兜甲児「世の中には自分に似た奴が」剣鉄也「3人いるとか」宇門大介「その1で」 (488)


・このSSはスパ厨成分が多分に含まれております。
・時代はリアルロボットよりスーパーロボットだよねという方にお勧め(ウソです)
・一応クロスオーバー作品です、また両者を馬鹿にしたり中傷するような作品ではありません。
・設定はアニメ、ゲーム、漫画から矛盾なきようゴタ混ぜになっております。
・もしそれでも矛盾している箇所がありましたら笑って見逃してください。

それでじゃ、どうぞ。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1403472394

画面の前の皆様は、"スーパーロボット"という単語を耳にした事があるだろうか?



―――曰く、摩訶不思議な超エネルギーで動くロボットの通称。
―――曰く、鋼のボディに人の頭脳、正義の鉄槌で悪を砕くメカ。
―――曰く、人類にとっての唯一無二の希望。
―――曰く、子供の夢とロマンを一身に受けるカリスマ。



古くは某ペダン星人が造った宇宙ロボットから……え、正義では無い?これは失敬。

ならば、我々人類にとっての「正義のスーパーロボット」の元祖といえば。

やはり、"彼等"であろうか―――。


―――東京。



「ロケット―――」



「―――パアアアアアァァァンチッ!!!」



ドゴオオオオオオォォォン!!



機械獣「ガオオオオオオオオッ!?」



―――チュドオオオオオオム!!





鉄仮面1「あ、あしゅら様……!」


鉄仮面2「再生機械獣軍団、壊滅しました……痛っ!?」



あしゅら男爵「「報告せんでもここから見えるわ戯けめ!!」」

あしゅら男爵「「おのれ……おのれええええぇぇぇぇぇぃ!」」ギリギリギリ……!









あしゅら男爵「「―――兜甲児め!!マジンガーZめえええええええええ!!」」




―――空に聳える鉄の城。

スーパーロボット、"マジンガーZ"とそのパイロット……"兜甲児"。



甲児「……執念は見上げたモンだけどよ、いい加減諦めってのも肝心だと思うぜあしゅらよぉ……」


あしゅら男爵『『ええーい!黙れ黙れ兜甲児!次だ!次こそ最強の機械獣を携え、必ず貴様とマジンガーを血祭りに上げてやる!!』』ビー!ザザー!!



鉄仮面1『ちょっ……あしゅら様!スピーカーを引っ張らないで下さいよ!!』ビー!






甲児「毎度毎度、その場の勢いだけはすげーんだけどなぁ……」



チラリと甲児が横目を向けると。



機械獣軍団(元)「………………プシュウウウウウウウ!」シーン



甲児「結果が伴わねーと唯の徒労だぜあしゅらさんよ!……第一、」

















甲児「―――"Dr.ヘル"はもう居ないってえのによ……」ボソッ





あしゅら男爵「――――――、そうよ……」

あしゅら男爵「「Dr.ヘルは死んだ!ブロッケン伯爵もピグマン子爵も!!」」

あしゅら男爵「「―――貴様に殺されたのだ、兜甲児よ!!」」





甲児「…………、」




あしゅら男爵「「"あの時"……海底要塞ブードで貴様に単身特攻した時、私の肉体は爆風に巻き込まれ……その場で死んだと錯覚した」」

あしゅら男爵「「だが、気づけば私は重傷を負いつつも生き延びていたのだ」」

あしゅら男爵「「傷が癒え、Dr.ヘルの元に馳せ参じようとした時には、最早何もかもが手遅れであった」」

あしゅら男爵「「残っているのは死に損ねたこの身と数少ない機械獣軍団と極少数の鉄仮面兵士……だが、それがどうした!!」」

あしゅら男爵「「このままおめおめと引き下がってしまってはあの世のDr.ヘル様達に申し訳が立たぬわ!!」」

あしゅら男爵「「生きている限り何度でも……何度でも私はお前達マジンガーファミリーに挑戦してくれる!!」」

あしゅら男爵「「アイ・シャル・リターンというやつだ!!」」










鉄仮面1「(あしゅら様、それ作品が違います……)」

鉄仮面2「(今の子達解るのかねえ……?)」





あしゅら男爵「「何をぶつくさ呟いておる!鉄仮面共!直ちに飛行要塞グールを後退させるのだ!!」」


鉄仮面1「は……ははっ!!」


甲児「―――!逃げるかあしゅら……!!」



甲児はすぐさまマジンガーの腕をグールに向けようとして。



甲児「………………」


甲児「…………止めた」



何故だろうか。
この場は見逃してやってもいいか、という気持ちになり腕を下ろした。





甲児「どの道スクランダーが修理中で追いかけたくても無理だしな……」



甲児「―――さて、鉄也さん達は……」



―――一方その頃。
―――富士山麓、光子力研究所近郊。





「マジンガアアアアアァァァァ―――」

「―――ブレエエエェェェェド!!」



シュパァァァァァァァン!!!



戦闘獣「ギャアアアアアアアッス!!??」



―――チュドオオオオオン!!!








???「ぐぬ……ぐぬぬぬぬぬぬっ!!」

???「おのれ……おのれ剣鉄也め!!おのれグレートマジンガーめ!!」





―――君と一緒に悪を討つ!必殺パワー、サンダーブレーク!!

偉大なる勇者、"グレートマジンガー"……操るは戦闘のプロ、"剣鉄也"。



鉄也「……大都市に軍団を放ち、俺達を分断させた上で本命は研究所の強襲」

鉄也「中々見事な作戦だったが、時期と相手が悪かったなゴーゴン大公!」

鉄也「素人なら引っかかったろうが、戦いのプロである俺達には通用しないぜ?」

鉄也「オマケに手勢も生粋の戦闘獣ならまだしも再生させた粗悪品なら尚更だ……貴様、まだミケーネに未練があるのか?」





ゴーゴン大公「ええ~い黙れ黙れ!そのミケーネを滅ぼしたのは何処の誰だ!!」

ゴーゴン大公「地獄の帝王……暗黒大将軍……ミケーネ七大将軍達……アルゴス長官、ヤヌス公爵……栄光の我がミケーネ帝国は最早見る影も無い!!」

ゴーゴン大公「俺自身も貴様との戦いで半身を失う事となった……」



鉄也「…………、」





ゴーゴン大公「―――だが、ワシは完全には死んではおらんかった!!」

ゴーゴン大公「同じく生きていたあしゅら男爵めに救われ、新たな身体を作り上げると同時に、残ったミケーネの残党と共に選んだのだ……」

ゴーゴン大公「ミケーネ帝国の復興と、その障害となるマジンガー共の抹殺をな!!」



鉄也「ふん。見上げた忠誠心だが、復興を目指す同志は今やほぼ全てガラクタ同然だぜ?後は貴様だけだ。……悪いが二度目は無いぞ、ゴーゴン」


ゴーゴン「―――は。……馬鹿め!!!!」





―――カカッ!!



鉄也「!?……目暗ましか、小癪なマネをっ!!」



鉄也は手で光を防ぎつつ、ミサイルのボタンへ手を伸ばした。
発射されたミサイルは真っ直ぐゴーゴンの居た地点へと着弾したが……。
光が収束した後の地点には、ミサイルの跡のみで肝心のゴーゴンの姿は霧のように消えていた。
……だが。






ゴーゴン大公「剣鉄也よ!俺は諦めんぞ!!必ず貴様とグレートマジンガーを地獄への手土産にしてくれるからな……ヌハハハハハハハ!!」





富士山麓の風に紛れ、ゴーゴンの呪詛とも呼べる笑い声が木霊した。





鉄也「……チッ。俺とした事が……」

鉄也「過ぎた事は仕方ない。光子力研究所は無事だったんだ、良しとするか……」

鉄也「(次は絶対に逃がさんぞ、ゴーゴン……!)」

鉄也「ッと、それよりも……大介さんの方は無事か?」




―――関東近海。





「反重力―――」

「―――ストォォォォォォォォォォム!!」



ゴオオオオオオオッ!!



ベガ獣「ガオオオオオオオンッ!?!?」



―――ドドオォォォォォォォン!!!



???「……チィッ!矢張り戦闘用のベガ獣でなければこんなものか!!」

???「だがよもや……この星に再び飛来しているとは思わなんだぞ、グレンダイザー……いやさ、デューク・フリード!!」




―――友と誓ったこの平和!護れ人間の星、皆の地球!!

フリード星の守り神、"グレンダイザー"……搭乗するは王子"デューク・フリード"こと"宇門大介"。



大介「それはこちらの台詞だ。もうベガ大王もベガ星連合軍も何処にも存在しないというのに、未だその名を担ぎ出そうというのか?」






大介「―――"バレンドス親衛隊長"……いや、もう親衛隊長などと呼ぶべきでは無いな……!」





バレンドス「黙れ、デューク・フリード!!貴様と兜甲児の所為でベガ星連合軍内で成り上がろうとした俺の人生設計が全てパーだ!!」

バレンドス「……だが、運命の神というのは粋な計らいをするものだ。マザーバーンでの爆砕から私を救い出し、マジンガー共に対する復讐の場まで設けてくれたのだからな」



大介「(東京に現れたDr.ヘルの残党とミケーネの残党達の事か……?)」

大介「……その甘言に乗って態々旧式のベガ獣まで引っ張り出してきたというのか……哀れだな」

大介「僕はベガ大王の所業を許した訳では断じてないが敢えて言おう……ベガ星連合軍の誇りすら失ったか、バレンドス!」





バレンドス「……!だ、黙れ黙れ!そうさせたのは一体誰だ!」

バレンドス「ミニフォー部隊、全機出げ……!」


ベガ兵「―――バレンドス様!」


バレンドス「何だ!?……緊急通信だと……?」

バレンドス「……!!あしゅらとゴーゴンめ、しくじりおったか!」



バレンドス『デューク・フリードよ!勝負はひとまずお預けだ……。マザーバーン、急速発進!!』





大介「―――!?させんぞ―――!!」


大介「―――……!!」


大介「―――逃げられた、か……」



ハーケンを構えた時には、既にマザーバーンは小さな光点となっていた。
追う事も出来たが、それよりも今は襲われた街と甲児君達の安否が気になった。



大介「(二人の事だ、問題は無いと思うが……)」




機体を反転させ、街へと向かう際、大介はふと思った。
Dr.ヘル、ミケーネ帝国、そしてベガ星連合軍の残党。
三者が結託し、自分が地球へと再び赴いたこのタイミングで動き出した。


果たしてこれは偶然であるのか、それとも……。



他に、何かが起こる前触れであるというのだろうか。
解らなかった、この時はまだ何も。

プロローグ終了。

朝ごはん食べたら第1章を投下します。

……最近グレン参戦してくんないなぁ……。

すいませんすいません。続き投下しますです。

>>地獄の帝王×
>>闇の帝王○

……。
イヤーッ!?サヨナラ!!
脳内保管でオネガイシマス……。

決着はつかないままでしたが、行方不明扱いとなっております。後でもう少し詳しくやります故。

>>ゲッター
???「今はまだ俺たちが出会う時では無い……」




―――甲……君……。

―――……児……。

―――……甲……児……。

―――甲児……君……。



甲児「―――う?」



―――甲児君……!

―――起きるんだ、甲児君……!!






甲児「ん……ふあ……あああ……!」



自分を呼ぶ声に引き寄せられるようにして目が覚めた。
この声は鉄也さんだろうか。
それにしてもおかしいな、自分はいつ頃寝入ってたんだろうか。

昨日はあしゅら達を退けて、皆で光子力研究所でミーティングをして。
それから、せわし博士やのっそり博士が試したい研究があるとか何とか言ってて。
それから……。





甲児「(それから……あれ?どうしたんだっけか?)」



まあいいか。
覚えて無いなら大した事じゃなさそうだし。
目がさえたら目の前の鉄也さんに聞けば良い事だろうし。
目の前の……そう、目の前……。





甲児「(―――うん?)」


グレートマジンガー「―――甲児君……」



寝ぼけてるのかな、俺。
鉄也さんの声がするのに、目の前にグレートマジンガーが見えてる。
……コクピットに入ったまま寝ちまったのかな?

だったらパイルダーのキャノピーを開かないと……あれ?

……キャノピーが、開かないな……。

それなら通信機のボタン……押せないな。

いや、そもそも。
この俺が動かしてる腕、これ一体誰の手だ?
黒光りする光沢でともすれば飛ばせそうな。


言うまでも無い、これはマジンガーZの、俺の半身の腕だ。

……それがどうして、俺の意のままに動かせるのだろう。
コクピットに乗っているからある程度は当然なんだけど、その、なんか……。

触ってる感覚があるというかそれがどうも生身の柔らかさじゃなくって、どうも硬いというか、俺の腕ってここまで硬くないぞっていうか感触が最早超合金Zめいてるというかこれもう完全に超合金Zだろっていうぐらいに硬くてもう何言ってるんだか俺もう解らないやそういえばシローとさやかさんとボスと弓先生は何処へというか周辺が見知らぬ森の中っていうか―――。





―――サンダー!!
―――ブレーク!!



甲児「しびれびばばばばばばば!!!???」


グレートマジンガー「―――起きたか、甲児君?」


甲児「て、て、て、鉄也さん!!アンタ何考えてんだ!生身の人間にサンダー……ブレーク……なん、て……」


偶々近くにあった水溜り。
そこに映った自分の姿は、紛れも無い。





マジンガーZ「………………、」

マジンガーZ「………………?」クビヒネリ

マジンガーZ「…………」ペタペタ



感覚は、ある。
ひんやりしてる、っていうか硬い。
ほっぺたを抓ろうとして見た。
駄目だ、硬い。





マジンガーZ「こ、こ、こ、こ、こ、……」



どうやら自覚しなければならないようだ。
目の前のグレートも通った道らしく超合金ニューZの額に汗を浮かべつつも頷いた。



マジンガーZ(甲児)「こりゃ、一体なんだああああああああああああああああ……!!」







>なんだあぁぁぁぁぁ……。

>>なんだあぁぁぁぁぁ……。

>>>なんだ……ぁぁぁぁ……。





グレートマジンガー(鉄也)「―――落ち着いたか、甲児君」


甲児「て、鉄也さん……一体どうしてこんな……」ガクガク


鉄也「知らん。俺も目が覚めたらこうなっていたんだ―――しかもだ」



そう言って鉄也=グレートマジンガーは直ぐ傍にあった大木を指差した。
背比べしてみるまでも無く一目瞭然。
枝葉は甲児達の目線の遥か上に群生しており、どう考えても通常のZの全長との縮尺がおかしすぎた。
しかも、この木だけが特別では無いようで。



甲児「……?って、これ、もしかしてとんでもなくバカでかい木とかじゃなくて……」








甲児「―――俺達が"縮んだ"だけええええええええ!?」






???「どうやら、そうみたいなんだ……」



甲児「?―――うおあっ!?ダ、ダイザー……じゃない!もしかして……」


グレンダイザー(大介)「そう、僕だよ。甲児君」


甲児「だ、大介さん……」



頭がクラクラしてきた。
一体全体何がどうなってこうなったんだ。
そこらに生えてる木よりも遥かに小さいマジンガーって一体何だ。
神とか悪魔とか最早そういう問題じゃない。
鉄の城じゃなくてこれじゃいい所犬小屋とかその辺りが精々だ。

お、おじいちゃんや父さん達に何て言えばいいんだ……。





甲児「て、敵の新兵器とか……?」


大介「……始めは僕もそう思ったんだが」



そう言葉を区切ると、大介はグレンダイザーである自分の手を落ち葉が固まった周辺へと向けた。



大介「―――ふんっ!!」



すると手の甲の穴から光り輝く光線が発射され、瞬く間に落ち葉は消滅した。
グレンダイザーの武装の一つ、"ハンドビーム"である。


大介「鉄也君もそうだが、このサイズになっても武装はほぼ全て使用可能みたいだ……敵の罠にしては意図が読めない」




大介「鉄也君もそうだが、このサイズになっても武装はほぼ全て使用可能みたいだ……敵の罠にしては意図が読めない」


甲児「(そういえば、先刻サンダーブレークをお見舞いされたっけ……)」


するってえと、俺(マジンガーZ)も……。

考えながら瞳の方に力をこめた。
そして。



"バシュン!!"



甲児「ううわっ!?」



目から出た光線が先程のハンドビームと同じように落ち葉を消滅させた。
しかも、威力はダイザーのそれ以上に。





甲児「(こ、光子力ビーム……マジかよ)」


大介「気をつけるんだ甲児君。先刻のハンドビームはかなり手加減した物だから、ああなった。……もし、フル出力で放とうとすれば」

大介「サイズの差なんて関係ない。僕らは正しく"悪魔"となるだろう」


甲児「―――っ」ゴクリ……!



甲児の脳裏に過去の記憶が去来する。
初めてZに乗って動かした時の事を。
操縦法が解らず、街を瓦礫の山に変え、危うくZを悪魔にしかけた時の事を。





甲児「それで結局―――なんでこんな事になっちまったかっつーと……」


鉄也「……」
大介「……」



両者揃って沈黙、つまりは全く何も解らないという事。



甲児「そ、そうだそれなら……何でこんな所で転がってたかは解らないけど、光子力研究所の皆に相談すれば……!」



こんなナリになっちまったが、背に腹は代えられない。
研究所総出で原因を探ってくれれば何か解るかもしれない。


だが、そんな甲児の淡い期待は打ち砕かれる事となる。



大介「……それは無理だ」


甲児「?何でだよ、大介さん」


大介「僕も父さん……宇宙科学研究所に頼もうと通信を送ってるんだが……反応が返って来ない」


鉄也「光子力研究所も同じだ……全くのナシのつぶてさ」


甲児「だ、だったら飛んで行けばいいじゃねえかよ……!」



嫌な予感がする。
幸いにもスクランダーは昨日の内に取り付けてある。
生身の肉体の感覚で空を飛ぶというのはやった事はないが、恐らく何とかなるだろう。
……と、飛び上がろうとした甲児の身体をガッシと鉄也が抑えた。





鉄也「待つんだ甲児君」


甲児「―――っ、何でだよ鉄也さん!皆の事が心配じゃないのかよ!!」


大介「……君の気持ちは良く解る。だが甲児君、よく考えてみてくれ……」


大介「"ここが僕らが居た地球であるという確証は無い"んだ」



"この身体"の事はさておいて、昨日まで光子力研究所に居た身が、見知らぬ森の中。
この一連の事態が既に敵の手の内であるとするならば、迂闊に動くべきでは無い。
……更に言うならば、各研究所に連絡がつかない事にも説明がつく。
もし、電波が届く距離に"研究所自体が無い"とすれば―――。






"―――ガサリ!"



甲児「―――!」
鉄也「―――!」
大介「―――!」



3人の背後の茂みが、確かに揺れた。



甲児「…………、」
鉄也「…………コクリ」
大介「…………」シャキン!



いつでも仕掛けられてもいい様に、甲児はロケットパンチを構え、鉄也と大介はそれぞれブレードとハーケンを手に持つ。
鬼が出るが蛇が出るか、それとも……。





"―――ガササッ!"



茂みから飛び出した影、それは……。



甲児「……は?」
鉄也「……な」
大介「……!!」



男の子「……………………?」



鬼でも蛇でも、ましてや宇宙人でもない。
日よけの帽子を目深に被った人間……それも、甲児の弟シローと年がそれ程離れてないであろうかという小さな男の子。





甲児「に、人間……?」


鉄也「なら、ここは矢張り地球なのか……?」


大介「キミ、ここが何処だか解るかい……?」


男の子「…………ビクッ!」



大介の質問に思わず後ずさる少年。
その表情は怪訝そのもので、値踏みするようにこちらを見ていた。



大介「―――!しまった―――!」



咄嗟の事で思わず失念してしまっていたが、今の彼等は人間の姿をしていなかった。
飽くまでも等身大のそれぞれのメカの風貌であり、普通の人間からしてみれば異様極まりなかった。
しかも。





少年1「―――おーい!りょーちーん!!ボールあったかー!?」

少年2「あれ1個しか無いから無くすとかちょーかんべんしてほしーんだけどー?」

少年3「何処まで探しに行ってるんだっつーの……お?」




甲児「…………」←くどいようだが姿はマジンガー
鉄也「…………」←くどいようだが姿はグレート
大介「…………」←くどいようだがryグレンダイザー




少年1「…………」
少年2「…………」
少年3「…………」
りょーちん「……」






りょーちんと呼ばれた男の子の友人達だろうか。
彼等はぞくぞくと茂みの向こうからやってきては、甲児達の姿を見て、固まった。
そして、沈黙。
……不審者を見つめるような表情を全員に張り付かせながら。



甲児「(ど、どうする……?)」



只管その単語だけが甲児の頭を駆け巡っていた。
傍らの鉄也と大介も似たような物らしく、しきりに冷や汗をかいていた。
警察を呼ばれでもしたら、いや、いっそ警察に洗いざらい説明してしまった方がいいのだろうかでもそれだと弓先生に迷惑がかからないだろうかいっその事飛んで逃げた方がいいのか……エトセトラエトセトラ。

などと、やくたもない事ばかり考えていたら。




少年3「―――あああああああ~~~~っ!!」





少年の内の一人が、思い出した様に叫んだ。
そして、徐に甲児を指差して。



少年3「―――マジンガーZ!」



続いて鉄也を指差し。



少年3「―――グレートマジンガー!」



最後に大介を。



少年3「―――グレンダイザー!」





甲児「…………」
鉄也「…………」
大介「…………」



見事正解である。
思わず絶句する三人であったが、自分達の風貌を知っているという事は……。



少年1「マジンガーZってあの……」


少年2「光子力で動くっていう例の……?」


りょーちん「……近所で研究所とかいうののビラ配ってた」


甲児「……!!!」





思わず甲児はホッと胸を撫で下ろした。
自分=マジンガーZの事が解るならここは間違いなく地球であり、しかも研究所の事も知っているようだった。



甲児「(連絡がつかないのは通信機の故障か何かだったんだろう)」



いや一時はどうなる事かと思った。
……にしても弓先生研究所のビラなんて配ってたんだな。ちっとも知らなかったぜ。
でも、自分もZも結構TVとかに出ている筈なのに、目の前の少年達の反応が聊か淡白なのはちょっとショックというか……。



"―――コツン!"



甲児「(そうそう、こんくらいの衝撃……ってか、"コツン"?)」





何かが自分の頭を小突いた感触。
恐る恐るその方を見てみると、



少年1「………………」



何と少年達の一人が、手に持った棒を甲児の頭―――マジンガーZの頭部に叩き当てていた。
これには甲児も思わず。



甲児「(……はあっ!?)」



と胸の内に素っ頓狂な声を上げていた。
しかも。





少年1「―――出てけ悪魔」ボソッ


甲児「!!??!!??」



思いもかけない単語に絶句する所ではなく目を白黒(機械だけど)させる甲児。
そんな彼に追い討ちを掛けるように。



少年2「光子力なんていらねーんだよ」



―――ポカッ!



少年3「いつもいつも街を滅茶苦茶にしやがって」



―――パキッ!



