【男の娘注意】「僕を盗賊団の一員にしてください!」【少量安価】 (120)


【注意】
このスレッドには男の娘、安価、鈍亀更新などの要素が含まれています。
閲覧には、十分ご注意ください。

安価では主に主要な登場人物の名前を決めていただくことになります。
すべての登場人物に名前がつくわけではありません。

名前を決める安価は

↓1~3
のような形でとらせていただくことが多いと思います。
その際に、安価の範囲内で私が気に入った名前をこの作品内で使わせていただくことになりますので、
ご理解の方、よろしくお願いします。


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1413165195



頭領「盗賊団に入れてくれだぁ?」

男の娘「は、はい…ぼ、僕…弱い自分を変えたくて…」

頭領「自分を…ねぇ…」

男の娘「王都にいたとき…いじめられてて…それで、こんなんじゃだめだって思って…」

頭領「王都の警備隊やら騎士団やらに入れば安定した収入も得られて自分も変えられて一石二鳥だと思うんだが?」

男の娘「王都は…ダメ…だと思うんです」

頭領「それはなんでそう思ってんだ?」

男の娘「警備隊の多くは…昼から酒場で酒を飲んで…騎士団のやつらは…貧乏人をいじめて楽しんでいるのを何度もこの目で見ました…」


男の娘「で、ですから…そんな奴らの一員になるのなら…王都を抜けて…盗賊団にと思って…」

頭領「ふむ…」



女盗賊1「ま、王都の奴らが腐敗しきってるっていうのはお決まりな話よね」

盗賊1「どうするんですか?お頭ァ…こんなひ弱そうなやつ音を上げて逃げ出すのが落ちですよ」


男の娘「ぼ、僕にできることならなんでもしますから…!ですから…お願いします…!」


女盗賊2「…ですって」


頭領「1ヶ月だ。1ヶ月ここで様子を見ることにする。その経過を見て判断することにする」


女盗賊2「…人員が足りないしここで追い返す理由ないですよね」

頭領「そういうわけではない」


男の娘「あ、ありがとうございます!一生懸命頑張ります!」



頭領「と…いうわけだ。こいつの世話は女2人で頼むぞ」

女盗賊2「…私達?」

頭領「ここに女2人しかいねぇだろ」

女盗賊1「えぇー!なんでこんな弱そうなやつの世話なんか…」

頭領「そりゃ女の世話を見るのは女だろ普通」


盗賊1「そいつも入団すれば女が3人になってこっちもウハウハだしな!」

盗賊2「だけどどっかの誰かさんみたく、凶暴に育つようにはするな…ぐっはぁ!!!」ドゴォ


女盗賊2「…おー…見事なグーパン…」


女盗賊1「誰が凶暴なのよ誰が!」

盗賊2「…お前のそういうとこがだ…よ…」


「あ…あのー…」

その声は震えていてどことなく申し訳なさそうだった。


男の娘「その…3人目の女性って…僕のことでしょうか…?」


盗賊3「お前以外の誰がいるっていうんだよ?」


男の娘「え…?」




盗賊1「え、ってなんだよ。え、って」


男の娘「あの僕…男なんですけど…」


盗賊2「おいおい冗談下手すぎんだろ!」

女盗賊2「…初対面の人の冗談ほどわかりにくいものはないよ」


頭領「お前が男っていうんなら、その顔はなんなんだよ。完璧に女じゃねぇか」

男の娘「これは…母親譲りで…」


盗賊3「じゃあその声は?…全然男に聞こえないんだけど」

男の娘「自分もよくわからなくて…」



女盗賊1「じゃあその女みたいな体格は!?」

男の娘「こっ、これは…生まれつきっていうか…」


女盗賊2「…父親からの遺伝0じゃん…」

男の娘「ほくろの位置だけは父と似てるんですよ!」

盗賊1「同じ、じゃなくて似てる、んだな…」




頭領「…ま、世話頼むわ」

そういうと頭領は女盗賊達の肩に手を置いた。

女盗賊1「ちょ、ちょっと!こいつ男ですよ!?男の世話なんて私できませんよ!」

盗賊1「俺らだってこんな女みたいなやつの世話の仕方なんてしらねぇよ!」


女盗賊2「…興味深い」


女盗賊1「えっ!?」


頭領「ほら、あいつも乗り気だし頼むって」


女盗賊1「はぁ…なんで私がこんな…」

女盗賊2「…一緒にがんばろ…!」

女盗賊1「目輝かせてんじゃないわよ」



女盗賊1「ちょっと、あなたの名前は?」

男の娘「ぼ、僕ですか…?」

女盗賊1「そう、名前。教えてくれない?」


↓1~3 男の娘の名前


男の娘⇒エル「エル…、エル・クリスティアです…」


女盗賊1「なんか名前も女っぽいわね…」

女盗賊2「レアケース…」



女盗賊1「エル…ね。よろしく」

エル「よろしくお願いします!」

女盗賊2「…エルちゃんって呼んでいい?」



エル「できれば女扱いしてほしくないような…」





女盗賊1「それじゃ、さっさとあなたに仕事覚えてもらいたいから――」


エル「あ、あの、お2人の名前を…教えてもらってもいいですか…?」


女盗賊1「そういえば名乗ってなかったわね…」



女盗賊1「私は…」


↓1~3 女盗賊1の名前(漢字でもカタカナでもひらがなでも可です)


女盗賊1⇒クレア・バーネット「クレア・バーネットよ。よろしく」


女盗賊2「…クレアちゃんは意外と猫が好きなんだよ。森で見つけると猫なで声で近づいて行くの」


エル「…かわいいですね」


クレア「あなた死にたいの?」

エル「べ、別に茶化していったわけじゃないですよっ!?」

女盗賊2「…やんちゃなところもあるから気を付けて」


エル(やんちゃで済めばいいけどね…)



