Qを見て勢いとノリで
改編っぽいので注意
間違ってるところとかあったらすみません
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シンジ「綾波、なんか出会った頃みたいだったな」
シンジ「まるで、僕のこと知らないみたいな」
シンジ「……そんなわけない。綾波は、僕が助けたんだから」
シンジ「図書室、行こう」
シンジ「でも14年か。あちこち古くなってる」
シンジ「掃除とか誰がしてるのかな……でも、虫とかもいないや」
シンジ「瓦礫ばっかりで歩きにくい」
シンジ「それ以外は変わって、ないね」
シンジ「ちょっと懐かしい」
シンジ「……なんで僕だけ、僕らだけ、変わってないんだろう」
シンジ「教えてよ、誰か」
シンジ「エヴァの呪縛って、なんなんだよ」
シンジ「ここ、更衣室だ。こっちが男性用で、あっちが女性用」
シンジ「よく着替えが遅いってアスカに怒鳴られたっけ」
シンジ「帰りは一緒に夕飯の買い物行って、たまにそこに綾波も加わって」
シンジ「アスカは嫌がってる素振りだったけど一番よく喋ってた」
シンジ「ミサトさんが定時て上がった時は車で送ってもらえるからいっぱい食材買い込んで」
シンジ「ハンバーグとかオムライスとか、アスカが好きなものだったときはちょびっと手伝ってくれたっけ」
シンジ「お米研ぐとか野菜洗うとかだったけど」
シンジ「僕のことガキって言ったけど、アスカのほうが子供っぽかったな」
シンジ「……今は、知らないけど」
シンジ「ここの食事はペーストみたいなので美味しくないや」
シンジ「休憩室も、寂れてるな」
シンジ「自販機ひしゃげてるし、中身あるのかな」
シンジ「さすがに10年以上経ってたら飲めないかぁ」
シンジ「ジュース、飲みたいな」
シンジ「お茶とか紅茶とかコーヒーとか、水でもなんでもいいから不味い栄養ドリンクみたいなの以外が飲みたい」
シンジ「味覚がおかしくなりそうだ」
シンジ「ううん、世界がおかしい。僕だけ別の世界から来たみたい」
シンジ「図書室、ドアが変形してて開かない」ムウ
シンジ「どうしようかな」
シンジ「うーん、この壁崩れかけてるけど壊したらいけるかな」
シンジ「鉄骨とか丸見えだし……ちょっと中が見えるや」
シンジ「よし、この瓦礫で壊してみよう」
シンジ「えいっ」ガンッ
…パラパラ…
シンジ「これくらいの幅でもうちょっと高さがあったらいけそう」
シンジ「よし、もう少しやってみるぞ」
ガンッ ガンッ ガッ
シンジ「はあ……はあ……」
シンジ「けほっ……なんとか通れそうになった」
シンジ「ちょっと煙たい、少し外の空気を吸おう」
シンジ「電気は通ってるみたいだけど、ここ開くかな?」
プシッ
シンジ「……風、ちょっと冷たい」
シンジ「でも気持ちいな」
シンジ「よし、一息ついたし本何冊か持って帰ろう」
シンジ「綾波に英語の本って言っちゃったけど英語の本いっぱいある……」
シンジ「どれがいいのかな」
シンジ「あれ、これ英語? ドイツ語? 医学書的なのかな」
シンジ「うーん、日本語じゃなかったからよく見てなかったなぁ。どんな本読んでたっけ」
シンジ「とりあえずそれっぽいの何種類か持って行こうかな」
シンジ「とりあえず2冊でいっか」
シンジ「渡すときに何が好きか聞いてみよう」
シンジ「綾波、いないや」
シンジ「とりあえずここに置いとこう」
シンジ「あ、本の好み聞かないといけないんだった」
シンジ「……もうちょっと待ってたら、戻ってくるかなぁ」
シンジ「…………」パラパラ
シンジ「さっぱりわかんない」パタン
シンジ「…………」モゾ
シンジ「…………」
シンジ「…………」スースー
シンジくん バカシンジ いかりくん シンジ 碇
僕の名前。
呼んでる、みんなが呼んでる。
シンジ。
柔らかい声が僕を呼ぶ。
綾波? 違う、似てるけど、違う。
温かい。まるで みたいな
「―――く―、――り―ん、いかりくん」
シンジ「あや、なみ?」ムニャ
レイ「なんでここに」
シンジ「あ……あ、ほ、本!」
レイ「ほん?」
シンジ「本、持ってきたんだ」
レイ「…………」
シンジ「そうだよ、読むかと思って。暇なときとか」
レイ「ひまなとき、ないから」
シンジ「え?」
レイ「命令を待ってるから」
シンジ「でも暇じゃないか、待ってる間」
レイ「?」
シンジ「綾波が何読むのかわからなかったからとりあえず持ってきたんだ」
レイ「……そう」
シンジ「あ、読んだことあるのだったらごめん!」
レイ「……」
シンジ「あ、あのさ」
レイ「なに」
シンジ「綾波ってどんな本いつも読んでたっけ? 僕、外国語わからないから、そういうの知らなくて」
レイ「いつも……綾波レイなら、本をいつも読むの」
シンジ「え? 僕が見てる時は、結構読んでたと思うよ」
レイ「そう」フイ
シンジ「あ、綾波?」
