南光太郎vs真・仮面ライダー (193)

仮面ライダーBLACKRXと真・仮面ライダー序章のクロスssです。

舞台は真・仮面ライダー序章のお話の直後のお話になります。

このssをご覧になられる際は出来ましたら真・仮面ライダー序章の作品をご覧になってからにしてください。




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<1992年>


~日本支部・ISS~


ここはISS(Institute of Super Science)と呼ばれる生物学研究所。
その研究所内部で一人の男が逃げようとする三人の男女に銃を構えていた。


「所長…」


「どうせ帰っても責任取らされて処分されるんだ。貴様らを、道連れにしてやる!!」


((ダンダンダンッ!))


「「キャー!?」」


「愛!?」


銃弾は愛という名の女性に命中し彼女は愛する男の胸の中で息絶えようとしていた。



「愛!しっかりしろ!」


「ゴメンね真…騙して…でも愛してた…真の事を本当に…」


「愛…」


「真…この子をお願い…助けて!」


「たとえ…どんな形で生まれようとも…私と真との結晶…」


「この子…この子さえ残せたら…私は安心して…お願い…この子を…この子を…」


そして彼女の命を繋ぎ止めていた生命の糸は絶たれてしまう…
だがその瞬間、真と呼ばれる男の怒りが爆発した!!



「「ガァァァァァァァ!!」」


「来るな!来るな!?」


真は異形の戦士と化した。
その姿はまさに巨大なバッタ男そのものの姿、怒りに満ちた真の感情を物語っているかのような姿だ!
そして真は先ほど愛を撃ち殺した男を自らの鋭利な爪を突き立て…


((ドシュッ!)) ((ズバッ!))


「「グガァァァァァァ!!」」


惨殺してみせた!
しかし悲しい事にそれは無意味な行動でもあった。
何故ならこのような復讐を果たしても彼が愛した女性は生き返る事など決してありえないのだから…
(ナレーション:正宗一成)



~都内某所~


ここは都内某所。今この場所ではある街頭演説が行われていた。


坂田「国民の皆さま、この坂田!この坂田龍三郎をどうか何卒よろしくお願い致します!!」


大宮「この坂田くんは日本の未来を第一に考える誠実な男です!どうか彼に清き支援を!!」


そこにいるのは坂田龍三郎と呼ばれる代議士ともう一人は彼の支援者でもある、
大宮幸一という大宮コンツェルンの会長が演説を行っていた。


「フン…」


そこに一台のバイクが立ち止りそんな彼らをまるで軽蔑するような目で見る男が一人いた。
バイクに跨り彼らを見つめるその男とは…
(ナレーション:正宗一成)



光太郎「清き支援か、まったくどの口で言うのやら…」


そう、彼こそ暗黒結社ゴルゴム、そして地球支配を目論んだクライシス帝国を倒した南光太郎である!
クライシス帝国を滅ぼした光太郎は一時自分を鍛える旅に出たのだが…
坂田と大宮の噂を聞きつけてこうして東京に戻って来ていた。
さて、実はこの坂田と大宮という男は以前彼が叩き潰した暗黒結社ゴルゴムのゴルゴムメンバーの一員だった。
しかし光太郎がゴルゴムを壊滅したと同時に彼らもこの数年間は音沙汰が無かったのだが、
ここ最近になりまたもや活動を再開したというのだ。
(ナレーション:正宗一成)


光太郎「坂田に大宮、二人とも以前はゴルゴムメンバーだった者たちだ。
そのおかげで財を成しえて社会的地位を獲得した彼らだが既にゴルゴムの恩恵は無いはず…
しかしここ最近再び表舞台に姿を現し始めている、彼らは更生して真っ当に生きるつもりなのか?
それとも他に何かよからぬ事を企んでいるのでは…」


疑惑の眼差しで彼らを見つめる光太郎。
だがその時、光太郎の脳裏に奇妙な声が響いた!
(ナレーション:正宗一成)



『………』


光太郎「むっ…?これは声なのか?しかし他の人たちは何も聞こえてないみたいだが…?
まさかこれは俺にしか聞こえないモノなのだろうか?」


光太郎は謎の声に導かれるまま愛用のバイクを走らせてとある研究所へとやってきた。
その研究所こそ、先ほどの凄惨な惨殺が行われた場所でもあった!
(ナレーション:正宗一成)


((バタバタバタバタ!))


光太郎「あれは…ヘリコプター!?」


((ドルルルルルルル!))


「「ギャァァァァァァ!?」」


光太郎「あのヘリコプター…な、何をしているんだ!?」


謎の声に導かれ研究所にやってきた光太郎…
だがそこにはヘリコプターが機関銃を取り出して下にいた人間たちを次々と射殺していた!
(ナレーション:正宗一成)



「ハァ…ハァ…!」


((ドンッ!))


その中にいたリーダー格の女がミサイルランチャーを発射させヘリコプターに命中する!
だがそれと同時に女は力尽きて倒れてしまう。
光太郎は急いで彼女に駆け寄って介抱するのだが…
(ナレーション:正宗一成)


「うぅ…」


光太郎「よかった気絶しているだけだな、生存者は彼女だけか。だがどういう事だ?
殺された者たちはこの女性を含めてみんな武装している。ここで一体何が起きたんだ!?」


しかしそんな疑問を抱いている場合ではなかった。
大破したヘリコプターは研究所へと突っ込み研究所諸共爆発で吹っ飛んでしまったのだ!
(ナレーション:正宗一成)




((ドッガァァァァァン!!))



光太郎「まずい!?このままでは…うん?あれは…」


光太郎は燃え盛る研究所建物周辺で一人の横たわっている女性を発見する。
その女性は既に血塗れの状態で息はしていなかった。
それもそのはず、この女性こそ冒頭で撃たれ死亡した愛という名の女性だからだ。
(ナレーション:正宗一成)


光太郎「既に息はないか、しかしこんな場所に置いとくのは忍びない…待ってろ!今…」


光太郎が彼女を運ぼうとしたその時であった!


「「彼女に触るな!」」


光太郎「お前は…緑のバッタ怪人!?」


燃え盛る研究所から一匹の怪人が現れる!
その怪人こそ先ほど愛を殺した男を容赦なく惨殺してみせた異形の戦士であった!!
(ナレーション:正宗一成)



((シュゥゥゥゥ))


「愛…」


屍と化した愛の姿を見て怒りより虚しさが残る真。
その所為なのか先ほどまでの怒りは消え去り真は元の人間の姿に戻ってしまう。


光太郎「今度は人間に変わった…お前は一体何者なんだ!?」


真「…」


光太郎と真、対峙する二人の男たち。
不思議な運命の導きにより出会った彼らは、
これから自分たちに纏わるある大きな事件に巻き込まれる事になるのだが…
この時はまだ知る由もなかった。
(ナレーション:正宗一成)



~警察署~


光太郎「………そういう事ですのでお願いします!」


ここは研究所周辺にある警察署。
結局先ほどの研究所で対峙した男はそのまま何処かへと去ってしまい、
仕方なく光太郎は女性を病院に運んだ後で警察署に駆け込み通報するのだが…


警官「わかりました、それではさっそく捜査を…え?なんだと!?」


光太郎「どうしましたか?」


警官「そ、それが…」



セーラ「今からこの事件は我々CIAの管轄となったわ。日本警察はこの事件に関わる事を一切禁止よ!」


光太郎「あ、あなたは…俺が助けた女性…?もう動けるんですか!?」


セーラ「初めまして南光太郎さん、私はセーラ深町。CIAの者よ。
助けてくれた事には感謝しているわ、けどこの事件への詮索はやめなさい。
さもないと…」


光太郎を睨みつけるセーラ。
恐らくあの施設で起きた事件は表沙汰には出来ない事なのであろうと光太郎は直感した。


光太郎「でもあの怪人が!」


セーラ「怪人?そう、彼は…やはり生きていたのね…」


光太郎「彼…?あなたはあの怪人の事を知っているんですか!?」


セーラ「やめなさい!………これ以上の詮索は命に係わる事よ!!」


光太郎にきつく忠告を促してセーラは警察署から出て行ってしまった。
だが彼女と入れ替わるように一人の青年が血相を変えて警察署へとやってきた。
(ナレーション:正宗一成)



卓也「あ、あの!研究所で事故があったと聞いたんですが本当なんですか!?」


光太郎「あの…失礼ですがあなたは?」


卓也「す、すみません。俺は結城卓也と言って…研究所に友達がいるんですよ!」


光太郎「友達…?」


卓也「名前は風祭真、あの研究所で働く風祭大門博士の息子なんです!」


光太郎「風祭真?それに風祭大門…?」


光太郎は二人の名前に聞き覚えがあった。
まずは風祭真、彼は城南大学出身のオートバイレーサー。
500ccロードレースの日本予選で初出場初優勝を果たして世界制覇も夢ではないと言われていた人物であるが…
突然引退してその後の足取りは不明であった。
それに父親の風祭大門、臨床免疫工学の権威。学会でも注目を浴びている人物だったのだが…
(ナレーション:正宗一成)



光太郎「風祭真、あのバイクレースの期待の新星と呼ばれていた彼がここで父親が行っている研究の被検体になっていたとは…」


卓也「真は親父さんの研究に協力して被験者になってたんです。
でも最近のあいつはどこかおかしいというか情緒不安定で…」


光太郎「情緒不安定?それはどういう事ですか?」


卓也「光太郎さんは知ってますか?
最近、都内で発生しているあの連続女性殺人事件について…」


光太郎「連続女性殺人事件?それってあの!?」


卓也の言う連続女性殺人事件とは…
ここ最近都内において若い女性が次々と殺害されるという連続殺人が発生。
その手口はまるで獣のような爪による刺殺で警察も総力を上げて捜査しているが犯人の正体は全くの不明であった。
(ナレーション:正宗一成)



卓也「俺も詳しい事は知らないんですけど真は自分がその事件の犯人じゃないかって…」


光太郎「なんだって!?」


卓也「その事で真の恋人の愛さんは凄く心配していて…
あ、ちなみにこれこの前三人で撮った写真なんですけどね。これがその真と愛さんです。」


光太郎「これは…この女性に…それに…やはりこの男が風祭真…!」


その写真に写っていたのは先ほど光太郎が研究所内で遭遇した愛と、それに真という男であった。
(ナレーション:正宗一成)



~日本支部・ISS~


その夜、光太郎は卓也と共に爆発により吹っ飛んだISSの研究所跡地へとやってきていた。
既に施設内はCIAの手により封鎖されていて日本警察ですら立ち入る事が禁止されている状況であった。
(ナレーション:正宗一成)


光太郎「連中思ったよりも行動が早い、これじゃ忍び込むのも容易じゃないな。」


卓也「こ、光太郎さん!大丈夫なんですかこんな事して!?」


光太郎「勿論危険な事です、だからこの事件は俺に任せてあなたはもう帰った方がいいって言ってるじゃないですか。」


卓也「冗談じゃない!二人は俺の友人ですよ!そんな簡単にハイそうですかと引き下がれるもんか!」


光太郎「ハハ、わかりました!けどここからは本当に危険だから覚悟してくださいよ!」


二人は内部へ無事潜入し、CIAがこの研究所から回収した遺体を確認していた。



卓也「うわっ!どれも銃撃や火傷の痕が生々しいや!」


光太郎「それにしてもかなりの死者だ、本当にこの研究所内で何があったんだ?」


卓也「でも真や愛さんの死体はないから二人は無事なんだ!よかった!」


光太郎「…」


遺体を一体ずつ確認する光太郎と卓也。
そんな中、他の遺体とは違い二人は厳重に保管されている一体の遺体を発見する。
その死体袋には『HIMURO IWAO』というローマ字が刻まれていた。
(ナレーション:正宗一成)


光太郎「ヒムロイワオ…?だが何故この死体だけ特別扱いなんだ?」


卓也「ヒムロ…あぁっ!?思い出した!
以前真から聞いたんですけど氷室巌ってこの研究所の所長の名前ですよ!!」


二人は恐る恐るこの厳重に保管されている死体袋の中を開けてみた。
するとその中に保管されていた遺体は…
(ナレーション:正宗一成)



光太郎「こ、これは酷い!」


卓也「うげっ!?なんだこりゃ!?」


二人が目を覆いたくなるような光景がそこにあった。
何故ならその死体袋にあったのは氷室の惨殺された死体が入っていたからだ!
(ナレーション:正宗一成)


光太郎「この遺体のあちこちに刻まれているのは爪で抉られた傷…
まるで大きな獣に襲われたかのような傷痕だ!一体誰がこんな事を!?」


光太郎が死体を調べていた時であった。


「…!」


「……!!」


卓也「外が騒がしいですね、何があったんでしょうか?」


光太郎「気になるな、行ってみましょう!」


気になった二人は死体をそのままにしてその場を後にするが…



((ピクッ))


卓也「あれ?今…死体が動いたような…気の所為かな?」


光太郎「急いで!見つかったら大変ですよ!」


卓也「は、はい!」


すぐにその場を立ち去った二人、だが…


((ギロッ!))


