女「貴方が伝説の破壊者(クラッシュマン)?」男「何その呼び方ちうに臭い」 (28)

女「巷ではこう言われてるらしいよ、貴方。えっと……本名は男、だっけ」

男「初めまして。出会った瞬間に人を爆弾魔みたいにいいやがった人」

女「なにそれ、ボンバーマンのこと? ……私は、どっちかといえばロックマンを連想するけど」

男「ロックマンは初代しか認めん。エグゼもだ。……流星は検討してもいい」

女「どうでもいいでしょ、こんな会話」

男「そうだね。何だかグダグダ展開に走りそうだしここらで止めておこうか」

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女「それと、私は女。一々ボンバーマンとかどうとか言わないこと」

男「あ、そう。別に、君が初めから言ってくれれば良かったのに」

女「…………そんな時間、ある訳無い」ボソッ

男「……? どうしたの。何か、ワケあり?」

女「別に。……確認したい事がいくつかあるんだけど、いい?」

男「……いいけど、何?」

女「……都市伝説の一つとして、『クラッシュマン』と呼ばれる存在があるわ。名の由来としては、人外じみた驚異的な運動能力を持ち、一瞬にして物を壊す、というものから出ているわ。
 ……質問する。貴方は、それ? 或いは、それの関係者?」

男「……それでありながら、それの関係者、みたいなもの、かな」

女「変な言い回しをするのね。まあいい。次」

男「うん」

女「過去の文献によれば、ヨーロッパには中世の終わり、とある殺人事件が起こったと書かれている。それは四肢を完膚なきまでに切断され、且つ検視が出来るまでに綺麗な状況だった。事件数は13件。死者は20人に及び、全て女性であったと書いてあった。
 ……また、同時期には建物が異様な形に破壊されるという事件も発生していた。ただ滅茶苦茶に破壊された訳でなく、まるでそれはアートの様に残骸が彩ったという。……当時はこれを同人物の犯行と考えたのか、メディアは『クラッシュマン』と呼んだわ。
 ……二つ目。この事件に、貴方は関与している?」

男「……むー。なんというか、うーん。まあ、関与していた……っていったらそうなるんだろうけど。……まあそうだね。そうなるんじゃないかな」

女「……はぐらかす様な真似をして、何か楽しいの?」

男「いや、別に? 僕はね、あんまり人の不幸を笑う趣味は無いし、そんな事に意味も無いと思ってるから」

女「……最後よ」

女「このヨーロッパの事件はぱっと終わったけど、それを境に、後に各地で同じような不可解な事件が多発している。公に出ることはなかったけれど、それでも結構な頻度であったとされている。
 ……余程の聖職者や、伝説と謳われる程の魔法使いは、死後冥界・天界に行くことはなく、輪廻転生を行う事が可能だと、ヨーロッパのとある錬金術師の日記に記載されていたわ。そこで、私はある仮説を見出した」

