うしお「カンカンダラ?」(107)

当ssは漫画【うしおととら】の重大なネタバレを含みます。未読の方は、承知の上でご覧ください。
また、元ネタである姦姦蛇螺のお話を読んでからの方が、2割増し位で楽しめると思います。url↓
http://mobajie.com/kaidan/h_kankan.php

では、開幕


~国内某所~


「お、おい…本当に行くのかよ…」

「ったりめぇだろうが」

「や、やっぱり辞めようぜ?婆ちゃんもここだけはダメだって…」

「婆ちゃん婆ちゃんうるせえんだよ!」

「でも…」

「あのなぁ男、情報時代の21世紀に妖怪や呪いなんて流行らねぇんだよ」

男「で、でも前に凄い化け物が日本を…!」

「あんなもん放射能で突然変異したイタチか狐が逃げ出してたんだろ?」

男「dqnは入院して意識なかったから分からないかもしれないけど…!!」

dqn「はいはい、そんなら信仰深い男ちゃんはここで待ってればいいさ」

dqn「俺は1人でも行くぜ」スタスタ

男「ま、まってよdqn!!」

…………
……



dqn「話によればそろそろじゃねぇかな…」

dqn「おお!あったぞ男!柵だ!!」


ゴオォォォォォォ…


男「ひっ…」

男(なんだ…?)

dqn「何ビビってんだよ」

dqn「いやぁ!冒険って感じすんなぁ!」

男「うう…」

男(誰かに…監視されてる…?)

dqn「いざ、侵入~♪」ガシャーンガシャーン!

dqn「ひひ、壊すのは得意なんだよな」ガシャーンガシャーン

男「ま、まってよ!」

dqn「…うしっ!!」バキィイン

男「うわあっ…」

dqn「行くぞ」グィイイイ…バキッ

男「おい、ちょっと…」

男「うう…うっ!?」ブルブル

男(なんだ…柵が壊れた途端寒気が…それに…気持ち悪…い)

男「お…おぇぇ…」

dqn「早くしろよ、置いてくぞ」

男「ううぅ…」ヨロヨロ

………………
……


dqn「お!あれじゃねぇか!?」

男「ろ、六角形の注連縄の木……」ブルブル

dqn「なんか箱あるな…お宝か!?」

男「d…q…それ…きけ…ん」ブルブル

dqn「うーん?地面にくっついてやがるな…」ガンガン

dqn「ん?なんだこの札…こいつだけ新しいな」ペリペリ


男「お、おい…」

dqn「開けよっ!」ドゴッ


バキッ


dqn「げっ…壊しちまった」

dqn「まあいいや」

dqn「お宝お宝ぁ~♪」

ゴソゴソゴソゴソ

dqn「…ああ?何だこの棒」

男「dq……n!!」ゲェェ

dqn「……」ヒョイ


ゴオォォォォォォ…

ゴオォォォォォォォォオオオオオオオオオ!!!

チリンチリリンチリリリリンチリンチリンリリリンリンリリリリリ!!!

dqn「な、なんだあ!!」ビクッ

男「うぉ…えぇぇ…」ビチャビチャ

男(ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ)

男「dqn…逃げて!!」


dqn「…なんだよお前」

男「!?」



恨めしい

ズゾゾゾゾゾゾゾ


dqn「なんなんだよ…」



私を裏切った人間が恨めしい

ヌゥラァァァァァァアアアアアアア


dqn「う…うああ」ガタガタ



村の人間が恨めしい

キリキリキリキリキリ


男「dqnーーーー!!!」


人間が恨めしい!!!

ガアアアアアアアアアアッ

dqn「うああああああああああああああ!!!!」


パキパキ
ポリポリ
グッチャグッチャ

…………………
………


番外其の零

~蛇と女と槍ととら~

「んがー…」

「すぴー…」

「ぐごーー…」

蒼月(ツァンユエ)

「んぺーー…」

蒼月

「すぴょー…」

蒼月!!