クレア「そんでこのぽけーっとして常に無気力なのが…」


女盗賊2の名前↓1~3



女盗賊2⇒リル「…リル・アーネスト。リルでいい」


エル「よろしくお願いします…り、リル…」


リル「…?」


エル「すいません…呼び捨てには慣れてなくって…」

リル「…少しずつ慣れていけばいいと思う」


クレア「よし、じゃあ自己紹介も済んだし、さっさと説明するわよ」


リル「…一回で覚えないとクレア怒るから…頑張って」グッ



エル「が、頑張ります…」




~~~~~~~~~

クレア「――この辺りの地形と決まりやら教えたわけなんだけど…どう、覚えた?」

エル「な、なんとか」

クレア「ならよし」


リル「…裏の森、進みすぎると迷子になって帰れなくなるから気を付けてね…」


…覚えなきゃいけないことが多すぎて数日はこのメモと睨めっこだこりゃ。



クレア「今日は日落ちてきたから訓練とかは明日からね」

エル「くっ、訓練!?」

クレア「当たり前でしょ?盗賊団に入るんだから足引っ張られちゃこっちが困るんだから」

リル「…まだ決まってないけどね」

クレア「入ってから無理って言われても困るから今やるの」

リル「…あ、なるほど」


クレア「とりあえずあなたは今日は休んでいいわよ。部屋に空きがあるから案内するわ」


そう言うと早歩きで進み始めるクレアの背中を、僕とリルは小走りでついて行った。


名前の安価の際、レスありがとうございました。
続きは夜にでも

基本書き貯めはしないのでとても遅い更新になってしまいますが、それでも良いという方、よろしくお願いします。

地の文ですが基本はエル視点で書こうと思います。

不慣れな文ではありますが、ご勘弁ください。




クレア「ここがあなたの部屋よ」

リル「・・・掃除なら仲間がさっきやってくれたらしい」


エル「・・・あとでお礼言わないと・・・ですね」

僕の言葉にクレアがピクリと反応する。

クレア「あ、あとその堅苦しい敬語どうにかならない?」


リル「・・・ここの人達、堅苦しいの、嫌いだし。私もよそよそしいのも嫌いだし」


リル「・・・友達と思って接してほしい」


クレア「あんたよくそんなむず痒いこと平気で言えるわね…」


クレア「…まぁ、私もそんな感じだからタメ口でいいわよ」

リル「・・・クレアも敬語慣れないからタメ口でいいって…だから、ね?」


エル「が、頑張って敬語直しま…直すよ!」


クレア「・・・先は長いみたいね」




~エルの自室~

リル「・・・家具は地味で日当たり悪いけど許してね」

エル「ううん、自室がもらえるってだけでありがたいよ」

クレア「部屋にあるものは好きに使っていいから・・・て、いっても机とベッドとタンスぐらいしかないけどね」


リル「・・・1人部屋だけど変なことしないでね…」


エル「し、しないよそんなこと!!」



リル「…私、具体的なことは言ってないんだけど…何を想像したのかな…?」


エル「何もしてないし!」


リル「何も想像してなかったらさっきの言葉は出てこないよね…?」

エル「うぐっ…!」



クレア「あんた新人いじめるのやめなさいよ…」

リル「…別にいじめてはないんだけどなぁ」


クレア「それと少し休憩したら飯の準備しなさいよ?」

エル「は、はい!――って、僕だけ?」

クレア「普段は作れる人が作るんだけど…あなたが何に使えるか見ておかなきゃいけないし」

エル「わ、わかったよ…頑張りま――頑張る!」



リル「…期待してるから」

エル「プレッシャーかけないでよぉ…」


女×男の娘?男×男の娘?それとも恋愛描写無しか安価次第?



~飯時~


エル「ど…どうかな…」



クレア「はい、これボスの分。今日は新入りが作ったのよ」


頭領「ほう…あいつがか…どれ」パクッ


エル「……っ」


頭領「…うまいな」

エル「よ、よかった…口に合わなかったらどうしようかと思って…!」


盗賊達「いただきまーす!」



リル「…うわ、ホントに美味しい…」モグ

盗賊1「こりゃいい嫁になるぜまったく」ガツガツ


盗賊2「おいクレア!お前料理こいつに抜かされてんじゃねぇか?」


クレア「なっ…!そんなわけないじゃない!」パクッ


咀嚼すると同時にクレアは肩を震わせた。


クレア「……そんな、わけ…!!」

>>26
一応どちらも入れるつもりではいます。
展開安価は基本取りませんが、あればいいな、という方がいらっしゃれば展開安価などを追加していきたいと思います
(ほかの要望も受け付けております)



~夕食後~


よかった…ちゃんと皆全部食べてくれた
料理がダメで見切られたらどうしようかと…


エル「まぁ…結果よかったし…あとは緊張することないよね…」カチャカチャ


クレア「食器洗い、手伝うわよ」


横から出てきた手に少し驚く。


エル「えぇ、いいよ…僕一人で大丈夫だから…」

クレア「こういう時はお礼を言って手伝わせるものなの」カチャカチャ

エル「あ、ありがとう…」




カチャカチャ




カチャカチャ



…気まずい…
あっちからわざわざ声かけてもらったんだし何か話振らないとまずいよね…
食器結構量あるからこのままでもいやだし…


クレア「ねぇ」

エル「えっ、えっっと、何かな…?」

急に話しかけられて思わず声が裏返る

クレア「…あなたって料理得意なの?」



エル「得意って言うか…ここに来るまで一人暮らしだったから自然に料理は身についてた…って感じかなぁ…」


クレア「一人暮らし…?両親は?」


エル「お父さんは僕が7歳の時に亡くなったよ。お母さんも僕が10歳の時に」

クレア「…ごめんなさい」

エル「そんな謝らなくても…誰かに聞かれるとは思ってたから大丈夫だよ」

エル「…2人にかわいがってもらってることは覚えてるんだ。お母さんには『あなたはお母さん似ね~』ってよく言われてた」

クレア「…そう」

エル「それで昨日まで王都で一人暮らししてたってわけ」




リル「…泣ける話ですなー…」


エル「うえぇ!?」

後ろから突然気配もなく話しかけられたから、思わず変な声を出してしまった


クレア「りっ、リル!?いつのまに…」


リル「…一人暮らしの下りから」


エル「…ほぼ最初からじゃないか」





エル「そういえばここって何人ぐらいいるの?さっき食堂にずいぶんいたみたいだけど」

クレア「男女含めて30人程度ってとこかしら」

リル「…1人1人の戦闘能力はその辺の騎士様より上だけど」


クレア「ってそれも知らずに料理作ってたの?」

エル「多いのはわかってたから…明日の分も作っちゃえって感じで作ったらちょうどなくなってびっくりしたよ」

クレア「少なくならなくてよかったわね…」



