名探偵「腹をナイフで一突き……自殺だろうな」 刑事「それはどうでしょう」 (42)

名探偵「!? ど、どういうことだ刑事!」

名探偵「被害者はナイフで腹を一突きされている! それだけじゃない! このホテルの一室は完全な密室だ!」

刑事「死体をよく見てください、探偵さん」

名探偵「なに!? おい、ちょっと死体を見てきてくれたまえ!」

助手「はい先生!」タタッ

助手「……あ、ああ!?」

名探偵「どうしたああああああ!?」

助手「し、死体に……死体にナイフが刺さっています!!」

名探偵「なんだと!? こ、これは一体!」

刑事「御覧の通りです。この死体は腹部をナイフで刺されている。死因はおそらく失血死でしょう」

名探偵「な、なるほど……しかし、密室の方はどうなる!? 犯人が出て行けなかったのであれば、やはり自殺に……」

助手「あ、ああ!?」

名探偵「何事かあああああああ!?」

助手「へ、部屋の窓に……鍵がかかっていません!!」

名探偵「なにいいいいいいい!?」

刑事「お聞きの通りです。この部屋は一見密室ですが、実は窓には鍵がかかっていなかったのです、つまり……」

刑事「この部屋は密室ではない!!」

名探偵「……!! な、なんてことだ」

名探偵「人の意識の盲点を突く、巧妙なトリック!」

刑事「ええ、犯人は相当知能の高い男でしょう」

名探偵「し、しかし、だとすると分からない!」

助手「今度は何が分からないんですか?」

名探偵「被害者が殺された理由だ」

刑事「探偵さんは被害者とお知り合いなので?」

名探偵「ああ、以前、彼が起こした事件の隠蔽を依頼されたのが縁でちょっとね」

名探偵「この被害者は父祖の代からレイプ・カウンターでな」

名探偵「100歳の老婆から始まり、99歳、98歳と一つずつ若い女性を順番にレイプし殺害するという事業をやっていた」

名探偵「つい、最近ようやく11歳まで行ったと喜んでいたのに……なぜこんなことに……ッ」

助手「先生……」

刑事「なるほど、人の恨みを買うような人間ではなかったようですね。動機から探るのは難しいか」

名探偵「容疑者はまだいないのかね」

刑事「いえ、既に3人まで絞っています。ホテルの従業員と客の中から事件当時のアリバイが無い者を調べました」

名探偵「おお! でかしたぞ刑事君! 3人まで絞れたのならもう確率は3分の1じゃないか! 目をつぶっていても当てられる」

刑事「はい。その3人の容疑者をここに連行していますので、是非とも探偵さんに調べて頂きたいのです」

名探偵「よかろう。では連れてきたまえ」

刑事「1人目は殺人鬼です」

殺人鬼「……ハァー……ハッ……ハァァァ」

刑事「彼は1日に1人は人を殺さずにはいられないという難病を患っており、その治療の為にこのホテルに」

名探偵「そんな事情が。手に持ってるナイフもその為のものか?」

刑事「おそらく」

殺人鬼「うがあああああああああ!!」ザクッ

助手「ぎゃあああああああ!!」ブシュゥゥゥ


名探偵「なるほどな。これでナイフが殺人の為のものだと証明されたわけか」

名探偵「それにここで助手を殺したということは、レイプのことは殺していないということも分かる」

刑事「なぜです?」

名探偵「分からないのかね? 彼は1日に1人殺せば良い」

名探偵「つまり、レイプを殺したのならば、助手を殺す必要はないということになる」

名探偵「にも関わらず助手を殺したということは、彼は無実だよ」

刑事「たしかに。いつもながら素晴らしいご推理です」

名探偵「灰色の脳細胞というやつさ」

刑事「で、2人目の容疑者なのですが、このホテルのベルボーイです」

刑事「本人は殺人鬼がレイプ氏を殺すのと見た為、それを利用して彼の死体から財布を抜き取ったと主張しています」

刑事「財布は確かに持っていましたが、しかし、それを証明できる目撃者がいないので」

ベルボ「本当なんだ! 本当に俺は財布を盗んだんだ! 信じてくれ!」

名探偵「うむ、殺人鬼に罪をなすりつけようとしているのかもしれん。迂闊には信じられんな」


刑事「そして最後は商人氏です」

刑事「彼はレイプの客室周辺をナイフを持ってうろうろしている姿を見られています」

名探偵「すこぶる怪しいな」

刑事「ええ。ああ、あと、レイプ氏に11歳の娘をレイプし殺されているので、あるいはそれが関係しているのかもしれません」

名探偵「ありうるな。逆恨みというのは人を狂わせる」

名探偵「くそっ、ダメだ! 何も思いつかん!」

名探偵「一体誰が犯人なんだ!」

刑事「……! そ、そうか! 分かったぞ!」

名探偵「なに!? 犯人が分かったのかね!?」

刑事「ええ。犯人は……」


刑事「貴方だ、殺人鬼さん!」

殺人鬼「わ、私!?」

殺人鬼「ちょ、ちょっと待ってくれ! なぜ私が殺人なんて……!」

刑事「証拠なら揃っているんですよ」

殺人鬼「な、なんだと!?」

刑事「貴方がいま助手さんを殺したナイフ……どこから取り出しましたか?」

殺人鬼「う、さ、最初から手に持っていたよ!」

刑事「いいえ、私ははっきりこの目で見ました。貴方はレイプの遺体からナイフを抜き取り、そのナイフで助手さんを刺した!」

殺人鬼「うぐぅ!?」

商人「い、いやでも、先程彼は一日一人殺せば良いから犯人ではないと仰っておられませんでしたかな!?」

殺人鬼「そ、そうだそうだ! 俺は今日は助手しか殺しては……」