「はいいい!?」

蒼月、大変です

うしお「じ、ジエメイさん!?」

ジエメイ「ええ、お久しぶりですね」ニコッ

うしお「あ…大変って言うのは?」

ジエメイ「強力な妖が解き放たれたのです」

うしお「妖って…殆どみんな日本の礎になったんじゃ…?」

ジエメイ「この妖は古代より封印されていました」

ジエメイ「なので、先の対戦中も封印が解けることはなくずっと眠っていたのです」

うしお「な、なるほど…」

うしお「でも、俺は獣の槍はもう無いんじゃ戦いようが…」

大丈夫だ、問題ないぞ蒼月

うしお「ギリョウさん!!」

ギリョウ「槍の時は迷惑をかけたな」

うしお「ううん!また会えて嬉しいよ!」

ギリョウ「私もだ。時に蒼月、獣の槍がもう無いと言ったな」

うしお「うん、だって…白面を倒した後に砕けちゃったし…」

ギリョウ「獣の槍は、刃部にジエメイが、柄に私が込められていた」

ギリョウ「つまり…」フワッ

ジエメイ「私達が力を合わせれば…」フワッ


シュウウウウルルルルッ


獣の槍「再び、この姿になる事だってできる」ジャッキィイイイイン!!

うしお「おお!!」

獣の槍「気をつけて蒼月、この姿は獣の槍だけれど元となる実体は無いの」

獣の槍「故に、今までに比べ遥かに脆く、弱いぞ」

獣の槍「長くは戦えないわ」

うしお「うん!頑張る」ガシッ

うしお「ただ…」ザワザワザワ

獣の槍「…?」

うしお「喋るのはどちらかにしてくれないかなぁ…?」バサアアアアッ

獣の槍「……ふふ」

獣の槍「お断りするわ」

獣の槍「私達二人とも、また君と共に戦えて嬉しいのだよ」

うしお「え、ええ…」

獣の槍「さあ!時間はない!!急ごう!!」

うしお「は、はーい…」シュバッ

うしお(大丈夫かなぁ…)タタタタタタッ

……………
……


~とある山奥~


獣の槍「蒼月!近いぞ!」

うしお「うん、分かってる…」タタタタタタッ

獣の槍「…お前が今なにを考えてたのかわかるぞ」

うしお「……」

獣の槍「シャガクシャ…いや、とらの事だろう?」

うしお「…うん」

獣の槍「彼は…きっとまた蘇るわ」

うしお「……」

獣の槍「それまで…私達が彼の代わりを務めよう」

うしお「代わりだなんて…」

獣の槍「ええ、代わりにならない事はわかってる」

獣の槍「それでも、私達は君の役に立ちたいのさ」

うしお「ありがとう…二人とも」

獣の槍「ツァンユエ!!」

うしお「応っ!!」バッ


バキバキバキバキ

ドゴオオォオオオォォオオオオオオオオオ!!!

「恨めし!恨めしや人間んんんぅううううう!!!」


うしお「なんだあれ!?腕が6本と…蛇!?」

獣の槍「奴は姦姦蛇螺(かんかんだら)」

獣の槍「昔は名のある巫女だったらしいが、大蛇退治の途中に村人や家族に裏切られて生贄にされたんだ」

うしお「そんな…あんまりだ!」

獣の槍「大蛇に食われた巫女は、腹の中で人間を呪い、大蛇と一体化したの」

獣の槍「山の神であった大蛇に霊力の強かった巫女の力が上乗せされてる!心してかかれ!」

うしお「言われなくともっ!!」バッ

姦姦蛇螺「おおお!人間!ニンゲン!!恨めしい!恨めしいぞおおおおおおお!!!」ゴアアアアアア

うしお(なんて力だ…大気が痺れてる…!)

