閻魔あい「……アイドル?」 (125)

地獄少女×モバマスSSです。


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1408696138

~午後11時25分、とあるプロダクションの一室

悪徳P1「クソッ!!何であんな弱小プロダクションにウチが負けているんだ!!」

悪徳P2「我々が数多くの妨害工作を行ったにも関わらず、いまだに流行の波に乗り続けている……まったくしぶとい奴らだよ!!」

悪徳P1「こんなことになったのも、CGプロにあの糞プロデューサーが入ったからだ!!」

悪徳P2「ああ。あの若造がCGプロに入社してからCGプロは急速に勢力を拡大し続けている。何とかしなければ……」

悪徳P1「しかしっ!!我々の妨害工作も効果がないのに、他に何の手段があるっていうんだ!!」

悪徳P3「一つ……案がある」

悪徳P1「何だと!!何か案があるのか」

悪徳P3「ああ……地獄少女だ」

悪徳P3「地獄少女は強い恨みを持つ人間を地獄に流してくれるんだ。地獄に流された人間は永久にこの世から消滅する」

悪徳P1「そんなバカな……そんな奴がいる訳ないだろう。ライトノベルじゃあるまいし」

悪徳P3「いや、確かに地獄少女は存在する。実際、俺の知り合いが地獄少女に頼んで人間を地獄に流してもらったらしい」

悪徳P2「地獄少女が存在するとしても……どうやってCGプロのプロデューサーを地獄に流すんだ?」

悪徳P3「午前零時ちょうどに地獄通信というサイトに恨みを持っている奴の名前を書き込めば後は勝手に地獄に流してくれる」

悪徳P1「そういや、あと30分で午前零時じゃないか。ちょうどいい……地獄少女が存在するのなら良し。存在しなかったとしても……まぁ暇つぶしにはなるか。」

悪徳P2「そうだな。まぁ試してみるか」

~午前零時~

悪徳P1「地獄通信っと」カタカタ

悪徳P2「なんか不気味なサイトだな。」

悪徳P3「ククッ……地獄少女の趣味なんじゃないのか」

悪徳P1「ここに奴の名前を打ち込めばいいんだな?」

悪徳P3「ああ、そうだ」

悪徳P1「よしっ!!」カタカタッ

悪徳P1「打ち込んだが……何も起こらないじゃないか」

悪徳P2「所詮はくだらないオカルトだったって事か」

悪徳P3「おい……何か妙な気配が……」

悪徳P1「おいおい……オカルトはいい加減にs……」

閻魔あい「呼んだ?」ヒョコっ

悪徳P2「だ、誰だ!!」

あい「私の名前は閻魔あい。呼んだでしょ?」

悪徳P1「じゃあ……お前が地獄少女……」

あい「受け取りなさい」スッ

悪徳P1「これは……藁人形か?」

あい「貴方が本当に恨みを晴らしたいと思うのなら、この赤い糸を解けばいい。
糸を解けば私と正式に契約を交わした事になる。恨みの相手は速やかに地獄に流されるわ」

悪徳P3「だが……俺の聞いた話ではリスクがあるって」

あい「ええ。恨みを晴らしたら貴方にも代償を払ってもらう事になる。“人を呪えば穴二つ”
貴方達の中でこの赤い糸を解いた人が代償として永遠に地獄を彷徨い続ける事になる。
まぁ……死んだ後の話だけどね」

悪徳P1「地獄か……」

あい「やっぱり止める?」

悪徳P1「いや……やろう」

悪徳P2「糸は誰が解く?」

悪徳P1「それも俺がやろう。この中で奴を一番憎々しく思っているのは俺だしな」ヒュルッ

あい「そう…」

「恨み……聞き届けたり……」

~午前零時30分、CGプロ事務所~

カタカタ

P「はぁ……ちひろさんを家に帰したはいいものの……仕事……終わらないなぁ。でも頑張っているアイドルの皆の為にも、頑張らないとな」カタカタ

あい(ブラック企業……初めて見たわ)

輪入道「どうしたお嬢。早くあの男を地獄に送らねえのかい?」
あい「……出来ない」

輪入道「そりゃまた何で」

あい「わからないわ……でも私の力が効かない。いや……弾かれてる……」

スッ

あい「……っ。誰?」

芳乃「何をしているのでしてー」

輪入道「誰だ?お嬢ちゃん」

芳乃「質問しているのはこちらなのでしてー」

あい「まさか……貴方の仕業」

芳乃「はいー。流石にーあのお方が地獄に流される所をみすみす見逃すわけにはいかないのでしてー。それに誰の断りを得てあのお方に手を出そうとしているのでしてー。地獄少女―」

あい「私の事を知っているの」

芳乃「はいー有名でございますよー。閻魔の大切な子飼いで地獄でも償い切れない大罪を犯し、罰として地獄少女の責務を課されているのですよねー。まぁ、かくいうわたくしも一応当事者ではありますがー」

輪入道「おい…まさかアンタ……」

芳乃「当たらずとも遠からずですよー」

あい「何だっていいわ……でも、仕事の邪魔はしないで」

芳乃「そういう訳には参りませんのでー少し強硬手段をとらせていただきますー」キュイン

あい「ああっ!!」

輪入道「お嬢!!アンタ…お嬢に何を……っ」

芳乃「大したことはしておりませんよー少し閻魔との繋がりを断ち切らせてもらった出かですのでーああ、現世にいる分については問題ありませんよー」

あい「っ……地獄少女としての力が……消えていく」

芳乃「職務とはいえーあのお方を地獄に送ろうとした事は許しがたいのでーわたくしがーが許可するまでー地獄少女としての力は封じますー。力を返してほしければーせいぜい頑張るのでしてー。近くで見守っておりますからねー」シュン

あい「ちょっ……待って……」

あい「…………」

輪入道「……。どうするお嬢、閻魔との繋がりを絶たれた以上…もうお嬢は地獄少女としては……」

あい「……力を取り戻す手段を見つけてみる。地獄少女の責務から解放されたとはいえ、あんな出鱈目に振り回されるのは…………………癇に障る」

輪入道「そうかい……なら……この輪入道、三藁としてお嬢が力を取り戻す手助けをしねぇとな」

あい「……助かる」

ガタガタっ

P「おい……誰かいるのか?」

輪入道「マズいっ……お嬢、ひとまずここを出るぞ!!」

あい「ええ……」

芳乃〈お前は此処から逃がさないのでしてー〉

あい「っ……体が……動かない」
輪入道「何やってるんだお嬢!!早く!!」

P「居るのはわかってるんだ……今出てくれば理由のいかんによっては逃がしてやっても……」

あい「……行って」

輪入道「だが…お嬢は…」

あい「早く……」

輪入道「くそっ!!お嬢、必ず迎えに来るからなっ」ダッ

P「さぁ見つけたぞ……大人しく……っ」

あい「…………?」

P(艶やかな黒髪に……紅い瞳に白い肌……外見とは裏腹に仄かに漂う色気……
ティンときた)

P「あの……君」

あい「………………何」

P「アイドルに……なってみる気はないかな」

あい「えっ……?」

~明朝 9時30分、CGプロ事務所~

ちひろ「で……スカウトしたと」

P「はい……。久々に見つけた逸材だったのでつい……」

あい「………………」

ちひろ「いや……いくら逸材とはいえ不法侵入者で身元も知れない女の子をスカウトしちゃうのは流石に駄目でしょう。それに私はこの子の名前も知らないんですが」

あい「……閻魔あい」

ちひろ「閻魔あい……すごい苗字ですね。制服を着ているってことは中学生ですか」

あい(本当のことは言えないわ……)

あい「ええ……そうよ」

ちひろ「だったら……親御さんに連絡しないといけませんね。あいさん、親御さんと連絡は取れる?」

あい(念話は通じない……でも携帯でなら)

あい「……携帯で連絡できる」

P「じゃあ、親御さんに掛けてもらえるかな。ここで預かっている事を伝えなくちゃならないしさ」

あい「わかった。少し外でかけてもいい?」プルルル……ピッ

P「ああ。良いぞ」

あい「もしもし……」

骨女「お嬢!!……お嬢なのかい!!ああ、輪入道から仕事の途中でトラブルがあって別れたと聞いて皆で心配してたんだよ!ところで体は大丈夫なのかい?!」

あい「……心配ない。ただ……地獄少女としての能力はなぜか……使えないけど」

骨女「輪入道から聞いたよ。得体の知れない娘に能力を封じられたんだってね……
まぁ、アタシ達にとってはお嬢が無事なのが何よりだよ……で、今どこにいるんだい?
場所さえ分かればアタシ達が迎えに行くけれど……」

