寄生された犬っころ「宿主に不満が――」 新一「だったらおれの右腕に来てくれよ!」 (26)




ミギー 犬「…………?」





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ミギー「新一? 何を言ってる?」

新一「いや、だってお前より絶対あいつのほうがいいって」

ミギー「バカな、ヤツは犬だぞ」

新一「犬だからなんなのさ。お前は犬どころの話じゃないだろ、この化け物」

ミギー「新一、それを言うならアイツも――」

新一「うるさいな! そんなことは今どうだっていいんだよ!」

ミギー「……」

ミギー(こいつ、目がかなりマジだ)

ミギー「だが、待て。相手がそれを望むとは限らない」

ミギー「あー、犬。お前は、この男の右腕なんて嫌だろう?」

犬「くぅん」ニコッ

ミギー「おい」


犬(せっかくそっちが勝手に揉めてくれてるのに余計なこと言うわけ無いだろ)

犬「わん、わん(低音)」

新一「あぁ……良い」

新一「低い声は落ち着く。本当に落ち着く」シミジミ


ミギー「頼むから新一、冷静になってくれ」

ミギー「なぜ、突然そんなキテレツなことを言い出した」


新一「キテレツ? お前、何言ってんだよ。忘れたとは言わせないぞ」

新一「勝手に自分の言いたいことベラベラ言ったかと思ったら、都合悪くなったら眠る」

新一「それよりも前、よりによって村野の乳を勝手に揉んだ。まだ仲直りできてない」

新一「お前が怖くてあんまり顔には出てなかったけどな、こっちはずっと腸煮えくり返ってたんだよ」


ミギー「……キミの意見をこれまでないがしろにしてきた節があったことは確かに悪かった。謝ろう」

ミギー「けれど、村野の乳を触ったのはキミにとって、俗に言うラッキースケベにあたるものなんじゃ……」

新一「何がラッキースケベだバカ! お前が勝手に右手動かしてるから、触った感触なんて全然わかんなかったよ!」

新一「村野の乳この手で触ったのに! 村野の乳を触れたのにっ!」

ミギー「ごめん」


ミギー「……しかし、やはり腑に落ちない」

ミギー「キミは警察に行くだの言っていたじゃないか。犬の頭ならいいというのか?」

新一「…………」




新一「――おれさ、気づいたんだよ。あの犬こそが、おれのミギーだって」




ミギー 犬「…………?」




ミギー「その、ミギーとはなんだ?」

新一「おれの右腕の名前だよ、自分でさっきつけた」

ミギー「そうか」


新一「ミギーの声はさ、なんていうか、もっと落ち着いた大人の男性の声であるべきなんだよ」

新一「それがなんだよ、お前の声。とってつけたような宇宙人声? 異生物の声? すくなくとも男の声じゃない」

新一「お前みたいなのが、ミギーなんて、俺は絶対嫌だ」

新一「本当のミギーは漢と漢の友情を温められるようなもっと渋い声なんだ」


ミギー「……新一、それは艱難辛苦をこれから共にしていけば、例えばキミの親族の死を共にわかちあうとかすればきっと乗り越えられる――」

新一「うるさいな! 生理的に無理なんだよ!」

新一「お前の声、処女膜から声が出てないタイプの声だろ!」

ミギー「いったい何を言っているんだキミは」


ミギー「つまりあれか、お前はわたしの声が気に入らないから、ヤツと交代しろというのか?」

新一「だってどっちも怪物だし、選ぶなら生理的に我慢できそうな方を選びたいよ」

ミギー「そんなことになったら、わたしは全力で抵抗するぞ?」

新一「なら勝ったほうが、おれの右腕ってことになるね」


新一 ミギー「…………」

犬(これ、どう見てもチャンスだよな)



ミギー「!」


ミギー「逃げろ!」

新一「え!?」

ミギー「走れっ! 早くっ!」


新一「な、なんだよ!」ダッダッダッ

ミギー「殺意を感じた!」

新一「そりゃそうだろ! だってこれから俺の右腕がどっちになるかを巡って争ううんでしょ!」ダッダッダッ

ミギー「違う! そういう話ではない!」

ミギー「人間のままのおまえを異常なほど警戒しているっ!」

新一「……お前! 自分が心証有利になるよう嘘ついてるだろっ!」ダッダッダ

ミギー「うるさい、バカッ! 信じてもらわなくても構わんが、なんにせよ戦うぞ!」




犬「」チーン



新一「ミギー……。ミギぃー……っ!」グスグス

ミギー「新一、何をしている」

新一「何って墓を掘ってるのさ……」グスッ

ミギー「墓?」


新一「ああ、死んじまった俺のミギー(予定)のための墓だよ……」

ミギー「墓標はどうした?」

新一「はっ、そんなのいらない。この木が、お墓の代わりになるんだから」





新一(犬の体は分解されて養分になり…………この木に受け継がれる)




新一「死んだ……、ミギーが…………」



心臓をこいつに盗られて、握りつぶされて、バカだったから……



新一「うわああああああああああああああ」


ミギー「新一……」





ミギー(なぜ泣く。人間というものは、よくわからん)

一ヶ月後


新一「なあ、ミギー」

ミギー「うん?」

新一「お前、村野の乳、前に触ったじゃないか」

ミギー「触ったな」


新一「そっくりその形と感触を再現してみせることってできない?」

新一「できれば顔つきで、観賞用だから唇の感触は特にこだわらなくていい」


ミギー「新一……。たくましくなったな……」


終わり

一話見終わってSS書きたい衝動が我慢できなくなったので眠いけど書かずにいられなかった

BGMとか、「ぎょえー塚原卜伝」を削るとか、スマホやネットをミギーの学習に絡めるとか
不良に絡まれるっていう現代じゃなさそうなイベントを変えるとか
現代に合うようなアニメ化にしようって頑張りを見るのが一話とても楽しかったので
食わず嫌いしてる人が見るきっかけになればと思い書きました。合わない人は見てもやっぱり合わないでしょうけど一回くらい

ミギーの声は慣れるのに相当時間かかりそうですが、とりあえず始終爆笑しながら聞けばいいかなと思います
犬の死体の処理どうしたのか、原作でも疑問だったから、せっかくならアニメそこやってくれると嬉しかった

本放送、ニコ生 ニコニコの配信で一話計三回視聴したらだいぶ平野ミギーに慣れた、原作イメージは今も男声だけど

キャラデザ、PV動画、オリキャラの存在、とか色々からして「現代風甘口のカレー」が出てくると放送前からわかってるんだから
カレーは辛口じゃなきゃカレーじゃないとか言わずに、原作と対比して楽しもうとすれば十分楽しめてるけどねえ
原作のこのコマがこのシーンだなってまるわかりなところ相当多いし、尺その他の制約内で結構リスペクトあると思うんだけど

一話の車に関するバーーーローーの思い切りの良さ頑丈さは、食卓での虫に対する反応含めて
のちのち田宮の「お前すこし混ざってるな」を強調する演出だろうか

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