のび太「ド…」ドラえもん「甘いッ!!」 (96)

のび太「え」

ドラえもん「馬鹿が!貴様はそうやって俺に泣きつけば、すぐに助けてもらえると思っているのだろう!?」

のび太「え、あの」

ドラえもん「この…大馬鹿が!!!!」グワッ

のび太「ギャッ!」

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ドラえもん「貴様は!それだから!!」ガッ

のび太「痛っ!」

ドラえもん「いつまでも!ロクデナシの!穀潰しの!」ゲスッ

のび太「ちょ…ちょっと…やめ…」

ドラえもん「どうしようもねえ!ウスノロなんだ!」ドゴッ

のび太「痛いよお!」

ドラえもん「うらああ!!」バキッ

のび太「うわああああああああん!」

ドラえもん「うるせえ!!!」

バチーーーン!!

のび太「…」ポカーン

ドラえもん「いいか、よく聴け!」

ドラえもん「俺がこの世界に来てから随分経った。
しかし!貴様はいつまでも馬鹿のままだ!」

のび太「馬鹿って…」

ドラえもん「そしてついに!セワシ様はお怒りになった!」

のび太「セワシくんが?」

ドラえもん「おい!!セワシ『様』だろうが!間抜け!」ボスッ

のび太「はう!」

ドラえもん「とにかく!セワシ様は俺の
システムを変えなさった!」

のび太「…システム?」

ドラえもん「いままでは『理想の親友モード』だった!」

ドラえもん「だから俺は、貴様に様々な道具を与えた!
ピンチの時も迅速に駆けつけた!」

のび太「う、うん」

ドラえもん「俺の基本モードには、『理想の親友』『理想の教師』
『理想のベビーシッター』『理想のトレーナー』などがある!」

ドラえもん「そしてアドバンストモードには、
少し厳しくなった4つのモードがある!」

ドラえもん「『冷血教師』『歩く法律』
『人造嫌味上司』『人間調教師』だ!」

のび太「かなり厳しいよ!」

ドラえもん「黙って聴け!」

ドラえもん「だが、俺の現在のモードは、それらを遥かに凌ぐ…」

のび太「そ、それは…?」

ドラえもん「『古代ギリシアのスパルタ式ペロポネソス教育法モード』だ!!」

のび太「え?古代…?」

ドラえもん「ダアアアアア!!」

のび太「わあっ!」

ドラえもん「つべこべ言うな!
すでに教育は始まっているのだぞ!」

のび太「う、うん」

ドラえもん「『はい』だろうが!」ガスッ

のび太「痛っ…!は、は、はいっ!!」

ドラえもん「ようし!!」

ドラえもん「勉強の前に、まずは精神を統一せねばならぬ!」

のび太「はい!」

ドラえもん「そこに正座だ!」

のび太「はいっ!」

ドラえもん「目を閉じ、心を無にするのだ!」

のび太「はい!」

ドラえもん「よし!そのまま、30分、続けろ!」

のび太「さ、さんじゅっぷううん!?」

ドラえもん「黙ってやれ!!」ゴッ

のび太「あが!」

ドラえもん「俺はずーっと監視し続ける!姿勢を崩したり、
居眠りをしたとなると…」

ドラえもん「こうだっ!」バコン

のび太「ごぼっ!!」

のび太「…」

ドラえもん「…」

のび太「…」

カラス「カア…カア…」

のび太「…」

のび太 (い…痛い)

ドラえもん「カアーーーッツ!!」ゴキ

のび太「なっはあ!」

ドラえもん「姿勢を崩すな!」

のび太「脚が…」

ドラえもん「いずれ感覚が無くなる!
それくらい我慢しろ!」

のび太「うぐう…」

ドラえもん「…」

のび太「…」

ドラえもん「いいか、俺はロボットだ。どんな些細なことも見逃さない」

のび太「…」

ドラえもん「退屈も、疲労も無いからな」

のび太「うう…」

5分経過…

のび太「脚があ…脚があ…」

ドラえもん「うるせえぞ!さっきから!」バン

のび太「もう…限界だよう…」

誤って書き溜めを削除してしまったので、中断します。申し訳ないです。

うわあああああああ

ドラえもん「ええい!貴様は赤子か!」サッ

ドラえもん「ダア!『猿ぐつわ』!

のび太「え!むぐっ!」

ドラえもん「終わったら取ってやる」

のび太「…」

ドラえもん「さあ、あと24分。まだ先は長いぞ」

のび太 (うう…)

ドラえもん「…」

のび太 (どうして…?)