うしお「おおおおおお!!」ズバッ

姦姦蛇螺「獣の槍ぃ!?」ギイィン

うしお「槍が…!弾かれた!?」

姦姦蛇螺「ほうほうほうほう!貴様が槍の使い手か!!」ズルズル

姦姦蛇螺「良い機会だ、白面もおらず西も東も妖は消えた!貴様を倒し!今こそ我が地上を制そうぞ!!」

姦姦蛇螺「恨めしや人間!!にんげん!!ニンゲンンンンンゥ!!!」カパァ

姦姦蛇螺「怨!!!」ドゴゴゴゴゴ

うしお「ぐっ…うぅ…おおおおっ!!」ガキィィイ

獣の槍「これは…っ僧の使う…っ!?」

うしお「うわあああっ!」ドオオォン

獣の槍「ツァンユエ!!」

姦姦蛇螺「いひゃひゃひゃひゃ!!飛んでゆけ飛んでゆけ!!」ズルルルルルゥ

姦姦蛇螺「食ろうてくれるわ!!」ガアアアアアアアアアアッ

獣の槍「っく!」クルクル

ギリョウ「させぬ!」フワアア

ギリョウ「はっ」ガシッ

うしお「ギリョウさん!っ!」グイ

ギリョウ「ジエメイ!!」

ジエメイ「はぁぁぁあ!!」

ジエメイ「いぃぃぇええええい!!」


ギシィィイイイン


姦姦蛇螺「結界ぃぃいいい!?」ギンッ

姦姦蛇螺「こざかしいわぁああああ!!」バキィイン

ジエメイ「きゃあああっ!」

ギリョウ「ジエメイ!!」フワッ

うしお「二人とも!槍に!!」タタタッ

ジエメイ「うぅ…」フワッ

シュルラルラルゥ

獣の槍「すまぬ蒼月…」

うしお「いや、助かったよ!」ガシッ

うしお「おおおおおっ!」ザワザワザワ

うしお「りゃあああああああっ」ダッ

姦姦蛇螺「ふん!何度やろうと同じだ!失せろ!!」バキッ

うしお「ぐぅううっ」ザザザザ

姦姦蛇螺「ぉ怨!!」ドゴゴゴゴゴゴ

うしお「ぐぉああああああっ」ビシィィイイイ

獣の槍「蒼月!!」

うしお「ぐふっ…」ガクッ

姦姦蛇螺「ククク、効かぬとはいえ流石獣の槍…恐ろしい力よ」

姦姦蛇螺「人を喰ろうて出直そうぞ!!」ズヌルルルルッ

姦姦蛇螺「いひゃひゃひゃひゃひゃ!!暫し休戦と洒落込もうではないか……」ズルルルルッ……

うしお「ま、待て…よ…」ガクガクガク

獣の槍「蒼月!無理だ!休まなければ!!」

うしお「で…も…」ググ

うしお「あいつは…人を食う気だ…」フラッ

うしお「早くなんとかしないと…」フララッ

獣の槍「……!蒼月!誰か来るぞ!」

うしお「ええ…?」

男「……!」

男「あ、あんた大丈夫か!?」

うしお「うぅ…」ドサッ

男「お、おい!!」

………………
……


うしお「う、うう…ん?」

男「目ぇ覚めたか?」

うしお「!!」ガバッ

うしお「姦姦蛇螺はっ!!」

男「あ、あんた!姦姦蛇螺を知ってるのか!?」

うしお「俺は…俺はあいつを倒しに来たんだ!」

うしお「槍は…!?」キョロキョロ

男「や、槍なら婆ちゃんが綺麗にしてるぜ…」

男「あんた、姦姦蛇螺を倒しに来たって本当かい?」

うしお「ああ」

男「……すまねえ」

うしお「ええ?」

男「姦姦蛇螺を自由にさせたのは…半分俺の責任なんだ」

うしお「どういうこと…だ?」

男「姦姦蛇螺の結界を破ったのは俺の友達なんだ…そして、俺もその現場に居た」

うしお「その友達は…?」

男「……」フルフル

うしお「……」

男「俺、婆ちゃん譲りで少しだけ…霊感っていうか、不思議な勘があるんだ」

男「あの柵を壊した瞬間…いや、その前からその勘が告げてた"危険だ"ってね」

男「そしていざ、奴が現れて対峙した時…それこそ、蛇に睨まれたカエルみたいに…」ブルブル

男「そんな俺をみて、奴はなんて言ったと思う…?」

男「お前は最後の甘味だって…」ガクガク

うしお「……」

男「俺は…情けねぇ……」

男「その一言で、友達が食われてゆく所をただ呆然と見てたんだ…」

男「情けねぇ…し…こえぇ…怖えんだよぅ…」ガタガタ

男「俺も…俺もあいつみたいに……っ」ガタガタ

うしお「…大丈夫、奴は俺が倒す」

うしお「きっと、きっと倒すから」ガシッ

うしお「だから、あんたは大丈夫だ」

男「ああ…っ…あぁっ…」ポロポロ

…………
……


うしお「落ち着いた?」

男「…あぁ、ありがとう」

男「奴については、婆ちゃんが詳しい…ついて来てくれ」

うしお「おう」

……


男「婆ちゃんは足が悪くてな」

男「膝掛けしてここに一日中居るんだ」

ガラガラガラ

男「婆ちゃん」

婆「男かえ?」

男「おう、俺だ」

婆「それと…槍の子だね」

うしお「は、はじめまして」

婆「そう身構えんでええ…」

うしお「はぁ」

婆「良い槍じゃの」

うしお「ありがとう…ございます」

婆「ふぉふぉ、2人分の魂が見えるわい」

うしお「!?」

婆「なーに、こう見えてもあたしゃ昔は光明宗の僧だったのさ」

×光明宗
○光覇明宗

婆「魂や霊を見ることくらいできる」

婆「まあ…これはちと予想外だったがの」

獣の槍(ど、どうしましょう兄さん)

獣の槍(そう言われてもな…我らは蒼月に従うだけだ)

婆「槍の子よ、名は何と申す?」

うしお「あ、蒼月潮です…」

婆「蒼月!蒼月紫暮の息子かえ!?」

うしお「親父を知ってるのか!?」

婆「知っておるも何も…本山では有名人じゃよ…」

うしお「あぁ…」ソウイエバ

婆「わしもまだ戦いたかったがの…ほれ、足が…」パサッ

うしお「うっ!!?」

婆「強い妖じゃった…足と引き換えにやってやったわい」

うしお「……」

婆「…すまんすまん、姦姦蛇螺についてじゃったな」

婆「奴は力では絶対に倒す事はできん」

婆「それこそ、神格の力を以てもな」

婆「今までだって封印で精一杯じゃった」

婆「この前も封印がとけかかっていてのぅ…」

婆「その時は偶然通りがかった青目の中国人のお陰で事なきを得たが…」

うしお「!!青目の…!?」

婆「なんじゃ、知り合いか?」

婆「札を貼って、妖怪の事を訪ねていったが…」

うしお「鏢さんだ…」ウルッ

婆「…訳ありのようじゃの」

うしお「ぅん…」グシグシ

婆「……話を戻そうか」

婆「奴は強い」

婆「じゃが、奴をを倒す手が無い訳ではない」

婆「奴は2つで1つ」

婆「つまり、巫女の部分と蛇の部分が合わさり姦姦蛇螺を成しておる」

婆「巫女は、同化してはおるがあくまで人間…獣の槍で殺める事ができるかどうかはわからん」

婆「その点、蛇ならば…」

うしお「元から妖だから…やれる!」

婆「その通り」

婆「体と尾の境目は2体の力の集まりのような物、そこを起点に上半身、もしくは下半身の末端に行けばゆくほど、双方の力の結合が弱い」

婆「かといって末端過ぎてもいかん」

婆「槍の最大の力で、切れる場所を模索するのじゃ」

うしお「わかった」

うしお「槍よ!」

獣の槍(やっと出番ね兄さん!)

獣の槍(…ジエメイ、お前何か変わったか…?)

ギュウウウウン

うしお「いって来るよ!」パシッ

婆「待て!」

うしお「え?」キキッ

婆「巫女と蛇を…切り離したら…」

婆「巫女をここに連れてきてはくれんか?」

うしお「え…別に…いいけど…」

婆「村の皆を呼んでおく…わし等は、彼女に謝らねばならんのじゃ」

うしお「……分かった!」

うしお「じゃあ!いってく…」

男「う、潮くん!」

うしお「んがっ!」ズルッ ゴチーン

男「俺も…俺も連れて行ってくれ!」

うしお「えぇっ」イテテ

婆「わしからも頼むよ」

婆「その子は、今回の一件を全て自分のせいだと思うとる」

婆「だから…足手まといにならん所で、事の結末を見せてやってはくれんだろうか」

うしお「……」

うしお「分かった」

男「ありがとう!」

男「俺のバイクがあるんだ!潮くんも乗せてゆくよ!」

うしお「頼む!」

男「こっちだ!」

うしお「おう!」タタタタッ

婆「……」

婆「…ご先祖よ…ようやく…この時が…」

………………
………


ォォオオオオン

オォォオオオオオオン

獣の槍(蒼月!!奴が近づいてくる!)

うしお「兄ちゃん!止めてくれ!」

男「おう!」キキキキキィ

ドッドッドッドッドッ

うしお「下がってて…」

男「どうしたんだ?」

うしお「奴が来る!」



バキバキバキバキ
ズルルルルルルルッ


男「ああ…あああ」

男「う、潮くん!」

うしお「……?」

男「頼む!!」

うしお「…おうよ!!」

男「……」ブォォオオオオン

うしお「……」

姦姦蛇螺「待たせたな小僧」クチャクチャポリポリ

うしお「……」ザワザワザワ

うしお「…何人食った?」

姦姦蛇螺「さぁ…?お前は食った米粒をいちいち数えてるよかえ?」

姦姦蛇螺「いひゃひゃひゃひゃひゃ!!!」

うしお「貴様ああああああああああ!!!」ザワワワワワワ

獣の槍「蒼月!」

うしお「分かってる…!」

うしお「鏢さんから教わったんだ、常に冷静で居ろって…」

姦姦蛇螺「逝ね!!」カパァ

姦姦蛇螺「おぉ怨!!!」ドゴゴゴゴゴゴ

うしお「そして…」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!

獣の槍「ツァンユエ!!」

スルリッ


姦姦蛇螺「何ぃ!?」

うしお「強大な力は…受け流せって…!!」クルン

うしお「今度はこっちの番だ!!」バッ

姦姦蛇螺「うぬぅ!!近づかせんぞ!!」カパァ

姦姦蛇螺「おおおおお怨!!!」ドゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

うしお「効かんっ!!」スルリッ

うしお「くらええぇええ!!」バッ

姦姦蛇螺「ふん!!そのような物は効かぬと何度言ったら分かる!!」バキィ

うしお「ぐっ…」ドゴォ

うしお「しまっ…槍がっ…」

獣の槍「蒼月ェエ!!」

姦姦蛇螺「さあさあどうした!!」ビスッビスッ

うしお「ぐっ!あああっ」ゴフッ

男「潮くん!!」

うしお「うううぅ!」

うしお(こんな時…とらがいたらなぁ…)

姦姦蛇螺「いひょひょひょ!獣の槍も大した事ないなあ!!」ドゴンボゴン

獣の槍「蒼月!!」

うしお(ああ…また、とらと喧嘩してぇなあ…)

うしお(とら……)

姦姦蛇螺「これで終いだぁあ!!」カパァ

獣の槍「蒼月!!来るぞ!!」

姦姦蛇螺「おおお怨!!!!」ドゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

獣の槍「ツァンユエェエエエエ!!!」ビューーン

うしお「……」

全く…わしが居なきゃなぁんにもできねぇのかよ

うしお(と…ら)

クソうしお…こら、オタンコナス

うしお(へへ…)

わしが食うまで勝手に死ぬんじゃねぇって言ったろう?

うしお(とら……)

ちっ、仕方ねぇなぁ
少しだけ助けてやらぁ……

男「潮く…」

バリバリバリバリバリ…
バリュウウウウゥウゥゥゥゥウウンンンン!!!

ドオオオオ…

姦姦蛇螺「何…ぃ!?相殺だと…!?」


立て、うしお
今が好機だろうが

うしお「と…ら…」フラフラ

しゃんと狙えよ
お前なら一撃で決められる

獣の槍「ツァンユエ!」ビュンッ

うしお「お…おお…おおおおお!」ガシッ

ほら、アン時どうやって倒した?
シュムナをやっつけたろう?

うしお「ああ……板を…穿つのは…」ザワザワザワザワザワザワ

うしお「うおおおおお!!」バッッ

姦姦蛇螺「またか!儂にそのような物は効かぬ…と!!」ガキッ

うしお「お鳴おおお雄おおおおおお御おお!!!」メキィイン!!

姦姦蛇螺「な、何だとおおおお!!???」ギギギ

うしお「はあああっ!」ググググゥ


ズバァアッ


姦姦蛇螺「な…に…を!!」

姦姦「し……」

蛇螺「た……」


うしお「心を細くせよ。水滴のみが板に穴を穿つ」フワッ





ヒギヤアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア




うしお「俺は…巫女さんに…用があんのよ」スタッ


キィィイイン
ザラザラザラ…

ボワアアアアア…

巫女「な、なんと…」

うしお「へ…ぇ…きれーな人だなぁ…」

獣の槍(下半身が無いがな)

獣の槍(腕もね)

うしお「二人とも…やめろ…よ」

獣の槍(すまぬ)

獣の槍(ごめんなさい)

巫女「わ、私は…人を…憎んで…」ギリリ

うしお「その事で…話があるん…だ」

巫女「…?」

うしお「ついてきて…くれるか…い?」

巫女「……」コクン

……………
……


うしお「ばあ…ちゃん!!」

婆「槍の子!!」

婆「無事であったか!!」

うしお「ばあちゃん…そのタケノコ…みたいな言い方…やめてよ…」

うしお「まあいいや…連れてきた…よ」

巫女「……」ヒョコッ

婆「おおおお!!」

巫女「……」ビクッ

婆「良かった……良かった……」

うしお「ばあちゃん…?」

婆「初めまして巫女殿…わしはこの村の村長の婆と申します…」

巫女「……」

婆「わしは…遥ご先祖より伝言を預かっております」

巫女「……」

婆「あなた様の…お父様よりです」

巫女「…!!」ギリリッ

婆「"申し訳ない事をした、村を守る為とは言え、巫女の命を無いがしろにするなんて"

婆「"こんな事を言っても信じてもらえぬだろうが、聞いて欲しい"」

婆「"父は、其方を誰よりも、何よりも深く愛している"」

婆「"たとえこの命尽きようとも、其方への愛は永久に消えぬ"」

婆「以上でございます…」

巫女「……」

…………………………

巫女…本当に行くのか

ええ、お父様。村の為ですもの

…逃げ出してはくれんか

なぜですか?皆さんが困っていると言うのに…どうしてしまったのです、お父様

……いや、なんでもない

巫女…

はい

わしは其方を愛しておるぞ

うふふ、変なお父様

私も、お父様を愛しておりますわ

…そうか…そうかぁ……

お、お父様!なぜ泣かれるのです!?

なんでもない…なんでもないんだ……うぅ……

お父様!
………


巫女「……」ポロ

巫女「……」ポロポロ

巫女「お…お父様……」ポロポロポロポロ

巫女「お父様あぁ……」シクシクシクシク

うしお「……」ニコッ

婆「巫女殿…当時の者は誰一人として生きてはおりません…」

婆「しかし、今この村に住む全員があなた様に謝罪御礼を申し上げたい所存です…」

婆「どうか…」

巫女「…良いのです」グスン

巫女「…父の最後の言葉がずっと心残りでした」

巫女「その真意を知れたのだから、もう良いのです」

巫女「私はもう誰も恨みません」

巫女「村の皆を許しましょう」キッ

婆「おぉ…おお……」

巫女「…槍の子供よ」クル

うしお「……あぁ」

巫女「あの白面を倒し、妖と人との和解も済ませ、更には私を救ってくれるなんて…」

巫女「あなたはどれだけの善行を積めば気が済むのです?」クスッ

うしお「お、俺はただ…」ヘヘッ

巫女「ええ、ええ、分かっております」

巫女「しかし、せめてもの御礼に貴方の大切な人について助言致しましょう」

うしお「それは…!!」

巫女「妖は、一度葬り去れば暫らく蘇る事は無いでしょう」

巫女「しかし、それでもいつか必ず蘇るのが妖と言うもの…」

巫女「それぞれ条件があるようですが……」

巫女「貴方の大切な人は…その槍の元に、いつか必ず蘇るでしょう」

うしお「とらが…槍から…」

巫女「貴方には何か心当たりがあるのではないですか?」パアアアア

巫女「ああ、お時間のようです」アアアア

巫女「村の皆様、封印が有った箇所に、鏡を祀って下さいまし!」パアアアアァァア

巫女「私は!…そこで…皆様を!…村を守り….続けます!」アアアアアアア!!!



かつて、私の愛した父がそうしたように……!!



シャリラアァアァアァアァン



婆「おおお…姦姦蛇螺が…遂に…」

うしお「…ヘヘっ」フラフラ

男「潮くん!!」ブオォォオン…キキッ

うしお「兄ちゃん…」

男「ありがとう!これで友達も浮かばれるよ!」

うしお「いいっていいって…」

男「御礼って言ったらあれだけど…」

男「うちに泊まっていかないかい?手当もさせて欲しい」

うしお「い、いいよそんなの…」

婆「ダメじゃ」

うしお「えぇ…」

婆「獣の槍の力を過信してはいかん」

婆「治癒の心得はある、ゆっくり休むといい」

うしお「……じゃ、甘えようか…な…」フラッ

男「潮くん!」ガシッ

うしお「おろ?…えへへ…へ…」ガクッ

男「う、潮…」

うしお「……」グゥグゥ

男「な、なんだ…」

婆「さ、うちへ運ぼう…」

うしお「…とら…食われるかよ…」むにゃむにゃ

男「ふふ、なんの夢だか」

婆「大切な人の夢じゃろうな」

婆「こんなに笑顔なんじゃから…」

うしお「……」ニィッ



終劇

「こんのクソガキ!!勝手に外泊しおって!!」

「うるせー!こちとら妖退治してたんだい!」

「妖!?」

「姦姦蛇螺ってやつだよ!!」

「そんなやつ知るかぁ!!」ゴンッ

「う"、嘘じゃねぇって…」ヒリヒリ

「ええーーい!弧月!!」ビシィィイイイ

「うげええええ!!実の息子にそれをかける親父がいるかぁあああ!!」ギュウゥ

「あ、あなた…」オロオロ

「おお、須磨子か!」

「少し見ておれ!うしおが泣いて謝るぞ!」

「このクソ親父ぃぃいい!!」ギリギリギリ

「ふはははははは!!」

「あなたぁ!」

ったく…騒がしい
この親子、少しは静かにできんのか…

わしの助けがあったから勝てたんだろうに…
まあ、うしおがやられてるのはいい気味だがな


はーあ、やっぱ1人は退屈だぜ




閉幕

ああ、きっとアンタは前に休憩所か酒場で会った人だろうな

アンタが居たから書けたんだ
どうやら深夜に需要はないらしいけど…

八尺様了解しました
何か読み辛い点など無かったでしょうか?
出来るだけ良いものにしたいので、よろしければアドバイスお願いします

まさかうしとらとは…乙

ただ、出来るならば原作後ではなく、原作中での出来事としてくれればもっと嬉しかった
やはり槍の物語はあそこで終わるべきだと思ったので…
槍兄妹は眠らせてあげるべき

都市伝説とのクロスとても面白かったです

八尺様の次はリョウメンスクナでどうでしょう?剣対槍で派手になりそうだけど

なるほど、参考になります
効果音は凄くこだわったのでとても嬉しいです!

>>91
確かに、今言われるとこの話は凄く蛇足ですね…
しかし、この話は個人の自己満足(その後のうしお)でもあるので…目を瞑って頂ければ幸いです


八尺様はここで引き続き行いますので、よろしくお願いします

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