リル「…あ、そうだ。あとでエルちゃんに聞きたいことあるからお風呂終わったらエルちゃんの部屋に行ってもいい?」


エル「いいけど…あ、お風呂の入浴時間とか決まってるの?」


クレア「一応21時から22時が男で22時から22時30分までが女だけど…」

リル「…お風呂は大浴場になってるんだー」


エル「今何時だっけ?」

リル「…20時40分」


エル「お風呂の準備しなきゃ…あれ、でも新人が最初の方に入ってもいいのかな…この際最後の辺りで入るのが無難だよね…」


クレア「ちょ、ちょっと待ちなさい!」



クレア「あなたもしかして男の時間帯に入る気…?」

エル「え?うん、もちろんそうだけど…」


リル「…エルちゃん襲われちゃうよ…!」


エル「お、襲われないよ!だって僕男だし!」


クレア「確かにうちには同性愛者はいないけど…そういう問題じゃないのよ!」

リル「身体は女…心は男…」


エル「身体も男だよ!?」


クレア「とりあえず考え直しなさい!あなたの裸見たら男連中卒倒するわよ!?」

エル「男は男の身体見て卒倒なんてしないよ…!」


リル「…エルちゃん見た目女なんだし私達と入った方安全…」


エル「それはちょっと問題があるかも知れないよ…」

リル「…男達と一緒に入るより問題じゃない…!」


クレア「それはそれで勘弁してもらいたいわね…」






…最終的に僕専用の入浴時間が設けられ、この問題は解決した


~入浴後~


ふぅ…さっぱりしたー…
なんかふつうのお風呂より気持ちよかったなぁ…

濡れた髪の水分をタオルで吸い取っているとコンコンと2回、小気味よく扉がノックされる。リルかな?


エル「どうぞ」

リル「…来ちゃった」

茶目っ気を交えながらいつものトーンで言うリルを備え付けのイスに座らせ、僕は自分のベッドに腰を下ろす。



リル「…お風呂、どうだった?」

エル「すごく気持ちよかったよ!まるで温泉みたいだった」


リル「…あれ、温泉なの。この山の近くに源泉があってそこから引いてきてるんだ…」

エル「そうなんだ…贅沢だね」

リル「…山の恵み」





そのあと僕はリルに皆の性格や普段行っていること、盗賊としての活動は何をしているのかを聞いた


エル「ありがとう、リル。これでみんなのことを少しわかった気がするよ」


リル「…なんのなんの…そっちが色々質問したから、次は私だね」


エル「うん、なんでも聞いて!」


リル「…では…」

コホン、とリルが咳払いをして真剣な目をこちらに向ける




リル「……エルちゃんって本当に付いてるの?」

エル「あー…最近は、運ついてるなーって思うときはあるけど…」


リル「…そうじゃなくて…ん…」

そういうとリルは僕に指をさす。
正確には…僕の下腹部?お腹の辺り…?いやもうちょっと下かな…?

その指している位置とさきほどのセリフで僕は察した。


エル「つ、付いてるってそういう!?」

リルが首を縦に振る


リル「…顔も身体のラインも女子だから本当なのか気になっちゃって」


エル「ぼ、僕は間違いなく男だよ!!」


慌てふためく僕を楽しむかの様に口角が上がっていたリルの口から、とんでもない一言が飛び出る


リル「…証拠」


エル「…え?」


リル「…証拠見せて」



エル「しょ、証拠って!?!?」


リル「…顔赤くしちゃって…そういうところとっても女の子っぽいよ」


エル「べ、別に女の子っぽくないし…!」


リル「…さ、早く」

エル「早くじゃないよ!」



エル「なんでリルはそこまで知りたがるのさ…!」


リル「…私気になったら徹底的に調べ上げないと気がすまないタイプなので」

エル「だからってここまでする必要ないんじゃないかなぁ…」


リル「…エルは見た目も声も女の子だから男って信じられない…だから、調べ――」


リルのセリフが終わるか否か…そのとき扉が勢いよく開いた


クレア「リル!あんた何しようとしてるのよ…!!」


リル「…あ、クレア…今からエルが男っていう証拠を――」

クレア「そんなことしなくていいから…!」


そういうとクレアはリルの首根っこを持って退出していった


リル「…苦しいよ、クレア…」




クレア「あなたのそういうなんでも調べたがる癖、少しは自制しなさいよ」

リル「…気になるのは事実…」


クレア「あいつ困ってたじゃない…加減を覚えなさい」

リル「…でも楽しかった…!」

クレア「目輝かせてるんじゃないわよまったく…」





リル「…なんだかこれから楽しくなりそうだね」クスクス


クレア「そうね、どこかの誰かさんのおかげで10倍も20倍も楽しくなりそうね」


リル「…それってエルちゃんのことだよね?」


クレア「どっちもよ」



今日の更新はこの辺で…
実はSS何度か書いていてすべて未完で終わっているのでこんどこそ完走させるように頑張ります

レスはすべて私のモチベーションにつながりますので応援よろしくお願いします

おねショタ、私も大好物です。
おねショタで男の娘というシチュは見たことないのでうまくかけるかどうかわかりませんが精進したいと思います。

更新始めます



その次の日からは、体力づくりと称して山や野を全力で走る訓練が僕に課せられた。
教育係の2人の背中を全速力で追ってもすぐに離れてしまう。まるで猫の親子だ。

離れては2人を待たせ、僕が追いついたら彼女らはまた走り出す。
それの繰り返しだった。

たまにクレアに怒号を入れられ、リルにおちょくられながらも木と木の間を走り抜けていた。






エル「がっ…はっ…はっ…」ドサッ


走り終わると足に力が入らなくなり、一面草の地面に勢いよく腰を下ろす。
お尻で虫をつぶしてたらどうしようかなんて考えていない。絶対に。


クレア「ふぅ…まぁ、今日はここまでってとこね」


リル「…おつかれー」

リルが手を振ってきたので、愛想笑いしながら振りかえす。
…正直手を振ってる余裕も、愛想笑いする余裕もない。



エル「…あぁ…疲れた…」


クレア「でもあなた、数日でこれだけ付いてこられるようになるなんて、中々じゃない」

リル「…正直よくやってると思う」


エル「…そりゃどうも」


クレア「少し休憩したら、いつのも薪割りね」ポイッ


エル「わっ、ちょ…いきなり投げないでよ…」

クレアから投げられた水筒をなんとか反応して受け取る。


リル「…クレアきびしー…」

クレア「これも訓練の一環よ?」

リル「…訓練って言えば何でも許されるとでも…?」

クレア「本当に訓練なの!」



エル「っく…んっく………あー、生き返るー…」


リル「…エルそれおっさんくさいよ…?」


エル「え"っ」


クレア「中身は男って証拠なんでしょ」


エル「まだおっさんじゃないし…!」


