新井ソフィア「ドーム行こうぜ!」 (40)

浅見花子「ドームって所沢の?なに、コンサートでもあんの?」

ソフィア「ちげーよ、野球だよ野球!」

花子「え?なにそれ、野球の観戦に行くってこと?」

ソフィア「そうだよ」

花子「マジで!?ありえねー!オッサンじゃん、オッサン」ハハハ

ソフィア「うっせー!」

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花子「マジうけるわー……」ハァハァ

ソフィア「笑いすぎだろ」

花子「いや、悪い悪い。けどなに、前からそんな趣味あったわけ?」

ソフィア「そりゃー埼玉県民なら当然!……と言いたいとこだけど、見始めたのは今年からだ。親に連れていってもらってな」

花子「へえ」

ソフィア「その時めちゃめちゃ楽しかったんだよ。生の歓声が凄くて、観客みんな一緒に盛り上がってな。私は一応野球のルールも知ってるし、そこからドップリはまったってわけ」

花子「ふーん」

ソフィア「本当は前々から皆と見に行くことを考えてたんだけど、インターハイまで皆必死になってやってたからな。さすがに、それが落ち着いてから声かけようと思ってたわけ」

花子「へー」

ソフィア「というわけでまずお前……」

花子「いやーあたし野球よくわかんねーし」ヒラヒラ

ソフィア「そう言わず、な?一回見たら面白さが分かるから」

花子「それに、オッサンでもねーし」

ソフィア「オッサンじゃねーよ!なんだよ黙って聞いてりゃ!」ガタッ

花子「!?」ビクッ

花子「わわ、わかった!冗談だって!」アセアセ

ソフィア「ほう……じゃ行くか?」

花子「わかったよ、野球は興味ないけど……まあ、皆で行くんなら楽しそうだし」

ソフィア「そうこなくっちゃ!」ニカッ

花子「だけど、下級生は練習が忙しいんじゃねーか?」

ソフィア「そこは聞いてみないとな……ん?」



宇津木玉子「……」スタスタ



ソフィア「あそこに玉子いるじゃん」

花子「ナイスタイミングだな」

ソフィア「おーい!」ブンブン



玉子「!」



スタスタ



玉子「何か用であるか」

ソフィア「今度野球を見にドームに行こうと思ってるんだけど、行かねーか?」

玉子「ふむ……」

玉子「……面白そうである。わがはいも参加する事にしよう」

ソフィア「さすが!よろしくな」

玉子「よきにー」

花子「玉子もオッサンの仲間入りか」

玉子「おっさん……?」

ソフィア「なんでもない!人聞きわりーぞ花子!」

花子「悪い悪い、つい……」テヘッ

ソフィア「よし。ちょうど三人揃ったことだし、部室に乗り込むか」

花子「八木原新部長の了承を得ないとな」

玉子「わがはいも、引き継ぎの関係でちょうど部室に向かうところであった」

ソフィア「ちょうど良いな。それなら行こうぜ」

スタスタ

ソフィア「たのもー」ガラッ

八木原景子「あ、新井先輩。お疲れ様です」

ソフィア「おっ、新部長。頑張ってるねえ」

花子「やっほ」

玉子「出迎え大儀である」

景子「宇津木先輩、浅見先輩。お疲れ様です」

景子「宇津木先輩は引き継ぎ関係で来てくれることは把握していましたが、新井先輩と浅見先輩は……」

花子「なんだよ。たまに顔見せに来るくらい良いっしょ?」

景子「ま、まあ、そうですが……」

ソフィア「実はちょっとデートの誘いってやつ?」

景子「で、ででデートですか?」ドキッ

ソフィア「いやいや冗談って」ニヤリ

