魔王娘「勇者、魔王は私が倒す」(491)

魔王「ぐぅ、やるな勇者……」

勇者「これでとどめだ!」


バンッ!

魔王娘「待て、勇者!」

勇者「なに!?」

魔王「フッ……よく来た我が娘よ。勇者はもう虫の息、殺せい!」

魔王娘「……」

勇者「くっ……(もう一人居たのか、流石にきっついな……)」

魔王娘「勇者……魔王は私が殺す」

魔王・勇者「何!?」

魔王娘「ずっと待っていた。勇者を強くし、魔王城に誘導し、そして、私でも殺せるくらい弱くなった魔王の今をね……」

魔王「あの黒装束はお前だったのか!!」

魔王娘「ええ、あなたが味方と思ってた私です。おかげで勇者には全て筒抜け」

勇者「勇者に味方する謎の魔族……黒装束の女……あんただったのか」

魔王娘「ええ」ニコッ

勇者「!!」ドキッ

魔王娘「勇者、その聖剣は魔族を封じる剣。あなたが死ねば、その封じる力は少しずつ弱くなっていくわ」

勇者「ああ、女神からそう聞いている」

魔王娘「でも、封印でなく、私が塵も残さず消し飛ばしたらどうなるかしら……」

魔王「やめろ、魔王娘……お前は何を考えている……」

魔王娘「もうたくさんよ、こんな地獄。私利私欲の限りを尽くし、お母様を死なせ、私の身体を汚した罪、本当の死を以て償わせてあげるから……」

魔王「やめろ、やめろぉ!!」

魔王娘「さようなら……お父様……」

勇者「爆発魔法!?しかもこの魔力量はヤバい!」

ピカッ

ドオォォン………

数日後………



国王「勇者よ、暴虐の限りを尽くした魔王は遂に封じられたのだな!」

勇者「……はい」

国王「本当によくやってくれた、国民を代表して礼をいうぞ!」

勇者「俺は……」

国王「言わずともよい!そなたには感謝の言葉では言い表せない恩が出来たのだ、困った事があったら何でも頼むがよい!」

勇者「……」

国王「ん?もう何か困った事でも起きたのか?」

勇者「いえ、何も……ただ、平和になったのがよくわからなくて」ハハ……

国王「はは、それもそうだな。しばらくは城で英気を養ってくれ」

勇者「いや、すぐに出発します。まだ困ってる人がいっぱい居ますから」

国王「なんと、それは残念だ」

勇者「すみません、失礼します……」

国王「おぉ、これ、勇者殿を城門まで送るのだ!!」

親衛隊長「はっ!」

城門前…………



勇者「もう十分だよ、ありがとう」

親衛隊長「勇者様、お気をつけて……」

勇者「じゃ、国王に身体を大事にしろって伝えてね」

親衛隊長「はっ!」

勇者「ふぅ……」

魔王娘「溜め息は幸運を逃がすと言いますよ」

勇者「それ人間の言い伝えだぞ」

魔王娘「溜め息をついたあなたは人間じゃない」

勇者「……」

魔王娘「さ、本題に入るわ。あれから四天王が暴れ回ってるの」

勇者「お前が魔王を消したからな」

魔王娘「ある程度は予想してたけど、四天王全員が各々の部下を連れて覇を唱えるとは思わなかったわ」

勇者「今や魔界は群雄割拠の時代」

魔王娘「高度な情報戦にまでなってるわ、あちこちにスパイが紛れてて、大変みたい」

勇者「たった数日でここまでなるとは……」

魔王娘「私も予想外だわ……」

勇者「女神の加護もなくなって、死ねる身体になっちまったしな」

魔王娘「それは歴史を見る限り魔王を封印してもなるみたい」

勇者「そうなのか……」

魔王娘「……気になるのよ」

勇者「何が」

魔王娘「魔王の最期」

勇者「お前が消したじゃないか」

魔王娘「ええ、正真正銘消したわ。でも、あいつ……笑ったの」

勇者「……は?」

魔王娘「まるで死ぬのも策の内みたいにね……」

勇者「……」

魔王娘「あいつの掌の上みたい……気持ち悪い……」

勇者「死ぬ事が策の内ってどういう意味だ?」

魔王娘「……嫌。気持ち悪い。吐き気がする」

勇者「おい、おい!」

魔王娘「……ごめんなさい、あまり考えないようにするわ」

勇者「……」

魔王娘「はぁ……勇者、あなたに聞きます」

勇者「なんだ、改まって」

魔王娘「私のお願い、聞いてくれますか?」

勇者「勇者は困った人が居たら助けるもんだろ?」

魔王娘「私は人でなくってよ」

勇者「んあー……じゃあこれまで助けてもらった礼って事で」

魔王娘「ありがとう」

本日の投稿ココマデ

のんびり更新予定デス

魔王娘「……多分だけど、四天王の動きからして魔王が負ける事を予想してたと思うの」

勇者「薄情な奴らだな」

魔王娘「魔王がやってきた事を考えれば当たり前だけどね」

勇者「魔族にまで?」

魔王娘「自分の思い通りにならなければ誰でも死刑だから」

勇者「うわ……」

魔王娘「四天王は勇者が魔王城の近くまで来たら戦いの準備を始めてた。他の四天王と戦う準備をね」

勇者「四天王とは実際戦ったぞ」

魔王娘「手合わせみたいなものをね。私兵は一切出さなかったはずだし、本人もさっさと逃げたでしょ」

勇者「かなり激戦だったんだが……」

魔王娘「そりゃあ四天王も手は抜かなかったはずよ。自分らに負けるなら魔王には勝てないんだし」

勇者「なるほど」

魔王娘「体裁だけ繕って、被害を最小限に。忠誠の忠も無いけど、魔王も」

魔王『お前たちには任せてはおけぬ、私自らが出る!!』

魔王娘「とか言ってたし」

勇者「……」

魔王娘「ある意味、みんなグルだったって感じね。魔王の不信も今回は好都合だったって訳」

勇者「俺は強くなれたのか不安になるな」

魔王娘「それは間違いなく魔界でも敵なしなくらい強い」

勇者「そこまで言われると照れる」

魔王娘「だから魔界に連れ出せない」

勇者「どうしてさ」

魔王娘「利用される。私も大義名分を得る為に必要って言われたもの」

勇者「……」

魔王娘「仲間にならないなら殺す。そういう世界だから」

勇者「ああ、よくわかってる」

魔王娘「でも、やっぱり魔王の最期が気になるの」

勇者「……行くのか?」

魔王娘「……行きたい。すごく嫌な予感がする」

勇者「なら転移魔法で魔王城付近にでも」

魔王娘「待って、いきなりは危険すぎる」

勇者「……」

魔王娘「魔界と人間界のつなぎ目……あそこから魔界の情報を少しでも集めたい」

勇者「わかった、次元の裂け目だな。あそこの門番なら知り合いだ」

次元の裂け目付近…………



女騎士「ふあぁ……ん?」

勇者「よ、隊長」

女騎士「ゆ、勇者さま、おしさひぶりです……」

勇者「あはは、久しぶり」

魔王娘「……この方は?」

勇者「ああ、そういえば帰りは転移魔法だったから初めてだったね。彼女はこの次元の裂け目を守る女騎士さん」

女騎士「ご紹介に預かりまひた、女騎士です……!?」

魔王娘「……」

女騎士「……あなた、魔族?」

魔王娘「はい、そして魔王の娘です」ペコリ

女騎士「なんだって!!?」

魔王娘「あの傲慢なクズ野郎の娘です」ニコッ

女騎士「なっ……」

勇者「いろいろあったみたいだよ。でも身分を隠さなくても良いのかい?」

魔王娘「勇者様の友人でしたら、隠して変に疑われたくありませんから」

女騎士「すごいね……魔王の娘、本当みたいだね。その肝の据わり方、国王以上だよ」

勇者「ちょ、女騎士、いきなり鎧を脱ぐな」

女騎士「大丈夫だ、別に鎧の下はパンツ一丁じゃない。鎧越しは失礼だからだ。えーっと、名前は?」

魔王娘「……魔王娘」

女騎士「魔王娘、僕はしがない田舎の見張り番だが、君の力になりたい」ニギッ

魔王娘「あ……手……」

女騎士「勇者様が認めたんだろ?なら君は女神の加護を受けた仲間も同じだろ?」ギュッ

魔王娘「うぅ……」

女騎士「哀しい目をするな。我慢をするな。つらかった事もあったろうが、辛さを軽くするのが仲間の役目だからな」ダキッ

魔王娘「ありがとう……ありがとう……」ヒクッ

勇者「あのー……」

女騎士「!!」

魔王娘「ぐす……ひっく……」

女騎士「勇者……さま……(居たの忘れてた!)」ギューッ

勇者「ありがとう、女騎士。正直、心配だったんだ」

女騎士「彼女の事ですか?初めはびっくりしたけど、なにか我慢しているように見えて……」

勇者「君の観察眼にはいつも驚かされるよ」

女騎士「そんな……」ギュッ

魔王娘「(苦しい……)」



女騎士「それで、この場所まで来たと」

魔王娘「はい」

勇者「でも、魔界の近くまで来て大丈夫かって不安はある」

女騎士「確かに気持ちは分かるが……ん?」

バチッ!
バチバチバチッ!

魔王娘「次元の裂け目が!」

勇者「おい……これやべーんじゃ……」

女騎士「何か来るぞ!」

ギュゥーン

夢魔「へべっ!」

勇者「魔族!?」

魔王娘「夢魔!?」

夢魔「はぅ……ここはどこですか……あ、魔王娘さまだ……そっかここは夢の世界なんですね……」

勇者「知り合い?」

魔王娘「それ以上かな。私が小さかった頃から身の回りとか、ずっと助けてくれたの。お姉さんみたいな存在かな」

女騎士「お、お姉さん?」

魔王娘「ええ、人間の子供みたいだけど、なんでも出来るの」

勇者「おい、それよりも……それ大丈夫か?」

夢魔「ふひひ……マコちゃんのないちちおっぱーい」モゾモゾ

魔王娘「……」

ピカッ!
ドォン!

夢魔「あいたた……この感触……本物のマコちゃん……」ムニムニ

魔王娘「胸触りながら言わないでくれる?」

夢魔「ま、遊んでられないのも確かだけど。魔王娘様、少し大変な事が起きました」

魔王娘「……その呼び方、まだするの?」

夢魔「あ……でも仕事ではずっとこの呼び方だったし……」

魔王娘「もう魔王の事は全部消したから」

夢魔「そうだ、その話なんです。あ、呼び方はマコちゃんでも大丈夫ですか?」

魔王娘「もうちゃん付けされる年じゃないんだけど……」

夢魔「あたしは、マコちゃんがちんちくりんの時も知ってるんですから」

魔王娘「今はあんたがちんちくりんじゃない」

夢魔「胸は今もちんちくりんでしょーが!」

魔王娘「なによ!」

勇者「おい!」

夢魔「そ、そうでした!マコちゃん、大変です!」


夢魔「魔王がまだ生きてるかもしれません」

本日の投稿ココマデ

奇抜な主要メンバーにナッテモウタ

夢魔「あれから、元四天王の雲さまと共に色々調べたの」

魔王娘「雲の四天王……まだ存命だったのね」

夢魔「雲さまは、あの爆発の時に魔王城から何かが飛び立つような光を見たって言いました」

魔王娘「えっ!?」

勇者「初耳だぞ!」

夢魔「城内からはわからないと思います。あたしもたまたま城を見てた一瞬だったし……」

女騎士「たまたま?」

夢魔「突然魔力の膨張が起きたから」

勇者「あの時か……」

夢魔「爆発の方が印象が強くて、同じように爆発を見てた方々は揃ってわからないって言ってたけど、雲さまも同じ光を見たって言いました」

女騎士「その光はどこに向かったんだ?」

夢魔「まっすぐ空の上に行きました。これもあたしと同じです」

魔王娘「まさか……」

魔王娘「……天界」

勇者「天界?あの、女神様の居る?」

魔王娘「仮によ。仮にそれが魔王だとして、それが空の上へ行ったとしたら、天界へ行ったのかも」

勇者「まさか女神の加護も、本当に女神様に何かあったとしたら……」

魔王娘「私があんな事をしなきゃ……」

勇者「過ぎた事を言ってもしょうがないだろ、それに今はまだ魔王かどうかわからないんだ」

女騎士「……話についていけない」

30分後…………


女騎士「うーん……勇者が魔界へ行ってからそんな事が……」

魔王娘「そ。そして私は親殺しの重罪を背負ったの」

女騎士「だが……もしかしたら」

魔王娘「やめて。違う方がよっぽどつらい」

女騎士「あ……」

勇者「夢魔、だったかな?」

夢魔「はい!」

勇者「魔界はどうなってるんだ?」

夢魔「魔王城付近の領地関係でちょっとした戦争がありました」

魔王娘「やっぱり……」

夢魔「各々の四天王さまが元々担当していた地域を領地としたみたいですが、魔王城付近は治安が少し悪いです」

勇者「聞いた限りでは魔王の件以外は予想通りか」

魔王娘「むしろ予想以上に四天王の間でしっかりと取り決めをしていた感じね」

女騎士「だとしたら、魔王娘が魔界に行っても問題なさそうに感じるが」

夢魔「それが……下々の間では魔王の再臨を望む声が……」

魔王娘「そんな……」

夢魔「崇拝教育のタマモノかと」

勇者「もしかすると、突然襲ってくる魔物はそういう事だったのか?」

魔王娘「ぐっ……なんとか魔界に行ってもバレないように出来れば」

女騎士「ちょっと思ったんだけど、魔王娘は人間界で黒装束の女として行動してたんだろ?」

魔王娘「ええ」

女騎士「聞いた限りだと、魔界でもそれで行動してたんじゃないのか?」

魔王娘「それはもちろん……!!」

勇者「そうか、黒装束の女として勇者パーティーで行動すれば……」

魔王娘「でも、そうなったら今度は勇者が……」

勇者「気にするな。それに魔王がまだ倒せていないかもしれないんだ、つまり、俺の使命もまだ終わってないかもしれない」

女騎士「勇者……僕も良いかい?」

勇者「女騎士……今回は俺も死ぬかもしれないんだ、守り切れないかもしれないぞ?」

女騎士「それでも……待ってるだけは嫌だから」

夢魔「あ、あたしもついて行くから!」

魔王娘「四天王も敵になるかもしれない……身分も隠さなきゃいけない……」

勇者「……やるんだろ?」

魔王娘「……やる。天界へ行ったなら、それは私が起こした火種だから。なら、火種は自分で消す」

勇者「また長い旅が始まるな」

女騎士の家…………



黒装束「久しぶりな気がする」

勇者「ほんの数日前なんだがな」

夢魔「魔力の流れを変える変装なんて初めて見ました」

黒装束「この外套が、身体から出る魔力を屈折させるんです」

勇者「そうなのか」

黒装束「自分でも少しなら魔素の流れを変えられますが、ずっとは難しいですから」

勇者「十分すごいよ」

女騎士「ただいま。遅くなってすまない」

夢魔「お帰りなさいませ」

女騎士「はは、僕もメイド付きかな。村長から許可を貰ったよ」

勇者「ありがとう」

黒装束「突然やめるって言ってよく平気でしたね」

女騎士「誰……って魔王娘だったね、大丈夫だ。他の戦士達でも見張りは足りているし、何より勇者と行くんだからな」

夢魔「勇者さま、信頼されてるんですね」

勇者「照れるなぁ」

女騎士「負い目だよ」

勇者「……」

黒装束「……勇者」

勇者「なんだい?」

魔王娘(黒装束)「私達は、魔王が本当に死んだか確認して、生きていたら……」ふわっ


魔王娘「やっぱり私が全てを終わらせたい」

勇者「わかった。だけど、魔王は全員で止めるんだ」

魔王娘「……うん」

勇者「出発は明日にしよう。今日はしっかり休んでおきたい」

夢魔「あたし、眠いです……」

女騎士「じゃあ僕が何か食事を作ろうか」

魔王娘「手伝います」

夢魔「あたし要らない~」

魔王娘「もう寝てなさい」

夢魔「ふわぁい……」

勇者「ちょっと不安になった」

夢魔「大丈夫れすよ、すぐに元気になりますから……」

本日の投稿ココマデ

いつも乙ありがとうデス

次回は少し短めの投稿になると思いマス


深夜、女騎士の家の屋根……………


夢魔「……」

女騎士「やあ」

夢魔「女騎士さん、寝ないの?」

女騎士「緊張してね。そういう君はどうなんだい?」

夢魔「あたしは夢を食べる種族。ひっそりと、お食事中」

女騎士「そうだったのか、邪魔したかな」

夢魔「邪魔なんて。それに食事と言っても、あたしは悪食だから」

女騎士「ん?」

夢魔「あたしの食べ物は、魔王娘さま、あの方が持つ闇」

女騎士「……どうしてそれを僕に?」

夢魔「女騎士さまは気づいているみたいだから。あの方が持ってる心の闇に」

女騎士「ああ、僕ではあの子の闇を取り去るのは難しいね」

夢魔「誰にも出来ないと思う。あの方が捨てない限りね」

女騎士「だからこそ、僕達が守ってやらないと。だろ?」

夢魔「はい、せめて魔王娘さまが悪夢を見ないように……眠っている間だけでも、心の闇から守りたいから……」

女騎士「……君も守らないといけないな」

夢魔「……?」

女騎士「食中りにね。僕はもう一度寝る事にするよ」

夢魔「……ありがとうございます、女騎士さまも良い夢を見て下さいね」



夢魔「マコちゃん、全部を背負ったり犠牲にしなくて良いんですよ。今まではあたしだけだったけど、今は違うんですから」

本日の投稿ココマデ

なんだけど、あまりにも少ないので単行本の巻末ページ的なものを少しダケ

勇者「なあ、雲の四天王ってどんな奴なんだ?」

魔王娘「ギャンブル狂の優しいおじさんかな」

女騎士「魔王の周りはそんな奴ばっかりなのか?」

魔王娘「ええ」

夢魔「ホントに」

勇者・女騎士「……」

魔王娘「私には優しかったわ。動物園って言って競馬場に連れて行ってくれたりしたし」

女騎士「どうしようもないな」

夢魔「公私をはっきり混同させる人だから」

魔王娘「風の四天王を推敲して自分は年齢を理由に引退したはずだけど」

夢魔「昔とった杵柄って言ってカジノのディーラーをやってた」

魔王娘「……年齢も疑わしいわね」

夢魔「あたしは嘘だと思う」

魔王娘「あの魔王を騙せるとはね」

勇者「他の現役四天王は?」

夢魔「魔王が健在の頃は実質的なリーダーだったかな」

魔王娘「そうね、風に変わって心配だった財政もしっかり回ってたし」

女騎士「ちょっと待て、財政管理が風って事は……」

魔王娘「雲が前任者。つまりギャンブルは全部魔王の金」

夢魔「でも財政危機は一度も聞かなかったね」

魔王娘「魔界の大富豪を数時間で丸裸にしたりしてたからね……」

勇者・女騎士「……」

改めて本日の投稿ココマデ

色々書き直してたら四天王が全員出ない可能性ががが……

次元の裂け目(魔界側)…………


バチッ!

勇者「よっと」スタッ

黒装束「……」トン

女騎士「うわっ!」ドテッ

夢魔「へぶっ!」べちっ

勇者「そしていきなりお出ましか」

雲「ようこそ魔界へ、勇者殿。私は雲の四天王と呼ばれた者です」

夢魔「雲さま、勇者さまをお連れしました」

雲「一人だと思っていたけど、噂の人も居るみたいだね」

黒装束「……」

雲「彼女も魔界の事情に詳しいみたいだね。しかも、今回は勇者殿と一緒か」

勇者「魔界の事が知りたい」

雲「良いよ、自分に勝てたらね」

勇者「自分?」

雲「そう、勇者殿。あなた自身に」グニャァ

偽「ふふふ……」

勇者「!!?」

偽「さあ、真剣勝負と行こうか」

勇者「ぐっ……」

ギィン!ガキン!

勇者「俺と全く同じ動きを……」

偽「俺はお前だからね……」

女騎士「あの偽者、強い!」

夢魔「四天王さまでしたから」

勇者「だが、全く同じ動き過ぎる……」

ピタ……

勇者「……」

偽「……」

勇者「なあ、俺がこういう事をしたら、お前はどうなる?」

偽「……自分を刺す気か」

勇者「やっぱり同じ動きしたな。でも、本当に刺せないと思ってるかな?」


勇者「聖剣は勇気ある者に力を与えん」ザクッ!