あい「場所は……CGプロダクションっていうアイドル事務所……」

骨女「ああ、地獄に送る相手のいた場所がそこなんだったね……分かった。すぐに迎えに行くよ」

あい「……待って。……CGプロの人が……話があるって」

骨女「あいよ」

あい「はい……繋がってるよ」

P「ああ。」

P「ハイもしもし……CGプロのPと申すものですが……ああ、お母様で……はい、はい、では駅までウチの事務員を向かわせますので……はい、はい失礼します」ピッ

P「15分で迎えに来るそうです。ちひろさん、駅まで行って、あいさんのお母さんを事務所まで案内してきてもらっても良いですか?」

ちひろ「分かりました。Pさん……無理強いはだめですよっ」

P「わかってますって」

ちひろ「じゃあ行ってきますね」バタン

P「では……あいさん」

あい「…………?」

P「改めて言わせてもらうよ……アイドルになってみる気はないかな」

あい「……何かの冗談」

P「とんでもない!大真面目だよ」

あい「……どうして私を」

P「そりゃ……昨日一目見たときにティンと来たからさ」

あい「……ティン?」

P「ああ。ティンと。君ならきっとトップアイドルになれる、そう思ったんだ!」

あい「……いきなり言われても……困る」

P「ああ、ゴメン。でもすぐに判断してくれなくてもいい。その気になったらこの名刺に書いてある電話番号に電話してくれればいい」

あい「……」

P「…………?」

あい(トップアイドル……)

ガチャリ

P「ちひろさんが帰ってきたみたいだな」

ちひろ「Pさん。あいちゃんのお母様を連れて……」

骨女「あいっ!!どこ行ってたんだい!もう心配したんだからっ」ドタドタ

あい(演技……)

あい「お母さん……御免なさい」

骨女「ちひろさん、Pさん。娘を預かって頂いて本当に有難う御座いました……この子
夜中に勝手に家を出ていったっきり……」

P「いえいえ、当然の事をしたまでです。あいさん……気が向いたら連絡してくれ」

骨女(連絡……?)

あい「……その気になったらね。」ガチャリ

骨女「それでは失礼させていただきます。重ね重ね本当に有難うございました」バタン

ちひろ「連絡……来るといいですね」

P「ですね……。さぁ、連絡を待ちつつ仕事と行きますか」

ちひろ「はいっ」


~骨女の借りているアパート~

輪入道「しかし……お嬢をアイドルにスカウトするとは、その男も結構な変わり者だなぁ」

一目連「ところで……お嬢、地獄少女としての能力はまだ戻ってないのか?」

あい「ええ…昨夜以来ずっと……」

輪入道「そいつぁマズいな……。お嬢が地獄少女としての務めを果たせないとなると、お嬢が成仏できる日がその分だけ遠のいちまう」

骨女「能力も重要だけどさ……それよりもアンタ、アイドルだよ!お嬢がアイドルにスカウトされるなんてねぇ……お嬢はどうするんだい」

あい「…………」

きくり「あれーあい帰ってきてたのー」

骨女「こら、きくりっ。今は大事な話をしてるんだ。子供は引っ込んでなっ」

きくり「ぶー」

輪入道「で、お嬢。どうするんだ?」
あい「決まってるわ……能力が戻る方法を探すのが先決……」

きくり「あ、あいが地獄少女じゃないってことはーあいは今ごくつぶしだねー」

あい「……」むかっ

骨女「きくりっ!!アンタお嬢になんて事言って……大丈夫だよお嬢、周りの事はアタシ達に任せてお嬢は能力を取り戻す事さえ考えていてくれれば……」

一目連「そうだよ、お嬢。アイドルなんかやらなくても俺たち三藁に任せていれば大丈夫だ」

きくり「あーいのごくつぶしー♪にーとー♪」

あい「…………」むかむかむかっ

あい「やる」

骨女 一目連 輪入道「「「えっ」」」

あい「アイドル……やる」

骨女 一目連 輪入道「「「ええーーーーーっ!!!」」」

~一時間後~

一目連「俺は反対だ。お嬢」

骨女「もういいじゃないか……お嬢が決めたんだから。それに……能力を無くしたのもその事務所でなんだろう?だったら、お嬢がそこにでアイドルをやる意味もあるんじゃないのかい?」

輪入道「確かに……現時点ではあの事務所が一番怪しいしな……。それにお嬢のgんこ差はお前も知ってるだろう」

あい「~~~~~♪」練習中

きくり「へたくそー」

一目連「っ!!いいか、お嬢。アイドルってのは決してお嬢が思っているほど甘い世界じゃないんだ!芸能界ってのはまさに現世の地獄っ!喰うかか喰われるかの世界!逆上がりもいまだに出来ない、腕立ても出来て一回のお嬢が乗り越えられる世界じゃないっ!!」

骨女「アンタ……何もそこまで」

あい「能力を取り戻すまでの余興よ……本気でやるわけじゃないわ」ピポパポピ

一目蓮「だったらいいが……」

~CGプロ~

あい「…………」がちゃり

ちひろ「あいちゃん、連絡ありがとうございますっ。ようこそCGプロへ!!」

あい「…………あの人は」

ちひろ「ああ!!Pさんですね。もうそろそろ来ると思うんですが……少しあっちの応接間のソファに座って待っててもらえますか」

あい「…………分かった」

あい(暇だわ……何か童謡でも歌おうかしら)

あい「かごめかごめ……籠の中の鳥は……いついつ出やる……♪」

にゃぁ…にゃぁ

あい「…………猫?」ヒョイっ

雪美「待って……ペロ」トテトテ……

あい「これ……貴方の猫?」

雪美「あ……ありがとう。貴方は……だれ」

あい「私は閻魔あい……ここのアイドルになる者よ……」

雪美「新しい……アイドル……仲間?」

あい「仲間……良く分からないけど、そうだと思う」

雪美「仲間……!!」パァァ

あい「可愛い子猫ね……」

雪美「あい……触る?」

あい「いいの……?」

雪美「うん……ペロもきっと喜ぶ」

あい「…………」撫でる

にゃぁ…にゃぁ

雪美 あい「「ふふっ……」」

あい「……名前をまだ聞いてないわ」

雪美「佐城……佐城、雪美。こんごとも……よろしく」

あい「……よろしく」

P「喜び勇んで帰ってきたいいものの……これはしばらく雪美に任せておいた方がいいかな?」

ちひろ「ふふっ……ですね♪」

~2時間後~

P「じゃあ、事務所見学も兼ねてウチに所属しているアイドルを紹介していくか!」

あい「……分かった」

ガチャ

P「ココが会議室。そしてこっちが俺たちが普段仕事をしているとこで……あそこで台本を読んでるアイドルがウチで一番の先輩アイドル、黒川千秋だ。俺に相談できないことがあったら千秋に言ってみてくれ」

千秋「あら、この子が新しいアイドル?私は黒川千秋、これから宜しく。え……っと
あいさんで良いかしら?」

あい「構わない……これからよろしく……」

千秋「ふふっ……何だか……佐城さんが大きくなったみたいな子ね」

あい「…………似てる?」

千秋「ええ」

P「済まないが次に案内したいところが有るんだが……」

千秋「あら、残念。またゆっくりお話しましょうね。あいさん」

あい「…………」こくっ

P「それじゃあ次だな。ここが社長室でってうわぁぁ!!」

小梅「…………」

あい「大丈夫よ……生きてるわ」
小梅「ば、バレた……。す、すごい」

P「ふぅ……小梅、脅かさないでくれよ……こういうの苦手なんだから。あ、この子がウチの二人目のアイドルの……」

小梅「白坂……小梅です。よ、よろしく」

あい「……よろしく」

あい「……血糊は……もっといい撒き方があるわ……(小声)」ゴニョゴニョ

小梅「あ、後で教えて……」ゴニョゴニョ

P「何話してたんだ?」

あい「教えてあげる……気が向いたらね」

P「ははっ、そりゃ残念。じゃあこれからレッスンルームに行くから付いてきてくれ」

あい「……了解」

~レッスンルーム~

P「ここがレッスンルームだ。普段は此処でレッスンをする。おっ……やってるな」

トレーナー「はい!はい、ワンツー!ワンツー!はい!そこでターン!!」

芳乃「ぐるぐるたーんなのでしてー」ターンっ

蘭子「神に捧ぐ神楽っ!!(芳乃ちゃんと一緒だと気合が入りますっ!!)」ターンっ

雪美「……とう」ターン

あい(…………あの子っ)

芳乃(心配せずともこれ以上何もしないのでしてー)

あい(直接脳内にっ)

芳乃(地獄少女がーアイドルとなり人に希望を与える道を選ぶとはーおもしろいものなのでしてー)

あい(能力は……返してくれないみたいね)

芳乃(今はまだー返す気はないのでしてー。でもアイドルとしてあのお方の力になればー返すのでしてー)

あい(その言葉……信じるわ)

P「あい。少しレッスンを二人と一緒に体験してみないか?」

あい「いいの?」

P「ああ。いいよな?芳乃、蘭子」

芳乃「構わないのでしてー」

蘭子「招魂の神楽にはもっと踊り手が必要よ(はい!!大歓迎です!)

