鈴「犬神さんが酔った」 (16)

秋「犬ってまたたびで酔うんだな」

鈴「犬神さんが特殊なだけだと思う」

八千代「……」フラフラ

秋「おい、大丈夫かあいつ」

鈴「さ、さあ?」

八千代「……」ジーッ

鈴「な、なに? 私の顔に何かついてる?」

八千代「猫山さん……」

鈴「ちょ……近いって犬神さん///」

八千代「私……猫山さんが///」

鈴(嘘!? 近っ//私、キスされるの?)

鈴(ど、どうしよう///)ドキドキ

鈴(うぅ……カップケーキの時より緊張する)

八千代「ん……」

鈴(なんで目を瞑るの!?)

鈴(っていうか逃げた方が……? でも犬神さんなら別に)

鈴(な、何考えてんだ私/// あうぅ///)

八千代「……」

鈴(犬神さんの吐息が……なにこれもう訳分かんない)

秋「いい加減にしろ」ドスッ

八千代「ふぎゃっ」ドサッ

鈴「い、犬神さん!?」

八千代「……」

秋「大丈夫か猫山」

鈴「え? あっ……う、うん」

鈴(ちょっと残念だったかも……)

鈴(はっ……今私なにを///)

鈴「うわぁああ/////」ジタバタ

秋「あー……大丈夫じゃないな」

八千代(ふむ……)

八千代(昨日、私は何かすごいことをやらかした気がする)

八千代(目覚めたらベッドの上だったけど……確かその前は放課後に)

八千代(……)

八千代(っ……///)

秋「おはよう犬神」

八千代「ひゃっ」ビクッ

秋「なに?」

八千代「なんだ秋ちゃんか」

秋「悪かったな私で」

鈴「お、おはよ」

八千代「っ!」ドキ

八千代「お、おはようございます猫山さ――」

鈴「あ、秋! 昨日出た数学の宿題だけどさ……」

八千代(避けられた!?)

八千代「え、えっと、昨日はその……良く覚えてませんけど」

八千代「私も正気じゃなくて、へ、変なことしてしまったかも……」

鈴「っ! それじゃ、正気だったらしないんだ」

八千代「え!?」

鈴「私にあんなこと」

八千代(すごくしたいです!)

八千代(なんてさすがにこの状況で言えるわけないし……)

八千代「もちろんですよ」

鈴「そう……わ、私ちょっと用事あるから先行く」

八千代「え……」

鈴「犬神さんの馬鹿」ボソ

八千代「……」

秋「はぁ……追いかけなくていいのか?」

八千代「だって、嫌われちゃったみたいだし」

秋「そうか?」

八千代「今回ばかりはやりすぎちゃったかなって……」

秋「いや、あれは通常営業だったろ。普段のお前的に」

八千代「今までは冗談っぽくしてたから大丈夫だったんだよね」

八千代「でも、昨日は本気でしちゃったから」

八千代「さすがに引かれちゃったかな。猫山さんに」

秋「犬神……」

八千代「ほら、急がないと遅刻しちゃうよ」」

秋(たぶんあいつは違うところに怒ってると思うけど)

秋(面白そうだから黙っておこう)

鈴(犬神さんの馬鹿! アホ!)

鈴(私は素で犬神さんならって……///)

鈴(というか犬神さんすぐに他の子に夢中になるし)

鈴(猫見つけるとどっか行くし)

鈴(未だに敬語だし)

鈴(私のことなんて別に何とも思ってないんだ)

鈴(それに秋の方が付き合い長いし、休みの日に一緒だったし)

鈴(大体、秋にだけあんな砕けたしゃべり方してずるいじゃん)

鈴(あーもう何このモヤモヤ!?)

鈴(つい逃げちゃったけど、犬神さんに嫌われたりしてないよね?)

秋「あぁ、いたいた」

鈴「秋……えと、さっきはゴメン」

秋「私はいいけど犬神は落ち込んでたな」

鈴「そう……」

秋「猫山に嫌われたんじゃないかーってうるさくて仕方ない」

鈴「そ、そんなことない!」

秋「私に否定されても困るんだけど」

鈴「そ、そうだよね」

鈴「……」

鈴「わ、私! ちょっと用事が出来たから!」

秋「はいはい。行ってらっしゃい」

鈴「犬神さん!」

八千代「猫山さん……」

八千代「昨日はすみませんでした。調子に乗り過ぎちゃいましたね」

八千代「もうしませんから、だから……」

鈴「違うの!」

鈴「昨日のが嫌だったとか、そういうのじゃなくて」

八千代「え?」

鈴「だって、犬神さん正気だったらキスしないっていうから」

八千代「それは……猫山さんがそういうの嫌いなのかと」

鈴「嫌だったら昨日だって逃げてるし」

八千代「え、えっと……それはどういう?」

鈴「だ、だから! キスしたいならすればいいじゃん!」

鈴「いつも引っ付いてくるのになんでそう鈍いの?」

鈴「犬神さんとなら別に嫌じゃないし」

鈴「むしろ犬神さんとがいいし」

鈴「でもなんで敬語使うの? 秋には普通に話してるじゃん!」

鈴「なんか秋に負けてるみたいで、秋の方が犬神さんと仲良いみたいで嫌!」

鈴「それにちょっと可愛い子がいるとふらふらついて行くし」

鈴「目移り激しいし……」

鈴「犬神さんは、わ、私だけ見てればいいんだから!」

鈴「はぁ……はぁ…」

八千代「……」

八千代「ね、猫山さん!」ダキ

鈴「ふぇ!?」

八千代「私、猫山さんのこと好きで良いんですか?」

鈴「だ、だからそう言ってるじゃん」

八千代「キスしても良いんですか!?」

鈴「う……うん///」

八千代「で、ではさっそく」

鈴「え!? い、今?///」

八千代「はい!」

鈴「っ……///」ドキドキ

八千代「い、いきますよ?」

鈴「////」コク

八千代「……」

空「……おほん」

鈴「っ!!!」ビクッ

八千代「ひゃあっ!」

空「あなた達、ここがどこだか分かってやっていますか?」

美希音「さすがの私も妄想が追いつかないのです」

鈴「うぁ……///」カァ

八千代「えと、これはですね、その……」

鈴「犬神さんの馬鹿ァア!!」ダッ

八千代「えぇええ!? 待ってくださいよ猫山さん!」

なんかもうおわれ

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