偽「!!?」ザクッ!

本日の投稿ココマデ

休日無くなったよタスケテ社畜マン

夢魔「ひぃっ!」

女騎士「勇者!」

黒装束「聖剣で勇者を傷つけたりは出来ない」

女騎士「でもあんなに苦しんで……」

偽「ぐうぅ……」

勇者「大丈夫……だよ……確かに少し苦しいかな……」

ザザ……ザザァ……

女騎士「偽者がぼやけて見えるぞ?」

雲(偽)「すごい発想だ、ゴホッ……」

勇者「大丈夫か?」

雲「あぁ、なんとかね……それより、君もその剣を抜いたらどうだい」グシュッ

勇者「あ……」ハラニササッタママ

夢魔「ゾンビより怖いです~……」

女騎士「魔族がゾンビを怖がるとは」

夢魔「あれは無差別に魔力を食う化け物です!魔族だって危険なんですぅ!」

黒装束「はぁ……」

勇者「絶対怖がってないだろ」スルッ

雲「改めて自己紹介するよ。私は雲。村人をしてる」

夢魔「良く言うよー」

雲「勇者殿、私は魔王が本当に死んだかを独自に調査しました」

勇者「うん」

黒装束「……」

雲「まだ確実では無いですが、やはり生きている可能性が高そうです」

勇者「魔王は天界へ行ったかもしれないと聞きました」

雲「天界へ行く道は無くなったはずだ。いや、出来たとしても魔力が足りないはずだったんだ」

勇者「どういう意味ですか?」

雲「魔王でも足りないくらいの膨大な魔力で次元を干渉させて強引に次元の裂け目を作った……と」

勇者「まさか……」

女騎士「そんな事が出来るのか?」

雲「はっきり言って不可能だ。だが、魔王クラスの魔力を持つ者があの場所に複数居た」

黒装束「……」ギュッ

雲「勇者の剣に込められた魔力と爆発魔法の魔素を利用したんだ」

勇者「俺はともかく今にも爆発するって魔素でどうやって……」

雲「爆発する前に取り込んだんでしょう」

夢魔「えっ……そんな事したら」

雲「もちろん、本来なら身体が粉々に吹き飛びます。でも、同時に空間をねじ曲げるくらいの強力な魔法を使ったとしたら?」

勇者「もっと強い魔力で魔法が魔素そのものに戻した……?」

雲「信じられないだろうが、初めから天界へ行く事が目的だとしたら……」

夢魔「魔王娘さまを利用して……」

雲「そうなるね」

夢魔「一体どこまで利用するつもりなんだろ」

雲「初めからと言っただろう?夢魔、私達がずっと感じていた疑問の答えにもなりそうだしね」

夢魔「嫌ですよ……そんなの。それを認めたら……」

雲「……勇者、これを渡しておくよ」

勇者「……これは、あなたが使っていた剣?」

雲「もうひとつの聖剣だよ」

勇者「えっ!?」

本日の投稿ココマデ

バトル系はサッパリ気味に書いてマス

雲「聖剣は魔界と人間界に1本ずつあるんだ」

夢魔「でも魔界の聖剣は所在がわからなくなってたはずで……」

雲「それは……恥ずかしい話なんだけど、ギャンブルで負けた時に……」

夢魔「売ったんですか……」

雲「もうずっと前の話さ。それに剣が無くても勇者達はみんな負けてたからね」

勇者「剣が共鳴してる……」

ドクン……

黒装束「ぐっ……うっ……」

夢魔「この波動……魔王さまの……」

雲「闇の波動……どういう事だ、私が使ってた時はこんな……」

夢魔「あぐ……」ドサッ

黒装束「この波動……夢魔には……きつい……勇者、剣をこっちに」

勇者「あ、ああ」

黒装束「早く!」グイッ

ドクン……

黒装束「えっ……」クラッ

雲「収まった……のか?」

黒装束「収まってない……吸い込まれ……」

ドサッ

雲「これは……いや、この魔力……」

勇者「まさか……試練の間……本当に聖剣だったのか」

???…………


魔王娘「頭いたい……って裸!?」アワワ

「ようこそ、選ばれし勇者よ」

魔王娘「勇者?何を言ってるの?」

「剣の声を聞いた貴方は、今から勇者となりました」

魔王娘「勇者ならもう居るわよ」

「貴方は、異世界の魔王を討たなくてはなりません」

魔王娘「魔王……!?」

「魔王はとても強く、ソ……シ……デ……」ガガ……ザザ……

魔王娘「どうしたの?」

グシャッ!

魔王娘「!!!」

「フッ……くだらん……天界とはこのような場所だったとはな……」

魔王娘「……この声は……魔王……」

「……代文明の名残か……既に滅び…………統一する!そして……」

ピシピシ……

魔王娘「空間に亀裂が……戻される……まだ……」

ガシャアン!

次元の裂け目(魔界側)…………


黒装束「……まだっ!」ガバッ

勇者「気がついたか」

雲「魔王娘……」

黒装束「……」

雲「……」

魔王娘(黒装束)「バレちゃったか……」バサッ

女騎士「変装は完璧だったよ、剣の魔力で変装が乱された事と……」

雲「その剣に呼ばれた事が何よりの証拠……かな」

魔王娘「勇者、あれはなんだったの?」

勇者「試練の間に連れて行かれたんだ、女神から試練を与えられたはず」

魔王娘「……そうね、あれが試練なのかもしれない」

女騎士「ずいぶんはっきりしない言い方だね」

魔王娘「魔王が現れて……女神を殺したわ」

女騎士・勇者「なんだって!?」

夢魔「むにゃ……?」

本日の投稿ココマデ

急展開の連続状態ですが、もう少ししたらのんびり進行にしようと思います。

魔王娘「……勇者、魔王は生きてる」

勇者「ああ……」

女騎士「やはり天界に……」

夢魔「……生きてたんですね」

勇者「だが、天界に行ったとわかっても手段が……」

雲「出来るとしたら、失われた塔を戻すしか無いだろう……」

女騎士「失われた塔?」

魔王娘「聖人の塔……」

勇者「聞いた事も無い」

雲「今は聖者の眠る地と呼ばれているね」

夢魔「東大陸の最北端じゃないですか!」

勇者「あの遺跡か、あそこには何も……」

魔王娘「塔の頂上には、天界へと続く道があったって言われてる」

雲「魔界でも知ってるのは魔王とその直属くらいだろう」

魔王娘「嫌な場所で魔界史の勉強が役に立つなんて」

雲「私が側近で良かったですね」ニコッ

魔王娘「あなたから教わったのは基本的に無駄な内容でした!」

夢魔「そのくらいにして下さい!」

女騎士「夢魔、魔王城でもあんな感じだったのか?」

夢魔「あの頃はマコちゃんも小さかったから、すぐに魔法が飛び交ってもっとひどかったです」

勇者「……」

西大陸の大火山、山麓………


夢魔「やっと外だー!」

女騎士「まさか火山の中に次元の裂け目があるとはね」

夢魔「にしては暑くなかったです」

雲「私はここで失礼します。誰が見てるか分かりませんので……」

夢魔「ありがとう、またよろしくね」

雲「はい……」シュンッ

女騎士「見たことの無い大地が広がる……改めて魔界なんだと感じるよ」

勇者「目指す場所は東大陸だが……地図はどこだったかな?」ガサガサ

黒装束「地図が逆向き。方向音痴、治ってなかったのね」

夢魔「今居る場所は西大陸の北方です」

勇者「ああ、そういえば北大陸のそばだったね」

黒装束「北大陸は魔王城があるから今は危険」

夢魔「あとは南へ進んで大陸海峡を通るルートか、一直線に内海を突っ切るルートね」

黒装束「内海ルートは目立ち過ぎる。食料調達も難しい上に四天王に見つかるかも……」

夢魔「けど陸路から安全な大陸海峡を渡ってたら何日かかるかわかりませんよ?」

勇者「あの……転移魔法……」

女騎士「うん、わかってる。気づくまでそっとしておこう」

本日の投稿ココマデ

時間が足りない

東大陸北部の小さな村…………



勇者「さて、東大陸に来たは良いが、これからどうする?」

女騎士「まずは情報集めだね」

黒装束「でも、私はあまり出歩きたくない」

夢魔「勇者さまは特に有名だから……」

勇者「それなら、俺らは聖者の眠る地を見に行くか」

夢魔「あそこは誰も行きませんね」

黒装束「何かヒントがないか調べておく」

女騎士「なら、僕と夢魔で聞き込みがてら情報収集かな」

夢魔「あ、それなんだけど……」

女騎士「??」

しばらくして…………


夢魔「やっほー!」

黒装束「!!!」

勇者「ぶふっ!」

女騎士「……」ゴスロリー

夢魔「どう?立派でしょ?」キラキラ

女騎士「くっ……いっそ殺せ……」ミニスカフリフリ

夢魔「ほらほら、そんなに身体振ったらスカートの下から……」

女騎士「わっ!勇者、見るな!」バフッ

勇者「えぇっ?俺!?」

黒装束「そうか、魔界で人間を連れてるのは貴族くらいね」

夢魔「でも、憎たらしい胸を更に強調させる衣装って言ってもねぇ……」

女騎士「……何が言いたい」バイーン

夢魔「なんかムカつく!あと、ご主人様のあたしにそんな口の聞き方はダメ」

女騎士「う……失礼……致しました」

夢魔「ふふん、仕返し完了」

黒装束「はぁ……くだらない……」

勇者「……とにかく、明日からは情報収集だ。俺と魔お……マコは聖者の眠る地を調べてくる」

夢魔「あたしと女騎士ちゃんは城下町に行ってみるよ」

黒装束「今は炎の四天王が東大陸を治めてる。大丈夫だと思うけど、四天王には気をつけて」

夢魔「わかってますって」

短いですが本日の投稿ココマデ
昨日は休んですみませんでした

次回からはのんびり進めます


まさかこのスレでくっ殺をみるとはww

女騎士「じゃ、行ってくる」

夢魔「行ってきまーす」

黒装束「落馬しないようにね」

夢魔「しません!」

勇者「あはは……さて、俺らも行くか」

黒装束「まずは塔の跡地」

勇者「とは言っても、情報収集は任せる事になりそうだがな」

黒装束「大丈夫、夢魔は強い」

勇者「そうは見えないがなぁ」

黒装束「確かにね。でも私が産まれる前は何百って部下が居たんだって」

勇者「へぇー……」

黒装束「裏の仕事だから、あまり話したがらないけど」

勇者「裏の仕事……」

黒装束「そうだ、着くまでに聖人の塔についてわかってる限りを教えておくわ」

勇者「頼む」

黒装束「まず塔がいつ出来たのかなんだけど、これはわかってないの」

勇者「まあ、あれだけ風化してるとな」

黒装束「塔は空の向こうまであったらしい」

勇者「そんなに高かったのか」

黒装束「でも、ある日突然崩れてしまった」

勇者「そんな塔が突然崩れるなんて……」

黒装束「天界の神様が天界へ行こうとしたのを許さなかったって話もあるけど、ちょっとおかしいのよね」

勇者「ん?どこがおかしいんだい?」

黒装束「塔が完成していたのは間違いないから」

勇者「??」

黒装束「それが正しいなら、完成する前に破壊されるはずでしょ?」

勇者「そうか、完成した時点で天界へ行ける訳だから、完成してから破壊されるのはおかしい」

黒装束「それと、もうひとつ気になる事が」

勇者「ん?」

黒装束「天界へ行けた事そのもの」

勇者「それは膨大な魔力をって前に言ってたよな」

黒装束「そう、次元の裂け目は強い魔力干渉が引き起こす現象。のはず」

勇者「はず?」

黒装束「だって、天界へ渡る為にそんな膨大な魔力を発生させているなら、渡るだけでもどれだけの犠牲が出るのか想像もつかない」

勇者「そう……なのか」

黒装束「しかも行き来しているんだから、本当に犠牲の上で運用してたらあっという間に魔力枯渇で世界が滅びるわ」

勇者「……」

黒装束「だからこそ古代文明は滅びた、とも言えるけどね。でもそれもありえないと思う」

中途半端ですが本日の投稿ココマデ

書きため作れなかったヨ

>>77
実はチマチマと(おっさんホイホイな)ネタを仕込んでます
探してみてネ

勇者「ありえない……か」

黒装束「そう言えるだけのものを私達は知ってるからね」

勇者「……そうか、現に俺達は次元の裂け目を利用して人間界と魔界を行き来している」

黒装束「私の予想では、本当にそれだけの魔力を持つ者が居たか、塔の頂上に次元の裂け目があったか……」

勇者「……」

黒装束「……」

勇者「どうした?」

黒装束「私達の知らない技術が使われてるか」

勇者「!!」

黒装束「いや、あなたにはちゃんと話すわ。魔王城には古代文明の技術が使われているの」

勇者「なっ……」

黒装束「元々あった物らしくて、よくわかってないで使ってたみたい」

勇者「それで大丈夫なのか?」

黒装束「なんとかなってた。わかってなかったから全部を使ってないだろうけど、それは魔力を一切使わない技術なの」

勇者「魔力を……」

黒装束「もし、塔の頂上にもその技術が使われてたら」

勇者「自由に行き来出来た謎の答え……か」

黒装束「推測だけどね」

勇者「可能性は高そうだな」

黒装束「夢魔ちゃんと女騎士なら、何か鍵になるものを見つけてくれると思う」

勇者「本当に大丈夫かな……」

黒装束「アテはあるみたいだけ……ど」フラッ

勇者「どうした?」

黒装束「聖剣が……」

本日の投稿ココマデ

ね…ねむい…

東大陸の城下町…………


女騎士「ここが東大陸の中心地……」

夢魔「広いでしょ?」

女騎士「僕が見てきた国の中でもここまでは……」

夢魔「東大陸でも南側だから、あたしも何度か来ただけで詳しくは無いんだけどね」

女騎士「こんな時じゃなかったら観光もしたかったな」

夢魔「そうね、みんなで行けるように頑張らないと」

女騎士「行けると良いな……」

夢魔「先は長いけどね。着いたわ」

女騎士「裏通りに入ったと思ったら……会員制のバー?」

夢魔「マスターが知り合いなの」

BAR 魔の巣

夢魔「はぁ……おいしい」チビチビ

女騎士「……」

夢魔「飲まないの?」

女騎士「いや、僕はこういうの初めてで……」

夢魔「淑女の嗜みですよ」

女騎士「……ええい、ままよ!」ゴクッ

夢魔「あ、そんなに一気に……」

女騎士「ふぇ……?」グニャア

ドテッ

夢魔「あーあ……」

マスター「……わざとやりましたね?」

夢魔「まあ、ね」

マスター「で、やっと来てくれたと思ったら人間なんて連れて、どういう心境の変化ですか?」

夢魔「……」ニコニコ

マスター「……偽者じゃないみたいですね」

夢魔「四天王の動きはどう?」

マスター「これに入ってます」

夢魔「相変わらずトランプなのね」

マスター「そこに、今まで集めた情報も入れました」

夢魔「……もしかして、今まで全部持ってたの?」

マスター「雲様のおかげでね」

夢魔「これ……あの時の記録も?」

マスター「……はい」

夢魔「……あたしの罪も、封印されているのね」

マスター「罪と思わないで下さい。でないと、魔王娘様が余計に苦しみます」

夢魔「そう、ね。20年前のあたしは、魔王さまが全てだったもん。あの方が全てって思ってた」

マスター「……」

夢魔「あの子には、見せられないなぁ」

本日の投稿ココマデ
遂に書きため全部書いちゃったよ社畜マン

ちなみにマスターはドラゴニュートで雲のギャンブル相手
ストーリーに絡まないのでここで

聖者の眠る地付近…………

勇者「聖剣が黒く……」

黒装束「駄目……抑えられない……こうなったら……!?」

勇者「剣の魔力が……」

黒装束「……この剣……魔力を吸ってる……」

勇者「おい、マズいんじゃないか?」

黒装束「やっぱりやるしか無い……夢魔ちゃん、ごめんね」

ギュウン……

勇者「魔力を吸ってる……」

黒装束「魔力吸収……それも最上位の……」

勇者「……」

黒装束「生命吸収」

勇者「初めて聞いた」

黒装束「闇の禁術……強い相手には無理……」

勇者「禁術……」

黒装束「これを使うと……夢魔が怒る……ふぅ」

勇者「剣の魔力が収まった」

黒装束「この剣、補助魔力としての剣かもしれない」

勇者「補助魔力?」

黒装束「うん、やっぱりこの剣は魔力の流れがおかしい」

勇者「と、言うと?」

黒装束「定まってない……常に変化してる。というより、この剣としての魔力が無いみたい」

勇者「魔力が無い!?」

黒装束「そう、植物が光合成するみたいに……でも、それなら魔力は剣のものに変わるから、こんなぐちゃぐちゃじゃない」

勇者「魔力が無い剣……聖剣も、古代文明のものって事か」

黒装束「でも、勇者の聖剣は勇者の魔力に反応して、剣が封印の力を与えるもの」

勇者「聖剣の持つ力……」

黒装束「それにしても……あ……」

勇者「ん?」

黒装束「暴走の原因……多分あれ」

勇者「あぁ、野生のマンドラゴラ……」

黒装束「見えてないだけで地中に群生してるかも……マンドラゴラの魔力を一気に取り込んだせい……」

勇者「そんなに魔力が強いのか?」

黒装束「丸々一本食べたらおじいちゃんも元気になるくらいには……」

勇者「……は?」

黒装束「……今はその青さが羨ましい」

勇者「青いってなんだよ!」

本日の投稿ココマデ

生命吸収がイメージしづらい人は
戸愚呂100%のアレやDBの人造人間(最初の2人)をイメージして下さい

聖者の眠る地…………


勇者「まだ塔の一部が残ってるな……」

黒装束「だいたい4階くらいかしら」

勇者「しかし荒れ放題だな」

黒装束「誰も居ないからね」

勇者「塔もあまり大きくないな」

黒装束「こんな細長いのに空高く立っていたのが想像出来ない……」

勇者「折れたってのは本当かもな」

黒装束「……気をつけて」

勇者「え?」

ガゴン!

勇者「うわっ!」ビシュッ

黒装束「……なんでいつも罠に引っかかるの?」

勇者「いてて……いきなり魔法の矢が出てくるなんて」

黒装束「普通ならいててで済まないはずなんだけど……でもこれ、後から作られた罠ね。しかも最近」

勇者「後から?」

黒装束「魔法の罠だからね、多分何か居る」

勇者「ならとりあえず行くか」

黒装束「とりあえずって……」

ドーン!
ビシュシュッ!
ボワッ!
ザシュン!

勇者「なあ、この塔壊したい」

黒装束「駄目。それよりも少しくらい罠を避けようって気持ちを持って欲しい」

勇者「死んだら戻れないんだったな、忘れてた。大した罠じゃないけど」

黒装束「その大した罠なんだけど」

??「本当にそのはずなんですけどねぇ……」

勇者「誰だ!!」

??「私の事なんてどうでも良いじゃない」

黒装束「海の四天王……狙いは古代文明の技術ね」

海「ネタばらし早いわねぇ。やっぱりアナタ、魔王娘みたいね。薄々感じてたけど」

黒装束「……さあ、誰かしらね」

海「魔王が死んでくれたお陰で、やっと私の壮~大な計画が薔薇のように開花しようってのに……」クネクネ


海「邪魔なのよ、アナタタチ」

本日の投稿ココマデ

もしかしたら次回の更新が遅れるカモ

ちなみに海の四天王は♂
後々話題に出るけど誤解防止に

勇者「やっぱりこうなるか」

黒装束「まさかいきなり当たりを引くなんて……」

海「適当な事言ってんじゃないよ!」

ゴポッ

黒装束「勇者、私の後ろに」

勇者「おう」

海「全部飲み込んでやる!」

ザパァン!

黒装束「全く……塔が壊れちゃう……」スッ……

海「聖剣を出して何をする気……」

ズキュウン……

勇者「嘘だろ、あの水量だぞ……」

ザバッ!

魔王娘(黒装束)「ぐっ……はぁ……魔法の水じゃない……」

勇者「ぶわっ!全然なんともなってないぞ!」

海「おバカさんね!やっぱりアナタ!」

魔王娘「召喚は予想外だったけど、逆に助かったわ」

海「え!?」

ブワッ!