惨殺されたはずの氷室が突如として目を覚ましたのだ!
(ナレーション:正宗一成)



一方、外ではCIAのエージェントたちが慌ただしかった。
それもそのはず、一人のカメラマンがこの施設を取材させろと頑なに要求してきたからだ。
(ナレーション:正宗一成)


??「ちょっと!ここは日本よ!何でCIAがいるのよ!?」


セーラ「だから先ほども説明にしたように!これ以上捜査の妨害をするなら逮捕するわよ!」


卓也「何だありゃ?女同士で喧嘩か?」


光太郎「アレはさっき会ったセーラ深町!
それにもう一人は…嘘だろ!玲ちゃんどうしてキミがここに!?」


玲子「あぁーっ!光太郎さん!!」


セーラ深町と口論していたのはなんとかつての光太郎のガールフレンドである白鳥玲子であった。
彼女の職業はカメラマンである、なのでこうして今回の事件を取材しに来たのだがこの通り門前払いを喰らっていた。
(ナレーション:正宗一成)



セーラ「あなたは確か…南光太郎さん?
彼女はあなたのお連れのようね、さっきも言ったはずよ!この件に関わるなと!」


光太郎「す、すいません!ほら行くよ玲ちゃん!」


玲子「ちょっと…光太郎さん!?」


騒ぎ立てる玲子を連れて急いでその場を去る光太郎たち。
だがその間際にセーラの部下らしき男が彼女にある報告を伝えていた。


「……風祭…博士…を…保護……した。ですが彼は…」


セーラ「わかったわ、最寄りの病院に搬送しなさい。私もすぐにそこへ行くわ。」


光太郎「今の会話は一体…?」



~喫茶店~


研究所を後にした光太郎たちは近くにある喫茶店へとやってきていた。


光太郎「それにしても久しぶりだね玲ちゃん!」


玲子「久しぶり…じゃないわよ!
この3年間全然音沙汰無しだったのに突然ひょっこり現れるなんて!!
みんながどれだけ心配したと思っているの!?
まったく…自分を鍛える旅に出ると言ってそのまま帰ってこないだなんて信じらんない!!」


光太郎「ゴメンゴメン。」


卓也「あの、光太郎さん…この人は?」


光太郎「あぁ、彼女は白鳥玲子さん。俺のガールフレンドでカメラマンをやっているんだ。
でも玲ちゃんがここにいるという事はさっきの研究所の取材かい?」



玲子「そうよ、ここ最近都内を騒がせている連続女性殺人事件なんだけど…
実はその犯人があの研究施設の実験生物じゃないかって噂があるのよ!」


光太郎「それは本当かい!」


玲子「この写真を見て、知り合いから借りたんだけどこの写真に緑の化け物が写っているでしょ!」


卓也「本当だ、けど何だこいつ?バッタみたいな化け物だな!」


光太郎「…やはりこいつは…しかし玲ちゃん。それとさっきの研究所と何の関係があるんだい?」


玲子「実はその知り合いのカメラマンがこの化け物の後を追ったのよ。
そしたら…この化け物が研究施設に入って行くとこを目撃したの!それがこの写真よ!」


それから玲子から事件に纏わる数々の証拠写真を見せられた。
写真は確かに緑のバッタの化け物が研究所内へ入る様子だった。
光太郎はこれらの証拠を交えてこれまでの状況を全て推理してみた。
(ナレーション:正宗一成)



光太郎(最近都内で多発していた連続殺人の正体はあの緑の化け物に違いない。
それに玲ちゃんから見せられた写真に写っている殺された女性の傷痕と先ほどの氷室という所長の傷痕はほぼ同じだ。
それにCIA、連中が隠しているのはこの緑の化け物についてなのでは…?)


玲子「それともうひとつ気になる事があるんだけど…」


光太郎「気になる事?一体何があったんだ?」


玲子「実はね、ISSの研究所で最近研究員が一人行方不明になったの。
名前は『鬼塚義一』、風祭博士と一緒に新薬の研究をしていたらしいわ。」


光太郎「行方不明?」


卓也「俺も真から聞きました!
確か鬼塚っていう科学者が行方不明になったのに誰も騒がないのがおかしいって!」


玲子「えぇ、私もこの緑の化け物やその鬼塚っていう科学者について研究所に問い質そうと取材しに来たんだけど…」


光太郎「こうして事故が発生したが玲ちゃんの他にはマスコミは誰も動かないというわけか。」


玲子「そうよ、それにさっきのCIAが日本警察を通じて戒口令を敷いたみたい。
どうやら今回の事件かなり裏で暗躍している連中がいるみたいね、これは大スクープの予感がするわ!!」


光太郎「ふむ…」



~病院~


その夜、近隣の病院に光太郎は忍び込んでいたのだが…


光太郎「ここか、さてと…」


玲子「ちょっと!ここ病院じゃないの!」


卓也「光太郎さん!こんなとこへ来てどうすんですか?」


光太郎「ふ、二人とも!危ないから来ちゃダメだって言っただろ!」


玲子「水臭い事言わないの!それで何でこの病院に来たの?」


光太郎「さっきCIAのセーラさんの部下が言っていたんだ。この病院に風祭大門が搬送されたってね!」


卓也「それって真の親父さんが!?」


光太郎「とにかく彼が入院している病室へ急ごう。」


そして風祭大門の治療が行われている病室へとやってきた三人。
そこでは見張りらしきCIAの工作員が本部へ定期報告を行っていた。
(ナレーション:正宗一成)



工作員「はい、風祭博士は保護できましたが彼はヘリの墜落に合ってかなりの重傷を負ってしまい今夜が峠かと…」


『…』


工作員「………了解しました。では自白剤を投与してなんとか今夜中に必要な情報を得てみせます。
その際の生死に関しては…えぇ、わかっています。情報の取得を第一に…」


玲子「自白剤ですって?」


卓也「なんだか知らないが大変だ!」


光太郎「急いで止めなくては!」


工作員「な、なんだ!お前たちは…や!やめ…!?」


光太郎は見張りの男を気絶させるとすぐに風祭大門の病室へ入り彼をここから連れ出そうとするのだが…
(ナレーション:正宗一成)



光太郎「風祭博士ですね。助けに来ました!ここからすぐに…」


玲子「ダメよ光太郎さん!この人とてもじゃないけど連れ出せるような身体じゃないわ…」


玲子の言う通りであった。
風祭大門はヘリの衝突で辛うじて命こそ助かったものの全身大火傷の重傷を負っていて連れ出すのは不可能な状態だった。
(ナレーション:正宗一成)


大門「う…ぅ…私の事はいい…それよりも真…私の息子の真はどうなった?」


卓也「真?親父さん…真は俺たちも探しているけどどこにもいないんだ!」


大門「そうか。だがあいつはきっと生きているだろう…何故ならあいつは…ゴホッ、ゲホッ!」


光太郎「博士!しっかりしてください!」


大門「私の事は気にしなくていい…それよりも伝えておきたい事がある…それはあの研究所での出来事だ…」


そして風祭大門は語り始める。
全ての発端は所長の氷室巌が所属する『財団』と呼ばれる組織にあった。
(ナレーション:正宗一成)



【財団】


アメリカのニューヨークに本部があり政財界や軍事産業などあらゆる分野で世界規模の影響力を持つ謎の組織。
全世界の政治、経済、思想、文化などを全て統一し、人間の誕生から死までに関する、あらゆる経済活動を自分達の影響下に置く事を目的としている。
(ナレーション:正宗一成)


光太郎「そんな連中が暗躍していたとは…」


玲子「だからCIAが日本で捜査に乗り出していたのね!」


大門「そして…連中は私の研究を用いてある兵士を生み出した…
それこそが改造兵士(サイボーグ・ソルジャー)だったのだ…」


光太郎「改造兵士(サイボーグ・ソルジャー)!?」


改造兵士(サイボーグ・ソルジャー)とは…

財団が各国への軍事力として売るために新開発した生体兵器、すなわち改造人間の事である。

レベル1:人体の遺伝子情報をより強化して人体そのものを強化させた兵士。

レベル2:レベル1で遺伝子情報を強化した兵士に機械を取り付けてレベル1の兵士よりも圧倒的な攻撃力を持たせた兵士。

そしてレベル3は…
(ナレーション:正宗一成)



大門「レベル3…それは鬼塚や私が行っていた遺伝子実験が…まさかあんな事に使われるとは…
鬼塚はバッタの遺伝子を身体に組み込みさらなる強化を行った…
それは遺伝子実験を人体を極限まで生物的な強化をはかるという非人道的な方法だった…
攻撃力はレベル2の改造兵士をはるかに超えており、しかもレベル2のように機械ではなく生命体の延長であるために…
攻撃を受けてどんな深手を負っても通常の人間の5000倍の細胞増殖にて急速再生や回復する…
まさに無敵の改造兵士と言っても過言ではないだろう…」


光太郎「改造兵士…まるでゴルゴムだ!
しかし博士、そんな改造手術を受けて人間としての理性は残っていられるのですか?」


大門「無理だ、本来人間にはないバッタの遺伝子を組み込まれたのだ…
理性なんて保てるはずがない。だから鬼塚はあのような行為に及んだんだ…」


玲子「巷で発生した連続女性殺人事件!その犯人は鬼塚だったのね!」


卓也「よかった、真が犯人じゃなかったんだな!まあ俺は最初から信じてたけど…」


光太郎「それにしても信じられない…自分を改造するとは…!?」



大門「だがその鬼塚も本部に搬送される途中にCIAが打ち込んだロケットランチャーで死んだ…
あとは私が死ねば…この悪魔の研究は終わるだろう…」


光太郎「待ってください博士!あなたはまだ何か隠している!
あなたの息子である風祭真、彼はこの事件にどう関わっているのですか?
まさか鬼塚は自分だけでなくあなたの息子にまで…」


大門「…」


急に口を閉ざす風祭大門、だがその時!?



((ドシュッ!))



大門「ぐはっ!?」


光太郎「なっ…風祭博士!?」


大門「た、頼む…!息子を…真を…それに…生まれてくる…命を…守って…」


卓也「な…?親父さーん!?ダメだ死んでる…けど誰がこんな事を…!?」


風祭大門は突如何者かが放った弾丸により即死だった。
光太郎たちは病室の窓を開けて急いで周囲を見回すと一人の不審な男の影を発見する!
(ナレーション:正宗一成)



「くっ…!」


光太郎「あれは…風祭博士を殺害したのはヤツか!待て!!」


卓也「ま、待って!俺も…」


光太郎と卓也は急いでその不審な男の後を追う。
玲子もそんな二人の後を追って行こうとするが…


((ガサッ!))


玲子「あら?今…誰かいたような…」


「…」



~空き地~


病院を出た不審な男は光太郎たちによりこの病院周辺にある空地へと追い詰められていた。


光太郎「諦めろ!もう逃げられないぞ!」


「うぅ…」


光太郎は持っていた携行ライトの光を男に照らす。


((ピカッ!))


卓也「ハァ…ハァ…光太郎さん早過ぎだよ…追いつくのがやっとだ…うん?お前は!?」


光に照らされ男の素顔は光太郎たちの前に晒された。
卓也は男の素顔を見て驚きを隠せなかった、何故ならこの男こそ卓也が探している風祭真だからだ!
(ナレーション:正宗一成)



卓也「真!お前…真じゃないか!!」


真「卓也…もう俺に関わるな。放っといてくれ…」


探していた親友の無事な姿を見て一安心する卓也、だが何故か真の態度は素っ気なかった。
その理由について光太郎は既に察しがついていた。
(ナレーション:正宗一成)


光太郎「風祭真、キミは改造人間だな!」


真「何故それを…?まさかお前も財団の…!?」


光太郎「財団…いや違う!俺は…」


真「黙れ!愛を…父を…殺してこれ以上大切な者を奪われてたまるか!!」


怒りを露わにする真、光太郎が自分を狙う刺客だと思って敵意を剥き出しにする!
(ナレーション:正宗一成)



真「「うおおおおおおおお!!!!」」


卓也「待て真!光太郎さんは…」


真「「ガァッ!!」」


卓也「ひぃっ!?な、化け物!?」


光太郎「そ、その顔は…やはりキミは!」


怒りに満ちた真は化け物のような醜い顔と化して卓也を驚かせた。
だがそれだけではない、真の身体は瞬く間に人間とは違う生命体へと変化していったではないか!
(ナレーション:正宗一成)


光太郎「これは…変身だ!やはりキミは風祭博士が言っていたレベル3の改造兵士か…!」


シン「「ガァァァァァァ!!」」


変身を終えた真…
だがそこには風祭真という名の青年の姿は無かった。
その代わり、そこにいたのはバッタの姿をした異形の生命体の姿だけであった。
そう、これこそ財団が新たに作ろうとしたレベル3の改造兵士の姿だ!
(ナレーション:正宗一成)



シン「ウゥゥゥ…!」


卓也「あぁ…そんな…し、真が化け物に…」ガクッ


光太郎「卓也さん!?…気絶しただけか。それにしても…
さっき病室で風祭博士を殺害したのはキミなのか?何故だ!何故実の父親を殺したんだ!?」


シン「「ウガァァァァ!!」」


光太郎がシンに問い質そうとするが怒りに満ちたシンにそれは逆効果だ。
代わりにシンは光太郎に襲い掛かってきた!
(ナレーション:正宗一成)



光太郎「くっ…このままでは…!?」


変身したシンの攻撃力は凄まじく歴戦の戦士である光太郎も防ぐのがやっとの状態だ。
そこへ玲子が遅れて駆け付けてきた。
(ナレーション:正宗一成)


玲子「光太郎さん!何よこの怪人は!?早く変身してやっつけてよ!!」


光太郎「…」


玲子の言う通り、この場は光太郎も変身しなければやられる一方だ。
だが光太郎は何故か変身を躊躇っていた。
しかしそうも言っていられない、光太郎は意を決して変身しようとする!
(ナレーション:正宗一成)




光太郎「変……身!」



玲子「やったわ!RXになれば光太郎さんの勝ちよ!」


光太郎が変身する仮面ライダーBLACKRXに期待する玲子。
だが光太郎が変身した姿はRXではなかった…
(ナレーション:正宗一成)



BLACK「「仮面ライダーBLACK!!」」



玲子「あ、RXじゃない!?どういう事なの?」


そう、光太郎が変身した姿はRXではない。
仮面ライダーBLACKRXの前身である仮面ライダーBLACKの姿だった!!
(ナレーション:正宗一成)



BLACK「行くぞ!」


シン「グゥゥゥ!」


((ドガッ!)) ((バシッ!))


互いの徒手空拳が炸裂する。
攻撃力はシンの方が勝っているがBLACKは幾多の戦いを潜り抜けてきた歴戦の勇者。
その経験の差がBLACKをわずかに優位に立たせていた。
(ナレーション:正宗一成)


玲子「このまま行けばライダーの勝ちよ!頑張って!」


BLACK「ライダーチョップ!」


シン「グギャァッ!?」


そしてBLACKのライダーチョップがシンに命中!
シンの身体に大きな斬り傷が出来たのだが…
(ナレーション:正宗一成)



((シュゥゥゥゥ))


シン「ウゥゥゥ!」


BLACK「なんという事だ!ライダーチョップの傷を一瞬で回復させて傷痕すら残さないだと!?」


シンの驚異的な回復能力に驚くBLACK。回復したシンはすぐさま反撃に出た!


シン「ガァァッ!」


((ドシュッ!))


BLACK「なっ…うわぁぁぁぁ!?」


玲子「ライダーの身体に斬られた傷が!?あの怪人の爪で斬られたのね!」


BLACK「この傷…先ほど見た氷室所長の傷と同じだ…!
それじゃあやはり氷室所長はキミが殺したのか!?」


シン「…」


シンは答えようとしなかった。
それどころか攻撃の構えを取り、BLACKに止めの一撃を与えようとしていた!
(ナレーション:正宗一成)



BLACK「怪人ではない人間を殺すなど…許されるべき事ではない!お前はこの俺が倒す!!」


BLACKもバイタルチャージによりエネルギーを高め、そして互いに空中にジャンプ!
両者はほぼ同じタイミングでそれぞれの必殺技を放った!!
(ナレーション:正宗一成)


BLACK「「ライダーパーンチ!!」」


シン「「ウガァァァァァァ!!」」


((バシィィィィ!!))