景子「そうでしたか……あまり私は冗談が分からない質なので……」

ソフィア「悪い悪い」アセアセ

ソフィア「ちなみに、史織はいる?」

景子「いますよ。呼んできましょうか」

ソフィア「頼む。外で待ってるから」

景子「分かりました」タタッ

水村史織「どうしたんですかあ?」

ソフィア「よっ、久し振り」

史織「インターハイが終わったのつい先週じゃないですかあ」

ソフィア「細かいことはいいの」

花子「さて、オッサンの新井さんからお話があります」

ソフィア「だからうっせーって!」

ソフィア「……まあ、あれだ。野球見に行きてーなと思ってて」

景子「野球、ですか……?まさかドームに?」

ソフィア「そういうこと。この五人で行きたいっていうのは前から考えてて、そろそろ実行の時期だなーってね」

景子「……お、お誘いは、有難いです。しかし、練習もありますし……」

ソフィア「新チーム発足直後なんだし、根詰めすぎても仕方ねーって!な、元部長?」

玉子「時には休息が必要である!」オッホン

景子「先輩……」

史織「そうですよお。お休みが必要ですよお」

景子「水村……ただ練習休みたいだけでしょ……」

史織「だってえ八木原先輩厳しすぎですよおー」

花子「なになに、新チーム発足わずか一週間で音を上げる部員がいるほどスパルタなの?怖いねー新部長」カラカラ

景子「い、いや、私はそんなつもりじゃ……」

ソフィア「まあまあ。でも程々にやんないと、本当に音を上げる部員が出てきちまうぜ?」

花子「結果も大事だろーけど、楽しまなきゃじゃん?あたしらとはそうやって来たわけだし」

景子「ま、まあ……確かに……」

ソフィア「そういうわけで、ガス抜きかねていっちょ行こうぜ?」

景子「……」

景子「そう、ですね……」

景子「参加させて頂きます。よろしくお願いします」ペコリ

ソフィア「あんがとな」ニッ

史織「やったあ練習休めるー」

景子「こらこら……」

ソフィア「ま、まあまあ……」アセアセ

玉子「では、引き継ぎを始めていくのである」

景子「あっ、そうですね。よろしくお願いします」

ソフィア「よっしゃ。じゃあ私たちは後輩をもんでやるか」

花子「新部長に負けないくらいスパルタでな」ニヤッ

史織「やぁぁん」

…………

……


ソフィア「ドームにやって来ました!」

花子「さあ、今日は野球日和と言っていい程の快晴でありますが、どうですか解説の新井さん」

ソフィア「いやーこの球場はドームとは言うものの雨は普通に入ってきますからね。快晴であるということは本当に素晴らしい……って何言わせんだよ!」

花子「いやー流石っすわ新井さん」ニヤニヤ

ソフィア「ぐっ……ま、とりあえず」サッ

ソフィア「チケットは昨日でとっといた。自由席だからさっさと入って席取ろうぜ」サッ

景子「ありがとうございます……」パッ

花子「ていうかここ、横っ側は空いてるんだな。だからドームなのに雨が入ってくんのか」パッ

ソフィア「そういうこと」サッ

玉子「大儀である!」パッ

史織「クーラー効くんですかあ?暑いのいやなんですけどー」パッ

ソフィア「いや、冷房設備は無いんだ」

史織「えー?あたし帰りますー」

ソフィア「まあまあ、そう言わず、な?」アセアセ

史織「暑いのやですよー」

花子「あたしも野球興味ないし、雰囲気味わったらさっさと帰りたいわー」

ソフィア「お前さっきノリノリだったじゃねーか!」