勇者「一瞬で霧に……」ポタポタ

海「アッチ……なんて魔力量……やっぱりアナタ……」

黒装束(魔王娘)「あとは宜しく」バサッ

勇者「待ってましたっと」チャキッ

海「げっ!」

勇者「光の剣!」キィン!

海「霧が光に……」

ギュオン

勇者「終わりだ!」ブンッ

ビタッ……

海「……どうしたの?」

勇者「……抵抗しないなら聖剣では斬らない」

海「!!」

黒装束「狙いは封印される事……そうでしょ?」

海「……どうしてそう思うの?」

勇者「お前だけは、魔王城でもまともに戦わなかったからな」

黒装束「勝ち目の無い戦いをしないあなたが戦いを仕掛ける……つまり負ける方が都合の良い展開……」

海「うぐぐぐ……」

黒装束「どうせ勇者が死んだ頃に全部かっ攫うとか考えてたんでしょ」

勇者「……でもどうやってあの水を一瞬にして蒸発させたんだ?」

黒装束「召喚された物なら召喚痕として魔素が残る。それを聖剣に吸わせて、その魔力で一気に熱してしまえば……」

勇者「魔法の水なら?」

黒装束「私の魔力が暴走して塔が無事かどうか……」

海「そんなむちゃくちゃな……待てよ、でも魔王娘……様なら……」

黒装束「20年以上経って忘れたのかな……私が存在する、元々の理由……」フワッ

ガシッ!

海「ぅぐっ……首……ぐげ……」ジタバタ

黒装束「望み通り死ねるのよ?」ニヤッ

海「ぃっ……ひ……」グッグッ


黒装束「バイバイ、ゴチソウサマ」ニコ……

本日の投稿ココマデ
海への熱い声援ありがとうございました

日付変わっちゃったー

深夜、東大陸北部の小さな村の空き家…………


ドサッ

海「……」

勇者「疲れた……」

黒装束「これでも四天王なんだけどね……」

海「……」シーン

勇者「もうこんなでかい男運びたくない」

魔王娘(黒装束)「魔法の天才なんだけど、自分に酔っちゃう癖があってね……」パサッ

勇者「酔いすぎじゃないか……」

魔王娘「でも彼が四天王の中で一番話しやすいのは確か」

勇者「弱いから?」

魔王娘「それは私との相性の問題。そっちじゃなくて、自分が一番って所」

勇者「お陰でまともに塔を見れなかった」

魔王娘「暗中模索よりはマシよ」ゲシッ

海「いてっ!」

魔王娘「狸寝入りなんかして……」

海「歩いてる途中で気づいてたわよ」

魔王娘「終始ニヤケてたもんね」

海「ギクッ!」

勇者「……おい」

海「いやーほら、いい男って素敵じゃない?」

魔王娘「心の次は物理的にショックを受けて貰いましょ」

海「嫌ぁ!」

勇者「殴るのも嫌だ」

海「それはそれで嫌かも」

勇者「……やっぱり食っていいぞ」

海「アッー!ごめんなさいごめんなさい!」

魔王娘「なんかおなか壊しそう」

海「そうですよ、食べても美味しくないから!」

魔王娘「……はぁ、くだらない。まずは言わせて」

海「はいっ!」

魔王娘「魔王は死んでない」

海「え……やっぱりあの噂は本物……そっちの為に来たのね」

魔王娘「じゃなかったら魔界になんて二度と来ない」

海「……そうも言えないかもね」

勇者「どういう事だ」

海「てっきりこっちの話だと思ったんだけど」

魔王娘「早く言いなさい」


海「山の四天王が、人間狩りをするって話を聞いたの」

本日の投稿ココマデ

次回は夢魔&女騎士サイドにナリマス
新しいサブキャラが出るかもでマジヤバイ

東大陸の城下町、早朝の高級ホテル…………


女騎士「おはようございます」

夢魔「おはよう、じゃあ寝る」

女騎士「ずっと起きてたのか」

夢魔「ふぁ……ごはんたっぷり頂きましたぁ……」

女騎士「ずっと夢を食ってたのか……道理で変な夢を見てたと思った……」

夢魔「食っちゃ寝最高……」ぽふっ

女騎士「……おやすみ」

夢魔「ん……」

女騎士「……カードなんて久しぶりだな」ペラッ


女騎士「ハートのジャックか……だから何だって話だな。……武器の手入れでもしておくか」ガタン


ホワッ……

……年……日
計画は最終段階。
順調とは言えないが、成功すると思われる。

……日
遂に禁術を成功させる。
陛下も満足しておられた。

……日
計画が成功し、陛下の興味が失せたようだ。
隊長が変わらず管理を続ける。

……月
禁術の初運用を行う。
味方にも被害が及ぶ。

……月
激しい魔力の暴走が発生。
巻き込まれた隊長が昏睡状態に。臨時で雲様が管理。

……日
隊長が目覚める。
正式に部隊を去り、兵器管理担当へ。

……年……日
大陸間戦争平定。
開発終了。

……年
処分が検討される。

……年
陛下により処分保留が決定。
処分は無期限凍結。

本日の投稿ココマデ

某ゲームが発売して睡眠時間が危険

昼頃…………


夢魔「ん……むにゃ……」

女騎士「起きたか」

夢魔「あたし、どれくらい寝てた?」

女騎士「もうすぐ昼になるな」

夢魔「あらま……おおそうございます」

女騎士「……今日の予定は?」

夢魔「引き続き塔に関する情報収集ね」

女騎士「他にアテは?」

夢魔「とっておきが」

女騎士「とっておき?」

夢魔「炎の四天王様」

女騎士「えっ!?」

夢魔「大丈夫、彼ならあたしが来たなら会ってくれるでしょ」

女騎士「でもそんな事したら危険じゃあ……」

夢魔「その為に集めた情報じゃない」

女騎士「その為って……」

夢魔「情報は一番の財産。魔王様は徹底的だった」

女騎士「情報ねぇ」

夢魔「戦争の始まりは、一本のペンからなのよ」

女騎士「……?」

夢魔「強いモノを扱うには、相応の覚悟が必要って事。行くわよ」

女騎士「お、あ、かしこまりました……」

城門前…………


夢魔「正面から入るってもなぁ……顔パスは無理だし」

女騎士「考えてなかったんですか?」

夢魔「よく考えたら門衛は炎様に会える身分じゃないし、上から入ろうとすればガーちゃんが居るでしょ?」

女騎士「ガーゴイル、壁の上にある竜の石像ですね」

夢魔「魔法生物。石像じゃないわよ」

女騎士「魔法生物……」

夢魔「生きる為に魔力への依存度が高い生き物の事ね。まだまだ基準が曖昧だけど」

女騎士「曖昧なのか……」

夢魔「まともに調べる研究者が居ないから。この呼び方も人間界からだし」

女騎士「……知らなかった」

夢魔「興味があるなら、魔力と身体と魂の関わりも教えてあげる」

女騎士「結構です」

ガヤガヤガヤガヤ

夢魔「……あら?」

「門衛、今日は誰も通すな。緊急事態だ」
「はっ!」

夢魔「好都合ね、へんしーん」

ボワッ

幼魔(夢魔)「じゃーん」

女騎士「……」

幼魔「幻術です、ちょっとひらめきました。お嬢様って呼んでね!」

タタタッ

女騎士「えっ……ちょっ」

幼魔「わーい!」

女騎士「お、お嬢様そっちは」

門衛「あ、おい!中は駄目だ!」

女騎士「すみません!すぐに連れ戻します!」

門衛「早くしろ!特に今は駄目なんだ!」

女騎士「はい!」

門衛「全く、人間なんか連れた金持ちはこれだから……」

本日の投稿ココマデ

いつも乙ありがとうございます
なんとか完結まで行けるように頑張るです

東大陸、城内中庭…………



女騎士「お嬢様、どこですか?」

夢魔「ここだよ」

女騎士「あ、戻ったのですか」

夢魔「小さい方が好み?」

女騎士「まあ子供は好きだが……」

夢魔「うわあ……」

近衛兵士「おいお前、どこから入ったんだ!」

夢魔「あら、もう見つかった」

近衛兵士「中庭で敵発見!応援を!」

女騎士「マズいんじゃないか?」

夢魔「大丈夫。ねーむれっ!」パチン

近衛兵士「……何か、やったか?」

夢魔「げっ!耐性持ち!?」

近衛兵士「クックック……そりゃあ鎧には効くわけ無いよなぁ?」カパッ

女騎士「やっぱりマズいじゃないか!」

夢魔「鎧兵士!?豪華過ぎる!」

近衛兵士「派手好きが初めて役に立ったわ!」

女騎士「キック!」

近衛兵士「おごっ」

夢魔「ナイス!電撃一丁!」ピシャァン!

近衛兵士「あがっ……」

ガシャァ

夢魔「今のうちに炎様の場所へ!」

女騎士「隙だらけ」

近衛兵士「ま、待てぇ!」

本日の投稿ココマデ

ちょっと補足
魔法生物は毒眠り麻痺無効
この世界ではゾンビやゴーストのような霊的魔法生物にも効きません

王宮…………



夢魔「さ、急がなきゃ!」

女騎士「なんで走らなきゃならないんだ!」

ドコイッター!
サガセー!

夢魔「気にしない気にしない!」

女騎士「あぁ、スカートに違和感が……」

夢魔「さあ、あの扉を蹴破るわよ!」

女騎士「蹴破る!?」

夢魔「魔王軍は派手に行くのが信条!」

女騎士「嘘だっ!」

夢魔「でも蹴破る!」

バァーン!

夢魔「っと。……え?」

竜幼女「ぁ、あの……えっと……」

女騎士「これは……殺されてる……」

夢魔「炎の四天王様……あなた、確か炎様の娘だったわね」

竜幼女「はぃ……」

夢魔「誰が……やったの?」

竜幼女「ぁの……」


竜幼女「風の四天王様が……」

本日の投稿ココマデ
四天王なのに5人居たので(ry

※補足
炎と山の四天王は竜族ですが見た目は完全に人間です(擬態)
炎は人間の姿で殺されてます

東大陸の城の牢内…………



夢魔「風……あの子は何を考えてるの?」

女騎士「そういえば、四天王を詳しく聞いた事が無いな」

夢魔「すっかり忘れてた。少し長くなるけど、聞いてね」

女騎士「わかった」

夢魔「まず殺されちゃった炎さま。彼は竜族の中でも戦闘民族の家系で、代々魔王さまに仕えてるそうよ」

女騎士「竜族?にしては人間や魔族みたいだったが」

夢魔「うん、ずっと昔に人間が竜族を大量虐殺したらしいの。不老不死の薬とか、万病の薬になるっていうんで」

女騎士「ああ、確かに聞いた事がある」

夢魔「それで、竜族は力の大半を宝玉に封印して人間へ擬態するようになったみたい」

女騎士「擬態?」

夢魔「うん、竜族は人間そっくりになって生活してるから」

女騎士「宝玉ってのは?」

夢魔「竜族は子供が産まれた時に宝玉を作って、それに特殊な魔術をかけるんだって」

女騎士「マスターはどうなんだ?」

夢魔「マスターはドラゴニュート。魔族になるわね」

女騎士「わ、わからん」

夢魔「竜幼女は、竜族と魔族のハーフだから竜魔族って所かしら」

女騎士「ハーフ……」

夢魔「強い魔力を持つ者は種族の境界も超えるんだって」

女騎士「そんなに強いのに、どうして殺されたり……」

夢魔「きっと、宝玉を持ってなかったから……」

女騎士「えっ!?」

夢魔「炎さまは、色々あって宝玉を竜幼女に持たせてたの」

女騎士「宝玉が無いと、どうなるんだ?」

夢魔「魔力もまともに扱えないくらいには……」

女騎士「そんな……じゃあ……」

夢魔「戦いにもならない。一方的になぶり殺されたと思う」

女騎士「……」

女騎士「風の四天王は?」

夢魔「彼女はハーピィって呼ばれてる魔族ね。若いのに戦いが大好きで、戦争の時はいつも最前線」

女騎士「戦乙女って所か……」

夢魔「頭も結構切れる。少しおかしいけど」

女騎士「例えば?」

夢魔「戦いを楽しんでる。ううん、戦争が快感なんだと思う」

女騎士「……」

夢魔「でたらめに飛んでいるようなのに、敵の攻撃は当たらない。突然降りたと思ったら自分から斬られて……」

女騎士「狂ってる……」

風「あらァ、そんなに誉めないデ♪」

夢魔「か、風さま……」

風「うふふ、あの兵器は元気ィ?」

夢魔「……」

女騎士「兵器?」

風「ダンマリは良くないナァ……デモ、許しちゃう!今日はキモチイイカラ……」ニタァ……

女騎士「うっ……」ゾクッ

風「本当なら魔王サマに逆らった反逆者は死刑なんだけど、まだ動いてもらう必要があるからね」

夢魔「まだ……?」

風「質問はナシヨ、利用されてるとわかってても行動しなきゃイケない……アタシの手のひらの上……」ゾクゾク

夢魔「……」

風「あぁ、魔王サマはもうすぐ悲願を達成されるんデスね……」モジモジ

女騎士「やっぱり狂ってる……」

風「……」

ピシュッ!

女騎士「ぁぐっ……」

風「いつでも殺せるのヨ、あまり生意気な口を利かないように」

夢魔「失礼しました」

風「わかればイイノ。きちんと調教しておいてネ。ああ、あと竜幼女にアタシが来た事を言っても無駄ヨ。彼女が死ぬダケ。弱いもん♪」

夢魔「はい……」

風「ジャアネ♪」

ブワッ!

夢魔「……」

女騎士「ぐっ……はぁ……」

夢魔「すぐに治療するから……」

本日の投稿ココマデ

竜族とドラゴニュートはイモリとヤモリ、白アリと黒アリくらいに違います

違いがわからんwww

>>154
黒アリは蜂の親戚で白アリはGの親戚なんだJ


詳しい解説

ドラゴニュート…トカゲや恐竜が知能を得て人型に進化した種族。
見た目はリザードマンとかそういう感じ。中にはコスプレレベルにまで人間に近いのも居る。卵生。
ドラゴニュートは竜人と言われたりもするけど、ハーフとの混同を避ける為に「竜っぽい人」って意味でこの単語を使ってます。


竜族(西洋竜)…知能を持った種族が外敵から身を守る為に進化したと言われている種族。
DNA視点で見た場合、魔族やドラゴニュートより人間の方が近い関係になる。
ゲームとかで「ドラゴン」って言うとこんな感じって姿。なんとかハンターでよく見るタイプ。
基本的に胎生。空を飛ぶ種だけは卵生。
人間の姿に変えて生活しているが、ほとんどが隠れ里のような場所でひっそりと暮らしている。その為、かなり排他的な思考を持つ者も少なくない。


設定資料は大量に作ってあるんだけど、会話中に入れづらくて……
いつかこういう資料を一気に上げる機会が有れば良いかなと思ってます

東大陸、城内…………



夢魔「やっと出られたー」

竜幼女「あまり……無茶……しないで……」

夢魔「ごめんね、でも緊急の用だったから」

竜幼女「うん……山じいの事は……知ってる……」

夢魔「山じい?違うわ、魔王の事」

竜幼女「ま……」

カツーン……

竜幼女「あ……」

女騎士「……と、大丈夫ですか?」ヒョイッ

竜幼女「あ、ありがとう……」

女騎士「綺麗な宝石だな。ネックレスならちゃんとしておきな」

竜幼女「ぁ……」

夢魔「山じいの事も気になるけど、まずはあたしの話からしても良い?」

竜幼女「はぃ……」

少し経って…………


竜幼女「そんな……」

夢魔「全部本当。だから少しでもあの場所の情報が知りたい」

竜幼女「でもお父様は……」

夢魔「うーん……そこはしょうがないから、海の四天王と会えるようにして欲しいの」

竜幼女「……ぁぅ……」

女騎士「やっぱり、諦めましょう」

夢魔「諦めない。竜幼女、ひとつ頼める?」

竜幼女「なんですか……?」

夢魔「炎が死んだ事だけを大々的に知らせて」

竜幼女「ぁ……」

女騎士「そんな事したら彼女の気持ちはどうなるんだ!」

夢魔「わかってる。でも引っ張り出す機会になる」

女騎士「でも……」

竜幼女「いぃ……です……山じいの事も……あるから……父さんも……そうすると思う」

夢魔「こっちでも何かするってのはわかってたけど、そういえば山じいは何をするつもりなの?」

竜幼女「人間に……復讐……」

女騎士「なんだって!?」

夢魔「……やっぱり」

西大陸、北部の大火山…………



風「山じい、例のものは魔界に移動したワ」

山「うむ、確認している」

風「人間界、吹き飛ばしてイイノ?」

山「構わん」

風「わかったワ、アタシも戦いたくてしょうがないシ」ゾクゾク

山「ふん……」

風「人間の悲鳴……ァハ♪」

山「貴様の所の対人兵器はどうなんだ?」

風「もう使ったワ、今頃人間界は苦しみに喘ぐ人間でいっぱい……アァ……タマンナイ!」ビクン!

山「そうか、では行くか」

風「あれ、山じい自ら?」

山「勇者は魔界だ、人間界を潰すなら今だろう……」

風「そう……」

伝令「申し上げます!炎の四天王様が亡くなられました!」

山「何!?あの炎が!」

風「……」

山「……主力はそのまま進軍せよ、炎の所へは儂と風だけで行けば良い」

風「ハイ♪」

本日の投稿ココマデ

久しぶりの休みで色々捗った

聖者の眠る地…………


海「さて、どこまで話したかな?」

魔王娘「山の四天王までね。やっぱりあの事が原因?」

海「本当なら、根本にはあると思うわ」

勇者「あの事?」

魔王娘「そういえば、四天王の事は何も話してなかったわ」

海「もう少し考えて動いたらどうなのよ」

魔王娘「勇者に言って」

勇者「え?」

海「気持ちは分かるけど、アナタもよ」

魔王娘「私は考えてる」

海「そういう事にしておくわ」

勇者「そういえば他の四天王って、どんななんだ?」

海「山じいは人間嫌いね」

魔王娘「うん」

海「山じいが小さかった頃に人間が山じいの家族を虐殺したそうよ」

勇者「虐殺!?」

魔王娘「200年くらい前って聞いてる」

海「魔王様も封印されてたから、知らないと思うわ」

勇者「……」

海「真相は山じいに聞くしか無いわね」

魔王娘「海、聞いてきて」

海「嫌よ」

魔王娘「じゃあ勇者」

海「行きます行きます、わかりました!でも山じいを止めないわよ」

魔王娘「その時が来たら私が止める」

勇者「魔王娘……」

魔王娘「私がやらなきゃ、平和なんて絵空事だから」

海「……殿下」

魔王娘「なに?それにその言い方は嫌いって言」

バシャア!

魔王娘「……」ビッショリ

海「少し頭冷やしたら?」ニコニコ

魔王娘「もうびしょびしょですよ!」

海「全部背負いこむのは止めなさい!」キリッ

魔王娘「私がやらなきゃ誰が止めるの!」

海「全員でよ!」

魔王娘「!!」

海「世界はね、アナタが思ってるほど陛下が全部動かしてた訳じゃないの。むしろね、あんなの椅子の上でふんぞり返ってるだけの丸太なんだから」

勇者「そこまで言わなくても……」

海「あんな奴でも必要だった。でも居なくても世界は動くの。だけど、あの計画が始まってから全てがおかしくなった」

魔王娘「……」

海「私だって……あの方に失望してしまったもの」

魔王娘「何が言いたいの?」

海「あの方は、自分以外の何をも見ていないって事。私達は、自分達とは違う何かを見ていたと思ってて、それに惹かれたからついて行ってたの」

勇者「……」

海「古代文明の研究をしていた私が、四天王にまで登れたのもあの方に認めて貰えたようで嬉しかった」

魔王娘「……」

海「でも、あの日から……夢から醒めたみたいにがっかりしたの」

勇者「何があったんだ?」

海「人間界と魔界の統一を宣言した」

魔王娘「人間界に魔物がなだれ込んだのも、その時期」

海「あれは魔王じゃないわよ」

勇者・魔王娘「えっ!?」

海「知らなかったの?」

魔王娘「知らなかった……10才だったし、私は……」

勇者「じゃあ誰が……」

イカ博士「海様……」

海「あら、どうしたの?」

イカ博士「炎様が……亡くなられたそうです」

魔王娘「えっ!?」

海「そう。山じいの件、なんとかなりそうね」

本日の投稿ココマデ

イカ博士は(ショタ)マッドサイエンティスト
大丈夫と言いながら不吉な確率を出して能力値を下げるので「海洋の死神」や「死神博士」と恐れられてます

聖者の眠る地、入口…………



海「私は別行動させて貰うわ。言伝は任せて」

黒装束「さっさと行って」

海「はーいはい。でもその前に」

黒装束「なにこれ。真珠?」

海「夢魔に見せればわかるわ。じゃ、行くわよ」

イカ博士「はい」

シュンッ!