BLACK「うわぁっ!?」


シン「ガハッ!?」


威力は互角、両者ともに吹っ飛ばされてしまう…!
(ナレーション:正宗一成)



BLACK「まだだ!あいつもまだ倒れちゃいないはずだ!」


シン「ウゥゥ!」


すぐさま体勢を立て直して再び攻撃を仕掛けようとする両者!
だがその勝負は第三者の介入により中断される事になる!
(ナレーション:正宗一成)


セーラ「そこまでよ!」


BLACK、シン「「!?」」


玲子「あなた…CIAの!?」


セーラ「部下からの報告でやって来てみればまさかこんなチャンスに巡り合うとはね…
そっちの黒いのは知らないけど…真、大人しく捕まりなさい!」


シン「ヌ゛ゥゥ…」



セーラの姿を見たシンはすぐに空き地から立ち去る。
そしてセーラもその場に残ったBLACKや玲子には気にも止めずシンの後を追った…


光太郎「くっ…」


玲子「光太郎さん!大丈夫なの!?」


戦闘が終わりBLACKの変身を解く光太郎。
だが先ほどの戦闘は光太郎自身もかなり消耗が激しくその場に倒れ込んでしまった…
(ナレーション:正宗一成)

とりあえずここまで

真・仮面ライダー序章を知らない人にはいきなり何の話かわからないのでちょっと序章の話を説明します。

1.都内で連続女性殺人事件が発生

2.ISS研究所で氷室所長が風祭博士と鬼塚に新たな遺伝子実験を命令、その被検体が主人公の風祭真

3.セーラは鬼塚を付け狙い彼を殺す

4.だがその時、バッタが共有するテレパシーにより真がレベル3の改造兵士として覚醒

5.セーラはCIA本部から真の抹殺を命じられる

6.財団は風祭博士と愛(厳密にいうとお腹の中の真の子供)を本部に移送しようとする

7.真はこれを阻止しようとするが所長の氷室に愛を殺されてしまう

8.怒った真は変身して氷室を殺す

9.そしてレベル2の改造兵士を倒して逃げようとするシンたちの前にCIAや財団の魔の手が…

10.愛の亡骸を抱いて一人何処かへと立ち去る真、物語はここで終り

大体こんな流れです、詳しく知りたい方はお近くのレンタル店で序章のDVDを借りて観てください。



~スポーツクラブ~


光太郎「…」


光太郎「……」


光太郎「………!ここはどこだ?」


目が覚めた光太郎、気が付くとそこは見知らぬスポーツジムの中であった。


玲子「もう、心配させて!やっと目が覚めたのね!」


卓也「ここは俺の勤務するスポーツジムです。気を失っていた光太郎さんをここまで担いできたんですよ。
病院に運ぼうかと思ったんですけどあっちは真の親父さんが殺されたと大騒ぎだからしょうがなくこっちへね…
ここは真やあいつの恋人の愛さんも通っていてね、俺たち三人のたまり場みたいなモンなんですよ!」



光太郎「なるほど。ところであれから何かわかった事は?」


玲子「それが何も…
警察に行っても『全裸の変態が外を歩いていた』とか『ベランダに干してあった男物の服が盗まれていた』とか
事件とは関係のない事しか聞けなかったわ。
あの緑のバッタ怪人の情報は手掛かりひとつ残ってないの…」


光太郎「そうか…」


卓也「それにしても真があんな化け物になっちまうなんて…
しかもあいつが親父さんを殺しちまうとかどういう事なんだよ!
まさかあいつ…自分をあんな化け物にした親父さんが許せなくてあんな事を!?」


光太郎「…」


光太郎は卓也のその言葉に対して何か納得がいく気がした。
何故なら彼自身も育ての親である秋月総一郎の手により改造手術を無理矢理受けさせられた過去がある。
一時はそんな育ての父親を恨みさえした、そう考えれば納得はいくのだが…
(ナレーション:正宗一成)



玲子「たぶんだけど…風祭博士を殺したのはその真って人じゃないと思うわ。」


光太郎「なんだって!?玲ちゃん、それはどういう事なんだい?」


玲子「実は…あなたたちが病室を飛び出した後に変な人影を見て…
もしかしたらその人が風祭博士を殺したんじゃないかと思うの。」


卓也「じゃあ真は実の親父さんを殺してないって事なんですか!
よかったぁ~!そりゃそうだよな!実の父親を殺すなんてありえないよ!!」


光太郎「なるほど、だがそうなると一体誰が風祭博士を殺したんだ…?」


真ではないなら一体誰が風祭博士を殺害したというのか?
光太郎がそんな疑問を抱いている頃、ある場所で怪しげな企みが行われようとしていた…
(ナレーション:正宗一成)



~屋敷~


ここは都内某所にある豪華な屋敷。
そこに二人の年輩の男が寛いでいた。
そしてその二人の男の前に強面のいかにも屈強そうな男が現れた。
(ナレーション:正宗一成)


??『モドリマシタ。』


??「ご苦労、報告しろ。風祭大門はどうなった?」


??『カザマツリダイモンハCIAノトリシラベヲウケルスンゼンデシタ。
ソトニツレダセナイトハンダンシタタメ、ハカセヲサツガイシマシタ。』


??「風祭博士は死んだか。これでレベル3の実用化は白紙か…」


??「フン、レベル3の実用化など必要ない。
元々レベル2の改造兵士だけで十分性能は満たされていたはずだ。
それにレベル3の兵士は制御が出来ない。制御できない兵士など商品化が不可能ではないか!」


??「だがレベル3の改造兵士にはまだ明かされていない未知の性能がある!
我らに技術提供するあの男もレベル3の生体サンプルを欲しがっているではないか。
何でも『まったく新しい生命体』を人工的に作り出すためだとか…
うまく行けばレベル4も夢ではないしそうなれば市場ももっと広げられるはずだぞ!」


??「まったく学者め!簡単に言ってくれたモノだが…」


二人の男たちは何やら口論となっていた。
するとそこへ顔中に包帯を巻いた一人の男が彼らに歩み寄ってきた。
(ナレーション:正宗一成)



??「お前は…まだ寝てなくて大丈夫なのか?」


包帯男「失礼、あなた方の小うるさい声で目が覚めましてね。ところで風祭真の捕獲には失敗したそうですが…」


??「仕方あるまい、レベル2の改造兵士ではヤツを仕留めるのは不可能だ。」


??「だがヤツをこのまま放置しておくわけにはいかないぞ、どうする?」


包帯男「ではこの私にお任せを、ようやく身体も治癒出来ましたからな。」


そう言って男は身体に巻かれていた包帯を取って身体の傷を見せた。
するとどうだろうか、その身体は傷ひとつない状態で何故包帯など巻いていたのかという疑問すら思えるほどであった!
(ナレーション:正宗一成)



??「なるほど、これは大したものだ。」


??「かつて我らも改造手術に憧れていたがまさかこれほどまでな治癒能力を持っているとは…
ではレベル3、いや風祭真の捕獲をキミがやってくれるかな。」


包帯男「お任せを、助けて頂いた恩に今こそ報いましょう。」


そして包帯男は屋敷を出て夜の街へ、一体この男は何者なのだろうか?
(ナレーション:正宗一成)



~スポーツジム~


光太郎「じゃあ俺は風祭真、彼を探すよ。」


玲子「わかったわ、けど当てはあるの?」


光太郎「あぁ、なんとなくだけどね。玲ちゃんの方も頼んだよ。」


玲子「わかったわ、光太郎さんの言う通りちょっとあの研究所の事を調べてみるわね。」


翌朝、昨夜の負傷も癒えた光太郎はさっそく風祭真の捜索を開始する。
光太郎は真の捜索を、玲子は光太郎に任された研究所の調査を、二人は別行動を取ろうとしていた。
さっそく行動開始しようとする直前に玲子は昨夜から抱いているある疑問を思い切って光太郎にぶつけてみた。
(ナレーション:正宗一成)



玲子「ところでなんだけど…昨日の変身についてちょっと聞いておきたい事があるの。
何で………RXじゃなくBLACKに変身したの?
あのバッタの怪人はRXだったらたぶん倒せたはずよ、それなのにどうして?」


光太郎「……」


その質問を受けた光太郎はまるで苦々しい表情を浮かべていた。
そして玲子に隠し事をしても意味がないと判断した光太郎は思い切ってある事を打ち明けた。
(ナレーション:正宗一成)


光太郎「わかった、話そう…
実は…クライシス帝国を倒した後、暫くしてから俺はRXに変身できなくなってしまったんだ…」


玲子「なんですって!?」



光太郎「恐らく原因は俺自身にあるんじゃないかと思うんだ。
こればかりは他の誰でもない、この俺自身が解決しなきゃいけない問題だからね…」


玲子「光太郎さん…」


玲子は光太郎がRXに変身できなくなった原因をなんとなくではあるが察していた。
その原因とはかつてのクライシス帝国との戦いの決着についてだ。
光太郎はクライシス皇帝を撃ち滅ぼし、地球を救ってみせた。
だがその勝利の代償はあまりにも大きかった。
光太郎の家族とも呼べる下宿先の佐原夫妻は死亡…
そしてクライシス皇帝に支配されていた怪魔界50億の民もクライシス皇帝の死と同時に怪魔界は崩壊。
50億の民もそれに巻き込まれて滅亡してしまったのだ。
玲子は光太郎がその事を未だに気に留めているのではないかと心配していた。
(ナレーション:正宗一成)


玲子「わかったわ、とにかく私は研究所の方を調べてみるから。
光太郎さん、あまり無茶はしないでね…」


光太郎「あぁ、頼んだよ玲ちゃん。」



玲子は一足早く行動に出た。
それと入れ替わりに光太郎に近付く一台のバイクが、卓也だ。
(ナレーション:正宗一成)


光太郎「卓也さん!一体何で…?」


卓也「友達の危機ですからね、このまま黙って見てられませんよ!
光太郎さん、俺も一緒に真を探します!お願いだから連れて行ってもらえますか。」


光太郎「わかりました、一緒に行きましょう!」


卓也「ところで光太郎さん、真を探すにしても何か当てはあるんですか?
もしかしたらあいつは既にどこか遠くへ行ったのかも…」


光太郎「大丈夫、彼はそう遠くへはいけないはずだから…」

光太郎はまるで真の事情を察しているのか微妙な表情を見せながら呟いた。
そして光太郎と卓也はバイクに乗り真の捜索を開始する!
(ナレーション:正宗一成)

とりあえずここまで

光太郎さんがBLACKにしか変身できないのはssの都合です、決して公式ではありませんので…



~廃屋~


真「愛…」


ここは無人の廃屋、そこに一人の青年の姿があった。
風祭真だ、そして真の隣で横たわる一人の女性。真の恋人である明日香愛。
愛の身体は今は亡骸となり果て生命反応は無い…
だが彼女の胎内にはまだひとつだけかすかに生きている存在があった。
(ナレーション:正宗一成)


真「愛…父さん…教えてくれ!俺はどうしたらいいんだ!?」


この誰もいない廃屋で力強く叫ぶ真、その時であった!
(ナレーション:正宗一成)


((ザッ、ザッ、))


真「だ、誰だ!?」


即座の人の気配を感じた真は愛の亡骸の前に立ち臨戦態勢を取る。
しかしそこに現れたのは敵ではなかった。
(ナレーション:正宗一成)



光太郎「やっぱり、ようやく見つけられたよ。風祭真。」


卓也「真!馬鹿野郎!お前何でいきなりいなくなっちまうんだよ!?」


真「卓也…それにアンタは昨日の!?」


そこに現れたのは光太郎と卓也であった。
真は何故二人がこの場に現れたのが疑問に思いついつい問い質してみた。
(ナレーション:正宗一成)


真「何で俺がここにいるとわかったんだ?」


光太郎「簡単さ、キミは変身の際に衣服を破るから変身を解いた後は全裸になる。
だからこの辺りで男物の服を盗まれたり全裸の男の目撃情報を聞いて、
あとはその近隣で無人の建物を虱潰しに探せばいいだけだからね。
それにキミはその愛さんを抱えて遠くには行けない…だろ?」


卓也「なるほど、そういう事か!なぁ教えてくれ真!お前に一体何があったんだ?」


真「…」


真は暫く沈黙した後、亡骸と化している愛の身体に触れながらこう呟いた。



真「俺は…鬼塚の手により改造人間にされてしまった。」


光太郎「やはり…」


真「ヤツは自分だけじゃなく俺にまでレベル3の改造兵士への実験を密かに行っていたんだ!
そして俺もまたヤツと同様にレベル3の改造兵士に…」


卓也「なんてこった!鬼塚ってヤツは悪魔か!?」


光太郎「確かに酷い話だが…それだけじゃないんだろ…?」


光太郎はさらに真に問い続けた。
そして真は愛のお腹をさすりながらある真実を光太郎たちの前に打ち明けてみせた。
(ナレーション:正宗一成)



真「愛…この明日香愛の身体は確かに死んでしまった。
だが…まだひとつだけ、この胎内にひとつだけ生きているモノがあるんだ。
俺はそれを命に代えても守らなきゃならない。愛が死ぬ間際俺にこの子を託してくれたから…!」


卓也「この子って…お前何を言って…?」


真「それは…」


光太郎「そうか、愛さんは…真。キミの子供を妊娠していたんだな。」


卓也「なんだって!?」


光太郎の言う通りであった。
明日香愛は死ぬ直前、自分が真の子供を妊娠していた事に気付いた。
だが不幸にも彼女は死んでしまう…
しかし彼女の胎内にある赤ん坊は密かに生きていた!
(ナレーション:正宗一成)



真「だから俺はこうして愛の亡骸とそのお腹にいる赤ん坊を守っているのさ。」


卓也「なんて事だ…」


光太郎「…」


真から告げられる衝撃の真実を聞き驚きを隠せない光太郎と卓也。
だがその時、一発の銃声がこの廃屋に響き渡った!
(ナレーション:正宗一成)


((ダーーンッ!))


卓也「うわっ!銃声!?」


光太郎「これは…まさか!?」




「「全員動くな!!」」



銃声と同時に警告が伝えられた。
気付くと銃のサーチライトが真、それに光太郎に卓也とこの場にいる者たち全員に向けられていたのだ。
(ナレーション:正宗一成)


真「卓也…!お前たちまさか尾けられたんじゃ!?」


卓也「そんな…」


光太郎「いや、考えられる!こんな大袈裟な装備を用意できるのは俺の知る限りで一人しかいない!
セーラ深町!いい加減出てきたらどうだ!!」


セーラ「やはり、気付いていたのね南光太郎。
そうよ、あなたたちを尾行すれば必ず真の居場所へ辿り着けると判断したのは間違いではなかったわ!」



真「セーラ!もう俺たちの事は放っておいてくれ!俺はもう財団の人間なんかじゃない、俺は…俺は…」


セーラ「そういうわけにはいかない。
あなたのその改造された肉体はそれだけで脅威と成りうる存在、既にCIAはあなたに抹殺指令を下しているわ。
この決定を覆すのは私の権限では不可能なのよ!」


真「ならば…!」


光太郎「変身しようとしている…」


卓也「よせ真!相手は人間だぞ!?そんな事お前に出来るわけが…」



真「出来ないとでも思っているのか!?
俺は所長の氷室に愛を殺された!だからその復讐のためにヤツを殺したんだ!!
彼女がまだ俺たちを追うというのなら俺は容赦なく…!」


セーラ「私を殺したところで無駄よ。
どうせCIAは第二、第三の追っ手をあなたに差し向けるはず。
それこそ永遠に終わらない鬼ごっこのように…
それにあなただけでなく、もうすぐ生まれてくるあなたの子供も処分対象よ。
そんな化け物の姿で生まれるよりはいっその事、一思いに殺した方が…」


真「黙れ!言うな!!」


セーラの言葉は確かに正しかった。
この場で彼女を殺せたとしてもCIAや財団は間違いなく次なる追っ手を差し向けようとするだろう。
それだけではない、真と愛の子供についてもだ…
愛のお腹にいる子供がまともな姿で生まれるとは限らない。
もしかしたらセーラの言う事に従った方が生まれてくる子供のためでもあるのでは…
真がそう思った時、異変が起きた!
(ナレーション:正宗一成)



((ブシャァァァァァッ!))