少年達の取り巻きも口々に甲児……マジンガーZの悪口……もとい、抗議であろうか?を呟きながら手に持った棒で彼を殴打する。
最も、超合金Zのボディには文字通り蚊の刺すほどにも感じないが……。





鉄也「な、何をする!」


大介「君達、止めないか!」



さりとて突然の暴行を受ける謂れは無い。
鉄也も大介も少年達を止めようとするも……。





少年1「お前達も同罪だー」


少年2「ちっちゃい子を苛めて楽しむ陰険やろー」


鉄也「―――お、俺が!?」



いつ誰が小さな子を苛めたというのか。
鉄也には全く以って身に覚えの無い所業であったが、少年達の目線は間違いなく鉄也=グレートを貫いていた。





少年3「腹黒お仕置きおんなー。そういうのサドって言うんだろ?俺知ってるぞー」


大介「サド……!?ま、待ちたまえ……断じて僕はそんな……!」



容赦なく振るわれる棒をかわしつつ、説得を試みる大介だったが、如何せん少年たちは聞く耳を持ってくれない。

……というより、腹黒お仕置き"女"とは一体……。






甲児「わったった……!き、君達ちょっと待ってくれ……!!」


少年達「「「でてけー、でてけー♪光子力は街からでてけー♪」」」



聞く耳所かアンチ光子力の大合唱だった。



甲児「(な、何がどうなってんだ……!?)」



少年達にここまで嫌われる何をしでかしたのかと思うだに涙が滲む。(ロボットだけど、マシーンだけど)
その向こうに見えるは天に召された祖父・兜十蔵と父・剣蔵の姿。



甲児「(嗚呼、お爺ちゃん。お父さん。ごめんなさい……貴方達の造ったマジンガーは、たった今名も知らぬ少年達から悪魔の謗りを受けてしまっております)」





この数日災難続きだった。
生きていたあしゅら男爵やマジンガーと一体化してしまった身体に加えてこの仕打ち。
脳が考えることに追いついてくれない。

ストイックな鉄也さんも常識人な大介さんも先刻から少年達にさせるがままだ。

だが。
それでも、それでも尚、これだけは言わせて欲しい。






甲児「―――ここは一体―――何処なんだああああああああああああああぁぁぁぁぁ……!!」










>なんだあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!


>>なんだあぁぁぁぁぁぁ……!!


>>>なんだあぁぁぁぁぁぁぁ……!!





その悲痛な叫びに呼応するかのように、直ぐ傍の木に引っかかっていたビラ紙が、風に飛ばされ捲くり上がった。

そこにはこう記載されてある。






―――クリーンで危険の無い全く新しいエネルギー"光子力"。
―――興味のある方は"東京都練馬区大泉学園光子力町○○へ―――。







???「―――ぶうぇっくしっ!!」

???「……誰かが噂してんのかしら」グシュ


???「汚い。自意識過剰。身の程を知った方がいい」


???「アンタ、今日は朝から飛ばしてくれんじゃない……!」ギギギギギ……!


???「あらあら、今日も暑苦しいくらいに仲が良いようで♪」


???「ぜんっぜん、よかない!……ま、何はともあれ」





―――今日も今日とて光子力の宣伝いってみよ~!



―――無敵の力はアタシのため!正義の心は二の次、三の次~!!




……世の中には自分に似ている風貌の人間が3人は居る。というが。
そんな"彼等"と"彼女達"が出会いは、まだ少し先となりそうで……。

第一章、これにて終了でございます。

……東映まんがまつりかと思った?残念ただの「モノマネしてたらまさかのご本人登場」だよ……。

でもちゃんとシリアスっぽさも出すので安心(?)してくだせえ……具体的には次投稿する第2章のプロローグ辺りで。

それではバイトがあるので本日はこれにて。

早朝に目が覚めちゃったのでパパっと書いたヤツを投下。

>>マジンサーガ真マZERO
考えたんですけど確実に"虚 無 る"んで止めておきました。

閑話休題と言う名のエピローグとか次回予告とか。


あしゅら男爵「「……お、おお……」」

あしゅら男爵「「何やら形容し難き雰囲気に引き寄せられてみれば……」」

あしゅら男爵「「嗚呼懐かしきやバードス島!そして、そして……」」




あしゅら男爵「「―――生きておられたとは思いませなんだ―――」」









「「――――――Dr.ヘル!!!」」
















Dr.ヘル(RGZ版)「………………は?」




あしゅら男爵「「そうだ……我が主Dr.ヘル様の事だ。兜甲児如きに殺される筈など無かったのだ……うむ、うむ……」」ブツブツ……。


Dr.ヘル「…………いや。あの…………」


あしゅら男爵「「―――今一度の邂逅、このあしゅらめは待ち望んでおりましたぞヘル様!!」」ドワォ!!


Dr.ヘル「ぬわおおおっ!!??」ビグゥッ!!


あしゅら男爵「「如何いたしましたヘル様!?お体の具合でも……ハッ、まさかマジンガーめにやられた傷が……!!」」ニジリニジリ


Dr.ヘル「待て、待たぬか貴様……!その濃い顔を近づけるな……!大体貴様一体誰―――」







あしゅら男爵「「―――何と!?おいたわしやヘル様!私をお忘れですか、あしゅらめに御座います!あなた様の忠実な部下、あしゅら男爵で御座います!!」」


Dr.ヘル「な、何、あしゅらじゃと!?何を馬鹿な―――」


あしゅら男爵「「ブロッケンやピグマンらはおらぬようだが……ご安心めされい!!このあしゅらが戻りましたれば百人力!!Dr.ヘル様の世界征服に骨身を削る次第で……」」


Dr.ヘル「は、話を聞かぬか!!!」



―――あ、あのぅ~。







あしゅら男爵「「―――うん!?」」グリン!




―――そ、そんなに大声をお出しになると、その……Dr.ヘル様も驚きに……



あしゅら男爵「「…………………………誰だ、貴様は?」」



???「わ、私も一応……"あしゅら男爵"という名前でして……」



あしゅら男爵(旧版)「「―――あああああん!?」」グワッ!!







あしゅら男爵(RGZ)「―――ひいいいいいいっ!!??」



あしゅら男爵(旧)「「何とまあ……!ひ弱な肉体に中途半端な半身よの!その風貌でヘル様の一の部下であるこのあしゅらの名を名乗るとは不敬も良い所だぞ貴様!!」」


あしゅら男爵(RGZ)「ひっ!……で、でも私、本当に……そ、それに半身とか関係な―――」


あしゅら男爵(旧)「「ええい、やかましいわ!!貴様なんぞサインペンでこうしてくれるわ!!」」



―――キュポン!キュッキュッキュッキュッキュ……!!



あしゅら(額に"弱"の文字)「……あ、あんまりだわぁ~!!」グスグス


鉄仮面1「すいませんねえ、あしゅら(?)様……」


鉄仮面2「うちのあしゅら様、死に別れた上司と再会してテンション上がっちゃってるんですよ。堪忍したって下さい……あ、ハンカチ使います?」


あしゅら(弱)「ぐすん……ど、どうも……」




Dr.ヘル「―――お前達、いい加減ワシの話を―――!」


あしゅら男爵「「おお、そうでした。危うく忘れる所でした―――では、モニターのスイッチをポチっとな!」」



―――ブウン!



ゴーゴン大公『(ザザ……ザ……)―――おお、あしゅら男爵か!通信が繋がったという事は貴公も……』



あしゅら男爵「「ウム!勝手知ったる我が基地よ!!既に内部の通信機構は全て把握しておるわ!」」


Dr.ヘル「―――な、貴様!?何を勝手に……」


あしゅら男爵「「所でゴーゴンよ、そちらの首尾は―――」」
Dr.ヘル「聞かぬか貴様ぁ!!!」




ゴーゴン大公『応よ、概ね貴様達との会合通り、ワシはミケーネの主要部隊と無事再会出来たわい!』


あしゅら男爵「「ふっふっふっふっふ。突如見知らぬ世界に飛ばされどうした物かと一時は途方に暮れたが―――こうなれば話は別だ!」」

あしゅら男爵「「憎きマジガーと兜甲児の名は聞かぬ……であれば!この世界の光子力マシンなど畏れるに足らんわ!!」」


ゴーゴン大公『その通りよ!後はこの基地を足がかりにしつつ、我らの力を結集して戦力の増強を図り……』


あしゅら男爵「「その力を以ってさえすれば日本を……否、世界の全てが我等地下帝国の物となる日もそう遠くは無い!」」






あしゅら男爵「「―――Dr.ヘル!!!」」


Dr.ヘル「―――な、何!?」ビクッ!!




あしゅら男爵「「今しばらくのご辛抱を……私が必ずや貴方様の眼前に"世界"をお持ちいたしまする故……」」


Dr.ヘル「……へ。え?……あ、ああ……そうね……」


あしゅら男爵「「このあしゅらしかと、承りました」」

あしゅら男爵「「……ふっふっふ……!」」

あしゅら男爵「「クックック―――!!」」








あしゅら男爵「「クワーッハッハッハッハッハッハッハッハッハ!!」」
ゴーゴン大公『ガハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!』





ガラダK7(RGZ)「―――何アレ?新人の人?」


ダブラスM2(RGZ)「―――何かとっても怖い……」ガクブル


あしゅら(弱)「これ、取れるかしら……クスン」







Dr.ヘル「………………………………もう好きにしてくれい」






あしゅらの一方的な忠誠心に地下帝国が引っ掻き回されている頃。
その一方では。



バレンドス「―――フッフッフッフッフ……デューク・フリードに復讐出来ぬのは心残りだがこの星を手に出来るのならばまあ良い」

バレンドス「それは兎も角として―――だ」






バレンドス「何故、オレだけ組織に合流出来ぬのだ……」ポツーン


ベガ兵1「世知辛いですなあ」

ベガ兵2「いや全く」


※RGZではベガ星連合軍は出てないからね、しょうがないね。






更に更に別の場所。


少年1「―――悪いなあおっさん達。アイスおごって貰っちゃってさあ」


少年2「あんなカッコしてたからてっきりアイツラの仲間かと思ったよ」ペロペロ


少年3「んで、何であんなとこに居たん?コスプレ?」



甲児「……い、いや……あはは……(金持ってて助かったぁ~)」


鉄也「……何故俺まで身銭を切らねばならんのだ……」ブツブツ


大介「まあまあ、鉄也君……ん?」



―――カサリ。



大介「このチラシは……! 甲児君、鉄也君!」






そして―――役者は着実に揃って行く。


※テンションが上がったからと言って女性の額にラクガキをしてはいけません。訴えられます。

いかんこんな時間だ、寝よう。
次はいよいよガールズ達の出番……になるかな。

おはようございます。戦闘行動をry
……どうでもいいですが、僕はスパロボFにおける「マジンガーZにゲッター線当てたらカイザーになっちゃった」という設定が非常に好きです。
いや、本当に全然関係無い話なんですが、いやマジでマジで。(勿論全てのマジンガーのアーキタイプってのも大好きですよ?)

>>マジンガー一体化甲児達の身長。
すらっとした人間大のマジンガーってどうにもしっくりこない(暴言)んで、基本CB戦士っぽく、子供よりも若干背が高いって思ってくだされば。
余り本編には反映させられませんが……。


では、本編投下します。

―――練馬区大泉光子力町。

東京の一部に軒を連ねたこの場所は、町の名の由来ともなった超クリーンで超ハイスペックな夢のエネルギーを産出・日夜研究する科学の町でもある。

そのエネルギーとは、名もズバリ―――"光子力"。

惜しむらくは少々知名度が足りぬことで、ならばと町の中心部に設立された光子力用の施設……俗称:"光子力研究所"の所長である"弓"は光子力を町の名産とするべく、その宣伝役を"ある3人の少女達"に託す事にしたのである。




……それが成功だったかは、今は置いておくとして。


???「―――えー。光子力、光子力~。次代を担うクリーンなエネルギー。一家にお一つ光子力はいか~っすか~?」


???「……宣伝、テキトー過ぎるし。また弓先生から"この無駄飯食らいめ!"って怒られちゃうし」


???「だぁって、だ~れもロクに話聞いてくんないしさぁ……」



―――正義の力はアタシの為!正義の心は二の次三の次!!

正直そんなんでいいのか!?光子力エネルギーの看板役として日夜活動(?)している女の子……"Zちゃん"!




Zちゃん「って言うか弓先生はそんなこと言わないし!また話作ったでしょ!?……って何してんの?」


???「……さーねー」チラシオリオリ



―――それで作りましたるは紙ヒコーキ。
―――徐に投げてみればあら不思議。



???「あのとーり新記録」


Zちゃん「オメーも無駄飯食らいじゃねえか!!」ビシッ!



―――ボクは涙を流さない。容赦が無いから、無慈悲だから。

正直キャラが掴みにくい。自称・他称共にボクはゲームのプロ……"グレちゃん"!





???「まぁ♪本当に良く飛ぶのねぇ~!」パチパチパチパチ


グレちゃん「ぴーす、ぴーす」


Zちゃん「……無闇に褒めんといて下さいよ調子に乗りますから……」



―――友と誓ったこの平和。唯一輪の花の為!

正直彼女の所為でZちゃんが無理矢理ツッコミ役に回らざるを得ない。正体不明、謎の留学生……"グレンダさん"!





以上三名が弓教授の指示の元、この町で活動をしている光子力エネルギーの申し子達。



その名も―――"ロボットガールズ・チームZ"。



Zちゃんをリーダーとして影に日向に光子力の有用性を町の人間に説いて回っている、筈、なのだが……。





「―――あ、またチームZが光子力の宣伝してるぜー?」

「クリーンなエネルギーだかなんだか知らないけどさー。使ってる本人達がどっぷりダーティーじゃねえ?」

「宣伝なんかより町の修復に借り出したほうがいいんじゃね?」

「止めとけよ、もっと壊されんのがオチだぜ?」

「光子力が吹けば土建屋と修繕屋が儲かるってか?」



―――AHAHAHAHAHAHAHAHAHA!!!





Zちゃん「………………」
グレちゃん「…………」
グレンダさん「…………」



―――ブチッ!



Zちゃん「テメー今なんつったコラァ!面ぁ覚えたかんな!!後で研究所の裏に呼び出すぞオラァ!!」


グレンダさん「ウフフフフフフフフ。この私に陰口だなんて、困った事をする人も居るものねぇぇぇ~♪」ゴゴゴゴゴゴ……!!


グレちゃん「グレンダさん。オーラ出てるし、怖いし……それに」


グレちゃん「……壊してるのは、事実だし」ボソッ




しかしてその実態は。

光子力エネルギーを強奪せしめんとするDr.ヘル率いる悪の地下帝国から町を護る……ついでに町の施設は壊すわ壊すわ壊すわ……。

そんな行いを何度も繰り返してはその尻拭いのお鉢が弓教授に回るという負のスパイラル。

その所為で光子力の宣伝と研究は遅々として進まぬ有様、というのが実情なのだ。

さりとて彼女達でなければ光子力を用いた武器の数々は使いこなせぬであろうから、研究所からしてみれば痛し痒し。

……なのだろうか?




Zちゃん「何自分一人だけ良い子ちゃん言ってる風なワケ!?グレちゃんだって被害件数からしてみれば私等とどっこいだかんね!!」


グレちゃん「ボク子供だし、加減解らないし。そーいうのは大人とプロに任せるし」


グレンダさん「……でも、このままじゃあ確かに色々マズいかもしれないわね」


グレンダさん「光子力の普及が滞り続けたら、いよいよもって研究所は閉鎖。私達三人共リストラで放り出されるかも……」


Zちゃん「え!?それはヤだ、困る!!毎日3食昼寝付きで働ける今の環境は天国なのにぃ!」


グレちゃん「……何と言う発言がダメ人間」



Zちゃん「―――それに」




Zちゃん「弓先生や皆と離れたくなんて……無いよ」



グレちゃん「………………」
グレンダさん「Zちゃん……」



グレちゃん「……ボク、もうちょっとだけビラ配り頑張ってみる……」


グレンダさん「……私も♪」


Zちゃん「……グレちゃん、グレンダさん……」ジ~ン!!



※被害を減らす努力をしようとは思ってない。




―――勝手に感動している所!
―――誠に申し訳ないのだが!!



グレンダさん「―――あら?」
グレちゃん「―――――??」

Zちゃん「だ、誰!?」



チームZが振り向くと、そこには……。



あしゅら(弱)「…………。」
ガラダK7「…………………。」
ダブラスM2「…………エグエグ」

※以下、機会獣ガールズぞろぞろ同上省略。





Zちゃん「地下帝国!!―――しかも全員集結!?」


グレンダさん「今日はいつにも増して唐突ねぇ」


グレちゃん「って言うか……何で泣いてるの?」

グレちゃん「(そして何で額に"弱"の文字?)」



あしゅら(弱)「そ、それは……その……何と言えばいいのやら」


ダブラスM2「エグッエグッ……もう痛いの嫌なのぉ……」


ガラダK7「……詳しくはコイ―――痛っ!?……こ、"この方"にでも聞けば―――ええいくそ!電気流すな!!」


Zちゃん「―――???」



様子のおかしいガラダの視線の先を見れば、町中にフードを被った人影が一つ。



???「「―――貴様達が噂に聞く、ロボットガールズ・チームZとやらか?」」


Zちゃん「……確かにそうだけど、アンタ誰?」



目深に被ったフードの下で、口角がニタリと釣りあがった。
手に持った一対の杖のような何かを天へと掲げたフードの人物は被っていた布を外すと―――超え高らかに叫んだ。



???「「我が名は―――あしゅら!!」」バッ!!






あしゅら男爵「「機械獣軍団を束ねる長にして、Dr.ヘル様の一の僕……あしゅら男爵とはワタシの事よ!!」」





Zちゃん「―――は?」

グレちゃん「―――え?」

グレンダさん「―――な?」



Zちゃん「―――あ、あしゅら男爵って……ええ!?何、親戚か何か!?」


グレちゃん「……顔、濃い……」


グレンダさん「……とても個性的な一族だったのね」


今まで自分達が相対してきた"あしゅら男爵"という人物から最も遠い風貌をした目の前の……男だか女だか訳の解らぬ人物。
その当の本人は涙目になりながら。



あしゅら(弱)「わ、私にも何がなんだか解らなくて……ううう……」


ダブラスM2(右手)「ある日急に基地にやってきたの……」
ダブラスM2(左手)「そしたら手に持った杖で皆をビリビリって……―――ぎゃんっ!!」


Zちゃん「!?」



どうした事だろうか、説明を行っていたダブラスが急に苦しみだしてその場に崩れ落ちた。



あしゅら男爵「「―――よけいな事を言わぬでないわ、戯けめ!!」」



あしゅらが持っている杖に念を込めると、その強さに比例するように、ダブラスの表情がどんどんと苦痛に歪む。



ダブラスM2「痛いの……止めてなの……止めてなの……!!」

あしゅら(弱)「あ、ああ……ダブラスちゃん……!」



あしゅら(弱)がおろおろとダブラスを抱きかかえるが、それ以上どうする事も出来ず目に涙を浮かべる。



Zちゃん「―――ちょっと、待ちなさいよこの顔面白黒野郎!!」



それを静止すべく動いたのは他でもない、Zちゃんであった。
幾ら敵側とはいえ、目の前で行われているそれはあからさまに度を越していた。
自分達だってここまではしない。



Zちゃん「唸れ鉄拳―――ロケット、パアアアアアンチッ!!」



先手必勝、女の子を泣かせる外道には容赦無し。

―――だが。

空を切り裂く手袋は、目の前のあしゅら男爵に直撃せず……何故かその肉体をすり抜けてしまった。



Zちゃん「……あれ?」



呆然とするZちゃんであったが、グレンダさんにはそのカラクリが一瞬で解けた。



グレンダさん「―――ホログラム!?」



ご名答!とばかりに、手袋が通過したあしゅらの身体がノイズ交じりで揺らめいた。

あしゅら男爵『『ハハハハハハ!!我が身体の実体はここには居ない!そこのグレンダイザーもどきが言う通りの写し身よ!』』



Zちゃん「あ、アンタ一体何がしたいのよ!!」



あしゅら男爵(男)『―――それはだな……』
あしゅら男爵(女)『―――こういう事よ!!』



―――パチン!



ホログラムのあしゅらが指を弾いた。すると……。



グレちゃん「―――!!」

グレンダさん「あら―――!?」



それが合図だったのか。
グレちゃんとクレンダさんの身体が足元から"何か"に吸い込まれるようにして……この場から消失した。




Zちゃん「グレちゃん……!!グレンダさん!?」



あしゅら男爵『『流石はベガ星連合軍特別製のテレポーター!……難点は対象に直接取り付けねば効果が無いという事だが……』』

あしゅら男爵『『このワタシが持つ"バードスの杖"で命令すれば、失敗続きの部下とはいえそのぐらいは……なあ?』』



Zちゃん「―――!」


ハッとなり機械獣ガールズに目線を向ければ。



ガイアQ5「我々とて……このような手段は取りたくなかったのであります……」

キングダンX10「でもぉ~、やらなきゃ電流をもっと酷くしてやるぞって……逆らえなくって……う、うう……」


Zちゃん「あ、アンタ……!!」


ギリ、と臍を強く噛んで"あしゅら"をにらみ付けるが、そんな目線なぞ何処吹く風で。





あしゅら男爵『『おお!そういえば先程質問しておったな?"何がしたいのか?"と……教えてやろうぞ!』』






あしゅら男爵『『―――ワタシは貴様らロボットガールズZに本日ただ今この瞬間を以って……宣戦を布告する!!』』






あしゅら男爵『『無論、貴様らの敗北の暁にはこの町の光子力エネルギーは全て我等が物とする!!―――そして!!』』

あしゅら男爵『『引いては世界の全てを、敬愛する我が主Dr.ヘル様の物とするのだ!!』』

あしゅら男爵『『その為には!貴様のようなマジンガーの名を冠するモノが何よりの障害となるのをワタシは身に染みておる!!』』

あしゅら男爵『『よって小娘のナリをしていようとも容赦はせぬ!我が機械獣軍団の全力を以って―――貴様を地獄に叩き落してくれるわ!!』』





Zちゃん「―――、」



―――ゴクリ、と。
思わず口内に溜まった唾を飲み下す。

ヤバい。

上手くは説明出来ないけどコイツ何かヤバい。
言ってる内容は自分達の知るあしゅらのソレだったが、迫力と言うかそういったモノがダンチだ。





Zちゃん「……偉そうな事つらつら言ってるようだけど、結局機械獣(部下)頼りってのは情けないとは思わないの?」



あしゅら男爵『『―――、』』ギロリ!


機械獣ガールズ「―――ビクウッ!!!」


あしゅら男爵『『……ふん。いくら機械獣の名を冠していようが、ひ弱な小娘如きに頼り切る程落ちぶれてはおらぬわ』』

あしゅら男爵『『貴様の相手は、このあしゅらが直々に用意しておる―――出でよ!!』』



―――パチン!