男「うん。……それは?」





女「貴方、何度転生した?」


男「…………さぁね、忘れちゃったよ。何せ、何度も何度も死んで生まれてを繰り返したからね。覚えようとは思わなかったし、そもそも覚えたところで何になるって言うんだ」

女「具体的に言わなくてもいいわ。約いくらよ」

男「……確か、百ちょっととかじゃ無かったかな。二百は行ってなかったと思うよ。百五十、いや百四十代だったか? ……まあ、そんなものかな」

女「……やっぱり、貴方が、噂の伝説の破壊者なのね」

男「ごめん。それやめてくれない?」

女「え? なんで?」

男「……なんかね、恥ずかしいんだ、それ。もうちょっとこう……なんだろうな。ネーミングセンスのいいものが」

女「んなのどうでもいいでしょ。嫌なら生命体Xとでもするけど」

男「それはそれで嫌だね。何か試験体みたいだし」

男「それで? 僕がそれだからって、何が関係するんだ?」

女「……ねえ、貴方、依頼とか受けてくれたりする……?」

男「んー……勉強でも教えて欲しいの? まあこれでも頭は結構いいほうだk――」

女「そんなことじゃない!」

男「……そう。で、何? 僕に手伝えることなら、できる限りするけど」

女「…………壊して欲しい……」

男「――――?」

女「壊して欲しい、ものがあるの」

男「…………へぇ」

女「……私の、お父さんなんだけど」

男「うん。なんで?」

女「……私に、酷いこと、する、から」

男「それはどうして? どんな事を? 何時、どんな状況で?」

女「……なんで、そんな聞くの?」

男「聞きたいからさ。判らない? 僕はね、結構後期心旺盛なんだよ」

女「――――ふざけるな!」ガン

男「おぉう……」

女「こっちは……こっちは恥ずかしい思いをしながらやってるっていうのに……何、その余裕は!!」

男「……むぅ、何か怒らせるような事した? ならごめんね? 僕、結構そういうのに鈍感だから」

女「…………っ!! アンタは、黙って、私の言うこと聞いて、人を殺せばいいのよ!! この殺人鬼!!」

男「殺人鬼、ねぇ。そういえば、殺人鬼の中でも最強はあいつだよね。えっと、切り裂きジャックって奴。僕より後の人間だからかな。凄くテクニシャンだよね」

女「ぁ――――んた、そんなに怒らせたいの!?」

男「ううん、別に。人が怒ってるのを見ると、凄く気分が悪いし」

女「……それが頭に来るんだ。なんでそんなに冷静で言えるんだよ、こんな状況で!!」

男「いやぁ、だって。君が勝手に怒ってるだけじゃないか。……まあ、僕が悪いんだろうけどね。うん。ごめん。謝ったから仲直りしよ?」

女「……………………っ!!!!! もういい! アンタなんてもういい! 帰って!!」

男「帰ってって……ここ外だよ。君がどっか行けばいいだけじゃないか。あと、依頼だっけ? あれもういいの?」

女「うるさい! それもこれもアンタが――――」

男「うーん……立ち話だから血が上るのかな。じゃ、ちょっとそこらへんの喫茶店にでも行こうか。ね?」ギュ

女「は――――え? ちょ、ちょっと!」

男「ん? ……ああ、学生さんみたいだし、彼氏とかいるの? なら手を繋ぐのは駄目かな」

女「そうじゃない! な、何言ってるのアンタ……」

男「お願い事、あるんだろ? なら、ちゃんと聞いてあげないと。そんなムキになる事なら、本当に『酷いこと』なんだろうしね」

女「…………い、みわかんないよ、貴方」

男「そう? 僕は、君みたいな子が一番わけわかんないよ」

――――喫茶店

男「お金、ある? ないなら、僕が出すけど」

女「……別に、いい」

男「あ、そう」

店員「ゴ・チューモン=ハ?」

男「僕はプレミアムコーヒー。君は?」

女「あ、じゃあ……ラテで」

定員「おk」タッタッタ

男「……さて、ポケモンでもやろうかな」DSトリダシー

女(何故DS!?)

男「……エムリットぉ」

女(しかもDPかよ!!)

男「面白いじゃん四世代」

女「しかも思考読まれてた!」

男「クイッククイック……ダメか、くそぅ……」カチカチ

女(っていうか、他人といるのによくゲームできるなこの人)

男「…………おりゃっ。……ダメか」カチカチ

女(見た目社会人なのになあ……私服だからよくわからないけど、多分そうなんだろうけど……)

定員「コーヒートラテデス」ウィーン

男「ああ、どうも」

女(なんでロボット……?)

男「……はあ」DSシマイー

女(ゲットできなかったんだな……)

男「……それじゃ、飲み物もきたところで話をしてもらおうかな。ああ、飲みながらでいいよ」ズイッ

女「……はぁ」

男「……にがい」

女「……馬鹿ですか?」

男「よく言われる」

男「……口直しに質問していい? ……どうして君は僕にそいつを殺させたいの?」

女「え……」

男「ただ殺したいだけなら君が包丁を持つだけでできるよ。……いや、爪を伸ばすだけで十分だったね。あれで頚動脈を切れば一瞬だよ」

女「…………」

男「でも君は、それをしなかった。馬鹿な僕でも考えつく事を、君はしなかった。且つ、僕なんか口裂け女と同レベルの都市伝説にまで頼っている。
 ……当ててみようか。もしかしてだけど――――君は、怖いんだ」