「「ギャァァァァァ!?」」


光太郎「この叫び声は何だ…?」


真「この真っ赤な液体…これは…血だ!」


卓也「周りを見てくれ!俺たちを囲っていたCIAの連中が次々と襲われてる!?」


セーラ「そんな…私の部下たちが…一体どういう事なの!?」


この廃屋にて光太郎たちを包囲して射撃体勢を取っていたセーラの部下たちは次々と何者かに襲われ…
そして血塗れになって死んでいった。
(ナレーション:正宗一成)



セーラ「…私の部下たちが…全員殺された…!」


卓也「うぇぇ…みんな血塗れだ…一体誰がこんな酷い事をしたんだ!?」


光太郎「この襲われたCIAの工作員たちの傷口…まるで巨大な獣に襲われたような傷だ!
この傷は研究所で見た氷室の死体についていた傷に似ている…まさかこれはレベル3の…!?」


真「馬鹿な!俺以外にレベル3の改造兵士が存在するはずが…」


確かに真以外にレベル3の改造兵士は存在するはずがない。
そう思った矢先、彼らの前に一人の男が姿を現す。
その男は先ほど屋敷を出て行った包帯男であった!
(ナレーション:正宗一成)



包帯男「久しぶりだな風祭真、元気そうで何よりだよ。」


卓也「おい真…あいつお前の事を知ってるみたいだぞ?」


真「ふざけるな!俺はお前の事など知らないぞ!?」


包帯男「おっと、これは失礼したね。
さすがにこんな姿じゃ誰かだなんてわかるわけもないか…」


そして包帯男は顔に巻かれた包帯を脱ぎ捨てて、真の前にその素顔を晒す。
その男の素顔を見た真は驚きを隠せなかった!
(ナレーション:正宗一成)


光太郎「何だこの男は…?不気味な雰囲気を漂わせている…!」


卓也「おい真!こいつは一体何者なんだ!?」


真「…お、お前は…馬鹿な…死んだはずじゃ…」



セーラ「そうだ、お前は死んだはずだ!鬼塚義一!?」


なんと包帯男の正体は真をレベル3の改造人間に仕立て上げた張本人である鬼塚義一であった。
財団本部に搬送される途中にCIAの手により死亡したとされる鬼塚…
だが実は生きていてそれも五体満足な状態にまで回復を終えていた!
(ナレーション:正宗一成)


鬼塚「そうだ、私の名は鬼塚義一。
そこにいる風祭真をレベル3の改造兵士に仕立て上げた張本人だよ!」


光太郎「大勢の人間をいとも簡単に殺して!お前には人としての心は無いのか!?」


鬼塚「………無いねぇ、既に私は………人ではないから………」


((シュゥゥゥ!))


そう言うと鬼塚の身体は次第に異形の姿となりレベル3の改造兵士の姿へと変貌した。
その姿はシンと瓜二つなのだが、ただひとつだけ違う点があった。
それは…
(ナレーション:正宗一成)




オニヅカ「「ガァァァァ!!」」



光太郎「確かに変身したシンの姿とそっくりだ!
だが…ヤツにはシンにはあったはずの額にある眼みたいなものが無いが…?」


光太郎の言う通り鬼塚の変身した姿にはレベル3の改造兵士のコントロール器官である第三の眼がなかった。
ちなみに第三の眼とはシンたちレベル3の改造兵士のコントロール器官でありこれが彼らの自我と理性を保つのだが…
これを有していない鬼塚は変身時には理性を失っており変身後は無作為に暴れるだけの単なる化け物になってしまう!
(ナレーション:正宗一成)


真「「鬼塚ぁぁぁぁぁ!!」」


卓也「真!?」


シン「「ウゥゥゥ!!」」


セーラ「変身した…」


光太郎「真もまた鬼塚と同じ姿に…
偶然かもしれないが変身した二人の姿が俺の仮面ライダーBLACKがリプラスフォームに包まれる前の
バッタ男と酷似している気がするが…?」



そして真も変身、真と鬼塚によるレベル3の改造兵士同士の戦いが始まった!
(ナレーション:正宗一成)


シン「ガァァァッ!」


オニヅカ「ギィィィィ!」


((ズバッ!)) ((ドシュッ!))


戦いはどちらも互角だった。
それもそのはず、同じタイプの改造兵士の戦いなのだ。
簡単に決着をつける事などできるはずがない。
だが、鬼塚は単身乗り込んできたわけではなかった…
(ナレーション:正宗一成)


((バッ!))


光太郎「ムッ!お前は…!?」


二人の戦いの最中に一人の男が乱入し男は戦いには目もくれず、明日香愛の亡骸を狙おうとしていた。
(ナレーション:正宗一成)



シン「ウゥゥゥ!」


オニヅカ「バァァッ!」


シンはその男から愛の亡骸を守ろうとするがオニヅカがそれを妨害していた。
実はこの男、先ほど屋敷にて風祭大門の死を報告していた人物であった。
シンにとっては親の敵でもある存在!
そして男の魔の手は確実に愛の亡骸に忍び寄ろうとするが…
(ナレーション:正宗一成)


光太郎「させるか!」


((ガシッ!))


しかし、光太郎が男の暴挙を許さなかった!
男の手を掴み行く手を阻もうとするがその時、光太郎はある事に気付いた!
(ナレーション:正宗一成)


光太郎「こいつ…冷たい!?まさか…」


セーラ「離れて!」


((バンッ!))


セーラは自分の所持する銃で男の頭を撃ち抜いてみせた!
だが、男は…
(ナレーション:正宗一成)



「……」


卓也「そんな!?銃弾を喰らったのに死なないなんて…」


光太郎「こいつまさか!」


セーラ「そうよ、こいつは…レベル2の改造兵士!」


((バッ!))


男は自らの全身を覆う人工皮膚を引っぺがしてその正体を現した。
それは強化した細胞に機械を合体させたレベル2の改造兵士であった!
(ナレーション:正宗一成)



改造兵士『ターゲット…カザマツリシン、アスカアイ…
ソノホカノモノハ…マッサツ…マッサツ…』


((ガシャンッ!))


そしてレベル2の改造兵士は右腕に装備されているハサミ状の腕であるシザーハンズを卓也とセーラに向けようとする!
(ナレーション:正宗一成)


セーラ「こいつ…!あの研究所の爆破で破壊されたと思っていたけど…
やはり他にも製造されていたのね!?」


卓也「ダ、ダメだ…!このままじゃ俺たち殺される!?」


((ドシュッ!))


シザーハンズの鋭利な刃が彼らを襲った!
危うし!?
(ナレーション:正宗一成)



光太郎「させるか!」


卓也「光太郎さん!?」


しかし間一髪、光太郎が改造兵士の魔の手から二人を守った。


光太郎「愛さんの亡骸を狙うとは…お前の狙いは彼女のお腹にいる子供が目当てなのか!?」


改造兵士『…』


セーラ「無駄よ、こいつらはインプットされたプログラム通りに動く殺人マシンなの。
だからあなたの質問なんて答えるはずがないわ!」


光太郎「問答無用か、ならばこちらも容赦しない!行くぞ!!」


光太郎は拳を握りしめて変身ポーズを取った!
(ナレーション:正宗一成)




BLACK「「変身!仮面ライダーBLACK!!」」



改造兵士『!?』


卓也「光太郎さんが仮面ライダー!?」


セーラ「ただ者だとは思っていなかったけどまさか…」


光太郎は仮面ライダーBLACKに変身!
卓也とセーラが見ている中で仮面ライダーBLACKと改造兵士の激しい戦いが行われた!!
(ナレーション:正宗一成)



改造兵士『マッサツセヨ!マッサツセヨ!』


((ズバッ!)) ((バシュッ!))


BLACK「確かにお前は強化された細胞に機械と融合しているから人間以上の動きができるかもしれん。
だが、お前の動きは単調過ぎる!トゥァッ!」


((バシッ!))


卓也「スゲー!変身した光太郎さんが勝ってる!」


セーラ「南光太郎、どうやら彼は歴戦の戦士みたいね。
そんな彼を相手にレベル2の改造兵士では荷が重すぎたようだわ!」


BLACK「「ライダーパンチ!」」


改造兵士『グワァァァァァ!?』


仮面ライダーのライダーパンチが改造兵士に見事にヒット!
改造兵士はその威力に思わず吹っ飛ばされてしまう!
(ナレーション:正宗一成)



卓也「やったぜ光太郎さん!あの化け物を倒した!」


セーラ「待って!まだ戦いは終わってないわ!シンとオニヅカがまだ戦っている!」


BLACK「シン!オニヅカ!」


シン「グゥゥ…!」


オニヅカ「グルゥゥゥ!」


シンとオニヅカ、レベル3の改造兵士同士の戦いは互角に思えていたが…
そうではなかった!
(ナレーション:正宗一成)



オニヅカ「「グギギギギギ!!」」


((キィィィィ))


シン「ウ…ウゥ…」


セーラ「オニヅカが何か奇妙な発声をしているわ…?」


卓也「それにシンも苦しがってる?一体何があったんだ?」


シンが苦しがるのも無理はない。
何故なら彼らレベル3の改造兵士の元となったバッタにはテレパシー能力があり、
精神リンクによる同族の記憶・感情・意識に反応する共通の疑似体験を行う事が出来る。
今、オニヅカはこの能力を使いシンの動きを封じて彼の動きを制限しようとしていた!
ちなみにだがこの能力が原因で真はかつて鬼塚が起こした連続女性殺人事件を、
無意識に鬼塚と精神リンクしてしまい自分がその凶行に及んでしまったのだと誤解していた。
(ナレーション:正宗一成)



BLACK「ライダーチョップ!」


オニヅカ「ギャァァッ!?」


シン「!」


BLACK「目を覚ませシン!一緒にこの悪魔を倒すぞ!」


シン「ガァァァッ!」


BLACK「トゥァッ!」


卓也「ライダーとシンが一緒に空高くジャンプした!」


セーラ「何をする気なの!?」


BLACK、「「ライダ―――キ――――ック!!」」


シン「「ガァァァァァァッ!!」」


オニヅカ「ギャァァァァッ!?」


仮面ライダーBLACKとシンの二人によるライダーキックはオニヅカに命中!
その技をモロに喰らいオニヅカは致命傷を負ってしまうほどであった!
(ナレーション:正宗一成)



鬼塚「うぅ…変身が…人間の身体に戻ってしまった…」


BLACK「鬼塚、お前一人でこのような凶行に及んだとは考えにくい。
言え!お前の背後には一体誰がいるんだ!」


鬼塚「うぅ…わかった…言う…だから命だけは助けてくれ!」


自分が不利な状況に立たされていると悟った鬼塚はライダーに命乞いを求める。
それから黒幕の正体を告げようとした時、またもや事態が急変する!
(ナレーション:正宗一成)


改造兵士『ハッ!』


卓也「うわっ!さっきの化け物が…!」


BLACK「しまった!倒せてなかったのか!?」


なんと先ほど仮面ライダーのライダーパンチを喰らった改造兵士が再び立ち上がってきた。
そして改造兵士は愛の亡骸と鬼塚を回収するとそのまま足早にこの場から脱出しようとしていた!
(ナレーション:正宗一成)



BLACK「させるか!」


シン「「ウゥゥゥゥ!」」


仮面ライダーとシンは急いで改造兵士の後を追おうとする。
だが改造兵士は装備されていたありったけの爆弾を使いこの場を爆破した!
(ナレーション:正宗一成)


((ドッカァァァァァン!!))



卓也「うわーーーーー!?」


セーラ「くっ…これじゃあ…」


BLACK「いかん!卓也さんとセーラさんが危ない!?」


シン「ガッ!……ウゥゥ…グゥッ!」


セーラ「そんな…シン!私たちを助けてくれるの…?」


ライダーたちは燃え盛る廃屋から急ぎ卓也とセーラを救出するが…
その隙に改造兵士に逃げられてしまった。
(ナレーション:正宗一成)



卓也「俺たちは助かったけど愛さんは…」


光太郎「なんという事だ…連中は当初の目的を見事に果たしてしまったわけか…」


真「そんな…チクショウ!愛…!愛ィィィィィィィ!?」



真「う゛わ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」



変身を解き愛の亡骸を改造兵士に奪われ悔しがる真。
燃え広がる廃屋では真の虚しい叫び声だけが響くだけであった…
(ナレーション:正宗一成)



~スポーツジム~


セーラ「痛っ!」


光太郎「大丈夫かセーラさん?」


セーラ「平気よこのくらい、それにしても驚いたわ。あなたが改造人間だったなんてね…」


光太郎「こっちにも色々と事情があってね、それよりも…」


卓也「みんな、コーヒーを淹れたよ。とりあえずこれでも飲んで気分転換してくれ。」


光太郎たちは再びこのスポーツジムに戻ってきていた。
結局あの後、改造兵士の足取りは完全に途絶えてしまい鬼塚の行方も、それに愛の亡骸も不明であった…
(ナレーション:正宗一成)



卓也「ほら真、お前もコーヒーくらい飲んどけ。研究所の一件以来ろくに食ってないだろ?」


真「いや、いい…こんな時に何も喉を通らないんだ…」


卓也「そんな事言わないで、いざという時動けなかったらどうするんだ!」


卓也に半ば強引にコーヒーを勧められる真。
だがコーヒーカップを受け取った真はそのコーヒーカップを思わず…
(ナレーション:正宗一成)


((ガシャンッ!))