~~~~~~~

僕は水筒の中身をすべて飲み干すと立ち上がり、薪割りの場所へ移動した。
2人は食事当番で下準備があるとかで先に厨房の方へと向かっていった。





エル「よい…しょ」ガコッ


エル「ふっ…と」ガラン


ちなみに薪割りは筋力トレーニングとかなんだかで、育成期間中は僕が毎日することになった。
薪は料理で使用する際の火の燃料として、冬場は暖炉にくべるときに使用される。



エル「コツはつかんできたけど…だいぶ疲れるなぁ…これ…」


エル「…もしかして期間過ぎてもずっと僕の担当になったりして…」


エル「…クレアのことだし、ありそうで怖いなぁ…」




「―――そんなことクレアちゃんに聞かれたら怒られちゃいますよ?」
男性の声が耳元で聞こえた。心臓が食道を上ってくるかと思った。


エル「うわああぁぁぁああぁッッッ!?」ババッ


不意に声をかけられて驚いた僕は、その声とは逆方向に距離をとる。


エル「ちょ…びっくりさせないで下さいよぉ…!」


「あはは、すみません…そんなに驚くとは思っていなくて…」


エル「あの…すいません…どちら様ですか…」




「確かあの時私あの場所にいませんでしたからねぇ…わからないのも無理ありません」


エル「盗賊団の…?」


「そうなんです!こう見えても一応は皆さんの仲間という扱いでして…今後ともよろしくお願いしますね」


エル「あの…まだ名前伺ってないような…」


「おっと、それは失礼しました…」




↓1~4現れた男性の名前(盗賊団のちゃんとした一員です)




シモン・バートラム「シモン・バートラムと申します。役割は諜報を担当しております。シモンとおよびください」


エル「…よろしくお願いしますね、シモンさん。私は――」


シモン「エル・クリスティアさん、でしたよね。お噂は伺っていますよ」


エル「…そうですか」


なんだか話しづらい人だなぁ…
なんか…見透かされている、そんな感じがする。


エル「え、役割…?諜報?どういう意味ですか?」



シモン「まだそのことは説明されていないようですね…では私からいたしましょう」


シモン「我が盗賊団は盗みや襲撃を行う際、各自役割が存在し、それを全うしなくてはなりません」

シモン「私の場合、その事前調査、敵の配置や行動範囲、周りの環境を調べることが主となっています」

シモン「ちなみにですが…私と同じ役割にあなたの教育係であるリルさんがいます」


エル「リルとはよく合うんですか?」


シモン「基本情報収集に出向く際には一緒に行動しますね」

シモン「余談ですが団長は私達の情報を元に作戦を立てるので、私とリルには他の団員より少し早く通達されます」




エル「なるほど…」

納得しようとしたが、1つ疑問が生まれた。


エル「僕の役割は…なんでしょうか?」


シモン「まだ正式な入団が決まったわけではありませんし…さしずめ…『雑用係』ですかね」


エル「…わかってはいたけどショックだなぁ…」


シモン「それと、私にも敬語使う必要はありませんよ」


エル「わかりま――わかったけど…シモンさんはなんで使ってるの?」


シモン「私の場合は癖みたいなものですので…お気になさらず」


エル「はぁ…」


…なんだかわからない人だなぁ


シモン「そろそろ私は広間に戻ります。私の相手になってくださりありがとうございました」

そういうとシモンは僕に背を向け歩き始めた


シモン「…それと」

背を向けたまま話しかけられた。



シモン「寝相の悪い男子は嫌われますよ」



エル「な、なななんでぇ…っ!?///」

なんであの人が僕の寝相のこと知ってるの…!?!?



~夕食時~



クレア「何よそんな深刻そうな顔して」

エル「あ、クレア…」


リル「…恋の悩み?」

エル「いやそういうのじゃないんだけど…あのシモンって人のことなんだけど…」


「あいつには関わらねーほうがいいぜ」モグモグ

対面で食べている羽織をはおった男性が口を開く。……物を口に入れながら。


「あいつとしゃべってるといつの間にか個人情報抜き取られるからな。そうじゃなくてもいつの間にかバレてるけどな」ガツガツ

話している間も一向に箸が止まる気配がない。すでに2皿平らげている。


クレア「あなたもう少し落ち着いて食べれないの?」


リル「…テーブルマナーがなってない…」


↓1~3 (対面で食べている男性の名前)