雪美「……大歓迎」

トレーナー「ええ、構いませんよ」

P「心配しなくてもいいぞ、そんなに難しいことはしないから」

あい「……わかったわ」

~2時間後~

あい「」ぐったり

蘭子「地獄への導き手っ!無事かッッ(あいちゃん、大丈夫ですかー!)」

芳乃「まぁー誰でも最初はこうなのでしてー」

あい(つ……辛い……こんなに動いたのは、初めて……)
トレーナー「あはは…体力はこれからつけていかなきゃ駄目ですね」

P「はははっ。体力は当面の課題になりそうだな」

トレーナー「でもPさん。あいちゃん、歌に関しては凄い才能をもってますね……
あんな綺麗な歌声……初めて聴きましたよ」

P「でしょう!初めて会った時からすごく声が綺麗だなって思ってたんですが、これは磨けば光りますよね!!」

トレーナー「はい!歌を中心にしつつ……踊れるように体力方面もビシバシ行きますよぉ!」

あい(体力つけないと……物理的に地獄に……)

~夕方、CGプロ~

ちひろ「あいちゃん。レッスンはどうでしたか!」

あい「次のレッスンには……六銭文を持ってくることにするわ……」

ちひろ「相当……疲れたみたいですね」

蘭子「プロヴァンスの風は地獄への導き手に耐え難き苦難を課したっ(Pさんのレッスンはあいちゃんにはきつかったみたいです)」

P「あい。今日は家まで送っていこうか?」

あい「いい……」

雪美「あい……Pは……仲間。仲間は……頼るもの」

あい「……お言葉に甘えることにするわ」

あの子はどんな反応するのかな、そしてナチュラルに正体見抜いてる蘭子

~骨女のアパート~

あい「……た、ただいま」ドサッ!!

骨女「お……お嬢!!ああ……こんなに汗が……」

一目連「思った通りだ。大方……体験レッスンで体力を使い果たしたんだろ」

輪入道「まぁ……お嬢は体力ねぇからなぁ」

一目連「アイドルはそんなに甘くないって事さ」

輪入道「芸能ってのぁいつの世も体力勝負ってことだな」

骨女「アンタ達……ぼさっとしてないでお嬢の湯浴みの準備でもしたらどうだい?」

輪入道 一目連「「へいへい」」

~食事中~

輪入道「ところでお嬢、あのお嬢の力を封じた嬢ちゃんとは会えたのかい?」ムシャムシャ

あい「ええ……アイドルとしてしっかり働いたら返すって……」モグモグ

骨女「しかし、その娘も変わった娘だねぇ。お嬢の力を奪ったってのに……お嬢にやらせたいことはアイドルなんて」

一目連「神様みたいな奴は皆、常識が通じないのさ。だがお嬢にとってはより難儀な事になったけどな。っと」

きくり「あ!きくりのウインナー!!」

一目連「うるさい……もともとこれは俺のだ」
きくり「ウインナー返してくれないならーエロ目玉の秘密をばらしちゃうぞー」

一目連「っ……わかったよ」ほい

骨女「何だい?秘密って」

一目連「どうでもいいだろ……ほら、お嬢が食べ終わるみたいだぞ」

~翌朝~

骨女「あれ?お嬢はどこにいるんだい」

輪入道「お嬢か……走ってくるって言ってたな」

骨女「はぁ……すっかりお嬢もやる気だね」

一目連「力を取り戻すためさ」

輪入道「だと……いいけどな」

-----時が過ぎて二週間後------
あい「はぁ……はぁ…はぁ……」

雪美「あい……すごい……やりきった」

千秋「凄いわ……2週間で私たちのレッスンについてこれられる様になるなんて」

トレーナー「あいちゃんもだいぶ慣れてきた感じですね」

あい「はぁ……はぁ……」

あい(何でだろう……この感覚……とても気持ちいい…… )

トレーナー「プロデューサーさんもあいちゃんのこと褒めてましたよ」

あい「そ……そう」

ちひろ「ええ、『有香はレッスンもとっても真面目に取り組むんです、他のアイドルの見本ですよ』って言ってたし」

有香「ほ、本当ですか?」

芳乃「そなたのレッスンに立ち会えなくてすごく悔しそうでしたねー」

芳乃(よくぞ此処までついてきましたねー。ほめてあげましょうー)

あい(私にかかれば……こんなものよ)

芳乃(ほほー。頼りになりますねーこの調子でたのみますねー)

あい(ええ……)

芳乃(今までは力をいつ返してくれるのかという話ばかりだったのにーこれは時が近づいてきているのでしてー)

~CGプロ事務所~

P「ただいま戻りまし....おお、あい、ちょうどいいところに」

あい「何か……用」

P「あい。オーディションを受けてみないか」

あい「おー……でぃしょん?」

P「ああ。あいにはTV局のオーディションを受けてもらう。もしオーディションに受かったら、あいの知名度も一気に上がるからな」

ちひろ「Pさん、あいちゃんが受けるオーディションはどんな番組のオーディションなんですか?」

P「今度、小梅が主人公役をやることになってる深夜枠のテレビドラマがあるんですけど、
その番組で小梅に召喚される悪魔役ですね」

あい「悪魔……」

ちひろ「ああ、小梅ちゃんがデビルサマナーになれるって喜んでたあの……」

P「はい。もう小梅のライバル役や小梅の相棒役は埋まってしまっているんですが、この役だけ決まってなかったんですよ」

ちひろ「でも……いくら深夜枠とはいえ、このドラマのオーディションをあいちゃんの初仕事にするのは……難しいんじゃないですか」

P「最初は俺もそう思ったんですが……でもあいならやってくれるんじゃないかと」

P「さぁ……どうする?あい」

あい「やってみるわ……初仕事は少し難しいくらいがちょうどいいもの」

P「じゃあ、オーディションに向けての準備を始めるか!」

~オーディション会場~

監督「――それでは、24番『閻魔あい』さん。役を演じる上でのアピールポイントをお願いします」

あい「……決め台詞、考えてきたの。それでもいい?」

監督「ああ、構いませんよ」(決め台詞なんて変わった子だな……)

あい(仕事の時の感覚を思い出して…………)

あい「闇に惑いし哀れな影よ。人を傷つけ貶めて。罪に溺るる業の魂。

あい「いっぺん、死んでみる?」

監督「!?」

監督(何だ……綺麗な声なのに、体が…震えて)

監督「あ、有難うございますっ」

あい「?……」ペコリ

あい「……」スタスタ

監督「で! で、では次の審査は――」

~車中~

P「あい。オーディションはどうだった」

あい「……決めてきた」ドヤッ

P「それは期待できそうだ」ニヤリ

小梅「あいちゃん……」

あい「何……?」

小梅「あいちゃんがオーディションに受かったら……私、あいちゃんと一緒に仕事ができるんだよね……楽しみだな……」

あい「…………まだ気が早い」

P「そうだぞ小梅。まだ受かると決まったわけじゃないからな」ハッハッハッ



~合格発表~

プルルル……プルルル

ちひろ「はい、CGプロです。はい……はいっ……本当ですか!!有難うございいます!!
こちらこそよろしくお願いいたしますっ!はいっ、失礼します」ガチャリ

P「どう……でした?」

ちひろ「撮影ならともかく……審査であんなに怖い思いをしたのは初めてだ……本番でもその調子で頼む。だそうですよ」

P「つまり……」

ちひろ「はいっ!合格ですっ!!」

P「……っ!やったな、あい!!」

あい「私が……合格?」

小梅「うんっ!!これで一緒にお仕事できるね……!」だきっ

千秋「おめでとう……!あいさん」ぎゅっ

蘭子「大儀であるぞ!!地獄への導き手(やりましたねっ!!あいちゃん!!)だきっ

雪美「あい……すごい……あと私も」ぎゅっ

芳乃「今日はめでたいのでいつもより三割増しで吹くのでしてー。ぶおーぶおーぶおー!!」

あい「暑い……」

あい(でも……すごく嬉しい。)

あい「………………ふふっ」微笑み

芳乃(この力を返すのもーもうそろそろなのかもしれませんねー。まぁ、その時に彼女がこの力を返してほしいと願うかはわかりませんがー。あー少女の微笑みには何とも言えぬものがあるのでしてー)