女「…………こわ、い?」

男「そう。でもそれは、殺人を犯すという事に、ではない。むしろ逆だ。君は、人を殺したくて殺したくてたまらないんだろ?」

女「……そんな、こと」

男「ない、と断言できるのかい?
――――例えば、道端にいるホームレスを見たとして。……君はそれをどうするだろうね」

女「…………な、にを」

男「どうせ、このまま生きていても代わりはしない。それならばいっそ――――楽にしてあげよう。
 ……そうじゃないか?」

女「ち……ちがう! そんな」

男「例えば。公園でぶつかったぐらいの少年がいたとして。その少年はまさに健康そのもの。同世代では味わえぬような初々しさが漂う」

女「や、やめ……」

男「そんな少年を目にした君はどうするだろうか。その内にある『狂気』や『衝動』を見たいと思うんじゃないかな?
 人が死ぬ瞬間を。ましてやとうも生きていない幼児を。メッタ刺し、釣り上げ、目をくり抜き、舌を引きちぎり、骨を一本一本砕いて内蔵に突き刺し、足をねじり、腕をもぎ、やめてくれ、助けてくれと乞う少年を笑い飛ばして――――」

女「あ、あ……あ――――」

男「――――――君は、世界一残酷な彫刻に作り変えるんだろう?」

女「………………………っ!!」

男「それは肯定? だろうね。だって、僕はカウンセリングだったらかなりいい方の人間だもの」

女「……うそだ」

男「嘘じゃない。でも、そう思うのも嘘じゃない」

女「……は?」

男「螺旋があるだろう。君はあれだ。君の殺戮衝動は赤い螺旋。それを否定する青い螺旋。DNAのあれみたいなものだよ。それが君の本質。自己を否定する殺人鬼。それが君だ。
 ……怖いね。自覚がない悪っていうのは」

女「……そんな、そんなの……」」

男「君は人を殺したい。でも、そんな事を考える自分は嫌だ。そんな事をする自分は嫌だ。罪をかぶることが怖いわけでなく、異常な思考をする自分が嫌なんだ。
 だから、君は僕を探した。比較的自分に近い殺人鬼を」

女「………・・」

男「それが故意であろうと無意識であろうとどうだっていいけどね。僕には何も関係ないし。……それを含めて君であるからね」

女「…………」

男「だけどね。残念だけど、僕は殺人鬼なんかじゃないよ」

女「……は?」

女「いや、だって……」

男「殺人鬼っていうのは、殺人を嗜好するから殺人鬼なんだろう? ……まあ世間一般では殺戮マシンの事を言うみたいだけどさ」

女「……そう、なの、かな……?」

男「でもね、確かに結構人は殺したけど、別に僕は殺人鬼って訳じゃない。人を殺しても何も思わないし、かえって悲しいだけだ」

女「なら、どうして……」

男「……人間にはね、色々な趣味趣向というものがあるんだよ」

女「……? はあ」

男「性的趣向……フェチズムと呼ばれるものなんだけど、僕のフェチズムって言うのはね、大切な人がなくなったって事なんだよ」

女「………・はぁ?」

男「つまり、言うならば後悔趣向。何であんな事をしたんだろう、何で殺してしまったんだろう、何で自分はそんなことを、何で自分は生きているんだ。
 そんな思いが脳内を循環する。そんな思考で頭がいっぱいになる。――――その瞬間が、途轍もなく僕には快感なんだ」

女「……は、はあ」

男「だからね、僕は大好きな人を殺すんだ。大好きな街を破壊するんだ。でもただ破壊するだけじゃ面白くないと途中で思ってね、新しいアートにしていったんだよ。こうすれば、いつでも彼女たちに会える。こうすれば、いつまでも僕は後悔できる。
 ……つまりね、言ってしまえば、あの事件は僕の自慰であったと言えるんだよ」

女「…………」

男「ただ殺すだけじゃない。犯して、嬲って、悲鳴を上げさせ―――憤怒を、戸惑いを、その正体を開けて、醜い獣じみた咆哮を聞きながら、何度も、何度も人間としての尊厳を破壊して、犯し尽くす。――――そしてそこまでして、僕は彼女たちを優しく殺すんだ。
 ありがとう、僕を愛してくれて、と言いながら、ね」