クレア「そういえば紹介してなかったわね、目の前で食い散らかしてる彼はノヴァよ」


ノヴァ「ノヴァ・クライスだ!よろしくな」

エル「僕の名前はエル・クリスティア。こちらこそよろしくね」

自己紹介をすると同時に会釈。よし、この人とはまともな話ができそうだ。


ノヴァ「……」ジーッ


エル「何か僕の顔についてる…かな」

もしかしたらご飯粒が付いているのかも知れない。
そうだと恥ずかしいので僕は急いで顔のあちこちを触り始める。

ノヴァ「そうじゃなくて、男でそんな可愛い笑顔できるやついるんだなって思ってさ」


エル「えっ…!?僕そんな男らしくないかな…」

男らしさに自信があるわけじゃないけど、そこまで女よりじゃないと思うんだけどなぁ…


クレア「ばっちり女よ」

リル「…その辺の女の子よりもずいぶんと可愛いよ」


ノヴァ「いっそ女になっちまえばいいじゃねぇか。そうすれば顔の悩みもなくなるぜ」ガツガツ


エル「やだよ!!」



~夕食後~


リル「…ねえ」

エル「どうしたの?リル」

リル「…今時間ある?」

エル「あるけど…どうかしたの?」

リル「…エルとチェスがしたくって」


エル「チェスかぁ…動かし方しか知らないんだけどそれでもいい?」


リル「…全然大丈夫!」キラキラ



~~~~~~~~~~~




エル「…うーん」コッ

リル「…」コトッ

エル「えっ、ちょ……」トッ


リル「……」カッ


エル「うわぁそんなところにいるなんて…」トッ


リル「…チェック」コト


エル「うわっ…っ!これはルークを犠牲にするしか…」トンッ





リル「…エルってさ、考えてること顔に出るよね」コッ


エル「そ、そうかな…」


リル「…アフレコ出来るレベルで」


エル「そんなに!?」


リル「…『あーここに動かしても大丈夫かなぁ』『しまった、ここに動かすんじゃなかった』…こんな感じに」


エル「…まぁ」カッ


リル「…そんで相手の行動をよく見て考えてから行動するタイプだね…慎重なタイプ」


エル「そりゃ皆そうじゃないかなぁ…」


リル「…現実での話」



エル「えっ…あ、うーん…どうなのかな…よくわかんないや…」


夕立安価のところの1か…
ふふふ、なるほどな…



エル「そういうのってチェスの指し方に出るものなの?」


リル「…大体は。あとは推測だけど…」カッ


エル「そうなんだ…」コトッ


リル「…チェックメイト」トン


エル「あちゃー…やっぱり勝てなかったかぁ…」


リル「…相手してくれてありがとう…楽しかった」


エル「相手になったかどうかわからないけど、こっちも楽しかったよ」


リル「…また、チェスやってくれる?」


エル「もちろん、僕でよかったらいつでも」


リル「…約束」


そういうとリルは持ってきたチェス盤と駒を抱えて僕の部屋から小走りで出て行った。


エル「今日は色々あって疲れたし…早めに寝よう…」

そうつぶやくと、僕は自分のベッドにもぐりこむ。

シモンって人に覗かれる心配はあるけど、考えても仕方ない。
…団員の人だから悪いことはしないよね…

そう自分に言い聞かせながら僕は睡魔が上がってくるのを感じていた。

今日の更新はここまでとなります
間に誤爆が入ったのは少しびっくりしました。

さてさて、登場人物が2人増えたわけですが…
シモンさんは私の頭の中では完璧にブレイブルーのハザマの感じ。
キャラの外見も声も皆さんの想像力で決まるわけですが…私の中はそんな感じです。

完走できるように頑張るぞい。


~数日後~



頭領「今日はお前らに王都への買い出しを頼みたいんだが…」


エル「…買い出し?」

クレア「さすがに自給自足で手に入れられるのにも限界があるから必要になったら買いに行くのよ」


頭領「見習いに教えるためにクレアにも付いて行ってほしいんだが…」


見習いって…僕のことだよね…


クレア「お安い御用よ」


頭領「決まりだな…こいつが今回の資金だ」ポイッ


クレア「……金貨10枚…今回もこの前と同じ感じ?」


頭領「ああ、頼んだぞ」




シモン「おや…これからどこへ行くのですか?」

エル「ああ、シモンさん…王都への買い出しだよ」


シモン「それはちょうどよかった!私達も一緒についていってもよろしいでしょうか?」

エル「私達?」


リル「…私だよ」

シモンの陰からひょこっと顔を出す小柄な盗賊。


クレア「それじゃあ服選びとに行きましょうか」


エル「服?このままじゃだめなの?」


クレア「私達も少しは王都の奴らに合わせなきゃ怪しまれるでしょ?」


リル「…服は共有保管庫にしまってあるんだよ」


エル「なるほど…」



~共有保管庫~

エル「そういえばさっきの『ちょうどよかった』ってどういう意味?」

シモン「実は今日の朝ボスから通達されましてね…作戦のための下調べをしに、と思いまして」


リル「…シモンと私で行くんだー」



クレア「…ほら、あんたらの服選んであげたから早く着替えなさい」

シモン「いつもありがとうございます」


リル「…こういう時クレアちゃんが大体見繕ってくれるんだよ」

エル「へぇ…」


クレア「はい、これリルの」

リル「…ありがとー」


クレア「これは、あなたの」

エル「ありが――あの…」

クレア「なによ?」


エル「これ…女性用の服だと思うんだけど…気のせいじゃないよね…?」



クレア「あなたはこっちのほうが自然なの。我慢しなさい」

エル「これ男着る服じゃないよね!?完璧にスカートだし!」


リル「…逆に女の顔している人が男性の服着てたら怪しくなる」


クレア「ちゃんとした服着てないと周りも怪しまれるんだから」

シモン「これも訓練だと思ってください」



エル「みんなしてそうやって…わかったよ…着替えてくる…」




~~~~~~~~~~~~~


エル「…変じゃないかな…」

クレア「どこも変じゃないわ」

リル「…むしろ自然体」


どこか変であって欲しかった…


シモン「皆さん準備できたようですし、行きましょうか」


エル「…なんかスカート初めて履くからすごく落ち着かないんだけど」

クレア「その割には似合ってるわよ、すごく」


エル「そこまで言わなくてもいいと思うんだけど…」ハァ



リル「…初めて」

シモン「こらこら」




~王都~


エル「なんか久しぶりな感じがする…」


クレア「いつ来てもにぎやかね、ここは」




シモン「私たちはどうしますか?」

リル「…もう少し皆と回ってから…」

シモン「了解です」


エル「えっと…今日は何を買うの?」

クレア「主に消耗品と魚と野菜ね。全部ひっくるめて売ってるようなところあるから、そこに行きましょ」




~~~~~~~~



エル「結構買ったね」

クレア「…いつもこんなもんよ」



シモン「おやおや、あんなところに人だかりが…」



リル「…結構人いるみたいだね」



エル「…?なんだろ、ちょっと見ていかない?」

クレア「まぁ、日没までだいぶ時間あるしいいんじゃないかしら?」







司会「さぁさぁ出場者はまだまだ募集中ですよ!自信のある方はどうぞ受付まで!」


人ごみをかき分け、状況の把握できるところまで移動する。


エル「一体なにやってるの?」


シモン「『第一回 王都美少女コンテスト』…と見えますね」


エル「へぇ、第一回なんだ。すごい盛り上がりだね」


リル「…エル出れば?」


エル「…僕男なんだけど」


シモン「見たところ身体検査は行われていないようですしバレる心配はなさそうですね」


エル「盗賊は目立つことだめなんじゃないの!?」


クレア「あなたが出たところで盗賊団の一員だなんてわからないわよ」

くっくっく、とクレアが笑ってみせる。正直嫌な予感しかしない。




クレア「じゃあそうね…あなたが出場したら、2ヶ月あなたの料理当番リルと一緒に代わってあげるわ」

リルも一緒にコクリとうなずく。


シモン「では私は、入賞したら3ヶ月年あなたの薪割り当番変わりますよ?」


クレア「どうかしら?」



エル「…やってやろうじゃないか…!」


そういうと僕は受付に急いで向かった。





クレア「あの子…あんなことで安々と受けちゃって…大丈夫かしら」


リル「…将来が心配」


シモン「将来というより私はあの子が男として生きれるのか心配ですよ…」


3人が口ぐちにエルへの不満を言い放った。



