンス

今日はここまで。

その猫私にください

乙かわいいなでなでしたい

──外

猫「買った! いっぱい!」

男「ふぃぃ……。誰かと買い物に、いやそもそも誰かと一緒に散歩するなんて久しぶりだ」

猫「……今日からは一緒だからな? ずっとだからな?」クイクイ

男「…………」ナデナデ

猫「なでんなー」ゴロゴロ

男「いいや、なでるね。俺は優しい猫をなでるね」ナデナデ

猫「なでんなー」スリスリ

──家

男「ふぅ。ただいまっと」

猫「おかーり!」

男「ああ、ただいま。んで猫、おかえり」

猫「! た、ただーま。……えへふぇへ」ニマニマ

男「うわ、きめェ」

猫「なんでそゆこと言う!」フカーッ

男「ごめんなさい。つい」ナデナデ

猫「うー。ただーまってオマエに分かる言葉で言えて嬉しかったのに。にー!」プンスカ

男「あー。いっつもお前が外から帰ってからにゃむにゃむ言ってたのは、ただいまって言ってたのか。水くれ餌くれって言ってるのだとばかり」

猫「それも言ってた」

男「俺の感動を返せ」

猫「にゃー」

男「さて、それじゃ飯を作るか」

猫「てつだう」

男「できるか?」

猫「なにもできない」

男「…………」

猫「だが、意欲があることだけはひょうかしろ?」

男「……まあ、やる気はあるみたいだし、追々家事も教えますよ。今日はコタツ入ってテレビでも見てろ」

猫「まかせろ、とくいちゅうのとくいだ」テペテペ

男「苦手な奴いないだろ」

猫「こたつ大好き」ヌクヌク

男「俺とどっちが好き?」

猫「こたつ」ヌクヌク

男「…………」

猫「早くご飯作れ?」

男「……はい」

男「できたぞー」

猫「もってこい」

男「運ぶくらいやれ」

猫「しぶしぶ……」テクテク

男「ほれ、魚だ」コトッ

猫「おおおおおっ! これ、私の? 私が全部食べていいか?」

男「俺の分まで食うな」

猫「骨はやるつもりだが?」

男「身をくれ」

猫「男はぜいたくだな」

男「逆の立場で考えてみろ」

猫「…………。なんで私にそんなひどいことするー」ウルウル

男「つまり、そういうことだ」

猫「とてもよく理解した。もうあんまりそゆことは言わない。たぶん」

男「お前の宣言は往々にしてたぶんという言葉がつくな」

猫「みらいはふかくていだからな?」

男「あれ、ひょっとしてこの猫賢いの?」

猫「クンクンクン……うまそう」ダレーン

男「涎っ!」

猫「たれてるが?」

男「拭けって言ってんだよ!」ゴシゴシ

猫「ふがふが」

男「はぁ……あー、テーブルにべっとりと。賢いと思ったが、やっぱ馬鹿だな」

猫「かしこいに決まってる。夜の集会でもひょうばんだ!」

男「あー、たまに夜になったら外で集まってるよな。あれ何やってんの?」

猫「顔見せ」

男「何のために」

猫「知らない奴が縄張りにいたら困るから。あと、お見合いの時もある」

男「そうなんだ」

猫「やさしくしろ?」スリスリ

男「え、今お見合いなの」

猫「私じゃ嫌と申すかー」ウルウル

男「申さぬ」ナデナデ

猫「なでんなー」ゴロゴロ

男「料理を運び終えたので、ご飯にしましょう」

猫「あ、食べる前にやるのしってる。いただきます!」スパーン!

男「そうそう、偉い偉い。でも、そんな勢いよく手を合わせなくていい」

猫「むずかしい」

男「そうだろうか。あ、ちなみに箸とか……無理だよな」

猫「もがもが」

男「安心と信頼の犬食いか」

猫「猫なのに!」プンスカ

男「そうじゃなくて」


猫「ごちそうさま!」スパーン!