今日はここまでにします。

一日で終わる予定だったのになぁ

>>35
なんか某呼称一覧に何も特記せずに書いてあるからか
ここみたいに普通に言わせてるケース多いけど
実際は初期の親愛アップの照れ隠し(しかもPの名前に続けていうもの)だから
本来なら普通にプロデューサーのかわりとして言ってるのはおかしいんだけどね

~それから3週間後~

~骨女のアパート~

あい「骨女」

骨女「どうしたんだいお嬢」

あい「ここ」

骨女「番組欄……お嬢の気になる番組でもあるのかい?録画しておこうか?」

あい「この番組、私が今日出るから。ほら出演者欄に名前……あるでしょ」

骨女「ええっ?!」

あい「録画しといてね……行ってくる」

骨女「」ポカーン

輪入道「どうしたんだ、骨女」

骨女「お、おじょ、おじょうが、」

一目連「お嬢がどうかしたのか」

骨女「お嬢がテレビに出るんだよっ!!」

一目連「……どうせインタビューされたとかだろ」

輪入道「ふむ……いや、こいつぁ本当だ。」

骨女「あードラマかぁ。アタシも女優をやったことがあるけどドラマには出られなかったからねぇ」

輪入道「いやはや……お嬢は地獄少女に代わる天職を得ちまったのかもしれねぇなぁ」
~午後11時30分、ドラマ放送中~

骨女「お嬢、お嬢はまだ出てこないのかい!?」

一目連「もうそろそろ出てくるんじゃないのか」

輪入道「おっ……お嬢が出てくるみたいだぞ」

~劇中~

のあ「選びなさい……棺桶かゴミ箱か……自分の行き先をね……!」ズダン!!ズダンダンダン!!

幸子「うわぁぁ!!」

小梅「――っ!流石は伝説の悪魔ハンター……私のサチコアラがこんなにも早く――うあぁっ!!」

のあ「……動きが遅い……どうやら期待外れだったようね」

小梅「まだ……だよ。私には切り札がある……出てきて!!地獄への導き手っ!!」

あい「……呼んだ?」

のあ「……生憎だけど、私は可憐な少女が相手でも手は抜かないわよ」

あい「何をすればいい?」

小梅「あの人を倒してっ……サチコアラの敵をっ」

あい「……怨み……聞き届けたり」

あい「闇に惑いし哀れな影よ。人を傷つけ貶めて。罪に溺るる業の魂……」

あい「いっぺん、死んでみる?」カッ!!
のあ「……呪殺攻撃っ!!つぅっ、あ――――」

のあ「はぁ……はぁ……呪殺耐性に救われたわ……」

あい「……生きてる」

のあ「……貴方、ただならぬ闇の力を持っているようね……本気で行くわ――
はぁっ!!」

小梅「気を付けて……あの人今までとは何か……違う」

~ドラマ終了後~

あい「……見た?」

骨女「ああ!!見たよお嬢!凄い良かったじゃないか!!」

輪入道「ところで……お嬢、あの決め台詞は仕事の時のを使ったのかい?」

あい「そうよ……監督にOKをもらったの」

一目連「……っ」

あい「……?」

一目連「その……お嬢、お嬢の本気……俺にも伝わったよ……これからは俺もできる限り応援する」

あい「……ありがと」

輪入道(お嬢がアイドルをやり始めてから……何だかお嬢の表情が明るくなり始めたなぁ……やっぱりお嬢には地獄少女なんて本当は似合わねぇのかもしれねぇなぁ。……だが、
お嬢がこのまま地獄少女としての責務を果たせないとなると……何かマズい事が起きなきゃいいんだが)

きくり「……遂に……捕えたぞ……あい。あいの力を封じた奴がどのような目的を持っているかは知らんが……思い通りにはいかせぬよ」

~一週間後~

ちひろ「あいちゃんの出演した回、なかなか好評だったみたいですよ」

P「ええ。深夜枠のドラマだったから尚更でしたね。あいに対する仕事の依頼もあれ以来結構来てますよ……殆ど、ホラー物ですが」

ちひろ「いいじゃないですか!!ホラー物」

P「いや……あいはアイドルなんですから……こう、もっとアイドルらしい仕事をさせてあげようと思ってましてね」

ちひろ「何か企画でもあるんですか」

P「はい……現時点で考えているのは、あいをCDデビューさせて、それと同時に千秋と雪美とあいでユニットを組めたらなぁと……」

ちひろ「いいじゃないですか!!早速、企画の方を練っていきますね」

P「はい、お願いします。では俺はあいと蘭子を仕事に連れていくので」

ちひろ「はいっ!!頑張ってきてくださいね」

~移動中~

あい「……今日は何の仕事」

蘭子「我らの輝しい姿を聖像とするのだ!!(グラビア撮影ですよ!!あいちゃん)

あい「ぐらびあ……撮影?」

あい「……仕事を選ぶって事はしないのね」

P「まぁ、これもアイドルの大事な仕事だからな。……蘭子やあいみたいな可愛い女の子の写真はファンも欲しがるからな」


蘭子「いきなり可愛いなんて言わないでくださいっ///恥ずかしいですっ///(可憐だとっ!!我が心が地獄の業火のようだぞっ)

あい「……Pの事……好きなの」ゴニョゴニョ

蘭子「な、何を言うかっ!?(な、何を言ってるんですかぁ///)

あい「……思いは……出来るだけ早く伝えておいた方がいいわ……後悔しない為にも」

蘭子「あい……ちゃん」

あい「Pは……蘭子と私の体……どっちが見たい?」

P「……どっちもだ」

あい「……いいわ……やってあげる」

P「ありがとう……あい」

~撮影中~

カメラマン「Time Alter――Double Accel!!」パシャパシャ!!

蘭子「ククク、魂が猛るわ(頑張ります♪)」水着

あい「……私は水着じゃなくてもいいの?」白装束

P「ああ。あいが禊をやってる所という設定で撮るからな」

あい(禊をしている所を撮られるなんて変な感覚……)

カメラマン(あれが……あいちゃんか。話には聞いていたが本当に日本人形みたいなこだなぁ。だが白装束より水着のほうがよかったんじゃないのかなぁ)

あい「入ってもいい……?」

カメラマン「ああ。いいよ」

あい「……」ちゃぷ……


カメラマン「じゃあ撮るからねっ――はっ!!」

あい「……?」スイ―

カメラマン(水着を着なくても男を奮い立たせる事が出来るのか?
古き湯浴みの装束は現代の水着に勝つことができるのか?
出来る!出来るのだ!!見よ、水に濡れ、うっすらと透けて見える少女の肢体っ!!
見よ、水に濡れたあの緑なす黒髪を――っ」

あい(……漏れてる)

カメラマン「Time alter square accelッ!!」パシャパシャパシャパシャっ!!!

あい(……お腹すいた)

~2週間後~

P「遂に、あいの曲が出来上がったな。よし……千秋、雪美、あい、三人とも集まってくれ」

千秋「何か用?Pさん」

雪美「もしかして……あいと千秋と一緒にお仕事?」

あい「……何をするの?」


P「ああ。あいの歌う曲が出来上がったからな。千秋と雪美には、あいのレコーディングのサポートをしてもらいたい。そして……あいの曲を発売した後は……3人にユニットを組んでもらい一緒にライブに出てもらう」

千秋「分かったわ。任せてPさん」

雪美「了解……」

あい「P……どんな曲なの?」

P「ああ、それはボイトレの時に聞かせるよ」

~ボイトレ用ルーム~

P「あい。これがあいの歌う歌だ」カチッ

P「曲名はあいぞめ。あいの持つ雰囲気に合った曲だと思うんだが……どうだ」

千秋「落ち着いた……綺麗な曲ね」

雪美「あいに……すごく似合いそう」

P「どうだ?あい」

あい「~~~~~~~♪」

千秋「あらあら……早速歌い始めているわね」

雪美「あい……やる気」

あい(私の曲……私の歌が……皆に)

~レコーディング練習~

トレーナー「はい、じゃあこの音」ポーン

あい「~~~~~~~♪」

トレーナー「あいちゃん、もっと声量をあげて」ポーン

あい「~~~~~~~~~~♪」

千秋「ふむ……」

P「どうだ千秋、お前から見て、あいちゃんは」

千秋「そうね……歌声についてはかなりのモノだと思うわ……音程も取れているし、
でも……声量に少々不安があるから、肺活量を鍛えていった方がいいわね」

P「そうか……」

P(……本当に綺麗な歌声だな……まるで耳元でささやかれるような)

トレーナー「じゃあ……ワンフレーズ歌ってみましょうか」

あい「分かったわ……桜の花は いつ開く……山のお里に いつ開く……♪」

~2週間後~

ちひろ「あいちゃんの衣装が届きましたよ。Pさん」

P「おお、じゃあ早速、衣装合わせと行こうか」

ちひろ「可愛く変身させちゃいますよ♪」

~衣装室~

ちひろ「あいちゃんのメイクは……薄目でいいわね」

千秋「衣装はコレ?」

ちひろ「はい♪そうですよ」

千秋「黒を基調とした……ゴシックファッションというのかしら……人形のように可愛い
あいさんにはピッタリの衣装じゃないかしら」

あい「……可愛い?」

千秋「ええ……とっても」

雪美「わぁ……ふりふりが一杯……」

あい(この衣装を着て歌う……何だか……緊張してきたわ)

悪徳P3人組ってあいがテレビ出てたのって知ってるん?