勇者「俺達はどうするんだ?」

黒装束「二人は海に任せて、私達は塔で手がかり探しよ」

勇者「やっと調べられるのか」

黒装束「先の事は合流してから決めるわ」

東大陸の城下町…………


夢魔「状況は悪くなるばかりね」

女騎士「あの子は大丈夫なのか?」

夢魔「自分から言ったんだから、考えがあるんでしょ」

女騎士「そうは言ってもなぁ……」

夢魔「あたし達は四天王さまが集まる前にマコちゃんと合流、四天王さまは彼女が」

イカ博士「夢魔様……」

夢魔「あ……」

女騎士「ま、また変な奴が……」

夢魔「海洋の死神……」

イカ博士「いやぁ……」デレデレ

女騎士「どう見てもイカの研究者だが」

イカ博士「わたしです」ニコ

夢魔「何の用?」

イカ博士「兵器の話は聞いています」

夢魔「あら、ずいぶん都合の良い話」

イカ博士「海が死にかけたので……」

夢魔「そういう事……」

女騎士「どういう事?」

夢魔「計算が狂ったんでしょ」

イカ博士「あはは……」

女騎士「いまいち納得いかないんだが……」

イカ博士「黒装束の女に無謀な戦いを挑んで返り討ちに遭ったと……」

女騎士「……なるほど」

イカ博士「こちらを……」

夢魔「これは……転移符?座標が書かれてるけど……」

イカ博士「お二方、しっかり手を繋いで下さい」

女騎士「え?」

夢魔「まじ?」

イカ博士「よし……破っ!」

ドウン!

女騎士「あべ」
夢魔「オグリ」

シュンッ!

イカ博士「転移符を使った指定位置への強制転移、60%くらい大丈夫なら大丈夫ですよね」キラッ

本日の投稿ココマデ

イカ博士は実験が大好きです

60%って結構低い確率だぞ
普段どんなことしてんだwww

>>180
バイクに跨ったバッタにやられる黒い下級戦闘員を作ってます(嘘)
助手のゲソー君と一緒に野球少年へ色々ちょっかいを出してます(大嘘)

本当は禁術や古代技術の復活、新技術の実験をしています。
30年くらい前に魔界で起きた大陸戦争の際に、禁術を利用した生体兵器の原案も出しています。

聖者の眠る地、遺跡5階…………

黒装束「完全に雨晒しね」

勇者「天井が無くなってる」

黒装束「これは……扉?」

ギギ……

黒装束「まあ只の反対側よね」

勇者「……何もない場所に扉だけってのも奇妙だな」

黒装束「うーん……ん?」

勇者「どうした?」

黒装束「来た!」

ヒュー……

女騎士「あがっ!」ベシャッ
夢魔「へぶっ!」ベシャッ

黒装束「着地失敗か……もうちょっとかな?」

夢魔「もう……実験に使われるなんて……」

女騎士「いたたた……」

黒装束「久しぶりに勇者パーティーが揃ったわね」

勇者「ひどい合流だな……」

黒装束「お互いの情報整理をしなきゃ」

女騎士「僕達の収穫は、これだな」

勇者「……トランプ?」

夢魔「昔の部下が作った資料を全部貰ってきた」

黒装束「すごい……」

勇者「こっちは海から少し話を聞いた」

黒装束「そういえばその時にこれを渡せって」

女騎士「真珠?」

黒装束「渡せばわかるって」

夢魔「多分トランプと同じで資料だと思う」

黒装束「見れる?」

夢魔「すぐにでも!」

大人の特権発動中につき本日の投稿ココマデ

なんとか団の某幹部が風と被って見える……

聖人の塔調査メモ

古代文明に関連したいくつかの発見を記す

・塔の技術は魔王城と同じく魔力を使わない何かである可能性が高い
・塔の機能は何かしらのエネルギーが必要なようだ
・魔力で代用しての起動は効率が悪く我々では起動すら不可能
・未知の性質を持った鉄板もいくつかあるがこちらも起動不可能
・地下に次元の裂け目と似た反応を探知

黒装束「私がやれと言わんばかりの内容ね」

勇者「未知のエネルギーってのは何だ?」

夢魔「……魔王城で使われてたエネルギーかな」

黒装束「多分ね」

女騎士「だが今は人間界も危機だぞ」

黒装束「わかってる。魔王を倒しても世界が滅んでましたじゃ笑えない」

勇者「なんとか両方を解決出来る方法は……」

全員「……」

黒装束「勇者」

勇者「ん?」

黒装束「まずは人間界を救う」

女騎士「良いのか?」

黒装束「魔王が天界から何か出来るなら、もうとっくにやっててもおかしくない。それをしないのは、天界で問題が起きたか……」

勇者「……俺を待ってるか」

黒装束「そう思う」

女騎士「……」

夢魔「あの方は、きっと今の状況も楽しんでるんだろうな……」

黒装束「……そうね」

本日の投稿ココマデ

以下ちょっとだけオマケ

魔王娘の記憶…………

ズバッ!

魔王娘「ぁぐ……」

魔王「ふん、今日もこの程度か。もう少し我を楽しませろ」

魔王娘「ま……だ……」

魔王「この遊びも、くだらんままごとに過ぎんのだよ。この管理された世界ではな……くっくっ……」

グイッ

魔王娘「ぁ……嫌……」

魔王「……まだ見ぬ新たな勇者よ、我はいつでも待っているぞ!」

グシュッ……

魔王娘「ぃ……」ビクン

魔王「フハハハハハ!」

オマケおしまい
遅筆でごめんなさい

エロ・グロ含めた過激表現は抑え気味で書きます。
そういう系は別のお話で【21禁】を付加させて書こうと思います。

東大陸の城内…………


山「……」

風「……」

海「……」

近衛兵士「……(なんで自分が!)」

竜幼女「……(中に入れるから)」

近衛兵士「……(鎧兵士なら他にも居ますが?)」

竜幼女「……(誰でも良かったから)」

近衛兵士「……(くっ、派手好きが仇になったわ)」

雲「……引退した身なのだが、竜幼女の希望で僭越ながら私が進行を致します」

山「……」

風「……」

海「ご勝手に」

雲「昨夜、何者かに炎が殺された。竜幼女」

近衛兵士「代弁させて頂きます。真正面から胸の辺りをバッサリと斬られていたが、犯人は不明」

海「あの炎が闇討ちに遭ったの?」

山「おおかた娘に渡しておったのだろう」

風「それで死んじゃうなんてバカみたい」

竜幼女「……」

雲「そこまでだ。炎が治めていた土地は、竜幼女が引き継ぐ」

海「大丈夫なの?」

近衛兵士「我々が補佐します。竜幼女様からも、今まで通りで問題ないとの事です」

山「問題ないならば儂は席を外させてもらう」

海「人間への敵討ち?」

山「……」

海「山じいの家族を殺した人間なんて誰も生きてないわよ」

山「知っておるわ」

海「そう。くれぐれも魔界には揉め事を持ち込まないでね」

風「♪」クスクス

山「貴様らに手間は取らせん」

海「手間っていうか、面倒事は嫌だから」

雲「そこまでにしてくれないかな」

風「終わった?」

山「ああ。もう話す事は無い」

近衛兵士「……(良いのですか?)」

竜幼女「……(大丈夫、これは時間稼ぎみたいなものだから)」

海「……」

山「失礼する」

風「じゃあね♪」

海「……私も仕事の続きをしなきゃ」

パタン

雲「はぁ……」

竜幼女「……出ても良い?」

近衛兵士「あ、失礼しました!」

竜幼女「……あれ……出られない……」

近衛兵士「あぁ、無理に出ようとしないで下さい!」ガシャガシャ

雲「……しばらく事情は聞けそうに無いな」

次元の裂け目、人間界側…………



見張り「ふあぁ……ん?」

バチッ!
バチバチ!

見張り「な、何か来る!?」

オーク「ばあ!」

見張り「うわあ!」

オーク「死ねェ!」

グシャッ!

見張り「」

オーク「人間は皆殺しだァ!」

ワアアァ!

本日の投稿ココマデ

おじさん階段から転げ落ちて足首捻挫しちゃったよ

西大陸最北部の船着き場…………


勇者「この場所に向かって転移魔法が使えて助かったよ」

夢魔「魔界なら大抵の座標は測定出来てるからね」

勇者「人間界にも出来ないかな」

夢魔「どうだろう、同じ方法で測定出来ればだけど……」

女騎士「ここからどうやって次元の裂け目に行くんだ?」

黒装束「今は山じいの軍に占拠されてる。入り口は1ヶ所だから突破するしか無い」

勇者「数は?」

黒装束「多分、20くらい。中も同じくらいは居るはず」

勇者「久しぶりに暴れられるな!」

黒装束「勇者、剣の封印はまだ活きてる?」

勇者「問題ないよ。女騎士の剣も使える」

黒装束「よし……人間界に行きます。私と夢魔は魔法を使います」

女騎士「正面突破?」

黒装束「本来なら封印出来ない私達が囮役なんだけど……」

勇者「全力でぶっとばす」

黒装束「二人なら何もしなくても平気そうなんだよね。でも騒ぎは大きくしたくない」

夢魔「そこで広範囲の睡眠魔法を使うわ」

女騎士「広範囲……」

黒装束「今回は4つの印で作った囲いの中に、魔法を満たすの」

女騎士「印?」

黒装束「特定の魔法だけを遮る壁を作る」

夢魔「本来は部屋だったりで実際にある壁を使うものだけど、今回は外だから壁を作らないといけないって事」

黒装束「地上に3つ、空中にひとつの印を置いて、ピラミッド型の囲いを作った中に魔法を満たすの」

勇者「むちゃくちゃだな」

夢魔「一個小隊が場所を固定してやる大規模な魔法だもん。特に上の印が大変で……」

黒装束「上は私。聖剣も回復してる。少し範囲が乱れても大丈夫だと思う」

女騎士「それを全部……」

夢魔「これがその印を刻んだ印符ね。はい」

勇者「……?」

女騎士「まさか……」

バサッ

魔王娘(黒装束)「私達がその印代わり。夢魔は裏から、二人は正面からお願い」

女騎士「やっぱり滅茶苦茶な策だ!」

夢魔「でも、これを成功させてるんだよね……」

大火山の山麓…………


コボルトA「あいつら、今頃楽しんでるんだろうなぁ……」

コボルトB「なんで見張りなんだよ……」

コボルトA「仕方ねーだろ、俺達は落ちこぼれ組だからな」

コボルトB「文句も言えねえからな……ん?」

コボルトA「あれは……」

魔王娘「……」フワフワ

コボルトB「何をしてるんだ?」

キラッ
フワアァ

コボルトA「な……魔法……」フラァ

バタッ

鎧兵士「て、敵しゅ」

ガギン!

女騎士「おっと、叫ばれちゃ困るな」

鎧兵士「が……」

シュウゥ……

勇者「こっちも片付いたぞ」

夢魔「さ、一気になだれ込むよ!」

魔王娘「ふぅ……」スタッ

グワン……

魔王娘「ぁ……」フラッ

女騎士「大丈夫か?」

魔王娘「うん、多分魔力の使い過ぎ」

女騎士「それなら少し下がってると良い」

魔王娘「まだやれ……」

グラッ

女騎士「おい!どうしたんだ!」

魔王娘「何かが……頭の中に……」

……セ…………ロセ…………コロセ……

魔王娘「……人間への恨み……私も同じって言いたいの……?」

……フハハハ……

魔王娘「魔王なら……くだらん……ね……」フフッ……

パンッ!

女騎士「うわっ!」

魔王娘「早く人間界に行かなきゃね!」

勇者「次元の裂け目だ!飛び込むぞ!」

バヂ!
バチバチ!

人間界のとある王国…………


国王「魔物が再び現れただと!?」

兵士「それも前より強力で、我々でも撃退出来るか……」

ゾクッ……

国王「なんだ……今の寒気……」

兵士「ぁ……が……」

国王「どうしたのだ!」

ドサッ

兵士「」

兵長「へ……陛下……お逃げ下さい……」

ブワッ!

国王「な、なんだこの黒い霧h






「フェアァ!アギャア!」

本日の投稿ココマデ

ペースが上がったら良いなぁ

次元の裂け目、人間界側…………


勇者「よっと」

魔王娘「んしょ」

女騎士「おっとと……」

夢魔「へぶっ!」ベシャッ

魔王娘「かふっ!」

夢魔「あぁ、マコちゃんごめんなさい!」グリッ

魔王娘「痛い……」

女騎士「いい加減慣れないのか?」

夢魔「だって重力がなんかくらくらするから……」

魔王娘「重力って……」

勇者「ふざけてる暇は無さそうだぞ」

女騎士「こ、これは……」

見張り「」

魔王娘「頭を砕かれてる……」

女騎士「このオークがやったのか?」

オーク「」

勇者「相討ちって事か……」

魔王娘「待って、だとしたら外傷があるはず。このオークには、どこにも無い……」

女騎士「でもそれならどうやってオークがこんな……」

勇者「この先に、同じようなのがたくさんあるぞ」

魔王娘「魔力残滓もある……魔力を吸われたなら残らないはず。本当に突然死んだみたい……」

夢魔「……みんな聞いて。あたし、こんな場面を一度だけ見た事あるの」

女騎士「え?」

夢魔「30年くらい前、ある調査任務でね」

勇者「その時はどうだったんだ!?」

夢魔「辺り一面、植物も全部枯れてて……全滅してた。ハーピィの少女を残してね」

魔王娘「え!?」

女騎士「まさか、それって……」

夢魔「確信は無いけど、風の可能性は高いかな」

勇者「……マズくないか!?」

夢魔「うん、外が気になる」

魔王娘「……ねぇ、なんで黙ってたの?」

夢魔「逃げられちゃって」テヘ

魔王娘「……」

夢魔「でも、あの時に見た子は言葉にならないような奇声だったから……」

魔王娘「夢魔、やっぱり後で色々聞かせてもらうわ」

夢魔「ひーっ!」

女騎士の村…………


女騎士「あぁ……夢魔の言った通りだ」

魔王娘「でも何か変……」

夢魔「本当、あたしの時は目に見える範囲全部だったのに……どこかに向かってる?」

勇者「まっすぐに向かって……この方角は王国!!」

村長「ゆ、勇者殿……無事であったか……」

勇者「村長……」

村長「若い者が死んで、老いぼれが生き残ってしまうとは……」

女騎士「村長!」

村長「おぉ、女騎士……だが再会を懐かしむ暇は無さそうだな……」

魔王娘「何があったの?」

村長「……山菜取りの帰り道でな、村から黒い霧のようなものが出て行ったのを見て急いで戻ったら……この有り様じゃ」

勇者「狙いは王国みたいだな」

魔王娘「でも、どうして魔族を巻き込んで……風……何が狙いなの?」

夢魔「……とにかく行くしか無いよ」

勇者「間に合ってくれ!」

女騎士「村長、村を頼む。それと……」

夢魔「私達、魔族の生き残りも居たら……お願いします」ペコリ

村長「わかっておる。この惨状だ、今は皆で生き残るのが一番だからな」

勇者「ありがとうございます」

とある王国…………


勇者「……遅かったか」

女騎士「こっちは人間も、外傷無く死んでいる」


??「アァウゥ……」


4人「!!」

女騎士「い、今のは……」

夢魔「あ、赤ちゃん!?」

勇者「にしては声がデカすぎるぞ」

魔王娘「……」ブルッ


??「アァ……」


勇者「城の上だ!」

魔王娘「こんな魔力……感じた事無い……」

女騎士「……みんな、目の前も注意してくれ」

ジュル……
ジュル……

ブラックスライム「……」

勇者「スライム!?」

夢魔「魔物!!」

女騎士「厄介過ぎる相手だぞ!」

魔王娘「……魔力が自我を持った存在……」

ブラックスライム「……」ブルブル

ブシャア!

勇者「下がれ!消化される!」

夢魔「ちょっと待って、奥に魔物の団体さんも居るじゃない!」

女騎士「あんなの見た事無いぞ!」


黒い影達「……」


勇者「クソ、あんなのどうやって……」

キラッ

女騎士「勇者、聖剣が!」

勇者「あ、これは……」

魔王娘「わ、私の聖剣も……」

キィン……キィン……

夢魔「共鳴してる……」

勇者「剣が、お互いを喚んでいる?……魔王娘!」

魔王娘「……」コクン

ブンッ

勇者「おっしゃあ!」パシッ

キイイイィン!!

女騎士「剣が、ひとつに……」

勇者「新しい聖剣の力だ!」

ブンッ!

ズアッ!

ブラックスライム「ブジャアァ……」ビクンビクン

黒い影達「」

勇者「今だ!正面突破する!」

夢魔「もう復活しかかってる!!退路は無いよ!」

女騎士「元を叩けば問題無いだろ!」

夢魔「叩いても魔物は消えないよー!」


??「ァ……ァハハ♪」

本日の投稿ココマデ

6Vイー○イ♀に浮かれてましたごめんなさい

城の屋上…………


勇者「どっせーい!」

??「アハハ♪」グシュッ

夢魔「あれ……?」

??「アハハハハ♪」グチャッグチャッ

女騎士「成長してる……」

??「……??」グルッ

魔王娘「こんなスピードで……?」

??「♪♪」ニヤァ

勇者「来るぞ!」

ブワッ!

魔王娘「黒い霧!?危ない!」





.

勇者「無事か!」

女騎士「僕はなんとも!」

夢魔「あたしも大丈夫!」

魔王娘「……ぁぐ……頭が……」

夢魔「マコちゃん!?」

魔王娘「かすっただけ……だけど危険過ぎる……」

??「……」ブスー

勇者「なんなんだこいつは」

魔王娘「あの霧に触れて初めてわかった……奴は魂に干渉するわ……でも、あまりに大きすぎる」


魔王娘「恨みと殺意の念が塊になった存在……それも純粋過ぎる……」

次元の裂け目、人間界側…………


山「ぬぅ、勇者め……人間界に向かうとは……」

風「計算通りネ♪」

山「ん?何を」


ザクッ


山「んぅ!!」

風「抜け殻でも不意打ちなら人間状態の竜くらいは殺せるワ……」ニヤァ

山「お前は……クソッ!」ブンッ

風「おっと♪」

山「むぅ……不覚だったわ……」

ドサッ

風「全てを還す為よ……もうこの身体も……役目は終わりね……」クスクス

本日の投稿ココマデ

この世界のスライムは危険な存在です
核細胞が機能停止しない限りは死にません
上位種になるとプログラム細胞死の信号を送って肉体を乗っ取ります
ただし発生そのものが稀で発生しても数日しか生きられません(もちろん例外あり)

魔王娘「あんな感情の塊、まともに入ってきたらどうなるか……」

勇者「近づく事も出来ないのか……」

??「アー……♪」

魔王娘「勇者、新しい聖剣!」

勇者「……そうか!」

キィン……

勇者「魂が悪意の塊でも、それが魂なら……」

ブンッ!ズアッ!

勇者「封印出来る!」

??「ギャアアァー!」

ブシュッ!ビシュッ!

夢魔「気持ち悪い……」

??「」ビクンビクン

勇者「やったか!?」

魔王娘「……いや、とてつもない量の魔力が集まってる……」

女騎士「魔力に引っ張られる……」

夢魔「気を強く持って!引っ張られたら終わり!」

勇者「……収まった」


ガォン!


女騎士「な……まだ成長しているぞ!!」

邪念の塊「……コロシテ……ヤル……」ユラァ……

ドクン……

夢魔「あぁ……」

魔王娘「ぁぐ……」

勇者「どうした!」

魔王娘「負の感情を……起こしてる……」

女騎士「まさか……魔王への……」

魔王娘「そんな感情を無理矢理起こした所で……」

勇者「でもそれなら夢魔は……」

夢魔「……」ドスッ!

女騎士「自分に短剣を……」

夢魔「悔しいなぁ……マコちゃんと一緒に居たからずっと忘れてたはずなのに……」

魔王娘「……夢魔……」

夢魔「本当、寝覚めの悪い夢だなぁ……あたしはちょっとリタイヤ……」ヘタッ

女騎士「大丈夫……なのか?」

夢魔「感情に支配されそうだよ……あたしも弱いなぁ……」

勇者「奴が動くぞ!」

邪念の塊「ゴミとして捨てられた我々の恨み……思い知れぇ!!」

ブワッ!