卓也「コーヒーカップが割れた!おい真…大丈夫か!?」


真「ハハ、改造されてからずっとこんな調子さ…
俺はもう普通の人間じゃない。
化け物なんだ…今だって普通にコーヒーカップを持とうとしただけなんだぞ…
それなのに力加減が出来なくて…」


光太郎「真…」



真「クソッ!何故だ!何故なんだ!?
何故俺だけが…俺だけがこんな目に合わなきゃいけないんだ…!?
俺を化け物にしただけじゃなく…
俺と愛の子まで実験材料として狙われなきゃいけないなんて…
俺はもう誰も傷つけたりはしない!
だから…だから…頼む…俺たちを…もう放っておいてくれ…!」


卓也「真…」


卓也は真を慰めようとしたがその言葉が見つからなかった。
知らぬ間に人体を改造され化け物になってしまい、そして愛する者を殺された。
それだけではなく、愛する者が遺してくれた子供まで過酷な運命を課せられてしまった。
こんな哀れな友人に掛けるどう言葉を掛けていいのか卓也にはわからなかった…
(ナレーション:正宗一成)


光太郎「真、こんな時に言うべき事ではないのかもしれないが…
改造されたのはキミだけではない。
この俺もだ、俺もキミと同様にかつてゴルゴムという組織によって改造手術を受けてしまったんだ!」


真「なんだって!?」


卓也「光太郎さん…それはどういう事なんだ?」



光太郎「俺はかつて暗黒結社ゴルゴムによって世紀王ブラックサンに改造されてしまった。
ゴルゴムは俺をヤツらの支配者である次期創世王候補にしようとしていたんだ。
だが、その候補に選ばれたのは俺だけじゃかった…
俺と兄弟同然に育てられた秋月信彦、彼もまた俺と同じく世紀王に改造されたんだ。
ゴルゴムは卑劣な連中だった、生まれたばかりの俺から両親を奪い…
それだけでなく信彦の父、つまり俺にとっては義理の父をいとも簡単に殺したんだ。」


セーラ「ゴルゴム…聞いた事あるわ!
数年前そんな名前の集団が日本で大規模な事件を起こしたって…」


卓也「なんて惨い事を…!」


真「…」


光太郎「事の真相を知った俺はゴルゴムに立ち向かい、そして勝利した!
だが虚しい勝利だった、確かに戦いには勝てた…だが…
俺は親友の信彦を死なせてしまい全てを失った。友も、それに愛する者たちも…」


真「同じだ…俺と…」


真は光太郎の話を聞いて自分と同じ境遇の人間に出会えた気がした。
鬼塚のような自分の快楽でのみ行う殺人鬼などではない…
そう、怪物のような力を持ちながらそれでも人間として生きる光太郎を自分と重ねていたのだ。
(ナレーション:正宗一成)



玲子「光太郎さ~ん!ようやく戻ったわよ!」


光太郎「玲ちゃん!」


そこへ先ほど調査に出掛けていた玲子が戻ってきた。
玲子はさっそく研究所の調査を光太郎たちの前で伝えてみた。
(ナレーション:正宗一成)


玲子「例の研究所の事だけどね。
あそこを支援しているのが大宮財閥の大宮会長と代議士の坂田議員なのよ!」


光太郎「やはり…そういう事か!」


セーラ「大宮と坂田…政財界の大物たちね。けどこの二人がどう関係するの?」


光太郎「この二人は先ほど俺が話したゴルゴムという組織の元メンバーだったんだ。
恐らくヤツらはかつてのゴルゴムの改造手術のノウハウを使いそれを財団の研究所で運用していたんだ!」


玲子「一体どういう事なの?詳しく教えて!」



光太郎「実は真の変身した姿を見てずっと疑問に思っていたんだ。
あのバッタ怪人の姿、あれは俺の仮面ライダーBLACKに変身する直前のバッタ男に似ていると。
もしもだが、俺の改造手術のデータが真に転用されていたのだとしたら…」


真「つまり坂田と大宮ってヤツらは鬼塚に命じてアンタを元にレベル3の改造兵士を生み出したってわけか!」


玲子「それに坂田と大宮はこの3年間、アメリカに渡航していた形跡があったわ!」


セーラ「これは極秘事項だけどCIAも財団の黒幕が日本にいるという情報を掴んでいたの。
けど、さすがに誰かまではわからなかったわ…」


光太郎「まさか財団の黒幕の正体は…」


真「坂田と大宮!そいつらが愛を…クソッ!」


卓也「待て真!どこへ行く気だ!?」


真「決まっている!その坂田と大宮ってヤツらのとこに乗り込んで愛と子供を取り戻してやるんだ!!」



光太郎「ダメだ!一人では危険だ!俺も行く!」


卓也「じゃあ俺も!」


玲子「私も行くわ!」


光太郎「ダメだ、キミたちは危険過ぎる!ここで俺たちが帰ってくるのを待っていてくれ!」


玲子「光太郎さん…」


卓也「でも俺たちだって!」


セーラ「そうね、彼の言う通りよ。
もう事は私たちのような普通の人間じゃ手に負えないレベルになっているわ。
彼らに任せましょう…」


光太郎「セーラ深町、あなたはまだ真の事を…」


セーラ「私はCIAの工作員よ、そう簡単に意志は曲げられない。
けど助けてもらった恩は感じている、だから今は見逃してあげる…
早く行って!真を助けてあげて!!」


光太郎「あぁ、ありがとう!」


事の真相を知った真はバイクに乗り込み敵の本拠地へ向かう。
そして光太郎もまた先に飛び出していった真の後を追った!
(ナレーション:正宗一成)



~屋敷~


坂田「まったく…貴様というヤツは!」


大宮「この無能め!」


鬼塚「うぅ…」


ここは大宮の屋敷。
今この屋敷には坂田と大宮が傷ついて帰ってきた鬼塚を問い詰めていた。
(ナレーション:正宗一成)


坂田「情けない男だ!
あれだけ威勢よく息巻いておきながらこんな無様な醜態を晒すのだからな!」


大宮「しかもこれを見ろ。
お前の所為で貴重なレベル2の改造兵士が一体損失してしまったではないか!」


いきなり罵声を浴びせられる鬼塚、そんな鬼塚の隣には彼を連れ帰った改造兵士の残骸が横たわっていた。
実は命辛々帰投できた鬼塚と改造兵士であったが、
既に仮面ライダーのライダーパンチを喰らっていた改造兵士は、
鬼塚と愛の亡骸を回収して戻ってきたと同時に壊れてしまっていた。
(ナレーション:正宗一成)



坂田「まったく、これなら与えられたプログラムだけを果たしたレベル2の方がよっぽど優秀ではないか!」


鬼塚「ま、待てくれ!もう一度チャンスを!
それに風祭真は手に入らなかったがその子供はこうしてちゃんと…」


大宮「それはレベル2の手柄だ!おまえのではないわ!」


二人から激しく罵られる鬼塚。
そんな鬼塚にある救いの手が差し伸べられるのだが…


??「お待ちください。」


大宮「お前は…!」


坂田「何故ここに?」


??「レベル3の生体サンプルが欲しいとあれほど言っていたじゃないですか。
それにしても…なるほど、レベル3の子供とは…面白いモノを回収してくれたものですね。」


一人の学者風の男が亡骸と化している明日香愛の胎内にいる赤ん坊に興味津々としていた。
鬼塚はこの男に最後のチャンスと思い命乞いをしてみせた。
(ナレーション:正宗一成)



鬼塚「た、頼む!助けてくれ、このままじゃ…!?」


??「…」


男は傷ついた鬼塚とその横にあるレベル2の改造兵士の残骸を見て何を閃いたのか思わずニヤリと不気味に笑ってみせた。
そして…
(ナレーション:正宗一成)


??「なるほど、どうやら生体サンプルはちゃんと届いていたようだ。」


鬼塚「え…?それはどういう…?」


??「キミだよ鬼塚くん。キミこそがレベル3改造兵士の生体サンプルじゃないか!」


鬼塚「ひっ!な、何だ!?そのメスは…!?やめろ!俺の身体に何をする気だ!?」


鬼塚「「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!????????」」


鬼塚に差し出されたのは救いの手ではなく地獄への誘いであった。
メスやあらゆる薬物の詰まった注射を目の当たりにして思わず叫び声を上げる鬼塚。
坂田と大宮もこの学者の狂気には恐怖を感じずにはいられなかった。
(ナレーション:正宗一成)



坂田「まったく、この男のおかげで我々の計画は成り立ってはいるが…」


大宮「うむ、かつてのゴルゴムメンバーの中でもこの男だけは未だに理解できん。
かつて我らと同じゴルゴムメンバーであった望月博士…
遺伝子工学の権威である彼の研究がなければこうも上手くはいかなかっただろう…」


坂田「だが全ては我らの悲願のためだ。多少の事は目を瞑ろうじゃないか…」


望月「フハハハハ!
キミはこれからレベル3を超えてレベル4の改造兵士になるんだ!
そうだ、全ては私が新たに作り出す生命体の創造のために!!
さぁ、鬼塚くん!キミの身体は今以上に進化を果たすだろう!!
だがその時、キミは人間としての原型は留めていはいないだろうがねぇ!!」