あしゅらが再び指を弾いたと同時に。


―――町の一角が、轟音と共に燃え上がった。





町民1「うわあああ何だああああああ!?」
町民2「またロボットーガールズの奴らかー!?」

町民3「い、いや……違うぞあれは……!!」



町民4「逃げろおおおおおおお!!こっちに来るぞおおおおお!!!」


町民達が蜘蛛の子を散らすように逃げ出す。
そして爆炎の向こうから聞こえるは。


―――ズシン……!ズシン……!!ズシン……!!!


"何か"の足音が、こちらに向かって一歩一歩進んでくる。
……と、規則的だったそれが一瞬だけ静止した。



Zちゃん「…………?」



煙に紛れ姿は見えない。
いっそこちらから出向いてやろうかと身構え―――その、次の瞬間。





Zちゃん「え―――?」



急に煙が晴れ……否、晴れたのではなく、"散らされた"のだ。
猛スピードで迫り来る"―――何か―――"によって。



Z「―――な、何……何!?」





全体像は把握しきれない、兎に角早過ぎる。
迎撃を考えるよりも先に身体が回避を選択した。



―――ヒュゴオッ!!



"何か"は空を切り、Zちゃんは直撃を免れた……が。



Zちゃん「ふ、服が……!?」





見れば、超合繊維ニューZで造られた特別製の洋服、その脇腹の部分が若干剥がれ落ちていた。
かすっただけの筈である。それなのに……。

もしこれがクリーンヒットしていたらと思うと、全身が総毛だった。
だが、おかげで猛スピードだった"何か"は反転の為その動きを停止していた。

今の内とばかりに相手の全身を確認しようとして……。



Zちゃん「……角?」



思わず呆けて呟いた。
まず目を引いたのは巨大な、余りにも巨大なる突起物。
Zちゃんは思わず"角"と評したそれが―――馬のような四速獣を模した胴体に取り付けられている、そのアンバランスさ。
……あれがニューZを貫いたというのだろうか。

並みの金属では歯が立たない超繊維だと言うのに。





あしゅら男爵『『―――紹介しよう!あれこそが貴様の相手であり、ワタシが基地に持ち込んだ機械獣のパーツを寄せ集めて再生機械獣!!』』







あしゅら男爵『『その名も―――トロスD7EX!!!』』








トロスD7EX「―――ガオオオオオオオオオオンン!!!」




あしゅら男爵『『使えるパーツが少なかった為、ダウンサイジングせざるを得なかったが、その分他の機能を十二分に強化する事に成功した!!』』

あしゅら男爵『『Zちゃんとやら!あれが貴様の処刑人だ、存分に戦うがいい!!』』





Zちゃん「……うう……」



あんな機械獣見たこと無かった。(っていうかガールズですらなかった)
オマケに目にも留まらぬスピードで、更にはニューZまで貫く敵。



Zちゃん「(まさか、二人にも……)」



何処かへ飛ばされたグレちゃんとグレンダさんへと思いを馳せるZちゃんだったが、そんな彼女の思考をあざ笑うかのように。



あしゅら男爵『『他の二人が心配か?案ずることは無い……二人とも今頃は……』』







―――それぞれ因縁深き相手が―――

―――存分に持て成しているだろうよ―――!!



すいません、今回ここまでで。

……書いててちょっと可哀想かなとも思った部分があるんですが。

「本来ダイナミック作品って」「もっと酷い目にあってる状態なんてザラだし」「オッケオッケー」

……かなって。

でも実際問題ロボットガールズ本編見てて「ひっどいなあwww」と思ってた後に「バイオレンスジャック」辺り見るとメッソリしちゃいます。色々と。
いや比べるもんじゃねえってのは十分解るんですけど、解るんですけど。

それでは失礼します。

スパロボのイメージだが鉄也だけRGZの世界になじめず苦労しそうw
>>82 ロボの状態で金を持ってるとは

おはようございます。今日も途中までですが投下をサクッと。
ギャグ補正云々に関してだけで言うならあしゅら男爵は良い意味でも悪い意味でも全力でイッって下さる良キャラでございます。
ゴーゴンが霞む霞む。バレンドス?……オチ担当かな。

>>130
RPGの世界で初めてすぐでも100Gとか持っていたとかそんな感覚で。




―――とある砂漠。




グレちゃん「―――サンダー、ブレーク……!!」



グレちゃんの指先から青い稲妻が迸るも、それは曇天の空に吸い込まれて消えた。
……これで一体何発目だろうか?



―――ふふふふふふふふ……―――



グレちゃん「―――!!!さ、サンダー……ブレーク!!」



放った技は全くの無意味となる。
先刻と全く同じ結果となり、代わりに。



―――ははははははは……!―――



自分をあざ笑う声だけが辺りに木霊した。
敵の姿は見えない、がそれだけに何とも不気味極まりなく……。





グレちゃん「サンダーブレーク……サンダー、ブレーク……!!」



当たらぬのなら当たるまで打つまでとばかりに指先から雷光を発射する。
……しかし、それまでにエネルギーが持つのだろうか?

焦りばかりが先に募り、グレちゃんは自分の姿を遠くから見つめる"影"がある事にも気づいていなかった……。






―――つまらん―――
―――全く以ってつまらん―――





ゴーゴン大公「―――グレートマジンガーの名を冠する者が居ると聞いて再生戦闘獣を仕掛けてみれば……何のことは無いただの小娘ではないか」






モニター越しに頬杖をつきながら、戦闘の様子を観戦するゴーゴン大公。
彼が今居る場所は他でもない、ミケーネの残党が居を構える地下帝国……。



ゴーゴン大公「あのような無駄な攻撃、俺の知っているグレート……剣鉄也ならば絶対に行わん……」

ゴーゴン大公「地力はあるようだが如何せん実力が伴ってはおらぬ」

ゴーゴン大公「……のう?お主等もそうは思わぬか?」








ゴーゴン(RGZ)「―――へ!?え?み、ミー達の事でアリマスかにゃあ!?」

獣魔将軍(RGZ)「―――ふぎゃっ!?ふぎゃぎゃぎゃっ!?」







ゴーゴン大公「貴様ら以外に誰がおる。……しかしまあ、これで後顧の憂いを断つ事が出来ればミケーネ帝国の復興も安泰と言えよう」

ゴーゴン大公「そうですな?―――暗黒大将軍?」









暗黒大将軍(RGZ)「あ―――?あ、ああ……そうじゃねっつーかなんつーか……」





ゴーゴン大公「(……ふう、にしても……どうにもやりきれん)」



何やらもやもやするモノがゴーゴン大公の心を埋め尽くしていた。
己はあしゅら程に自分の組織の復興に邁進出来ていないのかと疑問に思ってしまう程に。
……いや、そんな事でどうする。

己の既知とは言えぬが確かにミケーネの残党と、暗黒大将軍がここに健在である。
ならば自分はそれらを祭り上げ新たなミケーネを作り上げる。



……それで良いではないか。どうせ己が居た世界に居続けた所で……。




ゴーゴン「(ど、どうしましょうかにゃあ……何か最初に出会ったときから勘違いしていらっしゃるような……)」ヒソヒソ
獣魔将軍「(ふぎゃ、ふぎゃふぎゃふぎゃ……)」ヒソヒソ
暗黒大将軍「(っつったかて今更勘違いとか指摘できる雰囲気じゃねーっつーかなんつーか……あーめんどくせえ……)」ヒソヒソ


暗黒大将軍「(うっかり言葉を間違えようもんなら―――……)」

ゴーゴン「…………」ジ~
獣魔将軍「…………」ジ~









ゴーゴン大公(の下半身、虎)「……グルルルルルルルルル……」





ハッキリ口に出したわけではない。が生命の本能として彼女らは満場一致で断を下す。

もし不意に怒らせようものならば。
―――朝御飯になってしまうだろう、と。



ゴーゴン大公「……これで果たして本当に……いや……」ブツブツ


ゴーゴン「ガクガクガク」
獣魔将軍「ブルブルブル」
暗黒大将軍「―――、」



暗黒大将軍(の中の人、闇の…)「ガクガクブルガクブルガクブル……!!」





―――……


―――とある平原。







グレンダさん「―――きゃあああああああああっ!!??」



己の身体が錐揉み上に吹き飛ぶ感覚。
グレンダは受身も取れずに地面に身体を激突させてしまう。





―――ふはははははは―――
―――無様、何とも無様だなグレンダイザー!!―――



ベガ兵1「―――バレンドス様、グレンダイザーと括ってしまうには少々語弊があるような気がしますが……」


バレンドス「―――やかましい!わかっとるわ!!気分だ気分!」


ベガ兵2「(ストレス溜まってんなー)」



バレンドス「……だがこれで確信した。例え本物のグレンダイザーが相手であろうとこのベガ獣は倒せん!」

バレンドス「地下帝国から借り受けた施設で強化改造を施した、この……"ベガ獣メカニキングゴリ"にはな!!」



Mキングゴリ「ガオオオオオオオオオオン!!!」





ベガ兵1「……に、しては少々サイズが小さ過ぎる気がしますが……」


バレンドス「だから!持ち込めたパーツの殆どが先のダイザーとの戦闘で使えなくなったので已む無かったと言っておるだろうが!!」

バレンドス「それに、此度の戦いでは相手とサイズの差は無い!結果オーライだ、オーライ!」


ベガ兵2「まあ、確かに―――」





グレンダさん「す、スペースサンダー!!」



起き上がったグレンダさんは起死回生とばかりに、両角から必殺のスペースサンダーを放つ。
……だが。



Mキングゴリ「グオオオオオオオン!!」バシィ!!



目の前の機械獣(なのだろうか?)のようなメカには全くの効果ナシ。
……先刻も、不意打気味にダブルハーケンで敵の身体を両断せしめようとしたのだが……

丸太のような両腕に阻まれ、傷一つつけられなかった。

それだけではなく、自分の身体を数本の指で軽々放り投げる程の怪力。
今までの敵とは何もかもが違っていた。

後残っている武装は……。





ベガ兵2「―――グレンダイザーらしき娘の兵装は全てキングゴリの"前面バリア"に阻まれており、こちらのダメージはほぼ0となっております」


バレンドス「そうだろう、そうだろう!これも長きに渡る屈辱の積み重ねがここまでの成果を―――」


ベガ兵1「(俺達一般兵だからベガ獣の性能を詳しくは知らないんだけど、"前面バリア"とかいう単語だけで嫌な悪寒がしまくりなんですが)」

ベガ兵1「(まあ、黙っとこ)」







バレンドス「さあ、やるのだメカニキングゴリ!今までの鬱憤の全てをそのグレンダイザーもどきにぶつけてしまえい!!」

バレンドス「グレンダイザーに良く似た娘よ!貴様自身に恨みがあるわけではないが、嘆くならばその姿を取った己の運命を嘆くがいい!!」

バレンドス「ワハハハハハハハハハハハハハハハハハハ……!!!」






―――……


―――再び光子力町。




トロスD7EX「―――ガオオオオオオオオン!!!」ドグォ!


Zちゃん「―――っ、この、さっきからウロチョロと……煩いっての!!」

Zちゃん「ロケット、パアアアアアアンチッ!!」


あしゅら男爵『『―――はん、馬鹿が!!』』



―――バキイィィィィィ!





Zちゃん「えっ……!」



トロスは迫り来る手袋に対し、加速中でありながらも器用に角を動かして粉砕せしめた。



あしゅら男爵『『超合金ニューZすら貫く硬度と速度である事をもう失念しおったか!』』(※Zちゃんの装甲というか洋服は超合繊維ニューZです。念の為)

あしゅら男爵『『矢張り貴様はマジンガーの名を冠しているだけの紛い物に過ぎんわ!』』



Zちゃん「んなっ―――!?」



思わず怒りで絶句する。
何故今日始めてあったヤツに偽者呼ばわりされなくてはならないのか。
ってか、そっちだってあしゅらの偽者じゃないのかよ。





あしゅら男爵『『光子力と超合金Zの力があるにも関わらず無駄な力頼みの攻撃ばかり……』』

あしゅら男爵『『少なくとも私の知る……Dr.ヘルを追い詰めて行った、我が好敵手ならばそれだけに頼った戦闘等はせぬ!!』』



Zちゃん「……うっ、煩い煩い!誰だか知らないけどあたしとそいつを一緒にするんじゃないわよ!!」



ここにはあたしだけしか居ない。
光子力町の平和を護ってきたのは他でもない、マジンガーZである自分なのだ。
こんな訳の解らない濃い顔野郎の言う事を間に受けて膝を折る訳にはいかない。



Zちゃん「正義の心とかどうとかそんな良い子ちゃんぶる気は無いけどね……」

Zちゃん「少なくとも戦い続けたプライドってのはあるのよこの野郎―――!!」





あしゅら男爵『『……ならば、その貴様の薄っぺらい矜持ごと串刺しにしてくれようぞ!!』』

あしゅら男爵『『―――トロスD7EXよ!!』』



トロスD7EX「ガオオオオオオオオン!!!」


Zちゃん「ハン!また突進攻撃ってのが見え見え、力任せはどっちだっての!!」



ロケットパンチや肉体に頼った攻撃は通用しない。



Zちゃん「―――だったら、これはどうだああああああああああっ!!」



Zちゃんの瞳が光子力によって光り輝く。



Zちゃん「光子力……ビイィィィィィィィィィィィム!!!」


トロスD7EX「!!!!」





Zちゃんの目論見どおり、既に加速をつけていたトロスはスピードを殺しきれずに自ら光子力ビームに突っ込むような形となり、爆発。
直撃した熱量で辺りに豪風が巻き起こる。



Zちゃん「……やた、やったっっっ!!」



思わずガッツポーズを取ったZちゃんは鼻息も荒くあしゅらを指差した。



Zちゃん「どうよこの男女!!アンタ自慢の機械獣はアタシが原始の塵に変えてやったわよ!!!」


あしゅら男爵『『………………、』』



対するあしゅらは無表情、無言のまま。
丹精込めて治した機械獣がやられたのがショックだったのだろうか?―――否。




―――ニタリ。


あしゅら男爵『『―――だから貴様は―――』』

あしゅら男爵『『―――馬鹿だと言うのだ―――!!』』


Zちゃん「―――!?」



あしゅらの嘲笑の意味を知るのは数秒後、爆炎の奥から繰り出された無数の針のような……ミサイルによって。



Zちゃん「や、やばっ……!!」



すぐさま光子力ビームで迎撃するが、如何せん数が多い。
多過ぎた。





Zちゃん「―――キャアアアアアアアアアアアアッ!!!」



落としきれなかった数発が、Zちゃんに着弾し、爆風で華奢な身体ごと吹き飛ばされてしまう。



トロスD7EX「グオオオオオオオオオオオッ!!」



その隙を突くようにして噴煙の向こうから出現するは機械獣。
しかも先程の光子力ビームのダメージなぞまるで意に介してないかのように。





あしゅら男爵『『―――トロスD7EXの角は超合金Zの装甲を突き破る絶対の矛である役割だけではない』』

あしゅら男爵『『その圧倒的硬度を前面に押し出すことであらゆる攻撃を受け流すという無敵の盾の側面も持っておるのだよ』』

あしゅら男爵『『……終わりだ、マジンガーの名を冠する小娘よ』』



トロスは脇目も振らずにZちゃんに向けて突進する。
纏わり付く空気ですらも切り裂いて走り抜けるそれは、見るものが見れば絶対的なる死の象徴。


空中に投げ出されたZちゃんが、それを止められる手段なぞある訳も無く。




Zちゃん「―――あ」



ヤバイ。
これ、死んだかも。


間際に"ごめん"と呟いたのは、誰に向けての言葉だったのか。


―――燃え盛る光子力町の空に、金属がぶつかり合う鈍い音が広がった―――





―――……



グレちゃん「さ、サンダー……ブレ……ク……!」



指先から出る電光量は最早火花程度の大きさしかなく、その表情も蒼白であり常日頃のクールさは見る影も無くなってしまっていた。



ゴーゴン大公「…………もう良いわ。ジクジク甚振るというのも見るに耐えん」

ゴーゴン大公「―――再生戦闘獣"ダンテR"よ。…………グレートマジンガーに、トドメをさせい」






ダンテR「―――承知した、ゴーゴン大公―――」



了解の声が周辺に響くと同時に、グレちゃんの周辺に人魂が一つ、二つ、三つ……。取り囲むように展開されて行く。



グレちゃん「(だ、めだ……もう、避ける気力も、無いや……)」



最後まで諦めないとかいう体育会系のノリは苦手だ。
なら最後は潔く……潔く……いさぎ、よ、く……。



グレちゃん「……………………………………ヤダ……」



そっと目を閉じる寸前、瞼の奥に映ったのは。


―――Zちゃんとグレンダさんとの笑顔に他ならなく―――






―――……



グレンダさん「―――うっ、うう……」



刀折れ矢も尽きた。
ありとあらゆる武装を試してみたが、結果はこの通り。
倒れ付した身体は鉛のように重く。



バレンドス「―――ふん!終ってしまえばこんなモノか……存外あっけないな」

バレンドス「だが、マジンガーの名を冠する輩を生かしておく手合いも無いのでな」

バレンドス「恨むなよ、娘。……やれ、メカニキングゴリ!!」





Mキングゴリ「グゴオオオオオオン!!」



バレンドスの号令と共にキングゴリは倒れ付したグレンダさんへとにじり寄る。
その手で彼女に止めを刺す為に。



グレンダさん「(Zちゃん……グレちゃんさん……)」



せめて、二人がどうなったかだけでも知りたかったが。


―――それが叶うことは、なりそうにも無かった―――

今日はここまでです。本当はもっと書き溜めて一気したいんですが、最近PCの調子も良くなくデータが飛んでしまうくらいならと……。
やきもきさせてすいません、あともう少しですので。

さてガールズの運命や如何に(棒)

へいへいへい。投下だ悪くねぇぜ。
でもまたも途中までなんすよすいません。

……近頃妙にフリーズが頻発するんでもう怖くて怖くて……
バックアップはとってるんですがネカフェ行くのもなんかなーなんで出来る限り実家のメインから投下しますです、はい。





―――あれ、アタシ……生きてる?―――




ボンヤリと思いつつも、地面に倒れた身体を起こした。
周辺ではまだ炎が燻っており、その熱が否が応でもここが現世である事を自覚させた。


Zちゃん「き、機械獣は―――……?」



ハッとなり立ち上がると、彼女は見た。



―――凍りついたようなあしゅら男爵の表情と―――

―――Zちゃんを護るように機械獣の前に立ち塞がる黒い壁のような、何か―――




それはまるで。

何処かで聞いたようなフレーズを彼女の脳裏に彷彿とさせ……。





Zちゃん「……鉄の、城……?」





―――……






ダンテR「ぬおああああああああああっ!?」


グレちゃん「―――!!」



突如として耳に入った何者かの叫びに、グレちゃんは思わず目を開く。
見れば、ローブを纏った謎の怪人が雷撃を受けのたうち回っているではないか。


グレちゃん「ぼ、ボクのサンダーブレーク……?」





ポツリと呟いたグレちゃんの言葉に。



???「―――お前の、じゃあない―――」



反論する声があった。



グレちゃん「……だ、誰……?」



咄嗟に声の方を振り向いた。





―――雷雲の最中に、何者かの影があった―――

―――黒いボディ、炎を模した戦闘機らしき物体が接続された頭部―――







どこかで見た事があった。

とても身近なモノの中に、アレと全く同じのが―――。

グレちゃんはそっと、自分の頭にセットされた"ブレーンコンドル"に触れ……。



―――……







バレンドス「―――むうん?」



どうも妙だ。
後は腕を振り下ろすだけだというのに、メカニキングゴリの動きが停止していた。



バレンドス「何だ?動作不良でも起こしおったか?」



これだから急造品は困る。
しかもここからではその巨体の背中が死角となってしまっており、どうなっているかを見る事が叶わなかった。





バレンドス「ええい、仕方の無い。こうなればマザーバーンで直接トドメを……――」


ベガ兵1「―――バレンドス様」


バレンドス「何だ?今一番大事な所なのだぞ?」


ベガ兵1「いえ……マザーバーンのレーダーに感がありまして……」


バレンドス「何だと?―――貴様、滞空監視を怠りおったのか!?」グワシッ!!