花子「そりゃー新井さんの誘いとあったらノリ合わせなきゃ失礼でしょうが」

ソフィア「お前……」

ソフィア「まあいいや、入ろうぜ」

花子「あいよ」

スタスタ

ガヤガヤ



花子「けっこう人多いな……」

ソフィア「だろ?」

ソフィア「左側見てみろ」

花子「ん……」

ソフィア「あそこが外野席っつってな。あそこの連中が主に応援するんだ」

花子「ふーん……」

玉子「熱気が凄いのである」

史織「暑苦しいですよー早く帰りたいですー」

ソフィア「お前……」

花子「史織らしいな」フフッ

ソフィア「おっ、始球式が終わった。そろそろ試合始まるぞ」

景子「部員からやる気というか、熱意が感じられなくて困ってるんです」

景子「私の指導法が悪いのか……」

玉子「ふむ……」

玉子「おぬしが悪いというわけでは無いように思う。人間はそれぞれ感覚がある故に、許容してみてはどうか」

景子「先輩……」

史織「単純に先輩が厳しすぎるんですよおー」

景子「ぐっ……」

景子「……でも、許容してみるのは確かに大事かも知れませんね」

景子「ありがとうございます、宇津木先輩。少し気が楽になりました」

玉子「うむ!」

ソフィア「お前ら、試合見てないな……」

花子「まあいいんじゃね?現部長の悩みが晴れたならそれで」

ソフィア「まあそれもそうか」

景子「ま、まだ完全には晴れませんが……」

景子「しかし、部長とはこんなにも難しいものだったんですね……」

玉子「その通りである!」エッヘン

花子「前部長がよっぽど簡単に見えたんだな」ニヤッ

景子「い、いえ!そういう訳では……」

玉子「……とにかく!」

玉子「考えすぎないことが一番である!」

景子「……」

景子「……そうですね。ありがとうございます」

史織「そうですよおー。だから練習ももう少し緩くするべきですよおー」

景子「それとこれとは別!」

史織「そんなあー」

ソフィア「あっ!」

花子「ん?どうしました解説の新井さん?」

ソフィア「うっせー!」

ソフィア「……サードの助っ人がエラーしたんだよ」

花子「へえー」

花子「ん……?なんか真ん中に皆集まり出したな」

ソフィア「ピンチだからな。タイムを取って状況確認ってやつだ」

花子「ふーん……」

花子「そのエラーをした張本人が集まりの中に入ってないけど、それはいいのか?」

ソフィア「助っ人は日本語が分からないことが多い。だから輪に加わるのは自由だ。アイツは輪に入りたくないタイプなんだろう」

花子「ふーん……」

ソフィア「……なんか、インターハイの時の私らみたいだな」

花子「……!」

ソフィア「よそが一生懸命凌ぎを削ってる中、唯一かやの外ってな」ハハッ

花子「……なんだよそれ」

ソフィア「……?」

花子「あたしらは精一杯やった!それで充分だろうが!今更何言ってるんだよ!」

景子「先輩……」

ソフィア「いや、悪い!」

ソフィア「悪気は無かったんだ……」

花子「……」

ソフィア「でもやっぱり、悔しさはあるんだよ……」

花子「……」

ソフィア「お、その助っ人さんに打席が回ってくるぞ」

ストライク!バッターアウト!


ソフィア「まあ、しゃーないわな。この助っ人最近全然打ててないもんな」

花子「……」

史織「まだ終わらないんですかあ?」

ソフィア「いや、もうちょいで終わるよ」

ソフィア「埼玉の負けでな……」

景子「……」

ゲームセット!