鬼塚「「や…やめてくれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」」


大宮の屋敷に響く鬼塚の叫び声…
だがその叫び声も虚しく望月博士による新たな改造手術が行われた。
(ナレーション:正宗一成)




~~~~~~~~~~~~~~~~~~



((ブロロロロロ!))



それから暫くして、二台のバイクが屋敷に近付こうとしていた。
そのバイクとは真と彼を追ってきた光太郎のバイクであった!
(ナレーション:正宗一成)


真「ここが大宮の屋敷か。」


光太郎「あぁ、玲ちゃんの言うには坂田は最近夜な夜な大宮の屋敷に出入りしているらしい。
それに大宮の屋敷の裏には大宮コンツェルンの倉庫がある。
何かを企むならこの場所が一番最適だろう!」


真「待ってろ愛!お前を助け出してこんな研究を始めたヤツらを…」


光太郎「待て真!一人で行くな!何があるのかわからないんだ。単独で動くのは…」



((ドサッ!))


いきなり倒れ込む光太郎、真は光太郎を気絶させたのだ。


光太郎「う…うぅ…」


真「悪いな光太郎さん。これは俺一人の問題なんだ。
俺はここにいるヤツらを全て皆殺しにする、そして俺自身もここで…」


そんな不吉な事を呟きつつ、気絶して横たわる光太郎を置いて真は屋敷に潜入した。
(ナレーション:正宗一成)



真「……不気味なくらい静かだ。何故警備の者が誰もいないんだ?」


屋敷の中は不気味なくらい静まり返っていて、
それに大財閥の家の屋敷だというのに屋敷の中は電灯がひとつも付いていないのでほぼ暗闇に包まれていた。
しかし、奥に進むとたった一部屋だけ灯りの付いた部屋を発見する。
怪しいと思った真はすぐにその部屋に向かおうとするのだが…
(ナレーション:正宗一成)


((グニャッ))


真「何か柔らかいモノを踏んづけたな、何だこれは?」


その踏んだモノを確かめようと下をのぞき込むとそこには…


真「なっ!?人間の死体だと!?」


真が踏んづけてしまったのはなんと人間の死体であった!
それも一体だけではない。
よく見れば屋敷にいたと思われる人間たちの惨殺された死体が、
灯りを点した奥の部屋まで延々と続いているではないか!!
(ナレーション:正宗一成)



「「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!???」」


「「きゃぁぁぁぁぁぁぁ!!???」」


真「な、何だ!この叫び声は!?」


灯りの点した部屋から聞こえてくる呻き声…
真は恐る恐るその部屋を覗いてみた、するとそこには!?
(ナレーション:正宗一成)



「ひぃぃぃぃ!?た、助けてぇぇぇぇぇ!?」


「「私たちが一体何をしたっていうんだ!!???」」


真「お前は鬼塚!?………しかしその姿は一体…?」


オニヅカ「オマエハ…シン…カザマツリシンダナ!」


そこにいたのは変身した鬼塚が…
だがそれだけではない、鬼塚は望月博士の手によりレベル2の兵士のパーツを組み込まれていたのだ!
(ナレーション:正宗一成)



オニヅカ「イダイ…イダイヨォ…カラダジュウガイタイヨォ!
ヤシキニイタレンチュウヲミナゴロシニシテモゼンゼンキブンガハレナイ…ナゼナンダ…?」


真「レベル3の姿に機械を組み込むだなんて…一体誰がこんな事を!?」


オニヅカ「コウナッタノモオマエダ!オマエノセイデオレハコンナメニアッタンダ!」


真「こんな目だと…?」


オニヅカ「ソウダ!オマエガオトナシクシネバコンナメニアワズニスンダノニ!
キズヲオワサレタオレハカイリョウヲウケテレベル2ノカイゾウヘイシノパーツヲツケラレタ!
レベル2トレベル3ノユウゴウ、コレコソガレベル4ダトアイツラハイッテイタ…
ダガレベル4ナンテモウドウデモイイ…
カラダジュウニイタミガヒビクンダァァァァァァァァ!!!!!!!!」


真「ふざけるな!お前がそんな醜い身体になったのも全てはこんなくだらない研究の所為だ!
その所為で俺は愛する者たちを失った!今度は俺の子供まで奪うつもりか!?」


オニヅカ「アレハコロサナイ、ダイジナセイタイサンプルトシテタイセツニホカンスルンダトサ!
ハッハッハッハッハッハ!!」



真「「お前ぇぇぇぇぇ!!!!ガァァァァァァ!!!!!!」」



そして真も怒りに任せて変身!
レベル2とレベル3を合せたレベル4の改造兵士と化したオニヅカ!
その相手を前にシンは倒す事が出来るのだろうか!?
(ナレーション:正宗一成)






……


…………


光太郎「う…うぅ…ん?ここは…そうか!俺は真に気絶させられたんだ!
俺も急いで真の後を追わなきゃ…!」


その頃、外で気絶していた光太郎もやっと目が覚めて屋敷の中に入ろうとしていた。
だが、屋敷に入ろうとする直前で光太郎の脳裏にある声が響いてきた。
(ナレーション:正宗一成)


『………』


光太郎「…声だ…この声は…そうだ!俺を研究所に導いたあの声だ!?」


光太郎は声の導く場所へと誘導されてある場所へ辿り着く。
するとそこは、屋敷の近くにある大宮コンツェルンの巨大な倉庫であった!
(ナレーション:正宗一成)



~倉庫~


「…」


「…!」


光太郎「この倉庫は…中に人がいる!何を話しているんだ?」


南光太郎は改造人間である。
その聴覚は通常の人間の倍あり、壁越しからその声を聞きとれる事など造作も無い事だ。
(ナレーション:正宗一成)



坂田「フフフ、屋敷の中に仕掛けてある監視カメラの映像がこちらにも届いているぞ。
風祭真はまんまと我々の罠に嵌ったようだ、レベル3の改造兵士がレベル4の改造兵士に適う訳がないだろうに!」


大宮「フンッ、たかが試作体の処分如きに屋敷を壊されるワシの身にもなってみろ!
心中穏やかではないわ!」


坂田「ハハハ、そう言うな。本当ならもっと被害が出るはずだったんだ。
それを屋敷とその使用人たちの命だけで犠牲になるなら安いモノだろう。
それに…我々はこれから改造兵士の製品を売りつけるのだ。
今度はもっと豪勢な屋敷を立てられるぞ!」


大宮「売るなら中東辺りがよいな。
あそこの連中ならこの改造兵士たちを高く買ってくれるかもしれんぞ。」



「「ハハハハハハハハハ!」」



光太郎(ヤツらめ…なんという事を企んでいるんだ!
やはりヤツらもゴルゴム、簡単に改心するはずはなかったか…)


二人の密談を一言一句洩らさず聞き取る光太郎はその話を聞き怒りが込み上げてきていた。
しかし話はそれだけでは終わらなかった。
それとは別に実はもうひとつ、彼らが行っていた事が…
(ナレーション:正宗一成)



坂田「それで明日香愛の遺体はどうなった?」


大宮「既に手術は終わり胎児の摘出は完了してある。」


光太郎(なんだって!?)


坂田「執刀したのは望月博士か。…あのマッドサイエンティストめ!
鬼塚の再改造手術を終えたすぐ後に胎児の摘出手術をやってのけるのだから恐れ入る。」


大宮「ヤツはその後どうした?」


坂田「胎児の細胞サンプルだけを持ってそのまま帰って行ったよ。
ここでの仕事は全て終わったから後は自分の研究所で研究の続きをしたいとさ…
なんでも改造兵士を超える生命体である『ネオ・生命体』を創造したいとか言ってたな。」


大宮「それにしても、ゴルゴムメンバーだった頃からあの男の事はよくわからなかった。
昔はまともだったのだがな…」


坂田「麻生とかいう助手を改造手術の実験に利用したという噂も以前あったくらいだ。
あの男ならやりかねんが…まあそんな事はどうでもいい。」


大宮「そうだ、あの男がこれからも我々の利益を生み出してくれるなら好きなだけ援助してやるだけの事よ!」


光太郎(望月…?聞き覚えのない名前だがヤツらの他にもまだゴルゴムメンバーの生き残りがいるのか!?)



その時であった。
部下の一人がやってきて二人の前にある報告を行っていた。
(ナレーション:正宗一成)


部下「失礼します、こちらに摘出した胎児を運びたいのですがよろしいでしょうか?」


大宮「構わん、すぐに持ってこい。」


そして部下は明日香愛と彼女の身体から摘出された胎児を運んできた。


「…」


その胎児は何も知らずにぐっすりと眠っていた。
胎児は普通の人間の赤ん坊と何ら変わりの外見だった、だがひとつだけ特徴的な部分があった。
(ナレーション:正宗一成)



大宮「ほぅ、この子供は…」


坂田「この子供を徹底的に研究して新たな改造兵士の生産に役立たせよう。
だが母体はもう役には立たん、捨てておけ。」


部下「ハッ!」


坂田と大宮は真と愛の子供を新たな改造兵士を生み出すための道具として利用しようとしていた。
そこへ!
(ナレーション:正宗一成)



光太郎「待てぇッー!!」


坂田「な、何だお前は!?」


大宮「お前は何者だ!?」


光太郎「坂田!大宮!お前たち…すっかり俺の事を忘れたようだな!
この俺の顔をしっかり見ろ!そして思い出すんだな!!」


大宮「そういえばお前の顔をどこかで見たような…?」


坂田「うん…?こいつは確か…南光太郎!?ゴルゴムの世紀王に選ばれた男だ!!」


光太郎「そうだ、二人とも久しぶりだな。ようやく俺の顔を思い出したか。」


実は光太郎は坂田と大宮に以前に一度だけ会った事があるのだ。
それは光太郎が親友の秋月信彦と19歳の誕生日を祝っていた際に、
養父である秋月総一郎より彼らを紹介されていた。
その時の光太郎はこの二人がゴルゴムメンバーだったとは知る由もなかったのだが…
(ナレーション:正宗一成)



光太郎「ゴルゴムが滅び、お前たちも行方をくらまして平和になったかと思っていたが…
まさか裏でこんな悪事を働いていたとはな!」


坂田「黙れ!黙らんか!」


大宮「そうだ!全てはお前の所為なんだぞ!」


光太郎「俺の所為…だと…?」


坂田「貴様…我々が単なる金儲けのためだけに動いていると思っていたか?」


大宮「そんなわけがなかろう!
全ては、ゴルゴムメンバーであった時からの悲願!改造手術を受けて完璧な怪人となるためだ!!」


光太郎「なんだと!?」



坂田「4年前、お前の所為でゴルゴムは滅んだが我々ゴルゴムメンバーは生き残る事が出来た。
しかし怪人たちは散り散りにいなくなり、我らに改造手術をしてくださるとお約束してくれた大神官ダロムさまもお前に殺された…」


大宮「我々は絶望に陥った。ゴルゴムあってこその我らなのに…だが我々は諦めなかった!」


坂田「渡米してニューヨークに財団という新たな組織を作り、そして!
かつてのゴルゴムメンバーの研究者である望月博士!
それに臨床免疫工学の風祭博士や鬼塚を使い怪人を作り出す技術を再び得ようとしていたのだ!」


光太郎「だったら何故お前たちは未だに人間のままなんだ!?
既に改造手術を出来る設備は整っているんだろう、それなのに…?」


坂田「それは我々の技術ではまだ改造後に知性を如何に残せるかがそこが問題だった…」


大宮「だがレベル3の改造兵士である風祭真やその子供のおかげでそれもすぐに解決する。
ちなみについでだから教えておいてやろう。
望月博士はゴルゴムにいた当時、大神官さまからお前の改造手術を手伝わされていたのだ。
だからレベル3の改造手術の技術はお前を元に作られている。
言ってみればレベル3の改造兵士たちはお前の弟みたいなものだよ!」


光太郎「そうか、だから真の変身した姿が俺と似ていたわけか…!
かつてのゴルゴムの改造手術の技術を悪用して自分たちが怪人になるための礎にしようとは…
なんという卑劣な真似を!?」



坂田「お前如き若造に何がわかる!
我々はかつてゴルゴムの怪人たちに未来を見た!彼らはとても強く、そして美しい存在だった!」


大宮「ゴルゴムメンバーなら怪人に夢見るのは当然の事!
むしろゴルゴムの世紀王に選ばれておきながらあっさり裏切るお前の方こそどうかしておるわ!!」


光太郎「ふざけるな!お前たちにはわからないのか!?
改造人間となった者の苦しみが…悲しみが!?
その人間の身体がどれだけ尊いモノなのか…何故気づかないんだ!!」


坂田「この人間の身体が尊いだと…?くだらない戯言を…!」


大宮「もはやお前の戯言は聞き飽きたわ、お前の相手はこの者たちだ!」



((ガコンッ!))


((ウィィィィィィ!))


大宮はこの倉庫の巨大な扉を開けるスイッチを押した。
すると巨大な扉から鋼鉄の装甲を身に纏った兵士たちがぞくぞくと押し寄せてきた!
(ナレーション:正宗一成)


光太郎「これは…レベル2の改造兵士たち!?」


坂田「そうだ、既にレベル2の量産は完了していたのだ!」


大宮「ISSの研究所で生産してこちらへの搬送は完了してこの倉庫内に保管していたが、
よかろう!レベル2の改造兵士たちよ!この男を殺せ!!」


改造兵士『…リョウカイ…!』


大宮の命令が下され、無数の改造兵士たちは次々と起動して光太郎に迫ろうとしていた!
(ナレーション:正宗一成)



光太郎「これだけの改造兵士を生産するのにお前たち一体どれだけの人間を犠牲にした!?」


坂田「フンッ、この世界に人間など腐るほどいるからな!」


大宮「材料には事欠かせんわ!」


光太郎「お前たち…自分たちのためにこれだけ多くの人間を犠牲にするとは…許さん!!」


((ギッチギチチ!))


光太郎「変………身!!」


((プシュゥゥゥゥゥ!))


BLACK「「仮面ライダーBLACK!!」」


怒りに燃える光太郎は拳に力を込めて変身、仮面ライダーBLACKとなり無数の改造兵士に挑んで行った!
(ナレーション:正宗一成)



改造兵士『ア゛ァァァァ!』


BLACK「うおおおお!」


((ドガッ!)) ((バキッ!))


大宮「おのれライダー!だが…」


坂田「この隙に我らはこのサンプルを連れて脱出させてもらう…!」


坂田と大宮は改造兵士にライダーの足止めを任せて自分たちはこの場から逃げようとする。
だがそうは許されなかった!
(ナレーション:正宗一成)


BLACK「逃がすものか!バトルホッパー!」


((ブオオオンッ!))


坂田、大宮「「うわぁぁぁぁ!?」」


BLACK「今だ、トゥァッ!」


バトルホッパーの協力でライダーは赤ん坊を救う事に成功する。
だが…
(ナレーション:正宗一成)



BLACK「よし、これで赤ん坊は…うん?こ、この赤ん坊は…!?」


坂田「フフフ、気付いたかライダー!その赤ん坊はレベル3の改造兵士の子供だぞ!」


大宮「そうだ、まともな姿で生まれるはずがないだろう!」


BLACK「…」


仮面ライダーが抱き抱える赤ん坊、それは普通の赤ん坊と見た目は一緒なのだが…
背中には羽が、額にはシンと同じ第三の眼が備わっていた。
(ナレーション:正宗一成)




((ドッガァァァァァァン!))



大宮「な、何事だ!?」


坂田「あぁっ!?お前らは…」


シン「ウ…ウゥ…」


オニヅカ「フハハハハハ!」


そこに乱入者が現れる。
その正体は大宮の屋敷で戦闘を繰り広げていたシンとオニヅカであった!
(ナレーション:正宗一成)



シン「グウゥ…ハッ!アイ…!?」


愛の亡骸を発見して思わず駆け寄ろうとするシン。
だが…


((ドシュッ!))


シン「グガッ!?」


オニヅカ「クハハハハ!ユダンシタナァ!」


しかしオニヅカはそんな真の一瞬の油断を点いて自らに備わっている強靭な刃で彼の身体を貫いた!


BLACK「シン!?」


大宮「どうやらこれで我々の勝利は決まったな!」


坂田「さぁライダー!
大人しくその赤ん坊を渡してこの場から去れ!そうすれば命だけは助けてやろう!!」


大人しく赤ん坊を差し出せば命だけは助けてやる。
坂田たちは仮面ライダーにそう要求する…
だがそんな要求をライダーが鵜呑みするはずがなかった!
(ナレーション:正宗一成)



BLACK「断る!そんな事をするくらいなら死んだ方がマシだ!!」


坂田「下らぬ正義感を振りかざすのはやめるんだな!その赤ん坊を見てみろ!
そんな姿をした赤ん坊がこの世界で普通の人間として生きていけるとでも思っているのか!?」