男「お粗末様。挨拶を言うのは偉いが、やっぱり手を合わせる勢いが強すぎる」

猫「むずかしい」

男「まあ追々な。追々で思い出したが、箸の練習もそのうちするか」

猫「手づかみでも問題ないが?」

男「使える方が便利だから、覚えておいた方がいい」

猫「むー。まあ、オマエがそう言うなら、覚えなくもない。ただ、毎回偉いぞってほめろ」

男「偉いぞ」ナデナデ

猫「そんで、毎回魚とささみをくれ」ゴロゴロ

男「ダメです」

猫「かわざんようだったかー」

男「どこからそういう単語を仕入れてんだろう」

今日はここまで。

>>91お疲れ


ただデレデレするだけじゃないのもいいね。
まぁ表面上ちょっと言い合うだけで実質いちゃいちゃなんだけど

男「じゃ、次は風呂だな」

猫「男は私に死ねと言うのかー」ウルウル

男「やっぱ風呂嫌いですか」

猫「大嫌いだ! あの、しゃわーとかいうの特に嫌いだ!」フシャー

男「温かいよ?」

猫「それはひていしない。でもそれは別の話! 怖い! しゃわーってのが怖い!」

男「むぅ。でも、入らないと汚いぞ?」

猫「毎日毛づくろいしてるからへーきだ」

男「今日も?」

猫「そこをつかれると弱い」

男「なんだこの猫」

猫「でも! とにかくお風呂は嫌い。怖い!」

男「うーん。猫時代はそれでもよかったんだが、人時代はそうもいかないしなあ」

猫「ただ、まあ、オマエが一緒なら考えなくもない」

男「ほほう。まあ、色々と教えないといけないからその方が効率的ではあるが、何かと問題が。この俺に果たして自制が効くのか」

猫「やさしくしろ?」クイクイ

男「ロリコンのこの身が恨めしい。イチイチぐらつく。煩悩退散……」ナムナム

猫「なむなー」ナムナム

男「……よし。落ち着いた」

猫「で、どこから洗う? おっぱいか?」

男「またぐらついてるので少々お待ち下さい」ナムナム

猫「なむなー」ナムナム


男「落ち着いた」

猫「やさしくしろ?」クイクイ

男「イチイチ誘惑するのはやめてください」

猫「ゆーわく……うっふーん!」

男「あ、今ならどんな誘惑も効かない気がする」

猫「しっぱいした……」ションボリ

男「じゃーお風呂入りましょー」

猫「おー!」


猫「はふー。なんか怖くなかった。オマエが一緒だったからか?」ホコホコ

男「あー、疲れた……」

猫「だらしないな?」

男「どっかの駄猫がはしゃぎ回って、それを止めるのが大変だったんだよ……」

猫「あんな楽しいとは思わなかった。ヒトはいつもあんな楽しいのか。ヒトはずるい。全ての猫に謝れ!」

男「ごめんなさい」

猫「ん。特別にゆるす。オマエだからな。特別だからな?」

男「あまり嬉しいとは思えない」

猫「オマエはぜいたくだな」

男「まあ、必死なのは逆によかったよ。そのおかげでお前の体をじっくり見る余裕もなかったし」

猫「…………」ブルブル

男「ん、どした? 急に震えたりして。寒くなったか?」

猫「おしっこ」

男「え」

猫「おしっこする。したい」

男「このタイミングで、だと……!?」

猫「早くしないともれるが?」

男「……ええい、仕方ない。来い!」

猫「出そう」プルプル


猫「すっきりした!」スッキリ!