女「…………貴方は、狂っている」

男「そうだね。でも、君も相当だと思うよ。いつか破裂する時限爆弾みたいなものだ。……そうだね。本当に時限爆弾だったね」

女「……あの被害者達は、貴方の一方的な愛によって殺されたの?」

男「ちがう。さっき言ったろ? 僕は、その内面が見たい。愛する人が獣の様に僕を怖がる瞬間が見たい。だから、何年もかけて相思相愛になる。そして――――初めてが終わって、もういいかなと思ったら、彼女たちを殺したんだよ」

女「……判ったことが、あったわ」

男「うん。なんだい?」

女「…………貴方は、狂っている」

男「そうだね」

女「……貴方は、見境なしの獣だ」

男「惚れやすい、と行って欲しいな」

女「…………貴方は、私と違うけど、とても近い存在だ」

男「……ふうん?」

女「貴方の言っていることはおかしくはない。なんということもないただの異常者だ」

男「そうだろうね」

女「……けど、それは仮初で、貴方は、貴方自身は異常でもなければ狂ってすらいない」

男「…………何を言っているんだ君。血迷ったか?」

女「貴方は、自分という獣を抑えられないだけの、ただの人間。……そこに、変に理屈をつけて自分を正当化させようとしただけの、ただの殺人鬼よ」

男「……いってくれるね。じゃあ、僕は彼女たちを愛していなかった、と?」

女「そうじゃない。貴方は確かに愛していた。目を見れば判る。彼女たちのことを話していた貴方は、とても澄んだ綺麗な目だった。
 だけど……それは後の話なんじゃないの? ……『一回目』は、どうだったの?」

男「――――あぁ、そうなんだ。もう、知っていたんだ」

女「……最初の事件の被害者は、貴方の幼馴染だった。多分、だけど――――貴方、振られたんでしょう? それで、殺したんでしょ?
 ……つまり、その瞬間に、殺すという快感を得ていただけに過ぎない。貴方の愛っていうのは、幼馴染さんの面影を持つ少女を愛するというだけ。
 貴方は、一回目で出来なかったことをやろうとしているだけの無様な人間でしかない…………!!」

男「…………まいったナァ。こんなにも早くバレちゃうんだね。なんだろうね、自分を覆い隠すっていう点で、君と似ていたからかな」

女「さあ? 私にも判らないけど――――貴方が趣向のことを言ってる時、とても胡散臭い目だったから」

男「……君、探偵になった方がいいぞ。目だけで判断できるなんて、シャーロック・ホームズなんて糞くらえだよ」

女「ふふ……やっと地が出てきたみたい」

男「……まったく、なんというか、初めて彼女以外の中に個性を見つけた気がするよ」

男「……君は、他の人とは違うんだね」

女「なんのこと?」

男「僕、自慢じゃないけれど、結構美形に生まれると思うんだ。だからかは知らないけど、みんな……ああいや、幼馴染以外はだけど、僕にきつい事とか異議とかは言わない人が多かったんだ。……でも、君は違う。僕に真正面から向かってくれた。言って欲しくない、隠したかったことも全部筒抜けだ」

女「……驚いた?」

男「うん。……僕は、彼女達のことは見れなかった。僕は、幼馴染が好きだったから。幼馴染ともっと居たかったから……だから、機械みたいに接して、仮初の関係を繋いでいっていたんだ。
 ……君は、僕を人間にしてくれた。今までは、好きも嫌いも喜怒哀楽全てが彼女に――――幼馴染だけに向かっていっていて、他はどうだってよかった」