一応の質問回答

>>33 
あの子の正体に関してのみ三鼎のあるキャラを登場させる予定です。

>>49
このSSでの蘭子は意味を知っていません。かっこいいから使っているだけです。また芳乃のような神通力も持たせる予定は現時点ではありません。

>>63
悪徳P3人組は、Pを地獄に流そうとした代償を芳乃に支払わされました。
つまり、あいがテレビに出ていることは知りようもありません。


続きです

~翌日、事務所~

ちひろ「Pさん、あいちゃんの宣材写真が出来ましたよ」

P「あっ、ちひろさん、お疲れ様です」

芳乃 小梅「「ただいま(なのでしてー)」」

ちひろ「あ、芳乃ちゃんと小梅ちゃんが帰ってきたみたいですよ」

P「おお、二人ともお帰り……随分と長いロケだったが、各地の霊地を回っていくのは楽しかったか?」

小梅「うん!凄く楽しかった……!あのね、芳乃ちゃんと一緒だとね、一杯幽霊が集まってくるんだよっ」

芳乃「一杯お願いされたのでー一曲歌って成仏させてあげましたー……それに霊地巡りのおかげで力も蓄えられたのですー」

P「ホントだ。芳乃が何だかツヤツヤしてる」

小梅「これ、あいちゃんの宣材写真?」

ちひろ「ええ、そうですよ。可愛いでしょ?」

芳乃「これはこれはーとーっても可愛らしいのでしてー」

小梅「向こうで……もっと良く見てきても良い?」

P「ああ、良いぞ」

芳乃「わたくしもー」トテトテ

ちひろ「二人ともいっちゃいましたね……ところで」

ちひろ「あいちゃんはどんな形でライブに出すんですか?」

P「そうですね……ライブに出すのは初めてなので……まずは
前座で一曲、一人で歌ってもらう予定です。そのあとは雪美と千秋と一緒にユニットで一曲、最後に全員参加の曲で歌って貰おうと考えています」

ちひろ「なるほど……あいちゃんはああ見えてプレッシャーに強い子ですからね……いいと思いますよ」

P「ええ。ドラマの時もほぼ一発撮りでしたし、ソロで歌うのは前座の一曲だけですからね」

ちひろ「……ライブ、成功するといいですね」

P「……ですね」

~一週間後、ライブ前日 夜~

~骨女のアパート~

あい「……これ」スッ

骨女「……何のチケットだい?」

あい「明日……ライブがあるの」

骨女「まさか……お嬢が出るのかい!?」

あい「……歌うのは……三回だけだけど」

骨女「…………」

あい「骨女も皆も……仕事があるのはわかってる……来れたらでいいの」

骨女「……絶対に行くよ。お嬢」

輪入道「お嬢の晴れ舞台とあっちゃあ、何としてでも見にいかねぇとな」

一目連「お嬢……お嬢の頑張り、三藁の一人として見守らせてもらう」

きくり「きくりも行くーっ」

あい「皆……ありがとう」

骨女「さぁ、明日は本番なんだろう。お嬢も早く寝た方が良いよ」

あい「うん……おやすみ」

骨女 輪入道 一目連 きくり「「「「お休み、お嬢(あい)」」」」

~ライブ当日、舞台裏~


  ワイワイ、ザワザワ……

あい「…………」

あい(お客……一杯居るわ)

P「流石に……緊張してるみたいだな」

あい「P……」

P「大丈夫だぞ、あい。舞台袖には皆がいるからな」

雪美「あい……皆一緒……怖くない」

あい「…………うん」

~ライブ会場、観客席

ファン1「あいちゃんの初ライブとは……胸が膨らみますなぁ」

ファン2「HPで見た限り、なかなかミステリアスな雰囲気の少女でしたぞ」

柴田一「ライブとは……地獄少女……何を企んでいる……」

柴田つぐみ「企んでいるって……只のライブだと思うよ、はじめちゃん。ドラマも見たけど普通に可愛かったし」

骨女「何だか……凄い人だねぇ」

輪入道「こりゃぁ、お嬢がチケットをくれなきゃ俺たちは入れなかったな」

一目連「ところで……皆、サイリウムは持ったか!?」

骨女「サイリウムってのは……この光る棒かい?」

輪入道「これは……何に使うんだ」

一目連「曲が始まったら、歌っているメンバーの色に合ったのを振るんだ。お嬢は赤、芳乃ちゃんはオレンジ、千秋さんは青、小梅ちゃんは緑、蘭子様は紫!覚えるんだ」

骨女「何だい……アンタ、えらく張り切ってるじゃないか」

輪入道「いくらお嬢が歌うからってそこまで張り切る事はねぇだろう」

きくり「きくり知ってるよー」

一目連「おい、やめっ」

骨女「何だい、きくり」

きくり「このエロ目玉はねーっ、あいがじむしょに入る前から、この事務所のアイドルのファンなんだよーっ」

骨女「……じゃあ、最初、お嬢がアイドルになるのに反対してたってのは……」

一目連「ああ……俺はこの中で最も良くCGプロの事を知ってる。CGプロの看板を背負う事がどれだけ大変かも……」

輪入道「それで……お嬢にはあんなにやめろと言ったのかい」

一目連「ああ、でも今は違う。……お嬢は立派なCGプロのアイドルだ」

ファン4「あ、蓮さん。今日も蘭子様のサバトに馳せ参じにここに?」

一目連「ああ、我らが魔王の主催するサバトだ……従僕たる我らが馳せ参じぬ理由は無いだろう(ええ、蘭子ちゃんのライブに参加するのは習慣みたいなものですから)」

骨女 輪入道 きくり「じー……」

一目連「ハッ――!ち、違うんだ」

骨女「お嬢にきちんと報告しておくよ……一目連はお嬢の三藁ではなく蘭子様の従僕だーってね」

一目連「た、頼む……お嬢には」

輪入道「ハッハッハッハッ……そろそろ、ライブが始まるみてぇだぞ」

~ステージ~

ワイワイ……ザワザワ

あい(お客の前だと……緊張する……でもこれくらいなら大丈夫)

~~~~~~♪

あい(前奏……始まった……今……!)

あい「あ――」

???(あい)

あい(えっ――)

???(ようやく、私の化身を現世に送れるようになったのでな)

あい(こんな時に……どうしてっ)

人面蜘蛛(あい、貴様、地獄少女としての力を取り戻さず、ここで何をしている)

あい(何をって……それは……力を……取り戻すためにっ)

人面蜘蛛(嘘はよせ……力を取り戻すだけなら何度も機会はあったではないか。
それに……今のお前には地獄少女であったころの面影さえない)

人面蜘蛛(そう……今のお前は罪を犯す前……無垢な少女であった、あいそのものだ。
これは……自分がどういった存在であったか思い出させる必要がありそうだな)

あい(お願い……今、この時だけは……歌を……)

人面蜘蛛(ならぬ。さぁ……お前がどういった罪を犯したのかもう一度その身に思い起こさせてやろう)

あい(待っ――)

~謎の空間~

人面蜘蛛(かつて……お前は村で暮らす一人の少女であった)

あい(……)

人面蜘蛛(しかし、七つの時……お前は人間どもの手によって「七つ送り」
という儀式により人身御供となった……村に豊穣をもたらすのと引き換えにな)

人面蜘蛛(だが、お前の両親はお前が生贄となることを望まなかった……そこで、
ああ……お前が淡い恋心を抱いていたあの男にお前を助けるように求め、あの男は生贄となったお前を密かに山へ匿った)

あい(………………やめて)

人面蜘蛛(しかし6年後……生贄を差し出したはずの村に豊穣は訪れず……村は困窮に見舞われた……そこでその事を不審に思った村人がお前を捕え……お前の両親と共にお前を村の人間たちは生き埋めにしようとした……お前を匿ったあの男はその場で村人に言われるがまま、お前たちを埋めたのだったな)

あい(…………やめて)

あいの幻「私を守るって、信じてたのに、 信じてたのに 恨んでやる!!お前達みんなっ―」

人面蜘蛛(生き埋めにされたお前は一度死に……その後、自分を殺した人間達……そしてお前を裏切ったあの男への怨みと共に蘇ったお前は、自分を殺した人間達を村ごと焼き払い、男も、女も、子供もそして赤子さえも全て殺し尽くした)

あい(……やめて)

人面蜘蛛(……大罪を犯したお前は神々に捕えられ、地獄少女として働く責務を課せられた……地獄でも償い切れない程の罪を償うためにな)

あい「……やめて」

人面蜘蛛(偶像となり人に希望を与える?……罪を償うため地獄少女となり、様々な人間達の怨みに塗れたお前が?お前を裏切ったあの男……仙太郎への怨みも完全に捨てきれていない貴様が?)

あいの幻「まだ残っていた。忌まわしい血は絶えてはいなかった。その血が私を惑わせた。」
「もう一度殺そうと言うの?時を越えて、あの時のように!私は全てを受け止めたと言うのに!私は殺されたりしない!」

あいの幻 「私は構わない。この恨み、地獄に流すがいいっ!」

あい「やめて……お願い……」

人面蜘蛛(思い出せ、あい。お前は人の希望となれるような無垢な乙女では無い。
本当のお前は……怨みに塗れ……罪を背負った女(あま)だ)

今回は此処まで。

次回から一気にラストに向かいますので、最後までお付き合い頂けたら幸いです。

~ステージ~

ザワザワ アイチャンドウカシタノカ