~~~~~~~~~

司会「次はエントリーNo.12!エル・クリスティアさんです!」




クレア「あいつ本名で出場しやがった!」

リル「…盗賊としての自覚が足りない」


シモン「あの顔は『やっぱり口車になんて乗らなきゃよかった』って顔ですね」

クレア「あんなにガチガチに緊張する必要ないのに」



司会「エルさんは趣味などはありますか?」


エル「趣味ですか…!?えっと…えっと…」

趣味…趣味…あれ、最近ハマってることってあったっけ…ずっと訓練で忙しかったからなぁ…
訓練…あ、そうだ!


エル「趣味は料理です!!!」




クレア「…そこで女子アピールしてどうすんのよ」ハァ




司会「おっとこれは家庭的な一面をお持ちのようだ!得意料理は何ですか?」


エル「えっと…肉じゃが…ですかね」




リル「…女子じゃん」

シモン「…将来いいお嫁さんになると思いますよ…」


~~~~~~~~~~~~~


司会「それでは結果発表です!参加者20人の中から優勝を勝ち取ったのは…」

ダラララララララ…

ジャン!


司会「No.12!エル・クリスティアさんです!どうぞ前へ!」




クレア「まさかとは思ってたけど…」

リル「…『なんで僕なの』って顔してる」

シモン「エルさん以外は自意識過剰な方ばかりでしたからね…」



司会「優勝者のエルさんには商品の金貨50枚が送られます!!」


エル「ど、どうも…」


司会「そしてなんとここで!サプライズゲストの登場です!」


司会「なんと!我が国の先導者、王子の登場です!」


↓1~3王子の名前(○○○王子のような感じで)



司会「多忙の中お越しいただきました!ユリウス王子です!」

キャーキャー
ユリウスオウジー


ユリウス王子「優勝おめでとう。エルさん」

エル「あ、ありがとうございます…ユリウス王子…」

ユリウス「どうしたんだい?声が小さいが…」

エル「すいません…き、緊張していて…」


ユリウス「なるほど…それは無理もない…」


ユリウス「それはそうと…舞台そでから君を見ていたが…その可憐さと誠実さには惹かれるものがあったよ」

エル「そ、そんなこと…」


ユリウス「是非君を私の側室として迎え入れたいな」


そういうとおもむろに僕の手を取り、王子は膝をつき――手の甲を空に向けた。

そして―――


王子の唇が甲に触れる。


王子の恰好は忠誠を誓う騎士そのままだった。


うえぇっ…!?!?
悪寒が体中を駆け巡る。手の甲にキスをされるのはもちろん、キス自体初めてだった。

いや…このキスはノーカウントだ。そうに違いない。


嫌がっていないのを顔に出さないように、精一杯の笑顔を作る。



エル「お言葉はうれしいのですが…突然すぎてまだ心の準備が…また機会があればお声をかけていただきたいです」


ユリウス「そうか…それは失礼した。ではまた別の機会に」




―――この国の王子様なんてもう会うことないよね。

この時の僕は少なくともまた声をかけられるなんて思ってもいなかった。








~山賊の拠点~

あのあとリルとシモンさんとは別れて、クレアと2人でここに帰ってきた。


頭領「そうか…それで金が増えて戻ってきたのか…」


クレア「あれは傑作だったよ…!今思い出しても笑えるわ…!」

エル「こっちも色々と学んだよ…」



頭領「とりあえず休んでくれ。資金も増えたことだし、よくやってくれたよ」








クレア「それにしてもキスなんてされちゃって…どうだった?」

エル「どうもこうもないよ!びっくりしたし男の人だったし…最悪だよ…」

クレア「あなたキスってしたことあるの?」

エル「…ないけど」

クレア「…ふーん」

エル「クレアは?そういうんだったらしたことあるんだろうね」

クレア「あなたが私にタイマン勝てるようになったら教えてあげるわよ」


どうせやったことないんだろうけど…


クレア「…なんか今余計なこと考えたでしょ?」

エル「ぜんっぜん!全然考えてない!!!」



今日の更新はここまでとなります
このSS、多分というか確実に長くなります。それでもいいという方、応援よろしくお願いします。

まとめのほうで色々見ていたら、名前を付けるSSはくさいという方が結構いらっしゃっいました。
私は「女盗賊!」とか「男の娘!」で呼ぶのは不自然だと感じる人でして…
そういう方から見てこのSSもくさいのでしょうかね…



それから半月ほど経過して、頭領から入団の許可が僕に下りた。

お前には合わない、なんて言われたらどうしようかと思っていたけどそれは杞憂だった。


皆に入団のことで祝ってもらった時はこの上なく嬉しかった。
僕の居場所はここなんだって、そう思った。




僕が入団してから2日たった。



リル「…皆から聞いた。…おめでとう」

エル「ありがとうリル!これからもよろしくね」

シモン「おめでとうございます」


エル「ありがとうシモンさん…もしかして今日まで情報収集に?」


シモン「えぇ、その通りです」

エル「長いんだね…」

シモン「いえ、こんなの全然短いですよ」

リル「…長いと2ヶ月とか3ヶ月になる」

エル「…お疲れ様、今度なにか僕にできることあったらやるよ…任務のご褒美…っていうのも違う気はするけど…」



リル「…約束ね」





