魔王「勇者にフラグがへし折れる呪いをかける」 側近「え?」 (88)


※注意
ありがちな勇者魔王もの
>>1はSS書くの数作目&久しぶり
書きだめしてないのでまったり更新

勢いだけで書いていきますが何卒生暖かい目で見守ってやってください

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1403227374


側近「それは一体どういうことですか魔王様。最初から順序だてて分かりやすく説明お願いします」

魔王「うむ。まず勇者とは何か、そこから説明する必要があるな」

側近「さすがにそれは分かります。この世に魔王が現れる度に女神がこの世に遣わす人間の救世主のことですよね」

魔王「うむ。先代の魔王達も尽く勇者の手によって屠られていった。そして遂に私の代にも勇者が誕生してしまったのだ」

側近「なんと、それは本当ですか?」

魔王「この水晶を覗いてみよ」


~~~~~~~~~~~~

王「そなたが神託を受けたという勇者か」

勇者「はっ!いつ魔王の脅威が及ぶとも知れぬ今の時世において、日々鍛錬を積んでいたところ、今朝になってこの勇者の紋章が浮かび上がった次第にございます」紋章ピカー

王「おお・・・、それは確かに勇者の紋章。間違いないようだな。では早速ですまないが魔王討伐に旅立ってはくれぬか」

勇者「仰せのとおりに」

王「あれを持って参れ」

兵士「はっ!」

スタスタ

王「特別な物はないが今の我が国に出来る限りの援助だ。受け取るが良い」

勇者「ありがたく頂戴いたします」

勇者は1000Gを手に入れた!
勇者は銅の剣を手に入れた!
勇者は革の鎧を手に入れた!

王「では頼んだぞ、勇者よ。成功を祈る」

勇者「行ってまいります!」

~~~~~~~~~~~~~


魔王「というやりとりがつい今しがたあったのだ」

側近「さっきのことなんですか、よく察知できましたね」

魔王「先代達がみな勇者にばっさばっさとやられておるのに何の対策もしないわけないだろう。勇者が排出されるというこの国の城を四六時中監視しておったのだ」

側近「うわぁ・・・まるでストーカーですね。わざわざ魔王様本人がずっと監視してる必要はあったんですか・・・?」

魔王「そんなに引くでない。・・・いやだって仕方ないじゃんあの国自体に女神の加護があって経験値の足しになりそうな弱い魔物しか近づけないんだもん」

側近「ああ、そうなんですか。それでさっき仰っていた呪いとやらも勇者打倒のためのものなんですか?」

魔王「その通りだ。さすがはワシの側近、頭が切れるな」

側近「その呪いの意味がさっぱりですけどね」

魔王「説明してやろう。まず勇者は人間だというのに何故魔王を倒せるのだと思う?」

側近「それはやはり女神の加護で魔力や力などの能力に補正がかかってるからではないですか?」

魔王「確かにそれもある。が、能力が重要というなら最強の騎士や最強の魔法使いなどでパーティーを組めば済む話ではないか」

側近「それもそうですね・・・。では何故?」

魔王「それは女神の強力な加護による運命の書き換えだ」

側近「運命のかきかえ・・・ですか?」


魔王「そうだ、人間が魔王を倒すというのはただ魔王に勝てる力があれば良いというわけではない。幾多の試練や罠、イベントを乗り越えて魔王の引きこもるこの魔王城にたどり着かねばならないということなのだ」

側近「自分で引きこもるって言っちゃったよこの人」

魔王「しかし女神の強力な加護によってこの世の全てが勇者の都合が良いように流れていくのだ。直接的ではないにしろ、な」

側近「なるほど・・・。ではその運命の補正を消し去ってしまえば、勇者など恐るるに足りないということですか?」

魔王「うむ。デビルガンダム大勝利!希望の明日へレディーゴー!というわけだ」

側近「はいはい。でもそんな強力な加護をなんとかできるんですか?」

魔王「ワシの全魔力を注ぎ込めばなんとかなるはずだ。その後半年程休まねば力は戻らんだろうが、勇者を恐れる必要がなければ大した代償ではあるまい」

側近「おー!では早速やってしまいましょう、必要なものがあればなんなりとお申し付けください」

魔王「善は急げと言うしな。地下の儀式の間の準備を頼む」

側近「ははっ!」


~数時間後~

儀式の間

魔王「それではこれより儀式をはじめる」



魔王「ぬおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおんんんんんんああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああううううううううううううううううううんほおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」