~~~~~~♪

あい「…………」

~舞台袖~

P「どうしたんだ……あい」

ちひろ「まさか……緊張で動けなくなったんじゃないですか!?」

P「マズいな……俺が行ければ良いんだが……ああ、クソッ!俺がステージに出る訳にはいかないし……」

ちひろ「Pさん……ここはひとまず曲を止めて、あいちゃんを!」

雪美「……待って」

P「雪美……!?」

雪美「……私が行ってくる……」

千秋「私も行くわ、Pさん。アイドルならステージに上がっても不自然では無いでしょう?」

ちひろ「どうします?Pさん」

P「…………っ」

芳乃「そなたー。今、あいは孤独と戦っているのでしてー」

P「……孤独?」

芳乃「詳しいことは今は話せませんがー……あいには今、仲間の力が必要なのでしてー」

P「そうだよな……雪美、千秋っ!あいのフォローを頼む……」

雪美 千秋「……!」ダッ

芳乃(まさか、こんなにも早く繋がりを回復出来たとはーマズいですねー)

芳乃(ですがーこの私が感付いた以上もう好きにはさせないのでしてー)

芳乃「そなたー」

P「どうした芳乃?」

芳乃「私達―全員で行っても良いですかー?」

蘭子「救援の用意は万全よ!!(私も行きます!!)

小梅「うん……全員で行った方があいちゃんにとっていいと思う」

P「……任せた」

芳乃「行ってくるのでしてー」

芳乃(あいの心の闇を暴きー自ら地獄に帰還させる目論見なのでしょうがー……
残念ながらー今この場には、あいの仲間が一杯居るのでしてー)

あい(私は……地獄少女……こんな怨みに塗れた女が……アイドルになろうなんて)

雪美「……あい」ぎゅっ
千秋「あいさん……」ぎゅっ

小梅「あいちゃん……」ぎゅっ

蘭子「あいちゃん……大丈夫」ぎゅっ

あい「…………っ」

芳乃(あい。そなたには今沢山の仲間がいるのでしてー。それに、そなたは今、人々の希望を叶える力を持った一人のアイドルなのでしてー)

あい(……っ。……皆……!)

一目連「っ……頑張れーっ!!お嬢―っ!!」

骨女「お嬢には私達がついてるっ!!」

輪入道「お嬢っ!!俺たちぁはお嬢とずっと一緒だ!!」

あい「……皆っ」

P(あい……お前は一人じゃないっ)

ちひろ(あいちゃん……頑張ってっ)

あい(P……!……ちひろ)

芳乃(そなた達の思いも届けたのでしてー)
あい(……そうだ。確かに私は地獄少女……地獄少女として……数多くの人の怨みを受けてきた……でも、今、この場においてだけは違う。)

あい(ステージに立った以上……今の私は、CGプロのアイドルなんだ……!)

人面蜘蛛(あい……ならぬ……)

芳乃<貴様は黙っていろでしてー>

人面蜘蛛(何だ……繋がり……断ち切られ)

芳乃(邪魔者はいなくなったのでしてー心配無用―)