ベガ兵1「そ、そんな事は決して……!」


ベガ兵2「どうにもたった今出現したとしか思えぬような……」


バレンドス「ハッ、何を馬鹿な。そもこんな辺境の地に一体何者が……―――」


バレンドス「(……待て、一瞬で。だと?)」



バレンドスには覚えがあった。
レーダー外から一瞬で距離を詰める戦法を行った"機体"が、少なくとも一つ。





Mキングゴリ「グオオオオオオオオオオン!?」



バレンドス「―――!?な、何事だ!!」



キングゴリの突然の咆哮に、モニターに目を向けた。
するとそこには、顔面を押さえ蹲るベガ獣の姿が。



バレンドス「何だ、何だと言うのだ!?」



のたうつキングゴリの顔面を良く見ると、"円盤状の刃物"がベガ獣の眼球辺りに突き刺さっていた。
更に。



バレンドス「―――……!?娘が、居ないだと!!」





前方に倒れていた筈のグレンダの姿が、忽然と消えていた―――。





―――何かに揺られている感覚がする―――

―――とても暖かくて大きい―――

―――何処か懐かしさも感じるような、そんな―――



グレンダさん「―――う、んん―――」


???「―――気がついたかい?」


グレンダさん「…………?」



薄ボンヤリと眼を開くと。





グレンダさん「(あれ……私、飛んで……スペイザー?……いつの間に呼んで……)」



焦点の定まらぬままにそんな事を考え。
そこで気づいた。

―――自分の身体が、何者かに抱かかえられている事に―――



グレンダさん「え?……ええっ……!?―――キャッ!!」


???「―――おっと!!」





突然の事に現状把握が追いつかず、思わず抱えていた主の事を突き飛ばしそうになった。
が、"何者か"は暴れそうになったグレンダの身体をはしっと抑えると、優しい口調で。



???「すまない、だが君を降ろしている時間は無さそうなんだ。…このまま奴の間合いへ踏み込みたい、悪いがしっかり掴まっててくれ」


グレンダさん「えっ?えっ???」



そして"何者か"は頭に"?"マークを浮かべたままのグレンダを抱えたまま、二人が乗る浮翌遊物体を反転させ、猛スピードでキングゴリに向けて急接近した。



???「振り落とされないように気をつけるんだ……!」


グレンダさん「は、は、はいっ……!」





グレンダからしてみれば、声の主の言う通りにするしかなく。
"彼"はグレンダが身体を固定した事を確認すると、肩口より刃物を発射し、それを眼前で接続した。

刃は組み合わせられると同時に、刀身から"柄"のような物を展開させ、それは二つあわせて上下一本の槍状の武器へと変化した。


……その形に、グレンダは強烈な既視感を感じた。
紛れも無くそれは、自分が使い慣れた武器であり、名を。




???「―――ダブル、ハーケン!!」




何から何まで同じとなるソレを構える"誰"か。



グレンダさん「(……この人は一体……)」







―――誰なんでしょう?―――





憎き連中を称える声は聞かぬこの地において。
その名を冠する連中のみを排除する。

さすれば我らの手に容易く世界が握られる。

その、筈であった。



あしゅら男爵「「…………、」」



あしゅらは眼前のモニターを苦味ばしった表情で見詰め。



ゴーゴン大公「―――!!」



ゴーゴンは思わず椅子から身を乗り出し。



バレンドス「な……!」



バレンドスはベガ獣へと迫り来る円盤の正体に絶句した。




……だが、考えてみれば至極当然の事やもしれない……。

我々がこの世界へと来たのなら、当然"奴等"も……。

だが。



あしゅら男爵「「よりにもよってこのタイミングで、か……」」



この様子だとゴーゴンとバレンドスの方にも向かっているだろう。
連絡は無いが、何故か確証があった。





あしゅら男爵「「くっくっくっくっく……!」」



いつの間にやらあしゅらの顔には笑みが張り付いていた。
彼奴らが現れたことで我々の計画もやり直しとなるやもしれぬというのに。

……いや、ひょっとしたら自分は心の何処かで"これ"を待ち望んでいたのやもしれぬ。

あざなえる縄の如く、己の運命に絡みつく鎖は、己の手で千切らねばならぬと―――。





あしゅら男爵「「何処までも何処までも我等の邪魔をしてくれる―――……」」


手に持つバードスの杖を硬く握り締め、あしゅらは。
武者震いをする身体を圧して、ゴーゴンは。
何かの間違いではないのかとしきりに部下に確認させるバレンドスは。


―――あらん限りの声で、己の"宿敵"の名を叫んだ。







あしゅら男爵「「―――兜甲児!……マジンガーZ!!!」」




ゴーゴン大公「―――剣鉄也!……グレートマジンガー!!!」




バレンドス「―――デューク・フリード……グレンダイザー!!!」







甲児「―――へへっ!」





鉄也「―――フン……」





大介「―――……!!」





―――かくしてここに、"彼等"と"彼女等"。
―――役者は共に揃う。






子供達と別れ、この町にあるという光子力研究所へと向かう途中。
急に町が爆発した。
逃げ惑う町の人たちを誘導しつつ、大介は"何か"のエネルギーを感じ取ったらしく、同行する鉄也と共に飛び立ち。

そして自分はここに残って爆発の原因を探る事にした。

いや、原因なんざ決まってる。

ここに光子力研究所があるのなら、爆発を引き起こした"何か"が向かう所はただ一つ。

―――予想は、ドンピシャだった。

町を蹂躙する機械獣とあしゅら男爵。

そして。




甲児「(……最初に聞いた時は半信半疑だったんだけどよ……)」



機械獣の間に割って入った甲児がチラリと目線を向けると。



Zちゃん「―――、」



怪訝な表情でこちらを覗く、どー見ても少女な女の子が一人。
だが、何処かで見た事がある頭部の装飾と言い、駆けつける直前に耳にした「光子力ビーム!」の叫びと言い。



……おまけになんつーか、俺でない……この"自分と一体化した"マジンガーの部分が他でもない、"あの娘と自分は同類だ。"なんて言っている気がして……。





甲児「(―――……とっとと、考えるのは後だな後……!!)」



颯爽と機械獣の突進を止めたはいいのだが、こいつどうも以前よりもパワーアップしているらしく、気を抜けば抑えている手ごと胴体を貫かれてしまいそうだった。
……手で掴むってのは失敗だったかもしれないと甲児が少々後悔し始めた時。



あしゅら男爵『『―――格好つけて現れたは良いが、少々辛そうだな兜甲児?』』



あしゅらからの皮肉の聞いた声。
正直相手をしている暇は無いのだが、無言で居るのも癪過ぎる。





甲児「……馬鹿言ってんじゃねえ。この兜甲児とマジンガーZが機械獣の一匹や二匹で音を上げたとなっちゃ、あの世のお父さんとお爺ちゃんにしかられっちまわあ!」



あしゅら男爵『『……ならば……!』』



あしゅらはバードスの杖に強く念を込め始めた。



あしゅら男爵『『背後の娘共々串刺しになるがいい、マジンガー!!』』


トロスD7EX「グオオオオオオオオン!!!」



ブースターを吹かしたトロスは力技でマジンガーごと背後のZちゃんを貫くべく加速する。





兜甲児「うぉっ!?とっとっと……!!!」



押さえている手が、身体が、敵の圧力で大きくブレ始めた。
こりゃ本気でヤバいかもしれねえ、何とか手を打とうと考えて―――……。



甲児「(―――!)」



背後のZちゃんを、見た。





甲児「―――なあ、そこのキミ!!」


Z「え……は、は、はいっ!?」



呆けたような表情で甲児を見ていたZちゃんは急な声にバネ仕掛けのように起き上がる。
が、次に告げられた言葉に、またも頭が真っ白になった。







甲児「―――ブレストファイヤー、撃てるかい?」

Zちゃん「―――はあっ!!??」






―――……






ゴーゴン大公『―――やれい、ダンテよ!グレートマジンガー共を倒すのだ!!』





調子を戻したゴーゴン大公は、戦闘獣に即座に指令を送った。



ダンテR「―――承知した―――」



電撃の拘束を弾き飛ばし、短く了を取ったダンテは再び雲間に溶け込むようにして姿を消す。





鉄也「……おい、そこの"ドシロウト"」




グレちゃん「―――!!ドシ……!?」



"そこの"? "ドシロウト"!?
余りにも余りな言葉に、絶句するグレちゃん。


だが鉄也はそんな彼女の反応を意に返さず。




鉄也「……サンダーブレークは撃てるか?」


グレちゃん「ぐぐ……撃て、るけど威力はもうそんなに……」


鉄也「威力なんざ期待してない。俺は可能か不可能かだけ聞いてるんだ」


グレちゃん「なっ…………!!」



一刀両断。
二の句を告げさせない鉄也の態度に、一瞬で顔が赤に染まった。





グレちゃん「―――!!!」



全身で怒りを表現するように、グレちゃんは天へと指を掲げた。
数秒待たずに、雷鳴が鳴り響き……。



グレちゃん「サンダー、ブレーク!!」



放電が、暗雲の周りに迸る。
その直ぐ後に。



鉄也は同じ動作で指を掲げた。





鉄也「―――必殺パワー!サンダーブレェェェェェーク!!!」



一直線に放たれた雷撃は、寸分違わずに―――。



ダンテR「―――!?ぬ、おわあああああああああっ!!!」



潜伏していたダンテの胸部を貫いた。

胸に大穴が開き、そこから小さな火災が全身に広がってゆく。
勝負はついた。





ダンテR「な、何故……俺の隠れている場所が解った、のだ……」


鉄也「…………、」



鉄也は無言でもう一度サンダーブレークの体勢を取ると、ダンテへ返答した。



鉄也「頭隠してなんとやら、だ。姿を消したつもりでも―――」



―――ピカッ!!



鉄也「……それではな」


ダンテR「……?」




ダンテが背後を振り向くと、そこには……雲間にクッキリと浮かび上がった"影"が一つ。





ダンテR「ば、馬鹿、な……!」


鉄也「得意の呪術で相手を陥れようとしてこの陰気臭い場所を選んだんだろうが―――」

鉄也「生憎と、俺は戦闘のプロだ。二度同じ術には引っかからん。そんなものが通用するのは……」チラリ


グレちゃん「…………?」


鉄也「……シロウトだけだ」キッパリ


グレちゃん「ぐむっ―――!?」




鉄也「何か言いたそうだな?そもそもお前さんがチャチな呪術なんぞを恐れて目を瞑ったのがそもそもの発端だ。戦いの最中にに目を閉じるなんざ言語道断だ」

鉄也「……自分の最後を簡単に諦めるのも愚かとしか言いようが無い。シロウト呼ばわりも仕方の無いこった」


グレちゃん「……!!……!!!」



何か言いたそうに口をぱくぱくさせるも、結局ぐうの音も出なかった。
だが。
だがしかし見ず知らずの他人に何故ここまで言われなければならないのか!





鉄也「フン……」



小言もそこそこに、鉄也が目線を戻すと、ダンテのボディは焼け落ちボロボロと崩れ去っていた。
その末期に、確かに彼は呟いていた"ゴーゴン"と。



鉄也「(ダンテがここに居るという事は、当然ヤツも何処かで見ている筈だ……)」



例えここが何処であれ。
自分がどんな身体になったとしても。
ミケーネが居る限り自分のやるべき事は何も変わらない。





鉄也「(決着はまた次の機会になる、か……)」



そして。



鉄也「…………、」チラリ


グレちゃん「ギギギギギギギギギ……!!」



歯軋りしながらこちらを睨み付けている者。
どう見ても子供だが、付けている装備とつたないながらもサンダーブレークを撃っていた事から導き出される事は一つ。
一つ、なのだが。





鉄也「…………ふぅぅ……」



知らず溜息が出てきた。
よりにもよってこんなちんちくりんのドシロウトが俺と同じ?
……冗談じゃない。



鉄也「…………ふぅぅぅぅ……」



もう一度、今度はより深い溜息が。
プロにしてはあるまじき態度であったが。
さもありなん、であった。





―――……。





大介「―――突っ込むぞ!!」ジャキン!!



ハーケンを構えた大介はそれを振るい、眼前のベガ獣への間合いを計る。
その、直前に。



グレンダさん「―――ま、待って……!」



グレンダから静止がかかった。
目の前の"人物"が誰であるかは解らない。
解らない、が自分と同じ武器を使うというのなら、結果は火を見るより明らかだった。
先刻自分が身を以って体験したのだから。





大介「―――!!」



が、大介はその声が聞こえているのかいないのか。
速度を全く落とさずに、そのまま敵の懐に―――入り込んだ!



Mキングゴリ「!!!!」



同時に復活したキングゴリが、迫り来るグレンダイザーに気づいた。
当然迎撃するべく、野太い腕を振りかぶった。



―――ギギィィィン!!



刹那の交差。そして。





Mキングゴリ「グオオオオオオン!!」



ベガ獣は当然ながら無傷。
後方に急速離脱して行くスペイザーに、振り向きざま破壊光線を発射した。


それに易々と当たるデューク・フリードとグレンダイザーでは無い。
巧みにスペイザーを動かして敵の攻撃をかわす。

その途中。





グレンダさん「―――キャっ!!」



本調子でないグレンダが何度か体勢を崩すも、その都度。



大介「―――大丈夫かい?」


グレンダさん「あ。は……はい……!」コクン



大介が手を貸し彼女の身体を助け起こした。




グレンダさん「や、矢張り、私達の武器では……」



尚も追撃するベガ獣に対し、さしもの彼女も弱気な言葉が出てしまうが。大介は。



大介「―――いや。一つ突破口を見つけた」


グレンダさん「……えっ??」



大介がスッと指差す方向を見れば……。





グレンダさん「―――あっ!」



いつの間に付いたのであろう、キングゴリの背面には小さな十字傷が。



グレンダさん「(まさか、さっきの……)」



そう先程の交差の際大介は前面に二度、背面に二度切り付けを行っていたのだった。
無論敵の攻撃射程ギリギリの距離で。



大介「背後には強力な防御力は無いみたいだ。そこを上手く突ければ……!」


グレンダさん「(―――私、そんなの思いつかなかった……)」



思えば自分の攻撃は全て愚直に敵の正面から撃ってしまっていた。
この人と同じようにしていれば、あるいは結果は変わっていたかもしれないのに。





グレンダさん「…………」



暗く沈みそうになった彼女の手に。
大介は勇気付けるように己の手を重ねた。



グレンダさん「…………!」



大介「―――後悔するのは後でも出来る。今僕たちがやらなくちゃならない事はあの悪魔を一刻も早く破壊する事だ」






大介「この緑の大地を汚させやしない。……協力して、くれるかい?」



グレンダさん「…………」



不思議だ。
始めて会う人であるのに。
その言葉が、妙に自分の心に染み入った。

気づけば心の暗雲は綺麗に吹き飛んで。



グレンダさん「―――はい!」



力強く、頷いた。





バレンドス「―――ハーッハッハッハッハハハハ!!見たかお前達!グレンダイザーと言えど俺が作ったバリアーの前では形無しのようだ!」


ベガ兵1「(……何となく)」


ベガ兵2「(嫌な予感がするんだよなあ)」


バレンドス「やれい、メカニキングゴリよ!ここをグレンダイザー共の墓場にしてやれい!!―――ん?」


バレンドス「……奴等一体何をするつもりだ?」



背を向けて逃げていた筈のスペイザーが再び反転。
猛然とキングゴリにまた向かって行った。





バレンドス「……何だか知らんが無駄な事を。例えカラクリに気づいたとはいえ易々と背後は取らせんぞ」



メカニキングゴリの背面が弱いのは百も承知だ。
もしそこを狙おうものならマザーバーンによる砲撃で一瞬で塵にしてくれる。



バレンドス「くっくっく……さあ来いデューク・フリード…………!?」





何を思ったか。
突如グレンダイザーが。
持っていたダブルハーケンをメカニキングゴリに向けて……投げた。
弧を描くようにして飛ぶソレは、容易くキングゴリの装甲を―――。

破壊せしめるモノでは、なかった。



Mキングゴリ「グオオオオオオオオン!!」



それがどうしたとばかりに腕を振るい、逆に易々とハーケンは弾き飛ばされてしまった。





バレンドス「ワーッハッハッハッハ!!何だソレは!何かと思いきやヤケにでもなったか!!」



更にはスペイザーから降りたグレンダイザーは、メカニキングゴリに向かって格闘戦をしかけた。
が、怪力無双のベガ獣に、如何なグレンダイザーといえ勝てる道理など無く。
がっぷり四つに抑えられ、身動きが取れなくなってしまう。



大介「むぐ、うううう……!!」



大介の表情が苦悶に歪む。
さもありなん、相手は嘗てグレンダイザーの腕を紙粘土のように引きちぎった相手だ。
そんな敵に格闘戦など、本当に大介……グレンダイザーはヤケになってしまったのだろうか。





バレンドス「ようしいいぞメカニキングゴリ!そこだ、やってしまえい!!」



いい気分だ。
漸くあの忌々しいグレンダイザーの最後の時が見れそうだ。
あそこからメカニキングゴリに致命傷を与えられる武装は無い。顔面攻撃をしようにも両腕は塞がっている。
ヤツの主武装のダブルハーケンも頼りなく空中に放り出され……。

……空中だと?

そこでバレンドスはハッとなった。




バレンドス「―――待てよ、あの小娘とスペイザーは何処に行った!?」





レーダー主に探させようとしたその時だった。



バレンドス「…………!!!」



モニターの向こうに、キングゴリの背面に回ったスペイザーと、その上に乗ったグレンダの姿。
彼女は力強く両腕を掲げ、叫んだ。





グレンダさん「―――反重力……ストオオオオオオオムッ!!」






それは言わずと知れた。グレンダイザーの胸部から発射される重力光線である。
しかしその目標はキングゴリではなく。

その遥か上空に弾き飛ばされた、グレンダイザーのダブルーハーケン……!



バレンドス「い、いかん!!メカニキングゴリよ、直ちにそこから離れるのだ!!」



相手の狙いが何なのか。気づいたバレンドスは即座に指令を送るが、最早手遅れだった。

反重力ストームにより通常の何倍もの速度で落下したハーケンは……。

グレンダイザーを押さえつけているキングゴリの背面を、打ち貫いた。





Mキングゴリ「ギャオオオオオオオオン!!??」



その一撃で、拘束が緩んだ―――。



大介「(今だ―――!)」



即座に背面へと移動した大介は、両角に雷のエネルギーを収束させ―――。
キングゴリに刺さったハーケンめがけてソレを開放した。



大介「スペース、サンダァァァァァァァァ!!」





今度は弾き返されず、長物を伝って流れた雷撃はベガ獣の内蔵器官をショートさせ……爆発。



バレンドス「おおお―――っ!?」



閃光がマザーバーンのブリッジを白く埋め尽くし、こうしてはならぬとバレンドスは。



バレンドス「おのれぃ、デューク・フリードめ……撤退、総員撤退だ!!急がぬか!!」


ベガ兵2「は、はい只今!!」


ベガ兵1(だから嫌な予感がしたんだよなあ……)」





光の尾を引き、マザーバーンは空の彼方へと飛び去った……。

そして。



大介「―――またも逃げたか、バレンドス……」



大介はハーケンを回収し、宿敵の逃げた空を苦々しく見詰めた。
そんな彼に。



グレンダさん「―――あ、あのぅ……」


大介「―――ん?」





大介が振り向くとそこにはスペイザーから降りていたブロンドの少女。



大介「(彼女が……そうか……)」



頭部の形状と反重力ストームを容易く操った技量といい。
しかもセンサーに反応があるのは紛れも無く"宇宙合金グレン"と全く同じエネルギーパターン。

紛う事なき自分と同じ……。





大介「(………………だが………………)」



複雑極まりない表情で呟いた。

彼女が"女性"である事それ自体ではなく。

ここに来た時に少年達から投げかけられた"あの言葉"。



大介「(………………しかし………………)」



こうしていざ目の前にしてみると、年相応の恥じらいと可憐さを持つ一人の少女がそこに居た。
……少年達の言葉を嘘と思いたくは無いが。


少女は何やらもじもじと指を交差させて。





グレンダさん「あの、お怪我は……ありませんでしたでしょうか……?」


大介「―――え?あ、ああ……僕は大丈夫だ。そういう君は?」


グレンダさん「わ、私も……大丈夫です……」



何が恥ずかしいのか、少女はそこで顔を真っ赤にして顔を背けてしまった。

―――何かぼそぼそと(わたしの……王子様……)言っているような気がするが……よく聞き取れなかった。





大介「…………………………(まあ、とりあえず)」



バレンドス達の動きは当然気になるが。
当面の敵は退けたのだから是としよう。



そして大介達はその場を後にする。

甲児君が心配だ。早く光子力町へ戻ろう。
だが、その道中で。



グレンダさん「………………//////」ジ~ッ


大介「――――――???」ブルッ!



何故か強烈な寒気に襲われたのは、気のせいだろうか?

今回はここまでです。鉄也さん煽るぅ~www
次回光子力町決着。
~それぞれの思惑~主役編

甲児:本当に女の子だよおらもうびっくりだよ。
鉄也:……正直勘弁して欲しい。
大介:(少年達の言葉は)何かの間違いだったに違いない。うん、きっとそうだ。(聖人並みの感想)

Zちゃん:……誰?……何?ドッペルゲンガー?
グレちゃん:無礼。上から目線。嫌な奴嫌な奴嫌な奴。
グレンダさん:………………ポッ///

>>次のロボット。
…………正直悩んでます。有力候補としてはゲッター1かなあ。
または…………善良な公務員にでもお出まし頂きますかね。カイザーフラグ的な意味でも。

それではこれにて

ちゃうんでっせ……大介さんはあくまでもひかるさん一筋なんでっせ……(ルビーナと死に別れちゃったけど)
鉄也さんは容赦ないけど優しさあるし。甲児?
……うん、爆発すりゃいいんじゃね?

さて投下。




―――……。




甲児「―――うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!」







Zちゃん「へっ―――!?」


あしゅら男爵『『―――な、何!?』』



背後のZちゃん、そしてホログラムのあしゅらの表情が驚愕に染まる。
何とトロスD7EXのボディが、ブースターが点火しているにも関わらず宙へと浮かんで行くではないか。
甲児はトロスの角を掴んだまま、あらん限りの力を振り絞る。





甲児「マジィィィィィン、パワァァァァァァァァァァ!!!!」



強化された機械獣が相手でも、彼の心は折れはしない。
不屈の闘志を以っていつも果敢に悪を討つ。

これが兜甲児……これが、マジンガーZ。





Zちゃん「……すごい……」





そんな彼の姿に、つい感嘆の言葉が漏れ出た。
そして。



甲児「―――いぃ……今だああああああああっ!!」


Zちゃん「―――っ!!」



その言葉に促されるように、Zちゃんは胸の放熱板をトロスに向けた。
ご存知、マジンガーZの必殺技―――。







Zちゃん「ブレスト―――ファイヤアアアアアアアァァァァァァァッ!!!」





放射された熱戦はトロスのボディを容赦なく炙る。
角を押さえられてはさしもの受け流しも使えず。
装甲が徐々に熱によって爛れて行く。





甲児「ついでにコイツも食らえええええええええいっ!!」



それだけで終わりではなかった。
両腕を使っていても尚、トロスに向けて放てる攻撃がマジンガーにはある。
それは先程Zちゃんにも使われた……。





甲児「光子力―――ビィィィィィィィィムッ!!」







今度こそ直撃したそれは装甲の弱ったトロスのボディを貫き。
内蔵火器に誘爆を引き起こした。
そして。




トロスD7EX「ガオオオオオオオオオン!!??」





断末魔の叫びと角だけを墓標の様に残し、機械獣は跡形も無く爆散した。





甲児「……ふぃ~。やあったぜ~!!」グルングルン



至近距離からの爆発に対してもほぼ無傷。
やっぱり超合金ニューZはすげえや。





Zちゃん「………………」


Zちゃん「…………やっぱ、力技じゃん」



けど、なんか―――。
嫌いじゃないな。とZちゃんは思った。





甲児「さて、後は―――」



勝利の余韻もそこそこに、甲児は今一度あしゅら男爵を睨み付けた。
だが。



あしゅら男爵『『――――――、』』



宙に浮かんだあしゅらの映像が、徐々に薄れて行く。





甲児「やいやいやいやい!あしゅら、仰々しく出てきた割に尻尾巻いて逃げ出そうってのか!?」


あしゅら男爵『『―――ふん、いい気になるなよ兜甲児!そしてZちゃんよ!!』』




あしゅら男爵『『まだ勝負は1回の表だ!!』』


Zちゃん「(それどっかで聞いた事あるような……)」




あしゅら男爵『『ココが何処だろうと我々の成すべき事は一つだ。貴様らを屠り去り、この手に世界を握ってくれようぞ!』』

あしゅら男爵『『―――必ずな……』』







あしゅら男爵『『フフハハハハハハハハハハ……!!!』』




残響だけを残し、あしゅらの姿は空へと溶け込んで行った。





甲児「……ケッ。毎度毎度似たような捨て台詞を残していきやがって」



それならこちらだってそうだ。
こんな格好になったからと言って平和を愛する心が消えた訳じゃない。
この兜甲児と、マジンガーZはいつでもお前達の野望を打ち砕いてみせらあ。

と、意気込みを新たにした所で。





Zちゃん「――――――、」


甲児「……おっと」



そういえば忘れる所だった。
見た所大した怪我はなさそうでそこは流石だと関心する。
……するが。





―――自分たちの事をどう説明したものか―――

―――それを考えるだに、甲児は頭が痛くなりそうだと思った―――





―――説明中。





Zちゃん「―――えええええええええええええええーっ!!??」






暫くして、帰還した鉄也とグレちゃん、大介とグレンダと合流した甲児は自分達の素性とここに来た経緯を話した。
結果は上記の通り、Zちゃんは素っ頓狂な叫びを上げ、グレちゃんとグレンダはお互い怪訝な表情だ。





大介「……信じられないのも無理はないかもしれない。だが、事実なんだ」


グレンダさん「ええと、それはつまり……」


甲児「あー……えっと、"平行世界の同一人物"って言った方が解り易い、のかな?」



提示してみたものの、目の前の三人娘が自分達の同一と見られるかと言ったら聊か微妙だが。
"マジンガー"という単語が共通しているのであながち間違いでもなさそうだ。





Zちゃん「"へーこーせかい"!?……って何?」


甲児「(そこからかよ!?)」ズルッ


グレちゃん「……こことは違う、極めて近いけど限りなく遠い世界の俗称」


Zちゃん「おおおー!!さっすがグレちゃん、博識ぃー!!」


グレちゃん「ゲームで良く聞く単語だし」ピース


鉄也「……下らん事は良く知っているようだな」


グレちゃん「―――ッッッ!」ギロッ!!