魔王娘「またあの霧……」

勇者「夢魔は任せろ!」

夢魔「ごめん……」ガシッ






女騎士「これじゃあジリ貧だ……」

魔王娘「そっちは大丈夫!?」

勇者「夢魔なら無事だ!」

夢魔「ごめん、足手まといに……」

勇者「気にするな、仲間だからな」

魔王娘「勇者!聖剣をこっちに!」

勇者「……わかった!」ブンッ

パシッ!

女騎士「剣が黒く……いや違う!」

魔王娘「ふたつの魔力が混じり合う事無く渦を……もうひとつの聖剣の真の力……かな?」

悪意の塊「ムメイケン……おのれぇ!貴様はまだ我々の意志を砕くかぁ!」

魔王娘「……魂は自由なのよ」

ズバッ!

悪意の塊「あがあああぁ!!我々が!!消えてゆく……コノ……ウラミ……ワスレヌ……ゾ」

シュウゥ……


勇者「……終わった……のか……?」

魔王娘「……これからが……大変……でしょ?」フラッ

バタッ

女騎士「魔王娘!」

魔王娘「ごめんなさい、もう魔力が……」

キィン……パシン!

夢魔「剣が元に……」

ブラックスライム「……」ジュルジュル

女騎士「あいつら、ここまで……」

勇者「ここは危険過ぎる!一度転移魔法で女騎士の村に避難するぞ!」

本日の投稿ココマデ

真実は簡単に作り替えられる
記憶なんてものは曖昧だ
いつも結果だけが雄弁に語る
歴史も他愛ない日常も

女騎士の家…………


勇者「こんな事になるなんて……」

夢魔「マコちゃん……」

魔王娘「大丈夫、ちょっと体力が限界だっただけ……」

女騎士「水を汲んできた。食べ物は少ないが……」

魔王娘「ありがとう……」

山「全く……どこまで儂の癪に障るつもりだか……」

夢魔「や、山じい!?その身体は……」

山「あぁ……風にやられたが、人間に助けられてな……だが宝玉は奪われた……」

女騎士「今は並みの人間と変わらないって事か」

山「それ以下と思って構わん」

勇者「ずいぶん自虐的だね」

山「事実だからな」

夢魔「山じい……」

山「今の殿下は、幼かった自分のようで……共感もしながら……どこか腹立たしいのだ」

女騎士「幼かった自分?」

山「家族を殺され、人間は憎むべき存在という教育も受けた」

勇者「ずいぶん荒んでたんだな」

山「否定せんよ。そんな教育を受けたから、誰よりも戦いの訓練に励み、誰よりも強くなると決めた」

女騎士「復讐の為にか」

山「そうだ。長く勤めるうちに忘れてたが、古代兵器の復活辺りから再びその気持ちが再燃したな」

女騎士「少し気になったんだけど、古代兵器って?」

山「……」

夢魔「……」

勇者「俺はなんとなく理解してるけど、はっきり話して欲しいかな」

夢魔「……嫌」

山「……」

魔王娘「……私の事よ」

夢魔「マコちゃん……」

魔王娘「古代兵器ね……懐かしいなぁ……」ハハッ

女騎士「笑っていられる事なのか?」

魔王娘「……」ギロッ

女騎士「ぅ……」

魔王娘「……笑ってないと、持たないだけよ」

夢魔「……」

魔王娘「……結局、私がやらなくても、いっぱい死なせちゃった……考えが甘かったかな……」

夢魔「……甘いかどうかは、まだ決まらないでしょ?」

魔王娘「……」

山「全てが上手く行く事なんて無い。必要なのは目的を達成しようとする意志と行動力。そんな事で挫ける程度の意志だったのか?」

魔王娘「そんな訳ない!そんな事で済まない問題だから悩んでるの!」

夢魔「だったら解決させなさい」

魔王娘「わかってるわよ!」

夢魔「じゃあ何も問題無いわね」

魔王娘「あ……ぐぅ……」

山「お、まだぐうの音が出るか」

勇者「魔王娘がもてあそばれてる……」

女騎士「珍しい光景だ……」

魔王娘「もう!魔王への手がかりが何も無いってのに!」

山「手がかりは無いが、手がかりになりそうなものならあるぞ」

勇者「えっ!!?」

魔王娘「どこ!?」

山「魔王をよく知る儂らだ」

夢魔「……」

魔王娘「やっぱり話さなきゃ駄目か……夢魔、よろしく」

夢魔「えっ?」

魔王娘「産まれる前から知ってる事……あるでしょ?」

夢魔「それは……」

山「夢魔は初めから関わっていたな……」

魔王娘「話して欲しいな。私がどうやって産まれたのか」

夢魔「……」

魔王娘「……はぁ。それなら仕方ないか」

夢魔「!!」

魔王娘「山じい、お願い」

山「あまり詳しくは無いが……」

夢魔「嫌です!あの頃のあたしはもう見たくないんです!」

魔王娘「夢魔ちゃん、あなたはまだ……魔王が好きなんでしょ?」

夢魔「……」ブンブン

魔王娘「私と魔王の間でずっと悩んでた……ううん、今も悩んでる」

夢魔「わかってる、いつか話さなきゃいけないのは……」

山「公然の秘密だったがな」

夢魔「げ、そうだったの……」

山「計画を伝えられた時の叫び声……」クックックッ

夢魔「……あれ聞こえてたの!?」カアァ

山「ばっちりとな」ニタニタ

魔王娘「なにそれ……」

山「あれは30年前ほどだったかな……」

夢魔「あー!山じいが話すならあたしが話しますから!」

女騎士「あっはっは……」

本日の投稿ココマデ
次回から過去編を挟みます

魔界の過去編は別の話として考えてましたが
このタイミングで挿入しないと補足まみれの●SSになりそうだったので本編にねじ込みました
ただでさえ遅筆なのにストーリーを追加してしまうのは自分の表現力が足りない証明である訳で……

今日の投稿直前まで悩んでいたので書きためも全く無いです
今も設定に矛盾が無いかとかのチェック中です
次回の更新は遅れるかもしれません……

しばらく努力値振りはお預けかな……

30年前、魔王城…………


隊長(夢魔)「……古代魔法と兵器の復活?」

部下(マスター)「そんな計画が出来たみたいです」

隊長「陛下がそんな事を?」

部下「はい、海様が発案したそうです」

隊長「……また死神の呼び声か。で、なんであたしが呼ばれたの?」

部下「詳しい内容は陛下が直々に伝えるそうですよ」

隊長「……あの陛下がねぇ」

王の間…………


魔王「以上が製造計画になる。お前にはその兵器管理を任せる」

隊長「陛下!どうして自分では駄目なのですか!自分は陛下に全てを捧げる所存です!」

魔王「確かにお前は我が子を作る母体としては申し分ないだろう。だが、それなら教育はどうなる?」

隊長「じ、自分は子供……ましてやそんな……」

魔王「……やるんだ。これは文武両道のお前でしか頼めん仕事だ。それに、今お前を失うには惜しい」

隊長「……陛下が仰るならば、その御心のままに」

魔王「では、西大陸から魔族の女を集めよ」

隊長「……はい」

城内広場…………

炎「聞いたか、山じい……」

山「……何がだ」

炎「全てを捧げるだってよ!」ニタニタ

山「……聞き耳を立てるな」

炎「とは言ったってなぁ?」

山「む、儂を貴様のお節介に巻き込むな!」

炎「新兵器の製造計画って言って四天王まで払ったから何の話かと気になってたが、まさかねぇ」

山「おい、止めておけ」

炎「へーいへい、山じいは頭カチカチだからねー」

山「貴様が奔放過ぎるんだ」

炎「別に良いだろ、竜族がエルフを好きになったって!」

山「竜族のしきたりはどうするつもりだ、そもそも子供だって産まれるかどうか……」

炎「別に気にしてねぇよ。俺はあいつが好きで、それに種族の壁があるってんならぶっ壊してやるさ」

山「それは楽しみだな。儂が生きているうちに見られるだろうか」

炎「言ったな?よっしゃ、ちょっと子作りしてくるわ!」

山「今は仕事中だ!」

本日の投稿ココマデ
次回から少し過激な表現が入ります

炎は山に触発されて嫁といろいろヤったそうです
そして15年ほど後にマジで嫁が妊娠します
その後に山が懸念した通りの大変な事態が起きるんですが、それはまた別のお話。

深夜、西大陸のとある村…………


ササッ

隊長「……」

村男A「んご……」

村女A「くぅ……」

村少女A「……」

隊長「……」

キィ……

隊長「……」

村男A「ぐぉー……」

スパッ

村男A「!!?……か……が……」

プシャーッ!

隊長「あとは宜しく。次に行くわ」

村男A「か……ぁ……」ビクッビクッ

村女A「……」

部下「了解」

1時間後…………

部下「全て終わりました」

隊長「そう、もうこの村は何も無いわね」

部下「はい」

隊長「じゃ、後始末は任せてあたしは帰るわ」

部下「では信号を送ります」

キラッ

下級アサシン達「……」

隊長「彼女らを魔王城の地下に運んで。それと、村の後始末をお願い」

下級アサシンA「はい……」

数ヶ月後、魔王城の地下研究室…………


ウィーン……

イカ博士「陛下、お待ちしておりました」

魔王「早速だが、優秀な女を探す方法はどうするつもりだ」

イカ博士「まずは基礎データの採集から……そして、魔力への耐性です」

魔王「魔力耐性は基礎データで計るだろう」

イカ博士「いえ、魔力の器を計ります。その際にひとつ陛下の協力を……」

魔王「なんだ」

イカ博士「魔力を、この装置に送って下さい」

魔王「それだけか」

イカ博士「産まれる子供の魔力量は周りの魔力量に依存する……」

魔王「なるほど、つまり私の魔力に耐えられるかどうかのテストだな」

イカ博士「はい」

魔王「基礎データはどうなっている」

イカ博士「ほぼ終わりました。初潮がまだの子供は別室に居ます」

魔王「そいつらは?」

イカ博士「戦闘教育を」

魔王「素晴らしい」

イカ博士「まずは基礎データからの候補ですね、これとこれが……」

隊長「……」

部下「興味なさそうですね」

隊長「あたしがやれる事をやるだけだから」

部下「そんなもんですかね」

イカ博士「そんなものですよ、僕にとってはね」

隊長「……なあに?」

イカ博士「隊長さん、今から戦って下さい。但し攻撃は禁止です」

隊長「……そう」

部下「……」キッ

イカ博士「彼女らには、隊長さんを殺したら自由になるとだけ伝えてあります」

隊長「なるほど、あたしを殺したら決まりって事ね」

イカ博士「殺されるとは1%も思いませんがね」ニコニコ

隊長「……魔法は?」

イカ博士「直接攻撃以外でしたら」

隊長「完全に体力測定ね」

イカ博士「最終候補が20%も残れば上々だと思ってますから」

隊長「期待を裏切ってみせようかな」

イカ博士「是非とも」ニコッ

隊長「……都合良いわね」

イカ博士「いやぁ……」テレテレ

本日の投稿ココマデ

おじさんクリスマスプレゼントに文才が欲しいなぁ♪


つ粉砕

生体実験室…………


イカ博士『準備は大丈夫ですか?』

隊長「いつでもどうぞ」

イカ博士『では始めます』

プシュー

村女達「……」オドオド

イカ博士『先ほどの通り、あの女を殺したら勝ちです』

隊長「15対1ねぇ……」

イカ博士『彼女は武器や魔法の攻撃を禁止しています、存分に斬って下さい。斬れればですけど』

隊長「片手持ちの剣……だけど上手く使えればって所か」

村女C「もう嫌!誰か助けて!!」

バンッ!バンッ!

イカ博士『ああ言い忘れてました、その外壁は特殊な装置が組み込まれてて……』

村女C「えっ……わぷっ」ヌチャッ……ブシュッ!

イカ博士『強い衝撃を受けると、魔素の塊を放出します』

村女C「い……ひ……」デロン

イカ博士『すぐに魔力を練らないと大変ですからね……』

村女C「」シュー……

隊長「……なるほど、あたしには只の魔力補給って事ね。このスライム崩れ」

イカ博士『……(スライム生産の失敗作ってもうバレちゃった。ま、隊長さんなら100%大丈夫だね♪)』

隊長「かかってこないと暇なんだけど」

村女達「……」

イカ博士『そうだね、じゃあ隊長さんにひとつ解禁しようか。眠らせて良いよ』

隊長「……」

村女達「……?」

イカ博士『彼女はね、夢魔の一族だから眠ったら最後、全部食われておしまいだよ』

村女達「ひっ……」

イカ博士『3分間誰も戦わないならその時点でゲームオーバー……そろそろ3分かな?』

村女A「いっ嫌ぁ!」ブンッ!ブンッ

隊長「……」ヒョイヒョイ

村女B「このっ!」ブゥン!

隊長「……」グッ

村女A「きゃっ!」

ザンッ!

村女A「あ……」ビシャッ

村女B「ひぃ……」カラン

隊長「……」

イカ博士『もう戦意喪失?じゃ、ご退場願いましょうか』

隊長「……」グイッ

村女A「い……痛い……ょ」ボタボタ

バシン!

村女A「」シュー……

隊長「つまらない、こんな女達に陛下のお側が務まるはずが無いわね」

村女達「えっ……」

隊長「飽きたの。さようなら」

本日の投稿ココマデ

この実験施設で作られたスライムは魔法を行使する際にする「集中する」行動で崩れるほど弱いです
試験管の中でしか生きられないような感じの魔物でイカ博士の失敗作

>>267
きゅうしょ に あたった!

>>1 は くだけちった!

数日後…………

イカ博士「未だに候補は無しですか。でも今回は優秀な方がいますよ」

隊長「……!」

イカ博士「どうしました?」

隊長「確かに今回は厳しいかもしれない」

イカ博士「珍しいですね、貴方がそんな台詞を吐くなんて……」

隊長「この女術師、返り討ちにしようとして来た奴だから」

イカ博士「……確かにテストでもトップクラスですね」

隊長「ハンデも多いから本当に危険ね」

イカ博士「死なないで下さいね」ニコ

隊長「……それ嫌味でしょ」

イカ博士「90%本心です」ニコニコ

隊長「正直な事で……」ハァ……

実験室…………


隊長「はぁ……はぁ……」

女術師「制約のおかげで、お前を倒せる……」

隊長「舐められた……ものね」

女術師「私を甘く見たのが悪かったわね!覚悟!」

ドォーン!

隊長「良い魔力錬成……でも、爆発魔法は収束が特徴的でね……」

ビシャッ……パチャパチャ……
ヴィーッ!ヴィーッ!

女術師「かわされた!?」

隊長「だから言ったでしょ、一介の冒険者とは格が違うの」

女術師「くっ……もう一度……」

隊長「まずい……スライムが止まらない……これ以上は危ない」

女術師「食らえ!」

隊長「封印……」パチン

女術師「んぐっ……」ビキッ

隊長「……ふう」

女術師「簡易封印魔法……魔力が……」ジュルジュル

隊長「……」

イカ博士『そこまでにしよう、彼女の封印を解いてくれ』

隊長「はい……」

女術師「足が溶けて……痛……」

隊長「あそこまで溶けて倒れないなんてね……」

女術師「いつか……殺してあげる……」

隊長「楽しみにしてる」ニコ

イカ博士『……(あのまま戦ってたら施設が完全に破壊されてたかもしれませんしね)』

1年後…………


魔王「最後の生き残りはお前か」

女術師「魔王……お前を倒せば!」

魔王「終わらせてみろ!」

隊長「……」

ゴスッ!

女術師「が……」

魔王「……」ピクッ

隊長「あたしに勝てない奴が何を言ってるの?」

女術師「くそ……」

魔王「ふんっ……さっさと始めるぞ」

隊長「はい……」

女術師「ちくしょう……こんな所で……」

本日の投稿ココマデ
遅くなってしまいました

まとまった空き時間が欲しいです

おつかれさま
固定しないと細切れになるよね


無理はしないように

現代、女騎士の家…………


夢魔「ここから、魔王さまの子供を産ませる為に抵抗力を失わせて……」

女騎士「おい、まだあるのか!」

夢魔「むしろこれからだよ」

勇者「……」

夢魔「妊娠がわかったら、あのスライム崩れを全部吸収させた。魔力漬けにしてね」

女騎士「うぇ……」

魔王娘「そうやって魔力の容量を強引に上げたら……」

夢魔「最終的に自我は無くなったわね。それも目的だけど。終わったら処分されたし」

勇者「処分……」

夢魔「ざっくり言えば、魔王娘の魔力になったわ」

魔王娘「それはそれで……」

夢魔「今から27年前、最初の計画から3年後にこうやって魔王娘が産まれた」

山「儂らは、殿下が産まれた時に知らされたな」

夢魔「膠着状態だった西大陸と東大陸の戦争を激化させる為にね」

女騎士「なんでそれだけで激化するんだ?」

山「魔王の娘ならば、成長すれば必ずや脅威となる」

夢魔「陛下は封印が解かれた直後から魔界統一を宣言している。反発する者は徹底的に潰すともね」

山「元々東大陸の魔将軍と西大陸の竜王は仲が悪かったのだが、和睦に向かった東大陸の使者が西大陸に入った途端に死んだ」

夢魔「連合計画は白紙。怒った魔将軍が西大陸を経由して北大陸へ侵攻しようとした」

山「竜王側も無断で立ち入った魔将軍を通さず、強引に進軍した魔将軍と激突」

夢魔「魔将軍も一度東大陸まで下がったけど、軍を国境近くから引く事は無かった」

山「海峡のそばにある迷いの森から豊富に資源を得られるからな」

魔王娘「私が産まれて3年後、今から24年前……」

山「大規模な海上戦が始まった」

本日の投稿ココマデ

>>282
日常生活と仕事してるだけで1日なんて終わっちゃいますよ
おかげで積みゲーが山盛り

>>283
応援ありがとうございます

24年前、内海を航海中の船上甲板…………


竜兵士「両軍配置についてます」

山「……ゴロツキ共では成功したとは聞いてるが……」

海「全く問題ナシよ、あとは彼女の体力次第……」

竜兵士「……聞いてねぇや」ボソッ

魔王娘「??」キョロキョロ

雲「嬢ちゃん、船はどうだい?」

魔王娘「……」キョトン

隊長「あまり気安く話しかけないで下さい」

雲「ははっ、すまないね」

ハーピィ(風)「雲様、地図と兵力図が出来ました」

雲「ありがとう、みんな船内の方に来てくれ」





竜兵士「あれが噂の?」

ハーピィ「そ、我が軍の秘密兵器♪」

竜兵士「あんな子供が?」

ハーピィ「ずっと昔に使われてた技術を習得させたみたいよ♪」

竜兵士「ふーん、要は実験動物か」

ハーピィ「そうね、魔王サマなら跡継ぎが死んでもまた作れば良いって言いそうだし」

竜兵士「かもな!」

ハーピィ「失われた技術……生体兵器……クヒヒッ♪」

竜兵士「ん?」

ハーピィ「ううん、なんでもない♪」

本日の投稿ココマデ

作者取材の為、次回の投稿は明後日になります(^q^)

船内…………


雲「海峡とは言ってもそれなりに幅がある。恐らく船上で転移門を広げる戦いになるだろう」

海「海上から陸に転移して、拠点を一網打尽にするのね」

炎「んで、俺達はどうするんだ?」

雲「東側の魔将軍を落とす。私と海は海上の魔将軍を援護、炎と山……そして魔王娘様は魔将軍に会ってくれ」

山「了解した」

雲「この船は東大陸に寄せる。万が一の失敗に備えておく」

海「私は内海でお仕事するわよ?」

雲「十分だ」

隊長「……」ナデナデ

魔王娘「……?」

隊長「お仕事よ」

魔王娘「はい」

雲「炎、飛べるか?」

炎「任せとけぃ!」

隊長「殿下を落としたりしたら即死刑ですからね」

炎「わ、わかってますって……へへ……」

海「絶対わかってなかったわね……」

本日の投稿ココマデ

池袋のメガなんとかへ取材()に行ってきました(^q^)

東大陸…………


炎竜「いよっし!到着!」

山「……」

隊長「ぅ……」

山「……酔ったのか?」

隊長「すみません、世界が回って……」

炎竜「今日はすんげぇ大人しく飛んだんだけどなぁ」

キィン!