ソフィア「終わったな。帰るか」

史織「やっと解放されたー」

景子「水村……」

玉子「わがはいは楽しめたである!」

ソフィア「そうかい。そりゃ良かった……」

花子「……どうした」

ソフィア「?」

花子「最初のテンションはどこ行ったんだよ。別人みたいに暗いじゃねーか」

ソフィア「そりゃそうだよ。贔屓チームが負けたらテンションも下がるってもん」

花子「そんなもんかねえ……」

ゾロゾロゾロ


花子「電車、凄い混んだな……」

ソフィア「試合後はどうしてもな。割りと早く出たつもりだったけど甘かったな」

花子「……」


ソフィア「……今日は楽しかったぜ!ありがとなみんな」

玉子「よきに!」

景子「こちらこそ、ありがとうございました」

史織「今度はお買い物いきましょうよー」

景子「水村……もうガス抜きは出来たでしょ」

史織「うぅ……」

ソフィア「まあ、私らも練習はちょくちょく見に来るわ。頑張ってな」

景子「……ありがとうございます!」

ソフィア「じゃ、私あっちだから。また学校で!」スタスタ

玉子「ご苦労であった!」

花子「……」

ソフィア「……」スタスタ



花子「ソフィア!」タタタッ

ソフィア「……!」

花子「一緒に帰ろうぜ。方向同じだし」

ソフィア「ああ……そうだな」



ソフィア「……」スタスタ

花子「……」スタスタ

花子「……なあ」

ソフィア「ん?」

花子「プロ野球って、優勝もあれば最下位もあるんだろ?今日のアイツらは今何位なんだ」

ソフィア「……最下位だ。5位とも離されてる」

花子「……」

ソフィア「……やっぱり」

花子「言うな」

ソフィア「!」

花子「関係ねえよ。あたしらとアイツらは。重ねたって、しょうがねえじゃん」

ソフィア「……ああ」


ピロリロリロ


ソフィア「ん、悪い」サッ

ソフィア「球団ニュースだ」

花子「なんだそれ?」

ソフィア「埼玉のチームに動きがあった時に知らせてくれるサービスだ」

花子「へえ、そりゃ便利だ……けど」

ソフィア「?」

花子「お前、ガチにファンなんだな……」

ソフィア「ま、まあ、そうなるか、な……」テレッ

ソフィア「……!」

ソフィア「マジかよ……」

花子「ん、どうした?」

ソフィア「今日エラーした助っ人いたろ?」

花子「ああ」

ソフィア「……二軍落ちらしい」

花子「にぐんおち?それは良くないことなのか」

ソフィア「球団には一軍と二軍がある。二軍に落ちるってことは、上で必要とされてないってことだ」

花子「あー二軍ってそういう……」

花子「!……てことは、アイツはもうチームに要らないってのか?」

ソフィア「いや、また上がってくるかも知れねえ。もっかい調整してきて貰う意味合いで下げる時もあるしな」

花子「ん……なんかよくわかんねえけど」

花子「また帰って来られるかも知れないんだな!?」

ソフィア「あ、ああ。むしろそうしてくれないと困るんだが……」

ソフィア「どうした?やけに食いつくな」

花子「!」ドキッ

ソフィア「まさか、ファンになったのか?」ニヤッ

花子「ち、ちげーよ!」アセアセ


花子「……ただ、アイツが皆の輪に入ってなかった時、なんか面白くなかったんだ」

花子「言葉もわからない連中と一緒になってやって、そんな中で自分がヘマして、遠くの方でひそひそ言われてるんだろ?近づいたところで何を言ってるかも、言って良いかもわかんねーだろうし」