ドラえもん「…」

のび太 (こんなドラえもん…いやだよお…)

ドラえもん「…」

のび太 (こんなのが続いたら…死んじゃうよお…)ボロボロ

ドラえもん「ん?何だ貴様…泣いているのか?」

のび太「…」

ドラえもん「はあ…どこまでも情けない奴だ」

ドラえもん「ま、泣きたいだけ泣けばいい。
俺には関係ないからな」

のび太「…」ボロボロ

10分経過…

のび太 (本当だ…脚の痛みが消えてきた)

のび太 (これなら眠れるかも…バレないよね?
どうせ目は閉じてなきゃいけないんだし)

のび太「…」

ドラえもん「おい」

のび太「!」ビクッ

ドラえもん「貴様…居眠りをするつもりだな?」

のび太「…」

ドラえもん「俺は全部分かっているぞ?
そんな真似はやめろ。いいな?」

のび太「…」

さらに11分経過…

ドラえもん「あと3分だ」

のび太 (ぐぐぐ…また痛みが…)

ドラえもん「あと2分」

のび太 (つらいよお…つらいよお…)

ドラえもん「5、4、3」

のび太 (ぬうううう…)

ドラえもん「2、1、終了!」サッ

のび太「どわあ!!」

ドラえもん「やれば出来るじゃないか!ハッハッハ!」

のび太「あいてててて!脚が!ぐわああああ!」

ドラえもん「しばらく楽にしていろ。何か飲むか?」

のび太「うん…」

ドラえもん「ダア!『なんでも蛇口』!」

ドラえもん「コーラでいいか?」

のび太「うん」

ドボボボ
ドラえもん「そら」

のび太「ありがと」

ゴクゴク

ドラえもん「飲んだか?よし!続きだ!」

のび太「ひっ」

ドラえもん「ダア!『どこでも塾』!」ドカン

のび太「わ!」

ドラえもん「この箱の中は、快適な勉強部屋になっている!
さらにロボット講師付きだ!」

ドラえもん「入れ!」ガッ

のび太「ぴゃっ!」

バタン

ドラえもん「これでよし!」

2時間後…

ドラえもん「出ろ!」

バタン!

のび太「」ふらふら

ドラえもん「どうだ?ロボット講師は?」

のび太「よく…わからないや…」

ドラえもん「ロボット講師の解説を理解できないとは…」

のび太「疲れたよお…」

ドラえもん「そうか。よし、この錠剤を飲め。
疲れているほど、効果が高まる」

のび太「これは…?」

ドラえもん「ちょっとした回復薬だ。
いいから飲め。ほら、水だ」

のび太「うん」ゴクッ

のび太「…」

のび太「おう…」ホワ~ン

ドラえもん「効いたな」

のび太「ほーう…」ホワ~ン

のび太 (何だろう…変な感じ。
ドラえもんの声が…すごく心強い…)

ドラえもん「さあ、俺の言う通りにするか?」

のび太「はい!」トロ~ン

ドラえもん「ようし!では、続きだ!」

のび太「はい!」

ドラえもん「ダア!『タンマウォッチ』」!

デーン!