ドドドドドドドドドドドドド

側近「なんてすごい魔力の奔流・・・これが魔王様のお力」

魔王「ずああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」

魔王「にゃあ」

カッ

側近「ぐっ・・・凄まじい光に包まれて何も見えない・・・。お、収まったか・・・・?」

魔王「ぐぅ・・・」フラッ

側近「魔王様!ご無事ですか!?」

魔王「うむ・・・、呪いも成功したようだ」

側近「お疲れ様です。ゆっくりお休みになってください」

魔王「力が戻るまではのんびりと勇者の生き様を見守ってやるとしよう。ハーッハッハッハッハッハッハ!」


~~~~~~~~~~~~~~~~

勇者「ふぅ、やっと片付けが終わった」

勇者母「もう、これから旅立ちだっていうのにそんなことしなくても母さんがやっておくわよ」

勇者「いいじゃないか、しばらく帰って来られないだろうからこれくらいやっておきたかったんだ」

勇者母「貴方が立派に育ってくれたのは嬉しいけど、まさか勇者に選ばれるなんてね・・・。お父さんも知ったら微妙な顔するわよ、きっと」

勇者「父さんは魔王を倒すって旅立って帰ってこなかった。きっと魔王にやられたんだ・・・。いつか仇をとるために必死になって鍛えて生きてたらご信託があった、これは女神様が与えてくれたチャンスなんだよ。必ず魔王を倒して平和を取り戻してみせるから」

勇者母「貴方のお父さんはとても強い人だったのよ。勇者ではなかったけれど、あの人がそんな簡単に死ぬはずないわ」

勇者「・・・そうだね。じゃあ行ってくるよ」

勇者母「いってらっしゃい。・・・無事に帰ってきてね」

勇者「約束するよ」

ガチャッ バタン


勇者「とりあえず酒場に行って仲間探しか・・・ん?」

ドドドドドドドドドド

勇者「な、なんだ?」

カッ シュー・・・

勇者「な、なんだったんだ一体・・・。まぁいい、早く酒場に向かおう」


酒場


勇者「こんにちはー」

マスター「いらっしゃい、何にしますか」

勇者「勇者といいます。仲間が欲しくて来たんですけど」

マスター「ああ、勇者くんね、王様から話は聞いてるよ。どんな仲間が欲しいんだ?」

勇者「とりあえず僧侶と魔法使い、出来れば戦士もいると助かります」

マスター「んー・・・ちょっと待っててくれ」

勇者「はい」

マスター(王様には優秀な人員を揃えるよう言われて金までもらったが、こんなよわっちそうなガキには勿体無い話だよな。勇者とはいえどうせ魔王なんて倒せっこないし、適当な奴でも紹介しておくか)

マスター「おーい、男僧侶、女魔法使い、男戦士、来てくれ!」

・・・

マスター「というわけで、この3人を勇者のパーティーとして登録しておく。後はがんばれよ」

勇者「ありがとうございます」

勇者「勇者に選ばれて魔王討伐の度に出ることになった勇者だ、よろしく頼む」


男僧侶「よろしく~」ホジホジ

女魔法使い「・・・ヨ、ヨロ・・・フヒッ・・・・ゴニョゴニョ」

男戦士「はっはっは、よろしく頼むぜ」

勇者「じゃあみんな支度もあるだろうし、二時間後にここに集合にしよう。それで大丈夫か?」

男戦士「ああ、大丈夫だ」

男僧侶「あーい」

女魔法使い「ハ・・・ア・・・ゴニョゴニョ」

勇者「じゃあ待ってるよ」


~二時間後~


勇者「よし、全員揃ったところで出発・・・と言いたいけど、男僧侶はほぼ手ぶらに見えるけど大丈夫?」

男僧侶「だいじょーぶだいじょーぶ、魔物なんて怖くねーし、荷物なんかあったって邪魔になるだけっしょ」

勇者「でも食料とか水とか・・」

男僧侶「だいじょーぶだいじょーぶ」

勇者「そ、そうか・・・。逆に男戦士はすごい荷物に装備だな」

男戦士「長い旅になるだろうし、何があるかわからないからな。まぁ任せておけ」

勇者「あ、ああ。女魔法使いは・・・」

女魔法使い「ハッ・・・イ、イヒャ・・・フヒッ」

勇者「・・・それじゃあ行こう!」

つ④


~はじまりの町 フィールド~

男戦士「この辺りの魔物はまだ弱いと聞くが油断するなよみんな」

勇者「ん?男戦士は魔物と戦ったことないのか?」

男戦士「出たぞ!魔物だ!」

スライムAが現れた!
スライムBが現れた!

勇者「なんだ、スライムか」

男戦士「侮っちゃだめだ!く、くらえぃ!」ブンッ

スカッ

男僧侶「あ、地面に刺さった」

男戦士「ぐっ、ぬ、抜けない!」

スライムA グネグネ ビュッ ドゴッ

男戦士「ぎゃあああああああいたいいいいいいいいいい!!」

勇者「男戦士!この!」

ザシュッ

スライムA「」

ダッ

男戦士「女魔法使い、助けてくれ!」ガシッ

女魔法使い「ヒッ」

勇者「女魔法使い!そっちいったぞ!」

女魔法使い「ア、ヒ、ハ、カカカカカカカエンジュモ!」

ボゥ

男戦士「あちいいいいいいいいいいいい」

勇者「燃えてる!魔法使いの後ろに隠れてる男戦士が燃えてる!」

スライムB「ピキー!」ダッ

勇者「間に合わないか・・・!」

男僧侶「ほい」ベシッ

スライムB「」


女魔法使い「」ヘナヘナ

勇者「ありがとう男僧侶、助かった」

男僧侶「このくらいなんてことねーから気にすんなって」

勇者「男戦士に回復呪文かけてやってくれるか?」

男戦士「」プスプス

男僧侶「あー、オレ更生させるために修道院ぶちこまれただけで回復呪文とか使えねーんだわ。やんちゃばっかりしてたからこの辺の魔物くらいなら倒せっけどな」

勇者「・・・ああ、そう。じゃあ薬草で・・・」

男戦士「う、ううん・・・」

勇者「気がついたか?」

男戦士「あ、やっぱりこんな危険な旅は嫌だ!俺は帰る!」ダッ

勇者「あっ」

男僧侶「あーあ、いっちまった」

勇者「仕方ないさ・・・。女魔法使いは大丈夫か?」

女魔法使い「エ・・・ア・・・・フヒッ・・・」

勇者「・・・大丈夫そうだな。気を取り直していくか」


>>10
支援ありがとうございます




勇者「崖の向こうへ渡るにはこの橋を渡らないといけないけど、関所の番人が通してくれない」

男僧侶「どうすんの?」

勇者「なんかこの辺りに盗賊団が潜んでてそのせいで警備が厳重らしい。だからそいつらを退治すれば通れるようになると思う」

男僧侶「なるほど。そいつらのアジトは?」

勇者「わかってたら今頃退治されてるよ

男僧侶「それもそうだ」

勇者「とりあえず近くの村で聞き込みしよう」

~3日かけて近隣の村々で聞き込み後~

勇者「なんの手がかりもなかった」

男僧侶「どーすんのこれ」

勇者「こうなったらこの辺りの村や森をしらみつぶしに探すしかない」

男僧侶「かったりー・・・」

勇者「他に方法がないんだから仕方ないだろ。行くぞ」


~2週間後~


はじまり山

勇者「やっと見つけた・・・」

男僧侶「時間かかりすぎて体力のない女僧侶が既に満身創痍だけど」

女魔法使い「コヒュー・・・コヒュー・・・フ、フヒッ」

勇者「少し休んだらアジトに突入しよう」


~二時間後~

勇者「よし、そろそろ行こうか」

男僧侶「やけに静かじゃね?」

勇者「そういえば・・・まさか!」ダッ

バターン

勇者「誰もいない・・・!」

男僧侶「うぇー・・・」

勇者「とりあえず橋に行ってみよう」





勇者「こ、これは・・・!関所が突破されてる・・・」

男僧侶「盗賊団にやられたっぽいなー」

勇者「仕方ない、このまま先にすすもう」

男僧侶「あーめん」




ツギの町 フィールド


勇者「やっぱり少し魔物が強くなった気がするな」

男僧侶「今はまだなんとかなってるけど、この調子でいきゃあしんどくなりそーだ」チラッ

女魔法使い「フヒッ」

勇者(テンパって特に何も出来ない魔法使いもあれだけど、回復呪文使えない僧侶もどうかと思う)