~~~~~~~~~~~~~


頭領「…お前に話がある」

クレア「なによ改まって」

頭領「新入りいるだろう?…リルじゃなくてなんだったかな…」

クレア「…ボス人の名前覚えるの苦手よね…エルがどうかしたの?」

頭領「そうエルだ…そいつに演技指導をしてほしいんだ」

クレア「演技ぃ?私もそんなのできないんだけど…」

頭領「できる範囲で構わない。今度の作戦の要になる予定なんだ」

クレア「…私にできるならやるけど…それでどんな感じの指導をすればいいの?」


頭領「そうだな…可憐で清楚で魅力的な…かな」


クレア「………」


頭領「別に俺の趣味じゃねぇよ。引くな」


クレア「何のためにそんなことするのよ…」


頭領「実はだな―――」


~~~~~~~~~~~~~



クレア(あいつ…まぁ、ちょっと指導すればあとは流れでできるようにはなりそうだけど…)


クレア「ねぇ、ちょっとエル」

エル「んー?何かなぁ」モグモグ

パンを口に含みながら器用に答える。

クレア「ボスに言われてあなたを指導するように言われたんだけど…時間あるわよね?」

団長が…?僕に一体なんのことだろう…

エル「時間ならあるけど…」


クレア「なら決まりね…場所はどうしよ…森の中でいいわね」

クレア「あなたも来る?リル」


リル「…面白そうだし行こうかなぁ…」モクモク


クレア「なら決まりね。昼食食べ終わったら行くわよ」





~裏の森~


エル「で、僕は何をすればいいの?」


クレア「あざとく、女々しく、どんな男も惹くような女になりなさい」

エル「…何を言ってるのかわからないんだけど…」


リル「…!」


エル「これなんか必要なことなの…?」


クレア「詳しくは言えないけど…あなた今度の作戦に参加することが決まったから、それに向けて」


エル「ええええ!?僕まだちゃんとできる自信ないんだけど!?」


クレア「自信をつけるためにやるんじゃない。それじゃ、始めるわよ」






~~~~~~~~~~~~


クレア「…まぁ、こんなもんね」


リル「…これは…すごい才能をお持ちで…」



エル「……すごく恥ずかしいんだけど」


このまま行くと男らしく生きて欲しいと言われた父に顔向けできない。


クレア「そうね…この成果を誰かで試したいわね…」


リル「…この時間帯だったらそろそろあいつがこの辺に来るころ」

クレア「あぁ…確かあいつこの辺で寝るのが日課だったわね…」


リル「…決まりだね」

エル「あいつって誰…」


クレア「見てからのお楽しみってやつよ」


そいつ――ノヴァ・クライスは乱雑に生えた黒い髪を掻き毟りながら、森の方へと向かっていた。


ノヴァ「あー…ねみぃ…」フワァ

ノヴァは近くの木の上で寝るのが日々の決め事であり、楽しみでもある。


身軽に手軽な木の上まで上ると、足を伸ばし寝る体制に入る。


――ここは風通りもよくて心地いいんだよな


ノヴァがうとうとと、眠りに入る狭間に、木の下で誰かが咳き込む音が聞こえた。

上半身を動かし覗いてみると、そこには先日入団を許された新入り――もといエルの姿があった。


ノヴァ「なにやってんだあいつ…」

めんどくさいと内心思いながらも、木を飛び下りてエルに声をかける。


エル「げほっ…ごふ…がっ…はぁっ…」

ノヴァ「おい、お前大丈夫――」

エル「……た、たすけて…」

消えかけるような声で助けを求めるエルのそれを聞き、ノヴァはただ事ではないことを悟り、走り寄る。




ノヴァ「おいどうした?」


エル「ううぅぅ……はあっ…はぁっ…」

ノヴァ「おい大丈夫か?なにがあった」


エル「胞子……きのこの胞子を吸って…から」

エルのその顔は、赤面していてどこか苦しそうだった。


ノヴァ「どこか苦しいか?」

その一言は発した次の瞬間、介抱しようとしていたはずの男が少女に押し倒される。



エル「胸が苦しいの…っ。どうしていいかわからないくらいに…!//」


ノヴァ「お…おい!?」

エル「ねぇ…触ってよ、僕の胸…こんなにどきどきしてる…」

そういうとエルはノヴァの手を持ち、自信の胸まで運ぶ。

ノヴァ「なななっ…!?///」


エル「僕…おかしくなっちゃったのかな…」

息を荒くさせながら、ノヴァの顔に近づく。




エル「――僕…ノヴァさんになら…何をされてもいいよ…?///」

少女の囁きが、男の脳を蝕んでいく。

エル「だから…僕のこと…『治療』してほしいんだ…」


ノヴァ「ち、治療…?だって俺治し方とかわかんねぇし!?」


エル「…嘘。本当はわかってるくせに」クスクス



エル「わかってるんでしょう?」


ノヴァ「いや…だって俺…!」


エル「さっきも言ったけど…僕はあなたになら何されても――ううん、して欲しいの…///」


エル「だって僕は最初からあなたのこと―――」





そういうとエルはどこからか取り出した木製のナイフをノヴァの喉元にピタリとつけた


ノヴァ「………は?」



クレア「なんか違うわねぇ…」

リル「…意外と大胆なんだね…エル」


2人は口ぐちに感想を言いながら、木の陰から姿を現した。

それと同時にエルは頭を下げる。


エル「ごめんノヴァさん!!実は―――」






一通り説明を受けると、ノヴァはようやく納得する。

ノヴァ「つまり、練習の成果を見せるテストだったってことか」

エル「本当にごめんなさい…」

ノヴァ「いや、お前は悪くねぇ…悪いのはそっちの2人だ」


クレア「私はボスに依頼されてやっただけよ?」

リル「……同じく」


ノヴァ「ったく…」


ノヴァ(それにしても演技がまるで本気みたいだったな…本気だったらあのまま…)


ノヴァ(って!なんで俺エルに期待なんてしてんだよ!!そもそもこいつは男で――!///)