ソフィア「……」


花子「あいつが独り輪から外れて地ならししてる姿が、なんかあたしにはかわいそうに見えたんだ……」


ソフィア「……」


ソフィア「そうか」

ソフィア「よし!」バンッ

花子「!」ビクッ

花子「いっ、いってーな!何すんだよ!」

ソフィア「悪い悪い、力が入りすぎた」テヘッ

ソフィア「そこまであの助っ人のことを思ってやれるのなら君はファンクラブの一員として相応しい!」

花子「えっ」

ソフィア「どうだね私と一緒に!」キラキラ

花子「や、やだよ!そもそも野球は興味ねーし!」

ソフィア「そうか、今の感じならイケると思ったんだけどな……」

花子「油断ならねーな……」

ソフィア「私も悔しいさ。あの助っ人に帰って来て貰わないとどうしても打線が弱いし、応援歌がカッコいいからなアイツは」

花子「確かに、言われてみれば……」


ソフィア「それに、正直私もあの姿は見てて辛かった」

ソフィア「さっきは言って悪かったと思ってるけど、どうしてもあの姿にはインハイの私達を重ねずにはいられなかったんだ……」

花子「……」

ソフィア「そこでひとつ考えた!」

花子「?」

ソフィア「今度、新チーム最初の大会があるだろ?」

花子「ああ、あるな」

ソフィア「それに出場する私らの後輩だが」

ソフィア「今日の景子と史織のやりとりを見てる限り、新チームはまだしっかりまとまってないと思うんだ」

花子「確かにな……史織は思ったことハッキリ言うタイプだからな。今日アイツが言ってたことは、他の部員も少なからず思ってるんだろう」

ソフィア「景子にしても、いろいろと悩んでいた。今日は少し気が紛れたっぽかったが、たぶん一時のモンだろ。明日はまた悩んでるはずだ」

花子「そうだな……」


ソフィア「だから、やっぱり私らも練習出ようぜ!ちょくちょくじゃなくて毎日!」

花子「!」

ソフィア「アイツらに、惨めな思いはさせたくねえ」

花子「……そうだな」

花子「初のインターハイ初戦突破を果たしたレジェンドのあたしらが毎日付いてれば後輩も心強いだろうしな」エッヘン

ソフィア「自画自賛だな……」



花子「よし、いいんじゃねえか。やろうぜ!」

ソフィア「ああ!」

…………

……




玉子「たのもー」ガラッ

花子「へいへーい」

ソフィア「ヘロゥ!」


>>23
ミスです

…………

……




玉子「たのもー」ガラッ

花子「やっほ」

ソフィア「くるしゅうないくるしゅうない」


景子「先輩……!お疲れ様です」ペコッ

史織「あっ、せんぱーい。お買い物のお誘いですかあ?」

ソフィア「残念ながら違う!」




ソフィア「今日から!」


花子「あたしら三年生が」


玉子「練習の面倒を見るのである!」オッホン




景子「えっ……!」

史織「お買い物じゃないんですかあー」

花子「今度行こうな、な?」アセアセ

史織「はーい」シュン


ソフィア「今度の大会に向けて私らに出来ることはないか考えて、この方法が良いと思ったわけ」

景子「で、でも……受験や就職など、進路決定で忙しいんじゃないですか……?」

ソフィア「大丈夫、それに充てる時間くらい作れるさ。な?」

玉子「無論である!」

花子「あ……ああ!そうだな……」ドキドキ

ソフィア「……ん?花子、なんか怪しいな」

花子「だ、大丈夫だよ!受験くらいなんとかなるだろ!」アセアセ

ソフィア「なんか不安だな……まあ、いざとなったら私も手伝うから」

花子「あ、ああ、サンキュ……」ドキドキ

景子「じゃ、じゃあ、本当に……?」

ソフィア「ああ、大会まで一緒にやろうぜ」

花子「あたしらがいなくても越谷女子は強いってのを、見せてほしいからさ」

玉子「……うむ!」


景子「……あ」

景子「ありがとうございます!」


景子「……」ホッ


ソフィア「……?」

ソフィア(……)ニヤッ

…………

……




ソフィア「よし。今日はこんなとこか」

ソフィア「部長、今日は締めようぜ」

景子「そうですね」



景子「今日の練習はこれで終了です。お疲れ様でした」


一同「お疲れ様でした!」



景子「……」フゥ

ソフィア「よっ」

景子「先輩……」

ソフィア「部長業お疲れさん」

景子「……」

景子「新井先輩。本当に、ありがとうございます」

ソフィア「……辛かったか?」


景子「……」

景子「新チームになってから、私が独り空回りしているような気がずっとしていて……」

景子「私の中では厳しくしたつもりは無くても部員の皆からはそう思われるみたいで……」

景子「水村はズケズケ言って来るんでむしろ気が許せるんですけどね」フフッ

ソフィア「あいつは誰にでもあんな感じだからな」ニカッ


景子「……でも他の部員に対してはそういうわけにも行かず、どう接したら良いか解らなくなっていました」

景子「今日先輩方が来てくれて、気持ちが凄く楽になりましたし、後輩への接し方も勉強になります」

ソフィア「私らは普通にやってるだけだ」

ソフィア「景子は責任感が強い。少し、背負い込み過ぎていたかも知れないな」

景子「……」

ソフィア「ま、いずれは本当に任せなきゃいけない時が来るが、今はまだ良い。私らがいるから、甘えたっていいんだぜ?」

景子「……」

景子「……先輩」グズッ

景子「本当に、ありがとうございますっ……!」

ソフィア「よしよし」



ソフィア(……本当に、辛かったんだな)