勇者「まぁ、女魔法使いもそのうち慣れるから大丈夫だよ。な?」

女魔法使い「ヒャ・・・ヒャヒッ・・・」

勇者「ツギの町が見えた、あそこにしばらく滞在して次の旅路に備えよう」

男僧侶「うーい」

女魔法使い「・・・・・・」


宿屋


勇者「ふー・・・俺は少し町をまわってくるけど二人はどうする?」

男僧侶「オレは休むー」

女魔法使い「ア・・・ヘ、ヘアデ・・フヒッ・・・ヤヤヤスミマシュ」

勇者「わかった、じゃあまた夕飯の時に」


商店街

勇者「さて、どこへどこを見てまわろうかな・・・ん?あれは女魔法使い?」

女魔法使い「・・・」コソコソ

勇者「休むんじゃなかったのか・・・?とりあえずこっそりついていってみるか」


フィールド


勇者「外まで来てどうするつもりなんだ・・?」

女魔法使い「ク、クソマモノメ・・・ワタシダッテホンキヲダセバアイツラクライ・・・ゴニョゴニョ」

勇者「何かつぶやいてるみたいだけど聞こえないな。あ、魔物が・・・!」

鳥魔物「ピギャー!」

女魔法使い「ヒ、ヒ、ヒョウケツジュモン!」

スカッ

勇者「あの魔物は攻撃力も防御力も低いけど素早さはそこそこある、あんなにパニックになってたら魔法なんて当たるわけがない・・・助けにいくべきか・・・?でも特訓に来てたんなら手を出すのも・・・」

鳥魔物「ツンツンツンツン」

女魔法使い「ヒイイイイイイイイイイ、ゴ、ゴメ、ヒヒイイイイイ(なんでわたしがこんな目に!死ね!死ね!)」

ズバッ

鳥魔物「」

面白い


勇者「ごめん、手出ししちゃった」

女魔法使い「ア・・・フヒッ・・・」

勇者「特訓なら俺も付き合うから、無理しないで。とりあえず一回戻ろう」

女魔法使い「ハ、ヒャイ・・・」


それから宿屋へ戻り各自の部屋で休んだ後、夕飯に呼びに行った時には既に女魔法使いの姿は無かった
共用の荷物の中からキメラの翼が消えていたことから耐え兼ねて帰って行ったらしい
男戦士といい女魔法使いといい男僧侶といい、選りすぐりのはずのメンバーがこの有様では、相当人員が不足してたんだろう
酒場を恨んでも仕方のないことだし、今はただ魔王討伐の為にがむしゃらに頑張ろう


一旦ここまで
ご飯食べて休憩したら更新再開します


>>17
そう言ってもらえると励みになります、ありがとうございます


~数日後~


宿屋


勇者「さて・・・準備も整ったし行くか」

男僧侶「魔王についての情報は全く集まらなかったなー」

勇者「仕方ないさ、大体の位置は分かってるし向かうしかない」

男僧侶「あいおー」


~~

ショボクレタ村


勇者「村があったから立ち寄ってはみたけど、随分とさびれてるな」

男僧侶「何かあったのか?」

勇者「とりあえず話を聞いてみるしかないな」


村長の家


娘「どうぞ」コトッ

勇者「どうも」

村長「それで勇者様がこんな村にどんな御用でしょうか・・・」

勇者「いえ、どこか物悲しい空気だったので何かお困りではないかと思いまして」

村長「・・・・・・」

娘「お父さん、せっかく勇者様が来てくださったんだから相談してみたら?」

村長「・・・そうだな。実はこの村は農業で生計を立てていたのですが、水をひいている近くの湖に凶悪な魔物が住み着いたのです」

勇者「魔物が?」


村長「はい・・・。大きなトカゲのような姿で強力な顎と牙でなんでも噛み砕いてしまうんです。普段は湖の底に潜んでいるのですが、やつは人の肉を好んで食べます。なのでお腹を空かせてはこの村にやってきては村人を・・・。何人も犠牲になり、その何倍もの村人が逃げ出してしまいました」

勇者「なるほど。何故みんなで逃げなかったんですか?」

村長「この村は私たちの祖父の代に、祖父達が開拓した村なのです。その村や丹精込めて世話をした畑を捨てて逃げるわけにはいかないのです」

勇者「話は分かりました。私たちに任せてください」

村長「ありがとうございます!今夜はもう遅いですから、ウチで休んでいってください。大したおもてなしは出来ませんが・・・」

勇者「いえ、ありがたいです」

男僧侶「ごちになりまーす」


~翌日~

勇者「ありがとうございました」

村長「やつは周期的にいって今夜の夕方には姿を現すと思います。どうかお気を付けて・・・祝杯の用意をしてお待ちしております」

勇者「はい、お任せ下さい」

男僧侶「娘ちゃんがんばってくるぜ~」

娘「はい、気をつけてください。勇者様も、どうかご無事で・・・!」

勇者「大丈夫ですよ、料理、楽しみにしてます」

娘「はい!」

男僧侶「ちぇー」






勇者「到着。やつはいつもこの辺りから姿を現すらしい。巨体引きずったような跡も残ってる」

男僧侶「あとはやつが出てくんのを待つだけだな~」

勇者「そうだな。しばらく休んでおこう。村のために逃げ出さなかった村長さんや村人たちの為にもきっちり仕留めよう」

男僧侶「あいあい」


~数時間後~

勇者「すっかり薄暗くなってきたが・・・」

ゴボゴボゴボゴボゴボゴボゴボ

男僧侶「お?お?」

勇者「来る・・・!」

ザバアアアアアアアアアアアアア

ワニ魔物「グオオオオオオオオオ・・・んん?なんだ貴様らは・・・」

勇者「俺は勇者だ。魔王を倒すついでに、まずはお前を倒しに来た」

ワニ「ほう、お前が勇者だと?面白い、丁度腹が空いて仕方がなかったからな、勇者の肉がどんな味がするか楽しみだ」ジュルリ

勇者「言ってろ。行くぞ、男僧侶!」

男僧侶「おう」


勇者(しかし、本当に大きな姿だ・・・高さは2mくらい、頭から尾の先まで5mはあるか・・・?あの顎で噛み付かれたらひとたまりもないだろうな)

ワニ「どうした、来ないのか?」

男僧侶「・・・」

勇者(男僧侶も攻めあぐねてるな・・・動きは鈍そうだからスピードで撹乱するか?)

ワニ「ではこちらからいこう!」グオッ

勇者「なっ!はやっ・・!?」バッ

バキィッ

勇者「咄嗟にかわせたから良かったものの、もし食らっていたら今頃ああなっていたのは俺、か」

バキッバキッドォォォォン

男僧侶「すっげ、木を噛み砕いて倒しやがった・・・」

ワニ「どうした勇者、そんなものか?」

勇者「なるほど、見くびっていた、素早さも力も思った以上みたいだな」

ワニ「ふふふ、ならどうする?」

勇者「俺は魔王を倒すために鍛えてきたんだ、なんてことはない、真っ向から打ち破る!」

ワニ「面白い、ならば、こいつはどうかな!」グオッドドドドド

勇者「男僧侶!」

男僧侶「げっ、こっち来た!」

ワニ「覚悟!」

男僧侶「大口開けて突進してきやがって!これでもくらってろ!」ブンッ

ワニ「ぬ!?」ガッ

勇者「うまい、杖がつっかえるように投げ入れたのか!」

ワニ「ふん!」

バキィッ




勇者「噛み砕いた!?」

男僧侶「どうせそんなことだと思ったぜ!おりゃあ!」ダッ

勇者「杖を投げると同時に魔物に向かって走り出していたのか。何をする気だ・・・?」

男僧侶「よっ、着地成功。うまく顎に乗っかってやったぜ」

ワニ「む!?降りろ!」ブンブン!

勇者「男僧侶!・・・ん?何故あいつは男僧侶を振り落とすのに暴れるばかりで顎を開かないんだ・・・?」

ワニ「この、落ちろ!」ブンブン

勇者「男僧侶、そのまま離すな!」

男僧侶「おおうおおう」

ワニ「ちぃ、気付かれたか。だが、こうすればいいだけだ!」

勇者「まずい、男僧侶、跳べ!」

男僧侶「とう!」

ワニ「おおおおおおおおお」ゴロゴロゴロゴロ

勇者「あと少し遅かったらぺしゃんこだったな」

男僧侶「あぶ、あっぶねー!」

ワニ「ふはは、それで、どうする?もうとりつかせはせんぞ」ガチガチ

男僧侶「どうすんだ?」

勇者「もともと正面から倒すつもりだったし大丈夫だ、任せてくれ」

ピカアアアアアア