刑事「いいえ、確かにあなたは一日一人を殺せば十分なのかもしれない」

刑事「しかし、そのことは一日二人以上殺してはいないという根拠にはならないのです!」

商人「あ、ああ!? た、確かに!」

名探偵「よく考えればその通りだ!」

殺人鬼「く……ぐぐ、ぐ」

刑事「どうですか殺人鬼さん! 何か反論があるのならば聞きましょう!」

殺人鬼「く……くく……く」

殺人鬼「クハーハッハッハッハッハッハッハッハッハ!」

ベルボ「さ、殺人鬼さん……?」

殺人鬼「そうさ! レイプを殺したのはこの私だ!」

商人「そ、そんな……」

名探偵「やはりそうだったか」

刑事「なぜだ……なぜレイプ・カウンターを殺した」

殺人鬼「理由? そんなものはないさ。私は頭の病気だからな」

殺人鬼「だけどね、何をそんなに怒ることがあるんだい?」

名探偵「なに?」

殺人鬼「私は確かにこいつを殺したが、こいつは強姦殺人鬼だよ?」

殺人鬼「殺したところで感謝はされても、怒りを買う筋合いなどないなあ?」

名探偵「き、きさま……」ギリッ

商人「そんな身勝手な理由で人を殺したのか!」

殺人鬼「ハッハッハッハッハ! クズを掃除してやっただけだ! それの何が悪い!? ハーハッハッハッハッハッハ!」

名探偵「許せん!」ダダッ

刑事「探偵さん!?」

名探偵「食らえ! 指尖砲!」


説明しよう。指尖砲とは。
柔道でよく使われる指を回転させながら相手の目を突く技、『指尖』。
その回転数を上げ、まるでドリルのごとく敵の肉体を抉る必殺技なのだ。


殺人鬼「クハハハハハ! 指尖砲だと!? 馬鹿めッ! 知っているぞ!」

殺人鬼「その技は助手にしか使えんはずだ! お前に何が出来る!」

名探偵「くくっ」ニヤリ

殺人鬼「な、何が可笑しいッ!?」

名探偵「いつ、私が名探偵だと名乗った?」ベリベリベリ

殺人鬼「な、なにィ!?」

商人「あ、あれは、顔の皮を剥いでいる!?」

刑事「い、いや違う! あれは、マスクをとったんだ!」

助手「そう! 私は先生のふりをしていた助手だったのだ!!」ババーン

殺人鬼「なんだとおおおおお!? で、では……では! さっき私が殺した助手はあああああ!」

助手(?)「その通り」ベリベリベリ

殺人鬼「なァ!?」

名探偵「実は私の方こそが名探偵だったのだ!」

助手「そう、つまり2人は入れ替わっていたということ!」

殺人鬼「お、おのれえええええ!!」

ベルボ「な、なんてことだ! ここまで読み切って最初から入れ替わっていたなんて!」

商人「さすがは名探偵……なんて高度な知能戦なんだ!!」

助手「そう私は助手、つまり指尖弾も使えるということ!」

殺人鬼「く、来るなら来い! 返り討ちにしてやる!」チャキッ

助手(……!? あ、あいつ、いつの間にナイフを!?)

助手(不味い! このまま突っ込めば相討ちになる!)



レイプ「うおおおおお!」ガシィッ

殺人鬼「な、なにいいいいい!?」

レイプ「今だ! 俺がこいつを羽交い締めしている間に俺ごとこいつを貫けえええええ!」

殺人鬼「き、貴様は、まさか……レイプ・カウンター!? なぜ貴様がこんなところに!?」

助手「感謝するぜ、レイプ」

助手「うおおおおおお!」

殺人鬼「や、やめろおおおおおお!」

助手「必殺!! 『指閃光』!!」グッサー

殺人鬼「ぐぎゃあああああああああ!!」

名探偵「終わったな……」

刑事「ええ、今回も見事でした」

名探偵「なに、みんなの支えがあってこそだよ」

助手「しかし、なぜ殺人鬼はあんなに歪んでしまったのでしょうね」

刑事「実は彼は派遣業で働く労働者だったんです」

名探偵「なんだって!?」

刑事「アベノミクスによる第三の矢……規制緩和、消費税増税、移民の増加により、元々低所得者だった彼の所得は一層低下」

刑事「それによって心を病み、人を殺すようになってしまったのです」

名探偵「なんてこった。全ては政治が悪かったということじゃないか」

助手「でも、いくら与党が悪いと言っても、野党だってろくな政党はないんじゃ……」

名探偵「クソッ、もう日本はどうしようもないのか!」


「そんなことはない」


助手「!?」

名探偵「あ、あなたは!」

刑事「委員長!」

院長「日本にはまだ、共産党があるではありませんか」

名探偵「そ、そうか! 日本にはまだ共産党があった!」

刑事「確かに! 共産党ならばアベノミクスの悪しき政策を批判してくれる!」

助手「大企業優遇でアメリカや財務省の言いなりになっている政府与党と違い、共産党は弱い人々の味方ですもんね!」

委員長「そう。共産党ならば庶民の味方です」

名探偵「やったぜ!」


変えよう、庶民の暮らし。

正そう、政治の腐敗。

日本にはまだ、共産党がある。

確かな野党、共産党です。

何かと誤解を受けやすい共産党への理解が深まれば良いなと思って書きました。
ボランティアなので一銭も受け取ってません。

名探偵「腹をナイフで一突き……自殺だろうな」

刑事「それはどうでしょう、死体を見てください」

助手「……あ、ああ!?」

名探偵「どうしたああああああ!?」

助手「し、死体に……死体にナイフが刺さっています!!」

この時点で駄作決定

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