…………

……




ソフィア「……」スチャ

花子「やっほ」

ソフィア「ん」

花子「今日は弁当か?」

ソフィア「ああ」

花子「そんなら今日の新井さんの対面は頂きます」スチャ

ソフィア「ほう……?ま、別にいいけど」

花子「へへっ」



花子「最近どうなんだ?埼玉のチームは」パクパク

ソフィア「ちょっとずつ調子は良くなってきている。監督が代わったりもして、最近まで本当に大変だったんだぜ」モグモグ

花子「休養したってやつか。ようやくチームが落ち着いて来たんだな」

ソフィア「まあそんなとこだ……って、やけに詳しいな」

花子「い、いや、そのニュースはたまたま見たんだよ」アセアセ

ソフィア「そうか、まあ大々的に報じられたからな……」

花子「そうそう」

花子「そのミートボールとアスパラ緊急トレードね」

ソフィア「おい!……まあいいけど」

ソフィア「ん?トレードなんて単語どこで仕入れた?」

花子「い、いや、それは、一般的な知識じゃねーか?」アセアセ

ソフィア「そうか……まあそれもそうかな」

花子「そうそう」

花子「それにしても」


花子「徐々にチーム状態が良くなってるって、なんかあたしらみてーだな」

ソフィア「そうだな」フフッ

花子「なんだかんだで重なってくるなんてな」ヒヒッ

ソフィア「本当にな」


ソフィア「……私らが参加した初日、景子に少し話を聞いたんだ」

ソフィア「本当に辛そうだった。部長の重圧ってやつかな。アイツは責任感が強いから」

花子「……」

ソフィア「うぬぼれとかじゃなく、私らが行かなかったら景子はまずいことになってたかも知れない」

花子「……」

花子「あたしらの思いつきで始めたことも、無駄じゃなかったってことか」

ソフィア「今のところはな」

花子「あたしらも楽しめて一石二鳥だしな!」

ソフィア「そうだな」

ソフィア「そういやお前、進路はどうするんだ?」

花子「!?」ドキッ

ソフィア「なんか初日のリアクションが怪しかったよな、そういえば」

花子「あ、ああ……」

花子「実は……」

花子「……まだ決まってねえ」

ソフィア「そうだったのか!?」

花子「ああ……」

花子「お前はどうするんだ?」

ソフィア「私は大学に行くつもりだ。市内の」

花子「そうか……」

花子「マジどうしようかなー」

ソフィア「……」

ソフィア「まあそう簡単に決まるもんじゃないしな」

花子「……そうだな!後輩の練習見ながら考えるわー」

ソフィア「良い意義だ。そろそろ大会も近いし気合い入れて行くか!」

花子「ああ!」

花子「……なんかあたしらが試合出る勢いだな」フフッ

ソフィア「ちげーねー」ハハハ


ソフィア「……まあ、相談なら乗るから問題出てきたら行ってくれ」

花子「……」

花子「おう。サンキュ」


…………

……

史織「ロォン」

花子「マジで!?やるじゃねえか史織」

史織「えへへ」

ソフィア「良い感じだな」

景子「……」チラッ

景子「そろそろ時間なので終了させようと思います」

ソフィア「ああ」


…………

……




景子「団体戦のメンバーは以上です。一戦一戦大事に戦いましょう」

一同「はいっ!」

景子「今日はお疲れ様でした」

一同「おつかれさまでした!」



ソフィア「いよいよだな」

花子「ああ」

玉子「今の彼女達なら心配無用なのである!」

ソフィア「なんかこう、出場出来ないと分かっててもウズウズするな」

花子「割と本気で取り組んで来たからな」

玉子「出場したくて堪らないのである!」

ソフィア「まあ、後輩が晴らしてくれると信じようぜ」

花子「ああ」

玉子「うむ」


景子「先輩……!」タタッ

ソフィア「おっ、立派な仕切りだったぜ部長」

景子「今日まで本当にありがとうございました」

花子「あたしらも超楽しめたから」ハハッ

景子「明日から全力で戦って来ます」キッ

ソフィア「私らの分まで頼むわ」

玉子「応援するのである!」

景子「……はい!」

景子「ロン!」

実況『八木原選手!ここで渾身のダマッパネ炸裂!二位をまくり逆転優勝だー!』

解説『今の和了りは見事でしたね』

実況『夏に初のインターハイ二回戦進出を果たした越谷女子。勢いそのままに新チーム初の大会でまず県を制しました』

実況『あっ、どうやらインタビューが始まるようです』



インタビュアー『新チーム初の大会でまず県を制しました。今のお気持ちは』

景子「気の抜けない試合の中で勝ち上がれたので、本当に嬉しいです」

インタビュアー『今や県内では追われる立場となった越谷女子です。新部長として、プレッシャーもあったんじゃないですか?』

景子「……はい。確かにそれはありました」