男僧侶「おお、勇者の紋章が光ってんな」

ワニ「ゆくぞ!おおおおおおおおおおおお!」ドドドドドド


勇者「はぁ!」ドゴォ

ワニ「!?」

男僧侶「突進してくるあいつを素手で殴っただけで押し返した!?」

ワニ「ぐ、まだだぁ!」

勇者「ふん!」ガシッ

男僧侶「ひるまず噛み付いてきたのを足と左手だけで受け止めた・・・!」

勇者「お前の脳はここからが狙いやすいからな、村の人達の仇、確かにとった!」ドスッ バッ

ワニ「ぐおおおおおおおおおお」

ズシイイイイインン

勇者「・・・ふぅ」

男僧侶「おー、ほんとに正面から倒しやがったなー」

勇者「魔王を倒すのにこんなところでてこずってられないからな。とりあえず剣抜いてくる」スタスタ

男僧侶「俺の杖折れちまったしなー・・・」

勇者「あとで新しいの買えばいいさ」

男僧侶「村長からお礼とか出っかな?」

勇者「宴を開いてくれるらしいからそれで我慢だな」

男僧侶「結構マジで死ぬかと思ったんだけどよ~」

勇者「はいはい、とにかく戻るぞ、村長に報告して安心させてあげよう」

男僧侶「うーい」



ショボクレタ村 フィールド


勇者「ん?何か妙に明るいな」

男僧侶「火事でもあったかー?」

勇者「火事?この方角は村・・・まさか!」ダッ

男僧侶「ちょ、待てよ!」ダッ


ショボクレタ村


ボオオオメラメラ

勇者「村が、燃えてる・・・?とにかく村長の家に!」ダダッ

村長「」

娘「」

勇者「だ、誰がこんなひどいことを・・・!」

男僧侶「うえぇ・・・」

村人「うう・・・」

勇者「まだ生きてる人が!おい、何があったんだ!?」

村人「と、盗賊団が・・・この村に・・・・・・ガクッ」

勇者「おい・・・おい!しっかりしろ!」ガクガク

男僧侶「もう力尽きたみたいだ」

勇者「くっ・・・せっかく湖の魔物を退治したのに・・・。盗賊団のやつらは絶対に許さない、俺が、壊滅させてやる」

男僧侶「・・・これからどうすっか」

勇者「とりあえずは一回ツギの町に戻って僧侶の杖を調達しよう」

男僧侶「そうだな、どうせ魔法使えねーしメイスにしよう」

勇者「ああ」



~数日後~


勇者「また関所で止められた、理由は盗賊団らしい」

男僧侶「じゃあまだこの辺りにいるってことか」

勇者「みたいだ。とりあえずサンの街で盗賊団の情報を集めよう」

男僧侶「そうだな」


サンの街


~聞き込み中~

住民A「盗賊団?怖いよね・・・早く誰か捕まえてくれないかなぁ」

住民B「盗賊団かぁ・・・この辺りにまで移動してきてるとは聞くけど・・・」

住民C「盗賊団のことなんて知ってるわけないよ・・・」

住民D「盗賊団ねぇ、容赦なく人を殺す冷酷なやつらって聞くわ」

住民E「なに?盗賊団の居所なんて知ってたら兵士に伝えてるよ!」

住民F「いつ盗賊団がこの街にやってくるかビクビクしてるよ」

住民G「盗賊団のせいか旅人も減っちまって商売が厳しいよ、うちに泊まってかないかい?」

住民H「盗賊団ね、この辺りまで来たんでしょ?こわいねぇ」

住民I「魔物だけでも困るのに盗賊団だなんて・・・」

~聞き込み終了~



~二日後~


酒場


勇者「成果はあったか?」

男僧侶「なーんにもない」

勇者「そうか・・・どうしたらいいんだろうか」

住民C&J「ういーす」

マスター「いらっしゃいませ。カウンターへどうぞ」

住民C「どーもどーも」

勇者「随分酔っ払ってるみたいだな・・・まぁ、こんな状況じゃ酔っ払いたくなるのも仕方ないか」

男僧侶「オレもがっつりのみてーな」

勇者「我慢だ」

住民C「でよー、実は俺、盗賊団の連中が商人の振りして関所越えようと準備してるとこ見ちまったんだ」

勇者「!?今の話は本当か!?」

住民C「あ、あんたはこの間の・・・!別にいいだろう、そんなこと」

勇者「いいから言え!今の話はいつのことだ!?」ガシッ

住民C「うっ、ふ、二日前のことだ・・・丁度あんたらに会う前・・・!」

勇者「二日前!?どうして言わなかった!」

住民C「俺が見てたとばれたら殺されるかもしれないだろ!関所越えて他所に行こうってんなら放っていたら安全だろうが!」

勇者「お前・・・!」ギリギリ

住民C「話しただろ!話してくれよ!」

男僧侶「勇者、急いだ方がいいんじゃないか?」

勇者「・・・くそっ、行こう」

住民C「ゲホッゲホッ」



関所


勇者「はぁ、はぁ、着いた!」

番兵「今ここは盗賊団への特別警戒中だ」

勇者「ここ二日で商人の集団は通ったか!?」

番兵「商人?ああ、一団だけ通ったな。隣国から来ていた隊らしく特別に許可が下りた」

勇者「そいつらが盗賊団だ!すぐに追わなければいけない、通してくれ!」

番兵「ダメだ」

勇者「何故だ!」

番兵「もしそれが本当だと言うなら、その商人達が盗賊団だという証拠を見せろ」

勇者「捕まえたらここまで連れてくるから通してくれ」

番兵「だめだ、証拠がないのであれば信用することができない。よって許可も出来ない」

勇者「ぐ・・・」

男僧侶「どうする?」

勇者「さっきの住民を連れてきて証言させるしかない」

男僧侶「じゃあオレはここで待ってるか~。もしかしたら盗賊団の連中がまた通るかもしれないし」

勇者「ああ、任せた。また後でな、すぐ戻る」ダッ

男僧侶「おー」



サンの街

酒場


バーン!

勇者「マスター!さっきの男はどうした!」

マスター「いらっしゃい。住民Cさんならもう帰ったよ」

勇者「くそっ、家はわかるか!?」

マスター「何やらお急ぎのようですし、地図を書いてあげましょう」

勇者「頼む」

マスター「どうぞ、こちらです」

勇者「助かった、それじゃあ」ダッ


住民Cの家


住民C「」

勇者「これは一体・・・なんで首を吊ってるんだ・・・?」カサ

勇者「置き手紙・・・?」

住民Cの遺書
盗賊団をたまたま目撃してしまい、その情報を自分の胸に閉まっておこうと思っていたが、勇者を名乗る男に無理やり聞き出されてしまった。妻と子供に危害が及ぶのを避けるため、自分の命を断つことにしました、さようなら

勇者「そんな・・・俺のせいで、この人は・・・。でも、商人が盗賊団の変装だっていう証拠もなくなってしまった・・・くそっ!」

勇者「・・・・行こう、立ち止まってはいられない・・・」トボトボ



関所


勇者「・・・」トボトボ

男僧侶「遅かったな勇者。あれ、あの男はどうした?」

勇者「盗賊団の報復を恐れて自殺してたよ」

男僧侶「そっか。じゃあどうすんだ?多分あの番兵にはそんなこと言ったって通用しねーぞ」

勇者「仕方ない、強行突破する」

男僧侶「やっぱそうなるかー」

勇者「なるべく人間に危害は加えたくないけど、この先に行かないと魔王は討伐できないし、盗賊団も放ってはおけない。国王から許可をもらってる場合じゃないからな」

男僧侶「わりーな勇者、オレはここまでにするわ。せっかくマジメに就職したのに犯罪者になっちゃ意味ねーし」

勇者「そうか、分かった。今までありがとう」

男僧侶「おう、お前も元気でな」スタスタ

勇者「・・・そうだ、魔王を倒すためとは言え、犯罪に他の人を巻き込んでいいわけじゃない。今まで必死に鍛えてきたんだ、一人でも魔王だって倒せるはず・・・・よし」ザッザッザッザ

番兵「止まれ、ここは通行禁止だ」

勇者「今から力づくでも通らせてもらう。怪我をしたくなかったらどいてくれ」

番兵「なんだと・・・!?」

勇者「忠告はした、覚悟はいいな?」チャキッ

番兵「さては、盗賊団の仲間だな!敵襲ー!盗賊団の一味だー!」

勇者「どけー!」

バシィ!

番兵「ぐはっ・・!」ドサッ

番兵B「どうした!?」

番兵C「賊だ!構えろ!」

番兵D「相手は一人だ!囲め!」