鉄也「……フン……」




大介「……兎に角僕らはその別の世界から何らかの理由で、ここに飛ばされて来てしまったんだ」


甲児「おまけに乗っている機体と同化しちまって今やこのザマよ。言っておくけど俺達三人立派な人間なんだぜ?」


グレンダさん「そんなことが……」


Zちゃん「あー、じゃあ。光子力町に攻めて来たあの"あしゅらモドキ"って……」


甲児「……ああ。俺達の世界のあしゅら男爵さ。奴さん俺達にこっぴどくやられちまったんでマジンガーを心底憎んでやがるんだ」


Zちゃん「なーるほど、それでかぁ……」



あれだけこちらを目の仇にしていたあの態度も頷ける。





グレちゃん「ボク達からしてみれば、いい迷惑……」


甲児「……それを言われるとよ、申し訳なさで何にも言えねえ」



町も戦火に巻き込んでしまった。
直接とは言えないが原因の一端はこちらにもある。
甲児は俯き拳を振るわせた。





Zちゃん「あー、いやいや!そんな落ち込まなくても、町が壊れるなんてしょっちゅうだし!寧ろ今回は被害少ないほうだし」


グレちゃん「今回珍しく僕達が町を壊してないし」


グレンダさん「そうねー、本当に珍しいわねー」




甲児「(……慰めてくれてんのか、な?)」
鉄也「(それは笑顔で言う事か?)」
大介「(………………、)」



町人からヘイトを受ける原因の一端を垣間見た気がした。



Zちゃん「それで、アンタ達これからどうするつもり?」


甲児「……あ~、それなんだけどよぉ。光子力研究所に行けば、こうなった原因を探れると思って……」


グレちゃん「つまり、行き当たりばったり?」


甲児「……面目ねえ」


Zちゃん「じゃあさ、じゃあさ―――!」


Zちゃん「一緒に光子力研究所で働かない!?」




グレちゃん「……え?」
グレンダさん「……!」


甲児「それは……こちらとしては、正直願ったり叶ったりなんだけどよ」


鉄也「…………まあ、この世界に来た原因も探らなきゃならんしな。更に言えば、ゴーゴン達をこのまま放置もしておけん」


大介「…………本当に、良いのかい?」



Zちゃん「それがいいよ!うん、そうしよう!!アタシ達からも弓先生にかけあって―――」




グレちゃん「ZちゃんZちゃん……」ツンツン


Zちゃん「何よグレちゃん?」


グレちゃん「………………本気?」


Zちゃん「だぁってさ、マジンガーだよ?アタシ達とおんなじだよ?面白そうじゃん!」


グレちゃん「…………………………」ジ~ッ


鉄也「――――――、」


グレちゃん「…………ボク、正直反た―――」




グレンダさん「私も賛成で~す♪」


グレちゃん「ちょっ……!?」


Zちゃん「さっすがグレンダさん話がわかるぅ~!!多数決2対1で決定~!!」


グレンダさん「うふふ♪」


グレちゃん「………………、」ゲッソリ





Zちゃん「―――と、言う訳で!ようこそ光子力町へ!!アタシはロボットガールズ・チームZのリーダー、Zちゃんで~す!!」



笑顔で握手を求める者。



グレちゃん「………………グレちゃんって呼ばれてるし」



憮然と挨拶をする者。



グレンダさん「グレンダと申します。以後お見知りおきを……」



瞳の奥に色々秘めた者。





甲児「俺は甲児、兜甲児だ。……そしてコイツ(身体)は俺の愛機マジンガーZ!」



握手に応じる者。



鉄也「剣鉄也……グレートマジンガー」



最低限の挨拶に留める者。



大介「デューク・フリード。……地球では宇門大介と名乗っている。そしてコレ(身体)は僕の故郷の守護神グレンダイザー」



全てを曝け出す者。







Zちゃん「宜しく!えっと……アタシもZだから、兜さん?甲児君?」


甲児「別に呼び捨てでも構わねえさ。好きに呼んでくれよ、Zちゃん」


グレちゃん「…………一応、宜しくだし」


鉄也「別に宜しくする言われなぞはないがな」


グレちゃん「ギギギギギギギギ……!!」


グレンダさん「宜しくお願いします。……デューク"お兄様"♪」


大介「あ、ああ……宜しく……(お兄様??)」





夕焼けに染まった光子力町で。
硬く握られた掌と掌。
本来ならば出会う事など有り得なかった、彼等と彼女等は今ここに一つとなった。
この出会いは、我々人類に何を齎すのだろうか。


例え神であっても、その運命の航路を決める事は不可能である―――。






あしゅら男爵「「―――お許し下さい!Dr.ヘル!!!」」ドゲザー




あしゅら男爵「「ロボットガールズなどというヘル様に渾名す不届き者は愚か、マジンガーZすらも始末できぬこの有様!!」」

あしゅら男爵「「最早いかなる裁きも覚悟の上で御座います!!」」






Dr.ヘル「……え?あ、ああ……」

Dr.ヘル「―――チラッ」



あしゅら(弱)、以下機械獣ガールズ「ウルウルウルウルウルウルウル……!」



Dr.ヘル「(―――ゴクリ)」

Dr.ヘル「……あー、貴様の勇猛さはこのDr.ヘル高く評価するが……!」





あしゅら男爵「「―――誠で御座いますかDr.ヘル!!」」グワッ!!




Dr.ヘル「ギャアアアアアアアアア!?」ビクッ



あしゅら男爵「「何と嬉しきお言葉、[ピーーー]と言われようと甘んじて受け入れる覚悟で御座いましたがまさかそこまでこの私めを高く買って下さっているとは……」」



Dr.ヘル「(あれ?ワシそんな事言ってねえんだけど??)」



あしゅら男爵「「こうなればこのあしゅら、今まで以上にDr.ヘル様の為に奮起しますことを再び誓い直す次第で御座います!!」」ドワォ





Dr.ヘル「―――ちょ、ちょっと待たぬか!?」






あしゅら男爵「「    何    か    ?」」グリン







Dr.ヘル「――――――、」

Dr.ヘル「―――チラッ」



あしゅら(弱)、以下ry「ウルウルウルウルウルウルウルウルウル……!!」





Dr.ヘル「――――――、」


Dr.ヘル「―――大儀である。あしゅら男爵よ、次もその調子で頼むぞ」


あしゅら男爵「「ははあーーーーっ!!!」」


あしゅら(弱)以ry「ズコーーーーーーッ!!!」




ワシにだって できることと できないことぐらい ある

―――Dr.ヘル心の句。


終わりデーーーーース!!後はやるかやらないかわからない次回予告やって終了でございます。
長々とすいませんでした。
やっぱりゲザらないとあしゅらっぽくないんでゲザって貰いました。……余り意味ねーですけど。
後グレンダさんは髪型ネタで大介さんを慕ってるだけですんで、恋愛感情とかは多分無い。無いったら無い。
鉄也さんは憎いとかそういうんじゃなくて彼なりの優しさでグレちゃんに絡んでます、マジでマジで。(神隼人理論とも言う)
甲児君はやっぱり脳筋じゃないか!と言われそうですがマジンガーの出力をフルで使ってるんでただの脳筋ではありません。……嘘です>>1の技量不足ですすいません。投下してから「あー、冷凍ビームとブレストファイアーでダイモス的なあれやそれが出来たんじゃね?」とネタが出る無能ですすいません。


それではこれにて。

予告完成したので投下しますん。

>>スレ終了。
正直迷ってます……元はRGZと組み合わせたいという欲望で立ててしまったもので……
勿論ネタはあるんですけど、書き溜めていないので今まで以上の不定期になってしまうのでそれならいっその事区切りのいいここまでにしとくべか?と思ってしまった次第なんです、はい。
……まあ、スレの規約的には悩んでも全然OKらしいのでこれからの要望次第によって、ですかねえ。。。




第2話予告(という名のプロローグ)。




―――俺が死んじまったらよ……線香の一本でも、上げてくれ……!

死ぬなんざ欠片も怖くは無かった。

それよりも、何もしないままでいる事の方がよっぽど恐ろしい。

後の事は残った奴等がきっと何とかしてくれるだろう。




―――そして、俺は光の中へ……。




―――……

――――――……

――――――…………






―――洋上。



???「―――いいかあ!野郎共!!この船に乗ったからには貴様らはクズだ、この地球上で最も価値の無いミジンコだ!!」



―――サー!船長、サー!!



船長「それじゃあ野郎共!今日もキリキリマグロを釣り上げやがれ!!」



―――サー!イエッサー!!



とある漁船。
晴天の海の最中において、本日も漁業に勤しむ船長とその部下。(※RGZ第3話参照)
そして。





船員1「船長!早速一匹かかりやした、サー!!」


船長「おお、デカしたぜ!そのまま一気に引き上げっちまいな!!」


船員1「ぬうおおおおおおおおおおっ!!」



気合一閃。
見事獲物は船の甲板に打ち上げられた。
ゴドン、という重い音が辺りに響き渡った。
この音ならばきっとデカいマグロに違いないと、船員達がこぞって確認しようとして―――。





船長「―――……なんだこりゃ」



呆けた声が船長から漏れた。
ゴロリと転がる物体はマグロでなければ魚類でもなかった。
ボロ雑巾のような"紅い布"に包まれた―――……。


それから、数日後……。


プロローグ終了。そして舞台は光子力研究所(RGZ)のその後に続く……みたいな?

ちなみに早乙女博士は出てきません、念の為。出てくるのは……。

まー、それもこれもこれから先どうするかによってなんですが。
それではこれにて。

>>1はギャグもシリアスもどっちも好みの文書くから続けてほしいなぁ
マジンガーへの愛も感じるし
今まで書いたSSがあるならそれを読むから教えてください

もういいや きのすむまで やってしまおう
―――>>1心の句。

……とはいえ本当書き溜めてないので遅くなります、と今から言い訳。

>>286
今回が初なんですよ一応。
ありがとうございます。




―――光子力研究所。



Zちゃん達からの推薦(という名の一方的な要望)もあって、甲児、鉄也、大介の3人は無事この世界の光子力研究所の所属となる事が出来た。
その、最大の要因としては。



弓「(光子力で動くロボット……ハァ、ハァ、分解してみたい……)……勿論、OK」


甲児「(こっちの世界の弓教授って雰囲気がなんか独特だな……)」



兎にも角にも弓教授の鶴の一声で認められた訳だが。
ここで、甲児達は知る事となる。

……自分達の置かれた"立場"という物を。




この世界においての光子力の世間一般の認識としては、1も2も無く本来の(甲児達の)世界のような"クリーンなエネルギー"のイメージから程遠い印象が植えつけられてしまっている。
当初、甲児達をその見た目を生かすべく、光子力研究所のマスコットキャラクターとして世に打ち出したのだが……。

受け入れられる所か、話を聞いて貰う事すら困難であった。

と、言うか人によっては光子力の名を聞いただけで卒倒したりする始末。

原因は紛れも無くあの三人娘の所業であり、甲児達は何も悪くは無いのだが……。

根っこの底から正義側である彼等にとって、このまま放置しておいて良い問題ではなく。
居候的な立場からも役に立たねばと奮起した甲児達は……。





甲児「―――ドリルミサアァァァァァイルッ!!」



ズ┣¨┣¨┣¨┣¨ドド!!



作業員「おお、岩盤が開通した!すまねえな、兄ちゃん!!」


甲児「へへっ、どんなもんだいってね!」



ある時は工事現場の手伝いを。




―――……



強盗1「―――ひいいいいいいいいいっ!!!」


強盗2「あんな強え警備員が居るだなんて聞いてないぜえええええ!!」


鉄也「―――アトミック……パァンチッ!!」


強盗'S「「うわああああああああああああああぁぁぁ……!!」」



鉄也「……連行して行ってくれ」


警官「はっ!いつもいつもご苦労様でアリマス!!」


鉄也「………、」



ある時は不届き者を成敗し。




―――……



母親「―――きゃあああぁ~~~っ!!誰かあっ!!子供が川に……!!」


子供「うわああん、うわああああん!!」


大介「―――反重力……ストオォォォォォォォム!!(弱)」


子供「うわあああん……あれ?」フワァ~


母親「ああ、坊や……坊や!!」ヒシッ


大介「無事で何より……大丈夫だったかい?」


子供「ぐすっ、うん……ありがとう」


またある時は人命救助を。

その甲斐あってか……。


『毎週発行・光子力町ウィークリー』

題名:またもやお手柄!マジンガーチーム!!

・ある時から光子力研究所のマスコットキャラクターとして作成された三人組のロボットチーム(※表向きです)。
当初は前身であった"ロボットガールズ"が引き起こした懸念もあり、町民達からは不安の声が上がっていたが……。


「え。マジンガーチーム?いいと思いますよ、何しろ町のあちこちで役に立っているみたいですしね」(会社員・男性)
「あの兄ちゃん達は働き者でねえ。納期遅れの仕事の時はいつも大助かりだよ」(建設作業員・男性)
「どうも、この度は息子を救っていただいて……」(主婦・女性)
「率先して犯罪者達を相手取ってくれるので、警察としてはもう形無しですわ」(警官・男性)


このように、今では押しも押されぬ人気者として光子力町の発展と利益に役立っている。
次々作られるグッズは売り切れ続出で、ファンの間からは取り合いに発展してしまう事も。



「えー、誠に申し訳ありません!「超合金DXマジンガーZ~サザンクロスナイフセット~」は只今を持ちまして完売となり……。」

―――ええええ~!!
―――ふざけんなー、こっちは数時間並んでるんだぞー!!
―――グレートマジンガーセットは買えたぜ!!
―――パパー!僕グレンダイザーが欲しい!


予約は数ヶ月待ちとなっている物もあり、現在供給の為に光子力研究所所員一同急ピッチで安定供給に努めているそうな。
正直光子力の研究はどうしたと言いたくなるが、研究費捻出に困っていた研究所からしてみれば、嬉しい悲鳴と言った所であろうか?




それに引き換え……。

題名:またもやお騒がせ!?ロボットガールズZ!!


・こちらは相も変わらずいつも通りといった有様である。
町に出現した機械獣ガールズを撃退したまでは良かったのだが……。


「あの娘達がまたやりやがった!!こちとら作業が押してるってのによお!これじゃ今日もまた徹夜だよ!」(建設作業員・男性)
「ペットのミ~ちゃんが騒音で寝られず円形ハゲになってしまったザマス!!責任取りやがれザンス!!(主婦・女性)
「傍から見てると愉快な面もあるんだけどねえ……こう頻発してるとねえ……」(会社員・男性)
「光子力の文字を見るだけでアレルギーが出るようになった。訴えてやる!!」(無職・男性)



こういった世間の風評に責任の一端を感じたマジンガーチームは、日夜それらの処理を一手に引き受けている。
(その為に、彼等の人気が益々上がるのだが)

これでは最早どちらが"先輩後輩"だか解らない。
いっその事、光子力キャンペーンの看板役も変わってしまっては如何か。
……などと思うのは、筆者の言いすぎであろうか?



―――了。



Zちゃん「―――ふぬおおおおおおおぉぉぉぉぉぉ……なんじゃあこりゃああぁぁぁぁぁ……!!!」



本日発刊された新聞を持つ手がプルプル震え、あっという間にしわくちゃになった。



グレちゃん「……これらの件に関して弓所長は"ノーコメント、彼等の自主性に任せております"……だって」


グレンダさん「目茶目茶に書かれるのは何時もの事だけど、今日は特に酷いわねえ……」チョキチョキ


グレちゃん「……比較対象が出来ると、低い方はど~したって一層ボロく見えちゃう理論……何してるのグレンダさん?」


グレンダさん「それはねぇ~、デュークお兄様の活躍をこうしてああして……スクラップにしてるのよ♪」ジャ~ン


グレちゃん「マメだねグレンダさん……」


グレンダさん「もう2冊目に突入しちゃったの♪」

グレちゃん「いや聞いて無いし」



Zちゃん「このままじゃいか~ん!!!日々が面白くなるかと思ってお招きしたは良いけど、軒を貸して母屋を乗っ取られる事態に!!??」


グレちゃん「別に乗っ取るつもりとかはないんじゃないの?」


グレンダさん「私はお兄様と一緒に居られればそれで……」


Zちゃん「二人共のんびりし過ぎだよぉ!!このままじゃ先輩の威厳ガタ落ちじゃ~ん!!」


グレちゃん「(……威厳、あったんだ……)」


※元からそんなもんありません。



Zちゃん「―――こうなったら仕方無い。今から面と向かってバシッっと言っちゃる!!」


グレちゃん「……何言うの?」


Zちゃん「先輩としての上下の差をきっちりかっちり!!!」


グレンダさん「(もう意地になっちゃってるわねぇ~……)」


グレちゃん「(面倒くさいなあ……)」




―――光子力研究所・食堂。




Zちゃん「―――たのもー!!」


甲児「……おろ?Zちゃん達じゃねえか。ビラ配りの仕事はもういいのかい?」


Zちゃん「そんなことよりも!」


グレちゃん「("そんなこと"呼ばわりしちゃったよ……)」


Zちゃん「兜甲児!今日はアンタに言いたい事が………………何してんの?」




甲児(エプロン着用)「へへ~。寝床を貸して貰ってんのにそれだけじゃ研究所の人達に申し訳がたたねえからさ……」

甲児「暇な時はこうして人手が足らない部署の手伝いしてんのさ!」



グレちゃん「(…………良い人だ…………)」チャントハタライテルノニ


グレンダさん「(…………良い人ですねえ…………)」チョットホロリ




Zちゃん「……アンタ、料理出来んの?」


甲児「"向こう"じゃ光子力研究所の世話になる前はお爺ちゃんと弟の三人暮らしだったからな。このくらい文字通り朝飯前だぜ!」


Zちゃん「へぇ~……どんなのが出るの?」


甲児「注文してくれんのかい?」


Zちゃん「もうじきお昼だし、実はお腹ペコペコで……」グゥ~


甲児「いよっしゃあ!ちょっと待っててな!!」


Zちゃん「うっはぁ~!楽しみ~!!行こ行こグレちゃん、グレンダさん!!」


グレちゃん「……………………、」


グレンダさん「……何しにここまで来たんでしたっけ?」



―――今日も光子力町は平和です。

これまでです。正に人徳ですわ。(人気的な意味で)

ちなみに他の人の空いた時間は、大介さんは内勤。鉄也さんはトレーニング。適材適所。

ま、待ってくだされ……!>>1は「火急の事件にいつでも対応出来るように」というプロ意識でトレーニングと記載したんですぜ!!
別に研究所内でニートやってるとかそういうワケじゃあないんですぜ!
……でもグレート本編でも休日にバイク乗り回したりとかして、結構自由人だったなー鉄也さん……。

もしかすると、鉄也さんにそんな茶目っ気が出来たのも当時の「ストイック過ぎて子供達に共感されない」といった大人の事情の可能性も微レ存……?

そんなわけで投下です。

―――今日も光子力町は平和。


―――と思っていたのかぁ?




―――地下帝国・基地。








あしゅら男爵「「―――ふっふっふっふっふ……」」

あしゅら男爵「「ふうっっふっふっふっふっふっふ……!!」」




ベルガスV5「な~にを笑っていらっしゃるのかしらあの白粉鉄漿上司さんは?」
グロッサムX2「最近暑いからとうとう頭がイッちゃったって感じ~?」



―――ケラケラケラケラケラ……!



あしゅら男爵「「―――ふん!(バードスの杖を振りかざす)」」



―――しびれびばばばばばばばばば!!??



あしゅら男爵「「聞こえておるぞ貴様ら……!」」ギロッ


ベルガス&グロッサム「「ひいいいいいい……!」」ブワッ




あしゅら(弱)「ま、まぁまぁまぁ!男爵様、先程から何がそんなに上機嫌なんです?私とっても気になっちゃいますぅ」



ガラダK7「―――あしゅら様、よっくあんな奴と会話できるよな……」


ダブラスM2(左手)「"私が犠牲になれば、他の子たちに危害が及ぶのがぐっと少なくなるから……"って言ってたの」
ダブラスM2(右手)「上司の鏡なの……」


鉄仮面1「ほんと、すいませんねえ。ウチの上司が……」


鉄仮面2(左手、手製のブロッケン人形)「あんなんでも俺らを拾ってくれたんで一応恩義があるの」
鉄仮面2(右手、手製のピグマン人形)「横暴で陰険だけどちゃんと仕事してれば怒られないの」


ダブラスM2「~♪」
鉄仮面2「~♪♪」


ガラダK7「……お前らなんか通じあってんな……」




あしゅら男爵「「ふん、そこまで気になるならば教えてやろう」」




あしゅら男爵「「ワタシは遂に究極の生物兵器を開発したのだ!」」





あしゅら(弱)「究極の、生物兵器……ですか??」


あしゅら男爵「「……何か良く解ってなさそうな面だな……」」


あしゅら(弱)「いえいえいえいえいえ!そんな滅相もありません!!」




あしゅら男爵「「まあ、良い。兎も角コレを実践投入した暁には―――」」

あしゅら男爵「「地球上のありとあらゆるエネルギー資源が我が地下帝国のモノとなるのだ!」」

あしゅら男爵「「そして干上がった地上の人間は諮らずともDr.ヘル様に頭を垂れるしか方法が無くなる……と、まあそういった寸法よ」」





あしゅら(弱)「そ、そんな……」


あしゅら男爵「「ふっふっふ……驚きの余り声も出ぬか??」」




あしゅら(弱)「―――そんな、まるで悪人みたいなことをしようだなんて……」ワナワナ





あしゅら男爵「「我等は根っからの 悪 人 だわこの戯けめ!!」」バシッ




あしゅら(弱)「ああっ、痛い痛いです男爵様!!」


あしゅら男爵「「……もう良いわ。至急、マザーバーンのバレンドスめに連絡を取れい!!」」







―――ブウゥン……!