エル「本当にごめんね…」


ノヴァ「い、いや、いいってことよ!はははは!」


そういうとノヴァは全速力で拠点の方へと走って行った。



今日はこの辺りで。
こういうおとなしい人が積極的とかっていうギャップいいですよね…

もう少しキャラ増えたら一覧としてまとめたいと思います。



~半月後 某屋敷~


周りから見ると控え目なドレスに身を包み、僕はあるパーティー会場にいた。

周りは政治家や商人ばかりで、盗賊の僕がいるはずのない空間だった。


でも僕は、演じなければならない――作戦完遂のために




~数十日前~


頭領「今回の襲撃には、エルも参加させることにする」


エル「ぼ、僕ですか…?なんかすごく心配なんですけど…」

クレア「なに言ってるのよ。そのために練習させてたんじゃない」


頭領「そうだ。今回エルにはある政治家の娘としてパーティーに参加してもらうことになる」


シモン「しかし、大丈夫ですか?エルさんは先日入団したばかりなのに…」


頭領「そんなの遅いか早いかだけだ。いずれ襲撃に参加させようとは思っていた。


頭領「そして作戦なんだが、エルが演じる政治家の娘を鉢合わせさせないために会場に着く前に抑える人員が必要になる」


頭領「それをクレアとエルに」


クレア「わかったわ」

リル「…了解」



頭領「状況報告を俺に随時報告するのをシモンに」


シモン「かしこまりました」


エル「そしてエルになにかあった時のための護衛をノヴァに」


ノヴァ「了解した」


エル「ほかの者には細かな行動を指示することになる。あとで俺のとこに来るように」


盗賊達「応っ!」




頭領「そしてエルの役割なんだが…」





~~~~~~~~~


その人に近づいて倉庫の鍵をぶんどる…と


頭領『ターゲットは近辺の村の管理を任されている豪族だ』

頭領『倉庫に貯め込んだ近辺の村からぶんどった金を全部村に返してやる』


全く…その後のこととか対処してるのかなぁ…

会場の窓から月を見ながらため息を吐く。



考えてみると金を取られたこのパーティーの主催者が逆上してもっと重い年貢を村に強いるかも知れない…

その辺りは…なんとかなるってボス言ってたけどさぁ…





豪族「君、浮かない顔をしているけどどうしたのかな?」


考え事をしていると、ターゲットが話しかけてきた。
願ってもないチャンスだ。


エル「私、――の娘の…」




エルの偽名 >>111

ヘレナ・クレンシュ

あ、、苗字いらなかったか。
がんばれー

>>112
そうですね…この際苗字も使わせてもらいますね


エル「――ヘレナ・クレンシュと申します」


豪族「おお!あのクレンシュ議員のご息女でしたか…なんと麗しい…」


エル「お褒めに預かり光栄ですわ」ニコ


練習してきた最高の作り笑顔を豪族にぶつける。


エル「私もあなた様にお会いできてうれしく思います」



エル「――前々からお役に立ちたいと思っておりました」


豪族「…ほう」


豪族の目が見開き、僕を見る目が変わる。


エル「私がお役に立てるのならどんなことでもします…ですから、あなた様と2人になれる部屋をご用意いただきたいのです…」


豪族「部屋ならもう準備は済ませてあるよ」


こいつ…初めからそのつもりで…

まぁこっちもそういうつもりの方がスムーズに行くんだけどね…


豪族「そういうことなら話が早い…すぐに向かおうか」

僕の肩に手を回し、会場の奥の扉へと向かっていった。


その間、僕の首筋を嫌というほど触られた。

―――勘弁してよもう…



~屋敷 ある部屋~

ここからには流石にノヴァも入れないので完全に僕の戦いになる。

――豪族に精力剤と称して睡眠薬を与え、眠らせた後に身体検査をし、鍵を見つける…
僕は作戦の内容を頭の中で繰り返す



豪族「さぁ座りたまえ」ギシッ

豪族はベッドに腰掛けると、僕に手招きする。
ベッドの前にはフルーツの盛り合わせや、水瓶、コップなどが置いてある。


僕は緊張しながら豪族の隣へと座る。

エル「あの――」


僕がしゃべると同時か、少し遅いタイミングで豪族が僕に命令する。


豪族「後ろを向きなさい」


エル「え、あ…はい…っ!」


豪族の言葉に反射的に反応してしまい、返事をしてしまう。
しまった…薬を進めるタイミングが…!

ここで話を戻すのも不自然なので、僕は豪族の言うとおりにする。


―――大丈夫。また進めるタイミングは巡ってくるはず…。

僕は自分に焦らないよう、言い聞かせた。



豪族「僕はね…うなじが大好きでねぇ…君のようなかわいい娘のうなじを触るのが趣味なんだよぉ…」


豪族の手が触れるところが妙にくすぐったい。


手つきがなんかねっとりしててすっごく嫌だ…


豪族「あぁ…いいねぇ…最高だ…手入れも行き届いていていい感じだぁ…」


後ろから聞こえる声に悪寒を覚えながらも、彼を拒むしぐさをしないように耐える。




豪族「背中はどうなっているんだろうねぇ…?」

豪族は僕のドレスに手をかけようとする。


――も、もう無理!早く薬を…!!


エル「あ…あの…こちらのお薬をお飲みいただきたいのですが…」

我ながら不自然さを実感する。

豪族「ん…?なんだねそれは…」


一旦触る手を休め、僕が差し出したものを注視する。


エル「せ、精力剤でございます…」

豪族「変な薬じゃないだろうね?」

エル「は、はい!もちろんでございます…!」

豪族「なら、いただこうか…」



豪族は僕の手から錠剤を取ると、机の上にある水瓶から水をコップに移した。
薬と一気に飲み干すと、こちらを向く。

豪族「それじゃあ…続きをしようか」

…少し経てば薬が効くはず――それまで我慢しないと…


再び僕の隣に座ると背中を撫でまわしてくる。



もう少し…もう少し…


豪族「…脱がすよ」



エル「え…――……は、はい…」


早く…早く…っ!



豪族「きれいな背中だねぇ」


そういうと僕の背中を嫌な手つきで撫でまわしてくる。

下を向いて強く目をつぶり、薬が効くのを待つ。







急に、豪族が僕の前の方に腕をまわし、腹を撫でまわし始めた。


エル「―――っっ!!?」

声を出さないように声を抑えていると豪族が僕に寄りかかってくる。


も、もうダメっ――――!



……?なにもしてこない…?

豪族は寄りかかっただけでそれ以外はなにもしてこない。
さっきまで撫でまわしてきた手もピクリとも動かなかった。


おそるおそる振り返ると、豪族は寝息をかいていた。


エル「――――よかったぁ…」

胸を撫で下ろすと、彼をベッドの上に寝かせ、はだけたドレスを着なおす。


エル「多分ジャケットの裏ポケットに――」チャリン


エル「びーんごっ」



僕は鍵を抜き取ると、豪族が使ったコップと水瓶を部屋の外に運ぶ。

これを見つけた盗賊団の1人が、鍵を取る算段になっている。


今日の更新がここまでで…
やばい、イチャラブ要素入れたいのに全然行けるような展開にできない
これじゃあ申し訳なさすぎる…!

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