勇者「邪魔をしなければ手出しはしない!どけ!」ダッ


~~


ヨンの街 フィールド


勇者「なんとか突破出来たか・・・虚しいな、兵士と争ってる場合じゃないのに。とにかく先に進まなきゃ・・・隣の大陸に渡るにはヨンの街で船を調達しないといけないな」


ヨンの街





船頭「船を出してほしい?ダメだダメだ。隣の大陸に渡りたきゃあ国が運営してる貿易用の大型船に乗ればいいだろ」

勇者「事情があって利用できないんだ、どうか力を貸してほしい」

船頭「お前勇者なんだろ?何かやらかしたのか?お尋ね者なんか余計乗せらんねぇな」

勇者「そこをなんとか・・・」

船頭「この辺りの沖にゃクラーケンっつうでっけぇ魔物が出んだよ。俺らみたいな船じゃ近海で漁すんのが精一杯だ。それに、船が壊れたら俺の生活はどうすんだ?おお?」

勇者「クラーケンは俺が倒す、だから強力してくれ」

船頭「お前みたいなガキに倒せるわけねぇだろ、ダメだダメだ」

勇者「くっ・・・」

船頭「おら、仕事の邪魔だ、帰れ帰れ」

勇者「・・・お邪魔しました」

勇者(どうしたらいい・・・盗賊団はもともと海賊もやっていたらしいから船で向こうの大陸に渡った可能性が高い。こんなところでぐずぐずしてる場合じゃないのに・・・!)

勇者(国営の貿易船の船着場に行って説得するか・・・?いや、既に手配書も出回っていた、処刑まではいかなくとも数日は拘束される可能性が高い。どうしたら・・・)




勇者「明日もう一回頼み込んでみよう・・・」


~次の日~


船頭「なんだ、また来たのかよ」

勇者「お願いします、船に乗せてください」

船頭「ちっ、しょうがねーな。なら条件がある」

勇者「条件?」

船頭「そうだ、この近くに海神のほこらという洞窟がある。そこには海の守り神が祀ってあるんだが、どうやらそこに魔物が住み着いちまったらしい。クラーケンが出てきたのもその影響らしいしな。それで、そいつを倒すことが出来たら隣の大陸まで乗っけてやるよ」

勇者「本当か!?」

船頭「ああ、そいつが倒せるんならクラーケンも怖くはないだろうしな。その洞窟までも送ってやる、あの辺りはそいつしか魔物もいないしな」

勇者「ありがとう。今から出発でもいいか?」

船頭「ちょっと待て、片付けだけしたら送ってやる」

勇者「わかった」


~海神の祠~


船頭「じゃあ俺はここで待ってるが、5時間経って戻らなければ帰るからな」

勇者「分かった、それじゃあ行ってくる」

船頭「おう、せいぜい頑張りな」



勇者「中は真っ暗なはずなのに、ぼんやり光って明るい・・・?・・・ここには発光する特殊なコケが生えてるのか」



勇者「開けた場所に出たけどここが最深部か?・・・祠があるはずだけど見えないな・・・いや、何かが祠を囲んでいる!?」

青龍「ギシャアアアアアアアアアアアア!!」

勇者「こいつは、海に棲むという竜か?なるほど、御神体の力に寄って来て吸収していたわけか。いくぞ!」

青龍「ゴオオオオオオオオオオ!!」

勇者「ちぃ!まさかこんな狭いところで飛んでくるとは。まずは打ち落とす!強雷撃呪文!」

ピシャアアアアアアアアアン

青龍「グオオオオオオオオオン!」

勇者「はぁ!」ズバッ

青龍「ギャオオオオオオオオ!!」

勇者「お前に構っている暇はないんだ、うおおおおおおお!」



勇者「強雷撃呪文!」

青龍「グウウウウ・・・」

勇者「はぁ、はぁ、もう一息か・・・」

少女「あの祠に・・・!」タッタッタ

勇者「人!?」

青龍「ギシャアアアアアアアア!!」

少女「!?」

勇者「くそっ!」バッ

青龍「ギャオオオオオオオ!!」シッポビターン

少女「あ、助けてもらってすみません」

勇者「どうしてこんなところに!?」

少女「ほ、祠にお供えに」

勇者「今は取り込み中だ、とりあえず祠の影にかくれていてくれ、あいつはあそこを壊さないように気にしてる」

少女「は、はい!」

勇者「巨大海蛇!相手はこっちだぞ!」

青龍「オオオオオオオオオオオ!」


期待や感想ありがとうございます、励みになります
一旦ここまででご飯と休憩後更新を再開します



勇者「ブレスか、強爆裂呪文!」

ズドオオオオオオオオ



勇者「はああああああ!」ズバァ!

青龍「グウウウウ・・・ゥゥゥゥゥ」ズシーン

勇者「はぁ、はぁ・・・かなり手ごわかった。しかし、なんとか倒せたな・・・」

勇者「・・・そうだ、あの娘は・・・?」キョロキョロ

勇者「・・・いない、いつのまにか帰ったのか・・・?」

勇者「・・・俺も帰ろう」


海神の祠入口


船頭「」

勇者「死んでる・・・!一体誰がこんな・・・まさかさっきの少女は、御神体を狙いにきた盗賊団の一味・・・なのか?」

勇者「また俺のせいで人が・・・船も壊されてる。仕方ない、大体の方角は教わっていたし、ここから泳いで隣の大陸を目指すしかない・・・。今は、とにかく前へ・・・」


~1週間後~


トナリ大陸 ゴの町 海岸


勇者「はぁ、はぁ・・・なんとか、辿り着けたか・・・」バタッ

勇者「水のこないところまで行って・・・少し・・・休もう」ズルズル

勇者「ここまで這ってくれば・・・とりあえずは・・・zzz」ガクッ



~3日後~


勇者「・・・はっ、ここは・・・そうか、なんとかたどり着いたんだったな。一体どのくらい気を失っていたんだ?」

勇者「とにかく食事をしてから情報を集めよう。盗賊団もいるかもしれない」


~聞き込み終了~


勇者「なんの情報もなかったか・・・。もしかして盗賊団のアジトは、大陸の間にある無数の島々のどれかにあるのか・・・?」

勇者「確証は無い、けど元々海賊だというなら海にアジトがあるのはおかしい話じゃない。魔王討伐も大事だけど、盗賊団を放っておけば更に犠牲者が出るかもしれない。先に、方をつけておかないといけないな」

勇者「そうと決まれば今度こそ船を調達しないと・・・もう泳ぐのは御免だ」





船頭B「船を貸してほしいだと?」

勇者「お願いします」

船頭B「一体何に使うってんだ?」

勇者「この海のどこかにある盗賊団のアジトを探し出して潰したいんだ、お願いします!」

船頭B「はぁ?そりゃあどんだけかかるんだよ。この船がないと仕事になんねぇんだぞ、寝言は寝て言いな坊主」

勇者「盗賊団をこのままにしておけばどれだけの被害が出るかわからないんだ!だから・・・」

船頭B「知ったことじゃねーな。俺に自分を犠牲にする義理なんかねぇ」

勇者「他の人は犠牲になってもいいってことか?」

船頭B「こちとら今を生きるのに必死なんでな、他人のことまで考えてる余裕なんざねぇんだよ!わかったら帰れ!」



勇者「そうか・・・。悪いけど俺も必死に今を生きてるつもりだ、あんたには犠牲になってもらうことにするよ」シャキン

船頭B「おいおい坊主、冗談でそんなもの抜いちゃいけねぇぜ」

勇者「さっきも言ったけど俺は本気だ。引けない理由が俺にもある」

船頭B「この野郎!」ブンッ

勇者「ふっ!」パシッ ドスッ

船頭B「ぐふっ・・・!う・・・」

勇者「・・・ごめん、船は必ず返すから」

船頭C「あっ、おい、どうした!」タッタッタッ

勇者「!魔力推進エンジンか、これならすぐに出せるな」バッ 

船頭C「あっ、こら、待て!おい!誰か来てくれ!船泥棒だ!」

勇者「これで・・・!出発だ!」ドドドドドド

船頭C「チッ、行っちまいやがった。おい、大丈夫か、しっかりしろ」ユサユサ

船頭B「うぐ・・・・くそ、あの野郎、覚えてろよ・・・」


~4ヶ月後~


アジトの島


勇者「ついに突き止めたぞ、ここが盗賊団のアジトか。色んな島の住人の誰に聞いても情報は得られないし、全ての島をしらみつぶしにしていたらこれだけの時間がかかってしまった・・・けど、ここで終わらせる!」