景子「でも、引退した三年生の先輩方が毎日練習を手伝ってくれまして、私はそれに非常に支えられました。先輩方には感謝してもしきれない位です」

インタビュアー『そうだったんですね』

インタビュアー『改めて、優勝おめでとうございます!八木原部長でした!』



パチパチパチ


ソフィア「やったな!」パンッ

花子「ああ!」パンッ

玉子「関東大会もこの調子で行って欲しいのである!」

ソフィア「しかしあいつ、インタビュー上手いな……」

花子「なんかこなれた感あるよな」

玉子「元部長の弱点を克服しているのである!」

ソフィア「ははっ、そうかもな」

花子「ちげえねえ」ヒヒッ

玉子「ひ、否定して欲しかったのである……」

ソフィア「わ、悪い……」アセアセ

花子「しかし、どうすっかねー」

ソフィア「今日は取材とかで大変そうだしな……邪魔すんのも悪いし、おめでとうは学校で良いか」

花子「そうだな」

玉子「今宵は帰宅するのである!」

花子「そうすっか」

ソフィア「ああ」



玉子「では」スタスタ

ソフィア「おう」

花子「おつかれー」

ソフィア「私らも帰るか」スタスタ

花子「ああ」スタスタ

花子「……なあ、今度の休みヒマ?」

ソフィア「ああ。どうした」

花子「よし。じゃ空けててくれ」

ソフィア「別にいいけど……なんで?」

花子「当日のお楽しみ♪」

ソフィア「……?」


…………

……

ソフィア「んで……」

花子「よし、着いたぜ」

ソフィア「ここドームじゃねえか!」

ソフィア「なに、何でお前がここに招待してんの?」

花子「いやあ、はは……」

花子「ま、チケットは取ってあるから。自由席だからさっさと入ろうぜ」サッ

ソフィア「ああ……」パッ



花子「この辺で良いか」チャッ

ソフィア「……ほんとにどうしたんだ?野球興味なかったよな」チャッ

花子「いや、実は……」

花子「あの試合以来、ちょっと気になり出してな……」

花子「いろいろ調べているうちに、なんだかあたしもハマッちまってたみたいだ……」

ソフィア「マジかよ!?そんなら言ってくれりゃ良かったのに」

花子「な、なんか照れくさかったんだよ!」

ソフィア「さいでっか」

ソフィア「あっ、だから監督交代のニュースとか知ってたのか!」

花子「ま、まあそういうことだな」

ソフィア「そうか、なんかいろいろビックリだけど、せっかく来たんだしガッツリ応援するぜ!」

花子「おっ、始まるな」



ワーワー



花子「ビールの売り子すげえよな。あんな重そうなもん担いで歩き回るんだぜ」

ソフィア「しかもめちゃめちゃ愛想良いしな」

花子「成人したらバイトしてみようかな」

ソフィア「似合わねー!」カラカラ

花子「なっ……わかんねーだろ!」

花子「お前は似合いそうだな」ニヤッ

ソフィア「そ、そうか?」

ソフィア「そうか、キツそうだけど試合見れるならアリかもな……」

花子「って、気付いたら中継ぎめちゃめちゃ打たれてんじゃねーか!」

ソフィア「げっ、ほんとだ……」

ソフィア「9回裏で3点差か……おしまいじゃねーか!」

花子「まあ、相手の守護神微妙だしこっちは打線好調だし、まだわかんねーよ」

ソフィア「ま、まあそうだな」

ワーワー


花子「ツーアウトだけど満塁まで来たな!」

ソフィア「やるじゃん!」

ソフィア「あっ、代打出るっぽいな」

花子「……そういやあたしが興味持ったきっかけがな」

花子「二軍落ちしたあの助っ人だったんだ」

ソフィア「あー、あの試合アイツ散々だったもんな」

花子「調べたら、今日がソイツの一軍復帰戦なんだよ」

ソフィア「……!」

ソフィア「おい、あの代打……!」

花子「ここで出てきたか」ニヤッ

ソフィア「盛り上がって来たな!」


花子「……そういやあとひとつ」

花子「進路決まったよ」

ソフィア「マジで!?どこに」

花子「大学行く。市内の」

ソフィア「そうか。良かったな、あとは勉強あるのみだな!」

ソフィア「……ん?市内の大学ってことは」

花子「……」ドクン

花子「あー、たぶんお前と同じとこ」

ソフィア「……!」ドキッ



カキーン

ワァァァァァ



花子「ま、まあ合格出来るかは別問題だけど……」カァァァ

花子「……よろしくな!」ニッ

ソフィア「……ああ!頑張ろうぜ!」ニカッ

ソフィア「腐れ縁ってやつか」

花子「ちげえねえ」

ソフィア「そしたらまたドームに見に来れるな」

花子「そだな……ん?」



ホームラーン



ソフィア「えっ」

花子「……マジで?」



カンッ

駄文すいません
終了です
ありがとうございました

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