炎「すまん、隊長さん!」

隊長「違うの……昔から空とかが苦手で……」

魔王娘「空!」

山「そうか、殿下は初めてか」

炎「お、飛ぶの好きか!」

魔王娘「♪」フワッ

炎・山「!!」

魔王娘「できた!」ニコニコ

炎「はは、やっぱり殿下はすごい方だ」

山「まだ荒いが、その年で飛行術を会得するとは……」

隊長「……ぅえ?」

山「……少し休むか」

炎「の方が良さそうだな」

隊長「いえ、大丈夫です……」

炎「休むぞ!」

☆閑話☆

勇者「昔から飛ぶのは駄目だったのか?」

夢魔「少しくらいなら自分でも飛べるけど、飛ばされたりは無理!」

女騎士「それにしても今より相当酷かったんだな」

夢魔「ずっと先だけど、無理矢理鍛えられたから」

勇者「無理矢理?自分からじゃなくてか?」

夢魔「天馬に乗馬してて……」

女騎士「馬も駄目だったのか」

夢魔「今は大丈夫。でもまさかいきなり競争するなんて」チラッ

魔王娘「……ナンノコト?ワタシシラナイヨ!」ニタニタ

女騎士「あ、悪者っぽい」

勇者「これ、わざとだ」

魔王娘「夢魔が私にがっしりしがみついてて、しばらくまともに手綱が捌けなかったのは弁解させて」

夢魔「おかげで馬はなんとかなりましたよ!ありがとう!」フンッ

山「夢魔の一族はもっと飛行術が得意なはずなんだが……」

夢魔「そうなんだけど、あたしは夢魔としての能力はからっきしなのよね……」

本日の投稿ココマデ

続きを考えながら○ティアスの厳選中
どっかに時間落ちてないかな……

魔将軍陣営…………


鎧兵士「将軍、北大陸からの使者が……」

魔将軍「追い返せ!」

鎧兵士「そ、それが……」

炎「邪魔するぜ!」

魔将軍「な……炎の四天王!」

炎「よ。ああでも今回は俺が使者だ」

魔将軍「なん……だと?」

炎「ちょっと表まで頼むわ」

魔将軍「戦ってる最中に出られる訳が無かろう!」

炎「なら中に入れさせてもらうぜ」

魔将軍「初めからそのつもりだっただろうが……」

炎「さあ、何の事だかね」

魔王娘「……」

魔将軍「この子供が……」

魔王娘「……」ニコ

魔将軍「うっ」ゾク

フッ……

魔将軍「な、消え……」

魔王娘「……」ピトッ

魔将軍「なんだ……魔力が……吸われ……」

ガシャアン!

炎「おぉ……」

山「これが……禁術……」

魔王娘「……」ブルブル

隊長「魔力と共に生命力を奪う術」ナデナデ

魔王娘「……ダメ」ギュゥ

魔将軍「……まだ……未完成という事か……」

山「なっ!」

魔将軍「死にかけたが、なんとかなったぞ……貴様らの魂胆はわかった。もう油断せん」

ガシャッ!

隊長「まずい!」ガシッ
魔王娘「!!」

ドォン!

魔将軍「良い反応だ、この魔閃斧をかわすとは。だが……」

サワサワ……

山「ん、森が騒がしい……」

ワァァァアアア!

炎「森から敵兵?……っておい、アレやべーんじゃないのか?」


樹木兵達「!!!」


炎「やっぱり樹木兵だ!!」

魔将軍「予定とは違ったが、我々はもう先に進むのみだ!」

山「妖樹の術!実在していたのか!?」

炎「聞いた事はあったが、確か奴との契約には代償がつくと……」

魔将軍「そうだったな」

兵士「ぁ……あが……」カサカサ

炎「お前……仲間を差し出したのか!」

魔将軍「死なぬ兵!死なぬ将!我々は魔王を超えた最強の軍団となるのだぁ!」

ハーピィ「遅くなりました、地上で待機していた味方が樹木兵の奇襲を受け……」

炎「わかってる!お前は一度船を沖へ逃がせ!地上の兵は海へ飛び込めと伝えろ!俺達もすぐ行く!」

ハーピィ「はい!」

シュンッ!

魔将軍「どうした、私を殺すのではなかったのか?」

魔王娘「……」ムスッ

テクテク……

魔将軍「ふふふ、貴様らなぞ死を知らぬ我々の敵では無い!」

魔王娘「あなた……嫌い」

隊長「まずっ……」

炎「この魔力収束……」

山「これはいかん!」

キィン!!

炎竜「隊長さん!」ガシッ
山竜「炎気張れ!」

魔王娘「……どーん♪」

ピカッ!

魔将軍「ん?」






炎竜「ぬわぁ!」ビリビリ
山竜「ぬぅ……この威力……」ビリビリ

隊長「……」ギュ

本日の投稿ココマデ

すみません、もう少し投稿する予定でしたが睡魔に負けました。

2時間後…………


ハーピィ「炎様、樹木兵が消えました」

炎「そうか、なら一応成功だな」

山「味方ごと吹き飛ばすとは……」

隊長「すみません、まだコントロールが上手くいかなくて……」

炎「気にするな。結果的にそれが樹木兵を追い払う決定打になった」

山「妖樹……なるほど、命を持たぬ兵でも再生出来ない程に吹き飛ばしてしまえばどうにもならんか」

炎「魔将軍は蒸発、妖樹も契約者が消滅したから取るもん取ってさっさと引いたって所だな」

山「まともに残っているのは海上のみか」

炎「確かに地上の魔将軍部隊は干物しか無いな……」

隊長「……」

炎「まあ良かったんじゃねぇの、あのままだとマジでヤバかったと思うわ」

魔王娘「……?」

炎「樹木兵は、妖樹の根みたいなものだからな。いくら倒しても切りが無いんだ」

山「噂だけで存在しないと思っていたが……」

炎「たまたまチラッと居るって話を聞いててな。興味本位で色々調べてたのが役に立った」

山「お前、調べ物するのか……」

炎「俺だって調べ物くらいするわ!(嫁絡みってのは黙っておこう……)」

隊長「あぁ、そっちは駄目です!」

魔王娘「♪♪」

炎「おう、確かにそっちはまだ危ないな……と」ヒョイ

魔王娘「あっ……」ジタバタ

炎「……あんたなら、この世界を変えてくれるかもな」ナデナデ

魔王娘「むぅ」グシャ

隊長「あ、炎さま」

炎「子供はのびのびと育てるもんだぜ!」カタグルマ

魔王娘「!!」

炎「また空飛ぼうな」

魔王娘「……」ニコ

隊長「……」ムスッ

炎「……女の子は笑顔が一番だぜ」

本日の投稿ココマデ

何年かぶりにチェ○ーバーや○ンク○ンサー、ニュー○ガサスってス○ットを売ってるマニアックなお店に行ったら、全部最近のになってて泣いた。
またダイナマイト版○ガサス412がやりたいなぁ。

現代…………


山「大爆発のおかげで相当の被害があったが、概ね予定通りに事は進んだな」

夢魔「魔将軍は爆発で消滅、妖樹との取引で部隊も壊滅……」

山「炎の奴が東大陸に残って、流れのまま炎が治める事になった」

勇者「すごいな」

山「何故かはわからんが、ずいぶんと尽力したみたいだ。たった数年で大都市に仕上げたからな」

女騎士「確かに、あの規模はすごいね」

夢魔「でもその炎も今は……」

山「うむ、一体誰がやったんだ……」

魔王娘「風の四天王だよ」

山「なんだと!!」

夢魔「そういえば隠してたんだっけ」

女騎士「ていうか喋って良かったのか?」

魔王娘「山じいが敵じゃないってわかったから」

山「そうか、あの会議はそれで……」

魔王娘「時間稼ぎのつもりだったんだけどね。でも、山じいが生き残れたのはなんでだろ?」

女騎士「そうだ、炎は殺されたのに……」

山「わからん。が、自分を抜け殻とか言っていたな……」

夢魔「抜け殻?」

勇者「……風は自分の能力を何かしらに渡したって事か?」

魔王娘「ひとつ……あったよね……風との繋がりがあるもの……」

夢魔「……」ゾクッ

勇者「……あれか」

女騎士「黒い子供……」

山「……詳しく聞かせて貰えないか」

斯く斯く然々…………

山「なるほど……この村で起きた事が、まだ駆け出しの頃に夢魔が請け負った事件と似ていて、その事件と風が共通して関わっていると……」

夢魔「確信は無いけど、こんなそっくりなら同じと思っても良い気がする」

山「……(書類なんて普段から目を通さなかったなぁ)」

魔王娘「でも、そんなエネルギーをどこに……」

山「それが、抜け殻の答えではないのか?」

女騎士「まさか、風自身にアレを隠していたってのか!」

魔王娘「ありえない……そんな……」

勇者「あの城に戻るか?」

魔王娘「まだ魔物が残ってる。今行ったらどうなるか……」

勇者「俺が居るぜ」

女騎士「微力ながら、僕も援護する」

夢魔「でも、この腑に落ちないような違和感は……なに?」

山「……何か大事な見落としがある……と?」

魔王娘「昔の風を見ても、何か狙っているようには見えないし……」

夢魔「……そんな事ない……きっと初めから狙いがあってやってる……」

山「初めから……確かに、この規模を考えれば狙いは相当なものだ。まあ今だから言える事だが」

本日の投稿ココマデ

時間が欲しい。

とある国のあった城…………


ザワザワ……

女騎士「もう人が集まってる」

勇者「あれでもひとつの国だったからな」

女騎士「一瞬で壊滅するなんて……」

魔王娘「あの黒い子供……何かを目指してた。それがこの城なら、きっと何かある」

「うわあああ!」

勇者「!!」タタタッ

女騎士「叫び声!?」

魔王娘「ちょっと勇者!」タタタッ

夢魔「あぁ……」

女騎士「……お人好しだよね」

夢魔「……バカね」

本日の投稿ココマデ

すみません、続き出来てないです…

おつかれさま!
楽しく書いてね♪

城内…………

ゴロツキ「来るな、くそ……」

黒い影「……」

ザシュッ!

ゴロツキ「ぎゃああぁ…………れ?」

勇者「大丈夫か?」

ゴロツキ「あ、俺、助かったのか?」

魔王娘「一応ね」

ゴロツキ「良かった……って、魔物ぉ!?」アタフタ

勇者「おいお前……」

魔王娘「あら……」クスッ

勇者「……?」

ゴロツキ「あわわわ……」

ドンッ

ゴロツキ「えっ?」

魔王娘「おい、人間」ギロッ

ゴロツキ「ひっ!」

魔王娘「何しにここへ来た」

ゴロツキ「ひえぇ……」ペタッ

魔王娘「答えろ。答えないなら……」グイッ

ゴロツキ「殺さないで!ただ城のお宝を……」

魔王娘「宝?そんなものは存在しないぞ!」

ゴロツキ「本当です!この城には真実を映す太陽の鏡があるって」

魔王娘「太陽の鏡?」

ゴロツキ「噂話だったけど、この城が襲われたって事はそういうだ事と思って」

魔王娘「……なるほどな」パッ

ゴロツキ「ひえぇ……」ダット

魔王娘「……はあ、ちょっとすっきりした」

勇者「……遊んでただろ」

魔王娘「もちろん。魔物なんてひどいと思わない?」

勇者「まあ……」

魔王娘「でも、太陽の鏡ねぇ……」

勇者「知ってるのか?」

魔王娘「初耳」

女騎士「太陽の鏡は、映し出したモノの真実がわかるって言われてる秘宝だ」

夢魔「これ、どうする?」

ゴロツキ「」ばたんきゅ~

魔王娘「外に放り出しておいて」

夢魔「身ぐるみはがす?」

魔王娘「駄目」

勇者「……女騎士、それは本当にあるのか?」

女騎士「噂話だけだよ。本当にあるかは……」

魔王娘「そんな秘宝が有るなら、狙ってたものはそれと見当をつけて良さそうね」

夢魔「でも肝心なありかがわからないよ」

勇者「それならやる事はひとつ、引き出しから壁までくまなく探すぞ!」

女騎士「久しぶりにか……」

勇者「おう!」ニッコリ

魔王娘「いつになくやる気だね……」

夢魔「あたしは先にコレ捨ててくる」

本日の投稿ココマデ

ちょっと納得のいく続きが書けてないので、明日はお休みさせて下さい。

>>334
いつもありがとうございます。
上手く書けないなって思ってても、応援してくれる人が居るってだけで頑張れます。
応援の書き込みってこんなに元気が出るんですね。

城の入り口…………


ザワザワザワザワ……

夢魔「よいしょ」

ドサッ

「おい、あれ……」
「あれは確かに悪魔の羽根……」

夢魔「……」

僧侶「待って下さい。あなたです、待って下さい!」

夢魔「あたし?」

僧侶「そうです。今の方に何をしたのですか?」

夢魔「何もしてないわよ」

僧侶「では何故伸びてるのですか?」

ゴロツキ「」チーン

夢魔「勝手にぶつかって気絶した」

僧侶「……」

夢魔「もう良いかな?」

僧侶「何故魔物であるあなたがこの城に居るのですか!?」

夢魔「大事なものがあるから……かな」

僧侶「やはりあれを……それなら止めるしかありませんね!」

夢魔「なんかすごい勘違いしてるよね。仕向けたけど」

僧侶「今更後悔しても遅いです!浄化の光!」

ピサッ

夢魔「うおっまぶしっ!」

僧侶「……」

夢魔「……」

僧侶「効かない!?」

夢魔「効く訳ないじゃない……」

僧侶「それなら……えーい!」

パシッ

夢魔「良い魔力練成。あともうちょっとかな」クルッ

僧侶「あだっ!」ズテン!

夢魔「じゃ」

僧侶「あ、待てー!……うぅ……」

「やはり悪魔……」
「なんてひどい……」

城内…………


夢魔「みんなどこだろ……」

僧侶「待ちなさーい!」グスグス

夢魔「あら。って泣いてる!」

僧侶「泣いてません!」グスグス

夢魔「……あのね、この中は危険なの。わかる?」

僧侶「あなたみたいなのが居ますからね!」グスッ

夢魔「あたしは人を消す力なんて持ってないわよ?」

僧侶「またそうやってはぐらかす!」

夢魔「だから違うって……言ってるでしょ!」ビシャン!

僧侶「きゃっ!……いきなり雷魔法なんて危ないじゃないですか!」

夢魔「危なかったのはそっち。振り返ってみたら?」

僧侶「へっ?」クルリ

ゾンビ「」プスプス

僧侶「ひっ!」ウルッ

夢魔「バリバリモグモグ……よーじょうまー」

僧侶「やめて下さい!」ヒーッ

夢魔「はぁ、あなたの力じゃ間違いなく死ぬ。だから帰りなさい」

僧侶「……あ、ありがとうございます」

夢魔「じゃあ帰ってくれ
僧侶「駄目です!」

夢魔「嫌ーもうめんどくさい!」

僧侶「ここに来た目的はなんですか!?」

夢魔「……世界を救う為って言ったら信じる?」

僧侶「……半分は」

夢魔「半分ね……うん、確かにそうね」

僧侶「……?」

夢魔「世界を救うってのたまうバカ共のお守りかな」

僧侶「……」

夢魔「あたしにとって大切なのは、ひとつだけだから」

僧侶「……」

夢魔「……ああもう!あたしこういうキャラじゃないの!」

僧侶「ええっ!?」

夢魔「とにかく!あたしはこのお城に用事があるの!」

勇者「おーい、やたら叫び声が聞こえると思ったら……」

僧侶「……お兄ちゃん!?」

勇者「その声は……ええっなんでここに?」

夢魔「……なんかすごいしつこかった理由がわかった気がする」

本日の投稿ココマデ

さむい……

僧侶「それで、頑張ってやっと自分でもお仕事出来るくらいになれたんですよ!」

勇者「そうか」

夢魔「勇者、再会を懐かしむなら後にしたら?」

勇者「そうだな、まずは太陽の鏡を探さないと」

僧侶「太陽の鏡ですか?それならここに……」

勇者「……」

夢魔「なんて超展開!」

僧侶「えっと……はい」

勇者「……これが?」

夢魔「鏡……確かに鏡みたいだけど……」

勇者「真っ黒だな」

僧侶「たまたま教会で太陽の鏡を預かってて……」

勇者「これが本当に?」

僧侶「はい……」

夢魔「……これ、賢者の塔と同じ物質かも」

勇者「なんだって!?」

夢魔「みんなを集めて!」

勇者「わかった!」

僧侶「あ、お兄ちゃん待って」

夢魔「あなたは待機!」グイッ

僧侶「いたっ……」

勇者「すぐに呼んでくる!」

僧侶「……」ギロッ

夢魔「はぁ……」

10分後…………


魔王娘「結局私達は駆けずり回って魔物を潰しただけって事なのね」

女騎士「そう言うな、なかなか有意義だったと思うよ」

魔王娘「そうね、ストレス発散にはなったわ」

勇者「これが太陽の鏡らしい」

魔王娘「真っ黒の四角い板……」

女騎士「黒鉄でも無い……こんな材質は見た事も無いな」

勇者「夢魔が塔と同じ物質って言ってたが、どうだ?」

魔王娘「案外当たってるかも。試してみる価値はあるよ」

僧侶「お兄ちゃん、もしかしてこの人も……」

勇者「ああ、魔界の住人だ」

僧侶「やっぱり魔物!」

魔王娘「……」

勇者「なあ、彼女らを魔物って言うのはやめて欲しい」

僧侶「へ?」

勇者「見た目がちょっと違うだけで、みんな同じように生きてるんだ」

僧侶「お兄ちゃんがそう言うなら……」

魔王娘「がおー」

僧侶「ひっ……」ビクッ

女騎士「魔王娘、あまりいじめるな」

魔王娘「……まあ、わかってても……ね」

僧侶「魔王娘……?」

魔王娘「あの魔王の娘です」ニッコリ

僧侶「お、お兄ちゃん!」

勇者「色々あって、彼女も魔王を追ってるんだ」

僧侶「へ?なんで?」

女騎士「……必ずしも、幸せな家族がある訳じゃないんだよ」

僧侶「!!……ごめんなさい」

魔王娘「あら、ちゃんと謝れるんだ」

僧侶「……」シュン

魔王娘「いいわ別に。ちょっとからかっただけだから」

勇者「魔王娘、焦っちゃいけないからな」

魔王娘「焦ってない……と思いたい」

女騎士「うん、それで良いんじゃないかな」

魔王娘「……」

僧侶「……夢魔さん」

夢魔「ぐぅ……」

僧侶「寝てる……」

女騎士「夢魔の寝姿……か……立ったままだけど」

魔王娘「珍しいね、夢魔が寝てる姿を見せるなんて……」

女騎士「そういえば……」

僧侶「……」パタッ

勇者「おい、大丈夫か?」

女騎士「まずい……何かの魔法か……?」パタッ

勇者「くそ……このままみんな眠らされて……」パタッ

魔王娘「みんな!しっかりして!どうしたの!?」

少女「大丈夫、みんなの時間を、少し止めただけ……」

魔王娘「!!」

本日の投稿ココマデ

仕事のストレスから久しぶりにサミタを起動
有○記念の買い目を検討しながらサイ○ードラ○ンで遊ぶ

ネクスッコナンズヒーンッ
ふたつの魔王

次回は少し衝撃展開かもしれないです

魔王娘「……あなた、いつから居たの?」

少女「その質問に正しく答えるのは難しい」

魔王娘「魔力を感じない……人の姿をしてるけど、生きてない?」

少女「そうね、管理者だった存在……って言ってもわからないか」

魔王娘「管理者……?」

少女「世界のね」

魔王娘「世界?」

少女「そう、たくさんある世界のいくつかをね」

魔王娘「何それ。……いや、もしかして……管理されているって……」

少女「あなたの父親……魔王と呼ばれし存在は、何らかのきっかけで管理者を知った」

魔王娘「それが、私が産まれたきっかけ……?」

少女「かもしれない。うちにはもうわからない」

魔王娘「もう……」

少女「もう管理者じゃないから」

魔王娘「……」

少女「今は、あるヒトの夢を守るだけの存在」

魔王娘「夢って?」

少女「魔王が世界を支配しないように……」

魔王娘「!!」

少女「あなたの父親……魔界の王じゃない。もうひとつの魔王……」

魔王娘「……?」

少女「あまりにも肥沃なこの世界は、強い思いを持った魂が実体化する。強い願いが魂を形成する事もある」

魔王娘「……」

少女「始まりは、ある集団。ある世界で起きた発展の果てに出来たモノ……」

魔王娘「モノ……?」

少女「魔力を研究した果てに……ヒトはある兵器を完成させた」

魔王娘「えっ……」

少女「それは生体兵器と呼ばれた。でも、それは廃棄された。この世界に」

魔王娘「……ちょっと待って、どういう意味?話が突飛過ぎる……」

少女「それらは、後に魔王と呼ばれる概念と化してこの世界を暗黒に包もうとしていた。でもそれは、7人の賢者達によって封じられた」

魔王娘「……」

少女「賢者達は、この世界を半分に割り、その片側に魔王を封じた」

魔王娘「世界を半分に……この世界が半分に割られた世界だって事?」

少女「そう、人間界と魔界は同じ世界……同じ星に存在するの」

魔王娘「星?あの空にある星の事?どうして急に……」

少女「それは、もうすぐわかる。太陽の鏡を、塔に……」

魔王娘「ちょっと待って!まだ聞きたい事が……」

少女「ここから先は、塔で話しますね」スゥ……

本日の投稿ココマデ
やっとここまで進んだ……

外枠……

魔王娘「待って!」

勇者「……どうした?」

魔王娘「え!?」

夢魔「突然叫んでどうしたの?」

僧侶「びっくりした……」

魔王娘「……なんでもない」

勇者「まあなんだ、彼女らも人間と同じなんだから、そのつもりで接して欲しい」

僧侶「わかりました」

女騎士「まあ最初はびっくりすると思うけどな」

夢魔「バリバリモグモグようじょうまー」

僧侶「きゃー!きゃー!もうやめて下さい!」ウルウル

夢魔「アハハハ!たのしー!」

僧侶「もう!」

魔王娘「……」

勇者「……?」

魔王娘「ねぇ、魔王ってなんだと思う?」

女騎士「……え?」

魔王娘「人間界で、魔王は恐怖を与える存在……そう教えてた」

僧侶「……自分のおyんぐっ」

女騎士「……」ダメ

魔王娘「でも、勇者の旅の中で魔王以上に恐怖を与える人間も居た」

勇者「……」

魔王娘「ちょっと前に、ここへ女の子が来た」

僧侶「……!?」モゴモゴ

魔王娘「あなたじゃないの、全然違う。魔力を持たないヒト……」

夢魔「それ、人なの?」

魔王娘「わからない。でも別の魔王がいるって言ってた」

勇者「ふたつの魔王……?」

魔王娘「なんだろう、わかってるようでわからない」

女騎士「うん。でもヒントが得られたなら、まずは塔に向かおう」

僧侶「私もいきます」

魔王娘「駄目」

勇者「うん」

僧侶「どうして……」

勇者「危険だからだ」

夢魔「そうそう、このワカランチンに言ってやってよ!」

僧侶「お兄ちゃんがそう言うなら……」

夢魔「……」アレー?