女「…………今は?」

男「――――世界に向かっているよ。……ああ、こんなにも輝いていたのか。僕の周りは。外の世界は。僕が閉鎖していた間、こんなにも変わっていたんだ」

女「……それは、誰のおかげ?」

男「あぁ……うん、そうだね。……君だ。君がいてくれたから。この国に転生できたら。僕は――――やっと戻れた」

女「……ちょっと、鼻が高いかな」

男「君がやったことは、殺人鬼を殺人鬼でなくしたんだ。胸を張って十分な仕事だよ。……まあ、その前の殺人依頼は別として、ね」

女「あ……」

男「あれ、どうするの?」

女「…………」

男「…………」

男「……僕ね、思ったんだ」

女「……?」

男「二つほどね。一つは、僕の転生のこと。僕はね、何度も何度も女性を殺してきた。それが快感で、それこそが、自分の生き方だと思ったからね。……でも、途中でおかしくなったんだ。僕の欲求は満たされるはずなのに、どれだけ殺しても収まらない感覚があった。それが、僕は嫌だった。だから、何度も何度も転生して、その感覚を埋めたかった。
 ……その感覚っていうのは、自分、だったんだって、君に教えられて、僕は思ったんだ。……僕は、君に説教される為に転生し続けたんだって」

女「…………」

男「その途中の犠牲は、本当に多すぎて、今から罪を生まないとしても、きっと抱えきれないほどの大罪なんだろう。……それでも、僕は諦めないし、迷わない。
 自分が殺してしまった人たちの為に。自分が壊してしまった平和を喪って。僕は、これから転生していく。……どのみち、僕にはどちらの門も開かないだろうしね」

女「……あか、ない?」

男「それについては、また追々。で、もう一つなんだけど、これが実に重要なことなんだ」

女「……私は、開かないとかそういう方が重要だと思うんだけど」

男「まあ聞いて。さっきさ、僕胸を張れって言ったじゃない。でもさ」

女「……うん」

男「…………君、胸どこさ」

女「―――――――――――おい」

男「こう、君の体型ってさ、つるっきゅっぼんだからさ、あ、ぼんもないか」

女「…………言っていいことと悪いことがあるのって、知ってる?」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

男「……あ、ごめん。もしかして、また?」

女「ええ。……各別にムカついたわ」ズゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

男「……ごめん。悪気は流石にあった。でも、君本当に年頃にしては胸って言えるほど胸がn」

女「うるさーーーぁい! とっととアンタは成仏して消えろこのエセクール!!」ブンブン

男「ちょ、まじやめて! ここ! ここ喫茶店!!」

女「あ、そうか。じゃあ……『きゃー、このひと、えんこうとかいってるー』」

男「おもいっきし棒読み!!」

店長「……あー、お客様。ほかのお客様にご迷惑がかかりますゆえ、もう少し静かに……あと、警察が必要なようですね」

男「ううん! ぜんっぜん面白くないよその冗談! ……え? 冗談じゃない?」

女「あ、お会計この人が全部やってくれますよ」

男「え……なんで? 君、お金あるんでしょ?」

女「あるとはいったけど、出すとは一言も言ってないよ? 『出す』とは」

男「……拒否した場合は」

女「無論豚箱行きよ」

男「でっすよねー」

店長(コントの練習だったのかな……)

――――女の家

男「……君、何で僕を連れてきたんだ? やっぱり、僕は殺さなくちゃいけないのか?」

女「そういうことじゃないわ。……ねえ男?」

男「……なん、だい? なんか、嫌な雰囲気が……」

女「男はさ、私に感謝してる?」

男「あ、ああ……うん。だけど、それが――――」

女「ならいいよね。じゃ、入って?」ガチャッ

男「……えぇー」

女「……お義父、さん」

義父「ああ、女か。何だ、今忙しいんだが」

男(……お義父さん? ああ、成程。それで……)

