面堂「ええい、さっきの分かれ道まで戻れ」

黒服「わかりました」ﾌﾞﾛﾛﾛ




石人「」


角刈り「なんだありゃあ？」

パーマ「気味の悪い石像だなァ」

メガネ「どことなくチェリーに似とる……」

あたる「気色悪いわい」


チェリー「呼んだか？」



ちゅどんッ！！



あたる「い、いつの間に……」ﾋﾟｸﾋﾟｸ

面堂「貴様ァッ！　どっから沸いてきた！！」

チェリー「食い放題に行くと聞いての。仲間はずれはいかんぞ」

＊＊＊

キキーッ


面堂「着いたか！」ｶﾞﾁｬｯ

黒服「いえ、ガス欠です」

面堂「」ｶﾞｸｯ


あたる「こんな山奥でガス欠とは、ついとらん」ｶﾞﾁｬｯ

メガネ「このままじゃいつまでたっても食べれんぞ」

パーマ「どうすんだよォ」

面堂「……助けを呼ぶしか他にあるまい」ｽｯ　つ無線



面堂「……僕だ。ガス欠で動けん。至急迎えをよこせ」ｼﾞｼﾞｼﾞ

面堂「……何？　ヘリが故障中？　……どれぐらいかかるんだ？」ｼﾞｼﾞｼﾞ

あたる「!?」

面堂「……分かった。直り次第すぐに来い」ｶﾞﾁｬｯ



メガネ「面堂、どうだった？」

面堂「早くても4～5時間かかるそうだ」

パーマ「4、5時間ッ!?」

あたる「これならガールハントでもしとれば良かった……」

＊＊＊

チェリー「どうせ暇なんじゃ、この辺を散策するのも悪くないじゃろう」ｽﾀｽﾀ

あたる「勝手にやっとれ……」ｸﾞﾃｰ

メガネ「腹が減るだけ無駄じゃ……」




トンネル「」ｼﾝ


チェリー「ほほぉッ！　これはまた面妖なトンネルじゃわい」

面堂「相当古いな……」

チェリー「どうじゃ、お主らも入ってみんか？」

あたる「入っても何にもならんわい……」


チェリー「じゃが、トンネルの向こうから食いもんの匂いがするぞ？」

あたる「なぬッ!?」ｶﾞﾊﾞｯ

＊＊＊

トンネル内部


面堂「結局付いて来るのか？」ｶﾂｰﾝｶﾂｰﾝ

あたる「このまま腹を空かせて待っとるのも苦痛じゃ」

メガネ「それにしても長いトンネルだのう……」

チビ「こ、怖いよ……」ﾌﾞﾙﾌﾞﾙ

＊＊＊

草原


パーマ「だだっ広い草原か……」

チェリー「おお！　向こうに飯屋があるぞッ！」ﾀﾞﾀﾞﾀﾞｯ

メガネ「町でもあるんか……？」



ガタンガタン



面堂「変だな……電車の音が聞こえる……」

あたる「もしかしたら友引までつながっとるかもしれん」

角刈り「なんでもいいから食おう。腹が減った」

＊＊＊

屋台


チェリー「ご馳走が並んでおるわい」ｼﾞｭﾙﾘ


あたる「ごめんくださーい！」

メガネ「あー……誰かいませんかー？」


しーん



メガネ「誰もおらんぞ……」

あたる「小便にでも行っとるんじゃないのか？」

パーマ「そぉんなわけないだろ。町中いないんだぜ？」

チビ「な、なんか不気味だよな」ﾋｯ


面堂「……誰もいないんじゃしょうがあるまい。車に戻って助けを待つか」ｸﾙｯ

チェリー「ほうひゃほう。ほれがひひふぁんええひゃほう」ｶﾞﾂｶﾞﾂﾑｼｬﾑｼｬ

面堂「って何を勝手に食うとるんだ、おのれはァァァッ！」

メガネ「この餓鬼入道め……」


あたる「はひほほふひゃ。へんほうはほふんははは」ｶﾞﾂｶﾞﾂﾑｼｬﾑｼｬ

面堂「ええいッ！　食うか喋るかどっちかにせんかァッ！！」

あたる「んぐ、んぐ」ｺﾞｯｸﾝ

あたる「大丈夫じゃ。面堂がおるんだから」

面堂「ぼかぁ、払わんぞッ！」

チビ「こ、これ、本当にうまいな！」ﾊﾞｸﾊﾞｸ

パーマ「ここが食い放題のとこだったんじゃないのか？」ｼﾞｭﾙｼﾞｭﾙ

角刈り「ああ！　……メガネも食わんのか？　うまいぞ？」ｶﾞﾂｶﾞﾂ


メガネ「店のもんに断りなく食うなんて、そんな情けないマネができるかッ！」

面堂「少しは恥を知れ、恥をッ！」

あたる「なーにを威張っとるんだか……。金はあとで面堂がちゃんと払うと言うとるではないか」

面堂「だから払わんと言うにッ！」



メガネ「……。行こう……。話にならんわい」ｸﾙｯ

面堂「……ああ」



チェリー「いやあ、うまいのうッ！」

＊＊＊

メガネ「それにしても何なんだ、ここは？　ここいらの露店、みんな出来立ての料理を並べたままほったらかしだぞ」ﾃｸﾃｸ

面堂「僕が知るか。……ただ異様な感じがするのは否めん。早く戻った方がよさそうだな」

メガネ「まぁそう急ぐな。向こうに見える巨大建造物が気になるじゃないか。……もしかしたら第二次大戦中に旧日本軍が極秘で造っｔ」



あたる「そんなわけなかろうが」ﾋｮｺｯ

面堂「わッ!?」ﾋﾞｸｯ

メガネ「な、なんじゃお前……。アイツらと食っとったんじゃないのか？」

あたる「チェリーを見とったら食欲が失せた」ｹﾞﾌｯ　ｼｰｼｰ

メガネ「……その割にガッツリ食っとるじゃないか」

＊＊＊


油屋「」ﾋｭｵｵｵｵ




あたる「……なんじゃこれは？」

メガネ「油屋……。まぁ風呂屋だな」

面堂「面堂邸の風呂に比べたらちんけな物だな」ﾌﾝｯ



あたる「……。混浴あるかな？」

メガネ「知るか。あったとしてもどうせババアばっかりじゃ」

あたる「なんじゃつまらん」

ハク「……ッ！！　ここへ来てはいけないッ！　すぐ戻れッ！」




面堂「ん？」

あたる「なんじゃあのオカッパ」

メガネ「しのぶに似とるのう」






ハク「じきに夜になる！　その前に早く戻れッ！」


提灯「」ﾎﾟｯ


ハク「！」


ハク「……もう明かりが入った。急いで！　私が時間を稼ぐ！　川の向こうへ走れ！！」





あたる「男のくせに変な髪型をしとる」

メガネ「最近のガキのトレンドは分からん」

面堂「……とりあえずここに入るか。暇つぶしくらいにはなるだろう」



ハク「急いでッ！　見つかってしまうッ！」



あたる「湯上りの美人なお姉さん……」ｸﾞﾌﾌ

メガネ「お前はいつもそれじゃのう……」