~~~~~~~~~~~~~

魔王城


側近「魔王様、お加減はいかがですか?」

魔王「うむ、八割と言ったところだな」グッグッ

側近「ほぼ回復したのですね」

魔王「隠された武器防具にも辿り着けず市販品しか身につけておらぬような勇者ならば、簡単に屠れるであろう」

側近「それでは・・・」

魔王「ツギの海に放っていた魔物の大半を葬ってくれたようだし、そろそろこの辺りで退場してもらうとしよう、くくく」

側近「それでは支度をしておきます」

魔王「うむ」


~~~~~~~~~~~~~~


アジトの島

勇者「盗賊団、出てこい!おとなしく捕まるなら手荒な真似はしない!」

盗賊A「ああん?何言ってんだあんちゃん、ここがどこだか分かってて言ってんのか?あん?」

勇者「聞こえなかったのか?おとなしく捕まれ」

盗賊A「へぇ、どこぞの兵士か?けどよぉ、生憎大人しく捕まるようなたまじゃねぇぞ!おい、命知らずが来たと団長に報告だ」

盗賊B「へい!」ダッ

勇者「四ヶ月も駆けずり回ったせいで機嫌が悪い、あまり手加減出来ないからかかってくるなら覚悟しろ」チャキッ






盗賊B「団長!おかしなやつが一人で乗り込んできましたぜ!」

少女「ほう、面白い。野郎共、命知らずを全員で歓迎してやりな!」

盗賊「「「「おう!」」」」

ダダダダダダダダダダダダダ

少女「ふっふっふ、このアジトに一人で来るとは面白いやつ。どれ、ワタシも愉快なショーを見に行くとしようか」





少女「リラックスしてたせいで装備整えるのに時間がかかっちまったよ、静かだしもう終わっちまったようだねぇ」ガチャッ

勇者「お前が団長か・・・」

盗賊「「「「「  」」」」」

少女「なっ・・・野郎共、しっかりしな!おい!」ユサユサ

盗賊D「」

少女「よくも可愛い子分達を・・・!」

勇者「あの時の・・・盗賊団関係者とは思ったけど、まさかこんな小さな子が団長だなんて・・・」

少女「あんただって対して変わらないじゃないか!なにさ、あの青龍と戦って無事だなんてもしや勇者様かい?」

勇者「だとしたら?」

少女「ワタシらなんかより先に倒すやつがいるんじゃないのかい?」

勇者「確かに俺の目的は魔王を倒すことだけど、勇者としては人を殺して回ってる連中を放っておくわけにはいかない」

少女「へぇ、そうかい」

勇者「大人しく捕まって罪を償うなら、手荒な真似はしない」

少女「お優しいことだね・・・。けどね、可愛い子分達をやられた手前、大人しく捕まってやるわけにはいかないんだよ!」ダッ

勇者「ふぅ・・・当身」トンッ

少女「うっ・・・」バタッ






少女「・・・はっ、これは、手錠・・・?」ジャラッ

勇者「目が覚めたか?」

少女「お前っ・・・!」

勇者「目が覚めたばかりなんだから大人しくしとけって。憎いかもしれないけど、それ相応のことをしてきたんだから仕方ないだろ」

少女「子分共はどうした!?」

勇者「全員自慢の大型船に縛り付けてヨンの街の港に放置してきたよ」

少女「くそっ・・・人でなしめ!」

勇者「それはどっちだ!お前らのせいでどれだけの人が殺されたと思ってる!」

少女「うるさい!そんなの、他にしようが無かったんだからしかたないだろ!王宮の騎士団として使えていた親父達を、先代の魔王がいなくなって用済みになったからって国から追い出したのはあいつらだ!そのせいでどれだけつらい思いをしたのかわかるのか!」

勇者「それでも・・・!しちゃいけないことはある・・!」

少女「・・・それで、なんでワタシだけこのアジトに残されてるんだ?」

勇者「お前の子分達が必死にお願いしてきたんだよ、団長は死んだ親父さんの跡を継いだだけで人殺しの命令は出してない、俺たちが独断でやってきたことだからどうか許してやってくれ、ってな」

少女「・・・お前はそれを信じるのか?」

勇者「殺されてた船頭さんは即死じゃなくて、手当をしようとした形跡があった。女物のハンカチなんて巻いてあれば、信じるには十分だと思うけどな」

少女「お人好しめ」

勇者「そうでもないよ」

少女「それで、ワタシをどうするつもりなんだい?」


勇者「それでも罪は罪、君は償わないといけない」

少女「それで?」

勇者「少しでも反省してるなら、旅に同行してもらって贖罪の旅をしてもらう。反省が足りないなら、兵士に引き渡す」

少女「どっちも嫌だと言ったら?」

勇者「その時は仕方ない、このまま置いていく、それも一つの罰だろ?」

少女「う・・・、分かった、反省している、贖罪の旅をさせてくれ。罪は償う」

勇者「分かった、じゃあこれはいらないな」ガチャッ

少女「・・・どこまでもお人好しだな」

勇者「だからそうでもないよ。じゃあ今夜はもう寝ようか、俺は向こうの見張り小屋で寝るから」

少女「分かった分かった、また明日な」

ガチャ バタン

少女「・・・・お人好しめ」





見張り小屋

勇者「・・・・ふぅ、これで良かった、のか?俺にはもうわからないな・・・。とにかく、先に進もう。これで後は魔王を倒せば平和になるんだから・・・」



ドゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!


勇者「!?外か!?」ダッ バンッ

勇者「アジトが・・・燃えている・・!?爆発したのか?一体誰がこんなことを・・・!?」

??「ワシだよ」

勇者「!?強火球呪文!」

??「ふん」ペシッ

勇者「素手でかき消した!?何者だ!」

魔王「はじめまして、勇者殿。ワシは、全ての魔物の頂点に立つ者、魔王と言えばわかりやすいかな?」

勇者「魔王だって?」

魔王「そうだ。貴様の姿は見させて貰っていた。女神の加護を失っても足掻くその姿、実に滑稽だった」

勇者「なんだと!?女神様の加護は消えてなんかいないぞ!」モンショウピカー

魔王「ああ、貴様には認識できないことだったな。御託はいいからかかってくるが良い、ここが貴様の墓場になるのだ」

勇者「いいだろう、そっちから出向いてくれたのなら願ってもないことだ。覚悟しろ、魔王!」ダッ

ガキィィィィン

勇者「素手で受け止めた!?」

ギリギリギリ

魔王「勇者の攻撃とはこんなものか?」

勇者「ちぃ!一旦距離を取って」

バッ

勇者「超雷撃呪文!」

ピシャアアアアアアアアン

魔王「ほう、呪文を直接放つのではなく剣に、それでどうするつもりかな?」

勇者「斬る!はぁ!」ブンッ



ギイイイイイイイイイイイン バチッバチッ