大宮「そうだ、この赤ん坊は偶然の産物とはいえ我々財団の所有物なんだぞ!
それに仮にこの赤ん坊を人間社会で生かせると思うのか?
絶対に無理だ!必ず人間たちに迫害される、そして我々みたいな者たちに実験材料にされるに決まっている!!」


シン「…」


坂田と大宮の言葉を聞き父親であるシンもまた前にセーラが言っていた言葉を思い出した。


『そんな化け物の姿で生まれるよりはいっその事、一思いに殺した方が…』


その言葉は確かに正しいのかもしれない。
この先、未来において自分と同じく人々の前で醜い姿を晒して生きて行くよりも死なせた方が…
(ナレーション:正宗一成)



BLACK「お前たち…どこまで自分勝手なんだ!」


シン「…!」


坂田「何…?」


大宮「どういう事だ!?」


BLACK「この子にだって生きる権利がある!
愛さんが命懸けで守ったこの小さな命を…この子が化け物だと…?ふざけるな!
そんな身体にさせたお前たちがこの子の未来を奪おうなどと絶対にさせん!!」


シン「…アイ…」


『真…この子をお願い…助けて!』


『たとえ…どんな形で生まれようとも…私と真との結晶…』


『この子…この子さえ残せたら…私は安心して…お願い…この子を…この子を…』


真は思い出していた。
ISSの研究所で死んだ愛の言葉を…
我が子のために命を犠牲にした愛が遺した大事な命…
そしてシンは改めて決意する!
その命を守るのは母親の愛だけではない、父親であるこの俺もだと!!
(ナレーション:正宗一成)



シン「「ウガァァァァァァ!!」」


オニヅカ「コ、コイツ…!マダテイコウスルキカ!?」


坂田「捕まえたレベル3が逃げようとしているぞ!」


大宮「いや、違う!これは…」


坂田「奥に突っ込む気か!やめろ!?あそこは燃料貯蔵庫なんだぞ!引火でもしたら大爆発を起こすぞ!!」


シンは逃げようとしている訳ではなかった。
なんと自らの身体に刺さっていた刃を強引に貫いて脱出し、
倉庫の奥にある燃料貯蔵庫にオニヅカを追い込もうとしていた!
(ナレーション:正宗一成)



BLACK「シン!一人じゃダメだ!俺も行くぞ!」


シン「ダメダ!クルナ!!
アンタハコドモヲツレテニゲテクレ!コイツハオレガイノチニカエテモタオス!!」


BLACK「そんな…子供が…キミには子供がいるんだぞ!」


シン「ソウダ、ダカラ…タオサナクチャイケナインダ…
アノコノミライヲマモルタメニ…ソレニオレハモウコンナカラダニナッテシマッタ…
コレカラサキオレトイッショニイルホウガキケンダ…アノコノタメニモオレハイナイホウガイイ…
ソレニ…アンタナラアノコヲタクセル…オレトオナジカイゾウニンゲンノクルシミガワカルアンタナラ…」


BLACK「なっ…!しかしお前一人ではそいつは倒せないぞ!?」


シン「イインダ…オレハサイショカラココデシヌキダッタンダ…
オレハアイヲマモレナカッタ…ダガコドモダケハ…
コンドコソタイセツナモノヲマモリタ…ダカラ!」


シン「「ウオオオオオオオオ!!!!」」


((ズザザザザザザッ!))


オニヅカ「コイツ…ドコニコンナチカラガ!?
ダメダ…コレデハセイメイエネルギーガタリナイ…ナラバ…!」


シンは自分の力を極限まで引き出してオニヅカを奥に引き込もうとする。
その光景を目の当たりにした坂田と大宮は今の内に脱出を企てようとするが…
(ナレーション:正宗一成)



坂田「付き合ってられるか!こうなれば一度アメリカに戻って…」


大宮「そうだな、既にデータは揃ってある事だしあっちで態勢を立て直すと…」


一目散に逃げようとする二人だがそれは許されなかった。


((ガシッ!))


坂田「何だ!離せ!?」


大宮「オニヅカ!これは一体何の真似だ!?」


オニヅカ「ナンノマネダト?オマエラハカイゾウニンゲンニナリタインダロ?
ナラオレガオマエラヲカイジンニサセテヤルトイッテイルンダ!」


坂田「いや…違う!私たちはこんな化け物になりたいわけじゃない!?」


大宮「そうだ…!かつてゴルゴムで見た怪人たちは知性と強靭な肉体を兼ね備えた完璧なモノだった…!
だがお前は…お前は理性を失ったただの化け物ではないか!?
こんなのは我々が望んだ怪人の姿じゃない!!??」


オニヅカ「ダマレ、ソンナツゴウノイイハナシガアルモノカ!
オレガオマエタチヲトリコンデヤル!サァ、アジワエ!コレガオマエタチノモトメテイタモノダ!!」


「「「うぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?」」」


((ガシャンッ!))


そして分厚い防護扉が閉まり、
坂田と大宮はオニヅカに捕まりシンと一緒に倉庫の奥へと姿を消してしまった…
(ナレーション:正宗一成)



BLACK「行くなシン!まだなんだぞ!
まだ…お前は…この生まれたばかりの子供の名前を…決めてないじゃないか…!」


唯一人、生まれたばかりの赤ん坊を抱き抱えて扉の前で立ち尽くすライダー…
だが、仮面ライダーの前にも既に忍び寄る脅威が押し寄せようとしていたのだ!
(ナレーション:正宗一成)


改造兵士『ギ…ギギ…マッサツ…マッサツセヨ!』


扉の前で立ち尽くす仮面ライダーの背後から先ほどの改造兵士たちが押し寄せてくる。
危うしライダー!?
(ナレーション:正宗一成)



BLACK「…」


BLACK「……」


BLACK「………」


BLACK「やめておけ…」


改造兵士『?』


BLACK「今の俺は…手加減が出来ないんだ!!」


BLACK「「うおおおおおおおお!!!!!!」」


改造兵士『!?』


仮面ライダーは怒りに燃えていた!
このやり場のない怒りが、自分の無力さが、彼の怒りを力に変えていた!!
(ナレーション:正宗一成)



BLACK「「ライダ―――パ―――ンチッ!!」」


((ドガァッ!))


BLACK「「ライダ―――キ―――ック!!」」


((ドゴォッ!))


改造兵士『ギ…ギギ…ヒルムナ…マッサツ!マッサツセヨ!』


BLACK「まだ来るか!お前たちも元は普通の人間…
今こそ俺の力を全て解放し、お前たちを悪の呪縛から解き放ってやる!!」


改造兵士『ガァァァァ!!』


BLACK「「キングストーンフラッシュ!!」」


((ヴィカァァァァァァ!!))


改造兵士『ア…アァァァァァァ…コ、コレデカイホウサレル…』


((ドッカァァァァァァン!))


BLACK「すまない、キミたちも哀れな犠牲者だというのに…
俺はこんな方法でしかキミたちを救う事が出来なかった…」


レベル2の改造兵士軍団を倒した仮面ライダー、だが勝利とは裏腹に素直に喜べずにいた。
そしてライダーは扉をこじ開けようとするのだが…
(ナレーション:正宗一成)



BLACK「くっ…!ダメだ、改造人間の俺ですらこの扉を開けられないなんて…!?」


それもそのはず、実はこの扉は核兵器の爆発でも耐えられるように発注した特別製の扉。
レベル2の改造兵士たちを保管するのだからこれくらい頑丈な設計でなければという坂田たちの思惑があっての事だった。
(ナレーション:正宗一成)


BLACK「このままじゃシンが…
すまない、俺はキミをひとりぼっちにさせてしまうかもしれない…」


扉の頑丈さに半ば諦めた表情を見せ赤ん坊に語りかけるライダー、だがその時…


「「オ…オギャァッ!オギャァッ!」」


BLACK「子供が泣いている…そうか!この子もまた父親のピンチを察しているんだな!」


だが必死に叫ぶ赤ん坊の泣き声を聞き、仮面ライダーは再び立ち上がった!
そして最後の手段に出ようとする、それは…
(ナレーション:正宗一成)



BLACK「聞いてくれ、キングストーン。俺の命よ!
俺はこの過酷な運命を与えられた親子をなんとしても救いたいんだ!
お願いだ…俺に力を…かつて俺がクライシス帝国を倒したあの力をもう一度俺に与えてくれ!!」


仮面ライダーは自らの命の象徴とも言える力の源であるキングストーンに呼びかけていた。
この危機を乗り越えるため、彼はもう一度かつてのあの姿を取り戻そうとしていた!
(ナレーション:正宗一成)


BLACK「頼むキングストーン!
俺はかつて親友の信彦やクライシス50億の民を救えなかった…
だが今度は!いや、今度こそ救いたいんだ!!
この親子を、それに新たなる仮面ライダーシンを!!」


必死にキングストーンに呼びかける光太郎。
その時、不思議な事が起こった!!
(ナレーション:正宗一成)



((パァァァァァ!))


BLACK「こ、これは…この光は!?」


仮面ライダーの体内に埋め込まれたキングストーンが突如光を発した!
その光はライダーの身体中を優しく包むように覆って行くではないか!!
(ナレーション:正宗一成)


BLACK「「うおおおおおおお!!!!!」」


光に包まれた仮面ライダーBLACKは青い透明の液体になると、
そのまま扉の裂け目を通り抜けシンとオニヅカの待つ奥の燃料貯蔵庫へと向かった!
(ナレーション:正宗一成)



~燃料貯蔵庫~


((ドガッ!))


シン「グワァァァァァァァ!?」


オニヅカ「グハハハハ!ザマァナイナ!カザマツリシン!」


シン「ウゥ…」


その頃、奥の燃料貯蔵庫ではシンとオニヅカの死闘が繰り広げられていた。
しかしその戦いはシンの劣勢であった、何故なら…
(ナレーション:正宗一成)



坂田「うわぁぁ…助けてぇ…」


大宮「こんなのは嫌だ…嫌だぁ…」


オニヅカ「フハハハハ!オニアイダゾフタリトモ!
ネンガンノカイゾウニンゲンニナレテヨカッタジャナイカ!」


なんとオニヅカは坂田と大宮を自らの身体に取り入れて彼らの生命力を吸収していた。
その力でシンを窮地に追い込んでいたのだ!
(ナレーション:正宗一成)


シン「グゥゥ!マケルワケニハ…!オマエハココデシヌンダ!オレトイッショニ!」


オニヅカ「イイヤ、シヌノハオマエヒトリダ!」


((ウィィィィ!))


シンに止めを刺すべくオニヅカは腕に備えられたガトリング砲を装填、発射態勢に入った。


オニヅカ「シネ!」


シン「ダ…ダメカ…」


ここまでの戦闘でオニヅカの攻撃で既に何度も傷を負わされたシン…
いくら驚異の回復力を誇る彼でもそれは命に係わる事であった。
シンは最早これまでと覚悟を決め、目を閉じた。
だが、その時!
(ナレーション:正宗一成)



???????「バイオブレード!」


((ズバァッ!))


オニヅカ「グゥォォォ!?ナンダ!オレノガトリングホウガキラレタダト!?」


シン「ナニガ…オコッタンダ…?」


まさに危機一髪というところでオニヅカのガトリング砲が斬り落とされた。
一体誰が破壊したというのか!?
(ナレーション:正宗一成)



バイオライダー「トゥァッ!」


オニヅカ「オ…オマエハ!?」


バイオライダー「俺は怒りの王子、バイオライダー!シン、大丈夫だったか?」


シン「アンタ…コウタロウサンナノカ?ソノスガタハイッタイ…?」


バイオライダー「そんな事よりも今は…」


オニヅカ「ギザマ゛ァァァァ!!」


バイオライダー「こいつを倒す方が先だろ!」


((シュィィィン!))


オニヅカ「コンドハナンダ!?」


バイオライダーの出現に怒り狂うオニヅカはシンとバイオライダーに突進する。
だがそれと同時に、バイオライダーの身体は光に包まれそこから機械のような装甲を纏った一人の戦士が現れた!
(ナレーション:正宗一成)



ロボライダー「俺は怒りの王子、ロボライダー!俺にパワー勝負を挑んだ事を後悔させてやる!!」


オニヅカ「フザケルナァァッ!!」


((ガシィッ!))


((ググ…グググググ!))


オニヅカ「ナ…ン…ダ…ト…!?」


ロボライダー「そんな邪悪なパワーなど、この俺の、太陽の力で得たパワーの敵じゃない!ハアッ!!」


オニヅカ「ウワァァァァ!?」


ロボライダー「喰らえ!ボルティックシューター!!」


オニヅカ「グハァッ!?」


シン「ツ、ツヨイ!コレナラオニヅカヲタオセル!」


確かにバイオライダー、ロボライダーの力は圧倒的で、オニヅカに勝ち目はなかった。
だがオニヅカには最後の秘策があった!
(ナレーション:正宗一成)



オニヅカ「ナメルナ!オレニハ…マダオクノテガアル!」


((ガシャンッ!))


((ガコンッ!))


ロボライダー「何だ…?ヤツの体内から何かが出てこようとしているぞ?」


シン「アレハ…ナンダ?」


オニヅカ「ミロ!オレノタイナイキカントセツゾクシテセイタイエネルギーヲヘンカンスル、
マリキュレーザーダ!!」


((ヴィィィィィ!))


ロボライダー「エネルギチャージが始まった、急がないと俺たちが危ない!」


なんとオニヅカは体内に埋め込まれていたマリキュレーザーという武器のエネルギーチャージを始めた。
もしこれが放たれればこの辺り一帯は焼け野原になってしまう、一体このピンチをどう切り抜けるのか!?
(ナレーション:正宗一成)



シン「コノママジャマズイ…コウタロウサンニゲロ!アンタダケナラニゲラレル!
オレノコドモヲツレテニゲテクレ…ヤツハオレガイノチニカエテモタオス!!」


シンは光太郎にこの場を脱出してくれと頼んだ。
だが光太郎は…
(ナレーション:正宗一成)


ロボライダー「シン、キミは…親のいない子供の寂しさを知らないのか?」


シン「エ…?」


ロボライダー「俺は幼き頃にゴルゴムに両親を殺されてしまった。
しかし俺を我が子同然に育ててくれた秋月の養父や親友の信彦のおかげで何不自由ない生活を送れた。
だが、いつも心のどこかで両親のいない寂しさを常に感じずにはいられなかった…」


シン「コウタロウサン…?」


ロボライダー「シン、俺がここに来たのはキミのためだけじゃない!
俺がここに来たのはキミの子供に俺と同じ両親のいない寂しい想いをさせないためだ!
あの子を守るのは俺じゃない!父親であるお前なんだシン!!」


シン「!?」


先ほどまで死を決意して戦っていたシン…
だが光太郎の言葉を聞いたシンはまだ死ねないとわかった。
あの子のため、まだ名前もない我が子が自分の帰りを待っているのだと!
(ナレーション:正宗一成)



シン「ワカッタヨコウタロウサン、オレハイキル。
イキテアノコヲ、アイガイノチヲカケテノコシタアノコトトモニオレハイキテミセル!」


ロボライダー「そうだシン、キミは生きなきゃいけない!
そのためにもオニヅカ!これ以上お前の好きにはさせん!
今こそ、俺の本当の力を見せてやる!!」


((ヴァァァァァ!!))


オニヅカ「ナ、ナンダ!?ヤツノカラダガコレマデイジョウニヒカリカガヤク…!?
コレハイッタイ…」


ロボライダーの身体がまるで太陽の光のような輝きを放った。
そしてロボライダーの姿から黒いボディに真っ赤な目の戦士が現れたではないか!
(ナレーション:正宗一成)



シン「コウタロウサン…アンタハイッタイ…?」


オニヅカ「キサマ、イッタイナニモノダ!?」


RX「俺は太陽の子、この世に生きとし生ける者全てを守る!仮面ライダーBLACK!RX!!」


そこに現れたのは、かつて異次元より襲来したクライシス帝国を倒した男…
太陽の子、仮面ライダーBLACKRXの姿があった!!
(ナレーション:正宗一成)



RX「オニヅカ!自分の身体を進化させるために大勢の人間を殺し、
それだけでは飽き足らず生まれたばかりの幼い子供の命を奪おうとするなど、この俺が許さん!!」


オニヅカ「ホザケ!スデニエネルギーハジュウデンカンリョウシタ!オマエタチフタリトモミナゴロシダ!!」


オニヅカの言うようにマリキュレーザーのエネルギーチャージは完了しており、いつでも撃てる状態であった。
RXとシンはこれにどう対抗すると言うのか!?
(ナレーション:正宗一成)


RX「リボルケイン!」


しかしRXにも最大の武器があった!
それはRX最大の必殺武器である光の剣、リボルケイン!
これまで幾多のクライシスの怪人たちを葬ってきた最強の武器!