ドラえもん「これでよし!もはや時間は存在しない!」

ドラえもん「さあ!始めるぞ!」

のび太「はいッ!!!」

限りなく長い間、ドラえもんによる特訓は続いた。
不思議な錠剤の効果で、のび太の体力は尽きることがなかった。


そして…

ドラえもん「そろそろ、タンマウォッチを解除する時が
来たようだ」

のび太「…」

ドラえもん「明日は、学校へ行ってくれ。久々にな」

のび太「…はい」

ドラえもん「難しいとは思うが、
自然に振舞うように気をつけてくれ」

のび太「…はい」

翌日

しずか「あ、のび太さん」

のび太「しずかちゃん…おはよう」

しずか「のび太さん?何か変よ」

のび太「…そんなことは無い」

しずか「そう?そういえば、昨日の感想文の宿題はやった?」

のび太「宿題…?うむ、知らんな」

しずか「あら、そうだと思った」

のび太「…なに?」

しずか「のび太さんが宿題をやって来たの、
見たことないもの」

のび太「…そうか。そうだな、僕は
そういう人間だったな…ふふふ」

しずか「…?」

のび太「ところで…持っているその本は?」

しずか「これ?『星の王子様』よ。あたし、大好きなの」

のび太「星の王子様ね…」

「おうい!」

しずか「あ、たけしさんとスネ夫さんよ」

ジャイアン「おう!おはよう!」

しずか「あら、たけしさんも本を持ってるのね」

ジャイアン「そうとも!読書週間だからな!」

スネ夫「『百万回生きたねこ』だよ。僕が紹介してあげたんだ。
本のことなら、よく知っているからね」

しずか「スネ夫さんは、どんな本を読んだのかしら?」

スネ夫「ジャーン!『三国志』だよ!」

しずか「三国志?それ、難しいんじゃない?」

スネ夫「いやあ、歴史は面白いねえ。まあ、
内容はなかなかの上級者向けだけど」

ジャイアン「ほー」

しずか「さすがスネ夫さんね!」

スネ夫「おいのび太!何か読んだのか?」

ジャイアン「どうせ『桃太郎』でも読んだんだろ!がははは!」

スネ夫「ぐふふふふ!」

のび太「…そうだねえ」

のび太「最近読んで非常に興味深かかったのは…トマス・ピンチョンの
『エントロピー』だね。ちょっと難しいけど」

ジャイアン「ピン…?」

しずか「?」

のび太「もっと読みやすいものだと…マイケル・クライトンの
『スフィア』とか。特に思わせぶりなラストが憎いねえ。
彼の作品には生物学的な描写が多くて、僕も大好きなんだ」

スネ夫「??」

のび太「あと、スティーブン・キングの『IT』は読み応えがあったよ。
4巻まで分けられていてね。これは彼の代表作で有名な作品なんだ。
やっぱり、ホラー小説で彼に並ぶ作家はいないねえ」

ジャイアン「???」

スネ夫「???」

しずか「???」

のび太「次は、フィリップ・カーの『殺人摩天楼』を原語で
読むつもりなんだ。SFの中でも、僕が好きな作品だよ。
ちょっと残酷な描写が多いけど、そこがまたいいんだ」

スネ夫「…」

ジャイアン「お、おう」

しずか「のび太さん…やっぱり変よ…」

のび太「スネ夫は、歴史が好きなのか?」

スネ夫「は、はい」

のび太「三国志を読んだら、エドワード・ギボンの
『ローマ帝国衰亡史』を読むといい」

スネ夫「ローマ…」

のび太「11巻もあるが、ローマ帝国並びに周辺民族の動きが
詳細に描かれている。コンモドゥス帝などの暴政や、
ディオクレティアヌス帝の善政など、皇帝のエピソードもあって、
純粋に読み物としても楽しめると思うよ」

スネ夫「はあ」

ジャイアン「…」

しずか「…」

スネ夫 (どうしたんだよ、のび太!
なんか気まずくなっちゃったじゃないか!)

キーンコーンカーンコーン

先生「さて、先週言った通り皆さんには、
読書週間に読んだ本の感想を発表してもらいます」

ザワザワ

先生「本の名前と、特に印象に残った部分を述べること!
では、そっちの席から順番に」

「『注文の多い料理店』を読みました。ハラハラドキドキするのが
良かったです」

「『いやいやえん』を読みました!こぐちゃんが可愛いかったです!」

先生「…皆さん、もう少し具体的な感想を言いましょう」

先生「えー、つぎは野比か」

のび太「はい」

先生「野比、何も読んでいないなら、正直に言いなさい。
そうすれば私も…」

のび太「読みました」

先生「…」

のび太「…」

先生「そ、そうですか。では、どうぞ」

のび太「はい」

先生 (野比が本を読むとは…どうせ、『桃太郎』とか、
その程度だろう)

のび太「そうですね、最近読んだ中でも印象的だったのは…」

のび太「『火刑台への道』という、中世ヨーロッパにおける
魔女裁判に焦点を当てた作品があります」

のび太「これは、当時の記録から、ある貧しい一家が捕らえられ、
拷問に苦しみ、最終的には見せしめに処刑されるまでの過程を
克明に再現したものです」

のび太「特にショッキングなことは、現在とあまりにもかけ離れた
価値観の違いです。当時では、あらゆる出来事、さらには人間の
行動までが神の存在を前提とされていました」

のび太「この『火刑台への道』では、さらに悪魔という概念が
積極的に関わってきます。例えば、悪事を働く人間には
悪魔が取り憑いているため、とされていました」

のび太「舞台である16世紀末期では、自白を引き出す手段として、
まだ拷問が使われていました。その拷問の苦痛によって、悪魔が
容疑者から去り、始めて真実が語られる、そのような
考えがあったようです」

のび太「容疑者が罪を認めなかったり、黙秘しているのであれば、
それは悪魔によって守られているからだ、とされました。
つまり、容疑者が無罪である可能性など、少しも考慮
されなかったのです」

のび太「…とにかく、宗教が密接に関わっている中世という時代を
学ぶ上で、この作品は参考になると思いました。以上です」

シーーーン…

先生「…」ポカーン

先生「…あ、み、皆さんも、野比くんを見習いましょう…ゴホン」

その後も…

先生「…では、筆算を使って難しい問題を解きましょう。
時間がかかっても構いません。」

先生「えー、27×196は」
のび太「5292です」

先生「…」

先生「ちょ、ちょっと待ってください」ペラペラ

先生「…正解です」

ザワザワ…

先生「…では、この生き物は何という…」

のび太「カナブンです。コガネムシ科ハナムグリ亜科。
まあ、カナブンというのは光沢のあるコガネムシ類の通称ですが…。
学名は…」

先生「はい!はい!学名は結構です!」

ザワザワ…

ダダダダダダッ!!