バレンドス『―――あしゅらか。そろそろ連絡してくる頃だと思ったぞ』


あしゅら男爵「「バレンドスよ。早速例のモノを……」」


バレンドス『まあ、あしゅらよ。そう話を急ぐ事はなかろう』


あしゅら男爵「「……?」」




バレンドス『空を見てみろ。雲一つ無い青空を見ると、何とも心が晴れやかになるとは思わんか?』


あしゅら男爵「「全く思わぬ。それよりも先に例のモノを……」」


バレンドス『まあまあ、急いては事を仕損じると言うではないか。ベガ産の茶葉があるのだが如何かな?何なら着払いで送ってやるぞ』




あしゅら男爵「「要らぬわ!!というか先刻から何だやくたもない話をつらつらと!!」」

あしゅら男爵「「いいから、とっとと、例のモノをこちらに寄越さぬか!!!」」



あしゅら男爵「「貴様が"生物養殖ならばベガ星の技術に任せておけ"と啖呵を切ったから"アレ"の扱いを任せたのだぞ!!」」

あしゅら男爵「「貴様……四方や失敗したのではあるまいな!!」」





バレンドス『何を言う!ベガ星の技術は宇宙一だ!!ただな……』


あしゅら男爵「「……"ただ"ぁ?ただ何だと言うのだ?」」



"ただ"というフレーズの前後に、バレンドスの表情が曇ったのをあしゅらは見逃さなかった。
何か、嫌な予感がする。

その数刻後―――……





あしゅら男爵「「―――この大戯けがあああああああああああああああああああああああああ!!!」」





基地内部にあしゅらの怒声が木霊した……。





―――光子力町。




本日は晴天及び波高し。
燦々と照りつける太陽の下で。
ある"一人の少女"が歩を進めていた。



???「あっついですわねぇ……!今年は冷夏と聞いていたのですけれど、こんなに日差しが強いと珠のお肌が黒焦げ……ブラックなんちゃらになってしまいますわ」

???「早乙女博士が"光子力研究所"に後れを取るわけには行かないなんて妙に対抗意識を燃やすもんですから、面倒くさい握手会なんてさせられましたけど……」



そして懐から取り出すは一枚の紙。
それはZちゃんも今朝方見ていた光子力町ウィークリーの見出しであった。



???「それにしても、光子力研究所にこんなロボットを造る予算があったなんて……意外ですわね」



※くどいようですが、甲児達は表向き光子力研究所製の高性能ロボット扱いです。





???「下々の事には興味はありませんけど、ライバルの視察くらいは乙女の嗜みとして当然―――」



―――ドンッ!!



???「あらっ……?」



何か柔らかいのに当たった感触に、思わず少女は新聞に集中していた顔を上げた。
すると。





男1(どう見ても顔が"アッチ"系)「……ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……」
男2(どう見てもry「……ドドドドドドドドド……」





???「…………、」

???「大したことなさそうですわね。申し訳ありませんがワタクシ用事がありますのでごめんあそばせ」クルッ!


男1「おうごらぁ!てめぇごらぁ!!そんなんですむとおもってんのかごらぁ!!」

男2「てめ兄貴にぶつかっといてんな挨拶で通り抜けるなんざ無礼もいいとこだぞこらぁ!!」


???「……あら、ワタクシちゃんと謝罪したじゃありませんか。まだ何か御用事?」


男1「そんたいどがはらぁたつっつーんだぁよごらぁ!!」

男2「人に謝る態度じゃねーって兄貴がおっしゃってるぜこらぁ!!」




???「……はぁ」



面倒臭いですわね。
こういう事は執事に任せるのが一番なのだが、3人共それぞれ自分が命令した用事を遂行しており今は誰も控えていなかった。



???「(野蛮な事は嫌いなのですけれど)」



呟き、懐から獲物を取り出そうとして―――。



男1「いーででででででででででででででで!!!」

男2「あ、兄貴ぃ!?」


???「……?」





突如、チンピラその1が痛がりだし、ジタバタとみっともなく足をバタつかせた。
見れば、彼の腕が背後から伸ばされた"何者かの手"によってがっちりと抑えられていた。
舎弟のチンピラその2がそれに気づき、後ろを振り向いた。



男2「おうおうおうおうおう!突然なんばすっとかて―――め、え……!?」



そこに居たのは強い日差しにも関わらず、前身を"真っ赤なコート"でくまなく包み込んだ"何者か"が。
フードも目深に被られており、顔立ちは愚か目線すらも読めぬ有様。
コートから伸ばされた手もこれまた"真紅の手袋"という念の要り様だった。







赤コート「―――何しやがるはこちらの方だってえの。男二人がかりでこんなカワイコちゃんを白昼堂々襲うなんざ太え野郎だ」





珍妙な見た目に反して、その口から発せられた言葉はきっぷのいい口調だった。
声の質感から鑑みて男性の、それもかなり屈強な男を連想させる低い声。



???「か、カワイコちゃん……!?」



粗野な物言いに反して出た言葉に、少女は何故かドキリとしてしまう。



赤コート「ケーサツの厄介になるか、今ここでオイラにやっつけられちまうか。好きな方を選ばしてやるぜ?」グキリ


男1「あーーーーーーーいでええええええええええ!?折れる折れちまううううううう!!」


赤コート「馬鹿言いなさんな。この程度で折れるほど人間の身体はヤワには出来ちゃいないっての!」


男2「て、てめええええええええ!!やっちゃうよ!?やっちゃうYOもう!!」



少女の反応はさておいて、チンピラからしてみればここまで言われては引き下がる事は出来ない。
……最も。





それが一番この場でやってはいけない事だったと、彼等が自覚した時には既に手遅れであった。





赤コート「……なーんでえ。口程にもねえやつらだぜ」パンパン


男1「―――いて~よ~いて~よ~おか~ちゃ~ん……」プシュ~
男2「―――もうわるさしねえだよおらもうくにさけえるだよ~……」ピクピク



勝負は一瞬どころか、端から土俵が違っていた。
赤の男はチンピラその1を捻った腕ごと投げ飛ばし、返す刀でチンピラその2も組み付いて地面へ叩き付けた。
見る者が見れば、達人級の実力を持っている事が解る。それ程の動きだった。





???「………………、」



余りに一瞬の出来事に、少女はただただポカンとするばかりであったが。



赤フード「よお、怪我はなかったかい?お嬢ちゃん!」


???「え?あ……?は、はい……ありがとう、ございます……」



状況についていけず、ついそっけない口調になってしまう少女であったが。
赤フードはそれに気を悪くした様子も無く。





赤フード「……おりょ。お壌ちゃん怪我してんじゃねえか」


???「……えっ」



見れば確かに指先にうっすらと血が流れている。
最も、チンピラによって付けられたモノではなく、ただ"獲物"を握る場所を一寸誤ったというだけで。



赤フード「ちょいと待ってな。(ビリリッ!)……ほい、これで大丈夫だぜ」


???「あ……」



徐にその指を取ると、彼は手馴れた動作で己のローブの端を切り取り、それを少女の指に巻いた。





赤コート「そのまんまじゃあアレだから、帰ったらきちんと消毒しなよ……じゃ、アバヨ!」


???「……あ。ちょ、ちょっとお待ちになって―――!!」





少女が赤コートの男の名前を尋ねようとした時……既にその姿は掻き消えていた。





???「………………、」



じっと指を見る。
本来ならばこんな汚らわしい布なんて、願い下げなのに。
でもどうしてだろう。
どうしてか、あの人の手を払い除ける事が出来なかった……。






―――布が巻かれた指先だけが、じんわりとした熱を帯びていた―――






赤コート「―――たはー、いけねえいけねえ!明日の漁の道具を仕入れなくっちゃならねえのに、道草食ってたら船長に怒鳴られっちまうよ!」

赤コート「(……でも、あのお嬢ちゃんどっかで見たような気がするんだよなあ……」



―――バサッ!!



赤コート「……うわっぷ!!……なんだこりゃ、新聞か?」



彼の顔面に飛んで来たのは、先刻の少女が見ていたのと同じ新聞……光子力町ウィークリー。



赤コート「えー……何々……こ、こりゃあ……!?」





そこに記載されていた見出しの一つが目に留まった瞬間。
手の中の新聞が勢い余ってグシャリと潰れた。


途中いくつか「赤フード」と記載されておりますが、正しくは「赤コート」です、申し訳ありんせん。(良く確認しないから……)

最早完全に嫌な上司キャラが板についてきちゃったあしゅら男爵。
そしてオチ役としては申し分ないバレンドス。
……あ、ごめんなさい。ゴーゴン大公は次回からなんですよ……。

そしてそんな彼等が利用しようとする"アレ"とは?赤コートの男と少女の関連性とは?
次回、またこのSSスレにパイルダー・オーン!!

……それではこれにて。

この赤コートってまさか新ゲの…?

新ゲってただでさえ危険なゲッターの中でもトップレベルのヤバさだが大丈夫か?

>>340>>341
新ゲ……?ノー、新ゲダメデス。新ゲジャナイデス。

ちょっと難航しております。が、途中まで投下致します。

ゴッドマジンガー……火星……素晴らしいもの……ウッ、頭が……



―――光子力研究所・食堂。




Zちゃん「―――ぷは~!食った、食ったぁ!!ごっつぉさん!」


甲児「はいよー、お粗末ー」


グレちゃん「……結局3杯も食べてるし」


グレンダさん「でも本当に美味しいわ、このコロッケ♪」ホクホク


甲児「そいつは揚げ方にコツがあってな。まず油を……」



和気藹々と食事に勤しむ甲児とチームZの面々。
だが。



―――バタム!



食堂の扉が大きく開け放たれ、中に入って来たのは……。






大介「甲児君、Zちゃん達も。こんな所に居たのか!」



大介であった。
しかも余程急いできたのであろう、肩で息をしており多少呼吸が荒い。



甲児「大介さん?どうしたんだよそんなに息を切らせて。まさか何か―――」


グレンダさん「―――何か事件ですかお兄様!!」ズイッ!


大介「……あ、ああ。事件と言えば事件なんだが……兎に角皆、メインルームに来てくれ」



大介に促されるまま、一同は研究所内部の中心。
文字通り心臓部であるメインルームへと集まった。
他の研究員への挨拶もそこそこに、大介は手前のモニターを慣れた手つきで操作し始めた。





大介「このモニターは町内の防犯カメラにも接続されていて、有事の際はカメラの映像をここに転送させる事も出来るんだ」カチャカチャ


Zちゃん「へぇー。アタシ達結構長い事ここで働いてるけどそんなモノ全然知らなかったよ」

グレちゃん「……初耳」

グレンダさん「そうですねー」


甲児「(……そりゃZちゃん達に教えるとロクな事に使わなさそうって思われてるんじゃねえかなあ……)」



或いはもっとドストレートに彼女の達への監視用とか……。
いや、敢えてここでは言及すまい。





大介「……よし、画像が来た」



―――ブウン!



点灯したモニターに目を向けると、そこには。



グロマゼンR9「―――、」

キングダンX10「―――、」



バランガM2「―――、」クネクネ

ホルゾンV3「―――、」パカパカ



Zちゃん「あああーっ!!地下帝国じゃん!!」


グレンダさん「しかも、かなりの人数ねえ……」


グレちゃん「でも位置が皆バラバラ、何やってんだろ?」





モニターの中の機械獣ガールズは、何やらそこらの石ころを引っくり返したり住宅の庭木をガサゴソいじくったりと、まるで何かを探しているようであった。
更にはグレちゃんの言うように、町の中心部、郊外、住宅街……等々。
出現箇所がまばらで、光子力研究所を襲ってくる様子も無さそうだった。



甲児「……まさかまたあしゅらの野郎が何か企んでいやがるんじゃないだろうな?」



あれからあしゅら、ゴーゴン、バレンドスの三人が再び光子力町に攻めて来る事は無かったが、それ故にその静寂が不気味だった。
もしこの機械獣ガールズの大量出現がヤツの企みの第一歩だとすれば、決して見過ごせない



大介「とはいえ、向こうの出方が解らない内は迂闊な事は出来そうもない。さて、どうするか……」





―――それなら、コイツ等に聞いてみたらどうだ?






甲児「―――鉄也さん!?」


グレちゃん「(い、いつの間に……)」



声のした方を振り向けば、そこには遅れてメインルームに入って来た鉄也の姿。
……しかも、何やら手ぶらでは無いようで。

両脇に大小合わせて二つの、手足の生えた"何か"、を抱えていた鉄也はそれを床に優しく降ろした。



ガラダK7「―――あ、ども……」
ダブラスM2「―――こんにちは~、なの……」



Zちゃん「……あ。あしゅら(RGZ)の御付の2人じゃん」


グレちゃん「……何でこんな所に居るの?」


グレちゃんの指摘に、鉄也は鼻の頭を掻きながら。「それはだな……」という前置きで口を開いた。





―――事の始まりは数刻前。





―――光子力町・商店街。





ガラダK7「―――おーい!隠れてないで出てこおぉ~~~~~~い!!」


ダブラスM2(左手)「今なら美味しいオヤツもあるの」
ダブラスM2(右手)「早く来ないと無くなっちゃうの」



―――シ~~~~ン…………



ガラダK7「………………見つからねえなあ」


ダブラスM2「………………見つからないの」


ガラダK7「だあああああああっ!暑い!面倒くさい!オマケにもう一つ暑い!!」

ガラダK7「大体あの陰険野郎も陰険野郎だ!!」




―――……


あしゅら男爵「「貴様達に火急の命令を伝える!機械獣軍団総出で紛失した生物兵器を探し出すのだ!!」」


ガラダK7「……あのー。一ついいっすかー?」


あしゅら男爵「「何だ?」」


ガラダK7「"生物兵器"ってだけじゃ解り辛いんでその……何か特徴とかって無いんすかね……?」


あしゅら男爵「「……それはだな……」」


―――……




ガラダK7「―――"雑食性で高カロリー高エネルギーのある所なら居るかもしれん"ってなんじゃそりゃああああああ!!!」

ガラダK7「オマケに姿形とか尋ねても"……解らん"の一言で切って捨てやがって!!あの男女真面目に捜させる気があんのか!?」


ダブラスM2「……"くねくねしてて狭い所に潜り込んでるかもしれない"とも言ってたの」


ガラダK7「それも情報殆どNEEEEEEEEEEEじゃねえかYO!狭い場所なんてこの地球上にどんだけあると思ってんだよ!!クネクネしてるのはウチのM女だけで十分だっつーの!!!」





―――クシュン!



バランガM2「……あぁらぁ~。誰かが、私の噂話をしてるみたいぃ~!バランガ人気者で困っちゃうわぁ~!」クネクネ


ホルゾンV3「いいから真面目に探してよバランガ……あっついあっつい……」


※バランガM2、機械獣ガールズ1"M"な女。





ガラダK7「……はぁ。アタシ何かもう疲れちったよ」


ダブラスM2(左手)「お腹も減ったの……」グゥ~
ダブラスM2(右手)「もうじきお昼なの……」


ガラダK7「あー!!止めだ止めだ!!!やってらんないよこんなの!ダブラス、今から美味いモンでも食いにいこうぜ!」


ダブラスM2「……でも、他の皆も探してるのに怒られ無いノ?」


ガラダK7「ま、まあちょっとは悪いかな~とは思うけど……腹が減っては何とやらって言うじゃん?」

ガラダK7「大体あの陰険男女が言うような作戦なんて成功するとはとても思えないし、何を血眼になって探そうとしてるのか知らないけど夢物語も大概にしろって感じだよ」






―――作戦とは何の事だ?





ガラダK7「あ?ああ、何かあの陰険上司が言うには"地球上のエネルギーを全て我らの物にする"とか何とか、笑っちゃうよな」


ガラダK7「まあんな事より今のアタシ達は昼食を取るのが急務なのだ。っつー訳で行こうぜダブラス……」


ダブラス「~~~~~~~~っっっ」プルプルプル


ガラダK7「……?どうしたんだよ、んな震えて」


ダブラス「―――!―――!!―――!!!」


ガラダK7「え?何、"後ろ後ろ!"?……後ろに何が、あるのさ―――」





―――さっきから何やら面白そうな話をしているな。











鉄也「―――俺も混ぜて貰おうか」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……

※町内パトロール中でした。


しらなかったのか せんとうのプロからは にげられない。

話が一段落したら「何故グレンダさんが大介をお兄様呼ばわりするか?」なタイトルの閑話休題を致します。

それではこれにて。

ありゃ!?トリが外れてしました……。>>349から>>361までは>>1です、どうもすみません……。

なんかクイズみたくなってる……!?ええと、後数投稿で正体は判明しますがもう少々引っ張ります……。

それでは本日分。




―――事情説明終了。



鉄也「……と、言う訳だ」


大介「それでここまで連れて来たのかい?」


Zちゃん「ええー、女の子脅して連れてきたの!?鉄也さん、サイテー!」

グレちゃん「……サイテー」(※ここぞとばかりに攻勢)

グレンダさん「最低ですねー」


鉄也「……誰も脅してなぞいない。俺はただ、取引を持ち掛けただけだ」


Zちゃん「取引?」





ガラダK7「……付いて来れば美味しいコロッケをご馳走するって言われて……」テヘペロ

ダブラスM2「作戦を話してくれれば更にケーキも付けるぞって言われたの♪」ニパー



グレンダさん「…………安い取引ですね」


甲児「(流石の鉄也さんと言えど女と子供には形無しだよなあ)」

グレちゃん「(ケーキ、いいなあ……)」


大介「だが、君達……あー、何と言うか……話して貰って、本当に良いのかい?」


ガラダK7「あー、いいのいいの。アタシ達男爵様(RGZ)には忠誠誓ってるけどあの陰険女男には願い下げだし」

ダブラスM2「……すぐ痛いのしてくるし、正直嫌いなの」


甲児「………………、(あしゅらの奴、人望無えんだなあ……)」



まあ、この世界でもあの尊大な態度のままだというならさもありなんだが。





大介「……じゃあ、早速で悪いんだがここに居る全員にその"作戦"とやらの内容を話して貰えるかい?」


ガラダK7「ああ、解ったよ。ええっと、確か―――」



ガラダはとつとつと、基地であった出来事を話し始めた……。



ガラダK7「……っと言う訳なんだよ」


甲児「…………」
鉄也「…………」
大介「…………」

Zちゃん「…………」
グレちゃん「…………」
グレンダさん「…………」


ガラダK7「な、何だよぅ。言っておくけど、アタシ嘘なんか言って無いからな?」




鉄也「……どう思うね?」


大介「この様子だと、確かに嘘を言っているようには見えないな」


甲児「……に、しても"地球上のエネルギーを全て"奪い取るとはまた大口叩きやがったなあしゅらの野郎」


Zちゃん「大体そんな事本当に可能なのかな?」

グレちゃん「……怪しい」


ダブラスM2「ほ、ほんとにほんとなの!あの人確かにそう言ってたの!」


鉄也「……それを可能とするその"生物兵器"とやらの詳細、もっと詳しい事は解らないのか?」


ガラダK7「って言ったってなあ……あの陰険野郎。大事な事は殆どアタシらには話さなかったし……」

ダブラスM2「……あ!」



ダブラスは何か思い出したかのように大声を上げた。






ダブラスM2「そう言えば、あの人"海に多く人員を割く"とか呟いてた気がするノ!」


鉄也「海に?」


Zちゃん「そう言えば水中用の……ポセスとかの姿が見えないね」


大介「海とは……また盲点だったな……」



流石にそこまでは研究所のモニターを伸ばす事は出来ない故、チェックから漏れ出るのも致し方無かったと言えよう。



甲児「さて、あしゅらの悪巧みが解った以上、このままにゃあしておけねえな」


大介「ああ、バレンドスの奴も関わっているのだとすれば、その生物兵器の恐ろしさは計り知れない」


※だが不注意で逃がす。


鉄也「問題は……彼奴らよりも先にそれを見つけなければならない、という事だが……」


甲児「更に言うなら、例え見つけたとしてもんな危険なモンだったら人手が無いとマズいってこった」


大介「だとすると、僕達全員で行く事になる、か」




Zちゃん「……で、探すつってもさ。何処にすんの?」


甲児「そりゃあ勿論海だな」


グレンダさん「その根拠は?」


甲児「……無え。強いて言えば、"勘"かな?」


Zちゃん「勘かよ!?」


甲児「完全な当てずっぽうで言った訳じゃあ無いぜ?ただ俺にはどうもあしゅらが海を気にしてるって、その娘(ダブラス)の言葉が妙に引っかかるんだよな」


大介「……確かに、多くの機械獣を向かわせているのだとしたら、それが居る可能性も高いという事か」


グレちゃん「……でも、海って言っても広いよ?どうするの?」



確かに広い、広過ぎる。
西か東か北か南か……例えその生物が居ると仮定しても場所によってはかなりの捜索範囲となるだろう。
果たしてこの人数で地下帝国を出し抜く事が出来るかどうか。





甲児「……せめて、決め撃ち出来る決定的な"何か"がありゃあなあ……」



八方塞の状況に、メインルームが重苦しい沈黙に包まれようとした……その時だった。



???「―――話は聞かせて頂きましたわ!!」



一同「―――?」



部屋中に響き渡るカン高い声に、全員が振り向いた。
するとそこには……。




―――……





"ソレ"は、仄暗い水底で目を覚ました。

何時から居るのか、何故こんな所に居るのか、"ソレ"は答えを出す思考を持ち合わせてはいなかった。

現状で、"ソレ"の心を占める感情は、たった一つの単純な事柄。



―――ハラガ、ヘッタ……―――



強烈な飢えと、それを満たそうとする欲求に突き動かされるままに。


……"手"を、伸ばした。





―――……





甲児「―――な、なんだあ……?」



思わず甲児は目を丸くした。

視覚に訴えかけるは瑞々しい薔薇のような赤色。

それが頭の先から爪先までを覆っている少女。

更には洋服のあちこちにヒラヒラのフリルまで付けており、それが空気に揺らめく度に"キラリン☆"などといふ効果音も付属されているように錯覚する始末。



Zちゃん「―――あ、あんた……」



どうやら知り合いのようで、Zちゃんは呆然とした表情で呟いた。
最も、こんなエキセントリックな格好をしている女の子なんて他に類を見ないが。



大介「……この娘も、ロボットガールズなのかい?」



大介の疑問に、紅の娘は答えた。





???「そう!わたくしは―――」



―――若い命が真っ赤に"萌えて"!

早乙女研究所が誇るお嬢様ロボットガール……ゲッちゃん!