勇者「俺も死ぬかもしれないくらい危険なんだ……」

僧侶「でも、帰ってきたじゃない」

勇者「次は……どうなるかわからない。だから、連れて行けない」

僧侶「……」

女騎士「……そうだ、僕の村を頼むよ」

僧侶「はい?」

女騎士「今、村が大変な状態でね。猫の手も借りたいんだ。ついでに留守も頼むよ」

僧侶「そういう事でしたら!」

女騎士「ありがとう、助かるよ」

本日の投稿ココマデ

クリスマスなんて仕事で潰れたよ社畜マン
ベリークルシミマス

秘密の呪文はwide2-15

女騎士の村…………


村長「おぉ皆様方、ちょうど良い所に……」

勇者「何かあったのか?」

村長「次元の裂け目から、魔族の方々が避難してきてなぁ……」

魔王娘「えっ!?」

村長「何やら竜族の里が大変だとか……」

夢魔「……」

僧侶「私が手伝える事はありますか?」

村長「おぉ、教会の方ですか。女騎士、お偉方はお前の家に向かわせた。詳しい事はそっちで聞きなさい」

女騎士「わかった」

僧侶「私はこっちを手伝います」

勇者「予想以上に大変になったけど、よろしく」

女騎士の家…………


女騎士「ただい……ま?」

竜幼女「ぁ……」

雲「ああすまない、先に上がらせてもらった」

山「戻ったか。風の動きがわかった」

雲「ああ、あまり良くない方でだが。竜族の里を襲撃した」

勇者「えっ!?」

魔王娘「……狙いは宝玉ね……」

山「ああ、思えば最初から宝玉を奪うのが目的だったのか……」

雲「宝玉を奪って何をするつもりなんだ?」

魔王娘「……天界へ行くつもりなんだと思う」

雲「……天界か」

夢魔「やっぱり……」

山「宝玉は持ち主以外が使えないはずだが……」

魔王娘「破壊するつもりなら関係ないでしょ?」

山「……それなら関係ないかもな」

女騎士「くっ……いつも後手を踏んでばっかりだ……」

竜幼女「逆転の一手……ある……」スッ

魔王娘「これ、炎の宝玉……」

勇者「そういえば、これは無事だったんだな」

竜幼女「違うの……これは……うちの宝玉……」

山「なんと!」

竜幼女「これは、本当の宝玉じゃないの……魔力結晶……」

夢魔「げっ……」

山「そんなものを……」

女騎士「魔力結晶ってなんだ?」

魔王娘「魔素が結晶化したもの。自然界では存在しないし、すごく不安定で危険なもの」

夢魔「作るにもすごく強い魔力練成が必要で、マコちゃんくらいの能力が必要なはず……」

竜幼女「母さんが……父さんと作った……」

魔王娘「作ったって……」

竜幼女「秘密の魔法……エルフの……」

山「そんな技術が……」

竜幼女「悪い人が使ったら……世界が消えちゃう……危険なもの……だから……絶対秘密……」

勇者「どうしてそんな秘密を俺達に?」

竜幼女「秘密のままでも……世界が消えておしまい……でも……うちはこの世界が……好き……」

雲「ふっ……」

勇者「よっしゃ!パチッと解決しますか!」

魔王娘「暑苦しい」

女騎士「ちょっ……」

魔王娘「ふふっ……頑張りましょう」

夢魔「あたしのポジションー!」

山「やはりもう少し緊張感をだな……」

☆閑話☆


山「そういえば、本物の宝玉はどこなんだ?」

竜幼女「……なぃ」シュン

魔王娘「……」

山「無い?そんな事あるまい。奴は御守りと言って宝玉の無いお前に……」

竜幼女「……逆なの」

魔王娘「……今ある炎の宝玉は、元々あなたのもの……それを炎が使ってたって事ね」

竜幼女「……」コクン

竜幼女「うちの一族は……ひとつの宝玉を代々受け継ぐの……だから……」

魔王娘「初めから炎の宝玉はひとつしかなかった……」

山「あいつ……そんな事も隠してたのか……」

竜幼女「ごめんなさい……」

山「いや、あいつはバカだが気遣いの出来る奴だからな……」

雲「で、肝心の宝玉はどこだ?」

竜幼女「うちの……中……」

魔王娘「……へ!?」

本日の投稿ココマデ

炎の宝玉は身体の一部です
これも一族の決まり

次元の裂け目…………


山「すまない、儂は人間界に残る。足手まといにはなりたくないのでな」

僧侶「むぅ……」

勇者「じゃ、行ってくる」

雲「今は海がなんとか抑えてる。急いでくれ」

竜幼女「……」

山「……魔界を頼む」

魔王娘「……はい」

バチッ!
バチバチバチ!

僧侶「……行っちゃいましたね」

山「うむ……」

僧侶「……お兄ちゃん、必ず……帰ってきてよね……」

山「奴は強い。いや、みんな強いさ。必ず帰ってくる」

ギュッ

山「むっ……」

僧侶「ごめんなさい、少しだけ……このままで……」

魔界、火山の山麓…………


魔王娘「急いで!」

雲「竜族の里は北大陸だ」

勇者「転移魔法は?」

夢魔「魔王城に!」

勇者「了解!」

シュンッ!

雲「……」

竜幼女「……」

雲「行ったか」

竜幼女「……!」

スパッ……

雲「……ちっ」

竜幼女「……やっぱり……あなたも毒に……」

雲「……」

竜幼女「……父さんは言ってた……」

雲「……」

竜幼女「この世界は病気に侵されてるんだって……たくさんの意識が消えずに残るから……」

雲「……」ニィ

竜幼女「苦しみや憎しみが消えないで……世界中に広がっちゃうの……」

雲「ぐぅ……ふっ……」

竜幼女「雲様……ずっと毒に蝕まれてたのですね……」

雲「さぁ……ナ……」

竜幼女「全てを隠して……全てから逃げて……」

エルフ「困った王子様です……」

竜幼女「……」パタッ

エルフ「ありがとう……いっぱい負担かけちゃったわね」チュッ

竜幼女「……」ニコ

エルフ「雲の四天王……もう楽になって良いのですよ……」

雲「まだ……最後の仕事が残ってる……」

エルフ「そうですね……」

竜幼女「……雲……おじさん……」

雲「……いくぞ」

エルフ「……はい」

キィン!
カキン!

竜幼女「……ありがとう」ホロリ

本日の投稿ココマデ

エルフさん突然出たからびっくりだと思うけど仕様です
詳しい説明は話中でするけど竜幼女の中に隠れてました

魔王城跡…………


魔王娘「……あの時のまま……か……」

勇者「戻ってきたか……」

女騎士「これが……」

竜王「この世界のハジマリ……」

勇者「!!」

竜王「里は……生き残りは……人間界に……」ガクガク

女騎士「様子がおかしい!」

竜王「全て……利用されていた……魔王……ニ……真ノ……魔王……」

ブワッ!

夢魔「黒い霧!?」

魔王娘「やっぱり、風が里を襲ったのは……」

竜王「ギャアアアア!!」

キィン!!

屍竜「グ……グギャ……」

勇者「苦しんでいる……」

夢魔「竜王は黒い霧に……」

魔王娘「ずっと耐えていた……竜族のみんなを守る為に……」

屍竜「……」

女騎士「泣いている……」

屍竜「最後の……戦い……を……」

魔王娘「……みんなは竜族の里に!」

勇者「大丈夫なのか!?」

魔王娘「竜王は待っている。みんなは風を……」

勇者「……わかった!」

女騎士「……死ぬなよ」

夢魔「あたしはマコちゃんと……」

魔王娘「夢魔、あなたも里へ行って!」

夢魔「……はい」

タタタッ

屍竜「……」

魔王娘「……」

屍竜「もう……自分がワカラナクなってきた……」

魔王娘「……」

屍竜「……私を眠らせてくれ……一族の旧き慣習は……私と共に……」

魔王娘「……」

屍竜「新たな世界は……今を生きる……子達に……」

魔王娘「……竜王、あなたの願い……受け取りました」

屍竜「ありがとう……グガ……」

魔王娘「……来る!」

屍竜「ガアァッ!」

魔王娘「黒いブレス……」

屍竜「フッ……グゥ……」

魔王娘「……ごめんなさい……あなたを救えなくて……」

屍竜「グルルル……」ニヤリ

魔王娘「……」

ピカッ!

本日の投稿ココマデ

4は真っ先に切っちゃったよ……

竜族の里…………


女騎士「これは……」

夢魔「思ってた以上ね……」

勇者「生き残りは……」

風「もうみんな死んじゃったワ……」

勇者「!!」

夢魔「風……」

風「アタシの役割はオシマイ……我々は全て……故郷に還る……」

女騎士「様子がおかしい……」

バラバラバラバラ

勇者「なっ!」

夢魔「宝玉があんなに……」

風「サァ……全てを返そう……」

勇者「……なんて事やってやがる!」

ガギィン!

風「……」ニッコリ

邪念の塊「……」

勇者「なっ……」

風「クスクス……クヒヒ♪」

邪念の塊「……」

ガシッ!

風「ガ……グ……」

バリバリ……グチュッ!

勇者「うっ……」

夢魔「食べちゃった……」

邪念の塊「……」

ゴゴゴゴ……

女騎士「まずい、宝玉から魔力が!」

夢魔「こんな大きな力が……」

勇者「悠長な事言ってられないぞ!魔力の渦に巻き込まれる!」

魔王城跡…………


魔王娘「……」

竜王「」

魔王娘「ぐす……ごめんなさい……」

竜王「」

魔王娘「……泣いていられないよね……」

ピシュン!

魔王娘「光が空へ……あの方向は……みんな!」

竜族の里…………


勇者「ケホ……ケホ……みんな……いるか?」

夢魔「なんとか……」

女騎士「居るよ……」

夢魔「魔王と風……結局天界に行かせちゃった……」

女騎士「……」

勇者「……」

エルフ「あの……勇者さん……ですか?」

勇者「あ、あなたは……?」

エルフ「炎の妻です……」

竜幼女「すぅ……」

女騎士「あ、竜幼女ちゃん……」

エルフ「たくさん無理させちゃったから……まだ小さいのに……」ナデナデ

勇者「いや……」

エルフ「ごめんなさい、あなた方も変わらない年だったわね」

女騎士「いや、僕は……」

夢魔「すみません、あまり時間が無いので単刀直入に尋ねても……」

エルフ「なぜ、急に私が出てきたか……ですか?」

夢魔「はい……」

エルフ「私達は、同化の技術があります……」

勇者「同化……?」

エルフ「魂をそのままに、体を共有出来る技術です。それで大地を進みました……」

夢魔「それって……禁術!?」

エルフ「はい……一般的には……伝説の中でのみ語られる魔法……」

女騎士「なんでそんな魔法が?」

エルフ「すぐにわかります……まずは魔王娘さんを……」

勇者「わかってる……」

エルフ「勇者……お願いします……この世界を……助けて下さい……」

勇者「……もちろんだよ」

竜族の里、入口…………


女騎士「おかえり」

魔王娘「ごめんなさい、やっぱり……」

夢魔「……」

魔王娘「やっぱり、魔王は倒さなきゃいけない……」

エルフ「その覚悟は……本物ですか?」

魔王娘「あ、あなたは……」

エルフ「お久しぶり……ですね……」

魔王娘「あ、あの時は……ごめんなさい……」

エルフ「それより、急ぎましょう。勇者さん、転移魔法は使えますか?」

勇者「大丈夫だ、問題ない」

ピシュン!

聖人の塔、入口…………


少女「来た……」

スタッ

勇者「うしっ!着いたぜ」

魔王娘「あ……」

女騎士「……!」

エルフ「あら……」

少女「遅かったですね」

女騎士「君が……例の……」

エルフ「神様……」

少女「そう呼んでくれるんだね」

エルフ「もちろんです……」ペコリ

少女「そう……太陽の鏡は?」

勇者「ちゃんと持ってる」

少女「ありがとう……よし……まだ活きてる……」

カチ……カタカタ……ピッ……

魔王娘「見た事もない物が……」

少女「魔王娘……手を……ここに……」

魔王娘「鏡の上に?」

少女「そう。置くだけで大丈夫」

魔王娘「……!!」パチッ

ゴウゥン……

女騎士「塔が……」

夢魔「動き出した……」

少女「……エルフさん……」

エルフ「はい……」スゥッ

女騎士「塔の中に……」

勇者「こんな事も出来るのか……」

少女「塔の扉は開かれました……その前に……天界の話をしなきゃいけませんね」

エルフ『こちらも、もう少し時間を下さい……』

勇者「早速だけど、天界とはどんな場所なんだ?」

少女「こことほとんど変わらない場所。だけど魔力の素となるものが少ない世界」


少女「天界では……自分達のいる星を地球と呼んでいます……」

本日の投稿ココマデ
次回は○タルギア並みに長い語りシーンです

少女「ある科学者が、ひとつの発見をした。生物が生きる為に必要なエネルギーを、様々なエネルギーや物質に変換出来る技術……」

女騎士「それって」

勇者「この世界の魔法そのままじゃないか」

少女「そう、ここでは魔素と呼ばれているもの……生命エネルギーそのもの……」

魔王娘「魔法って……命のエネルギーなの?」

少女「本来は少し違うけど、その世界ではエネルギー問題に直面していたからみんなが飛びついた。そして、全ての常識が変化した」

勇者「……」

少女「生活も、環境も、戦争も……」

魔王娘「戦争……」

少女「新たなエネルギーの発見は、新たな需要を生んで、新たなエネルギー問題となった。そして、遂に禁断の扉を開けてしまった……」

女騎士「古代兵器……生きた兵器……まさか……」

少女「そう、人間電池が出来上がった。そこからはあっという間に兵器としての利用まで行ってしまった……」

魔王娘「……私の……」

少女「でも最後の意地かしらね、なんとか世界の破滅は起きなかった。それでも兵器として造られた自分を持たない人間がたくさん野晒しで捨てられた」

女騎士「ひどすぎる……」

少女「家畜みたいなもの。要らなくなったら処分するだけ……でも、地球に残す訳にはいかなかった……」

勇者「……」

少女「そこで、移民星計画としてテラフォーミングされたここを最終処分場として、次々と送られた」

魔王娘「それが今の……」

少女「年数で万単位も昔の話。今のあなた達は、間違いなくこの星の人々……」

勇者「……」ググッ

少女「こうして次々と送られた命は、この世界に豊かな生命エネルギーを与える事になった……

女騎士「皮肉にしか聞こえない……」

少女「だけど、代わりに死んだ魂が強い生命に触れて第二の命となる現象が起きた……」

魔王娘「魂は、強い怨念が残れば魔物となる……」

少女「そう……そして、ある統一意識と化して少しずつこの星を蝕み始めた……」

勇者「あの黒い霧……」

少女「邪悪なる意識の集合体……七賢者時代は、それを魔王と呼んだ……」

魔王娘「ふたつの魔王……」

少女「世界を割り、隔離する事で一様の解決になった……けど、それは消えた訳ではない……」

魔王娘「七賢者は、神に祈り勇者を産んだ……」

少女「この時、地球は既に生命エネルギーを別のエネルギーとして使えなくなっていた……」

勇者「魔素の枯渇……」

少女「滅びゆく星と化した地球には、魔王を止めるどころか一瞬で蹂躙されるのみなのが目に見えていた……」

魔王娘「まさか……」

少女「元々あったある研究施設……それを使ってこの星を一定のバランスで保ち邪念をこれ以上肥大化させないようにするしかなかった……」

女騎士「でも、少し変だな……それなら邪念が今も大きいはず……」

少女「その答えは、勇者伝説……」

勇者「それって1000年以上前の……」

少女「七賢者時代と勇者伝説は何千年もの隔たりがあるの……その間に地球は歴史が一巡しちゃって、誰もわからなくなってしまった……」

魔王娘「一巡?」

少女「違う世界へ行ってしまった……残ったのは人間以外の生命と、管理施設だけ……」

女騎士「最後まで身勝手な……」

少女「……そして、管理施設はいつしか天界と呼ばれ、AIによって常に環境整備を行っていた」

魔王娘「AIって?」

少女「人工頭脳と呼ばれるもの……電子生命……」

エルフ『私の祖先です……』

勇者「えっ!?」

少女「地球では、誰も生命は造れなかった……だけど、誰も知らない所で……命は産まれていた……」

エルフ『同化の術も、元々肉体がなかったから出来るらしいです……』

女騎士「ゴーストの憑依に近いのか……」

エルフ『それはちょっと……』

女騎士「あぁ、ごめん……」

本日の投稿ココマデ

もっとたくさんあるけど、かなり端折りました。
台詞だけで説明出来るものじゃないので……

すっげぇスケールの話になってきた
とりあえず良いお年を

勇者「君は何者なんだ?」

少女「最初から言ってるわ。何も起きないように、世界の盛衰を見るだけの存在……」

魔王娘「……それでエルフさんが……」

少女「神様なら助けるでしょ?」

勇者「実際助けてるじゃないか」

少女「そうかもね……でも、自分で神を名乗るのは驕りでしか無い。今は、ただ世界がありのままであって欲しいと願うだけの存在よ」

エルフ『……嘘が下手ですね』

少女「カミサマ、ウソ、ツケナイ」

夢魔「まさに今ついたじゃない……」

少女「まあ今は只のお節介焼きってのが本当かな。個人的感情で動いてるからね」

女騎士「急に口調が……」

少女「自分の仕事はしっかりやってる。それ以外なら息抜きしないと疲れるから」

魔王娘「息抜きか……」

少女「気を張ってばかりじゃ、いつか弦が切れてしまうもの。緩めるのも大事だよ」

魔王娘「……」

少女「あなたの父、魔王は勇者伝説と同時に作られた邪念を模した偶像。でも、この世界は命でなかったものに命が宿る世界……絶対者としてのカリスマをもった者となり……その生い立ちを知って絶望した」

魔王娘「……」

少女「最初の勇者が魔王を滅ぼしたが、世界は割れたまま……更に邪念を完全に消し去る事もできなかった」

勇者「邪念は……魔王も蝕んでいた……」

少女「そう……だけど、ある子供が、邪念の寄り代となって魔王に接近……」

夢魔「風の四天王……」

少女「少しずつ……確実に……魔王の意志は天界の支配という名目の下に邪念と一体化した……」

魔王娘「……父上……」

少女「遂にふたつは重なった……でも、これはチャンスでもある……」

女騎士「チャンスって……」

魔王娘「地球では……強い念があっても……」

夢魔「それが再び命として蘇る事は無い……」

少女「そして、全ての因果を断つ剣……無明剣(ムミョウノツルギ)……無明を断ち、あるべき姿に戻す剣……」

魔王娘「この……」

勇者「ふたつの聖剣……」

少女「本来は脇差2本が合体して本差になるんだけど……扱いが難しくて今の形にしたの」

勇者「脇差?」

夢魔「細長い片刃の短剣の事ね」

少女「それは小柄」

女騎士「脇差も、それなりに刃渡りがある。本差は2m近いものもあるね」

夢魔「余計な事言わなきゃ良かった……」

魔王娘「刀剣趣味は無いわ」

勇者「使えれば何でも良い」

少女「無粋ね」

エルフ『あのー……準備出来ました……』

夢魔「ナイスタイミングよエルフちゃん!」

勇者「……みんな、準備は大丈夫か?」

魔王娘「もう帰ってこれないかもしれないし……」

女騎士「縁起でもない」

夢魔「それって向こうで暮らすって意味だったりして」

魔王娘「それも良いわね」

エルフ『始まる前から終わってからの事を考えるのは良くないですよ』

魔王娘「魔王……父上……全ての因果を……私が……」

本日の投稿ココマデ

あけましておめでとうございます

>>427
自分が15年くらい前に書いたラノベ風の何かが設定元なので、無駄に大きいです。

天界…………


ガチャ……
ギイィ……

女騎士「只の鉄の扉だと思っていたのに……」

夢魔「こんなに簡単に行き来出来たのね」

魔王娘「前……何かいる」

勇者「人の気配だ……」

機械天使「"緊急事態発生、異界生物の魔力反応を確認"……」

ヴィーッ!ヴィーッ!

