突然やって来た彼は、そう言ってきた。
「え? え? どういうこと?」
「そのまんまの意味だよ。ドラえもんは、未来に帰るんだ」
「……」
セワシくんの隣に立つ彼は、何も言わずに立っていた。時折視線を上げて僕を見るが、目が合うと魚のように逃げてしまう。
「……ドラえもん?」
「……ごめんね、のび太くん。全部、僕のせいなんだ……」
ドラえもんは目を伏せていた。
どうしてこんなことになってしまったのか……。
――話は、今日の朝に遡る。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1414037557
「――ドラえもん! 道具出してよ道具!」
僕の言葉に、彼は溜め息を漏らした。
「……あのね、のび太くん。高校生にもなって、道具ばかりに頼るのはどうかと思うよ」
「そんなこと言ったって……今日のテスト落としたら、留年しちゃうかもしれないし」
「だったら、何でもっと早く勉強しなかったんだよ。昨日まで昼寝ばっかりしてたじゃないか」
「そ、それは……」
「つまりは、キミは最初っから僕の道具を頼りにしてたってことなんだろ?」
「……」
「……のび太くん、キミだけだよ? ジャイアンもスネ夫も、しずかちゃんも……みんな、誰も道具なんて使ってないだろ? それなのに、キミだけが僕の道具を頼って来る。それについて、何も思わないの?」
「……う、うるさい! そんなこと言ったって、僕は勉強も出来ないし運動も出来ないから仕方ないだろ!? いいから早く道具出してよ!」
「……はぁ」
そして彼は、再び大きく息を吐いた。
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