ゲッちゃん「……と申します。以後、お見知りお気の程宜しくお願い申し上げますわ」


鉄也「……"早乙女研究所"、だと?」


大介「―――、」



何やら聞き逃すことの出来ぬ単語に、大介と鉄也の眉がピクリと跳ね上がった。
甲児もまた、"何やら見覚えのある風貌"のその少女に質問を投げかけた。


甲児「もしやと思うけど、キミ……"ゲッターロボ"って単語に聞き覚え、無いかい?」


ゲッちゃん「……あら。貴方私の事ご存知ですのね?普段は野暮ったいのでその名は余り使っておりませんの」


甲児「(……やっぱりかよ)」


鉄也「(しかしまた、なんともこれは……)」


ゲッちゃん「―――キラリン☆」


甲児「…………」
鉄也「…………」
大介「…………」



3者3様、実に複雑な表情でフリフリの少女を見詰めた。

―――脳裏に蘇るは、自分達の旧知でもある"人間達"。





甲児「(あの3人がこれを見たらさぞかし……)」



ゲッちゃんと呼ばれた少女には失礼だが、"その時"の反応を想像しかけて若干噴き出す甲児。
対して、鉄也は。



鉄也「……………………、(ゲッターロボ、か……)」



何やら神妙な表情で少女を見る。

そんな甲児達の渦巻く感情は露知らず、Zちゃんは突然現れた珍客に問うた。



Zちゃん「ゲッちゃん。アンタ一体何しに来たの?」


ゲッちゃん「ぃよくぞ聞いて下さいましたわっ!!」


グレちゃん「(……暑苦しい)」


ゲッちゃん「実はこちらを拝見させて頂いた物で……」バサリ


Zちゃん「これって……」


グレちゃん「光子力町・ウィークリー?」





ゲッちゃん「"あの"光子力研究所にこのようなロボットを造る余裕があったなんてワタクシ全く存じませんでしたので」

ゲッちゃん「少々不本意ながらも、本日はライバルである貴方がた光子力研究所へご挨拶差し上げようとした次第ですの」


甲児「……そ、そりゃどうもご丁寧に」



言葉遣いは丁寧だが、その中に妙に刺々しい口調が紛れているのは果たして気のせいだろうか?
それとも、ロボットガールズというのは皆こうなのか。



鉄也「それで?用件がそれだけなら今の俺達に関わっている時間は無いんだが?」


甲児「(……鉄也さんも鉄也さんでブレねえなあ)」



だが、鉄也の"用が無いならさっさと帰れ"オーラを意に介せず、彼女の表情は涼しげだった。





ゲッちゃん「まあまあ皆様方、"急いては事を仕損じる"という諺もありますわよ?……お前達」パンパン



その拍手を合図として。



???「「「―――ハッ!お嬢様!!」」」



いつの間にやら彼女の傍には、侍るようにして傅く三人の男の姿があった。
それぞれ、"モミアゲの長い熱血漢風"、"ロングヘアーの切れ目"、"ヘルメットを被った大男"、といった特徴的な風貌で。



甲児「…………」
鉄也「…………」
大介「…………」



何故だろう。
限りなく初対面である筈なのに、何処かで見たようなデジャヴュを感じてしまっていた。





Zちゃん「―――ああー!アンタ達!!」



対するZちゃん達は初めてでは無い。
いつだったか、彼等は嘗てミケーネの"暗黒大将軍子"と名乗った大女に敗れ捕らえられた時に自分達を救ってくれたのである。



ゲッちゃん「彼等は私の直属の執事でして、主に私の命令ならば何でも聞いてくれるのだけれど……リョウ?」


リョウと呼ばれた執事「―――ハッ!」


ゲッちゃん「お前が手に入れた情報を、今一度皆様に聞かせて頂けますか?」



熱血漢風の執事は、恭しく一例をしながら甲児達に向き直った。



執事リョウ「……わたくしはお嬢様の命令で地下帝国が原因と見られる事件を探っておりまして、その中に……―――」





―――……


―――タリナイ―――


"ソレ"は、噛り付いていた海底ケーブルから口を離しつつそんな事を思っていた。

最初は喉が渇いたので海面に映っていた鉄の箱を齧り、そこから流れる黒い蜜を啜った。

次に手足を使ってそこかしこに存在する肉類を。

時折陸に上がってはパチパチと音のするごちそうを全身で受け喰らった。

だが、それでも最近は"ソレ"の飢餓感を満たすには足りない。足らな過ぎた。


―――?―――


耳を澄ませる。

すると海上から何やらの音が"ソレ"の耳に入って来た。



「―――、―――、」

「―――!!―――!!」



自分の餌箱である鉄の塊が出す音では無い、いつも食べてる肉類が出す音でもない。

前者よりも小さく、後者よりも大きい、"何か"。

それを感じ取って、


―――…………。―――


もぞり、と。

海底にこびり付いたヘドロの一角が盛り上がった―――……。


―――……



―――東京湾





???「―――ホントにこんなトコに目的のブツがあるのかチョ~疑問だしぃ~?」


???「―――私もそれには同意クロ。けどやらないと脳味噌に電気流されちゃうクロ……」


???「ったくぅ……何なのよあの顔面オモシロ、チョ~ムカツクんですけどぉ~」



地下帝国が誇る水中用機械獣ガールズ。
その名も"グロッサムX2"と"ポセスOⅡ"。
両名はあしゅらの指示の元、嫌々ながらも東京湾の海を虱潰しに探していた。
最も。





ポセスOⅡ「でもでも、水辺なだけまだマシでクロ」



ポセスが海面に出した顔をチラリと陸地へ向けると……。



ガイアQ5「―――ゼエ、―――ゼエ、―――ゼエ、―――」



そこには、哀れにも額に汗どころか全身汗まみれになったガイアQ5の姿が。



グロッサムX2「……何でひ弱なガイアの奴があんなトコに出てくるんだっつーの」


ポセスOⅡ「何でもマグネチックパワーの応用で東京湾周辺をソナーみたく探索しろとかなんとかでクロ」



この炎天下の中を隈なく、である。





グロッサムX2「……ゲロゲロ。そんでああなっちゃ世話ないしー……あれ?トロスの奴は?」


ポセスOⅡ「トロスD7は私たちと同じく海に入ろうとして―――」


トロスD7「―――ピュ~!」(※水を噴き上げています)


ポセスOⅡ「……角が重かったんで沈んであのザマだクロ」


グロッサムX2「……マジ使えねーし」



大した成果は挙げられて居なかった。

その後ろの海面で。



―――ゴボゴボゴボゴボゴボ……。





絶えず吹き出ている泡の集合体に、果たして彼女達は気づいていただろうか?





―――東京湾・埠頭。



赤コート「……おりょ?」



気が付くとそこは船が立ち並ぶ、赤コートの男にとっては馴染み深い光景があった。
ボーッと考え事をしているに帰り着いてしまっていたらしい。



赤コート「……こいつぁ、どうにもいけねえやな」



時計を見れば約束の刻限から若干ズレていた。
……人助けをしていたので遅れた、という言い分があろうともあの気の強い船長に通じるかどうか。



赤コート「…………」



気が重い。
船長への言い訳を考える事が、ではない。
例の新聞を見てからというもの、表情の険が硬くなったままだった。



赤「……(もし……)」



―――もし、"あいつ等"がオイラの知っているあいつ等だったら……。





赤コート「……ん?」



思考はそこまでだった。
港の先では、何やら集団で人垣が出来ており、頻りに大声も聞こえていた。
……この豪快な声、紛れもない。
赤コートは急いでその集団の輪へと向かった。



赤コート「やっぱ船長じゃねえかい。一体どうしたんです?」



船長と呼ばれたツリ目の女性がくるりとこちらを振り向いた。



船長「―――ん?おお、誰かと思ったら"赤坊主"。お前かよ」


赤コート「……その"赤坊主"ってのは止めてくださいや」



……"赤坊主"というのはここでのオイラの渾名のようなモノだった。
何でも"海(で見つけた赤い)坊主"から取ってつけたとか。
引き上げられた身からしてみれば彼女は大恩人であるのだが、その渾名はどうにも慣れない。
第一オイラは坊主っていう年齢でもないし、親から貰った立派な名前があるんだけどなあ……。



赤コート「まあ、いいすけどこんなとこで雁首揃えてどうなすったんです?そろそろ出航でがしょ?」





オイラの質問に、船長は珍しく困った表情を浮かべて。
……埠頭の波打ち際を、指差した。



赤コート「……?」



促されるまま海面を覗き見て。



赤コート「……うわ、なんじゃこりゃ」



思わず唸り声を上げた。
目に入ったのはその色。
初夏の日差しを受けてキラキラ光るいつもの波はどこへやら。
墨汁を垂らしたような真っ黒いモノが一面に広がり酷い有様となっている。



赤コート「こりゃなんだ?……油か??」



据えた様な匂いからしてビンゴだろう。
船の燃料タンクから漏れたのだろうか?だがそれにしては量が異常だ。



赤コート「……まさか」



この並んでいる船体全部から―――?





船長「おめーさんの考えた通りさ、誰がやったか知らねーがヒデエもんよ。アタシ等の船もやられちまってる」

船長「―――クソッタレ!誰だか知らねえが見つけたら唯じゃおかねえぞ!!!」



憤懣やるせないという表情で船長は握り拳を固める。



乗組員1「これじゃあ今日の漁は無理そうだねや」

乗組員2「ついこないだは近所が大停電になっちまうし、どがいなっとんのじゃろのう近頃は……」


赤コート「………………、」



乗組員達の不安げな話題とはまた別の感情が赤コートの心に芽生え始める。

……本当に唯のイタズラなのだろうか?

何かが。

何かが自分の心に"妙だ"と警告を挙げていた―――……





―――東京上空。





Zちゃん「―――うっひゃあ~~~!!風が気ん持ち良いいいいいいいぃぃぃ~~~!!」



雲の間をすり抜けるように高速で飛行する物体軍があった。
その先頭……"ジェットスクランダー"を装着したZちゃんは満面の笑みで空中をくるくる回転しながら飛ぶ。



甲児「おいおいおいおいおい、Zちゃん!そんなにカッ飛ばすと危ないぜ!?」


Zちゃん「アッハハハハハ~!!だいじょぶ、だいじょぶ~!!甲児は心配性だなあ~!!」



その後ろを飛ぶ甲児は危なっかしげなZちゃんに忠告するが、当人に聞く気が無ければどうしようも無く。
更にその後方では。





ゲッちゃん「……やれやれ、脳味噌超合金の方はこれだから。ロボットガールズの品位が疑われてしまいますわ」


グレちゃん「……品位は兎も角として、何でアンタまで付いてくるの?」


ゲッちゃん「あら?事件とあらば即参上!が私たちのモットーではありませんか?それに、この情報を持ち込んだのは他でもない私の執事ですわよ?」


グレちゃん「……野次馬根性もある癖に」


ゲッちゃん「否定はしませんわ。近頃運動不足になっているのも事実ですし♪」


グレちゃん「(…………)」



脳味噌超合金はお前の方もだろ。
とツッコミたかったが、グレちゃんは言葉をグッと飲み込んだ。
そして最後尾では。





鉄也「……何をやってるんだあいつ等は……」



溜息混じりに鉄也は呟く。



鉄也「これから向かう場所は戦場になるかもしれんというのに、ピクニック気分ならば被害を被るのはこちらだぞ」


大介「……まあまあ鉄也君。妙な強張りが無いのなら、それはそれで良いじゃないか」


鉄也「しかしだな、大介さん―――」



納得出来かねる鉄也が後ろを振り向くと。



グレンダさん「~~~~♪」(BGM:宇宙の王者グレンダイザー♪)


鉄也「―――待て、待て待て待て待て」



スペイザーとドッキングした大介の上に、ちょこんと座ったグレンダ。
思わず墜落しそうになる程の脱力を耐えた鉄也は疑問を投げかける。





鉄也「……何故お前さんがそこに居る?スペイザーはどうした?」


大介「ああ、グレンダかい?何でも以前の戦闘からスペイザーの調子が良くないんだそうだ。だから今回は僕が運ぶようにしたんだ」


グレンダさん「その通りですわ、鉄也さん。それ以外に他意なんてありません。決して"お兄様の上に乗ってみたい(迫真)"だとかそんな邪な感情なんて1ミリたりとも持ち合わせておりませんので♪うふふふふふふふ……」


鉄也「……………………………………そうか」



色々と混ぜこぜになった感情を、鉄の精神力で心の奥底に封じ込めた鉄也は前を向き、これから向かうであろう戦場の思考に切り替えた。
彼は戦闘のプロである。こんな事で心を乱されるようならば、今までのミケーネとの戦闘でとっくに命を落としていただろう。



鉄也「(…………………………早く辿りつかんかな)」





そう、だからこれは、決して現実逃避なのでは無いのだ。


「常識人は時に、最大のボケ役になりかねない」:発言不詳。

鉄也さんの胃痛がまたもマッハ。

さて、さんざっぱら生物兵器のヒントみたいなのバラまきましたが、ぶっちゃけると。

"9割正解だが50%でしかない"

としか言えないんですよこれが。石投げられそうになるトンチですが、本当に単純です。>>1はそんなに複雑な設定なんて考えられません、子供時代のワクワクを形作るだけで精一杯でございます。

としか……。

それでは本日はこれにて。

次回、決戦!!

今の状態なら胃袋ないからヘーキヘーキ
訓練と称して甲児辺りを定期的に凹りそうだけど

>>399様。
でもメシは食えるんですよ。ド○えもん理論でエネルギーにしておりますが。
例によって反映させるかは微妙ですが。

すいません、今日は一寸途中までの投下になります。

執事リョウの収集した情報を聞いた甲児達は一路東京湾を目指していた。
と、いうのも。



鉄也『―――謎の海難事故?』



執事リョウ『はい。情報によると、東京湾周辺に停泊している船舶が未明に原因不明の事故により航行不能になるという事態が多発しているとの事です……詳しい状況はこれに』



バサリと机に投げ出された用紙を拾い見れば、なるほど航行中突然船が停止する等で救助された人間の詳細が記載されていた。






甲児『ただのエンジントラブル……じゃあねえみてえだな』



執事は便宜上"原因不明"と答えたが、何故船が停止するに至ったかまでは既に専門家によって調べがついていた。

―――"燃料漏れ"、である。

船の燃料タンクの残量がゼロになり、やがて船は洋上で已む無く停止したのだろうと報告書にあった。
船の持ち主の整備不良、通常はそれでカタが付く話。
但し、それは数隻だけに限定した話であるならば、だ。

問題は、"ここ数日"で停止した船の合計が優に10数隻にも及んでいる点と。
何故燃料がカラになってしまったのか、その理由を探ろうとした所、誰にも見当が付かなかったという点だ。
日数と計数を鑑みるに、流石に持ち主の不明だけではとても理屈に合わない。

その他にも、東京湾近辺での謎の停電騒ぎ等が相次ぎ……コレもまた詳しい原因は不明となっている。


あしゅら男爵の宣言した"エネルギー奪取"、"海辺の警戒人員"、そしてこれらの事件。
関連性が高いのは明白だった。
そして―――……。






―――東京湾上空。




Zちゃん「海の青さが目に染み入る~……じゃなくて。いざ意気込んで来てみたはいいけどさあ……何も居ないよ?」



Zちゃんが示すように、洋上は静かな波を称えるばかりでそんな恐ろしい生物が潜んでいるようには一見、見えなかった。



甲児「油断は出来ないぜ?もしかしたら海底に潜んでいるかもしれねえ。いっそ海の中に潜って調べた方が……」


鉄也「いや、相手の正体が解らない以上奴さんのテリトリーにノコノコ行くのは危険過ぎる」


大介「鉄也君の言う事も一理あるが、さて……どう探索したものか」


グレンダさん「弱りましたね……」


大介「(……せめて、マリンスペイザーが使えればな)」


甲児「海か……あー、そうか。そうだ!」



良いアイデアを思いついたとばかりに両手を叩いた甲児は、団扇で顔を扇いでいたお嬢様の方へ振り向いた。



甲児「キミ、ゲッターなんだろ?ちょいとゲッター3にチェンジしてササッと海の中を偵察して来てくれねえか?」


ゲッちゃん「―――、」


途端、団扇を動かす手が、ピタリ!と止まった。
ギ、ギ、ギ、と首を動かして甲児に向き直った表情は苦虫を噛み潰し切っておりその口中では唇をひくつかせながら。


"なんでソレを……"


としきりに呟いていた。



大介「そうか!その手があったか!!」


鉄也「確かに俺達よりも水中には適任だな」



甲児の提案に、彼女(ゲッター)を知る者等は同意に頷き。



Zちゃん「え!ゲッちゃんってば"2"以外にまだ着せ替えあったの!?」


グレちゃん「何か無駄にゴージャスだね」


グレンダさん「ではおあつらえ向きなそのバージョンにお任せしましょうか♪」



知らぬ者達はやんややんやと囃し立てた。
それに対して、当の本人は。





ゲッちゃん「―――、あー……うう……」


一同「―――???」



どうした事だろうか。
ゲッちゃんは額から冷や汗を流しつつ目線をあらぬ方向に向け続ける。



甲児「(……俺、そんなにおかしい事言ったかな?)」



これが本家本元であったら、喜び勇んで飛び出して行きそうなモノだが。
……もしかして女の子なだけに正体不明の生物に怖がっているのだろうか?



甲児「大丈夫だって!飽くまで海中の偵察だけしてきてくれりゃいいんだ。危なくなったらすぐチェンジして戻ってきてくれ!!」ビッ!b



緊張を解きほぐそうと精一杯の笑顔で答えるも。



ゲッちゃん「ぐむ……ぐむむ……」



益々の渋面で押し黙ってしまった。


グレちゃん「もしかして……怖いの?」ニヤ


ゲッちゃん「なっ!?―――誰が!!」


Zちゃん「だったら、ちゃちゃっと行ってちゃちゃっとやっつけちゃおうよ」


ゲッちゃん「か、簡単に言わないでくださるかしら……」ボソボソ


グレンダさん「チェンジが無理とか?」


ゲッちゃん「そ、そういう訳では……」シドロモドロ

※プライドの高さ故、素直に"無理"とは言えない。


大介「僕等も精一杯フォローをする。だから君も力を貸して欲しい」キラッ!


ゲッちゃん「(そ、そんな真っ直ぐな目で見詰めないで下さいまし……)」



何もこちらだってイジワルでチェンジを渋っているワケでは無いのだ。
ただ。ただあの形態だけはどうしても……。



鉄也「―――おい、こっちは遊びで来てるワケじゃないんだぞ。お嬢様の火遊びならウチへ帰ってからやってくれ」


甲児「て、鉄也さん……」


鉄也「いや、言わせてくれ甲児君」




鉄也「ゲッちゃんとやら。今この時にも、怪物に襲われそうになっている人々が居るかもしれないんだぞ」

鉄也「お前はそれを何とも思わないのか?何をそこまで恐れているのか俺達には解らんが……」

鉄也「下らん矜持の為ならば今すぐここから立ち去って貰おうか。違うというなら今すぐ俺達にそれを示してみろ」





鉄也「―――仮にも"ゲッターロボ"を名乗っているのなら、な」







ゲッちゃん「~~~~~~~~~~ッッッッ!!!」プルプルプルプル……!!!






Zちゃん「(うわぁ……鉄也さん、キッツイなぁ)」
グレちゃん「(ボクも初対面であれやられたから、気持ちは解るかも)」
グレンダさん「(顔が真っ赤……ちょっと可哀想ね)」





鉄也「答えろ、イエス(可能)かノー(不可能)か。出来ないのなら俺達が―――」


ゲッちゃん「―――ります……」ボソッ


鉄也「……何だと?」


ゲッちゃん「やりますわ!やりゃあいいんでしょうとも!!ええ!!!」ドワォ!!


Zちゃん「おお、凄い気迫だ……」

グレンダさん「そんなに意気込む事なのかしらね……?」



少なくとも、嘗て披露された"ゲッちゃん2"の時はノリノリだったのに……。




ゲッちゃん「………………、」

ゲッちゃん「はぁ~~~~~~~~~~~~~~~っ」



それは一種の諦観か。
深い深い溜息と共に、いつものアグレッシブな彼女らしからぬ遠い目をしながら。



ゲッちゃん「ちぇ~んじ、ゲッちゃん……」



"スリー"の"ス"まで言い掛けて、待機させていた執事達を呼ぼうとした。
その時だった。





―――バッシャアアアアアアアアアアン!!!



一同「―――!?」



水が盛大に破裂する音が響き、皆が一斉にそちらを振り向く。
それと同時に水中より現れた"2つの影"が、一目散に陸地に向かって走り去って行く。
何やら影には見覚えがある。


……他でもない、地下帝国の機械獣ガールズ達であった。



グロッサムX2「―――じょじょじょじょじょ……冗談じゃないしいいいいいいいいぃぃぃ~~~~~!!!」


ポセスOⅡ「あんな化物が相手だなんて聞いてないでクロン~~~~~~~~!!!」



怯え切った表情で退散して行った二人を尻目に。



―――ゴボゴボゴボゴボゴボゴボ……!!



後を追うようにして海面へと盛り上がる"泡の集合体"が。
ゴミでは無い。海流のぶつかり合いでも無い。





鉄也「……どうやらここがビンゴで間違い無いようだな」

鉄也「(だが、妙だな……)」


大介「(どうして僕等のレーダーに何の反応も無かったんだ……?)」



ここまで接近していたのなら、何らかしらの反応があってもおかしくはない。
なのに自分以下全員が容易く接近を許してしまった。
一体、何故……?



甲児「お二人さん。その疑問は後回しにしといた方がいいみたいだぜ?―――来るぞ!」



生物が呼吸をする際に起こる気泡―――人間のソレと比べても尚巨大な―――が海一面に広がり。


―――一気に、浮上した。


嫌か?そんなに嫌か?スリー……。あ、>>1は3形態の中で敢えて言うなら一番好きです(迫真)。

中途半端ですみません。次こそこの"生物"とのバトルになりますので。
……ちなみに正解しても景品その他はありませんのでご了承下さい。また、斜め上の回答でも石を投げないで下さい(涙)。

それでは短いですがこれにて。

すいません、ちょっと問題が発生しまして、またも途中までなのですが投下させて頂きます。

>>スペイザーガールズ。
平行で進めている「番外編のショートストーリー」で一本考えております。
……何か番外編という感じになるとやたらと「バラたん」が動かしやすいので今の話が終ったらやってみようかなあとも。
恐ろしく短いですが。





???「―――グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!」



全身に纏わり付いた流水の膜が重力に引かれて落ちると同時に、ソレは吼えた。
大音量の咆哮が周辺の空気を切り裂き、鋭い相貌がZちゃん達を睨み据える。



Zちゃん「……げえー……」

グレンダさん「これはまた、なんと言うか……」

グレちゃん「なんか、テンプレだね」



海より現れ出たその姿を称するなら何と言うべきか。
凡そ地球上の生命体に当て嵌まらないような異様さ。
硬質化した皮膚に所々隆起した突起物が全身に現れ、それは宛ら神話に出てくる悪魔のような……。
だが、それは。



甲児「…………、」
鉄也「…………、」
大介「…………、」



彼等にとってはある種見慣れた……そう、特に。
剣鉄也にとっては。





鉄也「……事件に巻き込まれた船舶には、燃料漏れの他に"何者かによる噛み傷"があったと記載されてあった」

鉄也「だが、それがよもやお前さんだとは夢にも思わなかったぜ……」











鉄也「――――――ギルギルガン!!!」






ギルギルガン「―――グオオオオオオオオオオオオオオオ……!!」






それは応答の為か、それともただの威嚇か。
嘗て哲也が死闘を繰り広げた、"宇宙怪獣ギルギルガン"は己が存在を示すように天に向かって叫ぶ。



グレちゃん「……知り合い?」


甲児「昔、鉄也さんがちょっとな……船の事故はコイツが原因だったってえのか?」


大介「(…………、)」



甲児の疑問に対して、大介の直感は否と答えていた。
ハッキリとした確証があるわけではない。
ただ、報告書の被害の大半は船の燃料漏れであったのだ。
しかも、海に流れ出た燃料と船に搭載されてあった筈の総量から比較して、前者の量が余りにも少なく……。
まるで何かによって燃料が吸い取られでもしたかの如く。

大介にはソレを生態として行う生物が居たのを思い起こしていた。
目の前のギルギルガンでは無い、もっと別の……。




その推量を肯定するかのように。


―――ゴボゴボゴボゴボゴボ……!!


海面から再び気泡が隆起し。


そして。





???「―――グギャアアアアアアアアア!!!」





甲児「―――!?」


Zちゃん「ちょっ、何よアレ!?」


グレンダさん「もう一体、居た……?」


鉄也「あれは……!」


大介「(やはりか―――!)」






現れたのは大きな鎌首を擡げた"蛇"の様な風貌をした一匹の……否。
一匹だけでは無かった。


―――ドザバアアアアアアアアアア!!



蛇2「―――グオオオオオオオン!!」

蛇3「―――ブシュルルルルルル!!」

蛇4「―――ギャアアアアアッス!!」



鎌首は更に増え続け、5、6、……その総数は計7本にも及び、それぞれが独自の動きをしつつのたうちながら甲児達を値踏みしていた。





甲児「こ、こいつは……!」


Zちゃん「何よ、こいつら!また甲児達の知り合い!?」


グレちゃん「ヘビのお化け……!?」


大介「……違う!」



大介はグレちゃんの言葉を否定するように叫び。



大介「―――"下"だ!!」


Zちゃん「―――へっ?」


グレンダさん「下って……?」


促されるままに下方……ギルギルガンの真下辺りに視線を落とした。
すると。



???「……………………!!!」



本来ならばギルギルガンの脚部がある筈の部分が。
海の光を跳ね返すように、ギラリと怪しく輝き。





???「―――キュオオオオオオオオオン!!!」



浮上した。
熱射に照らし出されたその姿は一言で表すのならば。



グレちゃん「………………タコ?」



平べったい円盤状の上身に、身体のパーツの殆どが下方より伸びている7本の蛇に似た触腕よって構成されていた。
それはまるで、コミックストーリーに出てくるタコの怪物を連想させる。

……Zちゃんの言葉はある種正鵠を射ていた。
この怪物もまた、紛れも無く甲児達の良く知る物の一体。

かつて、(甲児達が居た)地球に住んでいたとされる"ある古代生物"が環境汚染の影響で凶暴化し、日本を襲撃した事件があった。

その古代生物の成れの果てこそ、この巨大なタコ状の怪物であり。


―――名を、"ドラゴノザウルス"。


と呼称された。


そしてそれが。





ギルギルガン「―――――グオオオオオオオン!!!」
ドラゴノザウルス「―――キュオオオオオオン!!!」



ギルギルガンの下半身に寸分違わず合体させられており、同じ身体を共有する者としてか、目の前の甲児達に向け敵意を放った。

上半身のギルギルガンは腕と背面の翼を目一杯に広げ。
下半身のドラゴノザウルスは端まで裂けた口と共に7本触腕を全てこちらへと向ける。



ゲッちゃん「な、な、何ですの……この醜悪な怪物は!?」



その威容は生物と言うよりも、正しく古代の書物に認められた"魔獣"といった表現がピッタリであった。



鉄也「……倒した筈だ、等と陳腐な表現はせんさ」



あのあしゅら達が"最強の生物兵器"と堂々と豪語する怪物だ。
連中ならばこのくらいはしてしかるべきだろう。
……問題は。



鉄也「(……また、接近を察知出来なかった……)」



幾ら互いが一体化しているとはいえ、相手は鉄也達の数十倍はあろうかという巨体だ。
ギルギルガンに続いて、ドラゴノザウルスにまで唐突な出現を許してしまっている。





鉄也「(まだ、俺達が気づいていないこいつの特性があるのか……―――ん?)」



そこで鉄也は気づいた。
ギルギルガンとドラゴノザウルスの周辺が、何やらキラキラと輝く"粒子状の何か"によって覆われているという事に。
一瞬、それを陽光に反射された波しぶきかと勘違いしかけたが、明らかに粒子は魔獣の全身から放たれていた。



鉄也「(もしや、あれがレーダーを撹乱させているのか?あれの効果で白昼でも船舶を襲えていた……)」

鉄也「(光り輝く粒子……もしや!?)」



記憶の奥底から呼び起こされた情報が、一瞬で鉄也の脳内に駆け巡った。
鉄也が"ソレ"を閃いたのとほぼ同時に。





―――地下帝国・基地。



鉄仮面1「―――あしゅら様。モニター、繋がりました」


あしゅら男爵「「……うむ」」



基地内部のモニターでは、海を割りその巨体を見せ付けるように広げている魔獣の姿が映し出されていた。



あしゅら男爵「「うぬう……脱走してから僅か数日だというのにもうあれ程の体積となるか」」



あしゅらは食い入るようにモニターからの情報を見詰め、知らず歯噛みしていた。





あしゅら男爵「「―――"合体獣・ギマイラΩ"」」




あしゅら男爵「「――――"宇宙怪獣・ギルギルガン"」」
あしゅら男爵「「――――――"光波獣・ピグドロン"」」
あしゅら男爵「「―――"大怪獣・ドラゴノザウルス"」」



あしゅら男爵「「(―――そして、"ヤツ"から提供された"もう一つ"……)」」




あしゅら男爵「「嘗て、スーパーロボット軍団に敗れ去った大怪獣共の体細胞、データを我等地下帝国がそれぞれ解析、培養し……」」



あしゅら男爵「「……それら全てを改良の後に合成させた成果がアヤツだ」」





あしゅら男爵(男)「「培養液から出したばかりの幼体はほんの手の平サイズだが―――」」

あしゅら男爵(女)「「―――一度活動を開始すれば、周辺のエネルギー物質を貪欲に吸収し始め……」」



あしゅら男爵「「日をまたいでいく事にその身は巨大になり、内に蓄えるエネルギー量もソレに比例して増えてゆく」」



あしゅら男爵(男)「「完全な成体となれば、無機物や有機物も取り込みエネルギーとし……」」

あしゅら男爵(女)「「旺盛な食欲と成長速度は留まり知らず。早ければ数ヶ月経たずに地球上の資源は全てアヤツの腹の中」」



あしゅら男爵「「そして我等は彼奴の身の内よりそのエネルギーを取り出し利用する事で世界を握る……」」

あしゅら男爵「「その筈で…………あったというに!!!」」





―――バキイイイイイイイッ!!!



鉄仮面1&2「「……………………、」」



あしゅらは無念さを全身より滲みだしつつ、手に持った杖をやるせなく振り下ろす。



あしゅら(弱)「あ、あのう……?」


あしゅら男爵「「―――?」」クルリ


あしゅら(弱)「(ビクッ!)あ、あのですね。そんなにお強い怪獣なら先にマジンガーチームを倒して貰った方が―――あ、痛っ!!」


あしゅら男爵「「この戯けが!!我等の悲願は確かにマジンガーチームの抹殺だが―――」」

あしゅら(弱)「(私は別にそんな野蛮な願いでは無いのですけれど……)」グスン




あしゅら男爵「「それは全て、世界をDr.ヘル様に献上せしめてという大前提での上でだ!!」」

あしゅら男爵「「もしギマイラΩがマジンガーチームを倒したとて……誰がアヤツの暴走を止めると言うのだ!!」」

あしゅら男爵「「我等の今の戦力では…………認めたくは無いが良くて共倒れが関の山だ!!」」

あしゅら男爵「「第一、Dr.ヘル様が統治する世界が人っ子一人おらぬ滅びた荒野では何の意味も無い!!」」




あしゅら男爵「「……こうならぬようにギマイラΩの頭脳には制御装置を埋め込む計画だっのたが……その前に脱走されては何にもならぬわ!!!」」

あしゅら男爵「「せめて成長しきる前に捕縛出来ればと思ったが……ぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐ……!!!」」












あしゅら男爵「「――――――――何もかも全てあの 大 馬 鹿(バレンドス) の 所 為 だ ! ! ! ! !」」






―――マザーバーン・ブリッジ。



バレンドス「―――だってさ……超金属製の檻と超重力波と超電磁バリアーまで厳重に張っていたのに脱走するなんて誰も思わないじゃん……」イジイジ……。


ベガ兵1「(特性聞いていたのにも関わらずアンタが"所詮原生生物の寄せ集めだろ?ヘーキヘーキ"とか油断しまくってたからだと思いますがね……)」

ベガ兵2「(と、思ってても決して口に出しちゃいけない。僕達下っ端だもん……しかし良く無事だったな、ウチ(マザーバーン))」


※保管庫が外壁近くだったので、食い破った瞬間海ポチャでした。


中途半端ですが以上です。バトルをやると言ったな?スマンありゃウソだttry……すいません。
脳改造前に脱走されるのはトーエイ=アトモスフィア的に正しいイベント。
ネーミング的に「合成獣」にしたかったんですが、それだとガ・キーンになってしまうので合体獣というくくりに。

そしてスレ文の中で正解がチラホラありましたが、真の答えはA:「全部」でした。
……ああ、スイマセンスイマセン石を投げないでつかあさい!

ギルギルガンの「成長性」、ドラゴノザウルスの「食欲」、ピグドロンの「特異性」、そしてあと「もう一つ」

さて甲児達マジンガーチームは地下帝国の造り出した恐怖の魔獣に打ち勝つ事が出来るのか?
次回もこのスレに……スクランブル・ダーッシュ!!

……それではこれにて。

バレンドスこのやろーww
「原住生物の寄せ集め」ってギルギルガンとピグドロンは
お前らベガ星人と覇権を争ってたダムドム星の怪獣だろうが!

>>445
???「檻の中の灰色熊(グリズリー)を怖がる人間がいるかぁ!?いや、居なあぁ~~~~~~~~いッ!!」

……散々オチ役に使ってしまったバレンドス親衛隊長ですが、CVは天下の「柴田秀勝」さんなんですよねぇ……
脳内再生させるとシュール極まりないなあ~。けど劇場版でやらかした体たらくがあるんで実に使い易いのです、主にドジ方面で。

若干の追記をば。
友人から「ちょっとこの怪獣(ギマイラΩ)風貌が解り辛いんじゃないの?」と突っ込まれたので改めて補足を。

上半身が「ギルギルガン(最終形態)」
下半身が「ドラゴノザウルス」
そしてその周辺にピグドロンの光波粒子が揺らめいているというモノで、別にキンキラに輝いているわけじゃありんせん。

更に言うと、劇場版本編ではピグドロンの光波にジャミング性能らしき描写はないのですが(寧ろそういったのはギルギル(メカの方))、嘗て拝見したアニメの雑誌に"そういう描写も付加させたかった"という一文があった上でちょいと入れてみた感じなのです。

解り辛くてどうもすみませんでした……。続きは数日以内には投下いたします故もう暫しお待ち下さい。

>>1です。
以前のトリ咄嗟に書いちゃったモノでまた変わってます、毎度毎度申し訳ありませぬ…。
リハビリで別口のSSをしたためていたのと通院と久しぶりでキャラが動いてくれない三重苦(一つは自業自得ですが)。
漸くに投下出来ます。

久しぶりな上まだまだ途中ですが、早速…。

ありゃあ何かおかしいな。すいません落ち着くまで名前欄を暫定でコレにしますです。





ギマイラΩ「グオオオオオオオオオオオオオオン!!!」




鉄也「―――来るぞ!!」



ギマイラは触腕をマジンガーチームに向け、威嚇しながら迫り来る。



Zちゃん「ちょっとちょっと!?なんで脇目も降らずにこっちに来んの!?」

グレンダさん「確か、コレの主食が高性能エネルギーって事らしいですから。多分…」

グレちゃん「…僕等の光子力エネルギーに釣られてるんだと思う」


Zちゃん「なんてこったい、ガッデム!ならそれならそれで……先手必勝!!」



そしてZちゃんは光り輝く瞳をギマイラに向け……。



鉄也「―――!?待て、Zちゃん!!」



それを見た鉄也が咄嗟に静止するも、時既に遅し。






Zちゃん「光子力ぅぅぅぅぅ……ビイィィィィィィィィムッ!!!」




ギマイラΩ「―――!!??」バリバリバリ!!




放たれたビームは見事着弾。
流れ込んだ高エネルギーは怪物の肉体を爆散―――。




ギマイラΩ「??????」ピンピン




せしめなかった。
それどころか…妙に元気というか、肌ツヤが良くなったというか。




Zちゃん「あっるぇ~???」

鉄也「馬鹿か!!ピグドロンの光波能力に対して光線技を放ってどうする!!!」

Zちゃん「そ、そんなの知るワケ無いじゃん!!」



ピグドロンの名残である光の粒子によって、光子力ビームは残らずギマイラのエネルギーへと変換させられてしまったのだ。

最も、ピグドロンという生命体の知識がそもそも無かった彼女等を責めるのは酷とも言えるが。



大介「しかもヤツは地下帝国が地上のエネルギーを全て接収する目的で創り出した怪物。僕等の光線技は全て通用しないモノと考えた方が良さそうだ」

甲児「…下手に攻撃しちまうとアイツにエネルギーを与えるだけになっちまうってか」

Zちゃん「じゃあさ、どうしろってえのよ?」






甲児「んなもん決まってらあ!―――鉄也さん!!」

鉄也「―――応、甲児君!!」シャキン!!

大介「ダブル、ハーケン!!!」ジャキン!!



甲児は鉄也に目配せすると同時にマジンガーブレードを受け取り。
大介もまた肩からハーケンを取り出し構える。



甲児「こういう時は接近戦に限るってね!!」

Zちゃん「ま、また脳筋攻め!?」


グレンダさん「まあ、今回ばかりは仕方が無いでしょうね」ダブルハーケン!!

グレちゃん「面倒くさいけど……ほい、Zちゃん」マジンガーブレード

ゲッちゃん「脳味噌超合金の方々と同じ戦法を取るなんて心外ですけど、チェンジしないに越した事はありませんものねえ」トマホーク



グレちゃん「(そんなに嫌なのか、スリーになるの……)」



グレちゃん、グレンダさん、ゲッちゃんもそれに倣って得意の獲物をそれぞれ懐から出す。





ギマイラΩ「ギャォォオオオオオオオオオオオオオン!!!!」



そんな彼等の戦意に対し、臆面を見せないギマイラは再び眼前の敵、否、もとい"食料"に向け7本の触腕を伸ばす。



甲児「散―――開!!!」



よりも早く、一同は甲児の号令の下一瞬にして散り散りになり。




各々は伸ばされた触腕を避けつつも、手に持った刃を伸びきった肉に突き入れた。









鉄也&グレちゃん「「――――――トリプル!」」

大介&グレンダさん「「―――マジンガー!!」」

甲児&Zちゃん「「――――ブレードォ×2(バイツー)!!!」」





グレちゃん「後、ぷらすあるふぁ」

ゲッちゃん「ちょっと!人をオマケ扱いしないで下さいまし!?」







―――ザッシュウウウウウッ!!!



ギマイラΩ「!!!???」



肉を裂く鈍い音と共にギマイラの7本の足が切断され、その尽くが海中へと沈んで行く。
哀れ怪物は上下半身計4つ目を白黒させながら己の手(足?)の切断面を呆然と見やる。



Zちゃん「わーっはっはっはっはっは!思い知ったか!!……た、タコ……野郎……?」

グレンダさん「Zちゃん、タコでは無いみたいよ?」

グレちゃん「別に何だっていいけど…これからどうするの?捕まえるの?」

ゲッちゃん「早乙女研究所に連れて行けば博士も大喜びでしょうけど、こう大きくてはねえ」


無様な姿に楽勝ムードを感じたかガールズ達の空気が弛緩する。



甲児「おいおい、皆呑気にも程があるぜ…?」

大介「相手が相手だ。ここは一気にトドメを刺すべきだと思うが…」



鉄也「(……ん?)」



妙だ、と剣鉄也は感じ始めていた。





ギマイラΩ「……………、」



先程まで咆哮を挙げていたギマイラが死んだように大人しくなっていた。
まさか触腕への攻撃が致命傷になったというのだろうか。

あの3種の怪物の特性を持った大怪獣が?

まさか、ありえん。



ギマイラΩ「…………、」



だが現に敵はダメージを受けた下半身を海中に沈め微動だにしていなかった。



鉄也「(海中……まさか!?)」



思考を切り上げZちゃんの方へと顔を向ければ、案の定と言うべきか怪物との距離が近過ぎていた。


鉄也「Z―――!!!」


鉄也が一早く"その事実"に気付いて彼女達を呼び戻すべく声を張り上げようとしたのと。



―――ゴボゴボゴボゴボゴボゴボ……!!





Zちゃん「ん?何の音……―――?」



―――ザバアアアアアアアアアッ!!



海中から現れた"ソレ"がZちゃんを絡め取ったのとは、ほぼ同時であった。





Zちゃん「!?!?!?―――な、何、何、何ぃーーーーーっ!!??」





ぬるぬるする"何か"が彼女の全身を覆うようにして拘束する。






グレンダさん「―――Zちゃん!?」

グレちゃん「―――!!!」

ゲッちゃん「―――な、何ですの!?」



他のガールズ達が抱えられたZちゃんに気を取られた瞬間。



―――ザバアアアアアアアアアアッ!!!



グレンダ「はい?……!あ、やああああんっ!!??」

グレちゃん「うご……け……ない……!?」

ゲッちゃん「ちょ、ちょっと……ああああああお気に入りの服に粘液があああああっ!!」





連続して出現した物体群によって、逃げる間も無くZちゃんと同様に三人はぐるぐる巻きにされた。
そして。
その一瞬の隙を突かれ。




甲児「Zちゃん!?―――うおっ!?!?」


大介「甲児君!!―――し、しまった!!」


鉄也「ちいっ!!グレート―――ぐうおおっ!!」




甲児達もまた動きを"何か"によって封じられてしまう。
ご丁寧に武器を使えぬよう両腕を、肩までがっちりとホールドするようにして。




甲児「噴射口が…!スクランダカッターで振り切れねぇ……っ!!」

大介「これではショルダーブーメランも使えない……!」

鉄也「俺としたことが……くそっ……!」


そんな彼らを嘲笑うように。
拘束している"モノ"の先端が上下にパックリと裂け。



「―――ゲタゲタゲタゲタゲタゲタ!!!!」



とけたたましく嗤う。



「―――ギャッギャッギャッギャッギャッギャッギャ!!!!」
「―――ギイッギッギッギッギッギッギッギッギッギ!!!!」
「―――キャッキャッキャッキャッキャッキャッキャ!!!!」



ガールズ達を捕縛しているモノ達も、また同様に。





Zちゃん「ちょ、ちょっとこいつら……!さっきアタシ達がぶった切った……!?」



真っ赤な口中に奥まで生え揃った牙。
爬虫類特有の切れ目を持った"鎌首"は紛れもない。
甲児達により切断され、海中に沈んでいったギマイラの触腕達であった。

妙に大人しいと思っていたが、微動だにしていなかったのはこの為か。


鉄也「(…っ、ぐ…再生したのか…!だが…早すぎる…!?)」


"かつて"の記憶と照らし合わせても、素体となった―――恐らくはドラゴノザウルスの―――怪物の再生速度を大きく上回っている。



ギマイラΩ「グウオオオオオオオオオオオオオオオオン…!」ググググググ…



しかもよくよく見れば、怪物の身体が先程よりも大きくなっている。
目の錯覚ではない、考えられるとすれば…。


鉄也「(エネルギー吸収による体積の増加…だがZちゃんの一撃は兎も角として、その後俺達はエネルギー攻撃を行ってはいないぞ…!)」






鉄也「(…未だ俺達の知らない特性があるとでも…?)」


―――地下帝国基地。





―――皮肉なモノだな、あしゅら男爵よ



あしゅら男爵「「…………。」」



―――お主の誘いに乗って我が方秘蔵の"グラ"のデータを送ったは良いが、それがまさかこのような結果となるとは。のう?


あしゅら男爵「「…………。」」


あしゅら男爵は"声の主"の問いかけに否定も肯定もしない。
ただ苦み走った表情で、戦闘が繰り広げられているモニターを凝視する。

戦局は、確かに皮肉にも我が方が優勢であった。
このままいけば憎き宿敵めらにトドメを刺す事とて不可能ではないだろう。



問題は。



画面で繰り広げられている戦闘の末路が、そのまま自分達の未来と成りかねんことだが。




―――どうした、憎きマジンガー共のピンチだぞ?喜ばぬのか。


あしゅら男爵「「勝った所で末路の打開が思い浮かばなければ同じことよ…!そういう"貴様"は、随分と余裕だな…?」」


―――ふむ。


図星だったか、モニターの隅に映った"影"が僅かばかり押し黙った。



―――まあ、確かに。"我等"にとっては地上が無事であろうと更地になろうと些細なこと、ではあるが。

―――どちらにしても我等が宿敵に直接トドメを刺せぬのが心残りと言えば心残りよ。

―――フハハハハハハハハハ…!!






あしゅら男爵「「…………。」」


何をしらじらしい。
と怒鳴りつけてやりたい心情をあしゅらは必死に押さえた。
概ねは"奴"の言う通りであり、元々そういう約定の下の同盟なのだ。




隙あらば我等に成り代わり地上の覇者とならんと…。







―――ハハハハハ……!!は、はうっ!?

―――ゴホッ!!ゴホゴホゴホホッ!!

―――し、心臓が…心臓が…!!




あしゅら「「……………、」」




―――あらあら、た~いへん。
―――偉いこっちゃ偉いこっちゃ(棒)。
―――また発作ですの?毎回毎回良くもまあ飽きずに…。
―――お、おじいさん。大丈夫…?はい、おくすり。

―――ゴホッ…い、いつもすまぬの…お前は他の奴等と違ってほんに優しい娘だ…どれ一つ小遣いを…。


―――あー!!またカトルばっかり!こらオッサン!アタシ達にもちょうだいよ!出来ればご飯で!!
―――不平等だわ!不公平だわん!!
―――呪ってやるわ…!


―――ええ~い黙れ黙れ!キサマらはただ金を無心するだけではないか!大体………!!











―――ブツン!


あしゅら男爵「「………………………………………………、」」




あしゅらは。
徐にリモコンを置きつつ、上下左右に視線を揺らし。
額に手を添え、一言。


あしゅら「「…………………………ちょっと、旅に出てきて良いか?」」


鉄仮面1「あしゅら様、現実逃避せんで下さい」




しかして、この時。




「―――ゲッタアアアアアアアアアアアアウイィィィィィィィィィィィング!!!」






波涛から飛び出す一陣の"風"があった事を、彼等は気付いていただろうか。



触手はしょうがないから…これダイナミック作品だから…アーイイ、タマラナイ…。

というわけで本日はここまでです。
やっぱり間が空いてしまうと、どーしても思うように動いてくれない…。もうちょっとリハビリするか。

後4匹目何気なくぽろっと伝えてしまってます。後は屠るのみ…屠る…うん。
それではこれにて。


追記:久しぶりにロボガ開いてみたらまるで浦島太郎ですわー。

追記その2:

"グラ"って何だ"グラ"って!?
正しくは"ゲラ"です。
ドーモ、スミマセン、ホント…。

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年09月30日 (火) 12:15:47   ID: OXx4iwxz

すっごく面白いです!RGZはオンライン版をプレイしてない僕ですがこの小説を楽しんでます! それにしても・・・ああ、やっぱりメカザウルス・ゲラも組み込んでいましたか~

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