あい「皆っ……御免なさい……でももう大丈夫だからっ!!……どうか、私の歌を聴いて……」

あい「皆……ありがとう。……もう大丈夫。私は私のアイドルとしての務めを果たすから……皆は自分の事にして」

千秋「なら……任せたわ、あいさん」

小梅「皆……行こうっ」ダッ

雪美「芳乃……魔法使い」キラキラ

芳乃「……そんな大層な者ではないのでしてー」

P「よし……では、前奏……もう一回お願いしますっ」

~~~~~~~~~♪

あい(やろう……今はただ、アイドルとしてできるだけの事を――っ)

~ライブ終了後~

P「……あい。ようやく皆から解放されたのか」

あい「……揉みくちゃになったわ……でも楽しかった」

P「そうか……それは良かったな」

あい「うん……」

P「あい……その……なんだ、答えられたらで良いんだ……何であの時……」

あい「……その事については……私があなたと初めて出会ったとき、何で私があそこにいたのかも関わるから……少し長い話になるけれど……良い?」

P「ああ……聞かせてくれ」

あい(それから私は……私について全ての事を話した……私が地獄少女という存在で、Pに怨みを晴らしたい人の依頼でPを地獄に流そうとした事……私が……何故、地獄少女の責務を課されたのかも……全て)

P「そんな……バカな、事が」

あい「ううん、すべて本当の事」

P「…………」

あい「……失望した?」

P「…………」

あい「そうだよね……今、貴方の目の前に居るのは自分を地獄に流そうとした存在だものね……」

P「いや……地獄に俺を流そうとしたのは俺を怨んでいる奴の依頼があったからなんだろう?だったら……あいは悪くない。それに……」

P「その話が本当なら、あいは罪を犯したのかもしれない……でも、あんな目にあって……怨みを晴らすために犯した罪の贖罪のためとはいえ……あいだけがこんな辛く苦しい目にあう道理は無いだろう……っ」

あい「……でも、罪を犯した事に変わりは無い」

あい「それに……」

P「……?」

あい「今の私はアイドル……人の希望を背負う存在」

あい「だから……自分の犯した罪から逃げる訳にはいかないの」

人面蜘蛛(あい、お前は禁を犯した……閉ざすと誓った心の扉を開け、地獄少女としての自分を捨ててしまったのだ。お前にはもう仕事を任せる事は出来ない。我と共に地獄に帰るのだ。……そして罪の戒めを受けよ)

ゴォォォォォオォォォォオ

P「……何だっ!!この黒い孔はっ」

あい「……もう、行かなきゃ。私は禁を破ってしまった。……だから、地獄で残りの罪を償わなければいけないの」

P「待て……行くな、あい!!償いなら人に希望を与え続ける事でだって……」

あい「私っ……貴方達と一緒に居られて楽しかったっ……初めて、人間の仲間が出来て……私、本当に嬉しかった」

P「っ……この孔さえなんとかすればっ」

人面蜘蛛「ならぬっ!!」

バシィッ!!

P「ぐぅっ!!」ドサッ!!

あい(本当に……御免なさい。皆にお別れを言えない事も……貴方を地獄に流そうとしたことをさっきまで黙っていた事も……)

あい(さようなら……)スッ

~10分後~

P「っう……。あい、あいは!?」

芳乃「行ってしまったのですねー……本当に愚直というか何というかー」

P「芳乃……!あい、あいはどこだ!?」

芳乃「あいは残った罪を償いに地獄へ帰ってしまったのでしてー」

P「そんな……あい……」

芳乃「そなたー……一つ聞きたい事があるのでしてー」

P「……何だ」

芳乃「あいを救いたいですかー」

P「で……出来るのか」

芳乃「はいー。でも、あいを地獄から取り戻すという事は彼女の意思と世界の条理を曲げる事になるのでー。そなたの願いが無ければ私一人では出来ないのでしてー」

P「…………頼む。起きた事の責任は取れる限り俺が取る……だから……あいを!!」

芳乃「その願い、聞き届けたりー」バシュウン!!


~同時刻、観客席~

輪入道「……!」
輪入道「おい……お嬢が」

骨女「そんな……何で」

一目連「おそらく……地獄少女としての責務を果たせないと判断されたんだろう
クソッ……!!」

芳乃「到着―」

輪入道「アンタ……お嬢の力を封じた……あのお嬢ちゃんか」

芳乃「はいー間違いありませんよー」

骨女「それで……お嬢の力を封じた奴が何の用だい……あんたのせいでお嬢は……」

芳乃「一つ弁明をさせてもらってもよろしいでしょうかー」

一目連「何だ……正直こっちはお前の話を聞いている暇は無いんだが」

芳乃「……まずは一つ謝らなくてはならないのでしてー……まさかあんなにも早く直接に干渉できるようになっていたとはー想定外だったのでしてー。ごめんなさいなのですー。
ですが、力を封じたのは決して悪意でやったわけではないのですー」

輪入道「ほう……どんな理由があるんだい」

芳乃「私は前からーあの少女の事をこっそりのぞいていたのでしてー。目的はーそう、彼女が罪をどんな姿勢で償っているのかを確認するためですー。まぁ、捕えた神のひとりとして当然の事をしていたまでなのですがー……と彼女を見守っていたある時、彼女が償っていたはずの罪がー何でか全然ちゃらになっていないことに気が付いてーなんとかしなければーと思ったのでしてー」

骨女「全然…目的が見えてこないんだけど」

芳乃「ああーつい話が長くなってー……そんな彼女を見たわたくしはー彼女に救いの手を差し伸べてやろうと思ったのでしてー」

一目連「救いの……手」

芳乃「蜘蛛の糸という話をご存知でしょうかー」

輪入道「ああ、知ってるぞ」

芳乃「要は彼女に蜘蛛の糸を垂らしてやろうと思ったのでしてー。彼女が地獄に人を流すことを快楽と思っていたりー自らの罪から逃れようとしたら彼女を地獄に戻しー彼女が罪を誠実に償おうという姿勢を地獄少女の務めから解放されてもなお持ち続けていたのならー彼女をを救ってやろうと思ったのでござい居ますー」

一目連「それで……アンタはお嬢をどうするつもりなんだ」

芳乃「彼女は、自身の罪に誠実に向き合う姿そして人に希望を与える少女としての姿を見
せてくれたのでしてー。これは私もー自らの務めを果たさなくてはーと思っているのですー」

骨女「それで……なんでそんなことをアタシ達に?」

芳乃「それは……私が彼女を連れ戻すまでの間にー彼女の帰りを待つ準備をしてほしいと思ったからなのでしてー。貴方達は彼女にとって唯一の家族のようなものでございますのでー」

輪入道「俺たちは待ってろと言う事か」

骨女「アンタを……信じていいんだね」

芳乃「神様は時に非情ですがー約束を反故にする事だけはー
絶対にしないのでしてー」

キュイイイイイン……バシュゥゥゥン!!!

骨女「行っちまったね……お嬢を必ず連れ帰ってきとくれよ……」

一旦、ここまで。
バイトから帰ってきたら続きを上げます。

~七童寺跡地、午前0時~

芳乃(ここは、あいの怨念を封じる為に建てられた寺……神社じゃないのが気に食わない上にー大木に注連縄……この寺を見たそなたの怒りは相当の物だったでしょうねー)

芳乃「まあーそんな事はさておきーそろそろ地獄に降りなければー」

フワフワ……

芳乃「……?」

あの子「……私も連れて行って」

芳乃「そなたはー……ああ、思い出しましたよー。あいの窮地によくぞ駆けつけてくれたのでしてー。いや……ある意味、そなたが来るのは必然だったのかもしれませんねー。
この世界と連なる世界で、あいはそなたが地獄少女としての禁を破った事によって、そなたに課されるはずであった罰を被ったのでしたねー」

御影ゆずき「そう……私は本来なら今、地獄を彷徨っているはずだった……でも、あいが私の過ちに対する罰を引き受けてくれたから、私は今、ここに居ることが出来る……」

芳乃「ですがーそなたは本来なら成仏したのでしょうー?」

ゆずき「あいに借りを返さないままだと……何だか成仏できなくて……あいをどうやって地獄から解放しようかと悩みながら彷徨ってたら……いきなりこの世界に飛ばされたんだよね」

芳乃(あっ……)

――時は小梅が10歳のころ――

???「ふわぁ……×××に世界をちょうだーい……くれないとー……お星さまぶつけちゃうよー」ブォオン!!

芳乃「むー……そなたの様な幼い神に世界を任せる訳にはいかないのでしてー」ホラガイブンナゲ
???「おこったのー……すぺん…めてゅす…せーくいてゅーる」
???「でぃすけりーべんすー」

ゴォォォォォォォォォォォォォッ!!!

芳乃「自らの総軍(ファン)を凝縮させることで規格外の規模のブラックホールを創り出すとはー……存在ごと抑止力で消してやるのでしてー」

コォォォォォォォォォォォォォォッ!!!

芳乃 ???「はーっはっはっはっはー!!」

ゆすき「はぁ……今日も駄目だったなぁ。いつになったら、あいに……え」

ゆずき「え!ちょっ……何この孔、吸い込まれっ……誰かーっ!!」

ギュオォォォォオォォ……

芳乃(…………)

芳乃「……結果おーらいというやつなのでしてー」

ゆずき「えっ?」

芳乃「何でもないのでしてー……でも、そなたが来てくれてとっても嬉しいのでしてー」

ゆずき「えっ……」

芳乃「……あいの行為が無駄でなかった事がそなたのお蔭で証明されたから嬉しいのですよー。それに……死者の国には良い思い出があまりありませんのでー(小声)一緒に地獄に参りませー」

ゆずき「何だか良く分からないけど……行こう!」

グググググググ……ゴォォォォォォォ……

~地獄~

芳乃「……いつ来ても嫌な所ですねー。でも場所は良かったのでしてー」

あい「……」

ゆずき「……あい!!」

芳乃「さぁーあいを取り戻すのでしてー」

人面蜘蛛「お前たち……誰の断りも無く地獄へ入った」

ゆずき「で……でた!」

人面蜘蛛「そこの雑魂はともかくとして……貴様のような存在が……何故ここにいる!?」

芳乃「御託は良いので早くあいを返すのでしてー」クイクイ

何故、この小娘をそこまで救おうとする!?」

芳乃「何でと言われましてもー約束をしたからに決まっているのでしてー」

人面蜘蛛「ならぬっ!!この娘は地獄でも償いきれぬ程の大罪を犯したのだ!!貴様も……その場にいた一人であろうがっ」

芳乃「今のそなたに言うべき事は三つありますねー」

芳乃「一つ……私はみなし弁済は認めない主義なのでしてー」

芳乃「二つ……幼女趣味は大概にするのでしてー」

芳乃「そして三つ……あいはもはや地獄少女ではなく……CGプロのアイドルなのですー
アイドルはファン皆の為に在るもの……一人が独り占めしてはいけないのでしてー」

バキィィィン!!

人面蜘蛛「な、何だ、この障壁は、あの小娘に干渉できないっ」

芳乃「そなたはもう、あいに触れる事は出来ないのでしてー。それでは、あいは返してもらうのでしてー。行きますよー」