勇者「なっ・・・!?」

魔王「なるほどなるほど、我が城へはまだまだ先だというのに、中々強力な攻撃を放つ。思わず剣を手にしてしまったぞ」

ヒュッ ドゴォ

勇者「がはっ!」

魔王「しかしただの銅の剣ではなぁ。もし貴様の装備が封印されている伝説の剣や防具だったなら・・・いや、ツギの大陸の王都に保管されているクラスの剣でも危なかったことだろう。念を入れて正解だった」

勇者「訳のわからないことを・・・」ヨロッ

魔王「ふふふ、その剣を見てみるがよい」

勇者「これは・・・剣が崩れていく」ボロボロボロ

魔王「銅は柔らかい上に電気をよく通す。先ほどの技の威力に耐えられるもでは到底ないのだ」

勇者「くっ・・・」

魔王「ではこれで終いとしよう。勇者よ、そなたは確かに強敵だったぞ。超火球呪文」ボボウ!

勇者「ぐ、超爆裂呪文!」




ドゴオオオオオオオオオオオ


魔王「まだ足掻くか、ひと思いに楽にしてあろうと思ったが、この手で直接貴様の体をバラバラにしてやろ・・・う・・・!?」ピキッ

魔王「ぐああああああああああああああああああああああああ!!な、なんだこの力は!何かがワシの身体を蝕んでゆく・・・!」

勇者「はぁ、はぁ、なんなんだ一体・・・」

魔王「なんだ、なんだというのだこれは一体!はっ、まさかこれは・・・・!」

勇者「けど今がチャンスか・・・何か武器は・・・あのアジトの残骸に何か・・・」ヨロヨロ

魔王(そうか、旅の中盤でラスボスであるワシが自ら出向いてくる、この戦闘は勇者からすればいわば、負けイベント・・・!そして負けイベントとは負けるフラグであり再戦のフラグである。そのフラグを全力でへし折るために、勇者にかけたワシの全身全霊を込めた呪いが反転してきおったのか・・・!)

魔王(い、いかん・・・今の状態のワシはかなり弱体化しておる・・・。いやしかし、勇者も深いダメージを受けているし武器も無い、辛うじて勝てる・・・!)

ツギの大陸の王都に保管されてた名剣「ヨオ」

勇者「これは・・・!」

魔王(いや待て、呪いが反転して全力でワシを弱体化させているというのなら、今の勇者には女神の加護が・・・!)

勇者「今が千載一遇のチャンスとみた。魔王、覚悟しろ!」チャキ

魔王「ま、待て勇者よ、落ち着こうではないか」

勇者「問答無用!」

ズバァ!!

魔王「ぐああああああああああああ!!ま、まさかこのワシが敗れるなどと・・・!」

魔王(そうだ、せめて、せめて次の魔王が誕生するフラグを立てておかねば!)

バキッベキベキベキバキグシャッ

魔王(ぐ・・フラグが、続編フラグが折られてゆく・・・!)

魔王「こ・・・・コマネチ・・・」ガクッ

シュウウウウウウウウウウウウ

勇者「魔王の死体が消えていく・・・倒した・・・のか・・・」ガクッ

勇者「くそっ、思ったよりダメージ・・・が・・・・」バタッ




一応これにて「勇者」の物語は完結となります。
冒頭と結末だけ思いついてそれに繋げるために必死に話を考えながらキーボード叩いてたので、長さの割に時間がかかってしまいました。
ここまでのお付き合いありがとうございました。
あと少しだけ後日談思いついたので、もうしばしのお付き合いを、お願いいたします



エピローグ



~決戦から1週間後~


サイショ大陸 王都 城 牢屋


勇者「ここは・・・」

兵士「気がついたのか?」

勇者「どうなってるんだ・・・俺は確か、魔王を倒して・・・」

兵士「知らんな。王がお呼びだ、出ろ」ガチャン キィ

勇者「・・・」ジャラ



王「勇者よ、よくもぬけぬけと生きていたものだな」

勇者「王様、この扱いはどういうことですか!」

王「関所を強引に突破し、船を奪い、盗賊団の団長を逃がしたそうではないか。罪人に対する扱いとしては間違ってはおらんだろう」

勇者「あれはやむを得ず・・・!それに、俺は魔王を倒したんだ!」

王「確かにそのようだな。魔物は弱体化し大人しくなった。それに、お主の勇者の紋章も消えておる」

勇者「では何故・・・!」

王「魔王がいなくなった今、もう勇者は必要ないということだ。ご苦労だったな」

勇者「そんな・・・俺は一体何のために・・・!」

王「もうよい、ゆっくりと休むがよい、永遠にな」

兵士「こっちへ来い!」

勇者「王!待ってくれ!王!」ズルズルズル






ガシャーン

勇者「くそう・・・ようやく魔王を倒したっていうのに・・・なんで・・・」バタッ

勇者「もう疲れた・・・。そうだ、魔王は倒したんだから、これで良かったんだ・・・。これで世界は平和になる。これで・・・良かったんだ・・・」

勇者「犠牲になった人達には向こうで謝らなきゃ・・・なんだか・・・眠く・・・」スゥ






王「大臣よ、手はずは大丈夫か?」

大臣「はい、幸いにも勇者としての活動をしている勇者の姿を見たものはほとんどおりません。勇者様は魔王と相打ちしたことにして、今夜にでもこっそりと処刑してしまいます」

王「うむ、上出来だ。魔王のいなくなった今他に脅威はない。わしの顔に泥を塗りおった勇者などさっさと始末して、せいぜい平和を桜華させてもらうとしよう」

大臣「ええ、そういたしましょう」

王「はっはっはっはっはっはっは」



勇者・・・勇者・・・

勇者「俺を呼ぶのは誰だ・・・?」

少女「ワタシだよ、勇者」

勇者「少女・・・!?あの時魔王に殺されたんじゃ・・・?」

少女「うん・・・そうだね」

勇者「やっぱり・・・」

少女「でもね、私は満足してる。お父さんの跡を継いだことに後悔はしてないけど、それでも、やっぱり自由になりたかったんだと思う。贖罪の旅が出来なかったのは残念だけど」アハハ

勇者「それで・・・どうして今話せてるんだ?俺はもう死んだのか?」

少女「ううん。勇者はまだ死んでないよ」

勇者「それなら何故・・・」

少女「勇者を止めに来たの。まだ諦めて欲しくないから・・・」

勇者「もういいんだ、魔王も倒せたし、おれの役目はもう終わったんだ」

少女「勇者の役目は終わったかもしれないけど、貴方の人生はまだこれからだよ。助けられなかった人達の分も、貴方は生きて欲しい」

勇者「いいのか・・・それで、本当に・・・?」

少女「・・・」ニコッ

勇者「少女!待ってくれ・・・!俺は・・・本当に、生きても・・・・!」


スゥゥゥゥゥ

勇者「う・・・ゆ・・め・・?」

眼帯少女「やっとお目覚めかい?」

勇者「少女!?し、死んだんじゃ・・・」