レイ「そろそろ戻ったほうが、いいと思う」
シンジ「え、う、うん。じゃあまたね、綾波」タタッ
レイ「……」
レイ「……本……」ペラ
レイ「……?」ペラ
レイ「……」ペラペラペラ
レイ「……なんて書いてあるのか、わからない」
レイ「……綾波レイは、本が好き」
レイ「…………」ペラ…ペラ…
シンジ「綾波、いる?」
シンジ「……いないのか」
シンジ「あれ、本置いたままだ。読まなかったのかな」
シンジ「用事があったのかも」
シンジ「今日は探索もう少しするし、本だけ置いておこう」
シンジ「今度は読んでくれるかな」
シンジ「それにしても随分壊れちゃってて危ないや」
シンジ「あれ、そういえばネルフの人を見ていないような……」
シンジ「まさか父さんたちだけ?」
シンジ「そんなわけ、ないよね」
シンジ「ん?……あ、ピアノの音」
シンジ「あの、男の子かな」
シンジ「綾波とちょっと似てたけど、親戚とかだったり」
シンジ「……誰も何も話してくれない、わからないことだらけだよ」
シンジ「綾波、いないのか」
シンジ「本もそのままだし……読む暇、ないのかも」
シンジ「違うジャンルを持ってきてみたけど、読んでくれるかな」
シンジ「……置いていこう」
シンジ「よし、カヲルくんのところに行こうかな」
>>32 訂正カヲルくん→渚くん
レイ「……今日も、増えてる」
レイ「…………」パラパラ
レイ「……わからない」
レイ「私の知らない言葉、知り得ない言語」
レイ「……碇くんは、読めるのね」パタン
レイ「…………」
レイ「辞書、あったら読めるかしら」
カヲル「悩んでいるのかい、碇くん」
シンジ「え?」
カヲル「浮かない顔をしているね」
シンジ「そう、かな……そうかも」
カヲル「なにがあったのかな」
シンジ「……何も、ないんだ。わからない。だから、どうしたらいいかわからなくて」
カヲル「そういう時はね、言葉にするんだ。鍵盤を叩けば音がするみたいに」
シンジ「言葉、か……」
カヲル「僕に話して、碇くん。その言葉を僕が受け止めるから」
レイ「…………」ペラ
レイ「……なに」
カヲル「相変わらずだね、君は」
レイ「……」
カヲル「碇くんはまだ"綾波レイ"だと思っているみたいだ」
レイ「私は、綾波レイ」
カヲル「……そうだね。でも碇くんにとっては違う」
レイ「どういうこと」
カヲル「彼に会って話してみるといいよ。音は、言葉は人にとって大きい存在だ」
レイ「命令?」
カヲル「いや、そんなものじゃないさ。ああ、この機械。もし碇くんに会ったら渡しておいてくれないか」
レイ「……これ、碇くんの」
カヲル「これも命令じゃないけどね」
冬月「碇、これはお前の計画の範疇かね」
ゲンドウ「予定外の接触、か」
冬月「小さな歪みは大きなうねりとなるぞ」
ゲンドウ「あれに歪みが生じようと関係ない。すでにトリガーとして機能を始めている」
冬月「そうか。だが、懸念は少ない方がいいだろうに」
ゲンドウ「冬月先生、それはあなたの役目だ」
冬月「ふん、嫌な役だ。予定を繰り越すとするか」
冬月「しかし、若い少年に話しかける話題がない……」
冬月「楽器など弾けんしなぁ」
冬月「ここはスポーツでも誘ってみるか?」
冬月「碇、お前の息子はなにかスポーツをしていたかね」
ゲンドウ「私もユイも、学者畑だったんだが」
冬月「そういえば昔は喧嘩が絶えなかったがその後いつも筋肉痛で動けなくなっていたな」
ゲンドウ「……」
シンジ「……綾波、やっぱりいない」
シンジ「本の位置も変わってない。読んでないんだ」
シンジ「……なんでだよ、綾波」
カヲル「碇くん、ここにいたんだね」
シンジ「な、渚くん!?」
カヲル「……彼女とは会っていないのかい?」
シンジ「うん……タイミングが悪いみたいだ」
カヲル「ここにいるのは危険だね、早く行こう」
シンジ「え、危険? どういうことなの、渚くん」
カヲル「君は知らない方がいい」
シュー ゴポゴポ シュー ゴポゴポ
レイ「…………」
「―――――」
レイ「……?」
「―――――」
レイ(だれ)
「―――――」
レイ(あれは、私? でも着ているものが違う、あれは何)
レイ(白と水色の服、見たことがないのに)
レイ(何かが疼く。あれは、この"綾波レイ"は、)
シュー ゴポゴポ シュー ゴポゴポ
レイ「…………」ポタポタ
ゲンドウ「命令があるまで待機だ」
レイ「はい」ポタポタ
レイ(あれは魂の記憶? それとも、新しい体?)
レイ「……あの」
ゲンドウ「なんだ」
レイ「白と水色の服、知っていますか」
ゲンドウ「白と水色?」
ゲンドウ「……っ」ハッ
ゲンドウ「お前は命令を聞いていればいい、それ以外は不要だ」
レイ「……はい。待機します」
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