ギュォォォォォォォォォッ!!!バシュゥゥゥゥン

人面蜘蛛「待っ……」

芳乃「さらばー」

バシュゥゥゥゥン……

~CGプロ屋上~

芳乃「何とかー帰ってこれたのでしてー」

ゆずき「あい……あい!」フワフワ

あい「んっ……」

ゆずき「あっ……起きるかな?なら隠れないと……」

芳乃「一言言って行かれてはー?」

ゆずき「ううん、良いよ……私は、何だか恥ずかしいし……それに、私は小梅ちゃんの傍であいの事を見守っていられるから……」

芳乃「……人間はまっこと面白き生き物ですねー」

あい「……あれ……私……地獄に帰ったはず……」

芳乃「Pやそなたの仲間たちに頼まれて、私が連れ戻してきてしまいましてー」

あい「……私……償いをするために……戻ったのに……」


芳乃「そなたはそれで良いのかもしれませんがーわたくしやPからすればそれはよろしくないのでしてー。第一……わたくしはーあのお方を地獄に流そうとした事に関してはー一度も許すといった覚えはないですよー」

あい「…………」

芳乃「あい、そなたがどうしてもこれから贖罪をしたいというのならー……アイドルとして人に希望を与え続けるのが良いのではないでしょうかー」

あい「人に……希望を」

芳乃「後は……そなたが決めることですのでー…わたくしはーこれでお暇させていただきますねー。……これからも近くで、ずっと見守って行きますからねー」

シュゥーン……

あい「後は……私が決める事……」

あい「…………!」スクッ

~CGプロ事務所~

P「~~~~~~~~っ」

P(あいを待ち続けて……どれだけ時間が経ったのだろう……。あいがこのまま帰って来なかったら……)

P「……あい……」

ドサァッ!!

P「……っ!!」

P(俺は……一縷の期待を抱き、物音がした部屋に走った)


バタンっ!!

P「あいっ!!」

あい「……呼んだ?」

P「……あい!あいなのか?」

あい「私の名前は閻魔あい。呼んだでしょ?」

P「ああ……閻魔あいっていう大事なアイドルがついさっきまで居たんだが……一方的にお別れを言われてな……呼べば、戻ってくるかと思ったんだ」

あい「ふふっ……受け取りなさい」スッ

P「これは…赤い糸……?」

あい「貴方がもう一度私をアイドルにしたいと思うのなら、この赤い糸を解けばいい。
糸を解けば私と正式に契約を交わした事になる。私はもう一度貴方のアイドルになれる」

P「だが……俺の聞いた話ではリスクがあるらしいな」

あい「ええ。私をもう一度アイドルにしたら貴方にも私に協力してもらう事になる……私一人じゃ、アイドルとして皆に希望を与える事は出来ないから……まぁ…私をもう一度アイドルにしてくれたらの話だけどね」

P「……」

あい「やっぱり止める?」

P「いや……」

P「閻魔あい……もう一度、皆のアイドルになってくれないか」

あい「その願い……聞き届けたり」

終わりです。

最後までお付き合い頂き有難うございました。

おまけ


ピヨピヨピロロロロロロロロロッ ピヨチャーンッ!!

ちひろ「あいちゃんがウチのアイドルになってからちょうど一年ですね、Pさん」

P「ええ、何だか……あっという間でしたけどね」

ちひろ「確かに……あのライブの後、あいちゃんのお仕事も増えていきましたからね」

P「ええ、ライブでのトラブルも皆の絆が見られたって肯定的にとらえてくれる人が多かったですからね……ところで、ちひろさんが持っているその本は何なんですか?」

ちひろ「これですか?実は私、アイドルの皆の活動記録を個人的に纏めてアルバムにしているんです。さっき、あいちゃんの分のアルバムの編集をしてまして……Pさんも仕事の前に見ていきませんか」

P「いいですね。あいのアイドル活動を少し振り返ってみましょうか」

ペラッ

P「ほお……ふむふむ……」

あい「おはようP、ちひろ」

ちひろ「ああ!あいちゃん、おはよう」

P「あい、今日も早いな」

あい「うん、アイドルとして頑張らなきゃいけないから」

P「流石だな……今ちょうど、あいの活動記録を纏めたアルバムを見ていたところなんだ。
あいも一緒に見るか?」

あい「うん……見せて」

ちひろ「そうだ……聞きたかった事があるんだけど……あいちゃんが今までやってきた仕事の中で印象に残った仕事は何?」

あい「…………」ペラッペラッ

あい「まずは……これかな」

P「ああ、サクランボの県の……確か、サクランボ祭りの仕事だったな」

~2か月前~

P「あい、あいにとっても美味しい仕事を取ってきたぞ」

あい「美味しい仕事……何か食べられるの?」

P「確かに、食べられるな」

あい「何を?」

P「サクランボを」

あい「…………っ!」ガタッ

P「ははっ……あいは本当にサクランボが大好きだな。……サクランボ祭りの応援大使をあいにやってもらいたいという依頼が来てな」

あい「…………やったぜ」コロンビアノポーズ

P「はははっ……この仕事の依頼を受けて良かったよ」

ちひろ「あの時は……仕事が決まった時のあいちゃんが可愛くて……」

P「あいの喜びがいろんな角度から撮られてますね」

あい「…………サクランボ、大好きだから……つい……はしゃじじゃって」カァ

P「仕事の後も、貰ったサクランボをニッコリしながら食べてたしな」

あい「恥ずかしいから……次」ペラッ

ちひろ「あっ、これは……今思うと正に衝撃でしたね」

P「ええ、あの三人がまさか……」

~ライブから一か月後~

P「今日はライブバトル二連戦だ……準備は出来てるか」

あい「大丈夫……勝ってくるね」

P「ああ、よろしく頼むぞ」

―ステージ―
ワァァァァァァァァァッ!!アイチャーンッ!!

あい「……ふふっ」ウインク

ウォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!

あい「さぁ……相手は誰」

???「ゴメンね、お嬢」

あい「……っ!?」

P「そんな……まさか!?」

骨女「そう……次の相手は私だよ……お嬢」

あい「……いつの間に」

骨女「あ、アタシも一応断ったんだよっ…でも」

~ライブバトルから3週間前~

骨女「今日の夕飯は……何にしようかねぇ」トコトコ

P2「あの……曽根アンナさん……ですか?」

骨女「はい……アタシ……ですけど、何か?」

P2「あの……あ、アイドルになってみませんかっ!!」

骨女「z、じ、じじょ、冗談は止しとくれよっ……これから、夕飯の買い出しがあるんだ……バイバイっ」

ガシッ

P2「話だけでも……聞いていきませんか」

骨女「……話……聞くだけだからね」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

あい「だから……あの日……ごはんがいつもより豪華だったのね」

骨女「やっぱり……アタシも……女だしさ……正直、お嬢が羨ましいなって思ってた所もあったんだよ……だから……」

あい「わかった……骨女……受けて立ってあげる」

骨女「……行くよっ!!お嬢!!」

~ライブ終了、舞台裏~

骨女「はぁ……はぁ……負けちゃったか」

あい「……年季が違うわ」

P2「アンナさんっ!!」

骨女「ゴメンね……アタシ、負けちゃったよ」

P2「そんな……あの閻魔あいさん相手に良くあそこまでっ……」

骨女「……ひとまずは、完敗だよ、お嬢。でも……アタシも今やアイドル……このプロデューサーの為にも……ファンの為にも……次は、負けないからね」

あい「……どんと来い」

骨女「……またね、お嬢」

~控室~

P「どうだった?」

あい「向こうのプロデューサーもいい人だったわ……」

あい「で、次は」

P「次は……315プロの……まさか、嘘だろ」

一目連「嘘じゃあないぜ」

あい「そんな……あなたも」

一目連「アイドルとしての姿を見せるのは初めてだな……お嬢」

あい「一目連……」
一目連「おっと……今の俺は315プロの石元蓮だ……この意味、分かるな……お嬢」

あい「ええ、アイドルとして受けて立つわ……」

~ライブ終了後~

一目連「俺も……負けちまったか」

あい「……骨女もそうだったけど……中々よ」

一目連「ははっ……ありがとう……お嬢」

315P「蓮サン」

一目連「おう、プロデューサー……済まない……負けちまった」

315P「ああん♂仕方ないね♂」

あい(すごい……筋肉)

一目連「ああ……次は負けないぜ、お嬢。俺のプロデューサーと共に次は必ず勝つ」

315P「歪みねぇな♂」

あい(後でボラギノール買っていこう)

~控室~

P「あい、次の相手の発表がある。ライブ会場に」

あい「了解……」

~ライブ会場~

司会「次の対戦カードはっ!!閻魔あいVS城ケ崎美嘉っ!!」

P「城ケ崎美嘉か……手強い相手だな」

あい「……でも私は負けない」

???「流石だな……お嬢は」

あい「輪入道……どうしてここに」

輪入道「どうしてって……次のお嬢の対戦相手、城ケ崎美嘉のプロデューサーは、この俺
不破龍堂だからなぁ」

あい「……だから……皆いつの間に」

輪入道「お嬢がアイドルとして働いている間、俺たち三藁も新しい生き方を見つけたってことさ」

美嘉「あ!あの子がアタシの次の対戦相手なの?アタシは城ケ崎美嘉っ★いいライブバトルが出来るといいねっ★」

輪入道「おお、美嘉。……そういう事だ、お嬢。次のライブバトル……楽しみにしてるぜ」

美嘉「ああっ!!待ってよ★プロデューサー」タッタッ

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

P「いや、ホント、あれには驚いたよ」

あい「私も……驚いた」

あい「……でも、三人とも前より楽しそう」

P「ああ……良いライバルになれると良いな」

あい「うん……次、行こう」

P「ああ。おおっ!!これなんか……」
~その日の夜、事務所~

P「ぐがぁ~~~~」

ちひろ「Pさん……仮眠じゃなくて本格的に寝てますね」

あい「……起こしてこようか?」

ちひろ「じゃあ……お願いしますね」

あい「分かった」

ガチャリ

P「んっ……うう、ぐごぉ」

あい「ふふっ……」

あい(初めて出会ってから一年……貴方のお蔭で私は……閻魔あいという一人のアイドルとしていられている)

あい「……これは……せめてもの恩返し……」

あい「…………んっ」チュッ

あい(ほっぺだからセーフだよね……)

あい「…………っ///////」タッタッタッ……

P「ん……あい……これからも……一緒に……んが」

芳乃(少女の物語はまだ続きますがーひとまずはこれまでなのでしてー)

これで本当に終わりです。

また機会があれば、よろしくなのでしてー

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