眼帯少女「間一髪のところで巻き込まれずに脱出したはいいんだけど、爆風で海に放り出されて気絶したみたいでさ、気づけば船に拾われてたよ。片目もダメになっちまってたしね」

勇者「で、でもさっき夢に・・・」

眼帯少女「夢?」

勇者「カクカクシカジカ・・・」

眼帯少女「ハハハハハハ!それは確かに夢だね!ワタシはこの通りピンピンしてるし」

勇者「うーん・・・でも」

眼帯少女「ただあんたが生きたかっただけだろ、人のせいにするなんて甘えちゃダメだ」

勇者「う・・・」

眼帯少女「それに、贖罪の旅に付き合ってくれるんだろ?」ウインク

勇者「・・・ああ、そうだな!」

眼帯少女「それじゃあ逃げるよ、このままだとあんた処刑されちまうからね」

勇者「それは困る、助けに来てくれてありがとうな」

眼帯少女「別に・・・気にすんな///」

男僧侶「姉御!退路確保出来ましたぜ!」

勇者「男僧侶!?どうしてここに!」

眼帯少女「何故かばったり会ってね、あんたの知り合いだっていうから連れてきたのさ」

勇者「犯罪はしたくないんじゃ・・・脱獄の手伝いなんて重罪だぞ」

男僧侶「だいじょーぶだいじょーぶ。それに、平和を取り戻した英雄を見殺しにする方が許せねーからな」ニッ

勇者「男僧侶・・・」

眼帯少女「ほら、とっとと行くよ!」

勇者「ああ、このまま旅に出よう!」

男僧侶「いいねー!」


眼帯少女「よし、誰もいない、こっち!」ダダダッ

勇者「けどどうやって脱出するんだ?さすがに城の外に出たら目立つんじゃ」

男僧侶「だいじょーぶ、その点は抜かりねーよ」


城門前


眼帯少女「よし、あの門をくぐればもう安心だ」ダダダッ

勇者「だからどう大丈夫なんだよ!」ダダダッ

女魔法使い「ゆ、勇者さん!こっちです!」

勇者「女魔法使い!?な、なんか感じ変わったな・・・」

女魔法使い「お久しぶりです。門番は眠らせておいたので、みなさん私の手を・・!」

ギュッ

女魔法使い「行きます、転移呪文!」


シュンッ


スタッ


勇者「ここは・・・ツギの町?」

眼帯少女「拠点にするためにとっといた宿屋さ。とりあえずは一安心だね」

勇者「それにしても、女魔法使いまでどうして・・・」

女魔法使い「あの時は黙っていなくなってすみませんでした、私、迷惑をかけたくなくって・・・でも、いつか力になれたらって鍛錬を積んでたんです。そしたら、男僧侶さんが勇者さんが処刑されるって教えてくれて・・・いてもたってもいれなくなって、それで・・・」

勇者「ありがとう、おかげで助かったよ」

女魔法使い「い、いえそんな!魔王討伐のお役に立てず・・・こんなことでもお力になれるなら・・・!」

眼帯少女「さーて、ゆっくり休んで明日からの旅に備えようか」

勇者「え、追っ手とかはどうするんだ?脱獄したんだぞ?」


男僧侶「だいじょーぶだいじょーぶ、何せ勇者はもう魔王と相打ちして死んだことになってるからな」

勇者「そうなのか?じゃあなんで男僧侶や眼帯少女は俺を助けに来てくれたんだ・・・?」

男僧侶「それがさー、勇者が死んだからってことで修道院の僧侶総出で城にお祈りに行ったんだわ。けどやっぱかったりーじゃん?サボってたら偶然王と大臣の会話を聞いちまって、そこからもう大慌てだったっつうわけ」

勇者「なるほど・・・。眼帯少女は?」

勇者「ワタシは・・・海で助けてくれた人の家でお世話になってたんだけど、勇者が死んだっていうからその葬儀に行ったんだ。でもあんたが死んだなんて信じられなかったから、色々探ってたところに、こいつが慌てた様子で走ってたのさ。何か知ってると思ったワタシはすぐさま問いただしたんだ」

男僧侶「俺の首筋にナイフを押し当てながらなー」

勇者「そうだったのか・・・二人共、ありがとう。俺は今までずっと、勇者に選ばれる前から魔王を倒すためだけに生きてきた。これからはやっと、俺自身の人生を歩めるよ」

眼帯少女「なに、気にしなくていいさ、これからは気の済むまでワタシの旅に付き合ってもらうんだからね」ギュッ

勇者「ちょっ、急にどうした」

女魔法使い「わ、私だってまだまだ勇者様のお役に立つんですから!」ギュッ

男僧侶「あー、俺も可愛い女の子に挟まれたい」

勇者「わけのわからないこと言ってないで睨み合ってる二人をなんとかしてくれよ・・・!」

男僧侶「うるせーいっぺん死ね!」

勇者「何故!?」

ワイワイギャーギャー

俺の旅はこれからも続く
勇者としてではなく、一人の男として


                      魔王「勇者にフラグがへし折れる呪いをかける」 側近「え?」 ~完~





完結となります。お付き合いいただきありがとうございました
もし分かりづらいところがありましたら質問をうけつけますのでお気軽にお願いします
依頼は明日にでも出しておきます

面白かった
もっと読みたかったな

乙!面白かった

男戦士どうなったの?

乙乙
側近はどうした


>>71
ありがとうございます。きっかけがフラグなかったらどうなるだろう、というただの思いつきだったのでここまで広げられただけでも自分としてはよくやれた方だと思っています、すみません。
負けイベントが反転する終わり方ではなく、勇者が全てのイベントや試練をフラグを立てずにゴリ押しで強引に突破して魔王すら力づくENDもあったのですが、表現力がおいつかないと思ったので今回の結末になりました

>>72
ありがとうございます。
彼は逃げ帰った後農作業にせいを出しております

>>73
ありがとうございます
魔王が受けきれなかった分の呪いを受けて魔王復活のフラグが立てられないくらい、ただの子猫並に無害になりましたww

おつー
もっと膨らませたて欲しかった思わせたのはそれだけ面白かったってことだな
新作に期待してます

>>75
ありがとうございます、面白いと言っていただけると本当に嬉しいです。
また時間とアイデアがあればまた魔王勇者もので何か書きたいと思っています。応援よろしくお願いします

勇者「なるほど・・・。眼帯少女は?」

勇者「ワタシは・・・海で助けてくれた人の家でお世話になってたんだけど、勇者が死んだっていうからその葬儀に行ったんだ。でもあんたが死んだなんて信じられなかったから、色々探ってたところに、こいつが慌てた様子で走ってたのさ。何か知ってると思ったワタシはすぐさま問いただしたんだ」

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom