兎角のグルメ (115)

◆第1話 走り鳰のチキンカレー◆


兎に角新鮮なカレーが食べたかった


ミョウジョウ学園に来てからというもの毎日が食堂のカレーである


別のメニューを頼めばいいだろうという奴もいるかもしれないが


カレー以外のメニューを頼むくらいなら
いたって特徴のない食堂のカレーを頼む方がマシだと思っている


それくらいにわたしはカレーを好いている


何の気なしに一ノ瀬が寄こしたストラップを眺めていると
廊下にふわりとスパイスの香りが立ち込めた


匂いが脳を刺激したのか腹が小さく声を上げる


猫をかたどったストラップをスカートのポケットへしまうと
その香りがする方へ導かれるように足を動かした

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歩いていくとそこは調理実習室であった


黒組には殆ど縁がなさそうな場所である


廊下には手を洗うことの大切さを説いたポスターや
いくつかの食材の栄養成分が書かれたハンドアウトなどが貼ってある


どれも読むのには苦労しない情報ばかりのはずだが
周囲に渦巻くカレーの芳醇な香りがそれをシャットアウトする


焦る気持ちを抑えながら調理実習室のドアに手をかけた


鳰「おや? 突然ドアが開くから誰かと思いきや兎角サンではありませんか」


一瞬ドアを開けたことを後悔したが
彼女の目の前にある大きな鍋がそんな気持ちを吹き飛ばす


間違いない


あれはカレーだ

わたしは戸棚から程よい大きさの器を取り出す


鍋の近くにある炊飯ジャーは既にその役目を終えているようで
ボタンを軽くプッシュすると
もったりとした動きでその蓋を持ち上げる


程よく使い込まれた黒い釜のなかでは白く輝く米粒が
いかにもわたしに食べてほしそうに立ち上がっている


わたしの顔をなでる蒸気がわたしの中の食欲をいっそう掻き立てる


鳰「あのー 兎角サン?」


焦らせるんじゃあない


わたしはカレーが食べたいだけなんだ

ライスを半球状に軽く盛る


白い山を誇らしげに乗せた器は
いかにも準備万端といったような風貌だ


その器を静かに作り主の前に差し出した


鳰「……あ 食べたいってことっスね」


鳰「分かりました 本当は理事長のために作ってたんスけど」
 「多めに作ったので兎角さんにもおすそ分けするっスよ」


わたしはこういった物わかりのいい店主が好きだ

店主がお玉で鍋をぐるりとかき混ぜる


周囲に立ち込める香りがより強くなった


スプーンを握る手にも力が入る


鳰「お待たせしたっス」


鳰「召し上がれ♪」


わたしの目の前に置かれたカレーはどうやらチキンカレーのようであった
骨付きのチキンがひときわ目を引く


色は……黄色っぽくていかにもなチキンカレーといった様子だ

山なりになったライスを崩し少しのルゥと絡めてスプーンですくう


「もぐ」


口の中にカレーを含むとほのかにさわやかな香りがする


スパイスではなくヨーグルトの香りだ
あまり辛さを感じないのはヨーグルトのせいでもあるのだろう


「もぐ もぐ」


久しぶりに食堂以外のカレーを食べているって感じだ
具が鶏肉しか見えないっていうところも特別感を際立たせている


さてお次は……その鶏肉を食べてみようか


「はふ」

「……ん!」


鶏肉にかぶりつくと身がほろほろと解けた
ルゥのさわやかな風味を邪魔しないさっぱりとした鶏肉


それでいて固くなく……骨がある鬱陶しさを感じさせない


「もぐ むぐ」


うまい……


カレーはやっぱりチキンカレーだなんだと決めつける文句はあまり好きではないが
今ならその言葉もわたしをいい気分にさせてくれそうだ

鳰「なんでウチのカレーがチキンなのか分かるっスか?」


「ん?」


鳰「鳰……カイツブリ……鳥つながりで チキンカレー」


バッ


ギュッ


鳰「がああああ」

「ふぅ」


腹がいっぱいだ


ライスを少々盛りすぎたのかもしれない


あのくらいのチキンカレーはご飯が少なめでも十分だ


「……はぁ」


口の中にとどまるスパイスの名残は
わたしにどことなくむなしさを覚えさせた


「最後のがなければなァ」

 
 
◆第2話 寒河江春紀のウインナーカレー◆

 
 

春紀「兎角さんってカレーが好きなんだって?」


「ああ」


「前世でよほどカレーに助けられた者がいたんだろうな」


春紀「ふーん……それじゃあアタシのカレーも食ってみるか?」


「勿論だ」


春紀「即答だな……それじゃあ夜に晴ちゃんと一緒にアタシらの部屋に来いよ」


「ほう……」


わたしにとって一ノ瀬以外の人間との会話は不必要だ


一ノ瀬にクラスメイトとは仲よくするようにと言われているからこそ話をすることはあれ
その内容は右から入って左に通り抜けていく


しかしカレーのこととなれば話は別だ


さっきはそっけなく返答したものの
わたしはカレーに実際目がないのだ

寒河江はほかの11人と同じく一ノ瀬を狙う暗殺者の一人だが
その気配りにはほかの者たちとは違う何かを感じさせる


そんな彼女が作るカレーとは一体どんなものなのだろうか


考えるだけで腹が減ってくる……


ああ この退屈な授業……早く終わらないものか


溝呂木「……あ 東……なんで先生をそんなに睨むんだ……」


ええい こんな空間抜け出してしまえ


溝呂木「授業途中で抜け出すにしてもだな もう少しこっそりと……」

夕飯時 空腹も頂点に達した


はやる気持ちを抑えながら
わたしは一ノ瀬の手を引いて店主の部屋へと向かう


一ノ瀬はわたしから店主の部屋に行くと言ったことをひどく喜んだ


部屋のドアを開いたときにしたスパイシーな香りから
一ノ瀬も訪問の趣旨を感じ取ったようだった


春紀「お いらっしゃい」


晴「お邪魔します 春紀さん」


春紀「晴ちゃんもちゃんと来てくれたんだね 嬉しいな」


わたしも軽い会釈程度の挨拶を交わすと
勧められた椅子に座る

春紀「ちょっと待っててな 今よそうからさ」


店主が皿や鍋を用意し始める


準備の間 わたしは部屋の中をぐるりと眺めていた


棚にいくつかの化粧品が置いてある


この部屋で生活している2人はどちらもおしゃれに気を使っているようだ


わたしはそういうものに対して興味がないが
食事するとなると途端に気になりだす


カレーを食する空間に食事と関係のないものを置いちゃだめなんだ


さあ食べるぞって時に視界の端っこに色鮮やかな液体がちらついちゃたまったもんじゃない


カレーを食ってるんだか ハンドクリームを食ってるんだか分からなくなってしまう

そんな部屋に辟易していると
隣に座る一ノ瀬が感嘆の声を上げる


どうやらカレーの準備ができたようだ


テーブルに並べられた皿へ向き直ると
カレーらしいカレーがそこにはあった


晴「おいしそう!」


春紀「そう? まあ 食べてみてよ」


両手を合わせたのち

いただきます 

一ノ瀬と声をそろえる


スプーンを手に取り、ルゥを軽くかき混ぜてみる

小さめに切られた野菜が特徴的だ


サイズがばらばらというわけでもなく
ほぼ同じ大きさに揃えられている


煮崩れはあまりしていない


スプーンで軽く押さえつけると簡単にほぐれてしまうので
煮込みが足りないというわけでもないらしい


「むぐ」


マイルドな辛みが口に広がる


食堂のものよりも甘い……甘口カレーだ
ここの店主は辛い物が苦手なのだろうか


それとこれは……なんだ?
見た目は肉のような感じだ


「もぐ」


……なるほど これはウィンナーだな
ぱりぱりとした皮の触感が新しい


ウィンナー自体に味がついているようだ


甘めのカレーには意外とマッチする


「もぐ はふ」


うん 特別に美味い! というわけじゃないが
なんだろう……落ち着く


子どもがとても喜びそうな味がする
懐かしいというか……何というか


晴「おいしい! 晴 この味とっても好きだな」


そう…… 好きな味だ
その一言でカタがつく


春紀「そう? 気に入ってもらえて嬉しい」


店主の雰囲気も良いし
なんだか非常に満ち足りた気分


腹も心も大喜びだ……


いつの間にか 視界に移る蛍光色も
夜の街を照らすネオンのように どこか風情を感じさせるおかずになっていた

伊介「はー お風呂気持ちよかった♪」
  「あら東さんと晴 ……なんでいるの?」


晴「お邪魔してます! 春紀さんがカレーをご馳走してくれるっていうから来ちゃいました♪」


伊介「あっそ♪」


春紀「伊介様 お帰り」
  「伊介様も食べる? カレー」


伊介「春紀の手作り?」


春紀「そうだけど」


伊介「なら食べるーーー♪」
  「ちょっとクリーム塗っちゃうから準備お願い」


バッ


ギュッ


伊介「がああああ」


晴「ちょ!? 兎角さん!?」


春紀「兎角さん何やってんだそれ以上いけない!」

「うー……」


いかん いくらなんでも臭すぎだ


「はぁ」


カレーの香りと薔薇の香りが
今も鼻の奥で喧嘩している


折角の逸品が台無しになってしまった


「つくづくついてないな わたしって人間は」


この後一ノ瀬はしばらく口をきいてくれなかった



◆第3話 桐ケ谷柩の焼きチーズカレー◆


守護者の仕事を個人でやっているわたしだが
今のところ晴に危機は訪れていない


友人なんかをヘタにもつと面倒が増えそうで気が重たくなる


一ノ瀬には基本的にわたし一人いればいい


と言ってみたところ
一ノ瀬は喜んでいるんだか怒っているんだかわからない表情で部屋を出て行ってしまった


いくらこの数か月間が安全だったからと言っても
この数時間で危険にさらされる可能性が無いわけではない


しょうがない……一ノ瀬を探しに行くとしよう

校舎内をまわってみたが一ノ瀬の姿は見当たらない


思ったよりも時間がかかってしまっている


どうしよう……腹が減りすぎている


ダメだな このままでは餓死してしまう


こうなったら手当たり次第に と教室のドアを一つずつ開けていく


一度だけ顔を真っ赤にして気まずそうにこちらを見る2人組に出会ったが
そんなものを気にしている余裕はなかった


探索を進めるうち
わたしはいつのまにか再び調理実習室の前に来ていた


「ん! この香りは」


わたしの摂食中枢を的確にえぐってくるこの匂い!


「間違いない カレーライスだ」


一ノ瀬を探すついでに中へ入ってみよう

柩「わ…… 東さん?」


教室にはエプロンをつけた桐ケ谷とそれを見守る生田目がいた


千足「どうしたんだ? ここに何か用か?」


「一ノ瀬をさがしていたんだ」


千足「なるほどな」


柩「一ノ瀬さんはここには来ていませんよ」


「そうか」

しまった……
一ノ瀬はいなかったし 話も途切れてしまった


この状況からカレーを食べるという流れに持っていくのは難しい


この二人にはチキンカレーの店主のようなごり押しは通用しないだろう


どうしたものか……あと一声
救いの一言が欲しいのだが


柩「……」


柩「良かったら東さんもカレーを食べていきますか?」


うん その言葉を待っていたんだ


ここぞとばかりにわたしはうなずいて
適当な椅子に腰を掛ける

店主は厚めの皿にライスを盛る


その上にアツアツのルゥをかけていく
具らしきものは見当たらない……野菜はとろけるまで煮込むタイプのカレーか


それで出来上がりかと思いきやその上にぱらぱらとチーズをかけていく
チーズカレーは嫌いではないが わたしは素のままのカレーが好きだ


福神漬けやらっきょうもいらない
カレーライスはカレーとライスだけで十分だというスタンスをとっている


しかしチーズのほのかな香りとカレーの香りが合わさると
否が応でもすきっ腹が反応するのは……人間のサガなのかもしれない


ルゥの上にのせられたチーズは既に溶け始めているのだが
今度はオーブンの中にカレーが盛られた器を入れてしまった


まだ食べられないのか……待てを食らった犬の気持ちが分かる気がする


柩「あ もうちょっと待っててくださいね」


その言葉はより一層わたしの食欲を掻き立てるんだ
……わからないかなァ

柩「えへへ もうちょっとですよ」


千足「桐ケ谷の手料理……楽しみだ」


「……」


柩「……うん よし できました」


店主がオーブンを開けると
調理実習室がやたらと良い匂いに包まれる


「んー……」


もう限界だ
カレーはまだ目の前にないのに思わずスプーンを手に取ってしまう


千足「桐ケ谷 熱くなっているから気を付けるんだぞ」


柩「大丈夫ですよ」


新婚のような初々しさはいらない
今必要なのは自信に満ちた顔で何も言わず料理を客の前に出す料理屋の主人だけだ……

柩「きゃ あっ!」


千足「大丈夫か!? 気をつけろと言ったろう」


柩「すみません……千足さん」


千足「どれ、見せてみろ」


柩「大丈夫です そんなに思い切り熱いところを触ったわけでは」


千足「ン」


柩「ひゃ 千足さん そんな指を舐めたら」


バッ


ギュッ


千足「がああああ」


柩「えっ!? あ 東さ やめて」


バッ


ギュッ


柩「がああああ」

床にうずくまる二人をわき目に
わたしはオーブンミットを手にはめ あつあつの皿をオーブンから取り出す


チーズがこんがりと焼けていて美味そうだ
見た目はカレー味のグラタンって感じだ


マグマのようにふつふつとルゥがはじける
スプーンで一掬いし 何度かフゥと冷ましたあとで口に運ぶ


「もぐ あふ はふ」


んー 熱い
口の中の温度が一気に上がる


ルゥは辛めのようだが
チーズがある分 辛みは幾分マイルドになっている


おかげで汗をかかずに済みそうだ
汗が噴き出すか否か その境をうまく捉えたバランスの良い味がする……

「んん……」


もしこのカレーの中にゴロゴロと具が入っていたら
きっと熱すぎて噛むことができないんじゃないか


それを見込んで肉はひき肉を使い
野菜はとろけるまで煮込んだのだろう……うん


「はふ んぐ もぐ」


熱すぎず 辛すぎない
全てがちょうどよいところで抑えられている


実に計算された料理だ…… 手が止まらない
止め時が分からないと言うべきか?

「ふぅ…… 満足だ」


腹はいい感じに膨れた


これで命の心配なしに一ノ瀬を探すことが出来そうだ


「うーん」


それにしても胸やけがひどい……
あの茶番劇が予想外に効いた


焦がすのは恋ではなく チーズだけにしてほしいものだ

 
 
◆第4話 首藤涼の海軍カレー◆

 
 

わたしは図書館に来ていた
一ノ瀬のテスト勉強の付き添いである


特にこれといって教えることもなかったため
暇つぶしに一ノ瀬の横顔を眺めていた


晴「兎角さん あの」


晴「そんなに見つめられると 恥ずかしいというか……なんというか」


一ノ瀬は頬を赤く染める
しまった 一ノ瀬の勉強の邪魔だな これじゃあ


仕方ないのでわたしは図書館をぶらぶらと歩いてみることにする


「危なくなったらすぐに呼べ」


晴「わかったよ 兎角さん」

だだっ広い図書館を目的もなしにさまようと
なんだか不思議な感覚に陥ってしまう


この一冊一冊には様々な人の歴史が存在していて
それがわたしというちっぽけなモノを包み込んでくる


本棚が両脇から覆いかぶさってくる気がする
おしつぶされてしまいそうだ……息苦しい


「お……これは」


ちらりと視界に入ったのは 『カレーの歴史』という本であった


カレーという言葉にわたしはどうも弱いらしい
先ほどまでの圧迫感もどこへか飛んで行ってしまった


ぱらぱらとめくっていくと一つのメニューが目に止まった


「海軍カレー……」

海軍カレーとはその名の通り
大日本帝国海軍が食べていたとされるカレーだ


食べていたというのはちょっと語弊があるか……
今でも 町おこしとして当時のメニューを再現したものが人々に振る舞われている ようだ


海軍割烹術参考書に載っているレシピは一例であり
艦艇・部署ごとに独自の秘伝レシピがあるらしい


「やっぱりカレーは完全食なんだな……」


おっと 写真を眺めていたら心の中がカレーになってしまった
今の空腹を満たすのはカレー以外あり得ないな


実をいうとさっき 一ノ瀬の照れた顔を見たときからどうしようもなく腹が減っていたのだ


「今から食堂に行くか……? それとも」


涼「お…… なんじゃ 東ではないか」


「首藤」

涼「何を眺めて…… ほう これは海軍カレーじゃな」


「お前も知っているのか」


涼「知っているも何も 高木に直接教わったものよ」


涼「どうじゃ 食べてみるか? 本場の海軍カレーを」


断る理由もなかったので
わたしは一段落ついた一ノ瀬を連れて調理実習室へ行こうとした


涼「東 ……食材も何も用意していないのだから今すぐに作ることはできないよ」


がーんだな……出鼻をくじかれた

「それじゃあ……普通のカレーでいい」


涼「じゃから 食材も何も用意していないのだからすぐには作れぬよ」


バッ


ギュッ


涼「がああああ」


「普通のカレーライスを」


涼「今は無理じゃああああ」


晴「ちょ!? 兎角さんなにやってるの!」


結局その日は 食堂のカレーライスになった


しばらくの間一ノ瀬だけじゃなく 神長まで口をきいてくれなくなってしまった
まいったな こりゃ

数日後の昼飯時
わたしと一ノ瀬は通いなれた調理実習室へと向かった


自分には縁がないと思っていたが……
下手したら黒組以外の学校生徒よりも頻繁に訪れているかもしれないな


実習室には割烹着を着た首藤と神長がいた


涼「来たか二人とも もう準備はできておる」


涼「今盛り付けるからちょっと待っていてくれ」


涼「香子ちゃん ご飯をよそってくれ」


香子「ああ 分かったよ」


うう 早くしてくれ
あの時からお預けを食らっているんだ……心の中にぽかんとカレー穴が開いたままだぞ


晴「楽しみだね 兎角さん」


楽しみという言葉では薄っぺらすぎる
それほどまでに今を待ち続けていたんだわたしは


晴「……ほんとにカレー 好きだね」

涼「お待たせ これが海軍カレーじゃ」


「おお……」


見た目はいかにもなカレーだ


入っている野菜は 玉ねぎ 人参 ジャガイモ
綺麗な賽の目に切ってある


肉は……牛だな 間違いない


「ん? このライスは……」


涼「ああ 麦飯を使っているよ」


珍しいな……麦飯は栄養に富んでいるが
独特の香りがある カレーの邪魔にならないか心配だ


そしてこれはチャツネか
小鉢によそってある…… お好みで添えろってことだな

晴「じゃあ食べよっか 兎角さん」


「ああ ……いただきます」


涼「ん 召し上がれ」


スプーンでルゥをすくってみる
一般的なカレーと比べると幾分さらっとしている


たしか海軍カレーのルゥは牛脂で小麦粉とカレー粉を炒めてつくるんだったか


「もぐ もぐ」


うん あっさりとした風味だ
軽やかなルゥの感じが懐かしさを運んでくる


何を基準に懐かしいと思っているんだろう……


炒めて作ったルゥのおかげだろうか 香ばしさもある
麦飯がカレーに合うのか不安だったが これはこれで……

「もぐ はふ」


いや……これはただの麦飯じゃあないな
ブイヨンか何かで炊いてあるのか


ルゥがさわやかな分 ご飯の方に深みを持たせているんだ


ルゥだけでも……ライスだけでも成り立たない
二つが合わさってはじめて 一つの料理として完成する


「んー……」


THE・カレーライス ここにありって感じだ
こんなものがあっちゃあ……ほかの奴らは簡単には“カレーライス”は名乗れないぞ

香子「おいしいな……」


晴「うん! これこそまさにカレーライスって風だよね」


一ノ瀬はよく分かっている
理解のある女の子はどうしようもなく好きだな


涼「ふふ ありがとう 作ったかいがあったよ」


しかし…… 確かこのメニューは高木という人物に教わったらしいのだが
あの本にも 同姓の人物が載っていたな 海軍軍医総監とかで……


「……まさかな」



明日……
◆第5話 一ノ瀬晴のカレーライス(の消滅)と武智乙哉のシチュー◆



腹が減った……


今日のナイフ研ぎはすぐに終わりそうだし……何を食べようか


乙哉「ねー晴っち 最近調理実習室でカレーを作ることが流行ってるみたいだよ」
  「今度あたし達も作りにいかない?」


カレーか……


「!」


そうだ 一ノ瀬にカレーを作ってもらおう


食べたことがないんだよな 一ノ瀬の手料理
きっと美味い いや 美味いに違いないんだ


「作りに行こう 一ノ瀬」


乙哉「あれ あたし兎角さんに向けて言ったんだったかな……」


乙哉「まあいいや 兎角さんが来るなら晴っちもトーゼン来るよね」


晴「うん!」

後日 材料を買いそろえたわたし達は
カレー調理室へ赴いた


今回作るカレーはスタンダードなものだ
ルゥは武智が選んだ 市販のものを使用するらしい


これといった隠し味は何もないが
一ノ瀬が作るってだけで 特別感が格段に増す


ああ 考えるだけでよだれが出てくる


絶対大盛りで食おう


乙哉「兎角さん なんかニヤけてない?」


晴「あはは……」

一ノ瀬らしい可愛いエプロンを身に着け
野菜を切る姿は ずっと見ていても飽きない


一ノ瀬と一緒にご飯を食べる時は
一ノ瀬が何にも代えがたいおかずだ


武智「ハァ ハァ」


晴「ど、どうしたの武智さん……」


武智「野菜切ってたら興奮してきちゃった」


バッ


ギュッ


武智「がああああ」


晴「兎角さぁん!」


「一ノ瀬と一緒にいるときはな もっと心が澄んでいなきゃあダメなんだ」
「もっと純粋で 静かで 穏やかで……」


しばらくの間一ノ瀬は目すら合わせてくれなかった

その後 豚肉を程よいサイズに切る
玉ねぎを熱したサラダ油で炒め きつね色になってからじゃがいもやニンジンを加える


この時点で既にカレーだ
スパイスの香りもまだしないというのに……


水を加え 一煮立ちさせる
アクが出てきたら 丁寧にそれらを取ってやる


湯気を浴びながらも
懸命にアク取りに励む一ノ瀬が愛おしい


うおォン
ぺろぺろ


武智「兎角さんさ 自分で言ったこと忘れてない?」

かたかたと鍋のふたが騒いでいる
……もうそろそろ具材は煮えただろうか


晴「ん だいぶ煮えたみたい」
 「そろそろルゥを入れてもいいかな」


乙哉「はいはい! 準備しまーす」
  「えーと……」


乙哉「あれ? そんなバカな」


乙哉「この箱……」
  「え! まさか!!」


晴「どうしたの?」


なんだなんだ?
いきなり調理場があわただしくなってきたぞ


それに加えて胸騒ぎがする
こういうときってのはどうも悪い予感が当たるんだよな……

乙哉「ルゥ…… カレーじゃなくて」
  「シチューのを買ってきちゃった」


晴「え!?」


「なんだって!」


乙哉「ショック 間違えたのかあ」


おいおい 間違えたじゃあ済まないぞ
この日をどれだけ楽しみにしてきたと思っているんだ


気分は直滑降
あまりに呆れてアームロックすらかける気にならない……


「はぁ」

鍋蓋のカタカタがドラムロールのようだったんだがなぁ
今じゃあ子どもの地団駄を聞いているみたいだ……


やり場のない気持ちだけが心の中でぐるぐると渦巻いていた
シチューの甘ったるい香りが 余計にむなしさを引き立たせる


晴「……」


乙哉「あー ……昨日しえなちゃんと買い物に行ったとき」
  「シチューの方が好きだってしえなちゃんが言ったのが影響しちゃったのかもなァ」


「……」

しえな「それで武智ってやつは 事あるたびにボクにはさみを突きつけるんだよ」
   「命がいくつあっても足りないさ……」


春紀「剣持も大変だな」


しえな「大変なんて言葉で足りたら苦労しないよ」
   「昨日だって買い物に付き合わされてさぁ……」


涼「でも一緒にいるのは嫌じゃないんじゃろ?」


しえな「……それは」


「……」


春紀「お? 兎角さんじゃん」
  「晴ちゃんと武智のカレー食ってたんじゃ」


バッ


ギュッ


しえな「がああああ」


春紀・涼(ああ これは)
    (剣持がカレー関連で何かしでかしたな……)


「ふざけるな!」


しえな「なにがああああ」


ああ 腹も心も満たされない
なんて残酷なんだろう…… カレーのない世界ってのは

 
 
◆第6話 番場真昼の英野菜をふんだんに使ったベジタブルカレー◆

 
 

あるとき わたしは英から招待状を貰った
今日の夜 カレーを御馳走するから 学校の一番上の階に来てほしいとのことだった


わたしのカレー好きがどこからか伝わったんだろうか
何かの罠……それとも お嬢様の気まぐれか?


どちらにせよ カレーと聞いて断るわけにもいかない


一ノ瀬を一緒に連れて行っても構わないようだった
招待されたことを一ノ瀬に告げると ぜひ行かせてもらいます と二つ返事で答えた


カレー作りが失敗に終わって以来 一ノ瀬はどこか元気がなかった
嬉しそうに夜を待つ姿を見て 少しだけ安心した


太陽が沈みきったころ 二人そろってエレベーターで最上階へ向かった
ガラス張りのエレベーターからは 星屑を散りばめたように輝く夜の街並みが見えた

エレベーターのドアが開くと
赤絨毯が敷かれた広々とした空間があった


学校と同じ建物とは思えないな……全く違った様相だ
いかにも高級そうな絵画が壁に掛けられていて 小さな美術館と言っても差し支えはないように思える


この絵はわたしの趣味じゃないな 特に人物画
数十年前、あるいはもっと昔……そんな過去から 


絵に描かれた人物の目を通して
作者にこちらを覗かれているかのような錯覚に陥る……


一方の一ノ瀬は驚嘆の声を上げる


晴「へぇー こんな風になってるんだ…… 最上階って」



純恋子「今宵の晩さん会のために 英コンツェルンの力でここを改装しましたの」


純恋子「ようこそ お二人とも」


白くきらびやかなドレスを着た主催者が奥のドアから現れ出た


まさかあんな格好でカレーを食べるというのか?
こぼしたりしたら大参事だな…… まあ代えもすぐ用意できるだろうが


晴「今日は 誘っていただいて ありがとうございます」


純恋子「いえいえ ……さ どうぞこちらへ」

案内された先はシャンデリアに長いテーブルのある部屋だ
部屋……というよりは 会場って言葉の方がぴったり合っている気がするな


椅子が無駄に並べられている
なんだか落ち着かない…… 


カレーを食べるならもっとこじんまりした感じの建物のが好みだ
広い分 カレーの香りも分散してしまいがちだし……


これからカレーを食べるっていう雰囲気に浸りたい人間にとっちゃあ ……少し物足りない


真夜「よぉ よく来たな」


しばらく椅子に座って待っていると 皿を手に持った番場が現れた


鋭い顔つきには不釣り合いな ピンクでフリフリのエプロンをつけている
まさか彼女がカレーを作ったというのか……


晴「真夜さん ……もしかして 真夜さんがカレーを作ったの?」


真夜「あー あたしじゃねぇよ」
  「真昼のヤローが作ったんだァ……ひひっ」


あぁ 昼間の方だな…… なら少しは安心できる
夜の方はどうも……信用ならない


すぱっとした性格は嫌いじゃないがね


真夜「真昼 調理実習をするのが夢でよぉ」
  「作った料理をクラスメイトに食べてもらいてぇんだとさ」


晴「なるほど」


純恋子「それを聞きましたので 今宵 番場さんが作られたカレーを食べる機会を設けましたの」
   「最上階のこの部屋も 英コーポレーションの力で 特別仕様に改装させましたわ」


晴「すごいね…… ちょっと大げさな気もするけど」


外見にこだわるあたり……いかにもな金持ちだな
中身も伴っているのなら文句はないのだが


真夜「まぁ 真昼が一生懸命作った料理だ ……不味くはねェと思うぜ」


と言ってカレーを盛った皿をわたし達の目の前に置く


「ほう これは……」


晴「わぁ」


野菜カレーだ
輪切りのナスに…… ブロックのようなレンコン 人参 じゃがいも…… アスパラも入っているのか?


それと鶏肉だ


色鮮やかで目でも楽しめる
ああ 目の前に置かれたら途端にカレーの香りが脳を刺激し始めた


舌のカレー受け入れ態勢は万全だ

純恋子「具材には英自慢の野菜を用意しましたわ」
   「有機栽培で作られたものにこだわりましたの」


純恋子「今朝摂ったばかりの物で 新鮮さにも自信ありですわ」


有機野菜か
どうも泥臭いようなイメージがあるが ……味はどうかな


晴「それじゃあいただきます」


「いただきます」


野菜がこんなにも 食べてくれ って主張しているのに
最初に掬わないわけにもいかないよな


まずはナスからだ


「もぐ」


口の中に入れるとナスがふにゃりと崩れる
同時に ナスにしみ込んでいたカレーのうまみが口の中に広がってゆく

「うん うん」


ナスの皮が柔らかくて 口に残らないのもプラスだな
これも有機栽培の一つの特徴なのか?


お次はレンコンだ……


「もぐ しゃく」


ん……歯ごたえが気持ちいい
うまみがしみ込みにくいイメージだが……レンコンの穴の中に入ったカレーがそれを補っている


まさかレンコンも 自分の空気穴をこういった役割として使われるなんて
思ってもいなかっただろうな……


「しゃく しゃく」


アスパラも悪くないぞ ほのかな青臭さが
カレーのスパイスに新鮮さをプラスさせる


野菜のおかげなのか……繊細で複雑な味がする 複雑っていうが悪い意味じゃない
食べる側を飽きさせない美味さだ


作り手の“食べてもらいたい”という気持ちがよく表れている……
こういうものは食べていて気持ちがいい


「ふぅー」


おいしい……


晴「……」


「ごちそうさま」


晴「ごちそうさまでした!」


純恋子「満足していただけましたか?」


「あぁ だいぶな」


晴「とってもおいしかったです!」


純恋子「だそうですよ? 真夜さん」


真夜「そぉかぁー…… 真昼もさぞ喜ぶだろうよ」


純恋子「さて……それじゃあ」
   「真夜さん?」


真夜「あぁ…… 行くか」


晴「え?」


「……! まさか」

バッ


ギュッ


「がああああ」


晴「兎角さん!」
 「英さん アームロックをかけるのをやめて! それ以上いけない!」


純恋子「ここからが晩餐会のメインイベントですわよ!」


真夜「真昼には カレーの感想を 聖遺物を添えて伝えてやるぜぇ!」


うー……苦しい


調子に乗って食べすぎたな ライスが多目だったのも作戦の一つだったりするのかな


しかし カレーで腹がいっぱいで ……今はとても


晴「兎角さん! しっかりして!」


頭と腕が回らない……

 
 
◆第7話 一ノ瀬晴のカレーライス(再挑戦)◆

 
 


晴「兎角さーん」


晴「そろそろ起きて 兎角さん」


「ん……」
「んん……」


少し寝ちゃった


晴「兎角さん 腕の調子はどう?」


「ああ 前に比べたら大分痛みが引いた」


先日 英と番場にうまくはめられて わたしは左腕をけがする羽目になった
一ノ瀬は守り切れたものの…… 左腕を使う場面ではなかなか不便する


晴「そっか よかった」


利き手がつぶれたわけではないので 日常生活に大した影響はない
だが 一ノ瀬は献身的にわたしのことを支えてくれていた


「そういえば 一ノ瀬」
「さっきどこかに出かけていたようだが……あまり一人で出歩かないほうが良い」


晴「あ ……ごめんね 兎角さん」
 「実はね……わたし 兎角さんに元気になってもらいたいと思って」


「あっ それは……!」


一ノ瀬が保温バッグらしきものから取り出したタッパーには
カレーとライスが入っていた


「カレーじゃないか」


晴「うん さっき作ってきたの」
 「カレーばっかりなのもどうかなって思ったけど 兎角さんが喜ぶのはやっぱりカレーかなって思って」


晴「前にカレーを作り損ねたとき 兎角さんとっても落ち込んでたでしょ」
 「そのリトライも兼ねて……ね」


「……」


晴「あ あれ? そんなに嬉しくないかな?」


「そんなことはない! 嬉しいに決まっている」
「ただ ……びっくりしたんだ いきなり 晴手作りのカレーが目の前に出てきたもんだから」


晴「そっか! 良かった」


グルルル
腹が鳴ってしまった


「あっ」


晴「ふふ……ごめんね」
 「今用意するから」


「ああ……ありがとう」

目の前に用意されたのは何の飾り気もない シンプルなカレー
わたしが一番好きなタイプのカレーだ


具は豚肉 玉ねぎ 人参 じゃがいも……うん 良い


ライスはタッパーに入れられていたとはいえ ついさっき炊き上がったものらしく
白くつやつやと輝いている


「食べても いいか?」


晴「あ うん! どうぞ めしあがれ!」


あぁ だめだ 食べたいという気持ちばかりが先に行ってしまう
焦るな 焦るな


カレーライスは逃げないんだから……


「いただきます」


スプーンでライスとカレーを1対1くらいですくう
とろみもちょうどいい……


白いライスがカレーでコーティングされている様は
何度見ても……美しいな


「はむ もぐ もぐ」





なんだ!


「もぐ もぐ」


うまい うまいぞ!

「はふ はぐっ」


味はいたって普通のカレーだ
市販の中辛のルゥが入っている箱の裏に書かれているメニューをそのまま再現したような味なんだ


しかし何故だろう……レシピ通りのカレーとは比べ物にならないくらい
いや……比べたら失礼なほどに このカレーライスはうまい


けど…どうやって表現していいのか 何を言っても浅はかに聞こえてしまいそうで
食べても食べても逆に腹が減ってしまうようだ……とか かな


「うまい……」


腹よりも先に心が満たされていく……


こんな気持ちは初めてだ


「あむ もぐ」


ジャガイモなんかはちょっと煮崩れしているのに……それが味を出している
トロトロの玉ねぎが香ばしい……豚肉も最高級品を使っているのかってくらい美味い


おいしいです……ほんとに……これ


「一ノ瀬……このカレー うまいよ」


晴「えへへ よかった!」


「今までこんなもの 食べたことがない」
「なにか 特別な隠し味でも入れているのか?」


晴「ううん 作りかた通りに作っただけなんだ……」
 「でも しいて言うなら」


晴「誰にも負けないくらいの 兎角さんに対する気持ち」


晴「愛情をたくさん込めて作ったの」


「……愛情」


晴「守ってくれてありがとう 一緒にいてくれてありがとう」
 「そばにいてくれてありがとう……」


晴「そんな気持ちを いっぱいいっぱい こめたんだ」

愛情……愛情か


それがこのカレーをこんなにもおいしくしているのか


どんな調味料より気持ちを満たし


どんな料理にも合う最高の隠し味


わたしは初めて……このカレーを毎日食べたいと思った


毎日の食卓がこんな気持ちで満たされればいいと


彼女とずっと一緒にいたいと……心の底から


「晴」


晴「えっ……? 兎角さん 今」


「これからも どうぞ よろしくな」


晴「――! はい!」

 
 
 
◆最終話 アズマ家のカレーライス◆

 
 
 

「ふぅ」


「ん……メールか」


[SUB]お疲れ様!
[FROM]晴
そろそろ帰ってこれるかな?
今日のお夕飯は兎角の好きな料理だよO(≧∇≦)O

気を付けてね(*^-゚)v


「……」

「ふふっ」


晴「ふんふふん~♪」


晴「あ」


晴「帰ってきた……!」


晴「今開けるから待ってて!」


晴「よ……っと」


「……ただいま 晴」チュッ


晴「お帰りなさい 兎角!」チュ

仕事終わり


家に明かりがついている


玄関のドアを開けたらカレーのにおいがする


何より 愛しい相手が待っている


こんな生活も ……悪くないです


晴「今日はカレーだよ!」


「うおォン」



◆おわり◆
 

読んでくださった方々 ありがとうございました
久住さん谷口さん高河さん南方さん すいませんでした

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年06月19日 (木) 00:37:42   ID: r9T7DL4S

なんか独特のリズムやな

2 :  SS好きの774さん   2014年06月19日 (木) 01:36:00   ID: m2qROBXJ

鳰ちゃんのカレー、自分も是非食べたいッス!!最後の甘々な兎晴はどうもご馳走様でしたw

3 :  SS好きの774さん   2014年06月19日 (木) 02:34:54   ID: 6ZbAV31T

腹減ってきた

4 :  SS好きの774さん   2014年06月19日 (木) 03:38:33   ID: G1U42kWz

こんな時間に腹減ったぞ

5 :  SS好きの774さん   2014年06月19日 (木) 09:09:33   ID: CHAS0MrC

があああああ ってなにされてんだと思ったらアームロックかw
兎角さんならわりとやりそうでふくわw

6 :  SS好きの774さん   2014年06月22日 (日) 01:41:11   ID: eiX5SOQQ

うおォん

7 :  SS好きの774さん   2014年07月07日 (月) 12:46:46   ID: 5ClgKTCx

カツカレーないのかよ

8 :  SS好きの774さん   2014年12月01日 (月) 19:52:43   ID: s8A7oRnU

久々に読み直したけどあの独特のナレーションの再現度が凄い
自然に引き込まれる

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