男「……次からは、さっき教えたように一人でトイレットペーパーを使って拭いてください」

猫「むずかしい」

男「…………」

猫「また、さっきみたいにコシコシして? 何回かしたらがんばって覚えるから」

男「…………はい」

男「色々あって疲れた。猫に破かれた雑誌の掃除はしてないが、いいや。もう今日は寝てしまおう」

猫「万年床でも、布団は好き。コタツの次くらいに好き」モソモソ

男「俺は一体どの辺りの好きに入るのでしょうか」

猫「……ちゅうばんやや下?」

男「驚きの低評価だな。これは泣ける」

猫「ささみやおひさまには勝てない。しかたないのだよ」ポンポン

男「カテゴリが細分化されすぎた弊害か」

猫「いーから早く来い。いっしょに寝る」

男「や、まあ猫時代はそうでしたが、人時代もそれを行うと言うのか」

猫「いっしょに風呂に入ったじてんで、言い訳はふかのうだ」

男「やだ、この猫計算高い」

猫「ヒトになったので布団のまんなかで寝れる。嬉しい」

男「いや、前からど真ん中で寝てたろ。で、俺がいつも端に追いやられてた。背中とかゲシゲシ蹴られてた」

猫「しらん」

男「この猫いつか泣かす」

男「んじゃ、電気消すぞ」

猫「すぐにけせ」

男「女神転生のアレか。怖いですね」

猫「んぅ?」

男「なんでもない」カチッ

猫「まっくら!」

男「うー、寒い寒い。布団が一番だ」

猫「じゃ、私の横に寝ろ?」ポンポン

男「はいはい、そうさせてもらいますよ」モソモソ

猫「えへへー。……えへへへー」

男「どした」

猫「寝る時にオマエの顔見れるのが、うれしーなって」

男「…………」ナデナデ

猫「なでんなー」ゴロゴロ

男「んじゃお休み、猫」

猫「ん。おやすみだからな?」ギュー

男「どうして抱きつくのですか」

猫「くっつくと暖かい。じょうしきだが?」

男「猫に常識を教えられる日が来ようとは」

猫「……あー、あと、くっつくと、嬉しい」

男「…………」

猫「……うー、うにゃ。……うー、なんか言え」

男「……ええと。……その、俺も、嬉しい」

猫「……うー。うー。うー」ゴロゴロゴロ

男「ノド鳴らしすぎだ」

猫「う、うるしゃー。勝手に鳴っちゃうだけだ。ばーかばーかばーか」ムギュギュー

男「くっつきすぎかと」

猫「ねこだから言葉分かんないもん。にゃーにゃー」

男「猫の利点を活用するとは。やはりこの猫は賢いのかもしれない」ギュー

猫「!!! 抱っこし合うのすごい! 楽しい! すごい嬉しい!」

男「うるさい。もう寝てください」

猫「寝てられるかー!」スリスリ

男「寝ろ」ナデナデ

猫「ふぐぐ」ゴロゴロ

………
……


男「……ん、んあ。……あー、朝か。おはよ、猫」

ネコ「ニャー」

男「え……?」

ネコ「ニャー」

男「……あ」

ネコ「ニャー」

男「……元に、戻ってる」

ネコ「ニャ」

男「……まあ、そうだよな。お伽話じゃあるまいし。夢でも見てたのかな」

ネコ「ニャー」スリスリ

男「……でも、辛いなあ。夢とはいえ、一度ヒトの姿を見ちゃっただけに、辛いなあ……」

ネコ「ニャ、ニャー」スリスリ

男「……ああ、うん。飯だな」

猫「早くしろ?」

男「分かった分かった」

猫「わかればいい」フンス

男「…………。ええと、おい。猫」

猫「そうだが?」

男「なに普通に人になってんだ」

猫「昨日もなってたが?」

男「いや、さっきネコになってたろ。質量保存の法則を完全に無視してたろ。どういうことだ」

猫「よく考えたら私は猫又なので、人に化けられるし、元のネコの姿にも戻れる」

男「えー。えぇー」

猫「私のママが猫又なので、私も猫又なのだ。ハーフなのだぞ?」フフン

男「いや、それはどうでもいいが。ていうか猫又とか。えー」

猫「昨日はまだようりょくが不安定だったので、勝手にヒトになってたみたい。今日からはもうだいじょぶ。オマエと通じあったので、せいぎょできるよになった。あんしん」

男「いや、妖力とか猫又とか急に馴染みのない文句が出てきたので、ちょっと」

猫「ふまんがあると言うのか!」フカーッ

男「…………。……いや、ないな。逆に嬉しい。超嬉しい。また人になったお前に会えて、すごく嬉しい」ギュー

猫「! まるで負ける気がしない! 私のほうがうれしい!」ギュギュー

男「何の勝負だ」

猫「しらん」ゴロゴロ

男「はぁ……まあ、なんでもいいや。とにかく、これからも人になれるんだな?」

猫「これからはようりょくが安定してきょうきゅうされるので、なれそうな感じ。たぶん」

男「よく分からんけど、まあいいや。朝飯食うか?」

猫「食う」


終わり

乙 大変可愛らしかった

乙すぎる

乙です
ところで交尾シーンは?

>>109

ヒント:ようりょくが安定してきょうきゅうされる(意味深)

>今日からはもうだいじょぶ。オマエと通じあったので(いみしん)

fateの魔力供給的な意味で(いみしん)

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