女「……聞いて欲しいことが、あるの」

義父「……ほう?」

女「…………」

男「……え、言わないの?」ボソッ

女「…………わ」






女「…………私、この人と結婚します!」



男「……は!?」

義父「…………」

女「……ですから、もう此処には来ません」

男「え、ちょ、ど、え?」

義父「…………」

女「……もう私も、自分で未来を選べます。もし、貴方が駄目だといっても聞きませんから」

義父「…………そう、か」

女「…………ええ。ですから――――」

義父「ああ。殺し合おうか」チャキッ

男「! 日本刀……しかもかなりの業物!?」

女「ほら、はやくお願い」

男「え、……え、もしかして、僕が殺せって!?」

女「当たり前でしょ? 私にはそんな武器も何もないんです。貴方なら何とかできるでしょ?」

男「……ない」

女「え?」

男「…………今日は、持ってない」

女「――――――――う、そ」

義父「遅いぞ」シュン

男「――――!!」

シャッ

男「くっ……」ホホヲチガツター

義父「……若造が。次で仕留める……っ!」

男「な、なんで僕がこの人と戦わないといけないんだよぉ!!」

女「言ったでしょ? この人色々と私にやっちゃったし、きっと怖いんでしょ。政府のワンコが」

義父「そういうことだ。お前ら、死ね」ヒュン

男「うぉ――――っ」ヒュン

女「そいつ、剣道のうではかなりヤバイから、気をつけてね」

男「言うのが遅い!!」

義父「――――ふん」ヒュォン

男「!?」ザクッ

女「男!!」

男(……変則的な動き……これが、天才……!?)

義父「……身のこなしは素晴らしいな。が――――“それだけ”だ」ダッ

男(間合いを詰められる!? くそ、冗談じゃない! こうなれば――――)

義父「――――じゃあな、悪く思うな」


ブンッ



女「……え?」

男「…………」ギリギリ

義父「な、それ、は……貴様、何者…………」

男「…………こんなものは、もう二度と使いたくなかったんだけどな」

女(…………何が起きてるの? 刀が、空中で静止している――――!?)

男「……昔な。ちょっと昔、とある魔法使いと知り合ってね。……吸血鬼退治も出来ますっていう素晴らしいものでね。お前なんかに……容易く壊れるもんじゃないんだよ!!」ガッ

義父「く……っ」

男(ナイフはないか……ない、鋏――――もない! なら……)ダッ

義父「く、くるな!」ブン

男「開放(オープン)!」ギィン

義父「ぐあ!?」

男「――――てい」グルッ

義父「うっ!?」ズダン

女「床に倒した!」

男「借りるよ、これ」ガッ

義父「ぁ、ぐぉ……」

男「……それじゃ、何だかよく判らないまま殺しちゃうけれど、文句は言わないでね。まだ、楽な方なんだから」スッ

義父「や、やめてk――――」

男「死ね」




ザクッ




女「……死体の隠蔽は終わったわ」

男「手際良すぎじゃない? ……やっぱり、君一人は誰か殺してるだろ」

女「殴ってみようか?」

男「ごめん」

女「……ごめん」

男「……いいよ、別に。僕に出来ることなら、って言ったもん。やらないとさ、口先だけみたいじゃないか」

女「でも……その」

男「……うん、そうだね。君と、僕は永遠の時を過ごしたい」

女「……え?」

男「これは、君を幼馴染として見てないよ。君を君としてみている。君がすごく魅力的に見えるよ。……うん。やっぱりそうだ。自分でもびっくりするぐらい、僕は君が好きになっていたんだ」

女「え、え、え?」

男「君がいいだしっぺだろ? 結婚」

女「え、――――あ」///

男「……受け売りなんかじゃない。僕の本心からの気持ち。受け取ってくれるよね、女」

女「…………や、だ」

男「……え?」

女「そんなんじゃやだ。だって、私まだちゅーだってしたことないのに」

男「……ごめん。何を言っているんだい、君」

女「私は、ちゅーしてからじゃないとやなの」プイッ

男「……変なの。別に先だろうが後だろうが同じだろうに」

女「……ふん」

男「…………はあ。女」

女「……なn――――」

チュ

女「――――!?」

男「こんなもんでどうだ? じゃ、改めて。受け取ってくれますか?」

女「……卑怯だよ、それ」

男「やらせたくせになにを……」

女「冗談。……私も大好き。受け取ってくれるよね?」

男「ああ。……当たり前だ」

女「ふふ。……私だって」





 殺人鬼は殺人を趣向していたわけではなく、ただ愛に飢えていただけだった。
 なら、この先きっと、不可解な殺人も破壊事件も起きないだろう。

 こうして、また新たなリア充は誕生する。


 つまり、非リアの諸君。



 君も殺人鬼になれば、多分恐らくリア充になれると思う。

 ……確証は、ない。








END




ps.こんな感じの夢を見たから勢いで書いた。反省してるし後悔してるけどその分ビクンビクン(ry

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