先生「50mを5.1秒だとっ!?信じられん!」

ザワザワ…

先生 (ふー…どうも調子が狂うな…。
野比のやつ、何があったんだ?)

キーンコーンカーンコーン

ジャイアン「おい、のび太!野球するぞ!お前がいれば…」

のび太「…」ギロ

ジャイアン「…ええっと…」

のび太「悪いが、僕は帰って勉強をしなくてはならない。すまないね」

ジャイアン「お、おう。わかった…」

のび太「…」スタスタ

スネ夫「のび太のやつ…何があったんだろ」

ジャイアン「さあな…。とにかく、近づかない方がよさそうだ…」

その頃

ドラえもん「…」

ドラえもん (ん?引き出しが…?)

ガタ!

ドラえもん「うわ!」

セワシ「やあやあ!ドラえもん!」

ドラえもん「これはセワシ様!ようこそおいでに!」

セワシ「彼は…?」

ドラえもん「おそらく、まだ学校でしょう」

セワシ「そうか。…で、うまくいってるか?」

ドラえもん「もちろんです。セワシ様の予想通り、
実に簡単に済みました」

セワシ「そうか!それは何より!」

ドラえもん「…セワシ様、また一段とお若く…」

セワシ「お、分かったか?新しい美容整形を試したんだ」

ドラえもん「それはそれは!」

セワシ「とても59歳には見えまい!あの影武者のことを怪しむ声も
一向に挙がらぬ!」

ドラえもん「全ては順調!そうですね?」

セワシ「そうだ!わが帝国の復活もそう遠くない!
ふはははははは!!!!」

ドラえもん「はっはっはっはっは!!」

セワシ「では、どんどん計画を進めてくれ。頼んだぞ!」

ドラえもん「はっ!」ビシ

ガタ!

ドラえもん「…」

ドラえもん (まったく…セワシ様の計画は本当に素晴らしい…)

ドラえもん (過去で頭の弱い人間を探し、その子孫だと名乗り、
俺を送り込む…)

ドラえもん (俺はしばらく、そのターゲットと生活し、
頭と心の弱さを見極める)

ドラえもん (ターゲットが条件に当てはまれば、洗脳と訓練を開始する…)

ドラえもん (最終的には、立派な戦闘員となったターゲットに、
周辺の人物の洗脳を任せる)

ドラえもん (そして、同志の数は増えていく…)

ドラえもん (未来では違法な道具も、ここでは
好きなだけ使えるのだ!)

ドラえもん (惜しくも実現しなかった、『銀河共産帝国』を、
過去の世界に作ろうとは…本当に大したお方だ…)

ドラえもん (過去では大規模な宗教団体に過ぎずとも、年限を経て、
今度こそ帝国は成るであろう!!)

ガラッ!

のび太「帰りました!」

ドラえもん「よろしい!座れ!」

のび太「はい!」

ドラえもん「いよいよ、週末は司法試験だ。まあ、
合格は確実だが…最終確認をしよう!」

のび太「は!」

ドラえもん「だがその前に、いつものやつだ!」

のび太「はい!」

ドラえもん「第3章15節!」

のび太「我々銀河共産帝国の子は、いかなる場合においても、
命を捨てて偉大なる同志総統へ尽くすことを誓う!」

ドラえもん「1章22節!」

のび太「銀河共産帝国は、常に寛容である。窃盗、姦通、殺人、
いかなる罪も、強制労働のみをもって処するべし!」

のび太「ただし、少しでも政治批判をしようものなら、
その者を生かしておいてならぬ。秘密警察は常に監視を行い、
見つけ次第、銀河裁判所へ連行し、極刑をもって償わせるべし!」

ドラえもん「15章3節!」

のび太「資本主義とは、人類の罪そのものである!我ら銀河共産帝国は、
平等を実現するために、この資本主義を打倒せなばならぬ!」

ドラえもん「同志セワシ、ばんざい!!」

のび太「ばんざああああい!!」

ドラえもん「同志セワシ、ばんざい!!」

のび太「ばんざああああい!!」

「ばんざああああああい!!」

「ばんざあああああああああああああああい!!!!!」


このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2018年06月18日 (月) 19:19:18   ID: Yf9z9xTB

のび太を教育大するドラえもんがかっこよかった

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