これでマリキュレーザーに挑もうというのだ!!
(ナレーション:正宗一成)



RX「勝負は一瞬、ヤツの武器が放たれる前にこちらがやらねば!」


オニヅカ「アマイゾ!」


((ジャキッ!))


シン「コレハ…ヨケロRX!」


((ドルルルルル!))


なんと先ほどバイオライダーが斬り落としたガトリング砲が攻撃してきた!
(ナレーション:正宗一成)


RX「うわぁっ!遠隔操作が可能だったのか!?」


オニヅカ「ズイブンテコヅラセテクレタナ、シネ!」



シン「コノママデハRXガ…ソウダ!オレモレベル3ノカイゾウヘイシ!ナラバ…」


((キィィィィ!))


オニヅカ「ナ、ナンダコレハ!?」


シン「オマエニセイシンカンノウノテレパシーヲオクッテイルンダ!サァ、RX!イマダ!!」


RX「よし、トゥァッ!!」


((ドシュッ!))


オニヅカ「グフッ!?」


シンのテレパシーによる援護もあり、RXのリボルケインがオニヅカのマリキュレーザーに当られる!
その所為で既にエネルギーチャージを終えていたマリキュレーザーのエネルギーはオニヅカの体内で逆流を起こした!
(ナレーション:正宗一成)



オニヅカ「ウギャァァァァ!?カラダガ…ヤケルヨウニ…アツィィィィ!?」


坂田「まずい…このままでは私たちも…」


大宮「頼む…誰か助けてくれ!?」


RXのリボルケインの破壊力は凄まじくこのままでは三人一緒に共倒れは間違いなかった。
必死に命乞いをする三人、その時であった!
(ナレーション:正宗一成)


((シュタッ!))


坂田「おおっ!誰だか知らんが助けに来てくれたか!」


大宮「待て…こいつは!」


オニヅカ「オ、オマエ…」


一人の男が彼らの目の前に現れた、だがその男は決して彼らを助けるためではなかった!
(ナレーション:正宗一成)



シン「ウゥゥゥ!」


坂田「ひっ…ひぃっ!?」


大宮「か、風祭真…この際お前でもいい!頼む助けてくれ!鬼塚に取り込まれてしまった所為で動けんのだ!」


シンを目の前にして必死に命乞いをする坂田と大宮、だがシンは…


シン「コノオレニイノチゴイダト…?オマエタチハオレニナニヲシタカワカッテイルノカ?」


坂田「女の事ならなんとかしてやる!そうだ!改造手術を受けさせよう!」


大宮「うむ、幸い彼女の肉体はまだ存在してある!それならなんとかなるかもしれん!」


オニヅカ「オイ、ヤメロオマエタチ!」



シン「アイヲカイゾウシュジュツサセルダト!?
コノオレトオナジク、ミニクイカラダニダト…?フザケルナァァァァ!!」


坂田「ひぃっ!?」


大宮「じゃあ…一体どうしたらいいんだ!?」


シン「オマエタチガイキテイレバオレノコドモハナンドモイノチヲネラワレルダロウ!
オレガデキルコトハタダヒトツ、オマエタチヲコノテデコロスコトダ!!」


((ドバッッ!))


坂田、大宮「「うぎゃぁぁぁぁぁぁ!!??」」


シンのハイバイブ・ネイルが坂田と大宮の首を切り裂いた!
その瞬間、二人の胴体から首が落とされその首はまるでゴミの如く捨てられた…
(ナレーション:正宗一成)



オニヅカ「ア、アァ…」


シン「ツギハ…オマエダ!!」


オニヅカ「マ、マテ…!ヤメテクレ!?」


((ガキィンッ!))


そしてシンの体内に備わっているスパイン・カッターが鋭利な刃を立てた!


シン「「ウォォォォォォォ!!」」


((ズバァッ!))


オニヅカ「「グゥァァァァァァ!!??」」


シンのスパイン・カッターは縦一直にオニヅカの身体を切り裂いた!
(ナレーション:正宗一成)



シン「オワッタ、コレデナニモカモ…」


RX「シン…」


燃え盛る炎の中、二人の戦士がこの戦いにようやく決着をつけたと思った。
だが…


((ガシッ!))


シン「ナニ!?」


オニヅカ「コ…コウナレバ…オ…マエ…モ…ミチヅレダ…」


RX「シン!?」


なんとオニヅカは最期の力を振り絞りシンの身体を拘束したのだ。
必死に抜け出そうとするシンだがオニヅカの執念…いや怨念は凄まじく困難に近かった!
(ナレーション:正宗一成)



RX「おのれ…オニヅカ!待ってろシン!今助けてやるからな!…ムッ!」


((ゴオオオオオオ!!))


シン「ダメダ、ホノオガツヨスギル!?」


既に燃え盛る燃料貯蔵庫、脱出困難に近いこの状況だが次の瞬間…


((ドガァァァァァァァァァァン!!))


倉庫は爆破してしまう。
この爆発の所為で証拠は全て隠滅され、事件の真相は極一部の人間にしか知らされないまま事件は闇に葬られた…
(ナレーション:正宗一成)



~その夜~


「…」


この爆発した倉庫を遠くから見つめる一人の男の姿があった…
それはかつてシンに殺されたはずのISSの所長である氷室だった!
(ナレーション:正宗一成)


氷室「恐らくこの事件の関係者は殆どがあの爆発で死んだはずだ。
レベル3の改造兵士の唯一の弱点、それは生物であるために炎のような超高温に弱い事。
この爆発なら風祭真、ヤツも生きてはいないだろう。
これでこの事件は全て闇に葬られた。勿論かつての私の失態も一緒にな…」


氷室「風祭真はまさか夢にも思わなかったろう、この私もまた実はレベル2の改造兵士であったなどと…」


そう言うと氷室はかつてシンにやられた傷痕を晒してみる。
するとそこにはなんと機械の部品が!
(ナレーション:正宗一成)



氷室「黒幕である坂田と大宮はこれで死んだ。
後は私が組織のトップとして君臨すればいい…
そうだ、これを機に財団の名前も変えてみようか。
新しい名前は…そうだな、財団『X』というのはどうだろうか?」


そんな事を呟きながら氷室は夜の街へと姿を消していった。
ちなみに後年、氷室が新たに組織した財団『X』は21世紀の世において新たな仮面ライダーたちと幾度と戦う事になる…
(ナレーション:正宗一成)



―――

―――――

―――――――



それから月日は流れた…
(ナレーション:正宗一成)



<一ヶ月後>


卓也「じゃあ車に気を付けて行ってくるんだぞ!」


セーラ「そうよ、何かあったらすぐに連絡しなさい。」


そこには卓也とセーラの姿があった。
二人は、幼い男の子に注意を促していた。するとそこに父親らしき男の姿が…
(ナレーション:正宗一成)



真「二人とも大袈裟だな、大丈夫だよ。俺が付いているんだし!なぁ、新!」


新「うん、パパ!」


そこにいたのは笑顔溢れる風祭真、それに『新』と呼ばれる幼い子供の姿があった。
(ナレーション:正宗一成)


真「じゃあ行ってくるよ。」


新「いってきま~す!」


卓也「おうっ!気を付けてな!」


セーラ「本当に気を付けるのよ!」


二人を見送る卓也とセーラ、
真たちの姿が見えなくなったところで二人は一ヶ月前のあの日の出来事を語り始めた。
(ナレーション:正宗一成)



卓也「ふぅ、行ってくれたか。あの事件から一ヶ月が過ぎたんだよな。
それにしても…真のヤツは本当に何も覚えてないのか?」


セーラ「間違いないわ、真はあの日…記憶喪失になってしまったのよ。」


それは一ヶ月前のあの日、光太郎と真が大宮の屋敷に乗り込んでいった日に夜の事であった。
一台の赤い車が卓也たちの前に現れ真と明日香愛の亡骸を、それに赤ん坊を運んできた。
玲子はこの車を『ライドロン』と呼んでいたが二人にはその車が何なのかわからなかった…
そして真は目が覚めると記憶を失っていた。
それも何故か改造手術を受けてから今までのあの禍々しい記憶を全て失っていた。
(ナレーション:正宗一成)



卓也「結局あの後光太郎さんはいなくなってそれを追うように玲子さんも…」


セーラ「残った私たちは真の介抱をしたけど結局彼の記憶は戻らなかった。
けどこれでよかったのかもしれないわね。」


卓也「あぁ、あんな嫌な記憶は忘れちまった方が本人たちのためさ!それに新も…」


セーラ「あの赤ちゃんがわずか一ヶ月であそこまで大きく、そろそろ人目に付く頃よ…
色々と面倒が起こる前に出来るだけ人から遠ざけないといけないわ。」


卓也「アンタ…意外と世話好きだよな。」


セーラ「バカ言わないで!これは…そう、罪滅ぼしよ。あの父子から母親を奪った私なりのね…」


そう呟きながら二人は真たち親子を見送った、そして真たち親子が向かった先は…
(ナレーション:正宗一成)



~墓地~


二人が来たのはとある墓地、そこにはある二つの墓標があった。
そこに刻まれた名前は…


[風祭大門]


[明日香愛]


真の父親である風祭大門と恋人であった明日香愛の二人の人間の墓標であった。
(ナレーション:正宗一成)


真「ほら、お前のお母さんとお爺ちゃんのお墓だよ。ちゃんとお参りするんだよ。」


新「うん!」


真「二人とも、俺が目を覚ましたら急に死んでいて驚いたよ。
最初の頃は寂しくて仕方がなかった…
だが今は卓也やセーラさん、それにこの子がいる!
俺は新を守ってみせる、だから安心して安らかに眠っていてくれ…」


真は二人の墓の前で息子の新を守ると誓いを立てる。
二人が何故亡くなったのか、その理由を卓也たちに聞いても二人は交通事故で亡くなったと言うが…
真はそれは嘘だと何故かわかっていた。
だがそれ以上は聞こうとしなかった、今はこの子を、愛する人が遺した息子を守ろうとただそれだけを想っていた。
(ナレーション:正宗一成)



新「あれ?パパ!僕たちの他にも誰か来るよ!」


真「本当だ、あなたたちは一体…?」


光太郎「……」


玲子「やっぱり覚えてないのね、私たちの事…」


そこに現れたのは光太郎と玲子であった。
光太郎は真たち親子を見てあの日の事を思い出していた。
一ケ月前、あの死闘を繰り広げた日の事を…
(ナレーション:正宗一成)



<一ヶ月前>


オニヅカ「「グゥォォォォォ!!」」


シン「ウワァァァァァァ!?」


RX「シン!!」


叫び声を上げるシン、その時であった!


『………』


オニヅカ「………?」


RX、シン、オニヅカの脳裏に何か暖かい声が聴こえてきた。
その声を聴いたオニヅカはシンをそっと放すと身体に限界を来し爆発した。
(ナレーション:正宗一成)



RX「これは一体…?」


((ブオオオン!))


そこに駆けつけた1台の車が、ライドロンである。
ライドロンには先ほどRXがあの頑丈な扉に挑む際に車内に預けた赤ん坊がいた。
RXは赤ん坊の額にある第三の眼に注目する、なんと発光していた!
(ナレーション:正宗一成)


RX「第三の眼が光っている!まさか…」


RXは急ぎ、シンとそれに明日香愛の遺体をライドロンに乗せて脱出させた。
(ナレーション:正宗一成)



光太郎(それから俺は一ヶ月かけてこの周囲にある坂田と大宮が遺した施設を潰した。
改造兵士の量産はこれで阻止したはずだが…)


真「失礼ですがあなたたちは一体…?」


玲子「え~と…私たちも生前風祭博士のお世話になった者でして…それで墓参りにきたんです!」


真「そうでしたか、それは失礼しました。父もきっと喜びますよ!」


新「…」


光太郎「坊や、俺の顔をジッと見てどうかしたのかい?」


新「ぼく、おにいさんといぜんどこかであったきがするんだ。
けどおもいだせないの、いったいどこであったんだろ?」


真「そういえば俺も以前あなたとどこかで会った気が…?」


光太郎「それはきっと…夢の中でじゃないかな。」


新「ゆめのなか…?」


真「それはどういう…」


光太郎「あぁ、きっとキミたちが見ていた夢の中で俺たちは会っていたんだよ…」


真「ハハ、面白い事を言いますね。けどたぶんそうかも…
よければ今度はうちに遊びに来てください。俺も新も改めて話がしたいんです。」


光太郎「ハイ、いずれまた会いましょう!」


それから二人と別れた光太郎と玲子。
そして光太郎は遠くから真たち親子を見つめながらバイクに乗り込んだ。
(ナレーション:正宗一成)



玲子「光太郎さん、もう行っちゃうの?」


光太郎「あぁ、まだ事件は終わっちゃいない。
あと一人、今回の事件の関係者である望月博士。彼の居所を探さないといけないからね!」


玲子「今度はちゃんと帰ってきなさいよ。
私だけじゃなく霞のジョーや茂くんたちもあなたの帰りを待っているんだからね!」


光太郎「わかってるよ!じゃあな玲ちゃん!」


((ブオオオオ!))


光太郎はバイクに乗り込むと墓地を後にして再び旅に出た。
この事件の最後の関係者である望月博士を探すために…
そして光太郎はこの事件を振り返り想った、
自分を導いたあの不思議な声が誰なのかやっとわかったからだ。
(ナレーション:正宗一成)



光太郎「俺をこの事件に導いたのは、新…キミだったんだな!
まだ生まれてすらいなかったキミだが既に不思議な力が備わっていた。
その力を使い、俺を導いた!
それは恐らく父と母を救うために…」


そう、この事件のために光太郎を導いた声の正体は生まれる前の新であった!
新のテレパシーを聞き取れるのはレベル3の改造兵士である真と鬼塚、
彼らの改造手術の元となった光太郎だからこそ感じる事が出来たのだ!
(ナレーション:正宗一成)


光太郎「それに真、俺は出来れば彼を仮面ライダーの仲間にしたかった。
だが、今の彼は守らなければいけない家族がある。
そんな彼を戦いに導かせるわけにはいかない。
………さらば、風祭真……いや!真・仮面ライダー!!」


こうして南光太郎の活躍により今回の事件は解決した。
風祭親子がこの先どうなるのか、それはまだ誰にもわからない…
だが光太郎は確信していた。彼らにはきっと幸せな未来が待っていると!
この親子の平和を二度と踏み躙ってはならない!
戦え!仮面ライダーBLACKRX!!
(ナレーション:正宗一成)


南光太郎vs真・仮面ライダー 【完】



エピローグ


~???~


望月「…」


ここはとある研究所、そこにある巨大な生体プールに浮かぶ奇妙な人の形を見つめながら望月博士は新聞を読んでいた。
その記事にはこう掲載されていた。
(ナレーション:正宗一成)


[大宮コンツェルンの倉庫で謎の爆破事故!あれから一ヶ月、事件の詳細はいまだ不明!?]


望月「これで金蔓は絶たれたか、まあいい…
財団からの予算なんてもう必要ないのだからな。既にこの子は完成間近だ!
なぁ、ドラス!お前は進化した究極のネオ・生命体だ!
人間を改造して作られた改造兵士なんて物の数でもない、早く生まれた姿を私に見せておくれ!!」


新聞記事を投げ捨て生体プールに向かってそう叫ぶ望月博士。
そして生体プールは異様な光を見せ、そのプールの中から一言こう呟やかれた…


『パパ…』


それはまるで父親に甘える小さな子供みたいな声でもあった。
そして同じ頃…!
(ナレーション:正宗一成)



~森林~


ここは人里離れた森林、その奥にある巨木の中で一人の青年が静かに眠り続けていた。


「……」


「………!」


「…………俺を呼ぶのは誰だ…?」


眠り続ける青年の脳裏に誰かの声が響いてきた。
だがそれでも青年は眠り続ける、だがやがて青年はこの深い眠りから覚めるだろう。
それは彼にとってこれから始まる長い戦いでもあるのだから…!
彼の名は麻生勝、いずれドラスと呼ばれるネオ・生命体と戦い宿命を背負った男だ!!
(ナレーション:正宗一成)



~終~

これで終わりです。

真の子供の名前はSICSAGAの設定から、ですがSICの話と繋がるかどうかは読んだ方の感想次第…

一応このssでは真親子をハッピーエンドで終らせたかったので出来れば繋がらない方がいいのかも。

それとエピローグですがもし続編やるなら南光太郎vs仮面ライダーZOをとか構想を考えたり…

ZOの望月博士がゴルゴムメンバーだという設定は作者が考えたオリジナルの設定ではなく
仮面ライダー 蘇る仮面伝説!という携帯電話用ゲーム作品からの流用です。

ではこれで本当に終わりです、それじゃ長々とありがとうございました。


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