夢魔「とても歓迎されてる感じじゃなさそう……」

勇者「何かこっちに向けたぞ!」

魔王娘「この魔力反応……まずい!」

ダダダダダッ!

女騎士「うわっ!」

魔王娘「ぐっ……小さい爆発に指向性を持たせて消費を抑えて……」ジワッ

勇者「おい、血が……」

魔王娘「何か発射するとは思ってたけど……こんなとは考えてなかったわ……」

夢魔「魔力反応では見れないけど、発射方向は見えてる!固まらないで!」

魔王娘「この人も……魔力が無い……」

機械天使「"目標生存……危険レベル上昇"……」

勇者「じゃあこいつらも星を管理するとかの?」

魔王娘「違う……どちらかと言うと、エルフさんに近い感じ……でも……全然違う……これは動く人形……」

勇者「人形なら……斬っても文句言われないだろ!」

スパッ!

機械天使「ガガ……」

ガシャッ

夢魔「頭無いのに普通に動いてるよ!」

女騎士「またアレが!」

ダダダダダッ!

魔王娘「魔力の消耗が直に響く……魔法障壁も連打出来ない……」

女騎士「それなら……」

ササッ

女騎士「正拳!」

ドン!
ガシャン!

機械天使「」シュー……

勇者「はぁ……なんとか……」

夢魔「見て!あの扉だけ壊されてる!」

女騎士「よし、行くぞ!」

夢魔「楽しそうだね」

魔王娘「この気配……」

勇者「ああ、魔王が居る……」

女騎士「破!」ドン!

機械天使「マ……マオ……ハメツ……」ガガ……

勇者「この声……」

魔王娘「……何か気になったの?」

勇者「女神の声に似てる……」

魔王娘「言われてみれば……」

勇者「やっぱりそうか……」

魔王娘「繋がっている……」

一旦投稿ココマデ

研究室…………


勇者「ここは……」

魔王娘「たくさんの絵が……動いてる……」

魔王「偽りの女神は……ここに居た……」

勇者「!!」

魔王娘「魔王!」

魔王「我が娘よ、全てが偽りの世界を抜け出し、新たなる世界を……」

魔王娘「……何が偽り……私達は生きている……」

魔王「くっくっく……あの世界は作られたものだ……そして、ここで全てが……見られていたのだ……」

魔王娘「作られたもの……」

勇者「それがどうした!」

魔王「それが問題なのだ!何もかもを隠し、全てをここで支配していた事こそが!」バン!

魔王娘「……」

魔王「こうして出来上がった世界は……病に蝕まれ続けた……」

魔王娘「父上も……」

魔王「私は初めからだ!何もかもが……この中で産まれたのだ……」

魔王娘「……」

勇者「それを言うなら、俺もだぞ……」

魔王「そうだ、我々が我々である為に……世界を解放しなければならないのだ……」

女騎士「それで、天界を破壊するのか……」

魔王「私が私である為に……凡庸な悪ではならない……勇者よ、ここが最後の戦いの場だ!」

魔王娘「勇者、魔王は……私達で倒す!」

夢魔「マコちゃん!」

魔王娘「管理とか関係ないじゃない……私達は今を生きているの……過去に縛られて生きていくのは……くだらないわ」

女騎士「魔王娘、それって……」

魔王娘「父上、今まで、ありがとうございます……でも、あなたとは袂を分かちます……」

魔王「……そうか、やはりお前も……奴らの犬か!!」

ブワッ!

女騎士「黒い霧が!!」

魔王「来い!勇者!最後の戦いだ!」

勇者「うおおお!」

魔王「甘いぞ勇者!」

女騎士「食らえ!」ガッ!

魔王「良い蹴りだ!」

ブワッ!

女騎士「まずい!」

ガシッ

夢魔「間に合った!」

魔王娘「聖剣……お願い……」

キィン!

魔王娘「魔法はあまり使えない……それなら……運動能力を上げる!」ホワッ

魔王「考えが甘いぞ我が娘よ!闇の意志は魂そのものである事を忘れたか!」

夢魔「魔力収束!?」

魔王娘「黒い霧のエネルギーで……」

勇者「またこの流れか!」

女騎士「爆心地は……」

夢魔「……魔王の真上!?」

勇者「しまった!魔王は天界の破壊が目的……」

女騎士「止められない!」

ピカッ!

グワァーン!

魔王娘「!!」

魔王「空が見える……青空が……!!?」

ブワッ!

夢魔「霧が空に……」

魔王「ガ……グゥ……」

ガクッ

魔王娘「父上!」

魔王「ぐっ……力が……抜けていく……」

勇者「……」

魔王「…………フハハハ!勇者よ、よくぞ来た!」

勇者「!?」

魔王娘「……父上……」

魔王「あくまでも抗うと言うか……ならば勇者、貴様を消すのみよ!」

夢魔「魔王さま……魂が……」

女騎士「……」

勇者「……逃げる事は許されない」

魔王娘「うぅっ……」

勇者「魔王娘、剣を……」

魔王娘「うん……勇者……父上を……解放して」

キィン!

勇者「魔王……これで終わりだ!」

ズバッ!

魔王「グオオオォ……このワレが……人間……なぞにィ……」

シュゥゥ……

女騎士「……終わった……のか?」

魔王娘「……終わってないわ」

勇者「なんだって?」

魔王娘「黒い霧の念は残ってる……放たれてしまった……でも……」

夢魔「マコちゃん!!駄目!」

魔王娘「私を寄り代に……集める事が出来るはず……」

女騎士「飛んで行ったはずの黒い霧が……」

魔王娘「勇者……これが本当に最後の戦い……」

勇者「やめるんだ!魔王娘!」

魔王娘「ありがとう……でも、あの時から……霧の意識がどんどん私を包んでいった……」

夢魔「嫌ああぁっ!」

魔王娘「勇者……世界の運命は私にかかってる……もし失敗したら……」

女騎士「魔王娘!」

魔王娘「私ごと、全てを終わらせてね」

ブワッ!

魔王娘「あぁっ!……あぐ……頭が……」

勇者「魔王娘ぇ!」

一旦投稿ココマデ

体調不良で寝込んでました

???…………


魔王娘「ここは、剣の世界?」

黒装束「そう……でも、それはあなたの世界……」

魔王娘「!!」

黒装束「剣はきっかけに過ぎない……女神の加護なんてものは初めから存在しない……」

魔王娘「存在しない……?」

魔王「剣は強い魔力を持っている……只のアンテナになっていただけだ……」

黒装束「私は、初めから……実験の為に産まれた……」

魔王「ヒトは皆、心の闇を抱えて生きているのだ……」

黒装束「研究は……初めからこの意識を取り込む為に行われていた……」

魔王「実験は成功……旧き魔王の概念は……魂と一体化して……お前が産まれた……」

黒装束「博士は、忘れていた……知らなかったのかもしれない……闇の意識も人の心だって事を……」

魔王「産まれたお前から、闇は一切感じられなかった……」

黒装束「魔王の子供……それ以上でもそれ以下でもなかった……」

魔王娘「私は……」

魔王「お前はお前だ。だが長き年月で蓄積された負の念を持った魂達は……寄り代を求めていた……」

幼風「ママー……パパー……」

魔王娘「!」

黒装束「しかし寄り代は……既に迷子の子供へ移っていた……」

魔王娘「どうしたの?」

幼風「あのね、ママとパパがね……消えちゃったの……」

魔王娘「そっか、じゃあ私が一緒に探してあげる」

幼風「ありがとう!お姉ちゃん!」

魔王娘「ふふっ……私も、迷子みたいだから……」

幼風「お姉ちゃんもなの!?大丈夫かなぁ……」

魔王娘「私は大人だから大丈夫なの」

幼風「大人ってずるい!」

魔王娘「そうね……とってもずるい……」

黒装束「闇の意識は……消える事は無い……」

魔王娘「消えない?それは違う。触れてるからわかる。ただ、許せなかっただけ……」

黒装束「許せなかった……」

魔王娘「悔しかった……生い立ちを呪った……闇の意識は……自分自身にかけた呪い……この子が持った強い後悔の念が……呼んでしまった……」

幼風「……?」

魔王「……わかっていたのか」

魔王娘「今わかった。私も……同じだった……支配されかかっていた……」

黒装束「私は、本当の心を隠す為の外套……」

魔王娘「玩具にされた怒り……産まれた事への悲しみ……」

黒装束「生きているのに絶望した……」

魔王娘「魔王を倒せば、解放されると思ってた……」

黒装束「でもそれも……自らの意志ではない……」

魔王娘「誰も……殺す権利は無いのだから……」

魔王「だがお前も、闇に食われかけた……」

魔王娘「死んでも良いと思ってた……でも、勇者は……」

黒装束「私を守った……」

魔王娘「どうしてかわからなかったけど、今ならわかる……」

黒装束・魔王娘「困ってる人が居たら助けるのが普通だろ?」

魔王「くっくっく……」

魔王娘「闇を祓う答えは、一番近くにあったんだね……」

黒装束「そう、大切なのは……」

魔王娘「感謝する気持ち……」

黒装束「たった一言が……世界を救う」

魔王娘「父上……ありがとうございます……」

魔王「……」

魔王娘「今なら、あなたに感謝出来る……」

魔王「そうか……私も……生きていたのだな……」

黒装束「……今度は、私自身と向き合う番ね」

魔王娘「……」

幼風「……」ギュッ

魔王娘「……あなたは……」

邪念の塊「……やあ、もう一人の自分」

黒装束「それは魔王と呼ばれていた……」

邪念の塊「魔王……そう、自分は魔王……」

黒装束「それは重圧……」

邪念の塊「未来の魔王さん」

魔王娘「……」

邪念の塊「逃げ出したかった……」

黒装束「全部壊したかった……」

邪念の塊「願いは」

魔王娘「……嘘吐き」

黒装束「……」

魔王娘「惑わせても駄目……私は……ずっと愛されてきた……みんなから……父上からも……」

邪念の塊「何故そう言える?今もこうして苦しんでいるではないか」

魔王娘「苦しんでいたのは、父上も同じ……旧き魔王……お前によって」

邪念の塊「……」

幼風「お姉ちゃん……?」

魔王娘「ごめんね、お姉ちゃんこの人に用事があるの。ちょっとあの二人の所で待っててね」

幼風「……うん」

魔王娘「……旧き魔王……私達の生きる世界が、本当の自由を得る為に……私が倒します……」

邪念の塊「面白い、その力を見せてみよ!」

ザクッ!

邪念の塊「……」

魔王娘「……」ポタポタ……

邪念の塊「何故避(よ)けなかった……」

魔王娘「避(さ)ける事は拒絶する事……あなたを拒絶する事になる」

邪念の塊「なに?」

魔王娘「あなたは拒絶され続けた……人間から、世界から、全てから……」

邪念の塊「……」

魔王娘「新しい道に向かって、あなたも進まなきゃいけない……いつまでも、過去を引きずってはいけない……」

邪念の塊「……貴様に何がわかる」

魔王娘「わからないわ。他人だもの。あなたの感じた心の痛みは、あなたにしかわからない」

邪念の塊「……」

魔王娘「でも、この痛みは……たくさんの血が流れ出る……この痛みから感じる力は……本物」

邪念の塊「うおおおっ!」

魔王娘「恨みの念なんて……本当にくだらないわね……」

邪念の塊「貴様!なぜだ!」

魔王娘「私も、沢山の命を食べてきた……だからね、あなたの心も……私を成長させる為の命……知識……」

邪念の塊「何を考えている!やめろ!」

ガシッ!

魔王娘「本当に、禁断の術なんだね……旧き魔王よ……我が血肉となり安らかに眠れ……」

邪念の塊「貴様、この私を食うつもりか!?出来ると思っているのか!?」

魔王娘「ええ。あなたはとっても弱い……その弱さは、心の弱さ……私も……そうだった」

邪念の塊「では何故貴様はそこまで強くなれたのだ!」

魔王娘「受け入れる事……それだけ……」

邪念の塊「何!?」

魔王娘「深い理由なんて無いわ……いつでも、答えは単純なの」

邪念の塊「……」

魔王娘「だって、私も今の世界が好きだもの……」

邪念の塊「我々は……私は……」

魔王娘「あなたは長き時間に取り残されてしまった……魂の残滓……もう……その意志も形骸化してしまっているもの……」

邪念の塊「世界を解放する為に……」

魔王娘「ありがとう……そして……サヨウナラ……昔の私……」

邪念の塊「まだ我々は……残っているのだ……この世界を…………壊……」サラサラサラサラ

魔王娘「あなたに残っているのは……思念も思想も失せた、ただの恨み……悲しいわ……」

魔王「……終わったか」

黒装束「……」

幼風「お姉ちゃん……?」

魔王娘「大丈夫、何も感じない……それに見えたよ」

魔王「出口か……」

魔王娘「……あれ?」

黒装束「ここから先は……あなただけの道……」

幼風「お姉ちゃん、ありがとう!」

魔王「お前は、お前の道を進め……」

魔王娘「……はい」

幼風「あ、ママ!パパ!」

黒装束「旧き魔王は……もういない……」

魔王娘「……ありがとう……」

魔王「礼なら、お前を待ってる奴らに言うんだな」

魔王娘「……はい!」

本日の投稿ココマデ

次回が最終回です

天界…………


夢魔「マコちゃん……」

女騎士「魔王娘……」

勇者「結局、助けられないのか……」

魔王娘「そんな事……ないよ……」

夢魔「マコちゃん!!」

サラサラサラサラ……

女騎士「黒い霧が……」

勇者「消えて行く……」

魔王娘「ただいま……」フラフラ

夢魔「うわああん!」

勇者「おかえり」

女騎士「おかえり」

魔王娘「みんな、あるべき場所に帰ったわ……」

勇者「そうか……」

魔王娘「私達も帰ろう、大好きな私達の世界に……」

女騎士「ああ……」

勇者「帰ろう」

魔王娘「……ありがとう、みんなのおかげだよ」





少女「ありがとう……勇者、魔王娘……」

キィィン……

少女「この剣も……必要無いわね」

パアァ……

少女「でも、これからどうしよう……」

数週間後、魔界の魔王城(仮設)…………


魔王娘「ふあぁ……さむ……」

夢魔「おはようございます、陛下」

魔王娘「その言い方やめて。嫌みに聞こえる」

夢魔「だって、魔王さまを継ぐんですよね?」

魔王娘「……やっぱりやめた!」

夢魔「えっ!?」

魔王娘「魔王である必要は無いと思うの。魔界の統一に興味は無いし、新しい世界が見つかって大変なのに内輪でもめるなんて……」

少女「殊勝な考えね」

夢魔「……」

魔王娘「あら、お久しぶり」

少女「言葉に棘があるんだけど……」

魔王娘「うん、結局全部丸投げされたってわかったからね!」

少女「あはは……きっついなぁ」

魔王娘「なーにがカミサマだっての」

少女「だから、自分は何でもないんだってば」

魔王娘「本当に、世界を見守ってるだけなんだね」

少女「本来、干渉してはならないから。自分が出てくるのは、これが最後」

魔王娘「これ……が?」

夢魔「お茶を持ってきました」

魔王娘「ありがとう」

少女「……」

夢魔「くすくす……」

魔王娘「もう……二人でいじめたら駄目じゃない……」

夢魔「わかりました、彼女の分もですね」

少女「ありがとう……」

魔王娘「それで、今度は何?」

少女「天界が破壊されて、禁断の地って呼ばれてた場所がいきなり広がったから大変で……」

魔王娘「勇者に頼んでよ……」

少女「もう向かってるわ」

魔王娘「あらま……」

少女「地球のカミサマに怒られてもう面倒で……」

魔王娘「自業自得」

少女「あー!そういう事言う!?」

夢魔「ひゃあ!」

ガシャン!

魔王娘「……」

少女「……」

夢魔「……ふんっ!」

少女「ごめんなさい……」

魔王娘「ちょっと待って、夢魔ちゃん!」

ドタドタ

魔王娘「今から地球に向かうからねー!」

夢魔「はぁ!?もう塔は起動しないんでしょ!!どうやって行くのさ!」

魔王娘「だからあなたが必要なの!電気エネルギー!」

夢魔「だったら受け取りなさい!」ピシャアン!

魔王娘「ひゃああ!」

少女「……やっと……叶えられたよ……本当の願い……」

魔王娘「ちょっと!お城壊れちゃう!」

夢魔「全部吹き飛ばした奴が言うな!」

魔王娘「わー!それ言うのやめてー!」

少女「新しい物語……新しい時代……魔王の恐怖に怯えない、本当の平和……」

地球、とある場所…………


禁断の地と呼ばれていた、太平洋の巨大な穴が突然消えた事によって……

探偵「あのバカ……」

助手「あーあ、結局大変な状態にしちゃったのね……」

探偵「まあこれからの仕事が楽になるんじゃない?」

助手「今まで隠れてた連中も動くけどね」

探偵「どっかの国が侵略とか仕掛けなきゃ良いけど……」

助手「それも良いんじゃない?」

探偵「あるべき姿って事か?」

助手「そうかもね……」

探偵「じゃ、勇者さんとやらに会いに行きますか」

助手「かの地はパンドラの箱となるのか、桃源郷となるのか……」

探偵「さあ。それを決めるのは、人間サマだよ」

助手「そうね」

パタン……


おしまい

長いようであっという間の時間でしたが、これで終わりです。
こうして投稿するのは初めてで、色々恥ずかしい点や生かしきれてない設定も多々あり、すみませんでした。

ストーリーの都合上回収しなかった伏線も多く、微妙に不完全燃焼を感じるかもしれないですが、これは「魔王娘」の物語って事でお願いします。

世界観は元々中世ファンタジーに見せたSFというイメージなので、本当は超未来な兵器なんかも出したかったです。

ちなみに、ほとんどのキャラクターや設定には色々なゲームから影響を受けたものが多いです。
完結したし、可能な限りで質問にも答えます。

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